ZENSHIN 2005/12/26(No2228 p06)

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第2228号の目次

国労5・27臨大闘争弾圧を打ち破り、なんとしても無罪をかちとろうと被告・家族・全参加者が心を一つにした(12月11日 東京・星陵会館)

1面の画像
(1面)
国際連帯で民営化と闘い 06年決戦へと進撃しよう
改憲阻止、安保・沖縄闘争へ
イラク侵略戦争の泥沼と経済破局にあえぐ米日帝
危機のブッシュ・小泉打倒を
記事を読む  
無罪獲得・国労再生へ
国労5・27臨大闘争弾圧許すな 全国集会で決意新た(12月11日)
記事を読む  
年末一時金カンパを いま一度訴えます 記事を読む  
(2面)
地本あげ検察側証人を激励  “場所は社民党の塩尻事務所”
5・27国労弾圧裁判 反対尋問で重大事実(12月13日)
記事を読む  
許さない会 広げよう  全国集会 不屈に闘う被告に感動(12月11日) 記事を読む  
韓国・民主労総 非正規職撤廃へ攻防続く  大韓航空スト弾圧に反撃 記事を読む  
全日建運輸連帯労組 関生支部への3次弾圧許すな
戸田近畿地本委員長を逮捕 武委員長を再々逮捕(12月8日)
記事を読む  
武委員長とり戻そう  12・3集会に1500人集う(12月3日) 記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2005 11・25〜12・14
日本経団連が06年経労委報告
各単産で賃上げ要求/奥田が小泉の靖国参拝擁護
記事を読む  
(3面)
“社会保障解体と闘おう”
12・11東大阪 高齢者の怒り 広がる闘い  介護全国ネットが総会(12月11日)
記事を読む  
部屋代徴収・保険料値上げ  介護と医療を奪う大攻撃 記事を読む  
“集団的自衛権行使へ改憲を”  民主・前原の米国講演弾劾(12月8日) 記事を読む  
都議会 “生徒の不起立阻む指導を”  中村教育長が重大答弁(12月8日) 記事を読む  
「労働契約法」−何が問題か
「常設的な労使委員会制度」で労組破壊し労働者の権利奪う
記事を読む  
(4面)
三里塚暫定滑走路 06年北延伸着工を阻止しよう
南延伸を粉砕した05年の闘い  3・26全国集会に総結集を
成田からの陸自東部方面隊派兵許すな  斉田 猛
記事を読む  
12・10現地闘争 05年の勝利を確認  東峰の森防衛・処分場監視へ(12月10日) 記事を読む  
狭山要請行動 全国連、高検を糾弾  “部落民は暴力団と同じか”(12月5日) 記事を読む  
日誌'05 12月7日〜13日
立川ビラまき弾圧、逆転有罪  イラク派兵1年延長を強行
記事を読む  
(5面)
JR総連カクマル松崎の最期  組合費3千万円横領しハワイに別荘
国鉄分割・民営化の先兵が行き着いた腐敗と大破産
記事を読む  
立川ビラまき弾圧裁判 逆転有罪判決弾劾する
戦時下の治安弾圧粉砕を(12月9日)
記事を読む  
市民投票9年目 “辺野古に基地つくるな”  12・23海上パレードへ 記事を読む  
神奈川の基地報告
米陸軍第1軍団司令部は朝鮮・中国侵略戦争の指揮中枢
陸自中央即応集団司令部も座間に
記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
「思いは一つ」気持の高ぶり 中四国・JPU 遠藤 登
「ピケライン越えるな」に感動 広島・全逓労働者 T・K
運動の力強さ戦闘性に驚く 仏教徒 Y・N
資本の搾取と矛盾をアルバイトでも実感 学生 S・T
労基法違反が横行する労働実態のひどさ 東京・学生 M・W
記事を読む  
共謀罪を絶対に阻止しよう
思想処罰と団結禁止狙う 治安維持法をしのぐ悪法
記事を読む  
85年蜂起戦 20周年の集い  新たな団結と出発を誓う(12月4日) 記事を読む  
8・15実が討論集会 “国民投票法案粉砕へ決戦”(12月8日) 記事を読む  

週刊『前進』(2228号1面1)(2005/12/26)

 国際連帯で民営化と闘い 06年決戦へと進撃しよう

 改憲阻止、安保・沖縄闘争へ

 イラク侵略戦争の泥沼と経済破局にあえぐ米日帝

 危機のブッシュ・小泉打倒を

 4大産別を主戦場とした12月の激しい攻防が続く中、06〜07年決戦への過程が始まろうとしている。帝国主義の危機が本格的に爆発し、革命的情勢が急速に成熟しつつある中で、われわれはこの05年に新指導路線を階級闘争の大地にしっかりと根付かせ、11・6国際連帯集会で世界革命への現実的な突破口を切り開いた。06〜07年の階級闘争は、01年9・11反米ゲリラ戦、03年3・20イラク開戦から今日にまでいたる過程を数倍、数十倍する激しさと規模をもって全世界で発展するだろう。帝国主義の危機と矛盾は極限的に激化していくからだ。

 第1章 米帝ブッシュを追い詰めるイラクの戦い

 何よりも帝国主義の「総本山」たる米帝が、イラク侵略戦争の泥沼にますます深々とはまり込み、すさまじい階級矛盾と経済危機を爆発させようとしている。
 12月15日、米帝が「イラク民主化の総仕上げ」と位置づけてきたイラク総選挙は終わった。しかし、すでに2年9カ月に及んでいるイラク侵略戦争は、これまでが「前哨戦」にすぎなかったかのようにますます激化・本格化している。
 10月末に「公式発表」で2000人を突破した米兵の死者は、イラク総選挙に向かう過程でさらに急増し、10〜11月の2カ月間で180人に達した。負傷者は約1万6000人とされ(米団体調査)、このうち8000人以上が「72時間以内に戦線復帰不能だった者」で相当の重傷者が含まれている。米帝は事実上1万人を超す兵力をせん滅されてしまっているのだ。
 これに対してイラクの武装解放勢力は、米帝の残虐な皆殺し作戦や大量拘束、拷問などに屈せず、膨大な「人民の海」の中でますます力をつけている。ラマディなどでは数百人規模での米軍基地への正面攻撃、街の制圧、米占領軍やその手先を摘発する検問所の設置といった戦いが繰り広げられ、米帝の占領統治をずたずたにしている。
 ブッシュはこの敗勢を取り繕い、さらなる侵略戦争の激化へ踏み込むべくイラク総選挙を前に計4回のイラク関連演説を行った。総選挙前日の14日の演説では「大量破壊兵器の存在」という開戦理由のデタラメさや、3万人ものイラク人民を死に追いやったことまで認めざるをえなかった。しかし「目的は正しい」としてすべてを開き直り、「責任をとる」という論法で「最後の勝利まで」戦争を続けると言明した。
 米帝は明らかに泥沼の15年侵略戦争にのめり込んでいった日帝と同じ破滅へのプロセスにはまり込んでいる。イラク侵略戦争は、米帝の世界支配、中東・石油支配の崩壊的危機と帝国主義間の争闘戦の激化の中で引き起こされた。米帝が帝国主義であるかぎり、イラク撤退は絶対にできない。イラク撤退はイラクおよび中東全域の「反米化」に直結する。米帝の中東・石油の独占的支配は崩壊し、仏・独などユーロ圏の帝国主義による再分割を許すことになる。
 それは米帝の世界支配とドル体制を根底から崩壊させる。借金まみれの米帝がなおドルを基軸通貨として維持しえているのは、圧倒的軍事力を持ち、全世界がエネルギー源として決定的に依存する中東地域と石油を独占的に支配し続けているからだ。まさに米帝にとってイラクの占領・永久植民地化は「絶対的生命線」であり、帝国主義である限り、「撤退」という選択肢はけっしてありえない。
 だが、またイラク占領・侵略戦争の継続・激化が米帝の延命につながるわけでもない。米帝はすでに経済的破綻(はたん)状態にあるのだ。

 第2章 住宅バブルと借金漬け経済の破綻は必至

 「アメリカ経済の成長が続いている」というが、その実像は、海外から借金をしまくり、その金で住宅バブルを生み出し、バブルで膨らんだ住宅資産をあてにして富裕層が消費にひた走るというものだ。個人の住宅ローン、クレジットカードからイラク侵略戦争の財源にいたるまでが日本、中国、産油国などから流入し続けている海外資金によって支えられている。その結果、アメリカの経常赤字も財政赤字も史上空前の規模に膨れあがり、対外純債務は3兆jを突破してさらに増え続けている。この借金漬けの米帝経済はもはや維持不可能なレベルに達している。
 そうした中で原油の高騰、インフレ化が進行し始め、住宅バブルも崩壊の兆しを見せている。ITバブル崩壊後の米経済の落ち込みをカバーしてきた住宅バブルの崩壊は、米家計の借金漬け状態をむき出しにし、大量の住宅ローン貸し出しを続けてきた米金融機関の危機を激化させる。ITバブル崩壊から5年にわたって恐慌を引き延ばしてきたツケが一気に爆発していくことになる。
 いずれにせよ米帝の危機は、06年から07年にかけてこうした経済的破局とイラク侵略戦争の泥沼化、中東支配・世界支配の破綻と崩壊とが入り乱れ、混然一体となって爆発的に進行する。死の苦悶(くもん)にのたうつ米帝は、この危機をさらなる世界戦争、民営化と生活破壊のエスカレーションをもってのりきろうとする。
 帝国主義はどん詰まりになるほど破滅的な侵略と世界戦争へ突き進むのだ。かつてそれをやったのが日帝であり、独帝であった。今度はそれを基軸帝国主義・米帝自身がやろうとしているのだ。沖縄の恒久的軍事要塞(ようさい)化を要とする米軍大再編は、まさにそうした第3次世界大戦突入の準備そのものである。

