ZENSHIN 2003/09/22(No2118 p06)

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第2118号の目次
 
1面の画像
(1面)
米軍をイラクから叩き出せ 自衛隊派兵・対テロ特措法延長阻止を
教基法改悪−改憲と民営化の小泉戦争政治を打ち破ろう
石原の「北朝鮮制裁」暴言許すな
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東大阪市議選 さかぐち候補必勝へ 21日投票 最後まで全力を 記事を読む  
新シリーズ 労働者の闘いを抑圧する 日本共産党の新綱領案 記事を読む  
(2面)
21世紀宣言は自治労版労使共同宣言だ
新綱領案を白紙撤回させ続開大会で闘う執行部を 自治労の階級的再生へ闘おう
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国労弾圧 8被告を取り戻そう 逮捕1カ年を前に運動強化を 記事を読む  
(3面)
闘う労働組合の団結を 11月労働者集会の成功へ
連合路線うち破る新潮流を 連合の危機は労働運動再生の好機
戦争・改憲・大失業を推進する新たな「産業報国会」化を阻め(大沢康)
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世界の労働運動
韓国 貨物連帯がスト 盧武鉉政権と全面激突(室田順子)
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鉄建公団訴訟 “組合差別は明らか” 北海道闘争団員が陳述(9月8日) 記事を読む  
介護保険厚労省交渉 年金問題で追及 “国は詐欺をしている”(9月3日) 記事を読む  
(4面)
テロ対策特措法の延長法案阻止せよ 臨時国会闘争に立とう
自衛隊イラク派兵阻止を
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アッバス辞任 ロードマップが破産 イスラエルの虐殺許すな(9月8日) 記事を読む  
仙台で基地包囲 “派兵阻止”に自衛官共感(9月5日)(東北大・H) 記事を読む  
労働者の闘いを抑圧する 日本共産党の新綱領案(1)
不破路線の集大成 90年代以来の裏切りの帰結(高田隆志)
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広島での講演を聞いて 日米帝の核こそ問題 「北朝鮮脅威」論と闘う視点
投稿 高根達也
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日誌'03 9月2日〜9日
石原が朝鮮総連差し押さえ 米帝が国連に多国籍軍要求
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(5面)
防衛白書 外征型の侵略軍へ大転換
北朝鮮侵略戦争狙った自衛隊3軍の統合運用(早乙女優)
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改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史
第5部 アジア・太平洋侵略戦争(4)
ベトナムとタイでは 日本軍の収奪で200万人虐殺(田山暁)
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(6面)
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
投稿のお願い 記事を読む  
弾圧と闘う 寝屋川弾圧
初公判に150人が結集 4被告と合流、差別を糾弾(9月1日)
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弾圧と闘う 東北大弾圧裁判
「傷害」の映像なし 写真・ビデオ見た警官が証言 事件ねつ造が明るみに(8月25日)
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九大弾圧裁判 「暴行」説明できず 右翼の証言、完全破産(8月25日) 記事を読む  
投獄され10年の福嶋同志に 日弁連が面会・聴取(8月25日) 記事を読む  
飯田憲同志を追悼する
労働者出身の職業革命家の比類なき戦闘精神と献身性
革共同中国・四国地方委員会
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公判日程 記事を読む  

週刊『前進』(2118号1面1)

米軍をイラクから叩き出せ 自衛隊派兵・対テロ特措法延長阻止を
教基法改悪−改憲と民営化の小泉戦争政治を打ち破ろう
 石原の「北朝鮮制裁」暴言許すな 

 現代世界で唯一の超大国であるアメリカ帝国主義が、帝国主義陣営を真っ二つにして強行したイラク侵略戦争。それが短期決着どころか、打開のあてのない泥沼戦争に引きずり込まれている。イラク・パレスチナ・アフガニスタン人民、アラブ人民、ムスリム人民の命懸けの闘いが国際帝国主義体制を揺るがしている。絶望的危機ゆえに外に向かって侵略戦争を、内に向かって階級戦争を凶暴に拡大していく帝国主義。これを打倒する道は、アメリカ、日本を始めとする帝国主義下の労働者階級の闘いと被抑圧民族人民の闘いが結合していくことである。米日韓の闘う労働運動の連帯を強め、日帝・自衛隊のイラク派兵を阻止する闘いを大爆発させよう。

 第1章 反動を競い合う総裁選

 マスコミは連日、自民党総裁選を報じている。何よりもこの総裁選の過程そのものが労働者人民への大攻撃である。
 米帝ブッシュの援護をも受けて小泉再選の流れが大きくつくられつつあるが、そもそも総裁選4候補は何を訴え何をしようとしているのか、それは労働者階級人民に何をもたらすのか。 
 今回の自民党総裁選に立候補した4候補(小泉首相、藤井孝男元運輸相、亀井静香前政調会長、高村正彦元外相)の主張に根本的な違いはない。小泉は「構造改革」の堅持を強調し、他の3候補は財政出動による景気刺激を強調して「違い」を演出しているが、本質は反動を競い合っているにすぎない。「官から民へ」「中央から地方へ」というスローガンで言われる基本政策は同じなのだ。
 とりわけ小泉首相が発表した政権公約(マニフェスト)の中身はきわめて反労働者的だ。@郵政事業の民営化、A道路公団の民営化、B税財政の「三位一体改革」の3点を柱にしながら、C軍事外交政策の強力な推進と、D治安対策の強化、E「教育改革」の実現などを打ち出しているが、これは日本経団連=日帝ブルジョアジーが求める路線を徹底していくという公約である。
 一方で対外侵略戦争政策(戦争国家化政策)を加速させながら、他方で資本主義・帝国主義国家体制の危機を労働者人民を犠牲にしてのりきる政策を強行していくという宣言である。
 郵政や道路公団の民営化について小泉は「民間の活力を促すため」「税金のムダ使いをなくすため」「その本丸に手をつける」などと言っている。だが、狙いはあらゆる領域、郵便貯金や高速道路をも民間資本の食い物にしていくことである。同時に郵政民営化は、郵政職場で働く労働者に対する首切り・賃下げ・労働強化であり、労働組合的団結を破壊し、戦闘的な全逓労働運動を根絶しようという大攻撃である。

 大増税と年金改悪に反撃を

 「税財政改革」と言われていることも、結局は消費税の大増税=16%化であり(すでに奥田日本経団連会長はこれをぶちあげている!)、社会保障制度の全面的解体を進めるものである。「若者と高齢者が支え合う制度に改革する」と言って年金支給額削減、被保険者の負担増などの年金大改悪を来年には実施しようとしているのだ。
 さらに「主体的な外交・安全保障政策の推進」と称してイラク派兵や対北朝鮮の侵略軍事外交政策を強調している。しかも公約には書かれていないが、小泉は05年に向けて自民党の改憲案策定を進める考えを表明した(8月25日)。この改憲の核心が9条の破棄であり、交戦権や集団的自衛権行使の明文化にあることは明らかである。そして改憲と一体で教育基本法改悪をやろうとしている。
 また、「治安悪化」をことさらに強調し、警察官の増員(2万人規模)と、自治体・市民の協力による治安対策、出入国管理体制の強化を打ち出している。それは排外主義をあおり、社会全体を「治安を乱す、国家や市民の敵」とそうでない者に区別し、労働者人民を治安弾圧と戦争に動員していく体制をつくろうとするものである。
 そして、小泉がいかに破産しているとはいえ「構造改革」をあくまで叫んでいることは、一握りの大銀行・大企業が生き残るために弱肉強食の政策を進め、恐慌・大不況、倒産、リストラ・大失業を始め、極限的な生活破壊に労働者人民をたたき込むものだ。
 総裁選で強まるこうした攻撃と全面対決し、小泉戦争政治を打ち破ろう。
 またこの過程で東京都知事のファシスト石原が「右翼テロは当たり前」「北朝鮮に経済制裁を」と叫び、さらに朝鮮総連に差し押さえの大攻撃を行った。この排外主義と北朝鮮侵略戦争の暴挙に、労働者の怒りの反撃をたたきつけよう。

 連合と民主党に労働者反乱

 こうした自民党総裁選をめぐる自民党内の動向と、民主党・自由党の合併を含めた解散・総選挙の情勢は、日帝支配階級の側が新たな政界再編を含む流動過程に入ったことを示している。つまりこれは、日帝の政治支配の危機、経済恐慌の危機、帝国主義間争闘戦での危機ゆえに起こっている支配階級の動揺と超反動的なあがきなのである。
 日帝支配階級にとって民主党・自由党合併の意味は何か。「政権交代」とか「二大政党」の名のもとに民主党をさらに帝国主義と侵略戦争の翼賛勢力とし、連合の決定的変質はもとより、社民党も巻き込んで労働者階級と労働組合の階級性・戦闘性を解体し、野党的なものを一掃して、挙国一致の戦争翼賛体制をつくろうとするものである。
 だから日本経団連は、政治献金の再開と、同時に新民主党にも献金することをいち早く明言したのだ。
 こうした情勢の中でかちとられた8月自治労大会での大勝利は決定的だった。労働組合の階級的再生が切り開かれ、階級的労働運動として発展していく時、歴史は大きく労働者人民の側に動くのだ。
 戦争・改憲・民営化を推進する民主党と連合に、自治労大会で始まった労働者階級の総反乱をたたきつけよう。綱領改定で帝国主義擁護と労働者の闘いの抑圧に突き進む日本共産党を打倒し、それをのりこえて闘おう。11月労働者集会に大結集していこう。

 米帝はイラクで泥沼の危機

 01年9・11の反米ゲリラ戦から2年。米帝の総力をあげたアフガニスタン侵略戦争、イラク侵略戦争に対決して、イラク、パレスチナ、アフガニスタンでは今、民族解放を求めたまさに命をかけたゲリラ戦が闘われている。
 最近のイラクではバスラでオランダ兵をせん滅(8・17)、バグダッド国連事務所で自爆戦闘、デメロ事務総長特別代表ら死亡(8・19)、バスラで英兵をせん滅(8・23)、ナジャフのイマム・アリ・モスクで爆発、シーア派指導者ムハマド・バキル・ハキム師ら死亡(8・29)、バグダッド警察署で爆発(9・2)、ラマディの大学で自爆戦闘(9・4)、アルビルで自爆戦闘(9・9)、バグダッド北東で米兵をせん滅(9・10)など各地で激しい戦闘が起きている。
 米英占領軍に対する怒り、国連に対する怒り、それに屈服したり協力する者への怒り、パレスチナ人民虐殺に対する怒り。一切の根源は米帝であり、国際帝国主義だ。帝国主義の侵略戦争、軍事占領と植民地支配への特殊的=極限的な、やむにやまれぬ怒りの決起と全力で連帯しよう。闘うイラク人民、パレスチナ人民、ムスリム人民と連帯した帝国主義国の労働者人民の反戦闘争を今こそ爆発させようではないか。
 イラク情勢は、米帝にとって今や完全に絶望的な泥沼である。この間、米帝は、米帝のイラク支配権を百パーセント維持したまま国連決議1483号の枠内で、国連の力を最大限利用しようと策動してきた。その結果、8月14日に国連安保理は@イラク統治評議会の設立を歓迎する、A国連イラク支援派遣団(UNAMI)の設立を承認するという決議を上げた。
 しかし、こうしたたくらみは粉砕された。イラク人民のゲリラ戦は、広範な人民的基盤を持ち、米英の軍事占領を破産させ、危機にたたき込んでいる。しかしあくまで米帝は、イラク軍事占領と石油支配を貫くため、人民を虐殺し続け、侵略戦争を継続しようとしているのである。
 こうした中でブッシュ政権は9月3日、多国籍軍によるイラク占領展開をめざす新たな国連決議案の草案を提出した。しかしその内容は、指揮権(事実上のイラク統治権)は米軍が握りながら、軍隊派兵と財政の分担は他国に求めるという虫のいいものだ。仏独はこれに反発し、10日には@統治を国連主導とする、A石油収入の管理に国際社会が関与するなどとした対案を、国連安保理常任理事会に提出した。帝国主義間対立が新たに激化し始めた。

 第2章 ブッシュ訪日阻止せよ

 この中で日帝・小泉は、9月10日、防衛庁で行われた自衛隊高級幹部の会合で訓示し、自衛隊のイラク派兵に向けて「周到な準備を開始せよ」と発言した。これを受けて防衛庁は、陸上自衛隊よりも航空自衛隊の輸送機の派兵を先行させる方向で準備を開始した。小泉政権は9月14日にも政府調査団をイラクに派遣しようとしている。
 急に決まった10月17日の米帝ブッシュの訪日は、イラクへの自衛隊派兵と巨額の戦費を大統領が直接、強引に日帝に要求することが目的である。これはすさまじい対日争闘戦でもあり、小泉が総裁選後、イラク派兵に全力をあげてくることは不可避である。
 さらに臨時国会での対テロ特措法延長の攻撃を阻止する闘いが大攻防となる。インド洋−アフガニスタンへの自衛隊派兵の継続=延長を絶対に許してはならない。イラク派兵阻止と対テロ特措法延長阻止の闘いを一体のものとして、この9〜10月、猛然とつくりだしていこう。
 自衛隊のイラク派兵は絶対止めることができる。
 米帝が絶望的危機に陥っている中で、今アメリカでは米兵の帰還を求める運動が広がっている。この運動には米兵、予備役、退役軍人などの計600家族が参加し、現在も増え続けている。街頭や集会で帰還を訴えるほか、米議会にも働きかけを強めるという。また「9・11」2周年前夜の10日にはニューヨーク・マンハッタンでイラク戦争反対のデモが行われた。「9・11」遺族らが呼びかけ、主催者の予想を上回る3000人が世界貿易センタービル跡地まで行進した。
 イギリスの戦争阻止連合などが9月27日に、アメリカの反戦団体ANSWERが10月25日に、大規模な反戦デモを国際的に呼びかけている。そのスローガンは「戦争もウソもこれ以上許さない」「イラク軍事占領を終わらせろ」「軍隊は直ちに自国に帰れ」「パレスチナに自由を」だ。
 米英−全世界の闘う労働者人民、被抑圧民族人民と固く連帯して、国際反戦闘争の第二の波をつくりだそう。米英占領軍をたたき出せ! 闘う青年と学生はその先頭に立とう。そしてこの力で自衛隊派兵阻止の展望を切り開こう。
 さらに、自衛官とその家族に、出兵命令拒否を呼びかけよう。陸上自衛隊の駐屯地や施設は全国にある。全隊員にアタックし、全国各地で、最寄りの駅頭や商店街などで街頭宣伝活動を展開しよう。自衛官やその家族を闘いの隊列に獲得する運動へと発展させよう。
 自衛隊イラク派兵阻止闘争の高揚は、日帝・小泉政権の海外派兵恒久法の制定策動、国民保護法制や米軍支援法制定などの有事法制攻撃、教育基本法改悪や改憲攻撃、共謀罪新設や治安立法攻撃、名護新基地建設など戦争国家化の策動を阻止する力になる。それは北朝鮮侵略戦争を阻止する力そのものである。
 日本全国で自衛隊イラク派兵阻止の9・27―10・25大行動を実現しよう!
 11月労働者集会への大結集をかちとろう!

