ZENSHIN 2004/07/05(No2156 p06)

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第2156号の目次

都高教など9単組の組合員1500人が「日の丸・君が代」強制に反撃(6月22日 都庁)

1面の画像
(1面)
小泉政権を今こそ倒せ
多国籍軍参加阻止・改憲粉砕へ
有事法の発動を絶対に許さず年金改悪法の廃止求め闘おう
記事を読む  
「君が代」不当処分を撤回せよ 教職員1500人が決起集会
石原・都教委の暴挙を糾弾(6月22日)
記事を読む  
参院選政治決戦スローガン 記事を読む  
(2面)
「君が代」処分に反撃 予防訴訟第3回弁論 “都は中身の議論に入れ”
原告側が意見陳述(6月17日)
記事を読む  
教基法改悪 与党「中間報告」弾劾する
「国民育成」「愛国心」前面に 学校を兵士作りの場へ転換(6月16日)
記事を読む  
電機連合大会に向け訴える
侵略戦争と資本攻勢の先兵化許さず、闘う電機労働運動を(飯村健二)
記事を読む  
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程 記事を読む  
(3面)
動労千葉 悲しみ越え団結固め 中村書記長追悼集会が盛大に
関中央支部副支部長の遺志も継ぎ
長田書記長代行体制を確立(本紙・大沢康)(6月20日)
記事を読む  
動労千葉 04春闘の成果を固め運転保安闘争強化へ
さらなる闘いへ定期委(本紙・大沢康)(6月20日)
記事を読む  
圧倒的なカンパのお願い 04後半決戦の勝利をともに勝ち取るために 記事を読む  
“全逓解体を許すな”(6月23日) 記事を読む  
戦争・民営化と闘う自治体労働運動を A区現業の新人事制度導入
団結破壊と低賃金狙う 現業きり捨て・民営化攻撃(自治体労働者 森川葵)
記事を読む  
(4面)
6・18閣議決定を弾劾する 日米共同作戦で武力行使へ
解放闘争の鎮圧と石油強奪 「多国籍軍」絶対阻止を
記事を読む  
現闘本部裁判初公判開く “反対同盟に地上権ある”
弁護団、即時却下を要求(6月17日)
記事を読む  
国賀泉佐野市議の活動報告 市民生活 リストラ計画を追及
空港優先で福祉切り捨て
体育館・図書館は週2日休館 公共料金は大阪一の値上げ
記事を読む  
日誌'04 6月16日〜22日
「多国籍軍参加」を閣議決定 自公が教基法改悪中間報告
記事を読む  
(5面)
乱調と没落を極めたカクマル
「自衛隊撤退」の闘いに敵対し有事立法粉砕闘争からも逃亡 工藤俊夫
記事を読む  
ストに立つ韓国民主労総 記事を読む  
“ここはイラクに直結” 辺野古 施設局との対峙続く 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
「69」のケンは処分と闘う先生達と同世代 中原一朗
本気で闘う者のみが持つ厳しさと自信 東京 常木新一
帰宅途中の労働者がマイクを握り訴えた 東京 城島紀子
緊張続く辺野古現地全国から結集しよう 福岡 斎藤義治
記事を読む  
“命と権利守る社会を” 6・20 杉並住民の会が総会(6月20日) 記事を読む  
沖縄と結ぶ東京集会 “平和を行動で示そう”
元沖教組委員長 石川元平さんが講演(投稿・馬場博)(6月19日)
記事を読む  
狭山要請行動 最高裁自ら鑑定を 事実調べ・証拠開示を要求(6月23日) 記事を読む  
党学校に参加して
『共産党宣言』 団結し社会を覆す 東京 鷹村 守
記事を読む  
九大弾圧控訴審 M君に無罪判決を 1審判決を全面批判(6月17日) 記事を読む  

週刊『前進』(2156号1面1)(2004/07/05)

小泉政権を今こそ倒せ 多国籍軍参加阻止・改憲粉砕へ
 有事法の発動を絶対に許さず年金改悪法の廃止求め闘おう

 第20回参院選が6月24日公示された。労働者階級にとって7月11日投票日までの一大政治決戦への突入である。今次参院選の課題は何か。何よりも有事関連10法案の強行の上に多国籍軍参加、年金大改悪、教育基本法改悪と改憲、郵政民営化に突き進む超反動小泉政権を打倒することだ。戦争、改憲、リストラ・生活破壊の小泉に対して、積もりに積もった怒りの鉄槌(てっつい)を加えることだ。そのことによって、小泉=奥田路線のもと、体制的に破産し労働者階級を食わせることもできなくなった日帝が無慈悲にかけてきている一大資本攻勢、政治=経済攻勢、経済=政治攻勢をも絶対に打ち破ることだ。そして、この政治決戦のただ中で、資本主義・帝国主義の打倒、闘う労働者党建設のために、マル青労同1000人建設、機関紙拡大、夏期財政決戦に総決起しよう。

 第1章 戦前の誤りを繰り返すな

 革共同は、労働者階級人民の怒りと固く結びつき、今次参院選過程を、以下の四つの課題を真っ向から掲げた政治決戦として闘いぬくことを宣言する。小泉政権打倒のために、職場、街頭、キャンパスで総決起する決意である。
 第一は、日帝・小泉の多国籍軍参加を絶対に阻止し、自衛隊即時撤退のために闘いぬくことだ。

 集団的自衛権行使への突入

 6月18日に小泉が強行した多国籍軍参加の閣議決定は、03年12・9イラク派兵の閣議決定に続く、日帝のイラク侵略戦争・軍事占領への全面参戦の攻撃である。米帝・米軍と共同=競合しつつ日帝・自衛隊が武力行使、日米共同作戦、集団的自衛権行使に踏み切る許しがたい事態である。
 小泉はシーアイランド・サミットの前の日米首脳会談で、あろうことか新国連決議を「米国の大義の勝利」と最大限に称賛し、多国籍軍参加を早々とブッシュに約束した。従来の“多国籍軍参加は憲法違反”という政府見解をも一夜にして覆し、「統一された指揮権」を「統合された司令部」と言い換え、明白に米軍の指揮・監督・統括下にあるのに「日本が指揮権を持つ」などと強弁した。公使と政府高官レベルの口約束にすぎないものを米英の「了解」と言い繕った。6月17日の記者会見でも「武力行使はしない」「非戦闘地域に限る」などと、黒を白と言いくるめる言辞を繰り返した。
 多国籍軍編成は国連新決議1546に基づく。では新決議とは何か。米英帝が独仏ロをもねじ伏せ、イラク軍事占領の継続、カイライ政権づくりと植民地化、さらには中東・北アフリカ地域の帝国主義的制圧のためにデッチあげた決議だ。ブッシュは米軍の撤退時期について、「仕事が終わった時だ」と軍事占領の永続化すら公言している。
 日帝・自衛隊がこの多国籍軍として参戦することは何を意味するか。憲法9条を完全に解体し、イラク人民の武装闘争、民族解放闘争と対峙し、それを鎮圧する武力行使に出るということだ。軍事力をもって他国を制圧し、石油資源と勢力圏分割の帝国主義間争闘戦に乗り出すということだ。これは日帝が新たな15年戦争に一層深々と突入し、米帝主導の世界戦争過程に参戦していくことである。われわれは絶対に第2次世界大戦の誤りと惨禍を再び繰り返してはならない。
 日本の労働者人民は今、歴史の決定的な分岐点に立っている。今こそ小泉を打倒し、多国籍軍参加を阻止し、自衛隊即時撤兵のために闘う時だ。スペインで(前政権の敗北とイラク撤退)、韓国で(民主労働党10議席の躍進)、イギリスで(地方議会選挙でブレア労働党が惨敗)、実現された闘いが日本でも完全に現実化する情勢がある。
 軍事占領継続とカイライ政権づくりの「6・30主権移譲」に対し、いよいよ激しく民族解放・革命戦争に決起するイラク人民と連帯して、多国籍軍参加を絶対に阻止しよう。有事立法を発動させない、有事立法に従わない、協力しない闘いと結合して闘おう。

 教基法改悪の攻撃が切迫

 第二は、教育基本法改悪と改憲を阻止する闘いを開始することである。先の通常国会で有事7法案と3協定条約承認案の計10法案が強行成立し、今や教基法改悪と改憲が完全に政治日程にのぼった。今次参院選の最大争点の一つとなった。 6月16日に自公の教基法改悪の中間報告が出され、「愛国心」を盛り込むことで両党は基本的に一致した。「郷土と国を愛し」(自民)か「大切にし」(公明)かの違いが残されているだけで、次の臨時国会か通常国会には改悪法案が提出される緊迫した情勢に完全に入ったのだ。
 教基法は、憲法、労組法などと並んで、戦後体制の根幹をなす法律であり、憲法と完全に一体である。その改悪は改憲に直結する。日帝の狙いは「愛国心」と教育の国家統制を軸にした、新たな侵略戦争・帝国主義戦争への国民精神総動員だ。同時にそれは日教組、教育労働者運動を解体し、産業報国会・教育報国会に変質させる攻撃だ。
 教基法改悪と連動して改憲攻撃が強まっている。読売新聞社の04年改憲試案に続き、6月2日には自民党のプロジェクトチームが改憲案作成への「論点整理」を提出した。自民党の改憲案が狙う最大の焦点は、憲法9条を解体し「自衛のための戦力保持」と「個別的・集団的自衛権の行使」を明記することだ。今一つは「前文」を全面的に書き換え、「一国平和主義の誤りを正し」とか「わが国の歴史、伝統、文化、国柄、健全な愛国心」を盛り込むということだ。
 自民党は参院選後、条文作成の詰めに入り、結党50年の05年11月までに改憲草案を作成すると言っている。これに対応して改憲政党、第2自民党たる民主党も6月22日、「憲法提言」中間報告を発表し、「国連主導の集団安全保障活動」に日本が関与できると明記して9条改憲に踏み込んだ。重大情勢である。有事関連10法案の成立と、イラク多国籍軍参加の閣議決定を受けて、すでに日帝が侵略戦争と海外派兵に突入している既成事実から、今や一気に改憲攻撃が本格化しようとしているのだ。
 すでに改憲阻止への新たな動きも始まった。昨年11・9労働者集会を突破口に、3・20を頂点として6月決戦まで闘いぬいてきた階級闘争の歴史的地平を発展させ、参院選過程の重大決戦として改憲阻止に決起していこう。司法改革や労組法改悪との闘いなど、すべての闘いは改憲阻止につながる。小泉打倒で改憲阻止へ大きな展望を開こう。

 第2章 小泉=奥田路線との対決

 第三は、年金大改悪の攻撃に対し労働者人民の怒りをさらに爆発させ、年金改悪法廃止に向け闘うことだ。日帝・小泉は70%以上の強い反対を押し切り、民主党や日本共産党の裏切り・屈服にも助けられ、デタラメなやり方で改悪法案を成立させた。「合計特殊出生率1・29」という情報も後出しにして強行した。
 保険料率は2017年度まで14年間上げ続け、給付は2023年まで20年間下げ続ける。しかしそれでも負担増と給付減は止まらない。これまで保険料を積み立て続けてきた労働者の年金も切り崩される。これは事実上の大増税であり国家的詐欺に等しい。しかも近い将来、年金財源と称して消費税を上げ、18%とか25%の税率にすることさえ狙っているのだ。
 労働者には生活権があり、生存権がある。年金は権利である。それが保障できないのは資本主義・帝国主義が体制的に破産しているからだ。年金改悪や社会保障制度解体は戦争と直結している。そんな体制は労働者階級の力で打倒されなければならない。
 年金改悪法は成立の瞬間から法律としても破産している。条文ミスさえ見つかった。労働者階級の生存権を真っ向から掲げ、年金改悪絶対反対、改悪法廃止を要求して総決起しよう。

 「攻めのリストラ」を叫ぶ

 第四は、戦争・改憲と一体のものとしてある日帝・小泉=奥田路線による一大資本攻勢、政治=経済攻勢、経済=政治攻勢を粉砕するために闘うことだ。
 2期目に入った日本経団連・奥田体制は「闘う経団連」をうたい、「守りのリストラから攻めのリストラへ」と叫んでいる。改憲や「東アジア自由経済圏」などの侵略外交から年金・医療・介護の総合的改革や資本攻勢まで、労働者階級への大攻撃を強めている。
 帝国主義経済は過剰資本・過剰生産力と大恐慌の重圧下にある。その一方で「デフレ脱却」や「景気回復」が喧伝(けんでん)されている。しかし日帝経済のこの間の「好転」なるものは、一方で徹底的なリストラ、他方で対米と景気過熱=バブル状態にある対中国の外需に支えられたものでしかない。原油高やアメリカの「双子の赤字」や高金利が一層深刻化したり、中国バブルがはじけるなら、一気に大激震する。
 だからブルジョアジーは「景気回復」が続いていると言いながら、「攻めのリストラ」を叫んでいるのだ。実際、賃金は下がり続けており、消費も回復していない。帝国主義はもはや労働者を食わせることもできず、歴史的生命力を失っているのだ。小泉=奥田の改革路線による無慈悲な首切り、賃下げ、不安定雇用化、労組破壊などの攻撃と、全面対決して闘うことが求められている。
 闘う組合員を権力に売り渡し、国鉄労働運動を解体する国労のチャレンジ・革同指導部、酒田体制の打倒こそが勝利を開く国鉄決戦。「日の丸・君が代」強制反対、不当処分撤回、教基法改悪阻止へ、東京を先頭に総決起する教労決戦。自治体労働者の戦争動員、公務員制度改悪との大激突に向かう自治労決戦。郵政民営化阻止、小泉・奥田=生田路線粉砕への正念場を迎えた全逓決戦。
 この4大産別の闘いを先頭に、階級的原則と国際連帯を貫く労働運動、労働組合運動の前進と飛躍を、今こそ切り開こう。
 そのためには、何よりも動労千葉に学び、連帯し、全産別・職場で動労千葉のように闘うことである。
 以上の四つの課題を真っ向から掲げ、参院選過程の政治決戦を闘いぬこう。
 そして特にこの政治決戦を、米軍の全世界的な再編(トランスフォーメーション)、在日米軍の強化と対決し、名護新基地建設阻止へと決起している沖縄の闘いと連帯して闘おう。
 同時に、保健医療労組のゼネストを先頭とした韓国・民主労総の6月集中闘争への突入、3000人のイラク追加派兵反対で総決起する労働者人民の闘いと固く連帯して闘いぬこう。

 一大財政闘争に決起しよう

 最後に、この政治決戦のただ中で、革命的労働者党の建設のために闘うことを強く訴えたい。
 当面する労働者党建設の第一の任務は、一大財政闘争だ。とりわけ夏期一時金カンパ闘争である。すべての労働者に、資本主義・帝国主義の打倒を訴え、革命の決意と展望を語り、一口10万円レベルのカンパを熱烈に訴えよう。
 第二の任務は、マル青労同1000人建設だ。これを革共同の党勢拡大闘争の大プランの実践として、青年労働者を先頭に全党、全労働者の課題として、断固やりぬこう。
 第三の任務は、機関紙拡大闘争だ。今やすべての労働者人民が『前進』を求めている。『前進』を読まずに世界の動きは分からない。労働組合の議案も書けない。職場、街頭、キャンパスで、『前進』の購読を確信をもって訴えよう。

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週刊『前進』(2156号1面2)(2004/07/05)

「君が代」不当処分を撤回せよ 教職員1500人が決起集会 石原・都教委の暴挙を糾弾


都高教など9単組の組合員1500人が「日の丸・君が代」強制に反撃(6月22日 都庁)

 「『日の丸・君が代』の強制反対!」「教職員に『日の丸・君が代』の指導を強制するな!」「憲法違反の『実施指針』を撤回せよ!」「不当処分を撤回せよ!」――東京都庁に、1500人の教育労働者の怒りのシュプレヒコールがこだました。
 6月22日夕、東京都庁第2庁舎前広場で、都高教、東京教組、都教組の3単組委員長の呼びかけによる6・22全都教職員総決起集会が開催された。全都から教育労働者が続々と集まり、石原都知事と都教委による横暴極まりない教育破壊と大量不当処分に対する怒りがあふれた。
 集会では、都下の教育関係の労働者で組織する9労組の代表が次々と決意表明。3月の卒業式で「君が代」不起立闘争を闘いぬき、減給処分を受けた女性労働者も発言した。(2面に発言要旨と関連記事)
 都の教育労働者が、組合の枠を越えて「日の丸・君が代」処分反対集会を開いたことは画期的だ。今春の卒・入学式での300人を超える「君が代」不起立闘争が、組合全体を揺さぶり動かし始めたのである。また、その根底には、石原・都教委の激しい攻撃――教育労働運動つぶしと教育労働者の人間性・階級性を圧殺する暴挙に対して、断固たる反撃の方針と総団結を求める組合員の気持ちの高まりがある。
 都の教育労働者の決起は、有事立法制定と自衛隊のイラク多国籍軍参加という戦時下での、労働者階級の総反撃の開始を告げるものである。またこの闘いは、教基法改悪・改憲阻止の闘いそのものである。連帯し、絶対に勝利しよう。

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週刊『前進』(2156号1面3)(2004/07/05)

 参院選政治決戦スローガン

■小泉改革は戦争国家化とリストラ・生活破壊だ。小泉政権を打倒しよう!

