ZENSHIN 2004/08/02(No2160 p06)

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第2160号の目次

名護新基地建設阻止の座り込み闘争「2639日+90日」、駆けつけた高校生に話をするヘリ基地反対協の安次富浩共同代表(7月17日 辺野古)
1面の画像
(1面)
8月ヒロシマ・ナガサキへ
8・1革共同集会に総力結集し04年後半の大決戦に突入しよう
労働者の階級的力で小泉打倒を 名護新基地阻止・米軍基地撤去へ
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夏期カンパのお願い 労働組合の組織化に向け 記事を読む  
(2面)
労働組合論の革命論的確立に向けて
レーニンのプロレタリア革命論を鮮明にかかげて新指導路線を貫徹しよう 速見健一郎
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(3面)
職場の団結固め郵政民営化粉砕へ 歴史的転換点となった全逓59回大会
4・28控訴審勝利を突破口に闘う全逓労働運動の再生を
郵政公社の上告を弾劾する 革共同全逓委員会
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戦争・民営化と闘う自治体労働運動を E自治労連中央の屈服路線
政策対置の条例づくり 職場闘争を否定する日共(自治体労働者 福留孝二)
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(4面)
戦争と独裁の自民党改憲案 憲法に「国防の義務」導入
集団的自衛権行使も明記
改憲プロジェクトチーム 「論点整理」を弾劾する(坂本千秋)
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自民党の改憲案(論点整理)の主要なポイント 記事を読む  
全力で共謀罪廃案へ 7・17 共同行動が総決起集会(7月17日) 記事を読む  
日誌'04 7月14日〜20日
経団連が武器禁輸再考要求 在日米軍再編を日米が協議
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(5面)
参院選大敗の日本共産党
帝国主義擁護の反革命的新綱領路線の必然的帰結
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国労弾圧公判 “与党に従い臨大を開催”
チャレンジ池田証人が白状(7月21日)
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“審判は下った! 建設断念せよ” 糸数議員先頭にデモ(7月15、16日) 記事を読む  
写真 韓国 地下鉄同時ゼネスト(7月21日) 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
青柳氏のイラク現地報告と天神一周デモ 福岡 梶原円
「一口10万円単位のカンパ」だなんて…… 匿名希望
アピール筆者の返事
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「君が代」不起立 再発防止研修やめよ
137人が執行停止求め提訴 許せない思想改造強要(7月16日)
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“新型核兵器許すな”
7・19反核東京集会 ウラン弾の実態訴え(7月19日)
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保安処分施設着工するな
武蔵病院での説明会に抗議 「病者」の意見封じる厚労省(7月10日)
記事を読む  

週刊『前進』(2160号1面1)(2004/08/02)

8月ヒロシマ・ナガサキへ
8・1革共同集会に総力結集し04年後半の大決戦に突入しよう
 労働者の階級的力で小泉打倒を 名護新基地阻止・米軍基地撤去へ


名護新基地建設阻止の座り込み闘争「2639日+90日」、駆けつけた高校生に話をするヘリ基地反対協の安次富浩共同代表(7月17日 辺野古)

 8・1東西革共同政治集会に結集し、04年後半戦の闘う体制を強固にうち固めよう。参院選での自民党の歴史的大敗北が示したように、日帝支配階級は決定的な危機を深めており、階級闘争は深部から大きな流動と高揚の過程に突入した。労働者階級の怒りが真っ赤に燃えるマグマとなって一挙に噴出し、帝国主義をぶっ飛ばす時代が、そこまで来ているのだ。だからこそ労働者階級の勝利の道を鮮明にさし示し、先頭で闘う労働者党の登場が、死活的に求められているのである。この歴史の要請に全力でこたえよう。8・1革共同集会から8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争(要項6面)、8・15闘争を闘い、04年決戦後半戦に全力で突入しよう。青年労働者の組織化を大胆に推し進め、マル青労同と革共同の圧倒的な建設をかちとろう。

 第1章 小泉政権に拒否を突きつけた参院選

 参院選の結果を踏まえて、労働者階級が闘いとるべき当面の課題は何か。
 第一は、日帝の政治=経済攻勢と真正面から対決して小泉政権打倒へ突き進むこと、第二は、一切の闘いの基礎・土台として4大産別決戦(国鉄、教労、自治労、全逓)を軸に労働組合運動の階級的・戦闘的前進を闘いとること、第三は、社共に代わる、闘う労働者党を総力で建設することである。
 参院選では、日本帝国主義の階級支配の危機がさらけ出された。労働者人民がそこで示した意思、願いは、“もう小泉政治には我慢がならない。この政治、この社会をなんとか変えよう”という現状変革の願いである。
 吹き荒れる資本攻勢とすさまじい生活破壊の攻撃。リストラによる首切り・不安定雇用化、賃下げ、労働強化の嵐。貧富の格差は拡大し、労働者は毎日朝から晩まで働いても生活は少しも楽にならない。賃下げ、雇用破壊、年金と社会保障の大改悪で老後の生活も保障されない。さらにイラクへの自衛隊派兵と有事立法、9条改憲で日本は再び戦争の道を突き進んでいる――こうした小泉政治に対して、労働者階級が心底からの怒りと危機感を爆発させたのである。
 国会に真の労働者政党が存在しない現状の中で、そうした労働者人民の怒りと現状変革の思いが、さしあたり野党第一党の民主党への投票として表現された。この労働者人民の思いに、民主党がこたえられないことは明白である。民主党は有事法賛成、国連待機軍構想、年金財源としての消費税の増税、「創憲」=改憲を提唱する「第2自民党」でしかない。連合指導部がそれを支えている。だが労働者階級は真に闘う労働者の党を希求しているのである。革共同はそれに全力でこたえなければならない。
 内外情勢は、労働者階級の決起を軸に、深部から巨大な分岐・流動・再編・高揚の過程に突入した。イラク反戦闘争の爆発、陸海空港湾労組20団体を軸とする有事立法反対闘争の高揚、動労千葉を先頭とした春闘スト決起、都の数百人規模の教育労働者の「君が代」不起立闘争は、これから本格化する労働者階級の壮大な闘いの前ぶれである。全逓の4・28反処分闘争の高裁逆転勝利判決もこうした高揚の中でかちとられ、その勝利がまた労働者階級の決起の号砲となっている。さらに日韓米を軸とする労働者の国際連帯の闘いも力強く前進している。
 確かに労働者人民への攻撃が強まっている。だが、危機を深め、追いつめられているのは帝国主義の側なのだ。帝国主義はもはや労働者を食わせていく能力も意思もなくしてしまった。そして戦争をする以外に延命できなくなっている。
 全世界の労働者階級は、今こそ「破産したブルジョアジーは舞台から消え失せろ。われわれ労働者こそが全世界を獲得するのだ」と宣言し、その実現のために闘おうではないか。労働者階級こそが自らの解放をとおして全人民を解放できる唯一の階級であり、戦争も失業もない、階級的搾取のない社会を建設できる唯一の階級なのである。階級的=国際的団結を圧倒的に強化し、帝国主義打倒、プロレタリア世界革命の勝利のために闘おう。

 「小泉改革」と改憲に対決を

 「官から民へ」「国から地方へ」をキーワードとする小泉改革路線は、帝国主義間争闘戦の中で日帝・資本が米欧帝国主義に対抗し生き抜いていくための唯一の延命戦略である。だからこそ奥田・日本経団連が全面的に支持しているのである。それは一握りの支配階級のために大多数の労働者人民を犠牲にし、農村・農民を切り捨て、中小・零細企業や商店・小売業者を倒産させ、犠牲にしていくものである。それはこれまでの伝統的な自民党支持層すら離反させるものであり、危機と矛盾に満ちたものである。だが日帝支配階級にとってはこれ以外に選択の余地がないのだ。
 だから小泉政権は、選挙結果に大打撃を受けグラグラになりながらも、日本経団連・奥田らの全面支援をバックに「理解してもらうには時間がかかる。逆風に堪えて改革を進めていく」などと開き直って攻撃に出ようとしている。
 だが、労働者人民の闘いがこれに真っ向から立ちはだかっている。小泉・自民党は今回、改憲を参院選の争点に真正面から掲げられなかった。年金大改悪やイラク多国籍軍参加への怒りと結合して、改憲攻撃への怒りが大爆発することを恐れたのだ。改憲阻止闘争が圧倒的に爆発する展望が大きくあるということだ。
 すでに郵政民営化、労組法改悪、教基法改悪、共謀罪など治安強化、そして改憲をめぐる闘いが重大な決戦段階に突入した。とりわけ小泉は郵政民営化を政権延命のテコにしようとしている。郵政民営化絶対阻止の闘いを強化しよう。

 第2章 巨大銀行の統合と労働者階級の立場

 UFJ銀行の東京三菱銀行との統合が発表された。これは、昨年の「りそな銀行」の破綻=実質国有化に続く大型の銀行再編であるが、それは現在の4メガバンクの体制でも独占的な金融資本が延命していけないほど、日帝の経済危機、体制危機が深刻であることを示している。だが、そもそも日帝金融独占体の危機は全世界的な資本主義の行き詰まり、全世界の帝国主義が過剰資本・過剰生産力にあえいでいる中で生起しているのだ。そして日米欧の帝国主義間争闘戦が〈相互のつぶし合い>として非和解的に激化する中では、日帝がどんなにあがこうとも不良債権問題が解決することはありえない。
 UFJと東京三菱の合併は、さらに一握りの金融独占体が企業の生殺与奪の権利を握り、企業整理(倒産、統合)、労働者階級に対する容赦ないリストラ=首切り、不安定雇用化、賃下げ、労働強化など、搾取・収奪の極限的強化をもたらすものでしかない。
 労働者階級と革命党に求められていることは、まさに帝国主義が未曽有の体制的危機を深めていること、帝国主義は危機の中で資本攻勢を強め、さらに侵略戦争、帝国主義間戦争―世界戦争に向かうしかないこと、このことをあいまいさなく確認することである。そして、帝国主義を倒しプロレタリア革命に勝利すること以外に労働者の未来はないことをはっきりさせ、そのために労働運動、労働組合運動の戦闘的・階級的前進のために全力で闘うことである。

 米軍の大再編は何を狙うか

 イラク人民の闘いによって、フィリピン軍がイラクからの撤退を余儀なくされた。米軍は一層危機を深めている。だが日帝は多国籍軍に参加し、深々とイラクの戦場にのめり込んでいる。自衛隊が侵略軍としてイラク人民虐殺に踏み込むことを絶対に許してはならない。今こそ、不屈に闘うイラク人民と連帯し、自衛隊の即時撤兵・小泉政権打倒の闘いを爆発させよう。
 米軍のトランスフォーメーション(全世界的な米軍の兵力構成・配置の見直し)は、在日米軍基地の強化とアジア・西太平洋地域への米軍の重点的配置が柱になっている。
 米軍が検討している主な在日米軍再編案は、◆陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)を座間基地(神奈川県)へ移転◆第13空軍司令部(グアム)を廃止し横田基地(東京都)の第5空軍司令部に統合◆在沖縄米海兵隊の一部を座間基地に移転◆海軍厚木基地の空母艦載機部隊を岩国基地(山口県)へ移転――などである。横須賀基地を拠点とする米海軍第7艦隊を含めて、陸海空軍とも太平洋全域をカバーする司令中枢が日本に集中する。
 これは米帝ブッシュの世界戦争計画に基づき、米帝がイラク・中東侵略戦争を継続・拡大しながら、同時に北朝鮮侵略戦争、さらには中国侵略戦争をも射程に入れて米軍を効率的に再配置しようとするものである。さらには、日帝のアジア勢力圏化(奥田ビジョン=東アジア自由経済圏構想)を軍事力で阻止するという対日争闘戦的な狙いをも明確にもつものである。
 日帝・自衛隊は今年の「防衛白書」で米軍のトランスフォーメーションに対応し、米軍と自衛隊を一体化させ日米が共同・競合しつつ侵略戦争を行う体制の強化をうち出した。
 米日帝の北朝鮮侵略戦争策動を絶対に許すな!
 沖縄人民と連帯して名護新基地建設を阻止しよう。

 第3章 労働運動の圧倒的強化が未来決める

 労働者は生産手段を資本家階級に奪われていることによって、資本家に労働力を切り売りしなければ生きていけない状況に置かれている。だが、労働者階級こそが社会的生産の実際の担い手であり、最も大きな力を持っている。今こそ労働者階級が持っている力の大きさを日帝支配階級に突きつけてやろうではないか。
 資本家階級は労働者が団結したときの力の大きさを知り抜いている。だからこそストライキを恐れ、あらゆる卑劣な手段で労働者の団結を破壊しようとする。労働者の団結はプロレタリア革命の原動力であり、プロレタリア独裁と共産主義社会の建設の基礎である。労働運動、労働組合の意義について革命論的確立をなしとげ、それを武器に労働者を組織しよう。
 リストラ・首切り、賃下げと労働強化がすさまじく吹き荒れているのに、ストライキひとつ闘わない連合中央は、日帝の手先である。連合中央は有事立法賛成・改憲賛成の道を突き進んでいる。日本共産党もまた綱領改定で「労働者階級の闘い」を抹殺し、日帝への屈服を一層深めている。
 だが、労働者は、こうした連合中央や日共中央の屈服に怒りを燃やし、闘いの道を求めて活性化し始めている。帝国主義の危機の時代に、帝国主義と根底的に対決する路線・思想を持たなければ、労働者階級の利益を守ることはできない。まさに労働運動の主導権をめぐる「戦国時代」が到来しているのだ。
 革共同の〈党の革命>を断固として推し進め、「労働者の中へ」を全力で実践し、労働組合の中に強固な革共同の細胞を建設しよう。動労千葉の闘いに学び連帯し、動労千葉のように団結し、ストライキで闘う労働組合をつくり出そう。連合を使った日帝の労働者支配を内部からひっくり返す闘いをやろう。青年労働者を階級的労働運動とマルクス主義の隊列に獲得するために全力を挙げよう。
 その一切の闘いの前進をかちとるために、8・1革共同集会に大結集し夏秋の決戦に突入しよう。8月広島・長崎反戦反核闘争−8・15闘争に決起しよう。
 全力で夏期一時金カンパ闘争をやりぬこう。

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週刊『前進』(2160号1面2)(2004/08/02)

夏期カンパのお願い 労働組合の組織化に向け

 すべての皆さん!
 到来した新たな革命的激動期にあたり、絶大な夏期一時金カンパを重ねて訴えます。
 参院選で小泉自民党は惨敗しました。年金改悪とイラク派兵、多国籍軍参加と暴走する小泉政権に、積もりに積もった労働者階級の怒りが爆発したのです。自民党の独壇場だった一人区の半数近くを落とし、当選したところも公明党の露骨な協力によってかろうじて当選したにすぎません。自民党支配の屋台骨は崩壊し公明党のつっかい棒がはずされたら立っていることもできない死に体となりました。
 民主党も鋭い批判にさらされています。反自民票として民主党は比例区で800万票も増やしていながら連合推薦候補はほとんど票を増やせず、自治労の組織内候補・高嶋は3年前の候補より5万票近く減らしました。組合員の2割も投票していないのです。有事立法賛成、「創憲」という改憲論に転落しているからにほかなりません。
 米帝ブッシュは日本の選挙結果に大打撃を受けています。3月のスペインの政権転覆とイラク撤兵、4月の韓国総選挙で民主労働党の大躍進と連続するゼネストの嵐、6月のブレア労働党の第3政党への転落など帝国主義の「有志連合」は次々と敗れ去り、11月の米大統領選挙の延期すらとりざたされるあり様です。11月に向けてアメリカ労働組合は「ブッシュもケリーもノー」と百万人行進運動を開始しています。 
 戦時下に突入した日本の労働者階級は生き方をかけた決起を開始しました。石原知事の東京都で「君が代」強制を数百人の教育労働者が処分を辞さずに拒否して闘いぬいています。自衛隊員の民間機輸送を拒否して航空労働者もさまざまな手段で闘っています。 
 小泉の「骨太方針W」は、郵政民営化を始め天文学的な国家財政赤字を労働者階級に転嫁する戦時下の国家改造計画です。全逓、自治労を始め全労働者階級の階級決戦で小泉政権を打倒していく闘いがこれから大爆発することは必至です。戦争協力拒否の労働者・労働組合の決起を壮大な規模で組織することができれば、レーニンが実践したように「侵略戦争を内乱に」転化して帝国主義を打倒して、戦争を止めることができるのです。
 革共同は、労働組合がプロレタリア革命−プロレタリア独裁権力の樹立過程のみならず国家の死滅と共産主義社会の実現の過程においても果たす重要な役割について明確にし、労働組合論の革命論的な確立をもって日本革命を闘いとろうとまい進しています。
 革共同は小泉政権の「骨太方針」、憲法改悪・教育基本法改悪−戦争国家への転換攻撃に対して動労千葉の階級的労働運動から学び、国鉄、全逓、教労、自治体労働者の総決起を実現します。青年労働者の1千人の隊列を創りだします。日本帝国主義打倒を必ず成し遂げる決意をもって、皆さんに圧倒的なカンパを心から訴えます。
【送り先】東京都江戸川区松江1・12・7前進社
振替00190−0−88857

