ZENSHIN 2003/09/01(No2115 p06)

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第2115号の目次
 
1面の画像
(1面)
米英軍は直ちに撤退せよ イラク人民のゲリラ戦に連帯し派兵阻止へ
労働者の国際連帯の前進で民営化・資本攻勢と闘おう
動労千葉とともに労働運動再生へ 連合の屈服路線と対決し産別大会決戦に総決起を
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大停電はなぜ起きたか 根源は「電力自由化」 責任めぐり米加が争闘戦 記事を読む  
(2面)
小泉・奥田の先兵=全逓中央を倒そう 07年「郵政民営化」攻撃阻止へ
11月総決起の先頭に立ち全逓解体狙う臨大粉砕を 革共同全逓委員会
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資本攻勢&労働日誌 2003 7月31日〜8月12日
通常国会で労組法改悪を狙う 人事院再びマイナス勧告/現代自動車8.6%賃上げ
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(3面)
8・10仙台集会 中野さん(全金本山)奪還へ デッチあげに広範な怒り 記事を読む  
8・3革共同集会の発言から
帝国主義打倒の主張に共感 女子学生のカンパアピール
若い女性の獲得に手ごたえ 女性労働者の決意表明
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全学連大会への招請状
イラク侵略派兵絶対阻止へ史上最大の反戦闘争爆発を 全学連中央執行委員会(大山尚行委員長)
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自治労新綱領反対へ組合内で討論を展開 首都圏・自治体労働者 石井剛 記事を読む  
自治労運動の階級的再生へ ■横浜大会に向けて訴える■(7)
現業と部落解放闘争 差別・分断攻撃を許すな
現業切り捨ての自治労中央を打倒し階級的共同闘争を(自治体労働者 阪本浩志)
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(4面)
“さかぐち克己氏を市議会へ”
8・10市民の集い 生活要求実現へ団結 東大阪 荒本支部を先頭に370人
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8・9立川 「昭和天皇記念館」反対 出兵拒否訴えデモ(投稿 三多摩T・K) 記事を読む  
横須賀 08年母港化阻止を 労働者3000人が結集(8月11日) 記事を読む  
8・15労働者市民のつどい 新たな国際連帯が実現(投稿 山岸いずみ) 記事を読む  
“今すぐここから撤兵を” 米軍兵士が父親に手紙 記事を読む  
日誌'03 8月13日〜19日
バグダッド国連本部に自爆 防衛大学長「日本核武装も」
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(5面)
「労働者の団結」削除した日本共産党
新綱領は労働運動を圧殺し資本家に忠誠誓う大裏切り
スターリン主義の破産の帰結(高村晋)
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改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史
第5部 アジア・太平洋侵略戦争(1)
「大東亜共栄圏」の実態 広大な地域の人民を犠牲に(高田隆志)
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(6面)
弾圧と闘う 裁判所ゆるがす傍聴を 爆取裁判最終弁論
デッチあげへの怒りに燃え 3同志先頭に無罪戦取へ
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8・3革共同集会に寄せられた 星野同志、水嶋同志のアピール 記事を読む  
名護新基地阻止! 沖縄の未来かけて(4) SACOの狙い
作戦運用のための移設 基地強化で県民に犠牲を強いる(久場豊)
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機関紙活動 実践の中から
残留孤児2世戦争法に怒り(小場美鹿子)
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公判日程 記事を読む  

週刊『前進』(2115号1面1)

米英軍は直ちに撤退せよ イラク人民のゲリラ戦に連帯し派兵阻止へ
 労働者の国際連帯の前進で民営化・資本攻勢と闘おう
 動労千葉とともに労働運動再生へ 連合の屈服路線と対決し産別大会決戦に総決起を

 8月19日、バグダッドで国連の現地本部事務所が爆破された。イラクでは今、米帝を始めとする帝国主義の侵略戦争と軍事占領に対する、人民の激烈な怒りを背景にしたゲリラ戦闘が闘われている。イラク人民は、米英軍はもとより国連の「復興支援」と称するあらゆる侵略活動を断じて許していない。イラク情勢は、米英軍の占領統治の全面的な破産が突きつけられ、イラク・中東人民の命をかけた民族解放・革命戦争が不屈に発展する新たな段階に入った。「米英軍は直ちにイラクから撤退せよ! 自衛隊派兵を阻止せよ!」の国際的な反戦闘争を巻き起こそう。8月末の日教組大会、自治労大会から9月国労大会、10月連合大会の過程は、この反戦闘争とともに、世界的な一大資本攻勢、民営化と抑圧に反対する国際労働運動の一翼を担う日本労働運動の階級的再生をかけた闘いの時である。民主党・連合指導部や日本共産党中央などの屈服と裏切りを打ち破り、11月労働者集会の爆発的な成功に向かって総決起しよう。

 第1章 国連は米英帝の軍事占領政策の手先だ!

 8・19ゲリラ戦闘が国連を対象にしたことに、帝国主義者は震撼(しんかん)し、一斉に非難している。米英軍のイラク侵略戦争の「正当性」に疑問を投げかけていた人びとも°国連まで標的にするのはひどいのではないか″などと言っている。°国連は、中立的な立場から復興を援助しているのではないか″と。
 だが待ってほしい。国連は「中立的」機関などでは断じてない。確かにイラク侵略戦争は国連安全保障理事会の決議のないまま、米英帝が日帝などの支持のもとに強行した。だが国連安保理は8月14日、米英軍の指揮下にある暫定占領当局(CPA)が任命したイラク統治評議会を歓迎すると同時に、国連イラク支援団(UNAMI)の設立を承認する決議を採択した。決議は、UNAMIをCPAの補助機関と位置付け、米英軍の軍事占領に「お墨付き」を与えたのだ。
 そもそも現地では「USA(米国)ではなくUNA(ユナイテッド・ネーション・アメリカ)だ」と言われ、国連と米帝は同一視されているのである。
 まさにイラク人民にとって、国連は米英軍などと同じ侵略者なのだ。これまでも、91年の「湾岸戦争」は国連安保理決議により強行され、13年にわたる経済制裁も国連が強行したものだ。そもそも国連は一貫してイラク人民の敵として存在してきたのである。
 何よりも米英日帝国主義のイラク戦争は、まったく不正義の侵略戦争であり、帝国主義の強盗戦争、虐殺戦争であった。「大量破壊兵器」の脅威など完全なウソであり、デッチあげであることが明白となっている。しかもイラク侵略戦争は継続・激化・本格化し、軍事占領とイラク人民虐殺が繰り返されているのだ。
 国連は米英軍の占領を前提に「復興」「人道援助」と称する植民地強奪のためにイラクにのりこみ、米英占領軍の先兵となり、その「下働き」をしているのだ。アナン国連事務総長は今回のゲリラを「不当な暴力」と非難するとともに、「国連がイラク復興の仕事ができるような環境を、米英軍が確保してくれると期待していたが、そうならなかった」と暗に米英を批判している。だが、それはイラク人民の民族解放闘争をもっと徹底的に鎮圧せよということでしかない。
 今やイラク情勢は、かつてベトナム戦争でベトナム人民の不屈の闘いによって米軍が敗退を余儀なくされたような過程に完全に突入している。イスラエル・エルサレムでも19日にパレスチナ人民による激烈な自爆戦闘が闘われた。米帝ブッシュの「テロ根絶」を掲げた世界戦争戦略は、逆に中東・ムスリム人民の総反撃を先頭とした国際的内乱を拡大し、大統領選に向けた政治危機をも加速し、「革命的情勢への端緒的突入」というべき情勢を一層進展させているのである。
 今こそ不屈に革命的ゲリラ戦争、民族解放・革命戦争を戦うイラク人民と連帯し、「イラク侵略戦争の継続激化反対! 軍事占領・植民地政策反対! 米英軍は直ちに撤退せよ! 日帝・自衛隊のイラク大規模派兵阻止!」の闘いに総決起すべき時である。

 第2章 イラク派兵に突き進む小泉政権打倒を!

 日帝・小泉は、今回の事態に激しい衝撃を受けながらも、イラクへの自衛隊派兵の策動を推し進めている。小泉は「テロに屈してイラク人道支援にちゅうちょしてはならない」とうそぶいている。侵略戦争と軍事占領への日帝の参戦を許すな! 自衛隊イラク派兵阻止を今秋の最大の反戦政治闘争として闘おう。
 他方で、民主党などは「国連主導のイラク復興」を掲げてきたが、8・19ゲリラ戦は、そうした幻想を完全に吹き飛ばした。
 この問題は労働運動のテーマそのものだ。連合はイラク侵略戦争に対して国連決議がないことを問題にし、「国連を中心として平和秩序の再構築」(3・24声明)を主張してきたが、帝国主義の侵略戦争として断罪する立場ではない。
 このような「国連中心主義」は、民主党と合併した小沢が「国連軍への派兵」を主張してきたのと同様、帝国主義の侵略戦争を後押しするものでしかない。
 連合傘下の各産別も、例えば、自治労大会で採択が狙われている「自治労21世紀宣言」は、「国連を中心とした安全保障システム」を掲げている。これでは反戦闘争を闘うことなど絶対にできない。連合指導部の戦争翼賛路線を打ち破って、今秋の反戦闘争を労働者階級の総決起で闘おう。
 イラクへの自衛隊派兵には民間機が使用される可能性が高い。さらに有事法制による労働者の戦争動員が迫っている。これに対して動労千葉は「戦争協力拒否」宣言を発し、陸・海・空・港湾労組20団体は激しい危機感を燃やして闘いを呼びかけている。これに全力でこたえよう。
 さらに、北朝鮮情勢をめぐっては「6カ国協議」が迫っているが、北朝鮮の「万景峰(マンギョンボン)号」が25日に新潟港に入港する。日帝は徹底的な監視と弾圧を強めると同時に、米帝が9月に豪州沖で実施する臨検などの多国間演習に参加する。これは海上保安庁の領海内だけの臨検にとどまらず、公海上での海上自衛隊の船舶検査活動を想定した演習だ。北朝鮮への事実上の経済制裁であり、軍事行動そのものである。排外主義を打ち破り、北朝鮮侵略戦争阻止のテーマを軸に据えて闘おう。

 第3章 サンフランシスコ労働者評議会が決議文

 このような激動情勢の中で、そのすべての攻撃に、11月労働者集会の爆発的成功をもって対決して闘うことを訴える。
 侵略戦争を阻止し、資本攻勢を打ち破る道は、労働者・労働組合の団結を強く広くつくり出すことだ。戦争・植民地支配と世界的な民営化は一体の攻撃である。これに対する国際的な連帯闘争がきわめて重要となっている。
 動労千葉が7月に、アメリカの最も戦闘的な労働組合のひとつであるILWU(国際港湾倉庫労働組合)などからサンフランシスコのレーバーフェスタに招かれて訪米したことは、日本の労働運動にとって画期的事態である。
 動労千葉の代表がサンフランシスコ労働者評議会で、動労千葉の闘いと1047名闘争、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕への支援を訴えた。それにこたえ、サンフランシスコ労働者評議会は「解雇された日本の鉄道労働者への支援と逮捕された日本の鉄道労働者を守る決議」を採択した。
 決議文は、「日本国有鉄道の民営化の過程で、数千の労働者が解雇され」「動労千葉、国労、全動労の組合員1047名が採用されなかった」として、「日本政府によって解雇された鉄道労働者への抑圧と、原職復帰をかちとるため闘い続ける労働者への逮捕攻撃に抗議する」ことを明らかにしている。その上で、サンフランシスコ日本領事館との会談を要請し、小泉首相に書簡を送付すること、カリフォルニア労働者連合、AFL―CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)などに、この決議への賛同を要請することを決定したのである。
 動労千葉の闘いは、このようなすばらしい国際連帯の地平を開いたのだ。
 動労千葉の3・27〜30ストライキ、動労千葉と1047名の16年間の不屈の闘いは、それだけ世界的に普遍的な闘いだった。また、国労5・27臨大闘争弾圧と闘う国労組合員らの闘いは、イラク侵略戦争情勢下で吹き荒れる治安弾圧に抗する重要な闘いなのだ。
 動労千葉の闘いを本当に学びつくし、全国の労働者に広め、動労千葉とともに動労千葉のように闘う労働組合をつくり出そう。
 何よりもまず、同じく国鉄労働運動の一翼を担うべき国労の階級的再生のために闘うことである。9・13〜14国労大会の勝利に向かって、国労本部打倒、国労の階級的再生に向けた決戦態勢を強めよう。

 第4章 9月国労大会へ本部打倒の闘い強めよう

 国労中央、チャレンジ一派や日共・革同、東京地本酒田一派らは、国労の自己解体に突き進んでいる。国労大会は、国労の解体か再生かをかけた決戦である。
 国労中央は、闘争団員を除名処分にして闘争団全体を切り捨てるとともに、国労の単一体を解体し、国労をエリアごとにバラバラにしてJR連合に吸収される道を一直線に歩んでいる。チャレンジだけでなく、今や西日本の革同らを始めとして、一握りの幹部どもの生き残りのために国労を売り渡そうとしているのだ。
 昨年11月の定期大会で提案した「スト基金の取り崩し」を今大会で決定し、国労の財産をぶんどり合いながら「流れ解散」しようというのである。
 そのために、まず国労本部は書記の配転を強行した。これは「反対派」の書記をたたきつぶそうとするもので許しがたいことだ。
 また国労本部は、「国労組織の展望と運動の前進をめざすために」という討議資料を、7月15日の「中央執行委員会確認」として出した。「中央執行委員会の一致した資料ではなく」、チャレンジ一派の大西中執が筆者と言われるものだ。それは、「『あらゆる不当な差別をやめさせる闘い……そのものが、国労らしい闘いである』という一歩行き過ぎた認識が生まれている」などと、国家的不当労働行為との闘いを全面的に否定している。
 さらに「改革法承認」などの路線転換について、「JR各社を、別々のままに、『基幹的交通機関』として発展させていく――方向転換を意味していました」と、分割・民営化反対闘争の全面的な幕引き―収拾を唱えているのである。
 これは、全国一社の国鉄に戻すことを放棄したということだけを意味するのではない。国鉄分割・民営化による首切り・採用差別を容認し、JR資本による労働組合破壊の不当労働行為とも大合理化とも闘わず、「JR各社を発展させる」ということだ。
 全世界で民営化との闘いが課題となっている時に、民営化反対の旗を完全に降ろすというのだ。南朝鮮・韓国では鉄道労組の民営化反対ストが激しく闘われた。イギリスではブレア政権になって強行された国鉄の分割・民営化に対し、元の国鉄に戻せという闘いが起こっている。さらに国内でも郵政公社化―民営化を始めとして、自治体や公営企業の民営化攻撃がかけられている。この時に、国労が民営化反対の旗を降ろすことは、全世界の労働者に対する大裏切りなのだ。
 国労が今日まで国鉄労働組合として存在してきたのは、国労としては分割・民営化攻撃と一戦も交えなかったにもかかわらず、JRに採用差別され、清算事業団からも解雇された1047人(動労千葉と全動労も含む)を先頭に解雇撤回・JR復帰を求めて闘いぬいてきたからである。
 だが国労中央は、この1047名闘争を分割・民営化反対闘争として闘うのではなく、89年の「全面一括解決要求」路線以来、一貫して権力・資本との和解を追い求めてきたのだ。そのなれの果てが4党合意であった。しかし昨年12月にその4党合意が全面的に破産した。
 だが、いわゆる「反対派」はこれと対決できていない。むしろ、この国労自己解体の過程に引き込まれるような主体の危機が進行している。問題は、「反対派」が1047名の解雇撤回・JR復帰の闘いを、分割・民営化反対闘争として貫く路線を確立し得ていないことにある。4党合意が破産した今こそ、「政治解決=和解」路線を葬り去り、JRの第2の分割・民営化攻撃に対する闘いと結合してこそ、勝利の展望は切り開かれるのだ。
 チャレンジ・革同の現執行部に4党合意破産の責任をとらせ、彼らを打倒し、闘う路線のもとに新たな執行部を打ち立てよう。
 生きた見本は、動労千葉の闘いだ。動労千葉は、JR資本とJR総連カクマルの結託体制との対決を貫いている。そして、この3月のイラク侵略戦争開始直後に4日間に及ぶストライキを打ち抜いた。今こそ国労を動労千葉のように闘う労働組合として再生させるために、国労内外のあらゆる力を結集して闘おう。
 そして、国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕する闘いこそ、分割・民営化反対を貫く闘いである。東京地本の鈴木勉法対部長の証人採用がついに決定した。権力は、8人の被告の完黙・非転向の闘いと弁護団の鋭い裁判闘争に完全に追いつめられている。権力のスパイになり下がった鈴木の尋問によって、国家権力と東京地本の酒田らが結託した弾圧の不正義性が暴かれ、国労本部打倒―国労再生のテコとなってしまうことを恐れているのだ。鈴木の尋問は、早ければ大会後の9月17日の第12回公判で行われる予定だ。次回8月27日の公判に続き、大結集をかちとろう。
 東被告の勾留執行停止に続き、8人の被告全員の保釈奪還をかちとろう。「許さない会」を国労内外に大きく広げよう。