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週刊『前進』(2118号1面2)

東大阪市議選 さかぐち候補必勝へ 21日投票 最後まで全力を

 東大阪市議選が9月14日に告示され、21日の投票日に向けて決戦過程に突入した。さかぐち克己候補(無所属革新)は、荒本の村内で高らかに第一声をあげ、勝利への決意もかたく元気に市内に飛び出した。部落解放同盟全国連合会荒本支部は、さかぐち克己候補の第一声を受けて、荒本の14棟住宅前で総決起集会を開催、全支部員がうって一丸となって最後の決戦過程を闘いぬく決意をうちかためた。
 この選挙は、荒本支部の部落大衆をはじめとした東大阪の住民が、生きる権利をかけて自らの手に政治を奪還する闘いである。実際に、今や幾多の住民が、連日街頭に立ち、マイクを握り、ビラをまいて、選挙戦の主人公として躍り出ている。
 ある府営住宅では、さかぐち陣営の街頭演説に多数の住民が参加、いっしょにならんでマイクを握り、ビラをまき、住民に手を振って支持を訴えるという画期的なことが起きた。この住宅は、長年、公明党と日本共産党の牙城(がじょう)といわれ、支持者は、その重圧の中で孤立を強いられてきたところである。しかし、この人びとが、これらの大政党の重圧をはねのけ、今や、公然とさかぐち支持を訴え、主流派として登場し始めた。この転換をつくりだしたものは、この人たちの、自分たちの団結と行動によって政治を変えようという情熱であり、変えることができるという確信だ。
 また、市内の各所で、国保と健康を守る会の地域支部を軸にして、住民自身による地域での選対会議が開かれ、集票のための熱のこもった方針討議が連日かわされ、これが即実行され、連日、その報告と新たな方針討議が行われている。どの地域でも、その先頭には、この2カ月たらずのあいだに入会した人が立っている。みんな、小泉政権による年金制度改悪、戦争と大資本優遇の政治によって痛めつけられ、食うや食わずの生活の中で苦しみ、生きる希望を奪われてきた人びとである。この人びとが、さかぐち候補が主催する相談会に来て、さかぐち候補とその選挙綱領を知り、いっしょに対行政闘争を闘っている。この中から、オルグ団と肩をならべて、いや、オルグ団を上回るオルガナイザーとなって、公明党、共産党などとわたりあうような、政治の主役となって登場しているのである。
 闘いは、21日の投票日まで残すところ数日の、最後の決戦に入った。
 この選挙は、全国連荒本支部と、瀬川議員によって守りぬかれてきた東大阪で唯一の革新議席を守るとともに、全国連荒本支部を砦(とりで)とした、戦争と社会保障切り捨てに対する、住民の生きる権利をかけた、全市的な住民の共同闘争をつくる闘いである。それは、部落解放運動との本格的な共同闘争を、労働者階級・人民が自らの手でつくりだす闘いであり、膨大な未組織労働者の階級的組織化をかけた闘いである。
 全国の闘う労働者人民の力で、革命的議会主義の真価をかけて、部落大衆や住民とともに、絶対に勝利をもぎりとろう。
 全国から東大阪へ、支援、激励を集中しよう。

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週刊『前進』(2118号1面3)

新シリーズ 労働者の闘いを抑圧する 日本共産党の新綱領案

 11月22日からの日本共産党第23回大会で行われようとしている党綱領の改定は、帝国主義の危機と世界戦争・大恐慌の時代に、日本共産党がどこへ行こうとしているかを示すものだ。労働者階級の立場から、改定案の中身を多面的に検討し、全面批判していく。(−4面−)

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週刊『前進』(2118号2面1)

21世紀宣言は自治労版労使共同宣言だ
新綱領案を白紙撤回させ続開大会で闘う執行部を 自治労の階級的再生へ闘おう

 9月28日に東京厚生年金会館で開かれる自治労第74回定期大会の続開大会で、最終的に「自治労21世紀宣言」を葬り去ろう。「21世紀宣言」は、大会での討議を経て、8月28日に「1票投票」という明示な形で採択を否決された。「21世紀宣言」は、現綱領の「労働者としての階級的使命」を削除した、「闘い」も「団結」もない労資協調主義、全面屈服の自治労版「労使共同宣言」だ。大会討議でも「階級的立場が不明」「闘う立場がない」「労働組合運動の魂の放棄」と批判された。否決された時点で廃案となったのであり、執行部も不信任を突きつけられたのだ。大会は、自治労再生の道は「21世紀宣言」の採択ではなく、否決であるという判断を下したのだ。にもかかわらず北岡執行部は居座り続け、「21世紀宣言」を蒸し返し、強行突破しようとしている。このようなことは絶対に許されない。続開大会まで2週間、闘う自治労組合員を先頭とする総決起で自治労中央の策謀を粉砕しよう。

 否決された議案を再び提案する暴挙は断じて許されぬ

 自治労中央本部は、9月8日に開かれた地連議長・事務局長会議で、「21世紀宣言」をほとんどそのまま「第14号議案」として続開大会に再提案する方針を示した。「21世紀宣言」の「基本目標」5項目の文章を一部入れ替えて、これを「21世紀宣言」とし、残りの「歴史的経過と到達点」「自治労の挑戦」を「付属文書」とする。付属文書を除き、「基本目標」部分だけ採決に付すという。
 こんな代議員・組合員を愚弄(ぐろう)するやり方が許されるのか。大会で「第2号議案」として一度否決された議案となんら変わりのない議案を「第14号議案」と名付け、再び提案するというのだ。こんなことが許されるとすれば、否決された議案を何度でも繰り返し再提案してよいということになる。民主主義の根幹に座る一事不再理の原則の否定である。執行部は、最高議決機関である大会の権威を自らおとしめ、100万組合員の意思と誇りを踏みにじろうとしている。組合民主主義の破壊を許してはならない。
 当然にも、続いて10日に開かれた全国県本部代表者(委員長・書記長)会議で、各県本部から再提案についての批判が相次いだ。これに対して君島書記長は「自治労規約には一事不再理という文言はない」などとすごんでみせた。しかし、一事不再理の原則は民主主義の基本ルールなのだ。こうした原則を踏みにじってごり押しをする中央本部のあり方に「自治労の改憲案」=「自治労21世紀宣言」の反動的意図が表されている。
 同一議案を再提出することには無理があると承知している自治労中央は、「再提案にあたって」なる文書を出してきた。それは経過や事実の捏造(ねつぞう)にまで及んでいる。以下に引用しよう。
 「現綱領の改定は、自治労組合員総体の意思であり、本部はその具現化のために努力を行ってきた。しかし、改正に必要な3分の2の賛成を得ることができなかった。本部はこの結果を重く受けとめるとともに、県本部代表者会議を開いて、現執行部の責任で決着をつけるとの結論に至った。そこで@続開大会を開いて、A再度『21世紀宣言』について討論し、採択を図ることを、委員長は要請し、議事運営委員長による議事日程の変更が提案され、全体で承認された」
 これに対して、県本部代表者会議では、議運から「続開大会は決めたが、議運としては再提案はまったく決めていない」ことが暴露された。事ここに及んで北岡執行部は、顔面蒼白(そうはく)に陥った。
 「同じ大会に再び同じ議案を提出するのは、民主主義のルール=一事不再理に反する」(山梨)、「29日の県本部代表者会議で話し合ったことと、本部の説明と認識にはずれがある。再提案は同意しがたい。北岡委員長は『否決を重く受けとめる』と言ったが、再提案が真摯(しんし)な態度であるとは認めがたい」(静岡)など、再提案に反対の意見が相次いだ。
 しかし本部は「県本部は再提案でまとめてほしい。それができなければ、中央本部が県本部に出向いて説明する」と脅しをかけて収拾を図ったのである。
 「21世紀宣言」を絶対に採択してはならない。仮に続開大会で「21世紀宣言」が採択されるような事態になれば、それは綱領次元での転向にとどまらない。執行部の言う「自治労の再生」どころか自治労の崩壊、日本労働運動の死滅だ。産業報国会―大政翼賛会化の始まりなのだ。

 戦争・民営化攻撃に協力する連合の支配うち破る大反撃

 自治労中央本部がここまで「21世紀宣言」にこだわるのはなぜか。
 連合傘下の自治労中央は、この「21世紀宣言」を採択することで、名実ともに総評的な「階級的労働運動」路線を捨て去り、「連合21世紀宣言」と同様の階級協調主義・労資協調主義に貫かれた帝国主義的労働運動への路線転換を図ろうとしている。連合の中で確固とした位置を占めるために総評労働運動の残滓(ざんし)を払拭(ふっしょく)しようとしているのだ。
 自治労は昨年、全競労(競馬、競輪などの労組)を併合したのを皮切りに、今後、全国一般、全水道、都市交などを次々併合して「地域公共サービス産別」への転換を図ろうとしている。自治労中央は、こうした産別統合による組織拡大を実現するために、統一理念として「自治労21世紀宣言」をなんとしても採択しようとしている。
 他方、連合中央も自治労中央に綱領改定の圧力をかけ、明確な転向、路線転換を迫っている。連合中央は、小泉政権、奥田日本経団連会長ら日帝国家権力、ブルジョアジーと一体化して、有事体制下の帝国主義的労働運動を推進しようとしている。すでに旧総評系の全逓やNTT労組、日教組を労資(労使)協調主義、労資(労使)パートナーシップ路線へと転換させた。今や自治労だけが旧総評時代の「階級的労働運動」、社会主義の実現を掲げる綱領を維持している。連合中央は、このことをやり玉に挙げ、「21世紀宣言」採択による自治労の綱領改定=転向の完成を迫っているのだ。
 しかも連合大会が10月2〜3日に迫っている。それまでになんとしても自治労に「21世紀宣言」を採択させなければ、連合体制自身が崩壊の危機に陥るのだ。
 自治労中央は、この綱領改定を一昨年の不祥事発覚からの「自治労再生」と一体のものとして提起するペテンをろうしてきた。つまり「21世紀宣言」を通さなかったら「自治労再生」はないなどと恫喝して押しつけようとしている。しかし、真実は逆だ。
 労働運動の原則を放棄した「21世紀宣言」では、資本・国家(当局)と闘えない。団結して闘って生活と権利、賃金・労働条件を改善することも職場を守ることもできなくなる。このような「21世紀宣言」こそ自治労の死を招く。
 続開大会では、闘う組合員・代議員の怒りの総決起で「21世紀宣言」再提案を阻止し、あるいは圧倒的多数の反対票をたたきつけ、「21世紀宣言」の息の根を止め、北岡執行部を総辞職させよう。同様に「21世紀宣言」採択を前提にした役員候補の改選も許されない。資本・当局と闘うという労働組合の原則を再確立し、そのもとで真に闘う新執行部を打ち立てることが自治労の戦闘的再生への道だ。
 「自治労21世紀宣言」を葬り去ることは、帝国主義の戦争と民営化攻撃への大反撃となる。
 日帝は、国鉄分割・民営化によって国労・総評を解体し、89年に連合を結成させて、労働者支配の体制をつくろうとした。それが自治労組合員の決起で打ち破られつつあるのだ。このことは、89年連合結成以来の日本労働運動の再編・大流動情勢を加速し、連合体制の崩壊と新たな労働運動の潮流の台頭を推し進める。連合が有事体制下の帝国主義的労働運動として生き残る戦略に大きな打撃を与えることになるのだ。

 「労使協働の政府」を唱えて階級的労働運動を全面否定

 「21世紀宣言」の最大の問題は、基本綱領3原則がうたっている「労働者の階級的な使命に徹する」という文言の否定だ。労働組合の魂を否定し、労働運動の原則を投げ捨てたのだ。
 現綱領は、労働者の階級性に依拠して労働組合として闘うことを原則として掲げている。労働者は、労働組合のもとに団結して、資本と国家(当局)と対決し、闘い、それをとおして自らの生活と権利を守る。「21世紀宣言」は、こうした労働組合運動の原則を否定している。「21世紀宣言」のもとでは自治労はもはや労働組合ではなくなってしまうのだ。
 自治労中央は、「第14号議案」で、「21世紀宣言」の5項目を再整理することで「主旨を明確にした」と言う。それは、否決された「第2号議案」より反動性が明確になったと言うべきものだ。(別掲参照)
 もともと、第2項に「対等な労使関係」と「労使協働」という言葉が並んでいたのを、第2項と第3項に分けた。「現業などの合理化に反対して闘っている時に労使協働で政府ができるのか」という批判が集中したからだ。第2項で“公共サービス産別の統合で自治労を大きくすれば、当局と対等な労使関係を結ぶことができ、生活と権利を向上させられる”とし、第3項では“労使が共同(「協働」)して政府(国家と自治体の)をつくれば、よりよい公共サービスができる”というふうに整理したということのようだ。
 これについて、県本部代表者会議で君島書記長は「合理化と闘うことと労使協働で政府をつくることは矛盾しない。次元の違う問題だ」と開き直った。こんな恥知らずなことはない。
 自治労中央は、民営化、民託化と対決せず、逆に協力し、自治労組合員、とりわけ現業労働者を資本に売り渡そうとしている。そして、民間公共サービス労組と自治労との産別統合によって、より大きな「地域公共サービス産別」となることを目標としている。「奥田ビジョン」に沿った戦略だ。この間の他労組併合の経過と大会の「組織拡大アクションプラン21」を見れば、それは明らかだ。
 大産別となれば「対等な労使関係」が結べるかのように言うが、闘わずして量的に拡大しただけの労組に「対等な労使関係」が結べるはずがない。したがって、そのもとでは労働者の生活と権利も守れない。
 「労使協働」で政府をつくり、諸政策を共同立案・決定し、質のよい公共サービスを提供し、充実した市民生活を保障できる、などと美辞麗句を並べている。だが、「労使協働」とは資本・当局への屈服と協力の別名でしかない。
 労働組合として闘うことを放棄した「21世紀宣言」は自治労版「労使共同宣言」なのだ。
 「21世紀宣言」の提案趣旨説明において自治労中央は「賃労働と資本の敵対関係において現代社会をとらえることはできない。労働運動が社会全体の利益を体現する時代は終わった」とあけすけに述べている。
 労働者の階級意識を解体し、資本と対決すべき労組の原則を解体することに最大の狙いがあるのだ。
 実は、この「21世紀宣言」の基は、米帝とともにイラク侵略戦争を推進した英帝ブレアの「ニューレイバー」路線である。それは帝国主義戦争を推進するところまで行き着くのだ。
 連合は、有事法制賛成から戦争賛成、改憲へと踏み切ろうとしている。「自治労21世紀宣言」もまた、この連合路線そのものだ。
 「21世紀宣言」を自治労組合員の総決起で葬ろう。そして闘う新たな執行部を打ち立てて自治労の真の再生をかちとろう。
 戦争と民営化攻撃にストライキで闘う動労千葉とともに、国際的な労働者の団結をつくり出そう。11月労働者集会に結集しよう。

 自治労21世紀宣言(案)

■再提案される第14号議案(下線部は修正部分)

1.わたしたちは、「自由・公正・連帯」の社会の創造にむけ、国内外の民主的な諸団体と連携して労働運動の前進を期す。
1.わたしたちは、公共サービスを担うすべての労働者・労働組合を結集し、対等な労使関係を確立して組合員の生活と権利の向上をはかる。
1.わたしたちは、市民と労使の協働で、有効で信頼される政府を確立し、市民の生活の質を保障する公共サービスを擁護・充実する。
1.わたしたちは、自治・分権改革の進展にたゆまず努め、参加と自己決定による自立した市民社会、生活と労働の調和する男女平等参画社会を実現する。
1.わたしたちは、安心・安全・信頼の協力社会を構築し、基本的人権の確立・世界平和の創造・地球環境との共生をめざす。

■否決された第2号議案

1.わたしたちは、「自由・公正・連帯」の社会の創造にむけ、国内外の民主的な諸団体と連携して労働運動の前進を期す。
1.わたしたちは、対等な労使関係を確立して組合員の生活と権利の向上をはかり、市民と労使の協働で、有効で信頼される政府を確立する。
1.わたしたちは、公共サービスを担うすべての労働者・労働組合を結集し、市民の生活の質を保障する公共サービスを擁護・充実する。
1.わたしたちは、自治・分権改革の進展にたゆまず努め、参加と自己決定による自立した市民社会、生活と労働の調和する男女平等参画社会を実現する。
1.わたしたちは、安心・安全・信頼の協力社会を構築し、基本的人権の確立・世界平和の創造・地球環境との共生をめざす。

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週刊『前進』(2118号2面2)

国労弾圧 8被告を取り戻そう 逮捕1カ年を前に運動強化を

 昨年10月7日の国労5・27臨大闘争弾圧から1年目を迎えようとしている。労働組合活動として当たり前のビラまき・説得活動を暴行事件にデッチあげて逮捕・起訴し、1年も勾留することは許されない。9月17日の第12回公判、10月6日の第13回公判と全国各地での逮捕1カ年集会に向けて、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」が呼びかけている保釈要求署名運動に立ち上がり、東京地裁・青柳勤裁判長に「8人の被告を直ちに保釈せよ」の声をたたきつけよう。

 弾圧の核心部めぐる攻防に

 被告・弁護団は、初公判以来、激しい攻防を闘い抜いてきた。そして、裁判闘争は今、これまででも最高の山場を迎えている。
 前回の第11回公判では、警察官証人・貞山明警部補への検察側主尋問が行われ、次回9月17日の公判は貞山証人への検察側主尋問の続きと、弁護側の反対尋問が行われる。そして、10月6日の公判は、国労本部派が提出したビデオテープの撮影者である鈴木勉・東京地本執行委員に対する証人調べが予定されている。
 公判闘争は、いよいよ弾圧の核心部をめぐる攻防に入る。警察官証人・遠山文雄の証言で明らかになったように、この弾圧は、鈴木執行委員がビデオを警察に任意提出することで初めて可能となったのだ。
 警視庁公安部と癒着した国労東京地本の一部幹部は、組合員を権力に売り渡すという許しがたい裏切りに走った。4党合意の受け入れ以来、国労本部派は国労自己解体への道をひた走ってきた。それは、ついに警察権力に頼って組合の執行部に居座るという最悪の選択にまで行き着いた。
 この弾圧を打ち破ることは、国労の階級的再生に直結している。法廷内外の力を結集し、裁判闘争を勝利的に前進させよう。

