ZENSHIN 2005/08/29(No2211 p06)

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第2211号の目次
 
1面の画像
(1面)
小泉打倒し11月総決起へ
「7・14連合改憲見解」弾劾し自治労大会・国労大会決戦へ
現場労働者の団結で総反撃を
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8・15 靖国神社へ怒りの肉薄  閣僚・議員の参拝を弾劾(8月15日) 記事を読む  
(2面)
戦争・民営化と闘う11月1万人結集を  中野動労千葉前委員長に聞く
総反撃を開始する好機  国際連帯が民族排外主義破る
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人事院勧告 「地域給」で大幅賃下げ
定数削減と人件費抑制の骨太方針の貫徹を許すな
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(3面)
東京杉並 「つくる会」歴史教科書採択撤回へ
山田区長と「つくる会」が結託  不当な圧力 採択は無効だ(8月12日)
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杉並・親の会報告集会 “こんな教科書使わせない”
3万署名を基に次の闘い(本紙・室田順子)(8月12日)
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宝塚市は不採択決定
260人が包囲、策動うち砕く(投稿/宝塚・木村雄一)(8月10日)
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東京「日の丸・君が代」闘争 ゼッケン処分狙う  「研修」弾劾行動に打撃 記事を読む  
靖国と八木秀次『国民の思想』
「つくる会」教科書の行間にある皇国史観がむき出しに  小泉義秀
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(4面)
「大学改革」攻撃打ち破れ  全国学生の力で廃寮阻止へ
9・1判決裁判に結集を  東北大有朋寮からアピール
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横須賀 “原子力空母許さぬ”  母港化阻止デモに3千人(8月11日) 記事を読む  
イラク 自衛隊即時撤兵へ闘おう  8・7 サマワで3千人のデモ爆発 記事を読む  
日誌'05 8月10日〜16日
米議会委 沖縄海兵隊「維持」の結論  国会議員約50人が靖国参拝
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(5面)
8・15労働者市民の集い 日米韓連帯で高揚
“労働者の団結の力こそ”
郵政・教科書・靖国と対決 戦後60年に反戦誓う(投稿/古寺和夫)(8月15日)
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全学連が靖国に突入  神社境内 参拝運動を実力糾弾 記事を読む  
戦後60年8・15にむけて 天皇制右翼が策動 記事を読む  
ソウル 労働者2万人が集会(8月14日) 記事を読む  
辺野古からの報告
米軍再編を海上で阻む  ボーリングと闘って500日(大津五郎)
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(6面)
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
「障害者自立支援法」が廃案
「障害者」に「安楽死」迫る 小泉=奥田路線と対決を(投稿・吉村隆生)
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医療観察法が初適用  保安処分施設解体しよう 記事を読む  
福岡 第7次派兵を弾劾  耳傾ける多くの自衛隊員(8月6、14日) 記事を読む  
京都府警の不当弾圧
松田関西労組交流センター代表の釈放をかちとる(8月12日)
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党学校  『賃金・価格・利潤』 −学習の感想−
資本のルール壊さなくては Y・H
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週刊『前進』(2211号1面1)(2005/08/29)

 小泉打倒し11月総決起へ

 「7・14連合改憲見解」弾劾し自治労大会・国労大会決戦へ

 現場労働者の団結で総反撃を

 日本帝国主義の敗戦から60年。今や日帝・小泉はイラク多国籍軍派兵を既成事実として継続し、日米枢軸のもと北朝鮮・中国―アジア侵略戦争、「新しい15年戦争」に突入していこうとしている。いやすでに日帝はイラク参戦をもって戦時下にある。1931年9・18柳条湖事件を突破口とする中国東北部侵略戦争(満州事変)―日中戦争―対米英の太平洋戦争の過程を、新たに繰り返しては絶対にならない。都議選決戦の地平を発展させて、8・4〜12杉並「つくる会」教科書採択阻止の闘いと8・15靖国闘争―国際連帯集会が圧倒的に闘いぬかれた。小泉の「郵政解散」=解散・総選挙の一大反革命と対決し、戦争と民営化(労組破壊)攻撃粉砕、小泉=奥田路線粉砕の闘いに総決起しよう。小泉政権の延命を絶対に阻止し、打倒しよう。11月労働者1万人総決起へ進撃しよう。

 第1章 教科書・反核・靖国闘争が歴史的高揚

 革共同は新指導路線のもと、闘う杉並区民とともに今次都議選決戦を「つくる会」教科書粉砕=都議選闘争、都議選闘争=「つくる会」教科書粉砕の闘いとして全力で闘った。それが切り開いた画期的地平の上に、7・31東西革共同政治集会と『前進』夏季特別号をもって武装し、8月闘争に決起した。そして戦後60年の8月前半決戦は、11月労働者1万人大結集の闘いを見据えつつ圧倒的に爆発し貫徹された。
 まず8月4日の杉並区教委闘争は、杉並・親の会を先頭とする区民と広範な労働者人民の怒り、区役所包囲の「人間の鎖」行動によって、採択強行を阻止する偉大な闘いとなった。これに追い詰められ、全国の採択率が1%以下という現実に危機感を募らせる山田区長や納冨教育長らは凶暴な巻き返しを図り、「つくる会」のファシスト勢力の全国動員と阿佐ケ谷駅頭の制圧策動に出た。採択に反対した教育委員に露骨な脅迫も行った。「公民」はあきらめても「歴史」は絶対に採択するとの方針のもと凶暴化したのである。
 親の会を始めとする闘う区民と労働者人民は、「つくる会」のファシスト分子どもとの対峙・対決を連日貫き、仕切り直しとなった8月12日、再度の区教委闘争に総決起した。3万に達した署名を積み上げ、区役所を包囲し、1千人もの傍聴希望者の最先頭で闘った。「つくる会」副会長で歴史教科書の代表執筆者・藤岡信勝の不当な傍聴を弾劾し当局を追及した。こうした中で「つくる会」教科書採択のためにのみ山田区長から教育長に任命された納冨が最後に「つくる会」を主張、3対2で「歴史」教科書採択を強行した。しかし「公民」はごり押しできず大阪書籍となった。
 杉並区役所内外は弾劾の嵐に包まれた。親の会は記者会見と総括集会で、採択を必ず撤回させること、来年4月からの使用を許さないことを宣言した。全国の天王山である杉並で「歴史」が採択されたことは確かに残念至極だ。しかし敗北感はない。4月からの闘いを全国の頂点でやり切った上に、闘いの新たなラウンドが開始されたのだ。この地平を引き継ぎ、残る全国諸地域での採択を絶対に阻止しよう。
 8・12闘争に続いて、戦後60年の8・15靖国闘争が爆発した。この日、閣僚・国会議員らの靖国参拝を弾劾して、200人を超える闘う労働者人民が千鳥ケ淵戦没者墓苑に結集し、権力の超厳戒体制と2人の不当逮捕をはねのけ、抗議行動をかちとった。これと連帯し全学連の学生6人が靖国神社に突入、ファシストどもの暴力的敵対と激突して、決死糾弾闘争を貫徹した。権力は全員を不当にも拘束したが、直ちに奪還された。さらに8・15国際連帯集会が520人の結集で大成功した。
 戦争と民営化(労組破壊)攻撃を全面化させ、新たな15年戦争に突き進む日帝・小泉は、朝鮮・中国人民の激しい弾劾にもかかわらず、8・15靖国参拝をあくまで強行しようとしていた。しかし中国や韓国との外交関係の破産と総選挙真っ最中という情勢下で、断念を余儀なくされた。アジア人民の怒り、日本の労働者人民の怒りが、小泉の教科書攻撃と一体の反革命を押し返したのだ。
 靖国神社は追悼施設ではない。「天皇の戦争」「お国のための戦争」での死者を「顕彰」する場であり、戦死すれば靖国に「神」として祭ってやるという理屈をもって侵略戦争に動員するための装置である。「靖国」は戦争か平和か、明治以来の歴史をどう総括するのかの、決定的な政治問題なのだ。小泉や閣僚の靖国参拝は教科書攻撃と並ぶ一大反革命である。戦後60年の8・15闘争は「靖国」を階級闘争の正面課題とする闘いとして貫徹された。
 さらにこうした教科書闘争、靖国闘争の歴史的うねりの中で、被爆60年の8・6広島―8・9長崎の反戦反核闘争が、8・6ヒロシマ大行動の3千人を頂点にかちとられた。帝国主義戦争と被爆という原点に立って、既成原水禁運動の破産と連合・笹森らによる翼賛化を打ち破り、本物の反核潮流が青年労働者の結集を先頭に登場したのだ。

 第2章 郵政民営化粉砕は全労働者の課題だ

 ソ連スターリン主義の崩壊以降、帝国主義は今やその基本矛盾を全面的に爆発させている。過剰資本・過剰生産力状態と長期不況にあえぎ、帝国主義間争闘戦を激化させ、世界戦争に突き進んでいる。
 米英日帝のイラク侵略戦争は世界戦争過程への突入そのものであった。イラク侵略戦争が、今日の米帝動向と世界情勢全体を規定している。その継続・激化と世界戦争への拡大のすう勢こそが、内外情勢を特徴づける基調的な動向だ。

 世界戦争へと突進する米帝

 米帝はイラク侵略戦争の泥沼的危機や天文学的規模の財政赤字・経常赤字を打開するいかなる方途もなく、帝国主義間争闘戦の激化と世界戦争の道に突進している。世界的な米軍再編(トランスフォーメーション)の一環として、米太平洋軍の「戦闘司令部」(ハワイ)の形成や中国の潜水艦部隊をにらんだ「沿岸海域戦闘艦(LCS)」の建造など、北朝鮮・中国侵略戦争―世界戦争への戦力配置をどんどん進めている。「抑止力の強化」を叫んで沖縄と本土の米軍基地が一層強化されることも不可避である。実際に8月15日、米連邦議会「海外基地見直し委員会」は、「沖縄での戦闘能力の削減は東アジア地域における我々の国益を危険にさらす」という最終報告書を公表した。
 核の「平和利用」の禁止をも含む北朝鮮に対する全面武装解除の要求で決裂寸前状態の6者協議も、米日帝の戦争発動へのプロセスそのものとしてある。
 こうした中で日帝は帝国主義の世界体制の「最弱の環」だ。断末魔の体制的危機にあえいでいる。小泉がもっぱら「郵政民営化」を叫び、日本経団連・奥田を先頭とする金融独占ブルジョアジーの全面支持のもと戦争と民営化(労組破壊)の攻撃を激化させているのは、日帝の危機の深さ、広さ、激しさのゆえである。
 小泉は8月8日に参院で郵政民営化法案が否決されるや、直ちに衆院解散―総選挙に訴えた。「郵政民営化は是か否か」を唯一最大の争点に、「上からの内乱」とも言うべき凶暴極まる手法で、党内の反対派(造反派)をたたきつぶし、自民党自体を極右的ファシスト的に大再編しようとしている。これは戦争と民営化の攻撃、「つくる会」教科書や靖国参拝の攻撃を労働者人民により凶暴に振りかざすための一大反革命である。
 これを奥田を始め金融独占ブルジョアジー全体が支持し、「郵政民営化の灯を消すな」という社説を掲げた朝日新聞など、全マスコミがしり押ししている。「小さな政府」や「官から民へ」が、「民営化」論者=「構造改革」推進論者の合言葉とされ、それをやらなければ日本は生き延びられないと連日、大キャンペーンされている。

 大資本のための「構造改革」

 だが小泉の叫ぶ郵政民営化や「構造改革」路線は、労働者階級人民の利害とは正反対のものだ。それは大銀行・大企業=金融独占ブルジョアジーの要求そのものである。体制的危機にあえぐ彼らの唯一の延命路線なのだ。
 帝国主義は1930年代危機と第2次世界大戦への突入過程で、体制の存続と革命への対抗からケインズ主義的な国家独占資本主義的諸政策を採用・展開し延命してきた。またそれに対応した国有化などの制度・機構を形成してきた。戦後もこの政策は基本的に継続された。しかし帝国主義が過剰資本・過剰生産力と世界恐慌・長期不況に突入し、国家財政も破産する中で、それは今や独占的金融資本の桎梏(しっこく)と化し、民営化や規制緩和の要求が噴出している。
 国独資的政策とその実体機構を解体し、独占的大資本の弱肉強食・優勝劣敗の野放図な展開と利潤追求を可能にするもの、それが民営化であり規制緩和だ。
 小泉改革=戦争と民営化の攻撃がもたらしたもの、もたらすものは何か。第一に、「つくる会」教科書採択や靖国参拝の強行、ナショナリズム・排外主義の激化、さらには教基法改悪と改憲の攻撃である。第二に、国と地方、教育や公共部門の労働者の非公務員化とリストラ・首切りであり、労組の破壊である。第三に、労働者階級全体への無慈悲なリストラ、失業、不安定雇用化、賃下げの攻撃。さらに中小企業や農民の切り捨てだ。第四に、財政危機を振りかざした年金・医療・介護など福祉の破壊と社会保障制度解体、そして大増税の攻撃である。第五に、何よりも日米枢軸の形成とイラク参戦、さらに北朝鮮・中国侵略戦争―世界戦争である。
 実に小泉政権が登場して以来の4年数カ月、金融独占ブルジョアジーの利害が最優先され、以上のような攻撃がどんどん労働者階級人民に襲いかかってきた。小泉が総選挙で勝利するようなことがあるなら、戦争と民営化の攻撃はせきを切ったように激化する。
 労働者階級が生きていくためには、この小泉改革(小泉=奥田路線)と全面対決し、小泉を打倒して進む以外にない。死すべきは労働者ではなく、すでに歴史的命脈の尽きた帝国主義だ。4大産別を先頭に階級的労働運動の発展を切り開き、プロレタリア革命によって帝国主義を打倒すること、労働者階級が権力を握り、社会の本当の主人公となること。これこそが労働者人民が生きていく唯一の道である。

 第3章 産別・労組・職場で11月大結集運動を

 革共同と労働者階級は、今こそ解散―総選挙の一大反革命と対決し、怒りと危機感を爆発させて、小泉政権打倒に総決起しよう。それを突破口に、8月前半の決戦が切り開いた革共同と労働者の底力と闘いの爆発の地平を発展させ、11月労働者1万人総結集へと進撃しよう。
 11月労働者総決起は、日帝・小泉の戦争と民営化(労組破壊)攻撃に対し、連合中央や全労連指導部の屈服をのりこえて、総対決していく集会である。韓国・民主労総の闘いや、アメリカの戦闘的労働者・労働組合との国際連帯を一層大きく発展させる大舞台である。日本の闘う新潮流、階級的労働運動をさらに決定的に登場させる場である。ここにこそ帝国主義と闘い、小泉改革と闘って、労働者が勝利していく道がある。
 「つくる会」教科書採択阻止を最大の軸に闘った都議選決戦の偉大な成果を発展させ、教労、自治体、全逓を始め4大産別を先頭に、11月への賛同と結集を訴え、現場労働者の決起と組織化をかちとることが決定的だ。地区党建設の闘いと固く結合し、下からのランク&ファイル運動を、産別で、労組で、職場で、思いきってつくり出そう。とりわけ拠点産別、拠点組合、拠点職場での決起を全力で闘いとろう。
 連合が7・14見解をもって9条解体と「安保基本法」の制定を狙い、自治労の改憲勢力化を狙っている中で、8・23〜26自治労大会(鹿児島)は大決戦である。侵略戦争への道=「平和基本法」の制定策動粉砕へ、自治労大会決戦を闘いぬこう。
 8・30〜31国労大会(熱海)は、反対派の国鉄闘争からの召還とも言える現在の国労の危機に対し、徹底的に闘うことが求められている。尼崎事故を弾劾し、1047名闘争の意義を鮮明にさせて、国労の階級的再生へ職場からの闘いに全力をあげよう。国労5・27臨大闘争弾圧と闘う陣形を圧倒的に強化しよう。酒田執行部と上村革同の国労解体・売り渡し策動と対決し粉砕しよう。国鉄分割・民営化と原則的に闘う動労千葉労働運動に学び、その運動を拡大・発展させることに勝利の展望はある。
 何よりも青年労働者が、11月組織化の最先頭に立って、闘いを牽引(けんいん)しよう。学生は闘う労働者とともに、国際連帯発展の闘いの先頭で奮闘しよう。
 さらにすべての闘う労働者、学生、人民が11月労働者1万人結集の街頭宣伝戦を圧倒的に展開しよう。都議戦決戦での実践と経験を11月の組織化に生かしきることだ。
 11月への闘いは、日本共産党や社民党に代わる闘う労働者党、プロレタリア革命の勝利を切り開くことができる革命的な労働者党の建設と一体の闘いである。
 「つくる会」教科書採択阻止の闘いと都議戦決戦で、機関紙『前進』は強力な武器となった。11月の組織化に向けても、ビラ、チケット、署名用紙などとともに、『前進』を宣伝・扇動と組織化の最大の武器として圧倒的に活用しよう。労働者の中に積極的にどんどん持ち込んでいこう。
 そして最後に、11月労働者1万人大結集を実現するためにも、夏期一時金カンパ闘争を断固貫徹することを訴えたい。

