北総の空の下で 「米も実らぬ未来」 温暖化
週刊『三里塚』02頁(1166号02面06)(2025/08/25)
北総の空の下で
「米も実らぬ未来」
温暖化
17日から盆明けの農作業再開、35度前後の酷暑が続きます。年々猛暑日数も最高気温も更新し続け、まだ夏の終わりが見えません。
「新米が出れば米価は下がる、それまでの辛抱」と政府は備蓄米を放出しましたが、早くもコメ不足の不安が広がり、新米の争奪戦が始まっています。
植物は昼に光合成をして養分を蓄え、夜は休んで二酸化炭素を吸収してくれます。ところが熱帯夜が続くと夜も休めず蓄えた養分を使い続けるため、でんぷん量が減ります。これが23年米から顕著になった品質低下の原因だそうです。
第3滑走路の本格工事が始まった芝山町菱田地区で、数件の農家が今年も田植えをしました。農業資材に大書きしたのは「温暖化で米も実らない未来」。
農民の温暖化への危機感が伝わります。農業に特化して具体的に見ていくと、アブラナ科の植物(野菜の大半)は、1日(1時間ごとの平均)の気温が30度を超えたら個体を維持できないそうですが、昨年7~8月は成田で29・2度まで上がっているのです。稲科の植物や野生種はもう少し高い温度まで大丈夫とはいえ、40度で蛋白質の変性が始まり、さらに上がると酸素呼吸している生物は生きられないのだそうです! 米も実らない未来はすぐそこまで来ているのです。
成田空港の拡張阻止も、戦争を止めることも、温暖化を止めるための直接の闘いだと確信を深めつつ、汗みずくで働く晩夏です。
北里一枝