成田空港機能強化を粉砕しよう 新滑走路予定地をデモ 「軍事空港阻止、5月本格着工許すな」 菱田現地闘争

週刊『三里塚』02頁(1159号01面01)(2025/05/12)


成田空港機能強化を粉砕しよう
 新滑走路予定地をデモ
 「軍事空港阻止、5月本格着工許すな」
 菱田現地闘争

(写真 芝山町菱田地区の空港拡張予定地内を意気高くデモ【5月7日】)





(写真 地元住民が掲げる抗議メッセージ)

(写真 禁圧に抗し田植えを終えた田んぼ)


 米日帝国主義による中国侵略戦争阻止の4・28沖縄デー闘争が全国で闘いとられた。実力闘争こそ力だ。「反戦の砦(とりで)」=三里塚もまた決戦局面へと突入している。成田空港会社(NAA)の田村明比古社長は4月4日、中野洋昌国土交通相に、B滑走路延伸とC滑走路(第3滑走路)新設の工事について「5月に本格着工する」「2028年度末に供用開始する」と報告した。三里塚芝山連合空港反対同盟はこの攻撃に怒りをたぎらせ現地闘争(フィールドワーク&デモ)を呼びかけた。5月7日、反対同盟、現闘本部、支援連絡会議、首都圏の労働者・学生など60人が参加し、「成田空港機能強化粉砕、5月本格着工阻止」を掲げたデモを打ちぬいた。
 晴天のもと、反対同盟事務局の伊藤信晴さんが、状況説明を行った。「今日のデモコース申請に対し、警察は難くせを付けてきた。NAAにしてみれば、新滑走路敷地内でデモをするなどありえないという感覚なのだろう。しかし機能強化に対する住民の反撃が起きている。自然破壊と気候変動・温暖化に対する危機感から、抗議のメッセージを掲げている人がいる。騒音訴訟に立ち上がっている芝山町民もいる。今日はそうした住民に応え、市東さんの農地決戦を訴える意味でも非常にタイムリーだ」
 続いて市東孝雄さんがあいさつに立った。

実力闘争で勝つ

 「19年続いた耕作権裁判で、3月24日に判決が出された。許しがたい不当判決。控訴審でがんばるが、裁判だけでなく実力闘争で闘わないと勝てないというところに三里塚は来ている。今の裁判所に三権分立はない。きょうは、皆さんに工事の現場を見てもらうが、菱田の昔の様相を知っている方はその変わりようにびっくりするだろう。これからの闘い方を考え、一緒に闘っていきたい」
 動労千葉執行委員の川崎昌浩さんが連帯のあいさつに立った。耕作権裁判不当判決を弾劾した上で、「動労総連合は第38回定期中央委員会で、労働組合の第一の任務として戦争に反対して職場・地域から立つとの方針を確立した」と報告し、5月沖縄、6・14反戦闘争、6・15国鉄集会、11月労働者集会への決起を訴えた。
 婦人民主クラブ全国協議会の鶴田ひさ子さんは、「軍事空港粉砕」へ反対同盟とともに闘うことを誓い、沖縄での連続する米兵の女性暴行事件に怒りを表した。
 全学連の松本彩乃さんは、京大7学生逮捕の大弾圧を打ち破って奪還されたことを報告し、女性差別と性暴力を断じて許さず、三里塚闘争と沖縄闘争の勝利性を確信して闘う決意を表した。
 団結ガンバローを三唱し、全員が車両に分乗して出発した。
 天神峰から東峰を経て、一鍬田を通り、横堀地区へ。
 横堀では誘導路設置のための工事用道路の建設が行われている。一つに統合される旅客ターミナルと新C滑走路とを結ぶ、誘導路のための準備工事だ。さらに南下し、デモ出発地点である菱田の中郷墓地の横に到着。故・鈴木幸司さん、謙太郎さん親子も眠るここは、新C滑走路予定地の北端に位置している。
 「空港拡張実力阻止/工事強行許すな」と大書された横断幕を先頭にして、デモに出発した。
 「成田は今、豊かな農村地帯を根こそぎ破壊して新滑走路の下敷きにしようとしています。地域で反対して闘う農民とともに、私たちは59年闘ってきた空港反対闘争を貫きます」との訴えが、宣伝カーから一帯に響き渡った。
 そして「第3滑走路建設粉砕!」「5月本格着工粉砕!」「成田空港の戦争拠点化を許さない!」のシュプレヒコールをとどろかせた。
 目に映る風景は一見するとかつてと同じく緑にあふれる田園、山林のように見える。だが、田んぼであった場所はすでに生産活動をやめて、雑草があふれ返っている。
 かつて反対同盟分断をもくろんで空港の肝いりで行われた「成田用水・圃場整備」がもたらしたのは、豊かな実りではなく農業と地域の破壊であり、歴史とともにこの農村一帯が新滑走路の下に埋め立てられようとしている。その冷酷な現実を突き出す光景だ。

抗議メッセージ

 各所には、「地盤改良工事」の資材置き場、セメント作りの施設、さらに機動隊バスの駐車場までが、鉄のフェンスに囲われて作られている。重機と作業員が動き、上空をジェット機が騒音と共に飛来する。デモが北上を続けると、機能強化に反対する農民が作った抗議の「横断幕」が参加者の目に飛び込んできた。農業用の防草シートを使って土手に、「温暖化で米も実らない未来」「もっと死を、もっと環境破壊、CO2を」と書き表されている。
 そしてそのすぐ先には、水が張られ田植えが行われた田んぼが現れた。一住民が空港による禁圧を打ち破って稲作を続けているのだ。そのメッセージと一角だけの「生きた」田んぼが、デモ隊の心を大いに潤し励ました。
 80年代の成田用水決戦を闘った経験を持つ年配者も、初めて現地を訪れた青年・学生も、それぞれの感慨と決意を胸に菱田を一周するこの日のデモを貫徹した。
 NAAは「本格着工」を宣言したが、必要な民有地のうち「26%」のめどが立っていない。住民と連帯し、第3滑走路建設を粉砕し、機能強化を破産に追い込もう。

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