ZENSHIN 2003/03/24(No2094 p06)

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第2094号の目次
 
1面の画像
(1面)
戦争・資本攻勢と闘う労働者の団結を
春闘勝利! 3・29大集会へ
ブッシュのイラク開戦阻止を
北朝鮮への戦争準備を許さず有事立法を絶対に阻止しよう
記事を読む  
4万人がピースパレード
3・8  日比谷埋めた反戦の人波
記事を読む  
(2面)
大幅賃上げ・運転保安確立へ 動労千葉が3月末72時間スト
イラク反戦・国際連帯の先頭に
記事を読む  
03春闘勝利へ
春闘集中回答 ベアゼロ・定昇解体弾劾する
賃金・雇用破壊に連合が合意
「妥協」の裏で賃下げ交渉
記事を読む  
韓国大邱(テグ)中央駅における地下鉄大惨事について
動労千葉が声明を発表
記事を読む  
教育基本法改悪を批判する 戦争体制と闘う教育労働者  第5回
藤野裕さん 奈良(中学校)
「機会均等」の否定
露骨な差別・選別教育に  階級的共同闘争で打ち破ろう
記事を読む  
労働者現場から
日教組組合員ゼロの学校で給食民託化反対を訴え
自治体労働者  K
記事を読む  
(3面)
3・8杉並 ”爆弾を落とすな”
反戦パレードに住民立つ
記事を読む  
行動したい 声をあげたい  3・8日比谷
10代、20代参加者の思い聞く
記事を読む  
全金本山闘争の完全勝利へ
31日に「別棟就労」判決公判  全国闘争に大結集しよう
記事を読む  
介護・福祉とり戻そう 介護保険は廃止しかない(4)
いつでも誰でも利用できる施設の拡充実現を
記事を読む  
(4面)
差別徹底糾弾し主流派へ
部落解放同盟全国連 12回大会開く
「法」なき時代、3大闘争路線で(3月2、3日)
記事を読む  
福岡 米領事館へデモ  初参加者が続々と(3月9日) 記事を読む  
反対同盟の3・30アピール(下)
”暫定滑走路閉鎖せよ”
記事を読む  
イタリア 鉄道・港湾で軍需輸送阻む
イラク反戦の実力決起
記事を読む  
日誌'03 3月5日〜11日
米英、17日期限の修正決議案
個人情報保護法案国会提出
記事を読む  
(5面)
難民排除強める入管法改悪許すな
日帝の参戦と有事法の一環 入管体制の戦時強化粉砕を
五十嵐 茂生
記事を読む  
改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史  第4部
日帝の中国侵略戦争(9)
7・7盧溝橋事件 全面的な中国侵略戦争に突入
記事を読む  
米帝の戦争犯罪告発
『ラムゼー・クラークの湾岸戦争』を読んで
記事を読む  
(6面)
「共謀罪」閣議決定を弾劾する
組合から同好会まで対象に実行行為なくても懲役5年
記事を読む  
読者からの手紙
日共打ち破り杉並選勝利を  T・G(男性)
記事を読む  
願い  竹内元(投稿) 記事を読む  
公判日程 記事を読む  

週刊『前進』(2094号1面1)

 戦争・資本攻勢と闘う労働者の団結を

 春闘勝利! 3・29大集会へ

 ブッシュのイラク開戦阻止を

 北朝鮮への戦争準備を許さず有事立法を絶対に阻止しよう

 米帝ブッシュのイラク開戦阻止へ、全世界の労働者、ムスリム人民、被抑圧民族人民と連帯してイラク反戦闘争をさらに爆発させよう。
 動労千葉は、ベアゼロ、定昇解体攻撃に反撃し、大幅賃上げを要求して3月末に72時間の春闘ストライキに立ち上がることを決定した。そして3月29日に東京・代々木公園で開く動労千葉主催の「03春闘勝利! 全国労働者集会」(要項別掲)への大結集を呼びかけている。
 イラク開戦と北朝鮮侵略戦争の切迫、資本攻勢の嵐(あらし)の中で闘われる動労千葉ストライキと3・29労働者集会は、米帝ブッシュ、日帝・小泉政権と最も鋭く対決し、労働者階級人民の未来を切り開く決定的な闘いだ。心からの感動をもってストライキ支援・防衛に立とう。3・29大結集運動を全国で進めよう。

 第1章 ■イラク反戦闘争軸に3大決戦の勝利へ

 米帝ブッシュのイラク開戦攻撃と全面対決し、今こそ、@イラク反戦、北朝鮮侵略戦争阻止=有事立法粉砕、A国労5・27臨大闘争弾圧粉砕=国鉄決戦勝利、03春闘勝利、B4月統一地方選必勝の3大決戦に総力で決起し、勝利を開くことを心から訴えたい。
 この3大決戦の勝利をかけて、動労千葉の呼びかけにこたえ、3・29全国労働者集会の大爆発をかちとることが決定的である。
 3・29集会は、資本攻勢と対決する春闘総決起集会であり、同時にイラク開戦情勢の中で闘われるイラク反戦闘争そのものである。
 アメリカでもヨーロッパでも韓国でも、全人民的な反戦闘争の中軸には、首切り・賃下げと闘い、公営企業の民営化と闘い、不安定雇用化と闘ってきた労働組合の存在と闘いがある。彼らは、資本攻勢との闘いと反戦闘争を、労働者階級が生きるための、ひとつの闘いとして闘っている。「イラク攻撃するな」のプラカードの隣には「仕事をよこせ」のプラカードが並んで掲げられている。3・29集会はそのようなものとして呼びかけられている。
 連合指導部などは「国際競争力」「国益論」「企業あっての労働者」などという反動的イデオロギーに屈服し、賃金闘争を放棄している。これに対し、3・29集会を「生活防衛! 反弾圧・国鉄闘争勝利! イラク反戦・国際連帯! 小泉内閣打倒!」を真っ向から掲げた労働者人民の総決起の場とし、労働運動の流れを変えよう。
 イラク開戦情勢は帝国主義の2大陣営への分裂を深刻化させながら、いよいよ切迫している。これに対して全世界で、日本で、「イラク攻撃やめよ」「石油略奪のための侵略戦争反対」「イラク人民を殺すな」の労働者人民、アラブ・中東のムスリム人民、被抑圧民族人民の闘いが、猛烈な勢いで爆発しつつある。
 1500万人同日決起を頂点とする2月の闘いを引き継いで、闘いは一層燃え上がっている。イタリアでは青年たちが線路に体を鎖で縛りつけて、武器弾薬輸送列車を止めた。全米でも労働者の闘いが広がり、大学生、高校生、中学生の授業放棄、デモが闘われた。そうした闘いは全世界に広がっている。
 日本でも、3月8日には東京・日比谷集会に4万人を始め、杉並や全国で5万2千人が決起した。地殻変動が完全に始まった。
 3月11日、東京・吉祥寺では学生が呼びかけたデモに沿道から市民、学生が続々と加わり、集会開始時の20人がデモの最終地点では200人に膨れ上がった。あらゆる層の人びとが続々と立ち上がっている。誰もが、あまりにも理不尽な米帝ブッシュのイラク侵略戦争、日帝・小泉の参戦に怒りをもち、立ち上がっている。全世界で同時性をもって、国境を越えた反戦の連帯行動がどんどん広がっている。この闘いをさらに大きく発展させよう。
 米帝は国連政治で押されながらも、対イラク武力行使の修正決議案が安保理で否決されたとしても、7〜10日以内にイラクに最後通告し攻撃に踏み切ると公言している。

 開戦は゛秒読み゛

 すでに、攻撃開始は秒読みの段階だ。25万人の米英軍、戦闘機700機、5空母機動部隊130隻以上の戦艦がイラクを包囲し、四方八方から攻め込もうとしている。
 アメリカ帝国主義は、「ショックと畏怖作戦」と称して、巨大な殺傷力を持つ超大型新爆弾MOABや電磁波爆弾の使用を公言している。イラク人民の大虐殺を強行しようとしているのだ。「大量破壊兵器が問題だ」などと言いながら、米帝ブッシュこそが先制攻撃論を振りかざし、あらゆる大量破壊兵器、核兵器、劣化ウラン弾などによって、イラク人民を大虐殺しようとしている。こんな理不尽が許せるか!
 米帝は国際的な反対論に包囲されつつ、だからこそ、その危機的情勢を暴力的に打開するために、イラク開戦に突っ込もうとしている。唯一の世界大的力である軍事力をもって、石油の略奪と中東支配、世界支配の暴力的再編(再制圧)を狙い、国連やNATOの分裂をも辞さず、帝国主義間争闘戦での勝利をかけて、世界戦争にのめり込みつつある。だがイラク戦争突入は、米英と独仏の帝国主義ブロック同士の分裂と対立を決定的に激化させ、帝国主義間争闘戦の非和解的激化を不可避的にもたらし、新たな世界戦争の引き金を引くものとなる。
 世界戦争か、それとも帝国主義打倒=プロレタリア世界革命かを真正面から問う時代が到来しているのだ。米帝の世界戦争計画と対決し、全世界人民の反戦闘争の一層の巨大な爆発をかちとろう。

 第2章 ■北朝鮮への侵略戦争策動強める米日帝

 今一つ重大なことは、米帝ブッシュが、同時に北朝鮮侵略戦争の策動を決定的に強めていることである。イラク戦争をめぐって、日帝・小泉政権が独仏などとはまったく異なる、突出した積極的参戦国として登場しているのは、日帝が米帝とともにイラクの次は北朝鮮への侵略戦争に突入しようとしているからだ。
 米帝は、北朝鮮の鼻先で米韓合同軍事演習「フォールイーグル」を3月4日から開始した。この演習に連動して原子力空母カールビンソンが自衛隊と共同演習を行い、朝鮮半島沖に向かっている。事実上の米日韓3国合同演習、侵略戦争の実戦演習である。嘉手納基地には電子偵察機が増強された。グアム島には長距離爆撃機24機が増派された。
 こうして北朝鮮に対して今にも攻め込むような挑発的演習をしていながら、これに対する北朝鮮側の反人民的な対抗的軍事行動(対艦ミサイル発射準備や軍隊の集結・移動など)をとらえて、逆にそれをえじきとし、「北朝鮮の脅威」をデッチあげ、戦争準備を行っているのである。まったく許せない。
 そればかりではない。米日帝は、「核開発」問題を国連安保理に持ち込み、「経済制裁」決議を引き出し、もって「周辺事態」と認定し、船舶臨検などの軍事行動に突入し、北朝鮮をさらに決定的に追いつめようとしているのだ。
 有事3法案は、日帝が米帝の朝鮮侵略戦争に積極的に参戦し、日本全土をその出撃拠点とするための法案であり、国家総動員体制を構築する攻撃である。絶対粉砕しなければならない。
 日帝が狙っていることは、米帝とともに北朝鮮の金正日体制転覆の侵略戦争を起こすことである。世界戦争と世界大恐慌への突入の中で、米帝と共同的=競合的に、朝鮮半島の支配・制圧のための侵略戦争を強行しようとしているのだ。そこには日帝の体制の死活をかけているのである。
 北朝鮮の金正日スターリン主義政権がそれ自身いくら反人民的だからと言って、米日帝がそれを口実に北朝鮮を空爆し、朝鮮人民を大虐殺し、政権を転覆することなど許されるのか。断じて否である。
 だからこそ、日本の労働者人民はイラク反戦闘争を闘うとともに、北朝鮮侵略戦争絶対反対・有事立法阻止の闘争を大爆発させることが求められているのだ。
 イラク反戦・有事立法反対を掲げる陸・海・空・港湾労組20団体が呼びかける3・21日比谷野音大集会に結集しよう。戦争になれば真っ先に動員される労組が大変な危機感を持ってイラク反戦・有事立法反対を闘いぬいている。ともに闘いぬき、その力をもって3月末の動労千葉ストライキ―3・29労働者全国総決起集会の大爆発へ闘い進もう。

 第3章 ■定昇解体と労基法改悪に階級的反撃を

 こうした情勢下で闘われる春闘は、いよいよ重大な決戦である。労働者階級の基礎的団結体である労働組合の強化、労働運動の階級的前進のために、先進的闘いを切り開いている動労千葉の闘いに学び、権力・資本との闘いを強化・発展させていこう。
 機関誌『動労千葉』23「有事体制下の労働運動と03春闘方針」は、全労働者の闘いの指針だ。全国の組合・職場に広め活用しよう。職場活動家、全国で国鉄闘争支援を闘う組合、労働者の中にどんどん持ち込もう。
 連合の裏切りを決定的な支えとして、労働者階級に対する首切り・賃下げ、不安定雇用化と労働強化の攻撃が激しい勢いで進んでいる。今年の春闘で「定昇確保」などと報道されているが、連合御用幹部と経営側は、春闘終了後、直ちに定昇見直し・解体の協議を始めると公言している。
 日帝資本は、資本間の国際競争の激化、帝国主義間の争闘戦の激化に危機を深めながら、だからこそ生き残りをかけて、労働者階級に対する極限的な合理化、首切り・賃下げ・労働強化による搾取の強化を図っている。国際競争力とはまさに、どれだけ労働者から搾り取って資本が延命するかの競争にほかならない。
 だからこそ日本経団連は、アジアの労働者人民に対するすさまじい低賃金労働を強制した上で、日本の労働者に対して「まだ日本の賃金は高すぎる。途上国並みの賃金を」と言って、賃金半減、いやそれ以上の賃下げ攻撃を強めているのだ。定期昇給制度の解体は、そのための歴史を画する攻撃である。
 賃下げと福祉切り捨て―負担増のもとで、労働者階級の生活は日々苦しくなっている。大幅賃上げ要求は労働者のぎりぎりの生活から発している要求である。賃金闘争を階級的・原則的に闘っていくことが迫られている。賃金闘争を放棄した連合は資本家の手先、労働者の敵だ。
 首切り自由化のための労基法改悪を始め、労働法制の改悪を断固粉砕しよう。失業保険、健康保険の大幅負担増などの社会保障制度解体、大増税の攻撃を粉砕しよう。労働者階級の怒りを大結集して、3・29集会の大爆発をかちとろう。
 政府は個人情報保護法案の修正案、「共謀罪」新設の刑法改悪案を閣議決定し、国会に提出した。有事3法案とともに、北朝鮮侵略戦争のための戦争国家体制をつくる大攻撃だ。人権擁護法案、保安処分新法ともども絶対に粉砕しよう。
 3・30三里塚闘争に全国から決起しよう。

 第4章 ■4月地方選勝利へ必要な闘いやりぬけ

 3・29総決起集会の大爆発の力をもって4月統一地方選の勝利へさらに総決起していこう。
 4月統一地方選は、革共同と日本人民の未来のかかった闘いだ。反戦と介護を真っ向から掲げ、消費税増税反対などを訴え、地域と労働者人民に根ざした新たな闘う政党が登場できるかどうかをかけた決戦だ。住民の決起と結びつき、勝利のために必要な活動と任務をやりぬき、なんとしても当選をもぎりとろう。
 とりわけ首都・杉並で、小泉とファシスト石原と反動山田区政に対決し、反戦と介護の砦(とりで)、労働者と住民の生活防衛の砦を築き、3人当選を実現するために、さらに根底的な決起を心から訴えたい。絶対に勝利を切り開こう。