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週刊『前進』(2211号1面2)(2005/08/29)

 8・15 靖国神社へ怒りの肉薄 閣僚・議員の参拝を弾劾

靖国神社弾劾に向かう労働者人民を機動隊が妨害。これに激しい抗議の声(8月15日 千鳥ケ淵) 関連記事5面 

8月15日、「靖国・天皇制問題情報センター」の呼びかけで、靖国神社に対する抗議行動が闘われた。
 小泉首相はこの日の参拝を見送ったが、中国、朝鮮、アジア人民の必死の糾弾の声を踏みにじり、「好きな時に公式参拝する」という傲慢(ごうまん)な姿勢を隠していない。そして閣僚、反動的国会議員、石原都知事らはこれ見よがしに参拝し、侵略戦争を居直り、新たな戦争へ進もうとしている。こんなことを黙って見ていられるか!
 午前10時、すでにうだるような暑さの中、参加者たちが靖国神社から数百bと離れていない千鳥ケ淵戦没者墓苑前に集合した。その数約200人。日本キリスト教協議会靖国神社問題委員会の大島孝一さんがあいさつした。「戦後60年という節目の年、新しい戦前の始まりに対し、私たちも新たな闘いをつくり出そう」
 いよいよ靖国神社に向かって出発だ。横断幕を先頭に、手に手に「参拝阻止」「小泉打倒」などのメッセージボードを持った参加者たちは、靖国神社をめざし歩き出した。たちまち機動隊と公安刑事が押っ取り刀で駆けつけてきた。「止まれ!」
 止まるものか。だれもが決意に満ちた表情で前進を続ける。機動隊が車道に盾で阻止線を築いた。抗議の声が一斉に上がり、辺りが騒然となった。機動隊は力ずくでも通さない気だ。だが参加者は隣の遊歩道ががら空きなのにすぐ気づき、当然にもそちらに流れて進む。機動隊の阻止線はたちまち無力化した。
 機動隊と公安刑事はあわてふためき、息を切らしながら全力疾走で百bも退却し、遊歩道を含めて道全体に阻止線を構えなおした。再び対峙。機動隊は盾を暴力的に振りまわして襲いかかり、闘争参加者は必死に素手で抵抗した。怒りのシュプレヒコールが繰り返し上がる。「小泉・閣僚らの参拝を許さないぞ!」「アジア民衆の声を聞け!」
 その場でハンドマイクを使ってリレーアピールが始まった。
 横須賀の宮崎徹牧師は、「小泉首相は地元の恥。沖縄とともに神奈川県が米軍世界戦略の拠点となることを許さない」と発言した。
 次に、韓国からこの闘いに参加した民主労総ソウル地域本部長のコジョンファンさんがマイクを握った。「靖国参拝は新たな戦争準備だ。そこの警察官も自分たちが戦争に動員されることを知れ。阻止するのは東アジアと日本の民衆の力だ」。またその場で同ソウル地域本部組織部長ムンムンジュさんが紹介された。
 次にアメリカから参加したタフト・ハートレー・抑圧と民営化反対キャンペーンのスティーブ・ゼルツァーさんが発言。「ブッシュはたくさんの兵隊とイラク人民を殺している殺人者だ。アメリカでは多くの労働組合がイラクからの撤兵を要求している。帝国主義戦争と民営化に反対する全世界の労働者の連帯を!」
 さらに次々と怒りの弾劾がとどろきわたった。戦争推進機関である靖国神社が戦争美化セレモニーを行うことなど許しはしない。
 権力の不当な妨害でそれ以上の靖国神社への接近は阻止されたが、神社とその周辺を警察と右翼団体の暴力的支配下において反対の声を封殺しようとした国家権力のもくろみは、完全に打ち砕かれたのだ。

 2人を不当逮捕

 リレーアピール後、警視庁はまったく不当にも突如参加者に襲いかかり、2人を「公務執行妨害」を理由に逮捕した。自分たちの警備体制が破綻(はたん)させられたことに対し、報復的な弾圧に及んだのだ。この凶暴さこそが、戦争へ突き進む小泉政権の正体だ。
 小泉政権と石原らの靖国神社参拝は、日帝が北朝鮮・中国侵略戦争に労働者人民を動員していくための決定的な攻撃である。新たな侵略戦争の戦死者を「英霊」としてまつるための攻撃なのだ。絶対に許してはならない。
 この日の闘いは、靖国闘争と「つくる会」教科書闘争を一体のものとして、日本階級闘争の大テーマに押し上げる重大な闘いとなった。
 (本紙・石井良久)

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週刊『前進』(2211号2面1)(2005/08/29)

 戦争・民営化と闘う11月1万人結集を

 中野動労千葉前委員長に聞く

 総反撃を開始する好機 国際連帯が民族排外主義破る

 郵政民営化法案の否決という事態を受け、小泉は解散・総選挙に打って出た。戦争と民営化(労組破壊)攻撃をなんとしても押し貫こうとしているのだ。また杉並区は「つくる会」歴史教科書の採択を強行した。他方、連合中央は改憲派へと完全に転向しつつある。11・6全国労働者総決起集会は、国際連帯をかけてこれら大反動と激突する決戦だ。ここに労働者階級の命運がかかっている。日比谷野音1万人結集に向け、問われている課題は何かを、中野洋・動労千葉前委員長にうかがった。(聞き手/本紙・長沢典久)

 戦後民主主義意識をぶっつぶす攻撃に打って出た小泉

――小泉による解散・総選挙という情勢を、労働者階級はどうとらえるべきでしょうか。
 解散を決定した小泉の記者会見を見たけれど、鬼気迫るものがあった。「郵政民営化の是か非かで勝負だ」と言っているけれど、要は小泉政治の是非ということです。
 郵政民営化法案に反対した議員に対して、同じ自民党であるにもかかわらず対立候補を立てて、ぶっつぶす。野党じゃなくて自民党を脅かしている。これは今までの自民党政治の中ではなかったことです。
 今までは、自民党も含めて戦後の平和と民主主義意識にどっぷりつかってやってきた。もちろん自民党は、日米安保体制のもとで沖縄を犠牲にしたり、悪いこともずいぶんやった。でも、「気配り」とか「根回し」「談合」「護送船団方式」という言葉に象徴されるようなやり方でやってきたわけです。労働者の場合は終身雇用制です。ものすごい金持ちも、あんまり貧乏人もいなかった。
 これに対して、今度、小泉がやったことは非常に強烈です。今までの戦後民主主義的なあり方を、支配階級の中からまずぶっつぶしちゃうということです。
 小泉は何か、比叡山焼き討ちをした織田信長に自らをなぞらえて気取っているけれど、そういうのは意外と大衆受けする可能性がある。世論調査を見ると、自民党支持率が上がっている。この前までは「民主党中心の政治がいい」というのが多かったのに、この解散劇でガラッとひっくり返った。根底的な危機の中で小泉は解散・総選挙に打って出た。危機だから妥協するのではなくて突っ走る。だから反対派も民主党もおろおろしている。
 この選挙でどういう結論が出るかは、非常に大きい。小泉自民党と公明党が過半数を制した場合、あらゆることが一気呵成(かせい)に行く可能性がある。

 八方ふさがりの絶望的危機

 世界を見れば、イラク戦争もアフガニスタンも泥沼化しています。アメリカを始めとする帝国主義の世界支配体制は完全に行き詰まっている。これは、闘いがあったからです。
 イラクのような小国はとっくにたたきつぶされてもおかしくない。だけど今もイラク全土で自爆戦闘や武装闘争が激発している。
 イギリスでのサミットも3発のゲリラで吹っ飛ばされた。名もなきムスリムの若者たちがやっているんです。向こうはアルカイダとつなげようと必死になっているけど、そうじゃない若者たちがやっている。
 日本の国連安保理常任理事国入りだって、完全に破産している。中国や韓国は反対、アメリカも反対している。北朝鮮をめぐる6者協議も、明らかにアメリカ・日本VS中国・ロシア・韓国という構造ができて中断してしまった。
 こういう八方ふさがりの状況で、帝国主義は全面戦争に行かざるを得ないんです。こういう時はファシズムが台頭する。
 石原慎太郎みたいなファシストが東京で300万票も獲得した。石原なんて青嵐会の極右です。あんなやつは本を書いていればいいんだ。それが政治に口を出して、非常に軽率、軽薄、無責任。しかも、自分の言ったことを命をかけてやるのかというと、やりそうもない。
 一方で日本は国際化をしなければ生き残れない。なのに敵ばかりつくっている。中国も韓国も敵に回す。靖国神社問題も「つくる会」教科書もそう。中国・韓国が敵意を燃やすのは当たり前です。戦争をひけらかしているんだから、侵略戦争をこれからもやるということでしょう。
 これは結局、アメリカにも対抗することになる。あの戦争は正義だ、やむを得ずやったんだとなったら、アメリカはそれでいいのかという話になるでしょう。
 それが日本の主流になっている。ここまで来たら打倒する以外にない。打倒する主体は労働者階級です。
 敗戦60年の8月15日、石原を先頭に靖国参拝運動をやった。右翼が全部集まって「靖国神社は不戦の誓いをする場ではない。『この次は絶対に勝つ』と誓う所なんだ」と気勢を上げた。
 これに対して、日本の戦闘的労働者が真っ向から闘わなければ、何のために「日の丸・君が代」強制反対運動、「つくる会」教科書反対運動をやってきたのかということになる。国際連帯が問われたわけです。

 連合傘下の労働者結集し改憲に対抗する基盤を築こう

――そうした中で、今、労働運動がなすべき課題は何でしょうか。
 今年の11月労働者集会も国際連帯をかけた闘いになる。韓国やアメリカの労働者が大挙して参加することは間違いない。国際連帯とは結局は戦争の問題です。韓国でもアメリカでも日本でも、国家主義・民族排外主義が跋扈(ばっこ)している。戦闘的労働運動はこれにどう対抗するかが問われている。労働者階級の国際連帯以外にない。これは結構大変な問題だ。だから、マルクス主義をかたって帝国主義の侵略戦争に賛成したカウツキーが出たんです。今でも、現代のカウツキーが至る所にいる。これを打ち破っていけるかどうかが、11月労働者集会にかかっている。
 他方、連合は7月14日に中央執行委員会を開いて、改憲案を出しました。憲法9条2項を削除して安全保障基本法をつくるのか、それとも9条はそのままにして安全保障基本法をつくるのかということで、両論併記でバーンと出した。
 この中で労働運動がどう動くかが歴史を決します。6月に全逓(JPU)、7月にNTT労組と日教組の大会がありました。8月末には自治労大会があります。日教組と自治労は、今までのしがらみでなかなか連合路線に行ききれなかった。全逓やNTT労祖はとっくに行っている。全逓は名前も変えた。だけど、9条改憲までは行ききれなかった。ところが、今年の大会でおしなべてやっている。日教組がやりきれなかったのは、現場の闘いがあったからです。
 自治労は、安全保障基本法と言わずに平和基本法と言ってごまかしているけれど、自治労が大会で改憲方針を決定すれば、連合は10月大会で完全に改憲にかじを切るでしょう。国会は翼賛国会で、みんな憲法を変えろという方向です。財界もそう。そこに、やせても枯れても700万からの労働組合が改憲賛成になるのは、大変なことです。
 われわれはややもすると、連合なんてそもそもそんなものだと見てしまう。だがそうじゃない。連合結成以来、15年たってもできなかった。連合が改憲勢力になったらどうなるのか。一挙に拍車がかかります。
 そういう状況の中で、日教組がどうなろうが、自治労、全逓、NTT労組がどうなろうが、その傘下の多くの組合員を、われわれの旗のもとに結集する。特に連合傘下の労働者を中心に、日比谷に1万人を結集しなければ、改憲の嵐に対抗する基盤をつくることはできない。国会に改憲案がかかった時にはもうダメなんです。その前にたたきつぶさなければならない。今年の11月労働者集会は、そういう重大な位置をもっています。

 尼崎事故の根本的な原因は民営化による労働組合破壊

――民営化をめぐる攻防も重大な決戦を迎えていますが。
 郵政民営化問題の核心は、40万人もの国家公務員を非公務員化し、民間労働者にすることにあります。自民党造反派も民主党も、それにはみんな賛成している。その後は公務員制度の改悪です。民営化攻撃に屈したJPU中央を打倒して、全逓労働者が総決起する時が来ています。
 民営化は何をもたらすのか。尼崎事故です。なぜあの事故が起きたのか。あの事故をどう階級的に見るのかが非常に重要です。
 1987年に国鉄が分割・民営化された。その過程で起こったことが、あそこに凝縮して現れた。
 国鉄分割・民営化攻撃の核心は、戦後の日本の労働運動の中心を担っていた国鉄労働運動を完膚なきまでにたたきつぶすことにあった。四十数万いた国鉄労働者が20万になった。その過程で動労は消えちゃったわけです。松崎明というカクマルの幹部がひっくり返って、敵の陣営に移った。それによってJR総連という組合の権力を与えられたけれど、動労という組合を解散したわけだ。それで彼は総評を脱退し、国労に対する激しい組織破壊攻撃の手先になった。
 国鉄労働組合は一戦も交えず、今や2万ぐらいの組織になっている。唯一、動労千葉がストライキで立ち上がったという構造があるわけです。
 JRになって、現場で働く労働者をどんどん少なくし、外注化する。それに労働組合も協力する。これで事故が起こらないほうがおかしい。だから、尼崎でボーンと爆発した。
 国鉄労働運動が解体されなかったら、あれほどひどいダイヤの設定なんかありえなかった。誰がどう見たって、まともに定時で運転できないダイヤでしょう。それで車両の軽量化をどんどん進めてスピードアップする。そういうことに労働組合が何も言わない。それが尼崎事故の本質だ。労働組合がつぶされるとこうなる。それが核心なんです。
 資本というのは、労働者を好きな時に雇って、安い賃金で長時間こき使って、都合が悪くなったら首にする。資本主義の勃興(ぼっこう)期からそうなんだ。それに対して労働者は労働組合を結成して抵抗してきた。日本では労働組合法とか労働基準法とか、一応、労働者を保護する法律ができている。労働者は団結する権利を持っている。これは労働者の百数十年の闘いの中でつくられた。
 だから、これをどうつぶすかという攻防なんです。戦後の60年、やられたら巻き返す、やられたら巻き返すという歴史を、日本の労働運動は続けてきた。
 尼崎事故で100人余りの命が奪われた。そのかたきをとらなければいけない。同時に、不謹慎な言い方かもしれないけれど、われわれが本気になって総反撃を開始する大きなチャンスが来たと見て間違いないと思います。

 動労千葉から実践的に学ぶ

 国鉄分割・民営化に対して、動労千葉の当時1100名の労働者は本当に火の玉となって立ち向かった。千葉の片隅の1100名が国家権力を相手取って闘って勝てるはずがない。だけど、われわれは仲間として、労働者として団結を守るために闘った。
 今もそうだけど、動労千葉だって常に分岐・流動・再編にさらされている。動労千葉だって大衆組織です。動揺する組合員がいるのは当たり前です。そこを、執行部を先頭にした徹底した討論のもとに、「これで行く以外にないよ」とやってきたわけです。
 こういう闘いを実践的に学んでほしい。「動労千葉に続け」と言っても、動労千葉の形づらだけ見ていたって労働運動はできない。自分でやらなければ、労働運動はできないんです。