■「多国籍軍参加」絶対阻止! 自衛隊は即時撤退せよ!

■有事法を発動させるな! 在日米軍基地強化反対! 名護新基地建設阻止!

■教育基本法改悪絶対反対! 「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者と連帯しよう!

■憲法9条の解体を許すな! 改憲阻止を闘う大統一戦線をつくろう!

■年金改悪法廃止! 医療・介護・社会保障の改悪と解体を許すな!

■民主党は第2自民党だ。社民党・日本共産党に代わる闘う労働者党を建設しよう!

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週刊『前進』(2156号2面1)(2004/07/05)

「君が代」処分に反撃 予防訴訟第3回弁論 “都は中身の議論に入れ”
 原告側が意見陳述

 6月17日午後、東京地裁103号法廷で、「国歌斉唱義務不存在確認訴訟」(通称・予防訴訟)の第3回口頭弁論が行われた。今年1月に都立校の教育労働者228人が提訴した裁判で、5月末には117人が第2次提訴。計345人の大原告団が結成され、力強く闘いが進んでいる。
 当日は職場から駆けつけた被処分者、教育労働者を先頭に、法廷の席数を大きく上回る人が傍聴券交付に集まった。法廷では原告席に原告団が陣取った。
 口頭弁論では、原告弁護団が提出した準備書面を口頭で補足。この訴訟が「日の丸・君が代」強制により処分された後にその不当性を争うものではなく、事前に「斉唱の義務はない」ことの確認を求めて訴えたものであることに関する訴訟要件について陳述した。提訴以後、すでに卒・入学式で多数の処分が出され、とりわけ嘱託職員の再雇用取り消しはその事後では不利益を回復することのできない事態を招いていることや、予防的訴訟の訴えの利益が認められるとした過去の判例などを示した。
 本裁判の最大の争点である「君が代」斉唱時の起立や斉唱の義務はない、ということから逃げ回ろうとする都教委の姿勢に対して、原告弁護団は「訴訟要件論で争うのではなく、堂々と中身の議論に入るべき」と突きつけた。次回口頭弁論までに、被告・都教委が求釈明について回答することなどが確認された。
 次回・第4回口頭弁論は7月26日午後1時30分から、東京地裁103号法廷。傍聴に駆けつけよう。

 解雇撤回求め提訴 再雇用取り消しの9人

 同日、卒業式の「君が代」不起立などを理由に嘱託職員の職を奪われた元教員9人が、解雇撤回を求めて提訴した。都を相手取り、「処分は違法で無効」などとして、職員・講師としての地位確認と1人当たり300万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こしたのだ。 
 9人のうち5人は、すでに定年退職して昨年度まで嘱託職員として採用され、4月以降も更新する通知を受け取っていた。またほかの4人は今年3月で定年退職を迎え、うち3人は嘱託職員として、1人は時間講師として合格が内定していた。ところが、卒業式で不起立したところ、3月30日付で、「前年度の勤務成績が良好でない」などの理由で再雇用を取り消された。2日後の4月1日から始まるはずだった嘱託職員としての職を、まったく突然、不当に奪われたのである。
 「日の丸・君が代」不当解雇撤回を求める被解雇者の会は、提訴にあたって声明を発表し、「私たち9人も、『国旗・国歌』を愛してきた人から、これまで不起立・不斉唱を続けてきた人まで様々です。しかし、処分を伴う職務命令をもってそれを強制することでは一致して反対です。よって、私たちは自らの良心に従い『国歌斉唱』の際立ちませんでした」「1月中に採用合格の通知を受けて勤務校との面接や打ち合わせも済ませ、授業時間割や校務分掌も決まって、後は新学期を待つだけだった3月末に、無造作に送り届けられた『すでに連絡してあった合格を取り消すことにしたので連絡します』という一片の通知書で実質解雇されたのです」と弾劾し、解雇撤回を求めて闘うことを宣言した。
 また同日、予防訴訟をすすめる会、被解雇者の会、被処分者の会の3者が連名で、「生徒への『君が代』強制に抗議、被処分者への『再発防止研修』撤回を求める声明」を発表した。

 被処分者の決意表明

 6・22全都教職員総決起集会で、アイム89(東京教育労働者組合)を代表して決意表明した「君が代」不起立被処分者の発言を紹介します。(編集局)
 私は今年の卒業式に、自分の良心を守るために、そして子どもたちに対して都教委の手先には絶対になりたくないと思い、不起立宣言をして、不起立をしました。その私に対して、都教委は減給という処分を下しました。
 アイム89が全面的に私を支援してくれて、一緒に闘っています。また248人にのぼる被処分者の人たちとともに、心強い抵抗の闘いをしている最中です。
 6月8日、自民党の古賀都議が「反省しないやつには、長期研修だ」「反省をするまで再発防止研修を続けて、教壇から追放しろ」と言って、攻撃をかけてきています。しかし、私は絶対に一歩も引きません。最後まで闘っていきます。
 私の叔父は、二十歳のころに、戦争の検査を受けに行かされて、そのまま帰ってきませんでした。自分の家族にも別れを告げられずに、人殺しをさせられていったのです。
 子どもたちを再びこのような目にあわせるような時代を、私たちの手でつくってはなりません。戦争や国家主義的な教育は、私たち自身の従う心や、あきらめの心の中から生まれるものです。行動を断固として貫いて抵抗を大きくしていく、私たちの勇気が求められています。
 どうかみなさん、振り絞るような勇気を出して、戦争に向けて心と体を奪い取ろうとしているこの時代に抵抗していく闘いを、一緒につくり上げていこうではありませんか。力を合わせて、ともに頑張りましょう。
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 この間の経過

03年10月23日 都教委が「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」と実施指針。「国旗は舞台壇上正面に掲揚」「教職員は会場の指定された席で起立・斉唱」「ピアノ伴奏により行う」など子細に指示し、「教職員が職務命令に従わない場合は、服務上の責任を問われる」と明記
04年1月30日 都の教育労働者228人が「国歌斉唱義務の不存在確認訴訟」(予防訴訟)を東京地裁に提訴
3月   卒業式で教育労働者が「君が代」不起立・伴奏拒否
3月22日 予防訴訟第1回口頭弁論
3月30日 都教委が第1次懲戒処分。戒告171人、再雇用取り消し5人
4月5日 被処分者75人が都人事委に不服審査請求
     都教委が第2次懲戒処分。減給1人、戒告19人
  30日 被処分者51人が第2次の不服審査請求
5月6日 予防訴訟第2回口頭弁論
  21日 卒業式でコピーを配布した元教員宅に家宅捜索
  22日 都教委包囲ネット結成集会
  25日 都教委が第3次懲戒処分。減給3人、戒告39人。生徒の不起立を理由に厳重注意・指導等67人
  27日 新たに117人が予防訴訟の原告団に加わる。また、13人が第3次の不服審査請求
6月8日 横山教育長が都議会で「日の丸・君が代」の子どもへの指導を職務命令にする方針を表明
  12日 「学校に自由の風を!」集会に1300人
  17日 予防訴訟の第3回口頭弁論
     再雇用を拒否された9人が撤回を求めて提訴
  22日 3教組委員長呼びかけの都庁前集会に1500人

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週刊『前進』(2156号2面2)(2004/07/05)

教基法改悪 与党「中間報告」弾劾する 「国民育成」「愛国心」前面に
 学校を兵士作りの場へ転換

 6月16日、与党の教育基本法改正協議会の中間報告(以下、与党協案)がまとめられた。これに先立って超党派の教育基本法改正促進委員会も11日に「新教育基本法大綱案」をまとめている。さらに「教育を国家戦略の重要な柱として位置づける」とし、教基法改悪を督促する日本経団連の教育改革提言など、財界も教基法改悪と改憲に向けて活発に動いている。
 自民、公明が「全面改正」で合意したことにより、教基法改悪攻撃は新たな段階を迎えた。改悪法案の次期通常国会提出は必至であり、今秋臨時国会提出もありうる情勢である。
 前文における憲法理念の取り扱い、愛国心の表現などについて、未決着の領域が残されているが、与党協案は、前文を全面的に書き換えるほか、11条からなる現行教育基本法を18項目に再編する全面改悪案である。その内容は、昨年3月の中教審答申からもさらに改悪されたものとなっている。

 「人格の完成」から「国民の育成」へ転換

 第一に、「教育の目的」規定の大転換である。
 与党協案は「教育の目的」について、「教育は、人格の完成をめざし、心身ともに健康な国民の育成を目的とすること」とした。
 確かに現行教基法1条は、教育の目的を「人格の完成をめざし」と規定するとともに、「国民の育成を期して」とも言っている。教育行政側は一貫してこれを二元論的に解釈してきたことも事実である。しかし現行教基法は、前文の「個人の尊厳を重んじ」、1条の「個人の価値を尊び」と、個人の尊厳と価値をなによりも強調し、「国民の育成」には「平和的な国家及び社会の形成者としての国民の育成」という限定をつけている。
 これに対して与党協案は、「人格の完成」をむしろお題目とし、「国民の育成」こそ教育の目的だと押し出すものとなっている。
 成立当時に文部省が作成した解説書『教育基本法の解説』では、「教育は、何よりもまず人格の完成をめざして行われなければならない。……人格の完成は、国家及び社会の育成者ということの根本にあり、それより広い領域をもっている。この広い立場で育成された人間が、はじめて国家及び社会のよい形成者となることができる」と説いていた。前文の「真理と平和を希求する人間の育成」については、「ここで人間と特にいったのは、過去において国民ということが人間より先にいわれたが、よき国民たるには、まずよき人間でなければならず、よき人間はそのままよき国民となるとの信念に基づくものである」と解説している。
 与党協案では、国家と個人の関係が反動的大逆転を遂げているのである。
 第二に、教育目標に「伝統文化の尊重」「愛国心」を盛り込んだことである。

 教育目標に「愛国心の涵養」盛り込む

 与党協案は「教育の目的の実現を目指」すものとして6項目の「教育目標」をあげ、「道徳心の涵養(かんよう)」「公共の精神を重視」「伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し(大切にし)、国際社会の平和と発展に寄与する態度の涵養」などを盛り込むとした。
 ここでは「平和」の意味は、現行憲法が明記した戦争放棄ではなく、多国籍軍参加を意味するものとなっている。「愛国心に燃え、国際平和に寄与する態度の涵養」とは、まさに侵略戦争を支持し担う国民づくり、兵士づくりを意味するものである。
 こうした教育目標を盛り込むことは、後に述べる10条の解体と相まって、学校を愛国心教育、国際貢献論による侵略教育の場と化すものとなっていく。 
 学校教育法には、各学校ごとの教育目標がほぼ教科の目標に対応した形で示されているが、そこには「愛国心」「伝統文化の尊重」などという規定はもちろんない。だからこそ文部省は、学習指導要領に「国を愛する心情」や「国旗・国歌を尊重する態度」の育成を盛り込み、その「法的拘束力」を強弁して教育現場に押しつけてきた。
 改悪教基法にこのような教育目標が盛り込まれれば、ただちに学校教育法が改悪され、学習指導要領や教科書検定基準も改訂され、教科書もどぎつい愛国主義に彩られていくことになる。
 「国を愛する心」(自民党案)か、「国を大切にする心」(公明党案)か、などということが問題なのではない。今われわれは、教育の目的や目標を強制力を伴う法で定めることの是非という問題に、あらためて直面しているのである。
 教育基本法の制定時の国会審議で、「この法案は、法案じゃなくて説法ではないか。国民の心得を一々法律で規定する必要はない」という質問が出されていたことを想起する必要がある。
 戦前の学校教育に関する勅令は、国民学校令から大学令にいたるまで、すべて目的を明示していた。
 1941年に施行された国民学校令は、第1条で「国民学校は皇国の道に則りて初等普通教育を施し国民の基礎的練成を為すを以て目的とす」とし、これを受けて施行規則第1条には「教育に関する勅語の趣旨を奉体して教育の全般に亘(わた)り皇国の道を修練せしめ特に国体に対する信念を深からしむべし」など、10項目の教育方針が示されていた。大学令にも「国家に須要なる」学術の教育研究や、「国家思想の涵養」が規定されていた。
 これに対して、教基法作成当時の文相であった田中耕太郎は、「教育基本法は従来の誤った国家主義的教育目的を廃止し、これに代わるに正しいものを以てしたことにおいて意義を有するものである」と、法による教育目的の設定を、あくまで転換期の例外的暫定的措置としていた。
 教育基本法は、国民主義を抑制し普遍的人間主義を強調する教育目的を掲げ、他方で教育の自主性をうたうことで、平和教育のよりどころともなってきた。
 しかし、愛国心の育成を教育目標として法定する改悪教育基本法は、改悪というレベルをはるかに超えて、支配階級による人民の思想統制の強力な武器へとその性格を一変しようとしているのだ。

 「権利としての教育」を否定し差別化を推進

 第三に、「権利としての教育」を完全に否定し、教育を国家に対する義務としていることである。
 「教育の目的」を「国民の育成」とした与党協案は、「義務教育」の項目で「義務教育は、国民としての素養を身につけるために行われる」と規定した。先に引用した国民学校令の「国民の基礎的練成」という目的規定の復活である。そして、子どもの「規律を守り、真摯(しんし)に学習する態度」を盛り込み、さらにそれを「学習者の責務」と明記することを画策している。
 「教育目標」に盛り込まれた「健全な身体の育成」「能力の伸長」「創造性」「職業との関連を重視」なども、エリート教育のための教育制度の複線化、教育内容の差別化、「障害児」の分離教育などを推進する布石である。
 また「教育の機会均等」では、「国民は、能力に応じた教育を受ける機会を与えられ」とされた。憲法26条「すべて国民は……ひとしく教育を受ける権利を有する」や、教基法3条「すべて国民は、ひとしく……教育を受ける機会を与えられなければならない」がともに明記した「ひとしく」という言葉をわざわざ削除したのである。
 さらに新たに「家庭教育」の項目を設け、「家庭は子育てに第一義的な責任を有する」とした。親は子の「健全育成」義務を負うという、家族主義イデオロギーの反動的復活をもくろんでいるのである。

