ZENSHIN 2002/07/29(No2063 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2063号1面1)

有事法の継続審議粉砕へ  7・26全国結集で国会デモを
革共同集会を大成功させ党建設−今秋決戦へ進もう

 今国会も後10日を残すだけとなり、いよいよ大詰めの攻防となった。日帝・小泉は、有事3法案を衆議院での継続審議に持ち込もうとしている。この攻撃を打ち破り、継続審議粉砕・廃案への闘いを猛然と強めなければならない。残り10日間、とりわけ今週一週間が勝負だ。国会に押し掛け、「継続審議を絶対粉砕するぞ」という叫びを上げよう。そして、反戦共同行動委員会の呼びかける7・26の昼、夜の闘いに全国のすべての力を総結集しよう。戦闘的国会デモを打ち抜こう。それと一体の闘いとして、国鉄決戦に全力投球し、闘争団除名阻止へ闘おう。7・28関西―8・4東京の革共同集会に大結集し、党建設と8月反戦反核闘争−今秋決戦へ進撃しよう。

 第1章 北朝鮮・中国侵略戦争切迫との対決

 この間、4、5、6月の大衆的な闘い、特に6・16の20労組を中心とする6万人の労働者人民の大決起、そして、沖縄における6・8県民大会や6・23小泉を迎え撃った闘いなどによって、有事立法攻撃を大きく押し返してきた。「二度と侵略戦争の道を許さない」という怒りが広く人民の中に存在していることを日帝・小泉に強力に突き付けてきた。だが、重大な勝負の時は今である。
 与党3党幹事長は、16日会談し、有事法制関連法案の特別委員会採決を目指すことを確認した(その後の与党理事懇談会では「採決見送り」で継続審議を決めた)。小泉や自民党幹事長の山崎らは、明白に有事法制の強行突破に政権の浮沈をかけている。鈴木宗男や田中真紀子や加藤紘一らのさまざまな疑惑と政治腐敗に揺れ続けた小泉政権として、このままなすすべなく会期末を迎えたら、後がなくなるのだ。
 それは一小泉内閣の問題ではなく、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争の切迫をにらんで、それに対応できる法整備を早急にしなければならないという、日帝としての国家的な絶体絶命の危機の問題である。だからこそ、小泉は凶暴なのである。委員会採決・継続審議の策動を絶対粉砕し、有事立法の火だねを断ち切るために闘おう。
 バブル経済の全面的な崩壊、巨額の過剰債務の露呈、ワールドコムに示される粉飾決算問題の深刻化などを背景に、株価の下落、ドルの急落が起こり、米帝経済は29年型大恐慌の本格化に突入した。(6面島崎論文参照)

 大恐慌と米帝世界戦争路線

 6月のカナナスキス・サミットは、各国帝国主義の利害が対立し、帝国主義間争闘戦が極限的に激化した結果、「共同声明」さえも発表されなかった。
 米帝経済は、@企業の粉飾決算、スキャンダルの連続的表面化、A設備投資の落ち込み、個人消費の減退、企業収益悪化、Bバブル崩壊による銀行の不良債権の増大に伴う貸し渋り、C貿易赤字・経常赤字の一層の深刻化、D財政の大幅な赤字基調化、Eこれらの結果として、対米投資の縮小、世界マネーの「米国離れ」が起きている。それは現実に、ドル急落、ドル暴落を不可避とする過程に突入している。
 米帝の世界戦争路線の背景にはこのような米経済の大恐慌の本格化がある。このもとで、日本経済の恐慌と不況はさらに破滅的に再激化しようとしている。
 カナナスキス・サミットを転機に、イラク攻撃が切迫している。米中央軍はイラク攻撃計画をまとめた。ブッシュ政権はイラクへの侵略戦争を基本路線として決定し、来年初めにも、中東情勢の進展次第で開戦しようとしているのだ。
 特にこのサミット時、6月25日に日米首脳の秘密会談が行われた。有事法案について、「これは対テロで有益かつ重要な方策で、日米同盟を強化するものだ」と確認した。また、ブッシュは「日本はできるだけ早期に成立させるべきだ」と迫った。秘密会談をもって今国会での有事立法成立を確認したことは重大だ。
 黄海での南北朝鮮軍の衝突という重大事態が起こり、さらに北朝鮮の軽水炉問題、「不審船」引き揚げ問題、よど号グループの帰国問題など、北朝鮮に対する米日帝の戦争重圧が強まり、一触即発の危機が高まっている。
 また、米国防総省は、7月12日、議会に中国の軍事動向に関する年次報告を提出した。これは昨年9月のQDR(4年ごとの戦力見直し)に対応するもので、中台問題と中国の軍事力増強問題を詳細に分析し、中国への露骨な「脅威論」と牽制(けんせい)・恫喝を加えた文書である。
 あらゆる動きが、米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争の切迫を示しており、それが日帝・小泉の有事立法攻撃を促進している。福田官房長官は、3日の衆院特別委員会で、有事の際に報道機関が自主的に報道を控える「報道協定」について、「状況に応じ、人命尊重の立場から必要な場合はお願いすることはあり得る」と述べ、戦時の報道制限に踏み込んだ答弁を行った。
 田中康夫長野県知事に対する県議会の不信任決議、それに続く大田正徳島県知事に対する問責決議の本質は、有事立法反対を表明した知事を暴力的に引き下ろし排除するという日帝の有事立法攻撃の一環である。横浜市議会の「日の丸」掲揚阻止を闘った2議員に対する除名決議も同じだ。
 このような反動を打ち破って、今国会における有事3法案の委員会採決・継続審議のたくらみを許さず、廃案を断固かちとる闘いを強力に展開しよう。
 日本共産党は、「有事立法後景化」のマスコミ宣伝と符節を合わせて、有事立法への言及を減らし、運動の第一テーマから外してしまった。これを打ち破ってなんとしても7・26全国総決起集会と国会デモの渾身(こんしん)の大爆発をかちとり、継続審議を絶対粉砕しよう。

 第2章 核先制攻撃許さず8月反戦大闘争へ

 8・6広島―8・9長崎反戦闘争は、有事立法粉砕の一大決起であり、北朝鮮・中国侵略戦争阻止の闘いであり、何よりも米帝の核先制攻撃と日帝の核武装化を絶対に許さない闘いである。米帝ブッシュは、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しし、この3国を含む7カ国に対する核攻撃を具体的に計画しているのだ。これまでになく核戦争の敷居が低くなっていることを危機感をもってとらえ闘おう。さらに日帝は、福田や安倍の非核3原則否定発言に示されるとおり、核武装に踏み出そうとしており、この面でもきわめて重大な事態が到来している。
 今年の8・6―8・9はかつてない戦争危機のもとでの闘争だ。大勝利をかちとろう。
 有事立法闘争において、沖縄闘争はとりわけ大きな位置をもっている。この間の本紙上での沖縄の闘う諸人士のインタビューを見よ。宜保幸男さん、平良修さん、まよなかしんやさん、桑江テル子さん、有銘政夫さん、宮良ルリさん、崎原盛秀さん、新崎盛暉さん、知花昌一さん、宮城康博さん。沖縄人民の不屈の闘いの先頭に立っているこれらの人びとから、重大な危機感をもって、「今言わないでいつ言うのか」と、『前進』に声を寄せていただいた。有事立法は沖縄戦の道だ、二度と戦争を繰り返してはならない――これが沖縄からの声の最大公約数だ。絶対にこの声に答え、有事立法3法案を粉砕しなくてはならない。名護新基地建設を阻止しよう。9・8沖縄統一地方選に勝利しよう。
 殺人的騒音下で闘う敷地内農民を守り、三里塚反対同盟との血盟にかけて暫定滑走路粉砕まで闘おう。
 北富士農民の不屈の決起にこたえ、演習場撤去へ闘おう。
 住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の8・5稼働開始を絶対に阻止しよう。

 国労闘争団の除名を許すな

 国鉄決戦は、決定的な攻防戦に突入している。それは、有事立法決戦と一体の、侵略戦争参戦情勢のもとで戦闘的労働運動を一掃してしまおうという攻撃との闘いである。7月4日の国労全国代表者会議で本部は、「定期大会は解決水準を議論し批准する大会としたい。一部闘争団の扱いについては、統制処分の対象にする」と報告したが、大会日程を決められなかった。つまり甘利の言うとおりに「8月大会で除名決定」を確認していながら、それを貫徹できない姿をさらけだしたのだ。ゼロ回答しかない中で、「解決案を出させ、批准できる大会にする」などというのはまったく空論なのだ。
 だが7月10日、国労本部は鉄建公団訴訟原告団と最高裁第三者参加申立人の闘争団員を査問委員会に送致した。ついに本部は闘争団員を除名する暴挙に手を掛けたのだ。争議組合が、当該の組合員を自ら首切りするという断じて許せない行為に踏み出したことは、誰が見ても許しがたい反労働者的暴挙だ。これに対して、「国家的不当労働行為と闘う組合員を組合の名で首を切るのか」ということを争点に全力で対決して、真っ向から反撃し闘おう。
 JR総連カクマルは、この国労本部の惨状につけ込んで、「それみたことか」という態度をとり、分割・民営化に率先協力した自分たちの大裏切りの「正当性」が立証されたかのごとく触れ回っている。こんな極悪の裏切り者に言いたい放題言わせておいていいのか。国労本部、チャレンジ、反動革同を打倒し国労の戦闘的再生をかちとろう。
 世界大恐慌の本格化のもと、激化する資本攻勢と真っ向から対決する戦闘的労働運動の正念場として国鉄決戦があるのだ。
 国鉄決戦を先頭に、有事立法賛成と春闘解体の連合を打ち破り、労働者の壮大な反戦決起をかちとろう。

 第3章 革共同の党勢倍増と機関紙の拡大を

 7・28関西―8・4東京の東西革共同集会を圧倒的に成功させよう。
 革共同は昨年前半に第6回大会を行い、その大会路線をもって9・11―10・7情勢に立ち向かい、今年前半の闘いを主導的に闘いぬいてきた。日帝の侵略戦争参戦の攻撃の激化に対して、今や闘いの中核となる革命党、労働者党を強力に建設することが急務だ。革命党建設は、すべての労働者階級人民の共同の階級的事業である。その第一歩として、東西の革共同集会にすべての党員と先進的労働者人民のみなさんが総結集されることを訴えたい。
 夏期一時金カンパの革共同への熱烈な集中を心からお願いする。また、『前進』を定期購読し、ともに闘うことを訴える。社民党・日本共産党に代わる本物の革命的労働者党を今こそ強力に建設しよう。
 6回大会報告決定集(上・下巻)、清水丈夫選集第5巻序文、基本文献学習シリーズ『ドイツ・イデオロギー』、『共産主義者』133号などを主体化し、自らの武器としよう。
 長期獄中同志奪還へさらに力を注ごう。酷暑の中で、病気と向き合いながら不屈に闘う同志たちに思いをはせ、なんとしても10万人署名、1億円基金を集めるために奮闘しよう。

 権力・カクマルの攻撃粉砕を

 戦争国家づくりをめざす日帝の、国内における最大の攻撃は治安弾圧体制の強化である。国家権力は、本紙編集・発行人に対する呼び出し攻撃を始めとして革共同弾圧に全力を挙げてきている。警察庁は「過激派集団中核派/隠されたその正体」なるカラーパンフを作成し、地域への配布を開始した。中核派が「広範な支持層の拡大を目指している」のが許せないと叫んでいるのだ。戦争絶対反対派である革共同を攻撃することで、人民の一切の抵抗と反戦闘争を抑圧しようとしているのである。
 また、6・16闘争の大高揚にダメージを受けたことではファシスト・カクマルも同じである。彼らは、真っ青になって革共同に対する反革命攻撃と大衆運動の破壊を強めてきている。カクマルは「中核派分裂」デマをか細く書き立てているが、それはカクマル中央派とJR総連カクマルとの大分裂という自らの姿を投影したデマゴギーにすぎず、笑止千万だ。
 またカクマルは、「北朝鮮・中国侵略戦争ない」論をあらためて言いだした。これは有事立法攻撃の核心を否定するものであり、米日帝の侵略戦争翼賛の極致である。さらに、われわれが「カクマルは日共以下の対米従属論」と的を射た批判をしたことに動転しダメージを受けている。
 カクマルの敵対を粉砕し、中央派とJR総連カクマルをもろともに打倒し、革共同の党勢倍増と強化・発展をかちとろう。

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週刊『前進』(2063号1面2)

戦争法案絶対阻止の絶大な夏期カンパを

 すべての『前進』読者のみなさん。闘う労働者・学生・市民のみなさん。夏期一時金カンパを熱烈に訴えます。
 国会会期末を目前にして、有事立法3法案の衆院採決・継続審議を絶対に粉砕し、断固として廃案をかちとる闘いのただ中で、同時に巨大な闘争を実現するための資金の集中がますます死活的になっています。
 有事3法案について、「自民国対委員長ら、特別委での継続審議・次期臨時国会で成立をめざす」と報道されています。他方で米帝ブッシュ政権はイラク・フセイン政権の打倒を公言し、さらにこの1〜2年のうちにも北朝鮮の体制転覆を狙った軍事侵略に突入しようとしています。これに共同的・競合的に参戦しようとする小泉政権にとって、時間は圧倒的に限られています。今秋から来春にかけて、有事立法をめぐる、そして日本の参戦をめぐる攻防がますます激化することは間違いありません。
 6・16代々木公園6万人結集の力が今国会での成立を阻止しつつあることに確信をもち、今秋さらに闘いを爆発させ、この巨大な有事立法・改憲阻止決戦に勝ちぬくことが求められています。そして同時に、この有事立法決戦と一体のものとして闘われている国鉄決戦と全産別・全戦線での階級攻防も死活的な段階に突入しています。
 こうした時代に、何よりも切実に求められているものは、闘う労働者党の存在です。
 自国帝国主義が戦争に突入することに対して、あらゆる政党・党派において、その存在と立場が問われています。日本共産党は今有事立法決戦のはるか前に「有事の自衛隊活用」論(00年の22回大会)を打ち出し、さらに「テロに対する制裁、報復」で帝国主義と同じ立場に立っています。また反革命カクマルは「北朝鮮・中国侵略戦争などというのは中核派が思いえがいた勝手なイメージにすぎない」と、有事立法粉砕闘争への敵対を宣言しています。
 革共同は昨年第6回大会で、対カクマル戦勝利の決定的地平を確認しつつ、時代認識の確立と革命党の義務を明らかにし、21世紀の早い段階での反帝・反スターリン主義世界革命―日本革命の達成を宣言しました。昨年9・11―10・7から今日までの闘いは、戦争をめぐり、帝国主義が排外主義・愛国主義を武器に労働者人民を総屈服させるのか、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱へ」を掲げて闘う勢力が労働者人民を獲得するのか、ということをかけた闘いにほかなりません。革共同は全力で闘い抜き、労働者人民の戦争反対の総決起への一大橋頭保をつくりあげることができたと考えています。
 この流れを階級闘争の激流へと押し上げようではありませんか。そのためには今夏一時金カンパが決定的です。有事立法を粉砕し、今秋決戦の爆発を保証するカンパの集中をお願いします。

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週刊『前進』(2063号2面1)

闘争団除名を許さず国労再生へ
甘利に従い査問委送致を決定 国労執行部に怒りの反撃を

 国労本部は7月10日の中央執行委員会で、闘争団員を査問委員会に送致することを決定した(前号既報)。自民党副幹事長・甘利の指令に全面的に従い、ついに闘争団に対する除名処分発動へと踏み切ったのだ。断じて許すことはできない。国労本部は、あくまでも解雇撤回闘争を闘う被解雇者に、その不屈の闘いを理由として、除名処分という労働組合がとりうる最高の「刑罰」を科そうとしているのだ。国労本部のこの決定こそ、天人ともに許さざる不正義であり、大罪である。そして自らの労働組合に死を宣告する行為である。この決定を強行した高嶋・寺内・久保ら本部執行部に烈火の怒りをたたきつけ、徹底弾劾・打倒しよう。