 青柳裁判長は保釈を認めよ

 8人の被告の保釈奪還に向けていかに闘うべきか。
 東元(あずま・はじめ)さんと小泉伸さんの両被告の勾留執行停止とその延長許可は、8人の被告全員の勾留をこれ以上続けることが何ひとつ正当化できない状態になっていることを、裁判所自身が認めたものにほかならない。
 東被告は、外での入院・治療の継続の必要から、10月3日までの約1カ月、勾留執行停止の延長が認められた。小泉被告は、8月25日までの勾留執行停止中に父親が危篤状態になったことに伴い、9月16日までの延長が認められた(父親は9月8日に逝去された)。
 長期勾留は8被告全員の健康の破壊、妻子や親への過負担と矛盾のしわ寄せ、さらにJR社員である5被告の解雇の危機などをもたらしており、すでに限界点を越えている。特に東被告の健康破壊をもたらした最大の原因は、青柳裁判長が東被告の病気の現状を知りながら保釈申請を3度も却下したことにある。逮捕1カ年を節目にして、被告の健康・家族関係・解雇問題での矛盾が噴出しようとしている。この責任の一切が青柳裁判長にあるのだ。
 青柳裁判長は、両被告の勾留執行停止に際して「証拠隠滅のおそれは大きくない」(検察側抗告への意見)という判断を明らかにした。これを他の6被告にどうして適用できないのか。青柳裁判長は検察庁や高裁におもねることなく勇気をもって、8被告全員の保釈を直ちに許可せよ。

 階級的闘いの圧殺を許すな

 昨年10月の国労5・27臨大闘争弾圧以降、全国各地で連続的な弾圧が続いた。これらの弾圧との攻防において、各被告の保釈をかちとる情勢に入っている。
 今年に入ってから、九州大学自治会活動家を「暴行」で起訴(3月)、部落解放同盟全国連合会寝屋川支部員が不当な解雇に対して解雇予告手当を求めたことに「恐喝」と「脅迫」なる言いがかりをつけて起訴(5月)、東北大学の寮闘争をめぐって全金本山の中野七郎書記次長を「傷害」で起訴(6月)、港合同サンコー分会組合員の雇用保険の仮給付受給を「詐欺」に仕立てての逮捕(7月、不起訴釈放)と、デッチあげ弾圧が相次いだ。
 これは、労働運動・学生運動・部落解放運動などの大衆運動を圧殺し、革命党が労働者階級・人民大衆と結びつき、根を張ることを阻もうとする弾圧である。まさに、米帝による世界戦争戦略の発動と日帝の侵略戦争への突入のもとで、階級的な思想と運動・組織を日本階級闘争から根こそぎにし、一掃しようとする重大な治安攻撃なのだ。
 これらの弾圧に対して当該の被告を先頭に弁護団と支援が反撃し、保釈情勢を切り開いている。
 全金本山の中野さんは、仙台地裁では保釈申請が却下されたが、弁護側抗告を仙台高裁が認めて、8月20日に保釈奪還された(80日間の勾留)。また九大自治会のM君は、8月28日に福岡地裁で保釈許可が下りたが、検察側抗告を受け入れた福岡高裁によって不当にも許可が取り消された(保釈許可時点で156日間の勾留)。さらに寝屋川弾圧裁判も9月1日に初公判を迎え、ここでも保釈情勢に入っている(初公判時点で103日間の勾留)。
 百歩譲って検察側の主張を認めたとしても、「証拠隠滅」という点では、検察側は公判を維持するに足りる証拠を確保した結果、公訴提起したはずなのだから、本来は起訴後直ちに保釈すべきである。そして、「逃亡のおそれ」という点では、第1回公判に出廷し、裁判闘争を真剣に闘うという被告の意見表明を受けて、保釈が許可されるべきなのだ。
 その意味から、第1回公判直後に全金本山の中野さんの保釈が実現されたことや、九州大学のM君の保釈を地裁がいったんは許可したことは、きわめて当然なのである。
 これらの裁判と比べて、国労弾圧裁判では、3回も保釈申請が却下され、11回の法廷を数えているにもかかわらず長期勾留が続いている。その不当性・違法性は明らかだ。
 被告たちの正当なビラまき・説得活動を「強く押した」とか「激しく引いた」とかいう暴力行為にデッチあげ、「暴力行為等処罰に関する法律」を適用したこと自体がむちゃくちゃな政治的弾圧である。青柳裁判長自身が「法定刑が3年以下の懲役等であることなどを考慮」(弁護側抗告への意見)と言わざるをえないように、仮に外形的事実が起訴状どおりであったとしても微罪にすぎない事件なのである。
 にもかかわらず、保釈申請は却下され続けている。これは戦時下の予防拘禁そのものであり、実質的な刑の先取りだ。
 この一点に国労5・27臨大闘争弾圧の政治的意図と階級的性格が凝縮されている。許しがたいことに、東京地裁においては検察側立証が終わるまで保釈を許可しないというあり方がまかり通っている。この弾圧との闘いにおいてこそ、こうした状況を覆さなければならない。労働者人民の怒りを裁判所に波状的にたたきつける闘いをなんとしても実現しよう。
 不当逮捕1カ年に向けて、「許さない会」の結成を推し進め、5千賛同会員と10万保釈署名の実現をめざして全力を挙げよう。

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10・5労働者の総決起で
8名の仲間を取り戻そう九州集会
◆講演 林健一郎さん(前九州労働弁護団団長)
 「労働法制改悪と労働者の権利」
日時 10月5日(日) 午後2時開会
場所 福岡市民会館・国際会議室
※集会後デモ
主催/労働運動への弾圧を許さない! 国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会・九州

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週刊『前進』(2118号3面1)

闘う労働組合の団結を 11月労働者集会の成功へ 連合路線うち破る新潮流を
 連合の危機は労働運動再生の好機
 戦争・改憲・大失業を推進する新たな「産業報国会」化を阻め

 10月2〜3日の連合第8回大会を前に、連合に激震が走った。8月26〜29日の自治労大会で「自治労21世紀宣言」が否決されたからである。自治労中央は、「21世紀宣言」を採択することで総評のような階級的労働運動から最終的に決別し、笹森体制を支える最大産別として連合内での位置を固めようとしていた。これを阻止したことは自治労中央のみならず連合中央に大打撃を与えたのだ。戦争と大失業の攻撃が吹き荒れる今ほど、闘う労働運動の新潮流が求められている時はない。自治労大会の事態は、新潮流が台頭する大きな可能性を示した。11月労働者集会への大結集を実現するために、まず、連合路線とその一層の反動的変質を批判・弾劾する。

 連合二分する会長選挙

 連合は1989年に発足した。それから14年、日本労働運動は総体として後退に次ぐ後退を重ねてきた。89年に2・3%(年間平均)だった完全失業率は02年には5・4%に跳ね上がった。労働者は賃金を引き下げられ、不安定雇用化が進み、社会保障制度は次々と解体され、生活を破壊されている。
 バブルの絶頂期に発足した連合だが、以後の「失われた10年」と言われる日本経済の崩壊的な危機とともに、組織の減少と空洞化が進行している。95年の日経連「新時代の『日本的経営』」以来の資本攻勢は、終身雇用制・年功賃金制・企業別労働組合を解体する攻撃だ。それに連合が屈服し、自らの基盤を掘り崩してきた結果なのだ。
 こうした中で開かれる連合大会で、連合を二分する会長選挙が結成以来初めて行われる。現在の会長の笹森(電力総連出身)とともに、UIゼンセン同盟の高木が立候補した。笹森は「私の票が多ければ多いほど、連合の影響力が高まる」と言う。他方、高木は民間の最大産別をバックに組織拡大や中小労働運動の強化を強調している。だが、いずれも旧同盟系労組出身であり、その路線には本質的な違いはない。連合が結成以来最大の危機に陥る中で、会長人事も統一できないという矛盾を深めているということだ。どちらにも労働者の未来を託すことはできない。
 連合の危機は、連合を使って日本の労働者を支配しようとしてきた日帝ブルジョアジーの危機でもある。
 01年9・11反米ゲリラ戦と03年3・20イラク侵略戦争は、階級闘争を一変させ、全世界で労働者人民と被抑圧民族の反乱が始まった。特に、全世界の労働運動が戦争と資本攻勢のあらしに立ち向かい、高揚している。日帝資本は、日本の労働者階級が連合をのりこえて反乱を開始することにおびえている、だから労働組合に対する治安弾圧を激化させるとともに、連合の危機を突いて新たな「産業報国会」への変質を迫っているのだ。
 今年の1月に発表された日本経団連の奥田ビジョンは「今日、組合員の組合活動への参画意識が低下しており、労働組合運動が内部から自壊する危機に瀕(ひん)している」と連合をやゆしている。労働組合が資本から「自壊の危機」と言われたのは初めてだ。
 日本経団連が連合に要求しているのは、「経営側の幅広い提案を受け、……それをもとに労使の話し合いによって決定し、実行に移していくという本来の役割に徹するべき」ということだ。さらに「労働組合に対しては、既得権益を擁護する活動の是正を求める」と言い放っている。労働者の利益や権利を投げ捨て、資本・国家のために活動する労働組合に変質せよということだ。

 連合評価委が変質要求

 連合が中坊公平元日弁連会長などに委嘱した「連合評価委員会」は、6月26日の連合中央委員会に中間報告を提出した。これも奥田ビジョンと同様に、「労働運動は足元から崩壊してしまいかねない切迫した事態に直面している」として、次のような言葉を並べる。
 「このように悲惨な事態が着実に進行しているにも関わらず、働く者は世の中を変えてゆこうという意識が弱く、怒ろうともしない」「働く者としての意識が希薄化」「労使協調路線のなかにどっぷりと浸かっていて、緊張感が足りない」
 これは、労働者が階級意識と怒りを持ち、団結し、この世の中を変革するために、労資協調路線を打ち破って闘うことを求めているのか。いや逆である。
 連合評価委員会は「労働組合が思い切った変身を遂げる必要がある」とか、「労働運動の理念・思想を原点にたちもどって再構築する」などと言いつつ、結局は、奥田ビジョンと同じく、資本攻勢に全面的に屈服し、それを労働者に受け入れさせるための「理念」を掲げている。労働者の階級意識を解体し、団結を破壊することが狙いなのだ。
 特に、「望むと望まざるとに関わらず、就業形態が多様化する」として、「幻想となりつつある既得権にしがみつこうとしても、組織を縮小させるばかり」だと言いなし、既得権を放棄しろと要求している。
 「働く者一人一人が他人と痛みを分かち合い」という言葉も、本来の意味での労働者の団結や連帯ではなく、不安定雇用化を受け入れ、ワークシェアリングやアウトソーシングに率先賛成しろ、ということだ。
 さらに「新しい公正な賃金論の確立が急務」と、賃金闘争の解体を迫っている。「年功型賃金から職務型・職種型賃金への移行を働く者の視点に立って実現させる」と主張している。これは日経連の「新時代の『日本的経営』」が打ち出したものと同じで、終身雇用制を解体し、一部の基幹的な労働者以外は大幅に賃金を引き下げるものだ。電機連合などが提唱しているものも同様である。賃上げ闘争を放棄し、労働者をますます賃金奴隷の状態にたたき込むものなのだ。
 また、「日本の労働組合は、世界の労働運動のなかで、とりわけアジアでリーダーシップをとれるような存在になるために努力すること」「アジアにおいても地域共通の社会政策を策定すること」と言っている。これは奥田ビジョンの言う「東アジア自由経済圏」構想に対応して、アジアの労働者に対して日本企業への闘いは認めない、企業に協力する労働運動をアジアにも拡大していくべきだということだ。日本政府が、韓国に対して日韓自由貿易協定(FTA)締結の前提として、ストライキの際の「無労働無賃金」原則の順守、労組の「違法行為」への厳重な対処など、労働法の改悪を求めていることが明らかになっている。このようにアジアの労働運動を圧殺する役割を連合に求めているということだ。
 今、労働組合にはこれとはまったく逆の、本来の労働運動の理念が求められている。連合が「自由にして民主的な労働運動」(連合綱領)を掲げることによって追放しようとした、階級的労働運動の理念だ。資本家階級と労働者階級の対立を鮮明にさせ、搾取・収奪と戦争によってしか生きられない資本主義・帝国主義を打倒し、労働者階級が社会の〈主人〉となることを目指して闘うことである。

 有事法賛成から改憲へ

 日帝資本などの要求にこたえて、連合の変質は決定的に進んでいる。
 01年の第7回定期大会で採択した「連合21世紀宣言」は、「労働組合みずからの改革も待ったなしの課題である」として、「『抵抗』から『要求』、そして『参加』へと、労働運動は歴史的に発展してきた。連合は社会のあらゆるレベルでの『参加』を追求する」という「政労使パートナーシップ」路線を打ち出した。「自治労21世紀宣言」は、これの自治労版だ。
 02年12月の「雇用に関する政労使合意」は、その具体化であった。それに基づいて03春闘の賃下げに合意し、「解雇ルール」を法制化した労基法改悪にも賛成したのだ。
 そして昨年5月16日の「有事法制は必要」という連合見解に基づいて、有事3法成立に全面賛成した。
 連合は、8月22日の中央執行委員会で確認した「03年度政策・制度要求の取り組み」の中で「有事関連法では、民主党の政府案抜本修正の取り組みを支持した」と公式に賛成を表明した。さらに「組合員の生命・人権と業務命令の関係などの具体策の法制化を実現しなければならない」と、戦争動員のための「国民保護法制」など、有事法制の完成を求めている。
 「連合の政治方針」(99年改訂)では、「防衛論議は……平時対応・周辺事態対応・有事体制の区分のなかで、国民的論議を行えるよう努める」「憲法論議を否定するものではない」「自衛権は独立国家の固有の権利」などをうたった。5・16連合見解をまとめた連合の「国の基本政策検討委員会」は、有事3法成立を受けて、憲法第9条の解体を核心とした改憲を推進する方向で、新たな政治方針を打ち出すことを狙っている。

 民主と自由の合併支持

 この流れを決定的なものにするのが、民主党・自由党の合併である。連合は、これを「好意を持って見守っていきたい」と、全面支持を表明した。民主党も自由党も、もともとブルジョア政党であり、「自民党では構造改革ができない」と言って小泉と構造改革の実行力を争うという点で、労働者階級の敵である。
 また、民主党自身がすでに改憲推進路線であり、小沢・自由党と合体することで、小沢の「国連常備軍創設」構想などの改憲路線と同様のものを打ち出してくるに違いない。
 かつて93年の細川政権成立時も、当時の連合会長・山岸が、自民党を割って出た小沢と手を組んだ。自民党・社会党を中心とした「55年体制」の崩壊の始まりだった。これに続いて、小沢らが再び連合を巻き込んで新たな政治再編を狙っているのは明らかだ。
 日本の労働運動は、この連合の動向と新たな政治再編の情勢の中で、大流動情勢に入る。これに日本共産党の綱領改定をめぐる全労連の分岐が加わる。
 89年連合結成以来の労働運動の「枠組み」が崩れ、日本労働運動の危機の中から闘う労働運動の新しい潮流が本格的に台頭するチャンスが到来したのだ。
 その先頭に立つのが今春の72時間ストライキに立ち上がり、国際連帯の新地平を開いた動労千葉を始めとする3組合共闘だ。そして国鉄1047名闘争である。労働者の生活と権利を守るために権力・資本に対して団結して闘う労働組合としての原則を貫いて、戦争と資本攻勢に対決する労働者階級の国際的団結をなんとしても実現しよう。11月こそ、その勝負の時だ。
〔大沢 康〕

キーワード 

 産業報国会
 日本帝国主義が中国侵略戦争を拡大していった1938年、国家総動員法が成立した。同年に「事業一家」「産業報国」のスローガンのもとに、労働争議の鎮圧と軍需生産への協力を目的にした「産業報国連盟」の結成運動が始まった。全国の主要工場・事業場に労資一体の「単位産業報国会」がつくられた。厚生省労働局、内務省警保局、警察の主導で促進され、40年の総同盟(日本労働総同盟)の解散に伴い、全国一本の「大日本産業報国会」が結成された。最大550万人を組織。42年には大政翼賛会の傘下に入った。45年の敗戦後に解散。

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週刊『前進』(2118号3面2)

世界の労働運動 韓国 貨物連帯がスト 盧武鉉政権と全面激突

 8月21日、全国運送荷役労働組合貨物連帯(キムジョンイン議長)が、5月に続き再度のストライキに立ち上がった。貨物連帯は、コンテナ貨物輸送を担うトラック運転者たちの組合だ。3万人の組合員が各地で集団輸送拒否に入った。
 貨物連帯に結集する貨物運送労働者は、見かけ上は「持ち込み車主」として、労働者の名前を奪われた、非正規職特殊雇用労働者。98年IMF管理体制のもとで進められた構造調整の結果、貨物運送労働者の97%が「持ち込み車主」という特殊雇用非正規職とされたのである。
 貨物運送労働者たちは、車両の割賦金・割付金・税金・保険料、さらに道路費・軽油価格など運送費を自分で払い、登録した運輸会社に持ち込み料を取られる上、二重三重の斡旋(あっせん)料を中間搾取される。月平均収入は70万ウォン(約7万円)。一人で高速道路を走り、休憩所のトイレで洗面し、車中で眠るのが日常という環境だった。
 運送荷役労組は90年代半ばから組織化に着手し、昨年10月には組合員1800人の貨物連帯が発足した。

