International Lavor Movement 2009/10/01(No.398 p48)

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2009/10/01発行 No.398

定価 315円(本体価格300円+税)

第398号の目次
 

表紙の画像

表紙の写真 サンフランシスコゼネスト75周年のデモ(7月5日)

■羅針盤 大恐慌と自民党崩壊を革命へ 記事を読む
■News&Review 韓国
  77日間の双龍車階級戦争に勝利
  権力と白兵戦を闘い工場占拠ストを貫徹
記事を読む
■News&Review ヨーロッパ
  新自由主義攻撃に反撃する英労働者
  ストライキと工場占拠で決起
記事を読む
■News&Review イラク・アフガニスタン
  イラク・アフガン戦争で崩壊する米軍
  PTSD、TBIで苦しむ従軍・退役兵士
記事を読む
■特集
  サンフランシスコ国際会議の画期性
記事を読む
■討議資料
  サンフランシスコ国際会議の発言
記事を読む
Photo News 記事を読む
■世界経済の焦点 日本財政は破綻に直面
  拡大する赤字/累積債務はGDPの1・7倍に
記事を読む
■世界の労働組合 チームスターズ(全米運輸労働組合) 記事を読む
■国際労働運動の暦 10月23日 記事を読む
■日誌 2009年7月 記事を読む
■編集後記 記事を読む
裏表紙の写真 NEA(全米教育協会)の大会(7月3日)

月刊『国際労働運動』(398号1-1)(2009/10/01)

羅針盤

■羅針盤 大恐慌と自民党崩壊を革命へ

▼東京・関西・東北の革共同政治集会の歴史的成功、青年労働者や学生の若々しい息吹の爆発は、8月広島・長崎反戦反核闘争と8・15闘争に引き継がれ、階級闘争の大地を根底から塗り替えようとしている。7月都議選の結果が突き出した自民党支配の歴史的崩壊は、労働者階級の怒りの爆発が生み出したものであり、その大動乱情勢は、8・30総選挙の過程により大規模に引き継がれようとしている。民主党が政権を取っても危機と大動乱の情勢はいよいよ激化する。問われているのは、歴史的生命力の尽きた資本主義体制の救済ではなく革命だ。総選挙情勢と全面対決し、労働者の階級的力で自民党を打倒しよう。
▼11月1万人決起の実現にこそ、日本革命の展望がかかっている。8月21〜22日の国労大会(伊東)、25日〜28日の自治労大会(熊本)をめぐる決戦攻防を全力で勝ち抜き、また8月21日の動労水戸の第2波ストを貫徹した労働者の力こそが、11・1労働者集会1万人大結集を組織し、可能とする力である。
▼『前進』夏季特別号で真正面からはっきりさせたように、「世界大恐慌と自民党支配の崩壊をプロレタリア革命へ」のスローガンと路線のもとに、労働者の下からの、職場・生産点からの総決起をかちとることこそが決定的だ。労働者階級人民の怒りを根底から解き放ち、革命勝利を開く唯一の道は、裏切りと転向を深める体制内指導部と闘い、11・1労働者集会に文字どおり1万人を集めきることだ。「マニフェスト論争」や議会主義的幻想一色の総選挙情勢を突き破り、国鉄・三里塚決戦で、1047名解雇撤回・三里塚農地死守・国際連帯で、10・11三里塚と11・1日比谷野音へ驀進しよう。

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月刊『国際労働運動』(398号2-1)(2009/10/01)

News&Reviw

■News&Review 韓国

 77日間の双龍車階級戦争に勝利

 権力と白兵戦を闘い工場占拠ストを貫徹

 

 

(写真左 8月5日、警察特攻隊がコンテナから屋上に投入され白兵戦に)
  (写真右 労組は塗装2工場に退却し「最後まで戦おう」と決死抗戦を決意【8月5日】)

 韓国・民主労総全国金属労組双龍(サンヨン)自動車支部は8月6日、資本と李明博(イミョンバク)政権との壮絶な死闘戦に勝利し、労資合意に至った。それは5月22日に整理解雇撤回・総雇用確保を要求し、平沢(ピョンテク)工場占拠の無期限ストに突入して以来、77日目のことだった。
 最後までハンサンギュン支部長のもと組合員の団結を守り抜き、大恐慌下の大失業攻撃と闘う労働者階級の真骨頂を示した闘いだった。サンヨン闘争が指し示した革命の現実性に世界のブルジョアジーは根底から震え上がった。
 この一点で偉大な勝利を歴史に刻んだサンヨン工場占拠ストは、世界の労働者を鼓舞激励し、サンヨンに続く決起を生み出している。

 □「死ぬ覚悟で戦う」

 7月20日に始まった強制執行は日に日に激化し、警察部隊と呼応した会社役職員らからなる救社隊、暴力ガードマンらの殺人攻撃に対し、サンヨン支部労働者の決死の抗戦が続いた。その攻防渦中、5月から中断されたままだった労資交渉が30日、平沢工場内に「平和区域」を設けて始まった。徹夜で続けられた交渉は8月2日、資本側の決裂宣言で幕を閉じた。
 実は交渉中の31日からイミョンバク政権と資本の意を受けて警察の塗装工場鎮圧作戦が準備されていたのだ。水道・ガス、消火栓に加えて電気も止められた。大型ハシゴ車など特殊重機も投入され、警察特攻隊を含む400人が塗装工場に隣接する工場屋上へと突撃した!
 労組は、「理性を失った弾圧と暴力的侵攻を強力に弾劾する。塗装工場は火薬庫に違わない。20万g余りの引火性物質がぎっしり埋まっている。私たちは死ぬことを覚悟して最後まで戦う。大惨事が発生したならば、すべての責任はイミョンバク政権にある」と宣言した(8月4日)。
 5日朝、警察特攻隊が乗ったコンテナを大型クレーンでつり下げ、200人余りの兵力を組み立て3・4工場の屋上に投入した。組合員らは火炎瓶を投げ、パチンコで徹底抗戦をしたが、負傷者、連行者続出、組合員3人が屋上から墜落し、重傷を負った。
 この攻防で労組は最後の砦である塗装2工場に退却した。
 ハンサンギュン支部長は、「すべては政府と使用側の強硬姿勢のために労組が戦わなければならなくなった。損賠仮差し押さえ、刑事処罰などすべての責任を支部長が負う」と決意を語り、「私を信じて最後まで工場を守ろう」と訴えた。支部長の決意に組合員ら全員が「トゥジェン(闘争)!」で応じた。
 背水の陣で迎えた6日正午すぎ、サンヨン資本のパクヨンテ共同法定管理人とハンサンギュン支部長の1対1交渉が始まり、合意が成立した。資本が6月8日付で整理解雇した976人中、籠城中の組合員を対象に無給休職、営業職転職、分社、希望退職などの方法で非常人材運用を実施し、なお構造調整が避けられない場合、無給休職と営業職転職48%、希望退職と分社52%の比率を基準とするという合意内容だった。
 労組は決意大会を開いて合意内容を報告し、組合員の同意を確認した。
 5月13日から高さ70bの煙突上で高空籠城していた組合員も86日目に地上に降りた。
(写真 労資合意を組合員に報告・確認を得た後、全組合員と抱き合うハンサンギュン支部長ら【8月6日】)

 □11・1集会1万人結集へ

 確かに整理解雇撤回がかちとれなかったことは悔しい。しかし、大恐慌下の凶暴な新自由主義攻撃と一歩も引かずに戦いぬいた組合員らの顔は自信に満ちている。塗装工場から正門へ、ともに77日間を戦った家族たちとの再会も感動的だった。新たな時代がサンヨンから世界に広がったのだ。
 サンヨン支部の戦いは続いている。6日連行された42人のうちハンサンギュン支部長を始め38人が拘束された。これでサンヨンストでの拘束者は、単一争議では最多の64人となった。また、会社側は8月8日、整理解雇対象者ではなかったがストライキに参加した「被解雇労組員」など94人に「休業」を発令した。
 8月7日には警察が民主労総と金属労組、サンヨン支部執行部などを相手に総計5億4800万ウォンの損害賠償請求訴訟を提訴した。さらに検察当局は平沢工場の労組事務室から理念書70冊を発見したと発表、国家保安法弾圧が狙われている。粉砕あるのみだ。
 今や「サンヨンに続こう!」が大失業攻撃と闘う世界の労働者階級の合言葉となった。11・1労働者集会1万人結集こそ、サンヨン支部の決死の戦いに応える道だ。階級情勢を塗り替える11月へ突撃しよう!
 (室田順子)
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 獄中のハンサンギュン支部長からのアピール

 “もう一度団結しよう!”


◇黙黙と現場を守り、ひたすら懸命に働いてきた組合員たち……

彼らが“解雇するな!
解雇は殺人だ!”と怒りをもって始めた「双龍自動車77日闘争」。その過程で体験しなければならなかった、世の中のどんな言葉でも表現できない闘争の痛手……
そもそもの誤りは海外売却を間違って推進した政府にありました。また、上海自動車は産業銀行と結んだ特別協定を破棄し、双龍自動車の独自開発能力を無差別に強奪しました。 そしてこの国の政府と国民に話した1兆2000億ウォン投資の約束を守らなかったのです。 そもそもの誤りは海外売却を間違って推進した政府にありました。また、上海自動車は産業銀行と結んだ特別協定を破棄し、双龍自動車の独自開発能力を無差別に強奪しました。 そしてこの国の政府と国民に話した1兆2000億ウォン投資の約束を守らなかったのです。

(写真 今は獄中にいる全国金属産業労働組合双龍自動車支部ハンサンギュン支部長)

◇4年間、新車一つなく生存してきた双龍自動車!

上海自動車資本は、食い逃げ資本のやり方をそのまま踏襲し、双龍車労働者と国民をもてあそんで自ら法定管理を申請した後、会社を投げ出してしまいました。
われわれ双龍車支部は会社が厳しいのがよく分かりました。それで危機をともに克服しようと、一緒に生きようと叫びました。引き続き代案を提示したし国民と政府にも訴えました。
使用側は根拠もなく論理にも合わないサムスンKPMGとサミル会計法人の双龍車再建策を唯一の解決法のように押し通すだけでした。おそらく、彼らが整理解雇以上の他の代案を出すこともせず、われわれの提案を無視したのは、初めから売却だけを念頭に置いたためだったでしょう。
彼らは賃金労働者に生命と同じ雇用を差し出せと言いました。2646人にとっては、いっそ死ねと言うことにほかなりませんでした。それで全組合員がゼネストを決意し、死ぬことを覚悟した闘争を始めました。  彼らは賃金労働者に生命と同じ雇用を差し出せと言いました。2646人にとっては、いっそ死ねと言うことにほかなりませんでした。それで全組合員がゼネストを決意し、死ぬことを覚悟した闘争を始めました。 
使用側は希望退職を強要したし、生き残った者たちにストライキ隊列から離脱するようそそのかしました。それでも最後の名簿が発送されるまでは一緒に生きようと決意した同志たちでした。
結局、整理解雇名簿は黙々と働いてきた労働者たちを、弱気な労働者と必死に戦うという決意を継続する戦士たちに分断してしまいました。400から600、800、1300に増えたストライキ隊列は病人の離脱、懐柔脅迫、不安、連行などで減り続けました。  結局、整理解雇名簿は黙々と働いてきた労働者たちを、弱気な労働者と必死に戦うという決意を継続する戦士たちに分断してしまいました。400から600、800、1300に増えたストライキ隊列は病人の離脱、懐柔脅迫、不安、連行などで減り続けました。 
しかし決死抗戦を決意した決死隊の組合員たちは指導部の信念を確認しながら、どんな襲撃があっても現場を死守し、整理解雇を撤回させる信念を固めていました。自らストライキ防具を作って、戦術を編み出して、1日2〜3時間の睡眠と数十回の強烈な催涙液の乱射などの弾圧を耐え抜きました。
支部長の私自身も解雇が殺人だと怒ったわが組合員たちがこんなにまで戦えるとは想像さえできませんでした。最後まで工場を死守しぬいた同志たちは闘士ではなく英雄でした。77闘争戦士でした。
公権力の殺人的鎮圧作戦、野蛮で非人道的な食料・電気・水道・ガス・医療の遮断のために限界点はありました。最後まで抗戦できなかった責任は痛感します。生きようと始めた闘争が鎮圧作戦に伴う事故で終わり、惨事につながることを望まなかったのです。生産施設が全焼するのを望まなかった。それで大妥協という選択をしました。
今でも夢遊病患者のように寝ながらもガバッと起きることが続いています。ヘリコプターの音、戦闘警察らの奇声、使用側の宣伝啓蒙放送が耳元から消えません。若くして先に天国に逝った6人の魂が脳裏に胸に消えないままでいます。  今でも夢遊病患者のように寝ながらもガバッと起きることが続いています。ヘリコプターの音、戦闘警察らの奇声、使用側の宣伝啓蒙放送が耳元から消えません。若くして先に天国に逝った6人の魂が脳裏に胸に消えないままでいます。 
「支部長さん、動揺しないでください。組合員を信じてください」と言った同志たちの絶叫が離れません。

◇病床で苦しんでいる同志たちよ!  ◇病床で苦しんでいる同志たちよ!

拘束され、絶望して嘆いている同志たちよ!
生きていても労働者としての言葉を語ることができなくて、胸を痛めている同志たちよ!

管理者の出席強要とチェックのためにやむをえず救社隊に参加したが、胸には変わらぬ労働者の血がたぎっている同志たちよ!
希望退職で現場を離れたが、絶望的な選択であったことをすでに確認して苦しんでいる同志たちよ!
すべてがこの国で生きていくすべての労働者の痛みです。
うまくいっている時は卓越した経営能力のおかげだと言い、危機が迫ってくればすべての責任を労働者が被らなければならない世の中! すさまじかった双龍自動車の77日間の闘争を終えて、相変らずわれわれ全労働者に与えられた課題は、まさに団結、もう一度団結する道だけです。
団結しようという私の呼び掛けがむなしい叫びではないことを願っています。双龍車支部長のささやかな希望として、この要求を提出します。
その間、一緒に闘ってくださった韓国全土のすべての労働者たちに熱い同志愛を伝えて、連帯の精神で今後もともに闘うという誓いと約束を双龍自動車の全労働者の名でささげます。
ハンサンギュン

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月刊『国際労働運動』(398号2-2)(2009/10/01)

News&Reviw

■News&Review ヨーロッパ

 新自由主義攻撃に反撃する英労働者

 ストライキと工場占拠で決起

 大恐慌下、民営化と闘う英郵便労働者

 波状ストへの突入

 イギリス郵便労働者は、世界大恐慌に立ち向かい、民営化反対の数波にわたる闘争を、体制内労働組合の壁と激突しつつ、粘り強く闘い続けている。
 6月19日、ロンドン全域とスコットランドの一部地区の郵便労働者が、2日間のストを闘った。スト権投票は、91%という高率だった。
 7月17日の“全国統一行動”では、1万2千人がストを闘った。
 8月7日、2万5千人の郵便労働者が、一連の24時間郵便ストの一環として、ストを行った。
 8月12日には、ロンドンの数千の郵便労働者が24時間ストを行った。全国的には参加者は、1万2千人で、郵便物の集配にまる一日中影響が出た。
(写真 ストライキ中にデモをする郵便労働者【7月20日】)

 体制内指導部への怒り

 こうした数波におよぶ英郵便労働者のストライキは、ロイヤルメール(郵便公社・郵便部門)が計画している「部分的民営化」計画と、その先取りとして、現在郵便事業現場に襲いかかっている当局・資本の攻撃に対する怒り、そしてこうした闘いを抑えつけようとしている体制内労働組合指導部への怒りの爆発である。
 現在、労働党政府は、野党である保守党の支持のもとに郵便事業の民営化、さしあたりは、ロイヤルメール(郵便部門)の30%を民間会社に売却する計画を強行しようとしている。しかし、現在の世界大恐慌情勢のなかで、なかなか、買い手がみつからない状況だ。このなかで、イギリスの郵便労働者を組織するCWU(通信労働組合)は、民営化計画は、“ロイヤルメールとCWU合作による近代化プラン”として遂行されるべきだ、などと称して基本的に賛成し(2007年の労資協定)、現在、買い手の民間企業が見つからないのは、ロイヤルメールの“近代化プラン”推進の努力が足りないからだ、などと“批判”している有様である。
 しかし、郵便労働者の職場では、民営化を待たずに、休憩時間を認めない勤務計画、時間外労働の強制など、協約違反の数々の労働強化が襲いかかっている。組合の会議では、一年に46時間にのぼる超過勤務、年収が6千ポンド(約93万円)減収した例、強制配転が日常となり、労働条件が日々悪化している例などが、怒りをもって報告されている。
 民営化計画の核心には、30〜40%におよぶ首切りとならんで、膨大な赤字をかかえる年金制度の問題がある。ロイヤルメール関係者は、「年金制度の廃止」を公言している。ところが、CWU本部は「今のようなガタガタの経済の状況では、年金要求はできない。近代化が先だ」などと主張し、ロイヤルメールの年金攻撃を容認している。こうしたなかでマスコミは、「レーガン・サッチャーの勇気に見習え」などとあおっている。