 10条を解体し国家が教育内容に全面介入

 第四に、「教育行政」の項目で、教基法10条の趣旨を完全に逆転させていることだ。
 現行教基法10条は、教育と教育行政を区別し、1項では「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべき」と教育の自主性をうたい、2項では「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない」と、教育行政の任務を教育条件の整備確立にあるとした。
 前述した『教育基本法の解説』では、10条2項の意味について「教育行政の任務とその限界を定めたもの」であり、教育行政は「教育内容に介入すべきものではなく、教育の外にあって、教育を守り育てるための諸条件を整えることにその目標を置くべきだというのである」としている。
 この点は、最高裁判決でも「教基法10条1項は、法令に基づく教育行政機関の行為にも適用がある」とし、「教育行政機関が法律を運用する場合においても、教基法10条1項にいう『不当な支配』とならないよう配慮すべき拘束を受けている」と認めている。
 ところが与党協案は、10条1項の主語をすりかえ「教育行政は、不当な支配に服することなく」とすることで、「不当な支配」の意味を百八十度逆転させている。これでは、日教組弾圧の根拠規定となってしまう。2項では教育行政の責務を、条件整備から「施策の策定と実施」とし、教育内容への介入を正当化する文言に変えている。
 「義務教育」の項目でも、国・地方公共団体は学校の設置者から「義務教育の実施責任」者とし、もはや教育の主体は行政権力であるとしてしまっている。文科省がつくる「教育振興基本計画」とは、こうした「国家のための、国家戦略としての、国家権力による教育」を推進する仕組みにほかならない。

 8・6ヒロシマから教基法改悪阻止決戦へ

 改悪教基法は、ついにその凶悪な姿を現した。この改悪案は、現場で先取り的に進行する攻撃の行き着く先を示すものでもある。
 与党協案の戦時教育法としての正体を徹底的に暴露、弾劾しよう。
 東京の卒・入学式における「君が代」不起立闘争は、教基法改悪に対する体を張った阻止闘争の始まりである。戦時下の「日の丸・君が代」闘争の新たな発展をかちとり、8・6ヒロシマから秋の教基法改悪阻止決戦へ総決起しよう。

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週刊『前進』(2156号2面4)(2004/07/05)

電機連合大会に向け訴える
侵略戦争と資本攻勢の先兵化許さず、闘う電機労働運動を

 電機連合の第52回定期大会が7月6、7日に埼玉県で開催される。
 今年前半の春闘解体と有事法制の成立という超ど級の「外への侵略戦争と内への階級戦争」攻撃は、連合中央と民主党の屈服・加担なしには成立しなかった。連合中央の最凶悪の先兵こそ電機連合中央である。小泉=奥田路線の先兵、電機連合中央を打倒し、闘う労働運動を再生することが待ったなしに問われている。電機労働運動の再生へ電機連合定期大会の議案を徹底批判する。

 民主党・連合の有事立法推進をリードした電機連合中央

 日帝・小泉は、6月14日に有事関連7法と3条約・協定を強行成立させた。小泉は、「備えあれば憂いなし」とか「国民保護」と言ってきたが、これらの法案は、イラク侵略戦争を推進し、北朝鮮などへの侵略戦争を準備するものだ。とりわけ改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)や「米軍活動円滑化法」、「交通・通信利用法」は米軍と自衛隊の行動の自由を全面的に確保するものであり、自治体労働者、指定公共機関の民間労働者、「国民保護」の名で全国の労働者階級人民を侵略戦争に強制動員するためのものだ。
 この戦争法案に対して民主党と連合は「有事法制は必要だ」として、戦争法案賛成に回る歴史的裏切りを行った。年金法案への全人民的な怒りが爆発する中で、有事法案への怒りの爆発を押しとどめたのが、民主党・連合中央だ。
 特に、軍需産業でもあるIMF―JC(金属労協)傘下の各単産こそ、連合内右派としてこの動きを終始リードした。この右派に自治労中央などが屈服・転向することで連合全体と民主党の有事法制賛成への動きは加速された。
 連合右派の中でも、電機連合の突出ぶりは際立っている。今日の兵器体系はエレクトロニクスが中軸を占めている。電機産業こそ、今日の最大の軍需産業なのだ。これを労使一体で推進しているのが電機連合だ。電機連合中央打倒は全労働者階級の課題となった。
 だが闘いはこれからだ。陸・海・空・港湾労組20団体を先頭に、有事法制を「完成させない・発動させない・従わない」運動を巻き起こそう。軍需産業の中軸を担う電機の労働者こそ職場から反戦闘争に立ち上がろう。イラク多国籍軍への自衛隊の参加を許さず、撤兵の闘いを強めよう。
 電機連合中央は、今大会で「政治方針に関わる国の基本政策に関して検討を深める」ために、「社会政策部」を設置するとした。これこそ連合の「国の基本政策検討委員会」や、日本経団連の「国の基本問題検討委員会」と同様、改憲を論じる場である。改憲阻止の闘いを爆発させよう。
 今国会では年金改悪が強行された。保険料は引き上げ、給付は削減という今回の改悪は労働者人民の生きる権利を奪う攻撃であり、軍事費優先の社会保障制度解体攻撃そのものだ。
 日本経団連は、「奥田ビジョン」で、「保険料を企業に負担させるのはおかしい。全額個人が負担すべき」と、消費税18%化を打ち出した。他方、電機連合は同じ03年1月の中央委員会で企業負担ゼロ化が目的の「年金目的消費税」新設を方針化した。これは、これまで闘い取ってきた企業負担を基礎とする「厚生年金制度」を根本的に解体する大反動方針である。まさに「奥田ビジョン」と一体で年金制度解体を狙う電機連合中央を打倒しよう。

 春闘放棄し定昇廃止を美化「職種別賃金」で賃下げ強制

 「日本経済はようやく長い不況からぬけつつある」といった分析が一部マスコミをにぎわしている。電機連合17中闘を構成する大手企業の業績も数字の上では一定改善している。だがこれらは、史上前例のない恐慌対策と空前のリストラの結果である。
 業績回復を実現した企業がやってきたことは何か。それは、労働者への激しい人員削減・首切り・賃下げ、賃金制度改悪、労働強化、既得権はく奪、海外展開の一大資本攻勢だ。その結果、正社員は減り続け、派遣、パート、請負等の不安定雇用の労働者が増え続けている。春闘はベアゼロ・賃金カット、一時金の大幅ダウンで労働者の賃金は減り続けている。さらに労災事故が多発している。今や職場の労働者の不安と怒りは爆発寸前である。
 しかし電機連合の大会議案は職場労働者の不安や怒りにこたえるものではまったくない。大会の第3号議案「2004年・2005年度運動方針」は、とんでもない裏切り方針である。
 第一に、04春闘では電機連合の屈服によって日立を突破口に、ソニーや松下電器で定昇が廃止され、それを引き金にトヨタ、日産など全産業に定昇解体が広がった。奥田・日本経団連会長が「賃上げを中心としていた春季労使交渉を、人事処遇制度をはじめとする経営諸課題について論議を行うなどそのあり方を見直すことができた」と評価するほどであった。
 だが電機連合中央は、この屈服を「過去2回の総合労働条件改善闘争は、『生活の豊かさ』……の実現をめざす取り組み」などと居直り、美化している。定昇解体は終身雇用制解体と一体であり、労働者階級総体の不安定雇用化攻撃なのだ。電機連合中央は全労働者の敵だ。
 第二に、賃金闘争については、第5次賃金政策を基準とし、さらに「多様な働き方と処遇のあり方」についての政策確立の検討を行うなどと言っている。これは日本経団連が5月に発表した報告書「多様化する雇用・就労形態における人材活性化と人事・賃金管理」に呼応したものであり、その狙いは非正規雇用化が30%にまで達していることを前提に、正規雇用労働者は年功賃金制度をより徹底的に解体して成果主義賃金へ、非正規雇用労働者は時間給にして大幅賃下げを狙い、労基法改悪で労働者階級総体をより低賃金で不安定雇用状態にしようというとんでもないものだ。
 電機連合中央が主張する職種別賃金とは、日本経団連の主張とまったく同じ終身雇用制と年功賃金解体を前提にした大幅賃下げ方針なのだ。
 成果主義賃金は、職場に分断と競争を持ち込み、労働組合にとって最も重要な団結を破壊する。賃金は生活給であり、労働者階級と資本家階級の力関係によって決まるものだ。団結した闘い以外に賃上げはかちとれない。
 第三に、電機産業の新たな成長と発展に取り組むとして「第6次産業政策」の推進を打ち出している。だがその中身は、「人生二毛作、三毛作」などと言って、労働組合が資本と共同して電機産業の発展のために働くだけでなくリストラにも協力し、それで解雇される労働者の再教育のために電機産業職業アカデミーを運用し、それでも解雇されたら、それは「個」を高める努力が足りない労働者が悪いという方針だ。
 これがいったい労働組合の方針と言えるのか。今こそ労働組合の原点に戻り、一人の首切りも許さず、春闘再生・大幅賃上げを掲げて闘おう。

 職場労働者の団結した力で危機にあえぐ執行部打倒へ

 日帝の侵略戦争と資本の首切り・リストラ攻撃の先兵に転落した電機連合中央は、「支出削減に最大限の努力を」と題した第7号議案で、組合員が1年間で約2万人も減少し、組合費収入が約1億5千万円も減少したなどと悲鳴を上げている。裏切り者の電機連合中央に未来はない。
 全世界で労働者の新たな闘いが発展している。3・20にはイラク反戦を掲げて全世界で1000万人、日本でも日比谷6万人を始め全国で50万人が決起した。動労千葉は04春闘を3波ストで闘い、JR体制に風穴を開ける大成果をかちとった。中小労組でもストライキが増えている。
 アメリカや韓国の闘う労働組合との国際連帯が実現し、連合下の大単産である自治労や日教組の闘いも流動と高揚を開始している。職場労働者の怒りの声を結集し、現代の産業報国会への道を突き進む電機連合本部方針を粉砕し、闘う労働組合を再生しよう。闘う労働運動にこそ未来はある。
 (飯村健二)

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週刊『前進』(2156号2面5)(2004/07/05)

国労5・27臨大闘争弾圧公判日程

第25回 6月29日(火)/第26回 7月21日(水)
第27回 8月5日(木)/第28回 9月6日(月)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁

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週刊『前進』(2156号3面1)(2004/07/05)

動労千葉 悲しみ越え団結固め
中村書記長追悼集会が盛大に 関中央支部副支部長の遺志も継ぎ
 長田書記長代行体制を確立

 2人の労働者魂受け新たな出発

 動労千葉の団結のかなめであった現職の本部書記長を突然失った組合員の悲しみと苦悩はどれほど深いものであったか。5月15日、中村栄一書記長がくも膜下出血で急逝された(享年44歳)。あまりに若すぎる死だった。その悲しみも癒(い)えない中で、6月5日、中央支部副支部長の関豊さんがすい臓ガンのため逝去された(享年65歳)。
 04春闘の画期的な成果の上に結成25周年を迎えて、いよいよ“新世代の動労千葉”の大躍進をかちとろうという矢先に続いた2人の訃報に、組合員のみならず全国の労働者たちが動労千葉の行方を案じた。だが、動労千葉はさすがに、悲嘆に暮れてはいなかった。
 6月20日、第51回定期委員会の後、DC会館ホールをあふれる270人の組合員・支援者を集め、ご遺族も迎えて「故中村栄一書記長追悼集会」が開かれた。中村書記長の遺志を引き継ぎ、渾身(こんしん)の決意を表明した長田(おさだ)敏之書記長代行を始めとする新執行体制のもとに、みじんも揺るぎのない団結力を示した。故中村書記長の烈々たる労働者魂が参加者に乗り移ったかのように、そのパワーは倍加したとも言えるだろう。

 “永遠にスクラムを組みつづける”

 真紅の動輪旗の前に飾られた2人の遺影は、在りし日をしのばせ、元気な声が聞こえてくるようだった。
 君塚正治副委員長が追悼集会の開会を告げ、全員で黙祷(もくとう)を行った。
 主催者あいさつをした田中康宏委員長は、中村書記長について「彼はスト破りを拒否して90年に国労から加入した。職場の信頼は絶大だった。本当にかけがえのない仲間を失った」と悔やみ、しかし長田書記長代行とともに「絶対に前を向いて進みたい」と語った。
 関さんについては、79年の新組合結成の時の執行委員だったこと、国鉄分割・民営化の激しい闘いの最中に新小岩支部長を引き受け、定年退職後も被解雇者とOB組合員で中央支部を立ち上げ、副支部長に就任した経歴を紹介し、「悲しみに沈んでいることを関さんも許さない」と語った。
 そして、「動労千葉は死活をかけた攻防に入っている。戦争や労働者が虫けらのように扱われる状況に、全組合員が先頭に立つことが、志半ばに倒れた2人に報いることだ。そうすれば永遠にスクラムを組むことができる」と訴えた。

 不屈の前進誓う力強い決意表明

 長田書記長代行が代行を引き受けるに至った経緯を語った。「私のような者が栄一の築いてきた体制を引き継げるか、何度も自分に問いかけた。組合員を動揺させてはならない。当局になめられてはならない。その一点で決意した。栄一は悔しいと思う。やっとJR体制に風穴が開いた時に逝ってしまった。団結を固め、その成果をJRに履行させるのはおれたちだ。組織を拡大することが供養になる。腹を固めた以上、先頭に立ち、団結の中心軸に座る」。参加者はひときわ大きな拍手でこたえた。
 千葉運転区支部の椿裕明支部長が、「中野体制から田中体制に代わる時、千葉転から出せと言われ、栄一が書記長になった。04春闘の非協力闘争で勝利をかちとったのは、栄一の信念が通じたのだと思う」と、組織拡大への決意を表明。
 新小岩支部の佐藤正和支部長は、「悲しみモードから戦闘モードに突入したい。関さんは機関士としても大先輩だ。質実剛健、文武両道の人だった。戦争と大失業の時代に胸を張って進撃し、動労千葉に命を懸けたい」と気炎を上げた。
 ご遺族からは、中村書記長の義父・紀代司さんが「本当にお世話になった」と声を詰まらせた。関さんの長男の修さんは、関さんが病床で「最後にDC会館に行きたい」と言い、こちらに連れてきて「皆さんに会えて悔いがなかったと思う」と涙ながらに語った。
 中野洋常任顧問が献杯の音頭をとった。
 「2人は酒を愛し、仲間を愛した。中村書記長は外様で苦労したが、動労千葉らしい男だった。『動労千葉の中村ということを判断基準に考える』と言っていた。4月にDC会館に来た翌日に病院に行ったら、関さんは『おれは動労千葉魂をもってガンと闘う。お前にいろんなことを教わった。どんなに困難な時も原則を守って闘えば展望は開ける』と言っていた。僕は、こういうことを言う男たちをつくった動労千葉を誇りに思う。長田君は書記長代行を引き受けた支部長会議で、大変なアジテーションをやった。それで危機をのりこえた。今追悼集会は田中―長田体制のもと、平成採獲得の闘いを軸に今一度、大きく羽ばたく出発点にしてほしい」

 広範な人びとから追悼の言葉

 集会では多くの人びとから追悼の言葉が寄せられた。顧問弁護団の葉山岳夫弁護士が「機関車2両を失ったも同然だ。しかし闘いは半ば。『闘いのさなかに倒れた友、流された血でわれらは結ばれた』という歌の一節がある。群がる反動に立ち向かい、最後の勝利まで闘う」と語った。
 三里塚芝山連合空港反対同盟の伊藤信晴さんは「反対同盟は有事体制の土地徴用、空港の軍事使用に反対し、労農同盟をさらに固めて前進したい」と訴えた。
 国鉄闘争共闘会議事務局長の内田泰博さん(旭川闘争団)は、2人の遺影の前で手を合わせ、「労働者の人権、民主主義、平和を守るために本気になることが人の心を動かすことを教えてくれた」と語った。
 元千葉高教組委員長の横堀正一さんは「階級的労働運動を守り抜いたことに敬意を表したい」と述べた。
 NTT労組東関東総支部の宮内事務局長は「動労千葉の発展のために、哀悼の意を表したい」と語った。
 大阪から駆けつけた全国金属機械労組港合同の中村吉政副委員長は、「私たちも副委員長が亡くなり、悲しみを闘いに変えて闘ってきた。労働3権や人権が破壊される時代に、権利を回復するのは労働組合だ。労働運動を再生しようという思いは動労千葉と共有できる」と表明した。
 動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長は、「中村書記長は支援する会の運営委員会に参加し、組合員の目線で語ってくれた。会員を拡大し、大きな潮流とすることが遺志を引き継ぐことになる」と語った。
 東京管理職ユニオンの設楽清嗣書記長は、「日本の労働運動が十分に闘い得ていない状況で、動労千葉が最先頭で闘っていることをたくさんの仲間が知っている。2人の遺志をきずなに闘いを前進させるだろうと確信している」と語った。
 参加者はホールから全館にあふれて酒を酌(く)み交わした。全金本山労組、ス労自主、動労水戸、動労西日本などから追悼の言葉が続いた。アメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10や韓国民主労総ソウル本部からも追悼メッセージが寄せられた。
 組合歌を斉唱し、長田書記長代行が力強く団結ガンバローの音頭をとった。

