International Lavor Movement 2013/01/01(No.437 p48)

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2013/01/01発行 No.437

定価 315円(本体価格300円+税)


第437号の目次

表紙の画像

表紙の写真  11・4全国労働者総決起集会後のデモ行進(東京)

■羅針盤 野田・安倍・石原・橋下打倒 記事を読む
■News & Review 日本
 11・4日・韓・米・独国際連帯集会   外注化・非正規職撤廃へ闘いは始まった
記事を読む
■News & Review 韓国
 11・11ソウル、民主労総3万が都心をデモ   動労千葉訪韓団50人が熱い合流かちとる
記事を読む
■News & Review 中国
 中国の末期的危機を示す習近平体制発足   怒りのストライキ・暴動が連日爆発
記事を読む
■特集 国鉄決戦・裁判闘争   外注化阻止、解雇撤回・JR復帰へ全力投入を  
●討議資料
 動労千葉 鉄建公団(鉄道建設運輸機構)訴訟第一審6・29判決=東京地裁民事11部(白石哲裁判長)(抜粋)
 
■Photo News  
■世界経済の焦点   日本経済2番底へ   競争力低下し生産・収益で海外依存増す  
■世界の労働組合 韓国編   全国言論労働組合  
■国際労働運動の暦 1月18、19日   ■1969年東大闘争■
 東大安田講堂死守戦   エリート養成の帝国主義大学解体へ8500人の機動隊と35時間の激闘
 
■日誌 2012年10月  
■編集後記 記事を読む
裏表紙の写真 スペインのゼネスト( 11月14日)

月刊『国際労働運動』(437号1-1)(2013/01/01)

羅針盤

■羅針盤 野田・安倍・石原・橋下打倒

▼日帝・野田政権は11月16日、衆議院解散・総選挙という絶望的なかけに打って出た。だがそれは、支配階級の分裂・抗争を一層激化させ、日帝の危機と統治能力の崩壊をいよいよ促進する。解散・総選挙は、野田・安倍・石原・橋下などの極右勢力が戦争・改憲、原発再稼働、日米安保強化と核武装、道州制、民営化・外注化・非正規職化、さらには増税やTPP(環太平洋経済連携協定)など、新自由主義政策の絶望的凶暴化を競い合う、労働者人民への階級戦争そのものだ。労働者階級は、国鉄決戦と反原発決戦の爆発、階級的労働運動の再生と発展をもって解散・総選挙情勢と全面対決しよう。
▼闘う労働組合と階級的労働運動の復権を高らかに宣言した11・4労働者集会、20万人決起で霞が関・永田町一帯を占拠した11・11反原発闘争、非正規職撤廃へ日韓労働者の固い団結をつくり出した11・10〜11訪韓闘争は、外注化阻止・非正規職撤廃闘争と反原発闘争が相互に強め合いプロレタリア世界革命に進む新たな地平を切り開いた。
▼解散・総選挙には労働者人民の選択肢も未来もまったくない。労働者人民の未来と展望は、11・4集会でかちとった地平、外注化阻止・非正規職撤廃を全産別・全職場で闘い、階級的労働運動を全産別で復権させ、反原発闘争の路線的・運動的な大発展をかちとることの中にある。解散・総選挙で、民主党政権を支える連合の危機もさらに深まり、労働運動の分岐と大流動が一挙に強まる。11・4労働者集会の地平でこの時代に立ち向かい、解散・総選挙情勢と徹底対決しよう。労働者の団結の前進、闘う労働組合の再生で、野田・安倍・石原・橋下ら極右・改憲勢力をぶっ倒そう!

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月刊『国際労働運動』(437号2-1)(2013/01/01)

News&Reviw

■News & Review 日本

11・4日・韓・米・独国際連帯集会

外注化・非正規職撤廃へ闘いは始まった

 □東京・日比谷野音に5800人が大結集

(写真 労働組合復権へ団結ガンバロー=y11月4日 日比谷野音】)