 もう一度浮上した国鉄闘争

 国鉄1047名闘争は、本質的に国鉄分割・民営化反対闘争です。
 これをめぐってさまざまな妨害があり、1047名がなかなか団結できない状況で推移してきた。その中で、7月15日の国鉄集会で初めて動労千葉が評価されて、高石君が堂々と発言できた。今まで、表向きは「1047名闘争」と言っていても、動労千葉をどう外すかということで十何年間やってきた。国労闘争団の中にもそういう動きはあった。じゃあ、1047名なんて言わないで、9名減らして1038にしてくれということだよ。
 一方で動労千葉は非常に柔軟な対応もしてきました。1047名の団結抜きにこの闘いは勝てない。その原則を貫徹するために、時としては譲歩したり、屈辱的な思いを味わったりしてきた。けれど、7月15日は、そういう問題がまったく表に出なくて、すっきりと1047名が団結する初めての集会になった。
 1047名ががっちりと団結して進んでいこうという体制になったことは、ほぼ間違いない。国鉄闘争が7・15でもう一度浮上した。だから教労、全逓と国鉄闘争が軸になって、数十万の労働者を牽引(けんいん)しなければいけない。
 分割・民営化から18年を経て、JRの側も「分割・民営化体制の総決算」攻撃をかけてきている。JR東日本でいえば「ニューフロンティア21」。だけど、これも破綻(はたん)した。われわれがものすごく抵抗したからです。
 抵抗すると破綻するんです。帝国主義、資本の側が攻撃する時に、整合性のある攻撃なんてない。抵抗を受けた時には絶対に破綻する。抵抗されないと、それが通っちゃう。これが階級闘争の真理なんです。
 事実、全金本山労組は34年の闘いの末、解雇撤回・職場復帰を実現している。

 これまでのあり方変えなければ今の時代に通用しない

――11月労働者集会の成功に向けて、問われていることは何ですか。
 労働者階級が団結して反撃する絶好の時代が来たのが05年です。11・6労働者集会は、その成否をかけた決戦になる。
 教育労働者への「日の丸・君が代」強制に対する抵抗が、東京を始め全国に広がった。これは非常に大きい。そして「つくる会」教科書をめぐる攻防が杉並を始め全国で始まった。
 全体を見ると勝ったり負けたり、現象的にはいろいろあるけれど、労働者が闘いを継続することに成功している。その意味では、05年決戦の前半戦は、まあまあうまく行っている、いい線行っていると思います。
 05年は、平和と民主主義意識を一掃する攻撃が焦点になる。その核心は労働組合運動・労働組合の団結を根底的に破壊することにある。それを見据えて、今年の冒頭、教労を軸とした4大産別決戦で対抗しようと決断した。その時はイメージもまだ貧弱だったかもしれないけれど、闘いを大衆運動としてやる中で、これははっきり見えてきた。
 「つくる会」は、民営化の問題と靖国問題、つまり戦争問題は一体なんだと言っている。官の中に左翼思想、つまりマルクス・レーニン主義がはびこっている以上は、何をやってもダメだ、と。だからイギリスのサッチャーに学んで、左翼を一掃するために民営化をやれと言っている。

 激しい分岐が必ず生まれる

 こういう時代が来ると、ものすごい分岐が生まれます。例えば7・15を「黙殺」した日本共産党。彼らは、共産党を名乗っているくせに、この危機の中で本気になって大衆運動を展開し、党の総力を挙げて対抗しようとはしない。幹部は、どうやって逃げようかと考えている。だから、動労千葉みたいな「過激派」と付き合うやつは許せないという話になっちゃう。
 動労千葉は、世の中で言われるほど過激じゃないですよ。戦術を見て下さい。こんなにうまい戦術を駆使している労働組合がありますか。動労千葉を「過激派」だなんて言っている人たちのほうが、よっぽど戦術左翼で過激じゃないか。動労千葉は、きわめて柔軟かつ原則的に戦術を駆使して今日まで来ています。
 物事を正しく見極めて、反動的な考え方、敵にくみする考え方と徹底的に闘っていく。そして味方として闘っていける仲間を獲得する。これをきちんとやれば11月集会は成功します。
 率直に言って、帝国主義の危機だとか世界戦争必至だとか言っている割には、みんなその気になっていない。日本資本主義というのは大変な体制で、これだけ大量生産・大量消費で、すぐ生活に困るわけではない。そうすると、どうしても今までの惰性に流れていく。これが問題なんです。
 「大失業と戦争の時代」と言い始めたのは私だけど、大失業時代とは労働者が首になる時代なんです。なのにみんな「大失業時代」なんてけろっとして言う。そういう時代が来たのなら、自分のあり方を変えなければ通用しない。
 例えば尼崎事故をめぐって、動労千葉の中でも討論した。百何人が殺されている。これに対して、動労千葉だって怒りが少なかったんじゃないか、と。労働者の闘いの原点は怒りです。
 敵がそうとう攻撃的な方法で自らの体質をぶっ壊そうとしている時、われわれが自らのあり方を暴力的にぶっ壊そうとしないで、対抗できるはずがない。
 いくらなんでもこういうことはやらないだろうというのは、全部吹っ飛んでいる。全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部には、武委員長を始め6人の執行委員をいまだに勾留し続けるという大弾圧が襲いかかっている。11・6はこうした弾圧を打ち破る闘いでもあるわけです。
 われわれが10万、100万の労働者を動かす力を持たないと、今日の大反動に対抗できない。
 はっきり言って破滅は近い。今の情勢に、言葉だけじゃなくて本当に危機感を持つことが重要なんです。その立場で、一つひとつの攻撃に怒りを燃やし、仲間に訴え、持てる力をフルに発揮して11月1万人結集へ闘ってほしいと思います。
――どうもありがとうございました。

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週刊『前進』(2211号2面2)(2005/08/29)

 人事院勧告 「地域給」で大幅賃下げ

 定数削減と人件費抑制の骨太方針の貫徹を許すな

 2年ぶり3度目のマイナス人勧

 人事院は8月15日、05年度の国家公務員の給与に関する勧告と、給与構造を大幅に改革する勧告を国会と内閣に提出した。
 賃金引き下げの勧告は2年ぶり3度目だ。小泉政権は、骨太方針Xで公務員制度改革と総人件費削減を強力に打ち出した。この秋にも公務員定数の純減目標を作成するとしている。その前提として定員削減の4年計画づくりが進んでいる。今回の人事院勧告は、その貫徹を意図したものだ。
 小泉は、総選挙を制した上で、郵政民営化と公務員制度改革に一気に突き進もうと策している。戦争国家を形成するため、公務員労働運動を全面解体しようというのである。これとの本格的な攻防が始まった。
 今回、人事院は、国家公務員の月給を0・36%(平均1389円)引き下げ、期末・勤勉手当(ボーナス)を年間4・45カ月(前年度比0・05カ月増)とし、年収は平均で0・1%(約4千円)減にすることを勧告した。このとおりに実施されれば、月給は平均38万703円(40・3歳)となる。総人件費は、国で50億円程度、地方で190億円程度削減される。
 さらに、給与構造の大幅見直しを1957年以来48年ぶりに打ち出した。その内容は次のとおりだ。
 @基本給を引き下げ、地域手当を導入する。現在、地方では公務員賃金が民間賃金を上回っているとして、06年度から5年かけて段階的に基本給を4・8%下げる。浮いた分は「地域手当」(月給の3〜18%)を新設し、東京など都市部に勤務する職員に支給する。転勤者への広域異動手当(月給の3〜6%)も新設。現在の「調整手当」(最大12%)は廃止する。
 この結果、地域間格差が大きく広がる(図参照)。その上、地方では公務員賃金が民間賃金に直結しているので、低い民間賃金がますます押し下げられるという問題も起こる。昨年、寒冷地手当を削減された北海道・東北などは、地域給導入でまたも収入が減る。
 A俸給表・俸給制度を見直す。今は同じ年次なら同じ月給というケースが多いが、支給区分を4倍に増やし(細分化し)、格差を付けやすくする。
 B年功的賃金上昇を改め、職務・職責に応じた給与構造に転換するとして、若年層の賃金をそのままにし、中高年層の賃金を7%引き下げる。(地方在住の中高年層は二重の賃下げだ)。逆に本省勤務者への「本府省手当」を導入する。能力等級制の導入は見送られた。
 C勤務実績・成績に応じた査定昇給制度・勤勉手当制度を導入する。A(極めて良好)からE(良好でない)までの5段階の昇給区分を設けて査定し、Eは昇給させないなどとする。

 地方公務員への賃下げにストを

 公務労協(自治労など)は、給与改定はやむなしとしつつも、給与構造改革は断じて認められないとしている。だが、財務省、自民党はもとより民主党も、もっと総人件費を削減せよと叫んでいる。05年は公務員賃金をめぐる決戦の年だ。
 国家公務員の年収引き下げは、すでに99年度以来、5年連続で行われてきた。99、00年度は1%前後、02、03年度は2%超、国と地方を合わせて6千億円もの人件費が削られた。
 東京都の賃金削減は国以上に大幅だ。この6年で1人平均100万円以上削減された。能力・実績主義的な賃金制度・人事管理も、全国に先立って導入・実施されている。
 05人勧は地方公務員に直結する。地方公務員の賃金は国家公務員に準拠して決められているからだ。小泉政権は、地域給の導入で地方に勤務する国家公務員の賃金を削減し、それによって地方公務員の賃金、ひいていは民間の賃金をも押し下げようとしているのだ。
 また、地域給、査定給、支給区分細分化、能力・実績主義の導入は、公務員労働者の中に差別と分断、競争と対立を持ち込む攻撃だ。それは、労組の全国的な統一と団結を阻害し、全国統一闘争を困難にする。
 公務員の全国統一ストライキで05年度人事院勧告を粉砕し、全国一律俸給表の維持、大幅賃上げをかちとろう。闘う自治労組合員は、8月自治労大会でマイナス人勧粉砕の全国統一闘争、ストライキ方針を訴えよう。05年秋季年末賃金確定闘争をストライキで闘おう。自治労大会で中央本部の平和基本法制定=9条改憲(自衛権と戦力の承認)の運動方針案を否決しよう。この闘いを貫いて11月労働者集会に結集しよう。

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週刊『前進』(2211号3面1)(2005/08/29)

 東京杉並 「つくる会」歴史教科書採択撤回へ

 山田区長と「つくる会」が結託 不当な圧力 採択は無効だ

 8月12日に杉並区教委が強行した「つくる会」歴史教科書の採択を徹底的に弾劾しよう。「つくる会」の露骨な圧力のもとで強行された採択は、まったく不当である。採択を撤回させなければ、杉並区内の23中学校で中学生が「つくる会」歴史教科書を使わされることになる。「つくる会」教科書を1冊たりとも中学生に渡すわけにはいかない。杉並区民や教育労働者と連帯して、必ず採択撤回をかちとろう。
 8月12日の杉並区役所には、「つくる会」教科書採択に反対して闘う区内外の500人の労働者・市民が駆けつけた。「つくる会」教科書の検定合格から4カ月、区内各所でビラをまき、署名を集め、地道に「つくる会」教科書採択反対運動を積み重ねてきた人びとが、3万筆の署名とともに「区教委はこの声を聞け」と突きつけたのだ。
 他方、全国からかき集められた「つくる会」派の宗教集団100人余が区役所入り口前に整列、歩道では「扶桑社教科書を支持します」というのぼりを掲げた。頭目は「つくる会」副会長の藤岡信勝である。4日に杉並で「つくる会」教科書の不採択寸前まで追い込まれ、また全国各地で「つくる会」教科書不採択が次々決まる中で、危機感を燃やした「つくる会」勢力が総結集したのだ。
 山田区長と納冨教育長を含めた3人の教育委員、そして「つくる会」は、4日の結果を受けて、12日に何がなんでも「つくる会」教科書を押し通すことを決断し、議論の流れまで入念な打ち合わせをした上で臨んできたのである。

 教育長の一言で採択を強行

 審議が始まると、4日と同じく大蔵雄之助と宮坂公夫は扶桑社版を絶賛した。大蔵は「1週間、8社の教科書を読み比べ、扶桑社版が学習指導要領に最も近いことがわかった」と扶桑社を推す一方、他社に対して「豊臣秀吉の朝鮮出兵を『侵略』と記すのは間違い」「日本が戦後補償を行っていないというのは誤り」などと批判を重ねた。
 宮坂は「明治憲法の『天皇は神聖にして侵すべからず』の条文は今の象徴天皇制と相通じる。明治憲法下で天皇に独裁的な権限が与えられたように書くのは誤り。明治憲法は近代的ないい憲法だった」「過去の日本人にも外国人に感謝された人がいた。台湾の開発に貢献した八田與一が載っている扶桑社がいい」「歴史は物語だ」「『韓国・中国で反対運動があるから扶桑社版を使わない』という判断をしてはならない」など、「つくる会」そのままの主張を繰り返した。
 他方、扶桑社版に反対する教育委員に対しては、納冨も加わって攻撃した。4日に「扶桑社版は戦争に向かう教科書」と述べた安本ゆみ委員に対し、すでに「つくる会」会長・八木秀次と副会長・藤岡が8日に「公開質問状」を出して脅迫していたが、納冨は「扶桑社版が戦争を賛美する教科書だとは思わない」と批判し、大蔵は「前回、扶桑社版のことを『戦争をすすめる教科書』と言ったが、どういうことなのか答えよ」と、「つくる会」の主張をそのまま代弁した。
 採択の決定権を握ったのは納冨だった。納冨は「人類史から戦争や紛争はなくならない。そう考えると、(平和を大切だと記す)他社の記述は理念的だが、扶桑社版の記述は現実的だ」と述べ、「あえて順位をつければ扶桑社が1位」と表明した。この納冨の一言により、5人の委員中3人が推す扶桑社版の採択が強行されたのだ。
 区教委の傍聴席に乗り込んだ藤岡や、音声が流された会議室にいた「つくる会」勢力は、歴史教科書が採択されると、公民教科書の審議が始まりもしないうちに一斉に退席した。「歴史教科書だけは押し通す」ことが、事前に山田区長と3人の教育委員、「つくる会」勢力の間で合意されていた証左である。

 現場教員の声抹殺した暴挙

 「つくる会」歴史教科書の採択は、採択手続きすら無視したまったく違法・不当なものである。
 何よりも扶桑社版歴史教科書の代表執筆者・藤岡信勝を先頭に「つくる会」勢力が殺到して圧力をかける中で強行された不当な採択である。文科省の指導も無視して白表紙本を配布してきた扶桑社だが、とりわけ杉並区では、教育委員個人に藤岡・八木が「公開質問状」を出して脅迫、さらに「つくる会」勢力を全国動員、最後は藤岡自身が傍聴で恫喝するという無法の限りをつくした。区教委は区内学校の玄関などに「教科書関係者お断り」の張り紙を張らせてきたが、扶桑社の執筆者だけは招き入れるという暴挙を働いたのだ。
 区教委はさらに、採択に向け提出された調査報告書をめぐって、扶桑社版に否定的な意見を記した教員に書き換えを命じるという不正まで犯した。それでもなお、報告書には杉並で現在使っている教科書に「使いやすい」という意見が多く、扶桑社への肯定的な意見はなかったという。その調査報告書もまったく無視した採択なのである。
 「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会は、同日発した抗議声明において、「私たちは直ちに撤回運動を始めます。署名で、裁判で、集会で、あらゆる知恵を絞って、あらゆる場所で。不採択運動を通じて作り上げた連帯の力は、必ずや、採択撤回を実現するものと確信します」と宣言した。
 杉並区教職員組合も同日執行委員会声明を発し、「いかなる弾圧・強制にも屈せず教育者の良心にかけて歴史の真実を子どもたちに伝え続ける。……杉並区教職員組合は、勇気ある行動に立ち上がった仲間を守り、杉教組に加えられるであろう不当な弾圧に断固屈せず、組織をあげて闘い抜く」と宣言した。
 また8月4日の区教委における大蔵の差別発言に対して、部落解放同盟全国連合会杉並支部と「『つくる会』教科書に反対する『視覚障害者』一同」は、抗議の申し入れを行った。
 「つくる会」教科書をめぐる闘いは、小泉の戦争と民営化=労組破壊攻撃との最先端の攻防である。採択撤回を必ずかちとり、戦争国家へ向けた大攻撃を労働者人民の力で打ち砕こう。

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週刊『前進』(2211号3面2)(2005/08/29)

 杉並・親の会報告集会 “こんな教科書使わせない”

