成田夜間飛行差止行政訴訟 命奪う騒音をとめろ 原告住民と弁護団が国を追及

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週刊『三里塚』02頁(1161号02面01)(2025/06/09)


成田夜間飛行差止行政訴訟
 命奪う騒音をとめろ
 原告住民と弁護団が国を追及

(写真 閉廷後の報告会(30日】)

 成田空港夜間飛行差し止め請求行政訴訟の第7回口頭弁論が5月30日、千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で開かれ、傍聴しました。
 この裁判は、成田市、横芝光町、芝山町、茨城県稲敷市の住民が国を相手取って成田空港の深夜早朝(午後9時から午前7時)の離着陸禁止を求めているものです。成田空港会社(NAA)が2029年に朝5時から深夜1時まで滑走路の運用時間を延長しようとしている中で、周辺住民が団結し、機能強化にNOを突きつけている重要な闘いです。
 冒頭、両陪席裁判官の交代に伴う弁論の更新が行われ、続いて、芝山町の原告Aさんが意見陳述に立ちました。
(要旨別掲)
 Aさんは騒音被害の実態を詳細に明らかにし、「この裁判で問われているのは常識」「NAAに私たちの人生を振り回す資格はありません」ときっぱりと批判しました。傍聴席から拍手が沸き起こりました。
 続いて海渡雄一原告弁護団長が、国が提出した56㌻におよぶ準備書面への根本的な疑問・反論を述べました。
 「70年代に書かれた化石のような論文を根拠に騒音に害はないと言うが、現在の世界標準とはかけ離れている。また、騒音への反応は千差万別というのはその通りだが、だから対応は必要ないなどというのは暴論だ。敏感な人は死んでもいいとはならない」「そもそも国が引用している論文でも個別対応の必要性に触れ、感受性の高い人を基準にすべきと述べている」
 国はぐうの音も出ない様子で、「さらに主張を補充する書面を出す」と述べるのがやっと。
 岡山裁判長は、「行政訴訟なので国交大臣の裁量権の逸脱、濫用なのかどうかが問題。騒音被害が成田空港の公益性、公共性を凌駕(りょうが)していると言えるのか」と指摘し、睡眠妨害の基準、騒音測定の手法などについて弁護団に厳しい要求を突きつけました。
 次回期日は、9月9日(火)午前11時からです。
(土屋栄作)
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