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週刊『前進』(2156号3面2)(2004/07/05)

動労千葉 04春闘の成果を固め運転保安闘争強化へ
 さらなる闘いへ定期委

 この日、午前中から開かれた定期委員会は、田中委員長が総括答弁で「沈痛な委員会にしたくない。栄一のためにも明るい委員会にしたいと思い、そのとおりになった」と語ったように、活発な委員会だった。
 「栄一は『自分がやり残した最大の課題は組織拡大だ。労働者としての生き方を問う』と言っていた」。過日のJR東労組大会で前千葉地本委員長・小林克也が除名されるなど、東労組カクマルの分裂・抗争が激化している。輸送混乱と事故続発を開き直り、国土交通省の事業改善命令を「どす黒い陰謀」と言い、当局の「職場規律」攻撃の先兵となったカクマルを打倒し、職場闘争で力関係を変えるという原則を再確認。そうして1047名闘争の勝利をもかちとる方針だ。
 強制配転者の原職復帰など、04春闘での当局との確認事項を履行させる闘いも山場を迎える。そして特に、この過程で明らかになった線路破断などについて徹底的に究明し、本格的な反合・運転保安闘争に突入する方針を確立した。
 長田書記長代行が方針提起と答弁に立ち、名実ともに新執行体制が確立したことを強く印象づけた。
 (本紙・大沢康)

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週刊『前進』(2156号3面3)(2004/07/05)

圧倒的なカンパのお願い 04後半決戦の勝利をともに勝ち取るために

 すべての皆さん、革共同に対する絶大なカンパを心からお願いします。

 労働者の決起が始まりました

 訴えたいことの第一は、今、私たちは侵略戦争と憲法改悪に突き進む帝国主義を労働者階級人民の総力で打倒すべき情勢に入っているということです。労働者階級自己解放の思想をもって自らの革命党をつくり出し、革命党を強化・拡大して、帝国主義を打倒する以外に生きる道、進むべき道はありません。
 私たちの眼前にあるのは、末期の資本主義・帝国主義の断末魔の姿です。米帝ブッシュ政権は、1年以上の間イラクを軍事占領し、あらん限りの暴虐を繰り返してきましたが、イラク人民の民族解放・革命戦争の前にもがき苦しんでいます。シーアイランドサミットは、帝国主義間の調整や関係修復が不可能であること、帝国主義各国が独自の利害をかけてブロック化を強め、侵略戦争と国内階級戦争に突き進んでいる姿を示しました。世界は今、市場、資源、勢力圏をめぐる帝国主義間戦争、世界戦争が避けられない時代に突入しています。
 日帝・小泉政権はサミットの場で自衛隊の多国籍軍への参加を表明しました。今通常国会では改定ACSAと有事関連7法案・2条約、年金法改悪、入管法改悪、司法改革関連法などの超反動法案を次々と成立させ、教育を愛国心教育に大転換する教育基本法の改悪、さらには改憲そのものへと、まさに恐るべき勢いで戦争体制の構築を進めています。
 同時に、労働者を無権利化し、搾取を極限的に強めるため、昨年来労働法制を根本改悪し、「解雇権」の条文化、「裁量労働制の拡大」による8時間労働制の解体、「派遣法」改悪による不安定・低賃金労働の全社会化を進めています。銀行など巨大独占企業のためには湯水のように税金を投入しながら、「高齢化社会」「大競争時代」を叫びたて、社会保障を全面解体し、介護保険や年金法改悪で実質的増税と生活破壊をどしどし推し進めているのです。
 ブルジョアジーはまた、「東アジア経済圏」構想を唱え、アジアを経済的生命線として軍事的にも支配することで独占の権益を守り、帝国主義間争闘戦に勝ち抜く道を選択しています。
 こんな社会は根底からひっくり返さなければなりません。「改革」ではなく根底的な変革、帝国主義打倒が求められています。
 訴えたいことの第二は、04年の後半が日本階級闘争の最大の階級決戦になるということです。まさに天下分け目の決戦です。体制の存亡をかけた小泉政権の大反動攻撃は確かにすさまじいものがあります。イラクへの自衛隊派兵、総翼賛の国会、公然たる教育基本法改悪、憲法改悪策動、卒・入学式での「日の丸・君が代」強要と、あからさまな攻撃の連続です。
 しかし、労働者階級は侵略戦争と対決し、11月労働者集会や3・20国際反戦共同行動、陸・海・空・港湾労組20団体の闘い、百万人署名運動を対置しています。動労千葉の非協力闘争と04春闘ストライキ闘争を突破口に、国鉄1047名闘争の発展、教育労働者の闘いの高揚を切り開いて、この情勢と鋭く対峙しています。まさに労働者の人生をかけた決起があらゆる所から始まっています。
 この闘いを守り、さらに巨大な闘いに発展させる決戦が後半戦です。革共同は労働者階級人民の巨大な統一戦線を打ち立てるためにあらゆる努力を尽くす決意です。

 労働者階級の党革共同の登場へ

 訴えたいことの第三は、日本型社民の破産、日本共産党スターリン主義の綱領的屈服をのりこえて、今こそ革共同が労働者階級の革命党として登場すべき時を迎えているということです。革共同はマルクス主義・レーニン主義に立脚した労働者階級の革命党です。半世紀にわたり、国家権力とファシスト・カクマルから党組織を守るため、多大な犠牲を払いながら、権力・反革命から防衛された非合法・非公然の革命党指導部を建設し、それを維持する闘いに勝利してきました。
 私たちは、今こそこれまでの歴史的蓄積の一切をかけて、労働者階級の真の前衛党としての飛躍を実現する決意です。
 この私たちの闘いの一切は、労働者階級の拠出金によって支えられています。現在の情勢に心底から危機感を持ち、打開を願う皆さん。革共同を唯一のプロレタリア革命党、労働者人民をけっして裏切らない信頼にたる党として選択し、革共同を強化し運動を圧倒的に前進させるため、厳しい生活の中からのカンパをお願いします。
 そして、侵略戦争を阻止し、労働者階級人民の勝利を実現する唯一の道として、革共同に結集し、ともに闘って下さい。

 革命への主体的決起を訴えます

 訴えたいことの第四は、革命党へのカンパの特別に重大な意義についてです。革命党は労働者階級人民の拠出金によるほかに依拠すべきものはありません。全労働者階級の共同の闘いとして、プロレタリア革命に勝利するため、カンパは絶大な意義を持っています。
 カンパを拠出することは、革命闘争参加の重要な水路です。それは主体的な決起です。私たちは、これまでにもまして広範な労働者人民に、革命への決起としてのカンパを訴えます。
 労働者階級人民は、どんなに苦しくとも、自己解放闘争の発露として、身を削るようなカンパを必ず寄せるものなのです。ぜひとも一口10万円を単位とするカンパを訴えます。革共同は、貴重なカンパを糧にして階級の最前線で闘い、帝国主義を打倒して新たな社会を樹立します。
 今次カンパ闘争は、かつてなく重大な闘いになっています。すべての同志、支持者の皆さん、自らの決断として革命にかけ、人生をかけたカンパを寄せて下さい。さらに、職場の仲間、地域の人びと、これまでの範囲をはるかに超える人びとにカンパを熱烈に呼びかけて下さい。まさにその闘いこそが日本階級闘争の帰趨(きすう)を決する決戦であることを心から訴えます。
【送り先】東京都江戸川区松江1・12・7前進社
振替00190・0・88857

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週刊『前進』(2156号3面4)(2004/07/05)

 “全逓解体を許すな”

全逓(日本郵政公社労働組合=JPUに名称変更)第59回大会の初日、「深夜勤導入や人材活用センター構想などの国鉄型首切りを容認する本部を許すな」とシュプレヒコールを上げる全逓組合員ら(6月23日 旭川市民文化会館)=記事次号

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週刊『前進』(2156号3面5)(2004/07/05)

戦争・民営化と闘う自治体労働運動を A区現業の新人事制度導入
 団結破壊と低賃金狙う 現業きり捨て・民営化攻撃

 区現業職場が民営化で縮小

 東京都特別区(23区)の現業労働者は住民生活に直結した職場で働いている。職種としては、調理(区立学校・保育園)、用務(区立学校・保育園・幼稚園・高齢者会館など)、警備、作業T・U(公園、土木など)、家庭奉仕(介護保険制度の導入で激減)などがある。区現業労働者は、国鉄1047名闘争を始め、反戦政治闘争、経済闘争などをとおして東京の公務員労働運動の戦闘性を根底で支えてきた。
 しかし、自治労中央、自治労連中央の屈服のもと、区現業職場には民営化攻撃が吹き荒れている。
 最初は退職不補充で職場全体が高年齢化していった。「公務員の首切りはない」というまやかしのもと真綿で首を絞めるように次々と職場が縮小されていった。現在は職場間異動・職務間異動などによる配転攻撃が日々激化している。この結果、82年に2万8千人いた区現業労働者は04年には1万2千人となった。
 自治労「21世紀宣言」の核心は、「労使協働」で民営化を進め、他労組と合併して「公務公共サービス産別」を形成することで生き残ろうというものだ。現業労働者にひきつけていえば「もう現業労働運動は要らない」という宣言である。これに対して、昨年の自治労横浜大会の前段の全国現業総会では現業労働者の自治労中央批判が相次いだ。

 今年6―9月が攻防の山場

 民営化に加えて新人事制度導入が迫ってきている。
 まず95年、区長会が特区連(特別区職員労働組合連合会)に「特別区人事制度の見直しについて」を提案した。98年段階では「行政系人事制度の見直しについて」のみ妥結した。その後、23区清掃事業の06年完全区移管(注1)と絡めて、区現業労働者への新人事制度導入攻撃が急浮上した。昨年の交渉で区長会が「遅くとも04年度給与改定交渉期には決着したい」とし、「引き続き協議事項」となった。この6―9月が攻防の山場だ。
 現行の区現業労働者の人事給与制度は、年齢と勤続年数による完全な年功序列で、まじめに働けば誰でも退職時には4級に到達する行(一)横引き(注2)である。
 都の現業職場(清掃・都営交通・水道など)には96年に新人事制度が導入された。最初は組合が現場の団結を維持するために新任用制度を空洞化する努力が払われたが、今では当局に覚えが良く試験に合格する労働者とそうでない労働者とに分かれ、職場の雰囲気は一変しているという。
 03年以降、23区の清掃職場の欠員補充は区採用で行われることとなった。その結果、同じ職場で人事給与体系が違う労働者が働く状況が生じた。
 欠員補充に新規採用が行われたのは渋谷区のみで、大田区、品川区では区現業から清掃職場への配置転換が行われ、重大な部落差別事件も発生した。業務の民間委託分の拡大や人材派遣会社からの派遣で欠員補充をしている区もある。
 06年の清掃職員の区職員への身分切り替えは清掃労働者にとっても、区現業労働者にとっても大問題だ。清掃労働者と区現業労働者が同じ現業労働者として連帯・団結することが求められている。
  注1 2000年、都(23区)の清掃業務の区への移管で清掃労働者は都から区への派遣となった。06年に都職員から区職員へと身分変更される。
  注2 行政職俸給第一表の略。特別区現業職員の俸給表は、表題は現業職俸給第一表だが、行政職俸給第一表を横に置いて引き写した内容で、特別区の行政職と現業職に賃金差別はない。70年にかちとった地平だ。

 動労千葉と共に闘う仲間を

 区長会は5月17日、特区連執行部に「技能系人事制度改正骨子案」を提案した。これは、東京都の現業系人事制度を特別区にそのまま導入しようとするものだ。99年賃金確定闘争での労使確認を逸脱し、行(一)横引きに選別を持ち込み、団結を破壊する攻撃だ。さらには現在、全国の自治体で始まっている新人事評価制度攻撃と相まった自治体労働運動破壊の攻撃だ。
 区長会提案の概要は、@1級職、技能主任職、技能長職及び統括技能長職の4層制とするA各職の職責を明確化して設置基準及び選考方法を定めるB採用上限年齢を35歳未満とするC再任用制度については定年前職員との整合性を考慮するD任用制度に対応した給与制度の整備を図る――というものだ。
 さらに各職の職責、設置基準を、@技能主任職は、おおむね4人程度の技能系職員を単位として設置し、職責は現場作業におけるリーダーあるいは技能系職員に対する職務上の指導・育成等を行うA技能長職は、おおむね20人程度の技能系職員を単位として設置するB統括技能長職は技能長を多数設置している技能系職場に1名設置する――と説明している。
 だが、特別区の現業職場は都現業職場と違い、1人職場が44・1%、1〜3人職場が87・4%。平均2・22人という少人数である。4人以上の現業職場はほとんどない。この現状からすると、新人事制度導入後は、誰も技能主任にしない、つまり4級で退職などありえない、ということだ。(図参照)
 そもそも区現業職場には「リーダー」としての技能主任職など不要だ。区現業職場では「リーダー」や「指導・育成」者を選考(試験)し設置しなくても、各職場で協力して仕事を遂行している。そうすることで仲間意識を形成してきた。95年に妥結した「行政系人事制度の見直し」ですら、行政職の主任・主事を「リーダー」や「指導・育成」する職としては位置づけておらず、実務経験豊かなベテラン職員の職として導入している。
 特区連執行部は、6月9日に第10回拡大執行委員会を開き、「特区連の態度と要求案」を示し、各区職労の機関討議の上、6月28日の拡大執行委員会で最終決定しようとしている。
 特区連は、その「基本的主張」で「制度導入にあたって……差別・分断をもたらすものであってはならず」と言っているように、制度導入を前提として、ほとんどむなしい対案を並べている。「現業活性化」方針の破綻(はたん)を前提に、“区現業への新人事制度導入は仕方がない”という屈服的立場から議論しているにすぎない。
 都現業職場の実態を見るならば、私たちの基本的立場は「区現業への新人事制度導入反対」だ。このことをはっきりさせた上で、各区機関討議の場で現業労働者の怒りを組織し、特区連現業連絡会に結集し、戦闘的労働運動の前進のための「仲間づくり」――動労千葉とともに闘う、東京における公務員労働運動の構築――を日々実践しよう。
 (自治体労働者 森川葵)

現行と改定案の職務の級の対応関係

現行、改定案
1級職、新1級職
2級職、新1級職
3級職、技能主任(新2級職)
4級職、技能長(新3級職)
なし、(新設)統括技能長(新4級職)

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週刊『前進』(2156号4面1)(2004/07/05)

6・18閣議決定を弾劾する 日米共同作戦で武力行使へ
 解放闘争の鎮圧と石油強奪 「多国籍軍」絶対阻止を

 日帝・小泉政権は18日の閣議で、自衛隊の多国籍軍参加に関する政府の統一見解を了解し、イラク特措法の施行令改定と自衛隊派兵の基本計画変更を決定した。これをもって、6月30日以降、自衛隊がイラクでの多国籍軍に参加しようとしている。6・18閣議決定は昨年12・9のイラク派遣基本計画の閣議決定とともに、日帝のイラク侵略戦争と改憲攻撃の一大エスカレーションである。6月14日の有事10法の成立に続く6・18閣議決定を絶対に許してはならない。7月参院選挙情勢の中で、6・18閣議決定への労働者階級人民の怒りを解き放ち、闘うイラク人民と連帯して、「多国籍軍参加」絶対阻止、小泉政権打倒・自衛隊イラク撤兵へ闘いぬこう。