 第5章 奥田ビジョンへの全面屈服を深める連合

 このような国鉄労働運動をめぐる攻防は、労働運動全体に問われている。
 日帝資本は、国鉄分割・民営化と95年の日経連「新時代の『日本的経営』」報告以来の終身雇用制・年功賃金制解体、労働組合解体の攻撃を全面化させるとともに、日本経団連の経営労働委員会報告、奥田ビジョンで、「労働組合が内部から自壊する危機に瀕している」などとして、国家と企業に奉仕する労働組合への変質を迫っている。
 連合が中坊公平元日弁連会長らに委嘱した「連合評価委員会」は、6月26日の連合中央委員会に「このままでは労働運動が足元から崩壊してしまいかねない事態」とする中間報告を提出した。これは奥田ビジョンの方向と同じである。労働基準法への解雇ルール導入を始めとする労働法制改悪なども、これと一体の攻撃である。連合はこれに全面的に屈服・呼応して、自ら新たな「産業報国会」に転落しようとしている。
 自治労、日教組の8月下旬の大会は、この連合路線の徹底化を図ろうとする大会だ。産別大会決戦に総決起し、断固粉砕しよう。

 第6章 マイナス人勧の賃下げ攻撃を打ち破ろう

 8月8日に出された人事院勧告は、月給平均で1・07%マイナス、期末・勤勉手当のマイナスを含めて平均年収で16万3千円の最大の下げ幅となる攻撃である。4月にさかのぼって引き下げる。「民間準拠」の名のもとで公務員労働者の大幅賃下げを強行し、同時にまた、民間の一層の賃下げを促進させるのだ。自治体労働者や教育労働者は、官民分断を打ち破り、マイナス人勧を打ち破ろう。
 これら公務員労働者をめぐる攻防は、朝鮮戦争前夜の定員法による10万人首切りとレッドパージに比すべき大攻撃であることをしっかりと見据え、激しい危機感をもって対決しなければならない。
 これとの闘いも、動労千葉のように労働者の団結に依拠し、原則を貫いて闘うことが勝利の道なのだ。
 闘う労働運動の新潮流を発展させ、11月労働者集会の大結集へ奮闘することを訴えたい。

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週刊『前進』(2115号1面2)

大停電はなぜ起きたか 根源は「電力自由化」 責任めぐり米加が争闘戦

図 米北東部とカナダ南東部で8月14日午後4時ごろから一斉に発生した停電  米帝の脆弱性

 突然すべてが消えた。米北東部とカナダ南東部で8月14日午後4時ごろから一斉に発生した停電は、米史上空前の規模となり、5〜6千万人が一瞬のうちに暗黒と社会機能ストップの状態にたたき込まれた。
 大停電は帰宅ラッシュを直撃し、ニューヨークの地下鉄が止まり、主要空港で航空機の離着陸ができなくなった。エレベーターは停止し、携帯電話もパソコンもATM(現金自動出入機)も使用不能となった。世界最大の金融・証券市場ウォール街は最悪の情報過疎地域に転落した。デトロイトなど5大湖周辺の一大自動車生産地は、操業停止に追い込まれた。
 この大停電により、石油と電気とIT(情報技術)の上にのっかった超大国=基軸帝国主義アメリカとその「都市高文明」の危機と脆弱(ぜいじゃく)性が、瞬時にさらけ出された。世界戦争計画の凶暴な推進で延命を図る米帝のもろさが衝撃的に示された。労働者階級はこの事態とどう対決し、闘うべきか。

 送電網老朽化

 まず第一に、今回の大停電の原因は何かということだ。それをめぐって米帝とカナダが激しく責任をなすり合い、真の究明には「数カ月間かかる」と言われるほど事態は深刻である。しかし現時点ではっきりしていることは、米帝の中で歯止めもなく進行してきた電力の「自由化」と「規制緩和」の問題が根底にあるということである。
 米電力業界は自由化により発電、送電、配電(小売り)の3部門をそれぞれ独立の会社が担い、その総数は大小3千以上。しかも、一つの送電線を複数の発電会社が使用して、効率と利益が最優先のため、もうかる配電部門には膨大な資金が流れ込み、設備投資が行われるが、安定供給に不可欠な送電部門は直接に利益と結びつかないため投資が行われない。一昨年の米大手エネルギー会社・エンロンの破たん以降、「電力はもうからない」と資金調達は一層難しくなった。
 こうした中で、特に送電部門は施設の老朽化が進み「超大国なのに途上国並み」「21世紀の電力市場を前世紀の送電施設が支えている」という状態だった。そもそもアメリカでは60年代以来、慢性的な電力危機が発生しており、またいつ大停電が起きてもおかしくないと言われてきた。そして実際に今回の事態が発生したのだ。

 「9秒」で崩壊

 直接の原因としては、オハイオ州のエリー湖周辺の都市を環状に結ぶ送電網(エリー湖ループ)で突然起きた電力の逆流による電圧低下が発端となり、その後、負荷の急激な高まりから安全装置が次つぎと働き、ドミノ倒しのように周辺に拡大した可能性が強い。この過程で原子力発電所22カ所を含む100カ所以上の発電所が、一斉に送電を停止した。その間わずか9秒。北米大陸の3大送電網の一つ、米東海岸―5大湖周辺―カナダ南東部の送電システムは、まさに瞬時にダウンしたのだ。
 これは効率化、コスト削減、利益最優先のかけ声のもとに現代帝国主義が突き進む民営化、自由化・規制緩和の流れが何をもたらすかの見本である。労働者階級は、極限的な合理化とリストラ、労働強化(強搾取)、福祉と社会保障の解体を伴う民営化・自由化の攻撃と、全面対決して闘わなければならない。

 「テロ再来か」

 第二に、大停電が突き出したことは、01年9・11反米ゲリラ戦が米帝の国内支配、階級支配を規定し、まさに〈9・11>が米帝社会に内在化、構造化されているということだ。
 大停電発生の瞬間、ブッシュや米帝支配階級の脳裏をよぎったのは「9・11の再来か」ということだった。このことに根底から恐怖して、ニューヨーク州知事は直ちに「非常事態」を宣言、ニューヨーク市長は警察官・消防隊員4万人に動員を命じ、軍隊も出動した。この一方で、ブッシュや市長は、治安維持の観点から早々と「テロではない」ということの強調に躍起となった。
 9・11はパレスチナ・中東・アフガニスタン人民、全世界のムスリム人民の米帝に対する根底からの怒りの爆発であり、民族解放・革命戦争の特殊的・極限的形態であった。同時にそれは帝国主義国の労働者人民への厳しい糾弾のアピールでもあった。
 9・11によって米帝の没落と打倒の現実性、そのすさまじい民族的怒りを突きつけられた米帝ブッシュは、国内での極限的な治安弾圧と階級戦争を激化させると同時に、「テロ根絶」や「悪の枢軸」を叫んでアフガニスタン―イラクへの侵略戦争に突入し、世界戦争計画を凶暴に推進し始めたのである。
 米帝のイラク侵略戦争―世界戦争への突進は帝国主義間の争闘戦を深刻化し、2大陣営への分裂を促進した。この中でカナダ帝国主義は、イラク戦争をめぐって米帝との対立を深めた。

 原因論で対立

 そして今回の大停電でカナダはアメリカ側での「発電所落雷説」や「原発火災説」を次つぎと流し、それに米帝が激しく反発、責任を転嫁し合った。
 〈9・11>への米帝の恒常的な恐怖と、その中での米帝とカナダの帝国主義的争闘戦の激化。これが大停電が突き出した今ひとつの重大事実であった。
 日本の労働者人民は、プロレタリア世界革命に向けて、闘うアメリカの労働者階級や闘うムスリム人民・被抑圧民族人民と連帯し、資本攻勢と治安弾圧、民営化・自由化攻撃と闘い、イラク侵略戦争―世界戦争、そして日帝・自衛隊のイラク大規模派兵策動と闘いぬかなければならない。

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週刊『前進』(2115号2面1)

小泉・奥田の先兵=全逓中央を倒そう 07年「郵政民営化」攻撃阻止へ
 11月総決起の先頭に立ち全逓解体狙う臨大粉砕を
 革共同全逓委員会

 日帝・小泉政権は、9月総裁選=衆議院選の公約の柱として「07年郵政民営化」を明らかにした。郵政職場で働くすべての労働者に対する首切り・賃下げと同時に、労働組合的団結を破壊し、戦闘的全逓労働運動を根絶し、戦前と同様の逓信報国団化を狙う攻撃の本格化である。郵政当局と連合全逓中央に対する怒りが広範に渦巻き、全逓中央の全面屈服と転向にもかかわらず、現場労働者の中には階級的団結と戦闘性が脈々と生き続けている。イラク侵略戦争と有事立法攻撃・イラク特措法攻撃、大失業と資本攻勢の先兵へと階級移行した全逓中央を今こそ打倒する時だ。「これで労働組合と言えるのか」という労働者の怒りを大きく解き放ち、現場から反撃をたたきつけよう。イラク派兵阻止の闘いと一体で、郵政民営化と全逓解体を狙う12・1〜2臨時全国大会闘争を闘おう。アメリカの闘う労働者との国際的連帯をかちとった動労千葉の呼びかけにこたえ、11月労働者集会に総決起しよう。「新たな指導方針」のもとに、全逓労働者こそが、小泉―奥田路線に対する日本の労働者階級人民の総反撃の先頭に立とう。

 全逓決戦こそ小泉・奥田と最先端で激突する主戦場だ

 今秋の闘いは大きな歴史的転換に位置している。
 9・11反米ゲリラ戦で歴史は変わり、03年前半には戦後史上最大の激動期が到来した。3・20イラク侵略戦争をもって帝国主義の侵略戦争が世界戦争へと向かう時代が始まった。日帝・小泉は、イラク特措法をもって自衛隊を公然とイラクに派兵し、米軍主導の多国籍軍の一翼を担おうとしている。「15年戦争」の開始に比すべき事態である。
 イラク侵略戦争は本質的には始まったばかりであり、米(英・日)帝国主義の軍事占領=再植民地化は、侵略戦争が第二段階へ移行したということである。軍事占領に反対する民族解放をかけたゲリラ戦争への掃討戦こそが、帝国主義の侵略戦争の本格的展開過程そのものである。米帝ブッシュの世界戦争計画はパレスチナ、イラン、さらに北朝鮮、中国への侵略戦争へと激化・拡大・加速することは不可避である。
 この世界戦争の実際の開始と一体のものとして、資本攻勢、政治反動、治安弾圧攻撃という階級戦争が世界的に進展している。日帝国家権力は、労働者人民の闘いの芽をつむために治安弾圧攻撃に全力を挙げ、国労5・27臨大闘争弾圧を皮切りに、階級的労働運動の最先端部分への弾圧を激化させている。革命党と階級的労働運動の解体を狙う破防法以上の治安法=共謀罪の新設を狙っている。

 03年経労委報告の貫徹狙う攻撃

 日本帝国主義の断末魔の危機の中で、日本経団連は03春闘を前に経営労働政策委員会報告(経労委報告)を打ち出した。それは小泉「構造改革」と一体のものであり、小泉―奥田路線と言うべき大攻撃である。これとの最先端の決戦場が全逓決戦であることをはっきりさせなければならない。
 4月公社化から07年民営化へ向けた攻撃すべてに、経労委報告の内容が貫かれている。「中期経営計画・目標」「アクションプラン」「人事制度改革」による賃下げと能力給の導入や労働組合的団結破壊の攻撃、NTT型リストラ―子会社への転籍・出向の強要、さらにトヨタ生産方式の導入など、すべて経労委報告の中身である。
 経労委報告は、全面的な賃下げと終身雇用制の解体を狙うものであり、03春闘での「春闘終焉(しゅうえん)」宣言は労働運動と労働組合を真っ向から否定し一掃する宣言であった。また労基法改悪による「解雇権」の導入で不安定雇用化を激烈に進行させ、アウトソーシング(外注化)の攻撃を本格的に進行させるものだ。さらに「奥田ビジョン」では「途上国並みの賃金」を要求している。
 日本経団連は「構造改革の遅れによる国際競争力の劣化は国の存続にかかわる深刻な事態」(経労委報告)と国益主義を前面に掲げ、労働者にすべての犠牲を受け入れろと要求し、実践的結論として「東アジア自由経済圏の形成」(奥田ビジョン)を打ち出した。まさに戦前の「大東亜共栄圏」構想そのものだ。日帝・小泉のイラク侵略戦争、朝鮮侵略戦争への参戦と資本攻勢は完全に一体のものであり、これが日帝総資本の意志なのだ。
 03春闘では、ベア・ゼロ攻撃の激化と同時に、定期昇給制度の見直し=廃止の攻撃へと踏み込んできた。こうしたすさまじい資本攻勢は、連合などの労働運動指導部の屈服と転向なしにはあり得ない。連合は、経労委報告を前提に「労働条件の弾力化」と称して、賃下げと労働法制改悪も受け入れた。さらに奥田らは結論として「社会の安定帯たる役割を担う労使は、企業の活力向上に一段の協力をすべき」と、連合に「現代の産業報国会になれ」と要求しているのだ。
 だが連合を先兵として使う労働者支配の大転換の攻撃は、実は日帝の労働者支配の破綻(はたん)点をなす。今や労働者とその家族の生存そのものが脅かされる時代が到来している。圧倒的怒りが充満する中で、たとえ今は少数でも闘う労働者の団結がある限り、連合指導部はますます労働者の憎悪の的になり、連合支配は必ず崩壊するのだ。
 今日の資本攻勢は確かに全面的であり、嵐のように吹き荒れているが、労働者人民の反乱は不可避である。敵の攻撃は、階級としての労働者階級を完全に生存の危機に追い込むものだ。したがって今日の資本攻勢の嵐は、労働者とその家族の生存をかけた闘いへの決起を必ずつくり出す。日帝の資本攻勢と労働者支配はいたるところで破綻し、労働者人民の階級的反乱が爆発する。賃労働と資本の階級矛盾がある限り、労働者の階級性を抹殺することなどできない。
 全逓労働運動は、常に日帝の攻撃との決戦場となってきた。

 国鉄・全逓が決戦の2大攻防軸に

 戦後労働運動の戦闘的背骨をなしていた春闘=賃闘、そして戦後労働運動総体をけん引してきた国鉄と全逓、この2大産別の労働運動を解体することが日帝の戦争と大失業攻撃の中軸にある。そして今日、小泉はその危機突破の一切をかけて「07年民営化」を宣言したのだ。したがってこの攻撃との闘いは、国鉄決戦と一体となった、21世紀の労働運動の存亡をかけた階級決戦である。小泉―奥田路線と全面的に対決し激突する戦場である。日帝の全体重をかけた攻撃が現場労働者に激しく襲いかかり、これに対して階級性と戦闘性を守り続けてきた全逓労働者の怒りが既成指導部を踏み越えて必ず噴出する。
 公社化=民営化攻撃との闘いの勝利は、階級決戦全体の革命的高揚の中でこそかちとることができる。78越年闘争は、70年安保・沖縄闘争を闘い、スト権ストを闘い、70年代をとおしてけっして消えることのなかった労働者の戦闘的・階級的炎が、当時の階級情勢と密接に結びついて治安問題として燃え上がり、日帝を震えあがらせた。そこに勝利の展望があったからこそ、カクマルの物ダメ闘争への敵対をもテコに、全逓中央は闘争の収束=終結のために総力を挙げた。また日帝は、階級的報復として解雇3人、58人の免職を始めとする79年4・28の大量処分に踏み切ったのだ。

 全世界の労働者の闘いと連帯し

 そして今、全逓の78越年マル生実力闘争時と同様の情勢が到来している。
 全世界の労働者は、イラク反戦や民営化反対、年金改悪反対などを掲げ、空前の闘いを開始した。今年1〜3月には全世界で2千万人を超す労働者人民の国際的反戦運動が空前の規模で爆発した。これは01年9・11を画期とする闘うイスラム諸国人民との連帯を貫く国際階級闘争の新たな高揚であり、労働運動・労働組合運動が中心となった国際的な階級的決起である。
 日本においても、全世界の労働者人民と連帯して、陸・海・空・港湾労組20団体を始めとする労働組合を中心とした広範な決起が、有事法制下で新たに前進しつつある。動労千葉・動労総連合の3月ストへの決起が世界史的意義を持つものとして闘い抜かれた。この中で、アメリカ・韓国を始めとする世界の闘う労働者との連帯と交流が始まり、固い階級的きずなを強めているのだ。
 戦争に反対する闘いと大失業・資本攻勢に対する闘いが一体となり、労働者人民の闘いは戦後史を一変させる規模で始まっている。こうした闘いと連帯し、一体となって全逓決戦に総決起する時が今である。