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週刊『前進』(2160号2面1)(2004/08/02)

労働組合論の革命論的確立に向けて
レーニンのプロレタリア革命論を鮮明にかかげて新指導路線を貫徹しよう
 速見 健一郎

 はじめに

 7月参院選挙の結果は、戦時下における新たな革命的激動期の到来を告げ知らせている。自民党・小泉への労働者階級の怒りの鉄槌(てっつい)は、それにとどまらず戦後自民党支配の激烈な崩壊という戦後史の新たな大転換を突き出すものとなっている。
 またそれは、昨年の11・9から3・20へと上りつめた階級情勢の分岐・流動・再編・高揚をより本格的に発展させ、6月闘争をめぐって起きた労働運動の動と反動の激突を一層極限化させている。一方で、小泉のイラク多国籍軍参加、教育基本法改悪―9条改憲攻撃と日本経団連・奥田のもとでの構造改革―『骨太方針』による資本攻勢がひとつとなり、小泉=奥田路線の〈政治=経済攻勢>として労働者階級に襲いかかっている。他方、国鉄を先頭に教労、全逓、自治体の4大産別、さらに全産別で労働者のギリギリの反乱―反撃が始まり、階級決戦は激しく深化・拡大しているのである。
 教労決戦は、都高教労働者の石原への反転攻勢が歴史的に高揚している。全逓決戦は、郵政民営化攻撃の渦中での4・ 28反処分裁判の高裁逆転勝利判決によって闘いの狼煙(のろし)が上がった。自治体決戦は、公務員制度改悪と大民営化攻撃に対して、自治労大会に向かって総反撃の情勢が煮詰まっている。03年12・22最高裁判決を転換点として、国鉄決戦―1047名闘争は、国労大会へ向かって日本労働運動の命運を決する動と反動の激突過程に突入している。
 参院選の結果に見られる革命的激動期は、同時に労働運動の地殻変動的なうねりとなり、労働運動・労働組合をめぐり全党派、全勢力がふるいにかけられ動揺と分岐が広がっている。それは紛れもなく、帝国主義を擁護する立場か帝国主義打倒―プロレタリア革命の立場かをめぐる分岐・流動である。まして戦時下の階級闘争が労働組合解体攻撃をめぐる攻防に凝縮される中では、労働組合をプロレタリア革命から位置づけることなくしてその団結と組織を守ることはできない。
 「労働組合は……その組織された力を労働者階級の究極的解放すなわち賃金制度の最終的廃止のためのテコとして使わなければ、全面的に失敗する」(マルクス『賃金・価格・利潤』)。労働組合は、賃金闘争などを闘う労働者の組織であるが、賃金制度の廃止、すなわち資本主義の転覆=プロレタリア革命においてしか、自らを解放するという労働者階級の目的を達することはできないのだ。
 労働組合運動論を革命論的に確立することは、革共同が、プロレタリアの党として自己を打ち立て、真に〈新指導路線>のもとで変革・一致し、労働組合運動に深く根ざし、プロレタリア革命へ本当に不屈に前進するために、必須不可欠な作業なのである。

 動労千葉の階級的労働運動を学ぶことが核心

 革共同は昨年来〈新指導路線>を打ち立て、その実践を闘いとってきた。新指導路線とは、6回大会で提起したプロレタリア世界革命の思想と運動を真に本格的に実行する路線であり、そのための党の革命的変革の指針である。すなわち新指導路線は、一切の闘いの基軸を労働者階級に根を張り、強力な労働者細胞を築くことに置き、そのために労働組合を戦闘的階級的に前進・強化・発展させる闘いと、労働組合的形態をとった生産点からの決起を根幹にすえて闘おうというものだ。
 これは、今日の革命的情勢の成熟が革命的労働者党に絶体絶命的に迫っている力量と現状のギャップへの革命的危機感からの重々しく激しい確認である。それは党の命がけの「革命」なしにはありえず、また党がみずみずしくかつエネルギッシュに再生するにはこの道しかないものとして打ち出されたと言える。真に労働運動・労働組合の中で闘うには、全党がひたむきな実践・実行をとおして一から自己を打ち鍛え、再形成し、変革しなければならないということである。
 この新指導路線を具体的=現実的に推進していくためには、そもそも労働組合とは何なのか、プロレタリア革命に向かって、あるいはプロレタリア独裁権力を樹立し共産主義社会を建設していく上で、労働組合はどのような役割を果たすのかを明らかにする必要がある。
 その核心は、動労千葉の労働運動の歴史的成果の上に、この生きた闘いを決定的に措定し、その現実を学びつつ、そこから生まれ出る力に依拠した実践を開始することである。特に、日韓米国際連帯を実現した昨年11・9集会から04春闘3波のストが切り開いた地平、それが3・20国際反戦共同行動の大統一戦線に心棒を入れたことに学ぶということである。
 動労千葉労働運動は、プロレタリア自己解放の欲求から発する労働組合の団結に最高の価値を置き、その生きた実践によって、労働組合のプロレタリア革命における決定的役割を示しているのである。この動労千葉労働運動の歴史と教訓を全面的に著した『俺たちは鉄路に生きる2』(動労千葉前委員長・中野洋氏著)は、まさに新指導路線を推し進めるにあたっての「運動組織論」であり「組織現実論」と言って過言ではない。
 動労千葉は、動労本部カクマルとの死闘をとおして現在の動労千葉をつくり上げ、国鉄分割・民営化反対の2波のストライキを始め、幾多の大闘争を闘って団結を維持してきた。そうした闘いをとおして、動労千葉の“階級的労働運動”は形成されてきた。
 資本主義社会において、実際に生産を担っているのは労働者であり、労働者は団結してストで輸送―生産をストップさせることができる。労働者はそのことをとおして、労働者・労働組合の団結の力を自覚することができる。“資本家や経営者がいなくても、おれたちが社会を動かす力を持っているのだ”と。
 このような動労千葉労働運動の実践によって初めて、プロレタリア革命の達成にとっての労働組合の役割を本格的に確信を持ってつかむことができるのである。この〈労働組合論の革命論的確立>のテーマを真に主体化していくことが、新指導路線の徹底的一致の根幹を形成するのである。全党が動労千葉の労働運動の教訓を学び、あらゆる産別・職場、地区で実践し、その総括をとおして一致していくことが重要である。それは党の今一段の新たな飛躍と変革をはらむものである。

 マルクス労働組合論を継承したレーニン

 マルクス主義の労働組合論は、そもそもプロレタリア革命論の基本体系の中に完全に位置づけられている。『賃金・価格・利潤』と『共産党宣言』などは、労働組合論を決定的な要素として、見事に成立している。『賃金・価格・利潤』については先述したとおりだが、『共産党宣言』においてマルクス・エンゲルスは、まず資本主義社会が「労働者の革命的団結」をもたらし、自らの「墓掘り人」を生み出すとして、プロレタリアートの労働組合的団結の歴史的役割と使命を明らかにした上で、共産主義者とその党がプロレタリアートの運動全体の利益を代表することを解き明かしている。レーニンは、このマルクス・エンゲルスの労働組合論を全面的に継承しているのである。
 本稿は、このレーニンの労働組合論を歴史的・体系的に解明し、〈労働組合論の革命論的確立>に向けた考察を試みたものである。その際、呂嘉民著『レーニンと労働組合(レーニンの労働組合学説史)』が多くの示唆を与えている。その方法論を参考にしつつ、レーニンの労働組合論を革命論的につかみ、新指導路線を本格的に確立・発展させようというものである。
 レーニン主義と言えば、帝国主義論、国家と革命論、党組織論などを柱としているが、実は労働組合論が特に党組織論と一体となって、レーニン主義革命論の全領域にまたがって展開されている。
 レーニンの労働組合論は「きわめて豊かで、おくぶかい」ものである。
 まず第一に、レーニンは、労働組合が、プロレタリア革命の勝利に向けた過程においても、プロレタリア独裁権力の樹立にとっても、共産主義社会を建設して国家死滅に至る過程まで、ほとんど基軸的位置を持つことを明らかにしている。
 第二に、このプロレタリア革命達成の全体にとっての労働組合の位置づけと関係を鮮明にすることで、労働組合とプロレタリア党、労働組合とソビエトの関係をも全面的に解明することができる。いわば労働組合論を主語にして、プロレタリア革命論を実践的に確立していると言ってもよい。
 第三に、労働組合論を、@プロレタリアートの歴史的役割と使命、Aプロレタリア党建設、Bプロレタリア独裁とプロレタリア国家論――というマルクス主義のプロレタリア革命論の基本問題のすべてに「密接に関連する」理論体系にすることで、レーニンは労働者自己解放闘争に徹底的に立脚した真に現実的なプロレタリア革命論を形成したのである。
 第四に、特に強調すべきなのは、プロレタリア党にとって「労働組合との共同歩調なしにはプロレタリア革命は、ほかに発展する道がなかった」と言っていることである。まさにプロレタリア革命にとっては「プロレタリア党と労働組合」の二つが二つとも、絶対的に不可欠な存在としてあるということなのである。
 レーニンがロシア革命の勝利へ向かって行った党内の重大な論争は、ほとんど労働組合問題とかかわっていたことも示唆的である。

 ロシア革命史に沿ったレーニン主義の一考察

 以下、ロシア革命の歴史的区分に沿って、レーニンの労働組合論の全体を整理する。ここにはロシア革命史そのものがあると言ってもよい。

 労働組合の政治闘争と経済闘争との結合

A.1905年革命以前のレーニン
 この時期、レーニンは『なにをなすべきか?』(1902年)によって、労働組合運動の理論的基礎を形成している。
 ここでは「経済主義者」との闘争をとおして、いわゆる社会主義的意識の「もちこみ論」について、機械的な“党の外部注入論”ではなく、労働運動の自然発生性への拝跪(はいき)を克服して、@プロレタリアの党が労働運動と労働組合運動への指導を強化し、A労働者・労働組合にマルクス主義をもちこみ、「ストライキ運動や労働組合運動を革命の水路にひきこむ」ものであると展開している。これにB「政治闘争と経済闘争とが緊密に結合された革命的労働組合の創設」を打ち出し、労働組合論の三つの原理を打ち立てている。
 重要なのは、ここでレーニンが言う「政治闘争」とは、マルクスも全力を挙げて強調した「賃金制度の廃絶」であり、「労働者階級の究極的解放のための闘争」を意味することである。
 また「労働組合は階級組織であり大衆組織であり労働者階級の砦(とりで)の役割をもつ」ことをふまえ、共産主義者(党)が積極的・具体的に労働組合をつくり、加入し、労働組合を支持すること、党は宣伝・扇動で労働組合を助け、支援することを提起している。
 さらにレーニンは、「全面的な政治的暴露」を行うことと「全国的政治新聞」(機関紙)の発行の必要性を説いているが、その前提として、「どんな社会民主主義新聞にも労働組合(経済)闘争の欄がなければならない」と言っており、それに加えて、労働組合のパンフレットや新聞の発行を援助することなど、党が労働組合に対して果たすべき任務を提起しているのだ。

 ソビエトと労働組合

B.1905年革命期のレーニン
 レーニンは、1905年革命の時、『われわれの任務と労働者代表ソビエト』で、「労働者代表ソビエトは、ゼネストからこのストをきっかけとして、このストライキのために生まれた」と述べている。また、「職業的組織としての労働者代表ソビエト」という言い方もしているが、この労働者代表ソビエトは、最初に労働組合的性質の任務を遂行し、たとえばストライキを組織したりしていたが、その後、政治ゼネストの組織化、武装蜂起などの革命的任務を担ったのである。ソビエトは最初からつくろうとしてつくられたものではなく、その形成・確立は、労働者のストライキの防衛から始まり、労働組合を基本的な力としてつくられたものである。そうした労働組合運動が、武装蜂起の「基地」となり基礎になったことを、レーニンは鮮烈に打ち出している。
 レーニンはまた、 04年から05年に拡大したゼネストからプロレタリア革命をイメージして、ソビエトの形成をとおして労働組合が果たすべき役割を革命論的に確立した。そこから「労働者代表ソビエトは、政治的には臨時革命政府の萌芽(ほうが)と見るべきであろう」と、労働組合とプロレタリア独裁―プロレタリア国家組織の関係について、最初の論断を行っているのだ。

 党との関係で「労働組合中立論」を批判

C.1905年革命以降〜1917年革命以前のレーニン
 レーニンは、この激しい反動期においてこそ、党内論争をとおして労働組合論を発展させ、特に党と労働組合の関係を正しく確立している。
 まずメンシェビキ・プレハーノフなどの「労働組合中立論」への批判を強めている。そもそも「労働組合中立論」とは労働組合が党の指導を受けず独立をたもつべきであるとする理論であり、“労働組合は経済闘争を進める組織であり、政治闘争を行う政党と結びつけられるべきではない”と主張するものだ。
 同時にこの時期に“プロレタリア政党とプロレタリア独裁の必要性を否定し、労働組合を労働者階級の最高で唯一の組織形態とする”というアナルコ・サンディカリズムの「左翼」日和見主義との闘争を行っている。
 重要なのは、レーニンはこの左右の日和見主義への批判として、「党と労働組合は、プロレタリアートの二つのもっとも重要な組織である」と強調していることである。その場合、サンディカリズムの中の「生気はつらつ」とした部分を吸収せよと言っていることは、サンディカリズムが党を否定している誤りはあるが、革命に向けて労働組合を位置づけていることを重視しているからである。
 レーニンは、この左右の日和見主義への批判をとおして、ボルシェビキ党が労働組合を指導する原則と、党と労働組合の関係を正しく確立していった。
 労働組合への党の指導を堅持しつつ、「労働組合に党派的なレッテルをはる」ことに反対する。労働組合に党の綱領をおしつけたり、労働組合を党の「下部組織」になるよう強制してはならない。労働組合の独自性を尊重し、その特徴を抹殺して、党組織の付属物にしてはならない。労働組合がプロレタリアートの意識をはかるバロメータの一つであること――などの重要視点を提起しているのである。
 またレーニンは、メンシェビキの大ロシア主義に反対し、民族別に労働組合をつくるという主張を批判し、「労働者階級の利益は、ある国家のすべての民族の労働者を、単一のプロレタリア組織――政治的、労働組合的……等々の組織――へ融合させることを要求する」(『民族問題についての決議』)と、統一の労働組合の創設こそが労働者階級の歴史的使命であると指摘している。このことはきわめて重要である。
 さらにレーニンは、『なにをなすべきか?』での党と労働組合の“区別”と正しい関係をふまえ、労働組合内に非公然の労働者党の細胞をつくり、党員は必ず労働組合への党の指導を実現し、強化することを訴えている。当時の反動と弾圧が吹き荒れる中で、労働組合運動を党の基本任務とし、労働組合という〈拠点>を持つことで、非合法の党組織を守ることができたと言っている。