 軍事占領永続化とカイライ政権作り

 6・18政府見解は、国連安保理決議1546が全会一致で採択されたことを称賛し、「6月30日をもって米英軍による軍事占領が終了し、完全な主権が回復される」としている。まずこの主張自体がとんでもない虚構であり、許すことのできないデマ宣伝である。
 国連決議1546は、米帝がイラクを植民地支配し、石油を強奪することに国連として承認を与えた絶対に許せない決議である。米帝はこれをテコにイラクの軍事占領を継続し、侵略戦争をエスカレートさせようとしている。
 米軍占領下での「主権移譲」というのはペテンだ。米帝はCIAの手先であるアヤド・アラウィを首相とするイラク暫定政府を使って、「イラク復興」と称するイラクの植民地化、石油など国家資産の略奪を本格的に進めようとしている。日帝もその利権の一角にくい込もうとしているのだ。
 さらに米帝はシーアイランド・サミットで「拡大中東・北アフリカ構想」をうちだし、中東・北アフリカ全体を米帝の勢力圏、資源確保の戦場として拡大することを宣言した。
 これに対し独、仏帝国主義は、イラク人民の民族解放闘争を圧殺するために国連決議自体には一定の修正のうえで賛成したものの、イラク派兵を引き続き拒否し、米帝の拡大中東構想も修正させた。
 決議1546は、帝国主義が分裂・抗争しつつ中東の石油・市場・勢力圏を奪い合うために、イラク人民の民族自決権を否定し、民族解放闘争の圧殺を狙う帝国主義強盗どもの決議なのだ。それは国際帝国主義によるイラク・中東をめぐる争闘戦を新たな段階に押し上げ、世界戦争への情勢を加速したのだ。
 多国籍軍とは、イラクの軍事占領と民族解放闘争圧殺のための米軍指揮下にある侵略軍にほかならない。同決議は、この多国籍軍(米軍)に「必要なあらゆる手段を行使する権限」を与え、事実上無期限に駐留することを認めている。
 これはイラク人民にとっては断じて認められないことだ。イラク人民は米英占領軍とその支援者を攻撃し、石油関連施設などへの爆破戦闘をくり返し、帝国主義の軍事占領、石油略奪と植民地化に反対して闘っている。イラク愛国戦線代表アルクベイシ氏は5月15日、「私たちにとっての解決は、米占領体制に承認を与えるだけの国連決議ではなく、占領が終わることだ」と国際会議で訴えた。これは圧倒的多数のイラク人民の声だ。
 「一部のテロリストがイラク民主化と復興を妨げている」というのは、帝国主義が石油略奪や植民地支配という自らの侵略意図を押し隠すためのデマ宣伝である。今後イラク人民の闘いがさらに発展し、米軍(多国籍軍)との戦闘拡大は不可避である。
 小泉政権は、決議1546の中で「人道復興支援活動が多国籍軍の任務として含まれることが明らかになった」ことを多国籍軍参加の理由にしている。だが、多国籍軍の目的はあくまでも米帝とそのカイライである暫定政府に対するイラク人民の抵抗闘争、民族解放闘争を圧殺するための武力行使と治安弾圧である。米帝の「イラク復興」=植民地化の成否は、米軍(多国籍軍)がイラク人民の民族解放闘争を圧殺できるかどうかにかかっているからだ。現にパウエル米国務長官は「戦闘作戦」「拘束」「武器捜索、確保」を行い、「治安維持」と「部隊の保護」に「幅広い任務」を果たすのが多国籍軍だと断言している。
 自衛隊の「人道復興支援活動」なるものも、そうした「幅広い任務」=イラク人民の民族解放闘争を圧殺するための活動であり、軍事占領下での侵略作戦として行われているのだ。
 ましてや航空自衛隊が「安全確保支援活動」として行っている米軍物資や武装米兵の輸送は、直接に米軍の武力行使と完全に一体の軍事作戦なのである。日帝は改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)をもって、こうした米軍との共同作戦を決定的に強めようとしている。改定ACSAによって、自衛隊は米軍基地の警備、燃料・食料などの提供、空港・港湾業務、基地の相互利用などあらゆる兵站(へいたん)支援が可能となった。陸自の輸送支援はイラク特措法の枠内でも可能である。
 米帝としても、サマワのオランダ軍が来年3月にイラクから撤退することもあって、今後陸上自衛隊に米軍の兵站支援や治安維持などの任務拡大の要求を強めることは明らかだ。
 自衛隊の多国籍軍参加は歯止めなき、泥沼的なイラク侵略戦争参戦の道なのである。

 集団的自衛権行使で泥沼の侵略戦争

 政府見解は決議1546で多国籍軍が「統一された指揮下(アンダー・ユニファイド・コマンド)」にあるとしている部分の訳語を「統合された司令部のもと」と言い換えることで武力行使を行う米英軍の指揮を受けないかのようなペテンをろうしている。しかしロドマン米国防次官補が米下院に提出した文書で「ユニファイド・コマンドとは米軍の指揮を意味する」と明言しているように、米政府は、イラク駐留の各国部隊は「米軍の統一された指揮下にある多国籍軍」に移行するとの見解で一貫しているのだ。
 ところが政府見解は、米軍による指揮、監督を「連絡・調整」だと言い張り、あたかも米軍と自衛隊は対等な関係であるかのように言いなしている。だが自衛隊の活動はあくまでも多国籍軍の一員としての活動であり、すべて米軍の作戦計画の中に組み込まれ、米軍によって指揮、監督されるのだ。
 18日の衆院イラク復興支援特別委員会の閉会中審査で、政府見解にある「米英両政府の了解」なるものが大使館の公使レベルの口頭での了解にすぎないことも明らかになった。
 6月18日付の沖縄タイムス紙は、サマワの陸上自衛隊が将来、米陸軍が衛星やコンピューターを駆使して中東で進める人員・物資輸送の一元管理システムに組み込まれ、補給面でも米軍の統制下におかれる可能性があると指摘している。
 政府見解が「これまで同様、憲法の禁じる武力の行使に当たる活動を行うものではなく、イラク特措法に基づき、いわゆる『非戦闘地域』において活動するものであり、他国の武力の行使と一体化するものではない」などというのは大ウソだ。すでにサマワも含めてイラク全土が戦闘地域となっている。自衛隊の多国籍軍参加とは、自衛隊が米軍と一体化することであり、自衛隊が「戦闘地域」に突入し集団的自衛権を行使して、イラク人民を虐殺していくということにほかならない。
 小泉政権はそのために、改定ACSA、捕虜等取り扱い法案、国際人道法違反行為処罰法案などを先の国会で強行成立させたのだ。

 9条改憲狙う小泉政権倒せ

 このように自衛隊の多国籍軍参加はイラク侵略戦争の重大なエスカレーションである。実際に戦争ができる軍隊へ、戦闘地域での武力行使、集団的自衛権行使へと、日帝・自衛隊がついに踏み出すのだ。これらと一体のものとして、日帝は9条改憲の正面突破を図ろうとしているのである。
 これまで政府は「目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されない」(1980年の政府答弁)としてきた。ところが6・18見解は「多国籍軍への参加に関する従来の政府見解を変えるものではない」と厚かましくも強弁している。だが、イラクの多国籍軍が武力行使を目的としていることは小泉自身が認めている。6・18政府見解がこれまでの政府見解を踏み越え、憲法9条を突破しようとしていることは明らかだ。
 6・18政府見解は、日帝が憲法9条を踏み破ってイラク侵略戦争の泥沼に深々とのめり込み、再び侵略戦争・世界戦争の急坂を転落し始めたことを示した。自衛隊の多国籍軍参加阻止・イラク即時撤兵の闘いの爆発で、日本帝国主義を打倒しない限り、この流れをとめることはできない。
 だが、イラク情勢に追いつめられているのは、米日帝国主義の側だ。3・20日比谷公園の6万人決起とこれを引き継ぐ6月闘争は、日本の労働者階級が闘いの意欲をみなぎらせていることを示した。小泉政権の苦し紛れのウソとペテンを暴き、帝国主義批判を鮮明に貫いて、戦争と改憲、国内反動の日帝・小泉政権を打倒しよう。闘うイラク人民と連帯し、7、8月の闘いで自衛隊をイラクから撤兵させよう。

 資料 政府の統一見解(要約)

 6月8日、国連安保理において決議1546が全会一致で採択された。イラクにおいては、同30日をもって占領が終了し、完全な主権が回復されることになる。わが国としては、イラクに完全な主権が回復され、本格的な復興に向けた新たな局面が開かれたことを歓迎する。
 今般、イラク暫定政府が国際社会に対し多国籍軍の駐留を含めた支援を要請していることを踏まえたこの決議が全会一致で採択されたことを受け、イラクの復興と安定がわが国自身の安全と繁栄にとっても重要であるとの認識に立ち、自衛隊が引き続き活動を継続する。
 この新決議において、これまでわが国の自衛隊が行ってきたような人道復興支援活動が多国籍軍の任務に含まれることが明らかになったことなどを踏まえ、自衛隊は多国籍軍の中で今後とも活動を継続する。
 6月30日以降、自衛隊は、多国籍軍の中で、統合された司令部のもとにあって、同司令部との間で連絡・調整を行う。しかしながら同司令部の指揮下に入るわけではない。自衛隊は引き続き、わが国の主体的判断のもとに、わが国の指揮に従い、イラク特措法およびその基本計画に基づき人道復興支援活動等を行う。この点については、米英両政府とわが国政府との間で了解に達している。
 自衛隊はこれまで同様、憲法の禁じる武力の行使に当たる活動を行うものではなく、イラク特措法に基づきいわゆる「非戦闘地域」において活動するものであり、他国の武力の行使と一体化するものではない。
 以上のとおり、自衛隊が多国籍軍の中で活動を行うことは、憲法との関係で許されないとしてきたいわゆる多国籍軍への参加に関する従来の政府見解を変えるものではない。

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週刊『前進』(2156号4面2)(2004/07/05)

現闘本部裁判初公判開く “反対同盟に地上権ある” 弁護団、即時却下を要求

 千葉地裁で6月17日、三里塚芝山連合空港反対同盟に対して、天神峰現闘本部の建物を撤去し、土地の明け渡しを要求する裁判の第1回弁論が行われた。昨年12月に旧地主から底地を買収した空港公団(4月から成田国際空港株式会社)が反対同盟を被告として起こした訴訟だ。
 反対同盟は事務局長の北原鉱治さんを先頭に天神峰の市東孝雄さん、事務局次長の萩原進さんら多数が法廷に臨み、北原事務局長が代表して意見陳述した。「現闘本部は当時の石橋副委員長が提供した土地に同盟員が資材を持ち寄り建設、登記もされ、反対同盟が借地権・地上権を有することは明白であり、農民の拠り所である」と語り、「明け渡しの要求はまったく不当であり、直ちに棄却することを求める」と訴えた。
 続いて弁護団の葉山岳夫弁護士らが、現闘本部は90年1月以来、成田治安法によって鉄板と有刺鉄線で封鎖されており(写真)、反対同盟に対する建物撤去・土地明け渡しは不可能な要求であるとして、訴えの理由のない訴訟であり中身に立ち入る前に却下するよう要求した。
 裁判には、関西の永井満関西実行委代表ら百人近い支援者が傍聴・激励に駆けつけた。傍聴席は支援者が埋め尽くし、入りきれない人が廊下にあふれた。
 日帝と成田空港会社にとって、暫定滑走路の「へ」の字誘導路の直線化と2500bへの延長は、航空をめぐる争闘戦と軍事空港化のための死活の課題となっている。現闘本部は、真正面からそれを阻んでいる。訴訟は、追いつめられた空港会社の新たな土地強奪攻撃である。空港会社は、現闘本部の明け渡しを反対同盟に要求する一方で、現闘本部の封鎖解除には反対するという許しがたい態度をとっている。
 現闘本部裁判は、暫定滑走路粉砕の攻防の要をなす重大な裁判闘争だ。次回は9月9日(木)午前10時30分。結集し、ともに闘おう。

 裁判勝利へ支援する会

 第1回口頭弁論終了後、千葉弁護士会館で法廷報告・記者会見が行われた。
 報告後、萩原事務局次長が「天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会」の設立を提案し、その場で設立総会を行った。
 世話人には、北原事務局長と故戸村一作委員長の実弟で三里塚教会の信徒代表である戸村義弘さんが就任した。戸村さんは「天神峰の原野に揺るぎなく構える現闘本部は40年の農民闘争を象徴する建物」と世話人としての決意を語った。
 「支援する会」の目的は、裁判傍聴や基金運動をとおして現闘本部を守りぬくために裁判闘争を支援することだ。年会費は1人3000円、団体は1口3000円で複数口。毎回の裁判後に報告会を行い、会報を年4回発行する。会員希望者は、加入申し込み書を事務局に郵送の上、会費を銀行口座に送金して下さい。
  *  *  *
 「天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会」
■事務局連絡先
 成田市三里塚115(北原気付)
■会費の送金先
 三井住友銀行成田出張所※店番号・口座番号
 548−6592903
※口座名義 伊藤信晴

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週刊『前進』(2156号4面3)(2004/07/05)

国賀泉佐野市議の活動報告
 市民生活 リストラ計画を追及 空港優先で福祉切り捨て
 体育館・図書館は週2日休館 公共料金は大阪一の値上げ

 6月議会は新田谷(にったや)市長の市民生活リストラ計画との闘いだった。
 新田谷市政は、前市長とともに空港優先市政を続け、1400億円もの借金をしてしまい、赤字再建団体に転落する断崖絶壁の危機に陥っている。
 この危機を乗り切るために新田谷市長は、3月議会に「財政非常事態宣言」と「財政健全化計画修正案」を提出した。福祉を全廃し、公共料金を大阪府で最高額に値上げし、体育館、図書館など公共施設を週2日休館にするなど、201項目のリストラ計画を出した。自治体の最低限の義務も投げ捨て、市民生活を極限まで切り捨てて犠牲にしようとしている。
 「許せない」と怒る市民がどんどん増えている。
 私は、この問題を6月議会でも取り上げ、市長ら理事者の責任を追及した。
  国賀 施政方針で市長は「『福祉施策を充実させる』『弱者や子供たちにやさしい政治』を具体化していく」と言ったが、予算では福祉施策は全廃、体育館や図書館は週2日休館、公共料金も軒並み値上げ、あまりの乖離(かいり)に疑問を持たなかったのか。恥ずかしくないのか。
 市長 施政方針は、私の思いを入れて書いている。予算の都合上、入れられなかった項目もあり、残念に思っている。
 国賀 何が残念か。施政方針で「福祉施策を充実」と言っているが予算では全部削っている。うそを言っているのではないか。施政方針は撤回するべきだ。
 市長 施政方針を実現するために、まず財政再建して、市民のみなさんの要望に応えられるように努力していくということです。
 市民生活リストラをごまかす卑劣な施政方針だ。のらりくらりと逃げる市長の答弁に傍聴者は怒り、「ちゃんと答えろ。逃げるな」と怒りの声が上がった。
 もうひとつ許せないことは、福祉を全廃しながら関西空港会社には空港連絡橋の固定資産税2億4千万円も減免を続けると決定したことだ。関空を優先し、市民を犠牲にする政治だ。
 国賀 2億4千万円もあれば、どれだけ福祉施策を充実できると思っているのか。
 市長 今年度の件は、副知事とも話をして決めた。市の窮状を話したが、関空2期も重要な時期に来ているとのことで共存共栄のために減免した。その代わり府からは支援してもらえることになった。
 国賀 支援とは2億円の府貸(借金)のことやろ。借金は税金とは全然違う。返さなあかんねやぞ。そんなものでごまかされてきたのか。これまで10年間で減免した46億円も一緒に返してもらえ。それで福祉を復活しろ。空港優先市政はもうやめろ。
 このように追及。市長はまともに答弁できず、市長公室長らが助け舟を出して答弁したが、逃げの答弁ばかりであった。傍聴の市民は、市長らの卑劣さを目の当たりにし、怒り、驚き、市政を変えないといけないとの思いを強くした。