 今こそ党建設を

 世界戦争と世界恐慌はこれからいよいよ現実化する。そうした中で労働者階級の革命的大衆行動はいよいよ本格的な爆発の時を迎えようとしている。労働者は必ず決起する。いや、もう壮大な決起が始まっている! 全世界で革命的情勢への移行が始まっている。
 階級的激動の時代には、真に階級的なものこそが力をもち、情勢を動かす力になりうるのだ。今こそレーニンの革命的情勢に対応した革命党の三つの義務を全面的に実践し、新しい型の『社会主義と戦争』(世界大戦下のプロレタリアートの任務)の内容を創造し、第三次世界大戦への道を阻止し、国際的内乱に転化するために闘いぬこう。
 この革命的激動情勢の到来は、日共スターリン主義、ファシスト・カクマルやさまざまな反動的、妨害的勢力、潮流との党派闘争、イデオロギー闘争を重大化させる。
 一切のかぎは、労働者階級が中軸にすわり、労働運動の本格的階級的再生、発展を、この過程でなんとしても実現しつつ闘うことである。3大決戦を全一体のものとして推進し、勝利することだ。この闘いの中でこそ、革共同の真の労働者党としての飛躍・強化をかちとろう。機関紙拡大・党勢拡大闘争を推進しよう。
 3・29春闘集会への大結集を実現しよう。

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週刊『前進』(2094号1面2)

 4万人がピースパレード

 3・8 日比谷埋めた反戦の人波

 イラク開戦が迫る3月8日午後、東京・日比谷公園で「ワールド・ピース・ナウ3・8」が開かれた。日本のイラク反戦集会としては最大規模の4万人が集まった。大半がデモ初心者の若者や家族連れだ。2月に初めてデモに参加したという若者が今度は十数人を連れてきた。子どもを連れた20歳代の母親は「子どもたちに戦争のない未来を」と初参加。娘に誘われ「デモは30年ぶり」(父親)と家族全員で参加――。また、在日外国人が大挙集まったことも目立った動きだ。
 2月15日に地球一周した反戦のうねりがついに日本に来た。この数週間で情勢は一変した。「戦争とめたい」「反対なら行動しなくちゃ」と、若者たちが何万という規模で「反戦デビュー」している。「石油のために同じ人間が殺されるのはおかしい」とイラク攻撃への人間的怒りに突き動かされた真剣な思いで。
   (3面に関連記事
 多数の若者がボランティアとして企画・運営を担っていた。自分たちでアイデアを出しそれを実行した。とてもはつらつとしていて魅力的だ。若者の感性とエネルギーが、「私も何か行動したい」という4万人を動かしたのだ。
 12時40分、日比谷野外音楽堂が開門。子ども連れや高齢者を優先に、次々と入場した。野音は瞬く間に埋まった。
 野音の中では、午後1時からプレアピールとして、アートパフォーマンスや音楽演奏が行われた。
 元ひめゆり学徒の上江田千代さんが沖縄戦の体験から2度と戦争を起こしてはいけないことを訴えた。
 午後2時からラリー(集会)開始。喜納昌吉さんが「花」などを歌った。アムネスティ・インターナショナル日本のイーデス・ハンソンさんが「人権は戦争になったら守れません。今日この時間だけでなく明日も明後日も意思表示しなければなりません」と訴えた。ザ・ニュースペーパーの一人が小泉純一郎を演じ、会場を沸かせた。ピースボートからはイラク訪問の報告があった。辛淑玉(シンスゴ)さんは、戦争で真っ先に犠牲にされる在日の立場から戦争を告発した。
 トークと演奏で、会場の思いは一つになった。野音の中は5千人をはるかに超える人びとで埋め尽くされ、しかも全員が発言や演奏に一心に集中している。
 一方会場の外では、1時過ぎに入場制限が始まり、集会開始時には入場はストップとなった。野音の前は黒山の人だかりだ。それは図書館前、公会堂前へと増殖し、いつしか噴水前の大広場も埋まり始めた。
 反戦歌を歌う人。音楽に合わせて踊る人。画用紙に自分で考えたメッセージや絵を描く人。あちこちで即席集会が始まった。百万人署名運動の集会には発言したい人が殺到した。野音に入場できなかった人も、思い思いにデモ出発前の時間を過ごした。
 デモ出発は3時45分。先頭はトラックにスピーカーを載せ、歩きながら司会の女性がデモ参加を呼びかけた。要所要所にさまざまな楽器が登場。リズミカルな演奏が気持ちを高揚させる。出発時に警察の不当な規制によって300人ぐらいにデモが分断されるが、行進の最中に沿道から高校生らが次々と合流。どの隊列も出発時より5割増、多い隊列は2倍以上に膨れ上がった。
 おびただしい数のカラフルなプラカードやメッセージボードがあふれた。創意工夫されたコピーとデザイン。フェイスペイントをした子どもや若者も多い。打楽器や沖縄の三線、ブラスバンドも登場した。♪反対なら態度で示そうよ♪という替え歌がひろまった。
 あまりの人の多さにデモは4時間かかった。コース後半の銀座では先にデモを終えた人びとが沿道にズラリと並び、手を振ったり握手をしたり。微笑しながら黙ってのピースサインでも心が通じ合う。参加者の数だけ反戦の気持ちがあることが伝わった。
 陸海空港湾労組20団体を先頭とする労働者・労働組合の反戦決起との合流の中で、日本の地でも百万人の反戦デモができる! そう実感させた一日だった。

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週刊『前進』(2094号2面1)

 大幅賃上げ・運転保安確立へ

 動労千葉が3月末72時間スト

 イラク反戦・国際連帯の先頭に

 03春闘最大規模のストライキへ

 動労千葉は3月13日までに、03春闘の山場でのストライキ方針を固めた。
 JR東日本は、昨年に続いてベアゼロを画策し、JR貨物は4年連続のベアゼロと定昇解体に踏み込もうとしている。動労千葉はこれと対決し、3月末に乗務員を先頭に全組合員による72時間ストを配置して、諸要求実現に総力を挙げて闘う方針だ。
 動労千葉のストライキは、「生活防衛、反弾圧・国鉄闘争勝利、イラク反戦・国際連帯、小泉内閣打倒」を掲げて、まさに歴史的闘争として闘われようとしている。これを全力で支援し、ともに闘い、動労千葉が全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同の協賛のもとで開催する「03春闘勝利! 3・29全国労働者集会」に総結集しよう。
 動労千葉ストは第一に、日帝資本の定昇解体―賃下げ攻撃に反撃する03春闘最大規模のストとして闘いとられようとしている。
 3月12日、電機、自動車など金属大手の集中回答が出された。軒並みベアゼロで、「定昇維持」と言いつつも、電機大手では定昇廃止などの賃下げ交渉を直ちに行うことを前提にしたものだ。日帝資本は、03春闘をもってついに本格的な賃下げ攻撃に踏み出した。
 これに対して連合指導部は、「定昇確保」のペテンのもとで事実上、賃下げを受け入れた。その犯罪性は明らかだ。
 さらに、「資本の自由な解雇権」をうたった労基法改悪案などの労働法制全面改悪法案が出されている。
 動労千葉の春闘ストは、これらの攻撃に真っ向から反撃し、同時にこれと対決すべき労働組合のあり方を問う闘いだ。
 動労千葉・動労総連合は、3万8000円の大幅賃上げを始め、労働条件改善要求や運転保安確立の要求を高々と掲げ、JR資本とJR総連カクマルが結託しての賃下げ攻撃―賃金制度全面改悪攻撃を阻止するための戦闘開始の闘いと位置づけて、ストライキに立とうとしている。
 JR貨物は昨年12月に「手当等の見直し」を行ってJRで初めて賃金の切り下げを強行し、さらに「賃金の白紙的見直し」「成果主義賃金導入」を狙っている。JR東日本では、JR東労組カクマルが春闘そっちのけで松崎派と嶋田派の抗争を繰り広げる中でベアゼロをのもうとしている。
 動労千葉のストは、JR総連カクマルを打倒し、国労の混迷状況を突き破り、1047名の解雇撤回闘争の勝利の道を指し示す闘いでもある。国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕する闘いと一体となって、国鉄―JR労働運動と日本労働運動に巨大なインパクトを与える闘いとなる。

 イラク開戦情勢に正面から対決

 第二に、イラク侵略戦争の開戦情勢に対決する反戦・国際連帯のストとして闘われようとしている。
 米帝ブッシュは、地球規模の反戦デモのうねりと、米英帝および日帝と、独仏帝などの帝国主義間の対立が深まる中で決定的に追いつめられた。だが、米帝は単独でもイラク攻撃を辞さない態勢を固め、3月末にも開戦しようとしている。
 動労千葉のストライキは、この情勢下で日本における最大規模のストになろうとしている。
 国際的な反戦闘争の中心には労働組合が座り、イギリスやイタリアでは、鉄道労働者を先頭にして軍事輸送を止める闘いがまき起こっている。労働者の団結した闘いこそが、戦争を阻止する最大の力であることを示している。
 動労千葉のストは、日本でもついに始まった反戦闘争のうねりの中で、その先頭に立つべき労働組合の闘いの方向を指し示すものとなる。
 イラク侵略戦争の次には北朝鮮侵略戦争が狙われている。小泉政権は、そのための有事関連3法の成立策動を強めている。陸・海・空・港湾労組20団体など、実際に戦争に動員されようとしている労働者・労働組合の闘いが、一層大きく発展しようとしている。
 「労働者階級の団結した闘いこそが生活と権利を守り、戦争を阻止し、社会を変えることができる」――動労千葉は、このことを自らの闘いによって示そうとしている。今こそ、労働者階級が体制的危機に陥った帝国主義を打倒する力をもった階級として、歴史の表舞台に登場する時なのだ。
 動労千葉は、3月29日、代々木公園に総力で結集する方針を打ち出し、賃下げや生活破壊、闘わない労働組合の現実に怒るすべての労働者の結集を呼びかけている。そして、イラク攻撃を阻止したいと願うすべての労働者・市民・学生の参加を訴えている。
 ここから労働運動の新しい時代を切り開こう。

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週刊『前進』(2094号2面2)

03春闘勝利へ 春闘集中回答

 ベアゼロ・定昇解体弾劾する

 賃金・雇用破壊に連合が合意

 「妥協」の裏で賃下げ交渉

 「定昇確保」は労働者欺くペテン

 3月12日、金属大手の春闘集中回答が行われた。ほぼ全組合でベアゼロとなり、労働者階級の賃上げへの切実な期待を裏切るとんでもない結果になった。
(表参照)
 しかも、「賃金体系維持」「定期昇給相当分確保」などと言われているが、それ自体が大ペテンだ。電機資本は「定昇確保」の条件として今後、労組が定昇解体をのむことを求め、IMF−JC(金属労協)の幹部たちがそれを受け入れたことで初めて妥結した。三菱自動車では定昇制度をこの4月から全廃することで労資が基本合意した。定昇解体には大幅賃下げ以外の目的はない。日立やNECでは、そのあまりの現状破壊の激しさに労働者の怒りが爆発することを恐れて実施を1年先送りしたが、妥結直後から賃下げに向けた労資協議が継続されている。
 これをJCの幹部たちは「定昇死守」などと言い、今回の妥結を美化しているのだ。ベア要求をあらかじめ放棄し、春闘を資本の一方的な賃下げ要求との交渉の場にしてしまったのはいったい誰か。連合中央のベア要求放棄こそが今回の事態をもたらしたのだ。
 日本の労働者階級は、年功的な賃金体系と終身雇用制、それと一体になった年金制度を前提に生活設計・人生設計を行ってきた。定昇解体は、終身雇用制や年金制度解体と一体であり、子どもたちをも含む労働者階級全体の生活と人生が徹底的に破壊されていくことを意味する。それを労組が受け入れたのだ。徹底的に弾劾しなければならない。
 定昇解体攻撃は社会の激変をもたらすものであり、定昇制度のない中小や、未組織の労働者に対しては、よりすさまじい賃下げ・首切り・不安定雇用化の攻撃となって現れる。さらに公務員や公営企業の労働条件をも激変させる。青年労働者の賃金は一生上がらず、フリーターや派遣しか働き方のない現実をより悪化させるのだ。連合中央の裏切りは、全労働者階級への裏切りだ。

 労働者支配の転換へ踏み切り

 今回の定昇解体攻撃の背景にあるのは、日帝のどうしようもない危機である。
 29年型の世界大恐慌とアメリカ帝国主義のイラク侵略戦争−世界戦争の攻撃を前に、帝国主義としての存亡の危機にたたき込まれた日本帝国主義は、イラク参戦と北朝鮮への侵略戦争体制構築、そのための有事立法強行という外への侵略戦争攻撃と同時に、国内における階級戦争として一大資本攻勢に踏み込んできた。
 それを最も端的に示しているのが、日本経団連の「経労委報告」と「奥田ビジョン」だ。それは、日帝の行き詰まりに対する焦りと危機感から、「国の制度の大きな枠組みを変える」(奥田ビジョン)ことで絶望的な生き残りを図ろうとする、労働者階級への凶暴な攻撃である。
 日帝は99年以降4年連続で賃下げ攻撃を行ってきた。春闘時の各単産の生活実態調査を見ても、賃下げで生活が成り立たず「預貯金を取り崩している」という労働者が確実に増えている。経済的理由での自殺が急増し、学費がないために就学を途中で断念せざるをえない高校生や大学生が増えてきているのだ。
 争闘戦の敗勢的現実に追いつめられた日帝は、これでも飽きたらず、今回の経労委報告の素案で「途上国並みの賃金」にまで賃金を切り下げると宣言した。発表された報告ではさすがに削除されたが、これが資本の本音なのだ。
 日帝は今までの賃金形態の枠内での賃下げ攻撃ではもうやっていけなくなって賃金と雇用形態を根本からぶちこわし、労働者階級全体を不安定雇用にたたき込んで、ドラスチックな賃下げをやって延命しようとしているのだ。だが、アメリカやイギリスでレーガン・サッチャー時代に行われたこの攻撃は今、労働者階級の巨大な反撃の前に破産しており、なんら成算がない。

 動労千葉に続き3・29春闘集会へ

 連合中央はこのことを百も承知の上で、昨年12月に「雇用問題に関する政労使合意」を結び、「労働条件の弾力化にも対応」と言って、労働者支配のあり方を転換する攻撃の先兵を買って出ている。
 労働者階級の怒りの爆発は不可避である。いやそれは、3・8イラク反戦闘争の爆発としてすでに始まった。膨大な青年労働者や女性のイラク反戦闘争への決起の背景には、資本攻勢への危機感と怒りがある。
 3万8000円の大幅賃上げを掲げてストライキに決起しようとしている動労千葉のような闘いこそが圧倒的に受け入れられる時代が到来したのだ。賃下げと不安定雇用化の先兵=連合中央を怒りで打倒し、03春闘の爆発へ突き進もう。3・29全国労働者集会の大成功をかちとろう。

 

03春闘金属大手の回答
●電機  
日 立 ベアゼロ、来春から削減
富士通 ベアゼロ、削減交渉継続中
東 芝 ベアゼロ
NEC ベアゼロ、削減交渉継続中
三菱電 ベアゼロ、削減交渉継続中
松 下 ベアゼロ
●自動車  
トヨタ ベアゼロ
ホンダ −−
日 産 ベア1000円
三 菱 交渉中
マツダ −−
●造船重機  
三菱重 ベアゼロ、定昇圧縮交渉中
川崎重 ベアゼロ
石播重 ベアゼロ
●鉄鋼  
新日鉄 交渉なし(ベアゼロ)
NKK 交渉なし(ベアゼロ)
川 鉄 交渉なし(ベアゼロ)
住 金 交渉なし(ベアゼロ)
神戸鋼 交渉なし(ベアゼロ)

 

※電機の「削減交渉継続中」は、報道で明らかになったもののみ。ほぼ全企業で定昇見直しで合意していると見られる。ホンダ、マツダは賃上げを春闘で交渉せず。鉄鋼5社は隔年交渉で昨年決着済み。

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週刊『前進』(2094号2面3)

 韓国大邱(テグ)中央駅における地下鉄大惨事について

 動労千葉が声明を発表

 動労千葉は、韓国大邱(テグ)市の地下鉄大惨事に関して声明を出した。日刊動労千葉2・28付、3・5付号から抜粋して紹介します。(編集局)