 3万署名を基に次の闘い

 12日夕、「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会の報告集会が産業商工会館で開かれた。親の会を先頭に朝から採択阻止を闘いぬいた135人が集まり、「採択許さない!
 必ず撤回させる!」という鮮明な決意を固める場となった。
 親の会は「つくる会」歴史教科書採択後、ただちに区教委に撤回を申し入れ、阿佐ケ谷駅南口で抗議ビラを区民に配って「私たちは絶対にあきらめません。戦争賛美の教科書は絶対に使わせません。今回の採択は無効だ」と訴え、この報告集会に臨んだ。
 集会冒頭、親の会の抗議声明が読み上げられ、杉並区教育委員会を傍聴した親の会の呼びかけ人3人から審議経過が報告された。
 「つくる会」歴史教科書の代表執筆者である藤岡信勝が傍聴したことが怒りをもって報告された。「教科書採択の公平性を保つために執筆者や出版社関係者は入れてはならないのだが、藤岡は20人の傍聴の最前列に座った。しかも藤岡は『つくる会』教科書反対の安本教育委員に恫喝的な公開質問状を出した張本人。藤岡がいるのはおかしいと抗議したが、杉並区の職員は取り合わなかった。ひどい出来レースだ」
 「3万の署名の重みを委員に知ってほしくって、今朝の申し入れで教育委員会の開かれる部屋の中に置いて下さいと頼んだ。でも置いてなかった。私たちは陳情も何回も行ったが、全部無視。今回のことで民主主義はないと思いました」
 「4日に採択させなかったことは大きな勝利への第一歩だった。だからこそ『つくる会』はさまざまな妨害活動に出てきた。私は納冨教育長に『良心があるのか! 扶桑社版は教科書じゃない!』と大声で抗議し、松浦芳子区議らにも『絶対に撤回させてやる』と怒鳴ったら『過激派ってこわーい』と言われたが、なんと言われようと頑張ります」
 親の会が次々に発言。「なんと言っても悪質なのは宮坂委員。『神聖にして侵すべからず』の明治憲法の天皇条項と今の日本国憲法の象徴天皇が同じだって言うんですからね」「私は教科書は理想を語るものだと思う。納冨教育長は理想を言ったって戦争はなくならないんだと言った。子どもたちはいやになりますよ。納冨は絶対に許せない」
 「採択されちゃったからだめじゃなくて、この運動はこれからも続く。明日を担う子どもたちにやさしさと希望と勇気、そして行動を託していきたい」「『つくる会』は戦争でもうけたい連中、統一協会は修行で来ています。やってはいけないインチキとズルが行われた。藤岡の傍聴は法的にも追及していける」「誰とでも『戦争はいやよね』って言えば一致すると思ってきたが、今は違う。このことに気づいていない人たちに時代が変わったことを伝えなければならない」「採択されて悔しいが、なんだか元気がわいてきた。好奇心と正義感と怒り、何倍もエネルギーを出せると思う」「百日間決戦で駆けめぐってきた。多くの出会いがあり、親の会の運動の豊かさを実感している。これからもしなやかに明るく元気にやっていきたい」
 「教員は怒っている。教育労働者や自治体労働者に働きかけて杉並を変えたい」「きょうの申し入れの最後に『こんな教科書を使わせないと言ってストでもやってください』と机をたたいて帰ってきた。これから長い闘いになるが、3万の署名でつちかったつながりがあれば必ず勝てる」。司会の女性も「私も一言。見るハト、聞くハト、考えるハトが描かれたTシャツがあった。見ザル、言わザル、聞かザルではだめ。闘う対象が見えてきた。頑張りましょう」と訴えた。
 最後に今後の運動として▽採択撤回を求める署名運動▽裁判闘争▽納冨教育長、宮坂、大蔵両委員の辞任要求▽山田区長糾弾▽藤岡の傍聴や公開質問状に対する追及▽自治体職員や教育労働者との大きな連帯闘争などが提起された。「アメーバみたいな親の会がいろんな団体をつなぐものになれたらどんなにいいか。しなやかに明るく元気にやりましょう」とまとめた。
 団結ガンバローで締めくくって「つくる会」歴史教科書撤回の闘いがスタートした。
 (本紙・室田順子)

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週刊『前進』(2211号3面3)(2005/08/29)

 宝塚市は不採択決定 260人が包囲、策動うち砕く

 関西地方で「つくる会」教科書をめぐり「最も危険な地域」と言われていた兵庫県宝塚市で、8月10日の教育委員会において、関西一円から駆けつけた260人の大傍聴団が監視する中、「つくる会」教科書の採択を粉砕しました。この日までに寄せられた抗議・要請のメール・FAX・葉書・要望書などは実に2000通にも及び、前回の01年をはるかに上回る大衆的決起で渡辺市長・勝山教育長らの採択策動を完全に粉砕したのです。
 採択協議会の報告は、歴史・公民とも、扶桑社の教科書を8社中8位と評価しました。あとは、文部科学省出身の勝山教育長らがこの評価を覆すことを、直接傍聴する80人の力で粉砕することです。
 審議では、採択協の報告が静謐(せいひつ)な環境で適正になされたと報告され、続いて評価の高いものから選ぶことが教育委員の間で承認されました。これまで何度も対市交渉を行い、公正で民主的手続きを無視するなという署名も多数提出されており、請願でも「近隣諸国条項」をふまえることが採択され、勝山教育長らは完全に包囲されていたのです。
 審議はいよいよ大詰め。「採択協議会の評価の高いものから選ぶと、歴史・公民とも大阪書籍となります。それでよろしいですね」という教育委員長職務代行者の声に、勝山教育長は傍聴団の監視の中で異議を唱えることができず、「つくる会」教科書の不採択が決定したのです。
 宝塚市教育委員会は今年4月、「前回の教科書採択は適正でなかった」という「つくる会」派の請願を採択しました。市長と教育長は、教育の自由化・機会均等破壊の学校選択制と「つくる会」教科書を導入し、宝塚の「平和・人権・男女共生」教育を「戦争賛美と戦争動員」の教育につくり変えようとしてきました。
 この事実に怒りと危機感が大きく広がり、7月25日の学校選択制の審議会には70人、29日の教育委員会には100人、8月9日の審議会には60人、10日の教育委員会には260人の傍聴者が集まり、超党派の120人が「絶対阻止するぞ」の意気で事前集会を行い、傍聴に臨みました。
 「つくる会」教科書採択を阻止した力で、学校選択制を最終的に粉砕し、教育基本法改悪阻止・憲法改悪粉砕へと進む決意です。
 (投稿/宝塚・木村雄一)

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週刊『前進』(2211号3面4)(2005/08/29)

 東京「日の丸・君が代」闘争 ゼッケン処分狙う

 「研修」弾劾行動に打撃

 東京都教育委員会は、今春「日の丸・君が代」闘争を闘い処分された教育労働者のうち10人に対して、さらなる不当処分を発令しようとしている。7月21日に都教委が強行した被処分者に対する「服務事故再発防止研修」の会場で、「日の丸・君が代強制は憲法違反」「命令強制の教育支配を許さない」などのゼッケン・Tシャツを着用していたことを「職務専念義務違反」の「服務事故」として、8月9日から事情聴取を行っているのである。
 そもそも、「日の丸・君が代」不起立闘争を闘った教育労働者に「再発防止研修」を実施すること自身、まったく不当な転向強要にほかならない。
 それゆえ被処分者は当日、ゼッケンやTシャツで抗議の意思を示して研修会場に入った。会場では「ゼッケンをはずせ」と求める都教委を弾劾した。都教委職員は「はずせ」と言い続けることもできず、そのまま「講義」を始めた。その「講義」も、被処分者が次々たたきつける質問の嵐にかき消された。再発防止研修は都教委の思惑とは裏腹に、被処分者が都教委を圧倒する場となったのだ。
 この大敗北に打撃を受けた都教委が、さらなる処分をもって報復しようと、「ゼッケン処分」へ動き始めたのである。絶対許すわけにはいかない。

 9月再発防止・専門研修阻止へ

 さらに都教委は、今春減給1カ月以上の処分とされた教育労働者の「再発防止研修・専門研修」を、9月7日、9日、13日、14日に分けて強行しようとしている。被処分者1人を都教委5人が取り囲み「反省」を強要しようというものだ。
 被処分者の会は「専門研修」の執行停止を求めて提訴しようとしている。
 都教委の「ゼッケン・Tシャツ」処分決定を許すな。意気高く闘う被処分者と連帯して、「専門研修」粉砕へ闘おう。

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週刊『前進』(2211号3面5)(2005/08/29)

 靖国と八木秀次『国民の思想』

 「つくる会」教科書の行間にある皇国史観がむき出しに

 小泉義秀

 「つくる会」教科書反革命の本質を暴き、これを打ち砕くために、「つくる会」会長・八木秀次の『国民の思想』(新しい歴史教科書をつくる会編/産経新聞社)を批判することが有効である。あまりに荒唐無稽(こうとうむけい)なために、教科書には書けなかった八木の思想が『国民の思想』では全面的に展開されているからである。『国民の思想』を読み解くことで、「つくる会」教科書の背後にあるもの、行間も読み取ることができる。

 「歴史的総国民」に「主権がある」

 「つくる会」公民教科書(市販本)には次のように記されている。
 「国民主権は主権在民ともいわれる。なお、この場合の国民とは、私たち一人ひとりのことではなく、国民全体をさすものとされている」(74n)
 この記述が労働者人民の一人ひとりが主権者であるという現行憲法の主権論でないことはすぐ理解できる。国民主権が国家主権、ひいては天皇主権にすりかえられていることも明らかだ。この項の後に「国民統合の象徴としての天皇」を展開しているのは、本来は天皇に主権があると主張したいからだ。だがこのことが『国民の思想』ではもっと激しく表現されているのである。
 『国民の思想』で八木は「保守主義とは生命の連続性を自覚し、時間の縦軸を理解する哲学である。だから、国家は現在だけでなく、過去と未来を含めた三世代の国民から構成されるものと考える」(9n)と書いている。八木のいう国民は、現在の社会に生きている国民だけでなく過去・現在・未来のすべてをあわせて国民ということだ。
 八木は、国民とは「歴史的総国民」であると理解し、「“伝統”に主権がある」と明言し、明治憲法のように天皇の統治権の根拠は伝統にあるとすればよい、として「憲法に国民主権規定は不要」(同300n)と大見出しで宣言している。
 この考え方はG・K・チェスタトンという保守主義思想家の「死者とともにいる民主主義」という言葉に通じるものだとして、国のために死んだ英霊も含めた民主主義、国民主権ということを述べている。
 「戦没者は死して後も私たちの近くにいて、私たちを見守っている。その意味では、祖先の死は『意義ある死』でしかなく、決して『犬死』ではない」(同237n)
 「国民とは、私たち一人ひとりのことではなく、国民全体をさすものとされている」という公民教科書の記述は、八木の上記の精神に基づいているのだ。

 「国のため死ぬことは尊い」

 したがって、「つくる会」派にとって靖国参拝は魂であり、精神的支柱である。
 「靖国神社への参拝は過去の祖先たちへのまなざしである。靖国神社参拝は、現在のわが国の基礎を築いてくれた英霊たちに追悼と感謝の誠をささげ、英霊たちに恥ずかしくない日本を築くことを誓う行為であるはずだ」(『国民の思想』21n)
 靖国神社が追悼や哀悼とはまったく別のものであることに注目すべきだ。『靖国問題』(高橋哲哉著/ちくま新書)の一節がこの靖国思想と靖国神社の本質を鋭くとらえている。
 「それは本質的に悲しみや痛みの共有ではなく、すなわち『追悼』や『哀悼』ではなく、戦死を賞賛し、美化し、功績とし、後に続くべき模範とすること、すなわち『顕彰』である。靖国神社はこの意味で、決して戦没者の『追悼』施設ではなく、『顕彰』施設であると言わなければならない」(58n)
 「つくる会」教科書攻撃の核心はこの点にある。国のために死ぬことは尊いという思想を子どもたちに植え付けようとすることにある。明らかに新たな戦争への総動員を最大の狙いとしている。核心は、国家主義・愛国主義を徹底的にたたき込むことであり、個人や人権の前にまず国家があるという思想であり、国のため、天皇のために命をささげよというイデオロギーを子どもたちに注入することにある。八木が「国防の義務」を前面に押し出しているのも、国民の戦争動員・徴兵のためである。沖縄戦の歴史を歪曲しようとしているのも、玉砕の思想の称揚のためである。
 「それにとどまらず、こうしたとんでもない教科書に怒りを感じ絶対反対・阻止のたたかいに立ち上がる労働者人民の階級的反撃をたたきつぶすことによって、日本人民の戦後的な価値観、とりわけ労働者階級の階級意識と階級性、自己解放の思想と運動を解体し、人民を洗脳し、帝国主義戦争の先兵として動員していく恐るべき実体的攻撃なのだ」(『共産主義者』145号8n柏木論文)
 『国民の思想』の中では「国柄」という言葉が随所に登場してくるが、これは「国体」と同義である。1937年に文部省思想局が編集した『国体の本義』冒頭には「大日本帝国は、万世一系の天皇皇祖の神勅を奉じて永遠にこれを統治し給う。これ、我が万古不易の国体である」「この大義に基づき、一大家族国家として億兆一心聖旨を奉体して、克(よ)く忠孝の美徳を発揮する。これ、我が国体の精華とするところである」と規定している。

 「国柄」とは皇国史観そのもの

 国柄=国体は永遠に変化することなく独自の価値を自ら体現するものであるとされる。国家自らが国体を介して思想、宗教、倫理などの価値を体現し、独占する。この独占された価値の権威に対しては一切の批判を許さず、それに対抗する存在を一切抹殺する体制が戦前の天皇制国家である。
 八木がジェンダーフリーを敵視し、両親のそろった家族を重視するのは、忠孝一体の論理で家―国家=天皇に民衆が帰属することだけが価値とされるからだ。個人でも夫婦でもなく家が生活の基本とされる。
 「新憲法に家族尊重条項を設けよ」と題し、「(憲法改正2004読売試案で)家族は『社会の基礎として保護されなければならない』とした……持説が採用されたことを素直に喜びたい」(『国民の思想』158n)「今の日本に必要なのは、家族を国の基本単位として尊重していこうという発想である。日本の保守主義は、家族の価値をその中心に据えるべきである。……家族こそは世代を超えて文化を伝承していく場所であり、次世代の国民を育てる場所である」(同175n)
 天皇制国家は、皇室を頂点とする家族国家論で人民を抑圧し、家族の「和」という心情的関係に置き換えられる。したがって家族の「和」を乱す民衆の社会的・政治的運動は、家族の和を乱す行為として抹殺される。階級的・身分的秩序がすべて「和」に置き換えられ、「和」を揺るがす主張は「国体の精華」を傷つけるものとされた。母子家庭や父子家庭や同性愛者や独身者は伝統的家族ではなく、「両親のそろっている家族」だけが健全な家族であるとするきわめて差別に満ち満ちた家族観(同31n)が天皇制大家族の基礎なのである。
 さらに、皇国史観は自国中心主義と表裏一体の関係で帝国主義的侵略や他民族抑圧、戦争を一貫して肯定賛美している。神武東征神話の「まつろわぬ」ものどもをうちたいらげたことへの賛美が原点にある。だから靖国は自国民であっても敵側の死者は絶対にまつらない。これが靖国神社と天皇制の本質なのである。
 この教科書の思想・精神が今日の帝国主義ブルジョアジーの支柱であり、本体なのだ。新たな帝国主義戦争の切迫に伴って登場してきたとはいえ、破産した非科学的論理を持ち出し、天皇制を前面に登場させなければ戦争体制を構築できないのが日帝である。ここに彼らの最大の弱点と凶暴性がある。「つくる会」教科書との闘いは階級決戦の要である。

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週刊『前進』(2211号4面1)(2005/08/29)

 「大学改革」攻撃打ち破れ 全国学生の力で廃寮阻止へ 9・1判決裁判に結集を

 東北大有朋寮からアピール

 いま全国の大学で、戦時下の学生自治破壊の攻撃が一層エスカレートしている。その重大な環として大学当局の廃寮化攻撃が強まっている。9月1日に明け渡し裁判の判決公判を迎える東北大学有朋(ゆうほう)寮から、全国の学生・労働者へ向けての決戦アピールが発せられたので紹介します。呼びかけにこたえ、9・1判決公判へ集まろう。(編集局)
 全国の学生のみなさん! 労働者・市民のみなさん! 2001年9月の「廃寮決定」から4年の激闘を闘い抜き、私たち有朋寮はついにこの9月1日、明け渡し裁判の判決を迎えます。いままで多くの自治寮が、大学当局・裁判所・警察権力一体となった廃寮攻撃によって暴力的につぶされました。9・1当日は、裁判所を包囲して勝利判決を勝ち取る闘いであり、何より東北大学吉本執行部打倒、有朋寮の「廃寮決定」白紙撤回を勝ち取る闘いです。すべてのみなさんに、9・1仙台への大結集を訴えます!