 労組の主導権を確立

D.1917年2月〜10月の革命期のレーニン
 この期間は、2月革命を真のプロレタリア革命に転化する最も白熱的なプロセスである。ブルジョア政府とソビエトの二重権力のもとで、ボルシェビキは、社会革命党とメンシェビキが最初は多数派であったソビエトにおいて多数派となるために、労働組合や工場委員会のヘゲモニーをかちとることに全力を挙げた。
 そのためにレーニンは「プロレタリアートの自覚と組織」を高めることが重要であるとして、第一に臨時政府やソビエト内の“小ブル妥協政党”の政策を暴露し、また広範な労働者の階級的自覚を高める「戦術スローガン」を宣伝・扇動戦として提起した。
 第二に、何よりも「組織、組織、また組織」を掲げ、労働組合を組織する大運動を起こした。労働組合を次々につくり、職場で「工場委員会」(※)という労働者組織を創造した。
〔※この時期の労働組合は主要に職業別組合であり、工場委員会は「工場で働くすべての労働者を結集」したものである。労働組合と工場委員会はほぼイコールと考えてよい。〕
 ここでレーニンは、2月から10月の社会主義革命への移行期に、労働組合が主要に担う「労働者統制」(生産と分配の統制)という経済施策を打ち出した。これは労働組合運動の爆発的拡大をもたらした。労働組合と工場委員会は、広範な労働者から熱烈な支持を受け、労働組合への加入が熱烈な欲求となった。労働組合員数は、2月革命前の十数万人から10月革命前夜の200万人に猛烈に増加した。こうしてボルシェビキは急速にそのヘゲモニーを拡大し、10月革命はプロレタリア革命としてかちとられたのだ。
 第三に、労働組合と工場委員会は、労働者民兵と赤衛隊の具体的組織者となった。「プロレタリア民兵」を拡大・強化し、労働者の指導下に人民を武装させることで武装蜂起は可能となった。

 「労働組合の国家化」

E.1917年革命後のレーニン
 10月革命直後、レーニンは、労働組合が国家機能を担うことを主張し、実行に移した。「労働者の手中に権力が強化された今日では、万事はプロレタリア的規律とプロレタリア的組織性にかかっている」として、労働組合に依拠した。労働組合が国家機構を組織し、生産の組織化、生産の管理を担ったのである。ソビエトはロシアにおけるプロレタリア権力の形態であり、労働者と全人民の利益を守り、その解放を求める権力である。その権力の重要な支柱は、労働者階級のもっとも広範な組織――労働組合である。レーニンは、「労働組合の国家機関化はさけられない」と指摘したのである。
 他方で、戦時共産主義において、赤軍への労働者の組織化(募集・動員)も労働組合を頼りにしていた。また食料の調達隊も労働組合から組織されていった。
 「経済建設だけではなく、軍事建設においても、労働組合にもっとも緊密に結びつかなかったなら、組合の熱烈な支持がなかったなら、組合のもっとも自己犠牲的な活動がなかったなら、われわれが2年半はおろか2カ月半さえ、国を統治し、独裁を実現することはできなかった」(『共産主義における「左翼」空論主義』、1920年4〜5月)のである。
 この「労働組合の国家化」は、内戦の一段階においてすぐには実行できないことが明らかになり、「将来像」の問題として位置づけられ、とりやめになる。

 プロレタリア独裁と「共産主義の学校」論

 そして「労働組合は共産主義の学校」論が打ち出される。
 これらの労働組合論をめぐり重大な論争が起こる。新政権内部の深刻なイデオロギー闘争、党派闘争が強烈に展開される(4カ月に及ぶ)。重要なことは、ここでのレーニンの民主的論争の徹底性、同志的批判と援助、論争には労働組合を媒介とした「労働者自己解放」への依拠と信頼が基底にあったことを徹底的に学ぶ必要がある。
 この「共産主義の学校」論は、労働組合が生産の管理などに参加し、それを学んでいく中で、一部の国家機能そのものを引き受けつつ、労働組合が国家機関と融合していく(労働組合国家融合論)、国家死滅のイメージとともに打ち出されている。それは国家権力を社会に引き渡し、国家の消滅を実現していくプロセスである。『国家と革命』で提起した国家死滅の問題が、労働組合を媒介にすることで、具体的にイメージすることができる。要するに労働者のほとんど全員が参加する労働組合(工場委員会)が、生産の管理において、党に指導された国家機関としてのソビエトと重なり合い、融合を深めて、膨大な労働者大衆が生産の管理をこなしていけるようになる時、国家機関の政治性(行政性)がどんどん死滅していく、ということなのである。
 『「左翼」空論主義』では、次のように言っている。
 「労働組合は、プロレタリアがその独裁を実現するのに欠くことのできない『共産主義の学校』であり、予備校であり、国の経済全体の管理を、しだいに労働者階級(個々の職業でなく)の手に移し、ついで全勤労者の手に移すために欠くことのできない労働者の組織であるし、将来も長くそうであろうということを、忘れてはならない」

 党派闘争の主戦場だ

 以上のまとめとして、『「左翼」空論主義』が、当時の国際共産主義運動の「左」の潮流を批判しながら提起された労働組合論であることを取り上げたい。
 当時の特にドイツにおいて、労働組合は反動的位置にあり、「労働組合を有害なものとみて」、「ローザ・ルクセンブルグでさえ、労働組合の解消を宣言している」ほどであった。レーニンは、このようなドイツの現状をもってプロレタリア革命における労働組合の役割を否定したり、共産主義者が労働組合から引き揚げることを徹底的に批判している。
 「党はその活動にあたって、労働組合を直接によりどころとしている」、労働組合すなわち「形式上は共産主義的でない、弾力性のある、比較的に広い、きわめて強力な、プロレタリア的な機構が、大体にできており、党は、この機構によって階級と大衆とに緊密に結びつき、この機構によって、党の指導のもとに、階級の独裁が実現されている」と述べているのだ。レーニンはそれゆえに、労働組合が、プロレタリア政党とブルジョアジーおよび日和見主義分子との党派闘争の主戦場のひとつであり、だれが労働組合に支持されるかによって、だれが闘争の主導権を握ることになるのかが決せられると強力に訴えている。「労働組合を通じるほかには、労働者階級の党と労働組合の相互作用を通じるほかには、世界中のどこでも、プロレタリアートの発達は生じなかったし、また生じることもできなかった」からなのである。

 全党の英知を労働組合の組織化に投入しよう

 このような〈労働組合論の革命論的確立>を、当面、いかに路線的・運動的・組織的に実践化していくか。
 まず第一に、全党が、待ったなしに労働組合に「命をかけ」、情熱を傾け、そこでの細胞建設と拠点建設に向けて不退転の決起を開始することである。
 このことは、革共同が、マルクス主義の原理・原則を再獲得し、その核心である「プロレタリア自己解放」と「プロレタリア革命とプロレタリア独裁の樹立の思想と運動」の再確立を鮮烈にみずみずしく確認することでもある。そこから労働者階級みずからの事業としての真のプロレタリア党建設をかちとることを、自己変革的に確認しなければならない。そうして労働者細胞の中から続々と党指導部を輩出しなければならない。またこのプロレタリア自己解放の思想の復権は、その決定的要素でもあるプロレタリア国際主義―国際連帯の確立でもあることをしっかり確認したい。
 この労働組合論の革命論的確立の立場から、『俺たちは鉄路に生きる2』の再度の学習運動を訴える。そうすれば、この著書が、まさにマルクス主義・レーニン主義を完全に貫いた労働組合論として、いかに普遍的で生きた展開がなされているのかがはっきりするのだ。
 第二に、労働組合論の革命論的確立は、今日の戦時下において、帝国主義の〈政治=経済攻勢>と労働組合の解体・絶滅攻撃に対して、動労千葉を先頭とする階級的労働運動の団結とその防衛の闘いの意義を鮮明にさせるものである。

 政治=経済攻勢と闘う階級的な労働運動を

 この政治=経済攻勢は、資本攻勢一般ではない〈内への階級戦争と外への侵略戦争>の一体的攻撃としてあり、今日の小泉=奥田路線の階級的性格を示している。このような政治=経済攻勢と対決するには、労働組合を革命に向かって位置づけ、政治闘争と経済闘争を結合して労働組合運動を闘う以外にないのである。この労働組合解体攻撃との対決構造をすえて、革命的情勢の接近下の階級的労働運動の発展を、労働組合の団結とその防衛として推し進めているのが動労千葉労働運動である。この立場からすれば、11月集会での3組合共闘の新潮流運動、日韓米3カ国労働組合の国際連帯の革命的意義は明らかだ。資本攻勢との闘いと反戦政治闘争を一体で闘う階級的労働組合の団結とその防衛の闘いの発展は、必ずや帝国主義の危機を拡大し、ブルジョアジーを震撼させるのである。

 階級意志の「伝達者」としての革命的議員

 第三に、労働組合論を革命論的に確立していくことは、労働組合運動と革命的議会主義の双方を豊かに発展させるものとなる。まず労働組合論の革命論的確立の問題が、レーニンの時代では、激しい党派闘争―党内闘争として深化し発展したように、今日の情勢においてはファシスト、社会民主主義、スターリン主義との激しい党派闘争の生きた闘いとなるのである。労働組合をめぐる党派闘争は、労働組合をプロレタリア革命に向かって組織し団結させるための、既成労働組合とその傘下の労働者の獲得をめぐる攻防である。それは、『「左翼」空論主義』が労働組合と議会の問題を同時に論じたように、そのまま議会をめぐる政党間党派闘争を激化させるものとなる。また革共同にとって、それは革命的議会主義と革命的議員像の新指導路線のもとでの再確立を迫るものである。
 レーニンは、反動期にメンシェビキの「解党派」の議員団を批判し、国会における労働者党の代表が「実行すべきものは、自分の意志ではなくてマルクス主義組織の意志」であり、その「決定」と「戦術」を貫くことを主張した。「先進的なプロレタリアートの意志と意見を異にした議員は、自分の全権を返上する。すなわち議員の職を辞任するのである」「社会民主党の国会議員は、その国の自覚した、団結したプロレタリアートの意志の伝達者である」と。革命的議員とはこの立場で労働組合運動を担うのであり、その「伝達者」なのである。
 今こそ、全党のエネルギー・英知を、労働組合の組織化に投入しようではないか。そこからマル青労同1000名建設をとおして党勢拡大の前進をかちとろう。どんな困難・苦難をものりこえ、プロレタリア自己解放の旗のもと、世界革命へ邁進(まいしん)しよう。

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週刊『前進』(2160号3面1)(2004/08/02)

職場の団結固め郵政民営化粉砕へ 歴史的転換点となった全逓59回大会
 4・28控訴審勝利を突破口に闘う全逓労働運動の再生を  郵政公社の上告を弾劾する
 革共同全逓委員会

 04年6月闘争は、全逓労働運動再生の力強い闘いが開始された歴史的な転換点になった。連合全逓中央は6月23〜25日、第59回定期全国大会において、全逓の名を投げ捨て日本郵政公社労働組合(JPU)に名称変更し、「私たちの未来づくり宣言」を採択、敵の陣営に階級移行した。闘う全逓労働者は、連合全逓打倒を真っ向から掲げ、階級的労働運動の路線をもって断固闘いぬいた。そして、ついに6月30日、79年4・28処分撤回を求めた訴訟の控訴審において逆転勝訴の大勝利をかちとった。全国の職場では歓喜の声が上がり、勝利の確信が満ちあふれている。7月12日、郵政公社は上告したが、闘う全逓再生の闘いを押しとどめることはできない。

 高裁逆転勝利判決は総反撃ののろしだ!

 労働者階級は参議院選挙において、イラク侵略戦争と年金大改悪を始め労働者への大攻撃を進める小泉政権に対する怒りの反撃を開始した。危機にあえぐ小泉政権は「海外への侵略戦争と国内での労働者階級への戦争」攻撃の柱に、イラク侵略戦争とともに郵政民営化攻撃を据えてきた。全逓労働運動が小泉−奥田との階級闘争の最先頭に躍り出た。4・28控訴審の逆転勝利を導火線として、全逓労働者の積もりに積もった憤激に火をつけ大爆発を引き起こす時が来たのだ。
 78越年反マル生実力闘争は、全逓労働運動が最も誇りうる歴史的な大闘争である。郵政当局の合理化攻撃と全逓つぶしの差別的労務政策に対する怒りが爆発し、全逓労働者の戦闘性が全面的に解き放たれ、徹底的な物ダメ闘争として闘いぬかれた。同時に全逓労働者の怒りは、労働者の階級的利益を郵政当局と全郵政に屈服的に売り渡す全逓中央にも向けられていた。
 78越年反マル生実力闘争は、三六超勤拒否をもって始まり、業務規制・強力物ダメに発展した。全逓労働者の郵政当局と全逓中央に対する積年の怒りは、職制による3万7000件に及ぶ即決処分や刑事弾圧の攻撃をはねのけて空前の大闘争として爆発した。年賀を吹き飛ばし、滞貨は最大時(79年1月5日)4億3000万通にも及んだ。全逓労働者は闘いの中で生き生きと自己解放的に闘い、労働者こそ社会の主人公であることを示した。
 70年安保・沖縄闘争の大爆発は、沖縄闘争、三里塚闘争、狭山闘争を始めとした70代階級闘争の高揚と労働組合運動の高揚へとつながり、動労千葉は階級的労働組合運動を貫いた。
 すべての闘いの先頭に全逓の青年労働者の隊列があった。この青年労働者の若々しい息吹が、全逓労働者の怒りを根底から引き出し、78越年反マル生実力闘争の爆発を切り開いたのだ。これが郵政当局や全逓中央だけでなく日帝ブルジョアジーを震撼(しんかん)させたのである。79年4・28処分はだからこそ、全逓中央の指導責任を問わずに現場の青年労働者に攻撃を集中し、懲戒免職の攻撃を加えてきたのである。
 4・28反処分闘争は、被免職者を先頭にすべての全逓労働者の闘いとして不屈に闘いぬかれ、決定的勝利をかちとった。時代は再び全世界で階級闘争の高揚期に突入している。アメリカの労働組合は今秋の百万人イラク反戦大行進に向かっている。韓国・民主労総の英雄的な闘いがある。ストライキで闘う動労千葉は国際連帯の大潮流をつくっている。教育労働者は「日の丸・君が代」反対、教育基本法改悪・改憲阻止の闘いに続々と決起している。あらゆる産別で怒りの決起が始まっている。郵政民営化攻撃と闘う全逓労働運動は、再び階級闘争の前面に躍り出た。

 小泉・奥田-生田路線の大リストラ粉砕へ

 郵政民営化との闘いは、04〜05年、小泉・奥田(日本経団連会長)−生田(郵政公社総裁)との階級闘争の最大の激突点になった。小泉は、年頭の記者会見で「イラク派兵と郵政民営化」を宣言した。4月26日、経済財政諮問会議の中間報告で「07年民営化」を打ち出し、6月4日「骨太方針」で構造改革の柱に郵政民営化を位置づけ、参議院選挙での敗北にもかかわらず、郵政民営化担当相を置き、経済財政諮問会議の集中審議で9月に郵政民営化案を決定しようとしている。
 小泉・奥田は、国家的破綻(はたん)とも言うべき絶望的危機の中でのたうち回り、「官から民へ」など構造改革を掲げて行政、財政、金融を始め日帝の戦後的あり方を全面的に転換しようとしている。その攻撃の軸に郵政民営化を据えて凶暴な攻撃に出てきた。
 350兆円を超える郵貯・簡保の資金を金融資本と国家財政の破綻の救済のために食い物にし、郵便事業では民間資本の参入と競争激化によって、アジア市場をめぐる争闘戦に打って出る巨大な郵便・物流資本を育成しようと狙っている。まさに奥田ビジョンとその「東アジア自由経済圏構想」に対応したものだ。
 この攻撃の激しさは、イラク侵略戦争−多国籍軍参加・集団的自衛権行使、9条改憲の攻撃の激しさと同じである。しかし日帝の絶望的な危機の深さは、構造改革−郵政民営化で突破できるものではない。必ず、労働者階級は怒りを爆発させ粉々に粉砕するだろう。