 世の中を変える

 5月のストは、労働者の積年の怒りを噴出する大ストライキとなった。
 韓国では全貨物輸送の94%を貨物運送労働者が担っている。警察部隊が投入され、港湾には韓国軍が配備される中で、「物流を止めて世の中を変えよう」というスローガンのとおり、韓国のコンテナ貨物の80%が集中する釜山港を機能停止に追い込む「物流大乱」となった。その結果、5月15日に、@今年7月の軽油税引き上げ分を政府が補てん、A中間搾取構造の改善、B高速道路の夜間割引時間帯の2時間延長など、11項目の合意をかちとって大勝利した。
 この闘いに対して盧武鉉(ノムヒョン)大統領は、貨物連帯への憎悪をむき出しにし、大統領に基幹産業ストライキを中断させる命令権を与えることを核心とするアメリカの「タフト・ハートレー法」をモデルとする「国家危機管理特別法」の検討を指示した。
 盧武鉉政権は労働者の団結を全面的に破壊し、労働運動を解体しようと踏み込んだ。盧武鉉は、6・28全国鉄道労組のストライキを暴力的に襲撃し、その後、解雇58人、解任21人など懲戒処分9千人という大弾圧を加えている。
 8月29日には、国会前で5千人の労働者が反対を叫ぶ中、週5日勤務制導入をテコとした勤労基準法改悪案を成立させた。9月4日には「労使関係先進化ロードマップ(里程標)」を発表した。これは「一言で△解雇を容易に△ストライキは難しく△労組の力を失わせるための使用者の対抗権を画期的に強化する」(9・4付民主労総声明書)という大攻撃である。
 また、日本政府と財界が8月29日、日韓自由貿易協定(FTA)締結のための先決課題として“労働運動を取り締まれ。労働法を改悪せよ”と迫ったことと完全に連動したものだ。

 ストで組織拡大

 5月ストの時には組合員1万5千人だった貨物連帯は、3万人に組織を拡大した。荷主および運送業者との運賃交渉が進まず、政府が5・15労政合意を守らない中、8月21日から再度のストライキに突入した。
 盧武鉉政権は、27日、貨物連帯幹部16人の逮捕令状を取り、5・15労政合意を全面否認するに至った。さらにセメント業界はマスコミを金で操作し、ウソの「現場復帰率」を流し、ストをつぶそうとした。運送業者は損害賠償請求、契約解除などの脅しで労組に圧力をかけ、交渉に背を向け続けている。
 総力をあげた弾圧にもかかわらず、貨物連帯は散開闘争と支部別集会を継続し、固く団結し整然と輸送拒否を続けた。9月1日にはソウルと釜山に組合員8千人余が集まり、ゼネスト勝利決意大会を開いた。2日には車両デモを行い、全国の高速道路など交通をストップ。この過程で貨物連帯組合員370人が連行された。民主労総本部と釜山本部に対する押収捜索と幹部逮捕の攻撃に対しては貨物連帯組合員が連日連夜のピケ体制で守りぬいた。
 9月5日夕、2日にわたる討論の末、貨物連帯のキムジョンイン議長は、スト撤回・業務復帰を発表し、「今後、政府と業者との交渉を再開するが、結果次第では再びストに入る」と語った。厳しい激突局面を団結して闘いぬいた貨物連帯は、さらに新たな闘いへ進もうとしている。
 韓国1300万労働者、うち770万人が非正規職労働者であり、1100万人が中小零細・未組織労働者だ。その過半を女性労働者が占める。民主労総は、今年下半期の3大要求を〈@非正規職制度改善、A国民年金改悪中止、B労働弾圧中断・労働3権強化〉として確定し、ゼネストを含む総力闘争に突入することを決めた。
 民主労総を始めとする韓国の労働者人民は、米日帝の北朝鮮侵略戦争策動を許さない闘いと一体のものとして、襲いかかるIMF体制下の資本攻勢と全面激突している。闘う朝鮮人民と連帯し、その闘いにこたえる闘いを日本で巻き起こそう。
 (室田順子)

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週刊『前進』(2118号3面3)

鉄建公団訴訟 “組合差別は明らか” 北海道闘争団員が陳述

 9月8日午前、東京地裁において、鉄建公団訴訟第9回口頭弁論が行われた。傍聴券抽選には150人以上が参加した。
 陳述には、北海道・釧路闘争団の横田厚さんが立った。横田さんは、国鉄釧路客貨車区の検査係・技術係として働き、また87年4月のJR不採用時は国労釧路支部書記長であったことを述懐した後、「釧路運転区におけるJRへの採用率は、国労組合員が12%、動労組合員97・5%、鉄労組合員100%、全動労組合員15%でした」と述べた。
 「労働運動で重要なのは仕事がよくできることです。当局と渡り合うためには、業務内容を周知・理解していることが必要です。私は20年近く貨車業務を勤めてきて、業務の知識や技量には自信がありました。しかし1カ月の見習いをしただけの動労組合員が97・5%採用されたのです。JR不採用事件北海道地労委審問で証言した私の上司であった元助役は、『客貨車(の国労組合員)の方が立派な仕事をする。そして動くのも、客貨車の方がずっと動きますよ、動労組合員から見たら』と証言しました。業務の習熟度ではなく組合別による差別であったことは明らかです」と訴え、最後に裁判長に「仲間を裏切らず、正義と真実を求めて闘う原告と家族に、心を開かれるよう訴えます」と述べた。傍聴席から大きな拍手が起きた。
 裁判終了後、新宿駅西口に移動して、闘争団・家族、支援労組などが「怒りの座り込み」と駅頭大宣伝を行い、約200人が参加した。
(写真)
 国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長や、鉄建公団訴訟原告団で美幌闘争団遺族の三浦成代さんらが訴えた。沿道からも大きな注目が寄せられた。
 次回は10月20日に行われる。
 鉄建公団訴訟は、分割・民営化反対を貫いて1047名闘争の大衆的陣形を広げ、その力で鉄建公団=清算事業団に解雇を撤回させ、JR復帰をかちとる闘いである。国労5・27臨大闘争弾圧粉砕闘争と鉄建公団訴訟を闘いの両輪に、動労千葉、全動労を含む1047名闘争の団結を打ち固めて勝利しよう。

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週刊『前進』(2118号3面4)

介護保険厚労省交渉 年金問題で追及 “国は詐欺をしている”

 9月3日、介護保険に異議あり!全国ネットワークが5回目の厚生労働省交渉を行った。午後2時から行われた交渉には、東京・杉並を始め、広島、大阪、横浜など各地から60人の高齢者が参加。交渉では、特に年金制度改悪の問題を追及した。今年4月の年金支給引き下げと介護保険料引き上げで高齢者の怒りがわき起こっているのだ。
 交渉は森田充二高槻市議の司会で進められた。最初に、全国ネットの高田普次夫代表があいさつし、高齢者の生の声を真剣に聞くように要求した。続いて厚労省に対する要請書を読み上げた。要請書では、介護保険について「厚労省の責任で実効ある減免制度をつくる」よう要求した。利用料についても、保険料だけ強制的に取られて利用料が払えないために介護サービスを利用できない実態を突きつけ、利用料の減免を要求した。年金については、支給の削減と保険料の大幅引き上げをたくらむ抜本改悪に反対であることを突きつけ、保険料の減免制度の拡充と支給額の減額を補う助成を要求した。
 交渉はまず年金問題をテーマに、2時間半の交渉のうち1時間45分を費やして追及した。年金問題に関する厚労省の回答では、年金制度大改悪については明らかにせず、「社会保障審議会で現在検討中」と言い逃れようとした。物価スライドでの年金支給切り下げについては「法律の適用」「負担する現役世代との均衡のためだ」と居直った。
 これに対して、参加者の怒りがわき上がった。和歌山で農民の一揆で法律を元に戻させた昔の例を引きながら、「人が決めた法律は人が正すことができる。高齢者の叫びを真剣に受け止めよ」と弾劾した。「働いて納めた年金を今になって下げるのか」「死ねと言われているのと同じだ」「孫の2人が高校を卒業しても就職口がなく、アルバイトをしているが賃金が安くて私が年金保険料を払っている。若者に仕事があるようにしてほしい」と追及が続いた。さらに年金基金の財政破たんについて「株は下がることもあれば、上がることもある」と、国が何兆円もの損失を出した責任をとろうとしていないことに怒りが燃え上がった。「年金改革は保険料を大幅に引き上げ、支給額を大幅にカットする方向で検討しているのに、それをはっきりと言わないのは許せない」と厳しい追及が続き、厚労省は完全に追いつめられた。
 介護保険については、厚労省は、「介護を必要とする人が増えていて給付が増えているから、保険料が上がる。減免制度は厚労省が自治体に指導するのは難しい。自治体が地域の実情にあわせて決めること」と逃げた。「自己負担の見直しは考えていない。罰則は支払いの方法が変わるということ」と臆面(おくめん)もなく居直った。
 「減免は自治体が決めること」という回答に対して新城節子杉並区議が、「国の責任を認めろ。自治体の責任だと言うのなら、厚労省が自治体に指示した3原則(@保険料をまったく払わないのは不適当、A一律減免は不適当、B一般財源からの補てんは不適当)を外してほしい。あれがあるから杉並区はやらないと言っている」と追及した。
 参加者が「2カ月で3万円の年金で生活している人から第2段階の保険料を取っている。介護保険は年寄りを死に追い込む制度だ。年金が少ない人、無年金の人は介護を受けたくても受けられない。じっと我慢して家で死を待っている現実を認識していない」と現実を突きつけ、「生活保護以下の収入の人からは保険料を取るな」と要求した。
 都政を革新する会の北島邦彦事務局長は、週1回の通院にヘルパーを頼むと約3万円かかるため、ヘルパーを利用できずに手押し車を使いながら2時間かけて通っている女性の例を挙げ、「介護保険は廃止しかない」と突きつけた。
 「国は詐欺をやっているんだ」「ヘルパーさんを使い捨てにする介護保険制度なら保険料を払う必要はない」と、次々と怒りがたたきつけられた。

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週刊『前進』(2118号4面1)

テロ対策特措法の延長法案阻止せよ 臨時国会闘争に立とう
 自衛隊イラク派兵阻止を

 小泉政権は、9月末にも始まる秋の臨時国会でテロ対策特別措置法を2年延長する法案の成立を狙っている。国会闘争で廃案に追い込もう。世界の人民の占領軍帰還の闘いと連帯して、インド洋・アラビア海の自衛隊を撤退させよう。今秋の自衛隊イラク派兵を阻止しよう。

 アフガン参戦継続を許すな

 9月末から臨時国会が始まる。自民党総裁選をめぐる政局の流動化の中で、10月解散、11月総選挙となれば、10日間程度の審議日数となる可能性も高い。小泉政権はその中で、先の通常国会で継続審議となったテロ対策特別措置法を2年延長する改正案を、わずかな審議時間で強行突破しようとしている。全力で国会闘争に立ち、テロ特措法延長法案の成立を阻止しよう。
 テロ対策特措法は、「対テロ戦争」を遂行する米軍を自衛隊が支援することを定めた法律だ。自衛隊は、この法律を「根拠法」として一昨年11月、アフガニスタン侵略戦争に参戦し、米英軍とともに人民虐殺に手を染めてきた。現在、海上自衛隊から舞鶴基地(京都)のヘリコプター搭載護衛艦「はるな」、呉基地(広島)の護衛艦「あさぎり」と補給艦「とわだ」の3隻、約650人が展開している。
 01年11月の派兵以来、自衛隊は、米、英、仏、独、伊、ニュージーランド、スペイン、オランダ軍に洋上補給で燃料を提供してきた。自衛隊は、6月末までに265回の燃料洋上補給を行い、総額100億円以上の燃料を提供してきた。自衛隊の提供する燃料は、イラクへ出撃する部隊にも転用されている。米軍の兵士や物資の輸送も行っている。すでに自衛隊はアフガニスタン・イラク侵略軍の重要な一翼を占めている。
 小泉政権は、この派兵をさらに2年継続し、それに加えて自衛隊1000人をイラクに派兵することを狙っているのだ。テロ対策特措法の延長法案は、先の通常国会では有事立法阻止・イラク特措法阻止などの闘いで、継続審議となっている。テロ対策特措法は今年11月で期限が切れる。延長できなければ、自衛隊のインド洋・アラビア海派兵の「法的根拠」は失われるのだ。テロ特措法の延長を阻み、自衛隊をすべて帰還させよう。今秋のイラク派兵を絶対阻止しよう。

 「今すぐ軍隊引き戻そう」

 イラク侵略戦争は完全に泥沼化し、「第2のベトナム」に突入してしまっている。米英軍の戦死者数は91年湾岸戦争を超え、3月20日の開戦後の米英軍の死者は、9月3日現在で計336人(CNNまとめ)となっている。米英軍が、占領軍としてイラクにとどまる限り、今後も戦死者が増え続けることは不可避である。ブッシュ米大統領やブレア英首相が戦争の口実とした「大量破壊兵器の脅威」も、完全な証拠ねつ造だった。米軍の士気は劇的に低下し、現場の兵士には不安、恐怖、不満や怒りが充満している。
 さらに侵略戦争の戦費が、米帝にとって深刻な負担となっている。ブッシュ大統領は9月7日、04会計年度(03年10月〜04年9月)の補正予算として870億j(約10兆2千億円)を米議会に要求したが、さらにイラク復興費用として300億〜550億j(約3兆5千億〜約6兆4千億円)が必要だという。これらは国防予算3551億jとは別の負担である。これによって米政府の04会計年度の財政赤字は少なくとも5250億j(約61兆2千億円)となる。日本の03年度一般会計の約81兆9千億円と比較してもあまりに巨額の財政赤字である。
 米議会には「戦争開始の根拠を示せ」という手紙が3週間で40万通も殺到している。世論調査では、ブッシュ米大統領の支持率は45%、不支持率が54%と逆転した。ブレア英首相も、世論調査で「辞任すべきだ」が多数となっている。
 イラク軍事占領の維持が次第に困難となる中で、ブッシュ政権は、多国籍軍の展開をめざす新たな国連安保理の決議案を提出する方針を決めた。各国に「責任の分担」を求めつつ、指揮権は米軍が握るという虫のいいものだ。10月17、18日のブッシュ訪日が決まったが、これは日帝にイラク派兵と戦費負担を直接求めることが目的だ。ブッシュ訪日を絶対に許してはならない。
 こうした中で、占領軍の帰還を要求する運動が拡大している。米国では、戦死した米兵の家族らが「石油のために米兵が血を流す価値はない」と公然と主張し、米兵家族、現役軍人、退役軍人、予備役など数千人を組織する各種団体が、米軍の帰還を要求するキャンペーンを展開している。
 10月25日に、米反戦団体ANSWERなどの呼びかけで行われる10・25国際反戦統一行動も「今すぐ軍隊を引き戻そう」「イラク占領を終わらせよう」がメインスローガンだ。占領軍帰還を要求する世界中の闘いと連帯して、テロ対策特措法の延長阻止=自衛隊の撤退、自衛隊イラク派兵阻止の闘いをつくりだそう。

 自衛隊兵士は命令拒否を!

