茨城・稲敷市住民が陳述 新たな原告30人を加え再スタート 成田空港拡張差し止め裁判

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週刊『三里塚』02頁(1176号02面01)(2026/01/26)


茨城・稲敷市住民が陳述
 新たな原告30人を加え再スタート
 成田空港拡張差し止め裁判

(写真 岡山忠広裁判長)

(写真 裁判報告集会【20日】)

 千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で1月20日、成田空港拡張差し止め裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟はこの裁判で国とNAAに対し、①B'暫定滑走路の延長、第3誘導路建設の違法を追及し、②「空港機能強化策」を掲げた施設変更許可による現在の空港拡張工事の差し止めを求めてきた。
 そして新たに、成田市、芝山町、横芝光町、茨城県稲敷市の住民30人が原告となって、国・NAAに対し機能強化・拡張工事の差し止めを求めて提訴し、これらの裁判が併合された。今後、より強力に敵を追いつめる「成田機能強化阻止」の裁判闘争として進めることになる。
 開廷早々、岡山裁判長は、1月9日付で出された被告・国の準備書面について問いただした。「前回の求釈明で、環境アセスメント(影響評価)に基づいて原告適格を争う人がいるのかいないのか、規範とそのあてはめについて具体的に明らかにするよう尋ねた。書面ではこれに答えていない」
 確かに50㌻を超える同書面では、成田環境アセスの制度などについて無駄に長々と説明し、芝山町の白桝地区に住む伊藤信晴さんにだけは敵意をむき出しにして「原告適格なし」と強調するが、肝心なことは何も書かれていない。
 裁判長の「ダメ出し」に国の代理人は身をすくめながら、出し直しを約束せざるをえなかった。
 続いて、新たに原告となった稲敷市住民のNさんが意見陳述に立った。(要旨別掲
 「私たち住民に生きていく権利はあるはずだ。夜だけは静かに寝かせてほしい」とのNさんの訴えに、傍聴席から大きな拍手が湧いた。
 続いて反対同盟顧問弁護団が立った。航空法第39条1項2号の「空港等又は航空保安施設の設置によつて、他人の利益を著しく害することとならないものであること」の条文の「他人の利益の侵害」について、財産権だけを想定し、人格権侵害(生活破壊、健康被害)を考慮の必要なしと居直る国・NAAを、あらためて弾劾した。厚木基地をめぐる騒音訴訟においては、最高裁が人格権侵害を認めて損害賠償を命じる判決(飛行差し止めは認めず)を出していることを突きつけた。「成田の騒音は総量で厚木の10倍。人格権侵害を認めないのは、現実離れした違法な見解だ」と鋭く迫った。そして「裁判官は現地を訪れ騒音を体感してほしい」との原告の要望を伝え、他の原告も今後意見陳述に立つ意思があることを伝えた。
 次回期日を5月12日(火)と確認し閉廷。
 千葉県教育会館で、伊藤さんの司会で報告集会が行われた。冒頭、意見陳述をやり切ったNさんが、頭上を飛ぶ騒音被害のひどさをあらためて強調して、今後も奮闘する決意を表した。
 弁護団一人ひとりが発言し、法廷を振り返った。岡山裁判長は国の代理人に「不合格」を出したような格好だが、裏を返せば「そんなやり方では勝てないぞ」とたしなめたとも言える(岡山は団結街道裁判一審で不当判決を出している)。気を引きしめ、現在進められている機能強化=「第2の開港」を直接撃つ裁判として、全力で闘うことを弁護団は約束した。
 市東さんの耕作権裁判の控訴審が今年始まることを全体で確認し、動労千葉、市東さんの農地取り上げに反対する会、成田空港飛行差し止め訴訟を闘う住民が連帯発言を行った。動労千葉の中村仁副委員長は2・8国鉄集会(2月8日〈日〉午後2時、江戸川区総合文化センター)への参加を呼びかけた。
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日々耐えがたい騒音
 稲敷市 Nさんの陳述

 私は茨城県に住む77歳で先代から農家を営んでいます。
 私たちの地域の上空で、成田空港のA滑走路とB滑走路に離着陸する飛行機が旋回します。北側に百里基地の空域があるためです()。上空の旋回飛行時は、エンジン音と尾翼の操作のギギーという高い金属音が広範囲にとどろき、耐えがたい騒音が早朝から深夜まで続きます。
 12年頃からアブラゼミが鳴くような「ジージー」という大きな耳鳴りの症状が出て、うるさく感じています。
 毎日夜11時頃に就寝しようと布団に入っても、夜11時40分頃まで飛行機が飛び、眠りにつけるのは深夜2時前後。朝は6時から飛行機が飛ぶので目が覚めます。毎日が不眠に悩まされ、毎日が体が重く感じるようになっています。6年ほど前に心房細動になり、心臓の手術をし、4年前にがんになり、抗がん剤の治療も行いました。
 一緒に同居していた息子夫婦は「静かな環境で子どもを育てたい」と家を出ていき、時々遊びに来る孫は「戦車みたいな音がする」と言って怖がっています。
 私の家は今の場所に300年も住み続けてきた旧家でしたが、私の代で消滅します。
 成田空港の更なる機能強化策はとんでもないことです。現在の2倍の航空機が、B滑走路の1000㍍延伸下ではより低空を飛行するということです。私の住んでいるところはAとBにはさまれた谷間地区でもB滑走路に近く、南風の時は非常に騒音が高くなります。これ以上低く飛ばれたら住み続ける者はいなくなってしまうでしょう。
 また朝5時から深夜0時30分と飛行時間を2時間半拡大することで睡眠時間が短くなり健康被害が拡大されます。
 近所の友人が自宅の防音工事をしましたが、飛行機の轟音が反響し、以前よりうるさくなって眠るのが困難な状況になったそうです。天井から入ってくる音が防音サッシによって家の中で反響するからでした。その友人は工事翌年、孫と一緒に風呂に入っているときに心筋梗塞で急死しました。心疾患は、騒音による影響を受けやすいので、残念でなりません。
 日本の内陸空港で深夜早朝を飛ばしている空港は成田以外にありません。現状でも、成田空港は深夜まで供用しており住民の睡眠を著しく妨げていますが、さらに深夜便を増便することにより生存を著しく脅かされています。
 機能強化を了承した行政は交付金をもらうためであり、住民が理解したわけではありません。
 夜は低騒音機を飛ばすから2倍の航空機が飛んで騒音は拡がらないとうそっぱちを言っていますが、現実には深夜早朝は貨物便中心で、大型機が飛び低騒音機とは言えません。
 これが空港側のやり方です。説明会では事実でないことがたくさんありました。一企業のため、多くの住民を犠牲にして良いのでしょうか。今地球上では融解が始まろうとしています。地球の氷が溶けたら成田は水没するとの説もあります。
 私たち住民に、生きていく権利はあるはずです。夜だけは静かに寝かせてはいただけないでしょうか。

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