 中央本部の裏切り方針案に怒りを叩きつけた6月大会

 「殺人的な深夜労働の導入許すな」「中央本部は総退陣せよ」
 6月18日、全逓第57回全国大会の第1日目早朝から、会場の新宿・厚生年金会館前を制した百人を超える労働者の怒りの声が響きわたった。労組交流センター全逓労働者部会を始めとする全国から結集した闘う全逓の仲間たちの姿である。中央本部は全逓の全面的な路線転換をかけて、郵政公社後、最初の全国大会をあえて東京で開催した。これを受けて立ち、全国の仲間たちは、分会・支部・地本と次々と現場から反撃の闘いを積み上げ、全国大会へ上りつめたのだ。
 大会議案は、どれひとつとっても断じて認めることはできないものだ。

 ゛おれたちを殺す気か゛と怒りの声

 とりわけ「夜間労働と勤務時間見直しについて」には「おれたちを殺す気か」という現場組合員の声がわき起こった。「退職か現職死亡か」の二者択一を迫る極限的な深夜労働の導入に、すべての現場組合員は拒否を突きつけている。
 大会でも次々と本部方針に異議が発せられた。「私は体は丈夫な方ですが、休憩もろくにとれない中で、月3回の深夜勤は死ぬ思いでやっています」「夜間労働が過酷な労働条件にある中で、これ以上の労働条件低下は耐えられない」「深夜勤回数の制限撤廃は労働者の健康、安全衛生面の問題として対応してきた先輩方の献身的な努力を捨ててしまうこと」と、ほとんどの代議員の発言は本部方針に反対するものだった。

 JP=郵政版トヨタ方式を絶賛

 大会議案は「トヨタ生産方式の郵便事業への活用」を全面賛美した。実際、今回導入しようとしている深夜勤の体系は、トヨタで現に行われている勤務体系の郵政版である。そのトヨタの現場では、臨時工・季節工がほとんどを占め、労働者は次々と短期間で辞めていくのだ。ある組合員はこう言っていた。「実は郵便局の前は自動車工場にいた。これと同じ3交替制。体がきつくて1年ももたなかった。それで郵便局に来たのに……」と。
 トヨタ方式とは、労働者を人間扱いせず、物として扱うものだ。その行き着く先が、労働者を機械のように酷使し、使いつぶそうという、この攻撃である。これが導入されたら、本当に労働者は肉体的にも精神的にもボロボロにされてしまう。過労死するまで働け、これについて来れない者は、さっさと辞めろというのだ。これを「JP(ジャパンポスト)方式」と称して、公社は全国的に現場に導入しようとしている。
 さらに人事制度や給与制度についても現場組合員の怒りは沸点に達している。次々と賃金カットを認めてきた揚げ句、職場に分断と競争を持ち込み団結を破壊する能力給・成績給や新たな人事評価制度を導入する攻撃を積極的に推進するとは、「いったい労働組合のやることなのか」という怒りが爆発している。

 1万7千人削減を推進する本部

 「皆そろって公社に行けた」「国鉄みたいにならなくてよかった」というのが、本部派の自己正当化の言い分である。大会議案では「行革対応をふりかえって」という項目で、「雇用と労働条件については……全員が公社職員(国家公務員)として雇用を維持し、かつ、労働条件についてもほぼ現行水準を確保できた」と言っている。だが、こんな大うそは徹底的に粉砕しなければならない。
 今年3月の勧奨退職に6千人余の「希望者」が殺到した。相次ぐ賃下げ、労働強化、労働条件の悪化の中で、「もうもたない」と辞めていく労働者が続出している。郵政公社は「郵便新生ビジョン」の前倒し達成を打ち出し、中期経営計画では人員削減を上乗せし、ついには来年度末までに1万7千人を削減するとする行動計画を発表した(5月21日)。形式上は生首が飛ばないだけで、実質は中高年層を中心に首切りに追い込まれている。
 本部は、中期経営計画・目標そしてアクションプラン(行動計画)にも、この大会で承認を与えようとした。だが、そもそも一方的に労働者に犠牲を強いるものでしかないのが郵便新生ビジョンなるものだ。それが次々と破産する中で、「2年前倒し」「人員削減は1万7千人に」などと、どんどんエスカレートしてきた。これに積極的に参画し、経営側と一緒になって率先推進してきたのが本部だ。まさに、連合全逓自身の危機と破産なのである。

 名称も変更して労組でなくなる

 大会議案では「交渉に軸足をおいた運動スタイルを転換し、組織の基本動作に基づく『より質の高い組合員サービス』を実践する」と打ち出した。労働者(組合員)の雇用と賃金・労働条件を守るために当局・資本に対して団結して交渉していく、という労働組合として当たり前のあり方をやめるというのだ。
 「公社時代における郵政労働運動の構築」と言い、このもとで「総合的なセーフティネット」を構築する、これが「組合員サービス」だという。労働組合ならざる相談窓口・親睦(しんぼく)団体のようなものに変質させるというのだ。しかも「自然災害時等の安否確認や緊急連絡網の整備等、危機管理体制の確立」と言っているように、それは、当局の手先=労担となって労働者を管理支配することであり、さらに戦争動員体制の一環に自己を位置づけ、そこに組合員を動員することである。
 なんと「支部役員は、事業人としてもリーダー役であり、組合活動で得た多様な知識と経験を活(い)かし、役職者や管理者へのチャレンジにも能動的に対応することが必要です」とまで言った。組合役員は労働者を踏み台にして管理職になりましょうと言うのだ。
 「組織・財政の改革」と言いつつ、「組合費を安くする」という甘いセリフの陰で、その内容は全逓の組合組織を形骸化させ空洞化させるものだ。中央本部に権限を集中し「支部設置基準の見直し」をすることによって、公社と本部の密室交渉にフリーハンドを与え、現場組合員の声を踏みつぶす組織にしてしまうものである。
 12・1〜2臨時大会では全逓の名称変更と組織解体を狙っている。12月臨大に向かって、今こそ職場から反撃を巻き起こそう。

 公社化=民営化攻撃粉砕へ現場攻防が勝敗を決する

 今年の全国大会闘争が、かつてなく激しく圧倒的に打ち抜かれたのは、単に公社化後初の大会だからというだけではない。国鉄分割・民営化の攻撃がそうであったように、あるいはNTT大合理化がそうだったように、経営形態の変更による労働者支配の反動的大改変は、労働組合の全面屈服と全面協力抜きには絶対に不可能である。つまり郵政公社化=民営化攻撃にとって、最大のかぎが連合全逓の全面転向であり、したがって最大の弱点が連合全逓中央本部の労働者支配にあるからだ。
 公社化に伴い全逓本部は、たとえば人事制度については、組合の側から「公社における新たな処遇に向けた全逓の基本的な考え方」(第56回大会)を決定し、それを「全逓の提言」(02年8月)として当時の郵政事業庁に提出した。これを受ける形で事業庁案「人事制度改革の基本的考え方」(02年10月)が示されると、「組合の提言に沿ったもの」と評価し、「これは組合の方針だから従え」と組合員に強制しようとしている。一事が万事こうである。
 だが、そもそも連合全逓本部の現場労働者に対する支配力などない。現場組合員は本部を「指導部」などとは思ってもいない。公社の攻撃を「組合方針」として貫徹しようとしても、その一つひとつが連合全逓に対する現場労働者の総反乱の引き金となるのだ。今こそ連合全逓本部を打倒し闘う全逓の旗を守り抜こう。
 6月全逓全国大会は、これまで繰り返されてきた翼賛大会の様相を一変させ、まさに大会内外で現場労働者の怒りが渦巻くものとなった。代議員発言のほとんどすべてが、本部方針への批判と疑問と異議であった。前回大会と比べて、本部方針に反対する票は倍となり、無効票も合わせると全代議員の3分の1が本部に不信任を突きつけた。
 にもかかわらず本部議案が「承認」されていくという現実も、あらためて突き出された。現場組合員の怒りの声に押されて、口では本部方針に反対を表明しておきながら、結局は本部に承認を与える“本部派”の存在。これを粉砕しなければならないのだ。また、そのことが十分に可能だという展望を示したのも、6月全国大会をめぐる闘いだった。
 敵の攻撃の激しさに立ち向かい、反撃し打ち勝っていく団結と組織的な反撃力を、目的意識的につくり出そう。支部、分会、各職場における職場支配権をめぐる具体的な攻防に勝利しよう。現場からの反撃で、階級的な全逓労働運動を再生しよう。
 全逓労働者こそ非正規雇用労働者の生活と権利を守る闘いの先頭に立とう。郵政職場においても、ある意味で非常勤労働者こそが最も敵の攻撃の矢面に立たされている。ともに闘い、ここから反撃を組織していくことは決定的である。

 4・28反処分闘争強め全逓再生へ

 こうした反撃の拠点として、反マル生越年闘争に対する79年4・28処分粉砕の闘いを強化しよう。
 組合の指令のもとで闘って処分された組合員を守るのか否かは、労働者と労働組合の階級的団結の死活をかけた問題である。4・28反処分闘争と支援の陣形の強化・拡大は、「反処分・反合・反マル生」の原則的立場で連合全逓中央打倒・階級的全逓労働運動の再生という運動の方向性と陣形をつくり出す。4・28闘争こそ、全逓と全郵政の「統合」によるニューユニオンなるものを吹き飛ばす闘いだ。
 全逓労働者こそ国鉄決戦と連帯し闘う中軸を担わなければならない。国労臨大弾圧を許さない闘いを職場に広げることは決定的である。労働組合を否定し、労働者一人ひとりの闘いを犯罪視し、弾圧の対象とする4・28処分と闘い抜いてきた全逓労働者こそ、5・27臨大闘争弾圧との闘いに最も固く連帯して闘わなければならない。
 さらに、イラク派兵阻止をかけた反戦闘争の先頭に立とう。03年前半の闘いにおいて、職場から反戦闘争への全逓労働者の決起をかちとり、その戦闘的息吹をまた職場に持ち込むという闘いをつくり出してきた。この秋の反戦闘争は決定的である。まさに国際連帯をかけて全世界の労働者とともに闘おう。
 こうした闘いの中から11月労働者集会へ全逓労働者の総決起をつくり出そう。動労千葉、港合同、関西生コンと連帯し、帝国主義と対決する労働運動の総結集をかちとろう。12・1〜2全逓臨時大会へ向けた闘いの成否も、その一切が11月労働者集会への闘う全逓労働者の総決起にかかっている。

 マル青労同再建の先頭に立とう

 そして一切を決するものは党建設である。郵政民営化粉砕の激しい闘いの中でこそ、強力な党を建設しよう。全逓労働者こそがマル青労同再建の先頭に立つのだ。闘うすべての全逓労働者は革共同に結集せよ。

キーワード

 4・28反処分闘争
 全逓は、組合つぶしを狙う郵政当局のマル生(生産性向上運動)に対し、78年末から79年にかけて年賀を含む1億6千万通の郵便物を滞留させる争議を闘った。これに対し当局は79年4月28日に解雇3人、懲戒免職58人を含む8183人への処分を発令。被免職者を組合から除名するという全逓中央の裏切りを粉砕して、解雇撤回闘争は不屈に闘い抜かれている。

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週刊『前進』(2115号2面2)

資本攻勢&労働日誌 2003 7月31日〜8月12日
 通常国会で労組法改悪を狙う 人事院再びマイナス勧告/現代自動車8.6%賃上げ

労組法改悪へ研究会提言 厚労省の「不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会」は、労働組合法の改正を含む制度の抜本的な見直しが必要だとする報告書をまとめた。厚労省は来年の通常国会に労組法改定案を提出する予定。同法の抜本改定は1949年以来のこととなる。(7月31日)
03年版厚生労働白書 政府は03年版「厚生労働白書」を了承した。「世代間ワークシェアリング」を提起、不安定雇用の拡大を促す内容。(8月1日)
国家公務員定員3400人以上削減へ 総務省は来年度の国家公務員の定員について、政府が00年に決定した年1%減という定員削減計画を上回るペースで削減する方針を決めた。(1日)
厚労省、国民年金強制徴収へ 国民年金の保険料未納が増える中で、厚生労働省は「国民年金特別対策本部」の初会合を開き、徴収強化に乗り出した。(4日)
離職者数が9年連続で就職者を超す 厚労省発表の02年の雇用動向調査によると、昨年1年間の常用労働者の離職者数は682万人で、就職者数の597万人を9年連続で上回った。その差は85万人で3年連続して拡大。(5日)
韓国・現代自動車労組が8.6%の賃上げ獲得 労資交渉が決着。8.6%の賃上げと週5日制の実施などで合意し、労組は7週間のストを終結した。現代自動車労組(約4万人)は韓国最大の企業別労組で民主労総加盟。(5日)
JTがたばこ工場を半減、希望退職4000人 日本たばこ産業(JT)は05年度末までに労働者の2割強の約4000人を削減、工場も現在の22カ所から半分に減らす合理化策を発表。(6日)
人事院、2年連続で賃下げ勧告 人事院は一般職国家公務員の年収を5年連続で切り下げる給与勧告を行った。勧告史上最も大きい下げ幅。(8日)
司法制度改革推進本部の労働検討会が「中間とりまとめ」発表 政府の司法制度改革推進本部労働検討会は、労働関係事件への対応策の「中間とりまとめ」を公表。司法改革の一環として労組法も改悪する方針。(8日)=要旨別掲
大・高卒の就職率最低 文科省が発表した学校基本調査速報の結果によると、03年3月の高卒者の就職率(全卒業者数のうち就職者総数の占める比率)は16.6%で、前年より0.5ポイント低下し、58年の調査開始以来、過去最低を記録した。大卒者の就職率も55%で過去最低。(8日)
丸井、労働者95%の子会社転籍で労資合意 百貨店の丸井は労働者の95%を子会社に転籍させることで労働組合と合意した。転籍する労働者の賃金は減額になる。すでに厚生年金基金を解散しており、退職金制度も廃止する方針。(12日)

 労働検討会「中間とりまとめ」概要

 司法制度改革推進本部の労働検討会は次の3点につき中間報告した。年内に最終案を提示し来年通常国会で立法化予定
@「労働審判制度」の導入
 民事訴訟と民事調停の中間形態で、「労使関係に専門的な知識経験を有する者」が裁判官とともに調停にあたる。「個別労使紛争」を「早期処理」し、団結形成を抑え込む。民事訴訟そのものに「労使関係専門家」が関与することを求めた連合の「労働参審制」案は採用せず
A労働関係の訴訟手続きの迅速化
 争点整理と計画審理の名で、労働者の主張をあらかじめ抑えつけて拙速裁判
B取消訴訟の証拠制限
 労働委員会命令の取消訴訟において、労働委員会段階で出されなかった証拠について、提出を制限することを検討する

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週刊『前進』(2115号3面1)