 休館日増に怒り250人がデモ

 体育館の休館日を週2日に増やす計画に対し、体育協会は3月議会に請願を出し、1万4千人の署名を集め、反対してきた。スポーツ振興や保健予防のために休館日をなくす自治体が増える中、泉佐野市のやり方はあまりにも市民を無視したデタラメな施策である。
 体育協会は、これまで市の施策や行事に協力してきた。スポーツ団体を増やし、体育館使用は満杯状態になった。休館日が増えれば解散に追い込まれるクラブも出てくる。突然の休館日増に体育協会が怒るのは当たり前である。
 12日には決起集会が開かれ、200人が集まった。18日のデモには市民らも加わり250人が参加した。
 18日は厚生文教委員会で請願が審議された。3月議会から継続審議になっていたが、6月議会では、与党議員8人が「紹介議員を取り下げる」と言ってきた。何も解決していないのに、市長の圧力で取り下げるのだ。これには体育協会も怒った。それで抗議のデモを行い傍聴に入ったのだ。
 与党議員らは発言もせず、請願に反対しただけだった。体育協会は、今後も休館日増には反対し続けていくと言っている。
 本当に泉佐野市はひどい市になっている。市民をとことん犠牲にして、関空2期事業を進めるのだ。それを有事法制によって軍事空港として使うのである。
 7月4日、泉佐野現地で関西新空港反対全国集会を開きます。全国の皆さん、ぜひ参加して下さい。泉佐野の住民とともに闘いましょう。

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週刊『前進』(2156号4面4)(2004/07/05)

日誌'04 6月16日〜22日
  「多国籍軍参加」を閣議決定 自公が教基法改悪中間報告

●自民、改憲の論点整理 自民党憲法調査会は、改憲に関する「論点整理」を党総務会に報告した。「自衛のための戦力保持」や集団的自衛権の行使の明記など9条改悪を柱とする内容。自民党は党内手続きを終え、事実上了承したことになる。論点整理は自民党が05年11月にまとめる改憲草案の原案になる。(16日)
●教基法改悪、与党が中間報告 自民、公明両党による教育基本法改悪の検討会が中間報告をまとめ、公表した。「家庭教育」の項目を新たに加えるなど全面改悪を図る内容。「愛国心」をめぐる表現は、「郷土と国を愛し」とする自民案と、「郷土と国を大切にし」とする公明案を併記した。(16日)
●多国籍軍「米が指揮」 ロドマン米国防次官補は、主権移譲後のイラクで展開する多国籍軍に関して米下院軍事委員会に文書を提出し、「(多国籍軍の)統一された指揮権とは、現状においては米軍の指揮を意味する」と明言した。(16日)
●小泉、米兵輸送の継続を強調 小泉首相が通常国会終了を受けて記者会見し、多国籍軍への自衛隊参加を明言し、航空自衛隊が米兵輸送などの「安全確保支援活動」を継続する考えを示した。(17日)
●多国籍軍参加を決定 政府は閣議で、自衛隊のイラクでの多国籍軍参加についての統一見解を了承し、イラク特措法施行令に多国籍軍駐留の根拠となる国連安保理決議1546を加えることや関連する基本計画の変更を決定した。見解は「自衛隊は我が国の主体的な判断の下に、我が国の指揮に従い、人道復興支援活動等を行う」とし、こうした点について「米英両政府と我が国政府との間で了解に達している」と明記した。6月30日のイラクの主権移譲後、自衛隊が初めて多国籍軍に参加することが決まった。(18日)
●口頭了解、公使レベル 自衛隊がイラクで多国籍軍に参加する際に、日本独自の指揮下で活動することを米英両政府から了解を得ているとする問題で、川口外相は、実際には大使に次ぐ職である公使による口頭了解であることを明らかにした。(18日)
●米軍再編、日米で作業部会 日米両政府間で検討が進められている在日米軍の再編問題で、米政府が協議を促進するために個別のテーマを話し合う作業部会を設置するよう日本側に提案していたことが分かった。(18日)
●国民保護基本指針 政府は、国民保護法の成立を受け、「国民の保護に関する基本指針」の策定に着手した。@地上部隊が上陸する攻撃、Aゲリラや特殊部隊による攻撃、B弾道ミサイルによる攻撃、C航空機による攻撃――の4つのケースに類型化し、それぞれの場合の国の対応を明記する。政府は来年3月までに基本指針を策定し、省庁と都道府県の国民保護計画策定を05年度中に終えたいとしている。(20日)
●「非常事態宣言も」 イラク暫定政府のガジ・ヤワル大統領が、主権移譲後のイラクの治安について「必要ならば非常事態を宣言する」と語った。(20日)
●沖縄海兵隊、座間・御殿場へ移転案 在日米軍の再編問題で、沖縄に駐留する米海兵隊約1万6千人の約16%に当たる2600人前後を、海兵隊営舎地区「キャンプ富士」(静岡県御殿場市)と在日米陸軍司令部がある「キャンプ座間」(神奈川県座間市)に分散して移転させる構想が米政府内で浮上していることがわかった。(20日)
●オランダ軍、来年3月に撤退 オランダ国防省報道官は、イラク南部サマワでの同国軍の駐留期限を来年3月とする閣議決定をめぐり、期限が来れば駐留を再延長せず、撤退させる方針を明らかにした。(22日)

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週刊『前進』(2156号5面1)(2004/07/05)

乱調と没落を極めたカクマル
「自衛隊撤退」の闘いに敵対し有事立法粉砕闘争からも逃亡
 工藤俊夫

 今春、ファシスト・カクマルは、有事立法粉砕闘争、自衛隊イラク派兵阻止闘争において大混迷に陥り、総括もできないような惨状を呈してしまった。自衛隊派兵阻止闘争に対しては、「自衛隊のイラク撤兵」のスローガンを掲げなかっただけでなく、掲げることに反対を主張し続けた。また、有事立法粉砕闘争に対しては、そもそも有事立法にどうして反対するかさえ明らかにできず、事実上逃亡してしまったのである。彼らの「闘争」なるものが、インチキでアリバイづくりでしかないことがさらけ出された。運動的にも徹底的にみすぼらしい姿をさらし、人民の闘いに敵対する存在であるカクマルの一層の危機を刻印した。われわれの今春闘争における勝利的前進は、カクマルに対する圧倒的な勝利でもあると総括できる。

 民族解放に「謀略論」で敵対階級闘争からずり落ちる

 カクマルは今春闘争に対してどのように介入・関与し、破産してきたか。
 今年最大の「闘争」をカクマルは2・15旭川に設定し、ここに全国根こそぎ動員をかけた。その後の反革命通信『解放』紙上には2・15の感想文が延々と掲載された。しかし、これは自衛隊の出兵阻止闘争として行われたわけでも何でもない。出兵の焦点ではない日に、自衛隊駐屯地に背を向けて行進するもの。わが全学連を始めとする革命的左翼が北海道においてもカクマルを圧倒して闘いを切り開いたことに追いつめられたセクト主義的な悪あがきでしかなかった。
 そして3月20日、日比谷公園に6万人が大結集し、国際反戦闘争が昨年を上回る熱気と興奮で冷雨を突いてかちとられたが、カクマルは全国結集で100人にも満たない惨めな姿をさらけ出した。この日の闘いを何ひとつ積極的に総括することができなかった。
 この時期の『解放』は、「謀略論」オンパレードだった。イラクにおける3・2ゲリラ戦闘、3・11スペインでの列車爆破戦闘をカクマルは「米帝CIAの謀略」だと強弁し、そしてそのことを「唯一暴いたから」(誰からも相手にされないということだ)カクマルに対しても「謀略が準備されている」から「警戒せよ」などと叫んでいた。
 したがって、日本人3人の拘束事件が起きた時も、「CIA関与の疑い」と騒ぎ、さらには産経新聞の取るに足りないコラムで「犯人の文章はカクマルに似ている」と書かれたと言って縮み上がり、「フレームアップだ」とわめき散らした。日本人拘束事件が米軍のファルージャ大虐殺のゆえに起きたこと、日帝・自衛隊はこうした米軍の虐殺を支えていること、自衛隊撤退が求められているのに小泉政権はそれを踏みにじり3人が殺されてもやむなしという事態をつくり出したこと、こうした階級的激突の焦点に対するカクマルの対応は、あまりにも見当はずれであり、階級闘争からのずり落ちだった。
 要するに、カクマルはイラク人民、ムスリム人民の革命的武装闘争の爆発に対して、こんなことはあってはならないと非難し、自分たちはテロに反対だと意思表示するために「あれはイラク人民の武装闘争ではなく米CIAの謀略だ」と騒いだのである。カクマルの「謀略論」は、権力に対するひとひねりした恭順の意、哀訴の表明である。また、イラク人民に対する許しがたい敵対である。
 4〜6月闘争の中で、カクマルがやったことは、4・25芝公園、6・13宮下公園でのカクマル独自の「労学統一行動」だけである。それぞれ200人ばかりで、意気上がらないこと甚だしいものだった。情勢と関係なく、自己確認のためだけの行動だった。さらに、5・21明治公園での20労組などの主催の集会では、わずか50人が片隅にひっそりと肩を寄せ合っているだけだった。
 さらに、6・14国会前での有事関連法案の参院での採決時には、わずか10人がアリバイ的に姿を現したが、採決が強行される前の午後1時半には姿を消してしまった。

 JR総連の戦争協力を容認

 JR総連の戦争協力についてカクマルは何も触れることができない。
 松崎明特別顧問の今年1月の講演での軍事輸送協力宣言、JR総連の5・21見解での戦争協力宣言など、JR総連は有事立法が完成することを前提に、それへの全面屈服と労働者への動員強制を誓った。
 これは、陸・海・空・港湾労組20団体が「有事立法を完成させない、発動させない、協力しない」を合言葉に営々と闘いぬいてきたことの対極にある。率先して日帝権力の側にすり寄るということである。
 ところが、カクマルは、このことに一言の批判もしない。分裂しても同じ穴のむじななのだ。
 また、その一方でカクマルは動労千葉に対する敵対言辞をしきりにろうする。3波の春闘ストを闘い、戦争協力拒否闘争宣言を発して闘っている動労千葉にカクマルは敵対しているのである。連合と全労連の屈服、JR総連の裏切りの中で動労千葉ほど階級的・原則的に闘う労働組合がどこにあるか。動労千葉への敵対は、カクマルがJR総連と同様、戦争協力の先兵であることを証明している。

 なぜカクマルは「撤兵」要求反対にこだわり続けたのか

 次に、イラク反戦闘争、とりわけ自衛隊派兵阻止・撤兵要求闘争に対して、どのように路線的に破産してきたかを見てみよう。
 カクマルは、今春、最大の努力を「自衛隊撤退要求」をしないことに注いだと言っていいほど、異様にこのことにこだわった。
 「“人質の人命尊重”をお願いしつつ『自衛隊撤退』を要請することが、いったい何の力になるというのか」(解放4・26付)などと言って、まさに自衛隊撤退をめぐって国論が二分し、小泉政権を追いつめていっている時に、「自衛隊撤退要求ナンセンス」論を打ち出したのである。
 カクマルのこの態度は、「派兵されてしまった以上は、それを現実として認める」ということを意味した。 これに対してわれわれは、「自衛隊は即時撤退せよ」のスローガンに、イラク侵略戦争絶対反対の革命的祖国敗北主義の立場が貫かれていることを示してカクマルを徹底批判した。
 カクマルはこの批判に打撃を受け、「自衛隊撤退」を言わないことの正当化のために迷走を続けた。

 「自滅せよ」のスローガン

 5・21明治公園でまかれたビラでは、「砂漠の中の“三内丸山遺跡”に閉じこもっている日本軍兵士よ! 蜂起したイラク民衆に銃を向けるな! 自滅せよ! 兵士は蜂起した民衆とともに、反米・反占領の闘いにこそ決起せよ!」などと、わけの分からないスローガンを掲げた。
 「自滅せよ」とはどうせよというのか。腹を切って死ねということか。兵士は隊内で反乱せよと言うなら「自滅」という言葉は出てこない。「自滅せよ」という言葉は、まさにカクマルのやけ気味の迷言である。「撤退せよ」とあくまでも言わないようにしているからこんなことになるのだ。
 6月7日付の中央学生組織委員会(SOB)論文では、次のように言って、自分たちが「撤退」を要求しない理由を弁解した。
 「そして、イラクに派遣されている自衛隊という名の日本国軍にかんしてわれわれが掲げるスローガンは、日米軍事同盟を根幹としてブッシュ政権とハーケンクロイツ同盟の盟約を結んでいる小泉政府にむかって『撤退』を要求するというような後ろ向きの弱よわしいスローガンではなく、まさしく『日本国軍の米占領軍との一体化弾劾! 自衛隊は蜂起したイラク人民に銃を向けるな!』という真に場所的にして戦闘的なスローガンでなければならない」
 自衛隊撤退要求は「後ろ向きで弱々しい」と言うが、このスローガンを徹底的に貫くことは、非和解的な闘いであり、小泉の打倒に直結する。本当のところカクマルはこの非和解的な自国帝国主義との対決を恐怖しているのである。
 そして、このスローガンを掲げることが、「イラクで蜂起したスンナ派ならびにシーア派民衆の立場にわが身を移し入れつつ」「日本国軍をイラクに送っている日本の労働者階級の前衛党として、イラク人民への連帯の意思表示」になるのだと言っている(同)。
 しかし、「身を移し入れ」などというのは、乗り移りでしかない。撤退に追い込むような情勢をこの日本における反戦闘争としてつくり出すべきなのだ。日本の地で自分たちが何をなすべきかが問われているのだ。

 「撤退せよ」の手直しと混乱

 ところが、最近の『解放』6月21日付では、カクマルはおずおずと「自衛隊撤退」を言い始めた。「日本軍の多国籍軍参加を阻止せよ」と題するトップ論文で、「『自衛隊の多国籍軍参加反対、自衛隊はイラク人民に銃を向けるな。占領米軍の共犯者たる日本国軍は撤退せよ』のスローガンを、いまこそ高だかと掲げよう」と。これはカクマルの破産の自認であり、完全な敗北であり、新たな混乱の始まりである。
 「いまこそ高だかと掲げよう」とは、自衛隊の多国籍軍参加が決定された今こそということなのか。これまでは「自衛隊撤退」要求に反対してきたが、ここにきて要求することに決めたということか。カクマルよ、そこをはっきりさせよ。
 もともとカクマルは「米占領軍との一体化弾劾」と言ってきた。このスローガンは、小泉の「戦争に行くのではない」「人道復興支援だ」という宣伝を認め、「一体化しなければいい」ということを含意していた。それを踏まえてこの新しいスローガンを見てみると、重要な表現の違いに気が付く。「占領米軍の共犯者たる日本国軍は撤退せよ」となっているのだ。多国籍軍参加によって「共犯者となったから、今こそ撤退を要求する」ということらしい。しかし、これはおかしい。日帝が共犯者になったのは、きのう今日のことではない。ずっとそうだったではないか。
 「多国籍軍に参加したから一体化した」「だから自衛隊撤退を要求する」というのは、まったく成り立たないのだ。しかも、カクマルはこれを小泉に哀願するものでしかない。小泉政権と徹底的に対決し、打倒することなしに撤退をかちとることはできないのに、そのことをあいまいにしているのだ。カクマルの破産と犯罪性は極まった。
 さらに言うと、カクマルは米軍がいてそのもとで国連決議がなされ速やかに「主権移譲」が成功するというイメージを抱いていたのである。それを「シスターニ師の熟柿戦術」と言ってきたのである。
 「『イラク人の自立した政権』という名のシーア派主導政権(スンナ派を加えた“統一戦線”政府)を樹立するために、ブッシュ政権の『主権移譲』プランを逆手にとって『主権移譲』後に直接選挙を実施するという“熟柿戦術”、これにもとづくシスターニ師の追求は、国連の『関与』を実際に引きだしたことのゆえに、現実に功を奏しつつある」(解放5・31付)。6・7付SOB論文にも同様の表現がある。
 これがカクマルの思い描いていたイラク解放の道であった。だから、自衛隊が存在することそのものに何も反対ではなく、むしろ支持していたのである。「撤退要求反対」は黒田の意志だったのだ。それが、多国籍軍問題になって破産を突きつけられ、「撤退せよ」を掲げざるを得なくなったのである。