 決起する現場労働者

 郵便労働者は、こうした現実に対し、波状ストで闘っているが、その闘いの最大の妨害者はCWU(通信労働組合)そのものである。現場労働者は、全国ストを求め、そのためのスト権投票の実施を要求する声が400から500の支部から本部に殺到していた。しかしCWU本部は、これを執拗に無視し、絶対に全国統一ストの指令は出さず、各支部のストライキを分断し、無力化し、労働党政府およびブルジョアジーとの激突を必死になって避けようと、全力をあげているのである。
 7月17日のCWU全国集会では、本部への怒りが爆発し、ある代議員は、「私は、公認だろうと非公認だろうと、ストはやるつもりだ。それに、闘う鉄道労働者、地下鉄労働者との最大限の団結をかちとるべきだと思う」と発言した。さらには、「労働党と絶縁せよ」という動議さえ提出される〔討論はされなかったが〕まで、政府・体制内労働組合への現場労働者の怒りは高まっている。

 英・ベスタス工場の労働者が工場占拠

 双龍闘争に呼応し

 韓国双龍労働者の77日間の工場占拠、権力との死闘が、全世界の労働者をふるいたたせている時に、イギリスでも世界大恐慌に真っ向から立ち向かう労働者の階級的闘いが、工場占拠闘争として爆発している。
 イングランド南部のワイト島にあるベスタス風力発電機製造工場(デンマーク資本)の労働者が、工場閉鎖と600人の首切りに反対して、7月20日から8月7日までの18日間、工場占拠の闘いに決起した。占拠後、ただちに工場を包囲した機動隊と会社側の暴力部隊に対抗し、工場の門前に、占拠労働者の防衛・連帯のピケが張られ、支援団体のテント村が作られた。
 この報に、ロンドンを始め、全英各地で「工場占拠、断固支持」のデモや集会が爆発的に展開された。占拠中、韓国サンヨン労働者との間で連帯のメッセージが交換されている。
 工場占拠闘争は、裁判所の退去命令によっていったんは終息した。しかし彼らは、この間かけられた会社側の報復的解雇攻撃をものともせず、「意義のある工場占拠だった」「闘いは、これで第一段階から第二段階に移る」「必要なら、工場占拠を何回でも、どこででもやる」「家族との再会をはたし、今夜の決起集会には、断固参加し、闘争継続を訴える」と、数百人の組合員、支援者を前に、意気軒高と述べている。
(写真 ベスタスの工場を占拠した労働者)

 工場閉鎖、首切りへの反撃

 この工場の資本=ベスタス社は、風力発電機製造の世界最大手であり、ワイト島の工場は、イギリスで唯一の風力発電機製造工場である。ベスタス社は、ワイト島工場閉鎖の理由として、イギリスには風力発電機の有力な市場がない、イギリス政府は風力発電に積極的ではない、などとして、アメリカのマサチューセッツ州に巨大な風力発電基地の建設を決めている。
 闘争は、7月20日、突然、工場閉鎖と首切りの通告を受けた525人のベスタス労働者によって開始された。30人近い労働者が、会社の事務室を占拠し、バリケードを築いて、工場占拠に突入した。彼らのかかげた要求は、工場閉鎖反対・首切り反対、風力発電機製造工場を国有化せよである。工場を包囲した機動隊と会社側の暴力部隊の壁を破って、占拠に合流しようとした5人の労働者が逮捕された。占拠中の労働者を防衛するために、工場の前では、連日、200人規模のピケやデモや集会が行われ、環境団体などの支援グループがキャンプを設営した。
 会社側は、工場占拠の当初、占拠労働者への食料供給を一切遮断し、糧道を断つ作戦を強行したが、世論の怒りにおされてピザの差し入れを余儀なくされた。しかし、そのピザの包装紙の中に、「占拠中の労働者は、即時解雇、退職金なし」という一方的通告の文書を挿入するなどという卑劣な手段を用い、労働者の怒りをいっそう爆発させることになった。

 連帯闘争の爆発

 ベスタス工場の労組(RMT=鉄道・運輸・海運労組加盟)が全国の労働者にむけて発した支援・連帯を求める呼びかけにこたえて、7月22日、ロンドンでは、エネルギー環境省に対して、ベスタス工場閉鎖反対と国家による救済措置を要求するデモが「ベスタス労働者の工場占拠闘争に勝利を!」というプラカードをかかげて行われた。このロンドンの闘いを先頭に、工場閉鎖に対して抗議し、工場占拠を支持する大衆的デモが、リバプール・マンチェスター・ブリストルなど全国各地で、波状的に行われていった。ベスタス労働者支援・連帯のホームページが開かれ、激励のメールとカンパが集中、数日間のうちに、この工場占拠闘争は、全イギリス的闘争となった。
 緑の党などは、この闘争が風力発電というクリーン・エネルギーを守るために貢献しているということを支援の理由にしているが、イギリス各地の労働者は、恐慌下の工場閉鎖、首切りに反対する工場占拠だという点で感動し、連帯行動に立ち上がっているのだ。

 追い詰められる会社側

 会社側は労働者に対し、占拠開始から3日目の22日、10時30分までに退去せよ、という通告を行い、解雇の脅迫に加えて、建造物侵入罪で告訴するぞ、という恫喝を加えてきた。しかし占拠中の労働者はこれらを無視し、断固として占拠を続けた。
 7月28日、ロンドンのエネルギー環境省に対する第2波デモが行われた。多くの組合の動員に加えて、環境団体などの支援グループが参加した。
 会社は、こうした状況のなかで、予定の7月31日に工場を閉鎖することができなかった。組合(RMT)本部は、次のようなメッセージを発した。
 「ワイト島ベスタス風力発電機製造工場の占拠闘争は、本日(7月31日)、決定的な地平を切り開いた。ベスタス工場の労働者は、工場閉鎖予定日を工場占拠の継続で吹き飛ばし、会社は本日朝、交渉の無期延期を通知せざるをえなくなった。これは巨大な勝利である」
 8月1日には、ワイト島のニューポート市の中心地で、ベスタス労働者の工場占拠を支持する大デモが行われた。
 8月5日、会社側の要請を受けて、裁判所が工場占拠に対して退去命令を発した。これに抗議して、ベスタス社の港湾地帯作業所の屋上占拠が行われた。これを行ったのは、RMTの組合員と環境団体の活動家の5人で、テントを張り、十分な食料をもちこんで、抗議の篭城を開始した。
 8月7日、裁判所の退去命令をもった執行吏と守衛がベスタス工場に入った。占拠中の6人はいったん工場を出た。彼らは、工場前にピケをはっていた数百人の組合の仲間、支援者、家族に喝采をもって迎えられた。途中まで占拠に参加していた5人とあわせて、11人のベスタス労働者は、会社から退職金なしの解雇処分を受けた。会社側は、工場占拠を建造物侵入だと言っているが、これらの労働者を告訴するかどうかは、未定である。
 8月中旬、9月初旬に、ベスタス闘争支援全国行動日が設定されている。会社側との折衝は、継続中と見られる。

 工場占拠闘争の拡大

 工場占拠闘争は、一方的な通告で、労働者の職を奪い、生活を破壊しようとする資本の横暴に対し、労働者が、労働者としての誇りをかけて団結して決起し、階級としての自信を回復・獲得する闘争として、また体制内労働運動の壁を突き破る闘いとして、まさに大恐慌のもとで、文字通り職場から、職場において、戦闘的大衆的に闘われ、中南米諸国からアメリカへ、韓国へ、そして全ヨーロッパに拡大している。30年代にアメリカで行われた工場占拠闘争を再現するような闘いが発展しつつある。闘争の直接の帰結は、現在の段階では、工場閉鎖をのまざるをえず、一定の退職金の獲得に終わるにしても、いったん現場労働者が、自分たちの職場を闘いの砦として、資本に対する強力な武器としてつかみとり、階級的力を敵味方に見せ付けるということは、かぎりなく偉大な経験として、全労働者階級に獲得されていくのだ。
 (川武信夫)

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月刊『国際労働運動』(398号2-3)(2009/10/01)

News&Reviw

■News&Review イラク・アフガニスタン

 イラク・アフガン戦争で崩壊する米軍

 PTSD、TBIで苦しむ従軍・退役兵士

 □「剣の一撃」作戦

 アフガニスタンの大統領選挙は8月20日に投票が行われ、即日開票が始まった。米軍などの厳戒態勢を突破して、大統領選に反対するタリバンの攻撃が全土で135件を超え、死者は50人を超えた。
 タリバン側の攻撃で有権者の出足が鈍り、投票率は40〜50%と、前回の70%より大幅に下がると見られている。選挙の大勢は、現職のカルザイ大統領が優勢とされるが、カルザイが過半数に達しない場合、初の決選投票となる可能性がある。   タリバン側の攻撃で有権者の出足が鈍り、投票率は40〜50%と、前回の70%より大幅に下がると見られている。選挙の大勢は、現職のカルザイ大統領が優勢とされるが、カルザイが過半数に達しない場合、初の決選投票となる可能性がある。 
 アフガニスタン侵略戦争における戦略的敗勢を打開するために、オバマは3万人の増派を決定し、侵略戦争を拡大している。最大の課題が8月大統領選挙だった。そのため7月初めから米軍はアフガニスタン南部ヘルマンド州に4000人の海兵隊を投入し「剣の一撃」作戦を開始した。海兵隊の作戦としては「04年イラク・ファルージャ掃討作戦以来の規模」だ。
 しかしアフガニスタンの戦況は、今年1月から5月までの反米武装勢力による攻撃が昨年同期の1・6倍に急増している。7月20日時点で、7月の米兵の死者も30人に達し過去最悪を更新中だ。
  第2章 □崩壊状態に陥った米軍

 □崩壊状態に陥った米軍

 01年10月のアフガニスタン侵略戦争開戦から8年、03年3月のイラク侵略戦争開戦から6年半、長期泥沼の侵略戦争の中で、米軍兵士の現状はどうなっているのか。
 ハイテク装備でハイテクに頼った米軍がゲリラ戦に敗北し、軍の再武装・再建を図っている。しかしイラク・アフガニスタンの両戦争に従軍した183万人のうちPTSD(心的外傷性後ストレス障害)、TBI(外傷性脳損傷)を発症する兵士が30万〜50万人規模で出ている。「経済徴兵制」を強化し、「グリーンカード」兵を集め、訓練不足の州兵や高年齢兵まで前線に繰り出して侵略戦争をやっと維持している状態だ。PTSDとTBIに罹患した帰還兵にはまともな治療も施されていない。帰還兵の4人に1人がホームレスとの報告もある。パウエル元国務長官も軍の状態を「ほとんど破綻している」と崩壊状態にあることを認めている。
 世界大恐慌に直撃され、米経済はドル暴落の危機にある。核戦力を要とする巨大な軍産複合体を支えた米国家財政は破産寸前だ。米軍全体がかつてない組織的な危機にある。
 その最大の危機がイラク・アフガニスタン侵略戦争における現地軍の崩壊的危機であり、軍の崩壊を引き金としてアメリカ社会全体の危機が深まっている。世界大恐慌、戦争と大失業に対するアメリカ労働者階級の闘いが激化している。7月に開かれたサンフランシスコの国際会議は労働者の国際的団結と戦闘的労働組合の世界的な新潮流の展望を示し、イラク・アフガニスタン侵略戦争に対する労働者階級の闘いの方向も打ち出した。イラク・アフガニスタン侵略戦争は米帝の墓場になるということだ。
 以下、具体的にその実態を見ていこう。

 □TBI罹患は18〜36万人

 7月23日の毎日新聞は「脳損傷52%に急増、イラク・アフガニスタン負傷兵」という記事を掲載した。
 イラク開戦直前の03年1月から、イラクやアフガニスタンで重傷を負い、米軍最大の医療施設ウォルター・リード陸軍病院で治療を受けた米兵の52%が外傷性脳損傷(TBI)と診断されていることが同病院脳損傷センターの調べで分かった。昨年末時点では33%で、TBIと診断される帰還兵の割合が半年間で急増したことが明らかになった。TBIは、武装解放勢力によるIED(路肩爆弾)攻撃によるダメージがもたらす。
 TBIと診断される帰還兵の9割以上が、頭部に目に見える外傷のないタイプという。米国防総省は今年3月、両地域に派遣された米兵183万人のうち最終的に1〜2割(18万〜36万)がTBIを発症すると推計していた。
 このとてつもない数字は、いかに米軍が反米民族解放勢力の激しいIEDなどの攻撃にさらされているかを示す。

 □IED(即席爆発装置)

 イラク・アフガニスタン駐留のアメリカ軍の戦死者の大半がIEDによるものだ。あり合わせの爆発物と起爆装置等で作られた、簡易手製爆弾の総称。道路脇などに仕掛けられたIEDを一般に路肩爆弾と呼んでいる。材料は砲弾や地雷などで、携帯電話などで起爆させる。
 また、被害は単に殺傷や車両の破壊に留まらず、爆風による衝撃波が原因で、外傷がないにもかかわらず脳幹に損傷を受け、記憶障害やめまい、頭痛、集中力低下などの症状を呈する外傷性脳損傷(TBI)が引き起こされる。
(写真 タリバン掃討の「剣の一撃」作戦のために輸送ヘリコプターを待つ米兵【7月2日】)

 □PTSD罹患は30万人

 08年4月17日、ランド研究所が、イラク・アフガニスタン侵略戦争の帰還兵約30万人が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に罹患していると発表した。TBIについても罹患している帰還兵は32万人と推定している。
 報告は、PTSDの症状を示す帰還兵のうち過去1年間に治療を求めたのは53%、TBIの可能性のある帰還兵は57%が専門の医師の診断を受けていないとしている。
 PTSDとは人が戦争などの日常体験する範囲を越えた非常に強いストレスとなる出来事に直面したことによる障害のことで、この外傷体験(トラウマ)が長時間持続する症状をいう。

 □倍増した陸軍の自殺率

 08年米陸軍の自殺率(10万人当たり自殺者数)は20・2人で02年(イラク戦争前)の9・8人から倍増した。これについて湾岸戦争当時軍医であったデビッド・ラッド教授は次のように語っている。
「兵士の自殺率急増の背景には、今回の戦争特有の状況がある。まず、戦闘そのものの強いストレスだ。兵士は常に武装勢力の仕掛けるIEDの恐怖にさらされ、緊張状態を強いられている。イラクとアフガンの2正面戦争は6年にも及び、兵士の従軍期間がかつてないほど長期化している。ベトナム戦争時代よりも精神的な疾患を抱える兵士が多いとされるのはこのためだ」

 □イラク米軍基地内の銃乱射事件

 5月11日、マレン米統合参謀本部議長が記者会見し、バクダッドの米軍基地内カウンセリング施設で米軍兵士が銃を乱射し、他の米兵5人を射殺した事件で「兵士の複数回配備の問題が問われている」と語った。
 事件を起こしたジョン・ラッセル兵士は44歳、イラクへの従軍は3回目だった。事件の背景には、兵員不足による派遣ローテーションの過密化、ストップロス(兵役が満期になっても除隊を認めず、継続して戦場に派遣し続ける米軍の制度)の適用、さらに州兵や予備役の動員による前線配備(これまで50万人の州兵や予備役が派兵され部隊の戦力の3割を占めるようになった。平均年齢が高く、訓練不足のこうした兵士に米軍は頼っている)の実態がある。

 □急増する脱走兵

 米軍の脱走兵が急増している。脱走兵の数は06年が3301人、07年が4698人となっている。
 米兵の脱走情報が日本政府を通じて地元自治体に開示されるようになったのは、08年3月横須賀市で米海軍のイージス艦「カウペンス」乗組員で脱走中のウグボグ一等水兵がタクシー運転手を刺殺した事件がきっかけとなった。ウグボグ一等水兵は米国市民権取得のために志願したナイジェリア国籍のグリーンカード(グリーンカードとは米国永住権を持つが市民権を持たない)兵だった。
 米軍内には同じようなグリーンカード兵が急増している。米国では永住権(グリーンカード)さえあれば外国籍でも米軍入隊が可能で、現在約6万8000人に上る。急増のきっかけは02年7月のブッシュ大統領の、永住権を持つ移民が軍務に就けば速やかに市民権を与えるとの発表。軍に志願すると3年程度で米国籍となる市民権の取得が可能となる。進学時の奨学金や医療費控除などの特典も多く、メキシコなどの中南米系やフィリピンなどの若者が目立つという。