 外部委託、人活センター構想

図 A 真っ向サービスの実現概要図 B 集配ネットワークの高度化

 3月11日、郵便事業本部は全逓本部に「真っ向サービスの実現」と題する郵便事業の大合理化案を提示した(図A)。郵便労働者に対する徹底した大リストラと労働強化であり、全逓労働運動解体の大攻撃である。連合全逓中央は、この攻撃が全逓労働者の怒りに火をつけることを恐れて今もその全容を組合員に隠している。そして「民営化対応」「民営化を阻止するため」と称してこの郵便事業での郵便労働者の首切り、労働強化、全逓労働運動解体の先兵になっている。
 「郵便ネットワークの再構築」は、集配網を再編し「集中処理センター」で区分作業を集中処理し、トヨタ方式(JPS)と一体で極限的に人員削減と非常勤化を成し遂げようとするものである。
 「外務作業システムの構築」の軸は「集配ネットワークの高度化」(図B)で、郵便外務労働者がこれまで分担して行ってきた配達(通常、速達、書留、小包)、集荷、営業のすべてを1人で担うというものだ。そのためバイクに代えて軽四自動車を使用し、10時間労働(拘束12時間)にするというものだ。
 「内務作業の効率化」は郵便内務を全面的にアウトソーシング(外部委託)し、余剰人員とみなした労働者を「人材活用センター」に送るというものだ。この攻撃は、本務者を削減し非常勤労働者に置き換える「95年日経連プロジェクト報告」路線の貫徹であるとともに、国鉄分割・民営化型の大攻撃である。
 大会では、全国労組交流センター全逓労働者部会が「全逓中央の言う『雇用確保』は大ウソだ」とすべての代議員、傍聴者に暴露のビラを手渡した。石川委員長あいさつは「公社の経営改革を進め、健全な経営基盤の確立を何よりも優先」「アクションプランの達成」を「労使の共同作業として」と郵政当局と一体で首切りを進めることを言明した。絶対に許せない。
 爆発寸前の現場の怒りの中で、代議員は「連続深夜勤の間の睡眠時間がとれない」「トヨタ方式の立ち作業の見直しを」「現場では悲鳴が上がっている」「ボーナスの事業別支給反対」「名称変更反対」「集配ネットワーク高度化は反対」と現場の声を代弁せざるをえなかった。
 日逓を始めとした輸送部門では「去るも地獄、残るも地獄」と怒りの声が上がり、全国日逓代表者会議(6月7〜8日)では金丸輸送部対策部長に対して「辞めろ!」と代議員と傍聴者の激しい弾劾の発言とヤジがたたきつけられた。
 職場には怒りが充満している。郵政当局、連合全逓に対して先頭で闘い、全逓労働者の根底からの怒りの決起を引き出そう。

 「未来づくり宣言」は労働組合の破壊だ

 連合全逓中央は、今大会において、名称変更とともに「私たちの未来づくり宣言」を全国の組合員の反対の声を押し切って決定した。「未来づくり宣言」の核心は、資本の攻撃に対して闘う労働者の労働組合的団結を解体し、労働組合の役割を「郵政事業の発展」「経営基盤の確立」とすることで、賃下げ、リストラなど労働者の生活と権利を郵政当局の先兵となって労働組合自らが破壊していくことにある。
 「未来づくり宣言」は、「マニフェスト(宣言)」で「郵政事業の発展と雇用確保に全力あげ、政策を基軸に持続的な公社経営の確立」と宣言している。さらに「私たちの使命」で「私たちは郵政事業に携わる事業人」とし、「7つの活動分野」の「事業づくり」で「持続可能な経営基盤の確立」を打ち出している。この立場から、労働者に対して「働く力」の創造を求め、「7つの活動分野」の「自分づくり」では、具体的方針は「人事制度改革」の定着となるのだ。
 実際、「事業の維持・発展」と「雇用を守るとりくみ」は両立しない。全逓中央のペテンなのだ。例えば03年度、郵便事業の276億円の黒字は、郵便物の取扱数が2・3%減の中で、人件費、物件費(大半は非常勤労働者、輸送部門労働者の人件費のことだ!)の徹底的な削減、つまり労働者に対する大幅な賃下げ攻撃の結果なのだ。

 帝国主義の側に立つ連合全逓中央打倒へ

 連合全逓の路線や方針では、絶対に労働者の生活と権利を守ることはできない。78越年反マル生実力闘争の爆発以来の二十数年の歴史は、全逓中央の裏切りと転向の歴史である。全逓中央の一つひとつの路線転換は、郵政当局の労働者に対する攻撃と結びついていた。どれだけ多くの労働者が職場を去り、また殺されてきたことか。連合路線のもとでは、さらに多くの労働者の無念と怒りが蓄積していくのだ。すべての全逓労働者に心から訴える。連合全逓中央=JPU菰田体制を打ち倒せ! 闘う路線と方針を確立しよう!
 (1)4・28反処分闘争から逃亡し、1983年、第37回大会において、全逓中央は「政策・制度」路線に転換し、郵政事業への政策提言を運動方針とする「政策の全逓」に転換し、「権利の全逓」を投げ捨てた。88年、全逓中央は「労働力移動と職歴形成および賃金体系改善要求」を政策提言し、郵政省はそれを受けて、前者は「人事交流」、後者は「新昇格制度」として全逓労働者への攻撃に転化した。
 (2)89年、連合結成。91年、第45回大会で連合全逓は4・28反処分闘争の清算−被免職者の切り捨て・組合からの排除を強行した。
 (3)95年、第49回大会で「政策・制度」路線の基礎の上に、「ZENTEI・ビジョン21」を決定した。連合全逓中央は「ビジョン21」のもとで郵政当局と一体となって合理化を推進してきた。郵便事業危機を叫び、「新郵便処理システム」「地域区分局5000人削減」「郵便新生ビジョン」で当局と一体となって大リストラを推進し、また本務者の削減と非常勤労働者への置き換えの攻撃の先頭に立ってきた。99年、ガイドライン、有事立法を始め日帝の戦争政策に賛成し、01年、郵便事業の新生を理由に減員受け入れを表明(第115臨時中央委)し、自ら組合員の首切りを宣言し、完全に郵政当局の先兵となり階級移行をとげた。
 (4)2004年、第59回大会で「ビジョン21」をステップアップさせる「私たちの未来づくり宣言」を決定した。連合全逓中央の決定的な階級移行、すなわち戦前の産業報国会化であり、戦争と労働者への大攻撃の先兵になることである。
 すでに、昨年12月の第58回臨時大会で「未来づくり宣言」を提起した段階ですら、殺人的深夜勤を大会での討議と決定なしに強行(04年2月)、人事制度改革の開始(04年4月)、アクションプランによる1万7000人の減員と非常勤化攻撃、コミルールの改悪による支部・分会の解体攻撃、全逓解体攻撃、この間の輸送労働者への極限的な犠牲転嫁の先兵となり、さらに「集配ネットワークの高度化」「郵便内務の外部委託と人材活用センター」と、連合全逓中央は大攻撃の先兵となっている。
 すべての全逓労働者が切実に求めていることは、連合全逓を打倒して階級的全逓労働運動の再生をかちとることである。第59回定期全国大会と4・28反処分闘争の勝利によって明確になったことは、全逓労働者の腹の底からの怒りの爆発が始まろうとしていることである。

 労働者の怒りで闘う路線を

 今の状況をなんとかしなければ、と思っている良心的な全逓労働者とともに、支部、総分会、分会の役員を断固引き受け、原則的な労働組合をともに形成していくことである。職場では、郵政当局と連合全逓に対する怒りが渦巻いている。労働者が殺され、病気で休職や退職に追い込まれている。勧奨退職で職場を去らざるをえない労働者の無念の声がある。「このままでは殺される。殺人的労働をなんとかしてほしい」「これでは生活できない。大幅賃上げを」。この全逓労働者の怒りを組合役員として真正面から向き合って受けとめ、ともに闘う中で、支部や分会の労働組合的団結をつくりあげていくのだ。
 労働組合的団結をかちとり、労働者の生活と権利を守りぬく全逓の階級的再生をかちとるには、動労千葉のように階級的、原則的に闘うことである。また労働者に対する一大資本攻勢と海外への侵略戦争は一体の攻撃であること、郵政民営化攻撃とイラク侵略戦争を粉砕する闘いを全逓労働者の闘いとして、労働組合の闘いとして、労働者階級の先頭に立ってともに闘うことを訴えることである。
 イラク侵略戦争を始め大虐殺と破壊を繰り返す帝国主義に対する闘いが労働者の生活と権利を守る闘いとひとつになって、労働組合を中心に世界的な階級闘争の高揚が始まっている。
 これらの闘いと結びついて総反撃することで、必ず郵政民営化攻撃を粉砕することができるのだ。
 郵政民営化攻撃と闘う全逓労働運動が階級闘争の牽引(けんいん)車となる時代が到来した。4・28反処分闘争の勝利はその突破口であり、78越年反マル生実力闘争で示した全逓労働者の戦闘的闘いが再び爆発する時が来た。
 その闘いの中心に必ず、マルクス主義青年労働者同盟の旗が勝利の道しるべとして高々と掲げられるだろう。すべての青年労働者にマルクス主義青年労働者同盟に結集することを熱烈に訴える。すべての全逓労働者にともに闘うことを熱烈に訴える。

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週刊『前進』(2160号3面2)(2004/08/02)

戦争・民営化と闘う自治体労働運動を E自治労連中央の屈服路線
 政策対置の条例づくり 職場闘争を否定する日共

 全労連―自治労連傘下の単組の職場にあって、闘う自治体労働者は、自治労連中央―日本共産党スターリン主義の反革命的反プロレタリア的労働運動路線に「否」を宣言し、「動労千葉のような労働組合運動をつくり出そう」とビラや学習会、労組大会、職場集会などで訴え、闘ってきた。20年以上、国家権力による不当逮捕や家宅捜索、当局による不当配転や不当処分と闘い、日共との激烈な党派闘争を行ってきた。
 こうした粘り強い闘いは、職場に強固な革共同の党組織があり、それを支える労働組合の仲間がいたから可能となった。こうした組織は、職場闘争やストライキ闘争、職場討議や学習会活動をとおして培われた。
 戦時下に突入し、有事法制が成立した今、自治体労働運動は、有事法制の完成と発動を許さず、有事法制に協力しない闘いをつくり出し、日本帝国主義の侵略戦争を内乱に転化する闘いへと発展させなければならない。そのために、革共同自治体労働者委員会のもとに結集する労働者は、自治体労働運動の主流派に躍り出なくてはならない。

 労働運動解体狙う制度改革

 今、自治体労働現場で最大の問題は、小泉構造改革「骨太方針2004」にいう@「官から民へ」―民営化攻撃の軸としての指定管理者制度とA「官の改革」の軸としての公務員制度改革である。
 二つの攻撃の狙いは公務員労働運動の解体にある。
 @指定管理者制度は、自治体が公の施設の管理権限・責任を持っていた従来の管理委託制度とは違い、民間資本に公の施設の管理や業務を丸投げする制度である。指定管理者制度導入によって民間企業は公の施設(建物・設備・用地)への大幅な管理・使用権限を与えられ、そこでの公共業務によって利得を得ることが可能となる。指定管理者制度の対象となるのは、社会教育、衛生、体育、民生、宿泊、公園、会館、診療、上下水道など生活関連のあらゆる施設である。指定管理者=民間資本の利潤分が料金に上乗せされ、住民の負担が増える。
 この攻撃の核心は、管理者が自治体から指定管理者=民間資本に代わったことを理由に、自治体労働者を職場から追放し、労働条件を引き下げ、自治体労働運動を解体することにある。指定管理者制度とは自治体版国鉄分割・民営化攻撃なのである。現に指定管理者制度が導入されたところでは、すでに正規職員は職場を追放(配転)され、臨時職員は解雇されている。
 A公務員制度改革の狙いも労働組合運動の解体、団結破壊にある。公務員制度改革で▽公務員の身分保障の廃止▽定員の大幅削減▽能力・業績評価をとおしての分限免職処分、賃金の大幅引き下げ、賃金格差の拡大――を行おうとしている。この一環として8月の人事院勧告に際し、2006年度に国家公務員の定期昇給を廃止し、業績給(査定昇給)を導入する方針が提示されようとしている。

 自治体リストラに賛成

 自治労連執行部指導下の職場でも、自治体改革の名で学校給食、清掃を始め業務の民間委託化の攻撃が進められ、自治体労働者の追放、労働組合運動の解体の攻撃が強行されている。
 ところが自治労連執行部は、自治体改革攻撃に屈服し、職場闘争を闘おうとしない。もっぱら父母や住民とともに、「民主的自治体」をめざす地域闘争、住民運動を進めている。自治体リストラへの反撃の闘いを制度政策要求闘争や政策対置の条例づくり運動に解消してきた。自治労よりも先に制度政策要求闘争を開始したと自慢している始末だ。
 指定管理者制度に対しては「利用者との共同・合意形成を強めて安易な市場開放を許さない」とし「『公の施設』に求められる期待や要求に的確にこたえ、それにふさわしい実績と専門性、サービスの質、継続性、安定性を確保していく」という(「指定管理者制度と緊急にどう闘うか」自治労連ホームページ)。そして「自治労連のモデル条例案」を対置する。
 指定管理者制度の導入を認め、自らよりよいサービスを追求し、その中で雇用と労働条件を守ろうと提起している。あらかじめ屈服しているのだ。
 そもそも自治労連中央=日共は、資本主義社会が階級社会であること、自治体労働現場においても階級関係が貫かれていることを認めない。そして公務員労働者を「全体の奉仕者」とし、自治体労働を「市民サービス労働」と規定する。「住民代表が自治体労働者を雇用する」関係にあるかのように描く。階級闘争、職場闘争を否定し、「働きがいのある職場を」「実績重視で雇用を守ろう」という「働こう運動」に陥っている。
 職場支配権をめぐる攻防を放棄することは、労働組合運動を弱体化させる。その結果、雇用、職場、賃金、労働条件を守ることができなくなる。帝国主義に屈服した自治労連の傘下の多くの単組で労組員が大量脱退している。自治労連加盟労組員数は現在、89年結成時の半数に減っている。

 自治体労働運動の再生を!