 有朋寮廃寮阻止闘争は小泉・奥田の「構造改革」攻撃を粉砕する闘いだ

 私たち有朋寮は、「廃寮決定」以来4年間、東北大学のあり方を反動的にひっくり返すような攻撃と闘い抜いてきました。有朋寮廃寮攻撃にかける国家権力・吉本執行部の狙いは何か。
 第一に、学生の団結の破壊、執行部独裁体制の確立です。
 「本来の学校は、人間をしごいて飼い馴らす機能をもっていた」
 この衝撃的な言葉は、東北大学生担当理事・菅井邦明が新入生に薦めた本の著者・山折哲男の発言ですが、今の吉本執行部の考え方そのものです。廃寮決定に反対して02年度、有朋寮に入寮した古郡陸君に対し「大学の決定に反した」というとんでもない理由をもって無期停学処分を下し、「寮から出ない」「大学に従わない」ことをもって、2年半が経過した今もこの無期停学処分を継続しているのです! 従わない学生は「飼い馴らされる」まで制裁を加えていく。このような凶暴な見せしめによって、学生を萎縮させ、主体的に考え行動することそのものに制動を加えています。「学生は黙って従え」これこそ有朋寮廃寮にかける吉本執行部の本音なのです!
 また、有朋寮廃寮攻撃は、住んでいる寮生の声を一切無視して決定され進められてきました。03年には吉本学長の収賄が明らかになるも、強引に追及の声を潰し、ついに学長選挙の廃止にまで突き進みました。こうした事を教官たちは認めさせられる中で、評議会ではだれ一人として発言しない、教官に何の発言権もない大学へとされていったのです。学生に対しては団結破壊の攻撃が吹き荒れ、自治寮のみならず、サークル団体や学生自治会までも攻撃対象となり、「学生が1万人来ても大学の対応は変わらない!」(窓口職員)という発言まで飛び出しました。そして学費の値上げを東北大生は新聞紙上で知るような事態にまで至ったのです。こうした執行部独裁体制の構築は、すべて有朋寮の廃寮決定から始まったものです。学生が団結し要求する事すら許さない、主体的に考えることすら許さない、学生がモノのように扱われているのです!
 第二に、「国のために死ねる日本人作り」を目指した戦争教育です。
 今年の入学式に至っては、吉本執行部は愛国心を煽る発言を一斉に開始しました。菅井理事が「自分作りのガイド書」として新入生に薦めるのは、先述の山折哲男の「日本のこころ、日本人のこころ」なる本。さらに吉本学長に至っては、戦争賛美の教科書で大問題となった「新しい歴史教科書をつくる会」元会長の田中英道・東北大名誉教授の「国民の芸術」を推薦、「日本の伝統・文化」「武士道」を手放しで賛美するなど「つくる会」と全く同じことを言い出したのです。吉本執行部は「つくる会」の先兵、ファシストそのものです!
 現在狙われている教育基本法の改悪をめぐっては「お国のために命を投げ出す日本人を作り出す」(西村眞悟・民主党衆議院議員)などとその狙いがあけすけに語られています。「つくる会」会長・八木秀次は、労働組合の団結の破壊と並べて、平和教育をするような教師をたたき出し、戦争教育をしていくことを「精神革命」として、9条改憲に向けて必要な「改革」であると説いています。実際それはファシスト石原都知事のもとで、「つくる会」教科書の採択や、「日の丸・君が代」強制−処分という形で開始されているのです。
 こうした戦争への教育を、まず大学こそが先頭にたって貫徹しようというのが吉本体制なのです。
 第三に、「教育の機会均等」の否定、「エリート教育」への転換です。
 現在の学費値上げや、奨学金制度をむしろ競争を煽る道具にしていくような動きなど、教育を金で買うサービスのようにねじ曲げられていく流れを作り出したのも、有朋寮の「新寮なき廃寮決定」から開始されたものです。
 何より、計画されている「新寮」なるものは、全国初の「PFI(民間資金主導)型」という形式での建設が狙われています。これは建設から運営に至るまで資本が行う寮であり、家具やシーツなどすべてが企業の有料レンタル業務でまかなわれ、寮費を企業が回収し、滞納者はペナルティを課せられたたき出される、とんでもない寮です。これがなんと「厚生施設」ではなく「人材育成」を目的として建設されようとしているのです。
 財界のトップ、日本経団連の奥田碩は、提言「わが国の基本問題を考える」で9条改憲と並べて「教育改革」を訴え、「多様性」「競争」「評価」こそ重要で、今までの「教育の機会均等」はもういらないと言っています。企業には正社員は一部のエリートだけでいい、残りは非正規雇用、発展途上国並みの賃金でいいなどと公然と語り、そうした非人間的な扱いを受けても従う人間に飼い馴らしておけ、というのです。人間を差別・選別することが奥田の言う「多様性」なのです。こうした人間性をも無視した資本の金儲けが、JRの尼崎事故での107人の死へとつながっていったのです。
 総じて有朋寮廃寮攻撃とは、学生の団結を破壊し声をあげられないような独裁体制を敷いて、大学を弱肉強食と戦争の大学へとひっくり返していく攻撃です! こんな攻撃をどうして許すことができるでしょうか!

 青年学生は今こそ団結して小泉と闘おう!

 これはひとつの寮がつぶされるという問題ではありません。
 東北大学でやられているような、団結を破壊して「飼い馴らす」ことを国家的規模で推し進めるのが「小泉構造改革」です。国鉄分割・民営化を契機に国鉄労働組合をつぶしていった同じ労働組合つぶしが、「郵政民営化」さらには自治体へと進められようとしています。そして戦争教育のための教育基本法改悪や「日の丸・君が代」処分、「つくる会」教科書です。この先にあるのは9条改憲、戦争です。団結を破壊し、社会全体を弱肉強食に叩き込み、戦争にまで突き進む国家まるごとの大改造計画、「小泉構造改革」が今目の前で進行していっているのです。そして、有朋寮は、「小泉構造改革」「大学改革」とキャンパスにおいて最も激しく闘い抜き、廃寮強行を阻止しつづけてきたのです。
 有朋寮は、自治寮の誇りにかけて、小泉・奥田−吉本執行部による廃寮を許しません。自治寮とはなにより、戦争中に軍部の戦争教育の場として寮を利用された事への痛苦の反省から、学生の自主管理・自主運営によって、学生の自己権力を打ち立ててきました。そして生活・権利を守り抜いてきたのです。再びの自治寮の屈伏は、同じ過ちを繰り返す、アジアの民衆への裏切り行為であり、何より侵略戦争を繰り返す日本政府への屈伏は、人間として絶対にできません。
 私たち青年・学生は運命共同体です。みんな戦争に駆り出されるのか、団結してキャンパスから「構造改革」攻撃を打ち砕くのか。有朋寮闘争は「構造改革」「大学改革」攻撃との最も熱い激突点です。今こそともに闘う時です。腐りきった社会に怒りの声をあげよう! 全世界の闘う労働者と連帯して闘おう! まず東北大から小泉・吉本学長を倒そう! 有朋寮廃寮阻止闘争から、全国学生の闘いを爆発させていこう! 有朋寮闘争はその火花、突破口となる。
 9・1判決裁判に大結集を訴えます!

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週刊『前進』(2211号4面2)(2005/08/29)

 横須賀 “原子力空母許さぬ” 母港化阻止デモに3千人

 米空母キティホークが横須賀に配備されて7年の8月11日、米海軍横須賀基地近くのヴェルニー公園で、原子力空母母港化阻止神奈川集会が開催された。実行委の主催のもと、県内各地や東京・関東から25団体3000人が結集し、教組・自治労を始め国労・水道・交通・造船・私鉄などの各労組と厚木基地爆音防止期成同盟や百万人署名運動など市民団体の旗が、会場一杯に林立した。
 この日の集会は、杉並での教科書採択を翌日に控え、衆院解散・総選挙、米軍再編という重大情勢の中での緊迫した闘争となった。
 主催3団体のひとつである三浦半島地区労の三影議長の司会で集会が始まった。最初に原子力空母横須賀母港化を許さない全国連絡会の福山事務局長が、「教基法改悪と改憲攻撃の小泉政権をこの総選挙で打倒しよう。イラク戦争での加害を許さず自衛隊を撤兵させよう。10・21国際反戦デーを日比谷野音で、座間への第1軍団司令部移転阻止・原子力空母の母港化阻止の大闘争として実現しよう」とアピールした。
 全国基地問題ネットワークを代表し北海道から、平和センターを代表し埼玉から発言がなされ、さらに各政党からのあいさつが行われた。そして連帯のあいさつとして県央共闘会議の代表が、「キャンプ座間への米陸軍第1軍団司令部移転は、全世界での戦争の司令部を持ってくるということ。絶対に阻止する。2月の基地包囲の『人間の鎖』を始め現地の連月の反対行動は、自治体を反対の立場にまで押し上げた。これは大きなことで米軍の対応を変えた。さらにこの秋、大きな運動をつくりだす」と固い決意を述べた。また、32万筆を超す反対署名運動を進めてきた原子力空母の横須賀母港化を考える横須賀市民の会の呉東共同代表は、「原子力空母の母港化阻止に加えて、米軍再編との熱い闘いの夏だ。一歩も退かない。一人ひとりの行動こそ歴史を決める」と総決起を呼びかけた。
 集会は、「原子力空母の布石と目される12号バース延長の追加工事(注)を認めない」「キャンプ座間への移転阻止・原子力空母の母港化阻止へ、沖縄はじめ全国の仲間と連帯して最後まで闘う」という集会宣言を採択した。県平和センターの加藤事務局長が行動提起に立ち、「トランスフォーメーションの中間報告が出される9月からこの秋が山場。毎月闘争を大きく実現して、何がなんでも阻止する」と訴え、参加者一同はこれを大きな拍手で確認してデモに出発した。
 神奈川県労組交流センターは、「『つくる会』教科書・靖国参拝・郵政民営化攻撃と対決し小泉政権を打倒しよう」と今秋の大決戦を呼びかけるビラをまいた。とりわけ、翌12日の杉並教科書闘争と15日の靖国闘争は労働運動の正面課題であり基地闘争と一体で闘おうとの訴えは、多くの労働者の共感を呼んだ。
 集会後、長蛇の列のデモ隊は、米海軍基地正門前で激しいシュプレヒコールをあげ、約3`のコースを意気高く行進した。

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(注) 米議会会計検査院の報告書によって、日本政府による横須賀基地12号バースの延長整備計画は、原子力空母の横須賀母港化のための施設改善であることが明らかになっている。
 このように07年頃とされるキティーホークの退役後の原子力空母の横須賀母港化に向かって、日米帝国主義は攻撃を強めている。

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週刊『前進』(2211号4面3)(2005/08/29)

 イラク 自衛隊即時撤兵へ闘おう 8・7 サマワで3千人のデモ爆発

 爆発する反占領の解放戦争

 米英日帝のイラク侵略戦争はいよいよその泥沼の危機を深めている。イラク人民の激しい民族解放・革命戦争を鎮圧することができないばかりか、逆に米帝の方こそ占領支配体制が崩壊しかねない危機に突入しているのである。
 米帝が事態打開のすべてを託す形になっているカイライ政権のデッチあげは、新憲法案の起草が合意に達することができず、8月15日の期限を1週間延期せざるを得ない事態になった。その焦点は、クルド人とシーア派が主張している連邦制とそれと密接にからんだ石油収入の分け方をめぐって合意ができなかったことにある。クルド人は北部3州の大幅な自治政府を、シーア派は中南部にまたがる地方政府を要求して連邦制を主張している。それは北部、南部の石油資源を自分たちのものにしようとする思惑とからんでおり、スンニ派にとって妥協の余地のないものであった。
 しかし、重要なことは、たとえ新憲法案で合意ができたとしてもイラク人民の武装解放闘争を制圧できない限り、カイライ政権の安定も、米軍の削減もまったく不可能だということである。
 憲法案をめぐっては、米帝は期限どおりに原案を起草するように強く圧力をかけてきた。イラク人民の武装解放闘争を制圧できない米帝にとって、早くカイライ政権をデッチあげて「イラク独立」の仮象を取ることでイラク人民が武装闘争をやめるのではないかという幻想にすがる以外になくなっているからである。しかし、一方では、新憲法案の内容、特にシーア派地方政府という案に米帝はイランの影響を見て取り、イランに対して戦争恫喝を激しく叫び立て、新憲法案の起草期限を延期させた。
 米帝ブッシュは休暇中のテキサスで記者会見し、イランに対し、「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と語り、「軍事オプションが取り除かれるようにしろ」と恫喝した。またラムズフェルド国防長官も「イランの武器がイラクに流れている」としてイランに対して激しい戦争恫喝を加えている。米帝は、カイライ政権デッチあげのためにはイランに亡命していたシーア派の指導者に頼らざるを得ず、一方ではイランの影響力を許すことはできないというジレンマの中で、激しい戦争恫喝に訴えている。
 こうした米帝の危機の一切の根源は、イラク人民の民族解放・革命戦争への決起をどんなに最新鋭で強力な部隊を投入してもけっして制圧できないことにある。それどころか、米軍の2度にわたるファルージャ壊滅作戦とそれに続くアンバル州制圧作戦にもかかわらず、イラク人民のゲリラ戦争はますます激しさを増し、米兵の死者は増加する一方である。
 米帝はこの間、今年末の新憲法に基づく選挙と正式政府の発足にゲリラ戦争鎮静の望みをかけているが、それは昨年6月の政権移譲がなんの意味も持たなかったのとまったく同じように絶望的である。政権移譲後の米軍への襲撃はむしろそれ以前と比べて格段に増加したのである。米軍が撤退すればカイライ政権は1日たりとも持たず、武装解放勢力がヘゲモニーを握ることは明白である。米占領軍が居座り、電気も水も供給されず、占領軍による住民の無差別虐殺が続く限り、イラク人民の民族解放・革命戦争はますます爆発していくのである。
 8月3日にはユーフラテス川沿いのハディッサで水陸両用戦闘車両が路肩爆弾で攻撃され、海兵隊員14人と通訳の計15人が死亡するという戦闘がたたきつけられた(武装勢力の発表では、1日に6人の海兵隊員を殺された米軍が老人と少女を人質にとって待ち伏せ攻撃を行おうとしたのを、逆に武装勢力が包囲、攻撃した戦闘)。これは米軍発表でも一度の戦闘での米兵の死者としては今年最大である。しかもオハイオ州から送られたこの海兵隊は1日にも同じ場所で6人が戦闘で死亡したばかりであった。8月の米軍の死者はすでに17日までで59人に上っている。
 米軍はイラク人民の手製路肩爆弾の威力が大きく高まったことに衝撃を受けている。イラク人民のゲリラ戦争の技術が一戦一戦進化していることに焦りを深めているのだ。イラク人民の武装解放闘争を制圧する戦略的展望を何も示すことができず、米軍の犠牲が増加する一方の中で、取りざたされている「戦争のイラク化」による撤退などできるはずもなく、米軍が崩壊する危機すら出て来はじめているのだ。米軍が認めた数でも5500人の米兵がイラクから戦線逃亡している。イラクから帰還した米兵の3割は3〜4カ月の間に精神的障害になっている。そうした中で今年に入って米軍の新兵募集は毎月目標を大きく割り込んでおり、国防総省は兵士年齢の上限を引き上げることまで主張し始めている。
 米国内でも世論調査でイラク戦争に反対する意見が6割になるなど、ブッシュ政権への怒りが高まっている。イラクで息子が戦死した兵士の母親のシンディ・シーハンさんは、ブッシュが休暇中のテキサス州の牧場を訪れ、なぜ息子が死んだのかの説明を要求し、牧場のわきに座り込みを続けている。同じようにイラク戦争で息子を亡くした母親たちがこの座り込みに加わり、支援者も含めて100人を超える事態になっている。ブッシュは面会と討論をあくまで拒んでいるが、ブッシュ政権への人民の怒りはさらに激しくなっている。