 対米従属論の「ポチ公」論

 また、カクマルは「反安保の風化」とか「日米軍事同盟の強化反対」を強調して独自性を示そうとしているが、それは日本共産党と同様の対米従属論の観点から言われているにすぎない。日帝・小泉は、カクマルによれば「ブッシュの忠犬ポチ公」でしかない。つまり日帝が帝国主義として延命するために必死で米帝と共同=競合の関係において侵略戦争に参加しようとしているものとして位置づけることができないのだ。
 だから、米帝との関係は、次のような謀略論を伴って、自衛隊派兵を日帝の意志ではなく脅されてやむを得ずやっているかのようなものにねじ曲げ、描き出されることになる。
 「米軍が、日本国軍にイラク民衆への攻撃を促すために抵抗勢力を装って宿営地に砲弾を撃ち込むかもしれない」(メーデービラ)
 「日本国軍の行状に業を煮やして、彼ら(ブッシュ政権)は自衛隊宿営地近くに『迫撃弾』を撃ち込んだにちがいない」(解放4・26付)
 「ブッシュのポチ公」論は、結局日帝を免罪するものでしかないことはここにも明らかである。それにしても、イラク民衆の自衛隊派兵に対する怒りの決起に対する何という冒涜(ぼうとく)であろうか。

 有事7法案・3協定条約案を一度も暴露・批判できず

 さらに、カクマルは、有事立法阻止闘争において、なぜこれに反対しなければならないかも分かっていないという決定的な破綻(はたん)をさらけ出してしまった。
 カクマルは、今春闘争過程で、有事7法案・3協定条約案粉砕の闘いについて、まともに論じたこともなければ、そのテーマでアピールを書いたことも一度もない。いつもお題目として(それすら「有事7法案」でしかなく、3協定条約承認案について完全に欠落させたものでしかない)アリバイ的に掲げられてきたにすぎない。要するに今春のカクマルにおいては、「有事立法阻止闘争」は、実質的にはもちろん、形式的にさえ存在しなかったのである。
 また、「全世界の労働者階級人民に訴える」と題した植田琢磨「議長」署名のアピール(解放5・17付)では、「日本を文字どおり『戦争をやれる国』に飛躍させるために、有事関連七法案の国会上程、そして憲法改悪にむけての反動諸攻撃を一気呵成(かせい)にしかけてきているのだ」と一言あるだけ、これに対する闘いはおよそテーマにすらなっていない。
 典型的なのは、先のSOB論文である。2ページ以上を費やした6・13闘争に向けての路線論文で、最後の方に「有事関連七法案の参院可決=制定を絶対に阻止しよう」という文章が一言あるだけで、その中身は何もないのだ。なぜ反対かすら書いていないのである。要するにカクマル幹部どもには、誰一人この有事7法と3協定条約承認案について分析し、検討した人間はいないということだ。

 朝鮮侵略戦争ない論の帰結

 有事7法案と3協定条約承認案は、米・英・日帝国主義が現実に進行しているイラク侵略戦争やアフガニスタン侵略戦争の継続・激化・拡大の政策ならびに北朝鮮侵略戦争・中国侵略戦争のための戦略計画や準備的諸策動と一体であり、その一環としてある。
 この有事法制がまったく位置づかないのは、カクマルが長い間、「朝鮮侵略戦争など中核派の思い描いた妄想」と言って否定し続けてきたからだ。
 カクマルは、1996年の日米安保の再定義から新ガイドライン、周辺事態法、武力攻撃事態法に至る一連の動きがすべて具体的に北朝鮮への侵略戦争を想定したものであることから目をそむけ続けてきた。だが、実際に米帝がイラク、イランとともに北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、「イラクの次は北朝鮮」と公言するに及んで、「朝鮮侵略戦争は中核派の妄想」なる言辞はいかなる意味でも通用しなくなってしまったのである。
 路線的破産と運動的没落。カクマルの命脈は完全に尽きたと言わなければならない。

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週刊『前進』(2156号5面2)(2004/07/05)

ストに立つ韓国民主労総

 6月、韓国は賃金団体協約交渉闘争(賃団闘)の山場を迎え、盧武鉉(ノムヒョン)政権・資本との激しい攻防の真っ最中だ。
 全国民主労働組合総連盟が第1次総力闘争に設定した16日、全国429事業場8万人余がストを闘った。先陣を切って6月10日から産別ゼネスト中の全国保健医療産業労組120支部3万7千人を先頭に、金属労組122支部3万人、民主タクシー連盟180支部1万人余、さらに化学繊維連盟、公共連盟、建設産業連盟傘下の労組がストライキに立ち上がった。
 民主労総はこの日、釜山、蔚山(ウルサン)、昌原(チャンウォン)など全国16カ所で総力闘争決意大会を開いた。ソウルの国会前で開かれた首都圏大会には、保健医療、京畿道(キョンギド)労組など1万人余が集まった。
 イホドン公共連盟委員長が決議文を読み上げ、△保健医療、民主タクシー闘争支持△最低賃金76万6140ウォン(=約7万6千円)争取△イラク派兵撤回、韓日自由貿易協定交渉中断、非正規職差別撤廃、構造調整中断、租税改革闘争△職権仲裁・公権力投入など弾圧に対抗した総力闘争などを確認した。
 また6月13日、釜山駅前広場には貨物連帯労働者7千人が貨物統合労組準備委員会のもとに力強い姿を現した。さらに17日、ソウル・仁川・釜山・大邱の地下鉄5労組と都市交通、鉄道労組などが結集する軌道労働者共同闘争本部(軌闘本)のもとで闘う地下鉄・鉄道労働者3千人がソウル駅前広場に集まり、7月下旬の共同ストライキを宣言した。
 盧武鉉政権の資本攻勢に産別ゼネストを対置して闘う労働運動の爆発は、盧武鉉政権のみならず、米・日帝国主義をも揺るがす大政治闘争となっている。

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週刊『前進』(2156号5面3)(2004/07/05)

“ここはイラクに直結” 辺野古 施設局との対峙続く

 6月21日、辺野古では2639日と64日目の座り込みが闘われていた。台風一過、蝉(せみ)しぐれが梅雨明け間近を告げている。その声をかき消すようにごう音のF15が上空を飛びかう。午後3時半、那覇防衛施設局が工事業者を連れてやってきた。台風6号が過ぎ去ったので、台風対策で片付けて固定化した辺野古漁港内の作業ヤードを4月19日の設置途中まで現状回復させろというのだ。
 命を守る会とヘリ基地反対協は、「だめです」と拒否、「これ以上新たな基地建設の工事をさせるつもりはない。どうせ工事ができないのに、柵(さく)が半分あるのと、ないのとどう違うのか」と譲らなかった。施設局は15分ほどで帰らざるを得なかった。
 ちょうど施設局とのやりとりの最中に宜野湾から元沖教組委員長の石川元平さんが駆けつけた。19日に東京で開かれた集会で講演した石川さんは、集会呼びかけ人の沖縄民権の会の座覇光子さんから預かったカンパ13万1000円を金城祐治代表に手渡し、東京集会の高揚を伝えた。
 参院選の沖縄選挙区で革新統一候補となった糸数けいこさんも、座り込み闘争をともに闘い、普天間・辺野古の基地反対で勝利しようと訴えた。金城さんも、「今の攻撃の根っこは戦争ができる国にすること。そのステップに沖縄をすることなど許されない」と呼応し、闘いの決意を語った。
 22日、6・23「慰霊の日」を前に神奈川、滋賀、東京など全国各地から座り込み参加者が駆けつけた。ヘリ基地反対協の大西照雄さんは「(96年以来)8年を超える頑張りがあり、4月19日からの65日の座り込みがある。琉球新報のアンケートで移設に賛成する人が7%に落ち込んだ。頑張ってきたおじい、おばあの闘いが県民の心をとらえた結果だ」と話した。
 平和市民連絡会の平良夏芽牧師は、「ここはイラクに直結している座り込みです。去年3回イラクに行きましたが、新しい米軍基地を止めないで、イラクの人たちに責任がとれない」と訴えた。農業高校の3年生たちは有機農法で育てた野菜を持参、命を守る会に贈り、平和への思いを込めて合唱した。
 この日は夕方まで100人を超える座り込みが続き施設局は近づけなかった。
 6月23日、参加者は新たな基地を止めるために座り込むことが、本当の意味で慰霊になるという思いで座り込んだ。
 24日、梅雨明けの暑い一日。参院選が公示となった。午後2時、普天間基地代替なし撤去、辺野古沖の新基地建設反対の糸数けいこ候補が駆けつけた。「この海にはくい一本打たせない」と言い切った糸数候補に、命を守る会のおばあ、おじいが拍手喝采(かっさい)。山内徳信県民会議共同代表は、「日本政府はこの結果をにらんでいる。基地を認めない県民の意志が糸数けいこを選んだという結果を示し、基地建設をあきらめさせよう」と全力の闘いを訴えた。

 「慰霊の日」 小泉の出席を弾劾 まよなかしんやさんら

 「慰霊祭への小泉出席弾劾!」「小泉首相はヤマトに帰れ!」「イラク派兵弾劾!」
 6月23日、沖縄県主催の沖縄全戦没者追悼式への小泉出席弾劾の闘いが取り組まれた。まよなかしんやさんの呼びかけで、沖縄労組交流センター、沖日労など20人余が午前11時すぎ、摩文仁の丘の式典会場前で怒りの声をあげた。マイクを握ったまよなかさんは、「小泉はイラク派兵の張本人だ。沖縄の基地がイラクの人びとを殺している。自衛隊の式典出席を許さないぞ。戦争につながる慰霊祭では、沖縄戦で殺された人びとは浮かばれない。私は小泉の来沖に断固反対します!」と訴えた。
 警察部隊が弾圧したが、式典出席の県民は、「戦争はだめ」「頑張っているね」と共感の声を寄せた。

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週刊『前進』(2156号6面1)(2004/07/05)

団結ひろば 投稿コーナー

 「69」のケンは処分と闘う先生達と同世代 中原一朗

 闘わない教師ほど、教師であることの「権威」にすがりつき、生徒に対して「権力者」としてたち現れる。漫画化され、映画化されている村上龍の「69」(Sixty nine)を見ながらそう思った。
 舞台は1969年の長崎・佐世保。ベトナム反戦闘争のころで、佐世保北高の17歳・ケンも「社会を変えるようなどでかいことをやりたい」と、まずは憧(あこが)れの女子をヒロインにした映画を撮ろうと、その女子がいる英語劇部にオルグに乗り込む。
 ところが、英語劇部顧問の英語教師が実にイヤなやつで、まったくとりあおうとしない。カチンときたケンは思わず怒鳴ってしまう。「何がシェークスピアだ! ベトナムじゃ毎日何千人も死んでいるのに!」「その窓から見える港から人殺しのためにアメリカの軍艦が出航しているんですよ。わかっているんですか、吉岡先生!」。これにたいして、英語教師は「そっそういうことは、大人になってから言いたまえ!」としか言えない。海の向こうでは、大勢の子どもたちが死んでいるというのに!
 ここで私が連想したのは、同じ佐世保で起きた小6女子児童による同級生殺害事件だ。事件の分析はさておき、当該小学校の校長を含めて皆が口にしていたのが、「命の尊さを教えなければ」ということだ。しかしいまの子どもたちを取り巻く世界を見よう。それこそイラクでは「毎日何千人も死んで」いるのだ。帝国主義のもとで、人の生命が本当に紙切れ同然に扱われている。この現実と闘わないものが「命の尊さ」を言ったところで、通じるわけがない。
 ところで、物語はケンたちが北高を(女子にもてたいがために)バリスト封鎖するところから大きく展開する。楽しく誇り高く生きることが、ケンのモットーだ。処分と闘う都高教の先生の多くはケンと同世代のはず。がんばれ、ケン。

 本気で闘う者のみが持つ厳しさと自信 東京 常木新一

 故中村栄一書記長、故関豊中央支部副支部長を笑顔でおくることができる動労千葉は素晴らしい。ここに、かけがえのない仲間を失った悲しみ・痛みにたち向かい、それを包みこみ、さらに前進する動労千葉の力がある。
 1カ月前の動労千葉結成25周年レセプションのことを昨日のことのように思い出します。故中村書記長は最後に平成採獲得の決意を表明し、その先頭にたち、先だたれた。
 その時満面の笑みで歓談されていた長田さんが、追悼集会ではキリリと「動労千葉の団結を守るために書記長代行をひきうけた」と決意を表明された。
 この重く、真剣な言葉に、真摯(しんし)にこたえなければならない。
 動労千葉には本気でたたかうもののみが持つ厳しさと自信と笑顔がある。いつわりのない言葉と感動がある。それが闘いをもとめるすべての者を引きつけてやまない魅力なのであろう。
 厳粛に始まった追悼集会には、終わりにはレセプション以上の笑顔が会場の外にまであふれていました。
 動労千葉の集いに参加するごとに、貧農の子に生まれ、たたかいに参加した原点を呼びさまされ、清められる思いがします。
 力強く、魅力あふれる労働組合運動と労働者党をつくるために、動労千葉に学び、たたかう決意を新たにしています。

 帰宅途中の労働者がマイクを握り訴えた 東京 城島紀子

 台風一過の暑い夕方、新橋駅SL広場で『前進』の販売活動を行いました。「私たちは中核派です。労働者の新聞『前進』をお買い求めください」とマイクを握って訴えました。
 しばらくすると、40代前半くらいの男性が近寄ってきました。カバンを提げた背広姿で、帰宅途中の労働者だと思われました。そして「私にも話をさせてください」と言うのです。私は思わず「私たちは中核派の街宣隊ですが、いいのですか」と問いかけてしまいました。その男性は「わかっています。私もイラク戦争反対だ」と言い、マイクを握って話し始めました。「私は、通りがかりの者です。劣化ウラン弾がイラクの国民を苦しめている。サマワから戻った自衛隊員が体調を崩している。これも劣化ウラン弾のせいだ!
ブッシュの言いなりになって、自衛隊をイラクへ派兵させた小泉首相は許せない。自衛隊を撤退させるべきです」と、大きな声で激しく怒ってアジりました。
 私は隣で「そうだ! すべての皆さんともに闘おう」と心の中で叫んでいました。どうもありがとうございました。
 この男性が去った後、私たちはさらにボルテージをあげ、「戦争政治の暴走をストップさせましょう。労働者、市民の怒りで今こそ小泉政権を倒しましょう」と声を限りに訴えました。
 いよいよ参議院選挙です。今国会では有事関連10法、年金改悪などの戦争法が成立しました。さらに小泉政権は、多国籍軍に自衛隊を参加させ、教育基本法改悪や改憲に突き進もうとしています。そのための選挙にしようとしています。民主党はじめ野党は、これを止める意志も力もない。
 街頭に出よう。労働者の怒りと結び付き、情勢を切り裂く訴えをガンガンやろう。スペインやイギリス、韓国と同様な情勢が到来しているのだ。

 緊張続く辺野古現地全国から結集しよう 福岡 斎藤義治

 5月1日から6日までと6月10日から16日までの2回、辺野古漁港で、海上ボーリング調査阻止の座り込み闘争に参加しました。
 1回目の時は防衛施設局が座り込み現場に来たのは1回だけでしたが、座り込みは、1日も休むことなく早朝から緊張をもって行われていました。というのは、座り込みの様子を、防衛施設局がいつもキャンプシュワブ内の小屋から監視しており、隙(すき)を見せたら、いつでも防衛施設局が強硬策に出る事態が考えられたからです。
 2回目の時は、初日にいきなり台風が接近して、大変でした。台風対策をさせて欲しいと防衛施設局が座り込み現場に来ましたが、台風通過後に作業ヤードを元に戻させて欲しいということでした。座り込む側としては、それは認められないということで押し問答になって、結局、防衛施設局は座り込む人たちに台風対策の責任を押し付けて帰ってしまいました。そこで、座り込んでいた人たちで、雨にびしょぬれになりながら、台風対策をしました。
 ところが今度は防衛施設局は、作業ヤードを元に戻せなどと言い出しました。座り込む側としては、作業ヤードなどなかった4月19日以前の状態に戻すように主張しました。6日目には、警察が住民に対して露骨に挑発行為を行い一時緊迫する場面もありました。
 座り込み闘争に参加して感じたことは、数少ないながらも若い女性の座り込みへの参加が目立ったことです。このことは、今後の座り込み闘争を考えていく中で重要なことだと思います。また、地元のおじいが大型公共事業に頼らない街づくりをすべきだと言ってました。このことで、辺野古の若者が座り込みに参加できるようになるのではないかと思いました。
 現地は大変緊張が続いています。ぜひ全国から辺野古に駆けつけて欲しいし、自分もまた機会があったら辺野古に行きたい。