 本部こそ組合目的に反する行為の張本人

 国労本部が高嶋委員長名で査問委員会の田中議長(本部副委員長)あてに送付した「査問委員会への送致について」という文書によると、中央執行委員会の決定内容(要旨)は次のようなものだ。
 第一に、統制処分対象者を、@最高裁判所、採用差別事件第三者参加申し立て闘争団・組合員、A鉄道建設公団、地位保全、賃金等の支払い訴訟原告闘争団・組合員とする。
 第二に、統制処分理由として、これらの対象者の行為が「採用差別事件の解決を妨害する行為」だとか「国労の『団結と統一』を踏みにじる結果となっている」などと難癖をつけた上で、「国労規約第32条(組合員の権利・義務)3項に違反し、第33条(処分)2項・3項に該当すると判断する」。
 断じて許すことのできない反労働者的な決定である。不当解雇撤回闘争を不屈に闘うことが、どうして「組合の目的に著しく違反した行為」(第33条2項)なのか! 何が「組合員としての義務に違反する行為」(同3項)なのか! 闘争団こそが、労働組合の本来の目的に沿って解雇撤回闘争の先頭に立っているのではないか。闘争団こそが、採用差別事件が発生して以来の国労の方針を実践しているのではないか。
 そもそも、首を切った当事者である自民党に命じられ、その言いなりになって闘争団を処分することが、労働組合のすることなのか。統制処分とは本来、「すべての労働者の生活と地位の向上」(国労規約第2条)という労働組合の目的に反し、資本や権力の手先になった裏切り者に対してなされるべきものなのだ。そうやって闘う団結を守りぬくために、労働組合は統制処分を規定しているのだ。
 国労本部のやっていることこそ、反組合的な団結破壊行為そのものなのだ。
 しかも、処分理由のひとつとして、「統制処分対象者の勝手な行動が、国労組織に対する不信が増大され、一部ではあるがそのことを大きな理由として脱退者が出るという事象」を挙げている。
 チャレンジの元中執・新井や秋田地本元書記長・今井らの脱退・新組合結成のことを言っているのだが、組合財産をぶんどり、組織をずたずたにした連中の行為をも、闘争団のせいにしているのだ。だいたい今井や新井らは、闘争団を切り捨てて国労を丸ごとJR連合に持っていこうとしていたのだ。それが4党合意による「解決」の破産によって行きづまったから、国労を脱走したのだ。そもそも彼らに対する統制処分はどうなったというのだ。

 規約も無視し全員除名狙う

 第三に、「処分量定」について統制処分者を、「中心的役割を担っている者」や「原告となっている者」などの4ランクに分けて、「国労規約第33条(処分)の4項を量定とする」としている。規約によれば「除名」「組合員権3年以内の停止」「組合員権の一部3年以内の制限」のいずれかということになる。
 だが、甘利が要求しているのは、取り下げない闘争団員は全員除名にしろということだ。国労本部は、これに全面的に応じて全員を除名しようとしていることは明らかなのだ。
 しかし、中央執行委員会には「処分量定」を決める権限などない。だが寺内書記長は5・27臨大直後の公益企業レポート(6・15付)で「中央執行委員会が速やかに処分の対象者と量刑を確定させて、査問委員会に送致をします」と明言していた。もともと1月に鉄建公団訴訟が提訴される前から、本部は「除名処分だ」と公言してきた。何がなんでも闘争団を切り捨てることしか考えていない寺内らにとって、規約も何も関係ないのだ。
 寺内が「対象者がかなりの数に上ることが予想され、その全員に弁明・弁護の機会を与えなければなりませんから、正直言ってこれから何カ月かかるか見当がつきません」(公益企業レポート)と言っているとおり、規約に基づいてやれば、次期全国大会までに査問委員会が結論を出すことなど不可能なのだ。
 だが彼らにとっては、定期全国大会で除名を決めて、国鉄闘争を終結させ、闘争団を切り捨てて国労解散―JR連合合流まで一気に突っ走ってしまえば、それが後で規約違反だと問題にされようが関係ないということなのだ。そこで除名処分の決定に必要な3分の2の代議員を確保するために、なりふり構わず突っ走っているのである。断じて許してはならない。

 追いつめられた本部のあがきに断くだせ

 だがこれは闘争団の不屈の闘いに追いつめられた国労本部の最後の絶望的あがきである。いまだに定期大会の日程も決められず、次期大会は「解決水準を議論し批准する大会」などという大ウソをついている。彼らは、闘争団除名に完全に踏み切っていながら、「闘争団除名を決定するためだけの大会」にすることに対する組合員の怒りの爆発を恐れているのだ。だから「条件整備」を7月いっぱい行うなどというのだ。
 7月11日、国労本部・高嶋委員長らと闘争団・家族が自民党・甘利副幹事長への要請を行った。それに対して甘利は、闘争団・家族の面前で「何千万円の解決金や、全員の雇用などと幻想を言われても困る。執行部にはゼロプラスアルファという現実の中で選択をしてほしいと言ってきた」とゼロ回答以外にあり得ないことを突きつけ、また「反対者が組織に残っていることはあり得ない」と、露骨に闘争団除名を迫ったといわれる。この大暴言に動揺しなかったのは、賛成派闘争団・家族の中でも確信犯で日本共産党員の札幌闘争団・牧田夫妻だけだったという。
 国労本部は、賛成派にはいまだに「解決案が出る」とウソをつき続けている。だが次期大会が闘争団除名だけを決定する大会になることは明らかだ。このことを全組合員に訴え、「闘争団の除名を許すな」という一点で、組合員の怒りを総結集し、代議員選―定期大会決戦勝利へ攻め上ろう。
 7月4日、東日本エリア本部は、「全組合員が訴訟参加者にハガキで説得活動をする」なる指示を出した。組合員に踏み絵を迫るようなこの方針に、JR本体組合員の怒りが猛然と高まっている。組合員に対して自らの人生の否定を迫るようなものだからだ。
 他方で、鉄建公団訴訟は、訴訟費用支払い猶予の決定に続いて、9月26日に第1回口頭弁論が東京地裁103号法廷(大法廷)で開かれることが決まった。
 闘争団を守り、国労再生と有事立法阻止決戦下での日本労働運動の階級的再生をかけて、夏から秋へ全力で国鉄決戦を闘おう。

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週刊『前進』(2063号2面2)

カクマルとJR総連の大分裂〈下〉
共倒れ回避へあがいた松崎はファシスト労働運動化の極致

 告訴の取り下げと「坂入帰宅」を取引

 坂入の「自己批判」文書の後、これと符節を合わせるように、坂入の妻・操子が昨年8月9日付で「捜索願」と「告発状」の取り下げを行った。同時に、JR総連も取り下げた。そして、翌10日にJR総連・小田と坂入操子らによってカクマル本部・解放社に対する「抗議行動」が行われ、以後、坂入拉致に関するJR総連の側からの動きはまったくなくなった。
 8月9日の坂入操子文書は以下のように書かれていた。
 @「私の夫、坂入充が革マル派に『拉致・監禁』されて9カ月が経過しました。彼らの蛮行は絶対に許すことはできません。しかし、事態は一向に解決に向かわないばかりか、むしろ被害者であるJR総連および加盟組合への警察による捜査ばかりが目に付きます」
 A「また、最近では坂入本人が組合員宅を訪ねるなどの行動をしていることも伝えられています」
 B「にもかかわらず、夫は今日も救出に至っていません」
 C「これ以上JR総連や加盟組合の皆さまに対する警察からの介入などのご迷惑はかけられません」
 D「したがいまして、本日『捜索願』と『告発状』につきましては、取り下げました。どうぞご理解いただきたいと思います」
 坂入が依然としてカクマルによって身体的に拘束され続けていることを認めながら、「取り下げる」というのだ。これは明らかに先の6月29日付坂入自己批判文書をふまえてのカクマル中央とJR総連カクマル(松崎)との政治的取引を示す文書にほかならない。8月9日をもって、カクマル中央派とカクマルJR総連派は、根本的な分裂について何ひとつ解決しないまま、共倒れを避けるために、分裂下の一定の政治的取引関係のもとでの双方の生き残りの道へと移行したのである。
 分裂は、まずカクマル・黒田にとってカクマルの最大実体の喪失という事態の固定化にとどまらず、残存部分も削り取られていくという致命的な危機である。一方、JR総連・松崎にとっては、カクマルとのゲバルト的緊張関係は、資本とJR総連の矛盾の激化の中でダメージとなる。
 しかし、政治的取引関係と言っても、実にアクロバット的だ。カクマル中央派は、松崎が松崎イズムでJR東資本との協力体制を推進し、ファシスト労組として延命するために好き勝手に動いていくことを認めざるをえなくなったのだ。
 カクマルとしては正面からJR総連またはJR総連カクマルを全面的に批判することはしないと約束し、JR総連内にカクマル組織を建設する活動の余地を確保する道を選択せざるをえなくなったのである。そうして、JR総連を連合の中ではよりまともな労働組合と礼賛しつつ、JR総連内の細胞活動再建に励むというコースを選んだのだ。
 だが、この関係は分裂を深化させるのみである。双方とも危機的状態にあえぐことは必至である。そしてその緊張と危機のゆえに、JR総連カクマルもカクマル中央派もともに反革命策動を強めることになる。
 JR総連カクマル(松崎)の場合、カクマル中央派との緊張関係は、第一に資本・権力へのより一層のすり寄りとなる。第二に逆にそのことを塗り隠すためにもペテン的「反戦」闘争などに力を入れる。
 しかし思想的には「テロ根絶」問題では百パーセント反革命的破産に陥ってしまう。だから、結局はさしあたって動員戦の強化に総力をあげて、セクト的な実力を誇示して自己を維持しようとする。
 しかし、資本との関係で、それも一定までしかできず、ますます危機を深めることは不可避である。

 カクマルとの関係説明せよ

 今年4月13日に、坂入充が自宅へ帰って来たことが報道された(4・16付埼玉新聞、毎日新聞埼玉版)。カクマル中央派による拉致・監禁から1年5カ月ぶりである。同15日、JR総連は「坂入氏の解放に対する見解」を発表した。25日、坂入は吉川署に出頭した。警察の事情聴取に対して、「自分は拉致されたのではない。告訴は自分がしたことではない」と答えたという。これは、坂入が解放される時の中央派との確認に基づくものであり、したがって自己防衛である。
 15日のJR総連「見解」は、坂入の妻からのJR総連への「連絡」を伝えるという形をとっている。そして、「現在は本人が心身ともに衰弱していることや、これまでの夫人の心労を察し、まずは健康の快復が第一と判断しています」として、「とにかくそっとしておいてくれ、騒がないでくれ」という態度をありありと示している。
 だが、JR総連カクマルとして、坂入が「心身ともに衰弱している」という一言で幕引きするのは、あまりにも無責任である。
 第一に、坂入が自ら「拉致監禁ではない」と言っていると伝えられることについて、何と説明するのか。
 第二に、一昨年12月8日にカクマル中央派が開いた集会に坂入が参加し発言したとされることについて、何と説明するのか。
 第三に、昨年6月の坂入「自己批判」文書について、どう説明するのか。
 第四に、昨年6月ころ、九州で坂入が出没したという事実は何だったのか。
 これらについて、JR総連として、組合員に対して説明する責任があるではないか。特に、JR総連指導部がカクマルとの関係を絶つと決定したことは、それまで深い関係を持ってきたことを自ら表明しているのであり、「5億円の滞納踏み倒し」も、JR総連とカクマルのこれまでの関係の密接さを証明している。こういうことについて、納得のいく説明をしてみよ。

 「テロ根絶」を叫ぶ松崎の北海道講演

 ところで、99年末以来のJR総連とカクマル中央派との分裂と対立の激化について、一方の頭目である松崎はどういう態度をとってきたのか。
 前回見たように、九州労大量脱退問題を始め、JR総連の行ったすべての行動の最高責任者は松崎だ。主犯中の主犯である。
 だが、松崎は表向きはこれらにまったく関与していないかのように振る舞っている。一の子分である坂入が中央派に拉致・監禁されているというのに、松崎が一言も発しないのは、どうしてなのか。この一事だけで松崎がJR総連カクマルの中心人物であること、したがって中央派との取引も松崎によるものであることが証明されていると言えるのだ。
 実際、松崎がJR総連の特別顧問となり、本を次々出版し、マスコミ登場の頻度を増やしていることなどは、カクマル中央派と一定の政治的取引をした上で、完全に分裂を確定して、「松崎党」的な一個の政治勢力として再び前面に登場する意思表示である。
 そのような意味で、@毎日新聞社発行『鬼の咆哮』(01年12月)、A『サンデー毎日』の5回にわたる連載(今年1・2〜2・17)、B2月24日の「JR北海道労組結成15周年記念講演」などは、JR総連の新たなファシスト的方向性を示すものである。
 ここではBの講演の内容を検討しよう。
 第一に、@Aと同様、9・11反米ゲリラ戦〜10・7アフガン空爆開始という情勢への反革命的反応を強烈に押し出している。
 ここでも松崎は、「テロ弾劾」を憎しみを込めて叫んでいる。「あの憎むべきテロ、このテロを素晴らしかった、歴史的な出来事だった。そうだそうだと言っている党派があるんだそうですよ」
 松崎・JR総連にとって世界の被抑圧民族人民の帝国主義支配に対する闘いはけっして受け入れられないということを強調しているのだ。松崎は一貫して帝国主義的抑圧民族の立場からアフガニスタンへの救援運動なる資金提供を行っている。これは反戦運動でも平和運動でもない。帝国主義が収奪した超過利潤によって買収された意識そのままの、被抑圧民族人民の闘いへの敵対以外の何ものでもない。
 JR総連という大きなファシスト労組(帝国主義的労働運動のファシスト化したもの)の持つ巨大な資金のほんの一部を、オコボレ的に〃帝国主義的”に散布することによって、格好をつけるというペテン的ボランティア路線でしかない。
 しかし、そこで終わらないのが松崎のファシストたるところである。松崎は言う。「とりあえず5年、10年はやるべきだと思っています」「かの地(アフガニスタン)に事務所を開設いたしました」「もうおそらく延べ1億円程度の金を出していますよ。そして既に、30人ほどの人が現地に行ってます」
 明らかに松崎は、日帝・小泉のアフガニスタン復興計画と一体となって、復興事業の侵略政策を担おうとしている。まさに唾棄(だき)すべき存在である。
 「子ども平和基金」の立ちあげと運動化、アフガニスタン復興運動(チャリティコンサート)、中国への小学校寄贈、ドングリ(植林)運動など。
 これらは、どれ一つとっても帝国主義の矛盾や不正義を暴き、それと闘うのではなく、帝国主義的「慈善運動」なのである(いわば民間ODAを担うものだ)。
 しかも、アフガニスタンへの献金運動は、米帝ブッシュと同じ「テロ弾劾」を組織するものとして行われている。松崎はこれを反戦平和運動とごまかすが、どこに反戦があるのか。戦争協力そのものではないか。
 第二に、松崎講演は、いかにも反戦闘争を一貫して闘ってきたかのように自己を押し出している。しかしそれは、JR総連=東労組こそJR東会社(権力・資本)との「労使協力」路線で突っ走ってきたこと、資本攻勢に屈服しその手先となってきたことを百パーセント塗り隠している。
 例えば松崎は言う。「自殺者が3万人。圧倒的多数はその(資本)の犠牲者ですよ。身につまされますね、わたしは労働運動のリーダーだから。……労働運動は自殺する人を救えない。これは罪ではないですか。大労組幹部の犯罪じゃないですか」などと一見労働者の味方であるかのようである。語るに落ちるとはこのことだ。
 ここでは自分が国鉄の分割・民営化の先兵になって200人以上の国鉄労働者に自殺を強要した当事者であることなどすっかり棚に上げているのだ。血塗られた松崎こそ労働者の敵である。労働者の味方面して、実は労働者を地獄に落とし込む張本人が松崎だ。それは第二の分割・民営化を再び松崎が行うということである。こういうペテン的言辞を恥ずかしげもなく平然と語れるところに松崎のファシストとしての反革命的神髄がある。
 第三に、JR総連が独自の政治党派として議員を擁立しようとしていることを明らかにしている。
 松崎は、かつて国労は最大時で27人の国会議員を擁していたことを例に出したり、過去の伊東秀子の推薦問題に言及しながら、次期衆院選では北海道から独自の候補を出すと言っている。これは、明らかにJR総連がファシスト党として名乗りを上げることを宣言したものである。
 第四に、松崎がこの講演で絶叫していることは、「国労解体」である。松崎の最大のペテンと反革命性は、JR東会社と一体化して第二の分割・民営化的大資本攻勢を労働者に加えてきていることである。この対極で、動労千葉と国労の闘う労働者は団結した力で必死にこれと闘っているのであり、これこそ最も基本的な労働者にとっての反撃の仕方である。
 国鉄闘争の永続化に松崎は恐怖しているのだ。国鉄決戦の勝利と永続化をもってカクマルJR総連打倒へ突き進もう!
 第五に、有事立法攻撃への徹底的な敵対である。
 松崎は、日帝の有事立法攻撃の激しさを知りながら、これへの反対の闘いを組織することなどまったく考えていない。「有事立法またやるでしょうねー。いろんな法律を作る。……有事立法を通すんでしょ……」。ここには組合員に対する闘争への檄(げき)など一言もない。政府は何でもやれることを前提とした話し振りだ。憲法違反でも何でも政府はできるのだと強調し、権力の強さの宣伝をしているにすぎない。
 労働組合員に向かって「決起してもムダ」とオルグしているのだ。これを「労働組合の指導部の責任」をうんぬんしながら語っている松崎とは何者なのか。その正体は明らかだ。