 自衛隊に高まる人民の怒り

 こうした中で13日、イタリアがイラクからの撤兵を1カ月早めて開始した。米英に次ぐ3000人規模で派兵してきたイタリアが撤兵を開始したことで、いよいよ日帝の自衛隊派兵が突出した侵略政策であることが鮮明になっている。
 自衛隊が駐留しているサマワでは連日のようにイラク人民のデモが闘われている。7日には3000人の大規模なデモが闘われ、警察がデモ隊に発砲し、デモ隊が投石で応戦し、1人が死亡し50人以上が負傷した。これに怒ったサマワの住民は翌日には武装して町を制圧し、警官2人が死亡した。
 彼らは「自衛隊は市民に何をしてくれたというのか。彼らがサマワにいて満足するのは米政府だけだ。われわれはイラクに駐留するいかなる国の軍も占領軍とみなし即時撤退を求める」「自衛隊は撤退せよ」「自衛隊ではなく電力を、水を、治安を!」と訴えている。6月23日の自衛隊車列への爆弾攻撃は、自衛隊へのゲリラ戦闘の本格的な開始を告げたものにほかならない。
 こうした中で日帝・小泉はイラク派兵をあくまで強硬に継続しており、第7次派兵を進め、さらに12月の派兵期限を延長しようとしている。これは、たとえ自衛隊員が戦闘で殺されることになろうとも、イラク人民を大虐殺してでもイラク占領を担い続け、それによって日本を戦争のできる国に大転換させようとするものである。日帝・小泉政権はまさにイラク人民を虐殺し、自衛隊員を犠牲にすることによって日帝の戦争国家としての飛躍を図ろうとしているのだ。
 すでに日帝はイラク派兵によって戦争国家になっており、日本はまさに戦時下にある。日帝・小泉政権の民営化=労組破壊の攻撃もその激しさをもってかけられてきている。郵政民営化をめぐる小泉の解散総選挙という凶暴さは、労働者階級に向けられた攻撃なのである。この攻撃と真っ向から対決し、11月労働者1万人大結集の力で小泉政権を打倒しよう。自衛隊イラク派兵阻止、イラク撤兵、派兵期限延長阻止の闘いに決起しよう。
 (秋原義明)

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週刊『前進』(2211号4面4)(2005/08/29)

日誌'05  8月10日〜16日

 米議会委 沖縄海兵隊「維持」の結論

 国会議員約50人が靖国参拝

●空中給油機能持つ輸送機・ヘリ導入へ 防衛庁は、空中給油機能を持ったC130輸送機とUH60救難ヘリの導入関係費を06年度予算の概算要求に盛り込む方針を決めた。06年度中に配備される空中給油機や米軍の給油機から補給を受けることで航続距離を延ばす。周辺事態や国際平和協力活動での活用を想定しているという。(11日)
●嘉手納の騒音激増 米軍嘉手納基地を拠点に8日から始まっている空・海合同演習で、同基地に隣接する嘉手納町屋良地区の騒音が激しさを増している。電車通過時の線路脇の音に相当する100デシベル前後の騒音が連日続き、町役場も「これほど大きい音が続くのは異常だ」と驚いている。(11日)
●ブッシュ「イラク撤退は未定」 ブッシュ米大統領はテキサス州クロフォード牧場での会見で、イラク駐留米軍(約13万8千人)の「撤退(開始)は敵にとんでもないシグナルを送る」と語り、撤退計画は未定だと明言した。駐留米軍のケーシー司令官が7月末、条件付きながら早ければ来春にも撤退開始が可能との見解を示していた。(11日)
●杉並区教委が「つくる会」歴史教科書を採択 東京都杉並区の教育委員会は、区立中学校23校で来年度から使う歴史教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」主導で編集された扶桑社版を採択した。都内の市区町村教委が同社版を採択するのは初めて。(12日)
●普天間ヘリ緊急着陸 米軍普天間飛行場所属のCH46ヘリ3機が山口県の山口宇部空港に緊急着陸した。3機のうち1機の警告ランプが異常を示したためという。(12日)
●イタリア軍、撤退開始 イラク南部ナーシリアにイタリア政府が派遣している部隊の兵士百数十人が撤退を始めた。イタリアのANSA通信などが伝えた。イタリアは米国、英国、韓国に次ぐ約3千人を派遣してきたが、撤退は初めて。ベルルスコーニ首相は7月、9月の撤退開始を表明したが、約1カ月の前倒しとなった。(13日)
●ヘリ墜落から1年 昨年8月に米軍普天間飛行場を離陸したCH53D大型輸送ヘリが、宜野湾市の沖縄国際大学に墜落してから満1年となった。「1年たっても恐怖は変わらない」と住民の声。(13日)
●戦後60年で首相談話 政府は、戦後60年にあたっての小泉首相談話を閣議決定して発表した。95年に発表された戦後50年の村山首相談話を踏襲し、そこから「国策の誤り」の表現を除き、植民地支配と侵略でアジア諸国に多大の損害と苦痛を与えたとして「改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明する」と記した。(15日)
●国会議員約50人が靖国参拝 超党派でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」は自民、民主の47人と代理の合わせて130人が参拝した。閣僚では、尾辻秀久厚生労働相と小池百合子環境相が参拝した。石原都知事も参拝した。小泉首相は、千鳥ケ淵戦没者墓苑に献花し、日本武道館で開かれた全国戦没者追悼式に出席したが、靖国神社への参拝は見送った。(15日)
●都市型施設、訓練再開 米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)は、沖縄県金武町のキャンプ・ハンセン内「レンジ4」の都市型戦闘訓練施設で、実弾射撃訓練を再開した。同訓練の実施は7月12、13、8月4日に続いて4度目。16日も行われた。(15日)
●沖縄海兵隊「維持」の結論 米国防総省が世界規模で進める米軍トランスフォーメーションを監視する米議会の海外基地見直し委員会が最終報告書をまとめ、大統領と議会に報告した。沖縄の海兵隊については東アジア情勢を理由に海外移転に反対する結論。普天間飛行場の機能を嘉手納基地と山口県の岩国基地に移転させ、その他の海兵隊施設はすべて沖縄県に残すべきと勧告。(15日)

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週刊『前進』(2211号5面1)(2005/08/29)

 8・15労働者市民の集い 日米韓連帯で高揚 “労働者の団結の力こそ”

 郵政・教科書・靖国と対決 戦後60年に反戦誓う

 8月15日午後、なかのZERO小ホールで「60年目の戦争責任―憲法9条と靖国参拝/国益と排外に憲法は屈するのか」をテーマに8・15労働者市民の集いが、韓国とアメリカから労働者の代表を迎えて開かれ、520人が参加した。「戦後50年を問う8・15労働者市民の集い実行委員会」主催の8・15集会は11回目。靖国神社参拝運動や「つくる会」教科書採択攻撃などと真っ向から対決してかちとられた。
 集会はまず午前中の靖国神社内外での力強い闘いがビデオで映し出された。
 主催者あいさつを葉山岳夫弁護士が行い、日帝の戦争のできる国づくりの攻撃や民営化・労組破壊の攻撃に対して「世界の労働者人民と連帯した反戦平和の闘いで阻止できると確信している」と語った。
 闘いの現場からの報告ではまず全逓労働者の岩本正治さんが、小泉・奥田の郵政民営化について「公務員身分を剥奪(はくだつ)し、労働運動解体の突破口にしようとしている」「全逓労働者が生活と権利をかけて闘う時が来ている」と決意を表明した。
 「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会の教育労働者は、再発防止研修でのゼッケン、Tシャツ、はちまき着用に対して都教委が妨害行為だとして事情聴取の攻撃に出ていることを怒りを込めて暴き、「被処分者の会は毎年処分されているのでますます増えている。この力を土台に全国に闘いを広げる」と力強く決意を語った。
 続いて「『つくる会』の教科書採択に反対する杉並・親の会」が登壇。「歴史しか採択させなかったことは闘いの成果。けれどもくやしい」と切り出した。12日の教育委員会での「つくる会」の藤岡信勝の傍聴や納冨教育長の態度を弾劾し、「つくる会」を「本当に敵だと思いました。私たちは闘っていると感じました。撤回に向けて闘っていく」と宣言した。
 「憲法と人権の日弁連をめざす会」の高山俊吉弁護士が司法の戦線での闘いを報告。「われわれは多数派である。結集する努力を貫けば必ず多数派になれる」
 恒例となった松元ヒロさんのコントは、会場を大爆笑させながら、靖国神社が戦争のための施設であることを痛烈に風刺した。
 沖縄・辺野古から駆けつけた青年がヘリ基地建設反対協議会代表委員の安次富浩さんの「アジアへの新たなる攻撃基地は沖縄県内のどこにも必要ありません」とのメッセージを読んだ。
 松山大学教員の大内裕和さんが「労働組合と平和」と題してメイン講演。日本が戦争をする国になるのかどうか、重要な鍵を握っているのは労働組合だとして、知識人と現場の労働組合員の運動が結びつくことが重要と訴えた。陸・海・空・港湾労組20団体の闘い、教育労働者の「日の丸・君が代」強制に対する不起立闘争、国鉄分割・民営化による1047名の不当解雇撤回闘争の意義を訴え、「戦争協力拒否のための新しい平和4原則」として@憲法9条改悪阻止、A核兵器廃絶、B自衛隊海外派兵反対、C武器輸出禁止3原則堅持を提唱した。
 休憩後、靖国神社の式典を弾劾して拘束されていた学生たちが飛び入りで緊急報告。決死の弾劾闘争が大きな拍手に包まれた。

 国際連帯アピールに大拍手

 ハイライトの国際連帯アピールでは、米韓日の労働者の代表が壇上に並び、最初に韓国の労働歌謡「鉄の労働者」で参加者全体が“律動”を行った。
 民主労総ソウル地域本部のコジョンファン本部長は、「新自由主義世界化は全世界の民衆を対象とする二つの戦争を進めている。一つは帝国主義国家による周辺部国家に対する戦争(侵略と搾取の強化)であり、もう一つは自国の労働者民衆に対する戦争(搾取、民営化、労働弾圧)です」と訴えた。「特に日本の動きが重要」として「日の丸・君が代」強制や「つくる会」教科書、民営化、労組弾圧を糾弾した。そして、支配階級の攻撃を打ち破れるのは「階級意識で武装した労働者の団結だけ。国際主義に立脚した労働者の連帯だ」と訴えた。
 アメリカの運輸労働者連帯委員会のスティーブ・ゼルツァーさんは、「今、私たちの眼前では、第2次大戦を引き起こしたのと同じ権力が人類社会に対し今一度の破局的惨禍をもたらそうと活動している」と断罪し、「世界の労働者の再組織化は、私たちの経済的利益を守っていくためだけでなく、今一度の世界戦争を阻止していくためにもきわめて重要になっています」と訴えた。
 日本の労働者を代表して動労千葉の田中康宏委員長が発言した。 冒頭、戦争へと突き進む帝国主義に腹わたが煮えくりかえる思いだと怒りを表し、「労働者は歴史を動かす力を、無限の可能性をもっている。その確信を持てば世の中は変えられる。今が闘いの正念場だ」と訴え、11月6日の全国労働者集会への1万人結集を呼びかけた。
 日韓米3国の労働者の連帯の中に戦争と民営化に対する闘いの展望があることを実感した。
 最後に平和遺族会全国連絡会の西川重則代表が「歴史の史実を知る私たちは、きょう加害・被害の歴史の真実を心に刻み、国際連帯の下……共なる戦いを戦う。ここに宣言する」と声明を発し、まとめを提起した。
 戦後60年の8・15集会を豊かな内容でかちとり、大いに元気付けられた。
 (投稿/古寺和夫)

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週刊『前進』(2211号5面2)(2005/08/29)

 全学連が靖国に突入 神社境内 参拝運動を実力糾弾

 8月15日午前、全学連は大山尚行委員長を先頭に、靖国神社境内で「終戦60年国民の集い」を実力糾弾する闘いを敢行した。中国・韓国の人民の闘いと連帯して、戦争のための靖国攻撃に満身の怒りをたたきつけたのだ。
 この集会は、英霊にこたえる会や日本会議などの右翼・ファシスト勢力が「20万人参拝運動」を提唱して行った集会。前経済産業相の平沼赳夫や衆院議員の西村真悟、石原都知事らも参加し、発言した。
 集会は午前10時半、靖国神社拝礼と「君が代」斉唱から始まった。参道の特設ステージ前には約2千人。軍服姿の右翼の姿も多い。
 全員が直立不動の異様な雰囲気の中で「君が代」斉唱が始まった。その瞬間、ステージの左右で全学連の学生6人が「靖国神社参拝糾弾」「侵略戦争阻止」と書かれた横断幕を広げ、シュプレヒコールを叫んだ。学生はそのままステージの正面に向かって踏み込んだ。周りの天皇制右翼連中は数秒間にわたり思考停止、何が起きたのか把握できない。「君が代」斉唱の「おごそかな雰囲気」はものの見事に打ち破られた。式典は一瞬にして粉砕されたのだ。
 ここで我に返った右翼らが「生きて帰すな」などと怒鳴って殺到した。黒山の人だかりとなり、学生たちは引き倒されて、殴る蹴るの暴行を受けた。顔中があざになり、口の中は血まみれとなりながらも、しかしなおも「小泉の靖国参拝を許すな」とシュプレヒコールを続けた。全学連は右翼の暴力にまったく屈しない。ステージ周辺は大混乱が続いた。
 あわてふためいた警察が押っ取り刀で介入、なんと暴力を受けた側の学生を拘束した。そのままパトカーや機動隊バスで麹町署へ連行した。救急車や消防車も到着、血まみれの学生が一時、救急車に運ばれたが、これを毅然(きぜん)と拒否、そのまま他の学生と一緒に麹町署に連行された。だが、このあまりにも正義の闘いにデッチあげ弾圧の口実もつけられず、全員が完全黙秘で解放された。
 直撃糾弾された集会では、動揺した長谷川三千子(埼大教授)らが「先ほど靖国神社反対と言って横断幕を広げた人がいたが、彼らに『日本の独立はどうするの』と問いたい」などと取り繕った。学生の決死の闘いは、中国、朝鮮に対する排外主義をむきだしに靖国神社参拝運動で戦争への道を進む勢力に、巨大な打撃を与えたのだ。
 大山委員長はこの実力闘争について「『つくる会』教科書などの侵略戦争に向けた反動と対決し、うち破っていく闘いを貫徹した」と闘いの意義を語り、11月労働者1万人決起に向け、全学連は全力で闘うとの決意を示した。
 他の学生も「勝利感でいっぱいだ。戦争を止めるためには体を張って闘う」「右翼は、反対する人に暴力で襲いかかった。これが靖国神社の正体」「靖国勢力はつくる会と一体。ファシストや右翼の暴力と闘うことなくして戦争は阻止できない。杉並の8・4と8・12を引き継ぐ闘いだった」「ファシストや右翼の暴力に制圧された時、侵略戦争が始まる。階級的団結、国際連帯をかけて闘いぬくことが必要だ。敵陣の真っただ中に突っ込んで闘う」などと、口々に勝利感を語った。

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週刊『前進』(2211号5面3)(2005/08/29)

