明日も耕す 農業問題の今 種苗法改悪で「輸出強化」 海外ライセンスは農業支配
週刊『三里塚』02頁(1186号02面05)(2026/06/22)
明日も耕す 農業問題の今
種苗法改悪で「輸出強化」
海外ライセンスは農業支配

(写真 高市農政のもとで農家の種が奪われていく)
種苗関連2法案(前号の育苗新法と種苗法改悪案)は、衆議院農林水産委員会で全会一致で政府案を承認、6月19日に衆議院本会議で可決・通過した。断じて許せない。今回は種苗法改悪を取り上げる。
栽培した作物の種子を採りそれをまく「自家採種」や、芽の出た芋を植えて増やしたり株分けやわき芽挿しなど、古来農家にとって当たり前の栽培である「自家増殖」。 これを原則禁止にした2020年の種苗法改悪は、日本の優良な種が盗まれないようにという名目だった。
「優良品種の海外流出を防ぐ」として、様々な種苗の使用禁止規定が設けられた。
いわば海外に対して種苗を閉ざしたのが2020年だ。
だが、閉ざすだけでは、日本の種苗企業の市場規模が小さくなってしまう。だから今度は種苗輸出を強化するために、再び種苗法を改悪しようというのだ。
日本に都合よく
今回の改悪で特徴的なのが種の独占期間の長さだ。現行法での独占期間は25年で、その後はパブリックドメイン、みんなの種になる。
これは世界標準のひとつ、UPOV(植物新品種保護国際同盟)基準の20年より長い。
今回の種苗法改悪ではそれをさらに飛び越えて35年にするというのだ。
だが、流出を防ぐ場合と違って、日本の法律で長期の独占権を掲げたからといって、それだけで海外に力が及ぶわけもない。
そこで登場するのが「戦略的海外ライセンス」というしくみだ。
例えば昨年、小泉前農相は、シャインマスカットをニュージーランドにつくらせるとして山梨県知事と対立した。
ニュージーランドは季節が逆なので、ニュージーランドがつくれるときは、日本がつくれない。日本から出荷できないときのみ生産を認め、海外マーケットの枠を確保しておいてもらう。そして、日本が輸出するときには、それを日本が独占する。
戦略的に相手を選び、日本の種苗を使う海外の生産者には、日本の出荷時期には出荷させないライセンスを結ばせて、日本からの農産物の輸出と種苗輸出を両立させるというのだ。
アジアへの圧力
だが、日本の種を思惑通りに輸出しようとしても、相手国の種苗制度が障害になることもある。実は日本政府は、2007年に「アジア植物品種保護フォーラム」なるものをつくり、アジア諸国に対して種苗制度を変えるように圧力をかけ続けているのだ。
当然にもそれはアジアの農民の権利を奪うものであり、いまアジアの農民の怒りは沸騰している。
長期間にわたって種と農業を支配するしくみをつくり、中国・アジアを侵略し、争闘戦に勝ち抜く。それが今回の種苗法改悪のねらいだ。