  11月4日、東京・日比谷野外音楽堂で全国労働者総決起集会が5800人の大結集で意気高くかちとられた。動労千葉、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同の呼びかけ3労組を先頭に、全国から闘う労働者・労働組合が大結集した。また韓・米・独と、滞日外国人労働者が多数参加し、大恐慌、新自由主義と対決する国際的な労働者大会となった。
 集会は何よりも、動労千葉・動労水戸を先頭に闘われた10・1JR検修・構内業務外注化阻止決戦の地平の上に、国鉄闘争の勝利と反原発闘争、沖縄闘争の勝利をめざして闘いとられた。
 民営化・非正規職化攻防の渦中にある自治体労働者と医療労働者が司会を務めた。冒頭、呼びかけ団体を代表して関西生コン支部の高英男副委員長がアピールした。「闘うことでしか生きられない時代は、分断を打ち破り団結するチャンス」「労働者が希望を持てる闘いを全国で実現しよう」と呼びかけた。
 続いて連帯のあいさつが行われた。オスプレイの配備強行と米兵の女性暴行事件に怒りが渦巻く中から参加した沖縄行動団を代表し富田晋さんが発言、子どもたちまで不安にさらされている沖縄の状況を激しい怒りを込めて弾劾し、労働運動の力で米軍基地撤去・安保粉砕を闘いとる決意を表明した。
 三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長は農地死守と反戦平和を訴え、憲法と人権の日弁連をめざす会の高山俊吉さんは裁判員制度廃止の11・9最高裁デモへの参加を訴え、「とめよう戦争への道!百万人署名運動」の西川重則さんは「改憲絶対反対」「労働者の国際連帯が戦争を止める」とアピールした。

(写真 福島をはじめとする被災地から反原発・反失業の訴え)

 □国鉄労働者が大挙登壇

 国鉄闘争では、10・1外注化攻撃にストライキと職場闘争で反撃し、団結を守って闘ってきた国鉄(JR)労働者が大挙登壇し発言した。
 動労千葉の田中康宏委員長は冒頭、民主労総ソウル地域本部が動労千葉支援行動をソウルで闘ってくれたことを「生涯忘れません」と感謝した。そして「外注化が強行されて職場には悔しさと怒りがあふれているが、闘いはこれからだ。団結の力で絶対に外注化を粉砕する」と固い決意を述べた。
 続いて動労千葉幕張支部の山田護支部長、動労千葉青年部と動労水戸の青年労働者、国労郡山工場支部の橋本光一さん、動労千葉争議団の中村仁さん、国労闘争団の羽廣憲さん、動労千葉顧問弁護団長の葉山岳夫さん、国鉄闘争全国運動呼びかけ人の伊藤晃さんが、それぞれの立場から外注化・非正規職化阻止、国鉄1047名解雇撤回へ闘う熱い決意を述べた。

 □国際連帯のアピール

 国際連帯アピールでは民主労総ソウル本部の30人の労働者が登壇、イジェウン本部長が外注化・民営化・非正規職化と闘う韓国の闘いを報告し、「労働者が尊重される世の中のために連帯しよう」と呼びかけた。
 続いてアメリカの運輸労働者連帯委員会(TWSC)のスティーブ・ゼルツァーさんが、港湾労働の外注化・組合破壊攻撃と激しく闘うILWU(国際港湾倉庫労組)の3人の労働者とともに登壇した。そして、「労働者と労働組合に対する地球規模の攻撃は、世界の労働者の国際的共同行動でこそ打ち破ることができる」と訴えた。
 ドイツのラーベン・ブロンシュタインさんは、ベルリン都市鉄道民営化反対行動委員会からの連帯メッセージを読み上げ、独日労働者の熱い連帯を表明した。さらにビルマ、スリランカ、クルドなど滞日外国人労働者が多数登壇し、発言した。

 □福島・被災地と連帯

 

「福島・被災地を先頭とした反原発の闘い」では、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表の佐藤幸子さん、福島診療所建設委員会、仙台市職労、元全日本運輸一般労組原子力発電所分会長の斉藤征二さん、NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)の富田翔子事務局次長が発言した。それぞれの発言者が原発再稼働に突き進む日帝・野田政権への怒りを表明し、決意を述べた。
 集会の締めくくりに、全国各地で不当処分・不当解雇、団結破壊と闘う労働者・労働組合と学生が決意表明。大阪市職の青年労働者、大阪市教組の女性労働者、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会、郵政非正規ユニオン、全学連が力強く決意を語った。
 最後に港合同の中村吉政副委員長が、「混迷する政治情勢の中、われわれ自身が働く者の権利を守り、職場・地域で先頭に立ち、非正規労働者の組織化に向けて奮闘しよう」と、参加者の一層の奮起を呼びかけた。
 集会後、呼びかけ3労組と民主労総を先頭に、組合旗を林立させ、東電本店前から銀座―東京駅前を通り、都心部を戦闘的にデモ行進した。
 集会は、大恐慌下に労働者が団結して闘うことの価値・威力をあらためて実感させた。また東京都当局が11・11反原発闘争での日比谷公園使用禁止を策動している中、それを粉砕する闘いとしてかちとられた。
 労働者の国際連帯で世界革命に勝利する時代が始まったのだ。
 そして11・11反原発闘争は集会・デモの禁圧を打ち破り、福島の怒りに応え、20万人が霞が関を占拠する大闘争となって爆発した。
 (西村泰明)
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(写真 熱い国際連帯の闘いを訴える韓国・民主労総ソウル地域本部の代表団)

