明日も耕す 農業問題の今 戦時農政に踏み出す高市 先端技術活用と輸出促進

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週刊『三里塚』02頁(1171号02面05)(2025/11/10)


明日も耕す
 農業問題の今
 戦時農政に踏み出す高市
 先端技術活用と輸出促進


 自民党と日本維新の会による極右・高市連立政権が10月21日発足した。前々号で高市の農業政策を総裁選の公約を元に取り上げたが、政権につくと、中国侵略戦争に向けた食料安全保障をさらに強力に押し出している。
 高市は所信表明演説で安保3文書改定の前倒しを表明し、「27年度までに」としていた軍事費GDP比2%という大増額を今年度中に達成しようとしている。
 また、就任早々、来日したトランプと中国侵略戦争に向けた戦争会談=日米首脳会談を行った。 高市政権は中国侵略戦争突入のための戦時内閣だ。
 高市は所信表明で「大胆な『危機管理投資』による力強い経済成長」を掲げた。「成長戦略の肝は、『危機管理投資』です。経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障、健康医療安全保障、国土強靱(きょうじん)化対策などの様々なリスクや社会課題に対し、官民が手を携え先手を打って行う戦略的な投資です」と述べた。
 戦争をやって軍需産業がもうかれば経済が潤う、これと同じ発想だ。危機管理の名の下に、全国力を戦争遂行のための戦力として位置づけ、戦争のための経済にすると宣言したのだ。

「食権力」を握る

 食料安全保障はもちろん戦争のためだ。
 農業については、「5年間の『農業構造転換集中対策期間』において別枠予算を確保します。世界トップレベルの植物工場、陸上養殖、衛星情報、AI解析、センサーなどの先端技術も活用し、輸出を促進し、稼げる農林水産業を創り出します」と述べている。
 前号で紹介した藤原辰史さんの言葉を使うなら、戦争に勝ち抜くために、何が何でも次の「食権力」を握ろうとするものに他ならない。

農民を切り捨て

 高市内閣で新たに就任した鈴木憲和農水相は元農水官僚だ。
 鈴木農水相は就任記者会見で、米の生産について「需要に応じた生産が原則・基本」だとする考えを示した。
 「価格はマーケットの中で決まるべき」と重ねて強調し、米の価格抑制を目的にした政府備蓄米の放出には否定的な考えを示した。
 だが、昨年来の米価高騰の主たる原因が、政府の需給見通しの誤りにあったことは明白だ。
 生産量を絞る従来の農政で、農家の高齢化や担い手不足が深刻化し、生産基盤の弱体化を招いてきたのではないのか。
 鈴木農水相の発言は、石破「米価3000円台が適切」発言や、小泉「備蓄米でじゃぶじゃぶ」方針を批判し、従来の事実上の減反政策に戻そうとする姿勢に見える。
 だが、これは単なる逆戻りではない。戦争最優先の戦時農政として先端技術に投資し、つぶれる農家はつぶれていいと、あらためて農民切り捨てをはっきりさせたのだ。
 戦時内閣=高市政権を打倒しよう。
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