 資本主義社会にあっては国家のみならず地方自治体も資本家階級が労働者階級を支配するための機関である。その財政は、各種の税、保険料、料金(受益者負担)、手続き料などの形で労働者人民から徴収=収奪して成り立っている。
 他方で、こうした地方自治体とその関連職場に数百万人の労働者が雇われ、賃労働を行っている。自治体職場でも明確に階級対立は存在しているのだ。だからこそ大量の公務員労働者が労働組合に加盟している。
 支配階級は、国家―地方自治体という心臓部に「墓掘り人」を抱え込んでいるのである。公務員労働者の労働権への制約は、公務員労働者が労働組合を組織して闘うことを支配階級が恐れ、それを抑圧しようとしていることの表れだ。
 労働者は自らの職場を戦場にして闘い、自らの雇用と権利を守る。これは同時に他産別の労働者への連帯を込めた闘いとなる。職場支配権をめぐる当局との闘いに勝利することこそ、公務員バッシングなど労働者階級を分断する攻撃にうちかつ道なのである。また、自らの職場で闘うことから強固な労働者の団結が生まれ、広範な労働者の組織化が始まる。自治労連中央の屈服路線、職場闘争からの逃亡を許さず、職場闘争の中から自治体労働運動の階級的再生を闘いとろう。
 (自治体労働者 福留孝二)

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週刊『前進』(2160号4面1)(2004/08/02)

戦争と独裁の自民党改憲案
 憲法に「国防の義務」導入 集団的自衛権行使も明記
 改憲プロジェクトチーム 「論点整理」を弾劾する

 参院選での自民党の大敗北は、小泉政権に対する労働者階級人民の巨大な怒りの回答である。しかし小泉は危機を深めつつも戦争と資本攻勢の道をなお一層突き進んでいる。この中で改憲攻撃がついに政治課題の正面に登場した。自民党は05年11月までに改憲草案を作成すると発表し、日本経団連を始め財界も全力で動き出している。最大の狙いは、戦争放棄を規定した憲法第9条の解体だ。自民党の改憲プロジェクトチームがこの6月に提出した「論点整理」は、日本を丸ごと戦争国家に変える恐るべきものだ。その全容を暴露するとともに、改憲阻止への総決起を訴える。

 基本理念に「国柄」 天皇制国家の復活

 6月16日、自民党は、同党の憲法改正プロジェクトチームがまとめた改憲への「論点整理」を党として正式に採択した。これは、自民党が05年11月の立党50周年の大会で発表するとしている憲法改正草案の原案になるものである。
 このプロジェクトチームの会合は昨年12月から本年6月まで計18回開かれた。4月下旬以降は秘密会に移され、議事録も非公開に切り替えられた。「論点整理」の内容も、当初は参院選で大々的に打ち出すはずであったが、実際には全文を積極的には公表せず、マスコミの報道も抑制された。内容があまりに刺激的なため、選挙で焦点化するのは不利として避けたと思われる。
 別掲の一覧表にあるように、事実その内容は、「反動的」などという一般的形容詞ではとうてい表現できないほどすさまじいものだ。
 第一に、改憲は部分的ではなく、現憲法全103条のほぼすべてにわたる全面的なものである。
 第二に、憲法の基本理念そのものを変えることが公然とうたわれている。
 「論点整理」はその冒頭で、「新憲法制定にあたっての基本的考え方」をうちだしている。そこでは「新憲法では、基本的に国というものはどういうものであるかをしっかり書き、国と国民との関係をはっきりさせるべきである」「家族や共同体が『公共』の基本をなすものとして、新憲法において重要な位置を占めなければならない」という。そして、「歴史、伝統、文化に根ざしたわが国固有の価値(すなわち『国柄』)に基づいたものでなければならない」「日本国、日本人のアイデンティティを憲法の中に見出すことができるものでなければならない」と宣言している。
 ここでいう「わが国固有の価値」=「国柄」とは何か。戦前・戦中に天皇制国家の絶対不可侵性を示す言葉として使われた「国体」と基本的に同じものにほかならない。
 したがって、現憲法の基本原則である「主権在民」「基本的人権の尊重」「平和主義」については「堅持する」と表向きは言うのだが、「論点整理」の全内容は実際には、そのすべてを無残なまでに解体するものとなっている。
 「国と国民との関係をはっきりさせる」という意味は、天皇制という独特の「国柄」をもつ国家がまず存在し、国民はそれを守り支える義務があることをはっきりさせる、ということだ。この思想は、「国家のあり方は人民が決める」という主権在民・民主主義の思想とは根本的に異なる。基本的人権については「行き過ぎた利己主義的風潮を戒める必要がある」とし、「国家あっての個人」が強調される。平和主義にいたっては、「一国平和主義の誤りを正す」として、戦争放棄の第9条を廃棄することが「真の平和主義」であるなどと強弁されている。
 その観点で憲法の前文を丸ごと書き換え、その中心に「わが国の歴史、伝統、文化等を踏まえた『国柄』を盛り込む」というのである。これは憲法の基本理念を事実上、戦前の大日本帝国憲法と同じものに置き換えることにほかならない。

 9条2項の削除 戦争の歯止め外す

 第三に、改憲の最大の目的が日本を再び「戦争をできる国にする」という一点にあることが、あからさまにうちだされている。それも、あらゆる形態の侵略戦争を可能にし、必要なら世界戦争さえもやりぬける国家にするということだ。
 そのために現在の第9条は完全に解体する。とりわけ「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とした9条2項を削除して、「国力に見合った防衛力を保有」し、「国際平和に積極的能動的に貢献する国家」(海外出兵をどしどしやるということだ!)に変えるという。
 この第9条の廃止は、自衛隊の存在を始めこれまで解釈改憲で強行されてきたことを単に合法化するにとどまらない。国家の行う戦争について、一切の歯止めをはずすということが核心にある。
 「論点整理」は「安全保障」に関して新たに憲法に盛り込むべき内容として、「自衛のための戦力の保持」と並んで、「個別的・集団的自衛権の行使」「非常事態全般」「国際協力(国際貢献)」「集団的安全保障」などに関する諸規定を挙げている。「非常事態」とは「有事、治安的緊急事態(テロや大規模暴動など)、自然災害」をすべて含むとされている。
 これは要するに、国連PKO(平和維持活動)であろうと、多国籍軍や日米同盟の発動という形であろうと、基本的にあらゆる戦争に日帝・自衛隊が帝国主義軍隊として参戦できるようにするということにほかならない。しかもそのすべてで「集団的自衛権」の行使を可能にする。
 「集団的自衛権」とは、自国が攻撃されていなくても、米軍など軍事的協力関係にある他の国が攻撃を受けた場合に、その相手方に対して自衛隊が直接、武力による反撃を加えることができるというものである。03年に制定された武力攻撃事態法は、日本への武力攻撃が「予測される」というだけで直ちに自衛隊が行動を起こせるとしているが、その範囲はまだ「日本周辺事態」の枠内とされ、集団的自衛権も表向きは行使できないとされていた。改憲は、それらの制約すべてを最終的に取り払う。
 自民党改憲プロジェクトチームの会合では、日米同盟を結んでいる以上、アメリカ本土が攻撃された場合も日本が軍事行動を起こせる、それが集団的自衛権の本来のあり方だ、という議論がなされている。一足飛びには難しいが将来的にはそういうことも問題になる、だから憲法を変えるべきだ、というのである(3月25日、第11回会合)。
 つまり9・11のような事件が再度起きた場合に日帝がそれを口実として、すぐさま中東・イスラム諸国に侵略戦争を仕掛けることも最終的には可能にするということなのである。
 小泉政権はすでにイラク出兵を契機に、自衛隊の海外派兵を「国土防衛」と並ぶ自衛隊の「本来任務」に引き上げると言い出している。このことと重ねると、これは自衛隊を米軍と同じ、正真正銘の帝国主義侵略軍隊へと変貌(へんぼう)させるものだ。侵略戦争の恐るべきエスカレーションだ。

 戒厳令導入し内乱を鎮圧

 さらに、「非常事態」において「国家権力の円滑な行使」を図るために、憲法に明文の規定を設けて基本的人権の制限を明記すると言っているが、これはずばり、戒厳令の導入ということである。いわゆる有事(=戦時)だけではない。「治安的緊急事態」や大地震などもその発動の対象になる。
 また、「国民の権利及び義務」を規定した第3章に、新たに「国の防衛及び非常事態における国民の協力義務」を盛り込むとしている。戦争協力が憲法で義務づけられ、従わない者は「非国民」とされるのだ。徴兵制の導入にも完全に道を開くものである。
 さらに、政教分離を規定した憲法20条を見直して、靖国神社公式参拝を合法化し、国家神道の公然たる復活をも狙っている。
 さらには、国会や内閣など統治機構も丸ごと戦争遂行に都合のいいようにつくり変えることが策動されている。「政治判断を迅速に実行に移す」ため「政策決定のプロセスを大胆に合理化」すると言い、その観点から議会運営のあり方などもすべて見直すとしているのだ。行き着くところは国会の完全な形骸化と首相への独裁的権限の集中だ。
 その他、軍法会議の設置や地方自治の解体など、戦争体制の確立に必要な一切が盛り込まれている。

 新たな権利・義務 基本的人権を圧殺

 「論点整理」は第四に、こうした戦争国家化と表裏一体のものとして、基本的人権の全面圧殺を策動している。基本的人権を「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」であって「侵すことのできない永久の権利」と規定した現憲法第10章を削除する。そして「人権」の概念そのものを、「公共の利益」の名のもとに国家権力がいつでもたやすく制限できるものに変えようとしているのだ。

 「国家の利益」が全てに優先

 現在の憲法も「公共の福祉」に反する場合に基本的人権が一定の制限を受けることを認めており、この「公共の福祉」を国家利害と同一視することで政府による土地取り上げなどを正当化する根拠ともなってきた。だが「論点整理」はこれでは不十分として、「公共の福祉」を「公共の利益」に言い換える。同時に「公共」とは「家族・共同体・国家」を意味するとして、「国家の利益」がすべてに優先することを明確にしようというのである。
 さらに、「時代の変化に対応して新たな権利・新たな義務を規定する」としている。新たな義務には、先述した「国防の義務」とともに「家族を扶助する義務」などが盛り込まれる。では「新たな権利」とは何か。「環境権」「情報開示請求権」「プライバシー権」「犯罪被害者の権利」などが列挙されている。だがここには、実は重大なペテンがある。
 改憲プロジェクトチームの第10回会合(3月18日)では、この「新しい権利」について次のような発言がなされている。
 「新しい権利を付加するというと、日本がますます権利ばかりを主張する国になるんだという印象があるかもしれないが、必ずしもそうではないと思う。というのは、現在の憲法の中できわめて肥大化してしまった権利がある。すなわち表現の自由、言論出版の自由。これに対する制約要素として、今現在、憲法より下位の法律で認められている名誉を侵害されないという権利、これを憲法上の権利として対等のものとして置いて、その上で調整をしていくべきではなかろうか」
 すなわち、プライバシー権の導入は表現の自由の圧殺と一体であるということだ。同様に、情報開示請求権の導入は「通信の秘密」の撤廃に、犯罪被害者の権利の新設は被疑者・被告人の権利を圧殺するものになるということである。
 とりわけ環境権については三里塚闘争を引き合いに出し、「財産権の不当な行使に対する制約原理」としていくと言っている。土地の強制収用を一切の抵抗を排して行えるようにすることが、「環境権」導入の最大の狙いなのである。

 福祉を解体し家族の義務に

 この基本的人権に関する項でいまひとつ、憲法24条と25条の「見直し」が打ち出されていることも重要である。24条は婚姻・家族における両性の平等を定めたもの。25条は生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)を定めたものだ。24・25条を実質的に解体し、その代わりに「家族を扶助する義務」が「国防の義務」と並ぶ「国民の義務」として新設される。
 その直接の狙いは、社会保障制度の解体を家族の相互扶助によって補うことにある。戦費調達のためにも国はもはや福祉には金を出さないとし、子が親を養うのが日本の伝統的な家族制度の良いところだからそれを復活させよ、というわけである。また、戦争遂行のためにも、戦前の天皇制国家を支える柱であった家族制度を新たな形で復活させようとしているのだ。

 背景に日帝の危機 革命こそ真の回答

 これはもはや「憲法改悪」と呼ぶよりも、むしろ現在の憲法を徹底的に否定し解体してその廃虚の上に、憲法とは似て非なる、全く新たな国家基本法を押し立てる攻撃というべきである。似て非なるという意味は、近代憲法は少なくともその建前においては、近代市民社会における市民の基本的権利を国家権力の専横から守るものとされてきたからだ。自民党の改憲案はこれを完全に逆転させる。
 事実、「論点整理」はその中で、憲法が国家権力を制限するための規範とみなされてきたこれまでの考え方を改め、今後は憲法が「国民の行為規範として機能し」「国民の精神」にも影響を与えられるようにしなければならない、とはっきり言っているのである。
 そこに出現するのは、まさに戦前・戦中の天皇制国家のような、恐るべき軍事独裁国家の姿である。歴史の歯車を一気に1930年代に押し戻すに等しいものである。
 この背景にあるのは、なによりも日本帝国主義の絶望的な危機である。米帝のイラク侵略戦争突入は、世界大恐慌の危機と世界の再分割をかけた帝国主義間の死闘を一気に激化し、日帝を土壇場に追いつめた。今日の改憲攻撃の本質はしたがって、極右勢力による単なる復古反動としてあるのではない。日本経団連・奥田を始めとする財界=日帝ブルジョアジーの中枢から、これまでどおりにはやっていけないという激しい焦りと、侵略戦争への凶暴な衝動が噴き出している結果なのである。
 自民党改憲プロジェクトチームによるこの作業が、イラク派兵を決定した昨年12・9閣議決定の直後に開始されたことは偶然ではない。日帝のイラク出兵は、イラク・中東人民大虐殺の侵略戦争に日帝自身が帝国主義として、米帝と一体となってどこまでものめりこんでいくことの宣言である。また北朝鮮・中国への新たな侵略戦争をも準備するものだ。それらは、帝国主義が帝国主義である限り、かつての中国侵略戦争が第2次大戦へと行き着いたように、最後は新たな世界戦争という破滅の道に行き着く以外ないものだ。
 第2次大戦の瓦礫(がれき)の中から生まれた憲法をいま、根本的に破壊しつくりかえるということは、日本という国が再び終わることのない戦争の道に突き進むことしか意味しない。これに対する労働者階級人民の回答は、日帝ブルジョアジーを打倒して、この腐りきった帝国主義の国家と社会を今こそ根本から変えようということだ。改憲阻止闘争の爆発は、その巨大な突破口である。
 小泉・自民党も、こんな改憲案を労働者人民の抵抗ぬきに押し通せるとは思っていない。攻撃の最大のテコになっているのは、民主党と連合の改憲派への転向だ。このことに怒りをたたきつけ、いまこそ9条改憲絶対阻止の一大運動をまきおこそう。本年8・15をその第一歩としよう。
 〔坂本千秋〕

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週刊『前進』(2160号4面2)(2004/08/02)

 自民党の改憲案(論点整理)の主要なポイント

前文 ▼全面的に書き換える
▼現憲法の国民主権・基本的人権の尊重・平和主義の3原則は堅持するが、行き過ぎた利己主義的風潮をいましめ、一国平和主義の誤りを正す
▼目指すべき国家像を「品格ある国家」として明示
▼わが国の歴史、伝統、文化等をふまえた「国柄」や、家族に関する文言、利己主義を排した「社会連帯・共助」の観点などを盛り込む
天皇制 ▼象徴天皇制を維持
▼天皇の行う祭祀を「公的行為」と明文で規定
▽天皇を国家元首とする
▽女性天皇を認める
安全保障 ▼9条第2項(戦力不保持・交戦権否認)は廃止し、自衛のための戦力の保持を明記
▼以下の規定を新たに盛り込む
 @個別的・集団的自衛権の行使 A内閣総理大臣の最高指揮権、文民統制 B非常事態全般(有事、テロや大規模暴動など治安緊急事態、自然災害)C国際平和の構築に関する新たな概念 D国際協力(国際貢献)E集団的・地域的安全保障への参加 F食糧・エネルギー安保
▽武力行使のルールに関する規定
▽非常事態における基本的人権の制限に関する規定
国民の権利及び義務 ▼新しい権利として以下のものを盛り込む
 @環境権 A情報開示請求権、プライバシー権 B生命倫理規定 C知的財産権の保護 D犯罪被害者の権利
▼新しい義務として以下のものを盛り込む
 @社会連帯・共助の観点からの「公共的な責務」に関する規定 A環境保全義務 B家族の扶助の義務 C国の防衛及び非常事態における国民の協力義務
▼政教分離を定めた20条の見直し
▼婚姻・家族における両性の平等を定めた24条の見直し
▼生存権を定めた25条の見直し
▼「公共の福祉」は「公共の利益」に言い換える
▽地方参政権(93条)に国籍条項を明記
国会及び内閣 ▼二院制の見直し(参議院の権限縮小または廃止)
▼政治判断を迅速に実行に移すためそのプロセスを大胆に合理化する(議会の定足数の廃止、大臣の国会出席義務緩和など)
▼内閣の文民規定(66条)を削除
▽首相公選制の導入
※政党に関する規定を置く
司法 ▼憲法裁判所の設置
▼裁判の迅速化
▼最高裁判事の国民審査制度(79条)の廃止
▼裁判官の任期、身分保障等の見直し
▽特別裁判所(軍事法廷)の設置
財政 ▼私学助成や宗教団体への公金支出規制(89条)の見直し
※非常時に緊急の財政処分を可能にする規定を設ける
地方自治 ▼広域自治体(道州制)の導入
▼地方自治のあり方について新たな原則(自主財源、自己決定権と自己責任、補完性)を定める
▽住民投票の濫用防止規定を設ける
改正 ▼憲法の改正要件を大幅に緩和(議会の過半数の賛成で発議可能とし、また3分の2以上が賛成した場合は国民投票は行わない)
最高法規 ▽現憲法10章は削除する
その他 ▽領土(国家の主権が及ぶ地理的範囲)を明記
▽国旗・国歌に関する規定を憲法に明記
▽は改憲草案作成までにさらに討議を重ねるとされている事項。※印は今回の論点整理にはないが、討議の過程で有力な意見としてあったもの

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週刊『前進』(2160号4面3)(2004/08/02)

