死亡原因の1位が心疾患 芝山町Aさんの陳述

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週刊『三里塚』02頁(1161号02面02)(2025/06/09)


死亡原因の1位が心疾患
 芝山町Aさんの陳述


 私の住まいは「谷間地区」で両方の飛行経路からの騒音被害を二重に受けています。ABの滑走路を離着陸する飛行機がひっきりなしに上空を飛び残響音も含め騒音が鳴り響き続け、飛行経路の直下地域にも勝るとも劣らない非常に過酷な地域です。このような騒音に、私は45年以上さらされてきたのです。
 寝床に入っても、23時より前はうるさくて眠れません。朝は午前6時の一番機の音で目が覚めます。ほぼ毎日、目が覚めた瞬間から飛行機の音が聞こえているのです。新しい一日がその始めから台無しにされたようなものです。朝6時台には連続して飛んできますので2度寝もできません。

父が突然死し

 千葉県議会議員のリポート新聞に「成田空港周辺市町村において過去からの死亡原因調査にて航空機騒音を最も受けている芝山町のみが心疾患がほぼ毎年1位である」との発表がありました。飛行機騒音による睡眠障害によって、私たち地域住民が健康被害を受けていることは明らかです。
 私の父は、23年に突然死しました。家に帰ったら、父がしゃもじを手に持った状態で、炊飯器をあけ茶碗をとろうとしたところで倒れていました。救急車を呼びましたが、すでに亡くなっていました。父は30年以上前に心筋梗塞で倒れたことがありましたが、急死するような状態ではありませんでした。父は言葉少ない我慢強い人でした。不満を周囲に漏らすこともあまりありません。ただ、父と一緒の寝室で寝ていた母が、うるさくて眠れなかったとよく話していましたので、父の疾病と突然死にも長年の睡眠妨害の影響があったのではないかと思います。
 母も、心疾患を患っており本当に心配しています。帰宅して顔を見るまで安心できません。一日も早く騒音のない環境でゆっくりと休息をとらせたいと思っています。この裁判は私にとって、母親の健康と命を守るための戦いでもあるのです。
 機能強化策では飛行機は夜の午前1時まで飛び、朝は午前5時に飛ぶことになり、さらにA滑走路とBC滑走路を早番と遅番の運用にして、定期的に入れ替えるという「スライド運用」が行われるとされています。
 しかし、健康には規則正しい生活が重要なのであって、飛行時間を入れ替えられたら規則正しい生活ができません。
 どのタイミングで入れ替えるのか、説明会で質問した人がいましたが具体的な説明はなく、真剣に検討した痕跡もないのです。私たちはロボットではありません。
 そもそも「スライド運用」は私たち谷間地域の住民にとっては、まったく意味がありません。静穏時間はたった4時間です。これが毎日続くのです。病気にならずに生活ができると思われますか。それが人間的な生活を営むことのできる環境でしょうか。AB滑走路に挟まれる家は何百軒もあるのです。

問われる常識

 一般の人が夜中の午前1時まで騒音を出して朝5時からまた騒音を出したら、近隣住民から通報されます。社会常識のある人間であれば、そんなことはしません。この裁判で問われているのは常識です。難しい議論が必要だとは思いません。
 多数の住民が住み、田んぼも畑もある、そのような生活の真ん中に内陸空港を無理に造った上、行き当たりばったり、だましだましでこっそり拡張を重ね、再々移転などで住民は人生を翻弄されているのです。いくら強大な権力や経済力があっても、国や成田空港会社に私たちの人生を振り回す資格はありません。
 昼間だって、本当は静かな時間を過ごしたいです。病気だったりシフト制の仕事だったり、昼間の睡眠が大切な人もたくさんいます。
 それをかなり譲歩して皆で立ち上がりました。人間として夜十分な睡眠を取る時間を確保したい、それだけです。
 裁判所におかれましては、一日も早く飛行機の夜間発着を禁止することを国に命じてくださるようお願いします。
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