 第3章 体制的に破産し危機と腐朽を深める日帝

 こうした米帝の世界戦争に向けた激しい動きに全面的に対応し、一体化することで延命しようとしているのが、日本帝国主義だ。
 12月8日に2度目の自衛隊イラク派兵延長を決定した小泉政権は、戦争と民営化の大攻撃をかけてきている。改憲実施の国民投票法案、防衛庁の省格上げ法案、米軍再編特措法、共謀罪などの来年通常国会成立をめざすとともに、自治体労働者の大量首切り、自治労・日教組つぶし、地方自治解体の「三位一体改革」や公務員制度改革、医療制度改革を始めとする社会保障解体、大増税などなど、4大産別の労働者を主要ターゲットにした攻撃をこれでもかと繰り出している。しかしこれは、総選挙で「圧勝」した小泉の「強さ」ではまったくない。日帝・小泉もまた、米帝ブッシュ同様に差し迫る帝国主義の破局的危機に追い立てられているのだ。
 最近「日本経済の回復」ということがさかんに宣伝されている。大企業や製造業の景況感は上昇し、東京株式市場の株価はどん底の7000円台から今やその倍以上の1万5千円台まで膨らんでいる。だが、大半の労働者階級の生活はまったく楽にならないどころか、苦しくなる一方だ。まさに労働者階級をとことん搾り取り、奪い取り、だまし取ることで空前のぼろもうけをしているのが、日帝・独占金融資本なのだ。
 銀行の不良債権処理、企業の過剰債務の整理がこの間、大幅に進んだという。大量の公的資金を注入した上に、賃下げ・首切りの大リストラを継続し、資本主義史上例のないゼロ金利・超低金利を10年以上も続けてくれば不良債権も債務も減ろうというものだ。しかし「減った」ことで労働者階級人民は犠牲になった。
銀行は膨大な人民大衆の預金をかき集めながら利子は払わず、手数料だけとってきた。「もし93年時点の金利が維持された場合、その後10年間で国民全体の家計に入るはずだったのに受け取れなかった利子の累計は154兆円に達する」(日銀総裁の国会答弁)のだ。まさに空前の大衆収奪が独占金融資本とそれと結びついた国家によって行われたのだ。
 また、銀行の不良債権や企業の過剰債務の減少と国債発行額・国家財政赤字の増大は、ぴたりと重なっている。「財政危機」というが、要するに独占金融資本の危機を国家が請け負い、そのツケはすべて民営化と大リストラ、大増税、社会保障解体として労働者人民に全部押しつけようというのが、小泉・奥田らの「改革」なのだ。
 さらにこの「日本経済の回復」なるものはとんでもないデタラメの上に成り立っている。今、日本社会を「土台から」揺るがしている耐震強度・構造計算書偽造問題こそ、歴史的生命力を失った日本の資本主義を象徴するものだ。この偽造はバブル崩壊後の銀行・ゼネコンの危機の激化と規制緩和による建築確認事務の民間開放が重なった90年代後半から一挙にエスカレートした。
 自治体が行っていた建築確認を大手ゼネコン(バックには大銀行)や建材、ガス、電気など建築関連の大企業が出資する民間検査会社にやらせ、耐震偽造をすり抜けさせるというデタラメさ。「官から民へ」という規制緩和・民営化路線を強行し、ゼネコンや民間調査会社とつるんできた政府・自民党。まさに耐震偽造は日帝国家と独占金融資本総ぐるみの反階級的大罪である。
 これはゼネコン、建築関連企業といった一業種の問題でもない。バブル崩壊後、どん詰まりの危機に陥った日帝ブルジョアジー総体が、民営化、規制緩和、構造改革路線に走ったことの帰結なのだ。その矛盾の一切がさまざまな産業分野の安全問題に集中し、JR尼崎大事故や構造設計偽造問題などとして露呈し、今年にいたって爆発的に噴出し始めたのである。しかも、こうした現実を許した最深の根拠は、連合など既成の労働組合が御用組合化し、一切何の抵抗もしてこなかったことにこそある。
 こうした「安全崩壊」は「帝国主義の腐朽化」の現れである。あまりにも生き延びすぎた資本主義・帝国主義が、もはや社会を一社会として成り立たせることができなくなるほどに末期性を深めているのだ。
 こうした中で、他方では連続的な児童殺害事件のような様々な矛盾、社会的危機が爆発している。
 日本経団連は06年版経労委報告を発表した。そこでは「ベアは企業の競争力を損ねる」とベアを拒否している。これに対し連合は一律賃上げ要求を放棄して、「ベアではなく賃金改善だ」と全面屈服している。経労委報告はさらに、「国をあげて治安・防犯対策に注力すべき」と叫んでいるが、彼らは治安弾圧の暴力でしかもはやこの社会を維持できなくなっているのだ。行き着く先は社会全体の「監獄化」である。そして全矛盾を排外主義的に転嫁する侵略と戦争である。これが日帝支配階級のいう「安心・安全な国づくり」なのだ。

 第4章 世界の労働者は国境越えた団結を求める

 帝国主義の歴史的生命力は完全に尽き果てている。その打倒以外に労働者階級の生きる道はどこにもない。世界の労働者と被抑圧民族人民の国際的団結でブッシュを倒し、小泉を倒すために闘う時である。
 帝国主義の極限的危機と矛盾の爆発は、全世界で膨大な労働者人民を生きるためのぎりぎりのところからの闘いに立ち上がらせている。なんとしても生き抜こう、闘って勝ち抜きたいという欲求と意志をもった労働者たちが互いに友を呼び合っている。勝利の路線と方針を求め合っている。その中から関西生コン支部・港合同・動労千葉の3労組共闘が生まれ、日米韓の3国連帯が生まれた。この共闘と国際連帯をどこまでも発展させよう。その力で民営化を粉砕し、4大産別決戦に勝ち抜こう。反合・運転保安確立を掲げ資本と徹底的に闘う動労千葉とともに団結して闘おう。改憲阻止、新たな安保・沖縄闘争へ立ち上がろう。
 この12月、闘う労働者とともに一時金カンパ決戦と機関紙拡大闘争をやり抜き、06年へと進撃しよう。

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週刊『前進』(2228号1面2)(2005/12/26)

 無罪獲得・国労再生へ

 国労5・27臨大闘争弾圧許すな 全国集会で決意新た

 

国労5・27臨大闘争弾圧を打ち破り、なんとしても無罪をかちとろうと被告・家族・全参加者が心を一つにした(12月11日 東京・星陵会館)

12月11日、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」は東京・星陵会館で「国労5・27臨大闘争弾圧を許すな!全国集会」を開き、8被告の無罪獲得と国労再生へ闘いぬく決意を固めた。(関連記事2面)
 国労5・27臨大闘争弾圧の8被告は、不当逮捕された02年10月以来、3年余の闘いを全力で貫いてきた。集会に参加した275人は、これまでの闘いの勝利の上に06年を「無罪を確定させる年にしよう」との熱い思いを8被告とともに新たにした。
 壇上に並んだ被告とその家族を代表して、松崎博己被告団長が発言した。鉄建公団訴訟原告でもある松崎被告団長は、「5・27弾圧粉砕の闘いと鉄建公団訴訟が一体となって国労を再生する。06年は国鉄闘争の正念場。解雇されたら闘う以外にない。全戦線で腹を据えて闘おう」と力を込めて呼びかけた。その発言には、被告を先頭とした闘う国労組合員こそが、国労の主流派にのし上がるべきだという気概が込められていた。国労再生の闘いは、確かな手ごたえをもって開始されようとしている。
 登壇した6人の被告家族もそれぞれに「無罪をかちとるまで頑張る」と決意を述べた。1年3カ月にわたる未決勾留という過酷な弾圧を受けながら、被告とその家族は闘いの中で鍛えられ、一層の団結を打ち固めてきた。勝利を確信し意気高く闘うその姿は、参加者の胸を打った。11・6全国労働者集会に示された闘う労働運動の大高揚の始まりは、5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いの中にも脈々と流れている。労働者階級の闘いが勝利する時代が来たことを、参加者ははっきりと感じ取った。
 許さない会呼びかけ発起人で弁護団長を務める佐藤昭夫・早稲田大学名誉教授は開会のあいさつで、「鉄建公団訴訟の9・15判決は被告の正しさを明らかにした。国家的不当労働行為をやみに葬り去ろうとした国労執行部と、これを利用した警察と検察の弾圧に対し、闘いが続けられてきた」「職場に許さない会の活動を広げ、公判闘争に勝利することがどうしても必要だ」と訴えた。
 権力と資本に屈服した国労本部は、02年5月27日の国労臨時大会で、鉄建公団訴訟原告の闘争団員に対する統制処分手続きを強行決定した。被告たちはこれに抗議し、臨大当日の朝、本部役員らの宿泊するホテル前でビラまき・説得活動を行った。国労本部派は、これを「暴力行為」に仕立て上げ、組合員を警察・検察に差し出したのだ。
 この弾圧との闘いは、日本労働運動の軸心に位置してきた国鉄闘争の命運を決する闘いだ。またそれは、労働者の階級的団結をかけた攻防そのものだ。小泉政権のもとで郵政民営化を始めとした公務員労働者への大首切りが本格化し、労働組合解体の攻撃とビラ入れなどへの常軌を逸した弾圧が吹き荒れている。5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは、それらすべての攻撃を打ち破る戦略的な位置にある。何よりも、労組幹部が傘下組合員を国家権力に売り渡したということ自体、凶悪きわまる労働組合の団結破壊にほかならない。
 だからこそ、この弾圧との闘いは、労組を階級的に再生し、現場組合員の手に取り戻すためのきわめて重要な闘いなのである。ますます屈服を深める国労本部にとって、8被告の闘いはのど元に突きつけられたやいばのような意味を持つ。毎回の公判闘争は、国労本部と警察権力の癒着を暴き、「被害者」と称して団結破壊に加担した検察側証人を徹底弾劾する場になっている。
 一瀬敬一郎主任弁護人が弁護団の8弁護士とともに登壇し、これまでの公判闘争について「被告の完全黙秘・非転向の闘いが勝利の大前提をなしている。裁判闘争の基盤は、国労本部の裏切りに抗し、国鉄分割・民営化と体を張って闘う被告の正義性にある」「現在は『被害者』証人への反対尋問の段階にある。この段階で勝利の地平を確実なものにした」と報告した。そして、来年夏にも弁護側立証に入ることを明らかにした上で、「傍聴の力で弁護側立証の成否が決まる」と闘争の強化を訴えた。
 鉄建公団訴訟弁護団事務局長の萩尾健太弁護士が「鉄建公団訴訟判決の意義と闘争勝利のためにどう闘うか」と題して講演し、国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団がともに鉄建公団訴訟を闘っていることの重要性を強調した。そして、9・15判決が国労本部を揺さぶっている事実に触れ、「本件についても、検察側立証に協力させず、無罪の署名を集めるところまで国労本部を追い込む必要がある」と提起した。
 動労千葉争議団の高石正博さんは「国労本部が9・15判決を評価すると言うなら、5・27をどう見るのか。これに謝りもせず、どうして1047名が団結できるのか」と声を強めた。
 田中康宏動労千葉委員長が尼崎事故に対して闘われた動労千葉の反合・運転保安闘争について報告し、約100日に及ぶ闘いがJRをついに屈服させたと宣言、また日米韓労働者の国際連帯の意義を語った。
 この弾圧との闘いは、労働者階級の魂を揺さぶる力を持っている。集会はそのことを深く確信させた。

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週刊『前進』(2228号1面3)(2005/12/26)