 □経済徴兵制

 「大学に入るには軍に入るしかない」などの理由で、軍に兵卒で入る若者のほとんどが貧困層で、「経済徴兵制」と言われる。
 「落ちこぼれゼロ法」で、高校生の進路指導を充実させるという名目のもと、「公教育機関は軍との協力関係を築く」という条項が盛り込まれ、学校は本人か保護者が拒否しない限り、生徒の名前、住所、電話番号などを提供しなければならなくなった。ロサンゼルスのセオドア・ルーズベルト高はヒスパニック系移民の急増で生徒数5400人と全米で一、二を争う大規模校になった。
 イラクの泥沼化で兵員不足に悩む米軍は、このような学校を新兵勧誘の「標的」にしている。貧困家庭が多いからだ。軍が危険な存在と分かっていても「子どもがとにかく職を得る」ことや永住権を得ることを歓迎する親も少なくない。
 ここでアーリーン・イノウエさんが始めた「募兵官の新兵勧誘を阻止する運動」は反戦・反軍運動として力強く展開している。

 □米軍兵士の実態

▼米陸軍兵ティモシー・シャーマンさん(当時23歳)は、07年秋、イラク再従軍を命じられ、州基地での週末の事前訓練とPTSD治療のために病院に通うなか、08年3月ひとり住まいの自宅アパートで首をつって死んでいるのが発見された。
 彼は、イラクでIED(即席爆発装置)攻撃を受け、帰還後、TBIとPTSDと診断されていた。しかし再従軍命令に従わなければ奨学金を失う。死の2カ月前にも自殺を図り未遂に終わっていた。
▼米陸軍兵士ダニエル・アルバーさんは、06年12月、イラク従軍から帰国した。戦場ではIED攻撃を5回受け、帰国後、爆風の衝撃でTBIと診断された。激しい頭痛とめまい。睡眠薬や精神安定剤の処方を求めたが治らない。除隊を決意し、その日が翌月に迫った07年10月、突如再従軍を命ぜられた。
 米軍には「国防上必要」と認められる場合には兵士に除隊の延期を命じることが出来る。イラク戦争長期化による兵員不足が原因だ。拒否すれば懲戒除隊として扱われ、奨学金や医療保険、住宅ローンの融資を受ける権利も奪われる。彼は「これまでやってきたことが無駄になってしまう」と同年11月、命令に従ってイラクに戻った。
▼元米海兵隊員テリー・ボイドさん(29歳)。
 軍の奨学金をもらうためにアフガニスタン・イラク両戦争に従軍した。IED攻撃を受けて帰国後、頭痛やめまいに悩まされた。地元イリノイ州の退役軍人省病院に行ったが、患者が多く、初診まで3カ月待たされた。診察は3分間の問診で「TBIでもPTSDでもない」と言われた。自分で買った薬を飲みながら大学に通ったがうつ状態がひどくなり自殺を考えた。
▼元陸軍女性州兵アマンダ・テイラーさん(25歳)。
 「違う世界を見てみたいと思い」高校時代に州兵に登録。イラクで1年間、刑務所の看守などをしたが、襲撃されるのではないかといつも緊張していた。帰国後、PTSDと診断された。勉強しなければと思うが気力が続かない。帰国して以来、自分が昔の自分とまるで変わってしまったと感じる。
▼元陸軍兵士ブライアン・テイラーさん(28歳)。
 03年からイラクに従軍し、途中で除隊を希望したが軍に延期を求められ、延べ6年間駐留した。危険な状況を何度もくぐり抜け責任ある仕事を任されていたが帰国後はそれを知る人もいない。大学を出て警察官になるつもりだったが、戦場で受けた背中の負傷やPTSDがあり無理だと言われた。
 (宇和島洋)

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月刊『国際労働運動』(398号3-1)(2009/10/01)

(写真 7カ国の代表が参加したサンフランシスコ国際会議【7月6日】)

特集

■特集

 サンフランシスコ国際会議の画期性

 はじめに

 

09年7月2〜7日、動労千葉訪米団が、1934年の大恐慌下のビッグストライキから75周年を迎えたサンフランシスコの地で、「国際労働者会議」を始めとする諸行事に参加した。会議には7カ国の左派の労組・労組活動家が集まった。動労千葉提案の3項目の決議案(34n掲載)が唯一の決議事項となったことに示されるように、09年11・1労働者集会への1万人結集の決定的な跳躍台となった。
  第1章では、今回の動労千葉訪米団の行動について、動労千葉発行の『世界に翔びたとう10 サンフランシスコ国際労働者会議 動労千葉の訪米報告』と訪米団の報告をふまえて、その概略を記述した。
  第2章は、そこでかちとられた大恐慌情勢に立ち向かう労働運動の国際連帯の前進の意義について明らかにする。
  第3章は、同時期に行われた日米の教育労働者のサンディエゴでの交流についての報告である。

■第1章

 7カ国の左派労組が参加

大恐慌下の闘いの交流深める 

 日米韓の議論が発端

 7月2〜7日、動労千葉の田中康宏委員長、君塚正治副委員長、動労千葉国際連帯委員会の山本弘行事務局長を始めとする動労千葉訪米団は、アメリカ・サンフランシスコを訪問した。同地で開催された「サンフランシスコゼネスト75周年・国際労働者会議」に参加するためである。同会議は、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10、同ローカル34、TWSC(運輸労働者連帯委員会)が主催したもので、レイバーフェスタ(労働者祭)の一環として行われた。
 この会議は、08年8・15集会、11・2労働者集会と09年3月の動労千葉結成30周年記念集会レセプションを機に行われた議論をとおして準備されたものだ。
 08年8・15集会の場で韓国・民主労総のイジェヨン本部長(当時)は、「それぞれの国のバラバラの組織ではなく、一つの組織として新たに生まれ変われるよう、より一層組織化に向けて頑張る」と発言した。11・2集会では、「全世界の労働者が労働者階級の国際連合をつくり、社会主義変革運動へとさらに進んでゆこう」と訴えた。
 米ILWUのジャック・ヘイマン氏も11・2集会で「私たちは職場生産点から立って戦争を止めることを呼びかけた。このことは、帝国主義戦争に反対し、私たち自身の利益のために闘う労働者階級の党、私たち自身の党を必要としているゆえんでもある」と発言した。
 日米韓の労働者が期せずして、社会主義に向けた国際的な一つの組織、職場生産点を基礎とした労働者階級の党を求めていたのである。
 そして、サンフランシスコゼネスト75周年・国際労働者会議の呼びかけ文は次のように訴えている。
 「サンフランシスコゼネストの教訓とは、労働者がきちんと学び組織されそして闘いの構えが出来ているならば、資本、警察や政府を打ち負かすことができる団結した力を有しているということだ。恐慌が世界を巻き込んで進む今日、私たちはこの闘いの教訓を新たにし、世界中の労働者が自らを守り闘い抜く戦略と戦術を獲得していかなければならない。これは権力奪取にかかわる闘争であり、労働者と労働組合は、この経済的・政治的襲撃と対峙するために、私たちの基本的権利を防衛していくべく、その方針と戦略を必要としているのだ。今日の世界恐慌は、世界の労働者階級の死活を問うものとなっている」
 サンフランシスコゼネストは、大恐慌下の1934年に闘われた。ILA(国際港湾労組)の西海岸の支部がサンフランシスコに集まってランク&ファイル(一般組合員)大会を開き、賃上げ・労働時間の短縮・ハイヤリングホール(雇用事務所)の組合運営を要求してストライキに決起した。そして2人の労働者が射殺された「血の木曜日」が労働者の怒りを呼び起こし、十数万人のゼネラルストライキに発展したものだ。それは、西海岸の支部がILAから分離し、ILWUを結成するきっかけとなった。
 ILWUを始めとするサンフランシスコの労働者にとって、このゼネストの経験は今に生かされるべきであり、それから75年を経て再び大恐慌が世界を覆う中で、新たな「戦略と戦術」を求めるというのである。
 革共同は今、「大恐慌をプロレタリア革命へ」「1047名解雇撤回・農地死守・国際連帯で11月1万人大結集を」と訴え、「組織、組織、また組織」の闘いに踏み出している。その立場からこの国際労働者会議の呼びかけを、大恐慌をプロレタリア革命へと転化すべく闘うことを訴えるものとして断固支持するものである。

 ゼネスト75周年集会・デモなど諸行動

 動労千葉訪米団は韓国訪米団とともに、2日にサンフランシスコに到着し、ILWUローカル34のラッセル・ミヤシロさん、運輸労働者連帯委員会のスティーブ・ゼルツァーさんの出迎えを受け、ILWUローカル10本部とハイヤリングホール(雇用事務所)のあるBALMA(ベイエリア港湾労働者記念協会)を表敬訪問。
 3日には、サンフランシスコゼネラルストライキ学習集会に参加した。「34年のストライキの遺産は、労働組合におけるランク&ファイルの民主主義を確立したこと」(ジャック・ヘイマン氏の報告)だ。この闘いを指導したのがハリー・ブリッジズだった。当時、ハリーを国外追放から守りともに闘ったという黒人初のILWUローカル10委員長、クレオーファス・ウイリアムズ氏も参加した。動労千葉労働学校講師の増田明生さんは「世界大恐慌に立ち向かうのはランク&ファイル運動だ」と講演した。
 4日には「アジアの教育と軍事化に関する教育労働者集会」が開かれた。
 5日は「血の木曜日」・サンフランシスコゼネスト75周年記念集会・行進に参加した。主催はBALMA、ILWUローカル10、34、91、75、ILWU年金生活者。集会後、75年前の葬列行進を模して、「ひつぎ」を載せた車が先頭を走り、ILWUの制服をまとった数十人の組合員が先頭を固め、各支部がこれに続き、動労千葉など各国訪米団、地域の労組が続いた。総勢約1200人だ。「血の木曜日」の事件現場では白い帽子を胸に当てて追悼と敬意を表した。
 デモ後にはハイヤリングホールに千数百人分の食事が用意され、大パーティーに。毎年の11月労働者集会に参加してきたILWUの組合員が寄ってきて感動的な再会がかちとられた。クラレンス・トーマスさん、シャンクリン夫妻、トレント・ウィリスさん、ケナード・ウィルソンさん(昨年の11月集会で「レボリューション!」を連呼)、ドワイト・サンダースさんらだ。彼らは「今日のデモのこんな結集では全然不十分だ」「賃金が3割もカットされている」と訴えてきた。だが、この集会・デモはILWUの潜在的なパワーを示した。
 国際労働者会議の参加者は、ユナイト・ヒア(UNITE―HERE)ローカル2とともに直近のハイアットホテルに、労組結成も認めず交渉もしないことに抗議してピケット行動を行った。
 5日午後6時からはILWUローカル34の会館で、アジアの労働運動についての集会が開かれ、アジアの各国労組代表が報告を行った。
 動労千葉は、国鉄分割・民営化反対ストのビデオ(英語字幕)を上映。田中委員長は「労働者は団結した時には、解雇も弾圧も恐れず闘い続けることができる。この闘いの後、全国の現場活動家たちを結集して、労働運動を再生するための組織をつくりました」と報告。会場からも「民営化は資本主義の武器。日本の民営化はどうなっているのか」と質問を受けた。田中委員長は、道州制・民営化粉砕決戦の展望を語った。
 6日早朝、サンフランシスコ・エイト(SF8)救援闘争に参加した。彼らは、無実でありながら、30年以上も前の殺人事件で起訴された元ブラックパンサーのメンバーたちだ。動労千葉訪米団は、星野文昭さんの奪還闘争への支援を訴えた。

 各国から熱烈な訴えで国際労働者会議

 

6日午前9時から午後6時まで、ILWUローカル34のホールで国際労働者会議が行われた。
  会議は、呼びかけ労組のILWUローカル34のルネ・ジュクレー委員長、同ショーン・ファーレー副委員長、ILWUローカル10のアダム・メンデス書記長のあいさつに始まって、7カ国の代表がそれぞれ自己紹介し、討論が行われた。(主な発言の要旨は28〜33nに掲載)
(写真 75年前の葬列行進を模して「ひつぎ」を載せた車を先頭にデモするILWU組合員【7月5日】)
  アメリカからは、ILWUローカル10のジャック・ヘイマン氏が、34年のサンフランシスコゼネストについて、「あのゼネストは、腐敗した組合指導部に対するランク&ファイル労働者の反乱であり、その結果として団結がかちとられた」とした上で、「われわれは現在、当時と同じ状況にある。問題は、1929年に資本主義が死にかけたということではなく、インターナショナルが死んでいたということ」と指摘し、「いま必要なことは、互いの闘いを支援しあう連帯行動を国際的に起こすこと」「34年のゼネストの教訓は何か。労働者が階級的基礎において団結し、組合官僚をのりこえ、打倒して闘うならば、資本と権力との闘いに必ずや勝利することができるということだ」と訴えた。
  日本を代表して動労千葉の田中委員長が、法政大学闘争のビデオを上映してから発言に立った。「私たちは22年間、国鉄の分割・民営化を認めずに、ずっと闘いを続けている。私もこの民営化で解雇された労働者だが、22年間闘いを続けてこられたのは、組合員が本当に家族のように団結してくれたから。私がこの間、闘いで学んだことは、労働者は団結をした時には、解雇も恐れずどんな弾圧も恐れず闘い続けることができるということ」と自らの闘いを振り返り、「大恐慌のもとでの労働者への攻撃、北朝鮮をめぐる戦争の危機を止めるのは労働者の団結した力だ」「法政大学で起きていることは、今、日本全体で起きていること」と指摘し、「問題は多くの労働組合が労資協調派に転落し、闘えなくなっていく。この現状こそ打破しなければいけない。私たちは、労働組合はいかにあるべきか、この一点をめぐる闘いを続けてきた。なぜならば私たちは、労働組合とは本当はすばらしいものなんだ、労働者の存在自身がすばらしいものなんだ、労働者の存在そのものが可能性をもっているんだという考えを持っているからだ」と訴えた。そして「国際連帯が絶対に必要」とした上で、「その基礎は、一番困難な自らの職場で同志を組織する、自らの職場で本当に組合員の団結を組織する、この課題に挑戦することだと思う。問われているのは社会主義をめざす労働運動への変革だ」と確信を込めて訴えた。
  韓国からは、民主労総ソウル地域本部指導委員のイジェヨン氏が、「朝鮮半島は戦争の暗雲が立ちこめている。帝国主義による侵略戦争の可能性が急速に高まっている」として、米オバマ政権、日本の支配階級とともに、韓国のイミョンバク政権を批判。「イミョンバク政権はファシズムと亜帝国主義(サブ・インペリアリズム)に向かっている」と断罪した。労働者階級の闘いについて、「民主労総は変革性・戦闘性を喪失し、危機に直面している」と述べた上で、「私は、マルクスが150年前に訴えた『万国のプロレタリアよ団結せよ!』こそ、今の情勢において主要な実践になるべき」「労働運動が急進化・政治化してこそ恐慌と戦争の突破は可能であり、反イミョンバク・反ファシズム闘争へと打って出ることこそ、労働者階級の現下の任務だと考える。そのためにも、民主労総が韓国労働者階級の闘争の軸、変革の軸として再び立ち上がってゆく」と力強く訴えた。
  トルコからは、進歩的医療労働組合のトゥファン・セルトレク書記長が、DISK(ディスク=進歩的労働組合連盟)が1963年の闘いの中から生まれ(67年創設)、「社会主義と革命をめざす運動へと飛躍を遂げた」が、1980年の軍事クーデターによって12年間、活動停止となり、92年に活動を再開し今日に至っている経緯を紹介した。そして、「われわれは労働組合指導者として社会主義者だ」と断言した。トルコにおける、@クルド問題、Aイスラム原理主義運動の問題、B組織率5%、失業率22%という労働者をめぐる状況と闘い――の三つの問題を指摘した上で、進歩的医療労組の闘いについて、民営化攻撃が全面化する中で非正規職労働者も組織し、解雇攻撃と闘ってきたこと、そして「組合とは賃金闘争のために存在している」という考え方に反対し、「労働組合は、労働者階級が経済闘争と政治闘争を展開する一つの重要な場だ」と訴えた。
  ブラジルからはコンルータス(全国闘争連盟)を代表して、ファビオ・ボスコ氏が発言。ブラジルの代表的な労組組織CUT(労働者中央同盟)とFC(組合の力)が労資協調主義に陥っている中で、2003年、ルラ政権の公共部門労働者の年金削減法案を容認し、これに反撃する公共部門労働者の40日間のストを支援するためにコンルータスを結成し、「文字通り労働者の全国組織になった」という経緯を紹介した。そして、GMによる800人の臨時労働者のレイオフに反対する闘いを紹介し、動労千葉から出された決議案への支持を表明し、「一定の時間をおいて、もっと多くの人と組織を集めて第2回の会議を開こう」と呼びかけた。
  フィリピンの航空地上職労組のゲリー・リベラ委員長は、「マンガガワ党という名のフィリピン労働党に属している」と自己紹介し、同党は2001年の総選挙の際に結成し、現在の党員数は10万人だと明らかにした。そして「フィリピン労働者を苦しめている真の原因は資本主義体制そのもの」だとして、労働者を代表する党の必要性を訴え、「われわれは動労千葉のように断固闘争を続けている。首都マニラに次ぐ都市・セブで労働党の仲間が中心となってストライキを打ち抜いた」と報告した。
  イタリアからは、ジェノヴァ港湾労組のピエトラサンタ・マルコ氏が発言し、港湾の民営化攻撃との闘いを紹介し、「『資本論』を読めという声が高まっている一方、『マルクス主義は幻想だった』とか『共産主義はたそがれだ』などという人がいる。しかし私は、共産主義は夜明けを迎えていると思う。労働運動は拡大しており、不満をもった青年たちの数は増えているから」と、共産主義への確信を語った。
  7カ国代表の発言とともに多くの発言があった。
  特に大きな拍手で迎えられたのが、イラク戦争で息子を亡くした「反戦の母」シンディー・シーハンさんの発言だ。「私は言いたい。労働組合が民主党支持という政策と縁を切らないかぎり、そしてランク&ファイルの労働者が立ち上がらないかぎり、何も変わらない」「問題は階級闘争です。搾取する階級と搾取される階級の問題なのです」と述べ、「搾取する階級をやっつけよう! いんちきな連中をたたきのめせ!」と訴えた。
 