8・10仙台集会 中野さん(全金本山)奪還へ デッチあげに広範な怒り

 8月10日、仙台市内で「暴け、権力犯罪!無実の中野さんを取り戻そう 8・10集会」が開催され、80人を超える労働者、学生、市民が結集した。
 集会は東北大学有朋寮の学生の司会で開始され、主催者である「中野七郎さんとともに闘う会」を代表して、呼びかけ人である全金本山労組・長谷武志委員長があいさつ。7月4日に「ともに闘う会」を結成して以降、保釈を求める署名に209人、139団体の署名が寄せられていること、保釈金カンパも続々と寄せられていることを報告し、直ちに保釈をかちとるための取り組み強化を訴えた。
 さらに「6・2弾圧の意味は何か。全国、地域での有事立法やイラク反戦の闘いへの反動としてこの弾圧があることは明らか」と、8月14日の第1回公判への総決起を呼びかけた。
 全金本山労組の青柳充書記長が基調を報告。東北大学と警察権力が結託した「傷害事件」のねつ造の手口を怒りも新たに暴露、弾劾した。さらに、黙秘権を行使していることを保釈をしない理由として恥じない仙台地裁を断罪した。そして、「労学連帯、宮城の反戦闘争を解体する、これが中野逮捕に踏みきった権力の意図です」「労学市民・地域共闘の団結で、中野さんの早期奪還をかちとろう」と訴えた。
 獄中の中野さんからのメッセージが紹介された。「反戦・平和を願い、憲法改悪を許さず、生命・人権・生活を守るためには闘わなければならない時代です。今回のこの具体的な弾圧をはね返す闘いを強化し各地での闘いと連帯し、治安弾圧の強化を許さない地域・全国の労・学・市民の団結と連帯の輪の拡大が今こそ重要と思います。闘いはまさにこれからです。頑張らなくっちゃ! そしてもう一声、頑張らなくっちゃ!」。烈々とした中にもユーモアを込めた中野さんらしいアピールに、満場からの拍手がこたえた。
 中野さんの家族が登壇し、「突然の不当逮捕から70日、眠れなくなることもありました。弾圧を受けてわかることもあります。逮捕、勾留など、司法が平等でないことを実感しました。法は平等ではなく、平等はかちとっていくものであることがわかりました。司法の反動化を許さないためにも頑張ります」と、不当逮捕・勾留と家族との面会すら認めないことへの怒り、獄中の中野さんとともに闘いぬく決意を語った。
 カンパ・アピールでは「とめよう戦争への道!百万人署名運動宮城県連絡会」の呼びかけ人である戦争体験者が、「朝8時にケガをしたと言っているのに、病院に行ったのは夜の7時、それまで何をしていたのか。デッチあげの相談をしていたのに違いない。まさに戦前だ」と弾圧粉砕を訴えた。
 会場からの発言では、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会・宮城」の呼びかけ人が決意を表明した。また地元労組の代表は、反弾圧と反戦の闘いを一体で闘っていくことを呼びかけた。
 有朋寮委員長が有朋寮への占有移転禁止の仮処分の攻撃があったことを報告し、中野さん奪還と廃寮阻止を闘いぬく決意を表明した。さらに東北大学生自治会、日就寮の代表が戦闘宣言を発した。
 集会後、仙台市内デモに決起。台風一過で久々に30度を超えた仙台市一番町通に、「中野さんを取り戻すぞ!」などのシュプレヒコールが響き、市民がプラカード、ビラに注目した。
 無実の中野さんを直ちに取り戻すために、保釈署名、保釈金カンパを集中しよう。

 門前闘争で資本追撃

 7月28日、全金本山労組の本社工場(宮城県大衡村)への門前闘争が闘われた。40人を超える労組員、支援が早朝8時に門前に登場。職制があわてて駆けつけてくるのを見すえながら、青柳書記長が通勤中の第二組合員にマイク情宣を開始。まず、3月31日の判決以降、団交を拒否している本山資本を弾劾した。
 裁判での「勝利」を信じて疑わなかった本山資本と千葉社長は、2月の団交では「なんとしても解決したい」と言っていながら、「就労や賃金支払いについての具体的回答を検討中」と、半年以上も団交を拒否している。仙台地裁の判決では「就労場所の提供」は資本の義務であるとされているのだ。
 青柳書記長は、さらに中野七郎書記次長の不当逮捕を弾劾し、早期奪還をかちとることを宣言した。
 門前での集会では、長谷委員長のあいさつを受け、参加した支援、組合員が次々と中野書記次長への不当弾圧をはね返し、全金本山闘争の勝利をともにかちとっていく決意を表明した。青柳書記長とともに不当な解雇攻撃と闘う熊谷春男組合員は、「あくまで2人の解雇撤回をかちとるまで闘う」と語った。
 昼休みには、仙台市内で街頭宣伝を行い、小1時間で千枚のビラがまかれ、中野氏の早期保釈を要求する署名が50筆ほど集まった。市民が「そんなことを大学がやっているのか」と質問したり、署名した労働者が「自分のホームページでみんなに知らせる」と言ってくるなど、次々と討論の輪が生まれた。

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週刊『前進』(2115号3面2)

8・3革共同集会の発言から
 帝国主義打倒の主張に共感 女子学生のカンパアピール

 イラク派兵阻止闘争と闘う労働者党建設に向けカンパの訴えを行います。
 今私たちはすさまじい激動の時代を生きています。7月24日未明、許しがたい茶番劇によって小泉政権は自衛隊のイラク派兵法を成立させ、自衛隊が日本軍としてイラクへ出兵しようとしています。
 私は、自衛隊をイラクへ出すなという夜通しの国会前行動を闘いました。政府答弁に加え、既成政党によるおよそ納得のできない討論、松村外交防衛委員長の横暴な態度を目の当たりにし、ここまで国の正体を知ってしまったら、こんな人たちに人民は絶対についていかないと感じ、これからが勝負だと逆に展望を抱きました。
 今、全世界で自らの手で社会を築き上げようと労働者を中心として人民が立ち上がっており、いよいよ闘いはこれからです。人民の明るい未来を築くためには、侵略戦争や人民への攻撃が進められる今、これらの一切の原因である帝国主義の打倒を主張する党が今こそ求められています。私も最初は戦争はだめとしか思っていませんでしたが、全学連や革共同と出会って、帝国主義という考えを持つようになりました。私のような学生や労働者がまだ無数にいると思います。
 どの既成政党も本当に労働者の立場に立っていません。党として帝国主義打倒や侵略戦争であることを主張し、労働者の側からものごとを見ているのは革共同だけです。
 私たち全国の学生は、現に闘っているイラク人民、全世界の人民と連帯して、自衛隊員を含めすべての人民に決起を呼びかけ、自衛隊のイラク出兵を絶対に阻止することを決意します。

 若い女性の獲得に手ごたえ 女性労働者の決意表明

 私は子育てに追われてやっと一段落したら四十代半ばになっていて愕然(がくぜん)としました。しかし、一念発起して理論学習をする機会を去年から得ました。学習する中で、学習することは実践すること、マルクス主義を確信したならば同志を増やすこと、その二つを学びました。
 民間の女性労働者が過酷な労働条件の中で派遣労働をうち切られるという脅しを受け、セクハラを受けるなど、すさまじい状況の中におかれています。そういう女性を広範に組織する、それは私たちでなければできないんです。私はお金もないんですが、やはり組織化するためには金を使わなければいけないと思って、若い女性に食事をごちそうして、どういう悩みがあるのか、どういうことに怒っているのか、一緒に闘おう、と組織する活動をしてきました。そして二十代の女性2人とともに学習会を始めました。その中の一人は『前進』読者になるところまできました。
 また、職場の同年代の女性をイラク写真展に誘ってともに活動することを呼びかけました。その女性は息子がいるんですが、「反戦運動に興味がある」と言ったので、ホームページにアクセスするように言い、反戦署名の賛同金をもらいました。日々、この人にはどういう切り口で話をしようか、またあの人には、と思うと、職場に行くのが楽しい。
 その人たちが私たちに「何でそんなふうに元気にできるの」と聞きます。私たちには確信がある、闘って勝つという確信のもとで闘っているということを言います。暴力はいけないんじゃないかと言う人もいますが、絶対的に力を持つ資本の前に無力な女性がちまたに放り出される状況の中で、暴力がいけないなんていうことが吹っ飛ぶ時代がきているんです。そういう人たちに一緒に暴力革命をやろう、と呼びかけたい。
 若い人たちと女性が会議の場で生き生きと臆せず自分の意見を言う、議論をする、議論して一致して外に飛び出す。そういう党でなければ革命はできないと思います。
 女性の同志のみなさん、これまで党に結集してきた確信を、マルクス主義・レーニン主義で若い人を獲得する情熱に変えて11月に向けて闘いましょう。

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週刊『前進』(2115号3面3)

全学連大会への招請状
 イラク侵略派兵絶対阻止へ史上最大の反戦闘争爆発を
 全学連中央執行委員会(委員長 大山尚行)

 全学連中央執行委員会から全学連第63回定期全国大会の招請状が発せられたので紹介します。(編集局)

 全学連は、きたる9月13日〜15日に第63回定期全国大会を開催する。全国の学生自治会執行部とすべての闘う学友の総結集を熱烈に訴える。
 今次全学連大会は、何より第一に、自衛隊のイラク侵略派兵絶対阻止の今秋決戦方針と決戦体制をうち立てる歴史的大会だ。全学連が労働者階級人民の最先頭に立って、史上最大の反戦闘争の大爆発を切り開くのだ。
 今秋11月とされる自衛隊のイラク侵略派兵こそ、日本と世界の階級闘争の歴史を一変させる大攻撃だ。アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争が、石油略奪のための軍事占領と植民地支配の第二段階に入る中で、日本帝国主義が陸上自衛隊を先頭とする1千人の大部隊をイラクに侵略派兵しようとしているのだ。帝国主義が二大陣営に分裂し、世界市場・資源・勢力圏をめぐって激しく抗争を繰り広げるなかで、日本帝国主義が戦後的制約を暴力的に打破して、ついに強盗戦争に突入しようとしているのだ。
 この歴史を画する大攻撃に対して、日本の学生がどういう態度をとるのか、どういう行動をするのかが鋭く問われている。学生こそ、労働者階級人民の先頭で自衛隊のイラク侵略派兵の大攻撃と闘い、戦後史を塗りかえるような一大反戦闘争の爆発をたたきつけるのだ。
 帝国主義・資本主義の歴史的生命力は尽き果てた。帝国主義は、自らつくりだした矛盾と危機を世界恐慌と世界戦争として爆発させる以外にない。労働者階級とともに、帝国主義の危機の爆発、世界恐慌と再度の世界戦争への突入を今度こそプロレタリア世界革命の時代に転化するために闘うことこそが、求められているのだ。
 全学連は、動労千葉や陸・海・空・港湾労組20団体などの階級的労働運動とともに、民主党・連合や日本共産党、ファシスト・カクマル、JR総連を打倒し、自国帝国主義の戦争突入と対決する日本階級闘争の新時代を切り開くために、今秋決戦の最先頭に立つ。何より、自衛隊のイラク侵略派兵を絶対阻止するために、自国帝国主義打倒を掲げる反戦闘争への全国学生の総決起を今秋決戦において何としてもかちとるのだ。
 今秋、1〜3月をこえる全世界的な反戦闘争の新たな爆発は不可避だ。イラク人民は、米英帝国主義による民族自決権の圧殺と石油強奪と人民虐殺に対して、全土で反占領デモに立ちあがり、連日数十件にのぼる怒りのゲリラ戦闘に決起している。アメリカのANSWERは9・25〜28、10・25、イギリス戦争阻止連合は、9・27の国際統一行動を呼びかけている。これと連帯して、日本の地で、自衛隊のイラク侵略派兵を阻止する一大大衆闘争の爆発をかちとろう。全国の自衛隊基地を大衆的に包囲し、自衛隊を包囲・解体―獲得する闘いを展開しよう。全国大学でクラス決議・キャンパス集会・デモに立ちあがり、学生が先頭に立って100万人の反戦デモをつくりだそう。動労千葉など三労組が呼びかける11月労働者集会の成功をかちとり、昨年12月の横須賀闘争をはるかにこえる、11月イラク侵略派兵阻止現地闘争の大爆発をかちとろう。
 第二に、米・日帝国主義の北朝鮮侵略戦争を絶対阻止する反戦闘争の決定的前進をかちとろう。北朝鮮侵略戦争阻止、有事立法粉砕の大決戦は、本当にこれからが重大だ。8・25万景峰号の新潟港入港の妨害を粉砕する現地闘争に全国からかけつけよう。9・1「防災訓練」=自衛隊治安出動・侵略戦争総動員演習を粉砕しよう。9月末からの臨時国会における対テロ特措法延長を阻止しよう。
 北朝鮮侵略戦争への労働者階級人民の総動員をねらう「国民保護法制」の04年通常国会提出を絶対に阻止しよう。自衛隊の多国籍軍参加、無制限の侵略派兵を可能とする「派兵恒久法」を粉砕しよう。動労千葉・20労組とともに「有事立法を完成させない、発動させない、協力しない」の大運動を爆発させよう。
 イラク反戦闘争・北朝鮮侵略戦争阻止闘争は、同時に安保粉砕・沖縄奪還の大闘争である。沖縄・名護新基地建設阻止、米軍基地撤去の闘いの新たな大爆発をこじ開けよう。10・12三里塚闘争、そして北富士闘争など全国の反戦・反基地闘争の大高揚をかちとろう。
 今秋臨時国会での共謀罪新設攻撃を阻止しよう。国労臨大闘争弾圧をはじめとする階級的労働運動への治安弾圧、九大学生自治会などへの治安弾圧攻撃を大衆闘争の爆発で粉砕しよう。
 北朝鮮侵略戦争発動の切迫下において激化する排外主義・差別主義の攻撃との闘いを圧倒的に強化しよう。9月東大阪市議選における阪口克己荒本支部書記長の当選勝利を部落解放同盟全国連合会とともにかちとろう。
 第三に、イラク派兵阻止決戦と一体で、有朋寮廃寮阻止決戦に絶対勝利し、国立大法人化粉砕決戦の大爆発を切り開こう。有朋寮決戦は、全学連運動、全国学生運動の未来をかけた大決戦だ。そして国立大法人化粉砕の闘いを、日本の学生が再び日本帝国主義の侵略戦争・強盗戦争に動員されることを真っ向から拒否し、学生の自治と団結を回復し、全国大学を日本帝国主義打倒の砦(とりで)へとつくりかえていく歴史的闘いへと押し上げていこうではないか。
 第四に、イラク侵略派兵阻止決戦、有朋寮廃寮阻止・国立大学法人化粉砕決戦のただ中で、全国大学に学生自治会を建設し、全学連運動の圧倒的飛躍をかちとろう。
 第五に、日本共産党の綱領改定に異議をもっている民青同盟員、日本共産党の指導に怒り苦闘するすべての学生自治会執行部は、今こそ日共・民青と決別し、わが闘う全学連に結集しよう。日共・民青を打倒し、ともに学生自治会運動・全国学生運動の新たな発展をつくりだしていこう。
 自衛隊のイラク侵略派兵阻止決戦のただ中で、ファシスト・カクマルを打倒し、全国大学に闘う全学連の旗をうち立てよう。あらゆるタイプの帝国主義イデオロギーを粉砕し、労働者階級自己解放の思想=マルクス主義の復権を闘いとろう。
 全国から9・13〜15全学連大会に結集し、学生運動の新時代をともに切り開こう。
 2003年8月14日

 【要綱】
日時 9月13日(土)〜15日(月)
会場 東京都内

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週刊『前進』(2115号3面4)

自治労新綱領反対へ組合内で討論を展開
 首都圏・自治体労働者 石井 剛

 私の組合では新綱領「自治労21世紀宣言」について「組合として賛成できない」方針を出す方向で動いています。周辺の労組は本部派で反動体制であることと、全国の単組レベルでは論議があまりなされていないことを考えれば重要なことと考えます。討論の内容と総括を報告します。
 執行委員会で21世紀宣言について見解を出すことになり、その場でろくに討論もしないで賛成決定を出しそうになったので、猛然と反対意見を訴えました。その結果、別途検討委員会をつくって討論することになり、執行委員会での採決は粉砕されました。新綱領検討委員会の中では「読んでも内容がわからない」とか「仲良くするのはいいことだから新綱領はいいのではないか」という話から出発しました。
 しかし議論を掘り下げていくうちにいくつかのことに気づいてきました。誰かが何の気なしに言いました。「新綱領は『闘う』という言葉がない」と。そうです。ここが実は一番大事なところなのです。
 そこで私が、新綱領は今までの単組の現業を守る闘いや安全衛生は切り捨てであること、自治労運動の中心をなす現業はあらかじめ存在が無視されていること、日本経団連・奥田ビジョンと一体であることを訴えると、とても賛成できるものではないことがわかってきたのです。その結果検討委員会で「単組として賛成できない」と決定を出すことになったのです。
 しかし、問題はまだ残っています。本来は各職場から反対意見をドンドン出して、大衆討議をもとに反対決議を出すべきですが、まったく大衆討議がなされていないのが実態です。現場から21世紀宣言反対の声をつくり出すなら自治労運動の再生は見ちがえるようになるはずです。
 また、せっかく単組として「賛成できない」と結論が出ているのに、本大会の代議員は「反対票を投じるかどうかはわからない」との態度を崩していません。現場労働者の力でなんとしても反対させなければなりません。
 現場から単組から、全国の仲間と連帯して、自治労運動を労働者の手に取り戻そう!