全力で共謀罪廃案へ 7・17 共同行動が総決起集会

 7月17日夕方、破防法・組対法に反対する共同行動主催の「共謀罪審議入り阻止!臨時国会で廃案を!7・17総決起集会」が80人を集めて渋谷勤労福祉会館で行われた。
 集会参加者は、第159国会で共謀罪新設を阻止した勝利の総括の上に、今秋臨時国会が共謀罪廃案に向けた「決戦」になったことを確認し、諸戦線の合流で、反治安法・反警察・反弾圧そして反戦・反改憲の機運を盛り上げて闘うことを決意した。
 集会は、司会を担った婦人民主クラブ全国協の女性の開会宣言で始まった。
 連帯のアピールの最初にビッグレスキュー2004に反対する荒川・墨田・山谷地区実行委員会が発言した。石原が防災に名を借りた治安出動訓練を今年は東部を中心として、警察と自衛隊を動員して行おうとしていることを弾劾した。
 続いて、主催者が基調報告を行い、戦争国家化と治安管理国家化が表裏一体で進行する現状に警鐘を乱打した。そして、今秋決戦での共謀罪廃案をかちとるための以下の方針を訴えた。
 @国際共同声明の拡大と全国各地でのミニ学習会。A翼賛国会に切り込み、さまざまな労働運動・市民運動との広範な連携をつくりだす。Bマスコミの情報管制を突破する。C10・3共謀罪阻止大集会を軸としたハンストなど創意工夫した闘争を行う。
 次に「反戦ビラ弾圧に抗して」と題した特別報告を被告団の1人である立川自衛隊監視テント村の労働者が行い、「弾圧の狙いは、微罪逮捕で組織をつぶすこと」と暴露した。そして、予想外の支援運動の広がりを報告し、不当弾圧を必ず粉砕する決意を語った。
 再び連帯のアピールとなった。
 「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者は、「教組の枠を越えて教基法改悪と闘う」決意を表明した。
 共同行動で隊列を同じくしてきた「郵政マル生粉砕・処分撤回・原職奪還!4・28連絡会」の被免職者は、6月30日に東京高裁で懲戒免職処分取り消しの勝利判決をかちとったことを報告し、上告した郵政公社と最高裁で闘う決意を述べた。
 渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合は、ホームレス特措法は警察力による強制排除のための治安法であることを暴露・弾劾した。
 動労千葉は、戦争協力拒否宣言を全会一致で採択し春闘ストライキに突入する中で不当配転された労働者の原職復帰をかちとったことを報告した。そして労働者が闘えば必ず勝てることを訴えた。
 最後に共謀罪新設阻止などのシュプレヒコールをあげ、7月30日から始まる短期の臨時国会に対する先制的な行動として集会をかちとった。

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週刊『前進』(2160号4面4)(2004/08/02)

日誌'04 7月14日〜20日
 経団連が武器禁輸再考要求 在日米軍再編を日米が協議

●イラクBC兵器保有せず 米英がイラク戦争を正当化する根拠とした大量破壊兵器が見つからない問題で、英国の独立調査委員会(委員長・バトラー元内閣府長官)が、開戦前、イラクは配備可能な生物・化学兵器を持っていなかったと指摘する報告書を発表した。(14日)
●米軍再編を日米が協議 在日米軍の再編問題を話し合う外務・防衛当局の日米審議官級協議が2日間にわたりサンフランシスコで行われた。米側は、在沖海兵隊の一部約2600人をキャンプ座間(神奈川県)などに移転することや、米海軍厚木基地(同)の海兵隊岩国基地(山口県)への移転、海兵隊普天間飛行場(沖縄県)の嘉手納空軍施設(同)への統合、第13空軍司令部(グアム)の横田基地(東京都)への統合などを提案した。在日米軍基地の司令機能や即応態勢を強化し、前方展開の拠点化を狙うもので、米政府は11月の大統領選前にも合意したい意向。移転先自治体からの強い反対もあり、交渉具体化には難航が予想される。(15、16日)
●国防総省不満示す、と宜野湾市長 08年までに普天間飛行場の閉鎖・全面返還を米政府に要請するために訪米中の伊波洋一宜野湾市長がワシントンで記者会見し、国防総省当局者が普天間飛行場の移設計画の遅れに不満を示したことを明らかにした。伊波市長によると、国防総省のジョン・ヒル日本部長は13日の会談の中で「代替施設の建設が長期化していることに国防総省も欲求不満を感じている。民間飛行場が6年から9年でできるのに代替施設の建設に16年もかかるのはなぞだ」と不信感を示した。(16日)
●在日米軍に独自指揮権 米軍が横田基地から陸軍のキャンプ座間への移転を計画している新たな在日米軍司令部の構想で、日本国内に駐留する陸海空軍と海兵隊の部隊を統括する独自の指揮権を同司令部に付与する方針が明らかになった。現在は在日米軍司令部に独自の指揮権はなく、各軍がハワイの太平洋軍司令部の直接指揮を受ける形になっている。(19日)
●原子力施設、民間人にも守秘義務 原子力発電所や核燃料物質を狙った「テロ活動」を防ぐため、政府は、現在は公務員に限定されている罰則付きの秘密保持義務を、民間人にも拡大する方針を固めた。原子炉等規制法を来年改正する。(19日)
●米軍ヘリ、機銃弾200発落とす 米海軍厚木基地(神奈川県大和、綾瀬市)の南約6・5`を飛行していた米海軍ヘリから銃弾200発が入ったアルミ製の弾薬箱が落下した。同日夜までに横浜市泉区の2カ所で計195発を発見、回収した。(19日)
●フィリピン、イラク撤退完了 イラクのフィリピン人労働者の人質事件をめぐり、武装集団の要求に応じる形でフィリピン部隊51人がイラクから完全撤退を完了した。(19日)
●キティホークが世界同時演習へ 米海軍横須賀基地を母港とする空母キティホークが同基地を出港した。米海軍の空母7隻が世界各地に同時展開する初の大規模演習「サマーパルス04」に参加するため。海上自衛隊との共同演習も予定されている。(19日)
●経団連が「武器禁輸再考を」と要求 日本経団連(奥田碩会長)が、武器輸出を禁じている「武器輸出3原則」と「宇宙の平和利用原則」の見直しを求めて「今後の防衛力整備のあり方」と題する提言をまとめた。政府が今年、防衛大綱と中期防衛力整備計画(01〜05年度)を見直す日程をにらんで、政府への働きかけを強める方針。(20日)
●サマワに無人偵察ヘリ 防衛庁がサマワで活動する陸上自衛隊の安全を確保するため、無人偵察ヘリ数機の配備を検討していることがわかった。早ければ8月にも派遣する。(20日)

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週刊『前進』(2160号5面1)(2004/08/02)

参院選大敗の日本共産党
 帝国主義擁護の反革命的新綱領路線の必然的帰結

 日本共産党は、今回の参院選で選挙区0、比例区4人の当選という惨敗を喫した。00年の総選挙、01年参院選、03年統一地方選と総選挙に続く5連敗である。この事態は何を意味するのか。6年前の「野党連合政権」構想や、今年1月に開かれた23回党大会での綱領改定とどういう関係があるのか。結論的に言って、労働者階級に背を向け「日本国民の党」に転落した新綱領路線の必然的結果として、参院選の敗北がある。現実の侵略戦争に対する反戦政治闘争、労働運動、統一戦線の闘いをネグレクトし、逃亡する日本共産党指導部に対する闘う労働者階級人民の大きな怒りと反発があり、党員の大量の離反が起きている。今こそ、この日本共産党のもとにいたら、帝国主義の攻撃にどこまでも屈服させられてしまうことをはっきりと提起しなければならない。

 比例区・選挙区とも絶対得票率が減少

 今回の選挙結果は、日本共産党の大きな後退を示している。比例区では5議席を「絶対確保議席」としたが、3年前とほぼ同数の436万票で、4人当選にとどまった。
 選挙区では、6年前の獲得議席である7議席を守るとしたが、埼玉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫のいずれにおいても落選した。埼玉、東京、大阪では次々点であり、次点の選挙区でも当選者に大きく水をあけられ、議席を争った候補はない。選挙区で議席ゼロというのは45年ぶりである。選挙区総得票数は、552万で3年前の選挙での536万からほとんど増えていない。
 これによって、日本共産党の獲得議席は4、非改選議席5を加えて新たな議席は9となった。すでに衆院で議案提出権を失っていたが、参院でも議案提出権を失った。委員長も衆参でゼロとなった。
 別表に見るように、絶対得票率(対有権者比の得票率)では、比例区、選挙区とも基本的に年々減少している。不破議長・志位委員長体制になった00年11月の22回党大会以来、国政選挙3連敗が続いている。

 比例区で現職3議員を解任

 そもそも日本共産党はどのような目標を立てて、この選挙を戦ったのか。1月の23回党大会では、「総選挙での到達点をリアルに直視し、それを土台に着実に前進をはかる方針」を立て、「反転攻勢を実現する決意で臨む」とした。昨年11月の総選挙での得票の133%の610万票以上獲得(得票率で10%)を打ち出し、選挙区での7議席獲得をめざすとしていた。スローガンとしては「比例610万以上で5議席を」「7選挙区押し上げへ、全国から応援の声を」というものである。しかし、東京選挙区で現職の井上美代議員を降ろして都委員会副委員長の無名の新人を立てたことに示されるように、最初から投げていたとしか言えない選挙であった。
 さらに比例区の候補についてはもっと「不可解」な動きがあった。当初昨年5月の第6回中央委員会総会(6中総)で、全国を八つの地域に分けて、「個人名での投票をお願いする」方針を決定した。これは比例区で改選8議席の維持を目標にしたということだ。しかし11月総選挙での大敗を受けて、急きょ方針を変更する。総選挙比例代表の票数で試算すると参院では3議席しかとれない、したがって区割り地域を持つ候補者を5人に絞り、現職3人を含む4人の候補を解任して、1人の新人を加えるとした。
 これは非拘束名簿式比例代表選挙では、候補を増やすと同党の他候補が市田書記局長の票を上回ってその当選を脅かすかもしれないということで、現職を3人も外す措置をとったものと言われ、党内で反発を呼んだ。現職議員は知名度もあり、集票力もあるわけなのになぜ解任するのかという不満である。
 選挙の結果に対する日本共産党の対応も、責任回避がめだつ。志位委員長は父親の「入院」を理由に開票中の各党党首の記者会見からも逃亡した。志位はその前にも、国会の最重要の時期である5月下旬から2週間「発熱」を理由に党務を離れており、指導体制の重大な危機をうかがわせる。
 日本共産党は、選挙結果についての党声明をめぐって指導部の意見がまとまらず、1日遅れで13日に中央委員会常任幹部会の声明「参議院選挙の結果について」を発表した。それによると、「『自民か、民主か』という『二大政党』の流れが強力につくられるもとで、私たちの訴えは、国民の世論を大きく動かすにはいたりませんでした」「わが党が議席を後退させ、反転攻勢にいたらなかった原因には、こうした選挙戦の複雑で困難な条件がありました」というのが総括の基本点になっている。
 しかしこれでは、21世紀に入ってから後退し続けていることの説明にはならない。問題は、今日の日本共産党の綱領路線そのもの、そのもとでの大衆運動の圧殺、労働運動の切り捨てにこそある。こうした現実の運動と切り離されたところでの議会主義的な集票運動から多くの党員が離反し不活発化していることが、敗北をもたらしたのである。
 7月21日に行われた日本共産党創立82周年記念講演集会で、志位は「党の国政の責任者として、責任を痛く感じています」と述べたが、内容に踏み込んでの切開は何も行われていない。まさに日本共産党の崩壊に向かっての一歩をしるした記念集会となった。

 戦時下の階級闘争で歴史的な裏切り

日本共産党は、今日の帝国主義の危機も世界戦争情勢も、日本が侵略戦争に突入し戦時下の階級闘争が闘われているという現実も、まったく見ようとしていない。今回の参院選は、そのような侵略戦争と労働者人民への犠牲集中、要するに「外に向かっての侵略戦争、内に向かっての階級戦争」という日本帝国主義の攻撃についてしっかり把握し、闘うものでなければならないのに、日本共産党にはこれと真っ向から対決するということがまったくないのである。
 したがって、労働者階級が小泉の戦争政治と、年金改悪に示される生活破壊の攻撃に「小泉ノー」の闘いに立ち上がったものとして、参院選の結果を出したことをまったく見ることができない。
 労働者人民の票が「小泉に一泡吹かせる」という意志となってさしあたり民主党に流れたとしても、それは民主党を心から支持するものとしてあるのではない。
 だからわれわれは、今次参院選の結果が示している小泉打倒、帝国主義打倒に向かっての大きな意義を確信を持って確認することができる。
 このような時代認識とまったく無縁に、帝国主義をそのままにして、資本主義のルールのもとでの健全な発展があるかのように宣伝し、体制に翼賛する勢力に転落してしまっているのが日本共産党なのである。

 今春闘争からの逃亡と敵対

 日本共産党は日帝・小泉のイラク侵略戦争参戦・自衛隊派兵と有事7法案・3協定条約承認案の強行、年金改悪とリストラ・賃下げという「外に向かっての侵略戦争、内に向かっての階級戦争」の攻撃に対して、労働者階級の階級的団結をもって真っ向から闘いぬくという道に敵対し、背を向けた。
 特に3・20イラク反戦全世界統一行動に対しては、芝公園での分裂策動に走り、労働組合の闘いの大合流を妨害した。さらに、有事法制の国会審議の最も重要な時期に設定された、陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかける5・21明治公園集会では、日共系の全労連などの徹底的な動員サボタージュがあり、集会を傷つけた。
 今春過程では、一貫してこのような統一行動破壊、闘争放棄が繰り返された。日本共産党中央として、まさに新たな15年戦争への突入とも言うべき重大な情勢にあたって、階級的な大衆闘争をもって対決するどころか、これに敵対したということである。
 そしてこのような大衆闘争と切断された選挙運動というものが、日帝・小泉に対する反撃の闘いになり得ないことは明白であり、党員を活性化させることもなかったのである。

 労働者階級に背を向けた綱領改定

 2000年の総選挙以来、日本共産党不破・志位指導部は、03年の統一地方選での大後退も含めて、連戦連敗である。その原因は、98年以来の不破・志位指導部の超右翼路線にあることは明白だ。
 今年1月の第23回大会で、日本共産党は党綱領を抜本的に改定した。そこでの最大の特徴は、「労働者階級の闘い」を完全に抹殺し、「日本国民の党」にしてしまったことである。「労働者階級」という言葉自体を階級的な意味のある用語としては一掃してしまった。労働者階級の自己解放闘争と労働運動、労働組合運動、階級的団結などを百パーセント抹殺してしまったことが、最大のポイントである。
 賃労働と資本は階級的対立関係にあり、資本家階級と労働者階級は相互に非和解的な存在である。労働者階級こそが革命の主体である。このマルクス、エンゲルスの「共産党宣言」の一貫した主張を完全に抹殺し尽くしたものが、日本共産党の新綱領である。
 そして、労働組合という用語も、団結権、団体交渉権、ストライキ権という労働三権も、これまでの綱領から排除した。そして、労働者階級の闘いという要素をことごとくなくしてしまった上で、「大企業の社会的責任」「ルールなき資本主義からルールある経済社会へ」「国民の生活と権利を守るルールづくり」などに置き換えた。大企業が社会的責任を自覚し、それを果たすことが「ルールある経済社会」をつくりだすものとして理想化されたのである。大企業(=大資本)の存在と役割を積極的に規定する綱領になったわけである。日本経済の発展のためには大企業の安定と存続こそが大事だと主張している。不破は、「私たちは大企業を敵視したり、打倒しようなどとは考えていません」と繰り返すが、それは大企業の発展のためには最大限協力しますということを意味している。
 新綱領は、労働者階級の立場から資本家階級の立場への完全移行を宣言するものであり、労資協調主義、企業防衛主義の綱領である。
 新綱領は「資本主義の枠内での民主的改革」論の集大成である。それは、世界的に資本主義=帝国主義が行き詰まり、危機を深め、「外に向かっての侵略戦争、内に向かっての階級戦争」に訴える以外に立ち行かなくなっている中で、この危機をプロレタリア革命に転化し、資本主義=帝国主義を打倒するのではなく、資本主義の防衛のために全力を挙げることを宣言しているのである。
 このような改良主義の綱領は、労働者階級の生活実感からも受け入れがたいものであり、このもとで労働者の階級的な決起を生み出すものではあり得ない。今次参院選での日本共産党の大敗という現実の底に横たわっているのは、このような反革命的な綱領そのものである。
 この綱領改定をもって参院選に臨む(得票を133%アップする)というのが日本共産党の掲げた目標であった。そして、その結果は歴史的大敗北として見事に表れたと言わなければならない。