 

(写真 左、「地の木曜日」75周年のデモに立つILWUの組合員【7月5日】 右、 サンフランシスコ国際会議の最後にこぶしを振り上げる参加者【7月6日】)

■第2章

 

 動労千葉が全体を牽引

 

 社会主義をめざす労働運動

 大恐慌下の課題鮮明に

では、サンフランシスコ国際労働者会議は何をかちとったのか、どのような意義を持っているのか。
 第一に、この会議が、まさに全世界を覆う大恐慌情勢のただ中で開かれ、それを打ち破る労働運動の道筋を鮮明にしたことである。1929年大恐慌下の34年のビッグストライキの「過去の教訓を今に生かそう」という呼びかけのもとで、闘いの戦略と戦術を論議しようと開かれたのだ。
 現在進行中の大恐慌は、1929年〜30年代の世界大恐慌を超える、もはや後のない大恐慌だ。この大恐慌の震源地となったアメリカにおいて、アメリカ、日本、イタリアの帝国主義国、そしてBRICs(新興大国)の一つであるブラジル、いわゆる新植民地主義体制諸国の韓国、トルコ、フィリピンの労組代表が一堂に会した。
 直面している課題は、すべてこの大恐慌下の資本主義体制の矛盾を労働者階級に犠牲転嫁する攻撃との闘いである。特に、各国の労働者階級が等しく〈戦争と民営化、労組破壊〉の攻撃にさらされ、それと必死に格闘していることが突き出された。
 アメリカの労働者階級の置かれている現実はかつてなく厳しい。自動車のビッグスリーのうちGMとクライスラーが経営破綻し、オバマ政権の救済策にもかかわらず、破産法を申請。GMは米・カナダ両政府が株式の72%を保有する国有化企業となった。GMは2万人の首切りを計画している。だが、UAW(全米自動車労組)はクライスラーとGMに対し、15年まではストライキをしないと約束した。
 アメリカの失業率は「求職活動をしていない人」「フルタイム就職を望みながらもパートに就いている人」を含むと、15・8%(4月)にまで上昇した。
 資本主義体制の後のない大恐慌である以上、その打開の道はプロレタリア革命=社会主義・共産主義の実現である。生産を担う労働者階級が真の社会の主人公となる社会を実現することだ。そのために、労働組合が経済闘争のみにその役割を切り縮めるのではなく、社会主義の実現を真っ向から掲げて政治闘争を闘うのである。
 その場合に、重要なことはあくまでも、指導部が現場労働者に依拠し、現場労働者の団結を組織し、職場生産点から闘いをまき起こすということである。
 各国の報告は、すべてそうした観点に貫かれたものだった。

 「万国の労働者、団結せよ」が合言葉に

 

第二に、発言の多くがマルクス・エンゲルスの『共産党宣言』の結語である「万国のプロレタリア、団結せよ!」という言葉を引用し、国際的な労働者党の必要性を説いていたことである。
  国際労働者会議は、まさに新たなインターナショナルの萌芽とも言うべき性格を持っている。かつてマルクスの時代に、インターナショナル(国際労働者協会)がヨーロッパでつくられ、マルクス派が主導権を握り、1864年にマルクス起草の規約と宣言文が採択された。規約は、「労働者階級の解放は、労働者自身の手で闘い取らなければならない」と明確にした。
  その後の1872年のパリ・コミューンを経て、第1インターナショナルは崩壊するが、1889年にはマルクス主義者が集まり、第2インターナショナルを創設。第1次世界大戦を前にした1912年には、この帝国主義戦争に反対して各国の帝国主義を打倒することを決議(バーゼル宣言)するが、最大の組織であったドイツ社民党が戦時公債に賛成し、14年には崩壊する。
  そして、レーニン率いるロシアのボルシェビキが17年ロシア革命を勝利させ、第3インターナショナルを創設した。第3インターはその後、一国社会主義路線をとったスターリン主義によって変質させられ、これに対しトロツキーによって創設されたのが第4インターナショナルである。第4インターが無力さと転向を深める中で、新たなインターナショナルが切実に求められているのだ。
  集まった各国の労組の代表は、みな社会主義者であると表明し、フィリピンのように、労働党を代表して参加したところもある。
  まだ、明確に革命党として名乗りあげていなくても、明らかに革命党への指向性を持って闘っているのである。
  トルコのDISKも、「われわれは労働組合指導者として社会主義者だ」と明確に言い切った。トルコはイスラム原理主義勢力が政権に就いている中で、「どうして無神論者を支持するのか」と資本家は迫ってくるという。だが、労働者は「たしかに彼らは無神論者だ。でも俺たちは、正直で戦闘的な方がいい」と答えるという。
  各国に共通していることは、みな1980年代以来の新自由主義攻撃に対して闘いを開始していることだ。まったく新たな労働運動の胎動である。
  その世界の労組が集まり、世界単一の革命党の結成に向けて、その第一歩を踏み出したのだ。
 (写真 ゼネスト75周年集会に聞き入る各国の訪米団【7月5日】)

 

 体制内との対決

 

第三に、各国とも体制内労働運動と対決し、新しいナショナルセンター、闘う潮流をランク&ファイル(一般組合員)からつくりだして闘っているということである。
何よりも、アメリカのナショナルセンターであるAFL―CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)はオバマ民主党政権支持であり、最大・最悪の帝国主義の戦争政策を支持しているのだ。
アメリカの戦闘的労組であるILWUも例外ではない。ジャック・ヘイマン氏が訴えていたように、ILWU本部にも「ビジネス・ユニオン官僚」が存在し、労資協調路線をとり、政府と結託してTWIC(港湾労働者身分証明カード)のような新たな規制に協力しようとしているという。また、イラクとアフガニスタンからの即時撤兵の決議をランク&ファイルが決めたことに対し、組合官僚はアフガニスタンを削除しようとしたという。
08年5月1日に西海岸の全港湾業務をストップさせるという歴史的な闘いを実現したILWUでさえ、ランク&ファイルと組合官僚との鋭い対決のもとで闘いが組織されているということである。
さらに、民主労総ソウル地域本部も、民主労総中央が変革性・戦闘性を喪失している中で、左派を形成し、民主労総が韓国労働者階級の闘争の軸として再び立ち上がることを目指して闘っている。
ブラジルのコンルータス(全国闘争連盟)は、日本の全国労組交流センターをもっと大きくしたような組織で、労資強調主義に陥った二つのナショナルセンターに抗して闘っている。ブラジルでは、30年来の重要な労働運動指導者だったルラが大統領であり、ルラ政権に対する労働者の幻想がある。そして、二つのナショナルセンターは、恐慌のさなかに譲歩を重ね、大企業への公的資金投入を要求している。これに対して、コンルータスは、譲歩によって職は守れないこと、公的資金を銀行や企業に注入することに反対し、公教育、医療、社会保障などの改善に使うべきであると主張している。
トルコのDISK(進歩的労働組合連盟)も、アメリカの肝いりで1952年につくられた当時のナショナルセンターとは別の、独自のナショナルセンターとして活動を開始し、今日に至っている。
これは、日本でもまったく同じことが言える。連合や全労連はもとより、国労や都労連を軸とした全労協も急速に体制内化している。国鉄1047名闘争における4者4団体はその典型だ。体制内労働運動を打倒し、階級的労働運動を再生する闘いは、まさに今、問われている課題なのだ。

 動労千葉の求心力

 

第四に、国際会議の全体をとおして動労千葉訪米団が議論をリードし、求心力をもったということである。
  会議での、アメリカのトロツキスト系の小党派の活動家の発言は、まったく現場と乖離したものだった。それに対し動労千葉訪米団が「現場の実践に根ざした討論をしよう」と提起し、圧倒的な拍手を浴びたという。
  また、実際に会議の調整役を動労千葉訪米団が買って出て、日韓や日米、日韓トルコ、日本ブラジル、日本フィリピンなどで話し、動労千葉の主張が全体を牽引することとなった。
  そうして、最後には動労千葉から提起した3項目の決議が唯一の合意事項になった(決議文全文は34n)。それは@国鉄分割・民営化に反対し、1047名の解雇を撤回し原職に復帰させること、A法政大学における学生への不当弾圧の即時中止と8名の学生の即時釈放を求めること、B11月労働者集会を重要な労働者階級の国際的な共同行動の日として支持し、闘いへの結集を各国で呼びかけること――である。
  これは、日本の国鉄分割・民営化が新自由主義の典型的な攻撃であり、それと闘い抜いてきた動労千葉と1047名闘争の国際的な位置の大きさを示すものである。動労千葉労働運動が世界に通用するということだ。そして、法政大で起きている事態は、世界にも類例のない理不尽な弾圧であり怒りを呼び起こしたことである。さらに、日韓米の国際連帯のもとで開かれてきた11月労働者集会が国際連帯闘争の先進的な地平を開いているものであり、3カ国連帯から何カ国にも広がる展望をつくりだしたということである。
  それとの対比で、JR総連カクマルの反革命的でペテン的な「国際連帯」の悪行が暴かれた。
  フィリピンの航空地上職労組は、「JR総連が分割・民営化を推進する分裂組織をつくろうとしている」と言っている。JR総連は体制内派的な分裂組織に資金援助してフィリピンに民営化を“輸出”しようとしているのだ。リベラ委員長は「JRUはドロボウだ!」と怒っていたという。
  ブラジルの代表からも「カクマルって何ですか」と聞かれたという。「民営化の手先になっているファシストみたいな連中だ」と説明すると、「やはりそうか」という顔をしていたという。
  JR総連カクマルとの闘いに、国際的にも決着をつけることができるということだ。
 

 

 

(写真 昨年までの11月労働者集会に参加したシャンクリン夫妻【左】、ケナード・ウィルソンさん【右】と再会【7月5日】)

 11・1集会に世界の仲間を1万人結集で迎えよう

第五に、これが結論であるが、09年11・1全国労働者総決起集会になんとしても1万人の労働者人民を集めようということだ。
  これがサンフランシスコ国際労働者会議の地平を発展させ、日本の労働運動の再生のみならず、国際労働運動の新たな出発点を築くものになるということだ。
  日本の労働者階級は、動労千葉が切り開いた国際連帯の新地平に確信を持ち、全世界の労働者階級と連帯し、〈大恐慌をプロレタリア革命へ〉の闘いを断固として推し進めよう。
  その場合の中心に座るのが国鉄、郵政、自治体、教労の4大産別である。国家権力機構内に存在する労働組合を革命の側に獲得することこそ、日本革命への必須の条件である。
  1047名の解雇撤回を先頭に、日本労働運動の階級的再生と国際連帯をかけて11・1集会に「組織、組織、そして組織」しよう。

■第3章

 君が代不起立と反募兵の熱い絆

 大恐慌・大量解雇への反撃の力

全国労組交流センター教育労働者部会は、動労千葉訪米団の一員として、東京教組「君が代」被解雇者の米山良江さんと三浦半島教組の佐藤江都子さんを派遣した。NEA(全米教育協会)の全国大会が開かれたサンディエゴで7月1〜3日にアメリカの教育労働者と交流し、4日〜6日には動労千葉とともにサンフランシスコの国際連帯行動に参加した。

 旧執行部を打倒した中心人物と交流

 サンディエゴでは、CAMS(校内の軍国主義に反対する連合)代表、アーリーン・イノウエさんと副代表、グレゴリー・ソティアさんが迎えてくれた。その紹介で、UTLA(ロサンゼルス統一教組)の執行部と現場の活動家と交流することができた。
 UTLAは、もともと戦闘的な組合だったが、執行部がしだいに変質し、イラク戦争とも職場の労働条件悪化とも闘わなくなっていった。そのため、戦闘的な活動家たちが05年の役員選挙で現職執行部を打倒し、新執行部を確立していった。この執行部奪取は、イラク反戦勢力こそが、労働条件をめぐる職場闘争の最先頭で闘うのだということを実践で証明したことによってかちとられたのだという。
 CAMSはUTLAの機関である人権委員会の活動の一環であり、UTLAの再生の中で発展してきた組織だ。だから、不屈の「日の丸・君が代」不起立闘争が、国家そのものを追いつめており、それが日教組本部との対決になっていることがすぐに分かり、絶大な信頼を寄せている。そして、動労千葉を軸にした11月集会勢力が日本の労働運動を再生させようとしていることに展望を見ているのだ。
 米山さん、佐藤さんがサンディエゴに到着した7月1日、イノウエさんが真っ先に紹介したのが、UTLAの7人の執行部のうちの2人、デービッド・ゴルドバーグ会計責任者とベティー・フォレスター書記長だった。05年の組合再生闘争の中心メンバーだ。組合の全国大会で、大小の打ち合わせなどで多忙な中で、執行部が何よりも優先して来てくれたのだ。
 ここで、大量解雇と闘うUTLA・CAMSへの全学連の檄布と法大弾圧に関する全国共同声明の英訳が渡された。イノウエさんも、UTLAの執行部もこれを教育労働者自身の課題として非常に敏感に反応し、不屈に闘う学生に感動した。
 新自由主義大学法政の現実は、教育の民営化の最先端であり、UTLAが直面していることそのものだ。
 また、日教組本部の警察導入に対して、若い教育労働者が先頭で闘っている写真を見せた。そして、中野洋動労千葉前委員長著『俺たちは鉄路に生きる2』(英訳版)を渡した。イノウエさんは執行部の人々に対して本の内容まで熱心に解説してくれた。
 闘う者同士、たちまち意気投合した。
 そして、NEA本部が圧力をかけて訪米団が大会会場に入れないようにしていることを知るや、フォレスター書記長らは直ちに「それはおかしい」といい、大会会場に入れるようにしてくれた。