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週刊『前進』(2115号3面5)

 ■横浜大会に向けて訴える■(7)
 現業と部落解放闘争 差別・分断攻撃を許すな
 現業切り捨ての自治労中央を打倒し階級的共同闘争を
 都労連の今秋ストで反撃を

 昨年の都労連の秋闘妥結により、東京都では国に先駆けて能力・業績主義の暴力的な強化が進められている。当局が一方的に労働者をランクづける5段階の業績評価の結果を来年度から定期昇級に反映させるというのだ。下位2段階の労働者は昇級を3カ月延伸されてしまう。当局はこの昇級制度を「良好な成績で勤務した時に行うことができる普通昇級」と称している。
 職場の仲間の団結力を基礎に、過酷な職場環境の中で血と汗を流して働くわれわれ自治体現業労働者の間に、差別と分断を持ち込むことは絶対に許すことができない。差別・排外主義を扇動する石原都知事の打倒と、この差別的昇級制度廃止の闘いは一体のものだ。今秋都労連闘争を決戦場にストライキを頂点とする実力闘争で反撃しよう。
 自治労中央に、われわれ自治体現業労働者の闘いの方針はまったくない。
 自治労中央は、横浜大会で現業評議会の廃止・縮小を提案する予定だ。これは、自治体当局の現業切り捨て・民託化攻撃に対する闘争放棄にほかならない。
 当局の「現業不補充・民託化」攻撃の結果、自治体現業職場では委託・臨時・非常勤労働者が増加している。多くの労働者がわれわれと同じ仕事をしながら未組織労働者であり、不安定な雇用で差別賃金・劣悪な労働条件にさらされている。自治労中央の「自治体当局とのパートナーシップで市民の生活の質を保障する公共サービスの充実」方針では闘いの勝利はあり得ない。委託・臨時・非常勤・自治体関連労働者との共同闘争を強化すべきだ。
 職場に差別と分断をもたらし、労働者の階級意識と労組の団結を破壊する政府・与党の公務員制度改革攻撃に対し、「民主的公務員制度改革」対案路線を唱える自治労中央に、われわれ現業労働者の生活と未来を託すわけにはいかない。
 横浜大会に臨む代議員は、自治労の闘う路線の復権、階級的労働運動の再生をかけて決起しよう。全国の自治体現業労働者は職場の仲間の怒りを組織し、自治労中央打倒、「宣言」採択阻止に立ち上がろう。 われわれは、戦前の自治体現業労働運動の歴史を教訓化しなければならない。
 内務省による国民支配の出先機関にすぎなかった当時の「自治体」労働運動の主力は現業労働者だった。

 東京市従労組の闘いの教訓

 当時の東京市でも、道路課・衛生課の雇傭員を中心に1926年に東京市従業員労働組合が結成された。
 結成直後の大弾圧で委員長ら400人が解雇攻撃を受けたが、多くの労組役員は臨時職員としてそのまま就労し続けた。雇傭員以下の低賃金である労組活動家たちが職場オルグに入ると、たちまち職場労働者が結集し3千人以上が組織化されたのだ。こうして東京市従労組は、東交労組とともにメーデーの主催団体となり、全国の労働運動の拠点として登場したのだ。
 東京市従労組の最初の闘いは、職場の民主化闘争と東京市当局に対する職場環境・作業改善要求闘争であった。差別的な賃金・処遇制度である「吏雇傭員制度」の改善要求闘争は、さらに激烈を極めた。「天皇の官吏」であった吏員のみに許された月給制度、退職金・恩給制度、休暇制度は、現業労働者である当時の雇傭員には一切なかった。「国家統治の出先機関」で現業労働者は、労働者としても人間としても認められていなかったのだ。
 27年、5名の殉職者が出る労災事故を契機に、東京市従労組は当時の規定の4倍である2カ年分の殉職手当と退職手当制度の整備を要求する闘争を開始した。12日間のストライキに敢然と突入し、ついに勝利をもぎ取ったのだ。
 東京市従労組の軌跡は、部落民の自己解放をめざし1922年に結成された全国水平社の闘いの高揚と屈服の歴史に重なる。
 戦前の東京市従・東交の労働者に、また、差別的な賃金・身分制度下に置かれた全国の雇傭員労働者にどれほど多くの部落民がいたことか。彼らはまさに、部落民の自己解放と労働者の自己解放を一体のものとして闘い、現業労組の戦闘性を担っていたのだ。

 全国連の三大闘争に連帯し

 部落解放同盟全国連合会は三大闘争として、狭山闘争を先頭とする差別糾弾闘争・生活要求闘争・労働者階級との階級的共同闘争を掲げている。全国連の部落解放闘争論の柱は、労働者階級の解放なくして部落民の解放なし・部落民の解放なくして労働者階級の解放なしであり、労働者と生きた共闘関係を築いている。
 職場での差別・分断を容認することは、部落差別を許すことに直結する。労働者階級に差別を強いる敵をしっかりと見据え、部落解放運動を自らの課題としてとらえ直そう。
 現業職場の切り捨て、差別・分断攻撃を粉砕するためには、全国の自治体に多くの部落民が働いていることをしっかり措定しなければならない。闘う部落民・労働者のすべてを押しつぶす寝屋川弾圧の反動攻撃を粉砕するため、全国連の呼びかけにこたえ階級的共同闘争の先頭で決起しよう。
 帝国主義の世界戦争が不可避であり、戦争を遂行する国家権力が労働者階級の中に差別と分断を扇動して労働運動を弾圧・解体することを、われわれは過去の歴史と現代情勢から学んでいる。自治労中央の転向・屈服路線を許すことは、自治体労働者が再び侵略戦争の手先になることなのだ。
 北朝鮮侵略戦争の切迫する中で有事法制・イラク新法が強行採決され、日本の軍隊がイラクに進軍する情勢だからこそ、階級的労働運動の復権が必要なのだ。われわれ自治体現業労働者こそが、階級的労働運動の先頭に立って闘おう。
 イラク侵略戦争のさなかに打ち抜かれた、動労千葉の90時間ストをわが闘いとして、職場から「戦争協力拒否宣言」を上げよう。全世界で数千万人が結集した反戦デモの重要な環である20労組の闘いに、国際連帯をかけて結集しよう。
 (自治体労働者 阪本浩志)
〔シリーズおわり〕

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週刊『前進』(2115号4面1)

“さかぐち克己氏を市議会へ” 8・10市民の集い 生活要求実現へ団結
 東大阪 荒本支部を先頭に370人

 9月21日投票の東大阪市議選まであと6週間と迫った8月10日、「私たちの生活要求を実現しよう」「そのために、さかぐち克己を市議会に」をかかげ、9月市議選必勝にむけた「8・10市民の集い」が荒本人権文化センターで開かれ、荒本支部と市民370人を結集して大成功した。告示まで5週間、投票まで6週間。総力で闘いぬいている部落解放同盟全国連合会荒本支部と東大阪市民とともに、さかぐち克己候補の初当選へ、全力で闘いぬこう。全国から支援を集中しよう。
 参加した住民一人ひとりが、各地の相談会や7・30介護保険料の集団減免申請をとおして、自らの要求を実現するために団結し闘うことに目覚めた人たちであり、9月市議選を自らの闘いとして自覚して集まった人たちだ。
 会場が埋め尽くされた午後1時すぎ、「市民の集い」は開会した。司会は、荒本支部青年部と市議選必勝のために地域でコーディネーターとしてがんばる住民のAさんが担った。
 最初に主催者を代表して「反戦・反核、平和と暮らしを守る東大阪市民の会」から元意岐部東小学校教頭の辻岡豊さんが登壇、9月市議選必勝へ全力で決起しようと訴えた。4月統一地方選で当選した小西弘泰、森田充二両高槻市議を始めとした革命的議員団や各団体のあいさつが続いた。
 休憩後、今回の選挙戦の母体である住民選対会議を代表して、部落解放同盟全国連合会の中田潔書記長が基調提起を行った。
 中田書記長は、まず、この間の相談会の成功と7・30集団減免申請の闘いの勝利を報告した。7月初めから取り組まれてきた相談会には、300人をこえる市民が集まり切実な生活要求が出されていること、小泉の「構造改革」によって、東大阪市民の生活がこれまで以上に厳しい現実にあることを明らかにした。
 相談会の成果をふまえ取り組まれた7・30集団減免申請は、160人の住民が参加し約1時間半の追及によって、市の住民無視の窓口対応を謝罪させ、住民自身の3年半におよぶ闘いによって実現した介護保険料減免条例をより多くの住民に適用できるよう改善・充実をしていくことを約束させた画期的勝利をかちとった。
 中田書記長は、「この勝利は何よりも要求実現のための住民自身の団結の力であると同時に、要求実現のためには自分たちの代表を議会になんとしても送る必要がある」と訴え、「全国連荒本支部が長年培ってきた行政闘争の成果が集約されたものとして、荒本支部自身の勝利としても実現された」と鮮明に提起した。この提起は、参加した住民一人ひとりにとって7・30の勝利の大きさをあらためて実感させた。
 その上で中田書記長は、9月市議選情勢についての厳しい認識について提起した。「今回の市議選は、定数50に64人が立候補するというかつてない激戦であり、各政党が解散・総選挙を意識した総力をあげた選挙戦体制をもって臨んでいる。新人のさかぐち候補にとって厳しい選挙戦となっている」と語り、「残された6週間、必勝のために紹介カードの集中をはじめとした選挙闘争に総決起しよう」と訴えた。参加したすべての人が、さかぐち必勝への決意を打ち固めた。

 候補・住民が必勝誓う

 われんばかりの拍手に迎えられて、候補者である全国連荒本支部書記長のさかぐち克己さんとつれあいの由貴美さんが登壇。さかぐち候補は、相談会に寄せられた住民の切実な要求を具体的に紹介し、「市民の厳しい生活の現実を知り、胸がかきむしられる思いです。こうした市民の生活要求を実現し、政治を市民の手に取り戻すために立候補することを決意しました。勝利するために、ぜひみなさんの力をかしてください」と熱烈に訴えた。由貴美さんも必勝の決意を語った。すべての参加者は万雷の拍手でこたえた。
 壇上には、各地域から参加した住民40人が登壇し、一人ひとりがマイクを握って訴えた。公明党や共産党に生活相談に行っても切り捨てられ、絶望的な思いを感じていた矢先、チラシを見て相談会に参加したB地域の住民は、さかぐち候補の訴えを聞き、「なんとしても、さかぐち候補を市議会に送ろう」と決意した。7・30集団減免申請の先頭で市を追及するさかぐち候補を見て、「この人こそ私たちの代表だ」と確信して参加したC地域の住民。「苦しい生活は自分の甲斐(かい)性がないためだ」と感じていたD地域の住民は、さかぐち候補に出会い、「みんなが団結すれば政治を変えられる」と立ち上がった。初めてマイクを握った住民たちの切実な訴えは、全参加者の心をとらえた。発言のたびごとに、会場から割れるような拍手がわき起こった。こうした住民一人ひとりの発言をとおして、今回の選挙戦が住民を主人公とした闘いであることを、誰もが実感できるものとなった。
 この興奮を引き継いで荒本の青年多数が登壇。「克ちゃんをぜったいに勝利させよう」と訴えた。
 最後に、荒本支部副支部長の山野良夫さんが音頭をとり、団結がんばろうで締めくくった。

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週刊『前進』(2115号4面2)

8・9立川 「昭和天皇記念館」反対 出兵拒否訴えデモ

 8月9日、東京・立川市の立川女性総合センターで「イラク派兵特措法反対!立川からの出兵を許すな!『昭和天皇記念館』建設反対!8・9集会」が実行委主催で開かれました。
 立川広域防災基地に隣接した国営昭和記念公園の一角に、「昭和天皇記念館」と、ヒロヒトの孫娘のための「愛子庭園」なるものが建設されることが発表されたのは、昨年4月。今年5月、反対運動を恐れて秘密裏に「植樹祭」が行われ、現在、着工のための整地作業が行われています。
 この日の集会とデモには東京反戦共同行動委と三多摩労組交流センターを先頭に危機感を抱いた労働者市民40人が参加しました。
 日本基督教団・靖国天皇制情報センターの小田原紀雄さんが、「なぜ今『昭和天皇記念館』なのか」と題する講演を行いました。
 小田原さんは「『昭和天皇記念館』は、侵略戦争と天皇賛美のためにつくられようとしている。昭和天皇は、戦争に負けたにもかかわらず国体を維持しえたから、それを記念しようというのだ。これは日本ナショナリズムの政治過程への露出である」と喝破(かっぱ)しました。さらに「『日の丸・君が代』の法制化や教基法の改悪などのナショナリズムが台頭してきている。労働者は排外主義にからめ取られかねない危機にある」と指摘し、最後に「昭和天皇記念館は、現代の『御真影』になりかねない。立川は、天皇の地『聖蹟(せいせき)』として名を残し、めでたく軍都に昇格するだろう」と、「昭和天皇記念館」に反対することの重要性を訴えました。
 東京反戦共同行動委員会の結柴誠一事務局長が基調報告に立ち、「天皇の侵略戦争とアジア人民殺りくの歴史を居直り、これを『長く後世に伝えるため』と称して建設されようとしている昭和天皇記念館など許すことができない」と弾劾。さらに「立川基地を侵略出撃基地にしてはならない。基地内で苦悩する自衛官に『イラク出兵拒否』を呼びかけ、ともに闘うことを訴えよう」と提起しました。
 9・1防災訓練反対闘争への訴えに続き、全学連、自治労の労働者が決意表明に立ちました。全学連は、「記念館は、かつてのアジア侵略戦争を肯定し、それを行うためのものだ。イラクに派兵される自衛官に天皇のために、国のために死ねと強制するものだ」と弾劾しました。自治労の労働者は、「軍都・立川の復活を許すな」「ヒロヒトの戦争犯罪をはっきりさせなければならない」「自治労は21世紀宣言で階級的労働運動を投げ捨てようとしている。これと対決し闘う」と発言しました。
 集会の後、台風をついて自衛隊立川基地が隣接している「昭和天皇記念館」建設用地に向けてのデモに立ちました。「侵略戦争のための『昭和天皇記念館』建設反対!」「自衛官はイラク出兵を拒否し、ともに闘おう!」とシュプレヒコールし、この日の闘争を貫徹しました。
 (投稿/三多摩 T・K)

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週刊『前進』(2115号4面3)

横須賀 08年母港化阻止を 労働者3000人が結集

 8月11日、神奈川県横須賀市のヴェルニー公園で新たな世界戦争情勢下、原子力空母の母港化抗議の怒りあふれる集会が開かれた。三浦半島地区労と神奈川平和センターの主催で、3000人の労働組合員が結集した。(写真)
 神奈川労組交流センターは、イラクへの自衛隊大部隊の派兵阻止と、新たな階級的労働運動の大発展をかちとる宣伝を行い、大きな共感を得た。
 3・20イラク開戦で米軍基地は世界戦争の出撃基地として強化され、フル稼働し変貌(へんぼう)しようとしている。
 横須賀基地の12号バースの延長工事と08年原子力空母の配備攻撃、厚木基地の殺人的爆音と新型戦闘機FA18Eスーパーホーネットの今秋配備、逗子・池子の米軍住宅新設、ノースドックへの艦船増加、相模総合補給廠からの大量のPCB搬出など、一連の攻撃が恐るべき勢いで進んでいる。
 8・11集会では、73年ミッドウェー母港化以来の30年と、今年、イラク人民をトマホークミサイルで殺戮(さつりく)した血塗られたキティホークの5月帰港を徹底的に弾劾した。
 主催者を始め、北海道や東京などの平和センター代表、厚木と横須賀で基地と闘う代表が発言に立った。
 「原子力空母の08年母港化は、爆音被害に加えて、搭載原子炉による放射能事故の危険性を受忍させるものです。横須賀と東京湾に新たな原発の立地にも等しく、首都圏住民に大きな不安を与えるもので、断じて許されない」(集会宣言)
 「平和は労働者市民が自らの闘いでつくるものです」「盆明けに12号バースの工事が始まる。03〜08年を5年間決戦として母港化を阻止しよう」「今までの横須賀闘争の規模を拡大し、単組と市民運動も加え、関東・全国規模の闘いをつくり出そう」など、緊迫感のある発言が行われた。

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週刊『前進』(2115号4面4)