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週刊『前進』(2156号6面2)(2004/07/05)

“命と権利守る社会を” 6・20 杉並住民の会が総会

 6月20日、介護と福祉を要求する杉並住民の会の第5回総会&記念集会が杉並区西荻窪の勤労福祉会館で開かれた。年金改悪に対する怒りに燃えて、これを絶対に許さず、命のネットワークを広げようという思いを胸に区内から高齢者が続々と集まった。
 1時半から始まった総会では、八木ケ谷妙子代表が「年とって誰に遠慮もいらない。みんなとともに、命あるものは生きているわけなんです」「しっかり手を取り合って、生きる限り生きていこうではありませんか」と参加者を勇気づけるあいさつをした。
 杉並区の来賓のあいさつに続いて鹿児島大学教授の伊藤周平さん、岡本波津子さん、緑風会労働組合のメッセージが紹介された。
 連帯のあいさつでは、都政を革新する会の北島邦彦事務局長が「有事法制と並んで年金改悪法が成立した。高齢者は死んでしまえというとんでもない政治が横行している。労働者が介護、年金、医療の問題を自分たちの問題として一緒に行動する運動をつくりだしていきたい」と語った。
 結柴誠一杉並区議は「来年の介護保険見直しに向かって今、厚労省から方向が出されていますが、とんでもない中身です。これを追及し、介護と福祉を私たちの手に取り戻すためにともに頑張っていきます」と表明した。
 新城節子杉並区議は、沖縄の辺野古でおじいさん、おばあさんたちが新基地建設阻止のために座り込んで頑張っていることを報告し、「高齢者のみなさんから生きる元気をいただいてきました。これからが勝負です。手を携えて頑張ります」とあいさつした。
 西村綾子相模原市議は、神奈川でも介護保険に不服審査請求を行ったことを報告し、「行動の成果は必ず出る」と述べた。世田谷の佐野さよ子さんは、「障害者」介助の介護保険への組み込みに怒りを込めて反対した。労組交流センター医療福祉部会の労働者からも連帯が表明された。
 活動報告では、副代表の男性が厚生労働省交渉や介護保険審査会への不服審査請求の取り組み、反戦集会への参加を報告した。年金問題にも取り組み、政府の責任を追及してきたことを報告した。そして「介護・年金・医療のすべてにわたって恐るべき改悪が進められ、戦後の社会保障は見る影もなく切り捨てられようとしています」と政府の福祉切り捨て政策を暴いた。「介護保険料の減免、利用料の減免や介護の保障を要求して闘います。年金課税の強化による非課税世帯の大幅負担増に対して国や自治体に支援策を求めます」と取り組みの方向性を示し、「『命と権利』を守る社会を作り上げるために団結して闘いましょう」と高らかに呼びかけた。
 地域からの報告では、食事会で仲間を増やしたことなど、住民がそれぞれの地域で会員を広げ、命のネットワークをつくりだしていく具体的な取り組みを報告した。会計監査、役員人事が拍手で承認され、第1部を終了した。
 第2部記念集会では、がんの権威の医師による「がんと健康」と題する講演が行われた。最先端のがん研究・治療に携わってきた経験から医療のあり方について問題提起をした。そして医療費削減の動きを暴きながら「問題はけっして医療の問題だけではなく、介護も含めた福祉の問題として考えなければならない」と訴えた。
 詩の朗読とパフォーマンスでは、若者5人のグループがはつらつと演技。若者たちに合わせ会場全員で「四季の歌」を合唱した。続いて山梨県須玉町の町民グループによる勇壮な甲斐源氏太鼓の演奏が参加者を鼓舞した。
 「高齢者を切り捨て、若者を戦場に送る悪政を私たちの力で変えていきましょう」「老年よ、大志を抱け! 老年よ、輝け!」「若者よ、そして、すべての労働者のみなさん、ともに闘いましょう! 人が人として生きられる社会を実現するために!」と格調高い集会宣言を会員が読み上げ、最後に団結がんばろうのこぶしを突き上げた。

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週刊『前進』(2156号6面3)(2004/07/05)

沖縄と結ぶ東京集会 “平和を行動で示そう”
 元沖教組委員長 石川元平さんが講演

 6月19日夕、東京・阿佐谷の杉並産業商工会館で、「今、辺野古の海が危ない/戦世(いくさゆ)やならん/沖縄と結ぶ東京集会」が開かれました。沖縄・名護市の辺野古でボーリング調査着工阻止の座り込みが始まった4月19日以来2カ月。現地の闘いに連帯の気持ちを込めて、会場を満席にする180人の熱気あふれる集会でした。
 この集会は、沖縄の闘いに強い思いを寄せる沖縄出身の人びとの呼びかけで辺野古「命を守る会」の闘いを支え、また6・23沖縄戦「慰霊の日」に合わせ、沖縄戦を振り返る集会として開かれたものです。参議院議員の大田昌秀さん、島袋宗康さん、衆議院議員の照屋寛徳さんも呼びかけ人に名を連ねておられました。
 集会は、まず5月のテレビニュースと辺野古の座り込みを写したビデオから始まりました。辺野古の座り込み現場で語る平良修牧師の鬼気迫る熱烈な訴えに息をのんで聞き入りました。
 呼びかけ人を代表して杉並在住の上江田千代さんが開会のあいさつに立ち、沖縄戦でひめゆり学徒として地獄のような戦場を体験したことから説き起こしました。戦後60年間、基地の重圧に苦しめられてきた沖縄にまた基地をつくろうとするたくらみをどのようにしたら止められるのか、きょうの集会をそのための活動の糸口をつかむ機会にしたいと述べました。
 一坪反戦地主会関東ブロック代表の上原成信さんが来賓のあいさつ。辺野古の闘いの勝利のため、また参院選で革新統一候補の糸数慶子さんを当選させるためにともに奮闘することを呼びかけました。社会大衆党の島袋宗康議員の秘書の金城さんも駆けつけ「糸数をよろしく」と訴えました。
 元沖縄県教職員組合(沖教組)委員長の石川元平さんが、「今、新たな戦時に抗して」と題して講演を行いました。
 1938年3月に生まれた石川さんの子どものころの戦争体験を語りながら、今、小泉首相が「備えあれば憂いなし」と言うが、それはウソであり、沖縄は備えがあったために悲惨な戦場になったのだと指摘しました。防衛庁長官が有事立法の公聴会で「米軍基地の集中する沖縄が一番危険」と本音を吐いたことを取り上げ、政府の有事法制強行を弾劾しました。
 石川さんは、北朝鮮との関係について、償いをしていない隣国に対して正しい歴史認識が必要と述べ拉致問題の排外主義キャンペーンに危機感を表明しました。さらに、60年代の復帰闘争から今日の安保再定義以降の沖縄基地再編・強化に至る動きを振り返りながら、絶えず政府が県民要求を逆手に取って犠牲を沖縄に押しつけてきたことを批判し弾劾しました。また、伊波洋一宜野湾市長のもとで普天間基地を本当に撤去する新しい闘いが始まっていることを報告しました。
 辺野古のジュゴンは昔から「ニライカナイ(海の彼方の理想郷)からの使者」と言われてきたという伝説やエピソードを聞いて、沖縄の人のジュゴンに託した思いの強さを感じました。
 最後に、石川さんは、「平和は語るだけでなく、行動で示そう」と力強く呼びかけました。
 質疑応答の後、5月に辺野古で座り込みに参加してきた青年労働者が決意を述べました。「沖縄の海はイラクにつながっている。沖縄の怒りにこたえる闘いをしていきたい」。神奈川から参加した沖縄出身の労働者は、「民衆の運動で帝国主義と闘っていける」と語りました。
 呼びかけ人を代表して、沖縄民権の会の座覇光子さんが立ち、「辺野古で平良さんが命を燃やさんばかりに訴えていたことにこたえなければならない」と呼びかけ、「戦争をするのも私たち、戦争をやめさせるのも私たち」と、沖縄を考え闘うことを訴えて、締めくくりました。辺野古のおじい、おばあの必死の闘いと連帯したいという東京の多くの人びとの熱い気持ちがひとつになった集会でした。
 (投稿・馬場博)

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週刊『前進』(2156号6面4)(2004/07/05)

狭山要請行動 最高裁自ら鑑定を 事実調べ・証拠開示を要求

 6月23日、部落解放同盟全国連合会と解放共闘の30人は、石川一雄さんと連帯して、狭山第2次再審・特別抗告審闘争として最高裁と最高検に対する要請行動に決起した。
 星陵会館での集会で解同全国連長野県連の小林あや子書記長が基調報告を行った。
 「5月19日、最高裁の許可で脅迫状と封筒の閲覧謄写が行われた。解同本部派は再審が開かれるだろうと武装解除しているが、これは事実調べにつながっていない。最高裁は棄却の機会を狙っている。狭山事件では76年、81年、88年に証拠が開示され、いずれも石川さんの無実が証明された。危機感をもった検察は16年間証拠を開示していない。しかし、最近では日野町事件などで証拠が開示された。狭山事件だけ証拠開示されないのは部落差別だ。部落差別を徹底糾弾し、事実調べ、再審開始、証拠・証拠リスト開示を最高裁、最高検に要求しよう」
 最高裁での要請行動では、茨城県連、長野県連、杉並支部、狭山現地、共闘が「脅迫状の封筒の斎藤鑑定は決定的な新事実、新証拠だ。石川さんや斎藤鑑定人への尋問、最高裁自身による証拠鑑定を」と要求した。前回、要請団は@最高裁自身による証拠鑑定A要請行動対応の金沢書記官らが部落問題について学習すること――を要求したが、書記官は第2小法廷書記官室に伝えたと言うのみで、何の回答もない。要請団は怒りもあらわに追及した。
 最高検では、冒頭、箕輪事務官が「前回不穏当な発言があった。今後そのようなことがあれば、対応を考え直す」と恫喝した上で、前回の要請団の質問には「個々の質問には答えない」という狭山事件担当検事の返事を伝えてきた。
 要請団は、差別裁判に対する部落民の怒りを不穏当とは何事かと弾劾。事務官は「分かりました」と言わざるをえなかった。要請団はまた、担当検事の不遜(ふそん)な態度を弾劾した。
 茨城県連の井橋事務局長は「最高裁、最高検は差別裁判を追及されて余裕がない。要請行動でさらに追い詰めよう」とまとめた。

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週刊『前進』(2156号6面5)(2004/07/05)

党学校に参加して 『共産党宣言』 団結し社会を覆す
 東京 鷹村 守

 以前、95、96年ころ、「11月労働者集会」に参加したときに労働者の団結、「労働者こそ社会の主人公である」ということを実感したような気がして、「ブルジョアジーはなによりも、自分たち自身の墓掘り人を生みだす。ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利は、いずれも不可避である」と、マルクス、エンゲルスが『共産党宣言』の第一章を締めくくったことの意味が分かったような気がしました。
 しかし、今回の学習会で、「この『不可避』というのは、自然法則的な必然性ではなく、資本主義の暴虐な支配に対して労働者階級が立ち上がらざるをえない、労働者階級とはそういう存在だ、ということである」と解説され、「ハッ」とさせられました。まだまだ自分は「自然法則的な必然性」のレベルで理解していたのではないか、と。
 今回、党学校で学んであらためて感じたことは、一つは、現在の労働者階級の資本主義社会に対する怒りに肉薄し、そうした労働者の怒りをいっさいの土台にすえることです。
 二つには、「その怒りの原因は資本主義社会も階級社会である」ことの徹底した暴露です。
 そして三つには、労働者階級に「プロレタリア革命を一緒にやろう」と断固呼びかけることです。
 第一章を順を追ってしっかり読んでいくならば、資本主義の発展が労働者階級の階級的解放の客観的条件と主体的条件を生みだすことが丁寧に書かれています。「ブルジョアジーは、わずか一〇〇年たらずの階級支配のなかで、これまでのすべての時代を全部合わせたよりも、はるかに大量で、はるかに巨大な生産諸力をつくりあげた」「社会の手のなかにある生産諸力は、もはやブルジョア的所有諸関係を発展させていくのに役立たなくなった」「工業の発展とともに、……プロレタリアートはよりいっそう密集した巨大な集団となり、かれらの力は大きくなる。そしてかれらは、自分の力をますます自覚するようになる」ということです。
 現在、私自身労働組合で奮闘中ですが、資本の都合で不当な首切り、賃金の遅配、退職金の不払いなど、駆け込みでくる労働相談は、資本の許し難い労働者への犠牲の強要に対して、「もはや我慢できない」「なんとかならないか」という怒りの内容です。こうした現状は、資本家階級が労働者階級から徹底的に搾取し、もはや賃金奴隷として生きる最低条件も保障できなくなっていること、その現状の中にこそ「ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利の不可避性」を見なければならないとあらためて感じました。
 労働者階級の自己解放は、団結して今の社会を根底から覆すことでなければならないし、この提起こそ労働者の心にもっとも響く実践的課題だと思います。
 「社会(国家)を転覆する以外にない!」というのが闘う労働者の結論です。

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週刊『前進』(2156号6面6)(2004/07/05)

九大弾圧控訴審 M君に無罪判決を 1審判決を全面批判

 6月17日、福岡高裁で九大弾圧の控訴審第2回公判が行われた。弁護側の弁論の要旨は以下のとおり。
 @石井とM君が休み時間の廊下を移動中に誰ともぶつかっていないのは、体当たりなどといった大きな動作がなかったことを示している。また、石井が「窓ガラスの枠に背中を当てた」という供述も、M君の逮捕後になって突然出てくる供述であり、石井の供述が一貫しているなどということは言えない。
 A1審判決では、善良な一般学生の石井が一方的にM君らから暴行を受けたかのようにいうが、まったく誤っている。そもそも「事件」とされる事態は、石井がその時しゃべっていた右翼サークルの仲間が自治会のメンバーにばれることを恐れて、突然M君に突進していったのである。
 B1審判決では、M君がかねてから石井の属する右翼サークルの活動を快く思わず敵対心を抱いていたから、M君が石井を同大学から排除するために実力行使に出て、判示の暴行に及ぶことを決意することと整合的だという。こいつは反体制だから、証拠は無くても有罪だと言い切ったのである。まさに戦時下の治安弾圧そのものである。
 C石井は初め、M君に対して突っかかっていった理由について、「自治会の者とは思ったが、目が悪くそれが誰かわからないからそれを確かめるために近づいた」などと言っている。目が悪いのになぜ自治会の者と思ったのか、その上なぜわざわざ歩み寄ったのか。こんな不自然極まりない証言を「真摯(しんし)である」という1審判決は絶対に許すことはできない。
 D石井は110番し「中核派につきまとわれている」と通報している。暴行を受けたことは一切言っていないのである。なぜ1審判決ではこのことに一切ふれないのか。
 弁論は以上の5点を軸に、1審判決が事実を完全に無視し事実誤認に至っていること、検察側に恣意(しい)的に理解を示し、証拠も証人も存在しないのに想像力まではたらかせて有罪としたことを徹底的に弾劾した。そして「M君に対して無罪の言い渡しがなされるべきである」と結論づけた。
 次回判決公判は7月13日(火)午後3時から福岡高裁501号法廷で行われる。M君の支援のために福岡高裁にかけつけよう。

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