 教育の軍事化、民営化

 翌2日、訪米団は、彼女のすぐ後ろの席で一緒にNEA大会を傍聴できた。
 NEA大会には、オバマ政権のダンカン教育長官が来賓として呼ばれ、30分以上も演説した。
 オバマは、軍事予算をブッシュ時代より大幅に増やし、アフガニスタンに米軍を増派している。そして核攻撃部隊の再編統合を行うととも、核兵器の高度化を進めている。こうしたなかで学校ではJROTC(高校生向け軍事教練)が拡大され、募兵官が生徒を軍にリクルートしている現実がある。
 しかもダンカンは、同じシカゴ出身のオバマとともに、同市でシカゴ市の公立学校の大規模な廃校化、統合、チャータースクール(公設民営校)化を強行した人物だ。チャータースクール化されると、その学校の教育労働者は全員解雇され、民間の学校運営者が新たに教員を雇用する。最悪の労組破壊だ。
 またこの間、オバマ自身が何度も「教育演説」をして、生徒のテストの点数に教師の賃金を連動させる制度の導入を宣伝している。
 このようなダンカン教育長官に対してNEA本部はパートナー路線をとって屈服しようとしているのだ。
 だが、NEAの組合員は闘っている。大会の代議員たちは、ダンカンの民営化政策とテストづけ教育に対して、プラカードを掲げて抗議し、ダンカン退場時には靴が投げつけられた。
 しかし、戦闘的な代議員たちもオバマ政権の戦争拡大、学校の軍事化への批判は弱かった。CAMSのイノウエさんたちは、この現状を変えねばならないといって闘っている。彼女たちは、戦争と民営化、労組破壊を一つのものとしてとらえて闘っている動労千葉の労働運動を信頼し、11月集会のような団結を作り出したいと思っている。

 団結の広がりで確信持ったUTLAの活動家

 訪米団が交流したUTLAは、4万8千人で、地域教組としてはニューヨークに次いで全米第二の巨大な組合でる。
 だが、現在の大恐慌の情勢下で、このUTLAを破壊する大攻撃がかけられてきている。カリフォルニア州の財政破綻で州の教育予算が大幅削減されたことが直接の引き金になり、1年前だったら考えられもしなかった、教育労働者の大量解雇が襲いかかってきているのだ。
 今年1月、ロサンゼルス学区当局は、2300人の解雇を提案してきた。
 勤続2年で終身雇用権が発生するため、解雇攻撃は青年労働者に集中している。
 これに対して、40代・50代の労働者が青年との団結をかけて決起し、1月29日のデモは1万6000人にふくれあがった。
 職場の団結を作るのに特に大きな力を発揮したのが、テスト・ボイコットだった。
 これまで、テスト、テストで追いまくられて、とんでもない過重労働になっていること、そしてまともな教育ができなくなっていることに、誰もが怒りをもっていた。
 しかし、ブルジョアジーはマスコミを使って、「学力低下」批判を公立学校叩きキャンペーンの一環として長い間執拗に行ってきた。「落ちこぼれゼロ法」という名の法律の制定は、その頂点だ。こうした状況の中で実際にテストをボイコットできるのかと思われてきた。
 だが、エマーソン中学分会を先頭とする西部地区は、1月27日、テスト阻止のピケットを張った。それによって活動家だけでなく全教職員が団結してテスト実施を拒否することに成功した。そして、生徒、保護者、地域社会でも予想をはるかに超える圧倒的な支持を受けた。西部地区の労働者は、教室での使用をボイコットしたテスト用紙を学区当局のビル前に高く積み上げた。テストボイコットは、ロサンゼルス全市に広がり、6カ月以上も続いてきた。
【この闘いを組織したのが、同中学の分会長であり、UTLA西部地区の議長でもあるセシリー・マイアトクルスさんだ。訪米前にイノウエさんを通じて、11月には是非日本に行きたいと連絡してくれた人だ】
 解雇反対闘争は、全市デモや地域デモ、教育委員会占拠、校門前ピケット、座り込みなどさまざまな戦術を使って行われ、そこに今までは参加しなかった組合員が参加するようになってきている。
 たしかに7月1日付けで1800人に解雇予告通知が送られた。解雇を全面的に阻止することはできていない。
 だが、さらに州財政が悪化したことを理由にして3月には6000人まで解雇提案を増やしてきたことに対して、その後、「解雇者数を2カ月ごとに減らした」「今まで活動しなかった層が闘争に参加するようになった。だから勝利しているんだ」とソティアさんは言っている。「昨年の11月集会に参加したころは、若い教師たちが組合活動をしないと思っていたが、1月以降の闘いの中で立ち上がるようになった」「いったんやりはじめたら、すごい力を発揮する」「資本主義を倒せる情勢だ。革命だ」
 彼自身も、07年、08年と11月集会に参加して、時代認識を持ち、団結を総括軸として闘う動労千葉労働運動に接して変わり、そしてロサンゼルスで大量解雇攻撃と闘って、それが強固な確信になっていったのだ。
  第4節 26人の職場のリーダーが 国際連帯の交流会に結集

 26人の職場のリーダーが 国際連帯の交流会に結集

また、7月3日には、UTLAの代議員団のうち、26名が訪米団との交流会に来てくれた。UTLA中央委員も多数含まれていた。テストボイコットを切り開いたセシリー・マイアトクルスさんが責任者となって、UTLAが年に一回、各学校の分会長、副分会長を集めて「リーダーシップコンフェランス」という合宿研修会を行い、そこで職場での団結のつくり方・職場闘争の組織化、生徒、保護者、地域社会との協力の仕方を議論しているなどの話を聞いた。団結のつくり方と闘いの戦略の立て方を常に話し合うことが重要だということだった。そうして強化した力が、今回の大量解雇との闘いに生かされているという。
 

 

(写真 【左】おそろいのTシャツを着てNEA大会に参加(7月2日)、【右】サンフランシスコでのデモ【7月5日】)

 NEA大会で「日の丸・君が代」不起立と連帯する決議

 7月4日、訪米団がサンフランシスコに向けて出発した後のことだが、CAMS/UTLAのイノウエさんが、NEA大会で「日の丸・君が代」不起立闘争とそれへの弾圧について演説した。そして、その趣旨に基づき、日本における教育の自由への攻撃について、NEA本部が組合員と全社会に対して、情報を知らせる義務があるという趣旨の決議案が採択された。(35nに決議文とイノウエさんの陳述)
 日教組と同じく、政府とのパートナー路線をとるNEA本部の制動を巧みにはねかえし、NEA代議員、組合員に「日の丸・君が代」闘争との連帯を呼びかけたのだ。
 CAMSの活動は、米軍の学校内における募兵活動との闘いだ。これは、兵士不足でイラク・アフガニスタンを制圧できず、敗北に向かっている米軍の最も弱い点を突く活動だ。自国帝国主義との正面対決だ。「教え子を再び戦場に送らない」不起立闘争とまったく同じ闘いだ。
 しかも、体制内的な旧執行部を打倒してUTLAを甦らせ、労働組合として、労働者の職場闘争として反戦闘争を貫いている。
 だからこそ、海を越えて、これほどの強固な団結を作り出しているのだ。

 不起立を軸に道州制と対決し、11月集会へ

 訪米で明らかになったことは、アメリカ帝国主義の戦略的弱点=兵士の補充不足を突いて闘っているCAMSが、UTLAという労働組合の中心中の中心の指導者、活動家に信頼され、心棒になっている姿だった。そして、職場の若い労働者の怒りと生きるための闘いが、職場の団結のあり方を変え、人間を変えていることだった。
 訪米団もまた、「日の丸・君が代」不起立の戦略性と不屈性が、アメリカの労働者から得ている圧倒的な信頼感をあらためて実感し、不起立を軸にして、道州制攻撃(具体的には民営化、多忙化攻撃、免許更新制、非正規化など、そして来るべき大量解雇攻撃)との闘いを圧倒的に強化し、圧倒的な決起を作り出すことができる確信をつかんだ。
 国鉄1047名闘争、三里塚闘争、国際連帯を軸にして11・1全国労働者総決起集会を1万人の大集会として実現しよう。
 ここに大恐慌・大量解雇と闘うアメリカの労働者の若きリーダーたちも参加する。共に闘おう。

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月刊『国際労働運動』(398号4-1)(2009/10/01)

討議資料

■討議資料

 サンフランシスコ国際会議の発言

 ●アメリカ

 

組合官僚を打倒し、団結し闘えば必ず勝利できる
ILWUローカル10 ジャック・ヘイマンさん

今日のテーマは、「過去の闘いから現在の闘いへの教訓を学ぶ」です。
3日の1934年サンフランシスコゼネスト記念学習集会で、あのゼネストは、腐敗した組合指導部に対するランク&ファイル労働者の反乱であり、その結果として団結がかちとられたということが明らかにされました。それは組合幹部と政府に立ち向かう団結でした。われわれが34年のストライキから学んだことは、組合官僚というものは組合員を攪乱し、資本と闘うことを妨害するということです。
われわれは現在、当時と同じ状況にあります。問題は、1929年に資本主義が死にかけたということではなく、インターナショナルが死んでいた、ということです。
去年のメーデーで起こったことは重大な意義を持っています。アメリカ史上初めて労働者が西海岸の全港湾を封鎖した。実際にはストライキです。帝国主義の戦争を止めるための職場・生産点での初めての闘いでした。
われわれローカル10は、07年10月20日、戦争阻止のための労働者会議を開きました。会議には動労千葉やその他多くの国からの労組代表が参加しました。そこでわれわれが決定したことは、組合の現場にもどって、労働者が職場=生産点で持っている力を発揮させ、行動を組織しようということでした。ILWUはそれを実行したのです。
このレベルにとどまらずわれわれがやるべきことは、港湾労働者の枠を越えて移民労働者を大量に組織化することです。アメリカの港湾トラック運転手の大部分は移民労働者です。しかし港湾のトラック運転手は、規制緩和の結果、ほとんど組合に入っていません。
ILWUにも、他の組合と同様、組合官僚は存在します。ビジネス・ユニオン官僚です。彼らは会社と結託して労資協調路線をとり、政府と結託してTWIC(港湾労働者身分証明カード)のような新たな規制に協力しています。
また彼らは、ランク&ファイルが組合会議で決めた決議に枠をはめようとしました。この決議は、イラクとアフガニスタンからの即時撤兵を要求していましたが、組合官僚はアフガニスタンからの即時撤兵の項目を削除しようとしたのです。しかし結局のところ、そうはさせませんでした。
1934年ゼネストの教訓は何か。労働者が階級闘争的基礎において団結し、組合官僚をのりこえ、打倒して闘うならば、資本と権力との闘いに必ずや勝利することができるということです。

 ●日本

 

国際連帯の基礎は自らの職場で組織化することだ
動労千葉委員長 田中康宏さん

ILWUが信念としているランク&ファイルの組合員への絶対的な信頼というのは、私たちの組合員が同じく信念としてきたことです。
私たちは22年間、国鉄の分割・民営化を認めずに、ずっと闘いを続けています。私もこの民営化で解雇された労働者ですが、22年間闘いを続けてこられたのは、組合員が本当に家族のように団結をしてくれたからです。私がこの間、闘いで学んだことは、労働者は団結をした時には、解雇も恐れずどんな弾圧も恐れず闘い続けることができるということです。
私たちは、この闘いの後、闘いをもっと広げました。鉄道という枠を越えて日本の全国の現場の労働者の活動家たちを結集して、労働運動をもう一度再生する組織をつくりました。
労働組合が最も闘わなければいけない時に、ほとんどの多くの労働組合が労資協調派に転落し、闘えなくなっていく。この現状こそ、僕らが打破しなければいけない問題だと思っています。
今、日本では大恐慌のもとで労働者に対する重大な攻撃が激しく襲いかかるとともに、北朝鮮をめぐって戦争の危機が高まっています。日本政府とアメリカ政府によるこの危機を止めることができるのも労働者の団結した力、これを許してしまうのも労働者です。だったら私たちは、これを止める団結した労働者の力を日本で登場させたいと願っています。
法政大学をめぐる状況がこの間激変したのも、労働者に対する大変な攻撃や社会的な反動が急速な速度で進行していることを示すものです。
労働者にはこうした国際連帯が絶対に必要です。それ抜きには今の情勢に立ち向かうことは絶対にできません。その基礎は、一番困難な自らの職場で同志を組織する、自らの職場で本当に組合員の団結を組織する、この課題に挑戦することだと思います。問われていることは、社会主義をめざす労働運動への変革です。
私たちは、韓国の民主労総の同志たちを心から尊敬しています。というのは、今日80万人の組織である民主労総は、新自由主義攻撃のまっただ中の1995年にナショナルセンターとして立ち上げ、世界全体の労働運動が後退を続ける過程で、世界中の労働運動の先頭に立っているからです。
私たちは、ILWUの同志たち、民主労総の同志たちとともに闘えたことを心から誇りに思います。これからも私たちは永遠に闘い続けることを誓います。

 ●韓国

 民主労総は闘争と変革の軸として再び立つ
 民主労総ソウル地域本部指導委員 イジェヨンさん

 今、朝鮮半島は戦争の暗雲が立ちこめています。帝国主義による侵略戦争の可能性が急速に高まっています。
 オバマ政権は、世界の資本主義が恐慌に陥れば陥るほど、侵略的にならざるをえません。イラン大統領選挙を契機に内戦を誘導しており、ホンジュラスの軍部クーデターも米国と無関係ではありません。北朝鮮に対しては、戦争をとおした体制転覆を狙っています。そこでの日本の支配階級の役割も重大です。
 韓国経済は世界資本主義経済に深々と組み込まれ、大恐慌の余波をもろに受けています。08年第4四半期にはマイナス20%成長へと経済が縮小しました。このようななかイミョンバク政権は、〈内に向かってはファシズム、外に向かっては帝国主義覇権勢力の下位パートナー〉という亜帝国主義化によって切り抜けようとしています。すでに「海賊退治」を名目にソマリア派兵を行い、アフガニスタン派兵も検討しています。
 こうした厳しい情勢のもと、民主労総は変革性・戦闘性を喪失し危機に直面しています。この10年以上、賃金・団体協約闘争中心の組合主義的実利主義にとどまっており、全労協時代の変革指向は「社会改革」へと後退しました。1600万労働者階級の代表ではなく正規職組織労働者中心の運動になっています。
 一方、貨物連帯が果敢に闘っています。運輸労組貨物連帯は6月11日、ストライキに突入しました。大韓通運と交渉を行い、「解雇組合員の原職復帰」など生存権要求については合意に至り、組合は認めなかったものの、合意書の署名主体に「貨物連帯」という4文字を明記させ、貨物連帯のストライキ闘争は終結しました。
 私は、マルクスが150年前に訴えた「万国のプロレタリア、団結せよ!」こそ、今の情勢において主要な実践になるべきだと考えます。今こそ労働者階級の国際連帯の強化が切実に求められています。恐慌と帝国主義戦争に立ち向かう反戦・反帝国主義・国際連帯の強化に向けてともに闘っていくため、今回の国際労働者会議は出発点になるものと考えます。
 最後に、労働運動が急進化・政治化してこそ恐慌と戦争の突破は可能であり、反イミョンバク・反ファシズム闘争へと打って出ることこそ、労働者階級の現下の任務だと考えます。そのためにも、民主労総が韓国労働者階級の闘争の軸、変革の軸として再び立ち上がっていきます。   最後に、労働運動が急進化・政治化してこそ恐慌と戦争の突破は可能であり、反イミョンバク・反ファシズム闘争へと打って出ることこそ、労働者階級の現下の任務だと考えます。そのためにも、民主労総が韓国労働者階級の闘争の軸、変革の軸として再び立ち上がっていきます。 

 ●フィリピン

 

デモとストを打ち抜いて動労千葉のように闘う
フィリピン航空地上職労組委員長 ゲリー・リベラさん

私はマンガガワ党という名のフィリピン労働党に属しています。フィリピンは小さい国ですが、政治意識は高く、さまざまな政治的・経済的危機をめぐって普通の大衆がその政治過程に積極的に参加しています。
フィリピンでは政治腐敗がものすごく、特にエストラダ前大統領のもとで腐敗が深まりました。そのため経済状況も悪化し、通貨の価値も下がっています。
労働者の状態についてですが、フィリピンの人口は9000万人で、うち3分の1が労働者です。組織率は10%です。失業は400万人で、うち50万人が労働組合に組織されています。このフィリピンの労働人口のほとんどが契約労働者です。
フィリピン労働者を苦しめている真の原因は資本主義体制そのものです。資本主義諸国は、利害を対立させつつも結束しています。問題は、労働者が国際的な団結組織をもっていないことです。「労働者の組織」と称するものは、どれも帝国主義と企業の利益を代表しており、労働者を代表するものではありません。政党も同じです。
生産と通商の歴史的な衰退が起きています。農・林・漁業部門は収縮し、輸出総額も急落しています。フィリピン政府は輸出特区を制定し、自由貿易区域に外資を大規模に導入しています。この区域では組合の結成が許されていません。
フィリピンでは失業が死を意味します。失業しても補償がなく、医療を受けることも困難です。労働力を輸出せざるをえない状況です。しかしわれわれは、動労千葉のように断固闘争を続けています。首都マニラに次ぐ都市・セブでわれわれ労働党の仲間が中心となってストライキを打ち抜きました。今デモをやっています。このストライキは自由貿易区域での初のストライキです。

 ●イタリア

 

大恐慌の中で生きる港湾民営化反対闘争の教訓
ジェノバ港湾労組 ピエトラサンタ・マルコさん

私たちイタリアにも労働者の闘いの伝統があります。サンフランシスコゼネストと同じ年に、イタリア労働者もファシスト・ムッソリーニの支配に対して闘ったのです。
80年代に世界的に行われた、全産業にわたる生産組織の大規模再編の結果、規制緩和が開始され、港湾も激変しました。機械とコンテナの大規模な導入や労働条件の変化です。
これに対してCULMV(荷役労働者統一組合)の港湾労働者が決起し、ストライキを含む激しい闘争が行われましたが、イタリアの労働組合全国組織も既成政党も、この闘いを支援しようとせず、CULMVは孤立しました。
92年、港湾の規制緩和・民営化を促進する法的措置がとられ、イタリアの全港湾をすべて同じ条件のもとに置き、民間企業に明け渡す流れが強まりました。94年以降、ジェノバでも、民間会社が直接、港湾労働者を雇うことができるようになってしまいました。こうして港湾は細分化され、分断され、六つもの異なった契約形態が存在することになりました。その結果、港湾労働者の賃金は低下し、新規採用の青年労働者は異なった雇用条件のもとに置かれるようになりました。
今回の世界恐慌で港湾の作業はほぼ半減しました。現在、世界大恐慌のただなかで共産主義、革命、インターナショナルについての議論が始まっています。『資本論』を読めという声が高まっている一方、「マルクス主義は幻想だった」などと言う人がいます。
しかし私は、共産主義は夜明けを迎えていると思います。労働運動は拡大しており、不満をもった青年たちの数は増えているからです。ともに闘いましょう!