 成立前提にペテン的な有事立法論評

 JR総連カクマルのファシスト労働組合としての姿は、有事立法反対闘争の過程でますます明らかになってきている。
 有事立法決戦が大爆発する情勢にあって、JR総連カクマルはなんとか20労組陣形など反対運動の一角に潜り込もうと画策している。しかし彼らの有事立法闘争を見る場合、重要なことは、99年のJR総連15回定期大会で決定した「戦時下の労働運動」論に立った運動だということだ。
 「『新ガイドライン関連法』の成立は参戦法の成立であり、日本が戦争態勢に突入したことを意味し、……戦争態勢に反対したり、反戦・平和を闘う団体・個人等を弾圧または統括・管理するための法律なのである。……これからの労働運動、民主運動等は、戦時下として展開を余儀なくされる」(柴田委員長=当時=あいさつ)
 「5月24日を区切りに日本の政治軍事の態勢は戦時下に突入した、そういう認識をまずはっきりさせる必要がある」(JR総連組織共闘部長の答弁)
 要するにJR総連は、99年5月24日の新ガイドライン関連法の成立で、「もはや戦時下だから反対運動はできないし、するべきでない」ということを確認した労働組合なのである。
 したがって彼らの有事立法反対闘争も、組合員の生命や身体に危険が及ぶような戦争に反対するという、生き方をかけた必死の阻止闘争では断じてなく、「すでに反対してもだめな時代に入っている」「どうせ成立するのだ」ということを前提とした反対のポーズのための行動に過ぎない。
 労働組合として他の陸・海・空・港湾労組20団体が、自らが侵略戦争の担い手になることも、それによって被害者になることも拒否するという階級的立場に立って闘っているのに対し、JR総連カクマルは、軍事輸送に協力することを前提にして運動に介入しようとしているのだ。
 彼らの大衆動員は、一定の組織力を示すことでむしろ運動に圧力をかけ破壊するためのものであり、運動が勝利し目的を達することに敵対するものである。
 今こそ、カクマル中央派とJR総連カクマルを打倒し、ファシスト労働運動の根を断ち切ろう。

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週刊『前進』(2063号2面3)

甘利は証人出頭せよ 4党合意労働委闘争 除名阻止へ総行動

 7月17日、「許すな4党合意! 労働委員会闘争を支援する会」は、「3与党声明弾劾、闘争団の除名阻止」を掲げて総行動を展開し、国労組合員を始め延べ90人が参加した。
 午前11時、参加者は中労委の労働側委員に申し入れを行った。千葉地労委の不当な却下決定に対して再審査を申し立てた国労千葉地本の組合員を先頭に、中労委がまともな審理を行うよう、労働側委員としての尽力を要請した。
 午後からは自民党本部前と国土交通省前に分かれての行動。自民党本部前では甘利副幹事長の労働委への証人出頭を求める申入書を手渡し、衆院第2議員会館の甘利事務所にもおもむいて秘書に申入書を受け取らせた。国土交通省前では、4党合意への同省の関与を全面的に明らかにせよとする請願書を提出した。
 午後4時半から、4党合意撤回の行政訴訟の公判が開かれた。原告の秋田の闘争団員と米子地本の組合員が意見陳述し、4党合意・3与党声明による国労解体攻撃と、「4党合意は不当労働行為にあたらない」とした中労委反動命令を徹底的に弾劾した。原告側は棄却命令の根拠を問う求釈明を突きつけ、「命令書記載のとおり。釈明の要なし」と居直る中労委を追いつめた。その中で、裁判長も中労委に釈明を求めた。
 午後6時半から、シニアワーク東京でこの日の行動の報告集会が開かれた。支援する会(東京)の代表が、「闘争団除名という国労本部の暴挙を阻止する闘いの中で総行動が闘われた」と一日の行動を総括。連帯あいさつで動労千葉の被解雇者は「ストを構えて政府・JRを追いつめる。1047人の一員として最後まで頑張る」と宣言。
 行政訴訟の原告代理人の鈴木達夫弁護士は、「結審策動を粉砕した。闘いが敵と切り結び始めた」とこの日の公判を総括した。
 原告の国労組合員の吉野元久さんが「闘争団除名に賛成する者に大会代議員を渡さない。有事立法阻止と国鉄決戦を結合して徹底して闘う」と決意を述べた。

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週刊『前進』(2063号3面1)

泉佐野で関空反対集会 有事法粉砕へ7・26決起誓う

 7月14日、大阪湾岸住民4団体と反戦共同行動委員会主催、三里塚芝山連合空港反対同盟協賛で「関西新空港反対全国集会」が開かれた。参加者は、有事3法案と関空の軍事使用絶対阻止の決意を打ち固め、7・26国会闘争への総決起を誓い合った。有事立法が強行されれば、関空は北朝鮮侵略戦争の「作戦計画5027」の一大出撃基地になる。そんなことは絶対に許さない! 7・14闘争は有事立法粉砕決戦そのものとして闘い抜かれた。
関空に怒りのデモ 永井関実代表、国賀泉佐野市議らを先頭に全国から決起【7月14日 泉佐野】 )
 快晴。大阪・泉佐野市の末広公園に244人が参加した。5月の市議選で自らの力で国賀祥司市議の5選をかちとった泉州住民の会と後援会、地元住民50人が、晴れやかな顔で中心に座る。多くの住民は5、6月の有事立法反対の東京・大阪の闘争にも参加した。有事立法を許せば関空が軍事空港になる、そんなことは絶対に反対だと行動に立ち上がった人たちだ。
 司会は淡路町反対同盟の安藤眞一さんと泉州住民の会の婦人が行った。初めに山本善偉・東灘区住民の会代表が「関空二期も神戸空港も有事3法案につながっている。二度と戦争を許さない決意で頑張ろう」と開会を宣言した。続いて森田恒一・泉州住民の会代表が、「国賀さんは有事立法絶対反対を訴えて5選という輝かしい勝利を収めた。有事3法案絶対反対を貫き、暫定滑走路開港と不屈に闘う三里塚反対同盟と連携して闘おう。神戸空港の即時中止を求めよう」と主催者あいさつを行った。
 次に三里塚反対同盟の北原鉱治事務局長が連帯のあいさつに立ち、「国家暴力の最たるものが三里塚だ。成田も関空も軍事使用のために造られた。三里塚が勝てば世の中が変わる、沖縄が変わる。有事3法案を粉砕しましょう」と訴えた。
 反戦被爆者の会の大槻泰生さんのメッセージ紹介の後、国賀祥司・泉州住民の会事務局長が基調報告を行った。国賀さんはまず、5月市議選のお礼を述べ、かつてなく激しい選挙戦を住民のすばらしい決起で勝ち抜き、有事立法反対・空港反対を貫いた意義を確認した。そして闘いの方針の第一に、「有事3法案の衆院強行採決を実力阻止し、廃案に追い込もう。マスコミは有事立法は廃案か継続審議などと宣伝し、労働者人民を武装解除しようとしている。7・26全国集会に総決起しよう」と熱烈に呼びかけた。
 第二に、「関空の軍事空港化に反対し、二期工事を中止に追い込もう」と提起した。政府は関空を武力攻撃事態法案第2条の「指定公共機関」に決め、有無を言わせず軍事使用しようとしている、軍事空港反対の闘いの本番だと訴えた。国賀さんは、「作戦計画5027」を発動すれば関空が一大侵略基地になる、それを許さない国際連帯闘争として闘おうと訴えた。さらに関空自体の破綻(はたん)性を暴露し、それでも強行するのは軍事空港だからだと弾劾した。そして三里塚、沖縄などの闘いをともに闘い、「闘うアジア人民と連帯し、日帝の侵略戦争を阻止しよう。7・26に全力で結集しよう」と結んだ。
 婦人民主クラブ関西協議会のカンパアピールの後、決意表明が行われた。最初に泉州住民の会の2人が「戦争につながる二期工事中止、有事法制反対を貫きます」「泉佐野の市民は遠い所から来ていただいたみなさんに包まれて新空港反対、有事立法反対で頑張っていきます」と訴えた。次に東灘区住民の会の白石裕世話人が「有事3法で憲法9条に穴をあけさせてはならない。9月15日の神戸空港反対集会に参加してください」と発言した。部落解放同盟全国連の代表は「全国連は7・26に組織の総力を挙げて結集する。国会で有事立法が公公然と論議されていること自体許せない。有事立法廃案へともに立ち上がろう」と熱烈に訴えた。関西労組交流センターからは京滋交流センターの労働者が「6・16の6万人集会、20労組の闘いをさらに発展させるために、すべての労働者は休暇闘争をやり抜き7・26に決起しよう」と訴えた。
 次に、会社解散・全員解雇攻撃と闘う関西合同労組東部支部の分会から分会長が争議支援を訴えた。全学連は「有事立法を実力闘争で阻止する。今こそ戦争に突き進む小泉政権を打倒しよう。7・26国会闘争はその号砲だ」と訴えた。
 明石住民の会の日原年和さんが集会宣言を読み上げた。最後に永井満・淡路町反対同盟代表が「三里塚闘争、有事法制阻止を闘おう。小泉の戦争政策に完全に取り込まれた関西新空港を絶対に許さない行動を続けよう。30有余年に及ぶ関西新空港闘争のすべてをかけて闘おう」と閉会のあいさつを行い、関空を眼前にするりんくうタウンまで元気よくデモ行進した。

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週刊『前進』(2063号3面2)

“ヒロシマの惨劇くり返すな” 広島反戦共同が練り歩き

 7月7日、広島反戦共同行動委員会は有事立法絶対廃案の決意に燃え、学習会を開き、8・6ヒロシマ反戦闘争への大結集を呼びかける練り歩き街宣を行った。原爆ドーム前を出発し、繁華街を抜け若者の集まるアリスガーデンまで、「非核3原則見直し発言や有事立法は、再び広島の惨劇をくり返すものだ。ブッシュは核兵器を使う戦争をやると言っている」(被青同)などと訴え、労働者人民の注目と支持を集めた。

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週刊『前進』(2063号3面3)

佐世保 さわかぜ帰港を弾劾 “アフガン侵略許さぬ”

 今年2月、海自佐世保基地からインド洋に出撃した護衛艦「さわかぜ」が7月5日午後、約5カ月ぶりに帰港した。
 アフガニスタンでは今も空爆が続いている。地上戦はパキスタンまで拡大し、激化している。護衛艦「さわかぜ」は4カ月間にわたり、インド洋のアラビア海で米英艦船とともにアフガニスタン人民虐殺に手を染めてきたのだ。絶対に許せない!
 反戦共同行動・長崎は佐世保地区労傘下の労働者と固く連帯し、「さわかぜ」の帰還を弾劾し決起した。
 「STOP!有事法制、自衛隊の海外派兵反対」佐世保地区集会は午後6時から佐世保市島瀬公園で行われた。会場には全港湾、国労、佐世保市職、全水道、県教組、全農林、都市交、全逓、全国一般など150人が結集した。「自衛隊の海外派兵に反対し、有事立法に反対する」集会宣言を採択し、佐世保四ケ町アーケード街を力強くデモ行進した。
 それにしても7月1日に護衛艦「あさかぜ」が出港したばかり。この出入港の激しさは何だ。佐世保の出撃基地化に反対しよう。イラク侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争阻止をかけて、有事3法案の廃案を絶対にかちとろう。

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週刊『前進』(2063号3面4)

高浜原発 富山大自治会先頭に MOX燃料搬出弾劾 核武装化と対決し

 7月4日、福井県高浜原発4号機からのプルサーマル用MOX燃料(プルトニウムとウランの混合燃料)の搬出・輸送を弾劾する集会・デモが、140人の結集で闘われました。
 富山大学学生自治会は「日帝の有事立法・核武装阻止! プルサーマル再開策動粉砕! 核燃料サイクル阻止!」を掲げ、関西反戦共同行動委員会とともに先頭で闘いました。高浜町内をデモし、町役場にプルサーマル中止を申し入れ、高浜原発前で関西電力への抗議行動に立ち上がりました。ゲートのすき間から恐る恐る出てきた関電の担当者に横断幕を掲げて詰めより、「直ちにプルサーマルを中止せよ」と怒りをたたきつけました。
 「ピンテール号が出る」との報を受け、直ちに岸壁でのMOX燃料搬出阻止闘争に移り、パシフィック・ピンテール号に向け弾劾の声を上げました。ロイター通信のインタビューを受けるなど、富大生の闘いは圧倒的に注目を受けました。
 一方、金沢大カクマルは動員も減り、消耗しきった姿をさらけ出しました。闘争破壊のためにのみ介入し、日帝の核武装を「エネルギー問題」と美化し、対米従属論と反米主義を露骨に叫ぶばかりでした。
 今回搬出されたMOX燃料は英の原子燃料会社・BNFLで製造され、99年10月1日に高浜原発に搬入されたものです。しかし、前日の9月30日にJCOの臨界事故(2人の労働者が死亡)が起こり、さらにMOX燃料のデータ改ざんが明らかとなったことで、燃料は一度も使用されませんでした。しかし、関西電力は問題のMOX燃料をBNFLに返還することで、新たなMOX燃料製造契約を結ぼうとしています。日帝は破産した核燃サイクル政策―プルサーマル計画を何がなんでも再開しようというのです。これは有事立法と一体の核武装攻撃です。
 米帝ブッシュ政権は世界戦争戦略のもと、イラクや北朝鮮への核戦争を発動しようとしています。この中で日帝は核武装の衝動を強めています。「核兵器は持てる」「非核三原則の見直し」と言う福田・安倍らの発言は日帝・小泉政権の本音であり、数十万、数百万の朝鮮人民・アジア人民を原爆で虐殺する宣言です。絶対に許せません。
 MOX燃料の輸送に世界各地で怒りが集中しています。7・26の大爆発で有事立法を廃案に追い込み、核武装と侵略戦争に突き進む小泉政権を打倒しよう。
 (投稿/富山大学・K)