■自らの課題として

 韓国大邱市、地下鉄中央路駅で起きた大惨事は、決して他人ごとではない。日本での報道だけでは、大惨事に到った詳細な原因を把握することはできないが、伝えられている事柄だけを見ても、問われている課題がわれわれが直面している安全上、運転保安上の課題とまさに同じであることに驚かされる。
 われわれはこの惨事を自らの問題として考え、運転保安確立に向けて闘いを強化しなければならない。
 韓国の全国鉄道労組の仲間たちは、「構造調整」の名による安全の解体を弾劾し、「現場人員増員、外注委託化撤回、労組活動保障、解雇者復帰、損賠・仮押え完全撤回」に向けて、闘いに起ちあがっている。この闘いに連帯し03春闘に起ちあがろう。

 ■ワンマン運転が大惨事引き起こす

 韓国では車掌省略が当たり前のことになっているという。
 今回のような不測の事故の場合、火災が列車後部で起きたことも含め、運転士は一体何が起きたのか、直ちには把握することすらできなかったに違いない。しかも本来、列車防護や乗客の安全対策、誘導等を行なうべき車掌はいず、指示を受けるべき指令は現場を全く見ていないという状況のなかで、運転士一人で万全の措置をとることなど到底不可能なことだ。
 全国鉄道労組は「最低車掌さえいれば、ドアの手動開閉とバッテリー使用が円滑に行われ、今回のような大惨事に至ることはなかったであろう。車掌さえいれば、運転士一人で指令と交信していて乗客が死んでいくというような状況が放置されることはなかったであろう」と指摘している。まさにそのとおりだ。

 ■責任転嫁を許すな

 乗客のみならず、判明しているだけでも大邱地下鉄労組の労働者、委託従業員労組の労働者6名が亡くなっており、未だ行方不明者もいるという。必死で乗客の救助にあたっていたであろうことは想像にかたくない。また運転士ら7名が逮捕され、責任を追及されているという。
 事故を起こしたくて起こす鉄道労働者など誰もいない。だが、何かあれば生命を失い、その場から逮捕されるのがわれわれの置かれた現実だ。
 運転士には断じて責任がないことは明らかだ。責任は安全を無視・軽視して無謀な合理化、要員削減をおし進めた鉄道庁・公社当局にこそある。鉄道に働く労働者にとって、安全問題は万国共通の課題だ。労働者への事故責任の転嫁を許してはならない。

 ■他人ごとではない

 この事態は日本でもまさに他人ごとではない。日本でもワンマン運転がどんどん拡大されているのが現実だ。
 日本の地下鉄でも大江戸線など最近開業した地下鉄は全てワンマンで長編成を運転しているのが現実だ。JRでもワンマン運転が拡大されようとしている。
 今回の事故は、安全問題までを競争原理に委ね、利潤追求のみを至上とする経営姿勢と、社会全体を覆うこうした構造改革−規制緩和攻撃が、どれほどの安全の構造的崩壊をもたらすかをまざまざと示している。

 ■注意して運転せよ

 さらに新聞では、指令員が「注意して運転せよ」という指示で、対抗列車を駅に進入させたことが報じられている。列車火災が起きている状況のなかへ、指令は「注意して運転せよ」というあいまいな指示で列車を進めてしまったのだ。
 現場に必要な要員がいない状況のなかで、指令の指示が万能視されるという現実。しかし指令が見ているのは無機質な制御板だけで、現場では実際に何が起きているのかは何もわからない。さらに列車を止めれば自らの責任になるという心理が当然働くから、何か異常が起きていても、「注意して運転せよ」というようなあいまいな指示が乱発される。そして最終的には運転士の判断だけに一切がまかされる。――こうした現実は、まさに今われわれが直面し、問題視していることと同じ問題だ。

 ■「指令万能」の横行

 やはり規制緩和と、駅業務の部外委託−大合理化を背景として、無線での指示を万能とする発想が大手をふってまかり通っている。ついには、「場内信号機に対する進行の指示運転」のように、「進行の指示は信号にあたる」と称して、絶対信号機であったはずの場内信号機も、指令からの進行の指示があった場合は無視をして列車を進めろ、という規定改悪を行なうに到ったのである。
 だが、われわれが警鐘を鳴らしてきたとおり、それからわずか3カ月で、5本の列車に対して、連続して信号暴進をさせるというとんでもない事態が起きている。
 西日本では、触車事故の負傷者を救助中の救急隊員が列車に轢(ひ)かれて死亡するという事故が起きている。このときも指令は、救助中であることを知りながら、「注意して運転せよ」という指示で、後続列車を運行させたのだ。しかも、その無線連絡は、騒音によって直前まで運転士には伝わらなかった。

 ■新たな闘いへ!

 大邱地下鉄での大惨事を自らの問題として見すえなければならない。
 「安全の確保」という課題は、直接的には企業に利益をもたらさないばかりか、膨大な物的・人的投資を必要とするものであり、利潤の追求−合理化はつねに安全を脅かす。資本制社会において安全が無視ないし軽視されるのは当然のことであって、だからこそ安全の確保は、労働者の抵抗、労働組合の闘いがあってはじめてなしえる課題である。
 とくに鉄道においては、合理化や労務政策の矛盾は、まっ先に安全の危機として顕在化する性格をもっている。だからこそわれわれは、「闘いなくして安全なし」をスローガンとしてねばり強く闘いを展開してきた。今こそ反合・運転保安闘争を強化しなければならない。
 労働運動の否定すべき現状に抗し、03春闘に起ちあがろう。

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週刊『前進』(2094号2面4)

教育基本法改悪を批判する 戦争体制と闘う教育労働者 第5回 藤野裕さん 奈良(中学校)

 「機会均等」の否定

 露骨な差別・選別教育に

 階級的共同闘争で打ち破ろう

 労働者の子は使い捨て労働力に

 教育基本法第3条は「@すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。A国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない」と定めている。そして、「教育の機会均等」と呼ばれているこの第3条の理念は、労働者・被差別人民の血のにじむような闘いによって、一歩一歩物質化されてきた。
 しかし、ついに日帝は、この第3条の平等主義の解体と、戦後の教育権闘争の成果の一切を奪い去る攻撃を全面化させている。
 中教審の中間報告は、現行3条は「結果の平等を重視するもの」で、「画一的な教育につながる」と批判し、「過度の平等主義から脱却し、社会の変化に対応する学校教育の改革」が必要と主張している。ここで言う「社会の変化」とは、帝国主義がしのぎを削る「大競争時代」のことであり、「我が国が世界に伍して国際競争力を発揮するため」の「国家戦略としての教育」をやっていくのだとはっきりと宣言している。
 そして、これまでの「平等」に対して、「一人一人の個性に応じてその能力を最大限に伸ばす教育」を対置している。帝国主義間争闘戦のためのスーパー・エリートをつくることが教育の目的だというのである。
 その具体的攻撃が、習熟度別学級、中高一貫校、学校選択制、定時制高校の統廃合、大学の再編、全国一斉学力テストの実施といった、徹底的な差別・選別主義の貫徹である。「平等」に変わって差別・選別が教育の「国是」となるのだ。
 これは、今日急速に進む社会の階層・階級分化の中で、圧倒的多数の労働者階級の子どもたちを、使い捨ての労働力としてあらかじめ選別するということである。そしてまた、部落民、在日アジア人民、「障害者」などを完全に切り捨てた差別教育を方針とするという攻撃でもある。
 教育改革国民会議の座長であった江崎玲於奈や教育課程審議会の委員長であった三浦朱門の発言(別掲)は、日帝の本音をあけすけに語っている。

 学力保障制度の全廃で差別激化

 そして一足早く、この攻撃は同和対策法打ち切り後の部落の子どもたちに最も激しく、部落差別そのものとしてかけられてきている。2002年3月の法打ち切りとともに、部落解放運動がかちとってきた部落の子どもたちへの学力保障の制度は全廃された。小中学校で行われていた学力補充の取り組みや、就学援助費用にかかわる諸制度、高校・大学進学のための解放奨学金制度の廃止であり、教員定数に上乗せして加配されていた同和教育推進教員制度の廃止である。
 制度がかろうじて存続していたこれまででも、部落出身生徒と「一般地区」生徒の学力差、進学率の差は依然として明らかな開きがあり、高校進学率の格差はかつてと比べて相当縮まったとは言え、中途退学者が後を絶たなかったのである。また、大学進学率にいたっては格差が厳然と存在している。制度があった上でのこの実態の中にこそ、部落差別が部落の子どもたちの学力と学習意欲を奪い続けてきたことそのものが示されている。こうした部落差別が厳然とあることを百も承知で、同和行政を全廃するとは、「部落民には教育を受ける権利など必要ない」と言うに等しい。
 現に、解放奨学金が打ち切られた結果、進学を断念せざるをえない状況さえ生まれてきている。部落解放同盟全国連の村々で開始されている「学力促進学級」の運動は、日帝の戦時型部落差別攻撃が奪い取った部落の子どもたちの学力保障の制度を、自らの力で取り戻そうという闘いである。私たち教育労働者は、この闘いから学び、本来自らが責任を取るべき課題であることを鮮明にして、連帯した共同の闘いとしていかなければならない。

 部落大衆とともに現場から闘う

 解放教育の一からの再構築を軸に、「障害児」教育、民族教育、定時制教育、夜間中学運動などの防衛と再生を、私たち教育労働者と保護者、子どもたちとの共同の闘いとしていくことが、教基法改悪阻止の闘いの柱の一つに据えられなければならない。なぜなら部落解放教育の諸制度は、その一つひとつが部落の親たちの必死の糾弾闘争と、それに学びながら自己の階級性をかけて闘ってきた教育労働者との共同闘争の成果として実現されてきたものだからである。それは「障害児」教育、民族教育などでも同様である。
 差別・選別教育の強化の一つひとつを、現場から粉砕していく闘いに立ち上がり、教育基本法改悪反対の闘いを発展させていこう。

 別掲資料

 「いずれは就学時に遺伝子検査を行い、それぞれの子供の遺伝情報に見合った教育をしていく形になっていきますよ」(江崎玲於奈)
 「労力を、できる者を限りなく伸ばすことに振り向ける。百人に一人でいい、やがて彼らが国を引っ張っていきます。限りなくできない非才、む才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいい」(三浦朱門)
 斎藤貴男著「機会不平等」より

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週刊『前進』(2094号2面5)

 労働現場から

 日教組組合員ゼロの学校で給食民託化反対を訴え

 自治体労働者 K

 私はB市の学校給食調理員をしています。組合執行部は民間委託反対のスローガンを投げ捨て、当局のリストラ案に次々に協力する労使協調に走っています。
 学校給食は教育の一環であり、行政が直営で担うべき重要な仕事であることを説明して、民間会社への投げ売りを許さない闘いを粘り強く闘っています。
 日教組組織率0%という私の学校で、自治労県本部の給食の民間委託反対の意見広告カンパを集めました。自治労の組合員だけでなく先生たちも次々と応じてくれました。
 教師も闘いを求めていることを感じる出来事がありました。ある日の職員会議で、休暇の取り方について校長から先生たちに話がありました。「自宅研修の時に、不正取得をして親戚の用事に使っているという市民からの苦情があった。常に市民の目があることを忘れないように。他の休暇の時も、教師として常に対処してほしい」と言いました。それに対して「名前も住所も知らない市民に教師だけ一方的に責められるのはおかしい。もしそういう電話があったら、校長先生、住所と電話番号を聞いておいて下さい」と反撃した若い教師がいました。
 また校長が、道徳教育副読本の『心のノート』の使い方を説明した時です。全クラス一斉に子どもに配布して作文を書かせて、その都度家に持って帰らせて親に講評してもらうと提案しました。それに対して、子どもの心の中を書かせたものを親に見せるのはもってのほかだと主張して、『心のノート』には問題があると勇気ある発言をした若い女性教師がいました。
 本当は、職場闘争や反戦運動に立ち上がりたい教師はたくさんいるのではと感じます。
 自治労の署名やカンパ運動を利用して、未組織の教育現場の反動化を防いでいくのも、直営で自治体労働者が存在できているからだと、つくづく思います。

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週刊『前進』(2094号3面1)

 3・8杉並

 “爆弾を落とすな”

 反戦パレードに住民立つ

 3月8日、都政を革新する会が呼びかけ反戦共同行動委員会が主催したイラク戦争をとめよう杉並行動に地元杉並を始め70人が参加した。いつ開戦かという切迫した情勢の中、なんとしてもイラク戦争を止めようという思いがあふれた。
 阿佐ケ谷駅前を通って区役所までのデモは、介護と福祉を要求する杉並住民の会の八木ケ谷妙子さんや区議選に向かって全力で奮闘している北島邦彦、新城せつこ、けしば誠一の3候補が先頭に立った。若者を中心としたグループが歌と演奏、リズムに乗ったコールで反戦パレードをリードした。杉並でイラク反戦の運動を進めてきた若者や子犬を抱いた女性、女子学生など住民も多数加わった。
 「イラクの子どもたちを殺すな」という歌声に市民が足を止めて注目し、「イラク戦争反対」「石油のために殺すな」と力を限りのコールがこだました。
 集会では東京反戦共同行動委のけしば誠一事務局長が主催者を代表してあいさつし、「あらゆる力を注いで戦争を阻止しよう」「ブッシュはイラクに対して核兵器を使うと公言している。原水禁運動発祥の地である杉並から新たな原水禁運動をつくり上げたい」と決意を語った。
 新城せつこ区議は、杉並区議会でイラク戦争反対決議を上げようと全力で奮闘していることを報告し、14日の区議会への結集を訴え、反戦の渦を巻きおこしていく決意を語った。八木ケ谷さんは、「今私たちの目の前で人殺しが行われようとしている。イラクの子どもたちの頭に爆弾が落とされようとしている。これを黙って見ているわけにはいかない。人殺しはダメ。90歳の人間を生きた高齢者の切なる思いです。大いに胸を張って行動を起こしましょう」と訴えた。
 集会後、コールを練習して、反戦パレードに出た。終了後、参加者は直ちに日比谷公園に向かった。

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週刊『前進』(2094号3面2)

 行動したい 声をあげたい

 3・8日比谷 10代、20代参加者の思い聞く

 今、目の前で始まろうとしている戦争をどうしても止めたい。8日の日比谷公園には、そんな思いを胸にした人びとのエネルギーがあふれかえった。とりわけ10代、20代の高校生・学生・青年労働者がその過半をしめた。参加した人に思いを聞いた。(1面参照)
 午後1時。野音に入りきれない人が、日比谷公園の中心にある噴水の周りにまであふれかえった。いたるところで布や画用紙を広げ、マジックやクレヨンでカラフルに自分の思いを描き始め、公園全体が「イラク攻撃反対」の思いで埋まった。若い世代がものすごく多い。「今、行動したい」「自分の思いを表現したい」――誰もがこういう思いでいっぱいだ。
 友だち3人で横須賀から来た20歳の女子学生は「なぜブッシュさんは平和を出発点にして行動しないの、と思って。でもそう思っても行動しないと意味がないから、参加しました。横須賀ではもう飛行機の音もすごくうるさい。でも横須賀の駅前でもデモがあって、米軍の人も参加していたんです」。友だちも「なぜ小泉さんはブッシュさんに言うべきことを言わないの?って思う」と話した。
 22〜23歳の女性労働者3人は、色画用紙でメッセージボードをつくり始めた。クレヨンとスプレーでハートや星、ピースマークを重ねて「和」「愛」「花」の字ができあがっていく。
 23歳の女性労働者は「最近、°平和って実は日々つくっていかなくてはならないんだ″と思い始めたので参加しました。ブッシュ大統領はごう慢。なぜイラクで被害にあっている人たちのことを考えないのでしょうか。私はやっぱり、イラクの人たちと同じように感じたい、同じ視線でいたいと思うんです」と話した。
 23歳の男子学生は、同級生2人と一緒に参加した。「テレビとかを見て『ブッシュはなぜすぐ戦争しようとするのか』と怒りを感じていた。でも逆に、世界中で戦争反対の人が増えてるし、みんな°同じ失敗を繰り返しちゃいけない″と考えてる。イラクの国民にはいい奴もいっぱいいる。戦争はいい奴もみんな巻き込むから、絶対に反対」
 子ども連れの母親は「テレビを見ていて、この子たちが戦争を怖がってるから」。2人の子どもの頬にはそれぞれ「PEACE」「NO WAR」とペインティングしている。

