国交省、成田拡張に193億円要求 ☆「無利子貸付金」を湯水のように ☆中国侵略戦争へ「基盤整備」狙い
週刊『三里塚』02頁(1192号02面02)(2026/09/28)
国交省、成田拡張に193億円要求
☆「無利子貸付金」を湯水のように
☆中国侵略戦争へ「基盤整備」狙い

(写真 国交省航空局「予算概算要求概要」より)
高市政権は9月4日、27年度一般会計予算の概算要求をまとめた。総額は過去最大の143兆656億円。AI・半導体など戦略17分野への「危機管理投資・成長投資」を骨格に据えた。これは、中国侵略戦争のための「継戦能力」確保、全面的な戦争突入を図るための軍事予算に他ならない。
戦略17分野を対象に設定された「強く豊かな日本」投資枠は12兆1730億円。「日本成長戦略」「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」で打ち出した施策が「青天井」で提示されたのだ。「新しい戦い方」(26年度版防衛白書)という軍民融合で中国侵略戦争を実際に遂行するための転換的飛躍だ。
「高さ日本一」の新管制塔整備も
成田空港の拡張事業総体もこの観点が貫かれている。国交省の成田空港整備の要求額は193億円で、前年度179億円から14億円増額した。このうち100億円は、空港整備勘定からの無利子貸付として計上し、NAAがB滑走路の延伸やC滑走路の新設などを引き続き整備を進める。また、国の事業として「日本一高い」新管制塔の整備や無線施設の移設などを実施するとした。そして検討(推進)事項として、26年7月の「今後の成田空港施設の機能強化に関する検討会」で最終的にとりまとめた旅客・貨物取扱施設などの整備を入れた。
旅客ターミナルを1つに集約する「ワンターミナル化」や「新貨物地区整備」に向けたNAAの新事業の承認と関連インフラ・周辺開発事業推進、国以外の事業は、NAAと地方自治体、鉄道・民間物流会社の分担になるが、それぞれ巨額の補助金が投入されることになる。
今回の概算要求をテコに国会審議、採決と並行して、「国家プロジェクト」の位置づけで空港(および周辺開発)計画もスタートさせる。
以下の大規模な開発・インフラ整備計画が進んでいる。
①アクセス鉄道網の強化。空港付近の複線化・複々線化と新ライナー(都心・羽田直通)構想。成田空港〜押上を結ぶ新たなライナーを導入し、将来的には都営浅草線・京急線経由で品川や羽田空港へ直通させる。 ②物流・産業拠点の形成(エアポートシティ構想)。国際航空物流拠点、グローバル企業向けの巨大物流センター(ディストリビューションセンター)や先進型工場(半導体・医療関連等)の誘致。
③ 周辺自治体のまちづくり・商業都市開発
空港周辺におけるホテル、ビジネスジェット専用施設、国際会議・展示場などの誘致・拡張。
これらの事業は、膨大な資本の投下を必要としており、事業の保障、利益の保証がなければ民間資本の力では計画策定・実施は不可能である。アクセスの改善や周辺開発などは、開港当時からNAAや自治体が切望してきた事柄であるが、50年近くも国からほごにされてきた。それが今、国家プロジェクトとして動き出した。だから「第2の開港」に関連する事業には、採算度外視でいくらでも湯水のように金をつぎ込む、ということだ。
「インフラ整備」という戦争準備
なぜ日帝は喫緊かつ必要不可欠な課題として成田拡張計画を進めているのか。それは安保3文書の改定に向けた「有識者会議」の議論から読み解くことができる。議論は、「国家安保戦略」の全面変更で内容も多岐にわたるが、実際に中国との戦争に勝つための防衛思想・戦略が貫かれ、軍事体系構築、諸政策立案に全力を挙げている。その軸の一つが国家総動員体制の構築だ。自民党の改定への提言(6月8日)は、「平時から『有事があり得ることを前提』とした社会・産業構造の強靱(きょうじん)化」を挙げた。会議の議論の中でも次のことが繰り返されている。
安全保障の強化は単なる「防衛力の強化」にとどまってはならない。戦力は「インフラ整備」「宇宙・航空産業」「インフラ(港湾・空港等)重要拠点」を国の安全保障・抑止力に直結する基盤(デュアルユース=軍民両用)の強化として位置付けなければならない。——
「成田空港」など具体名は出てこないが、「民間空港インフラ等々」とそこで言われていることは成田の存在を抜きに語ることはできない。
提言内容は以下のようにまとめられる。
① 公共インフラの安全保障利用と強靱化。
まず空港・港湾などの公共インフラを、有事や災害時に自衛隊・海上保安庁が円滑に活用できるよう、平時から政府一体で整備・利用基盤を強化すべきとしている。また、供給網の寸断を防ぐための物流インフラ強化を「広義の防衛産業基盤」と位置付ける。
②宇宙・航空・先端技術の「デュアルユース」化。「宇宙戦略基金(1兆円規模)」による商業ロケット・小型衛星コンステレーション開発や「空飛ぶクルマ・次世代航空機」の整備は自衛隊の監視・通信・無人機基盤の国産化・強化に直結する。
③デジタルインフラ・供給網(サプライチェーン)の自律性 。特定重要物資(半導体、航空機部素材、クラウド等)の国内生産能力の拡張とインフラ整備を要請。成田空港周辺の国際物流拠点(エアポートシティ構想・半導体等の大規模保税整備)の推進は、「日本単独および同盟国間でのサプライチェーンの断絶を防ぐ」という有識者会議の基本理念と一致している。
日帝ブルジョアジーはこれまで空港建設を経済施策や国土整備として表向きでは扱ってきた。中国侵略戦争突入情勢の中、国家レベルの地域開発事業として「巨大空港建設」の真の目的を「有事など安全保障上の重要基盤(総合的国力)」としてむきだしにしたのだ。
反対同盟の「軍事空港粉砕」の正しさが、全人民を獲得する情勢が来た。
「国益」「国家プロジェクト」のうそと欺まんを暴き、新たな強制収用策動を粉砕しよう。
(大戸剛)