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週刊『前進』(2063号3面5)

動労千葉 団結の力ここにあり ストはいかに実現されたか(7) 有事法制反対の先頭に立つ レベルアップした闘いへ

 幕張支部、その後

 今春闘の成果が最も顕著なのは幕張支部だ。ストの前段の非協力闘争で「職場支配権を奪い返した」と総括したが、そのとおりの事態が続いている。4月1日から「新保全体系」の実施が強行されたが、当局との力関係を転換した幕張支部は、「実施強行のための教育反対」から「徹底的に教育をやれ」という要求に切り替えた。
 山田支部長は「要は、向こうが困ることをやることなんです」と言って、次のように説明する。
 「当局は動労千葉の組合員を排除したら仕事が回らないことにやっと気づいたから、教育をせざるを得ない。組合員は業務をはずれて教育を受ける。そして当局は『この作業ダイヤでやれ』と指示する。例えば今まで1日6人でやっていた仕事を、午前は5人、午後は2人でやれと。しかし、午前中の仕事が終わらない。組合員は『これじゃあ仕事が終わらない。おかしいじゃないか』と言う。そうすると当局は作業ダイヤを書き直して、翌日持ってくる。それに対して『これじゃあ分からないよ』と10時ぐらいまで抗議し、作業ダイヤの説明を要求する。当局は業務指示も出せず、仕方なく書き直す。ワープロを30回くらい打ち直したんじゃないかな」
 また、東労組の「平成採」の労働者を勤務からはずして「小集団活動」をやらせていることが問題になった。朝の点呼で「おかしいじゃないか」と、他労組の組合員も含めてワーワーとなる。現場長は「点呼の場ですからやめてください」と言うが、「ふざけんじゃねえ」とやり合う。
 「国労は、点呼に返事をしないとか、抗議したとかで賃金カットや出勤停止になっているけど、幕張では当局は制止もできない」
 現場長は、「山田さんたちの言っていることは正しいです。でも点呼では言わないでください」と泣きついてくるのだそうだ。
 この現場長は、幕張支部対策のために送り込まれてきたが、なすすべもなく職場支配権を失ったのだ。だが、このままで済むはずはない。10月には「新保全体系」による要員削減が予定されており、検修・構内外注化も千葉だけやらないわけないはいかない。しかし、今の状況では、東労組などの退職したOBを働かせることはできない。本格的な攻防はこれからだ。

 新組合員の決起

 幕張支部には、昨年10月に国労から動労千葉に加入したKさんがいる。Kさんは、ずっと国労で頑張ってきたが、幕張電車区に来て動労千葉の存在を知った。「動労千葉がストライキをやっている時に、職場に入っていくのが恥ずかしかった」(3・29総決起集会での発言)という。
 「Kさんは動員は皆勤賞なんです。来たばかりだからこっちも遠慮していると、『日刊動労千葉』を見て『今日あるんでしょ? おれも行ってもいいよ』って。そういうのをいっぱい味わわせてあげたい」と山田支部長は語る。
 5・24有事法制反対集会でも、動労千葉の隊列の中にKさんの姿があった。
 「その組合の構えひとつで、労働者は変わるんです」と田中委員長は言う。

 執行部の腹次第

 今、動労千葉は、夏季物販のオルグに全力を挙げつつ、有事立法反対闘争に、陸・海・空・港湾労組20団体と連帯して取り組んでいる。今春闘ストそれ自体が、゛反戦春闘″を掲げて闘われ、そこで強めた団結の力が有事立法阻止・戦争協力拒否の力につながっている。全労働者の進むべき道を示しているのだ。
 最後に、書記長と委員長に、今後の抱負を聞いた。
 「敵の攻撃が厳しければ厳しいほど、団結して闘う。動労千葉はそうやって生き抜いてきた。それを明日につなげるのは組織拡大だと思う。1047名闘争の支援陣形ができたけど、国労の状況を見ると、やっぱり動労千葉が前面に出て闘わなければならない。仲間を裏切らず、闘うことが労働組合を守ると思います」(中村書記長)
 「今、全支部で春闘総括の学習会をやり、有事立法反対の総決起体制をつくっている。労働組合にとって大変な問題だし、世の中の仕組みが全部変わるということだから、なんとしても阻止したい。職場の問題にも一つひとつ対応しなければ、組合員との本当の信頼関係はできない。その両方で的確な対応をすれば組合員は必ずこたえる。執行部の腹の据えよう次第で動労千葉のレベルが上がると思います」(田中委員長)
 この時代に、労働組合の指導部の姿勢がいかに重要かということだ。あらゆる職場で、そうした指導部をつくり出すなら、無数の動労千葉を生み出すことは可能なのだ。
 (おわり)
 〔本紙・大沢 康〕

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週刊『前進』(2063号3面6)

闘う労働者、労組活動家の皆さん 有事法粉砕・労働運動再生へ『前進』を読み、ともに闘おう

 有事立法絶対廃案かちとれ

 有事立法阻止の大闘争を闘い抜く労働者の皆さん。とりわけ連合の抑圧と格闘し決起している労働組合活動家の皆さん。
 6・16闘争の6万人の労働者人民の決起は有事立法粉砕の展望、労働運動の再生と革命的労働者党建設に向けた巨大な展望を切り開きました。
 労働者の闘いは、日本帝国主義の基軸的国家政策である有事立法攻撃を打ち破る力を持っていることを示しました。
 『前進』は、有事立法攻撃を粉砕し、労働運動を再生し、社共に代わる闘う労働者党を建設し、労働者の解放のために闘う唯一の機関紙です。
 『前進』を読み、ともに闘うことを心から呼びかけます。
 6・16闘争を引き継ぎ、有事立法反対の巨万人民の署名運動を推進し、7・26国会決戦に総決起し、有事立法絶対廃案へ突き進もうではありませんか。
 6・16闘争は労働者人民に闘いへの自信をもたらし、法案絶対廃案への意欲を呼び起こしています。労組役員・活動家が決断して職場で学習会と討論を起こせば、闘いに参加しようとする人びとは膨大にいます。決断した労働者が命がけで頑張り、労働組合丸ごとの決起を呼びかけ、国会を十重二十重に取り巻いて闘うならば、必ず有事立法を廃案にできます。
 「アメリカの戦争に巻き込まれるから反対」という日本共産党は、有事立法と本気で闘わず、選挙のための票集めのためにのみ「反対」を唱えているにすぎません。
 『前進』は有事立法粉砕闘争を終始一貫してけん引し、最後の勝利まで闘う唯一の新聞です。
 6・16闘争は、陸・海・空・港湾労組20団体が中心となり、総評解体後の戦線の分断を打ち破り、既成のナショナルセンターを越えた統一戦線を形成しました。70年闘争以来の、反戦政治闘争への労働組合の結集を実現しました。
 70年闘争の高揚に対して加えられた国家権力の弾圧と、それに呼応したカクマルの白色テロルによる闘争圧殺体制はついに打ち破られました。

 国鉄軸に労働運動の再生へ

 カクマルの白色テロルへの反撃と、国鉄分割・民営化に対する1047人闘争を先頭にした国労・動労千葉の闘いは、ついにカクマルを中央派とJR総連カクマルとの分裂に追いこみました。
 JR総連カクマルと国労の裏切り指導部を打倒して、新たに進撃すべき時を迎えたのです。
 この時、『赤旗』や『社会新報』には、どこにも労働運動の勝利の道が書いてありません。それどころか、国家的不当労働行為と15年間にわたって不屈に闘う1047人闘争の破壊者となっています。
 『前進』は、労働組合運動にとって最も重大で切実なこの課題を毎週提起し、報道している唯一の新聞です。

 連合の闘争圧殺と闘う新聞

 連合は、5・16連合見解で有事立法賛成を打ち出し、さらに来春からは春闘を解体する方針すら決定しました。
 6・16闘争には、この連合指導部の反動的制動と翼賛化をつき破り、多くの単組が組合旗を掲げて立ち上がりました。連合の制動を突破し階級的労働運動の奔流(ほんりゅう)をつくりだす時が到来しました。
 『前進』は、連合本部を真っ向から批判し、自治労、教労、全逓、電通、金属、電機、医療など全産別の労働者の総決起を切り開くために闘っている唯一の新聞です。

 力を合わせて革命党建設を

 6・16闘争が提起した最も核心的な問題は、日本の労働者階級は社民党、日本共産党に代わる階級闘争全体に責任をとる強大な革命党を建設しなければならないということです。反戦闘争や労働運動にとって革命党は絶対に必要です。
 アメリカ帝国主義が次々と繰り広げる侵略戦争に対し、パレスチナ・イスラム諸国人民の命をかけた解放戦争が闘われています。イタリアやスペインで首切り反対のゼネストが1千万人を超える決起でうち抜かれ、南朝鮮・韓国の労働者の戦闘的な闘いが永続的に闘われています。スターリン主義の裏切りをのりこえて、全世界で労働運動が新たに胎動しています。
 これらの闘いは、日本の労働者人民に国際的内乱と革命の時代を切り開くことを熱烈に呼びかけています。
 革共同は昨年、第6回大会を開催しました。そして対カクマル戦の勝利を宣言し、21世紀の早い段階に反帝・反スターリン主義プロレタリア世界革命を実現する展望を明らかにし、労働戦線の一大前進によって闘う労働者党を本格的に建設する方針を確立しました。
 1917年ロシア革命は、ボルシェビキの機関紙『プラウダ』がツァーの弾圧をかいくぐって労働者の中に広まり、ボルシェビキが多数派になることで実現されました。
 『前進』が圧倒的多数の労働者に読まれることによって、国家権力の弾圧に打ち勝つ革命党を建設することができます。
 『前進』をぜひ定期購読し、革命に勝利する労働者の党をともに建設することを訴えます。

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週刊『前進』(2063号3面7)

資本攻勢&労働日誌 2002 6月30日〜7月10日
 電機連合 春闘否定の職種別賃金決定
 私鉄総連、有事法廃案を表明/雇用保険改悪の動き

●6月30日 坂口厚労相は、雇用保険について手当額など給付水準を抑制する考えを明らかにした。
●7月1日 厚労省発表の毎月勤労統計調査(速報)によると、今年5月の労働者1人当たりの定期給与は前年同月比で1.8%減少。超過勤務手当を除いた所定内給与も同1.6%減で、ともに90年の調査開始以来最大の下げ幅。(16日発表確報
●2日 日本労働研究機構は01年のラスパイレス賃金指数を発表した。労働者の年齢構成などの構造変化の影響を取り除いた賃金の動きを見るために作成する。これを見ると01年の賃金水準は、前年比0.1%減と3年連続のマイナスで94年の水準を下回っている。
●3日 電機連合は5日まで大会を開き、「21世紀を創る」と題した向こう2年間の運動方針を決定し、「職種別賃金決定方式」を打ち出した。(要旨別掲
●3日 NTT労組は4日まで定期大会を開き、向こう2年間の運動方針を決めた。津田委員長は、連合が「ミニマム闘争」に集中しナショナルセンターとして統一要求基準を示さない方向を打ち出したことを歓迎し、「これまでの春闘方式は破たんしたとの認識に立つべきだ」などと述べた。
●4日 厚労省は労働政策審議会・雇用保険部会で、失業手当を支給するための失業認定手続きを年内に厳格化する方針を示し、了承を得た。
●5日 厚労省は「外国人雇用問題研究会」の報告を公表。労働力不足に対しては移民受け入れの可能性も視野に入れるとしている。
●8日 富士通は光伝送装置など通信部門を中心に、人員削減を含む追加リストラを検討していることを明らかにした。
●8日 厚労省が公表した「経済のグローバル化に伴う企業活動と労働面の対応に関する調査」によると、規模30人以上の企業のうち7.6%が海外事業活動を行っており、5.6%は海外勤務者がいる。
●9日 厚労省は、2002年版の「労働経済の分析」(労働経済白書)を発表した。失業期間が1年以上に及ぶ長期失業者が、「10年間で人数は4倍、率は3倍に増えている」ことを指摘している。(「労働経済白書」要約
●10日 私鉄総連は12日まで大会を開いた。03年以降のベア統一要求廃止の方針を打ち出している連合に対して、ナショナルセンターの使命を放棄するものとして、主要な産別労組で初めて異議を唱えた。また、有事立法の廃案に向け闘うことを表明。討論では、複数の代議員から、陸・海・空・港湾労組20団体や宗教者の幅広い運動に関連して「廃案にむけ、従来の枠組みを越えた大きな反対運動が必要」との呼びかけもあった。(「連合通信」記事
●10日 政府と日本経団連、連合は「多様就業型」ワークシェアリングについて年末をメドに合意をめざす方針を決めた。

 電機連合の職種別賃金の概要

▽実態調査の上、06年にも移行
 今年度から賃金実態調査を行い、早ければ06年以降に、11種類の職種別賃金決定方式に移行する。これは、賃金格差を容認し、技能職を始め大多数の労働者の賃下げと不安定雇用化、終身雇用制解体を推し進めるもの。
▽11種類の職種
 @製品組立職、A装置操作職、B機械・加工職、C監督指導職、D企画職、E事務職、F営業職、GSE職、H研究職、I開発・設計職、Jその他
▽来年度から過渡期に突入
 昨年から、「35歳高卒技能職」「30歳大卒事務技術職」の2本立てに。そこからさらに学歴・勤続をはずし、「35歳技能職」と「30歳技術職」に変更。

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週刊『前進』(2063号4面1)

有事立法賛成と春闘解体の連合揺るがす分岐と流動化
 反動支配を破り反戦決起を

 有事3法案の継続審議粉砕と廃案をかちとる闘いが正念場を迎えている。反戦共同行動委が呼びかける7・26闘争を始めとする7月決戦に総決起することを訴えたい。「STOP!有事法制6・16全国大集会」を頂点とする4〜6月の闘いは、有事法制の成立強行を阻むとともに、労働者階級の分岐と流動化を巨大な規模で促進している。何よりも5・16の連合「有事法制賛成」見解に反対する連合傘下の労働者の決起が、連合を揺さぶっている。そうした中で6月11〜12日に開かれた連合の政策・制度中央討論集会などは、連合内の分岐と流動化が決定的な段階に入ったことを示した。この間の連合をめぐる動向を明らかにし、連合をのりこえる労働者の壮大な決起をつくり出すためにさらに奮闘することを訴える。