 全世界で民営化と激突 国際連帯アピール

 非正規・解雇のない世の中に

 ■韓国から/民主労総ソウル地域本部本部長 イジェウンさん

 非正規職、整理解雇のない世の中、労働が尊重される世の中のために連帯しましょう。福島原発事故以後、大きな苦痛を受けている同志の皆さんに心から慰労と激励の言葉を送ります。
 資本は経済危機を理由に公企業民営化、外注化を推進しています。非正規・低賃金労働者を拡大して、雇用不安の中で失業者を量産して費用負担を労働者民衆に転嫁しようとしているのです。
 通信、ガス、電力、水道、鉄道など公企業部門の民営化・外注化に私たちは反対します。派遣労働者であれ期間制労働者であれパート労働者であれ、どんな非正規職もわれわれは反対します。
 資本と結託したエリート権力が大衆の意志に反する新自由主義的市場経済を押し付け続ける現在の姿を終わらせなければなりません。福島原発事故以後、日本はもちろん全世界的に脱原発闘争が活発に展開されています。人類を滅亡の道に追いやる原子力発電所の稼働と建設に反対します。
 非正規職、整理解雇のない世の中、労働が尊重され、すべての領域で公共性が確保される世の中、核のない世の中のために、国境の壁を崩してともに連帯できたらと思います。
 トゥジェン!

 米軍はアジアから撤退せよ

 ■アメリカから/運輸労働者連帯委員会

 スティーブ・ゼルツァーさん
 日本と同様、アメリカの労働者は民営化・規制緩和、TPPなどの反動攻勢下にあります。
 伊藤忠などが設立した穀物輸出ターミナル(EGT)は、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)のハイヤリング・ホールの弱体化に手をつけました。太平洋西海岸の穀物会社は、EGTが強要したのと同じ屈服的協約の締結を策しています。オバマ大統領はワシントン州ロングビューでのいかなるスト・連帯行動も阻止するため、沿岸警備艦を動員しました。
 アメリカの民主・共和両党は、日本の自民・民主両党と同様、郵政、教育、すべての公務の民営化をたくらんでいます。
 沖縄での女性暴行事件は、沖縄人民に対する長きにわたる犯罪の一部です。私たちは沖縄、日本、全アジアからの米軍の撤退を要求します。
 福島で爆発した放射線爆弾は、わが政府と東電、GE、ベクテルなどの企業が造ったのです。
 太平洋をはさむ私たちがこの世界的惨事に打ち勝つために団結すれば、大きな力を持つことができます。言葉ではなく行動です。団結しよう! ガンバロー!

 ダラ幹に抗し民営化に反対

 ■ドイツから/ベルリン都市鉄道民営化反対行動委員会

ラーベン・ブロンシュタインさん
 私たち「ベルリン都市鉄道民営化反対行動委員会」は、民営化の進展によって生活と職場が脅かされる中、これと闘うために、戦闘的で階級意識をもったベルリン都市鉄道の労働者によって、労働組合の枠組みを越えて2011年の年末に結成されました。
 私たちは、経営による攻撃ばかりか、ダラ幹たちの攻撃にもさらされています。私たちの唯一の砦は、仲間の労働者一人ひとりです。
 私たちは、最も厳しい条件のもと生き死にをかけて闘っている労働者のことを考えるべきだと思います。ここで特に私が言いたいのは、ギリシャの仲間のことです。
 世界の労働者の一つひとつの闘いは私たち皆の闘いであるべきです。

 ■滞日・在日外国人労働者の発言

●スリランカ
 今日は労働者が権利のために闘い団結する集会です。日本で働く権利を持たない労働者として、私たちも“一緒に頑張ろう”と参加しています。
 全国で約3千人の仮放免者がいます。人間ならば誰でも働く権利があります。でも日本の入管は“あなたたち仮放免者は人間じゃない”と労働を禁止しています。力を合わせて頑張りましょう。
●ビルマ
 ビルマ人も日本人も世界のみんなが人間です。日本人の問題は私たちの問題であり、ビルマ人の問題は日本人の問題です。いま世界の平和が危ない。だからみんなで平和のために闘いましょう!
●クルド
 21世紀の今もクルドの言葉は禁止です。政府に捕まって刑務所に入れられます。自分の言葉でしゃべり、自分の文化で自由に生きていきたい。
 いまトルコの刑務所内で自由を求め、命がけのハンストを闘っています。今日で55日目です。
 シリアでは200万人以上のクルド人が住む地域にアメリカとトルコが戦争をしています。クルディスタンの独立が怖いからです。誇り高きクルド民族はトルコ政府に絶対に頭を下げません。皆さん、クルドとともに頑張ってもらいたいです。