 米英兵が直面する侵略戦争の泥沼化、不正義性、過酷さは、日本の自衛官にとっても同じである。インド洋に派兵されていた自衛隊員が、任務の過酷さから突然死したり、艦内での飲酒で大量の処分者が出る事件も続いている。昨年11月には、横須賀基地からインド洋に出港準備中だった護衛艦「しらね」をめぐり、「機関に異常」という出港前夜の投書で出港が中止になる事件も起きている。
 自衛隊員から「日本は専守防衛ではないのか」「命令を拒否したらどうなるのか」「戦死したら家族はどうなる」といった疑問、不安、不満の訴えが次々とあがっている。自衛隊派兵阻止を訴える街頭宣伝などでも、現役自衛官や家族が署名に応じ、苦悩をうち明けるケースが各地で生み出されている。
 テロ対策特措法の延長阻止の国会闘争とともに全国で基地闘争を行い、自衛官に出兵命令拒否を呼びかけよう。出兵命令を拒否する自衛官を支援・防衛できる反戦・反軍運動をつくりだそう。
 日帝の侵略戦争体制の確立は、闘う労働運動、労働組合の解体・絶滅ぬきには絶対に貫徹できない。世界の反戦運動では、民営化や資本攻勢と闘う労働運動・労働組合がその先頭に立っている。動労千葉や陸・海・空・港湾労組20団体の闘いに連帯し、資本攻勢と侵略戦争に立ち向かう労働運動の団結で日帝の有事体制づくりを阻もう。9・27−10・25国際反戦統一行動に立とう。

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週刊『前進』(2118号4面2)

アッバス辞任 ロードマップが破産 イスラエルの虐殺許すな

 9月8日、パレスチナ自治政府のアッバス首相が辞表を提出した。米帝が進めてきた中東支配再編のための「ロードマップ」(行程表)の破産が明白になった。アラファト議長が後任にクレイ評議会議長を指名したが、それによって再びロードマップが進展することはあり得ない。
 「パレスチナ和平のため」と銘打たれているロードマップだが、その本質はパレスチナ人民の解放闘争を圧殺し、米帝の中東支配を安定化させることにある。しかもイスラエルに代わってパレスチナ自治政府にパレスチナ人民の闘いを圧殺させようとしたものであり、はじめから破産は必至だったのだ。(『コミューン』9月号参照)
 米帝は、イラク侵略戦争によって中東支配を再編し、植民地主義支配を決定的に強めようとした。凶暴な侵略戦争でイラクを軍事占領・植民地支配下におくとともに、中東・ムスリム人民の闘いを圧殺しようとしている。そのためにも米帝の半世紀以上にわたる中東支配の反人民性、凶暴性が示されているシオニスト国家=イスラエルの存在とそのパレスチナ人民虐殺の歴史を隠蔽(いんぺい)する「和平」のペテンを必要としたのである。
 そもそも、「パレスチナ国家樹立」をうたったロードマップは、収容所のような窒息状態の中にパレスチナ人民を永久的に閉じこめようとするものだ。それを端的に示すものが、イスラエルがヨルダン川西岸自治区に建設を進めている「アパルトヘイトの壁」であり、パレスチナ難民の帰還権の否定であり、ユダヤ人入植地の居座りである。とりわけ巨大な壁の建設は、パレスチナ人民をわずかな土地に閉じこめ、土地を奪い、水資源を奪い、生きる手段を奪うものである。
 このロードマップによるパレスチナ解放闘争圧殺に対してパレスチナ人民は激しく闘ってきた。とりわけ衝撃的だったのは、8月19日のエルサレムの大型路線バスでの自爆戦闘(20人死亡)だった。ハマスなど武装勢力へのイスラエル軍の空爆による暗殺作戦などに対する強烈な反撃戦闘であり、ロードマップの最後的破産を突きつけた戦闘であった。これは同時に、米帝のイラク軍事占領がイラク人民の激しい不屈の闘いによって完全に泥沼に突入し、むしろ米帝の崩壊的危機の促進要因になっていることをあらためて突きつけるものであった。
 この戦闘以後、イスラエル軍はハマスを始めファタハの武装勢力「アルアクサ殉教者軍団」、イスラム聖戦などパレスチナ武装勢力の暗殺作戦を強め、またパレスチナ人民抹殺とも言える虐殺をエスカレートさせてきた。9月8日にはハマスの創始者であるヤシン師を狙った暗殺攻撃を行った。ヤシン師自身の暗殺には失敗したとはいえ、イスラエル軍は連日パレスチナ人民虐殺を繰り返している。こうした中で、アラファト議長を排除する形で米帝に支持された自治政府アッバス首相にはパレスチナ解放闘争勢力を圧殺する力などないことが完全に暴かれたのである。
 辞任の原因としてアラファト議長とアッバス首相の「確執」が言われているが、それが本質的な問題ではない。パレスチナ人民の全人民的な怒りと民族解放闘争の爆発に対する、イスラエルの軍事力行使と虐殺戦争こそがアッバスをも追い詰めたのである。ロードマップの狙いは、アッバス体制の崩壊という形で破産に直面したのだ。
 イスラエルは自己の軍事力によってパレスチナ人民を虐殺し続ける以外に生存できないことがあらためて突き出された。そしてそれは、パレスチナ人民を始め、中東・ムスリム人民の米帝の中東支配に対する闘いが、世界革命の一環としてさらに激化していくということである。
 不屈に闘うパレスチナ人民、イラク人民と連帯し、中東植民地化、イラク軍事占領を粉砕しよう。自衛隊イラク派兵を阻止しよう。

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週刊『前進』(2118号4面3)

仙台で基地包囲 “派兵阻止”に自衛官共感

 東北大学学生自治会の呼びかけで9月5日、陸上自衛隊東北方面総監部がある仙台駐屯地(仙台市)に対しイラク派兵阻止の基地包囲行動を行いました。40人の学生が参加し「自衛官は侵略出兵を拒否しよう」と訴え基地を一周するデモを行い、3千筆の署名を持って申し入れを行いました。
 集会では「有事法制で再びの戦争国家化に突き進み、自国の権益を確保しようとする小泉を許すな」(東北大学日就寮)、「自衛隊のイラク派兵阻止は、イラク軍事占領を粉砕する力になる」(1年生)などと確信と展望に満ちた発言が次々出され、いざ駐屯地一周デモに出発。
 途中、自衛隊車両が通りかかり自衛官が手を振ってこたえる場面もあり、「われわれの主張が届いている」という手ごたえを感じました。駐屯地周辺の住民や労働者も建物から出てきて注目していました。
 全国の自衛官に「イラクの人びとに銃を向けるな」と侵略出兵拒否を呼びかけ、自衛官と家族の反戦決起をつくりだそう。全国でイラク派兵阻止の大運動をまき起こそう。
 (東北大・H)

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週刊『前進』(2118号4面4)

労働者の闘いを抑圧する 日本共産党の新綱領案(1)
不破路線の集大成 90年代以来の裏切りの帰結

 「国民の合意」

 日本共産党は11月22日から第23回大会を開き、綱領を全面改定しようとしている。この綱領改定は、「独占資本主義=帝国主義なのではない」(不破哲三議長)と言って帝国主義を完全に容認し、階級的な闘いを一切否定する反労働者的な大転向である。
 91年のソ連スターリン主義の崩壊で根本から揺らいだ日本共産党中央は、不破のもとで、94年に綱領の大改定を行い、苦し紛れののりきりを図った。それ以来、「資本主義の枠内での民主的改革」を基本路線化し、転向路線を進めてきた。今回の新綱領案は、その転向の集大成と言えるものである。
 今回の改定では、従来の綱領になかった言葉が、それも5回も使われている。「国民の合意」という語である。「自衛隊の解消」に関してと「天皇制の存廃」に関して各1回、「社会主義的変革」の個所では3回も「国民の合意(総意)」が出てくる。これはどういう意味か。
 つまり自衛隊と天皇制と社会主義という、革命と権力にかかわるすべてにおいて、「国民」すなわちブルジョアジーを含む合意がなければ行わないということである。ブルジョアジーの意に反することは絶対にしませんという誓いなのである。要するに完全に革命を否定するということが宣言されているのだ。
 このことがよく示しているように、新綱領案は、労働者に背を向け、ひたすら帝国主義支配階級の立場に立とうとするものである。
 新綱領案の中身は、実は90年代以来十数年間の不破路線の実践の中に現れてきたものである。この十数年間の、日本共産党の主な裏切りと敵対は、次のようなものだ。

 10項目の罪状

 @91年湾岸戦争に賛成。米帝を始め多国籍軍のイラク侵略戦争(イラク人民大虐殺)に対し、「国連決議に基づく戦争」「帝国主義戦争、侵略戦争ではない」と完全に擁護した。
 A「暫定政権では安保廃棄を凍結」方針を表明。98年の参院選で日本共産党の議席が拡大した際、不破は「野党連合政権=暫定政権」に加わる用意があると表明し、その時は「安保廃棄」の方針を凍結する(反対を掲げない)という態度を明らかにした。
 B99年「日の丸・君が代」法を推進。日本共産党は「国旗・国歌の法制化」を提唱し、これに自民党が飛びついて「日の丸・君が代」法案を国会提出、成立させた。当時の野中広務官房長官が、日共の提案がヒントになったと歓迎した。
 C「自衛隊の有事活用」を表明。00年の日本共産党第22回大会で、自ら政権に就いた時も、「必要に迫られた場合には、自衛隊を国民の安全のために活用する」と決議した。
 D国鉄闘争解体の4党合意に屈服。国労内日共グループ「革同」は、国鉄闘争圧殺の4党合意を推進したばかりか、国労大会にビラまきオルグに行った国労組合員ら8人を警察と一体となって権力に売った。
 E9・11反米ゲリラ戦争を憎悪をむき出しにして非難した。「テロ根絶(民族解放闘争を圧殺するということだ!)」を各国首脳にアピールした。さらに「テロ対策」として海上保安庁法改悪に賛成した。
 F02年イラクの「大量破壊兵器」の査察を求める国連安保理決議に賛成。
 G労働基準法改悪に協力。労基法改悪で与党・民主党修正案に賛成し「資本の解雇権」を認めた。
 H保安処分新法成立に協力。心神喪失等医療観察法が通常国会で成立したが、日本共産党は当初これに賛成していた。医療労働者などの反対の声によって軌道修正した。
 I少子化対策法案に賛成。人口の増減を国家が管理し「産めよ殖やせよ」の運動を推進するこの法案に「少子化は深刻な問題」として賛成した。戦争国家化攻撃への協力そのものだ。 最後のGHIは今年の通常国会での裏切りである。

 噴出する反発

 これらの転向は、まさに日米新ガイドライン、周辺事態法、有事3法、自衛隊派兵法などの戦争国家化攻撃の真っただ中で、安保を容認し、自衛隊の活用をうたい、天皇制攻撃にさおさすものだった。また、労働者に対して賃下げ、リストラ攻撃が吹き荒れるただ中で、労基法改悪に協力するという裏切りだった。これは、今や戦争によってしか生きられない危機に陥っている帝国主義に、救済の手を差し伸べるものである。
 こうした中で、日本共産党のもとで闘ってきた人びとが、党中央から抑圧と弾圧の対象となり、闘うためには公然たる離反と決別を決意しなければならないという現実を生み出している。全労連の傘下の労働者の中に、また民青の中に、日本共産党指導部に対する疑問と不信、さらには怒りと反発が急速に広がっている。
 陸・海・空・港湾労組20団体の呼びかける闘いにも消極的、全労連の闘いにも制動をかける、反戦闘争に立ち上がった民青の活動家に対しても抑圧を加える、春闘や反戦闘争にまじめに取り組もうとすると必ず日共中央と対立する、ということが起こっている。
 今こそわれわれは訴える。日本共産党は綱領において帝国主義と対決することを完全に否定し、労働者の闘いを抑圧することを表明するにいたった。この日本共産党をのりこえ、反帝・反スターリン主義世界革命のために、革共同に結集して闘おう。
 次号以降、@資本主義の永遠化、A労働者階級の闘いの否定、B戦争絶対反対の否定、C国連の秩序を絶対化、D天皇制の容認、E帝国主義の最後の番兵化、F市場経済を通じての社会主義論の順で新綱領案の本質をえぐり出していきたい。
 (高田隆志)

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週刊『前進』(2118号4面5)

広島での講演を聞いて
日米帝の核こそ問題 「北朝鮮脅威」論と闘う視点 投稿 高根 達也

 被爆58周年8・6ヒロシマ大行動の前日、広島市の平和記念資料館で°原爆投下後の被爆調査″の企画展を見学した。そこには、戦時中の日本の原爆開発の中心だった理化学研究所の仁科芳雄から聞き書きして作成された濃縮ウラン開発の報告書が展示してあった。
 アジア・太平洋侵略戦争の末期、敗勢にあえぐ日帝軍部は「二号研究」という暗号名の原爆製造計画を推進していたのだ。マンハッタン計画で原爆を開発した米帝は、濃縮ウラン爆弾を広島に、プルトニウム爆弾を長崎に投下、数十万人を虐殺した。
 帝国主義戦争の中で、帝国主義によって極限的な大量虐殺・破壊兵器=核兵器が生み出されたこと、そして日帝自身も原爆開発を追求していたことがリアルに迫ってくる。
 統一実行委主催の「8・5反戦・反核の集い」での「北朝鮮核問題」に関する小出裕章さん(京都大学原子炉実験所)の講演は、吹き荒れる「北朝鮮脅威」論と対決し打ち破る道すじを示す貴重なものだった。
 「北朝鮮には核爆弾の材料となるプルトニウムを取り出す専用施設はない。放射化学研究所という施設はあるが、それは本当に小さな実験室で、日本の強大な再処理工場のようなものとは全然違う」。小出さんはこう断言した。
 Nuclear Developmentという英語を、日帝は自らには「原子力開発」と訳し、北朝鮮には「核開発」と使い分けているそうだ。最近米国は、クリプトンを北朝鮮の核施設の上空から検出したと発表したが、使用済み核燃料を少し切っただけでも放射性物質は出る。仮に北朝鮮がプルトニウムを抽出したとしても、最大20`グラムで長崎型原爆の1〜2発という。
 他方で日本には、東海村再処理工場があり、六ケ所村には世界最大級の再処理工場が稼動直前だ。また核兵器級の濃縮ウラン製造が可能な大規模ウラン濃縮工場も保有し、巨大な原子炉52基が動いている。蓄積しているプルトニウムはけた違いの40d。日本が高速増殖炉にこだわるのは、高性能な原爆をつくるのに最適な純度99%のプルトニウムが生成できるからだ、と小出さんは強調した。
 日帝は、戦時中は米帝と競って核開発に着手し、戦後は54年のビキニ被爆事件では被爆者の闘いを圧殺し、「平和利用」の名の下に独自の核開発を再始動させた。今や巨大な核燃サイクル施設群を有し核爆弾材料を大量に製造・蓄積しつつある。日帝は「北朝鮮の核」をあげつらい、それを口実にして独自の核武装国としての公然たる登場をちらつかせ、米帝と共同・競合して北朝鮮侵略戦争へ突き進んでいる。こうした侵略戦争と一体の日帝の核こそ、重大問題ではないのか。
 米帝は巨大なウラン濃縮工場や再処理工場、膨大な量のプルトニウムと核兵器を持っている世界最大の核武装大国だ。核廃棄物の劣化ウランを利用した劣化ウラン兵器を開発し、それを91年湾岸戦争以来のイラク、旧ユーゴスラビア、アフガニスタンへの侵略戦争で大量に使用してきた。
 今回のイラク侵略戦争では、米軍は2200dもの劣化ウランをばらまいたという。米軍は、イラクに対し大量破壊兵器保有をデッチあげて侵略し、自らは新旧大量破壊兵器を撃ちまくって無数のイラク人民を殺傷し、劣化ウランという放射能でイラクの土地を恐るべき核汚染地帯にしてしまったのだ。
 北朝鮮侵略戦争でも劣化ウラン兵器の大量使用が米軍の軍事作戦の前提となっていることは間違いない。ブッシュは北朝鮮への先制攻撃・戦術核使用を宣言している。北朝鮮侵略戦争は核戦争そのものとなる。
 世界戦争=核戦争の元凶は帝国主義だ。全世界の労働者階級人民・被抑圧民族人民の階級的連帯に貫かれた国際的内乱こそ、われわれの未来を切り開く。このことを一層強く確信した今夏8・6―8・9反戦反核闘争だった。

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週刊『前進』(2118号4面6)

日誌'03 9月2日〜9日
 石原が朝鮮総連差し押さえ 米帝が国連に多国籍軍要求

●米が国連に多国籍軍要請 米政府は、国連の承認を受けた形でイラクに多国籍部隊の展開を目指す、新たな国連安全保障理事会決議案を近く提出する方針を固めた。米英占領下での派兵に慎重な国の参加を求めるのが目的。多国籍軍は、米軍が指揮をとる「統一指揮」の下に置かれる。(2日)
●U2偵察機が嘉手納に飛来 韓国の米空軍烏山(オサン)基地所属のU2偵察機1機が、沖縄の嘉手納基地に飛来した。外務省によると、米軍は烏山基地の滑走路改修工事に伴い、U2偵察機4機と要員約150人を嘉手納基地へ60日間の予定で移駐する。地元では「常駐化につながるのではないか」と不安の声が高まっている。(3日)
●米、北朝鮮へ段階的対応認める 米国務省高官は、北京での6者協議で米国が北朝鮮に核の放棄を迫った際に「ステップ・バイ・ステップ」の段階的な対応を認めていたことを明らかにした。核の放棄完了前でも北朝鮮の求める「不可侵の保証」について検討する用意を示したものといえる。(4日)
●復興事業参入へイラク貿易保険再開 日本政府は、日本企業がイラク政府と結ぶ取引について、短期(2年未満)貿易保険の引き受けを9月中にも再開することを決めた。取引の信用を高め、米英企業がほぼ独占する復興ビジネスに日本企業を割り込ませる狙いがある。90年のイラクによるクウェート侵攻以来、イラク政府向けの保険の引き受けは原則停止しており、再開は13年ぶり。(7日)
●ブッシュ、米議会に870億j要求 ブッシュ大統領が全米向けにテレビ演説を行い、「(イラクは)テロとの戦いの中心的な前線だ」と述べ、国連加盟国に対し、復興や治安維持における責任分担を要請。イラク、アフガニスタンの戦闘、復興の補正予算として870億j(約10兆2千億円)を米議会に要求することを表明した。成立した場合、04年度会計(03年10月〜04年9月)の財政赤字が過去最大を大幅に更新し、5250億j(約61兆2千億円)に達するとの見通し。(7日)
●英軍1200人増派 フーン英国防相は、下院にイラク情勢を報告し、新たに英陸軍2大隊、約1200人をイラク南部に派兵することを明らかにした。(8日)
●IAEA「イラク核計画なかった」 イラクの大量破壊兵器疑惑の国連査察に参加した国際原子力機関(IAEA)は、「1991年以降、イラクに核兵器開発の兆候は認められない」とする理事会向けの報告書をまとめた。報告書によると、イラクの過去の核開発計画の中核メンバーはばらばらになっており、財政支援もなく、計画が再開された形跡はなかった。特にウランの輸入や濃縮実験の有無については、いかなる証拠も見つからなかったとしている。(8日)
●さらに300億から550億j 米政府高官は、ブッシュ大統領が7日に表明した870億jの補正予算のほかに、イラク復興費用として300億〜550億j(約3兆5千億〜約6兆4千億円)が必要だと明らかにした。この費用について、米政府はイラク産原油の販売収入をあてるほか、日本や欧州、中東諸国を念頭に「友好国や同盟国に貢献を要請する」との方針を示した。(8日)
●朝鮮総連本部差し押さえ 在日朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関連施設に東京都が固定資産税などの課税を決定した問題で、督促後も納税がないとして、都が朝鮮総連中央本部(東京都千代田区)など3施設の土地、建物を差し押さえたことがわかった。差し押さえられた施設は公売され、売却金が滞納税分に充当される。朝鮮総連は9月3日に中央本部については行政不服審査法に基づいて課税を不服としており、この結果が出るまでは公売手続きは進められない。(9日)