 年末一時金カンパを いま一度訴えます

 『前進』読者、支持者の皆さん。同志の皆さん。労働者階級の闘いの前進と強大な革共同の建設のため、いま一度、心から絶大な年末一時金カンパを訴えます。
 今年1年、私たち日本の労働者階級と革共同は小泉政権・支配階級の全体重をかけた労働者の団結破壊攻撃に対して、階級と革命の未来をかけて必死で闘い、勝利の活路を切り開いてきました。
 この闘いは、3労組共闘のもと、日・韓・米4600人の闘う労働者の力で成功した11・6労働者集会と、これを引き継ぐ動労千葉などの訪韓闘争、さらに12月冒頭の韓国・民主労総のゼネストへと結実しました。この民主労総のゼネストには、アメリカの港湾労働者が連帯闘争で呼応しました。国境を越えた労働者階級の団結と闘いが怒涛(どとう)のエネルギーを生みだし、このエネルギーに私たち日本の労働者階級は限りなく鼓舞激励されました。そして今、12月攻勢から06年のさらなる闘いの高揚を切り開くために、進撃しようとしています。
 帝国主義の危機の時代によみがえったこの労働者階級の国際連帯の闘いは、3労組共闘と動労千葉の闘いによって可能になりました。動労千葉労働運動を先頭とした闘いの前進で帝国主義を打倒する世界革命=日本革命の現実性は切り開かれました。もっと深くこの階級的戦闘的労働運動から学び、かけがえのないこの闘いを全国、全世界に広げ、すべての産別、職場の労働者のものとするために粉骨砕身闘うことこそが、革命勝利の最短コースだと思います。
 また、この11・6集会の高揚は、9・11総選挙「圧勝」以降の小泉政権の反動的突出に対する、新たな反撃の開始を告げるものとなりました。
 本年冒頭からの教育労働者による2年目の「日の丸・君が代」不起立闘争は全国に拡大しました。この闘いは「つくる会」教科書反対闘争へと発展し、戦争国家づくりのための支配階級の総力をあげた思想・イデオロギー攻撃を押し返しました。さらに7月日教組大会、8月自治労大会、10月連合大会と続く闘いで、闘う労働者は日教組、自治労、連合の改憲勢力への転落をひとまずは阻止したのです。
 また8月には、郵政民営化法案が参院で否決され、小泉政権を崩壊寸前に追い込んだのです。
 追いつめられた小泉政権・支配階級は、8・8解散−9・11総選挙のクーデター的やり方で危機突破を図ろうとしました。しかし労働者階級の怒りは急速に高まり、これが11月労働者集会への大結集となりました。
 労働者階級の存亡をかけて、動−反動−動が激しくせめぎあった05年の攻防。ヘゲモニーを握っているのはわれわれの側で、追いつめられているのは小泉政権・支配階級です。05年の闘いが切り開いた地平を全面的に発展させるならば、06年決戦の勝利は確実です。
 革共同は動労千葉を始めすべての闘う労働者と固く連帯し、ともに全力で闘う決意です。闘う革共同に渾身(こんしん)のカンパを心よりお願いいたします。

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週刊『前進』(2228号2面1)(2005/12/26)

 地本あげ検察側証人を激励

 “場所は社民党の塩尻事務所”

 5・27国労弾圧裁判 反対尋問で重大事実

 12月13日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第49回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。公判は前回から、「被害者」と称する長野地本長野総合車両所支部製造分会書記長の久保田清一証人に対する弁護側反対尋問に入っている。
 今回の公判で、久保田証人の口から重大な事実が漏らされた。葉山岳夫弁護人が捜査過程について尋問する中で、「証人になっている長野地本の人が一堂に会したことがあるか」と質問した。証人は「全員か、誰かが欠けていたかは分からないが、一度あった」と回答した。すかさず弁護団は、「どういう目的で集まったのか」と問いただした。証人は悪びれる様子ももなく「私たちを激励する意味で」と返答した。
 この裁判では、02年5・27臨大の会場警備に動員された長野地本の組合員20人のうち5人が「被害者」として検察側証人になっている。彼らを集めての地本による「激励会」が行われたというのだ。久保田証人は、その会場が長野県塩尻市の社民党事務所だったこと、時期は02年の「秋も深まった頃」だったこと、その場で長野地本の古畑秀夫委員長が「大変だが頑張ってくれ」と発言したことなどをあっさりと白状した。そこには、検察側証人としてすでに出廷した池田久幸・元東北信支部委員長や平山芳夫・長野地本副委員長も出席していたという。
 驚くべき事実である。最初に被告が不当逮捕されたのは02年10月7日、起訴は10月28日だ。「秋も深まった頃」はこれに符合する。久保田証人も「最初は被害届を出すことにためらいがあった」と言う。被告が起訴されて裁判の開始が明らかになった段階で、長野地本の証人らが動揺を深めたことは想像に難くない。検察側証人として出廷し、同じ組合員である被告の処罰を求めるのは簡単なことではないからだ。
 だから吉田進書記長ら長野地本の幹部たちは、必死になって「被害者」証人に反動的「決意」を固めさせようと躍起になったのだ。
 久保田証人は02年6月18日に警察に「被害届」を出している。それに先立ち、彼は平山副委員長から「吉田書記長からの話だが、被害届を出すように」と言われたという。また、警察署に行くよう連絡してきたのは常に平山で、警察の事情聴取には平山も同行したことがあったという。証人はまた、平山らとともに長野駅前のホテル「サンルート」に赴いて警視庁の公安刑事と会い、臨大当日に着ていたブレザーや国労バッジなどを任意提出した事実も認めた。
 これらはすべて、長野地本の組織的指示のもとに行われたことは明白だ。
 公判の冒頭には羽廣憲被告が意見を述べ、鉄建公団訴訟原告の立場から5・27当日の被告の行動の正当性を明らかにした。
 公判闘争は、改悪刑訴法を盾に弁護側反対尋問の制限を試みる検察側との激しい攻防になっている。次回公判も久保田証人への反対尋問が続く。傍聴体制を強化し、公判闘争を闘おう。

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週刊『前進』(2228号2面2)(2005/12/26)

 許さない会 広げよう

 全国集会 不屈に闘う被告に感動

 「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない! 12・11全国集会」(1面に報道)は、不当な弾圧に憤り、労働運動の階級的再生を願う多くの人びとの思いを結集して闘われた。

 呼びかけ人から

 許さない会呼びかけ人の4氏が、この闘いにかけた思いを語った。元新聞労連書記長の師岡武男さんは「この闘いは団結の自由をめぐる闘いだ。1047名の裁判と5・27裁判はどちらも、大切さはまったく同じ」と訴えた。
 元国労九州本部書記長の手嶋浩一さんは、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への不当弾圧を怒りを込めて弾劾し、「弾圧が広がっている中で、許さない会の運動に参加したことは正しかった」と断言した。
 新潟大学名誉教授の小野坂弘さんは、「この裁判には元気づけられる」と被告の闘いをたたえた。
 元世田谷地区労議長の花輪不二男さんは、「5・27のような大会で、組合員がマイクを奪い合うのは当たり前だ。警察を呼んで仲間を売ってはいけない」と国労本部を指弾した。
 9人の弁護団全員が登壇し発言した。弁護団は、司法制度改悪のただ中で、毎回の公判闘争を検察側や裁判所との激しい攻防として貫いている。その勝利の実績に立つ各発言は、無罪獲得の展望を実感させた。

 不屈の被告・家族

 過酷な弾圧を受けながらも、不屈に闘う被告たちの姿は明るい。富田益行被告は「闘う国労の団結を回復したい」と述べ、橘日出夫被告は「われわれの運動が国労の再生にとって計り知れない位置にある」と言い切った。原田隆司被告は、職場に来た国労本部役員に5・27弾圧被告であることを告げると、役員はそそくさと姿を消したエピソードを紹介して笑いを誘った。
 羽廣憲被告は「国労をおれの組合にしたい。勝つ以外に生きる道はない」と断言した。小泉伸被告は「逮捕されてかえって元気になった」と述べ、東元被告は「国鉄労働運動の中で鍛えられたから弾圧に耐え抜ける」と宣言した。向山和光被告は「戦争・改憲をひっくり返す闘いの軸が国鉄闘争。その軸にこの闘いがある」と訴えた。
 被告家族のこの裁判にかける思いは切実だ。東理恵さんが、仕事で参加できない橘被告のお連れ合いのメッセージを紹介した。先ごろ亡くなった橘被告のお母さんの残したアルバムには8被告の写真が張ってあったという。自分の息子のことだけでなく、8人全員を気にかけていた故人の心情に思いをはせ、東さんは熱くなる目頭を抑えた。

 共に闘う労働者

 5・27臨大闘争弾圧との闘いは、闘う労働者の結集軸になっている。「日の丸・君が代」不当処分と闘う教育労働者は、「石原・都教委の暴走をストップさせる」「教育基本法改悪阻止・憲法改悪阻止へ全力で闘う」と宣言した。
 全金本山労組の長谷武志委員長が、34年の闘いで職場復帰をかちとった勝利を報告し、「動があるから反動がある。この弾圧も4党合意をめぐり国労本部を揺さぶったからかけられた。弾圧をのりこえて勝利がある」と被告を激励した。
 この闘いは、国労本部の反動を突き破る国労組合員の決起を促している。
 00年7・1臨大で不当逮捕され、その後、運転乗務を外された国労組合員は、個人で労働委員会に申し立て、中労委で勝利命令をかちとった闘いを報告した。
 国労バッジ着用を続け、出勤停止の重処分を受けている国労組合員は、処分撤回闘争を放棄した国労機関に頼らず、自ら労働委員会に申し立てたと発言した。
 本州の闘争団員は、新たに鉄建公団訴訟原告団に加わったと述べ、「分割・民営化、5・27弾圧、本部に抵抗する者を組合員扱いしないふざけたあり方は絶対に許せない。解雇撤回まで闘う」と決意を述べた。集会には鉄建公団訴訟原告団の酒井直昭団長と国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長のメッセージが寄せられた。
 許さない会の山川博康事務局次長が、集会に先だって行われた発起人会議の確認事項を報告し、地域・職場での許さない会の確立と会員拡大を強調した。参加者は運動の一層の拡大を誓いあった。

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週刊『前進』(2228号2面3)(2005/12/26)

 韓国・民主労総 非正規職撤廃へ攻防続く

 大韓航空スト弾圧に反撃

 「非正規職撤廃!」を真っ向から掲げて12月ゼネスト闘争に立ち上がった民主労総(全国民主労働組合総連盟)は、非正規職労組組合員、現場組合員を先頭に盧武鉉(ノムヒョン)政権との激烈な攻防にある。
 民主労総は12・1−2ゼネストに続き、定期国会閉会日の12月8日に再度ゼネストを構えた。この日、起亜自動車労組、韓進重工業労組など12・1を上回る6万7千人のゼネストが実現した。
 この日、空の安全と賃金値上げなどの要求を掲げて無期限ストに突入した大韓航空操縦士労働組合は、初日に387便中204便を、2日目は399便中253便を止める威力ある「航空大乱」を導いた。
 ストが3日以上続けば全便欠航に追い込まれると恐怖した政府・労働部は11日、緊急調整権を発動してストライキを禁圧した。労組は30日間にわたって争議権を奪われた上、中央労働委員会のもとで調整が成立しない場合には労使協約と同じ効力を持つ「仲裁裁定」が強制される。今夏25日間にわたったアシアナ航空操縦士労組ストの時に続く再度の暴挙だ。
 定期国会での成立を阻み12日からの臨時国会に攻防が移る中、9日午後、民主労総はソウルの宗廟公園に4000人を集めて全国労働者大会を開いた。ヤンギョンギュ非常対策委員(公共連盟委員長)は、「組織には疲れが累積しているが、戦列を整えて臨時国会で権利保障立法をかちとろう」と訴えた。
 続けて開かれた「民族農業死守、非正規職権利保障立法争取、第2次汎国民大会」は、11・18釜山APEC反対闘争を放水をものともせずに闘った労働者・農民の共同闘争の場だった。
 「民衆の生存権を奪う新自由主義世界化に反対しよう」との労農共同闘争は、13日から香港で始まったWTO(世界貿易機関)閣僚会議粉砕闘争に継続、労農、市民、学生など1500人の「韓国民衆闘争団」が香港に乗り込んだ。