 ●トルコ

 

労働者階級を中心とした団結のみが未来切り開く
進歩的医療労働組合書記長 トゥファン・セルトレクさん

私たちは、1967年に設立された闘う独立ナショナルセンター、DISK(ディスク=進歩的労働組合連盟)に所属する進歩的医療労働組合です。DISKは1970年代、政府の労組弾圧法に20万人のストライキで闘うなかで、社会主義と革命をめざす運動へと飛躍をとげました。そのようななか、私たち進歩的医療労組は1973年に結成されましたが、1980年の軍事クーデターによって12年の間、組合活動禁止となりました。DISKの全指導者は、逮捕され拷問され懲役を言い渡されました。
活動を再開できたのは92年になってからです。そのころ、すでに民営化攻撃が全面化していました。当時、同じ病院で働いている看護師の中には、政府の公務員と、民間下請け会社からの派遣労働者がいました。非正規職労働者は、すぐに首を切られてしまったり、下請け会社が武装マフィアの経営だったりして、組織化が非常に困難です。
しかし私たちは、病院で働くすべての労働者を組織しようと決意しました。法的には、私たちが組織できるのは医療労働者(看護師、医療専門職、医師など)だけです。しかし、調理、清掃、病院事務、リネン、コンピューター関係など、病院で働くすべての労働者が私たちの仲間です。
「組合とは賃金闘争のために存在している」という考え方がありますが、私たちは全面的に反対です。労働組合は、労働者階級が経済闘争と政治闘争を展開する一つの重要な場です。
トルコ共和国の設立以来、クルド問題は無視抹殺され、トルコへの同化政策がとられてきました。たび重なる決起はじつに残虐な形で弾圧されてきました。また私たちは、トルコが帝国主義によるイラク、イラン、シリア侵略の手先になることを拒否します。
労働者階級を中心とした人民の団結した運動のみが、未来を切り開く決定的な武器です。ともに闘いましょう。

 ●ブラジル

 

国際連帯前進へ、もっと組織し第2回国際会議を
  コンルータス(全国闘争連盟) ファビオ・ボスコさん

 

私は、労働組合の全国的連合体であるコンルータス(CONLUTAS=全国闘争連盟)の代表として来ています。
ブラジルの代表的な労組組織CUT(労働者中央同盟)とFC(組合の力)は、ルラ政権のもとで労資協調主義に陥っています。ルラ大統領は30年来、この国の最も重要な労働運動指導者でしたが、彼は政権に就くや、金持ちと銀行のための政治をやりだしたのです。
コンルータスは、年金削減に反対する公共部門労働者の40日のスト(03年)を支援するために、翌04年3月に結成されました。同年5月の第1回労働者階級全国大会には2729人の代議員、235人のオブザーバー、529の労組・団体から268人のゲストが参加し、文字どおり労働者の全国組織になりました。
コンルータスは、譲歩によって職は守れないと考えています。われわれは公的資金を銀行や企業に注入することにも反対しています。公的資金は、公教育、医療、社会保障などの改善に使われるべきであり、資本家どものために使われるべきではありません。
われわれはランク&ファイルの民主主義を追求しています。労働組合は、労働者が社会を運営する方法を学ぶ学校であるべきだと考えているからです。組合を運営できれば、社会と世界を運営することができるようになるからです。
ブラジルでいま最も注目すべき闘争はGMの闘いです。ブラジルで起こっていることは、アメリカの自動車産業でも見られないレベルです。
われわれはまた国際連帯の活動に力を入れています。昨年、ラテンアメリカ諸国の労働団体とともに、ブラジルでラテンアメリカ・カリブ海諸国労働者連帯会議を行いました。
さらに、ハイチからブラジルの軍隊を撤退させるべく闘っています。われわれブラジルの労働者人民にとって、ハイチ人民に対する抑圧と搾取は最も恥ずべきことです。 動労千葉が教えてくれたように、国際連帯の重要な一歩が始まりました。動労千葉から決議案が出されました。私はこれを支持します。
一定の時間をおいて、もっと多くの人と組織を集めて第2回の会議を開きましょう。それは国際連帯をつくりだすうえで重要な前進となるでしょう。マルクスが『共産党宣言』で述べた言葉、「万国の労働者、団結せよ!」を実現するためにともに闘いましょう。

 ●米「反戦の母」

 

労働者の力で港湾を止め戦争をやめさせよう
米「反戦の母」 シンディ・シーハンさん

私は言いたい。労働組合が民主党支持という政策と縁を切らないかぎり、そしてランク&ファイルの労働者が立ち上がらないかぎり、何も変わらない。これをわれわれが自覚しないかぎり何も変わりません。
問題は階級闘争です。搾取する階級と搾取される階級の問題なのです。労働組合に属していようがいまいが、社会正義をめざしていようが、平和運動をやっていようが、搾取されている階級として団結すべきなのです。
一部の労働組合の卑屈な指導者たちは、民主党の政権を維持するために躍起になっています。彼らは私たちの害になるだけです。労働組合は「自由貿易協定クソ食らえ」と言わなかった。自由貿易協定は、アメリカの労働者から職を奪うだけでなく、世界中の労働者を苦しめているのです。
ILWU本部の元委員長、ジミー・ハーマンの言葉を引用します。「港を数時間止めることはできるが、それでは何も変わらない。変わるまですべてを止めよう」。本当に労働者の力で港湾を止め、戦争をやめさせよう! アフガニスタンとイラクから軍隊を撤退させるまですべてを止めよう! 搾取する階級をやっつけよう! いんちきな連中をたたきのめせ!
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 ■動労千葉提起による3項目の決議

 1987年の国鉄分割・民営化は、日本における戦後最大の労働運動解体攻撃であった。民営化に向けた政府の委員会が設置されてから民営化強行までの6年間に20万人以上の国鉄労働者が職場を追われ、組合つぶしの攻撃が嵐のように吹き荒れ、200人の国鉄労働者が自殺に追い込まれた。またこの攻撃によって労働運動は後退をよぎなくされ、総評・社会党は解散に追い込まれた。その結果、市場原理主義の弱肉強食政策が日本のすべての労働者を襲い、今日までに1000万人をこす労働者が非正規職に突き落とされた。
 さらに国鉄の民営化は、鉄道の安全性と公共性を破壊し、2005年の尼崎事故では107名の乗員・乗客の生命が奪われた。また鉄道で働く労働者への安全を無視した作業の強要によって、保線作業中にひき殺される等、民営化以降300人をこす業務中の死亡事故をひき起こしている。
 こうした状況の中で、民営化強行から22年がたった今も、民営化によって解雇された1047名の労働者が、国鉄分割・民営化を弾劾し、解雇撤回を求めて闘いを続けている。
 従って本日の国際労働者会議の参加者一同は、本会議の名において、以下三つの決議を行うものである。
一、日本の鉄道労働者の闘いを支持するとともに、本会議の名において、日本政府および日本国有鉄道の法的・実質的な承継法人である鉄道運輸機構、JR各社に対し、直ちに1047名の解雇を撤回し原職に復帰させるよう強く求めるものである。
一、日本の法政大学において、「営業の自由」の名のもとに、学内での政治的表現や学生の自治のいっさいが禁止され、それに抗議する学生たちがこの3年間に110名も逮捕されるという異常な事態が起きている。しかもその弾圧は、かつて日本帝国主義がアジアへの侵略戦争を遂行するために制定され、今日まで生き残ってきた治安弾圧法を発動することをもって行われている。
 キャンパスは、いたるところに設置された監視カメラによって監視され、学生に対する強制退学や停学等の処分が乱発され、争議弾圧専門のガードマンや大学職員による暴力や殴打や、公安警察による誘拐まがいの行為が横行している。
 この弾圧を許したときに起きるのは、歴史が教えるように、労働運動をはじめ、現在の日本政府の危険な動きに声をあげるあらゆる組織と運動への圧殺攻撃であり、民主主義の絞殺であり、戦争への道である。
 従ってわれわれは、法政大学当局と警視庁に対し、学生への不当弾圧の即時中止と、今も長期拘束を強いられている8名の学生の即時釈放を強く求める国際的な抗議署名を展開することを決議する。
一、動労千葉をはじめとした日本の戦闘的労組は、闘う労働運動の全国ネットワークの形成と、改憲・戦争と民営化・労組破壊にたち向う労働者の国際的団結の発展をめざし、韓国民主労総ソウル地域本部やILWU、UTLA等のランク&ファイルの組合員と共に11月労働者集会を開催する。
 われわれは、この集会を重要な労働者階級の国際的な共同行動の日として支持し、闘いへの結集を各国で呼びかけることを決議する。

 2009年7月6日
 国際労働者会議参加者一同

 NEA大会でイノウエさんの決議案可決

 

●NEA第88回代表者会議(2009年7月1〜6日)

●2009年7月4日のNEA代表者会議におけるアーリーン・イノウエの口頭による陳述

この30年間にわたって、教師たちの声を抑圧し教育の自由を弾圧するという事態が世界中で起きています。これは、教育制度の市場化という動きの一部であり、減税や公共支出削減によって学校制度を着々と疲弊させ、公共財である公教育を私的利益を得る手段に変えようとするものです。
しかし、世界中で教師たちが決起し、非民主主義的に強制されるこうした独裁的政策に反対する意思表示を行っています。
「教育および教職の自由」に関するNEAの決議E―1は、教師の異なる意見について調べ討論する権利は教職にとって不可欠な基本的権利の一環であると断言しています。しかし、世界中の教師の教育の自由を支持するためには、そうした闘いと彼らが直面する諸問題について、われわれは情報を知らされ、教育される必要があります。
一例が日本であり、日本は教育基本法を改定するなどの大幅な教育政策の改革を行い、愛国心を示させることで政府への服従を推し進め、すべての国民に責任を負うものとしての教職を抹殺しようとしています。政府はまた、日本の侵略戦争のシンボルである日の丸(国旗)と君が代(天皇賛美の歌)に敬意を表すことを強制し、2004年からは学校の卒業式でこれが職務命令になっています。2004年からの5年間で、422人の日本の教育労働者が職務命令に従わなかったとして、東京都から6ヶ月の停職および給与停止、職場の強制異動、解雇の脅しなどといった処罰を受けています。
NEAは、日本および世界中の教師たちの教育の自由を私たちが支援することを確約します。教師たちが自分の良心に従って意思表明する権利を侵す攻撃が世界的に行われているのです。この闘いを広く知らしめ、民主主義を守る私たち姉妹兄弟の更なる闘いに結び付けていくNBI20を支持してください。ありがとうございました。

●NBI(新課題案件)第20号

修正を加えて採択

現存のコミュニケーションの手段(NEAのブログNEA TodayやNEAのウェッブサイトなど)を用いて、NEAは教育インターナショナルと共に、日本やプエルトリコ自治連邦区、メキシコなどのような国々で行われている全世界の教育の自由に対する攻撃の最新情報を公にしていく。 現存のコミュニケーションの手段(NEAのブログNEA TodayやNEAのウェッブサイトなど)を用いて、NEAは教育インターナショナルと共に、日本やプエルトリコ自治連邦区、メキシコなどのような国々で行われている全世界の教育の自由に対する攻撃の最新情報を公にしていく。
提出者=50人の代議員
担当者=アーリーン・イノウエ、カリフォルニア州

● 論理的根拠/ 背景

NEAは、「学問および教職の自由」(決議E─1)は教職
において不可欠であり、異なる意見について調べ討論する権利が教師や学習者にあるということもその一環であると考える。学問の自由をサポートし全世界的に行われている教師への攻撃に反対するには、情報が必要である。

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月刊『国際労働運動』(398号5-1)(2009/10/01)

 

Photo News

 

  (写真 上@A、 下BC)

イギリスで、首切りと雇用削減に反対する郵便労働者が、全国で7月ストを行うとともに8月17日から24日の間に再びストライキに入った(写真1、2=8月初旬にストに突入したブリストルの郵便労働者)。16万人の郵便労働者の所属する通信労組(CWU)は、9月に全国ストを行うためのスト投票を行うとしている。ロイヤル・メール側は、不況下で郵便物が減少しているため、合理化と人員削減、賃金削減が必要であるとしているが、労働者たちは組合との合意がないままの強引な「改革」推進に対する激しい怒りを燃やして各地でストに突入している。労働者たちはまた、ロイヤル・メールと断固として闘う方針を出さないCWU指導部に対しても怒っている。彼らは、全国ストライキにむけてCWU指導部に圧力をかけるとともに、全郵便労働者にスト突入を呼びかけている。現状でも過酷な労働を強いられている労働者は、これ以上の合理化と人員削減は絶対に受け入れない決意を固めており、闘いは大規模な発展が不可避の情勢に入っている。
7月27日、南アの自治体労働者は賃上げを求める全国ストに突入し、ヨハネスブルグ、ツワネ、ケープタウン、ポート・エリザベスなどを始めとして、全国各地で集会とデモを行った。ヨハネスブルグでは15%の賃上げと住宅補助金の給付を要求する自治体労働者1万人がデモを行った(写真4)。ケープタウンでは3000人がデモを行い、ダーバンでは5000人の自治体労働者がストに突入してピケットを張った。警察がこれらの労働者を襲撃し、発砲したり、デモ隊を逮捕したりしたが、労働者たちはこん棒で武装してこれを跳ね返した(写真3)

 

  (写真 上DE、 下FG)

昨年、2008年7月3日から6日にかけて、ブラジルのベティムでコンルータス(全国闘争連盟)の第1回大会が開催された。175の労働組合、学生団体、大衆団体を代表する2850人の代議員と320人の傍聴者、ブラジル国内およびラテン・アメリカ諸国、アメリカ合州国、ヨーロッパ、アフリカから招待された75人が参加した(写真5)
大会では新自由主義的なルラ政権との闘い、既成の体制内労組のナショナルセンターであるCUT(労働者中央同盟)と対決して闘う労働組合のナショナルセンターを形成する呼びかけが行われた。
コンルータスは、大恐慌下での政府による銀行や大企業の救済策や新自由主義的政策に反対する労働者階級の闘いを組織している(写真6=09年1月22日のサンパウロでの銀行救済に反対するデモ、7、8=09年8月17日のブラジリアでの政府の新自由主義政策に反対する3万人のデモ)。また、首切りや賃下げ、非正規雇用労働者と正規職労働者の分断政策と闘う広範な統一戦線を形成しようとしている。ランク&ファイルの闘いを基盤としてコンルータスは、ブラジルにおける階級的労働運動の重要な勢力として登場しつつある。日本における労組交流センターと同様の組織が、7月の動労千葉の訪米の際に、動労千葉と意気投合し、国際連帯の絆を結べたことは決定的な意義を持つ。

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月刊『国際労働運動』(398号6-1)(2009/10/01)

世界経済の焦点

■世界経済の焦点 日本財政は破綻に直面

 拡大する赤字/累積債務はGDPの1・7倍に

 世界大恐慌が深まる中で、日本帝国主義の国家財政はますますその破綻をあらわにしている。総選挙をとおして、財政破綻にどう対処するかという問題があらためて浮上してきた。支配階級が攻撃の焦点としているのは道州制の導入だ。