8・15労働者市民のつどい 新たな国際連帯が実現

 長雨と冷夏の中で迎えた8・15。この日、石原都知事や閣僚は平然と靖国参拝に向かった。有事法制、イラク派兵法が成立し、日帝は戦争責任も果たさないまま新たな侵略戦争に踏み込んでいる。この暗雲を吹き飛ばす8・15集会が東京・池袋で開かれた。まさに太陽を呼び戻すエネルギーあふれる集会だった。
 東京・池袋にある豊島区民センターで開かれた「ブッシュの戦争 日朝人民の連帯 8・15労働者市民のつどい」。「戦後50年を問う」実行委主催のこの集会も今年9回目を迎えた。会場いっぱいの360人が集まった。
 葉山岳夫弁護士が「絶望はまったくおろかな誤りだ。万国の労働者団結せよのスローガンは今日ますます明らかだ」と堂々たる開会あいさつを行った後、恒例の松元ヒロさんのコント。参加者を自衛隊員に見立て、上官役のヒロさんが「私は定年だから行けないが、イラクに行けば1日あたり1万5千円の手当が出る。危険だから手当が出るんだね。死んだら1億円、でも自分で使えるわけではないし、大金に喜ぶ家族の顔を見ることはできない」−−コントの中からシリアスな現実が迫ってきた。
 新潟日報記者で人権と報道・連絡会の片桐元さんが「7月29日の朝鮮総連への銃撃事件などは北朝鮮敵視政策が導いた結果だ。拉致報道を検証し、問題を見極めなければならない」と指摘した。
 韓国の民主労総ソウル地方本部副委員長のキムチャンソプ氏が登場した。「闘争(トゥジェン)!」「有事立法反対する!」とこぶしを突き上げたキムチャンソプ氏は、「どんな闘いも最初は厳しいが、一回道が開かれれば容易になります」と話を始めた。
 まず「58年前に日米帝に殺された朝鮮と日本の民衆、獄中同志、そして無残に殺されていったアフガニスタンやイラクの子どもたち、米軍車両にひかれて死んだ女子中学生のために黙とうを捧げよう」と呼びかけた後、「70年チョンテイル烈士の焚身(ふんしん)によって芽生え始めた民主労組運動は、87年労働者大闘争をとおして巨大な流れとなり、ついに95年に民主労総を建設した」と歴史をたどり、貨物連帯や鉄道労働者、全教組の闘いなどを紹介、「現在、民主労総が最も重心を置いているのが非正規職差別撤廃闘争で、ここに組織の死活をかけています」と報告した。
 そして「アフガニスタン、イラクへの侵略戦争にあきたらず、アメリカは北を侵略の対象にしたようです。日本の軍国主義もそれを口実に有事法制をつくり、いつでも侵略戦争ができる準備をしました。もしも韓半島で戦争が起きたら、核戦争を含む世界戦争となる可能性さえある」と訴え、「最後の希望は世界の労働きょうだいと、平和を守ろうとする民衆です。民主労総60万労働者は、全世界の労働者と連帯しアメリカと日本の軍国主義に対し戦争を阻むための闘いを展開します。われわれと連帯し、韓半島での戦争を阻みましょう」と力強く結んだ。民主労総の燃えるようなアピールに連帯の拍手が巻き起こった。
 陸・海・空・港湾労組20団体から航空労組連絡会の村中哲也副議長が登壇した。「千人もの自衛官をイラクに派遣するとなれば民間航空が利用される局面となる。人の命を守る労働者として立ち上がり、抵抗する。有事法制の成立を阻止することはできなかったが、力いっぱい闘い、貴重な成果を得た。熱く呼びかけられたキムさんに20労組として責任をもってこたえたい」と鮮明に語った。
 続いて動労千葉の田中康宏委員長が立ち、03春闘ストライキと、その成果の上に実現した訪米を報告し、「アメリカも韓国も日本も直面している労働者の課題は同じだ。戦争と雇用と弾圧との闘いこそが求められている」と、11月に労働者の国際連帯を実現しようと呼びかけた。
 有事法制に反対する在日朝鮮人が「有事法制は朝鮮有事を準備するものだ」と訴えたのに続き、国労組合員、反戦自衛官、弁護士、戦争体験者や高校生、多彩な人びとがそれぞれの立場から反戦を訴えた。闘いのエネルギーがぐっと凝縮されているのを実感した。
 最後に、平和遺族会全国連絡会事務局長、百万人署名運動事務局長として奮闘している西川重則さんが、「強く願っていた国際連帯の8・15であった」とまとめ、四度目の靖国神社参拝を行った「石原慎太郎東京都知事に対する抗議声明」を提案した。「人民のみが戦争を止めることができることを、ここに宣言して、国際連帯の下、新たな戦いへの決意を表明する」と結ばれた声明を全参加者の拍手で承認した。団結ガンバローの声が世界に届けとばかりに響きわたった。
 (投稿/山岸いずみ)

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週刊『前進』(2115号4面5)

“今すぐここから撤兵を” 米軍兵士が父親に手紙

 米英帝のイラク侵略戦争と軍事占領・植民地支配に対してイラク人民は激しく闘い抜いている。戦争が泥沼化する中で開戦理由のデッチあげなど、侵略戦争の不正義性が暴かれ、米英帝の危機が深まっている。また米兵の犠牲が増え、厭戦(えんせん)気分や撤兵要求が高まっている。息子がイラクに派兵されている父親が、米地方紙に送ったメールを紹介します。(編集局)
 私の息子は米陸軍に所属し、現在バグダッドに駐屯しています。息子からは3、4日ごとにメールが届きます。彼は、あの地で戦うために出征した大部分の若者たちと同様、ブッシュ大統領がどうしてもやらなければいけないと訴えた仕事をなしとげることに誇りを感じていました。
 その息子の気持ちが、先月ひと月のあいだにまったく逆転してしまったのです。最初は、「どうしてぼくら兵士がもっと楽にすごせるように、軍はあれやこれやらないのだろう」というようなことを書いていました。しばらくすると、ひどい生活環境で苦しんでいるイラクの人びとを助けるために、軍はどうしてもっといろんなことをやらないのだろう、といぶかりはじめました。水も食糧も足りず、ほとんど一日中停電で、医薬品も医療スタッフも恐ろしく不足して、イラク人はほとんど動物のような生活を強いられているのに、と。
 そのあと息子は、現地のわが軍の安全を心配するようになりました。彼によると、殺された家族の復讐を心に誓っていたり、自分たちが置かれた惨状の責任がアメリカにあると思い込んでいたりするイラク人にとって、米軍兵士は難なく狙える格好の標的になっているというのです。ところが昨日の手紙は、内容が一変していました。
 「ぼくらを今すぐここから撤兵させてほしい! イラク人の心をしずめるには彼らの国から引き揚げ、彼らの望むやり方で秩序を回復させるしかないんです」
 「かかって来い」(注)という乱暴なブッシュ大統領の言葉を聞いたとき、息子が感じたことを、そのまま皆さんに伝えさせてください。彼はこう書いてきました。
 「自国の大統領ともあろうものが、ぼくらをわざわざ攻撃にさらすような発言をしたことに、ぼくを含めて部隊は一人残らず深く心を傷つけられました。あんな無責任な言葉を吐いたために、ブッシュ大統領はぼくが話しかけたどの兵士からも敬意を失ってしまいました。あの言葉は燎原(りょうげん)の火のように全部隊に広がりました。ぼくらがここにいるのは、大統領に行けと命令されたからです。でも今回、大統領が自国兵士への暴力を招くようなおろかな発言をしたことで、ぼくらは大統領と大統領の判断力を尊重できなくなってしまったのです。
 ぼくらは、そもそもここへやって来るべきではなかったのだということを理解しはじめています。わかってください父さん、ぼくの気持ちはもう完全に前とは変ってしまいました。大統領が金持ちには減税をし、軍人家族には何もしてくれなかったという事実は、骨身に沁(し)みます。敵を打ち負かすことに、これまでは誇りと満足を覚えたものですが、今はそのことに悔恨と恥ずかしさしかありません。アメリカに神のご加護がありますことを」
(TUP速報より転載)
【注】7月2日、米兵襲撃について聞かれて語った。

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週刊『前進』(2115号4面6)

日誌'03 8月13日〜19日
 バグダッド国連本部に自爆 防衛大学長「日本核武装も」

●F15から照明弾落下 沖縄県の米軍嘉手納基地で、離陸態勢に入ったF15戦闘機から訓練用照明弾(フレアー)が落下した。02年4月にも落下事故発生。(13日)
●米軍、リベリアへ上陸 西アフリカ・リベリア沖に展開していた米海兵隊第26遠征部隊や米海軍の特殊部隊(SEALS)など約2300人のうち約300人が、テーラー前大統領の国外退去を受け、リベリアに上陸、首都モンロビアに展開した。(14日)
●防衛大校長「日本の核武装にも」 防衛大学校の西原正校長が米ワシントン・ポスト紙に寄稿し、米国が北朝鮮と不可侵条約を結べば、日米安保条約と矛盾すると指摘し、「在韓米軍の撤退につながるだけでなく、日本の核武装を正当化することになるかもしれない」と述べた。(14日)
●4閣僚が靖国参拝 鴻池防災担当相、亀井農林水産大臣、谷垣国家公安委員長、平沼経済産業相の4閣僚が靖国神社に参拝した。塩川財務相と片山総務相は14日までに参拝した。小泉首相は今年1月に参拝。(15日)
●沖縄県の環境調査を司令官が拒否 沖縄県具志川市の米軍キャンプ・コートニーのクレー射撃で海域が鉛に汚染された問題で、沖縄県が求めた環境調査のための施設内立ち入りを現地司令官が拒否した。海兵隊外交政策部(G5)を通して文書で回答。(15日)
●デンマーク兵が初の死者 イラク南部バスラで展開中のデンマーク軍部隊がイラク人と銃撃戦となり、デンマーク兵1人とイラク人2人が死亡した。イラクで米英軍以外の外国正規軍の兵士が殺害されたのは初めて。デンマーク軍は、バスラ近郊に約400人が駐留している。(16日)
●小泉「拉致問題、6者協議で主張」 小泉首相が、8月27日から始まる北朝鮮の核開発問題をめぐる6者協議について、「日本は拉致問題という各国にない問題を抱えている。核の問題に焦点があたると思うが、日本としての主張は、はっきり主張したい」と述べ、拉致問題を提起する考えを示した。(17日)
●「自民、2年後に改憲案」山崎 自民党の山崎幹事長が、「自民党は立党の精神がそこ(改憲)にあると判断している。できれは立党50周年を迎える05年11月までに自民党の改憲案をまとめて世に問うことができればと考えている」と述べた。(17日)
●米韓合同演習始まる 米韓両軍が、コンピューターによるシミュレーションを中心とした合同軍事演習「乙支(ウルチ)フォーカスレンズ」を開始した。8月23日まで行われる。(18日)
●臨検演習、9月に実施 米国務省のバウチャー報道官が、ブッシュ大統領が提唱するミサイルや大量破壊兵器の拡散を防止する「拡散防止構想(PSI)」に基づいて、船舶臨検など多国間演習を9月にオーストラリア沖の西太平洋で実施すると発表した。米国や日本など計11カ国が参加する見通し。(18日)
●普天間で騒音3倍増 沖縄の米軍普天間飛行場周辺で、航空機による騒音発生回数が前年度に比べ大幅に増えていることが、沖縄県文化環境部の02年の測定結果で分かった。同飛行場周辺の宜野湾市新城地区は、1日の平均騒音発生回数が01年度の24・6回から3倍以上の77・3回に増えた。(18日)
●米軍用地11施設を暫定使用 米軍用地の強制使用問題で那覇防衛施設局は、9月3日で使用期限が切れる伊江島補助飛行場など9施設の一部土地について初の担保提供(供託)手続きをした。改悪米軍用地特措法に基づき6カ月間の暫定使用が認められる。(18日)
●バグダッド国連本部で爆発 バグダッドにある国連の現地本部事務所が入っている旧カナル・ホテルで爆発があり、多数の死傷者が出た。(19日)

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週刊『前進』(2115号5面1)

「労働者の団結」削除した日本共産党
 新綱領は労働運動を圧殺し資本家に忠誠誓う大裏切り スターリン主義の破産の帰結

 日本共産党は、11月22日に第23回党大会を開き、これまでの94年綱領を全面改定し、新たな綱領を採択しようとしている。新綱領は本紙2109号の高田隆志論文で批判したとおり、戦争と大恐慌の時代が到来する中で日本共産党が闘うことを一切放棄し、労働者階級の闘いに敵対し、帝国主義の危機の救済者として登場する歴史的「宣言」である。闘う労働者人民の前で味方のように装いながら、実は権力・警察、資本家階級に屈服し、闘いを抑えつける日本共産党スターリン主義との対決は重要なテーマである。

 労働者と被抑圧民族の国際的団結を抹殺

 新綱領案の批判に入る前に、今、私たちはどのような時代に生きているのか、人間として、労働者階級として、どのような生き方、闘い方が歴史の要請となっているのかをはっきりさせたい。
 時代はまさに、資本主義体制(帝国主義体制)の完全な行きづまりを示しており、帝国主義の基本矛盾が帝国主義間争闘戦の激化、戦争、恐慌として爆発を開始している。
 戦争と大恐慌の時代は、同時に全世界の労働者階級と被抑圧民族の反帝闘争、反戦・反植民地闘争が爆発し、革命的情勢が本格的に成熟していく時代である。これは「この先こうなる」という予測や願望ではなくて、この間の全世界2千万人民のイラク反戦同時決起や、被抑圧民族の武装解放闘争、米欧日や韓国・アジアの労働者人民の闘いの高揚が現に示している事実である。
 今や、帝国主義がもたらすあらゆる災厄、反動、暗黒、生活破壊から人類が真に解放されるためには、帝国主義の打倒=プロレタリア社会主義革命を完遂し、共産主義への展望を切り開いていく以外にいかなる道もない。このことをはっきりさせて闘うことこそが、一切の展望を切り開く基礎なのである。
 今こそ全世界の労働者階級と被抑圧民族が交流し、団結し、共同の敵=帝国主義を打倒する闘いへと前進することが必要なのだ。その闘いは、日本でも全学連の闘いや動労千葉の訪米―国際連帯闘争の前進など、確実に前進している。
 今、私たちが生きている時代は、このような世界史的大激動の時代だ。
 この中で日本共産党は、ソ連スターリン主義の崩壊によって、「世界革命の放棄と一国社会主義論」を本質とするスターリン主義という自己の存立基盤が崩壊し、党勢の衰退など深刻な危機を深めている。危機の中で帝国主義への屈服を深める日本共産党は名実ともに「革命」の旗を降ろし、資本家階級にすり寄ることで、なんとか生き延びようとしているのである。それは、帝国主義の最後の番兵として労働者階級・被抑圧民族の闘いへの闘争圧殺者として登場することを意味するのだ。これが今回の綱領大改定の本質である。
 さて、今回の新綱領案の特質は、純形式的には94年改定の現綱領にある民主主義革命→社会主義的変革(改良)〔社会主義・共産主義社会へ〕という展開をかすかに残しているが、革命にあたる内容は、ほとんどゼロ的に希薄化してしまっている。
 日本共産党が全力をあげるのは、資本主義の枠内の民主的改革に百パーセント純化されている。「社会主義革命」という言葉は「社会主義的変革」に変えられ、それもきわめて漸進的な進歩の過程のなかで、いつの間にか「生産手段の社会化」が実現されていくという、でたらめなものになっている。

 綱領から「労働者階級」を追放

 新綱領の批判すべき点は、安保・自衛隊・天皇制の容認、レーニン帝国主義論の解体、でたらめな共産主義論など多岐にわたる。ここでは〈労働者自己解放闘争への敵対>という点に絞って批判する。
 日本共産党が完全に労働者の敵に転落したことを示す第一の点は、労働者階級の解放闘争や労働運動、労働組合運動の闘いの課題をほとんど百パーセント抹殺したことである。
 その象徴的な事実は、新綱領が「万国の労働者と被抑圧民族団結せよ」の国際連帯のスローガンをついに引き下ろしたことである。
 日本共産党の歴史においてインターナショナルの魂はとっくの昔に踏みにじられていたとはいえ、形だけは残してきたこのスローガンが、新綱領でばっさりと削られたのだ(別掲参照)。また、「労働者階級」という言葉も、積極的な主張としては抹殺された(現綱領では8回出てくるが、新綱領では2回のみ)。
 さらに、現綱領の「党は、すべての労働者の団結権、ストライキ権、団体交渉権を確保し……合理化、首切り、低賃金、労働強化に反対し……最低賃金制と労働時間の大幅短縮、非人間的な過密労働の規制……」という文言がきれいさっぱり削除された。
 これは、日本共産党が名実ともに「労働者階級の党」であることをやめ、国際主義に敵対し、日帝国家権力・資本家階級と協調する政党に転落・純化したことの表明である。「日本国民の党」が実践的に意味するものはこれなのだ。
 また新綱領は、全世界の労働者階級・被抑圧民族との団結の旗を降ろしたばかりか、それに敵対する規定を新設した。
 「一般市民を犠牲にする無差別テロにも報復戦争にも反対し、テロの根絶のための国際的な世論と共同行動を発展させる」
 日本共産党が現在、「テロ」といって非難しているものは、具体的には何か。それは2001年9・11反米ゲリラ戦であり、パレスチナ人民の反米帝・反イスラエルの民族解放闘争であり、現に今イラクで火を噴いているイラク・中東人民の反米帝・反占領の武装抵抗闘争である。
 イラク人民の米英占領軍、およびその手先=国連に対する武装闘争は、「テロ」と言って非難されるべきものなのか! 米英帝のイラク侵略戦争・軍事占領こそ一切の元凶であり、これに対する抵抗は、正義の解放闘争である。ところが日本共産党は、こうした被抑圧民族人民の闘いを「テロ」と言って、帝国主義者と一緒になって非難するのだ。
 そうして、帝国主義侵略戦争を「テロ根絶のための闘い」として擁護し正当化していくものである。