 臨時国会は空転

 非正規職関連悪法が民主労総のゼネストに直撃される一方、国会での焦点は私立学校法改正案だった。学校運営全般を監督する学校運営委員会を教師、保護者、地域人士で構成し、「学校経営を透明化し不正私学をなくす」として与党ヨルリンウリ党が推進した法案に野党ハンナラ党が猛反発。この改正案が8日に国会本会議で成立するとハンナラ党は臨時国会登院拒否を宣言した。臨時国会は空転したままだ。
 これは、次期大統領選をにらんだ与野党の政争であり、ハンナラ党の利権崩しを狙って「私学改革」に乗り出した与党と、これに抵抗する野党との泥仕合だ。だが両者とも労働者人民を搾取し、非正規職を量産することでは利害は一致しており、臨時国会攻防は予断を許さない。
 この中で民主労総は戦列を立て直そうと苦闘している。13〜16日の国会前座り込みを中断し、全国同時展開の宣伝活動に切り換えた上、17日にソウルで全国集中闘争の「非正規職権利保障立法争取! 盧武鉉政権審判! 全国労働者大会(第3次汎国民大会)」に2万人の結集を実現しようと奮闘している。
 全国鉄道労組は、車両分野で今年3月、鉄道公社採用試験に合格しながら任用されず、臨時契約職となりあるいは発令すらされないままの175人の正規職採用を要求して19日からの部分スト突入を予告した。16〜18日まで臨時列車整備拒否を闘い、19日から車両分野で1日4時間ストに入る。要求が実現されない場合には年末年始を返上して総力で闘うと宣言した。
 非正規職撤廃闘争はむしろこれからが本番だ。激しい闘いを続ける民主労総と連帯し、日本でも4大産別決戦を全力で打ち抜こう。

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週刊『前進』(2228号2面4)(2005/12/26)

 全日建運輸連帯労組 関生支部への3次弾圧許すな

 戸田近畿地本委員長を逮捕 武委員長を再々逮捕

 12月8日、大阪府警は、大阪府門真(かどま)市議会議員の戸田ひさよし・全日建運輸連帯労組近畿地本委員長を政治資金規正法違反容疑で不当逮捕した。さらに13日には、勾留中の武建一・関西生コン支部委員長を獄中で再々逮捕した。この第3次弾圧に対する当該の声明を紹介します。(編集局)

2005年12月9日
第3次権力弾圧に抗議する声明

全日本建設運輸連帯労働組合中央執行委員長 長谷川武久
全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部執行委員長 戸田ひさよし
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部執行委員長 武 建一

 12月8日夕方、大阪府警警備部は、大阪府門真市議会議員で連帯労組近畿地本の戸田ひさよし委員長を政治資金規正法違反容疑で逮捕した。また、大阪府警は連帯労組関西地区生コン支部の会計事務を担当する女性職員も逮捕した。
 さらに週明けの12日以降には、現在勾留中の武建一関西地区生コン支部委員長も再逮捕する予定だと新聞は報じている。
 この逮捕劇は、今年1月にはじまる権力弾圧の延長線上で仕組まれた、第3の弾圧事件といわざるをえない。それは警察のやり方をみれば明らかである。 
 警察が容疑としているのは、政治家個人に対する団体献金を禁止した同法に違反して関西地区生コン支部が戸田市議に政治資金を寄付したというもののようである。
 しかし、関西地区生コン支部が違法な寄付をした事実は存在しない。かりに同法違反の疑いがあるならば、まず戸田議員や連帯労組関係者に任意出頭を求め事情を聴取すればよいはずである。
 実際、この件ではすでに11月9日に大阪府警は戸田議員の事務所や自宅、連帯労組関西地区生コン支部の事務所など20カ所以上を強制捜索しており、任意出頭を求めるつもりであれば、この間いくらでもできたはずである。戸田議員は市議会選挙でトップ当選し、地域では知らぬ者などいないほどの著名人であるうえ労働組合の委員長を務めている。もうひとりの女性職員の場合も、1月以降の事件に関連して任意出頭を求められた際には、これを拒否することなく、すすんでこれに応じてきた。
 逃げも隠れもするはずがないことを百も承知のうえで、警察はあえて両人を逮捕するやり方をとった。しかも戸田議員に対しては、さらし者にすることを目的としてわざわざ市議会の議場という場所を選び、女性職員の場合にはわざわざ組合事務所から帰宅途中の駅頭で逮捕したのである。
 奇しくも昨日、橋本元首相や小泉首相の最側近である山崎拓・元自民党副総裁ら政治家7人に対する巨額のヤミ献金が発覚した日歯連事件で、検察審査会が起訴すべしと議決にもかかわらず、東京地方検察庁は再び不起訴の方針を決めた。
 自民党の大物政治家ならば、政治資金規正法に違反して1億円単位のヤミ献金を受け取っても、逮捕もせず、起訴もしない。これに対して、正当な労働組合活動をする者たちについては、事情も聞かずに指名手配の凶悪犯扱いで連行するというのである。
 この卑劣極まりない警察のやり方に、私たちは腹の底からこみあげる怒りを抑えることができない。
 しかも、週明けには武委員長を再逮捕するという。
 「週明け」というタイミングには重大な意味がある。
 武委員長らはすでに1月以降、11カ月を越す長期勾留を強いられてきたが、警察・検察・裁判所が保釈申請を却下する唯一の理由としてきたのは、武委員長ら組合役員の被告人質問が終わっていないからというものであった。しかし、週明けの12日に予定されている公判では、いよいよその被告人質問も終了することになっており、武委員長らをこれ以上勾留する口実がなくなるのが「週明け」なのである。
 今回の事案がさも大事件であるかのように演出して、引き続き武委員長らを不当に勾留することこそ警察や検察の真の目的なのである。
 警察・検察・裁判所は、私たちの正当な労働運動に壊滅的な打撃を与えるためには、手段を選ばず次々に弾圧をしかけるつもりなのであろう。
 しかし、かれら権力者がいかなる卑劣な手法で攻撃をしかけてこようと私たちは屈することはない。私たちのすすめる労働運動は、小泉政権がすすめる戦争への道に反対すると同時に、大企業や銀行、一握りの金持ち階層を優遇する構造改革政策に反対し、中小企業や労働者、社会的弱者の生きる権利を守ることをめざす正当な運動である。
 少なくともセメント・生コン産業では、過去10年間、阪神大震災を教訓にして私たち労使が心血を注いでとりくんできた産業政策運動をすすめる以外に、中小企業と労働者が共存共栄する新たな産業基盤をつくり、消費者に安全と安心を約束する生コンを供給することはできない。
 私たちは今後、仲間を早期に取り返す活動に全力をあげると同時に、この政策運動をこれまで以上に確信をもって前進させ、かれら権力者の卑劣な意図を打ち砕く決意である。
 以上

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週刊『前進』(2228号2面5)(2005/12/26)

 武委員長とり戻そう

 12・3集会に1500人集う

 12月3日、大阪・森ノ宮のピロティホールで、生コン産業政策協議会と近畿生コン関連協同組合連合会の呼びかける「生コン関連産業の中小企業運動つぶしに反対する12・3決起集会」が、会場からあふれ出る超満員の1500人を結集して開かれた。獄中の武建一・生コン支部委員長がメッセージを寄せ、「敵は巨大に見えますが、実は少数なのです」と力強く訴えた。集会後、大阪府警本部までデモし、「6名の仲間を今すぐ返せ」とシュプレヒコールをたたきつけた。

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週刊『前進』(2228号2面6)(2005/12/26)

資本攻勢&労働日誌 2005 11・25〜12・14

 日本経団連が06年経労委報告

 各単産で賃上げ要求/奥田が小泉の靖国参拝擁護

政府税調、定率減税廃止方針 政府税制調査会は06年度の税制改正答申を発表。所得税と個人住民税の定率減税を07年度に廃止する方針を打ち出した。(11月25日)
10月の完全失業率、前月比0.3ポイント上昇 総務省が発表した労働力調査によると、10月の完全失業率は4.5%となり、前月に比べ0.3ポイント上昇した。厚労省発表の一般職業紹介状況によると、10月の有効求人倍率は0.98倍となり、前月を0.01ポイント上回った。(29日)
非正規雇用32.9% 全労働者中のパートやアルバイト、派遣・契約社員など非正規労働者の割合が過去最高の32.9%になったことが総務省発表の今年7〜9月分の労働力調査でわかった。(29日)
連合が06春闘方針決定 連合は中央委員会で06春闘の闘争方針を決定。統一ベア要求を5年連続で見送った上で月例賃金の1%以上の引き上げ(事実上2000〜3000円)を目指すとした。(30日)
金属労協が5年ぶり「賃金改善要求」 IMF−JC(金属労協)は協議委員会を開き、06春闘で統一ベア要求は出さないが、5年ぶりに賃金改善要求に取り組む方針を決定。(12月1日)
私鉄総連、2.1%プラス2000円要求へ 私鉄総連は中央委員会を開き、06春闘では賃金改善原資(ベア分)2000円を要求するとの職場討議案を確認した。05春闘より500円上積み。(1日)
企業の人手不足感強まる 厚労省が発表した11月の労働経済動向調査によると、常用労働者の過不足判断指数が前回の8月調査より4ポイント増えて20ポイントとなり、不足の超過幅が拡大した。(1日)
経団連会長、首相の靖国参拝擁護 日本経団連の奥田会長は小泉首相の靖国神社参拝に関して「小泉さんにとっては、あの場面では最良の選択」と擁護。(5日)
JAM2000円賃上げ要求 JAMは06年春闘中央討論集会を開き、「賃金構造維持分プラス2000円以上」の春闘要求案を提起した。(5日)
基幹労連2年分で3000円賃上げ要求 基幹労連は討論集会で、2年分の賃上げ要求案として3000円を加盟組合に提起。(7日)
電機連合5年ぶり2000円賃上げ統一要求 電機連合は06年春闘で標準労働者(35歳技能職、30歳技術職)で2000円の統一賃上げ要求の方針を決定。賃上げ統一要求は01年春闘以来5年ぶり。(8日)
経団連が経労委報告を発表 日本経団連は「06年版経営労働政策委員会報告」を発表した。(13日)=要旨別掲
トヨタ労組、4年ぶりベア要求へ トヨタ自動車労働組合は、来春闘の賃上げ交渉でベアを4年ぶりに要求する見通し。来年1月中に正式に決定する。(14日)