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週刊『前進』(2118号5面1)

防衛白書 外征型の侵略軍へ大転換
北朝鮮侵略戦争狙った自衛隊3軍の統合運用
 早乙女 優

 米帝の世界戦争路線の発動は、世界を戦争と革命の大激動にたたき込んでいる。その中で、歴史的没落にあえぐ日帝は侵略帝国主義へと絶望的に突進している。有事3法の成立はその画歴史的な転換となった。日帝・小泉政権はイラク現地に1千人規模の自衛隊を侵略派兵し、日帝自身の戦争として北朝鮮侵略戦争に参戦することを決断している。また国民保護法制など残された有事法制を来年成立させ、憲法改悪さえもこの数年で一気にやってしまおうとしている。労働者階級人民の命運をかけた歴史的大決戦が始まっているのだ。自国帝国主義の侵略戦争と対決し、帝国主義を打倒する労働者階級の闘いを爆発させるために、03年版防衛白書に示される日帝・自衛隊の侵略軍隊化の恐るべき動向を明らかにする。

 有事3法が転換点 大型ヘリ空母建造

 「2001年から2003年にかけての3年間は、後世において『あのときを境に世界は変わった』といわれる歴史の転換点として記録されるに相違ない」
 石破茂防衛庁長官は防衛白書の巻頭言をこう書き出している。03年版防衛白書『日本の防衛』は、まさにこれまでとは歴史を画する日帝・自衛隊の侵略軍隊化への大転換を示すものとなった。
 防衛白書の特徴は第一に、有事3法の成立を「わが国の防衛政策にとって歴史的転換点」と位置づけて、侵略帝国主義へと画然と飛躍することをうち出したことだ。そのために第六章「今後の防衛庁・自衛隊のあり方」を新設し、今回自衛隊の統合運用とミサイル防衛(BMD)をうち出した。
 これまで自衛隊は、各自衛隊がそれぞれの作戦構想に基づいて個別に行動し、必要に応じて統合幕僚会議が統合調整を行うようにしてきた。今後は自衛隊に、「統合幕僚長」(仮称)と「統合幕僚組織」を新設し、自衛隊全軍が一元的な指揮・統制のもとに戦争を遂行する体制に転換する。
 これによって、各自衛隊が米軍に個別に組み入れられて北朝鮮侵略戦争に参戦するのではなく、自衛隊全軍が米軍の同盟軍として参戦するようになる。

 通信や補給の統合部隊新設

 防衛庁は、自衛隊が一個の軍隊として侵略戦争を遂行できるように、陸・海・空自衛隊が個別に保有している通信や衛生、補給などを担当する部隊を一つにまとめた「統合部隊」を新設することを明らかにした。これで自衛隊は外征軍、侵略軍として部隊展開するための自己完結能力を持つことになる。
 そして日帝・自衛隊は侵略軍隊形成に向けて、装備・兵器システムの圧倒的な強化を図っている。
 8月29日、防衛庁は04年度の業務計画と軍事費概算要求をまとめ、財務省に提出した。防衛庁は「大量破壊兵器等の拡散状況、テロ等の非対称的脅威の顕在化をはじめとした新たな安全保障環境の下、有事関連3法案が成立し防衛力を支える基盤が充実してきていることを踏まえつつ、将来を展望した防衛力の整備を目指す」とし、北朝鮮・中国侵略戦争へ向かって、自衛隊の侵略軍隊化を露骨に追求している。
ヘリコプター搭載護衛艦DDH(ヘリ空母) そして「防衛力整備基本方針7項目」を重視して防衛力の整備を行うとしている。@弾道ミサイル防衛に関する諸施策を推進する、A国内関係諸機関との連携を図りつつ、ゲリラ・特殊部隊への対応、不審船への対応、核・生物・化学兵器への対応、サイバー攻撃への対応などに係る能力を充実・強化する、B2005年度に新たな統合運用態勢に移行するための諸施策を推進する、などである。
 こうした基本方針に基づく04年度の防衛費の概算要求は、前年度比0・7%増の総額4兆9600億円になった。大型事業としては、弾道ミサイル防衛(BMD)システムの配備費と研究費に1423億円を、ヘリコプター搭載護衛艦DDH(ヘリ空母)建造に1164億円を計上した。
 ヘリ搭載護衛艦「16DDH」は、当初の計画では飛行甲板が中央部の艦橋(ブリッジ)で前後に2分されていた。ところが概算要求では、艦橋を右舷に寄せて飛行甲板が全体をとおして使える軽空母型となった。従来のヘリ搭載護衛艦の基準排水量は約5千dであったが、16DDHは3倍近い1万3500dである。これはイギリスの空母インビンシブルに匹敵する全長195bの大型艦である。ヘリ4機を同時に運用でき、最大11機のヘリを搭載できる。専守防衛の枠をはるかに超えた侵略戦争遂行のためのヘリ空母である。

 弾道ミサイル防衛システム

 ミサイル防衛は、米帝ブッシュ政権が米本土や海外駐留米軍への報復を恐れることなく、核兵器をも含めた先制攻撃を発動するためのシステムである。とくに北朝鮮・中国侵略戦争を主眼にしたものだ。米軍は04年にSM3を配備したイージス艦を在日米海軍基地に配備する予定である。
 自衛隊が配備を決めたBMDは、イージス艦搭載のSM3ミサイルを使って弾道ミサイルを迎撃する海上配備型システムと、撃ちもらした弾道ミサイルを空自高射部隊のパトリオットPAC3で迎撃する地上配備型システムとの組み合わせで運用するものだ。自衛隊は、まずはイージス艦「こんごう」にSM3を搭載し、PAC3を首都圏に配備する。
AH64D戦闘ヘリ「アパッチ・ロングボウ」 AH64D戦闘ヘリ「アパッチ・ロングボウ」は03年度から調達が始まった。同機はイラク侵略戦争で劣化ウランの機関砲弾により人民虐殺を行った。イスラエル軍もこの戦闘ヘリでパレスチナ人民への機銃掃射やミサイル攻撃をくり返している。
(写真 AH64D「アパッチ・ロングボウ」)
 空自が予算書にも記載せず、総額148億円ものクラスター爆弾を購入・配備していることが発覚した。今回空自は米軍がイラク侵略戦争で多用した精密誘導爆弾を購入し、F2支援戦闘機(戦闘爆撃機)に搭載しようとしている。3機目の空中給油機の調達と合わせて、無差別爆撃のための人民虐殺兵器を次々に配備しようとしているのだ。
 またゲリラや特殊部隊などへの対処として軽装甲機動車183両、96式装輪装甲車20両、夜間暗視装置約3700個を調達する。
 技術開発研究では、将来のBMDシステムのほか、中距離多目的誘導弾の開発や固定翼哨戒機P3Cと輸送機C1の後継機であるPX、CXの開発などが盛り込まれた。石破防衛庁長官は3月27日の国会答弁で、北朝鮮のミサイル問題に関連して「自衛隊が敵基地攻撃能力を持つ必要性」について「検討する価値がある」と答弁した。中距離多目的誘導弾の開発には北朝鮮の基地を先制攻撃する兵器の開発という狙いがある。次期輸送機CXは航続距離の延伸、最大搭載量の増大などが図られる。
 これらの概算要求を見れば、日帝・自衛隊が北朝鮮侵略戦争に向けた準備を急ピッチで進めていることは明らかだ。
 従来防衛庁は、95年の防衛大綱(「平成8年度以降に係る防衛計画の大綱について」)を踏まえて、ソ連崩壊後の自衛隊の再編を進めてきた。さらに01年9・11以降の大激動の中で、米帝の対テロ戦争、とくに北朝鮮侵略戦争に対応するための急速な転換を進めてきた。01年9月に「防衛力の在り方検討会議」を設けて、今後の防衛庁・自衛隊の進むべき方向を検討してきた。今回の防衛白書と概算要求は、防衛大綱をも超えて、自衛隊の抜本的な体制変更をうち出すものとなった。
 社会保障関連の予算が徹底的に削り込まれ、リストラや生活苦による自殺者は増える一方だ。全国保険医団体連合会(東京)の調査では、「サラリーマン本人の医療費の自己負担が3割に引き上げられた4月以降、4割を超える医療機関で患者が受診を控える動きがあった」と報告されている。BMD予算だけで、物価スライド(マイナス014 0・4%)による受給中の年金減額(1600億円)にほぼ匹敵する。これらの兵器購入費の一部を振り向けるだけでも、どれほどの人民の命が助かるだろうか。
 人民に生活破壊を強制し、侵略戦争を進める小泉政権を打倒しよう。

 対ゲリラ特殊部隊の西方重視を加速

自衛隊の部隊配置図 防衛白書の特徴は第二に、北朝鮮侵略戦争を実戦上の課題として、侵略軍隊への部隊再編をさらに進めようとしていることだ。
 防衛大綱以来、自衛隊は極東ソ連軍の正規軍部隊との戦争を想定したそれまでの北方重視から、北朝鮮のゲリラ・特殊部隊との戦闘を想定した西方重視へと転換を進めてきた。装備も対戦車能力に優れたものから対特殊部隊対処能力の向上へと重点を移し、ヘリや装輪装甲車を使った機動力の充実を図ってきた。
 日帝・自衛隊は、米帝が対テロ戦争を開始し、イラクの次は北朝鮮だと明言するにおよんで、北朝鮮侵略戦争に参戦するためにさらに全力で対応している。北朝鮮侵略戦争への突入を前提として、外征型の侵略軍隊への大転換を図るとともに、一定程度のミサイル攻撃や特殊なゲリラ戦として行われるであろう北朝鮮側からの必死の反撃戦に備えようとしているのだ。
 陸上自衛隊はそのために5方面隊に配備されている13個師団と2個混成団を、9個師団6個旅団に再編中である(師団は6〜9千人規模、旅団は3〜4千人規模、混成団は2〜2千500人規模の部隊)。
 これまでは全国各地に配備された部隊がその地域の防衛を担当していた。ところが第1師団(練馬)や第3師団(千僧)は、首都圏と関西圏の防衛と治安出動のために、第4師団(福岡)は九州北部と対馬海峡防衛のためにと、一部は地域張り付き部隊として残すものの、それ以外は他地域の増援部隊として機動的に運用するようになった。
 例えば第12師団(群馬県相馬原)は空中機動旅団型の第12旅団に、第13師団(海田市)は高機動車を装備する第13旅団に改編された。今後北海道の第5師団(帯広)、第11師団(真駒内)は旅団にレベルダウンされ、四国の第2混成団(善通寺)と沖縄の第1混成団(那覇)は旅団に格上げされる。

 防衛庁直属の中央機動集団

 防衛庁は防衛大綱の見直しを進めながら、見直しを先取りして自衛隊の再編をどんどん進めようとしている。自衛隊は「テロ・ゲリラ攻撃への対処」や、「国連平和維持活動(PKO)など国際協力業務への対応」を抜本的に強化するため、両業務を専門的に担当する「中央機動集団」(仮称)を陸上自衛隊内に創設する検討に入った。防衛庁長官直轄の5〜6千人の部隊で、首都圏に拠点を置くという。
 ここでいう「国際協力業務」は、これまでのPKO活動の延長ではなく、PKO5原則に該当しない、イラクのような戦闘地域での活動を含んだものとなる。政府は自衛隊の海外派兵のための恒久法を策定する検討に入ったが、この法案の成立を見こしたものだ。

 対テロ戦争参戦と独自の軍事大国化

 防衛白書の特徴は第三に、米帝の世界戦争路線にくらいつき、米帝の対テロ戦争に共同的=競合的に参戦することで侵略帝国主義へと飛躍していくことを基本路線に据えたことだ。
 第1章の国際軍事情勢では、「世界に拡散するテロとの闘いと大量破壊兵器の脅威」が新たな安全保障の問題であるとした。そして「(91年9・11)を契機として、テロへの取組が米国を中心に国際社会の課題となった」と、米帝の対テロ戦争を支持している。
 白書は「テロリストやある種の国家には従来の抑止の概念が働かない」などと主張し、「大量破壊兵器の脅威」をデッチあげて戦争を強行した米帝のブッシュ・ドクトリン(米国家安全保障戦略)と同じ立場が貫かれている。そして米帝の「能力ベース」の戦略、ミサイル防衛、「軍事における革命」(RMA)などを紹介し、軍事力における米帝の圧倒的優位性を確認している。
 さらに、この米帝の優位性によって、「北大西洋条約機構(NATO)内においてでさえ、共同作戦を実施する際の制約となる可能性が指摘され」「米国にとっての同盟の価値は、同盟の存在そのものだけではなくなっている」と言う。すなわち米帝が実際に参戦を呼びかけ、それによって「同盟関係」を測るというやり方をとっていることに対して、侵略戦争に参戦し、それによって米帝の軍事力にキャッチアップしていくと主張しているのだ。
 白書は、イラク戦争をめぐって米帝とフランス、ドイツ帝国主義との「意見の相違は解消されないまま推移した」「その後も顕著な改善には至っていない」と指摘し、軍事をめぐる帝国主義間争闘戦を強く意識する立場から、米帝の対テロ戦争に参戦していく方針を確認している。
 アジア太平洋地域の軍事情勢については、「領土問題や統一問題が引き続き存在するほか、国際テロ組織の活動の活発化や大量破壊兵器の問題なども発生している」として、北朝鮮・中国侵略戦争へ向けた取り組みの強化を訴えている。
 とくに北朝鮮の核開発や弾道ミサイルの脅威をキャンペーンし、拉致問題を「テロともいうべきもの」と規定した。この項目は、これまで朝鮮半島、極東ロシア、中国の順になっていたが、03年版は中国が2番目になった。その中国については、中台問題だけでなく、日本との領土問題や日本近海での海洋調査活動など中国海軍の活発な動きに注意を向けている。
 すなわち白書は、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争への動きに全力で対応しつつ、これを日帝自身の戦争として取り組む立場からアジア情勢を語っているのだ。
 第2章「わが国の防衛政策」では、北朝鮮侵略戦争を正面課題とする軍事力の整備や新安保ガイドラインに基づく日米共同作戦体制づくりを論じている。
 第3章「緊急事態への対応」では、「不審船や武装工作員への対処」など北朝鮮侵略戦争のための対応をうち出し、武力攻撃事態法など有事3法の成立の経緯と条文を解説している。そして国民保護法制などの成立を促し、これらの有事法制を踏まえた「部隊行動基準」(交戦規則)を作成中であると報告している。
 第4章「より安定した安全保障環境の構築への貢献」では、イラク人道復興支援特措法の成立を踏まえイラク派兵を主張するとともに、テロ対策特措法に基づくインド洋での補給・給油作戦、PKO活動を報告している。また「特に、アジア太平洋地域で、より安定した安全保障環境を構築することはますます重要」だとして、防衛庁・自衛隊が二国間交流やASEAN地域フォーラム(ARF)などの多国間の安全保障対話などを重視して積極的に取り組むとしている。奥田ビジョンの「東アジア自由経済圏」構想に基づく東アジア諸国との軍事関係の形成を防衛庁・自衛隊が積極的に担うということだ。
 第5章「国民と防衛」では、名護新基地建設を始めとするSACO(沖縄に関する特別行動委員会)最終報告に基づき米軍基地の沖縄県内への移設を進めるよう努力していくことが書かれている。
 このように日帝・自衛隊は、「自国の国益の確保と国際的責務の履行という主体的判断に基づいて」(石破)、イラク侵略派兵、北朝鮮侵略戦争参戦とアジア勢力圏形成に向かって絶望的に突進しているのだ。