 自動車総連が「脱退」で恫喝

 6月11〜12日、連合の第13回政策・制度中央討論集会が開催された。連合見解に対する労働者の怒りの声が高まり、連合傘下の労組からも6・16大集会への参加の機運が盛り上がっていたさなかの会合である。
 その中で、有事法制をめぐる激しい討論が交わされた。まず、全国一般が「有事法制はすでに憲法を超えている。全国でナショナルセンターの枠を超えたさまざまな集会が開催されるこの時こそ、連合がその中心となって旗振りを行うべきだ」と主張。全国農団労も「労働組合運動の基調は平和を守ることだ。有事法制の行き着く先は憲法(改正)にある」と訴えた。
 これに対して、造船重機労連が「政府案には欠陥があるが、テロや不審船など非常時に備えるものは必要」と主張。自動車総連は「有事法制や憲法解釈を含めてこれらを議論すること自体を、戦争につながるとか加担するというのでは、これ以上議論はできない。こうした意見が大勢を占めるのであれば、自動車総連としては連合を脱退する」とうそぶいた。
 造船重機労連など、傘下に軍需産業関連企業の労組を抱える産別は、有事法制賛成論を最も強硬に主張している。そして自動車総連も、明らかに有事法制賛成の立場から、「連合脱退」までちらつかせながら、有事法制や憲法改悪に反対する議論そのものを封殺する目的で、このような反労働者的発言を行ったのだ。
 もうひとつの焦点となったのは公務員制度改革だった。連合は「公務員の労働基本権の確立」を掲げているが、これに対して自動車総連が「民間では今日、ストというのは企業をつぶすのと同じこと。どういうつもりでスト権と言っているのか」と批判したのを始め民間産別からスト権圧殺の反動的発言が相次いだ。
 さらに6月26〜27日の第37回中央委員会では、連合中央が今後、ナショナルセンターとして春闘のベア要求基準を示さない方針を打ち出したことに対して、中小産別や地方から異論が続出した。これに対して電機連合が「職種別賃金」で春闘解体を進める方針を表明。自動車総連は「今春、厳しい交渉となったのは連合がベア要求を示さなかったことではない」として、国際競争力維持が焦点だと資本防衛を主張した。

 完全な法案を要求する連合

 なお中央委員会では「健保法改正等の廃案と有事関連三法案の成立阻止を求める特別決議」を採択した。だが、有事法案については「廃案」ではなく、「あいまいさと多くの欠陥」があり「国民の疑義に応えていない法案を成立させることに、 連合は断固反対」というもので、あくまでも「完全な有事法」を求める反動的立場なのだ。
 これに対して、その後の各産別の大会では、有事法制廃案を求める声が噴出している。特に7月10〜12日に開かれた私鉄総連の大会では、「なんとしても廃案にするしかない」「有事法案反対は総連として譲れない問題」という意見や、「産別の枠を越え、廃案に向けた大きな運動が必要」「平和フォーラムの枠にこだわらず、イデオロギーの違いを超えた一日共闘、半日共闘も追求すべき」など、20労組との共闘を求める意見も出された。

 20労組の闘いと新たな分岐

 これらの連合をめぐる動向が示すものは何か。
 それは、有事3法案に対して、広範な労働者階級の怒りが広がり、それが連合を大きく揺さぶり始めているということである。
 日帝・小泉政権は、連合の「有事法制賛成」見解をとらえて、連合とそれを支持基盤とする民主党を巻き込んで(一部修正さえして)、有事法制を成立させることを狙ってきた。労働者を戦争に動員するためには、連合を徹底して翼賛化し、その協力を取り付けることが不可欠だからだ。
 だが、4〜6月の闘いはその攻撃を押し返した。ここで20労組と連帯する連合内の労働者の決起がきわめて重要な役割を果たした。
 そうした中で、有事法制賛成の最強硬派であるIMF−JC(金属労協)の造船重機労連、電機連合、自動車総連などが右から揺さぶりをかけ、他方で20労組の先頭に立つ海員組合や全国一般、私鉄総連、NHK労連などは反対の立場だ。また、連合見解を「憲法の枠内で」なる「条件付き」でとりまとめる先頭に立ったのが自治労や日教組だった。JR総連は「反対」を表明しつつ、JR資本との「労使共同宣言」で軍事輸送協力を誓うファシスト労働運動の正体をあらわにしている。
 連合の分岐は今や、春闘方針や公務員制度改革をめぐる対立などと一体のものとして拡大しているのだ。
 それらは旧総評系と旧同盟系の対立、官公労と民間の対立、大手と中小の対立という単純な図式では表現できない、新たな分岐である。その核心は、いよいよ本格化する戦争と大失業の攻撃に対して、これを率先して推進する帝国主義的労働運動派の連合指導部と、怒りと危機感を持つ多数の労働者・労働組合との分裂が本格的に始まったということである。
 真に階級的労働運動をめざす勢力が、20労組や連合内外の国鉄闘争支援陣形の労組などと連帯し、連合を突き破り、反戦政治闘争に総決起しよう。有事立法3法案粉砕へ、7・26闘争に全国から首都・東京へと大結集しよう。

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週刊『前進』(2063号4面2)

有事立法反対だから排除 田中知事不信任決議弾劾
 解放同盟全国連長野県連が闘いに立つ

 長野県議会が7月5日、田中康夫知事(写真)の不信任案を賛成44人、反対5人(欠席11人)の賛成多数で強行した。田中知事は県議会の解散ではなく、10日後の16日午前0時をもって失職して知事選に再出馬し、県民に信を問う道を選んだ。
 長野県議会による田中知事不信任決議の本質は、全国の知事で最も強硬に有事立法に反対している田中知事をたたきつぶそうとする有事立法攻撃である。
 県議会の最終日に、他の提出案件が終了したあとにこの不信任決議が出されたことに示されているように、ダム建設凍結などの個々の政策をめぐっての問題ではない。自治体の首長や議員が有事立法に反対していたら、イラク侵略戦争や北朝鮮・中国侵略戦争の戦争国家体制が成り立たない。だから今、有事立法と戦争に反対する首長や議員を暴力的に排除してしまおうとする上からの「内乱」攻撃が全国で襲いかかっているのである。
 田中知事は、政府が有事立法3法案を国会に提出したことに対して4月18日の記者会見で強く反対を表明した。さらに県営松本空港についても「軍事目的に使用しない」という地域との協定について「十分以上に尊重したい」と軍事利用させないことを確認している。その後も有事立法について政府に対して5項目の質問書を提出し、反対の立場を鮮明にしている。
 こうした田中知事を、有事立法で戦争協力が「責務」として規定されている地方行政機関の首長が反対していては戦争体制は取れないということで排除しようとするもので、それが事態の本質なのである。
 実際、県議会の不信任決議の内容そのものがめちゃくちゃなものである。決議案で不信任の根拠として挙げられているのは「独善的で稚拙ともいえる政治手法により県政の停滞と混乱を招」いたというものである。ところが、県議会は田中知事が提出した案件を承認して最終日を迎えていたのである。まさに田中知事をたたきつぶすための不信任案であることは明白であった。有事立法に反対する自治体首長は許さないという日帝・小泉政権の全面的な攻撃に他ならない。
 地方議会をめぐっては横浜市議会で議場の「日の丸」を引き下ろそうとした2人の市議に対し、6月25日に議員資格をはく奪する超反動的な「除名処分」が決議されている。さらに相模原や杉並において、有事立法反対で真っ向から闘う議員に対して様々な反動的策動が行われている。徳島の自民党系県議は、田中知事不信任決議を強行した長野県議会の反動派を応援し、さらにこの攻撃を広げようと策動している。まさに有事立法反対・戦争反対の首長や議員を排除しようとする「上からの内乱」攻撃が始まっているのだ。
 田中知事を解任し有事立法反対の闘いを圧殺しようとする攻撃に対し、部落解放同盟全国連合会長野県連は、これを真っ向から弾劾して街頭宣伝などの闘いに全力で決起している。長野県連はそのビラで「長野県知事の不信任問題は、長野だけの問題にとどまらない、反戦の未来がかかっています」と訴えて、有事立法反対、戦争法案廃案への闘いを呼びかけ、闘いの先頭に立っている。
 日帝は、すでにアフガニスタン侵略戦争に自衛隊を派兵し、準戦時国家となっている。有事立法を強行し、北朝鮮・中国侵略戦争に全面的に参戦することは、文字通りの戦争国家となることであり、全面的な国家総動員体制の構築なしにはそうした侵略戦争は不可能である。まさに有事3法案の強行は、住民基本台帳法強行や人権擁護法案などの治安弾圧法による人民の闘いの全面圧殺と一体なのである。地方自治体の首長や地方議会の議員に対する一切の戦争反対を許さないというこの攻撃は、「外に向かっての侵略戦争と内に向かっての階級戦争」という性格の本質的に上からの内乱攻撃である。
 田中長野県知事への不信任決議を怒りを込めて弾劾し、有事3法案廃案へ、7・26国会決戦の大爆発を頂点に全力で闘い抜こう。

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週刊『前進』(2063号4面3)

繰り返すな戦争 沖縄・広島・長崎の誓いを貫き闘う時だ

 

被爆から57年 ヒロシマ・長崎を語る 反戦被爆者の会 下田礼子さん

 その時母は国家総動員で市内に 有事法案はみんなの力で廃案に

 被爆57年の8・6ヒロシマ、8・9ナガサキを前に反戦被爆者の会の下田礼子さんと元長崎市長の本島等さん(次号)に想いを語ってもらった。(編集局)

 思い出すと涙が止まらない

 当時15歳で商業学校の学生でした。動員先の工場では、飛行機が使う酸素発生剤を作っていましたが、材料が全然ないので動員解除となり、自宅で8月6日の朝8時15分を迎えました。
 警戒警報が解除になっても飛行機の音がするから、おかしいなと思いながら空を見上げると、光が輪になって上がっていくのが見えました。直後に、ドカンというものすごい音がして、その音にびっくりして防空壕に駆け込みました。
 母はその時、国家総動員法により町内の160人の人たちとともに、市内中心部の建物疎開の後片付けに出ていました。しばらくして、伯父が母を運んで帰ってきました。母は長靴を履いていたため足にけがをせず、脱出できたのです。生きて帰ってこれたのは母だけでした。
 母を寝かせようと思っても、体は焼けてぐちゃぐちゃで、やっと台所の板の間に寝かせました。おばあさんが寝ずに看病し、私はキュウリを集めてすって、カキ殻を粉にして溶いて顔に塗ったりしました。3日後に母は亡くなりました。母の背中には大きなうじがたくさんわいていて、それをきれいにして、白い布をかぶせました。その時のことを思い出すと、今も涙が流れて止まりません。
 父は警察で剣道教師をし、退職後は青年学校で軍事教練をしていました。戦時中は「先生」と呼ばれて軍国主義の塊のような人でした。私は終戦になり、デモクラシーという言葉を聞いて、すごく舞い上がるような感じでした。でも父とは何かにつけて衝突するので、私は母の貯めていたお金から1500円を持ち出し、おばあさんが住んでいた小西本家の別荘に家出しました。ノブ子伯母(故小西ノブ子さん。原水禁大会の被爆者代表や理事などを歴任、反戦被爆者の会の初代会長)も同居していました。
 学校を卒業して2年ほど商店に勤めた後、広島電鉄に勤めていたノブ子伯母に誘われて、広島電鉄の人事課長さんに会いに行きました。ところが、この人は父の昔の部下で、結局、コネで入れてもらったようなものです。20歳の時でした。

 峠から学んだ原爆への怒り

 和子伯母(ノブ子さんの妹)に紹介されて、詩人の峠三吉が活動していた「青年文化連盟」に参加しました。そのうち峠に誘われ詩の勉強も始めました。和子伯母は、女学校を出た後も勤めなど経験したことのない人でしたが、峠は肺壊疽(えそ)のため病気がちで働けず、峠を食べさすために栄養士の資格をとり広島電鉄の食堂に勤めていました。峠は西条の病院で肺壊疽の手術中に亡くなるのですが、その入院費用も伯母が工面しました。
 峠からは平和に対することをいろいろと教わりました。峠は米軍占領下で禁止されていた朝鮮戦争反対のビラを福屋デパートからまいたりしました。原爆に対する強い怒りをもって『原爆詩集』を書きました。

 ストライキでレッドパージ

 広島電鉄での職場は、八丁堀にできたバスセンターでした。切符売りと内勤と一時預かりを8人の女性で兼任しました。ある日ノブ子伯母から、「いつの間にかあんた婦人部長になっとるよ」と言われ、立候補してもいないのにおかしいなと思いながらも、組合活動を始めました。後でわかったことですが、伯母にいっぱいくわされたのでした。
 私鉄総連で啓蒙活動という行事があり、1週間ほど職場を放棄して、品川の本部に行きました。そこでドストエフスキーや『鋼鉄はいかにして鍛えられたか』などを勉強しました。それまで抑圧されて全然自由がなかったから、自由になって労働者として生活できることが、とても素晴らしいことに思えました。労働者の権利としてストライキもあるし、食べていくためには資本と闘わなければいけない。そこでおぼろげながらわかるわけです。
 そして1950年の4月15、16日の春闘をストライキで闘いました。当時は「マッカーサー指令」でストライキはストップされていましたが、その時に限ってゴーサインがでたのです。やはり、8月にレッドパージがきました。私の職場では、私と共産党員の恋人がいる人の2人が首になりました。この後、私は結婚して主婦になりました。

 伯母の死、機に再び反戦運動

 ノブ子伯母が亡くなり、その葬儀のあとで、伯母の家(今の小西記念館)を「なんとか残したいので裁判をしてもらえないか」という話があり、遺産相続の民事裁判を始めました。15人で争うことになり、2年がかりで勝訴しました。
 お世話になった三里塚の郡司トメさんや婦人民主クラブ全国協の西村綾子さんにあいさつに行ったりするなかで、婦人民主クラブの会員になりました。その頃から、伯母の跡を継ぐのではなくて、私自身の運動としてやらねばと思うようになったのです。夫は「よその平和を考えるより、自分の家の平和を考えた方がええんじゃないか」と言ったりしますが、「それとこれ(反戦運動)とは違う」と言い返します。もう72歳なんだから「好きにさせてもらう」と宣言しています。

 全国からヒロシマ大行動へ

 福田官房長官の核武装発言は絶対に許せません。小泉内閣で核武装の話がされているのだと思います。
 有事3法案には怒っています。あれは戦争法案です。ブッシュにシャロンと小泉こそ「悪の3人組」だと思います。小泉首相が強力な権限を持ち戦争をやるなんてもってのほかです。みんなの力で絶対廃案に追い込まないといけない。
 時々、ピカで亡くなった人が亡霊になって現れて、あの日の本当の出来事を語ってくれればと思います。 学徒動員で被爆した友人たちは、真実を知らずに死んでいきました。本当に悔しいです。教育が一番大事です。平和教育つぶしは絶対に許せません。
 ヒロシマ大行動の呼びかけ人になったのは、2度とこのヒロシマの地獄をくり返してはいけない、亡くなった在日朝鮮人被爆者の朱碩(チュソク)さんも書いておられるけど、もう誰にも「被爆のことを語る人」になってほしくない、そういう気持ちからです。
 ヒロシマ大行動では、小泉の侵略戦争賛美を弾劾し、再び戦争はしないという誓いのもとに全国から集まり、平和をめざして行動することをアピールしたい。今年は、韓国だけではなく中国からも4人参加される。国際的な運動になってきました。日本にも小泉の戦争政策に反対して闘っている勢力がたくさんいることを知ってもらいたい。全国からの大結集を呼びかけます。

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週刊『前進』(2063号4面4)