 06年版日本経団連経労委報告の概要

・景気回復で「攻めの経営改革」強調
 不採算部門の見直しを果敢に進める。
・社会保障制度解体を主張
 国民の自助努力が基本。消費税の引き上げを前提として税制・財政、年金・医療・介護の一体改革に取り組む。
・労働分野の規制緩和の徹底推進
 職業紹介の民間開放、派遣期間の延長、工場法時代の遺制を引きずる労働時間規制の撤廃、労働契約法制(「労使自治」と「契約自由の原則の尊重」)の推進、産業別最低賃金制度の撤廃
・春闘終えん論を展開
 市場横断的なベアは、もはやありえない。安易な賃上げは将来に禍根(かこん)を残す。短期的な業績の向上は「賞与・一時金」で。能力・役割・業績中心の賃金制度への抜本的な改革。

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週刊『前進』(2228号3面1)(2005/12/26)

 “社会保障解体と闘おう”

 12・11東大阪 高齢者の怒り 広がる闘い

 介護全国ネットが総会

 12月11日、東大阪市の荒本人権文化センターで「介護保険に異議あり!全国ネットワーク」の第5回総会が開かれた。総会は、日帝・小泉政権の社会保障解体政策への怒りがあふれた。同時に、この高齢者の怒りの広がりを基礎にして、高齢者自身を主体とする介護全国ネットワークの運動が着実に拡大していることを示す活気に満ちた集会となった。全国ネットワーク第5回総会の大成功は、06年の医療制度改悪をはじめとした社会保障解体と闘う体制をしっかりと打ち固めるものとなった。
 この日正午過ぎ、荒本人権文化センターに全国から高齢者が続々と集まり、大ホールは390人の高齢者で埋められた。午後1時、総会が始まり、開会のあいさつを総会準備委員長の岩崎玉男さんが行った。岩崎さんは、来年は介護保険料が2倍にもなるという現実を弾劾し、「現在のやり方は許せません。介護保険は悪法である、取りやめよと叫んできた。私たち一人ひとりの力は弱いが、団結の力をもって介護保険を撤回させよう」と訴えた。
 連帯のあいさつでは、全日建運輸連帯労組から川村賢市さんが、武建一委員長をはじめとする関西地区生コン支部への弾圧を「原則的に闘っていることへの弾圧である」と弾劾し、小泉政権の三位一体改革による老人医療の切り捨てなど弱者切り捨ての政策を断ち切っていくことを訴えた。部落解放同盟全国連合会の中田潔書記長は、差別に反対する立場から、高齢者から介護を奪う介護保険制度に反対してきたことを明らかにし、社会保障を解体する小泉内閣と闘っていくことを表明した。
 辻元清美衆院議員のメッセージが紹介され、続いて全国ネットワーク推薦議員が紹介され壇上に並んだ。特別報告として来年に選挙を控えた国賀祥司泉佐野市議が発言し、高齢者を大事にしない小泉政権の社会保障解体阻止、憲法改悪阻止へともに闘うことを表明した。さらに国賀さんは、門真市議会議員の戸田久和(ひさよし)さんが政治資金規正法違反を口実とする不当な弾圧で逮捕されたことを弾劾した。そして来年の選挙への支援を訴えた。
 基調報告を共同代表で高槻健診介護要求者組合の水上信也さんが提起した。「『介護保険を廃止せよ』『必要な介護を全額公費で保障せよ』という主張の正しさを確信するとともに、全国2200万高齢者の代表として、より巨大な組織と運動に発展させる」と宣言し、医療制度改悪をはじめとした社会保障解体と闘うためにも、介護保険廃止の闘いが重要であることを訴えた。
 いよいよハイライトの各地からの報告だ。全国での運動の前進が生き生きと伝わってくる。最初に登壇した介護と福祉を要求する杉並住民の会から、92歳になった八木ケ谷妙子さんが「生きるんです、ということを切に思っています。無謀で乱暴な政治に対して、はっきりと向こうを張るのはこの考えです。卑屈になってはいけません」と呼びかけ、大きな感動を呼んだ。また杉並からはこの1年間の区交渉や都議選などの取り組みが報告された。
 人として生きられる介護を求める神奈川県民の会からは、県との交渉で一切の回答を拒否する県の姿勢をうち破り、介護保険の報酬の不正請求が神奈川では2億円あったことを回答させたと報告し、「この事実をもっても介護保険は絶対廃止させる」と語った。
 高槻健診介護要求者組合は、「筋肉トレーニングをしたら共倒れになるのは目に見えている」「もっともっと高齢者をいじめようとしている。弱気ではだめです。私たちを見てくれと生きてがんばろうではありませんか」と呼びかけた。
 八尾北命と健康を守る会からは、市の八尾北医療センター廃止の攻撃をうち破って自主運営を始めたことが報告された。その中で日本共産党が市議会で自主運営のための予算に反対して差別発言をし、居直っていることへの差別糾弾の闘いが報告された。
 広島高陽第一診療所命と健康を守る会は、小泉政権のもとで介護保険をてこに原爆被爆者援護法が骨抜きにされようとしていることを怒りを込めて弾劾した。
 東大阪国保と健康を守る会は、各地域に支部をつくり、定例会を開き、会報を発行しながら地域に根を張って運動を広げていることを報告し、「全国ネットを強く、大きく広げていきましょう」と訴えた。住民医療と診療所を守る会からは、八尾北、兵庫の診療所と力を合わせて住民の健康を守るために闘っていることが報告された。
 泉佐野介護と医療を求める会は、低所得者から介護と医療をとりあげる介護保険は「死ねというに等しい制度」と弾劾した。初めて参加した神戸の長田健康を守る会は、一緒に闘っていく決意を表明した。
 荒本の住民医療と診療所を守る会の会員がカンパアピールを行い、総額で13万4433円が寄せられた。最後に総会宣言が高らかに読み上げられ、「高齢化社会とは、われわれの時代なのだ。たたかう労働者と手をたずさえて、この誇りある歴史的責任を果たすため、残された人生をかけようではないか」と呼びかけた。
 総会の第二部、アトラクションでは大太鼓を始め歌あり踊りありと各地の会員が思い思いの趣向をひろうし、和やかな中に団結をうち固めた。

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週刊『前進』(2228号3面2)(2005/12/26)

 部屋代徴収・保険料値上げ

 介護と医療を奪う大攻撃

 米帝ブッシュ政権のアフガニスタン・イラク侵略戦争をもって帝国主義が再び世界戦争への道に突入し、日帝・小泉政権はこの侵略戦争参戦を強行し、戦争国家へと突進する一方で、社会保障制度全面解体への攻撃を激しくかけてきている。日帝・小泉政権は大資本が生き残るために一切の犠牲を労働者や高齢者に強制しているのだ。
 日帝の社会保障制度全面改悪は、昨年の年金改悪、今年10月から来年にかけて介護保険制度全面改悪が強行され、さらに来年には医療制度改悪が強行されようとしている。11月29日には政府・与党社会保障改革協議会が「医療制度改革大綱」を決定した。来年の国会でこの大改悪を強行しようとしているのだ。収入の少ない、お金のない高齢者は、介護も受けられず、病気になっても医者にもかかれない現実が強制されようとしているのである。
 介護保険の10月からの改悪で施設入所者にはホテルコストとして住居費や食費が取られることになり、負担が月に3万円以上も増えている。老人保健施設でも自己負担が10万円を超える支払いが求められるようになった。年金の少ない高齢者は施設に入所することもできず、入所していても支払いができず追い出されてしまうことになる。
 また来年4月からは、これまで要支援や要介護1の人が受けていたヘルパーの家事援助を大半の人が受けられなくなる。杉並では要介護認定の様式の変更によって認定の更新で要介護1から要支援に、要介護2から要介護1に軽く認定された人が25%にも上っていることが新城議員の追及で明らかになった。「ヘルパーが高齢者を甘えさせている」と介護労働者に悪罵(あくば)を投げつけ、高齢者から介護そのものを奪おうとしているのだ。また、来年度からの保険料は全国各地で大幅な負担増になる。高齢者から介護を奪い、さらに生活を破壊して、人生そのものを奪おうとしているのだ。
 この上さらに来年、医療制度の全面改悪が行われようとしている。
 まず、窓口負担については、70〜74歳の高齢者は08年度から、これまでの2倍の自己負担になる。さらに高額医療費の上限が引き上げられ、いくつもの医者にかかり、月々の負担が多い高齢者は多少の病気では医者にかからずガマンしなければならなくなる。
 保険料も大幅に値上げされ、国民健康保険については地域ごとに保険料の格差が生まれ、国保の運営が赤字になればそれが保険料の引き上げに転嫁されるシステムが導入される。
 さらに「高齢者医療制度と介護保険制度の関係の明確化」という口実で、長期入院している人には、介護保険と同じようにホテルコストがとられるようになる。
 さらに、診療報酬の改革では、保険診療と保険外診療を組み合わせた混合診療を解禁しようとしている。混合診療は、保険給付診療と自由診療を組み合わせるもので、自由診療は医療技術や薬価が規制されないため高額の治療費が取られることになる。現在ごくわずかな例外に限られている混合診療を解禁することで、公的医療保険で扱う医療の範囲を縮小し、自由診療に移し替えようというのだ。これによってお金のない人は、初めから一定の医療をあきらめざるを得なくなるのだ。
 こうして国の医療費負担を削減するために、医療が奪われていくことになる。介護保険を突破口に開始された日帝の社会保障解体は、医療制度改悪で社会保障の全面改悪へと広がっている。バブル崩壊から97年恐慌の中で大資本救済のために莫大な国家予算をつぎ込んだ赤字の付けを労働者人民や高齢者の犠牲に転嫁しようとしているのだ。こんな攻撃をどうして許せるだろうか。介護保険全面改悪反対、医療制度全面改悪阻止、小泉打倒へ闘い抜こう。

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週刊『前進』(2228号3面3)(2005/12/26)

 “集団的自衛権行使へ改憲を”

 民主・前原の米国講演弾劾

 民主党の前原誠司代表は、12月8日ワシントンの米戦略国際問題研究所(CSIS)で講演した。その中身は北朝鮮・中国に対する激しい排外主義宣伝であり、また日帝・自衛隊の海外派兵と軍事力強化、日米安保同盟の強化と9条改憲をむき出しに主張するものである。それは自民党・小泉政権の9条改憲と米軍再編=日米安保大改悪を、野党・民主党の立場から積極的に支持し、米日帝国主義の北朝鮮・中国侵略戦争に加担・協力するものである。前原講演を徹底的に弾劾し、小泉自民党とともに前原民主党を打倒しよう。