 「資本主義の枠内」論で帝国主義の番兵に

 日本共産党が完全に労働者の敵に転落したことを示す第二の点は、「社会主義革命の放棄」宣言であり、「資本主義の枠内での民主的改革」宣言である。それは、次のように宣言された。
 「現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破――日本の真の独立の確保と政治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である。それらは、資本主義の枠内で可能な民主的改革である……」
 日本共産党はこのように、資本主義が歴史的に完全に行きづまり、帝国主義打倒、社会主義革命が問題となっているこの時に、わざわざ「社会主義革命ではなく」と宣言した。そして、民主主義革命という言葉は皮一枚だけ残っているが、それは「資本主義の枠内での民主的改革」のことであるとしたのである。
 「資本主義の枠内の民主的改革」路線の打ち出しは今回が初めてではない。97年の第21回大会で決議したものである。それを今回、党の綱領としてすべてに優先する絶対的命題とした。
 新綱領は、さらに次のように言っている。
 「『ルールなき資本主義』の現状を打破し、労働者の長時間労働や一方的解雇の規制を含め、ヨーロッパの主要資本主義諸国などの到達点も踏まえつつ、国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』をつくる」「大企業にたいする民主的規制を主な手段として、その横暴な経済支配をおさえる」
 94年綱領改定=不破路線の確立以降、日本共産党は屈服に屈服を重ねてきた(年表参照)。「枠内」路線を定式化した97年以降は不破議長や志位委員長が経営者団体の会合にしばしば顔を出して講演し、資本家どもに頭を下げ回ってきたのである。連合・御用組合のダラ幹どもと少しも変わらない振る舞いであり、「労働者の党」とは到底言えない裏切り路線を実践してきたのだ。
 不破議長は98年12月の大企業経営者を前にした講演で次のように語った。
 「よく、『共産党は大企業を敵だと思っているのではないか』という方がいますが、私たちは、そういう立場ではありません。私たちの改革では、大企業の横暴、特権のいびつさを直そうというのが目標で、日本経済で大企業が果たす役割は否定しないし、経済のまともな発展の一翼を担ってほしい、と考えています」
 これこそ、新綱領全体を貫く日本共産党の考え方だ。当時、資本家階級は、日経連の95年「新時代の『日本的経営』」路線に基づき、リストラ=首切りと大幅賃下げ、能力主義による労働強化と団結破壊、終身雇用制破壊・不安定雇用化という、歴史的な大攻撃に踏み込んでいた。そのさなかに、不破議長や志位委員長は、「大企業は敵ではない」「日本経済で果たす役割は否定しない」「経済発展の一翼を担ってほしい」などと、資本家どもにすり寄っていたのだ!
 これは、言い換えれば「大企業を敵と見なすような労働者の闘いは否定します」「資本主義を否定する労働運動は絶対に阻止します」と、資本家どもに誓ったということなのだ。

 資本主義への限りない幻想

 日本共産党の「資本主義の枠内での改革」「ルールある経済社会」論は、資本主義についての労働者の階級的・科学的認識と実践に敵対する実に反労働者的な主張である。
 第一に、「異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配」こそが問題であり、民主主義勢力が政権を握って経済政策を転換すれば資本主義の枠内で解決する、というのは、デマゴギー以外の何ものでもない。資本主義の発展そのものが行きづまり、体制存亡の危機を深めていることを覆い隠す反動的主張である。
 日本共産党は、日帝経済の危機と諸矛盾が帝国主義としての戦後発展の必然的結果であり、世界の帝国主義体制全体の行きづまりの一環であること、つまり資本主義=帝国主義の基本矛盾の爆発としてあることを、帝国主義世界経済の現段階を踏まえて解明せずに、問題をきわめて表面的な次元にそらしている。
 第二に、「日本の現状はきわめて異常」「ヨーロッパなどで常識となっているルールがいまだに確立していない」と、日本資本主義の現状がなにか特殊な例外であり、「世界の資本主義」はもっとましだと言っている。「ヨーロッパの主要資本主義諸国などの到達点なども踏まえつつ」などというが、日本と同様、多くの労働者が失業、不安定雇用化、賃下げ、社会保障解体攻撃にさらされているヨーロッパの資本主義が「ルールある経済社会」の模範だとでもいうのか。
 そもそも「横暴」とか「大企業の利益優先の経済・財政政策」「ルールなき資本主義」などという日本共産党の「資本主義批判」は、なんら科学的・階級的な批判ではなく、小ブルジョア的な道徳主義的非難である。
 いったい、「利益優先」でないような資本主義、「大企業の利益を優先」しないような資本主義国家(=ブルジョア独裁の国家)がありうるだろうか。
 日本共産党は「利益優先」をやめろと言うが、「利益優先」=剰余価値の搾取こそが資本制的生産の規定的目的であり、資本家を駆り立てる唯一の動機ではないのか。
 今日において「ルールある経済社会」ということを、「利益優先」ではなく、また大企業が独占的位置を占めない資本主義という意味にとるなら、そんな資本主義はこの世の中には存在しないのだ。
 第三に、「ルールある経済社会」論の実践的帰結は何か、ということである。
 日本共産党は6月、「解雇ルールの法制化」と称して、労働者保護法制であるべき労働基準法に、「資本による解雇権」を明記する大改悪に民主党・連合と一緒になって賛成した。資本家の都合で労働者の首を切り、路頭に放り出す権利を初めて承認したのだ。「乱用はいけない」などというのは、首切りのなんの歯止めにもならない。
 日本共産党は、99年には「日の丸・君が代」の法制化=ルール化を提案し、「日の丸・君が代」反対闘争を闘っていた教育労働者、人民に真っ向から敵対した。
 なんのことはない。「ルールある経済社会」論の正体は、次々と資本家階級の攻撃に屈服し、労働者の闘いとってきた権利と闘いの地平を売り渡し、労働者階級を、永遠の賃金奴隷の地位におとしめるだけのことなのだ。

 「国民合意の社会主義的変革」などあるのか

 日本共産党が完全に労働者の敵に転落したことを示す第三の点は、いっさいを議会での多数の獲得のための闘いに限定し、ブルジョア議会主義を絶対化していることである。プロレタリア革命こそが社会を変革する闘いだという根本思想を否定しているのである。
 日本共産党は結党以来これまで、スターリン主義的な一国社会主義論と二段階革命論を掲げ、社会主義革命を実質的に否定してきた。だが今度の改定は単純にその延長ではない。「民主主義革命」が社会主義革命につながることは、もはや百パーセント完全にあり得ないということを打ち出している。「民主主義革命」もなんら「革命」ではなく、資本主義を良くするための改革でしかないということなのだ。
 ではその次に訪れてくるはずの社会主義についてはどう言っているか。
 「社会主義的変革は、短期間に一挙におこなわれるものではなく、国民の合意のもと、一歩一歩の段階的な前進を必要とする長期の過程である」「国会の安定した過半数を基礎として、社会主義をめざす権力がつくられることである。そのすべての段階で、国民の合意が前提となる」
 このように、次の発展段階への移行は、すべて議会制民主主義のルールに従って、議会の安定多数の議決と「国民の合意(これは当然に資本家階級も含む!)」によって行われるのであるとしている。
 資本主義が体制的危機を深め、プロレタリア革命によって打倒される以外になくなっている段階(まさに今だ!)において、資本主義体制を断固擁護することが民主主義的変革に立つ者の任務だと主張しているのだ。このような日本共産党の「変革」論は、完全なプロレタリア革命の否定論である。
 だいたい資本主義の廃止は、労働者階級が資本家階級の了承を得てやるものなのか。資本主義社会とは、資本家階級が労働者階級からできるだけ多くの剰余価値を搾取することに死活をかけた社会である。だからたえず労働者の反乱を恐れ、暴力的に抑えつけてくる。賃金・労働条件・諸権利をめぐるささやかな要求に対しても、国家権力という暴力装置(法律、役所、議会、裁判所、警察、軍隊など)をフルに使って攻撃をかけてくる。この資本家階級が「納得ずく」で支配を投げ出すことなど、絶対にありえないことだ。
 革命とは、被抑圧階級が階級支配の機関である国家機構を暴力的に打ち砕き、自ら権力を握って資本家の生産手段を奪取し、社会と生産の主人となり、新しい社会の建設を開始する壮大な事業である。現在の社会関係、階級関係を根底からひっくり返す、世界史の一大跳躍点なのだ。「国会の過半数を基礎として、社会主義をめざす権力がつくられる」というのは、まったく無責任なデマゴギーであり、プロレタリア革命の世界史的・人類史的な意義を完全に否定するものだ。

 闘う労働者は革共同と共に

 日本共産党の今日の路線と新綱領の中身は、たしかにきわめて改良主義的かつカウツキー主義的なもので、一見ふやけたものではある。だが、階級闘争の激動的発展の中で果たそうとしている役割は、きわめて悪質であり、スターリニスト的本質に貫かれた組織された反革命である。しかも国労5・27臨大闘争弾圧での日共・革同のように、権力と一体化することをまったく恥ずかしいとも、やってはならない階級的裏切りだとも感じない感性を持つ反革命である。
 労働者階級の敵=日本共産党スターリン主義を打倒しよう。闘う労働者人民は革共同に結集し、反帝国主義・反スターリン主義世界革命へともに闘おう。
 〔高村 晋〕

 91年のソ連崩壊後の日本共産党

91年1月 アメリカのイラク侵略戦争を「侵略戦争ではない」「(国連決議に基づいた)不正義を制裁する戦争」と支持
94年7月 20回大会、不破路線を確立。ソ連スターリン主義崩壊で綱領全面改定
97年9月 21回大会、「資本主義の枠内での民主的改革」論。宮本議長引退、不破議長、志位委員長に
98年9月 「暫定政権では安保廃棄を凍結(=安保に反対しない)」と打ち出す
  12月 不破が東証一部上場企業の経営者や労務担当を前に、「資本主義を守る」と講演
99年2月 「『日の丸・君が代』=国旗・国歌の法制化」を提案
  3月 「不審船」事件で、海上保安庁の威嚇射撃を「当然ありうること」と支持。「北朝鮮の脅威」をあおる排外主義宣伝
  6月 不破インタビュー「有事の際には自衛隊を使う」と発言
  9月 不破ら日共代表団が東南アジア歴訪。「野党外交」と自慢  
  11月 22回大会、「有事の自衛隊活用」論で改憲派に転落。党規約を全面改定し、「日本国民の党」規定
01年9月 9・11反米ゲリラ戦を非難、各国首脳に「テロ根絶」を呼びかける書簡。侵略戦争のための海上保安庁法の改悪に賛成
02年11月 「大量破壊兵器」を口実にイラクに屈服を迫る国連安保理決議を支持
03年6月 労働基準法改悪で、資本の「解雇権」を認める改悪に協力

 「労働者と被抑圧民族の団結」を削った!

 ■現綱領
 党は、「万国の労働者と被抑圧民族団結せよ」の精神にしたがって、労働者階級をはじめ、独立、平和、民主主義、社会進歩のためにたたかう世界のすべての人民と連帯し、人類の進歩をめざす闘争を支持する。
 ↓
 ■新綱領案
 日本共産党は、労働者階級をはじめ、独立、平和、民主主義、社会進歩のためにたたかう世界のすべての人民と連帯し、人類の進歩のための闘争を支持する。

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週刊『前進』(2115号5面2)

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第5部 アジア・太平洋侵略戦争(1)
 「大東亜共栄圏」の実態 広大な地域の人民を犠牲に 資源略奪を狙う

 第5部では、日帝が台湾・朝鮮の植民地支配、中国への全面侵略戦争に続いて、米英帝国主義との戦争に突入し、東南アジア・太平洋諸島に対する侵略戦争を展開した歴史を振り返ってみることにしたい。
 日帝のアジア侵略戦争について、「日本は欧米の植民地支配のもとにあったアジアの独立に寄与した」として、その歴史を美化しようとする者がいる。
 だが、これは盗人たけだけしい暴論だ。日帝自身が台湾、朝鮮を植民地支配し、すべてを奪い去り、独立を求めて闘う人民に対してはあらゆる弾圧を加え続けたではないか。
 では、当のアジア・太平洋での日帝の攻撃はどのようなものだったか。
 日帝の中国侵略戦争をめぐって米英帝国主義との対立が強まる中で、ヨーロッパで第2次世界大戦に向かっての動きが進行した。これに便乗して日帝は連合国側のアジア植民地を勢力圏下に置こうとする策動を強めた。38年12月、第2次近衛内閣が「東亜新秩序」を「基本国策」として掲げた。これに対応して生まれたスローガンが「大東亜共栄圏」である。
 しかし、これはアジアの人民の解放どころか、日帝が戦争を続けるために、石油、ゴム、ボーキサイトなどの重要資源や米などの食糧を確保することが目的だった。
 中国侵略戦争に行き詰まった日帝は、「援蒋ルート(重慶の蒋介石政権への英米の物資援助ルート)」を断つと称して、侵略戦争をさらに拡大、39年2月に中国の海南島を占領し、40年9月に当時フランスの植民地だったベトナムの北部への侵略(「北部仏印進駐」)に踏み出した。これは、フランスがドイツに占領されたことに乗じた「火事場泥棒」的なものであった。41年7月、日帝は南部ベトナムに侵略を拡大した。

 対米英蘭の戦争

 同年12月8日に始まった太平洋戦争は、ハワイに対する奇襲であったばかりでなく、東南アジアに対する同時攻撃であった。
 同日未明、パールハーバー攻撃よりわずかに早く日本軍はイギリス領のマレー北部のコタバルでイギリス軍と戦闘、上陸の後、イギリスの海軍根拠地であるシンガポールに向かい、翌年2月、シンガポールを占領した。同じくイギリスの拠点であった香港も攻撃し、41年12月25日に占領した。42年1月にタイ国境を越えてイギリスの植民地だったビルマ(ミャンマー)に侵入した日本軍は、3月8日、イギリス軍を破ってラングーン(ヤンゴン)を陥落させた。42年1月14日にはオーストラリアの委任統治領・ニューブリテン島ラバウルを占領した。
 アメリカの植民地だったフィリピンに対しては、12月8日、空からルソン島のマニラをまず攻略、米軍と激しい交戦の後、年内に上陸、翌42年1月2日にマニラを占領した。また、米軍のいたグアム島も開戦直後の12月10日に占領した。
 また、オランダ領だったインドネシアに対しては、石油資源を略奪するために攻略を図った。12月16日、北ボルネオ上陸を突破口に次々と侵略した。
 こうした日帝の動きは、ヨーロッパにおけるナチス・ドイツの初期的優勢、フランスを占領しイギリスを脅かすという動きと連動していた。日本は、40年9月に日独伊三国同盟を締結し、まさに帝国主義世界大戦の一環としてアジア侵略戦争に突入していったのだ。ヨーロッパの戦況は、アジアの戦況に密接に関連していた。日帝はヨーロッパの宗主国の支配力が弱体化した南方諸国に矛先を向けたのである。
 こうして日本軍は、東はビスマルク諸島から西はビルマまで、北はアリューシャン列島から南はチモール島まで、広大な地域を占領し、それぞれの地域に軍政部を設立して占領行政体制を確立した。
 日本は東南アジア各地を実際に占領したが、その支配は過酷な軍政か反動的なカイライ政権を通じて行われ、戦争遂行のための物資と労働力の一方的な収奪に終始し、「共栄圏」の美名とはまったく別のものだった。例えば、インドネシアでは「ロームシャ(労務者)」として、ジャワ島から30万人もの人民が島外に強制連行され、ビルマなどの鉄道や飛行場や道路建設に従事させられた。戦後も多くの人が置き去りにされたのである。インドネシアやフィリピンなどで多くの女性を軍隊慰安婦にして辱めた。また、日本軍政下で、日本語教育や神社参拝などが強要された。