日誌 '02 7月9日〜16日
 統幕議長の統合運用権図る イラク攻撃時も洋上給油

●イラク攻撃の公聴会 バイデン米上院外交委員長が9月までにイラク攻撃のための公聴会を開く考えを明らかに。(9日)
●米比、10月も「テロ掃討」の演習 フィリピンのレイエス国防相が、イスラム武装組織アブサヤフなどの掃討を目的に、米軍との新たな合同軍事演習を10月から行うと発表した。(10日)
●イラク攻撃時も洋上給油 ブッシュ米政権が対イラク軍事行動に出た場合の自衛隊の対応について、アフガニスタンでの作戦支援を名目に自衛隊の米艦船への洋上給油を継続する案を日本政府が選択肢のひとつとして非公式に検討していることが分かった。(11日)
●大嘗祭公費参列「合憲」 1990年の大嘗祭(だいじょうさい)に鹿児島県知事が公費を使って参列したのは憲法の政教分離原則に違反するとして住民が起こした訴訟で、最高裁第1小法廷は合憲と判断し上告を棄却した。9日には大嘗祭関連行事への大分県知事の公費参列について最高裁が初の合憲判断をしている。(11日)
●統幕議長権限強化図る 中谷防衛庁長官が記者会見で、現在、陸海空3自衛隊で独立している部隊運用の命令執行権限を統合幕僚会議議長のもとに一本化する「統合運用」への転換を骨子とする、部内研究の中間報告を発表した。実現すれば、統幕議長が名実ともに制服組のトップに立つ。(12日)
●自衛隊、他国部隊指揮を打診 中東・ゴラン高原に展開する国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)で、物資補給部隊などを指揮する兵站部長か大隊長の職に自衛隊幹部を就任させるため、防衛庁が国連などと非公式な交渉に入ったことが分かった。大隊長になった場合、自衛官が海外で初めて他国部隊を指揮することになる。(12日)
●PKO要員の訴追1年猶予 国際刑事裁判所(ICC)に反対する米国が、国連の平和維持活動(PKO)に参加する自国兵士らをICCの訴追対象から外すよう求めていた問題で、国連安全保障理事会が「PKO要員への訴追を1年猶予する」とする決議案を採択した。(12日)
●米国防総省が対中国の報告書 米国防総省が、中国の軍事力や軍事戦略についての報告書を公表した。中国軍が台湾への武力侵攻を視野に入れて先制・奇襲攻撃も辞さない構えを強めていると指摘している。(12日)
●対北朝鮮で日米韓連携を確認 韓国訪問中の川口外相が金大中大統領、崔成泓外交通商相と相次いで会談、「北朝鮮政策については日米韓が連携して進めることが大事だ」と発言した。(13日)
●有事法案「継続」を確認 自民党の大島国会対策委員長と衆院有事法制特別委の久間筆頭理事、米田理事が会談し、有事法案を同特別委で継続審議とすることを確認。(15日)
●「テロ対策」包括戦略を発表 ブッシュ米大統領が、「テロ対策」で初の包括的な国家戦略を発表した。(16日)
●有事法制の特別委採決「確認」「見送り」
 与党の3幹事長が会談し、有事法案について衆院特別委員会の採決を目指すことを確認した。しかし、直後の特別委の与党理事懇談会では逆に「採決見送り」を確認。(16日)
●初のPKF参加を検討 中東ゴラン高原に展開しているUNDOFの緊急即応部隊(RRG)に、防衛庁が自衛隊の派遣を検討していることが分かった。RRGは武力を行使して兵士を救出する特殊部隊。(16日)
●象のオリ移設工事現場から赤土流出 沖縄県読谷村にある楚辺通信所の移設工事が住民の反対を押し切って強行されている恩納村喜瀬武原(キセンバル)区で、工事現場周辺の沢から大量の赤土が長浜川に流出し、農業用水や生活用水に大打撃を与えた。区民の怒りが沸騰。(16日)

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週刊『前進』(2063号5面1)

繰り返すな戦争 沖縄・広島・長崎の誓いを貫き闘う時だ

 

許さんどー戦世(いくさゆー) 沖縄からの声 何をおいても有事法に反対すべき状況が今だ
 反戦地主・読谷村議 知花昌一さん

 ずっと有事体制下

沖縄戦で起きたことが有事立法で再現されるのじゃないかと危機感が沖縄では広がっていますね。

◆1983年からチビチリガマの調査をやった。空襲の体験者や戦争体験者に、今反対しているのにあの時もできたんじゃないのと聞くと、「でもいつのまにか反対運動できる状態じゃなくなっていたんだよ」と。みんなそう言う。
 じわじわっと首を締められるような形で、おかしいと思いながら、結局はものも言えない時代になっていった。これが戦前の戦争への過程ですよ。
 僕は、今が大変だ、正念場だと言うんだけど、本当はその時点、その時点で正念場だった。盗聴法や国旗国歌法に関しても、米軍特措法に関しても、本当に今が正念場だと精いっぱいやってきた。結局はつくられてしまう。彼らはそうやって足場をつくってきて、それが今につながっている。
 見え見えの今の有事法、戦争法に対しては、正念場として負けられない運動を展開しないといけない。僕なんかも焦っている。

沖縄は常に有事を体験しているとおっしゃった。

◆僕が小さいころ朝鮮戦争が起こって、読谷では普通の道を迷彩服の米兵が銃をかついで行軍した。パラシュートは落ちるし、沖縄全域が朝鮮戦争に対する出撃基地で戦争体制だった。
 ベトナム戦争の時は、周囲では戦闘に参加した兵隊たちが麻薬を吸って暴れた。米軍基地の港湾労働者なんかは首切るか戦地に行くかどうかと迫られて、実際にベトナムまで行った連中もいる。
 沖縄には、沖縄戦から戦後この方、有事的な体制がずっととられてきた。
 有事とは戦争状態です。基本的人権なんかない状態で、戦争は遂行される。そういう戦争遂行を想定した法律を今つくろうとしている。
 だから戦前に生きてきた人たちだったら肌でわかると思う。本土の中にも戦争体験者たちがいるはずだから、わかるはずだ。

 土地奪われたまま

戦後、日本政府は沖縄もアジアも放置して、戦後賠償も行っていない。

◆6月9日に読谷で旧軍飛行場所有権回復のシンポジウムが開かれた。戦後処理事案が、50年たってもまだ原状回復どころか補償もされていない。
 読谷飛行場と嘉手納飛行場、それに那覇飛行場の地主たち、読谷だけで600人いる。全体で1200〜1300人になる。
 戦争までに小作権をもって30年間か耕したら所有権を得て、自作農になると信じていたが、戦争で占領されて、地主や小作も皆たたき出された。戦後、地主は軍用地料をもらったが、小作だった人たちは小作権も剥奪(はくだつ)されて、軍用地料ももらえない。
 72年に復帰になって日本になった時、小作権が復活するかといったらそれもなし。それで裁判をしたら所有権は今はないと、小作権は米軍に貸借したんだから、その時点でなくなっているという法的解釈をされて、最高裁でもそれで確定した。なぜなんだという話です。
 その飛行場問題の発端は、今度の有事法みたいなもんですよ、日本軍が1938年の国家総動員法を発動して無理やり取り上げた。戦後、本土では43カ所の飛行場が全部返された。
 ところが沖縄だけは全然回復されなかった。米軍が来て占領し、そのまま米軍が飛行場を使っている。日本復帰の時も、今の財務省に財産編入されて、所有権を剥奪されている。
 これは完全な戦後処理事案なわけです。戦後処理がされていないんだと、本土との差別だと、所有権回復運動をしようとしている。

ある日、畑の四隅に赤旗が立てられて読谷飛行場の用地に取られたと、テレビでも取り上げていました。

◆有無を言わさんわけよ。今度の有事法による地権制限についても同じでしょ。有無を言わさず、命令一つで取ってしまうような法律ができようとしている。

今後は訴訟ですか?

◆嘉手納の地主は訴訟を起こして負けたんですよ。
 牧原(まきばる)の人たちも裁判では負けた。6月8日の県民大会では、「読谷村旧牧原を再建する会」は「戦争で集落を奪われている旧牧原の戦後処理を」「牧原区民は有事法制反対」と訴えていた。部落をたたき出されたから別の所に公民館をつくって活動している。ここでも50年前の戦後処理がされていない。
 ここは日本軍が陣地として使うから出ていけと、有無を言わさずに取られたのが読谷飛行場。その代金は、国債とか郵便貯金の証書とかで戦後二束三文にもならない、ただの紙切れ。国は支払ったと言うけど、その証明もない。これも国はわかっていてやっている。
 国家総動員法で取られたものがまだ返ってこない。それで有事立法で同じことをまたやろうとしている。

 反抗的な好奇心で

若い人たちがどう動くかどうかがポイントですね。

◆あちこちの大学で講演するけど、管理がすごいし、ちりもない、ステッカーも張られていない。
 韓国に行くとそれがまだまだすごい。延世大に入るとチラシがバンバン張られていたり、横断幕があったり、うれしかった。これはいけると感じた。
 特に20歳前後は、反抗的な好奇心でいろんなものを考える年ごろだから、おかしいと思うことがどんどん出てくるはずだし、そこから世界も広がってくるはずなんだ。
 今僕が20歳前後だったら、こりゃ大変だと何をおいても有事立法反対の運動をしただろうと思う。ここでやらなければいつやるんだという状況が今だ。
(聞き手・永田朋子)

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週刊『前進』(2063号5面2)

許さんどー戦世(いくさゆー) 沖縄からの声 住民投票が示した民意 基地反対は生きている
 前名護市議会議員 宮城康博さん

有事立法攻撃と沖縄基地の強化が連動しています。沖縄戦体験者の次の世代として、どうですか?

◆97年に名護市民は基地建設をめぐって住民投票をやりました。私たちは、主義・主張とか思想・信条ではなくて、大切なことだからみんなで決めようと訴え、海上ヘリポートの巨大さとか、自然や生活環境の破壊とか、オスプレイの配備など、事実に基づいて、一生懸命、正確に申し立てをし、それを住民に伝えるという作業をやりました。
 しかし一部に゛反基地派は、戦争が来るぞと脅している″とプロパガンダ(宣伝)されていました。2002年の今日から97年を振り返ると、当時すでに造りたい側の本音がそこに見えていたと言えます。
 あの時、住民投票で名護市民が示した基地建設反対の意志はとても重い。歴史に残る重要な闘いであり、重要な意志表明でした。
 97年以降、政府はこれをどうにかしたいがために、数千億円を投入する振興事業、サミット開催、2千円札の発行、要するに国家権力としてやれることはなんでもやるということでここまで来た。

 市長選で1万余票

今年2月の名護市長選では宮城さんが立候補して闘いましたね。

◆それだけのことをやられたにもかかわらず、市長選挙では1万1千人余の人たちが基地建設には何があったって反対するんだと宮城康博への一票で示した。市民投票で示された基地反対の民意は、確実に生き残っています。
 名護市民はいまだに杭(くい)1本打たせていない。新基地を受け入れると言った名護市長の岸本建男も7つの条件を掲げて政府と闘っているポーズをとらなきゃいけない。これは全部市民投票の結果がつくり出した状況です。よく踏ん張っていると思う。
 それをどう本当の力に結実していくのかは、われわれのこれからの踏ん張りどころですよね。

 命張って基地阻む

◆私は有事立法とか、沖縄の基地全体のことについて大言壮語は言えません。でもこの基地だけは造らせない、本当に命張ってでも止めます。私はそれで世界が変わると思う。
 名護の市民はあきらめちゃいないし、97年住民投票の結果はいつでもそこに立ち返るべき場所としてあります。この中に、老若男女、戦争を体験された先輩たちの思いがある。われわれの世代も、受け継ぐべきものをしっかり受け継ぎ次代にわたしていきたい。そういう一票一票の集積が住民投票の結果だった。
 僕にも小さな子どもがいる。同世代の男どもは、みんな職場と自分の生活と引き裂かれています。しかし、子どもに何を残すかと考えている。そういう意志はとても大きいと思う。
 女性たちは敏感に立ち上がり、息の長い闘いを維持している。軍事基地というのは明らかに誰かを殺す話だからね、それに対してノンと強く言っている。
 有事立法うんぬんって「備えあれば憂いなし」と言うけれど、その備えを持ってしまうことによって憂いが生まれるというのは、歴史が証明している。
 95年に少女暴行事件があって、96年にSACOの報告を出す。このSACO報告は、「沖縄の基地を整理・縮小せよ。撤去せよ」という声に押されて出したごとくだけれど、このカードは、実は一連の冷戦以降の在沖米軍、日米安全保障体制のあり方のプログラムの中にあったんだ。
 敵はかなり用意周到だ。それじゃあ民衆は何をやっても無駄なのか。そうではない。97年の住民投票はすごく大きい。一人ひとりがほんとに意志をもってしっかり動けば、状況は変わりうる。その変わりうることを住民投票が見せつけた。

 ジュゴンと生きる

ジュゴン保護キャンペーンをされていますね。

◆辺野古の海域にはジュゴンがいます。これはみんなが知っている。ジュゴンの生息域については、防衛庁の調査でも、その後の代替施設協議会での防衛庁の追加的な調査でも明らかになっています。
 ジュゴンのえさ場である海草藻場を沖縄では「ジャングサノミー」という。ジャン(ジュゴン)の食べる草、ミーは原っぱ。それほど沖縄の人にとって身近なものだったんだよね。
 72年復帰以前は米軍基地建設でぶち壊され、復帰以降は開発独裁で痛めつけられて沖縄の自然は今日の状態になった。残された海を基地建設のために破壊することは、沖縄の精神史にとっても重大な問題です。
 今なんでジュゴンが殺戮(さつりく)されようとしているのか。その問題をとおして、私は沖縄の基地問題にもっと違った光をあて訴求したい。

若い人たちも今、アフガニスタンやパレスチナ情勢に突き動かされてます。

◆有事立法も、去年の9・11のことも、よく話していけば若い人たちの方がわかるはず。ブッシュはあれは自由主義社会を狙ったなどと言うけれど、それは奇弁。米国を狙ったことは世界がみんなわかっている。米国はなんで狙われたのかという問題が当然ある。米国が「テロとの戦争」などと言いながら一方的にアフガニスタンを空爆するとか、イラクでも戦争をやるぞとか。米国そのものがテロ国家ですよ。
 この姿を見て、どのように考え、感じ、行動していくのか。米国内にも報復戦争反対や、パレスチナを虐げているイスラエルを支持していることに異議申し立てをしている民衆、労働者や学生がいる。
 同じように外から見れば、日本は有事立法をつくってひどい国だとしか見えないかもしれないが、その中で気づき動き出した若い連中とか、いろんな人たちが闘っている。そのような国家を超えた連帯が重要ですよね。あきらめないでやりぬいて、有事立法は廃案にしましょうね。
(聞き手・ともに永田朋子/本シリーズは今号で終わります)

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週刊『前進』(2063号5面3)

 “星野さん取り戻そう” 「1年間の活動に手ごたえ」 沖縄万人の会が総会

 6月24日、与那原コミュニティセンターで「沖縄万人(うまんちゅ)の力で星野さんを取り戻す会」の第8回総会が開かれた。「ある冤罪」のビデオ上映後、司会の知花昌一さんから開会の言葉があり、知花盛康会長が「全国総会を沖縄で開き、憲法講演会で111人の署名を集めた。手ごたえを感じた1年間だった」とあいさつした。
 続いて会員である宮城盛光北中城村議が前日の「沖縄全戦没者追悼式」での闘いを特別報告。「有事法案を制定しようとする小泉首相の参列に黙っているわけにはいかない。『有事法制許さん』と立ち上がって叫んだら、会場からは拍手や激励があった」
 事務局から活動経過・決算報告、新年度の活動・予算、役員が提案され、質疑応答を経て、署名・会員拡大・会報発行を軸とした新年度方針が承認された。
 世話人の平良修さんが全国再審連絡会議運営委員会の報告を行い、「沖縄のことで闘って罪をきせられ、今も獄中で闘っている青年を黙って見ているわけにはいかない」と訴えた。
 東京から駆けつけた星野文昭さんの妻、暁子さんがあいさつ(写真)。「先月獄中者が子どもを生む権利を求めて徳島刑務所に要望書を出した。マスコミでもかなり取り上げられた。夫婦面会を認めている国も多いのに、日本は受刑者を人間として認めていない。『マル特無期』という制度をつくり、特定の受刑者は仮釈放の対象外とし、事実上の終身刑にしようとしている」と訴え、「カレンダー制作についても絵の具の所持から絵が描けるまで、獄中は我慢の百乗、その中に前進がある。獄中者の権利を生身の人間の問題として訴えていきたい」と話し、聞く者の胸を打った。
 最後に世話人の島田善次さんが新年度の前進を期して閉会のあいさつをした。
 総会前日は、摩文仁の集会で暁子さんが発言、万人の会の会員がパンフを配り署名も集めた。2日間の行動は星野さんを取り戻す新たな広がりをつくった。

