明日も耕す 農業問題の今 参政党 有機農業の正体 「純潔日本を汚染させない」
週刊『三里塚』02頁(1165号02面04)(2025/08/11)
明日も耕す 農業問題の今
参政党 有機農業の正体
「純潔日本を汚染させない」

(写真 参政党の支持者たち)
7月の参院選で急伸した参政党。本紙バックナンバーを紐解いていたら、3年前にも取り上げていた。まだ実態もわからず「有機農業推進というだけで良しとはできない」と書いたが、その正体が明らかになってきた。
2年前の天神峰農地強奪強制執行の直後、三里塚産直の会員が何人もまとまって退会するということがあった。
あとから分かったことだが、その人たちは実は参政党の支持者だった。裁判も含め、農地強奪との闘いは会員の方々にも伝えていたが、あの闘いで生産者がどんな人か強烈に認識したようだ。参政党支持では受け入れられなかったのだろう。
このことを思い出したのが、8月8日付の東京新聞「こちら特報部」の記事だ。
「参政党×農業政策 やはり排外主義」という記事で、有機農業と排外主義が結びつくとどうなるか懸念を表している。
なるほど、たしかに参政党の農業政策は有機農業推進であり、その支持者が有機野菜の産直会員になることは不思議ではなかったのだ。
やはり排外主義
だが、問題は有機農業の中身だ。参政党の主張の根本にあるのが「身体に不純なものをいれない」という考えで、純潔な日本を外からの異物で汚染させたくないという「日本人ファースト」の発想に通じるものだ。
それが有機以外の食べ物は全て危険という「オーガニック信仰」の中・高所得者層や、子育て世代で自然食に関心が高い人たちに受け入れられたのだろうと記事は言う。
たしかに私たちの身の回りには農薬、食品添加物、遺伝子組み換え食品など危険な食べ物であふれている。しかし「自分たちだけ安全な食べ物を食べられれば良い」という考えは、参政党のような排外主義に絡めとられてしまうのだ。
記事では「有機農業は農薬の不使用だけでなく、自然と人が共生して多様性を尊重することが基本。『日本人ファースト』とは相いれない」と農家による批判を紹介していた。
ナチス「血と土」
この参政党の農業政策は、実はナチス・ドイツが掲げた有機農業と瓜二つなのだ。ナチスは、「血と土」というスローガンを掲げ、ドイツの自然と「アーリア人種」の血統を賛美し、自給自足的な経済を目指した。
どんなに貧しくてもドイツ人であれば救うと貧困撲滅を掲げ、自然保護法をつくり、安全に生産された作物を食べて健康でいる権利を約束した。
ナチスが政権を取ったのも、参政党が急伸してきたのも、帝国主義の行き詰まりから生じる経済破綻や生活不安を排外主義的にねじ曲げ、これに乗じたからだ。
歴史を繰り返させないために、すべての元凶が帝国主義にあることをはっきりさせ、排外主義を徹底的に粉砕しよう。「排外主義にもとづく有機農業」を許すな!