 北朝鮮と中国に敵意あおる

 前原は冒頭から、北朝鮮スターリン主義の、それ自体は反人民的な核武装化政策や「拉致」問題を取り上げてすさまじい排外主義的な宣伝を行った。「日本国民は北朝鮮がきわめて深刻な安全保障上の脅威であると見ている。北朝鮮は日本全土を射程においたミサイルを200基以上も配備している」「核兵器開発計画は、脅威を一層高めている」などと一方的に北朝鮮を非難した。
 前原はさらに中国に対する排外主義的な宣伝、「中国=脅威」論を展開した。「中国は……軍事力の増強、近代化を進めており……現実的脅威である」「他国の主権・海洋権益を無視し東シナ海におけるガス田開発など既成事実を積み重ねて既得権益化する動きが見られる」などとあおり、「このような行動には、手をこまねかずに毅然(きぜん)とした対応をとることが重要」「中国の膨張を抑止する」などと主張した。
 こうした主張は、北朝鮮・中国の体制転覆を狙う米日帝国主義の侵略戦争策動を全面的に擁護するものだ。米日帝国主義こそが北朝鮮・中国にすさまじい戦争重圧をかけていることを完全に免罪しているのだ。
 さらに、「資源の確保は日本にとって重要」「シーレーン防衛は死活的に重要」であるとし、「(現在の自民党政府は)1000海里以遠をアメリカに頼っているが、日本も責任を負うべきだ」などと帝国主義的な領土・資源略奪の野望をむき出しに主張したのである。
 このシーレーン防衛の拡大、集団的自衛権の行使を可能にするために「憲法の改正と自衛隊の活動・能力の拡大が必要」であり、「米軍再編を日本は十分に理解し、それに伴う基地再編を政治がリーダーシップをもって進めるべき」「実態と条約の乖離(かいり)を解消するために日米安保再定義が必要」などと、日米安保の「極東」の枠をはずして、より拡大・強化された日米軍事同盟に改変することを主張したのである。
 前原は、以上のことを「民主党のめざす国家像と外交ビジョン」として打ち出したのである。

 自民・額賀や武部と一体で

 前原は松下政経塾出身であり、「新しい歴史教科書をつくる会」派のファシスト的な国家主義イデオロギーをむき出しにし、ある意味で自民党以上に超反動的な軍事・外交政策を主張することで、自民党と対抗しようとしているのだ。
 前原は、自民党と民主党の国会議員でつくる「安全保障議員協議会」のメンバーである。11月10日に同会の国会議員が多数参加して開かれた「日米安保戦略会議」では、前原は額賀防衛庁長官や武部自民党幹事長と並んで今回と同じような内容の講演を行った。
 このように、前原は自民党の額賀や武部らと一緒になって動いているのだ。だからこそ、自民党・小泉は「自民・民主の大連立」などとぶち上げて民主党の分裂を誘い、武部は「前原代表、鳩山幹事長とならいつでも一緒にできる」と揺さぶりをかけている。改憲に向かっての大攻撃である。
 民主党は労働者の敵だ。このような民主党を自治労や日教組、連合が支持することなど断じて許せない。改憲攻撃を粉砕できるか否かは、自治労、日教組、全逓、国鉄(JR)の4大産別の闘いにかかっている。
 日本共産党は「11・5声明」で、改憲闘争を闘う戦線に分断を持ち込み、統一戦線を破壊する反労働者的な正体をあらわにした。
 民主党と連合中央、日本共産党の策動を粉砕し、06年における米軍再編粉砕、改憲阻止闘争の大衆的爆発をかちとろう。

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週刊『前進』(2228号3面4)(2005/12/26)

 都議会 “生徒の不起立阻む指導を”

 中村教育長が重大答弁

 来年3〜4月の卒業式・入学式へ向けて、石原都知事と東京都教育委員会は、「日の丸・君が代」強制をさらにエスカレートしようとしている。
 12月8日の東京都議会第4回定例会において、中村教育長が「卒業式・入学式における国旗掲揚・国歌斉唱の適正化が図られるまで、引き続き、個別的職務命令を発出するよう指導して通達および実施指針の趣旨を徹底していく」と述べた。また「卒業式において学級の生徒の多くが起立しないという事態が起こった場合、他の学校の卒業式で同様の事態が発生するのを防ぐため、生徒を適正に指導する旨の通達を速やかに発出する」と述べた。
 さらに石原都知事は「教育公務員として職責を果たさない者に責任を問うのは当然。厳正に対処している教育委員会の方針は、極めて妥当だ」と教育長の答弁を後押しした。
 教育労働者をさらなる処分で恫喝するとともに、校長を生徒への起立・斉唱指導に駆り立てようとしているのである。
 石原と中村教育長が新たな「通達」と重処分で恫喝を始めたのは、06年春の「日の丸・君が代」闘争が大きく広がることを恐れているからだ。
 石原と都教委は05年春、処分の加重の脅し、各学校への警察の配備、ビラをまいた労働者の逮捕など、あらゆる手を尽くして不起立闘争を封殺しようとした。
 しかしあらゆる重圧を突き破って、教育労働者は03年「10・23都教委通達」から「2年目の不起立闘争」を闘いぬいた。05年卒・入学式では東京の教育労働者62人が不当処分を乗り越えて不起立・伴奏拒否を貫いた。教育労働者が不屈の闘いを貫く中、卒業生が集団で不起立した学校も相次いだ。

 教育労働者の抵抗闘争こそ

 生徒指導をめぐっては、すでに04年に67人、05年に5人の教員が「厳重注意」「指導」などの処分を受けている。生徒の不起立を教員の「不適切な言動」のせいにして責めを負わせること自身、前代未聞の暴挙であった。教育労働者の体を張った闘いこそが、生徒への強制を打ち砕いてきたのだ。
 今年の入学式の不起立を理由に最も重い停職1カ月を受けても、きっぱり不起立闘争を呼びかけ続ける教育労働者がいる。処分を恐れぬ行動こそ、処分を無力に追い込む。
 「3年目の不起立闘争」の爆発に恐れおののく石原・都教委に、教育労働者の不屈の闘いをたたきつけよう。来春「日の丸・君が代」不起立闘争の拡大へ、断固闘おう!

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週刊『前進』(2228号3面5)(2005/12/26)

 「労働契約法」−何が問題か

 「常設的な労使委員会制度」で労組破壊し労働者の権利奪う

 われわれ労働者は、書面であれ口約束であれ、雇い主と契約を結び、賃金労働をして生活の資金を得ます。この契約は日本の場合、民法に基づいて行われています。だから、政府や法律家の一部が「労働契約ルールのために法律をつくろう」というとき、もっともらしく聞こえる場合があります。しかし大切なのは、法律の名前ではなくその内容です。

 どのような法律なのか

 現在制定が狙われている「労働契約法」は、解雇の金銭決着制度や不利益変更の強制、8時間労働制度の解体などたくさんの問題点に満ちていますが、その核心的内容は「常設的な労使委員会制度」にあります。「最終答申」では、「使用者と労働者が半数ずつで組織される委員会の5分の4」などの多数決で、解雇や賃金カット、配転などの合理性が「推認される」と書かれています。これは具体的にはどういうケースが考えられるでしょうか。
 雇い主が労働条件を良くする場合、たいてい労使の争いは起こりません。ですから、この法律は「労働条件を切り下げる」ケースを念頭に置いて考えられています。また、条件の不利益変更を受ける当事者(本人および労組)が納得している場合には、争いは起こりません。したがって、この法案は「当事者が納得していない」ケースを念頭において考えられています。
 以上を合わせると、「常設的な労使委員会制度」は「解雇や労働条件の切り下げに納得しない当該労働者に、労使交渉を経ないで、経営者を含む委員会の多数決をもって不利益変更を強制するための制度」ということになります。
 では、これまでとどのように変わるのか、未組織職場、少数組合職場、組合が過半数の職場のそれぞれのケースごとに考えてみましょう。

 どう変わるのか

◎未組織職場の場合 まず「委員」が会社寄りの人間によって独占されることはほとんど疑いありません。98年の労基法改悪で導入され、現在すでに運用されている「企画業務型裁量労働制」に関する労使委員会ですら、厚生労働省事務局が「委員の選出状況などの運用については、資料はない」(第44回労働条件分科会)と言い切る有り様です。ましてや「労働契約法」が成立すると、会社が組織した「労使委員会」によって、解雇・リストラ・不利益変更の合理性が「推認」されるわけですから、とんでもない話です。
◎少数組合職場の場合 これまでは労働基準法レベルの問題については、組合の目が光っているので会社も好き勝手というわけにはいきませんでした。しかし、「労働契約法」ができてしまうと御用派組合や会社派の労働者で労働側委員の多数が組織されてしまうわけですから、「労使委員会」が少数組合を締め付ける道具として機能することになるでしょう。これはJR東日本において当局と結託するJR総連と、動労千葉・闘う国労組合員の関係として考えると明らかです。「労使委員会」は「労使自治」を隠れ蓑(みの)に不当労働行為を行う機関になるでしょう。
◎多数組合職場の場合 職場の力関係が労働者にとって圧倒的に有利な場合ならこれまで述べてきたようなことは、すぐには起こらないでしょう。ただし、労使の問題が労使交渉を経ないで「労使委員会」で「スピード決着」されていくことで組合の求心力は間違いなく低下します。御用組合もけっして安泰ではありません。
◎労働委員会・裁判への影響 これまでは解雇をする使用者の側が解雇の合理性を立証する必要がありました。合理性の立証が不十分なら労働者の勝ちでした。しかし、「常設的な労使委員会」が「合理的」と判断すれば、今度は労働者が解雇の不当性を立証する必要があります。立証不十分なら「解雇有効」になります。これにより、これまでかちとった裁判の判決や労働委員会の決定はほとんど意味がなくなります。

 誰が進めているのか

 このように労働者にとって百害あって一利もない法律をつくろうとしているのはもちろん政府であり財界です。さらに、労働運動の未来に絶望した一部の労働法律家が協力しています。

 何のために進めているのか

 日本の労働者が戦後積み上げてきた団結権・団体交渉権・争議権を奪い取り、労働者の組織的抵抗を一掃するためです。政府と財界は、この攻撃を4大産別への攻撃と一体の改憲攻撃として仕掛けています。労働組合が一掃されたところで改憲阻止の闘いが成り立たないことは言うまでもありません。ただし推進派の法律家の多くは、このことを深く考えていません。