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月刊『国際労働運動』(437号2-2)(2013/01/01)

News&Reviw

■News & Review 韓国

11・11ソウル、民主労総3万が都心をデモ

動労千葉訪韓団50人が熱い合流かちとる

 □「整理解雇撤廃! 非正規職撤廃!」掲げ

(写真 ソウル駅前に向かってデモする民主労総の闘う労働者。横断幕のスローガンは「整理解雇撤廃! 労組破壊中断! 労働者参政権保障!」【11月11日】)

 

11月11日、「整理解雇撤廃!非正規職撤廃! 組合破壊中断! 労働者参政権保障!」を掲げた韓国民主労総労働者大会がソウル駅前広場で開かれた。動労千葉訪韓団50人は田中康宏委員長を先頭に、民主労総の大部隊とともに大会会場へ向けてのソウル市内デモを貫徹し、闘う韓国労働者との熱い合流をかちとった。大恐慌下で激化する新自由主義攻撃と不屈・非和解に闘う韓国の現場労働者との団結がさらに打ち固められた。
 11月11日午後2時、ソウル清渓川の平和市場前に労働組合の旗を押し立てて労働者が続々と結集してきた。あたり一帯が労組隊列で埋まっていく。チョンテイルの銅像も労働者の人波の中だ。ソウル駅前に向かってデモが出発した。先頭の横断幕に記されたスローガンは、「整理解雇撤廃! 労組破壊中断! 労働者参政権保障!」だ。金属労組の力強い大部隊が先頭を行く。
 蔚山では現代自動車非正規支会の労働者が高空籠城を続けている。第20回チョンテイル労働賞を受賞した金属労組双龍自動車支部は、支部長が長期のハンスト中だ。さらに多くの労働組合が命がけの闘いを続けている。闘う労働者の怒りは激しく、この力が大デモの実現に至ったのだ。まさに民主労総の底力を見せ付けるものだった。
 全国労働者大会は雨をも跳ね返す、3万人の怒りが燃え上がるものだった。双龍自動車支部のハンサンギュン前支部長も舞台に立ち、2009年の双龍自動車工場占拠闘争は負けたわけではないと総括、「双龍の闘いの火花があちこちの現場に広がっている。3年の収監生活で、今の社会こそが大きな監獄だと知った」と語り、団結して闘いぬかなければならないと訴えた。
 大会決議文で「私たちの闘争は労働を越え、時代の良心を明らかにしたチョンテイル烈士の闘争だ」と宣言。さらに▼チョンテイル烈士精神を継承し、反労働、反民衆、反統一政策を粉砕して、労働基本権争奪と労働が尊重される社会建設のために闘う、▼整理解雇撤廃、非正規職正規職化をはじめとする権利の保障、公共部門解雇者の原職復帰のための力強い連帯闘争を行うなどの闘争方針を決議した。
 大会直前の7日、キムヨンフン民主労総委員長が役員直接選挙制延期の責任を取り、辞任。さらに大統領選挙方針をめぐる攻防など、組織的課題を抱えた中で迎えた労働者大会だったが、大恐慌下で資本と闘う現場組合員の怒りが主導する大会となった。
 大会後、動労千葉訪韓団を前に田中委員長が、「改悪された労働法のもとで御用組合がつくられるような困難の中で民主労総は闘っている。この韓国の労働者と団結していけるのかどうか。これが今日の訪韓闘争の課題だった。労働運動なんだから困難が絶対につきまとう。その困難を日本の労働者が職場の闘いで突き破ってみせることが、日韓国際連帯だ。11月労働者集会の課題もここにある」と総括を提起し、「階級的労働運動の復権、民主労総との連帯をかけて団結ガンバロー!」と結んだ。

(写真 「労働者に権利を」のプラカードを掲げソウル駅前広場を埋めた3万人の労働者【11月11日】)

(写真 動労千葉訪韓団が3万人のデモに合流)