 □米財政赤字も過去最大

 世界大恐慌は、各国帝国主義の国家財政を直撃した。最も典型的なのはアメリカだ。
 アメリカの09年度(08年10月〜09年9月)の財政赤字は、1兆8千億j(約167兆円)を超える見通しだ。アメリカがこれまでに最悪の財政赤字を記録したのは、08年度の4585億5500万j。1年後には、その3倍もの財政赤字が生み出されたのだ。赤字の原因は、7870億j(約73兆円)もの景気対策費が支出され、GMを始めとする破綻した自動車資本などにつぎ込まれたためだ。
 これによる膨大な国債発行を支えるために、FRB(米連邦準備制度理事会)は、3000億j規模の長期国債の買い取りという非常手段に踏み切った。
 同時にアメリカの財政は、米国債を大量に保有する中国に依存しなければ成り立たない状態だ。大恐慌は、アメリカの国家財政を危機的状態にたたき込んだのだ。

(図 政府の累積債務)

 □帝国主義の最弱の環

諸帝国主義の中で最も危機的な財政破綻に陥っているのは日本帝国主義だ。
 福田政権の後を受けて08年秋に登場した麻生政権下で、日帝は再び赤字放漫財政へかじを切った。08年度には福田政権による第1次補正予算、麻生政権による第2次補正予算が組まれ、財政拡大への歯止めは失われた。特に、08年度第2次補正予算で、同年度の一般会計規模が84兆円から89兆円に拡大するとともに、新規国債発行額が33兆円に膨らんだことは決定的だった。
 小泉政権以来、新規国債発行額を30兆円以下に抑えることは、財政運営の絶対的な基準とされてきた。しかし、08年9月の米証券大手リーマンの破綻で一挙に激化した世界金融大恐慌を前に、日帝もまた、野放図な財政拡大による資本救済に走るほかになかったのだ。08年度第2次補正予算では、「究極のばらまき財政」と呼ばれた定額給付金の支給も盛り込まれた。
 09年度予算で、財政赤字はさらに拡大した。麻生政権は、09年度当初予算が国会で成立しないうちから補正予算の編成に着手し、5月に補正予算を成立させた。これにより、09年度の一般会計は総額102兆4736億円に膨らんだ。09年度の新規国債発行額も、44兆円という途方もない規模になった。
 09年度末の国債発行残高は592兆円に達する見通しだ。国と地方自治体を併せた長期債務残高は816兆円、GDP比で168%になると見込まれている。GDP比で見て、これほどの累積債務を抱える国は、帝国主義諸国の中では日本以外にない。日本に次いで財政状態の悪いイタリアでも、累積債務の対GDP比は114%程度だ。
 新規国債発行額が44兆円に達することも、他国に例を見ない。例えばドイツは、恐慌対策のため09年度中に過去最大規模の国債を発行する予算を組んだ。その発行額は、476億ユーロ、日本円で6兆3千億円程度だ。この赤字予算を認めるかどうかが、9月に行われるドイツ連邦議会選挙の大きな争点になっている。
 これと比べて、日本の国債発行額はとてつもなく大きい。要するに、国家財政という点から見ても、日帝は帝国主義の最弱の環なのである。

 □「基礎的財政収支の黒字

  化」は達成不可能に   化」は達成不可能に
 にもかかわらず、日本帝国主義は赤字放漫財政を中断することはできない。世界大恐慌のただ中で、巨大な財政出動を続けるほかに、資本を延命させる方策はないからだ。財政赤字がますます拡大していくことは必至だ。
 麻生が今年6月に策定した「経済財政改革の基本方針2009」(骨太方針2009)は、小泉以来、歴代の政権が掲げてきた「2011年度までに国・地方の基礎的財政収支を黒字化する」という目標を公然と投げ捨てた。
 基礎的財政収支(プライマリーバランス)とは、「国債発行収入を除く歳入」から「国債の元利償還費を除く歳出」を引いたもののことだ。基礎的財政収支が均衡する(ゼロになる)と、過去に発行した国債の元利償還分と、新たに発行される国債の総額は等しくなる。つまり、借金返済額と、新たな借金は同額になるということだ。基礎的財政収支が赤字になれば、新たな借金は年々の借金返済額を上回り、負債の総額は雪だるま式に増えていく。こんなことはいつまでも続かない。
 ところが、日本の国家財政は、長年にわたり基礎的財政収支赤字の状態を続けてきた。これを放置すれば、いつかは必ず国債は大暴落し、国家は借金をすることができなくなる。いわば国家の倒産だ。だから、「基礎的財政収支の黒字化」は、日帝にとって絶対的な課題だった。
 小泉政権下で策定された「骨太方針06」は、5年後の2011年度に基礎的財政収支の黒字化を達成するとして、社会保障費を5年間で1・1兆円削減するプランを打ち出した。この方針のもと、07年度と08年度の当初予算で、社会保障費はそれぞれ2200億円削られた。また「骨太方針06」は、消費税の大増税も早晩、着手すべき課題として明確に掲げていた。
 小泉政権以来、日帝は一切の犠牲を労働者階級人民に押しつけて、「財政健全化」を成し遂げようとした。基礎的財政収支も、02年に対GDP比で5・7%の赤字だったものが、07年には1・3%の赤字へと「改善」した。
 だが、「骨太方針06」に基づく支出抑制策は2年しか続かなかった。それを規定したのは、小泉「構造改革」に対する労働者人民のすさまじい怒りの噴出だ。安倍、福田が立て続けに政権を投げ出したのは、労働者の怒りを恐れたからだ。これに加え、世界大恐慌は、恐慌対策としての財政拡大を不可避にした。
 そもそも小泉以来、自公政権は「財政再建」を掲げながら、法人税減税を始めとした資本減税を温存・拡大し、膨大な資本救済費の支出も継続してきた。その一方で所得税の定率減税廃止(増税)や、医療費・生活保護費の削減、年金改悪などの社会保障制度解体は徹底的に進められた。「三位一体改革」の名のもと、地方自治体への交付金・補助金は大幅に削減され、地方経済はとことんまで破壊された。同時にこの過程で、労働者の賃金切り下げと不安定雇用化がすさまじい勢いで進行した。一切の犠牲が労働者に押しつけられ、他方で資本は空前の利潤を手に入れた。
 このことへの労働者の怒りが、世界大恐慌とあいまって、自民党支配の崩壊をもたらしたのだ。その根底にあるのは、日本帝国主義が4大産別を始めとした労働者の階級性と団結を解体しきれていないという事態だ。

 □自民党支配の崩壊もたらした国鉄闘争

 思えば、日本における新自由主義の攻撃の先駆けをなした国鉄分割・民営化も、「財政再建」を表看板にして強行された。国鉄赤字が国家財政赤字の元凶とされ、国鉄労働者は赤字を生み出す張本人としていわれなき非難を浴び、徹底的に攻撃された。
 国鉄分割・民営化が強行された87年当時(86年度末)の累積国債残高は145兆円程度だ。今日から見れば4分の1ほどの累積債務だが、当時、支配階級はそこに自らの死を読みとって、国鉄分割・民営化を突破口に労働者の階級的団結をことごとく破壊しようと全力を挙げた。
 だが、これに抗して国鉄1047名闘争が闘い続けられたことにより、支配階級の思惑は完全に破産した。こうした事態を切り開いたのは、国鉄分割・民営化反対のストライキに立ち、その後も階級的団結の強化を総括軸にJR体制と果敢に対決してきた動労千葉の闘いだ。それを根底に継続された1047名闘争により、自民党は4大産別における労組解体のもくろみを貫徹できないまま、その支配の崩壊に追い込まれたのだ。
 このことに規定されて、支配階級は大恐慌の中で資本主義を延命させるまともな基本戦略を打ち出せないままでいる。総選挙において民主党は、子ども手当の増額、公立高校無償化、農漁業への戸別所得補償制度、高速道路無料化、最低保障年金の創設などを公約の柱に打ち出した。これは、膨大な財政支出増を不可避とする。これと対抗して、自民党も幼児教育の無償化、高校・大学生への給付型の奨学金制度創設などを提唱した。小泉以来の社会保障費大幅削減に対する労働者の怒りをなだめようと、支配階級は躍起になったのだ。
 だが、資本主義を延命させるためには、結局は社会保障の解体と消費税の大増税に突き進む以外にない。
 そうした攻撃の最大の突破口に位置づけられているのが道州制の導入だ。

(図 部門別の資金過不足【07年度と08年度との比較】)

 □道州制との全面対決へ

大恐慌下、実体経済の急落はすさまじい。09年上半期の日本の輸出総額は、前年同期比で42・7%の減となった。同期の自動車国内生産台数は同45・2%減、国内粗鋼生産量は同40・7%減、企業の設備投資計画は過去最大の9・2%の減少となった。
 これに伴い税収も大幅に落ち込み、08年度の税収は予定額を2・2兆円も下回った。
 今日、企業の利潤は急減し、株式配当も低落している。労働者には大首切りと賃下げの攻撃が容赦なく襲いかかっている。
 巨大な国家財政赤字は、企業や家計部門の余剰資金によって補填されてきた。しかし、大恐慌下では企業や家計に「余剰」などなくなる。何よりも重大なことは、輸出を軸に形づくられてきた日帝の資本蓄積構造が崩壊したということだ。日帝が、他帝国主義とは比較にならない膨大な財政赤字を出し続けられたのは、日本が対外収支で黒字を計上してきたからだ。財政赤字を国内の余剰資金で補填できるという条件が失われれば、直ちに「国債が売れない」という危機に突き当たる。
 だから支配階級は、道州制導入という反革命クーデターに打って出ることによって、一切の犠牲を暴力的に労働者に押しつけて「財政再建」を強行しようとしているのだ。
 自治労本部や4者4団体を始めとした体制内労働運動指導部は、民主党支持=道州制推進に回ることで資本主義の救済者として立ち現れている。それは、国鉄分割・民営化以来二十数年にわたり不屈に展開された1047名闘争を軸として、労働者階級がついに自民党支配を崩壊に追い込んだ歴史的成果を一挙に無に帰す一大反動だ。
 日帝の膨大な財政赤字は、資本主義がその内部から腐食し崩壊していることを示している。労働者階級のとるべき道は、資本主義を打倒することだ。4大産別決戦を貫き、11・1労働者集会1万人結集へ闘おう。
 (岩谷芳之)

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月刊『国際労働運動』(398号7-1)(2009/10/01)

世界の労働組合

■世界の労働組合 チームスターズ(全米運輸労働組合)

(International Brotherhood of Teamsters:IBT) (International Brotherhood of Teamsters:IBT)

 ■概要

 チームスターズは19世紀につくられた御者組合がそのルーツである。1903年にチームスター労組を組織する二つの勢力グループが合併してチームスターズ(International Brotherhood of Teamsters)を結成した。現在は公共機関と民間機関の両方を傘下に、ブルーカラー労働者と専門職労働者を共に組織している。組合員数は約140万人で、全米で最大勢力を誇る巨大労組の一つである。かつては全米トラック運転手・乗用車運転手・倉庫労働者・運転助手の国際労働組合(International Brotherhood of Teamsters, Chauffeurs, Warehousemen and Helpers of America)と呼ばれていた。  チームスターズは19世紀につくられた御者組合がそのルーツである。1903年にチームスター労組を組織する二つの勢力グループが合併してチームスターズ(International Brotherhood of Teamsters)を結成した。現在は公共機関と民間機関の両方を傘下に、ブルーカラー労働者と専門職労働者を共に組織している。組合員数は約140万人で、全米で最大勢力を誇る巨大労組の一つである。かつては全米トラック運転手・乗用車運転手・倉庫労働者・運転助手の国際労働組合(International Brotherhood of Teamsters, Chauffeurs, Warehousemen and Helpers of America)と呼ばれていた。
 発足当時からAFL−CIOに所属していたが、1957年に除名され、その後、独立系組合として活動を続けていた。1985年に再加盟を認められたが、2005年にAFL−CIO内のほかの四つの巨大労組と共にチェンジ・トゥ・ウイン連盟(Change to Win Federation)という連携グループを設立した。  発足当時からAFL−CIOに所属していたが、1957年に除名され、その後、独立系組合として活動を続けていた。1985年に再加盟を認められたが、2005年にAFL−CIO内のほかの四つの巨大労組と共にチェンジ・トゥ・ウイン連盟(Change to Win Federation)という連携グループを設立した。

 ■マフィア支配の労働組合

 1930年代の大恐慌下の時代に、チームスターズは全米で頻繁に起こるストライキで二面の役割を果たしていく。チームスターズのランク&ファイルの組合員たちは、さまざまな産業での労働組合のストライキ支援に起ち上がっていった。しかし、物資輸送という産業全体の大きな要を担う運輸労働組合であることは、同時に資本側からもストライキを破壊できる手段を手にする組合として大いに期待された。チームスターズの幹部たちは資本側から多額の賄賂を得て、スト破りを組織したりスト破壊に組合として乗り出すなどの行動をとっていった。
 食料品チェーンで労働組合を組織したジミー・ホッファが1957年に委員長に就任してからは、ラスベガスを組合の莫大な年金基金の投資先とし、ここからマフィアとの緊密な関係が生まれた。つまり、マフィア関連のホテル、カジノ、あるいはモーテルの建設にチームスターズの基金から融資を行い、最終的にその利益の一部がホッファらに還流されたのである。
 こうしてチームスターズの権力は、マフィアの協力を後ろ盾に腐敗の極致へと突き進んでいった。

 ■チームスターズ民主化同盟

 この腐敗したマフィア支配の組合を民主化するためチームスターズ民主化同盟(Teamsters for a Democratic Union: TDU)が結成され、1991年の役員選挙で、ロン・ケリーが会長に選出された。こうした運動は、他の組合にも大きな影響を与え、AFL−CIOの民主化をもとめる「新しい声(New Voice)」派を生み出す背景ともなった。新しい声派は1995年にカークランド会長を辞職させ、ジョン・スウィーニーに率いられる新しいAFL−CIO体制を生み出すことになった。  この腐敗したマフィア支配の組合を民主化するためチームスターズ民主化同盟(Teamsters for a Democratic Union: TDU)が結成され、1991年の役員選挙で、ロン・ケリーが会長に選出された。こうした運動は、他の組合にも大きな影響を与え、AFL−CIOの民主化をもとめる「新しい声(New Voice)」派を生み出す背景ともなった。新しい声派は1995年にカークランド会長を辞職させ、ジョン・スウィーニーに率いられる新しいAFL−CIO体制を生み出すことになった。
 しかし、チームスターズが、世界最大の宅配企業であるUPS(United Parcel Service:組合員数21万人)で15日間のストを打ち抜き、パートの正社員化などを勝ち取った直後の1997年8月、ロン・ケリー会長は、1996年の組合役員選挙で組合の資金を不正に選挙に流用したとして、当選の無効と次回選挙への立候補禁止を命じられた。そして1998年にやり直された組合役員選挙で会長に選ばれたのは、ジミー・ホッファの息子ジェームス・ホッファであった。後にケリーの「不正選挙」の嫌疑は晴らされたが、執行部を奪われたことは元に戻らなかった。  しかし、チームスターズが、世界最大の宅配企業であるUPS(United Parcel Service:組合員数21万人)で15日間のストを打ち抜き、パートの正社員化などを勝ち取った直後の1997年8月、ロン・ケリー会長は、1996年の組合役員選挙で組合の資金を不正に選挙に流用したとして、当選の無効と次回選挙への立候補禁止を命じられた。そして1998年にやり直された組合役員選挙で会長に選ばれたのは、ジミー・ホッファの息子ジェームス・ホッファであった。後にケリーの「不正選挙」の嫌疑は晴らされたが、執行部を奪われたことは元に戻らなかった。

 ■アメリカ労働運動を左右するチームスターズの行方

 現在もジェームス・ホッファが会長を務めるチームスターズは、政治と癒着し政党に多額の献金を納めている。ホッファは、ブッシュ政権が掲げてきた石油採掘促進のためのアラスカ州の北極圏野生生物保護区(Arctic National Wildlife Refuge:ANWR)における掘削解禁をずっと支持してきたが、グリーン・ニューディールを掲げるオバマ政権の下では早くも環境保護を提唱してANWR保護を宣言した。現在の政党への組合の献金は92%が民主党へ流れている。  現在もジェームス・ホッファが会長を務めるチームスターズは、政治と癒着し政党に多額の献金を納めている。ホッファは、ブッシュ政権が掲げてきた石油採掘促進のためのアラスカ州の北極圏野生生物保護区(Arctic National Wildlife Refuge:ANWR)における掘削解禁をずっと支持してきたが、グリーン・ニューディールを掲げるオバマ政権の下では早くも環境保護を提唱してANWR保護を宣言した。現在の政党への組合の献金は92%が民主党へ流れている。
 チームスターズは、運輸業界にとどまらずさまざまな産業の労働組合を傘下に治めている。チームスターズのランク&ファイルが起ち上がれば、アメリカの労働運動は大きく前進することになるだろう。この革命情勢下でその日は近いに違いない。

