「みんなで大家さん」が成田市議の関連2社と数千万円の事業契約 市とNAAは投資詐欺の共犯だ

週刊『三里塚』02頁(1171号02面04)(2025/11/10)


「みんなで大家さん」が成田市議の関連2社と数千万円の事業契約
 市とNAAは投資詐欺の共犯だ

(写真 更地のままの予定地)

 投資詐欺の「みんなで大家さん」に成田市が深くかかわっていた。
 成田空港の近接地の大規模開発プロジェクト「ゲートウェイ成田」への不動産投資商品「みんなで大家さん」をめぐり、成田市議2人の関係会社2社が、開発を手がける共生バンク(東京都千代田区)グループと事業契約を結び、それぞれ数千万円の支払いを受けたことが発覚した。11月1日付で東京新聞が報じた。その2社とは、A市議の親族が代表取締役であるコンサルタント会社(東京都千代田区)と、B市議が取締役を務める警備会社(成田市)。
 コンサル会社は市が2019年10月に開発許可を出す前に共生バンク側と契約を結び、用地の紹介料や造成工事のサポート費として複数回の支払いを受けた。同社はA市議が実質的な経営者で、開発用地もA市議自ら紹介した。
 B市議の警備会社は、造成工事現場に警備員を配置している。「21年1月に契約を結んだ」とし、支払い金額については回答を拒絶している。
 このゲートウェイ成田事業では、市が19年4月、開発が制限されている市街化調整区域内の用地で開発ができるよう、都市計画法に基づき地区計画を決定。同年9月の議会で成田市議会は、工事を進めるための条例改正案を、A、B両市議を含む賛成多数で可決した。要するに規制緩和の見返りに、市議の会社は数千万円の事業契約を得たというわけだ。

開発推進へ便宜

 「みんなで大家さん」は年利回り7%をうたってゲートウェイ成田で1500億円の資金を集め、今やそれが配当遅延=不能に陥り大社会問題となっている。A市議は「市の発展を願った6年前の当時にこうなることは予見できなかった」と釈明し、B市議は「条例可決時には会社は存在せず、契約も結んでいない」と言い訳する。
 だがこの事業が破綻的なのは、当初から明らかだった。市条例は事業計画案について「土地の所有権などを有する者の3分の2以上の同意が必要」と人数の割合を規定している。17年に出された実際の計画案の申請内容では、登記上の区画を示す筆数では3分の2を上回る同意があったが、人数では半数にも満たなかった。ところが審査で市は「要件を満たしている」として不適切な手続きを強引に進めた。
 また不特定多数の小口出資で資金調達するというやり方自体が、前代未聞で信用ならないことを、当然にも市は厳しく指摘する立場にあったが、まったく問題にせずお墨付きを与えたのだ。

市長面会に同席

 計画決定後の19~22年に、共生バンク代表と、小泉一成成田市長、NAA(開発用地の4割を所有)の幹部とが面会する際、A市議は必ず同席していたという。
 また市が開発許可を出す2カ月前には、共生バンクが運営する三重県伊勢市のテーマパーク「伊勢忍者キングダム」に、小泉市長とA市議が日帰りで訪れたこともあった。同社手配のヘリで移動し会食したが、その費用としての15万円(!)は私費で支払ったと言っている。A市議は「市やNAAに開発で便宜を図るよう依頼したことはない」と取材に応えているが、この事業推進のために市議として全力を尽くし、数千万円の事業受注という見返りを得たのが実情だ。そして小泉市長が、この事業を自ら積極的に引き入れたのだ。
 「成田」のブランドにたぶらかされて、3万人以上が貯金や老後資金などのなけなしの金を投資し失った。1千人を超える人々が集団訴訟を起こしている。共生バンクは成田以外でも、バナナ栽培や前述の忍者パークなど手がけた事業をことごとく破綻させている。
 「成田第2の開港」プロジェクトも、この詐欺事業と不可分一体だ。市とNAAの責任を徹底追及しなければならない。
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