 ゛イラクの人を殺すな゛

 25歳の男性労働者は、ネットで調べて、大学の後輩を誘って来た。「イラクの劣化ウラン弾被害を見て、じっとしていられなくて。ブッシュはイラクを『ならず者』と言うけど、『お前こそならず者だ』と言いたい」。後輩の22歳の男子学生は「世界中でデモが起きてるのに『日本ではなかなかデモがない』と言われる。だから『日本人も真剣に考えるんだぞ』ってことを見せたくて来ました」
 27歳の女性労働者は「戦争を止めたり、世界を動かしたりできるのは、一人ひとりの庶民。小さなことでも行動しないと大きな力にならないと思って」。今回が2回目の参加だ。
 23歳の男子学生は「思ってるだけじゃなくて、どんな小さなことでも行動しないと変わらない、と思って来ました」。一緒に来た21歳の女子学生は「小泉さんに、ここに来てこの集まりを見てほしいです」。27歳の女性労働者は「ブッシュさんには『どうしても戦争をしたいのなら、自分で銃を持って戦ってください』と言いたい」ときっぱり。
 翌週に卒業式という女子高校生3人も初参加。「イラクを攻撃したら、逆に戦争が世界中に広がっていくきっかけになっちゃうからやめるべき」「ブッシュさんはイラクの子どもたちがかわいいと思わないの? 人間はすべて同胞だと思います」。3人でメッセージボードをパステルカラーに塗って持ってきた。
 自分の思いを伝えようと心を込めて、公園の中で手書きのカラフルなメッセージボードが次々できていく。19歳の男子学生2人は「戦争は人がいっぱい死ぬからダメ。それだけです」と言って、色画用紙にマジックで「石油のための戦争に反対」と書いた。

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週刊『前進』(2094号3面3)

 全金本山闘争の完全勝利へ

 31日に「別棟就労」判決公判

 全国闘争に大結集しよう

 全金本山労組が1973年の「別棟就労」命令を不当として30年にわたって争ってきた裁判闘争が、ついに3月31日に仙台地裁で判決公判を迎える。この裁判は、本山資本が2人の被解雇者とともに全金本山支部(当時)の組合員全員を職場から排除し、30年にもおよび就労を拒否していることを裁くものだ。解雇でもないのに30年も就労できないなどということがどうしてあり得るのか。資本の責任を断罪し、即刻すべての組合員を職場に戻し、ロックアウト中の未払い賃金を支払うのは当然のことだ。
 一方、30年近い長期裁判となった裁判所の責任も重大だ。1974年12月19日に仙台地裁は「別棟就労は不利益扱いだが不当労働行為意思でなされたものではない」という許しがたい仮処分決定を行った。それも「暫定的措置としてのみ容認し得る」という異例の条件付きの決定だった。この反動決定を契機に資本の労働組合つぶし、警察権力の弾圧が激化し、さらに総評・全国金属の争議収拾=被解雇者切り捨ての攻撃が本山支部に襲いかかった。本山支部は、本部の除名処分を打ち破り、全金本山労組として労働組合の団結を守り抜き、その力であらゆる反動をはね返し勝ちぬいてきた。
 仙台地裁は32年間の本山闘争、とりわけ30年間も職場から排除された労働者の怒りと訴えにいかにこたえるのか。「暫定的措置」などという言い逃れが労働者の人生にどれだけの苦闘を強いたことか。裁判所は自らの責任をどうとるのか。
 判決はいかなる意味でも勝利判決以外にあり得ない。就労拒否が白日のもととなった本山資本は、全金本山労組が「闘争至上主義、暴力主義」だから就労を拒否している、というとんでもない主張をしている。治安問題として反動判決を哀願しているのだ。
 これに対して全金本山労組は全国の支援労働組合に「勝利判決をかちとるための労働組合署名」を呼びかけ、わずか2カ月の期間に750を超える労働組合の署名が寄せられた。自治労、教組を始め、県本部や支部・分会までの署名を集約した労働組合など、連合、全労連にかかわらず、原則的に闘う労働組合がずらりと名を連ねた。まさに全国労働運動拠点、争議拠点としての本山闘争の真価を示すものだ。
 さらに、全金本山労組は3・30―31を全国闘争とし、すべての闘う仲間に総結集を呼びかけている。仙台地裁、本山資本を労働者の怒りで包囲し、勝利判決をかちとろう。「2名の解雇撤回・全員の原職奪還」に一気に突き進もう。

 ゛一人の首切りも許さない゛

 全金本山労組32人の闘いは、「一人の首切りも許さない」を労働組合のスローガンとして初めて掲げ、それを守り発展させてきた日本労働運動のかなめの闘いである。それは、まさに「労働組合の生と死」をかけた熾烈(しれつ)な攻防の連続だった。
 全金本山闘争は1971年3月の青柳充氏への不当解雇から始まった。70春闘で本山支部は53時間ストライキで2交替制導入を阻止した。その原動力は70年安保・沖縄決戦の爆発と結合した青年労働者の決起であった。低賃金、劣悪な労働条件、会社を私物化する同族経営に怒りと要求が高まっていた。その先頭に立って闘いを指導したのが青柳氏であった。
 資本は70年8月に本山支部執行部に御用派を送り、71年3月に不当な配転命令を青柳氏に行い、配転拒否に対して懲戒解雇攻撃をかけてきた。御用執行部はこれと一体となって青柳氏が「退職前提の条件闘争に応じない」ことを理由に組合を除名処分にしたのだ。
 青柳氏への解雇攻撃はあまりにも理不尽であり、すべての労働者にかけられたものであることは誰にも明らかであった。「守る会」が結成され、資本と支部執行部の弾圧を打ち破り、ついに71年8月の組合大会で御用派を打倒し、闘う執行部を樹立する。労働者自身が労働組合を自らの手に取り戻した。
 資本は労働組合つぶしのためにあらゆる攻撃を開始した。第二組合の分裂と管理職による全金本山支部組合員切り崩しに対しては、青年部を先頭に職場で不当労働行為追及行動を行い、はね返した。
 翌72年5月には、争議つぶしのプロ集団・右翼暴力ガードマンが導入され、勤務中にも職場に乱入し、テロ・リンチをふるった。ここでも青年労働者が文字どおり血を流しながら暴力ガードマンと対峙し、朝ビラ、構内デモなどの闘いに立ち上がった。血まみれのシャツを地労委に持ち込み、ガードマン排除を求めた。当時、全国で労働組合分裂や暴力団導入など労働組合つぶしの攻撃が激しくかけられた。全金本山支部の闘いは、全国争議拠点として押し上げられた。
 そして72年12月のロックアウトである。219人もの労働者が突然職場に立ち入り禁止とされ、入ろうとすると警察・機動隊が立ちふさがった。生活の糧が奪われた。労働組合の団結が問われた。全金本山支部は三池闘争から学び、職場ごとに5人編成の行動隊を組織し、アルバイトと毎朝の工場門前での就労要求闘争を開始した。県内、全国から総評青婦協、闘う労働運動をめざす全潮流がかけつけた。以来、資本・権力との激しい攻防の中で、延べ千五百人の負傷者、百三十数人の逮捕者を出しながら全金本山闘争は闘いぬかれてきた。

 「別棟就労」は゛強制収容所゛

 労働組合運動を口実にして、組合員を職場から排除するロックアウトそのものがまったく不当である。違法なロックアウトが続けられなくなった資本の苦し紛れの策が「別棟就労」だった。その名のとおり、本工場の裏に有刺鉄線で隔離した強制収容所のような場所をつくり、全金本山支部の組合員のみを狭い場所に押し込み、暴力ガードマンが威圧し、仕事も与えずに退職に追いこもうとする攻撃である。これほど露骨な不当労働行為はない。
 ところが仙台地裁の反動決定を契機に、総評全国金属が「別棟に就労するのも戦術」と闘争収拾を強要してきた。76年に宮城県地労委が「ロックアウト通告時の職場に復帰させよ」という命令を出すが、全金本部はあくまで争議収拾を押しつけてきた。
 この背景には、75年スト権スト以降の日帝の治安弾圧の強化、闘う労働運動への刑事弾圧の激化と、連合の先駆けとなる民間先行の労戦統一の攻撃があった。70年代後半の労働運動への大反動との攻防である。
 76年、当時の稲葉法相が「労働組合の違法スト、その他行き過ぎに対して法律の厳正な適用を行え」と発言。実際、東京地評では76年だけで156人の労働者が刑事弾圧を受けた。団交要求などまったく正当な組合活動に、国労5・27臨大闘争弾圧でデッチあげに使われた「暴力行為等処罰に関する法律」を適用し、刑事弾圧による労働組合つぶし攻撃が全面化した。裁判所はこの労働運動破壊に加担し、長期勾留や反動判決が常態化した。
 さらに右翼的労戦統一の中で、全国金属は、当時300を数えた争議支部を自らの手でつぶしていく道へとのめり込んだ。刑事弾圧にさらされ、上部の支援を打ち切られる中でどれだけ多くの仲間が闘い途中で悔し涙を流しながら旗をたたんだことか。
 全金本山支部では徹底した組合員の討議を積み重ね、「別棟就労」を断固拒否し、労働組合としての団結を守りぬいた。ついに全金本部は青柳氏への除名処分と闘う組合員への統制処分をかけてきた。組合員はこれを真っ向から受けて立ち、全金全国大会の壇上にズラリと並び、本部の裏切りを弾劾し、闘う全金の復権を呼びかけたのである。
 全金本山労働組合として総評全国金属と決別して新たに出発した本山闘争は、激闘を重ねてきた。全金、県評から排除され、資本と裁判所は「雇用関係はあるが使用関係がない」ととんでもない理由でロックアウトされた組合員から社会保険まで奪った。しかし、地域、全国の仲間、闘う労働組合が全金本山労組をあくまで支援し、ともに闘いぬいてきたのである。

 「労働者の魂を裏切らない」

 75年「別棟就労」をめぐる攻防の中で、佐藤満男組合員が「自分は別棟戦術に反対なのは、それは戦術ではなく路線の変更だからだ。自分は労働者の魂を裏切らないために別棟には入らない」という遺書を残し、自らの命を絶って抗議した。本山闘争の「一人の首切りも許さない」闘いは、労働組合の原則であるが、この原則は無数の労働者の血と汗によってつくられたのだ。それゆえに本山闘争は不動の全国労働運動の拠点、争議拠点となっているのである。
 われわれは青柳氏解雇攻撃から一貫して本山闘争を支持・支援し、ともに闘いぬいてきた。仲間を信じ、不当解雇を許さない闘いに自らの人生をかける全金本山労組の組合員、家族の闘いに心から学び、完全勝利に向けて闘い続けてきた。その地平の上で今日の労働運動の新たな激闘の中でこそ全金本山闘争の完全勝利=2名の解雇撤回・全員の原職奪還を必ずかちとる決意を新たにしよう。
 勝利の展望は鮮明だ。すでに資本は2人の解雇撤回を公言するなどグラグラになっている。「就労問題」の決着は完全勝利と一体なのだ。警察権力の介入を粉砕し、みずほ銀行闘争、ユーザー闘争などあらゆる闘いを強化しよう。
 何より750以上の団体署名に示された全国の広範な労働組合の支援がある。2月23日には連合宮城の本部のあるビルで東北春闘交流集会が開催され、130人が結集した。主催者を代表して全金本山労組の青柳充書記長が、世界の労働運動の高揚とともにイラク開戦と有事法制を阻止し、賃下げ・解雇ルールの法制化を許さない闘いをつくり出すことを訴えた。連合傘下の労働組合が賛同に名を連ね、ともに闘う決意を表明した。また、アメリカの闘う労働者から、「°Zenkin Motoyama″の30年以上に及ぶ不当な解雇との闘いを支持します。それは労働組合のあるべき姿です」と熱烈なメッセージが寄せられた。
 全世界の労働者階級とともに帝国主義の侵略戦争と資本攻勢と対決する大闘争をつくり出そう。階級的労働運動が荒々しく発展していくことの中にこそ、本山闘争の勝利もある。
 今こそ「闘う全金」を復権させる時だ。今日、JAM、JMIUを問わず、倒産、工場移転、大合理化、賃下げなどすさまじい資本攻勢が金属、機械など中小民間職場を襲っている。これに対して上部の指導や支援もない中で、激しい攻防が各地の職場で闘われている。
 労働者は闘わなくては生きていけないし、資本と闘うために労働組合に結集するのだ。青年労働者は闘いを求めている。金属産別こそ「一人の首切りも許さない」労働運動を先頭で切り開こう。3・30―31全国闘争に総結集しよう。

 全金本山全国総決起集会

 3月30日(日)午後5時半開場 午後6時開始
 みやぎ婦人会館講堂(青葉区錦町1ー1ー20)
 全金本山仙台現地全国集会闘争
 3月31日(月) 午前8〜11時 大衡工場門前闘争
 午後1時〜 仙台地裁判決公判

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週刊『前進』(2094号3面4)

 介護・福祉とり戻そう

 介護保険は廃止しかない(4)

 いつでも誰でも利用できる施設の拡充実現を

 施設の不足が深刻な問題に

 介護保険制度の初めての見直しを目前にした現在、ある意味で最も深刻になっている課題は、要介護高齢者の入所関係施設の圧倒的な不足である。特別養護老人ホームに入所希望を出しても、3年も4年も待たなくてはならないということが引き起こされている。
 介護保険は、その基盤整備(サービス供給体制の環である施設群)も整わない(整備する気もない)うちに強行されたために、こういう事態が引き起こされている。介護保険は「国家的詐欺」(ある特養施設長の言)そのものなのだ。保険料は確実に取るが、サービスはない=商品は渡さないという典型である。
 杉並区の実態を見てみよう。介護保険が実施されて3年たつが、杉並区内には療養型医療施設は1カ所・1ベッドもないままである。施設サービスの基本は特別養護老人ホームと老人保健施設、そして療養型医療施設である。特養は生活を基本にした終身施設であり、老健はリハビリを目的にした経過施設であり、療養型はさらに医療内容の濃い経過施設として位置づけられてきた。しかし療養型は、°施設基準などが事業経営上収入につながらない″と、多くの事業者が避けている。特に都市部では用地の取得や人件費の関係上やりたがらないのだ。その典型が杉並区である。
 杉並区の介護保険給付率を見てみると、療養型への給付率はわずか30%程度しかない。そのすべてが区外の療養型施設である。(表1参照)
 居宅の分類に入るショートステイ(短期入所)の利用も、30%程度と著しく低い。特養希望者が介護保険実施以降に急増したため、本来ショートステイ枠としてあった特養のベッドは入所者でしめられ、経過施設であるはずの老健が特養化して長期入所者でしめられて、ショートステイが活用できないのだ。介護保険の中心である施設群が整わないことで、このような矛盾を要介護者と家族に押しつけているのだ。

 特養への入所待機者が急増

 特養入所希望者の急増はきわめて深刻になっている。2000年の介護保険実施以降、特養入所待機者は急増している。それまでは約700人だったのが、1000人、1500人、1927人(02年末)と増えている。そしてその大半の待機者が在宅、つまり家で待機させられている。(表2参照)
 山田区長は「介護保険料の引き上げ幅をわずかにした」と自慢するが、「サービスを受けられないなら、取った介護保険料を返せ!」という怒りの声は、区内を覆っているである。
 待機者が急増した原因は、行政が言うように「高齢者が増えたから」ではない。介護保険の実施で、それまでは家族介護を中心に在宅で介護してきた居宅介護へのヘルパーやデイサービスなどが、無料から介護保険の1割利用料負担にしたことが原因だ。さらに要介護度の高い人が在宅介護サービスを限度額近くまで利用すると、日常生活費を含めても、施設への入所費用の方が安くつくためである。要介護高齢者も家族もやむをえず施設入所を希望せざるをえないのだ。本当は住み慣れた地域で暮らし続けたいと望む高齢者が多い。ところが介護保険制度は、これまで以上に居宅介護を困難にし、施設需要を引き起こした。

 保険外負担で入所あきらめ

 そして、この4月から開始されようとしている介護保険の見直しによって、この施設への介護保険給付を平均4%も削減しようとしている。これでは、事業者の必要な施設建設や医療保険施設への転換はますます遅れ、いつまでも必要な施設はつくられないことになる。また削減された給付額は、介護保険施設で働く労働者の人員削減や給与のカットとして、ますます深刻に労働条件にのしかかってくる。ドイツで起きた施設での「虐待」を、国が促進するということだ。
 その上、膨大な待機者を抱える特養には、°アメニティー″(快適さ)の改善と称して「ユニット化」=個室化を促進しようという動きがある。その狙いは、削減した保険給付分を個室代として利用者やその家族から徴収しようということだ。つまり°保険給付の減った分を保険外の自己負担でどんどんとれ″ということだ。個室代を支払えない人は特養からも追い出され、入所を希望しても入ることができない。
 介護保険が始まって3年、このようなペテンをいつまでも許すことはできない。「いつでも、誰でも利用できる在宅サービスの充実を! 施設の拡充を!」という要求は、あまりにも当然である。
 介護保険を突破口とした社会保障全面解体攻撃を許すな。「障害者」への支援費制度導入に反対しよう。介護保険の廃止をめざして闘いぬこう!