 闘わなければ権利は守れない

 ではわたしたち労働者はこの「労働契約法」にどのような態度をとるべきでしょうか? それは、害にしかならない法案には絶対反対を貫くことです。「最終答申」はもちろん白紙撤回しかありません。
 一部の法律家は「労働運動が後退しているからいまのうちに法律だけでも……」と考えているかのようです。しかし、これまで労働運動が後退しているときに、労働者にとって有意義な法律が制定された試しがあったでしょうか? われわれ労働者は一部の法律家たちの過ちを現場の闘いとねばり強い説得で変えていかなくてはなりません。
 また、日本共産党のように「労働契約法制反対・改憲反対」を派手にキャンペーンしながら、改憲攻撃との闘いの柱である教育労働者の「日の丸・君が代」不起立決起を妨害するのは重大な裏切りです。「労働契約法制」反対の闘いは、4大産別での不屈の闘いと結びつき、改憲阻止の大きな階級的陣形をつくりあげることで勝利の展望が開けます。
 9・11総選挙結果の前に「どうせ法案は通ってしまうのだから、あとで労使委員会にいれてもらえるように、反対もほどほどにしておこう」などと考え、へたり込む労働貴族たちを踏み越え、日本共産党官僚の制動を突破し、「労働契約法制阻止」の広範な統一戦線を実現しましょう。
 すでに、連合、全労連、全労協などにおいて、大きく情勢は動いています。しかしいまだ「絶対反対勢力」が登場できているわけではありません。多くの苦闘する仲間たちとともに、われわれ「新潮流」派がともにスクラムを組んで「労働契約法」の問題に取り組めるかどうか、この06年春こそ正念場です。11月労働者集会の翌日、全国労働組合交流センター系合同労組が取り組んだ厚生労働省抗議行動を踏まえ、あらゆる産別と地域から学習と同時に行動を組織して前進しましょう。
 投稿・民間労働者 司馬達朗

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週刊『前進』(2228号4面1)(2005/12/26)

 三里塚暫定滑走路 06年北延伸着工を阻止しよう

 南延伸を粉砕した05年の闘い

 3・26全国集会に総結集を

 成田からの陸自東部方面隊派兵許すな

 斉田 猛

 三里塚芝山連合空港反対同盟と三里塚闘争は2005年、日帝・国土交通省、成田空港会社による暫定滑走路の南側延伸を木っ端みじんに粉砕し、闘争陣形を強化する大きな勝利をかちとった。三里塚闘争は06年、戦争・改憲攻撃との階級的激闘の中で、追いつめられた空港会社の暫定滑走路の北延伸工事着工攻撃との決戦に入る。
 日本帝国主義・小泉政権は戦争と改憲に向けて、国民投票法の制定、教育基本法改悪、労働者の諸権利の全面的剥奪(はくだつ)と賃金切り下げ・生活破壊、共謀罪制定による治安維持法の復活、靖国神社の英霊神社化、安保大改定・日米軍事一体化・沖縄軍事要塞化、横須賀への原子力空母の母港化など矢継ぎ早の攻撃を行ってきている。
 時計を60年以上巻き戻す攻撃の連鎖の中で、国家権力の暴虐にあらがい、労働者・農民の生きる権利を具体的な闘いとして貫いてきた三里塚闘争の06年決戦が闘われようとしている。国交省、空港会社は、北延伸工事の完成を09年と言明し、そのために06年夏の空港計画変更申請−公聴会−認可―06年秋の着工を公言している。この恫喝で空港反対農民を屈服させてたたき出し、本来計画の南側延伸を策動しているのだ。
 他方、小泉政権は自衛隊イラク派兵の1年延長を正式決定し、第9次、10次派兵部隊を陸上自衛隊東部方面隊にすることを事実上決めた。その結果、成田空港が東部方面隊の出発空港に指定されることになり、500人規模の制服部隊が恒常的に空港を蹂躙(じゅうりん)しようとしている。これは反戦・反権力の砦(とりで)として日本の労農学に大号令を発してきた三里塚闘争の地平に対する真っ向からの挑戦である。
 われわれは06年、改憲阻止闘争の一環として三里塚決戦に全力を傾け、3・26全国集会を頂点とする三里塚現地の闘いにくり返しはせ参じ、40年間にわたる三里塚反対同盟との血盟を果たさなければならない。

 大型機飛ばし農民の追い出し図る北延伸

 05年の三里塚闘争は、「北延伸」を掲げた国土交通省・成田空港会社による東峰部落の破壊=南側延伸攻撃との激闘に次ぐ激闘だった。「このまま意地を張れば今度こそ北側に延伸するぞ」「ジャンボ機を飛ばして住めないようにするぞ」「用地交渉は打ち切るぞ」などの恫喝攻撃をすべて打ち破った。
 国交省は追いつめられ、最悪の形で成田空港会社に「北延伸工事」を指示する状況に陥った。そして06年、凶暴な形で北延伸工事の着工攻撃に訴えようとしている。空港会社は、北延伸後の飛行回数を現在の2倍の年10万回とし、大型ジャンボ機をどしどし飛ばして東峰部落と天神峰部落を大騒音下にたたき込み、文字どおり物理的に住めなくすることを意図している。そして、09年供用開始を至上命令として打ち出し、夏の空港計画変更申請―公聴会―秋工事着工を主張しているのだ。羽田空港の拡張予定が同じ年の09年であるため、航空需要の争奪戦の点から遅らせるわけにはいかないのだ。
 改憲攻撃の大反動の中で、三里塚闘争は40年の闘いの一切をかけた決戦に突入する。三里塚闘争にかける労働者、農民、人民の総力を傾けて、06年決戦に勝利しなければならない。そして、われわれは必ず勝利できると断言する。

 東峰の森破壊と処分場違法転用

 暫定滑走路の北延伸は無理を重ねた計画であるため、弱点の多い難工事だ。
 中でも「東峰の森」破壊と「成田クリーンパーク」転用問題は国交省・空港会社のアキレス腱(けん)である。徹底的に突いて勝利を拡大しよう。
 一つ目の問題は、「東峰の森」問題である。北延伸の目的である大型機を飛行させるために、東峰部落の入会林である「東峰の森」の中心部を切り倒してしまおうという攻撃だ。東峰の森は東峰部落の農民が50年以上もかけて育て上げ、入会的に現在も使用している、営農と生活に欠かせない部落の森だ。
 しかもこの森をめぐっては旧空港公団が1995年、97年、03年と、3度にもわたって「周辺緑化計画の森としてぜひ残したい」と申し入れ、部落に保存を約束した森である。それを空港会社は、北延伸のための誘導路に必要だからという勝手な都合で今度は切ると言い出してきたのだ。なんという身勝手か。住民無視か。
 東峰部落は空港会社からの伐採申し入れを一致して拒否した。その後、空港会社からは何の意思表示もない。自ら残したいと申し入れた森を自分の都合で切り倒してしまう前代未聞の理不尽さに部落住民の怒りは頂点に達している。
 にもかかわらず空港会社は、09年完成のために「東峰の森」の伐採を必要としている。東峰部落の団結を破壊し、意向を無視して伐採を強行することは闘いの大きな激突点となる。
 二つ目の問題が成田市の一般廃棄物処分場である成田クリーンパークの違法転用問題である。北延伸滑走路の北端に接する場所に一般廃棄物処分場が位置しているので、これを新設誘導路や進入灯用地に転用するため、廃棄物処理法を無視して違法転用しようとする策動である。処分場を閉鎖して廃止するには5、6年以上かかる。
 ところがそれでは、09年完成を公言する北側延伸計画に間に合わない。そこで所有者である成田市と結託して、処理法に違反したやり方で空港用地へ転用してしまおうとしているのだ。
 しかしこれは、十余三地区を始め、天神峰、東峰、小泉、長田、堀の内などの地下水汚染を引き起こし北部住民の生命を危険にさらす暴挙だ。
 反対同盟は、北部住民と連帯してこの問題に関連して国交省・空港会社・成田市を徹底的に追及し、闘う方針だ。

 官製談合で汚職天国の空港会社

 さらにここで、空港建設の不正義性を空港会社内部から示す問題が発生した。成田空港建設が空港会社の汚職の食い物にされていた実態が社会的に明らかになったのだ。
 事件の概要は以下のとおりである。
 03年11月7日に実施された受変電設備工事の指名競争入札で東芝や三菱電機など6社が参加した談合が行われ、日新電機が落札率(予定価格に対する落札価格の割合)97・8%の高率で落札していた。
 その談合を取り仕切っていたのが発注側の旧空港公団の工務部電気課長だったのだ。事件は幹部社員2人の逮捕にまで発展した。
 問題は、旧空港公団時代から公然の秘密だった“たかり”体質がついに全面的に明らかになり、その利権構造の隠れみのとして三里塚闘争が利用されていたことである。空港公団発注の工事は大半が談合によって行われていたが、膨大な事件の中で唯一摘発されたのが02年の「貸し布団汚職」という末端のゴミのような事件だった。
 空港本体の工事で、大ゼネコンを中心に空港公団側の官製談合が蔓延(まんえん)していたことは常識中の常識だった。しかし警察も検察も成田では絶対に動こうとしなかった。「空港反対派を利する」という理由からだった。
 空港会社の黒野匡彦社長自身、今後入札会社の名前を公表するかどうかを聞かれ、「空港反対派対策との関係で今後検討する」とこの期に及んでも入札実態を隠し続けようとしている。
 結局、空港建設総体が旧公団、現空港会社役職員の私利私欲の食い物に利用され、「どんな汚職をやっても捜査が入らない」のをいいことに、腐敗まみれの汚職天国になっていたのだ。
 黒野社長は事件後、千葉県の堂本暁子知事に電話で「北延伸に影響が出ないよう、十分に注意したい」と話したそうだが、論外だ。ここまで腐敗した空港会社や千葉県に北延伸工事をうんぬんする資格はない。黒野社長を筆頭にすべての幹部職員は退陣せよ! 黒い霧に包まれた「北延伸」工事はすべて撤回せよ!