 □前夜祭で闘志燃え

 韓国民主労総労働者大会の前夜祭が、11月10日午後7時からソウル駅前広場で開かれた。
 日本での11・4全国労働者総決起集会をともに闘った民主労総ソウル本部のもとに、田中康宏委員長を団長とする動労千葉訪韓団が駆けつけた。50人あまりの訪韓団を前に田中委員長は「日韓労働者が今抱えている困難は同じ。11・4をともに闘ったソウル本部とともに、今度はソウルでともに闘いましょう」と呼びかけた。 
 労働者大会を前に韓国階級闘争は激しい闘いの渦中にある。キムジョンウ支部長のハンストが1カ月を超えた金属労組双龍自動車支部は8日、解雇労働者20人余がヨイドのセヌリ党本部前で集団無期限ハンストに突入した。双龍自動車で強行された整理解雇の真相究明のための国政調査を要求しての闘いだ。9日には、全国学校非正規職労組連帯会議が賃金の予算確保と団体交渉を要求し、全面ストライキに突入した。
 前夜祭では、韓進重工業や双龍自動車、KECなど、今まさに激しい攻防を闘いぬいている労組から闘争報告が行われた。それぞれの労組が趣向をこらした律動や劇を披露した。
 済州島からは、海軍基地建設と闘う住民も参加して発言。原発反対などのアピールもあり、まさに労働者民衆が「同じ困難」と闘いぬいていることが鮮明に突き出された。「非正規職撤廃!」の黄色のゼッケンで登場した動労千葉のもとには、11・4に訪日した同志たちをはじめ、9・27日本大使館前で10・1外注化反対の連帯行動を担った同志たちが続々と駆けつけた。民主労総ソウル本部との日韓連帯は今年で10年、豊かな交流が日韓労働者双方の職場実践の前進につながっていることを物語っていた。

 □動労千葉、座り込みテントを訪問

 11月11日、午後4時からの民主労総大会に先立ち、午後2時にはソウル中心部、清渓川にかかるチョンテイル橋から大会会場のソウル駅前に向けてデモ行進が行われることになっていた。ソウルは前日とはうって変わり、朝から雨模様。
 冷たい雨の中、動労千葉は民主労総ソウル本部の案内で全国事務金融サービス労働組合ゴールデンブリッジ投資証券支部の座り込みテントを激励訪問し、さらにソウル市庁前の双龍自動車焼香所、才能学習誌座り込みテントなどを訪問した。

 □スト200日

 ゴールデンブリッジ投資証券支部のストライキは11月8日で200日を迎えていた。05年にブリッジ証券の大株主だったイギリス系投機資本BIHファンドが韓国から撤収しようと投資資金を回収し、会社清算を画策。これに対し労組が闘い、現会長のイサンジュンと「ブリッジ証券共同買収と経営に関する約定書」を結んで共同経営を約束した。イサンジュンは九老工業団地で労働運動の経験があるなどと自らを売り込んでいた。しかし会長就任後、この約束を守らず、団体協約も一方的に解約する暴挙に出た。しかもこの労組破壊のやり口を伝授していたのが、今や韓国で悪名高い「創造コンサルタント」だったのだ。
 テントに招き入れられた動労千葉の田中委員長は「争議現場に来るといつもお話しすることですが、敵よりも一日長く闘えば勝利できるということです。日本でもみなさんとともに外注化と闘い、非正規職撤廃を闘います」と激励し、団結ハチマキなどを贈った。

 □双龍車焼香所

  午前11時半、動労千葉訪韓団はソウル市庁前広場に面した徳寿宮の正門、大漢門に集まった。
 その傍らには、09年5月から8月6日まで77日間の工場占拠ストライキを闘いぬいた金属労組双龍自動車支部の焼香所がある。政府・資本による整理解雇と暴力的労組破壊の中で組合員・家族ら22人もの犠牲者(病死、自殺など)が続いているのだ。10月10日から1カ月を超えるハンストを続けているキムジョンウ双龍車支部長のハンスト座り込みテントもここにある。
 動労千葉の田中委員長と組合員が代表して焼香した。まさに「解雇は殺人だ!」であり、「一緒に生きよう!」と呼びかけた整理解雇との闘いは、新自由主義攻撃へのストレートな怒りを束ね、世界の資本家どもを震え上がらせた闘いだった。労働者は死んではならない! 死すべきは資本であり、1%の資本家を生かすために99%を犠牲にしなければ成り立たないこの世界だ!
 民主労総大会で発言に立ったハンサンギュン前双龍車支部長も「(スト直後に逮捕、実刑となり)3年間、収監され、今の社会こそが大きな監獄だと知った」と語り、「今回の大統領選挙闘争では、双龍車支部が整理解雇撤回を掲げて先頭に立つから、民主労総を立て直すために団結しよう」と呼びかけた。
 すでに8日から双龍車解雇者20人が、ヨイドのセヌリ党舎前で無期限ハンストに入っている。要求は、双龍車問題解決のための国政調査を行えというものだ。
 だがなんと大会翌朝5時、数十人の警官隊がセヌリ党舎内で座り込んでいたヤンドンギュ副委員長ら労組幹部4人を退去拒絶で連行するという暴挙におよんだ。組合員らはこのような弾圧には屈しないと、セヌリ党の大統領候補者パククネに戦闘宣言を発している。