 表1 杉並区の介護保険給付率

 サービス、00年度、01年度
 在宅介護サービス給付全体、70.9%、82.3%
 同 ショートステイ、23.8%、31.8%
 施設サービス給付、72.4%、77.6%
 同 特別擁護老人ホーム、101.2%、101.3%
 同 老人保健施設、92.6%、102.3%
 同 療養型医療施設、26.1%、32.3%

 表2 待機者の待機場所(02年1月)

 在宅、970人
 病院、459人
 老健、118人
 その他、43人
 合計、1590人

 (梨原智之)
 (おわり)

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週刊『前進』(2094号4面1)

 差別徹底糾弾し主流派へ

 部落解放同盟全国連 12回大会開く

 「法」なき時代、3大闘争路線で

 3月2、3日、部落解放同盟全国連合会第12回全国大会が全国の部落大衆、共闘の労働者、学生、市民ら1300人の結集で盛大にかちとられた。「全国の部落大衆はいまこそ本部派を打倒し新たな荊冠旗(けいかんき)のもとに団結せよ」をメインスローガンに掲げ、「法(地対財特法)」のない時代に3大闘争を村ぐるみで闘う新しい部落解放運動の方向と展望を指し示した。そして、40年にわたって無実を訴え不屈に闘う石川一雄さんと固く連帯し、狭山闘争に絶対勝利することを誓いあった。

 5万人建設の「第2期」開く

 大会第1日は兵庫・伊丹市立文化会館で行われた。
 解放歌斉唱の中、参加各支部の荊冠旗が入場し、壇上に勢ぞろいした。南畑安太郎大会運営委員長と原口孝一運営委員が並び、戦争と差別の強まる難局を団結して闘うことで打破しようと開会あいさつをした。
 村上久義副委員長が主催者あいさつに立ち、「全世界で1千万人以上がイラク反戦に立ち上がった。これは2001年9・11に決起したムスリム青年に鼓舞されたものだ。全国連は彼らに連帯して闘う。解同本部派役員は、要求闘争に立ち上がる部落民に『ものもらい』とか『自立せよ』と言い、差別を受けた人が糾弾すれば『警察に通報する』と言う。81年前、水平社は『われわれ特殊部落民は部落民自身の行動によって絶対の解放を期す』と宣言した。全国連は、この精神を復権し、全人民の解放、被圧迫人民の解放の一翼を担おう。狭山再審を開かせ、無実の石川一雄さんの無念を晴らそう」と力強く訴えた。
 来賓として三里塚芝山連合空港反対同盟の伊藤信晴さん、国鉄千葉動力車労働組合の川崎昌浩さん、都政を革新する会の結柴誠一さん、革命的共産主義者同盟の天田三紀夫書記長、同和住宅家賃値上げ反対全国連絡会弁護団の大野康平弁護士があいさつした。
 天田書記長は、狭山・特別抗告審闘争に勝ち、再審を開かせるために、また全国連5万人組織建設を成し遂げるために「革共同は全国連との血盟を果たす」と誓った。
 2002年度活動報告案を楠木吉秀事務局長が提起した。「狭山闘争において最高裁・特別抗告審闘争を闘い、最高検にも証拠開示の要請行動に立ち上がった。さらに差別糾弾闘争、生活要求闘争、階級的共同闘争とりわけイラク反戦闘争を推進してきた」と振り返り、「3大闘争を全方位で取り組むことが『法』のない時代の闘い方だ」と確認。また「ノートとペンの聞き取り活動や懇談会の中で出てきたさまざまな声にこたえて、支部大会で全国連の激しい変革の闘いを進めている。新しい仲間が執行部をともに担うようになった」と組織建設の前進を総括。「部落大衆自身が自分たちのことを自分たちで決め、自分たちの行動として立ち上がっていく運動――それこそが全国連の5万人組織建設だ。大胆に全国連への結集を呼びかけよう」と提起した。

 ゛本部派打倒し村の団結を゛

 2003年度運動方針案を中田潔書記長が提起した。まず第一に、部落の現状を明らかにした。「仕事がない、働く場所がないという生活不安の訴えが一番多い。その上に部落差別の重しがある。同和住宅の家賃が10倍、20倍に上がった。保育料引き上げで子どもを預けられない。補助金打ち切りによる診療所閉鎖攻撃。医療制度・福祉制度の改悪と相まって同和対策事業の廃止攻撃は、深刻な窮乏化を生み出している」。窮乏化の決定的な原因のひとつに解同本部派の闘争放棄・妨害、腐敗・堕落があることを指摘した。
 そして、この本部派と決別した部落大衆が支部大会をとおして全国連に結集し始めていることを報告。「昨年11月、大阪・寝屋川支部が大衆的な支部として生まれ変わる支部大会がかちとられた。広島支部でも昨年の支部大会をとおして多くの人が全国連の闘いを支持し、心を寄せている」
 また差別事件の激増を糾弾。「大阪では毎年240〜250件の差別事件が報告されている。懇談会でも差別に対する怒り、訴え、悔しい気持ちがぶつけられた。昨年和歌山県で、町役場の人権担当課職員が部落の地区名を列挙し『皆殺しにせよ』などと差別を扇動した。行政さえも公然と差別をするようになった。神戸・番町の住宅家賃の値上げ反対裁判で、神戸市が戦前や戦後直後のように『特殊地区』と文書に記載した」と、まったく許すことのできない部落差別の現実を怒りを込めて報告した。
 第二に、「解同本部派の死」を宣告した。その論拠を「本部派が部落解放運動の命綱である差別を許さない闘いをやらないと完全に決めてしまったことにある」と指摘。「石川一雄さんにかけられた差別はわれわれ一人ひとりの部落民にかけられた差別。どこの部落差別であっても自分のこととして闘う。この部落解放運動のエネルギー、命を一番大切にしなければならない」と訴えた。そして「人権擁護法案は糾弾闘争をやらせないための法律。これを認めている本部派は、支部を行政依存の『人権協会』などに衣替えし、腐敗を深め、衰滅へ向かっている」と暴露した。
 第三に、以上の現状認識をふまえ「法」以降の闘い方を提起した。「大衆の実力行動でしか、私たちの要求を認めさせることはできないが、要求がすぐに実現しないこともある。時には必要なものを私たち自身の闘いで作り出そう。奈良の学力促進学級の運動、荒本の介護事業所立ち上げなどがそれだ。みんなが一つに集まって力と知恵と金を出し合い、自分たちの生活と権利を守りながら、差別をなくすまで頑張ろう」
 結論として、「間口を広くして、部落のきょうだいたちの思いとかみ合う取り組みをしよう。2〜3年のうちに5万人組織建設も十分に可能な情勢だ。戦争の時代にうちかつ部落解放運動、大衆的広がりのある全国連へ、生まれ変わろう」と熱烈に語った。
 堅実な路線に裏打ちされ壮大な展望をもつ楠木事務局長の活動報告と中田書記長の運動方針に圧倒的な拍手と歓声が寄せられた。
 役員人事案として中央執行委員長に瀬川博さん、副委員長に村上久義さん、書記長に中田潔さんが推挙された。
 狭山闘争勝利への決意を小森勝重狭山闘争本部事務局長が明らかにした。「石川さんの不屈の闘魂、勝利の決意にどこまでも連帯し闘う。勝つつもりのない本部派に代わって全国連が事実調べをやらせ、再審をかちとるまで闘おう」と訴え、百万人署名、全国行進、10万人決起の実現を訴えた。また、兵庫狭山署名実行委員会の2人が狭山署名を集めて支部建設に結びつけると決意表明した。
 次に、統一地方選必勝への決意を東大阪市議選に立候補予定の荒本支部書記長・阪口克己さんが明らかにした。市議を5期20年務めた瀬川博委員長を引き継ぎ、荒本の村の統一と全国連5万人組織建設をかけて闘うと高らかに宣言した。
 さらに、奈良、大阪、兵庫、広島、山口、福岡など全国の同住連の代表が並ぶ中、東口博世話人が橿原の裁判で値上げの理由を説明できない行政を押しまくっていると報告、権利としての低家賃を維持するために全国連と同住連とが団結して闘うと決意表明した。
 清掃事業など公務員現業の労働者が部落差別事件や差別的な合理化・賃下げ攻撃を許さず闘うことを表明した。階級的共同闘争が前進している。
 学促(学力促進学級)講師団の決意を京大解放研を始めとする全国の学生たちが述べた。部落解放運動への学生の決起が新たな水路からかちとられつつある。
 まとめとして金平通雄共闘部長がイラク侵略戦争開戦絶対阻止の行動方針を訴え、全員で団結ガンバローを三唱し締めくくった。
 第2日の議事は東大阪市の荒本解放会館で行われた。午前、狭山―差別糾弾闘争、生活要求闘争、共同闘争、組織建設の4分科会で具体的な取り組みの報告、意見、決意表明など活発な討論が交わされた。
 午後、全体議事を再開し、中田書記長が分科会の意見、討論に本部として答弁した。神戸市による「特殊地区」などという差別記載への大糾弾闘争を組織すること、打ち切られた事業を自ら復活し、自主管理・運営する力をつけること、ノートとペン、懇談会、座談会の活動を一層強めることなどを提起した。
 全議案を一括採択した後、新役員あいさつとして村上副委員長が「全国水平社の敗北をのりこえ、全国連は闘いぬく」と述べた。北浦裕樹久中央青対部長の音頭で団結ガンバローを三唱して大会を終えた。
 全国連第12回大会は、戦争と差別、大失業、法のない時代に、全国連が解同本部派に代わる新しい部落解放運動の主流派として躍り出るために3大闘争をもって5万人組織建設を実現する展望を明らかにし、決意と団結を一層打ち固めた大会となった。闘う労働者・学生は躍進する全国連に学び、連帯し、狭山―部落解放闘争をともに闘おう。

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週刊『前進』(2094号4面2)

 福岡 米領事館へデモ

 初参加者が続々と

 福岡市で3月9日、「許すな!イラク侵略/ぶっつぶせ!有事立法!/全世界の人々とともに立ち上がろう/3・9福岡行動」が150人の参加で闘われた。集会は天神の警固公園で開かれ、アメリカ領事館までデモ(写真)をし、領事館へ抗議の申し入れを行った。
 主催者の有事立法粉砕実行委員会・福岡は、3月初めから宣伝カーで街頭に繰り出し、キャラバンで県内をくまなく回った。「いつ、どこでデモをやるのか?」という声が頻繁にかけられるなど各地で大反響が起きている。行動方針が求められているのだ。
 集会には、宣伝カーやビラで集会を知り参加したという人が多い。今回が初めての反戦デモという人も多い。大流動が始まっている。外国人も多数参加している。飛び入りのカナダ人男性が発言した。地区労で闘っている労働者の発言もあった。自分で平和グループを立ち上げたという人も飛び入りで発言した。九大自治会の学生は「巨万の決起で小泉、ブッシュを倒せば戦争は阻止できる」と提起。「そうだ」と賛同の声が起こった。
 デモ行進は自前のプラカードが多い。デモのかけ声も分かりやすい。天神の街角では若い女性のグループから「よかねー」と共感の声。自転車の2人がデモに合流した。米領事館前では一人で戦争反対を呼びかけていた女性が発言した。
 実行委員会は15、16日と連続デモの方針をうち出した。イラク侵略戦争への突入は必至だ。イラク侵略戦争が始まれば情勢はさらに一変する。始まった反戦闘争の大きなうねりで小泉・ブッシュを倒そう! これが戦争を阻止する道だ。

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週刊『前進』(2094号4面3)

 反対同盟の3・30アピール(下)

 “暫定滑走路閉鎖せよ”

 「貨物地区」許さぬ 事務局次長 萩原進さん

 事故は必ず起きると警告してきた。暫定滑走路は2180bの欠陥空港だ。そこから当然起きた問題だ。ジェット機を飛ばすこと自体が問題だ。しかし国土交通省や空港公団は死者が出ない限り問題にしない。われわれ農民を追い出すためだけにジェット機を飛ばしている。農民殺しの暫定滑走路だ。われわれは断固閉鎖を要求する。この声を全国に広げていきたい。
 2年後の民営化が迫り、完全空港化がデッドロックにぶつかっている空港公団はなりふり構わぬ攻撃に出てきている。反対農民の家屋や畑、一坪共有地によって、誘導路は「へ」の字に曲がり、滑走路は2180bしかない。民有地の立ち木が障害になっている。そのために公団は土地収用法で奪えなかった一坪共有地を民法で提訴してきた。
 開港による追い出し攻撃が大破産する中で出てきたのが、東峰「貨物地区」構想だ。追いつめられた公団による空論だが、東峰部落の集団移転の攻撃だ。絶対に許さない。東峰部落の当然の拒否表明に対して、黒野総裁本人が説明したいなどと回答書を持ってきた。
 世界中でイラク反戦デモが行われている。しかし米国は戦争をやらないと国がもたない。だから凶暴化し戦争に突進している。帝国主義の争闘戦の中で分裂・対立も起きている。
 3・30集会はイラク侵略戦争反対の集会だ。世界中の反戦運動の中に三里塚を位置づけたい。世界の反戦運動とのつながりをつくりたい。沖縄や北富士など基地を持つ地域の闘いと三里塚をさらに結びつける。
 イラクの次は北朝鮮が問題になる。成田空港は米軍の出撃拠点だ。韓国では女子中学生が米軍に殺され、米兵は無罪となった。「駐韓米軍出ていけ」と巨大な闘いが起きている。三里塚もそういう闘いをやる。