 戦後60年8・15にむけて 天皇制右翼が策動

 今年の8・15に向かって、靖国神社参拝推進派は、すさまじい反動的エネルギーを集中して、執念的に大国民運動を巻き起こそうとした。それは、すでにイラク侵略戦争に深々と参戦し、さらに中国・朝鮮への侵略戦争に突入しようとしている日帝が、小泉の靖国神社参拝に対する中韓の人民の激しい怒りの決起の前に靖国参拝を断念したらこの国は滅びてしまうという絶望的な危機感を持っていることを示している。
 8月1日付の産経新聞と読売新聞に、「みんなで靖国神社に参拝する国民の会」が「八月十五日、終戦の日。靖國神社に集まろう」と題する全ページ意見広告を出し、「二十万参拝運動の提唱」を掲げた。そこには、石原慎太郎がメッセージを寄せ「祖国日本の存続と繁栄のためにこそ敢えて死んでいった者たちの、時代や立場を越えて垂直に貫かれた信条の唯一の証として『靖国』はある」などと言って、小泉に「他国の干渉に惑わされることなく」8月15日に靖国に 参拝するよう迫っている。
 15日、小泉は解散・総選挙に突入したため靖国神社参拝を見送ったが、閣僚2人を含む47人の国会議員が参拝を強行、石原も当然のように参拝した。
 また、参道の特設テントで、「英霊にこたえる会」「日本会議」など主催の「終戦60年国民の集い」、午後には「靖国のこころ―追悼と感謝の集い」が開かれた。集会では次々と右翼政治家や学者が発言し、異様な愛国主義の空気に包まれた。平沼赳夫元経産相が「8月15日に靖国神社に参拝するというのが(小泉の)一番の公約ではなかったか」と語り、民主党の西村真悟は、「衆院選では靖国に参拝する候補かしない候補かで選んでほしい」と述べて、それぞれ小泉を右から「批判」した。集会の声明では、「国立戦没者追悼施設」建設を促す発言や「A級戦犯分祀(ぶんし)」を求める見解などに対する激しい反発が示された。
 これらの動きは、戦時下に、人民の戦争動員を一気に強めていくために、靖国神社の地位を戦前のように強固なものとし、首相の靖国神社公式参拝を当然のものとしようと、日帝支配階級が躍起になっていることを示した。全学連の実力糾弾の決起は、これに対する決定的な反撃となった。

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週刊『前進』(2211号5面4)(2005/08/29)

 ソウル 労働者2万人が集会

 解放60年の「光復節」を迎えたソウルでは8月14日、「キムデファン労働部長官退陣! 労働弾圧粉砕! 財閥解体! 両労総総決意大会」が開かれた。民主労総と韓国労総の組合員ら集まった2万人は、ノムヒョン政権退陣のスローガンを掲げ、資本と政権を打倒しようと叫んだ。(写真)
 ノムヒョン政権は8月10日、軍事政権さえその発動をためらった緊急調停権をアシアナ航空操縦士労組ストライキに発動した。ノムヒョン大統領は8・15祝辞で「大企業労組のせいで非正規職が被害を被る。労組はあえて既得権を放棄し、大妥協すべきだ」と異例の労働組合攻撃を展開した。
 9月冒頭にもノムヒョン政権は労働者の闘いに阻まれてきた非正規法改悪案強行とともに労使関係ロードマップの立法化を狙っている。怒りに燃える韓国労働者との国際連帯が求められている。

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週刊『前進』(2211号5面5)(2005/08/29)

 辺野古からの報告

 米軍再編を海上で阻む ボーリングと闘って500日

 名護市・辺野古の米軍新基地建設阻止の闘いは、米軍の世界再編(トランスフォーメーション)を根底から揺るがしている。そして日米帝の朝鮮・中国侵略戦争体制準備をぶっとめる闘いでもある。基地の県内たらい回しへの怒りがこの闘いを支えてきた。ボーリング調査阻止の闘いは8月末で500日を超えようとしている。
 本来、日帝・防衛施設局は昨年度中にも辺野古沖63カ所にわたるボーリング調査を終了していなければならなかった。しかし、命を守る会やヘリ基地反対協などの地元住民団体を先頭に「辺野古の闘いは全国の闘いだ」を合言葉にした全国の支援もとぎれることはなかった。沖縄県内はもとより全国各地から辺野古に駆けつけた青年・学生、退職者・労組関係者、宗教者、平和団体・環境保護団体に至るまで幅広い統一戦線が構築されている。
 その中でわれわれ革命的左翼を先頭とする全学連の学生や青年労働者たちは当初から支援体制をとり、辺野古闘争の重要な一角を占め、なくてはならない「支援グループ」としての位置を築き上げてきた。今秋、米軍再編に伴ってますます緊迫度を増す辺野古現地から近況レポートを発信していきたい。

 ボーリング機材撤去に歓呼の声

 7月14日、いつものように海上行動隊は辺野古リーフ沖に点々と東西4カ所にそびえるボーリング用の各単管足場に陣取っていた。台風の接近により海上はいつになく波も高く「今日の施設局の作業は台風対策で終わりだろう」と話し合っていた。通常は各ヤグラで施設局の指揮する作業船団と交渉しており、基本的に「一切の点検・補強・強化を認めない」という「絶対非妥協」が主流になりつつあったが、台風対策は「緊急避難」的な意味合いが濃いということで反対協代表に交渉が一任されていた。
 やがて交渉結果を知らせる無線に思わず息を飲んだ。交渉結果は「波浪対策用の補強単管をつける。補強は台風通過後に撤去する。なお、現在単管上に設置されているボーリング機材は撤去し、持ち帰る」という画期的な内容だった。
 第1ヤグラには昨年11月の作業強行によって、第3と第5には4月26日の夜間作業強行・金網設置の際にボーリング機材が単管ヤグラの天井に持ち込まれていた。この機材の撤去は海上行動隊にとって悲願であり最終課題であった。
 ブルーシートに包まれたそれは、分解されていたとはいえ、日々プレッシャーとしてのしかかっていた。実際、施設局側の作業船が襲来するや、まず天井に駆け上がり、ボーリング機材に何人かが覆いかぶさり、体を張ってエンジンをかけさせない闘いを続けてきた。施設局も「掘削するまでは機材の撤去は考えていない」と国家権力のメンツをかけて機材撤去を拒否し続けてきたのだ。
 だからたとえ「台風の接近」であっても機材が撤去されることは、事実上、施設局が掘削強行を当面延期すること=「白旗」を挙げさせたに等しい巨大な勝利だ。第1ヤグラに至っては9カ月ぶりの撤去であり、「継続は力なり」を合言葉に早朝から夕刻まで続けられた「海上座り込み」闘争が実を結んだ瞬間だった。

 卑劣な夜襲金網を突破しヤグラに突入

 それより前、6月初めには各単管ヤグラに張り巡らされた金網を撤去させるという成果もかちとった。
 4月26日、施設局は深夜2時に作業を強行、第2ヤグラをのぞく三つのヤグラには、反対派の進入を阻むために金網が張り巡らされた。同時に施設局は「24時間、必要なら作業を行う」と一方的に宣言した。海上座り込みによってボーリング調査が日々止められ、SACO決定=普天間基地の名護移設路線が崩壊しつつあることに危機感にかられた日帝・那覇防衛施設局の大反動だった。
 ボーリング調査に関する時間帯について沖縄県の許可条件には「日の出1時間後から日没前1時間まで」という付帯条件がつけられていた。これは辺野古沖に生息するジュゴンの生態を守るための最低限の条項だった。この日の深夜作業は、この条件に完全に違反する暴挙だったが、これを防衛施設局側は「実際に掘削さえしなければ夜間作業は何をやっても問題ない」と開き直ったのだ。
 早朝、急を聞いて駆けつけた海上行動隊が見たものは「鳥かご」のように側面はいうに及ばず、海底から天井まで金網が張られ、出入り口として取り付けられたドアには鎖で施錠がされた異様な光景だった。
 施設局がチャーターした「警戒船」が阻止船の進路を強引に阻むため、ヤグラに近づけない。「こんなことは許さないぞ!」とウェットスーツに身を固めた行動隊が意を決して次々と海に飛び込み、「警戒船」の制止を振り切って金網にしがみついた。
 ヤグラの中で作業を続ける防衛施設局職員と作業員たちに「自分たちでつくったルールすら守れないのか! 作業をやめろ! 金網を今すぐ撤去しろ!」と怒りをたたきつける。金網の編み目は1本の指も入り切らないほど小さく、10分もしがみついていると指や腕がしびれてくる。しかし、沖縄労組交流センターのMさんは1時間も金網にしがみつき続けた。
 中の作業員も行動隊の迫力に圧倒され、施設局職員の「気にするな! 作業を続けて!」という命令を受けても、もはや体を動かすこともできず、たたずむのみ。第1ヤグラでは、ある歴戦の闘士が「こんなものに負けてどうするか! 不正義なものは壊す権利がある!」と一枚の金網を実力ではぎ取ってしまった。そこから行動隊は次々とヤグラ内部に入り込んだ。第3ヤグラでは金網張りが途中だった海中の空き部分から行動隊が突入した。第5ヤグラはすでに金網が完成されており、どこにも入るすき間がなかった。何人かがロープを持って金網をよじ登ろうと試みたが、力尽き海中に落下していく。何度目かで一人の若者がてっぺんまでするすると登りきった。上から次に続く行動隊員にロープが渡された瞬間、見守っていた仲間たちから拍手が巻き起こった。

 24時間作業を泊り込みの継続で粉砕

 結局、施設局は作業中断を余儀なくされたが、この4月26日から24時間の泊まり込みが始まった。施設局は「反対派がヤグラ上にいれば作業はしない」と、暗に「いなければ強行するぞ」と恫喝した。反対派を24時間ヤグラにくぎ付けにすることで阻止行動の疲弊を露骨に狙った事実上の「兵糧攻め」だった。
 しかし、海上行動隊はひるむことなく24時間体制を築き上げた。海上阻止行動は、午前から夕方までを一区切りとして人員を交替し、午後7時から翌日早朝までという泊り込み体制を組んだ。ある行動隊の船長は3日間ボートの上で寝起きし、食事は陸上からの配膳でまかない、シャワー代わりに海に飛び込んで生活していたという。
 施設局側は海上監視に民間警備会社を雇い、各ヤグラに警備員を乗せたゴムボートを配置、サーチライトでヤグラを照らし出した。そのため泊り込み隊は一瞬も気を抜けない緊張状態を強いられた。雨が降れば一晩中ブルーシートにくるまってしのいだ。
 5月に入ると沖縄特有の強烈な日差しが無慈悲にヤグラ上に降り注いだ。本土から来た学生たちの白い肌は真っ赤に日焼けした。
 このような過酷な状況の中でも闘争参加者は生き生きと運動をつくり出した。党派や団体を超え、自分たちの運動の取り組みや沖縄問題についてヤグラ上で活発に議論を交わした。全国から集まった学生や若者たちは、「新しい全国横断の辺野古支援運動」をつくろうと意気投合していった。まさに海上ヤグラは辺野古闘争を発展させる「海上解放区」となったのだ。
 施設局は金網設置後、平日は毎日作業船団を繰り出しながら、何一つボーリング作業はできなかった。
 24時間作業体制という防衛施設局の暴挙に対し、沖縄中から非難が高まる中、6月後半、反対派との交渉で那覇防衛施設局は「夜間作業は実際にはすでに停止しているし、今後もやれる条件はない」と表明した。
 このような金網撤去やボーリング機材撤去は、日帝・施設局側の「敗北宣言」だと言えよう。昨年9月からの海上阻止行動はここにきて大きな勝利の地平をかちとったのだ。
 (大津五郎)

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週刊『前進』(2211号6面1)(2005/08/29)

団結ひろば 投稿コーナー

  “平和基本法に反対”県本大会で押し返す 自治体労働者 藤野 隆

 私の所属する自治労県本部定期大会が7月末に開かれました。論議の中心は、自治労中央の「国の基本政策検討委員会」最終報告についてです。結論から言うと、「平和基本法を拙速に決めることについては反対する」という執行部答弁を引き出し、危うい動きを押し返したのではないかと思っています。
 私の地方では今春以来、社民党幹部が「平和基本法」共同提言者の中心人物である前田哲男・東京国際大学教授の講演会を2回も開催してきました。もちろん、現場の労組活動家が疑問や反対の意見を述べてきました。県本部は03年「21世紀宣言」に反対した「13県本部」の一つであり、全国大会にどのように臨むかが大きな焦点でした。
 私は「平和基本法は憲法9条を実質変えるもの」という趣旨の意見書を出して大会に臨みました。また労組交流センターの仲間は「平和基本法」と連合「国の基本政策に関する見解」批判のビラをまきました。
 大会では、「平和基本法案は不明確だ。ズルズル後退していくのではないか」「沖縄と連帯するならば、平和基本法に反対すべき」「『主権国家の個別的自衛権』『最小限防衛力』の承認は侵略戦争と戦力の肯定、承認だ」「連合案にすり寄っている。修正案を出すべき」「個別的自衛権を認めることは集団的自衛権を認めることになっていく」「日米安保に明確に反対せよ」「最終報告の『アジア安保』は新『大東亜共栄圏』ではないか」など、私を含めて7人の代議員が反対意見を出しました。賛成意見はありませんでした。
 県本部大会は、自治労が改憲派に転落してはならないという現場活動家の危機感でいっぱいでした。8月23〜26日の全国大会で「平和基本法」を葬り去ろうではありませんか。

 県教組軸に反対署名宮城7地区で不採択 仙台 深山達夫

 宮城では「つくる会」教科書反対の闘いは教組の取り組みを軸に署名や教育委員会への申し入れなどさまざまな闘いが展開され、その力で未発表の一地区を除き、7地区で不採択を実現しました。私たちは署名実行委員会をつくり、3000筆を超える署名を集めて教育委員会に届けました。
 「つくる会」は5月29日に仙台市で緊急集会を開催し、6月4日には多賀城市で「教科書適正化シンポジウム」なるものが開かれる状況でした。私たちは危機感に燃えて、自分の所属する労組・団体はもちろんのことあらゆる場所に署名をお願いに行きました。
 教組では当初、「つくる会」教科書への危機感は薄いものでしたが、定期大会で署名への取り組みを決めました。この取り組みにより署名運動の柱が立ち、以降労組を中心に取り組みが急速に広がっていきました。7月3日の総決起集会には現場の中学の教育労働者が初めて参加し、デモに立ち上がりました。
 この闘争の過程で日本共産党の一部の人たちは「教科書問題を政争の具にするな」と主張しました。これに対し、私たちは、「『つくる会』教科書は教育基本法改悪・憲法改悪の先取りであり、教育労働者を先頭に労働者民衆の力を集めて打ち破らなければならない」と訴えました。
 私たちは在日朝鮮人・韓国人の団体にも署名の要請に行きました。職員一人ひとり全員に紹介してくれました。「日本人にあなたたちのような人がいるとは思わなかった」と言われました。この経験は私たちの署名運動にさらにエネルギーを与えるものでした。
 ほかの潮流が共産党を先頭に階級決戦として闘おうとしない中で、労働組合を始めあらゆるところで私たちが先頭で闘い、情勢を切り開いたことは、今後の教基法改悪・憲法改悪との闘い、そして党建設にもつながると総括しています。

 「支援法」廃案実現し国会内で勝利の集会 関東「障」解委 M・T

 8・8衆院解散に伴って「障害者自立支援法案」がついに廃案となりました。8月9日、法案提出の2月以来一貫して廃案を訴え続けてきた「障害者」グループの主催による緊急集会が国会内でもたれ、50人が参加しました。
 「自立支援法案」は7月衆院で採決が強行されたものの、国会前・厚労省前を埋めつくした連日の「障害者」の闘いの前に完全に粉砕されたのです。
 参加した「障害者」の発言はどれも自信と喜び、まだまだこれからという固い決意に満ちあふれたものでした。「鬼の議員周りというあだ名のとおりがんばってよかった」(茨城)「自分も闘いに入り込んでがんばってよかった」(町田)「廃案になってうれしくてしょうがない。次の法案も亡霊のように出てくるなら闘う」(埼玉)「ハンストを初めて経験した」(板橋)「一緒に闘ってこれたことがうれしい。作業所の職員ができないことを利用者の僕たちがやった」(三多摩)「障害者を殺すような法案は撤廃していくのが信条だ」(滋賀)「国会は最初4、5人で心配だったが、気が付いたら国会前に何人もが寝泊まりするようになっていて驚いた」(相模原)「秋の再提出に気を抜かず闘おう」(府中)「支援費も措置に戻したい」(新潟)「介護保険への移行攻撃として阻止しよう」(世田谷)などです。
 「自立支援法案」は年金生活中心の「障害者」の命すら奪っていく法案です。
 「財政難だから『障害者』も支えてくれ」。尾辻厚労相の振りまく国家的デマと脅しにNO!をたたきつけ「障害者」が身を挺(てい)して勝利した闘いでした。さらに闘おう!