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週刊『前進』(2063号5面4)

 “最高差別裁判所許さぬ” 狭山再審を要求 全国連・解放共闘が糾弾

 7月8日、部落解放同盟全国連合会と部落解放共闘会議は、狭山差別裁判の特別抗告審を行う最高裁に対して糾弾・要請行動に立ち上がった。東京高裁・高木裁判長の第2次再審請求棄却決定から3年を迎え、さらに今年1月24日には東京高裁・高橋裁判長が異議審棄却決定を行ったのだ。高木・高橋棄却決定の取り消し、事実調べ―再審開始を要求し、全国から50人余が集まった。6、7日には全国統一行動として狭山百万人署名運動や街頭宣伝が各地で闘いぬかれた。
 午前8時の都内ビラまきの後、永田町の星陵会館で要請行動の決起集会が開かれた。
 全国連中央本部の小森勝重糾弾闘争本部長があいさつし、高木が「石川一雄さんの上申書の筆跡と脅迫状の筆跡が一致しないのは、石川さんがわざと稚拙な書き方をしたからだ」と主張、事実調べをしないで再審請求を棄却したことを糾弾した。「有事立法3法案を廃案にするために7月26日の国会デモに立ち上がろう」と呼びかけた。
 基調提案を行った楠木吉秀事務局長は、「今も我、高木の暴挙に血潮が騒ぐ」とうたった石川さんの激しい怒りを共有して闘おうと訴え、二審寺尾判決から28年の10月31日に全国連大会並みの規模で総決起しようと呼びかけた。
 続いて特別報告が二つ。茨城県連の井橋昌夫事務局長が最高裁の反動性を暴き、長野県連の小林あや子事務局長が7月に伊豆で開かれる第11回全国連婦人部大会への結集、成功を呼びかけた。
 最後に、解放共闘の各団体と全国連の各県連・支部が決意表明を行った。それぞれ、狭山署名全国統一行動の取り組みや組織建設の前進を生き生きと語り、要請行動と全婦、8月全国連青年部大会(京都)、7・26有事立法阻止・国会デモへの決意を明らかした。
 集会後、星陵会館から最高裁へデモ出発。昼休みの労働者の注目する中、「高木・高橋棄却決定糾弾、事実調べ・再審を行え」とシュプレヒコールをあげた。
 午後1時から最高裁の門前で要請行動を行った。20人の要請団に「障害者」の介助者が1人加わって構内に入ろうとすると、職員が「20人しか入れない」と阻止。東京高裁でも介助者の入場が認められてきたのに、なんという暴挙だ。「これでは最高差別裁判所じゃないか。『障害者』の人権を守れ」。1時間半にわたって抗議した後、要請団20人が最高裁に入り、代表3人がこの差別的な制限に抗議を続けた。この間、最高裁は他の17人を外に閉め出そうとまでした。
 午後3時22分に全体で要請が始まった。冒頭、碓井上席書記官が「要請は30分だから15時52分で終わります」と宣告。再三の差別的対応に要請団は怒りを爆発させ、糾弾した。
 全国連中央本部や各県連・支部、共闘の各代表が要請文を読み上げ、提出した。要請団は2時間にわたる最高裁糾弾・要請行動を貫徹した。要請団以外の参加者は炎天下、最高裁の門前に座り込んで、最高裁の差別的対応を弾劾した。

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週刊『前進』(2063号5面5)

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第3部 植民地支配の歴史(15) 朝鮮E三・一(サミル)運動
 「独立万歳」叫び挙族的蜂起

 1917年10月ロシア革命によって樹立されたソビエト政権は、民族自決・無賠償・無併合の原則をうたった「平和に関する布告」を発表、民族自決、民族独立の気運は世界に広がっていった。反革命的対応を迫られたアメリカ大統領ウィルソンは18年1月8日、いわゆる「ウィルソンの14カ条」を発表。ドイツ帝国崩壊から第1次世界大戦の休戦への動きの中で、チェコスロバキア、ハンガリー、ポーランドなど東欧諸民族の独立宣言が続いた。
 海外に亡命していた朝鮮独立運動家たちは、この好機到来に積極的行動を開始する。在米朝鮮人は民族代表を選出して同胞に独立を呼びかけ、大統領に独立請願文を提出し、パリ講和会議への代表派遣などを決議し、運動資金などを集め実行に移ったが、アメリカ政府は民族自決の原則は東欧だけに適用するもので朝鮮には適用しないとの立場で対応したのである。

 留学生が宣言

 日本国内でも朝鮮人留学生を中心に祖国光復、独立運動の気運が高まった。18年当時、日本には朝鮮人留学生が約770人いた。多くは苦学生だったが、民族意識が強く、この時期の在日運動の中心を担った。
 年末から年明けにかけて東京朝鮮留学生学友会などが雄弁会を開き、民族自決主義による独立問題を議題として白熱した討論を重ね、実行運動への着手を決定た。官憲の弾圧の中、独立運動を進めるための秘密組織として「朝鮮青年独立団」が結成され、李光洙(イグァンス)が独立宣言書を起草し、朝鮮や上海などに代表を送り連携を図ることにした。カンパは集まり、2月7日までに独立宣言書600枚、請願書1千枚が刷り上がった。1月末には独立宣言文は学生服に縫い込まれてソウルに届いた。上海には李光洙が持参し、2月5日には上海から英文の独立宣言が世界に打電された。
 2月8日午前10時、宣言は各国大・公使館、日本政府・各大臣、貴衆両院議員、朝鮮総督府、マスコミ各社、学者らに郵送。午後3時には東京朝鮮基督教青年会館(現・韓国YMCA)に約600人の留学生が集まり、朝鮮青年独立団の名で独立宣言書と決議文が朗読された。
 「ここに、わが民族は日本及び世界各国に対して民族自決の機会を与えることを要求する。わが民族は生存のために自由な行動をとることによって、独立を達成せんことを宣言するものである」。「朝鮮万歳(マンセ)! 独立万歳!」の大歓声が響き、感激と興奮のるつぼとなった。
 この後、デモ行進に出発しようとして警察と衝突、27人が検束されるなど弾圧が続いたが、闘いは確実にソウルに引き継がれた。

 民族独立を求め

 19年1月21日、07年ハーグ密使事件以降、軟禁状態にあった高宗が急死した。日帝による毒殺説が広がり、3月3日国葬に合わせた独立運動計画が活発化した。天道教・キリスト教・仏教の3団体から選出された33人の「朝鮮民族代表」が署名した独立宣言書は、ひそかに印刷され、宗教者・学生などの地下組織によって全国に配布された。
 そして迎えた3月1日、この「民族代表」たちは料亭泰和館で宣言朗読、祝杯の後、総督府警務総監部に電話して自ら逮捕された。彼らは人民の革命的力量に依拠することを知らなかったのだ。だが彼らをのりこえて闘いは進む。
 ソウルのパゴダ公園に集まった数万人を前に、学生らが独立宣言書を高らかに朗読。3隊に分かれて太極旗を打ち振り、夜11時まで独立万歳を叫びながら市内をデモ行進した。この日はソウルだけでなく、宣川、平壌、元山、鎮南浦などでも集会・デモが行われた。 独立宣言書は「この挙は、正義、人道、生存、尊栄のためにする民族的要求、すなわち自由の精神を発揮するものであるから、決して排他的感情に走ってはならない」「最後の一人まで、最後の一刻まで、民族の正当な意思を欣然(きんぜん)として発表せよ」などと高らかにうたい、日帝の植民地支配に屈せず堂々と立つ朝鮮民衆の心そのものだった。
 ソウルで学んでいた15歳の女子学生・柳寛順(ユグヮンスン)は宣言文をもって故郷の天安(チョナン)に帰り、運動の先頭に立った。逮捕されても屈せず、拷問で獄死した彼女は、三・一運動の象徴だ。
 「三月一日から始まり、およそ一年もの間朝鮮全土をおおった三・一運動は……多くの無名の人々の、もちこたえてきた独立への意志がひとつに合流した民衆運動であった」(梶村秀樹『朝鮮史』)
 5月末までに218市郡中、実に217市郡で1491回のデモや暴動が起こり、200万人が決起する。3月中旬以降は、鉱山労働者を中心とする労働者と、農民が結合した闘いが軸となり、憲兵警察や郡庁・面事務所・郵便局などを襲撃し、土地や課税台帳を破棄した。前年から急増していた労働者のストライキはさらに大規模化し、この年102件1万1千人へと飛躍的に拡大した。

 日帝が大弾圧

 朝鮮民衆の決起に震え上がった原敬首相は、3月11日に朝鮮総督・長谷川好道に「厳重なる処置を取りて再び発生せざる事を期せよ」と指令、常駐していた2個師団に加えて6個大隊、憲兵300〜400人を増援した。朝鮮軍司令官・宇都宮太郎は4月1日、゛軍隊の行動を慎重しても暴民を増長させるばかりだからあらゆる強権的手段、方法で速やかに鎮圧せよ″と指令した。デモ隊への発砲は、はなから射殺する目的で実施された。
 この中で堤岩里(チェアムリ)事件が起こった。
 4月15日、有田俊夫中尉率いる11人の軍警が、水原(スウォン)郡の堤岩里という小さな村の「天道教徒及耶蘇(やそ=キリスト)教徒二十有余名」を教会に閉じ込め、抵抗を封じて銃撃し、教会を焼き、全村を焼き払った。この事件は偶然発覚し外国に報道されたが、日本軍は同様の掃討作戦を各地で展開した。
 5月末までの約3カ月間だけでも、日帝は7509人を殺害、負傷者1万5961人、逮捕者4万6948人という大弾圧を行ったのだ。(朴殷植著『朝鮮独立運動の血史』)
 この不屈な朝鮮人民の闘いは、中国の5・4運動にも連動し、アジアにおける反帝国主義運動の先駆けになった。
 (野田利一)

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週刊『前進』(2063号6面1)

米粉飾会計と大恐慌の本格化
巨額の過剰債務と会計不信・ドル不信で米経済は急没落へ
 島崎光晴

 アメリカ資本主義を代表するような米大企業の粉飾会計が次々、明るみに出ている。米企業はバブル崩壊後、過剰資本・過剰債務状態に陥ってきたが、それを粉飾会計で隠してきた。粉飾会計の露呈とは、過剰資本・過剰債務の表面化、つまり企業部門での恐慌の始まりだ。しかも粉飾会計によって、米企業と米金融市場に対する不信は、もはや拭いきれないものとなった。米経済の没落の画期をなす歴史的事態であり、9・11と並ぶ米帝への大打撃だ。この会計不信からドル信認も急低下している。米帝がどうあがこうと、米経済恐慌の全面化とドル暴落は避けられない。〈29年大恐慌を上回る世界大恐慌〉の到来と世界戦争に対決して闘おう。

 利益水増しし債務を子会社に飛ばし

 ニューヨーク・ダウ平均株価は7月10日、今年最大の下げ幅を記録し、昨年9月下旬以来の安値水準となった。ハイテク株の多いナスダック(米店頭株式市場)指数、幅広い企業を含むS&P500種株価指数は、すでに97年以来の安値となった。つまり、00年のバブル崩壊後の最安値をつけている。株価急落の最大の要因は、米大企業の粉飾会計が次から次に明るみに出ていることにある。
 では、米企業の粉飾会計とはどのようなものか。まず、昨年12月に経営破綻(はたん)したエンロンの実態を見よう。
 エンロンはエネルギー大手で、売上高で全米第7位の巨大独占企業である。ところがバブル期も含めて利益を上げていなかった。「90年代半ば以降、エンロンは水道や石炭、光ファイバー、天候デリバティブ(金融派生商品)、新聞印刷まであらゆる事業に巨額の投資をした。だが、その多くは、ほとんど利益を上げないか赤字の事業だった」(ニューズウィーク1・23)。にもかかわらずエンロンは「米国で最も革新的な経営」ともてはやされてきた。それは、会計を操作してもうかっているかのように欺いていたからだ。
 では、エンロンの粉飾会計の手口とは、どのようなものだったのか。
 (1)利益の水増し。エネルギー関連に限っては、将来見込める利益を現在の利益に算入することが認められていた。しかも、将来の利益の見込み方に基準はなく、なんとエネルギー会社の自由裁量だった。利益の水増しは自由自在となった。この方法は米国財務会計基準で認められた合法的なものである。好き勝手な利益の水増しが、合法的にできたという点に深刻さがある。
 (2)損失や債務を特別目的会社に飛ばし。エンロンは3000社以上の特別目的会社という子会社を作っていた。ほとんどがペーパーカンパニーだ。米国では、子会社の資本の3%以上を第三者が出資していれば、その子会社は連結決算の対象にならない。つまりエンロングループの決算に含まれない(いわゆる簿外取引)。エンロンはこの子会社に本社の損失や債務を次々に移し替え、本社の経営状態を表向き好調に見せかけていた。この方法だけで、97年の利益は75%も増えたという。97年はバブルの真っただ中。バブル下ですでにこういう操作がやられていたのだ。この特別目的会社への損失や債務の〃飛ばし”も、米国の会計基準では合法的である。
 (3)ウォール街総ぐるみでの粉飾会計。エンロンの主取引銀行はJPモルガン・チェースで、アメリカ金融資本の代表格。特別目的会社への〃飛ばし”を手助けしたのは、ほかならぬこのトップバンクである。さらに、米国では企業財務に対する会計士の監査が義務づけられている。エンロンの財務を監査していたのは、5大会計監査事務所の一つであるアーサー・アンダーセン。しかしアンダーセンは監査役というより逆に、この粉飾会計の指南役だった。また、メリルリンチなどの証券会社のアナリスト(分析専門家)は、エンロンの株を買うことを推奨しづつけてきた。このように銀行も会計事務所も証券会社も、エンロンからばく大な報酬を得ることで完全に癒着していたわけである。
 (4)ブッシュ個人およびブッシュ政権との結びつき。エンロン会長レイとエンロン社は00年大統領選でブッシュに献金したが、その額は個人としても会社としても大統領選史上最高だった。エンロンは献金の見返りとして、自分に都合のいいエネルギー政策や会計基準が公認された。エンロンによるブッシュの買収だ。レーニンが『帝国主義論』で指摘した〈金融寡頭制〉そのものである。ウォール街だけでなくアメリカ帝国主義総ぐるみの粉飾会計と言える。

 ハイテクでは12兆円も粉飾

 このほかにもさまざまな会計操作の手口がある。
 6月にはワールドコムの粉飾決算が明るみに出た。同社は01年、02年1−3月期の5四半期に38・5億j(約4700億円)の利益を水増ししていた。本来なら通信網の維持・管理費(営業費用)として計上すべきものを、設備投資と見なして計上していた。通信網の維持・管理費は、売上高の40%を超えるほど巨額だ。それを完全にゼロと粉飾することで黒字決算にしていた。実際、この粉飾分を外すと、01年も02年1−3月期も赤字に転落した。
 この手口は米国の会計基準に反している。本来なら、営業費用は損益計算書に、設備投資は貸借対照表に計上する。ところが前者に計上すべきものが後者に付け替えられていた。実に単純な粉飾だ。ワールドコムはAT&Tに次ぐ米長距離通信2位で、世界の電子メールの伝送の半分を受け持っている。それほどの超巨大企業で、単純な粉飾がいともたやすく行われ、長期間にわたって隠されつづけていた。エンロン以上に深刻だ。
 また、「実質利益」という手法もある。例えば、A社がB社を買収したとする。B社の株価が下がると、A社が保有するB社の資産評価は減損する。本来であればそれを会計に計上しなければならない。しかし、こうした評価損などを除外して、勝手に「実質利益額」をはじき出すやり方がまかり通ってきた。「見積もり会計」と言われる。これもなんの基準もなく、各企業の恣意(しい)的な操作が認められている。
 ハイテク企業では、こうした手法が「創造的会計」と称賛されてきた。ナスダック上場の100社の01年第1〜第3四半期の「見積もり会計」での収益は191億jだったが、SEC(証券取引委員会)への報告(日本の有価証券報告書)では823億jの損失だった。わずか9カ月分で約1000億j、日本円にして12兆円の粉飾だ! 日本の3月期決算では金融を含む全産業で2兆円弱の赤字となったが、この額と比べても米企業の粉飾額はケタ外れだ。