 反戦闘争の先頭に 本部役員 鈴木幸司さん

 暫定滑走路の事故は許せない。反対同盟が危険性をあれほど指摘したのに2度も起きた。あんなに危険な滑走路を無理やり開港した背景には、成田空港の軍事使用の問題があるはずだ。どうしても2本目の滑走路が必要だということだ。
 空港公団は、東峰貨物基地計画などを唐突に持ち出して、東峰部落の切り崩しに必死になっている。04年の民営化を前に、2500b化に向けて着工しておきたいということだろう。
 民営化したら、芝山鉄道もひどいことになる。現在でも採算ラインの3分の1しか乗ってない。公団の補助があるからなんとか維持しているが、民営化したら、そんな補助金も出るわけがない。すると赤字はすべて芝山町民がかぶることになる。芝山町はただでさえ貧乏自治体。この赤字をどうやって埋めるのか。
 東峰は、東峰神社裁判という形でまとまっている。萩原事務局次長もがんばっている。公団は黒野総裁自ら東峰に押し掛けてきている。一坪共有地を強奪するための提訴まで起こした。
 油断せずに攻撃をはね返していけば、負けることはない。追いつめられているのは公団の方だ。
 小泉政権は米国のイラク攻撃を支持しているが、もってのほかだ。2度と戦争を許してはならない。戦争に駆り出され、殺されるのは労働者であり、学生、若い人たちだ。戦争の悲惨さを訴える義務がわれわれの世代にはある。三里塚こそ戦争反対の闘いの先頭に立つ。
 故戸村委員長の「心をひとつに闘えば必ず勝利する」の本当の意味がようやく分かってきた。3・30集会では暫定滑走路の即時閉鎖を要求すると同時に「イラク戦争反対、有事立法廃案、成田の軍事空港化阻止」を掲げて集まります。大結集をお願いします。

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週刊『前進』(2094号4面4)

 イタリア 鉄道・港湾で軍需輸送阻む

 イラク反戦の実力決起

 イラク侵略戦争開戦が切迫する中で、イタリアでは米軍軍需物資輸送を阻止する闘いが爆発している。
 米軍から中東地域への軍需物資輸送の便宜を図ることを要請されたイタリア政府は、2月中旬に軍需物資の輸送を議会の承認なしに認めると発表した。これに対し、イタリアの労働者人民は、軍需物資運搬列車の運行を阻止する実力闘争をただちに開始した。
 米軍は2月21日、北イタリアのビッツェンツァ近くのエーダレ基地から、ピサ市近くのダービーの米軍基地へ武器、弾薬などを運搬する作戦を開始した。ダービーの米軍基地はアメリカ国外最大の兵站基地で、中東地域に米軍兵員と武器・弾薬を搬送する拠点だ。いったんダービー基地に搬入された武器・弾薬は、さらに列車で近くのリボルノ港に搬送され、船積みされてトルコやペルシャ湾に向けて海路で輸送される。
 北イタリアのベローナなどで開始された闘いは、数百人の反戦活動家や労組員が駅のホームを占拠したり、鉄路に鎖で体を縛りつけたり、線路上で火を燃やしたり、列車の前にバリケードを築くなどして列車の運行を阻止した。
 2月28日までに26列車が軍需物資を輸送する予定であったが、うち20列車の運行が阻止された。イタリア政府は、トラックによる輸送に切り替えようとしたが、これもトラックの車列がハイウエー上で阻止され失敗に終わった。リボルノ港に着いた一部の列車も、港湾労働者の船積み拒否の闘いと港湾封鎖によって、米軍は軍需物資を中東に送ることができなかった。イタリアからの米軍需物資輸送は完全にデッドロックにぶち当たったのである。
 この闘いは、鉄道労働者による運行拒否の闘いと、反戦活動家やイタリア最大の労働組合CGIL(イタリア労働総同盟)によるゲリラ的闘い、港湾労働者の闘いが創造的に結合されて実現された。鉄道労働者が、列車の運行状況や警察部隊の配置状況をデモ隊に知らせ、デモ隊は、その情報に基づいて神出鬼没の輸送阻止闘争を展開した。かろうじて積み出し港に着いた軍需物資も、港湾労働者が船積みを拒否した。労働者人民は3月8日に、10万人でダービー基地を包囲し、100人が基地に突入する闘いを展開した。
 このような闘いこそが、イラク人民の頭上に落とされる爆弾の搬送を阻止したのだ。イタリア労働者階級人民の闘いは、イラク人民と真に連帯する実力闘争として、今後の闘いの一つの模範を示している。
 (丹沢 望)

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週刊『前進』(2094号4面5)

日誌'03 3月5日〜11日

 米英、17日期限の修正決議案

 個人情報保護法案国会提出

●「世論に左右されて正しいか」 小泉首相は参院予算委で、イラク戦争反対の世論(毎日新聞調べで、84%が反対)について「世論の動向に左右されて正しいかというのは、歴史の事実をみればそうでない場合も多々ある」と述べた。(5日)
●石破「自衛権の行使として先制攻撃も」
参院予算委の質疑で、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)のミサイル問題について「先制攻撃できるのか」との質問に対し、石破防衛庁長官は「攻撃の恐れだけで武力行使はできない。攻撃の着手があった時には、自衛権の行使としての武力行使を憲法は妨げていない」と述べた。(5日)
●米が西太平洋の軍増強 北朝鮮情勢をにらんでラムズフェルド米国防長官が西太平洋の軍増強を命じた。グアム島に長距離爆撃機24機を派遣。(5日)
●仏独ロ、阻止へ共同宣言 フランス、ドイツ、ロシアの3カ国外相が会談し、イラク問題について「(国連安保理で)武力行使を容認する決議を通させない」と明記した共同宣言を発表した。(5日)
●使用済み核燃料、原発内長期保管を検討
電力業界は使用済み核燃料への新規課税を容認することを条件に、原子力発電所敷地内の貯蔵プールを20〜30年の長期保管場所として活用する方針を初めて表明した。(5日)
●個人情報保護法案を閣議決定 政府は、昨年の臨時国会で廃案となった個人情報保護法案と行政機関個人情報保護法案の「修正案」を閣議決定、国会に提出した。小泉は「ぜひとも成立させたい」と述べた。(7日)
●米英スペインは17日期限の修正案 国連安保理は外相級会合を開き、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長と国連原子力機関(IAEA)からイラクの大量破壊兵器の査察報告を受けた。ブリクスは「イラクが武装解除の義務を遵守しているか検証するには数カ月かかる」と述べ、間接的に査察継続を求めた。IAEAは、核開発疑惑について「開発を示す証拠は査察現場では一切なかった」と報告した。米英スペインは、3月17日を最終期限に定めた武装解除を求める修正決議案を提出した。(7日)
●「決議なし攻撃、多国籍で」 フライシャー米大統領報道官は、米英スペインが提出した修正決議案が採択にいたらない場合、国連の枠外で多国籍軍の連合を形成し、武力攻撃に踏み切る方針を明言した。(7日)
●イラク国境で米軍がフェンスに穴 国連イラク・クウェート監視団のバガー報道官は、両国国境地帯に設けられた非武装地帯(DMZ)のクウェート側のフェンスが7カ所、戦車や装甲車が通れるほどの大きさで切断されたことを明らかにした。クウェート政府から依頼された業者が米兵の立ち会いのもと、切断する作業を行っていたという。(8日)
●再処理施設稼働なら経済制裁も 日米両政府は、北朝鮮が使用済み核燃料の再処理施設稼働に踏み切った場合、北朝鮮の弾道ミサイルや核関連技術の輸出入を禁止する経済制裁措置を国連安保理に働きかける方針を固めた。(10日)
●原発の運転再開容認 東京電力による原子力発電所の損傷隠しをきっかけにした点検のため停止中の原子炉について、経済産業省原子力安全・保安院は、原子炉内のシュラウド(炉心隔壁)と再循環系配管の溶接部にひび割れがあった11基のうち10基の運転再開を容認する中間報告をまとめた。(10日)
●「ミサイル防衛、決める時期」 石破防衛庁長官は、日米が共同で技術開発を進めているミサイル防衛(MD)について「安全保障会議の議を経て決定する時期だろうと思う」と述べ、導入に向け本格的な議論を進めるべき、との考えを示した。(10日)

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週刊『前進』(2094号5面1)

 難民排除強める入管法改悪許すな

 日帝の参戦と有事法の一環 入管体制の戦時強化粉砕を

 五十嵐 茂生

 帝国主義間の対立抗争から第3次大戦過程が始まった

 米英帝のイラク開戦が今日明日にも差し迫っている。米英とスペインがイラクの完全武装解除を求めて国連安保理に修正案を提出した。だが、米帝ブッシュは「米国の安全保障にかかわることで国連の承認は必要ない。誰の許可もいらない」と、たとえ修正案が否決されても武力行使に踏み切る意思を表明した。文字どおりの最後通告である。
 一方、独仏とロシアは「武力行使容認の決議案を通させない」とし、米英への対抗を強めている。しかし、独仏はイラク攻撃そのものに反対しているのではない。「査察の継続」という、米英とは別の攻撃手段を主張しているのだ。
 米帝のイラク攻撃は、石油強奪のための帝国主義的侵略戦争であり、中東の新植民地主義支配体制と中東―世界の石油支配体制を暴力的に再編しようとするものだ。米帝は基軸帝国主義としての延命をかけ、それ以外にないものとして世界戦争計画を発動している。それは独仏帝はもとより英日帝をも存亡の危機にたたき込み、世界大恐慌の重圧の中で帝国主義間の激しい対立と抗争を生み出している。
 イラク開戦をめぐって帝国主義が米英ブロック(日、伊)と独仏ブロック(ロ、中)に分裂し、激しく衝突するという事態は、イラク侵略戦争の巨大な世界史的意味を突き出している。二度の世界大戦がそうであったように、今まさに帝国主義の分裂から第3次世界大戦への過程が始まろうとしているのだ。
 日帝は米英派に立ち、率先して開戦強行へと動いている。安倍官房副長官は米英の修正決議案について「これが本当の最後の機会だ」とし、国連決議なしで開戦となった場合でも「了解を願いたい」と述べた。米英など単独でのイラク開戦を支持し、これに参戦する立場を表明した。株価は20年ぶりの8000円割れとなり、底なしの危機を露呈している。日帝は、イラク参戦、有事立法―北朝鮮侵略戦争へと突き進む以外に延命の道がないことを突きつけられているのだ。
 かつて日帝が中国侵略戦争の中で31年9月柳条湖事件、33年3月国際連盟脱退からドイツ、イタリアとブロックを形成して第2次世界大戦へと突き進んでいった歴史を想起しよう。日帝のイラク参戦を絶対に阻止しなければならない。
 世界最強の帝国主義軍隊が大量の虐殺兵器をもって襲いかかり、イラク人民を徹底的に虐殺しようとしている。さらに、その後も米軍はイラクに居座り「イラクの民主化を足掛かりに中東全体の民主化をめざす」(ブッシュ)などと言っている。
 こんなことを絶対に許してはならない。イラク人民の民族自決権を否定し、軍事力をもって「イラクを民主化する」などという帝国主義に怒りを爆発させ、全世界の労働者階級と被抑圧民族人民の団結した力で、帝国主義打倒に総決起しなければならない。

 イラク攻撃と連動し北朝鮮への戦争重圧強める米日帝

 こうしたイラク開戦の切迫と連動し、米日帝は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)への侵略戦争攻撃を強め、情勢は一段と緊迫している。すでに米軍は空母カールビンソンの周辺海域への派遣、B52、B1爆撃機のグアム島への24機増派、最新鋭偵察機2機の沖縄への配備など戦闘態勢を強化している。この中で3月4日から韓国で米韓合同軍事演習「フォールイーグル」が開始され、19日からは「戦時増援演習」が行われる。米帝は、イラク開戦に全力を集中すると同時に、北朝鮮を抑え込むための軍事的圧迫を強めているのだ。
 日帝は、昨秋の日朝会談以来、拉致問題を口実に北朝鮮への排外主義を激化させ、万景峰号(北朝鮮と日本の間を運航)を使った「スパイ事件」などをあおる一方、朝鮮総連への破防法攻撃を強めている。また北朝鮮の弾道ミサイル発射や核兵器開発に対して、貿易・資本取引と送金の停止などの経済制裁、自衛隊を出動させての船舶臨検に踏み切ることを明らかにした。さらに、米帝さえもが検討している食糧援助を、日帝は核や拉致問題を口実に一切行わないと明言した。
 米帝ブッシュは、明確に「イラクの次は北朝鮮」として世界戦争計画を発動している。圧倒的な軍事力をもって北朝鮮スターリン主義・金正日(キムジョンイル)を打倒することが米帝の狙いである。世界戦争計画の根幹をなす対中国の侵略戦争に向かおうとしているのだ。
 これに対して日帝は、体制の死活をかけて米帝に食らいつき、共同=競合して北朝鮮・中国侵略戦争に突き進んでいる。日帝・小泉はその最大の攻撃として、今通常国会で有事立法を何がなんでも強行しようとしている。有事立法3法案は、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に、日帝が積極的に協力・参戦するための侵略戦争法案である。97年の日米新ガイドライン、99年の周辺事態法と連動して、日帝が主体的に侵略戦争を遂行するためのものである。有事立法を絶対に阻止しなければならない。
 こうした中で北朝鮮は「米帝の強硬に対しては超強硬で対応する」として、2月24日と3月10日に地対艦ミサイル発射実験を行い、また3月3日には米軍偵察機に対し戦闘機4機を急接近させた。また、1月のNPT(核拡散防止条約)体制からの脱退宣言に続いて、黒鉛減速炉の再稼働に踏み切っている。こうした北朝鮮スターリン主義による反人民的な瀬戸際政策は、帝国主義の侵略戦争に格好の口実を与え、戦争情勢を促進する以外の何ものでもない。
 拉致事件の反人民性も含めて、北朝鮮スターリン主義は南北分断の一方の当事者として、朝鮮人民の民族統一を求める闘いに一貫して敵対してきた。
 今、南朝鮮・韓国では、民主労総を先頭に反米反基地闘争、イラク反戦闘争を闘うとともに、97年経済危機以来のすさまじい資本攻勢のあらしに対し、くり返しゼネストをたたきつけて闘いぬいている。それは階級的解放と民族的解放の一体的推進をかけた闘いとして、日本労働者階級に熱烈な連帯を求めるものであり、米日帝の朝鮮侵略戦争と真っ向から対決するものである。
 今こそ日本労働者階級人民は、朝鮮人民の南北分断打破・革命的統一の闘いに連帯し、対北朝鮮侵略戦争を阻止するために総決起しなければならない。

 今こそ日朝人民の共同闘争を

 かつて、戦後革命期―50年朝鮮戦争の過程において、日本労働者階級と在日朝鮮人民の共同闘争が激しく展開された。在日朝鮮人労働者は47年2・1ゼネストを、「日本人民の課業とわれわれ在日同胞の任務は完全に一致する」として自らの闘いとして全力で闘った。さらに朝鮮戦争反対闘争では、吹田事件や大須事件など騒乱罪適用をはね返して日朝労働者人民の実力闘争が米日帝にたたきつけられた。
 われわれはイラク・北朝鮮反戦闘争、有事立法決戦のただ中で、連帯闘争、共同闘争を大爆発させていくことを誓うものである。在日朝鮮人民は戦後の入管体制による民族抑圧の諸攻撃と対峙して闘いぬいてきた。しかし、朝鮮総連を始め在日のスターリン主義指導部は、在外公民規定と内政不干渉路線をもって在日を日本階級闘争の主体として措定せず、日本労働者階級との連帯を否定してきた。
 スターリン主義の歪曲をのりこえ、闘う在日朝鮮人民と圧倒的に合流し、日朝労働者階級の共同闘争でイラク・北朝鮮侵略戦争を阻止し、有事立法を粉砕しよう。そして、革共同を日本人民と在日人民の国際主義的単一党として建設する闘いに猛然と決起しよう。
 帝国主義のイラク侵略戦争に対し、多くの在日朝鮮人民が決起を開始している。何よりも拉致問題を口実とした排外主義攻撃、有事立法−北朝鮮侵略戦争攻撃に、日帝が戦争責任を居直り、米帝とともに祖国の同胞を虐殺する戦争に突き進んでいるとして根底的な怒りを爆発させている。
 今こそ反スターリン主義・革命的共産主義運動の真価をかけて、7・7路線を全面的に発動し、イラク・北朝鮮侵略戦争阻止、有事立法粉砕の決戦を大爆発させよう。