(写真 「労働者大統領」の横断幕を持って平和市場前からデモに出るキムソヨン候補【前列右から3人目】)

 □労働者大統領

 11月11日、「整理解雇・非正規職のない世の中労働者大統領選挙闘争本部」は正式に労働者大統領候補としてキムソヨン候補を選出した。キムソヨン候補は「高校卒業後、九老工業団地で20年働き、闘った」生粋の労働者だ。金属労組キリュン電子分会の前分会長であり、ソウル本部が取り組んだ9・27日本大使館前での動労千葉外注化阻止ストライキ支持・連帯行動には、ユフンヒ分会長とともに駆けつけ、弾圧する警察部隊と体を張って闘った一人だ。
 ソヨンさんは「ある者はあなたに政策はあるのかと尋ねたりもする。私たちには多くの政策がある。現代車、双龍車、全撤連、障害者、非正規職闘争の仲間たちの要求と闘いが政策であり、代案だ」と胸を張る。15日には全国非正規職労組の前・現幹部131人が「900万非正規職大統領キムソヨン候補とともに闘う」と宣言。
 共同選対本部長のユミョンジャ才能教育支部長を始め、現代車、起亜車、双龍車、現代ハイスコ、トンヒオート、キリュン電子、学習誌、KBSなど、争議現場を率いる非正規職労組指導部が結集している。
 11月17日には、現代車非正規支会のチョンウィボン事務長、チェビョン解雇者が高空鉄塔籠城を続ける蔚山の現代自動車包囲行動が取り組まれる。鉄道、ガスなど公共部門の民営化攻撃との闘いも切迫している。
 東京とソウル、二つの11月闘争を国際連帯で闘った日韓労働者のスローガンは外注化阻止、非正規職撤廃だ! この道を進もう!
(室田順子)

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月刊『国際労働運動』(437号2-3)(2013/01/01)

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■News & Review 中国

中国の末期的危機を示す習近平体制発足

怒りのストライキ・暴動が連日爆発

 □経済危機、格差極限化 腐敗は「党と国を滅ぼす」

 

11月8日から14日まで開催された中国共産党第18回全国代表大会は、新たな習近平体制をつくったが、それは中国スターリン主義の末期的な危機を象徴し、この政権が近い将来労働者階級人民によって倒される政権にほかならないことを示した。
 中国経済の危機の深まり、バブル経済崩壊の中で連日のように爆発する労働者階級の闘い、そして農民や漁民の反乱のもとで、大会の開催そのものが最初から難航した。
 これらの闘いは、中国スターリン主義の延命のための党内闘争を極限的に激化させ、本来10月に予定されていた大会は11月まで延期となった。激しい党内闘争の結果、中央人事が決まらなかったこと、総書記となる習近平の健康不良があったからであるとされる。
 この二つの事態自身がすでに中国スターリン主義・習近平新体制の危機を象徴している。
 欧州経済危機、さらに対日関係のあつれきの激化は、中国経済を一挙に破局へたたきこもうとしている。さらに中国経済の歪んだ成長は、世界で類例のない格差の激しい社会をつくりだした。
 11月8日の党大会開会日に行われた胡錦濤総書記の「中国の特色を持った社会主義の道を固く堅持して前進し、小康社会の全面的な建設のために奮闘しよう!」と題する報告は、「収入と分配の格差の拡大問題の解決に力を入れ、さらに多くさらに公平に恩恵が全人民に及ぶように発展させ、共同富裕に向けて着実に前進していく」「2020年には国内総生産、および都市と農村の住民の平均収入を2倍にする」とした。
 ここには、崩壊を開始した中国経済、そして極端な格差問題(特に農村と都市の格差)に対する中国スターリン主義の悲鳴がある。
 またこの報告は各所に「社会保障制度の確立」の問題が出てくるが、中国スターリン主義の社会保障制度崩壊への危機感、労働者階級の怒りへの恐怖がある。
 決定的なのは、党官僚の腐敗問題である。この報告では、「この問題(腐敗問題)の解決ができなければ、党に対する致命的な障害となり、党と国を滅ぼすに至る」と、「党と国を滅ぼす」というすさまじい表現でこの問題の深刻さを指摘している。
 中国スターリン主義の危機の深刻さを胡錦濤報告をもとに指摘したが、まさにこの中国共産党第18回大会を根底で規定したものは、中国で陸続と沸き起こる労働者階級の決起であり、それに追いつめられている中国スターリン主義の姿である。