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月刊『国際労働運動』(398号8-1)(2009/10/01)

国際労働運動の暦

■国際労働運動の暦 10月23日

 ■1956年ハンガリー革命■
 ソ連軍戦車との激突
 スターリン主義の打倒に肉薄した労働者学生人民の巨大な武装蜂起

 1953年3月、ロシア革命の歪曲の上にソ連の権力を掌握し続けたスターリンが死去、スターリン主義の歴史的破産の時代が始まった。東欧諸国はスターリン主義の矛盾の集中点だった。東独、ポーランドに続いて、ハンガリー労働者階級がついに武装反乱に決起した。敗北したとは言え、それは明白にスターリン主義打倒のプロレタリア革命だった。日本における反スターリン主義・革命的共産主義運動の創成は、このハンガリー労働者の血の決起を自らの問題として受けとめ、全力で応えるところから始まった。
 ハンガリーでは、49年にスパイとして処刑されたライク元内相の名誉回復が56年3月にあり、7月その責任者ラーコシが辞職、代わりにゲレーが共産党第一書記になった。いずれもソ連政府のカイライだった。10月6日にライクの改葬式が行われ、20万人が参加した。

 ●大衆的デモの戦闘化

 10月22日、ブダペスト工科大学で集会があり、ソ連軍の即時撤退、ラーコシ時代の指導者の解任、労働者の給与の修正など16項目の要求が作成された。
 10月23日、ブダペスト大学1万人のデモは、知識人、労働者、部分的には兵士も加わって30万人に膨れ上がった。警官の発砲を引き金に闘いは一気に爆発した。労働者は武器工場に入って武装した。兵士も続々と合流した。人民はAVO(国家保安委員会=秘密警察)と実力で闘った。
 24日、ソ連は、人気の高いナジを首相に立てるとともに、戦車隊のブダペスト侵入で、秩序回復を図った。だが、労働者市民は、火炎びんとライフル銃で勇敢に戦った。ブダペスト市街戦の激化とともに各地に反乱が拡大し、工場労働者評議会が続々組織され、ゼネストと戦闘が拡大した。ソ連軍の中にも、ハンガリー労働者の訴えに心を動かされ、反乱に加わる兵士も生まれた。事実上の二重権力状態が現出した。
 ソ連政府・フルシチョフは、いったん軍隊を撤退させざるを得なかったが、ここで妥協したら東欧全体の失陥につながるという恐怖にかられ、ナジを見限りカーダールを立て、11月4日、ソ連軍の第2次介入に踏み切った。2度目の侵攻は情け容赦ない砲撃と大虐殺だった。ブタペストはがれきの山と化した。ブダペスト占領、ナジ内閣解体、反乱部隊の鎮圧によって、ハンガリー労働者階級は7日のドゥナペンテレにおけるソ連軍撃退を始めとする英雄的武装闘争の継続があったが、敗北した。ソ連のカイライ・カーダール政権によってナジは捕らえられ、後に処刑された。

 ●労働者評議会の経験

 

ハンガリー革命における反乱の主体はハンガリー労働者階級人民であり、反乱の対象はハンガリー官僚政府とそれを操るソ連スターリン主義政府だった。
  それは、過渡期における社会主義建設のスターリン主義的歪曲に対する革命的、階級的弾劾だった。
  1945年のソ連軍による「東欧の解放」とそれに続く「人民民主主義国」と称する体制は、社会主義とはまったく違う官僚的抑圧体制だった。ソ連軍の占領の下での労働者評議会なき「解放」と労働者の直接的生産管理なき国有化、出来高賃金制とノルマ強制労働、農産物の強制輸出による食糧不足、経済の荒廃――これらに対する10年余の労働者階級の怒りは沸騰点に達していたのだ。
  ハンガリーには、反帝国主義・反スターリン主義の労働者党が存在せず、蜂起も計画されたものではなく自然発生的なものだった。指導的中心を欠き、中間主義的なナジ政権でなく労働者自身の権力を打ち立てる展望をもっていなかった。
  その後、カーダール政権のもとに労働者は押さえ込まれ、ハンガリー革命の経験もタブーとされ封印された。89年以降のソ連圏からの離脱と資本主義化の中で、今日の大恐慌下、労働者階級の自己解放闘争が改めて問われている。工場、職場に労働者評議会を組織して自らが主人公となって闘った教訓は、今に生きている。
  (写真 ソ連軍戦車を分捕った労働者)

 

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■1956年ソ連・東欧とハンガリー革命

 

2・14 ソ連共産党20回大会でフルシチョフ秘密報告「スターリン批判」
6・28 ポーランド・ポズナニの労働者蜂起
10・6 処刑されたライクらの名誉回復、改葬式に市民20万人参加
10・23 ブダペストで大規模デモ、スターリン銅像倒壊
10・24 ソ連軍出動、ナジ首相に任命。戒厳令布告、労働者評議会つくられ始める
10・27 ナジ、内閣改造
10・30 ソ連政府、社会主義諸国間の平等に関する宣言発表
11・1 ナジ、ハンガリーの中立宣言
11・4 ソ連軍、第2次介入。カーダールが新政府の樹立を宣言
11・14 ブダペスト中央労働者評議会結成、ゼネスト続く
12・9 政府、労働者評議会を非合法化
12・11 全国で48時間ゼネスト始まる、政府は戒厳令を布告

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月刊『国際労働運動』(398号9-1)(2009/10/01)

日誌

■日誌 2009年7月

2〜7日 世界から7カ国の労組が参加
動労千葉の田中康宏委員長、君塚正治副委員長、動労千葉国際連帯委員会の山本弘行事務局長をはじめとする動労千葉訪米団は、アメリカ・サンフランシスコを訪問し、同地で開かれた国際労働者会議に参加した。全世界から7カ国の戦闘的な左派の労働組合代表・活動家が参加した
3日東京 国労5・27臨大闘争弾圧最終弁論
国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第112回公判が東京地裁刑事第10部(植村稔裁判長)で開かれ、前回に続き弁護団が最終弁論に立った
3日神奈川 道州制粉砕・国鉄決戦勝利集会
「道州制・民営化絶対反対、国鉄1047名解雇撤回」神奈川労働者総決起集会が横浜駅前のかながわ県民センターで開かれ95人の労働者の結集で大成功した
4日沖縄 星野さんを取り戻す会第15回総会
「沖縄万人(うまんちゅ)の力で星野さんを取り戻す会」の第15回総会が開かれた
4日長崎 裁判員制度絶対廃止を訴え
「裁判員制度に反対する佐世保集会」が集会実行委員会の主催で開催された
5日千葉 三里塚「第3誘導路」ふざけるな!
反対同盟の呼びかけで、三里塚現地闘争が闘われ、350人の労働者・農民・学生が結集した。前日に明らかになった「第3の誘導路計画」への激しい怒りが、この日の闘いを燃え立たせた
6日東京 日教組全国大会で大宣伝戦
日教組第97回定期全国大会で、全国労組交流センター教育労働者部会が横断幕を掲げてビラを配布した
9日韓国 双龍自動車、工場占拠スト50日に
工場占拠スト50日を迎えた韓国・民主労総金属労組双龍(サンヨン)自動車支部。ソウルから南約65`にある平沢(ピョンテク)工場で無期限スト突入の5月22日から1000人を超える組合員が「闘って勝つには団結しかない」と工場を占拠し、スト隊列を守り抜いている
10日東京 イラン大使館に抗議行動
動労千葉と外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会の呼びかけでイラン大使館抗議行動に立ち上がった。在日イラン人などを含む30人の労働者・学生が参加した
10、16、17日大阪 全社労が門前闘争
全社連(全国社会保険協会連合会)に対し全社連労組は、10日には大和郡山市の奈良社会保険病院、16日には横浜市の社会保険横浜中央病院に、17日には東京の港区高輪にある全社連本部にのりこみ、職員部幹部を徹底弾劾しストを通告した
11、12日広島 “田母神は来るな”の怒り爆発
広島の闘う仲間は、東京・杉並での田母神講演会粉砕の闘いと固く連帯して、「田母神来広弾劾」の街頭行動に立ち上がった
12日大阪 全国連西郡支部が大会
部落解放同盟全国連西郡支部の第4回定期大会が、桂人権コミュニティセンターで180人の結集でかちとられた。八尾北医療センター民営化絶対反対決戦への突入と、住宅闘争と狭山闘争を両輪に、全国の部落解放の砦(とりで)=拠点への飛躍を誓い合う熱気あふれる大会になった
12日東京 杉並で田母神講演会ぶっ飛ばせ集会
田母神講演会粉砕・「つくる会」教科書採択反対労働者集会が、杉並・産業商工会館で開かれた。160人が集まった
12日岡山 「オバマと田母神を許すな」岡山集会岡山市内で「被爆64周年8・6ヒロシマ行動へ!7・12岡山集会」が開かれた
14日東京 法大弾圧 洞口さん停学3カ月
法政大学当局は、文化連盟の洞口朋子さん(経済学部1年)に対し、停学3カ月(7月15日〜10月14日)処分を出した。徹底的に弾劾する
15日茨城 動労水戸に新たに加盟
動労水戸に新たに1人の組合員が加入した。これは獄中にいる法大をはじめ8人の学生の闘いと固く団結して切り開かれた決定的な勝利である
16日京都 京都大、暴処法粉砕で集会
京都大学で「暴処法による学生弾圧をぶっとばせ!全京都学生集会」が行われ、30人の闘う学生が結集した
17日東京 5・27被告団、最終意見陳述
東京地裁刑事第10部(植村稔裁判長)で開かれた国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第114回公判では、各被告の最終意見陳述が行われた
17日東京 5・27裁判最終意見陳述で1日行動
公判に先立ち、被告団を先頭とする国労共闘と動労千葉・動労総連合、労組交流センターなどの闘う労働者は、JR東日本本社(新宿)と鉄道運輸機構(横浜)に対する抗議行動を貫徹した。JR東日本本社抗議行動には100人が参加した。横浜の鉄道運輸機構の弾劾行動には40人が参加した。午後の公判後、文京区民センターで「国鉄闘争勝利総決起集会」が開かれ、被告団と動労千葉は国鉄闘争に責任をとりきる主流派として躍り出ることを断固、宣言した
18日東京 反戦反核東京集会
杉並区の産業商工会館で反戦反核東京集会が120人の労働者・市民の参加で開かれた。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会が主催した
19日大阪 関空闘争“道州制粉砕・橋下打倒へ”泉佐野市で関西新空港反対全国集会とデモが闘われた。地元住民・労働者60人を先頭に大阪、東京、千葉、広島、愛知、九州など全国から参加、昨年の1.5倍の275人の結集で大高揚した
19日 北陸労組交流センター設立総会
北陸労組交流センター第19回総会がかちとられ、闘う方針、新役員体制が確認された
20日千葉 “全国に動労千葉支援する会を”
動労千葉を支援する会の09年度定期総会が、DC会館で開催された。各地区の会員と動労千葉の組合員など120人が集まり活動方針と役員体制を決定した
20日千葉 11月集会へ7カ国労働者が国際決議
動労千葉を支援する会の総会で、動労千葉から、7月上旬アメリカのサンフランシスコで開かれた労働者の国際会議の報告があった。報告によれば、会議で動労千葉が提案した3点を主要な内容とする決議が満場一致で採択された。@国鉄1047名闘争支援、A法大での学生弾圧粉砕、B11月労働者集会への結集を呼びかける決議だ
20日福岡 九州初の裁判員裁判弾劾へ集会
裁判員制度廃止に向けた福岡市で、「市民のための刑事弁護を共に追求する会」が主催する“みんなの拒否で裁判員制度を廃止に”集会が行われ70人が参加した。
21日東京 不当研修に抗議、処分者が闘う
東京都教育委員会は、今春の卒・入学式で「日の丸・君が代」不起立で闘った教育労働者6人に対する「服務事故再発防止研修」を強行した。研修の対象とされたのは、不起立処分を受けた14人の労働者のうち、停職3カ月処分を受けた都立特別支援学校の労働者1人など6人
21日千葉 市東さん裁判 公団は“不在地主”
千葉地裁で市東孝雄さんの二つの農地裁判が開かれた(@市東さんが千葉県を訴えた行政訴訟とA空港会社=NAAが市東さんの農地の明け渡しを求めた民事訴訟=農地法裁判)。農地強奪攻撃の張本人NAAとそれにお墨付きを与えた千葉県への怒りに燃え、連続裁判に労働者・学生・市民85人が駆けつけ傍聴席を埋めた。法廷で決定的な事実が反対同盟側によって突き出された。空港公団(現NAA)は「不在地主」であったのだ 
22日宮城 7・22東北大学集会開く
東北大で「暴処法弾圧は戦争への道!法大8人の仲間を取り戻そう! 7・22東北大集会」が20人の学生・労働者の結集で打ち抜かれた
23日茨城 動労水戸が第1波緊急スト
動労水戸は、国鉄分割・民営化以来22年間の革命的決着をかけた闘争に突入している。JR常磐線の心臓である勝田車両センターにおける動労水戸組合員1人と青年労働者に対する強制配転攻撃に対して、当日勤務の全組合員10人が、半日から全一日のストライキに立ち上がった
26日千葉 双龍労組スト、動労千葉が支持声明
「双龍自動車労働者のみなさんのストライキ闘争を断固支持します!」、日本の地から動労千葉が熱い連帯声明を発した
25日東京 東京青年労働者集会開く
「解雇撤回! 民営化絶対反対! 7・25東京青年労働者集会」が、160人の結集で大成功した。集会は、日逓中野営業所の非正規職大量解雇に対して、解雇撤回闘争に立ち上がった青年労働者K君を先頭に呼びかけられた
25日東京 8・3東京地裁デモへ街宣
「裁判員制度はいらない!大運動」は、新宿駅西口で街頭宣伝を行い、裁判員制度の廃止を求める署名と全国初の裁判員裁判を弾劾する8・3東京地裁デモへの参加を呼びかけた
25日広島 田母神来るな!原爆ドームまでデモ
8・6ヒロシマ大行動実行委員会の仲間50人が平和公園に集まり、「田母神はヒロシマに来るな!」と原爆ドームまでデモを行った
26日 関西・東北革共同集会開かれる
関西と東北で革共同政治集会が行われた。
浪速区民センターで関西革共同集会が235人の結集で開催された。基調報告、綱領草案提起、関西地方委員会報告の三つの提起で、路線・方針が鮮明に提起され、革命で勝利しようという熱気が会場にあふれた
「せんだいメディアテーク」において、革共同東北政治集会が120人の結集でかちとられた。09年前半の激戦激闘のビデオ映像が映し出されると、会場は革命勝利への熱気と自信、確信に満ちあふれた
26日茨城 動労水戸軸に団結、茨城県集会
水戸市内で茨城県労働者総決起集会が開かれ、県内外から闘う労働者70人が結集した
27日千葉 市東さん耕作権裁判   27日千葉 市東さん耕作権裁判  
三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの耕作権裁判が千葉地裁で開かれた。反対同盟を先頭に85人が「農地死守」の固い決意で支援に駆けつけ、傍聴席を埋めた

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月刊『国際労働運動』(398号A-1)(2009/10/01)

編集後記

■編集後記

 サンフランシスコ国際労働者会議が大成功した。動労千葉など3労組主催の11月労働者集会の積み重ね、日韓米の3国連帯の強化がついに7カ国の国際会議に発展した。報告集「世界に翔びたとう10」を読むと、世界恐慌情勢の中で、各国でそれぞれの体制内労働運動と対決して闘う新潮流運動が存在しており、みな熱烈に国際連帯を求めているということだ。
 このパンフはインパクトのある発言で満ちあふれている。トルコの労組の発言の最後に、イスラム原理主義のスカーフをした女性が来て、「あなた方が社会主義者、共産主義者であることは知っています。労働者階級を代表し、戦闘的に闘っているあなたたちと一緒にやりたいんです」と言われたというエピソードがある。全世界の労働者はひとつであり、社会主義革命を求めているのだ。

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