 出兵拒否訴え自衛官獲得へ

 ところで石破は、「民主主義的文民統制を確立する」「『事に臨んでは危険を顧みず、身を挺して国民の負託に応える』旨宣誓している自衛隊」などと言っている。文民統制とは、「軍服を着た労働者」である兵士から階級的思考を奪い、ブルジョア政府の命令どおりに戦争することを強制するものだ。石破は、自衛官に対し、日帝ブルジョアジーの利害をかけた戦争に「危険を顧みず、身を挺して」行ってこい、と命じているのだ。
 日帝ブルジョアジーのための強盗戦争に再び動員され、殺されてたまるか。自衛官と家族の怒りや不安を共有し、出兵拒否を訴え、自衛官を仲間に獲得する反戦運動を展開しよう。
 自衛隊の統合運用、新たな侵略部隊の創設、残る諸有事法制、さらには改憲も、この数年で決着が付けられる、そういう大決戦を迎えている。はっきりしていることは、この数年が日帝の北朝鮮侵略戦争突入を許すのかどうかをかけた本当の決戦になるということだ。
 今や「世界の流れ」は、イラク・中東人民の民族解放闘争を始めとする国際反戦闘争のうねりであり、帝国主義の最末期的な危機の爆発である。あのとき歴史が革命に向かって大転換したといえるような労働者階級の反戦政治闘争を爆発させよう。
 この秋の闘いで、自衛隊のイラク派兵を絶対に阻止しよう。

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週刊『前進』(2118号5面2)

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第5部 アジア・太平洋侵略戦争(4)
 ベトナムとタイでは 日本軍の収奪で200万人虐殺

 中国への全面的侵略戦争に続き、日本帝国主義はさらに南進政策を推し進めた。それは、1887年以来フランス帝国主義に占領された「仏領インドチャイナ連邦」(「仏印」=現在のベトナム・ラオス・カンボジア)への侵略から、東南アジア全域にわたる侵略戦争の開始である。
 日帝は「明治」以来、インドチャイナとの経済的交流はほとんどなかった。1922年には「インドシナ協会」を設立し、あらゆる機会を通じてフランスに市場開放を要求してきた。32年には日仏通商条約が改定され、一部商品の関税率が緩和されたが、フランスは輸入許可制などで対抗し、日本製品の積極的進出には至らなかった。
 第2次大戦が始まり、フランスの対独戦敗北・占領という情勢を好機ととらえた日帝は、「仏印」総督カトルーに対し、軍事力を背景に「仏印」への日本軍進駐を強制した。その目的は、一つに「仏印」を日帝の商品市場および原料供給拠点とすること、いま一つは中国国民党・蒋介石政権への欧米帝の援助ルートの遮断を狙い、日中戦争の長期・泥沼化の打開を図ることにあった。
 40年9月22日、日本の強硬な要求により「日・仏印軍事協定」が結ばれ、北部「仏印」への進駐、飛行場の使用を認めさせた。

 北部「仏印」進駐

 中国南部に待機していた日本軍は、協定の翌日、一斉に武力越境しフランス守備隊を破りハノイに進駐した。9月26日には日帝は「仏印」派遣軍を正式に編成し、ハノイに軍司令部を進めた。これに対し、米英は対日姿勢を一層硬化させ、くず鉄・鉄鉱の対日禁輸を行った。
 41年7月には4万の日本軍がサイゴン(現ホーチミン)へ進軍、これで英領シンガポールや米領フィリピン・マニラなどが日本の空爆圏に入ることになった。12月には「日・仏印軍事協定」を強化し、フランス政庁に対し日本軍への基地・資材の提供を含む全面協力を誓わせた。
 インドチャイナは45年の日帝の敗戦まで日本とフランスの二重支配を受けることになったが、日仏占領のもとで食糧(米穀)の収奪や民族解放闘争の圧殺が行われた。
 日本軍の方針は、食糧・原料などは各部隊の現地調達が基本であった。特にインドチャイナは日本軍部によって米穀の供給地としても位置づけられたので、例えば北部ベトナム(トンキン)では、現地の政庁が行った「公式な」米穀の徴収でも全収穫量の5分の1から3分の1のコメを市場価格の8分の1で買いたたくという収奪が行われた。
 44年にはベトナムに大飢饉(ききん)が発生した。三つの台風と冷害が北部を襲い、さらに日本軍の軍事作戦上、米穀類の生産は禁止され、かわりにジュート麻や唐ゴマのような軍需作物の栽培を強制されたため、状況はさらに悪化した。日本軍の食料庫や日本への輸出船にはたっぷりとコメが積まれている一方で、ベトナムの農民は食べるものがなくジャガイモの葉やバナナの皮まで食べなければならないすさまじい飢餓状態にたたき込まれた。さらに45年にはコレラが蔓延(まんえん)し、コレラと大飢饉でベトナム全土で200万人の人びとが殺された。

 泰緬鉄道の建設

 日本軍の行ったアジア侵略戦争の中で特筆すべき暴挙の一つに、「泰緬(たいめん)鉄道」の建設がある。それはタイからビルマへ通じるケイノイ(クワイ)河に沿ってジャングル地帯を貫通する全長415`の鉄道で、42年7月に着工し翌43年10月にわずか1年3カ月で完成した。
 この工事にはイギリス軍捕虜および膨大な数のアジア人民が大動員された。工事の着工にあたって、ビルマでは43年2月〜8月にかけて8万5000人あまりの労務者が動員されている。タイとマレーからも動員され、マレーからは約10万人が動員された。そして、ジャワ島からの「ロームシャ」が加えられた。ジャングル地帯という環境に加え、過酷な労働と食料不足による栄養失調、マラリアやコレラなどの病気でその多くは亡くなった。泰緬鉄道建設での死者は、捕虜1万3000人、アジア人労働者は4万人とも7万人ともいわれる。
 また、日帝は40年のタイ・「仏印」の国境紛争に「仲介役」として介入し、紛争の解決斡旋(あっせん)と引き替えに@日タイ提携を実行しうる国内改革、A「満州国」の承認、B日タイ経済協定の締結を武力を背景に承認させた。日帝はタイとの「友好」関係を、とことんアジア侵略に利用しようとした。

 ベトナムの闘い

 インドチャイナでは、フランス単独支配の時代から知識人や労働者、農民による反仏運動が戦われてきたが、フランス軍の弾圧によって圧殺されてきた。41年5月にホー・チ・ミンの呼びかけで、日仏の二重支配に対してベトナム独立同盟(ベトミン)が結成された。ベトミンは一種の民族統一戦線組織で、労働者、農民、知識人、各少数民族集団などがそれぞれの「救国会」を結成してこれに参加した。ベトミンは地方単位から各村落単位までの網の目の軍隊を組織した。
 日本軍は45年3月9日、クーデターによりフランスからインドチャイナ全域の支配権を奪った。日帝は保大(パオダイ)皇帝のカイライ政権をたて、ベトナムの「独立」を宣言させた。一方で各村落の村長などを使って「保安(バオアン)兵」と呼ばれるベトナム人軍隊と「カップ」と呼ばれる密偵を使って、ベトミンの拠点の村落に襲撃を仕掛けた。45年8月、50〜60人の保安兵が数人の日本軍人の指揮のもとで、ベトナム北部のキムソン村を襲撃し、2人の村民と他村から援助に駆けつけた自衛団員12人を虐殺した。しかし、日本軍のキムソン村襲撃は112人の自衛団の力で、30分で村から撃退された。
 インドチャイナで、日帝は人民を制圧できなかった。それはベトミンを中心とした反帝国主義の民族解放闘争が、フランス占領時代から不屈に戦われてきたことによる。人民はフランスの植民地化にも、日本の植民地化にも反対していたのである。「大東亜共栄圏」に反対し戦ったベトナム人民は、その後、54年にフランス軍に勝利し、60年代以降のアメリカ帝国主義の侵略戦争と激烈に闘って勝利した。
 (田山 暁)

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週刊『前進』(2118号6面1)

団結ひろば 投稿コーナー 

 自治労青年部大会で連帯する仲間を発見 関東・自治体労働者 石井剛

 8月24、25日、東京・厚生年金会館において自治労青年部全国大会が行われ、全国から800人が参加しました。
 今回の大会では、現業切り捨て攻撃や人員配置の問題とともに、イラク・北朝鮮への差別・戦争問題など山積みする課題と今後の青年部運動をどう作っていくかが話し合われました。
 地方を中心にストライキの報告(高知)や研修シート提出阻止闘争(新潟)など先進的な取り組みが報告されたほか、「学習や交流だけでなく実践のある方針を」(大阪)などの意見が出されました。その半面、労働者の立場を捨てて住民サービスを強調する意見も出されました。
 本部の議運はとても民主的な議事運営とは言えない状態で、代議員全員の発言を保障する雰囲気ではなく、特定の地区を指名しているように感じました。
 それは「反独占資本」をスローガンにしながらも、けっしてストライキや陸・海・空・港湾20労組に合流しない青年部本部の偏狭な姿勢につながるものを感じます。
 「自治労21世紀宣言」については、ほとんどの青年部段階では討論されていないのが実態です。
 それでもいくつかの県からは明確な反対意見が出たことに、最終日の本部答弁として「(親組合に)職場闘争の欠落を指摘する」と発言せざるをえませんでした。
 良心的な青年部運動がけっこう盛んに行われている地区もあり、連帯する仲間はたくさんいるのだと、考えさせられた大会です。
 自治労青年部は、社青同本部派の最後の牙城であると同時に、多くの党派闘争の先端の現場として白熱化しています。そして自治労本部の変質は必ず青年部・活動家の苦悩と流動化につながっていきます。
 今こそ『前進』を手に、自治労青年部の中へ入り込み、ストライキで闘う青年部運動をつくりだそう。

 日本に戻り『前進』を知って希望が持てた イギリス留学の女性

 日本にはしばらく戻っていなかったので、どのくらいに政府がアメリカびたりになっているか実感させて頂けました。日本でも多くの人に真実をあたえるメディアが必要であると思います。
 日本のメディアは世界情勢などのことを報道しません。よってでしょうか、私も今夏、友人たちの意見の無さにびっくりしました。
 イギリスで今年2月15日のデモはメディアをとおして、大学をとおして100万人以上も参加者が出たそうです。第2次湾岸戦争に関しては意見さまざまですが、皆が何らかの意見を持っています。これは、教育・教科書問題ともかかわりがあると思います。
 日本の友人たちに聞いたところ、皆口々に言っていたことは「意見を持つことが恐い」とのことです。インフォが足らないからではないでしょうか。
 はっきり言って、私は日本を見捨てていました。今回『前進』を知り、少し希望が持てました。ありがとうございます。
 残念ながら日本に住んでいないので、あまりここでは役にたてませんが、中核派にはぜひ頑張っていただきたいものです。英国でもSocialist Workers Partyが同様に、常にデモで人びとに働きかけています。私は資本主義でもなくコミュニストでもないリベラルですが、あなたたちにも賛成です。
 今のイギリス政府は労働党とは名ばかり、完全な資本主義者たちです。もともと、資本主義国アメリカが第2次世界大戦以後、世界中で問題を起こしてきたことを考えると、マルクス主義の方が絶対に良いです。
 だからこそ頑張っていただきたいのです。また、私に何かできることがあればぜひ参加させてください。

 『俺たちは鉄路に生きる2』を読む 労働者が尊厳かけて闘うのは素晴らしい 全逓労働者 K・S

 まず感じたことは、高度経済成長期の中での民同労働運動は今まったく通用しない時代にあるということだ。日本の支配階級は、むき出しの帝国主義として、有事法を制定しイラクへ自衛隊の派兵をもくろみ、北朝鮮侵略戦争に突入しようとしている。
 われわれ労働者に戦争と大失業という大攻撃がかけられている。終身雇用制・年功序列型賃金の解体がすさまじい勢いで進んでいる。本当に今、労働者、労働組合が労働者階級として、ブルジョア階級と闘うんだという路線をはっきりさせない限り生きる道はないと感じた。
 日本最大のナショナルセンターと言われる連合は、日本経団連の「奥田ビジョン」の中で、「今日、組合員の組合活動への参加の意識が低下し、労働組合運動が内部から自壊する危機にひんしている」などと言われる現状だ。
 私は、連合内の労働組合に所属しているが、組合上部は、今、本当に闘う路線と方針を持っていない。当局にすりよるどころか、当局よりも、数段上から自らが経営者のような顔をして、現場組合員を押さえつけようとしている。
 しかし、私を含め現場組合員には、当局への激しい怒りと、闘わない組合上部に対しての怒りが渦巻いている。この現場の怒りを現場から組織し闘う労働組合をつくり出すことは、自らが腹をくくってやるんだという立場に立って現場に無数の活動家の仲間をつくれば可能ではないかという思いと、それをやろうという気持ちが動労千葉の闘いからわき上がってきた。
 国鉄分割・民営化に対して、動労千葉がストライキをもって闘った中で、全支部長が首になるのを覚悟で決意したということに本当に感動した。また現場の組合員がそれにこたえて立ち上がったということは、組合指導部が本当に腹をくくったということにかけたのだと思った。JRとなった今でも、動労千葉は、あれだけの闘いをやりとおしたからこそ、団結して今も闘えるのだと思う。
 01年の9・11から3・20イラク侵略の過程で、全世界の労働者階級の闘いが急速に発展していると思う。
 今年の11月労働者集会は国際連帯という言葉が、言葉だけでなく本物になろうとしている。まずは、この本を職場の多くの仲間に読んでもらい、労働者が労働者の尊厳をかけて闘うことのすばらしさを広めたい。
 自分の職場は鉄道ではないが、俺たちはこの職場に生きるというものを、自分の労働組合の歴史を学びつくって行きたいと思う。
 この本を読んで感想だけ言っているようではしょうがないので、実践として、まず本気になって11月労働者集会に職場から多くの仲間を連れて行く闘いをとおして、今後の展望を切り開こうと思う。
 〔中野洋動労千葉顧問著、労働者学習センター刊〕

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週刊『前進』(2118号6面2)

 投稿のお願い

 今号より本欄を常設します。みなさんの原稿をどしどしお送りください。
 日々の労働やくらしの中で感じた疑問や怒り、労働実態や職場活動の報告、機関紙拡大闘争の教訓、闘争や集会の感想、マルクス主義・レーニン主義の学習感想文、書評や映評、本紙の記事へのご意見など。読者の皆さんと一緒につくっていきたいと思います。また、全世界からの反戦闘争、労働運動の投稿も歓迎します。闘いの写真も送ってください。
〈投稿規定>
 原稿は800字以内。紙面の都合で短くする場合があります。原稿は返却しません。都道府県名または地方名、職業、所属組織・団体、希望のペンネームを添えてください。
 宛先は、〒132−0025 東京都江戸川区松江1−12−7 前進編集局「団結ひろば」係
 『前進』ホームページの「安心メール」でも受け付けます。

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週刊『前進』(2118号6面3)