(写真 Appleの受託生産企業・冨士康で暴動が起きた【11月9日 深せん】)

 □世界的受託生産企業・富士康で暴動が発生

 大会が開催された翌日の9日、AppleのiPhoneやiPadなどの受託生産(外注化による生産)を請け負っている富士康(Foxconn)で、また暴動が起きた。場所は広東省の「経済特区」深せん市にある富士康の工場である。
 この日、夜10時に宿舎に戻った労働者が、工場の警備員との間でトラブルとなり、この労働者は殴られて負傷。労働者はこれに怒り、仲間が合流、5千人を超える抗議行動へと発展した。宿舎の入り口の鍵が壊され、工場の入り口の大門と警備所2カ所が破壊され、火を放たれた。アコーディオン式の門は道路上に倒された。多くの施設が破壊され、一面に散らばった。警察隊が導入され、追いつめられた工場責任者と警察の責任者が労働者を説得しようとしたが、午前2時まで暴動は続いたという。
 深せんの労働者の労働環境はとりわけ劣悪だ。深せん市中医院男性科主任・陳徳寧医師の報告によれば、ストレス、栄養不足などから、深せん市で働く農民工男性の7割に精子減少などの異常が起きている(『南方都市報』10月28日)という。また富士康で働く労働者の12・7%が仕事中にめまいを起こして倒れた経験を持っているといわれ、さらに女性労働者の24・1%が月経不順になっている(『ニューヨークタイムズ』11月6日)という。
 暴動が起きた深せんの工場の労働者は、「今、労働者の残業が(法律で)制限されるようになったが、しかし単位時間あたりの生産量はすさまじく増大している。簡単な話で、本来6日でやることを、5日でやらなければならないのだ」と語っている(『ニューヨークタイムズ』同上)。
 さらにiPhone5の発売は、その外注を請け負っている富士康の労働者に滅茶苦茶な労働強化(製品の外装ケースにわずか0・02_の傷があるだけでも不合格という)を要求し、労働者の不満をますます高めている。この件で鄭州でも10月に4千人規模のストライキが起きている。富士康の工場は、高まる労働者の不満、相次ぐ暴動やストライキなど抗議行動の増大の前に警備員を日夜配置し、労働者を監視・管理・統制することで「治安」を保とうとしている。この状況がますます労働者の怒りを高めている。こうした状況の中で、監獄工場への怒りがついに爆発したのだ。

 □共産党大会揺るがした連日のストライキ

 中国共産党第18回全国代表大会は連日の労働者の怒りに包まれて開催された。
 富士康深せん工場で労働者の暴動が起きた同じ9日、広東省東莞市大朗鎮にある毛織物工場では、労働者が未払い賃金の支払いを要求してストライキが始まり、弾圧のために動員された警察官と激突した。11日には広東省深せん市にある儀軍電線ケーブル有限会社が、休日の昼間に秘密裏に工場の機械を運び出して工場を移転し、残業代など賃金の未払いのままに労働者を解雇しようとしたことに対して大抗議闘争が起きている。
 11月1日には、浙江省杭州市の華東家具の工場で不当労働に抗議するストライキが闘われている。また江蘇省南通市では明徳重工労働者が未払い賃金の支払いを求めてストライキに立ち、道路を封鎖した。重慶市においては重慶市万泰グループプロジェクト有限会社の労働者が、やはり未払い賃金の支払いを求めて道路を封鎖してストライキに立った。
 2日には、広州市では中徳電気制御有限会社の労働者が首切りに反対してストライキに立っている。また広東省雲浮市にあるアディダスの工場では労働者が事実上の自主労組をつくって不当労働への抗議のストライキに決起している。4日には広東省東莞市にある虎門白沙創盟電子会社で、突然の倒産に抗議して労働者の闘争が始まり、5日には未払い賃金の支払いを求めてデモに立っている。

 □チベット民族の決死の闘い続く

 労働者の闘いとともに、大会を揺さぶっているのはチベット民族をはじめとする諸民族の闘いだ。大会に至る過程で、民族抑圧に抗議するチベット人の焼身自殺が相次いだ。昨年以降から本年11月13日まで、焼身自殺を図ったのは73人、死亡が確認されたのは59人に上るとされる。自殺者数は、大会直前から大会の過程で増大している。そして9日(深せんの富士康・労働者暴動決起と同日)に、青海省黄南チベット族自治州同仁県で1万人規模の大デモが爆発している。
 中国スターリン主義は労働者への搾取と収奪を強める一方で、そのためにも、諸民族への差別・抑圧政策をますます強めている。こうした中国スターリン主義の民族政策への怒りが、諸民族の労働者階級を先頭とした解放闘争として爆発している。チベット人の大デモと深せん富士康での労働者の暴動は、中国スターリン主義に大打撃を与え、大会を大きく揺さぶった。