 治安弾圧の強化を要求するまで転落

 実際に日本共産党の選挙政策には、戦時下の階級闘争を発展させるという観点はまったくないどころか、完全にこの流れに屈服し、一面ではこの流れにさおさして帝国主義の人民弾圧に加担するものとなっている。その最大の例が前号6面でも取り上げて断罪した治安弾圧攻撃への全面屈服・加担の政策である。
 そもそも、この参院選政策は、日帝のイラク侵略戦争への参戦という現実にどのような態度をとるかが迫られている中での、まさに戦争か革命かを争うものでなければいけないものであった。ところが、日本共産党の参院選政策には、イラク反戦闘争についても、有事法制に対する闘いについても、まったくないのだ。
 イラク戦争については、「国連安保理決議」を支持し、国連のもとでのイラク復興をうたうものであり、イラク人民と連帯し、日韓米労働者の連帯で帝国主義の侵略軍隊をたたき出す闘いと真っ向から敵対する方針である。
 また、有事法制について「完成させない、発動させない、協力しない」という20労組が提起する「三ない運動」とは無縁のところにいる。
 その上で、特筆すべきこととして、治安弾圧攻撃に対する積極協力がある。日本共産党は、個別政策の16番目に「国民の生命と安全をまもるために」という項目を設け、「治安への不安にこたえる」と称して「警察官の増員で空き交番をなくす」などの警察強化をうたっているのである。
 日帝の侵略戦争参戦は、従来の治安弾圧政策を一変させている。まさに戦時下の治安弾圧としか言いようのない攻撃が次々と襲いかかってきているのだ。
 敵の攻撃は、戦時下にあっては、日本共産党的なあり方までも許さないとして日共をも一掃の対象としてきている。それは、今年3月に社会保険庁の労働者が休日に『赤旗』号外を配ったことを口実にした「国家公務員法違反」の逮捕・起訴、家宅捜索の弾圧にも表れている。しかし、当の日本共産党はこの弾圧に震え上がり、自分たちはテロ組織とは違う、それどころか「テロ根絶」を掲げて権力と一緒に闘っているのだと、泣きついているのである。
 そればかりか、国労5・27臨大闘争弾圧のように闘う国鉄労働者を権力に売り渡すのが現実の日本共産党の正体である。
 今や、権力にどこまでも屈服して、権力の強化に協力することで延命を図ろうとするところまで日本共産党の転落と腐敗は深まった。労働者階級の闘いに背を向け、敵対し、日帝支配階級に迎合し、戦争翼賛勢力化していく日本共産党に未来はない。日本共産党を真にのりこえる闘う労働者党を建設するために闘おう。
 〔高田隆志〕

 最近の国政選挙での日共の得票と議席

 
比例代表・比例区
小選挙区・選挙区
  得票数(万) 得票率(%) 議席 有権者比(%) 得票数(万) 得票率(%) 議席 有権者比(%)
98参院 820 14.60 8 8.27 876 15.66 7 8.84
00衆院 672 11.23 20 6.69 735 12.08 0 7.32
01参院 433 7.91 4 4.25 536 9.87 1 5.29
03衆院 459 7.76 9 4.48 484 8.13 0 4.73
04参院 436 7.80 4 4.25 552 9.84 0 5.38

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週刊『前進』(2160号5面2)(2004/08/02)

国労弾圧公判 “与党に従い臨大を開催” チャレンジ池田証人が白状

 7月21日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第26回公判が開かれ、国労長野地本幹部の池田久幸証人に対する弁護団の鋭い追及が行われた。
 冒頭、大口昭彦弁護人が意見を述べ、全逓4・28反処分闘争の高裁逆転勝利判決に引きつけて、この弾圧を粉砕し国鉄闘争に勝利する展望を明らかにした。
 全逓本部は、組合指令に従って争議を闘い懲戒解雇された組合員に対し、処分撤回を求める裁判の取り下げを強い、それに従わない被解雇者の組合員資格を奪いさる暴挙に手を染めた。この全逓本部の歩んだ道をより徹底した形でたどっているのが、今日の国労本部の姿である。自民党に言われるままに闘争団員を統制処分に付し、それに反対する組合員を警察に売り渡した国労本部は、今日ますます裏切りを深めている。だが、4・28被処分者が原則的に闘い勝利したように、本件被告や闘争団員も労働者の大義を貫き必ず勝利を手にするだろう。こう言い切った大口弁護人の陳述は、法廷を圧倒した。
 続いて富田益行被告が意見陳述に立ち、8月国労全国大会を前に本部が出した運動方針案を「解雇撤回・JR復帰のスローガンが完全になくなっている」と厳しく断罪し、「酒田は団結破壊の張本人だ。われわれの闘いは正義。闘争団と連帯して最後まで闘う」と力強く宣言した。

 政治解決路線の破産があらわに

 池田証人が入廷した。彼は02年5・27臨大当時、長野地本東北信支部委員長の地位にあり、大会当日は長野地本の組合員20人を率いて大会警備に当たった責任者だ。吉田進書記長の指示のもと、長野地本でチャレンジ路線を遂行してきたのも彼である。
 弁護団の追及は、00年7・1臨大から01年1・27大会での4党合意の受諾決定、その後も繰り返された自民党による国労本部へのさまざまな恫喝、02年4月の与党声明とそれを受けての5・27臨大、02年12月の与党の4党合意離脱に至る全経過に及んだ。
 前回公判で池田証人は、「4党合意は苦渋の選択。これで解決できればいいと思った」と述べていた。佐藤昭夫弁護団長が「JRの責任追及という従来の方針を本部が独断で転換したのではないか」と追及した。池田証人は「政治解決を求める方針は以前から確認されていた。4党合意はその結果」とうそぶいた末、「政治解決を求めるILO勧告が出されている。4党合意が壊れたからと言って、政治解決の方針は変わらない」と言い放った。
 だが、4党合意がJR不採用問題の「解決」など何ひとつもたらさなかったことは、今や周知の事実である。重要な質問になると「本部役員でないから分からない」としらを切る証人に、弁護団は「JRに法的責任がないことを認めるという重大な妥協をするのに、それで何が得られるかは分からなかったのか」とたたみかけた。池田証人は「それが苦渋の選択というもの。本部が全力で解決交渉を進めるというのなら、地方でそれを支えるのが私の役目」と開き直った。
 尋問の焦点は3与党声明と5・27臨大の関係に移った。3与党声明は、自民党らが国労本部に対し、闘う闘争団の圧殺を露骨に迫ったものだった。こうした支配介入に屈して開かれたのが、闘争団員の査問委員会への送致を決定した5・27臨大だ。この事実を突きつけると、証人は5・27臨大が与党の要求に従って開かれたことを渋々認めた。
 02年12月の与党の4党合意からの離脱の後、国労本部がILOに送った書簡には「(与党による)不当な組合活動への干渉」があったと書かれている。これを指摘された証人は、「私も3党声明を読んだ時、組合が独自に判断すべきことに立ち入っていると思った」と証言した。それでいながら彼は、「(警備係として)臨大を正常に運営するのは当然」「(闘争団を査問にかけるのは)本部方針に従わないのだから仕方ない」と言ってのけたのだ。
 彼はまた、長野地本が紋別闘争団、美幌闘争団への支援を打ち切ったことも「仕方ない」と居直った。
 弁護団の追及は、01年末の新井修一元中執(長野地本出身)の国労からの脱落問題に及んだ。池田証人は新井の「4党合意に基づく解決案を不満があってものむしかない」という主張について「そのとおりと思った」と証言した。これこそ最悪の団結破壊である。
 国労本部の政治解決路線の破産は池田証言によっても明白になった。彼への尋問は次回(8月5日)も続く。8月国労大会を酒田執行部打倒・国労再生の決戦として闘おう。無罪要求の10万人署名と許さない会の会員拡大へ全力で闘おう。

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週刊『前進』(2160号5面3)(2004/08/02)

“審判は下った! 建設断念せよ” 糸数議員先頭にデモ

 7月15、16日、名護と那覇で名護新基地建設阻止を訴える集会(デモ)が闘われた。辺野古漁港前でボーリング工事の着工を阻み続けてきた「命を守る会」を先頭とする座り込み闘争は、すでに3カ月を超えた。7月27日には、座り込み行動100日記念の辺野古大集会が予定されている。万難を排して名護・辺野古へ駆けつけよう。カンパを集中しよう。

 名護で報告集会

 15日夕、ヘリ基地反対協主催の「ボーリング調査阻止! 座り込み行動報告会」が名護労働福祉センターで開かれ、約60人が集まった。
 冒頭、ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表が「参院選での糸数慶子氏の圧勝に触れ、「勝利の風が吹いてきた。日米関係も不協和音が大きくなっている。100日にならんとする辺野古への座り込み行動も新たな段階に入ったと言える。心をひとつにすれば必ず勝てます」と自信をもって語った。基地の県内移設に反対する県民会議の山内徳信共同代表は、伊波洋一宜野湾市長の米政府への要請行動について報告した。
 メインである座り込み行動の経過報告と切り開いた地平について、ヘリ基地反対協の大西照雄さんが提起した。「私たちが2639日プラス何日という表現で座り込みの日数を数えていることには大変重い意味がある。基地建設問題が持ち上がってから8年間、辺野古のおじい、おばあは1日も欠かさず守る会の事務所に座り込んできた。この8年間のおじい、おばあたちの意志をしっかりつかむことが重要」と確認し、那覇防衛施設局と公安警察がぐるになって座り込み闘争を破壊しようとしていることに警鐘を鳴らすとともに、「今以上に名護市民が座り込みに参加してくれれば、必ずSACOは破綻(はたん)します。一度でも1時間でもいい、辺野古に座り込みに来てください」と訴えた。
 ヘリ基地反対協の構成団体の意見交換が行われた。二見以北10区の会の東恩納琢磨さんもマイクを握った。「最初は不安もあったが今は勝てそうな実感を持っている。辺野古をジュゴン保護区にする夢を現実に変えたい。この闘いを県内外、全世界に広めていこう」
 最後に再度安次富代表が「辺野古の座り込み行動が日本政府を震撼(しんかん)させ、手を出せない状況を強制している。ここが正念場、座り込みを強化しよう」と強く訴えた。

 那覇で1日行動

 翌16日は那覇での一日行動が取り組まれた。まず県民会議とヘリ基地反対協が那覇防衛施設局に申し入れ。糸数慶子参院議員、赤嶺政賢衆院議員が同行したためか、部長が応対に出てきたが、2カ月前から求めている「公開質問状に対する文書回答」については、またも「前例がない」と拒否した。次回交渉は7月30日に設定された。続いて国会議員とともに県庁を訪問、稲嶺知事に面会を求めたが拒否され、県に「基地建設の白紙撤回を求める」申し入れを行った。
 午後6時半、県庁前の県民広場で「審判は下った! 海上基地建設を断念せよ!」の集会が始まった。ヘリ基地反対協と平和市民連絡会が共催し、参加者は200人を超えた。
 集会ではヘリ基地反対協の安次富共同代表を始め、反戦地主会の照屋秀伝会長、県民会議の山内徳信共同代表などが次々に発言に立った。誰もが参院選での糸数圧勝に触れ、31万票に上った基地建設反対票の力強さを確信も固く語った。平和市民連絡会の平良夏芽牧師は、「私たちはイラク戦争を止めることができなかったが、基地建設を止めることで必ずや人殺しを、戦争を止める」ときっぱりと決意を示した。
 あいさつに立った糸数さんに拍手と指笛が響きわたる。糸数さんは基地建設阻止への固い決意を語った。
 集会後、国際通りを糸数議員を先頭にデモ行進。沿道からの拍手や声援が至る所で寄せられる。まさに沖縄県民の意思はひとつ、「基地反対の審判は下った!」のだ。
 7月27日、辺野古に集まろう。午後7時から開かれる「基地建設阻止、座り込み100日集会」(主催・県民会議、ヘリ基地反対協)に駆けつけよう。

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週刊『前進』(2160号5面4)(2004/08/02)

韓国 地下鉄同時ゼネスト

 韓国 地下鉄同時ゼネスト

 7月21日午前4時、ソウル地下鉄とソウル都市鉄道、釜山(プサン)・仁川(インチョン)・大邱(テグ)地下鉄の5地下鉄労組は初の同時ゼネスト突入! 悪名高い「職権仲裁」によるスト禁止攻撃を突き破る実力闘争だ!「週5日制による労働強化、非正規職の量産という構造調整、鉄道公社化阻止闘争に勝利しよう」と決意しスト前夜からソウル地下鉄3号線チチュク車両基地に集まった7500人余の組合員。

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週刊『前進』(2160号6面1)(2004/08/02)

団結ひろば 投稿コーナー

 青柳氏のイラク現地報告と天神一周デモ 福岡 梶原 円

 7月18日、アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会の呼びかけで「自衛隊・米英連合軍は直ちにイラクから撤退せよ! イラク民衆への虐殺を許すな」集会と天神一周のデモが約100人の参加で行われました。(写真)
 デモに先だって福岡県農民会館で行われた集会では、同実行委員会代表で、今年5月中旬にイラクを訪問された青柳行信さんが、現地報告を行いました。
 報告では、青柳さんが現地で撮ってこられた写真がスライド上映されました。写真は、同行のイラク人から「カメラを向けると米軍は撃ってくるからやめろ」と制止された中で命がけで撮ってこられた写真で、現地の状況がなまなましく報告され、迫力に満ちたすばらしいものでした。
 イラク現地では、米軍が4〜5台の車列を組んで、イラク人に対して機関銃の銃口を向け、威圧しながら猛スピードで物資の輸送などで移動しているところに何度も遭遇されたそうです。しかし、銃を構えている若い米兵のその顔は、イラク人民のゲリラ戦闘への恐怖に満ちあふれていたそうです。
 また、ホテルの前を警備していた米兵の写真を撮った青柳さんは米兵にとがめられ、イラク入りしたときから隠れて撮りためた写真のフィルムを奪い取られたそうです。写真を撮られただけで、フィルムを奪い取らなければならないほど、米兵は緊張の連続を強制されています。
 話を聞けば聞くほど、追いつめられているのが帝国主義占領軍の方であるということが鮮明になりました。この講演の後、怒りも新たに、天神の街にデモに出て、市民に自衛隊の即時撤退と、多国籍軍への参加を止めようと訴えました。デモには歩道から飛び入りで外国の人も参加され、力強いデモとなりました。

 「一口10万円単位のカンパ」だなんて…… 匿名希望

 知人にすすめられ、前進を時々読んでいます。
 私は、今の職場に「半年後には正社員にする」約束でパートに入ったのですが、5年たった今もパートのままです。何度か会社に約束を守ってほしいと訴えたのですが、「今は不況だから」と言われつづけたあげく、「あなたより若くて仕事ができる人を派遣で雇うこともできるんですよ」と言われてしまいました。
 この5年の間に、舅(しゅうと)が転んで骨折し寝たきりになった。主人はリストラにあい、アルバイトしかみつからない、ということを会社は知っているのでしょう。「学歴も資格もない40すぎの女を会社においてもらえるだけでもありがたいと思え」と言わんばかりの社長の態度に何度泣いてきたことか……。
 そんな中で前進に出会いました。リストラにあった人や、パートさんからの投書は、つらいのは自分だけじゃないんだと私を慰めてくれます。長い文章は難しくて読めませんが、年金や介護など身近で切実な問題の記事は辞書を引きながら少しずつ読んでいます。パートさんや失業者、お年寄りなど私のように貧しく弱い立場の人のための前進だと思っていました。
 でも、カンパのお願いの記事を見て驚いてしまいました。「一口10万円単位のカンパ」だなんて……。前進の読者ってそんなカンパが払える人たちだったのか。大企業や公務員が多いのかしら……。(零細企業の私の会社では、20年くらい働いている男の人でもボーナスは十数万です)
 急に前進が遠い存在になってしまいました。私は何か思いちがいをしてたのかもしれない、そう思うと寂しさがこみあげてきます。
 こんなことを書いてごめんなさい。貧しき名も無き一読者の愚痴だと聞き流してください。
 皆様のご健闘をお祈りします。      
 かしこ