弾圧と闘う 寝屋川弾圧 初公判に150人が結集 4被告と合流、差別を糾弾

 賃金支払い要求に「恐喝罪」をデッチあげて部落解放同盟全国連合会寝屋川支部の4人を5月に不当逮捕した寝屋川弾圧の初公判が9月1日、午後1時30分から大阪地裁で開かれた。
 全国連と支援は寝屋川支部を先頭に大法廷の傍聴席を完全に埋めつくし、150人を超える大結集で権力を圧倒して闘いぬいた。サンコー弾圧を粉砕しぬいた港合同や関西合同労組の労働者が熱烈な階級的連帯をかけて多数参加した。
 傍聴席に入るやすでに4人の全国連の仲間は被告席に座らされていた。驚くべきことに被告席と傍聴席の間に2列横隊、約20人の刑務官が並び、さらに被告各自もサンドイッチ戒護されていた。前代未聞の重戒護であり、これ自体が部落差別である。傍聴席は怒りに包まれた。
 起訴状の朗読に続いて、最初に滝口敏明支部長らが「恐喝ではない」と無実を主張し、木邨(きむら)秀幸事務局長が4人を代表して被告人冒頭意見を陳述した。
 木邨事務局長は「私を取り調べた刑事は『全国連の運動をやめろ』『役所におしかけるな』など、事件と関係のないことばかりをわめきちらしていた。また『全国連をつぶしてやる』『20年も30年も出られないぞ』とか『谷底に落としてやる』などという脅迫を行ったり、滝口さんにハゲとかバカとかの許すことのできない差別暴言をあびせたと聞く」と徹底弾劾した。
 さらに木邨さんは、「メタルカラーは被害届を出していなかったのに警察の方から会社に出向いて被害届を出させたこと、そればかりか逮捕の一週間前の段階ですでに警察が市役所に来て、対市交渉の様子を隣の部屋で録音していたこと、そして、それを本件の恐喝を裏付ける証拠として出そうとしていること、さらに、警察が日常的に寝屋川の私たちの運動を監視し、情報収集していたという話を聞いた。(これらのことを通して、私は)本件は公安警察中枢の判断のもとに計画的に仕組まれた一大デッチあげ事件であり、寝屋川の住宅闘争と全国連寝屋川支部だけではなく、全国連の運動と組織そのものを丸ごとつぶそうとたくらまれたものだ」とデッチあげ弾圧の政治的本質を鋭く暴露した。
 そして「メタルカラーの会社幹部らは、部落解放運動を闘うものを『ダニ』だとか『社会の寄生虫』と見なしている。こうした極悪の差別感情をもって、メタルカラーは、国家権力の政治弾圧に加担したのである」と弾劾した。
 さらに「検察は滝口さんが部落解放同盟全国連合会の支部長の名刺を出したことが恐喝に関係があると主張していると聞く。絶対に許せない! 一体、全国連の名刺を出すことと、恐喝にどんな関係があるのか! 私たちにとって全国連の名刺は誇りであり、それを犯罪に関係があるなどということ自体が部落差別である。許せない!」と権力の差別犯罪を激しく糾弾し、最後に「私たち4人は、青天白実無実である。裁判所は直ちに釈放するように要求する。私たち4人は不正義の弾圧を打ち破るまで最後まで一致団結して闘いぬく」と力強く宣言した。
 これを受けて弁護団が、警察の捜査と逮捕、取り調べの違法性を全面的に暴露し、4人の無実を強く主張し直ちに公訴を棄却するように申し立てた。弁護人と木邨事務局長の冒頭意見によって、権力のデッチあげ弾圧の真相は完全に暴かれ、傍聴者全員が国家権力の暴虐への怒りと4人の無実・無罪の確信を新たにした。
 これに対して検察は冒頭陳述であたかも全国連が中核派の組織であるかのように描き上げ、本件事件が全国連による組織ぐるみの犯罪であるかのような、起訴状にもない主張を展開してきた。あまりにもデタラメである。そして、まさにこれ自体がデッチあげの本質とその破綻(はたん)を自白するものだ。
 第1回公判闘争は弾圧の真相を暴露し、4人の仲間との感動的合流を実現した。獄内外がひとつになり、また港合同や国労を始めとする闘う労働者階級との共同闘争によって弾圧を粉砕していく新たな突破口をこじあけた。次回9月29日(月)から連続する公判闘争に全力で決起し、4人の仲間の一日も早い奪還をかちとろう!

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週刊『前進』(2118号6面4)

弾圧と闘う 東北大弾圧裁判 「傷害」の映像なし 写真・ビデオ見た警官が証言

 事件ねつ造が明るみに

 東北大学当局と宮城県警が結託して中野七郎さん(全金本山労組書記次長)に「傷害事件」をデッチあげた弾圧裁判の第2回公判が、8月25日、仙台地裁刑事部(本間栄一裁判長)で開かれた。写真・ビデオを領置した警察官に対する弁護側の反対尋問で、事件のデッチあげを示す決定的証言がかちとられた。
 この日の公判では、検察側が、東北大学当局が3月28日当日の状況を撮影した写真、ビデオを証拠として申請した。
 写真・ビデオは東北大学学務部厚生課長の平尾尚澄が宮城県警に任意提出した。検察側は写真・ビデオを領置した警察官の証人調べのみでその証拠採用を強行しようとした。本間裁判長はこれに同調して採用を強行しようとした。だが、弁護団が「撮影者の証言なくしての証拠採用はありえない」と強く反対し、証拠採用決定を阻止した。
 写真・ビデオを領置した宮城県警仙台南署の大黒淳は、弁護側の反対尋問に対して東北大学より任意提出された写真ネガは19本、ビデオは8本にも上ること、そしてそのすべてを見ても中野さんが「西森教授をまさに右手で突いているところはなかった」と明言したのである。
 ついにデッチあげの一端が法廷で暴かれた。大学教授や職員が3月28日当日に「現況確認」と称しながら、8台以上のビデオカメラ、19台以上のカメラで写真、ビデオを撮りまくっていたということは、想像しただけでも異常な光景だ。実際には大学当局は40人を超える教職員全員にインスタント・カメラを配り、執ように写真を撮ることを意思一致していたのだ。大学ぐるみの挑発行為、事件づくりそのものではないか。
 その上で、そのどれにも「傷害事件」の瞬間は映っていないというのだ。当然のことだ。「傷害事件」そのものがデッチあげだからだ。しかも宮城県警は一つの物証もないままに中野さんをいきなり逮捕し、仙台地検も物証がないままに起訴を強行したことがあらためて明白となった。
 検察側は次回第3回公判(9月29日午後1時30分開廷)において、デッチあげの張本人である西森克彦教授の証人調べを行い、当日の状況を証言させることを計画している。
 次回公判は重大な決戦だ。仙台地検と宮城県警、東北大学は、「突き倒された」と西森に証言させることで中野さんを罪に陥れようとしている。一つの物証も目撃証人もなしでの「傷害事件」ねつ造など絶対に許されない。
 しかし、本間裁判長は、この間の訴訟指揮や保釈却下決定をみても自覚的に治安弾圧の先頭に立っていることは明らかだ。次回公判はあらゆる妨害を打ち破り、西森教授のウソ、大学ぐるみの事件のねつ造を徹底的に暴露し弾劾する法廷としなければならない。
 9・29公判闘争に大結集しよう。法廷闘争、傍聴闘争をさらに強化して大衆的怒りで裁判所を包囲し、保釈をかちとった中野さんの完全無罪へ闘おう。

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週刊『前進』(2118号6面5)

弾圧と闘う 「暴行」説明できず 九大弾圧裁判 右翼の証言、完全破産

 8月25日(月)午前11時より福岡地裁で九大弾圧事件(「暴力行為」デッチあげにより九大学生自治会の4人を逮捕、1人を起訴)の第2回公判が行われた。傍聴席は満杯になった。
 今回の公判には、検事側証人として弾圧デッチあげの張本人である天皇制右翼=生長の家の活動家・石井英俊が出廷した。第2回公判の直前18日に、福岡地裁・林裁判長はこの石井を別室に隔離して証言させる「ビデオリンク方式」と「傍聴席との間を遮蔽(しゃへい)する」措置を取ることを一方的に通知してきた。
 午前11時、検察官による石井への主尋問が行われた。出てくるのはデッチあげのオンパレードである。しかも肝心の「暴行」の具体的な説明は一切ない。さすがに傍聴席からも「よくもこんなウソがつける!」と怒りの声が上がった。
 休憩を挟んで、午後2時から弁護人による反対尋問が行われた。弁護人はまず、石井が単なる学生ではなく、右翼の活動家でありこれまでずっと自治会を破壊するために活動してきたことを鋭く追及した。石井は「自分は右翼ではない」と主張し、検察官も「事件との関連性がない」と異議を申し立てたが、裁判長は異議を棄却した。
 弁護人の鋭い追及によって、石井は「生長の家の思想に同調している」などと述べ、右翼の活動家であることは否定できない事実となった。さすがの裁判官も「どういう活動をしていたのか」と石井に尋問せざるを得なくなった。
 次にデッチあげの最大の核心である「暴行」について追及した。
 石井のデッチあげた主張をまとめると、「(M同志から)4、5回体当たりされてあっという間に廊下の窓際まで追いやられた。M同志を含め4人から囲まれ『何しに来た、帰れ』などと言われた(その際M同志が十数回体当たりした)。そうして一定時間が経過した後、M同志が『もういいぞ』と言うと他の3人はいなくなった。授業を受けている教室に帰ろうとしたが、その後もM同志がつきまとってきたので教室には戻らず、3階から1階へと階段を下り校舎を出て中庭を通り、学生掛に入って助けを求めた。その途中で110番通報した」となる。
 まず「あっという間に窓際に追いやられた」と言うが、それは約15b移動したことになる。もし「暴行」が事実なら1回の体当たりで約3b吹っ飛んだことになる。しかし石井はそうした暴行を受けながら「倒れる」ことも「よろめく」こともなく、ただ「のけぞった」と言うのである。
 石井は「(M同志から)十数回体当たりされ窓枠に打ち当てられた」と述べたが、その一方で「(M同志が顔を近づけてきたので)後ろに下がり、また前に出ることを繰り返した」と述べた。つまり、自分から後ろに下がった結果、窓枠にぶつかったのである。
 さらに「暴行」を受けたとされる時間の矛盾である。石井によると最初にM同志から「体当たり」されて110番するまでわずか「6分間」である。3階から中庭に出るまでの約2分間などを引くと、「暴行」なるものはせいぜい2〜3分間に14〜15回も体当たりしたということになる。
 また、弁護人は調書作成の問題点も追及した。「事件」とされるのは01年10月22日である。その約1年後の02年9月17日になって突然新たに調書が作成されたのである。それは、国労5・27臨大闘争弾圧で国労組合員が不当逮捕された10月8日の直前である。
 弁護人の「誰の要求で調書を作成したのか」との尋問に対して石井は「警察官からだ」と述べた。今回の九大弾圧が国家権力による政治弾圧であることがはっきりした。
 最後にM同志が、「今回の弾圧が帝国主義による自治会運動、反戦運動への弾圧であることは明らかだ。自分は無罪である。裁判所によるビデオリンク方式などの対応は許せない」と堂々と主張した。
 裁判の後、総括集会を行い、M同志の保釈を1日も早くかちとることを力強く確認した。公判の前日に福岡・天神の繁華街で街頭宣伝を行い、この時集めた署名を含めて324筆のM同志の保釈を求める署名を弁護士に手渡した。
 次回公判は9月17日(水)、午後1時10分から福岡地裁で行われる。全力で結集し、デッチあげを粉砕しよう。

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週刊『前進』(2118号6面6)

投獄され10年の福嶋同志に 日弁連が面会・聴取

 9月1日、日弁連人権擁護委員会は、迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧の福嶋昌男同志に対する10年に及ぶ長期勾留の実態を調査するため、東京拘置所で福嶋同志に面会し事情聴取を行った。
 福嶋同志と弁護団は、昨年9月24日に超長期不当勾留は違憲・違法な人権侵害だとして、日弁連人権擁護委員会に人権侵害救済申立を行った。今回の事情聴取はそれに基づくもので、人権擁護委員の弁護士4人が面会室で1時間あまりにわたって行った。
 福嶋同志は、独房での長期拘禁による健康破壊と東拘新獄舎の非人間的実態について、自ら作成した詳細な病状経過、あるいは房内のスケッチなど資料をも示しながら説明し、速やかに人権侵害に対する救済がなされるよう訴えた。
 健康破壊の一切の原因は、長期不当勾留にあり、とりわけ新獄舎への転房が重大な影響を与えている。福嶋さんは今年の3月に新獄舎に転房になったが、それ以前、97年10月から新獄舎と同様の構造をもった仮舎房に入れられていた。自然からの隔離性が以前と比べて画然と強められた獄舎に転房になってから、すでに6年近くになろうとしているのだ。
 福嶋さんの身体が変調を来し始めたのは、仮舎房に転房されてからである。幻聴・幻覚・不眠症状が現れ、この諸症状と不屈に格闘し続けている。
 新獄舎(仮舎房も同様)は鉄格子がなくなり、その代わりに強化ガラスがはめ込まれている窓は開閉できない。しかも、その外側は屋内巡視路となっており、窓は曇りガラスになっている。この二重の窓ガラス構造は在監者から自然とのふれあいを奪い去った。いったい外は晴れているのか雨なのかもよく分からないという。在監者が感じる閉塞(へいそく)感は想像を絶するものがある。
 また、「屋外運動」も、「屋外」とは名ばかりで、鉄板網とコンクリートで覆われたスペースでの屋内運動となってしまっている。土を踏むこともできず、太陽の光を浴びることもできず、草花を眺めることもできないのだ。
 福嶋同志は、「自然と人間との有機的一体性を否定するものだ」と強く弾劾している。
 これ以上の長期勾留を断じて許すわけにはいかない。°ただちに保釈を!″の大運動をつくりだし、無実の福嶋同志を一刻も早く奪還しよう。

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週刊『前進』(2118号6面7)

飯田憲同志を追悼する
労働者出身の職業革命家の比類なき戦闘精神と献身性
 革共同中国・四国地方委員会

飯田憲同志 8月4日未明、飯田憲同志が不慮の事故で急逝しました。故人の遺業と遺志を引き継ぎ、闘う決意を明らかにし、革命的共産主義者同盟中国・四国地方委員会の追悼の辞とします。
 飯田同志は、だれに対してもそのほとばしり出る情熱と飾らない人柄とやさしいまなざしで接して、多くの人びとに愛され親しまれた人でした。労働者出身の職業革命家として、労働者階級にとってかけがえのない人でした。皆から「おっちゃん」と慕われ、どんな困難な仕事でもいつも笑顔で引き受けて、最後まで貫徹する頼もしい人でした。
 同志は、水島コンビナートの工場で磨き上げた溶接技術の腕を振るい、三里塚の岩山大鉄塔をはじめとして、北富士に、日本原に、杉並に、前進社中国支社の旧社屋・新社屋に、不抜の闘いの砦(とりで)を築き上げてきました。比類なき戦闘精神と英雄主義的な自己犠牲と革命的献身性をもち、現代のナチス・ファシスト集団カクマルとの闘いの先頭に立ち、85年10・20三里塚闘争被告団の最年長の被告として後輩たちを励まし、労働者オルグに、署名に、カンパに、絶大な力を発揮してきました。何よりもありし日の同志とつきあった多くの闘う同志・友人の胸の奥深く、「飯田精神」ともいうべき不撓(ふとう)不屈の労働者魂を刻み込んできました。
 飯田同志の無念の遺志を引き継ぐ道は、権力の8・6つぶしのデッチあげ弾圧策動を許さず、被爆58周年8・6広島反戦・反核闘争をかちとる以外にない、と決意も新たに全同志が闘いぬき歴史的大勝利をかちとりました。
 私たちは、敬愛する同志を、不慮の事故から守りきることができなかった悔しさをかみしめると同時に、全国の同志・友人の皆さんに心からおわびをしたいと思います。労働者階級のかけがえのない財産である同志を失ったことは断腸の思いです。享年60歳、まさにこれからが本番であり、本領を発揮する時でした。
 同志は、死の直前まで、「労働者は必ず自己解放的に決起すると確信をもった」と情熱を燃やし、労働者オルグに全力を尽くしていました。世界地図を手に労働者の国際主義的連帯に思いをはせ、「わしは勉強するんじゃ」とだれよりも熱心に理論学習に励み、労働組合運動に全力を投入していた飯田憲同志! その不撓不屈の生涯にあらためて学び、遺志を引き継ぎ、全同志が打って一丸となって「労働者の中へ」を百パーセント実践し、労働者党建設の闘いをやりとげ、反帝国主義・反スターリン主義のプロレタリア世界革命の勝利をかちとることを決意します。わたしたちが第二、第三の飯田同志となって、11月労働者集会とイラク派兵阻止の今秋決戦を大爆発させるため全力で闘い抜きます。どうか安らかに旅立ってください。

 しのぶ会で別れ

 飯田憲さんをしのぶ会が、8月31日広島市内で開催され、全国各地から100人の仲間が駆けつけた。
 「同志はたおれぬ」斉唱と黙祷に続き、遺族のメッセージが読み上げられた。
 続いて、実行委員会を代表して今川澄男広島連帯ユニオン書記長と国鉄動力車労働組合総連合副委員長・吉舎町議会議員の平岡誠さんが別れの言葉を述べた。
 85年10・20三里塚闘争被告団・団長の鎌田雅志元全学連委員長は、飯田同志の遺志を継ぐ決意を述べた。動労千葉からは物販を切り開いてくれたことへの感謝が述べられた。都政を革新する会・事務局長の北島邦彦さんは「4年後の区議選の勝利をもってこたえる」と決意表明した。
 友人代表の全造船三菱広島精機分会の仲間は、ともに闘った思い出を述べた。また獄中で闘う国労5・27臨大闘争弾圧被告団の松崎博己さんと羽廣憲さんのメッセージが紹介された。
 反戦被爆者の会・会長の大槻泰生さん、全国被爆者青年同盟委員長の中島健さん、部落解放同盟全国連合会の仲間の追悼の言葉に続き、岡山・水島時代以来の仲間や広島の労働者そして多くの友人から、飯田同志の思い出が語られた。最後に革命的共産主義者同盟の代表が弔辞を述べ、インターナショナルで飯田同志を見送った。

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週刊『前進』(2118号6面8)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
9月16日(火)午前10時
☆水嶋同志裁判
10月8日(水)午後1時30分
 ※いずれも東京地裁

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