 北朝鮮侵略戦争を想定して難民受け入れ拒否を法文化

 小泉政権は3月4日、入管法改悪案の通常国会への提出を閣議決定した。@難民認定制度の見直しを柱とし、A「在留資格取消し制度」の新設、B「精神障害者」の上陸拒否事由の見直しを加えた内容となっている。この入管法改悪案は有事立法制定と一体の攻撃であり、97年以来の相次ぐ入管法改悪の上に、入管体制の有事体制化を推し進めるものである。
 「難民認定制度の見直し」は、日帝がこれまで以上に難民の受け入れを制限し、排除することに核心がある。改悪案では「難民として認定されるべき者等の法的地位の安定化を図る」とし、そのために仮滞在許可制度の創設を打ち出している。だが、最大の問題は難民認定基準について一切変更せず、難民拒否政策を貫こうとしていることだ。
 昨年、日帝が受け入れた難民はわずか14人、一昨年は26人である。82年の難民認定制度発足からの累計でも300人余りにすぎない。欧米諸国が年間2〜3万人の難民を受け入れていることに比しても、日帝の難民政策がいかに非人道的であるかは一目瞭然(りょうぜん)である。
 難民とは、帝国主義の侵略戦争や軍事独裁政権の圧政などによって、やむをえず祖国を離れ、他国での生活を求めざるをえない人びとである。日本へも毎年数千人がアジアや中東諸国から来る。しかし、こうした人びとの多くが「60日ルール」を始め排外主義的な入管体制―難民認定制度によって難民申請すらできない(しない)非合法状態を強制されるのだ。
 そして、日帝はこの人びとを「不法入国者」「不法滞在者」として犯罪者扱いし、入管収容所に収容して一切の権利と自由を奪い取り、そのほとんどすべてを退去強制処分にしてきた。
 今回出された仮滞在許可制度は、難民認定申請中の滞在の合法化を図り、申請期間中は退去強制にしないと言われている。しかし、仮滞在許可を受けるためには@仮上陸の許可を受けていない、A懲役又は禁固以上の刑を受けていない、B退去強制処分に該当していない、C逃亡の恐れがないなど、9つの条件をクリアしなければならない。また、仮滞在許可を受けて難民認定申請を行っても、住居や行動範囲・活動に制限が加えられ、呼び出しへの出頭義務を負うばかりか、なんと指紋押捺(おうなつ)を強制される。加えて、難民認定申請者を隔離・収容するための「シェルター」の新設が計画されている。
 さらに、難民認定にあたっても、@入国から6カ月以内に申請を行う、A迫害を受けた国から直接日本に入国している、B懲役又は禁固以上の刑を受けていないなどの条件が必要であると、新たに明記された。つまり、これらの条件を満たさなければ、ただちに「不法滞在」とされ退去強制されるのである。
 この仮滞在許可制度は難民を受け入れるためのものではない。逆に、難民受け入れ拒否のシステムを法文化したのであり、さまざまな条件をつけることで従来以上に難民排除を容易にするものである。このように難民問題が入管法改悪の軸にすえられたことは、日帝が有事立法―対北朝鮮侵略戦争に突き進んでいることに対応している。
 また、在留資格取消し制度とは、「虚偽や不正手段で上陸許可等を受けたことが判明した場合、在留資格を取り消して退去強制にする」ものであり、そのために入国審査官に新たに生活実態調査の権限を与えるものだ。これまで法的には基本的に踏み込めなかった在留期間中の生活実態調査に踏み込み、在留資格を剥奪(はくだつ)して退去強制にするものであり、在日・滞日外国人を対象にした治安弾圧の強化であり、退去強制攻撃の重大なエスカレーションである。
 今回の難民認定制度の見直しは、有事立法―対北朝鮮侵略戦争を想定したものなのだ。すでに日帝は94年朝鮮危機の段階で10万人規模の難民発生―日本流入を想定しており、そうした人びとを日本社会、とりわけ在日と合流させず、ことごとくたたき出すことを考えていた。そのために自衛隊の出動を準備していることが明らかになっている。
 昨年5月の瀋陽総領事館事件を契機に、これを具体化したものが今回の入管法改悪案である。いわゆる「脱北者」を難民の概念に含めていること、その人たちを排除するために第三国経由で日本に入国した者は難民認定しないという条件をつけている。ここに日帝の狙いは端的に示されている(難民のほとんどが第三国経由で日本に来るしかない)。また、日帝は9・11以降、テロ対策の軸に入管体制の強化をすえ、首相官邸主導で対策を講じてきた。今回の在留資格取消し制度も、「テロリストの潜伏を許さない」ために生み出されたのだ。

 戦時下入管闘争の新たな発展を

 2月初めに東京入管局が東京都港区の品川埠頭(ふとう)に移転し、退去強制などの入管行政を開始した。地下1階、地上12階のビルには800人収容の巨大な収容所が併設されている。入管法改悪、入管体制の有事体制化に対応した大攻撃である。
 さらに、アフガニスタン人、クルド人などを始め滞日・在日ムスリム人民への難民認定を拒否しての長期収容、退去強制の攻撃が今なお激しく襲いかかっている。在日・滞日中国人に対する「偽装結婚」摘発の攻撃や「中国残留孤児」として帰国した人びとへの入管弾圧が激化している。
 こうした事態は、まさにアフガニスタン侵略戦争、イラク侵略戦争への日帝の参戦や、北朝鮮・中国侵略戦争―有事立法と一体の攻撃であり、戦時下の入管攻撃なのだ。日帝は、上陸拒否と退去強制を徹底的に強化する一方、すべての在日・滞日人民を「テロリスト」と見なして治安弾圧を激化させている。
 イラク・北朝鮮反戦闘争と固く結合させて戦時下の入管闘争を闘わなければならない。入管体制は朝鮮・中国―アジアへの侵略・侵略戦争による他民族抑圧を前提としている。日帝は、侵略戦争国家へと突き進む中で、そうした入管体制の本質をむき出しにして戦時入管体制の攻撃を進めている。イラク・北朝鮮反戦闘争の爆発は入管闘争の発展そのものであり、国際的な労働者階級と被抑圧民族の連帯・共同闘争として反戦闘争―入管闘争がある。
 欧米の反戦闘争は、「戦争反対、人種差別反対、首切り反対」を一体的スローガンとして掲げ、労働者階級と被抑圧民族の団結した闘いとして爆発している。労働者階級の階級的自己解放闘争に学び、7・7路線の真価をかけて、反戦闘争、有事立法闘争と一体のものとして入管闘争の新たな発展をかちとろう。イラク開戦情勢の中で4〜5月入管闘争の大前進を実現しよう。

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週刊『前進』(2094号5面2)

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第4部 日帝の中国侵略戦争(9)

 7・7盧溝橋事件

 全面的な中国侵略戦争に突入

 日帝の中国侵略戦争は、31年9月18日、関東軍による奉天(瀋陽)東北方の柳条湖付近での南満州鉄道爆破をもって始まり、37年7月7日に起こった盧溝橋事件を契機に全面的な中国侵略戦争へと拡大した。
 この7・7事件を引き起こした「支那駐屯軍」の起源は1900年の義和団事件にさかのぼる。出兵した日本軍2万2千人は、辛丑条約(「北清事変最終議定書」)後に清国駐屯軍として編成され、「帝国公使館、領事館及び帝国臣民保護」のためと称して駐屯し続けていたのだ。
 柳条湖事件後に臨時派遣隊が増加され、さらに36年5月には3千人から5千人への増員が実施された。この増兵を、中国側が日帝の華北侵略の一環だと受け取るのは当然のことだった。増兵駐屯地をめぐって、土地買収を拒否する中国側との交渉が進まない中、そこに野営して連日の演習を行った。これを警戒した中国側は永定河の堤防に陣地構築の工事を始めた。
 北平(北京)から南西15`の地点にある永定河にかかった盧溝橋は全長267b、幅約8bの石橋で、北平の南西の要衝だった。盧溝橋を失えば北平を失い、華北全体が危うくなるとの認識があり、中国としては絶対に死守しなければならなかった。この一帯に日本軍が増派し演習を展開することは、それ自身が中国侵略の一大エスカレーションであった。

 「華北分断工作」

 33年9月、斎藤実内閣の外務大臣となった広田弘毅はいわゆる「華北分断工作」に乗り出し、日帝自らの利害をかけて中国への侵略戦争に突入していった。
 すでに国際連盟を脱退していた日本政府は34年12月にワシントン条約単独廃棄を通告。岡田啓介内閣は12月7日に「対支政策に関する件」(陸軍、海軍、外務3省の関係課長による)を決定し、華北を国民政府から分離させる方向が打ち出され、「日満支三国の提携共助」「商権の伸張」の2点が確認された。「我方としては北支地方に対し、南京政権の政令の及ばざるが如き情勢とならんことを希望する」というものだ。
 これを踏まえて35年1月には関東軍幕僚会議が大連で開かれ、板垣征四郎参謀副長以下が集まって華北分離工作推進が討議された。すでに34年から35年にかけて華北では日中間の紛争が頻発していたが、日帝はこれを利用して「華北分離工作」を進めていた。
 35年5月に支那駐屯軍司令部があった天津の日本租界で2人の親日系新聞社社長が殺されるという事件が発生すると、支那駐屯軍はこれを「蒋介石系統の策動」と断定し、他の事件と一括して事件処理に乗り出す。天津の河北省首席官舎を装甲車、軽機関銃などで威嚇するなど圧力を加えて、国民党の責任を追及した。その結果、6月には「梅津・何応欽(ハインチン)協定」「土肥原・泰徳純(チンダーチュン)協定」の二つの協定(中国側は「何梅協定」の存在を否定)によって、日帝は河北省とチャハル省から国民党の影響力を排除する。
 12月には「冀東(きとう)防共自治政府」(冀=河北省)を発足させた。「満州国」に次ぐかいらい政権である。北平では「打倒日本帝国主義!」「華北五省自治反対!」「打倒漢奸売国賊!」を叫んで学生が大デモに立ち上がった(12・9運動)。
 36年1月に「北支処理要綱(第1次)」が決定され、8月には広田弘毅内閣のもとで、四つの中国侵略政策が発表される。「国策の基準」「帝国外交方針」「第2次北支処理要綱」「庶政一新のための重要国策」(7大国策14項目)だ。
 「国策の基準」では、日帝の中国侵略戦争の基本方針として「満州国の健全なる発達と日満国防の安固を期し、北方蘇国(ソ連)の脅威を除去するとともに英米に備え、日満支三国の緊密なる提携を具現し、わが経済的発展を策するを以(もっ)て、大陸に対する政策の基調とす」と確認された。
 具体的に日帝は国民政府に「排日団体の解散」「一切の排日教科書の改訂」「排日言動の取締り」を要求した。しかし、国民政府は当然にも日本側の要求を拒否。中国民衆も激しい抗日の闘いに決起し、北京では学生がデモを行い、各地で反日ゲリラが爆発した。

 夜間演習中に

 こうして緊張が高まる中で盧溝橋事件が起こったのである。
 37年7月7日夜、支那駐屯軍所属の歩兵第1連隊第3大隊の第8中隊(清水節郎大尉)が、盧溝橋付近の永定河の東側の平地で夜間演習を行っていた。堤防を背にし、東方の村落に仮設敵を置いた夜間急襲のための接敵訓練だった。この時、永定河の堤防の上では第29軍の中国兵が防御陣地構築の工事中だった。
 午後10時半ごろ、清水中隊長は伝令を出し、演習中止と集合の命令を伝達させた。その伝令に向けて空砲が日本軍から発射され、これに中国軍側からも数発の実弾が発射された。さらに伝令が行方不明との報告に第3連隊が出動、道に迷っていた伝令が20分後に無事戻ってきたにもかかわらず、日本軍は翌朝、中国軍陣地を襲い、中国軍も応戦して両軍は戦闘状態に入った。戦闘は8日、9日に及んだが、11日には停戦協定が成立した。
 しかし、同日参謀本部は関東軍・朝鮮軍の一部に出動を命じ、近衛文麿内閣は閣議で「威力の顕示」の名のもとに日本から3個師団を華北へ出兵することを決定した。近衛は7・7以来の侵略戦争を「北支事変」と名付けた。こうして「一撃を加え華北の支配を確立せよ」とばかりに、30万人を超える日本軍が全面的な中国侵略戦争へと突き進んだのである。
 中国軍への総攻撃によって北京、天津、さらにチャハル省、河南、山西、山東省を占領した。海軍第3艦隊は上海などに配備。上海では8月9日、海軍特別陸戦隊の2将兵が中国軍に殺害されたことを契機にして、陸軍を上海に派遣、南京などへも爆撃を加えた。
 戦線は華北から一気に華中にも拡大した。近衛内閣は8月15日に政府声明を発表、「帝国としては最早隠忍其(そ)の限界に達し、支那軍の暴戻を膺懲(ようちょう)し以て南京政府の反省を促す為、今や断乎(だんこ)たる措置を取るの巳(や)むなきに至れり」と強弁し、中国侵略戦争を全面的に拡大していった。
 (野田利一)

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週刊『前進』(2094号5面3)

 米帝の戦争犯罪告発

 『ラムゼー・クラークの湾岸戦争』を読んで

 『ラムゼー・クラークの湾岸戦争−いま戦争はこうして作られる』(地湧社刊、3800円+税)を読みました。読み進むうちに背筋が冷たくなりました。アメリカ帝国主義はここまでやるのかと。
 著者のラムゼー・クラークは米帝の元司法長官で、現ANSWERの創設者の一人です。米帝政府内部の人間であったラムゼー・クラークは怒りを込めてアメリカ帝国主義の第2次大戦以降の中東湾岸政策と1991年の対イラク戦争を検証・暴露しています。
 91年のイラク侵略戦争を「イラクのクウェート侵攻に対する正義の報復」であると米帝は宣伝しました。しかし「イラクのクウェート侵攻」そのものが米帝が必死になって画策した結果であることを膨大な資料に基づいて暴露しています。
 米帝が中東湾岸地域で軍事行動を計画し始めたのは、産油国の独立的性格が強まってきた70年代までさかのぼる。すでにイラクのクウェート侵攻を想定した対イラク軍事演習を行っていた米帝は、イラン・イラク戦争で疲弊していたイラクがクウェートに侵攻せざるを得なくなるように、クウェートをたきつけた。米帝は、他方でサダム・フセインを悪魔に仕立て上げ、「大量破壊兵器」や「化学兵器」をやり玉にあげた。とにかく米帝は何がなんでもイラクを攻撃したかったのだということが、検証されています。
 では米帝の対イラク戦争の本当の狙いは何なのか。それはイラクの石油支配であり、石油支配をとおして全世界を支配すること、特に欧州帝国主義や日帝を支配することであると、著者は論じています。
 その他、@米帝は空爆や地上戦で25万人以上のイラク人を殺した。うちイラク軍人は10万人以上、民間人は15万人以上にのぼる、Aクウェート油田の破壊炎上は、米帝の意識的空爆以外にはあり得ない、B停戦後の経済制裁は戦争の継続そのものであり、制裁によってイラク人民の死亡率を高めイラク国家の破壊を目的としている、Cアメリカ政府の発表に迎合する米メディアの腐敗、D国連の腐敗などが検証されています。
 現在進行している米帝のイラク侵略戦争は、第2次大戦後の米帝の中東湾岸政策の延長であり、91年の対イラク戦争の継続であることがわかります。
 457nというかなり長大な文書ですが、一気に読みました。ちょうど労組の中で共産党員のAさんと米帝の対イラク戦争についてのイデオロギー闘争をしていたところだったので、組合員に読んでもらえるようにコンパクトにまとめた抜粋を作りました。
 「すごい内容ですね」「ぜひこの本を貸してくれ」という声が読んでくれた組合員から一様に返ってきました。Aさんには、91年の米帝のイラク爆撃について「これは帝国主義のイラク侵略戦争ではない」と明言した当時の日共の3・5声明を批判した上で、この抜粋を渡しました。Aさんから「すごい本ですね」「良い内容です」という感想が返ってきました。
 いま米大統領ブッシュは「テロ対策だ」「大量破壊兵器だ」と言って全世界の労働者階級をペテンにかけていますが、その裏に隠されている本当の狙いを知ることはなかなか大変です。しかし本書のような米帝内部からの暴露も好機として真実をつかむことができれば、日本の反戦闘争も必ず爆発すると思います。
 (投稿 長井透=イラストも)