 8・6民間・合同労組交流集会が大成功 広島 大門哲治

 8・6ヒロシマに全国から結集した民間・合同労組の交流集会が開催されました。11月集会を呼びかける港合同や34年間の闘争に勝利した全金本山労組が来広して、私たち広島連帯ユニオンが呼びかける交流集会に参加しました。
  本当に猛暑のデモ行進の直後に集会に参加する人が大勢いるのだろうか?とヤキモキしていましたが、開けてビックリ! 足の踏み場もない程の大盛況ぶりで、用意した資料が足らなくなってしまいました。闘う仲間と方針を求めている民間労働者が多いことを実感しました。また予想していたよりも青年労働者の割合が多かったように思います。
 今回一堂に会して交流したことにより、闘う仲間として、身近に感じて、わかりあえたように思います。また「一人職場」の人などは、全国に大勢の民間の仲間がいることがわかって感激したのではないでしょうか。
 港合同や全金本山労組の闘いの歴史には、くめどもつきない労働運動・労組運動の教訓があふれていると思います。具体的に当事者から聞く話は本当によくわかりました。合同労組の若い組合員も真剣に聞いていました。
 産別の中で最大のウエイトを占める私たち民間労働者こそが、正規雇用、非正規雇用を問わず、労働組合に結集して、地域に闘いの砦(とりで)をつくることが重要だと痛感しました。
 私たちのような地域合同労組がもっと力をつけていく必要があると思いました。
 集会は「11月日比谷に総結集しよう!」を合言葉に団結ガンバロー!で、興奮のうちに終了しました。

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週刊『前進』(2211号6面2)(2005/08/29)

 「障害者自立支援法」が廃案

 「障害者」に「安楽死」迫る 小泉=奥田路線と対決を

 血のにじむ闘い

 障害者自立支援法案を廃案に追い込んだ。 
 ここまできたのには「障害者」の血のにじむ闘いがあり、審議・採決を少しでも先延ばしにしてきた地をはう闘いがありました。廃案をかちとるために決死の闘いが展開されました。連日国会前の泊まり込み、座り込みが行われました。衆院委員会採決時には、100人の傍聴の「障害者」らが決死的弾劾を浴びせ、衛視もそれを止めることができないほどでした。そのような闘いの結果としての廃案でした。
 さらに、障害者自立支援法案は郵政民営化法案を先取りするような中身を持っていたからこそ一体的に廃案になったのではないでしょうか。
 衆院解散の理由となった郵政民営化というのは、闘う労働運動つぶしが目的です。それはすさまじい反革命を成し遂げることを意味しており、それについていけなかったのが自民党内の「反対派」でした。小泉反革命とは、だから、旧来の保守党としての自民党をぶち壊し、真性反革命政党につくり変えるということでもあったのです。それは日本経団連の奥田路線そのものを実現する政党につくり変えるということです。

 労組破壊と一体

 奥田は改憲と労働運動つぶしのためにすべてをかけた攻撃を行っています。その奥田が選択したのが小泉だった。マスコミを最大限利用して「改革旋風」を巻き起こし「小泉人気」なるものを演出していった。「改革」に逆らうのは非国民とまでも言うようなすさまじいキャンペーンがなされていった。
 奥田路線とは、国際争闘戦に勝つために、労働運動を一掃して労働者からの搾取と収奪を思いのままにすることです。これは「新時代の日本的経営」(1995年日経連プロジェクト報告)路線として、正規雇用は一割に削減して残りは使いたいときに使いたい分だけ使うという非正規雇用にすること。労働者の既得権を完全に剥奪(はくだつ)し、完全な無権利状態にすること。19世紀的な「工場法以前」の状態に追い込むことが目的です。
 連合などの屈服をとおしてもいまだに貫徹できないこの目標のためには、少しでも労働者の利益を守るということを標榜(ひょうぼう)する労働組合は一掃しないといけないと考えていること。そのために総評労働運動の名残がある郵政の労働運動・労働組合は解体せねばならないこと。それが郵政民営化攻撃の目的でした。
 もう一つの方向は、奥田の言う東アジア経済圏形成です。東アジアで中国を抑え付け、アメリカに対抗した「自由経済圏」をつくるという構想です。そのためには何が必要か。日本経団連が主張するのは憲法改悪です。何よりも自衛隊を自衛軍とし、海外で戦争ができるようにすることです。戦争をして勝つことが目指されています。
 この目的のためにも労働組合・労働運動つぶしが必要です。民主主義で政権がひっくり返されるようなことがあっては戦争を貫徹できないからです。自民党の中の「守旧派」もつぶさないといけないとされた。彼らが憲法にどういう立場をとっているのかではなく、戦争遂行のためには一切の「反対」はあってはならないということです。守旧派の陣地とされたのが郵政民営化反対勢力だった。
 この両者の解体を同時に推し進めるものが郵政民営化攻撃だった。郵政民営化法案を推し進めたのは、戦争遂行と反革命という小泉の決意の固さです。
 この新たなる反革命と「障害者」抹殺は一体のものとしてありました。ドイツでファシズムがまず「障害者」の抹殺から始めたのと今回の事態は偶然の一致ではない。
 奥田路線では「障害者」は二つに分類されています。一つは労働市場で利用できるもの。これは極めて安価な労働力として利用できる範囲のものです。もう一つは労働市場には利用できず、ただ生かしておくための費用のみがかかるものという分類です。
 自立支援法案も「障害者」を見事にこの二つに分類しています。自立支援法案でも労働者として利用できるものは利用していくとなっている。そしてただ生かしておくための費用については今後支出しないという政治選択をしている。奥田路線では「安楽死」を選択せよと言っている。これが自立支援法案の激しさの根拠です。帝国主義のすさまじい決意を見誤ってはいけない。

 歴史選択かけて

 介護保険の前には、「老人福祉は枯れ木に水をやるようなもの」という中曽根の発言がありました。それは今回の自立支援法案の思想でもあります。ここに大きな思想的転換があるのです。ナチスは「障害者」を生かしているのはドイツ国民にとって無駄な支出だからということで支出をしないでおく方法を選択した。それが27万人の「障害者」の殺害だった。そのときにも回復の見込みがあり将来労働者として利用できるものは除外された。この考え方と障害者自立支援法案の考え方はまったく一緒です。それが奥田路線で言う「安楽死」の選択です。
 この新たなる反革命は、郵政民営化を推進する政治とひとつだった。人を殺す思想がなければ戦争はできません。その思想を作るために「障害者」がいけにえにされようとしている。ナチスが「障害者」抹殺から共産主義者やユダヤ人の虐殺に道を開いていったのと同義です。
 小泉がいまひとつの脱皮をするのか、労働者が決死の反撃を組織するのかが問われている。小泉が真性反革命政党として自民党をつくり変えるのか、労働者が自民党を歴史のもくずとしてつぶすのか。
 いまわれわれに問われているのはそういう歴史的選択ではないかと思います。歴史選択をかけて労働運動の組織化を実現しよう。そして同時に「障害者」解放運動の飛躍をかちとろう。
 (投稿・吉村隆生)

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週刊『前進』(2211号6面3)(2005/08/29)

 医療観察法が初適用 保安処分施設解体しよう

 7月26日東京小平市の国立精神・神経センター武蔵病院で保安処分施設の住民見学会が開催された。「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議は「保安処分の初適用弾劾! 施行した医療観察法への協力を拒否しよう! 『再犯の将来予測』で拘禁する医療観察法を廃止しよう!」と参加者250人のほぼ全員にビラをまいた。阻止共闘も「病者」を先頭にこの見学会に参加し、実態調査に乗り出した。
 武蔵当局は「ここは刑務所ではありません、病院です。しかし外に出られないように厳重にしています」とことさら「付近住民の安全」をアピールしようと見学会を開催した。しかしそれは行き着くところ「精神病者」をいたぶり虐殺するナチス収容所の再来をもたらす施設であることもはっきりした。
 入り口には3人の重装備の民間ガードマンが常時待機する詰め所がある。二重ドアは一方しか開かない設計になり、強化ガラスは鉄格子を無くしたというが、16_厚でピッケルも折れるという。外には赤外線や振動センサーを配置した二重フェンスを張り巡らし、中は急性期・回復期・社会復帰期と3ユニットで独立に仕切られ、対象者33人は全部個室で、カギが外からかけられるようになっている。まさに刑務所の独房だ。
 違うのは看護師が44人、その他医師ら50人近くのスタッフが保安要員を兼ね、連日「治療」の名のもとに矯正訓練にあたるということだ。電気ショックも許可されている。退所できるかどうかはただただ「将来二度と犯罪を犯さず罪を償う意識が植え付けられたかどうか」であり、刑罰とは異なり期限は誰もが最初から無期限だ。
 しかも公衆電話は共有部分に一つしかなく、ユニットから出してもらえないとかけられない。売店も置かない。当局は「ここは売店を必要としない施設だ」と力説する。外出は政省令で「親族の葬儀の時」にほぼ限られ、「社会復帰のための施設」などという説明は最初から否定されている。
 7・15医療観察法施行に基づき、19日には東京の「病者」が新幹線内で他人とトラブルとなり消火器で殴り1週間のけがを負わせたとして福島地検により初の保安処分申し立てが行われた。福島地裁は鑑定入院(最長3カ月)を決定、「病者」は審判が開かれるまで保安処分施設とは別の病院に強制入院させられている。
 以降、十数件の保安処分申し立てが全国の地検で連日行われている。しかし第1例を始め、「重大犯罪」とあおるのとは逆に家族、親類、友人とのトラブルや自室放火、全治1週間程度のけが、あるいは法の施行前の事件にさかのぼって適用した事例がほとんどだ。しかも検察の見立てだけで殺人や傷害、その未遂にしてもいくらでもデッチあげや恣意(しい)的判断が通用する。「精神病者」と判断すれば不起訴や釈放にした上で保安処分審判への申し立てがほぼ自動的に行われている。「精神病は犯罪の温床」「早く摘んで治療=根絶しなければならない」という差別が現在も続いているのだ。
 国立武蔵を始めとした保安処分施設は絶対に解体されなければならない。「いい治療」などあり得ない。「再犯予測」をデッチあげて「病者」を分断し社会的に抹殺する違憲・差別への加担を拒否して闘おう。

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週刊『前進』(2211号6面4)(2005/08/29)

 福岡 第7次派兵を弾劾 耳傾ける多くの自衛隊員

 7月30日の陸上自衛隊第7次派兵の第1陣約200人の出兵に続き、8月6日、8月14日、第2陣約200人、第3陣約100人が福岡から出兵した。
 これに対し、平和をつくる筑紫住民の会とアメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会を始めとする労働者・市民・学生は、福岡駐屯地(福岡県春日市)に対する派兵阻止の緊急行動に立ち上がった。
 8月6日、集会の冒頭で筑紫住民の会の群島代表は、広島への原爆投下の日に派兵が強行されようとしていることを弾劾し、「地元福岡・春日から、この九州から派兵されることを許すことはできない」と発言した。
 アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会の青柳代表は「自衛隊が参戦する中で、憲法で保障された権利である請願権すら守られないようになってきている」と弾劾し、イラク人民と連帯して派兵を阻止することをアピールした。 
 また、九大学生自治会は「サマワにおけるイラク人民の怒りの闘いで自衛隊の中に動揺が走っている。今こそ私たちの行動が重要だ」と訴えた。
 8月14日、終戦記念日の前日に派兵が強行された。翌15日の靖国参拝攻撃と一体のものとして行われたのだ。
 集会冒頭あいさつに立った青柳代表は「戦争で犠牲になった人たちを弔うべき日を翌日にひかえ、3度この春日から自衛隊派兵が強行されようとしている。絶対に許してはならない」と訴えた。
 また平和をつくる筑紫住民の会は「私たちのこの闘いは第8次派兵が予定されている熊本の闘いにつながるものだ」とアピールした。
 6日、14日ともに集会後、それぞれ陸上自衛隊の駐屯地へ向けてデモを行った。圧倒的注目と共感の中、「出兵命令を拒否しよう!」「イラクの人に銃を向けるな」と訴え、駐屯地正門までデモをし、陸上自衛隊に対して申し入れを行った。沿道からは一緒に「NO WAR!」 と声を上げる中学生のグループもいた。
 この行動を駐屯地内の自衛隊員は官舎の中から、屋上から注目し、耳を傾けていた。イラク人民、とりわけサマワでの闘いが自衛隊を直接の怒りの対象として行われる中で、隊内にはこれまでにない動揺が起こっている。
 今こそ自衛官を労働者階級の側に獲得する闘いを進めよう。完全に行きづまっている日本帝国主義、台頭するファシスト勢力と対決する新たな労働者党建設を推し進めよう。

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週刊『前進』(2211号6面5)(2005/08/29)

 京都府警の不当弾圧 松田関西労組交流センター代表の釈放をかちとる

 8月2日に「免状不実記載」デッチあげで京都府警に不当逮捕されていた関西労組交流センターの松田勲代表は、12日に釈放をかちとった。
 関西においては各府警・県警によって、連続的な免状不実記載のデッチあげ弾圧が加えられているが、今回の弾圧は、労働運動活動家に加えられた弾圧としては異例の勾留決定がなされ、準抗告、取り消し請求のいずれも京都地裁は却下するという暴挙が繰り返された。京都地裁の反動ぶりは、まさに際だったものだった。
 これに対して、松田代表を奪還する闘いは、関西労
組交流センターの全力決起で闘い抜かれ、8月3日、4日、5日と、西京署抗議闘争、京都地裁や地検へのビラまき・抗議申し入れ闘争が展開された。9日の勾留理由開示公判には40人に上る仲間が結集し、京都地裁の反動裁判官を徹底弾劾した。
 一方、松田代表への不当逮捕は、完全に「つくる会」教科書採択の攻撃として加えられてきたものであるが、これに対して関西の仲間は8月8日八尾、10日宝塚で採択を阻止し、弾圧を根底的なところで打ち破り、松田代表を奪還したのである。
 治安弾圧の激化は、日帝の階級支配の危機と階級闘争の激動化をはっきりと示している。人民を弾圧しなければ延命できない帝国主義こそ死すべきだ。不当な弾圧への怒りを力に転化して、11月労働者1万人総決起へ進撃しよう。

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週刊『前進』(2211号6面6)(2005/08/29)

党学校  『賃金・価格・利潤』 −学習の感想−

 資本のルール壊さなくては Y・H

 賃金闘争において、残業については「お金をもらってもやれないんだ」という立場をもって賃上げを要求する、などの例を聞きながら、あらためて、資本との絶対的対立をつきつける武器として賃上げ闘争があることの重要さが分かった。
 討論の中で「生理的要素の重心性」について話がありました。もはや肉体的限界を超えるほど労働を強化されている現実があり、これ以上の労働強化は「生命・安全の原則」からいって不可能だとつきつけることは、動労千葉のストライキや安全運転行動の話と重なりますが、まったくそのとおりだと思いました。
 8時間労働について、私も朝8時から夜11時まで1週間続けて働いたことがあります。残業代もそれなりに出たので、その時は、それは出来なくはないように思えました。しかしそれは、その時元気で若かったということであり、しかも今のような大不況時代、大合理化の中で生きていくことを考えればおよそ出来ないことです。
 ましてや「人間として生きる」のとはほど遠く、職場とアパートを往復するだけの生活であり、太陽にあたるのは通勤のラッシュアワーの最中だけであったこと、食事も3食コンビニ弁当ばかりで、体を壊しても当たり前の状態にあったなあ、と思い起こしました。
 若い人たちで能力給に賛成している人たちは、その時は、つまり若くて健康なうちは、それでいい、と思うかもしれません。でも、30歳を超したら、やはり安心して働ける終身雇用を支持する人がぐっと増える。特に、家族を持ったり、子どもや親の老後の問題など、働けない状態の人とかかわったり、自分自身がその状態になると、「働かざる者、食うべからず」なんていうのは間違っていると思うようになる。今の資本主義の“ルール”の中で生きていける人はもはや少数になり、どんどん生活が破壊されてきている。今、このシステムを壊さなくては生きていけない、ということなんだなと思いました。
 また、生産力が下がる場合でも、賃上げを要求する必要があることを聞き、そうだったのか、と思いました。(うっかりだまされていた)
 もう一つ。利潤率が低下していないのは、植民地で収奪をしているからだ、ということも、そういうことなんだと思いました。今の資本主義にも構造的にすごく矛盾があるんですね。
 なんとなく「このままでいいんじゃないですか」と言っている人に、本当はこんなに無理をして生き続けているんですよと、実態を明らかにして訴えていこうと思います。
 労働者を分断するために、食べていける人と食べていけない人にどんどんふるいをかけてきていますが、帝国主義国と植民地主義国の差はもっと激しい。こうした問題を、感情的にだけ言うのではなく、今回学んだ理論も踏まえて、このままいったら労働者は生きていけなくなるから団結して闘おう、と訴えていきたいと思います。

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