 アピール筆者の返事

 右の匿名読者の投稿への返事をカンパアピールの筆者に書いてもらいました。
 (編集局)
 投稿ありがとうございました。仕事に介護にと、毎日の忙しい時間を縫って 『前進』をお読みくださった上、「カンパのお願い」を全身で受け止めて投稿していただいたことに心から感謝します。責任に身の引き締まる思いでいます。 
 「半年後に正社員」の約束が5年たってもまだパートのまま、おつれあいはリストラにあいアルバイト、「私の会社では20年勤続の男の人でもボーナスは十数万」という現実には本当に怒りを禁じえません。
 総務庁の統計では、1998年から2003年までの5年間で、1世帯あたりの平均月収は8万7659円減っています。この上に介護保険料や年金保険料の支払いが生活を圧迫しています。労働法制の改悪はこれに拍車をかけています。
 ものを作り、それを社会のすみずみにまで流通させているのは労働者です。労働者ぬきに社会を運営することはできません。それなのに、なぜ労働者の生活は悪くなる一方なのか? この悪政をどう変えていくのか! 現状を抜本的に変える闘いとして「10万円を単位とするカンパのお願い」を書きました。
 労働者の新しい社会をつくるためには、それを可能とする運動資金が絶対に必要です。そしてそれは、社会の圧倒的多数である労働者人民一人ひとりのカンパに依拠して初めて成り立つと思います。
 例えばこの『前進』は、1969年の破壊活動防止法の発動以来35年間、何度も法律的に発行禁止が狙われ、そのたびに全力ではね返してきました。また、以前は『前進』の印刷は民間会社に発注していましたが、ある時その印刷機が破壊されました。この試練に際し、皆がカンパを集め、土地も建物も編集・印刷機も完全に自前の印刷所を都内に建設して、『前進』を読者に届けることができるようになったのです。
 『前進』が報道する各種の集会・抗議行動・学習会・選挙・海外派遣なども、すべて支持者の皆さんのカンパによって実現できています。弾圧に対する闘い、一回一回の裁判費用ももちろんそうです。カンパと無関係な闘いや記事はひとつもありません。私たちの闘いは、そうした力によって支えられてきました。心から感謝するとともに、さらなるカンパを訴えるゆえんです。
 「カンパのお願い」での「10万円を単位とする」という呼びかけは、ご指摘のとおり言葉不足で、ご心配をおかけした点があり、深く反省しています。
 その上で、訴えにこたえて、公務員労働者に支給された一時金の8割が、一時金が出ない青年のアルバイトで稼いだ2万円が、「年金からの1万円です」という手紙とカンパが、次々と届いています。
 それぞれ万感の思いを込めたカンパに襟を正して向き合い、1円も無駄にしないで使うことをお誓いします。あえてもう一度、7月下旬のこの時期にカンパをお願いします。
 私たちは、すべての同志、支持者、読者の皆さんとともに参院選の結果に表されている労働者の怒りの最先頭で闘う決意です。

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週刊『前進』(2160号6面2)(2004/08/02)

「君が代」不起立 再発防止研修やめよ
 137人が執行停止求め提訴 許せない思想改造強要

 今春「日の丸・君が代」闘争に立ち上がった教育労働者に対して東京都教育委員会が命じた「服務事故再発防止研修」の実施日が、8月2日、9日と切迫している。不当・違法な再発防止研修をなんとしても阻もう。被処分者とともに闘おう。
 都教委が「君が代」不起立などを理由に懲戒処分した被処分者に命じた再発防止研修に対し、被処分者137人が7月16日、処分の取り消しおよび行政処分執行停止を求める訴えを東京地裁に起こした。
 再発防止研修は、都教委が5月末に決定し、6月28日に被処分者に通知したもの。周年行事や卒・入学式の「君が代」斉唱時に起立や伴奏を拒否したなどの理由で懲戒処分を受けた教育労働者223人を対象に、8月2日、9日の2日に分けて、東京都総合技術教育センターで実施しようとしている。
 そもそも服務事故再発防止研修とは、都教委が2001年3月、飲酒運転など「非行」を起こした教育労働者の再発防止を図るという名目で設けた制度である。その要綱には、「被処分者が行った非行に対する反省を促すとともに、今後の再発防止を図るための研修成果を確認する。被処分者に、自ら行った非行に関する報告書を作成させる」と明記されている。

 不起立に対し「反省文」強制

 「日の丸・君が代」被処分者をこの研修の対象とするのは、今回が初めての事態だ。研修において、「君が代」斉唱時の起立や斉唱、伴奏を拒否したことを「反省」させ、「報告書」という名の反省文を書かせようというのだ。文字どおり「思想改造」である。
 しかも命令研修であるため、研修を拒否したら、またも「職務命令違反」として処分が出されかねない。「戒告処分が重なれば懲戒免職」という恫喝で、教育労働者の抵抗をくじくことが狙いなのだ。
 多くの被処分者が処分の撤回を求めて都人事委員会に不服審査請求を申し立て、現在係争中である。都教委の処分の違法性を争っているただ中で、処分を受けたことに対して「反省」を強要するなど、どうして許されるだろうか。地方公務員法に保障された不服申し立ての権利まで侵害する暴挙である。
 6月8日の都議会において横山教育長は、「受講に際し、指導に従わない場合や成果が不十分の場合は、研修修了とはならないので再度研修を命ずる」「研修を受講しても反省の色が見られず、同様の服務違反を繰り返すことがあった場合には、より厳しい処分を行う」と答弁した。研修終了後も、再度研修を命ずることにより、学校現場から引きはがそうということだ。“「日の丸・君が代」に反対する者は教壇に立たせない”というのが、都教委と石原の本音なのである。こんな暴挙を絶対に許してはならない。
 研修の対象者の中には、当日が海外での研修期間や監督を務める部の合宿期間であることなどを理由に日程の変更を求めた人もいるが、都教委は日程変更も認めない。まさに横暴の極みである。
 被処分者は、不当処分や研修命令に屈することなく、意気軒高と明るく闘いぬいている。全国の教育労働者とすべての労働者人民の共同の闘いで、被処分者を激励し、守り、ともに闘いぬこう。

 不服審査請求が198人に

 今春「日の丸・君が代」闘争により処分された教育労働者32人が7月21日、都人事委に対して、処分の撤回を求めて不服審査請求を申し立てた。今回の申し立てにより、昨年の「10・23通達」以後、処分を受けて審査請求した労働者は計198人となった。
 処分撤回を求める人事委員会闘争、解雇撤回を求める裁判闘争、そして10・23通達そのものの違法性を争う予防訴訟と、「日の丸・君が代」攻撃と対決する闘いが大きく広がっている。

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週刊『前進』(2160号6面3)(2004/08/02)

“新型核兵器許すな” 7・19反核東京集会 ウラン弾の実態訴え

 7月19日午後、「あらたな核戦争をくいとめよう!7・19東京集会」が杉並産業商工会館で開催され、155人が参加した。主催は、8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会。
 集会は、全国被爆者青年同盟の被爆2世の司会で始まり、元第五福竜丸乗組員の大石又七さんが主催者としてあいさつした。
 映画「原発切抜帖」は、1945年8月7日付の広島原爆第1報(数行のベタ記事!)に始まり、1954年の第五福竜丸事件を経て1982年に至る戦後史を新聞切り抜きで振り返る力作で、「原子力の平和利用」政策のペテンを暴き、原発が核武装に直結することを暴露する内容だった。上映後、監督の土本典昭さんが「核と人類は共存できない」ことを訴えた。
 「劣化ウラン弾」の人体への影響をテーマに講演した松井英介医師は、劣化ウランの微粒子を体内に取り込むことによる「内部被曝(ひばく)」の実態を明らかにし、「劣化ウラン弾は国際法違反の新型核兵器」と弾劾した。無差別大量殺戮(さつりく)兵器であるABC兵器の廃絶のために国際的な運動の高揚を訴えた。
 続いて、会場で写真展を開催した731・細菌戦裁判キャンペーン委員会と731部隊細菌戦国家賠償請求訴訟の原告が「日本の労働者と中国の労働者の連帯で裁判に勝利しよう」とアピールした。「どうしたら核を廃絶できるのか」という質問をめぐって真剣な討論も行われた。
 休憩後、ジョン・キャタリノットさん(米・アンサー)と大槻泰生さん(広島・反戦被爆者の会)の連帯のメッセージが紹介され、続いて五つの団体のアピールが行われた。
 とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会の青年は「反戦運動と自衛官の橋渡しをしたい」と述べた。
 原子力空母の横須賀母港化に反対して闘っている鈴木保さん(厚木基地爆音防止期成同盟)は「垣根をとって、誰でも参加できる新しい組織を立ち上げた。ともに闘いましょう」と訴えた。
 杉並在住の上江田千代さん(元ひめゆり学徒)は、「米軍は沖縄を不沈空母として使用するために核を使用しなかった」と暴露し、名護新基地建設反対の糸数慶子さんの参院選圧勝と辺野古の闘いを万感の思いを込め報告した。
 「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会の教育労働者は、都高教執行部の「職務命令に従え」という指示をのりこえて闘いぬき、戒告処分を受けたことを報告した。そして「日の丸・君が代」の強制は戦争準備であると弾劾し、処分撤回闘争への支援を訴えた。
 最後に動労千葉の川崎昌浩執行委員が発言し、「労働者として、戦争協力を拒否する。その実践として資本と真っ向から闘う」決意を明らかにした。
 集会のまとめを吉田義久さん(相模原反核市民の会)が行った。8・6ヒロシマに初めて参加する学生も決意表明。三角忠さん(三一書房労組委員長)が行動方針を提起し、団結ガンバローで締めくくった。
 8・6―8・9に向かう高揚感があふれる集会だった。
 (投稿 中山啓)

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週刊『前進』(2160号6面6)(2004/08/02)

保安処分施設着工するな 武蔵病院での説明会に抗議
 「病者」の意見封じる厚労省

 7月10日、東京の国立精神神経センター武蔵病院で開催された厚労省主催の保安処分施設建設をめぐる2回目の地元説明会(小平市・東村山市対象、前回は3月20日)に対し、「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議は「病者」を先頭に20人で、施設建設絶対反対を訴えるビラまき・抗議行動に立ち上がった。
 阻止共闘は午前9時半から武蔵病院門前に陣取り、建設反対の横断幕を掲げて参加者にビラをまいた。会場前で厚労省職員十数人がビラまきを妨害したが、それをはねのけ、閉会の午後1時まで抗議行動を貫徹した。
 説明会は、言論弾圧の上に成り立つ不当な代物だった。約80人が参加し、住民の差別的な危機感も含めて活発に質疑が交わされた。しかし、質疑応答が1時間半もあったにもかかわらず、反対を主張しようとする「病者」は、手を挙げても一向に指されず、無視され続けた。職員が間違って反対派を当てると「あいつは反対派だ」と司会に連絡が行き、発言を封じた。
 反対意見を言おうと参加した「病者」は、会場から閉め出されながらも、「意見も言わせない説明会とは何だ! 自分も『病者』として収容されようとしている当事者だ!」とペテン的説明会を弾劾した。
 厚労省は、答えに窮すると、「国が決めたことだから」「法施行まで時間がない」と逃げ、施設建設を急がなければならない理由を説明できなかった。
 参加者の質問は、「危険な犯罪者が集められることで住民は安心できるのか」「もっと厳重にできないか」「事件の補償はしてくれるのか」という点に集中した。厚労省側は「10月着工のため7月末には整地に入る予定」と結論だけを言い、あとは「検討します」と答えるのみだ。
 「精神障害者」に対する「再犯のおそれ」を要件とした隔離拘禁と強制・矯正治療を行う新たな保安処分新法(心神喪失等医療観察法)が来年3月に施行される。そのかなめをなす受け入れ施設の建設が10月をめどに始まろうとしている。国立武蔵病院を始め国立佐賀肥前病院、国立岩手南花巻病院、国立愛知東尾張病院、国立富山北陸病院、国立千葉下総病院の6カ所に建設されようとしている。
 日本での保安処分施設建設は今回が初めてだ。30床全個室、モニターカメラ付き、二重ドアロック、施設内外のセンサー配置など、刑務所・医療刑務所並みの厳重警備体制を整え、その治安的任務を医療と称して医師や多数配置する看護師・ケースワーカー・臨床心理士らに担わせようとしている。
 実際には脳通電の電気ショックと呼ばれ、長年、患者や医者からも非難を浴びてきた「電撃けいれん療法」が治療と称して出来高払いの3000点という高い保険点数で推奨される。
 また「二度と犯罪を起こさない人物」と認定されるまで繰り返す、拘禁下での精神療法が多用される。実質上の人格破壊やマインドコントロール、精神的拷問、虐待に匹敵する人体実験的な矯正治療を強行する。このことは厚労省発表の「マニュアル」を見れば明らかだ。
 絶対に保安処分施設の建設を認めてはならない。さらに全国各地で闘いに立ち上がろう。

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週刊『前進』(2160号6面7)(2004/08/02)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判
9月1日(水)午後1時15分
   *東京地方裁判所
☆6・12私文書弾圧裁判
最終弁論
7月29日(木)午後1時30分
    *東京高等裁判所

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週刊『前進』(2160号6面8)(2004/08/02)

−被爆59周年−
今こそ、ありったけの力を集めて、戦争をとめよう 8・6ヒロシマ大行動

 8月6日(金)正午広島県立総合体育館小アリーナ(広島市中区基町4の1)
▼被爆者の訴え
 下原隆資さん(原爆被爆教職員の会)
 大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)
▼労働者は戦争動員を許さない
 村中哲也さん(航空労組連絡会副議長)
 広島県教職員組合のコント集団「もみじまんじゅう」
 東京・広島の「日の丸・君が代」強制被処分者
 大内裕和さん(松山大学助教授)
 湯浅一郎さん(ピースリンク広島・呉・岩国世話人)
▼自衛隊家族の願いは即時撤退
 三尾雅信さん(とめよう戦争! 隊員家族と元自衛官連絡会)
▼世界の反戦・反核運動との連帯
 韓国−崔鳳泰(チェボンテ)さん(弁護士、原爆被害者と共にする会顧問)
 イラク−医師
 中国−重慶大爆撃被害者と研究者
▼米軍基地撤去を闘う沖縄から
 石川元平さん(元沖縄県教職員組合委員長)
▼ヒロシマから世界へ〜若者のヒロシマアピール
デモ行進(午後3時出発〜5時平和公園解散)
主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会

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週刊『前進』(2160号6面9)(2004/08/02)

 8・6−8・9反戦反核闘争日程

 主催 8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
8月5日(木)
 ヒロシマ反核の集い 午後5時開場 アステールプラザ(加古町4−17)
 ◎講演「『劣化ウラン弾』の人体への影響」−松井英介医師(放射線医学)
 ◎特別報告「世界のヒバクシャ」−鎌仲ひとみさん(「ヒバクシャ」監督)
 ◎被爆者からのアピール−大槻泰生さん(反戦被爆者の会)
8月6日(金)
 小泉首相出席弾劾!祈念式典糾弾デモ 午前7時 東千田公園(旧広大本部)
 核廃絶・被爆者解放集会 午前9時開場 アステールプラザ
 8・6ヒロシマ大行動参加(要項別掲)
8月7日(土)
 海のフィールドワーク・佐世保基地 午後4時 長崎県佐世保市
8月8日(日)
 長崎・中心地デモ 午後3時 長崎市・丸山公園
 被爆59周年8・8長崎反戦集会 午後4時半 長崎県勤労福祉会館大ホール
8月9日(月)
 爆心地・長崎市内デモ 午前10時 天主公園

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