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週刊『前進』(2094号6面1)

 「共謀罪」閣議決定を弾劾する

 組合から同好会まで対象に実行行為なくても懲役5年

 国際的(越境)組織犯罪条約の今国会批准に向けて、共謀罪新設立法と強制執行妨害罪の拡大が、個人情報保護法案に続いて3月11日閣議決定され国会に提出された。その中でも共謀罪は、国際反戦闘争・反資本反政府闘争を闘う人民に振り下ろされようとしている許し難い弾圧法である。治安維持法・破防法以上の悪法であり、戦時治安立法の要(かなめ)として、予防反革命そのものである。イラク反戦闘争を闘う全世界の人民と連帯し、共謀罪の成立を粉砕し、その根拠の条約となっている国際的(越境)組織犯罪条約の批准を断固阻止しなければならない。3・23行動に立ち上がろう。(要項別掲)

 国際的組織犯罪条約の批准と一体

 条約と共謀罪の関係を整理しておきたい。共謀罪は国際的(越境)組織犯罪条約の第5条に規定されているもので、提出が予定されている他の3罪関係の法案とともに条約批准の必要条件として国内法化が急がれている。つまり、共謀罪(と他の3罪)の新設があって初めて国際的(越境)組織犯罪条約は批准できるものと解釈されている。
 この条約は、40カ国の批准をえて発効するが、発効によって批准した国家間に条約として強制力を持たせる。ただし、共謀罪などが国内で立法化されれば、その段階で国内法として人民に襲いかかるとされる。
 国際的(越境)組織犯罪条約は国連の委員会で99年1月から起草作業が行われ、00年12月に国連総会で採択され日本政府も同時期に署名した。03年2月現在の批准国は30カ国で、まだ国際条約としては発効していない。
 条約は全41条からなり、義務規定と任意規定があり、義務規定を国内法として制定しない限りその国は批准ができない。日本の国内法で充たされていない義務規定は、「共謀罪」「証人等買収罪」「マネーロンダリング(資金洗浄)犯罪対象の拡大」「贈賄罪の国外犯処罰」があり、この4点について、法相は昨年9月に法制審議会に諮問し、今年2月5日法制審はほぼ原案通り法務大臣に答申し、4月から審議が始まる予定である。共謀罪は今回の立法の核心である。

 憲法を破壊し冤罪が激増

 共謀罪も含むこの条約は、日本の憲法体系を破壊するもので、大きくは四つの課題の実現をめざしている。いずれも、日本では立法に一部事実が先行してはいるが、現在の刑法体系にはなく容易には理解できないが、しっかりつかんでいきたい。
 問題点の第一は、「組織的な犯罪集団への参加の犯罪化」(5条)である。近代刑法原則では犯罪とされる実行行為がなければ犯罪は成立しない。ところが、犯罪について打ち合わせをしたと警察がみなしただけで《共謀罪》、あるいは警察が犯罪集団とみなしている組織の活動に参加するだけで《参加罪》でしょっぴける。
 第二は、「特別な捜査手法の導入」(20条)である。《おとり捜査》《泳がせ捜査》《電子的監視》という手法を捜査機関に与える。警察が犯罪者になりすまし(おとり捜査)、あるいは犯罪者を泳がせ(泳がせ捜査)、組織を丸ごと一網打尽にしようとする捜査手法は、捜査の名目で犯罪を警察が作り出し犯罪を蔓延(まんえん)させる。これが次に見る刑事免責・司法取引とセットになった時デッチあげでも何でもありの恐るべき社会が作られる。
 米を中心とした宇宙的規模での電波を捕捉し解析し情報を提供するエシュロンシステムや、電話・インターネット・建物などの盗聴の拡大(電子的監視)は警察の管理・監視を民衆に強制する武器を拡大する。
 第三は、「法執行当局との協力を促進するための処置」(26条)として《刑事免責》《司法取引》の導入がある。《刑事免責》は集団的犯罪があったとき、仲間を裏切って自白した者の罪は免除し、それ以外の者は否認していようが有罪にして重く罰する。現在の裁判では情状で罪を軽くすることが行われているが、これを捜査段階で導入し仲間を裏切れば罪を免れるようにする。この制度が導入されたら、自分の罪を免れるために仲間を売ったり、警察が無実の者を落とし込めるために偽証させることで冤罪が激増する。さらにスパイを潜入・扇動させて、組織を一網打尽とする。
 第四は、「資金洗浄と戦うための措置」(7条)の延長に予定されている、弁護士・会計士・税理士の「不審な金」の報告義務化である。現在の組対法では「不審な金」の報告義務を金融機関に限っている。この報告義務を金融機関だけに限定しないで弁護士・会計士・税理士に拡大し、それを怠ったら逮捕・処罰できる。こうした脅しで、弁護士などを警察の手先にしようというものだ。実際、これが先行しているイギリスでは最高10年の刑が弁護士に用意されている。

 相談だけで懲役刑適用団体は無制限

 共謀罪は、この国際的(越境)組織犯罪条約の核心的攻撃の環である。共謀罪の新設を突破口として上記第二から第四の攻撃が次に控えていて、襲いかかるのは時間の問題である。条約では《参加罪》《共謀罪》と言っているが、ここでは日本独特の《共謀罪》を作ろうとしている。英米などにすでにある《共謀罪》が要件としている「明白な行為」を必要としていないのである。要するに、単に相談しただけで懲役5年以下の罪にするというとんでもないものである。
 第一に、共謀罪は実行行為を前提としている現行刑法60条の「共同正犯」とはまったく別のものだということだ。「共同正犯」は犯罪事実の成立が必要だ。2人以上のやった行為を犯罪化しており、判例で不当に拡大解釈の一途をたどっている「共謀共同正犯」も、実行行為があって初めて成立する。だが、共謀罪は実行行為がいらない。条文でいう「相談」だけで成立するのである。一般に、相談ごと(謀議)と行為の間には、逮捕―刑務所という壁があり、実行を断念する場合が多い。この壁を前提としない共謀罪は実に予防・先行的な弾圧法であって、思想・信条・表現の自由を侵害するものだ。
 第二は、「組織」の定義を実にあいまいに使うことによって、あらゆる組織を弾圧の対象とする結社禁止法であり、団結権の侵害そのものである。国際条約批准のためと言っているが、共謀罪は必ずしも「国際組織」であることを必要としていない。国際性にこだわることで組織と運動の国際連帯を破壊し、「国際」を必ずしも要件としないことによって一国の枠内での組織でも弾圧の対象とする。さらに「組織犯罪集団」に限定していないことによって、あらゆる団体にまで共謀罪の対象が拡大する。要するに共謀罪の対象は、「長期4年以上」の刑を対象としてそれを話しただけで罪にするというものだ。
 法制審で法務省が出してきた膨大な一覧表によれば、「長期4年以上」の刑は刑法・特別刑法合わせて500以上ある。

 治安維持法・破防法以上の結社禁止法

 たとえば、争議で、組合の執行部が経営側との団交を要求し「今日は解決するまで徹底してやろう」と執行委員会の戦術会議で話しただけで「逮捕・監禁(懲役3月から5年)」で共謀罪の対象となる。強要の場合は刑法では「懲役3年以下」だから本来は共謀罪にかからないのだが、組織的な強要という口実で組対法にひっかかって「懲役5年以下」にかさ上げされて共謀罪になる。
 治安出動命令を受けた自衛隊員がストライキに入ったら「5年以下の懲役・禁錮」、だから反軍闘争も共謀罪の適用対象である。火炎ビンの使用は「5年以下」だからこれを話しただけで共謀罪である。いや、シュプレヒコールだけでも引っかかる可能性がある。例えば、有事立法反対の国会デモの途中で、「法案審議をストップさせよう」とシュプレヒコールを行ったとする。「組織的な威力業務妨害」(懲役5年以下)を相談したとの口実で、共謀罪の対象となる。
 1人で相談ということはないので、2人以上を、つまり集団を禁圧の対象としているのが共謀罪である。しかも、破防法は「暴力主義的破壊活動に関する」「公共の安全の確保」が目的になっている。また治安維持法は「国体を変革し私有財産制度を否認すること」を目的としているのに対して、共謀罪は「長期4年以上」の刑であれば無差別に集団に適用できる。団体であれば、革命党・労働組合は言うに及ばず、それこそ俳句同人までという、究極の結社禁止法である。これを、刑務所で受刑者への暴行・虐殺を繰り返している法務省がやろうというのを誰が許せるのか。

 監視社会の到来と警察国家化許すな

 もう一つ、破防法などと決定的に違うのは、集団を弾圧するために破防法のように「独立した行政機関」を必要としないことである。腐敗しきった警察が通常の捜査活動をとおして団体の抑圧を担うことになる。しかも思想・信条という人間と社会の最も深い核心においてそれを立証しようとするわけだから、通常の捜査手法・警察活動ではありえない。警察(活動)自身が行政警察・予防的活動に転換する。だから、司法取引・刑事免責と、おとり捜査・泳がせ捜査・合法盗聴の拡大などが次の課題としてすでに条約の中に準備されているのである。
 それは、刑事司法の国家的抑圧を抜本的に強化した「裁判員制度」(市民から選ばれた『裁判員』が、裁判官と一緒に審理と量刑の評決権を持つ、日本独自の制度)導入、弁護士自治の侵害という形をとった弁護権・防御権破壊の「司法改革」攻撃と不可分であり、警察国家化=警察力の強化、監視・管理社会の現出と一体である。
 すでに盗聴法だけでなく、現在700台以上設置されているNシステム(自動車ナンバー読みとり・追跡システム)を始め、全国に150万台と言われる監視カメラ、そして住民基本台帳ネットワークによる民衆の国家管理強化などの度はずれた監視・管理システムがすでに進行していて、入管法改悪・入管体制と一体となった強化が図られている。

 イラク反戦で共謀罪廃案へ

 イラク侵略戦争下の156国会は、超反動翼賛国会だ。米・英とイラク参戦を誓った小泉のもとで、有事4法(有事立法3法案と個人情報保護法案)を始め、人権擁護法案、心神喪失等医療観察法案(保安処分新法)、裁判迅速化法案(司法改革関連第2弾)、国立大学独立行政法人化法案など目白押しである。加えて対イラク参戦法としてのイラク特措法、朝鮮総連弾圧を主眼とする包括的反テロ活動法案なども用意され、サイバー犯罪条約(インターネット犯罪対処のための国際条約)の批准すら準備されている。
 戦争は弾圧だけでなく民衆の戦争動員を必要とする。だから戦争と治安、弾圧と排外主義は一体なのである。星野同志、福嶋同志を始めとする長期投獄や国労労働者への弾圧を実体としながら、拉致問題を利用し、朝鮮人生徒への襲撃などの排外主義をあおって小泉は戦争体制をつくり上げようとしている。超反動極悪の小泉政権を打倒しよう。人間の解放と労働者の自己解放をかけて一切の抑圧治安攻撃・治安立法化を阻止しよう。共謀罪を廃案にしよう。
 破防法・組対法に反対する共同行動が発行した「共謀罪パンフ」(1部100円)を多くの民衆に広めよう。学習会を組織しよう。国際的(越境)組織犯罪条約廃止の国際共同声明運動に大挙参加しよう。3月23日の行動に立ち上がろう。(立花茂)

 

 国際組織犯罪条約批准阻止 イラク戦争・有事立法反対
 共謀罪新設を許すな! 戦争と治安・管理反対する総決起集会
 3月23日(日)午後4時半〜午後7時
 日本キリスト教会館4F(東西線早稲田駅下車)
 主催 破防法に反対する共同行動
 ★主要ターミナル街頭宣伝・午後2時半〜3時半(池袋駅東口、中野駅北口、上野駅公園下、銀座マリオン前)

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週刊『前進』(2094号6面2)

 読者からの手紙

 日共打ち破り杉並選勝利を T・G(男性)

 3月に入り、米英(および日本)帝国主義によるイラク侵略戦争が切迫しています。まず、2月開戦を阻止したのは人民の力の勝利でした。
 闘いの炎を絶やさずに懸命に頑張っている人びとがいることは、私にとっても何よりの励みです。特に、若い青年労働者、学生諸君の奮闘には拍手を送りたい。皆さん、これからもともに頑張りましょう。
 革命的議会主義の真価をかけた闘いとして、杉並区議選において、けしば、新城、北島3氏の絶対当選を勝ちとってください。議会闘争における最大の政敵=日本共産党スターリン主義打倒の闘いとしても勝利していただきたいと思います。
 12年前の湾岸戦争を「アメリカ帝国主義による侵略戦争ではない」「国連の枠組みの中の戦争だから許せる」というのが日共の主張です。「国連の枠組み」なら、大量の劣化ウラン弾という核兵器をイラク国内に撃ち込み、今もなお、その後遺症のために、何の罪もない子供たちがガンや白血病で死んでいるということも許せるというのでしょうか。
 「反戦」の闘いにおいて、日共との相違を鮮明に打ちだして、選挙戦を勝ちぬいて欲しいと思います。

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週刊『前進』(2094号6面3)

 願い

 竹内元(投稿)

バグダッドに降りそそぐ爆弾は
僕の心臓を直撃する
くだけちる子どもの体が
僕の四肢に突き刺さる
シェルターを貫くバンカーバスターズが
僕の脳髄を粉砕する
シェルターに入れぬ貧しい人々が
さしのべる手は僕を向いている
この戦争を止めよう
はじまる前に止めよう
殺りく者ブッシュを止めよう

爆弾の下に暮らす貧しい民
兵隊になるしかなかった貧しいアメリカ人
死ぬのは貧困の民ばかり
貧しいものが殺しあう
殺さぬように死なないように
僕たちの願いは一つ
世界の民が願っている
この戦争を止めよう
はじまる前に止めよう
殺りく者ブッシュを止めよう

肥え太るのはアメリカの大富豪
石油の利権を持つ者たち
彼らの利得のために
貧しい者たちが殺しあう
石油のために殺すな
覇権のために殺すな
僕たちの願いは一つ
世界の民が願っている
この戦争を止めよう
はじまる前に止めよう
殺りく者ブッシュを止めよう

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週刊『前進』(2094号6面4)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
3月19日(水)午後1時15分
☆6・12私文書弾圧裁判
3月27日(木)午後1時15分
 ※いずれも東京地裁

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