 敗勢深めあがき

 開戦直後は日本軍が「優勢」に見えたが、42年6月のミッドウェー海戦の敗北を境に日本の優勢は失われ、それ以後、ガダルカナル、サイパンなどを失い、日本軍は敗勢を深めていくのである。
 43年11月、東京で「大東亜会議」なるものが開かれたが、出席したのは「満州国」、中国の汪兆銘のほか、タイ、フィリピン、ビルマのカイライ政権だった。「大東亜各国は相提携して大東亜戦争を完遂し大東亜を米英の桎梏(しっこく)より解放して自存自衛を全う」すると、日帝の戦争を合理化し、戦争を継続することをうたった「大東亜共同宣言」を発表した。だが、それは軍事的な敗北を政治的に取り繕おうとする、しかも追い詰められて後からこじつけ的に自己正当化を図り、侵略を「解放」と言いくるめるもので、もはや成算のないあがきにすぎなかった。
 日本軍のアジア侵略は、中国侵略戦争の延長・拡大であり、規模は違っても南京大虐殺を各地で再現していく暴虐の歴史だった。
 日帝の占領支配に対して諸民族の不満と敵意が高まり、各地で武装抵抗闘争が闘われた。特に対米英戦の戦局が日本に不利になる中で、このような戦いが強まり、それが日本敗戦後の独立闘争に発展した。フランスに対するベトナム人民の、またオランダに対するインドネシア人民の、イギリスに対するマレー人民の武装闘争、独立戦争が戦われた。それらは、日帝に対する戦いの継続としてあった。日本が独立を助けたというのは180度転倒した虚構である。
 われわれは、日帝がアジア・太平洋諸島の人民に対してどれほど大きな侵略と虐殺と収奪と抑圧を行ったのかを、しっかりと具体的に知らなければならない。それがどれほど大きな傷跡を残しているか、に無自覚であることは許されない。
 (高田隆志)

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週刊『前進』(2115号6面1)

弾圧と闘う 裁判所ゆるがす傍聴を 爆取裁判最終弁論
 デッチあげへの怒りに燃え 3同志先頭に無罪戦取へ

 迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の最終弁論公判が9月1、2、3日、東京地裁刑事第11部(木口信之裁判長)で行われる。
 須賀武敏、十亀弘史、板垣宏の3同志は昨年末の保釈奪還から息つく間もなく、この最終弁論作成に心血を注いできた。16年にわたる権力犯罪を断じて許さない! デッチあげ弾圧と超長期未決勾留に対する怒りを込めて、最終意見陳述を行う。検察立証がいかに破綻(はたん)しているのかを徹底的に明らかにし、裁判官に突きつけ、みずからの無実・無罪をかちとろうとしている。
 この連日公判を無罪判決戦取にむけた歴史的公判闘争としてかちとろう。全国から支援者も駆けつける。3同志と固く連帯して傍聴闘争に決起しよう。
 16年前、検察官は「被告人三名が本件両事件に使用された砲弾の信管を製作し、炸薬を装填(そうてん)し砲弾を完成させた。被告人三名と本件両事件実行行為者との間には共謀が存在した」として公訴提起した。しかし、弁護側の求釈明に対し、検察官は、3人が本件両事件に関与したという直接証拠はなく、間接証拠を積み重ねて立証すると主張したのである。
 だが、13年間155回にわたる公判廷の検察側立証の集大成であるはずの論告全文のどこを見ても、両戦闘と3同志の関係はなんら明らかにされていない。372nにものぼる膨大な論告全文を費やして検察が言っていることは、デッチあげストーリーとペテン的「総合評価」による「三被告犯人」説の押しつけでしかない。
 3同志は無実である。両戦闘に一切関与していない。どんな「証拠」をつぎはぎしても証明できるわけがないのだ。
 驚くべきことに、論告の文章の主語は、すべてにおいて「被告人三名」である。3同志はそれぞれに独立した主体であり、当然にも「行為」もそれぞれ独立している。ところが、検察官は「5W1H」など具体的事実を特定することができないために、「被告人三名」というひとかたまりの抽象者をつくりあげて抽象的事実を述べているだけなのである。
 さらに、検察官が「証拠」にしているのは、すべて岩手借家から不当に押収したものばかりである。ところが岩手借家は86年8月から設置されたものであり、両戦闘は86年4月と5月であることを見れば、岩手借家押収物の数カ月前の存在状況が明らかでなければ「証拠」にはならない。ところが、一切不明である。
 「共謀」についてはさらにひどい。検察官は「実行行為者は不明。事前共謀も不明」と開き直った上で、「順次、反復、継続した多数回の謀議が行われた」と根拠もなしに、勝手に想像した内容を述べているだけだ。
 さらに『前進』を読んでいたから、あるいは革命軍の構成員だから「共謀」していると、絶対に許されない暴論を吐いている。
 このようなデタラメな検察官の論告の中に、3同志に加えられた弾圧は、日帝・国家権力がロケット弾戦闘への報復として行ったデッチあげ弾圧であることが明白になっているのだ。
 3同志は怒りに燃えた最終弁論で、検察官の論告求刑を壊滅的に批判する。裁判とはかく闘うものだと3同志は被告席で仁王立ちして闘いに臨もうとしている。3同志と固く連帯して公判闘争に結集しよう。法廷をあふれ出た労働者学生の力で裁判所全体を制圧するような闘いを連日闘い抜こう。

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週刊『前進』(2115号6面2)

8・3革共同集会に寄せられた星野同志、水嶋同志のアピール

 8・3革共同集会に寄せられた星野文昭同志、水嶋秀樹同志のアピールを掲載します。
 この8月で、星野同志の獄中闘争は、まる28年となりました。星野同志は、70年安保・沖縄闘争に対するデッチあげ殺人罪による死刑求刑・無期判決と対峙し、獄中から熱烈なアピールを発しています。
 新たな「社会主義と戦争」の時代が始まった今、帝国主義打倒の根幹に、星野同志奪還の闘いが位置づけられなければなりません。ANSWER連合などの呼びかける数万、数十万人規模の反戦デモは、そのスローガンの中に必ず政治犯の救援を入れています。
 星野再審連絡会議が呼びかける11月徳島集会成功をかちとり、星野文昭同志を全国の労働者人民の総決起でとり戻そう。
 水嶋同志の裁判も重大な段階を迎えています。検察官のデッチあげを粉砕し、水嶋同志奪還、無罪戦取へともに闘おう。裁判闘争に結集しよう。(編集局)                                      

 人間解放へ圧倒的勝利の力つくろう  星野 文昭同志 徳島刑務所在監

 現在、イラク、朝鮮を焦点に進んでいる事態は、米日英はじめ帝国主義の利己的利害のためには、他民族の自決権・権利を踏みつぶして、侵略戦争−虐殺・蹂躙(じゅうりん)の限りを尽くしてもいい、同時にそのためには、国内の労働者人民の権利・生活のことごとくを踏みにじって侵略戦争に動員していく、それを黙認して良いのか、今黙っていれば、確実にそのような地獄の事態に転げ落ちていくことがはっきりしているのに、それを許してしまって良いのかが、一切の曖昧(あいまい)さなく問われているということだ。
 この事態にパレスチナ−イラク・朝鮮はじめ全世界の被抑圧民族の人民が、9・11を世界史的転換点に一層根底的に決起している。イラク反戦運動を土台に、それと連帯した、帝国主義国の労働者人民の根底的決起を実現し、全世界人民の結合した決起を実現すること。その力でイラクへの軍事占領・植民地化を即時止めさせること。朝鮮侵略戦争攻撃を阻止すること。帝国主義のあらゆる侵略戦争・被抑圧人民蹂躙を阻止し、首切り・賃下げ、生活・権利破壊−戦争動員を阻止して、帝国主義を葬り去ること。帝国主義ブルジョアジーに代わって、労働者人民が一切の生産と生活の主人公となって、その人間的力の全てを解き放って補い助け合った真の人間的生活を開花させていくこと。そこに向かって、あらゆる抑圧・妨害、恐れ、逡巡(しゅんじゅん)をのりこえて、人間的証しをかけて、人間的力を根源的に解き放ち、それを結合した力として必死につくりだしていくこと。それらが問われている。
 その要(かなめ)として全ての労働者人民の生活と苦闘の全てを自らのものとして、生き生きと受け止め、連帯・結合した力をつくりだしていくことがある。このような今日のたたかいそのものへの日帝をはじめとした弾圧、その極限的な星野無期弾圧とのたたかいを自らのたたかいとしてたたかいきり勝利することが、今日問われている。反戦−人間解放への連帯・結合した力をつくりだす獄中・家族を支え、星野−国労はじめあらゆる弾圧にうちかち、人間解放へ圧倒的勝利の力をつくりだそう。共にたたかおう。(71年11・14沖縄返還協定批准阻止・渋谷暴動闘争戦士。デッチあげ殺人罪で無期懲役、異議審闘争中。獄中28年)

 全逓労働者こそが動労千葉に続こう  水嶋 秀樹同志 東京拘置所在監

 日帝のイラク派兵・北朝鮮侵略戦争への突入と対決し、百万人決起を作り出し、「連帯し、侵略を内乱へ」を実現しよう。
 そのためには、誰もが自分の職場・産別の組合を、第2の動労千葉に変えなければならない。動労千葉の3月ストは「内乱へ」の第一歩、いや内乱の開始そのものだ。だから、われわれ全員の目標であり、米英の新潮流運動の目標なのだ。
 『前進』とマルクス主義基本文献学習シリーズを武器に、組合員の「許さない会」会員への獲得数を変革のメルクマールにして闘い、動労千葉に続こう。百万人民決起は必ず実現できる。
 私は全逓出身です。差し入れられた『4・28の軌跡』を読んで、神奈川の戦闘的全逓労働者たちが、懲戒免職4名をはじめとする3桁の大処分攻撃をつきぬけて、「4・28連絡会」に結集し、闘い抜いてきたことを知りました。彼らが、私に一緒に全逓を変えようと、全逓新聞等々を差し入れてくれています。
 33年前の夏、69年10−11月決戦の歴史的意義を訴えて、「あんなオジさんが先頭で」と神奈川の全逓労働者を感激させた先輩を先頭に、全逓労働者が私の裁判闘争を「水嶋を守る会」で一緒に闘っています。
 日帝危機・郵政危機・全逓危機はわれわれに全逓中央権力を握ることを求めています。全逓労働者こそ、動労千葉に続こう。私も必ず年内に労働戦線に復帰し、全逓労働運動の一員として闘います。
 9・21裁判はアリバイ立証でデッチあげを最後的に粉砕しました。革共同はいかなる弾圧にも屈しない。われわれは1974年1・24カクマルせん滅横国大戦闘への弾圧との闘いに勝利した。今裁判中の88年9・21戦闘へのデッチあげ弾圧との闘いも、完全粉砕の最後の段階に入りました。
 国家権力の逆上、錯乱を踏みつぶして無罪をかちとります。そして、来年の3・14革共同政治集会には私も参加します。(88年9・21千葉県収用委員会会長せん滅戦闘デッチあげ裁判被告、獄中3年)

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週刊『前進』(2115号6面3)

名護新基地阻止! 沖縄の未来かけて (4)

 SACOの狙い 作戦運用のための移設
 基地強化で県民に犠牲を強いる

 SACO−普天間基地の返還、名護市辺野古への移設の目的は何か。沖縄の米軍基地の整理縮小、県民の負担の軽減のため、「ベストではないかもしれないがよリベター(稲嶺県知事)」……これらはまったくウソである。

 海上基地が目的

 米国防総省が、SACO最終報告を受けて97年に作成した『海上施設−普天間飛行場移設に関する機能分析と運用構想』という文書がある。
 そこには「普天間飛行場の移設に伴って海上施設を必要とするのは、普天間の代替ということではなくて、作戦運用面からの要求に基づくものである」と、新基地建設に米軍がかける「本音」が公然と記述されている。
 ここにいう「作戦運用面からの要求」とはどういうことか。現在の普天間基地が人口密集地の宜野湾市の真ん中にあり、さらに訓練基地、兵たん基地、弾薬庫と離れている。要するに米軍はいろいろな観点から現在の普天間基地は使いづらいのだ。
 今のままで朝鮮戦争、ベトナム戦争規模の戦争に突入し普天間基地がフル稼働することを想定した場合、沖縄県民、とりわけ「平時」の今でさえ我慢の限界を訴えている宜野湾市民がその影響、被害を直接に受け、怒りが爆発することは不可避なのである。米軍は、これを辺野古に移した場合、もろもろの懸案はすべて一挙解決すると思っているのだ。
 さらに同文書では「海上施設は新しい使命、および海上施設からの作戦展開という特別な要求をこなさなければならない」と述べている。
 ここでいう「新しい使命」「特別な要求」とは何か? 米国防総省で現在開発中であるMV−22オスプレイ(ティルトローター型垂直離着陸機)の配備と運用こそが、それに当たる。米帝も日帝もいまだに、名護新基地に配備される機種に関しては沖縄人民の怒りの爆発を恐れ、「未決」としている。

 オスプレイ配備

 オスプレイは、現在、米海兵隊が使用している輸送ヘリとはその構造も、性能もまったく異なる。その最大の違いは「速度・航続距離・積載能力」の格段の飛躍にある。現在、普天間基地に配備されているCH46E輸送ヘリと比較しても速度2倍、航続能力5倍、積載能力3倍であるとされている。オスプレイは、陸上の拠点から兵隊を乗せ、直接戦場に飛んでいき、飛行場のない場所でも強襲着陸が可能となる。
 つまり沖縄にオスプレイの出撃拠点が確保できれば、朝鮮半島、台湾・中国、フィリピンなどへも、ヘリをいったん艦船に載せて戦地に運ぶということをしなくてもよくなる。
 米軍部内ではこのオスプレイを使った新たな軍事能力を「自力展開」という言葉で総称している。米海兵隊機関紙「マリンコー・ガゼット」には以下のように記載されている。
 「オスプレイを自力展開させた場合、ヘリ空母に搭(とう)載するよりは、11日から21日も早く危機現場(戦場!)に兵力を送りこめる。オスプレイは強襲揚陸艦の手を借りず、世界中のどこへでも1、2日で展開できる」
 実際、オスプレイの速度と航続能力から試算すると、沖縄からハワイまで15時間、沖繩から中東地域まで22時間、米本国東海岸から中東地域まで26時間、米本国からハワイ経由で沖繩まで30時間となり、ほぼ2日あれば世界中のどこにでも海兵隊を展開できる力を得る。
 オスプレイは悪名高い「欠陥機」で、一時、開発試験が中止されていた。オスプレイは、現時点まで20機の試作機のうち4機が墜落し、計23人の搭乗員が死亡している。米国防総省内で一度は「実用化は不可能」という見方が出て試験飛行が中止になったのである。それがブッシュ政権下で再開された。

 侵略阻む闘いへ

 このように辺野古新基地建設は、SACOで言うこととは反対に、沖縄基地を強化し、ますます県民に犠牲を強いるものである。95年9・4少女暴行事件を契機に高まった沖縄県民の米軍基地撤去、あるいは整理・縮小の要求にこたえるかのようなポーズ、ウソとペテンを並べ立て、その実基地の維持と一層の強化をもくろんでいる。
 米軍は72年「復帰」のはるか以前から、普天間基地を辺野古に移設しキャンプ・シュワーブの諸機能との一体化計画を持っていた。97年米国防総省文書はその中身を述べているとも言える。
 名護新基地建設とオスプレイの配備は、沖縄の米軍基地の戦力を大幅に強化すると同時にその機能を一変させる。イラク侵略戦争に続く北朝鮮侵略戦争、中国侵略戦争、こうしたブッシュの世界戦争戦略の推進にとって重大な意味を持つ。名護新基地建設阻止闘争は、帝国主義の侵略戦争を阻む最先端の闘いだ。
 (久場 豊)

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週刊『前進』(2115号6面4)

機関紙活動 実践の中から 残留孤児2世 戦争法に怒り

 7月8日に東京南部のJR駅前で『前進』街宣をしていて、40代の女性と会話になりました。
 私が「昨日は7月7日ですが、何の日だか知っていますか」とたずねると彼女は「日本が中国を攻撃した日でしょ」と答えました。日本人でも盧溝橋事件をちゃんと知っている人はいるんだな、『前進』を勧めよう、と1面の写真を示して「マスコミは報道しませんが、有事法制に反対してこんなにたくさんの人たちが国会前に集まって闘っていたんです」と話しました。彼女は「(マスコミが)報道するはずない。日本はまた戦争をやりたがっているんですから。私は中国残留孤児の2世です」と怒った声で言いました。
 また、広島の反戦闘争の記事を見て、「日本人は広島で被爆したことは言うが、なぜそうなったかは考えない。戦争に参加したからじゃないですか。中国でたくさんの人を殺して、その結果が広島と言わない。そしてまた戦争をやろうとしている」「9・11(反米ゲリラ)もアメリカはやられるだけのことをしてきたと思う。だが、なぜ攻撃されたか言わない。一般の人が巻き込まれたのは良くないが、政治家はやられても当然」と続けました。
 日本での生活について聞いてみると、「何の保障もなくて、親の面倒を見るのも年金だけでは足りません。差別があって、まともには就職できず苦しいです」言っていました。そして「がんばりましょう」と『前進』を買ってくれました。
 彼女の言葉を糾弾とうけとめ、侵略戦争を許さない決意を新たにしました。
 (小場美鹿子)

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週刊『前進』(2115号6面5)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
9月16日(火)午前10時
☆水嶋同志裁判
9月11日(木)午後1時30分
 ※いずれも東京地裁

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