 9・11に並ぶ米帝への歴史的大打撃

 以上、粉飾会計の実態を詳しく見てきた。では、なぜこれほど粉飾会計が続出しているのか。それは、バブルが崩壊し、売り上げ・利益の激減と債務の急増に直面した米企業が、なんとか生き延びるために粉飾に走ったからだ。
 90年代後半の米経済は、IT(情報技術)バブルにまみれていた。米IT業界は膨大な借金をしながら、過大な設備投資を重ねた。98年から01年の4年間で米企業が増やした負債は、1・4兆j(約170兆円)に上る。うちIT業界が6800億jで全体の半分を占めた。その借金でIT関連設備を中心に投資を急増させた。
 しかし、バブルが崩壊してしまうと、過剰設備と過剰債務に転じた。米国内の光ファイバー網の稼働率は今でもわずか5%にすぎない。全産業の設備稼働率は今年初めに74・2%と、約19年ぶりの低水準となった。そして、主要500社の昨年10−12月期の利益は前年同期比22%減と、約10年ぶりの大幅減となった。つまり、生産能力の過剰による利潤率の低落という過剰資本状態に陥っている。その一方で、バブル下の巨額債務がのしかかっている。昨年9月末の非金融法人部門の債務残高は約4・9兆j(約580兆円)、日本の年間GDPをも上回る額だ。
 この過剰債務とその根っこにある過剰資本が露呈するのは時間の問題だった。もうけが悪くなり(利潤率が下がり)、しかも債務の重圧が強まれば、債務返済不能から経営破綻が続出せざるをえない。しかし、それがいったん粉飾会計によって引き延ばされた。利益の水増し、損失や債務の〃飛ばし”は最後のあがきだった。そんなことがいつまでも続けられるはずがない。粉飾会計の露呈という形をとって、米企業の過剰資本・過剰債務問題がついに噴出しはじめたのだ。
 今後、ワールドコムのように粉飾をやめたとたん赤字決算となり、巨額債務の重圧で倒産するケースが激増する。あるいは、エンロンのように粉飾会計への不信から株が急落し、資金繰りが困難となって破綻するケースも増える。過剰資本と過剰債務の大きさからして、米企業が強いられる倒産・資本整理は、29年大恐慌をも上回る膨大かつ長期なものとなるだろう。これは大恐慌そのものである。ついに企業部門で恐慌が本格化しはじめたのだ。

 「米国標準」の実態は詐欺だ

 粉飾会計はこれにとどまらない歴史的意味を持つ。粉飾会計はアメリカ資本主義、アメリカ金融市場に対する内外の不信を固着させずにはおかない。米経済と米帝の没落の画期をなす歴史的な事態だ。
 90年代には、「公正で透明なアメリカ企業の会計システム」「世界的な見本となるアメリカの企業統治(コーポレート・ガバナンス)」「透明で模範的なアメリカ金融市場」などと言われてきた。97年のアジア通貨・金融危機のあと、グリーンスパンFRB議長は、「アジア危機の結果、西側の市場資本主義、特にアメリカ型の資本主義が優れていることがますます分かってきたと思う」などと自慢していたほどだ。これに対し日帝は、対米争闘戦の観点からこの「アメリカン・スタンダード(標準)」を「グローバル・スタンダード」と見立てて、金融ビッグバンや会計ビッグバンを実施してきた。
 ところが、その「アメリカン・スタンダード」の実態は粉飾だらけで、SECの言い方をすると「詐欺」だったのだ。それも一企業のことではない。ウォール街のすべての構成者を含めた、しかもブッシュ政権を後ろだてにした「詐欺」だった。当然にも、米企業会計、米企業統治、米金融市場のすべてが不信をもって見られざるをえない。しかも一過性のことではなく、不信が長期にわたって固着するのは必至だ。
 このような事態は、29年大恐慌の時にもない。米経済の没落の画期点となった71年の金ドル交換制廃止、80年代半ばの債務国への転落の際にもなかった。米企業と米金融市場にこれほどの根本的不信がつきつけられるのは、アメリカ資本主義史上初めてのことだ。米帝はバブル崩壊過程で、〃ブルジョア的信頼”という米経済の基礎を自ら打ち砕いてしまったわけだ。あらゆる予測を超えて、米経済に対する歴史的な打撃となるだろう。空前のバブルとその崩壊は、米帝の歴史的没落を急促進するほどの破壊力を持っているのだ。
 エンロン破綻の際に米政府内から、「9・11以上のショック」という声が上がった。9・11が米帝の軍事・外交における世界支配に対する決定的なダメージとしてあったとするなら、ほぼ同時期に起きたエンロン破綻は米帝の経済面での大没落を象徴する画期となった、と言える。

 財政・貿易の赤字急増でドル暴落へ

 このような粉飾会計の続出と米経済の没落の中で、ついにドル信認が低下しつつある。すでに長期のドル暴落過程に入っている可能性もある。
 4月以降、明白なドル不信を伴ったドル安局面を迎えた。7月には1ユー ロ=1jの「等価」となり、2年5カ月ぶりのドル安ユーロ高となった。やはり会計不信がボディブローのように効いている。
 より重大な構造的要因として、財政赤字と経常赤字(貿易赤字とその他)が過去最大規模に膨張している。02年度(01年10月〜02年9月)の財政収支(社会保障基金を含む)は、5年ぶりに赤字に転落する。経常赤字も00年、01年と連続して約4000億jになった。90年代は財政が一定の改善を示すなかで、経常赤字だけが増加していた。しかし現在は、この両方が同時に膨張するという、80年代以来の事態を迎えている。これはドル信認を劇的に低下させずにはおかない。
 すでに、米への資金流入構造も変化しつつある。この間は、米国外の資金が社債や株式などに投資され、その資金流入によって巨額の経常赤字が補填(ほてん)される、という構造だった。しかし、昨年から直接投資ではすでに米からの流出超となり、証券投資でも米への流入が激減している。「九五年のドル高転換という無理な枠組みのもとでバブル化してきたため、ドル体制崩壊と米バブル崩壊が一体で生じざるをえない構図になっている」(6回大会報告決定集上巻441n)。それが現実になりつつあるのだ。
 米への資金流入が細まる中で、世界金融恐慌につながる重大な兆しが表れている。日本に続いて米欧の金融機関も資産内容が劣化しているため、リスクの強い資産を圧縮しはじめた。特に欧州系の保険会社が内外の株式を売却しており、これが最近のドル安・米株安の一因になっている。今後、米株価が一段と急落し、ドル信認が一層低下していく時、世界中でリスク回避の動きが強まらざるをえない。98年秋には世界金融恐慌が瀬戸際で食い止められたが、今回は米バブルが吹き飛び、会計不信が噴出し、ドル信認も崩れている。世界金融恐慌の危機は一段と深まっているのだ。

 バブル崩壊で次は不良債権が大激増

 00年4月の株価暴落で米バブル経済が崩壊しはじめてから2年強。昨年春〜夏に、消費バブルの頭打ちによっていったんは恐慌に陥りつつあった。そこに9・11の大打撃が加わった。
 これに対してブッシュ政権は恐慌対策と言うべき措置を発動してきた。金利の大幅引き下げ、大幅減税、9・11後の400億jの緊急政府支出などは、恐慌対策そのものだった。また、自動車のローン金利をゼロにして、需要を先食いする形で自動車販売を維持してきた。さらに、住宅価格がなお上がっているため、住宅ローンを借り増して消費を増やす傾向も続いてきた。国防支出の増大は景気への刺激ともなった。これらによって、恐慌の深化はかろうじて食い止められた。
 しかし、粉飾会計と会計不信を転回点として、ついに米経済は本格的な恐慌とドル暴落の局面に入りつつある。今後、何よりも消費バブルが全面崩壊するのは必至である。特に住宅価格が下落に転じると、その逆資産効果は株下落より大きくなる可能性が強い。米家計の債務は資本主義史上でも前例のないほど巨額になっており、この過剰債務問題が噴出するのは間違いない。
 企業と家計の過剰債務問題が噴出すると、不良債権問題も露呈せざるをえない。米企業だけでなく米銀も特別目的会社を設けて、簿外で大規模に貸し付けている。大手米銀ですでに、「危機的状況に陥った簿外貸付」が全貸付の3分の1から4分の1になっている。さらには、この特別目的会社を通じたりして、債権を他に転売している。転売の相手は、内外の銀行、年金基金、保険会社、投資信託、企業、ヘッジファンドなど。これらが保有する債権が今後、不良化するのだ。日本では不良債権は銀行に発生したが、米国では不良債権は銀行だけでなく広範囲に及ぶだろう。
 すでに現在、粉飾会計を機に過剰資本と企業の過剰債務問題が噴出している。これだけでも、米経済と世界経済は大激震している。今後さらに家計の過剰債務問題、不良債権問題が加わるのだ。企業と家計の債務の大きさからして、米帝の不良債権問題は日本の比ではない質・量をもって爆発せざるをえない。〈29年大恐慌を上回る世界大恐慌〉というのは誇張でもなんでもない。まさに今、そこに突っ込みつつあるのだ。

 世界革命勝利へ決起する時

 ついに世界大恐慌の本格的爆発が始まりつつある。早ければ夏から秋にかけて、タガが外れるだろう。帝国主義の基本矛盾が爆発するのだ。
 それは、米帝の帝国主義的侵略戦争−世界戦争の路線をますます凶暴なものとせずにはおかない。帝国主義間争闘戦は、従来のそれを〃前史”とするほどに激烈化する。すでに米帝は保護主義を強めつつあり、世界経済のブロック化も急進展していく。世界危機の世界戦争への転化はいよいよ加速されるのだ。
 米経済恐慌の本格化と世界大恐慌の全面的爆発は、日本の恐慌をさらに破滅的に激化させるものとなる。日本の恐慌はこれからが〃本番”だ。それは日帝を恐るべき危機と没落に引きずりこむ。日帝は現在、米帝の戦争路線に食らいついて共同的に、同時に競合的に参戦しようとしているが、日帝にとってこれはますます死活をかけたものとなる。さらには、労働者人民に対する資本攻勢と犠牲転嫁も、恐慌本番突入によって大拍車がかかる。
 今や、〈革命的情勢への端緒的突入〉という情勢が急テンポで進みつつある。革共同は第6回大会で、「21世紀の早い段階で反帝国主義・反スターリン主義世界革命−日本革命の課題を達成する」と宣言した。その勝負の時がやって来ているのだ。
 この課題を達成するために、当面の決戦に勝ち抜かなければならない。有事法案廃案へ7・26国会決戦に総決起し、正念場を迎えた国鉄決戦に絶対に勝たなければならない。世界戦争と世界大恐慌が現実化しはじめた今、それに見合った大決起をかちとろう。

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週刊『前進』(2063号6面2)

弾圧と闘う 水嶋同志裁判
 岡部(警察官)のウソ暴く 川口裁判長は公訴棄却せよ

 7月3日、東京地裁刑事第一部(川口宰護裁判長)で、水嶋秀樹同志に対する88年9・21千葉県収用委員会会長せん滅戦闘デッチあげ裁判が行われ、現職警察官・岡部正雄(当時、警視庁公安一課)への弁護人の反対尋問が行われた。
 岡部は、〃1989年8月16日、茨城県古河市で、Bさんを『公務執行妨害』でデッチあげ逮捕した時、Bさんと一緒にいた2人のうちの1人が水嶋同志だ”という物語りを捏造(ねつぞう)し、その一方で、転向分子正井利明に「その時古河にいたのはAだ(9・21戦闘の責任者)」とデッチあげ供述させ、そこから「A=水嶋同志」であると結び付けようとした。デッチあげにデッチあげを重ねるとはこのことだ。
 そもそも水嶋同志は、9・21戦闘にまったく関与していない。もちろん古河市には行ったこともない。
 岡部は、Bさんへの「公妨」逮捕がデッチあげであることを押し隠すために、水嶋同志を逃がすためにBさんが岡部に「暴行した」という話を捏造したのだ。
 弁護人の迫力ある反対尋問で、岡部のウソは次々に暴かれていった。
 岡部は、前回裁判での検事の主尋問に対し、「水嶋と思われる人物に、4−5分間職務質問した。名刺を出してきたが虚偽記載と思ったのでメモも取らずに返した。あの人物は水嶋に間違いない」と証言した。
 弁護人は、89年当時に岡部本人が作成したBさんの「現行犯人逮捕手続書」には、職務質問した事実など一切記載してないことを暴露し追及した。また、「名刺には指紋もついているだろう。虚偽と思うなら記載内容も重要なはずだ。そんな重要な証拠をなぜ返したのか」と追及すると、岡部は「警視庁の警察官が名刺を奪ったなどと言われたら困りますよ」と言い逃れをするしかなく、虚偽であることを自ら暴露した。
 岡部は、緊張と恐怖で狼狽(ろうばい)し、3人については何も見ていなかったことが暴露された。
 デタラメな証言をコロコロ変転させる岡部は裁判長にまでしっ責される始末であった。
 こうして公安刑事・岡部のデッチあげはだれがみても明々白々に暴き尽くされたのである。
 いよいよ、次回公判(7月25日)での正井への反対尋問で、最後的に決着をつけるのだ。
 すでに正井は、第5回公判(5月29日)で水嶋同志を間近に見て、「この人はAとは別人です」と証言している。
 ところが検事は、正井が法廷の水嶋同志を見て「A」だとわからないのは、14年も経過して、「水嶋の容貌が変化した」からだと、荒唐無稽(むけい)な主張をしているのだ。ふざけるな! 14年たっていようと、1年半も三里塚・国鉄決戦をともに闘った指導部と、初めて会った人物と区別がつかないわけがないのだ。
 水嶋同志は無実である。88年9・21戦闘で千葉県収用委員会という権力機関が解体してしまい、いまだに再建されない事態に地団駄(じだんだ)を踏んでいる日帝国家権力が、デッチあげを承知で水嶋同志を指名手配・逮捕・起訴した権力犯罪にほかならないのだ。
 水嶋同志は、川口裁判長に「次回裁判で正井と決着をつけたい。正井に対する遮蔽(しゃへい)措置をするな」と要求した。
 さる5月29日の裁判が終了して水嶋同志が東京拘置所へ帰ると、当局は「釈放の連絡があった」と言い、房がきれいに片付けられていた。後に間違いだとわかり、何人もが水嶋同志に謝罪するという出来事があった。検事も東拘当局も正井証言で無実=釈放を確信した証拠だ。
 もはや一日たりとも水嶋同志を勾留しておくことは許されない。川口裁判長は、直ちに公訴棄却か無罪判決を出せ。次回裁判に結集し、水嶋同志の無罪をともにかちとろう。

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週刊『前進』(2063号6面3)

公判日程

☆水嶋同志裁判
7月25日(木)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判
7月23日(火)午後1時15分
※いずれも東京地裁

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