 □深刻化する環境問題への怒りの大暴動

 もうひとつが、「改革・開放」政策下の乱開発が生み出した環境破壊に対する労働者・農民・漁民の闘いだ。
 海南省三亜市楽東黎族自治県鶯歌海鎮で、10月13日より住民は鶯歌海鎮政府と漁政局の門の前に集まって入り口を封鎖し、火力発電所建設を阻止する抗議行動を展開した。その数は6千人とも1万人ともいわれる。これに対して18日から19日にかけて動員された武装警官による徹底的な弾圧が行われた。住民に対して催涙弾が打ち込まれ、多数の逮捕者が出た。しかし労働者・漁民を先頭に住民たちはこの弾圧に屈せず、21日の夜には逆に、三亜市政府の建物前に集まり、建設中止を求め徹底的に闘った。
 10月22日からは浙江省寧波市鎮海区の寧波石化経済技術開発区に、人体に有害なパラキシレンを生産する化学工場の建設に抗議して、労働者や漁民がデモに立ち上がった。この開発区には多くの化学工場が乱立している。
 この地域の住民の死因の33・8%がガンであり、このガン死亡率は全国平均を大きく上回り、化学工場が出す有害物質が原因ではないかと指摘されている。連日のデモに対して寧波政府は街に厳戒態勢を敷き、徹底的な弾圧を加えてきた。
 26日にはデモ隊と武装警官が全面激突し、暴動となった。あちこちで警察隊が撃破され、警察車両は破壊された。深夜22時15分にデモ隊は鎮海交通警察大隊の大門を押し倒し中に突入した。警察隊は催涙弾を発射し激突が続いた。
 闘いは27日以降も不屈に継続。28日も早朝から労働者住民は市内の天一広場に集まり数千人がデモ、1万人近くの労働者住民が寧波市政府を取り囲み、市政府に化学工場建設の中止を迫った。
 寧波市政府は、闘争の山場となる27(土)28日(日)に労働者に休日出勤を命じ、さらに学生には大学内の宿舎から外に出ないように通達を出し、外に出た学生は除籍にすると恫喝さえした。
 しかし市政府庁舎は労働者や学生、住民によって日夜取り囲まれ、寧波市政府は28日の夕方に化学工場の建設を中止する決定を公にした。
 中国では、環境問題をめぐる「群体性事件」が05年から平均29%ずつの割合で毎年増加している(中国環境科学学会副理事・楊朝飛)。それだけ「改革・開放」政策、バブル経済の下での環境破壊がすさまじく、中国の労働者の決起が陸続と続いている。
 共産党大会の胡錦濤報告は、「全力でエコロジー文明を建設する」と環境問題に関してわざわざ一章をとっている。ここには資本の乱開発による極限的な環境破壊と、それに対する労働者の闘いに対する恐怖がある。
 労働者階級は、資本と政府による環境破壊によって今や「生きられなく」なっている。環境破壊への中国の労働者の闘いは、フクシマの「生きさせろ」の闘いと一体だ。
 中国共産党第18回大会とその全過程は新たな習近平体制をつくり出したが、この政権は労働者階級の闘いの爆発の中で、破産的な党内闘争を繰り返し、ますます腐敗にまみれながら、労働者階級の闘いに対して絶望的暴力的に襲いかかってくる政権となることを示した。中国スターリン主義を、労働者階級が打倒する過程が本格的に始まった。
 今こそ11月労働者集会の地平を踏み固め、中国の労働者との連帯をかけて、国際連帯闘争を力強く推進していこう!
 (河原善之)

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月刊『国際労働運動』(437号A-1)(2013/01/01)

編集後記

■編集後記

 11・11反原発闘争の巨大な高揚を引き継ぎ、NAZEN(な全)を全国各地に組織し、反原発闘争の路線的・運動的発展を切り開いていこう。
 反原発闘争は、今や次なる原発再稼働問題や大間原発建設再開、核燃料サイクル継続や日米安保強化・核武装を巡り大攻防になっている。とりわけ活断層の上に建つ大飯原発は直ちに止めろ!ということだ。
 12月15〜17日に福島県郡山市で政府とIAEA(国際原子力機関)の共催で「原子力安全に関する福島閣僚会議」が開かれようとしている。福島の怒りを圧殺し、福島に住んでも安全だと宣言し、原発再稼働と核燃料サイクル維持を強行する大攻撃だ。絶対に許してはならない。
 本号より装丁を一新しました。内容もより充実させていくために、編集部一同、努力していきます。ご愛読願います。

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