 制服の陸自が成田に 米軍大再編で拠点化

 小泉政権は、日本の戦争国家化という要求からも三里塚闘争破壊の攻撃を強めている。「軍事空港反対」という反対同盟結成以来のスローガンが今こそ真価を発揮する時が来たのだ。
 政府は12月8日、安全保障会議と臨時閣議を開き、イラク復興特別措置法に基づく基本計画を変更し自衛隊のイラク派遣期間を来年12月14日まで1年間延長することを決定した。そしてこの第9次、10次派兵部隊として、今まで派遣任務から除外されてきた陸上自衛隊の東部方面隊が内定した(半年間)。12月に期限切れとなる自衛隊イラク派遣の期間延長に備え、陸上自衛隊が関東甲信越地方などを管轄する東部方面隊に「第9次イラク復興支援群」の準備を指示していることが分かった。森勉陸上幕僚長が8日の記者会見で「既に通達を出した」と明らかにした。部隊編成も固まっているとみられる
 年内にも50人から70人の先遣隊がイラクに向かい、来年1月20日前後から1週間ごとに3次にわたり、それぞれ150人近くがいずれも成田空港から部隊として出発していくことになっている。
 第1陣は、まず朝霞駐屯地内の東部方面総監部で、政府首脳、東京都の石原慎太郎知事らの列席のもと、隊旗授与式を行い、その足で軍用バスに分乗して外郭環状道路、湾岸道路、東関東自動車道を車列行進し成田空港に到着、民間輸送機でイラクに向かう。
 これを3週間連続で行う。さらに第1次派兵部隊が交代する3月前後には、帰還兵が成田に降り立つとともに第2次の派兵部隊が再び同様の隊旗授与式を行い、部隊行動で成田から派兵されていく。
 これは、反戦闘争の砦として40年間闘い抜いてきた三里塚闘争への重大な挑戦・破壊攻撃そのものであり、改憲攻撃と一体の戦争国家化攻撃である。そのためにも成田空港周辺には赤旗でなく「日の丸」を林立させようと、三里塚闘争に対する治安的観点からの破壊攻撃が強まろうとしているのだ。
 反対同盟の萩原進事務局次長は三里塚現地で「成田空港を陸上自衛隊の大部隊が制服で蹂躙するような事態は絶対に許さない」「反対同盟は徹底的に闘う」と決意を明らかにした。東部方面隊の成田からの侵略出兵を断じて許してはならない。

 10・29中間報告も軍事使用明記

 また、10月29日に発表された米軍大再編に伴う在日米軍基地再編の中間報告でも「有事の際には民間空港、港湾を米軍に提供する」という形で、民間空港、港湾の軍事使用が明記された。具体的な空港名や港湾名は秘匿されているが、1997年の日米ガイドライン改定の際に米軍が求めた11空港、7港湾を含む施設であることは公然の秘密だ。
 すなわち成田を先頭として関西、新千歳、福岡、長崎、宮崎、鹿児島、那覇などの11空港と名古屋、大阪、神戸、水島、松山、福岡などの7港湾だ。成田空港が「朝鮮半島有事」の際に真っ先に米軍に徴発される危機が具体化したのだ。
 しかも防衛庁内部からは「有事法制には強制力があるが、周辺事態法には強制力がない。強制力を持たせる法改正を行うべきだ」という強硬論まで出てきているという。
 成田空港を自衛隊の軍靴で蹂躙させてはならない。成田を米軍50万の空輸基地にさせてはならない。軍事空港化攻撃と対決してきた三里塚闘争の全力を挙げて成田の軍事基地化を粉砕しよう。

 06年の三里塚闘争は改憲阻止決戦の一環

 06年は、改憲攻撃とその先取りである国民投票法制定、教育基本法改悪、労働戦線における4大産別への諸攻撃との最大の決戦の年となる。その中で、労働者・農民が生きる権利を実力をもって主張し続けてきた三里塚闘争をめぐる激闘が不可避となっている。06年改憲阻止決戦、〈戦争と民営化〉との闘いの重要な一環として三里塚決戦に全力を傾注しよう。
 そのために現地攻防と不可分に進行する天神峰現闘本部裁判の法廷闘争、その支援運動の全国的発展を闘いとろう。天神峰現闘本部は、暫定滑走路に実体的打撃を与える「へ」の字誘導路の直線化阻止の拠点である。この存在が市東孝雄さんの耕作地を守り続けている。この裁判闘争は勝利できるし、絶対に勝利しなければならない。そのための支援運動を全党と全国の三里塚勢力の総力で拡大しよう。
 具体的な課題の第一は、反対同盟が呼びかけている3・26全国総決起集会に巨大な結集を実現することである。全国には巨大な三里塚人口が潜在している。こうした広範な人びとに対し、決戦を迎える三里塚闘争の意義をアピールし、大結集をかちとろう。
 第二は、「東峰の森」破壊を許さず、クリーンパークの違法転用を許さない現地攻防に勝ちぬくことである。東峰部落の団結を守り抜くなら、東峰の森破壊は阻止できる。クリーンパークの違法転用問題についても北部地区住民、成田市民に広く訴え、「ダイオキシンによる地下水汚染を許すな」と訴えて違法転用を阻止しよう。現地集会、現地闘争も重要だ。反対同盟の呼びかけにこたえよう。
 第三は、地上権をめぐる本格的な闘いに入った天神峰現闘本部裁判を傍聴し、全力で支援する闘いである。現闘本部裁判を支援する会をさらに拡大しよう。
 第四は、1月から3月へ連続する自衛隊の成田軍事使用を阻止する闘いに決起することだ。この点でも成田市民への広範な呼びかけが効果的だ。
 第五は、援農闘争を軸に反対同盟の営農を支える活動を堅実に粘り強くやりぬくことである。
 第六は、改憲攻撃や資本攻勢などとの闘いを三里塚闘争の課題として取り組むことである。動労千葉を始めとする労働者階級との労農連帯、韓国、アメリカなどの労働者人民との国際連帯を今こそ深めよう。
 最後に、反革命カクマルによる闘争破壊と闘おう。06年決戦の一翼として三里塚攻防に決起しよう。3・26集会の成功をかちとろう。

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週刊『前進』(2228号4面2)(2005/12/26)

 12・10現地闘争 05年の勝利を確認

 東峰の森防衛・処分場監視へ

 12月10日、三里塚芝山連合空港反対同盟の主催で、三里塚現地闘争が闘われた。東峰地区の空港敷地内にある開拓組合道路に首都圏から100人の労働者・学生が結集し、澄み切った晴天のもとで意気高く集会が始まった。
  司会の伊藤信晴さんが力強く第一声を発した。「40年間国策を阻止して闘いぬいてきた三里塚の地平を確認し、『東峰の森』破壊を許さず、クリーンパーク監視を強化しよう。イギリス、オーストラリア軍のサマワ撤退という情勢の中で強行されようとしている自衛隊東部方面隊の成田からの派兵を阻止しよう」
 まず反対同盟を代表して北原鉱治事務局長が発言に立った。「05年を勝利の年と確認する。動労千葉の呼びかけで11月に国際連帯を掲げた労働者集会が開かれた。三里塚の闘いは、国や文化が違っていても平和を求める世界の人びととつながっている。暫定滑走路北延伸を許すのか否か、一貫して軍事空港阻止を掲げてきた三里塚の真価がここで問われている。人民の未来のために06年の闘いにさらに突き進もう」
 次に本部役員の鈴木幸司さんがあいさつ。「クリーンパーク問題で成田市は2度目の公開質問状への回答をよこしてきたが、空港会社の言いなりでまったく答えになっていない。反対同盟こそが有毒物質問題での監視をしなくてはならない。小泉は自分の兵隊を集めて総選挙に勝ったが、われわれは真に闘う者をこの三里塚に集めて、軍事空港を造らせない闘いをやろうじゃないか。来年も前進あるのみだ」
 続いて動労千葉の繁沢敬一副委員長が連帯を表明した。「北延伸を許さず、反対同盟とともに全力で闘う。尼崎大事故は分割・民営化の結果だ。すべてを金もうけの道具にし、労働者を戦争に動員するのが民営化攻撃だ。11・6労働者集会の大成功に続き、訪韓団100人がソウルでの民主労総の集会に参加した。資本主義を打倒する闘いを世界に大きく広げよう」
 さらに婦人民主クラブ全国協議会、都政を革新する会の新城せつこ杉並区議が次々とマイクを握り、反対同盟と固く連帯して北延伸を阻止する決意を明らかにした。最後に全学連の内海祐一副委員長が、「侵略戦争の拡大で日帝の危機を突破しようととする小泉政権を打倒し、改憲を粉砕しよう。成田からのイラク出兵を実力阻止する」と力強く決意表明した。
 集会終了後、反対同盟を先頭にデモに打って出た。デモ隊は機動隊の不当な規制をはねのけ、旗を寒風になびかせながら団結街道を進んだ。国道51号線を越えて、暫定滑走路北側に位置する廃棄物処分場クリーンパークまでのデモをやり抜いた。
 闘争終了後、市東孝雄さん宅で「団結忘年会」が開かれた。反対同盟は支援の労働者・学生とともに05年の勝利を総括し、また40年間の闘いを感慨深く振り返りながら杯を交わした。発言、歓談、歌と大いに盛り上がり、06年へ向けて決意を固め英気を養う1日となった。

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週刊『前進』(2228号4面3)(2005/12/26)

 狭山要請行動 全国連、高検を糾弾

 “部落民は暴力団と同じか”

 部落解放同盟全国連合会と解放共闘は12月5日、東京高検に対する証拠開示要請行動を行った。(写真)
 集会で全国連中央本部は、来年3月5、6日の全国連第15回大会(兵庫県西宮市)から5・23狭山デーまでを第3次再審請求をめぐる決戦として闘おうと呼びかけた。
 東京高検への要請行動で、要請団は@2審で石川一雄さんが生い立ちを語った意見陳述A「証拠リストの開示によって警察への協力者として攻撃される人が出る恐れがあるので、リストは開示できない」という前回の回答――について見解を求めた。
 これに対して東京高検の山口係長は@石川さんの意見陳述は読んだが、自分の感じたことは言えないA被告の生い立ちはどんな事件でも論告の中に書かれる。これをもって差別論告というのは誤解だB狭山事件に限らず、暴力団の事件など、証人が攻撃される恐れがあるからリストの開示はしない――と回答した。
 「感じたことは言えない」とは、要請団には言うことができないようなことを感じたということか。「どんな事件でも論告の中に書かれる」かもしれないが、その書かれた内容が問題なのだ。一審検事論告の部落民への悪意と差別、偏見に満ちた文章こそが部落差別文書であり、差別扇動なのだ。「証人が攻撃される恐れ」というが、一体だれが攻撃するというのか。
 要請団は当然にも、「狭山事件は暴力団の抗争と同じなのか」「部落民をまるで暴力団のように思っているのか」「そういう認識が部落民を差別しているということだ」と抗議し糾弾した。しかし山口係長はかたくなに「過去に裁判長や検察官が襲われたことがある。だからリストは開示できない」と言い張った。
 要請団は「それは証拠リスト開示をめぐって起きたことではない」「暴力団と差別裁判を糾弾する部落解放運動を同列にすることが許されるのか」と重ねて抗議した。全国連寝屋川支部弾圧事件の今年5月の確定判決で裁判所は「あまりにも理不尽な会社に対するやむにやまれぬ抗議だった」と述べた。部落民の差別糾弾は「暴力」ではなく正当な行為だ。要請団は最後まで闘い、さらに厳しく追及していくことを確認した。

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週刊『前進』(2228号4面4)(2005/12/26)

日誌'05 12月7日〜13日

 立川ビラまき弾圧、逆転有罪

 イラク派兵1年延長を強行

●「普天間」周辺騒音今年最多 イラクに派遣されていたヘリ部隊が帰還した4月以降、普天間飛行場での飛行訓練が激化している問題で、11月の騒音発生回数が宜野湾市内の8測定地点のうち5地点で今年最多を記録したことが沖縄県環境保全課のまとめで分かった。(7日)
●イラク派遣延長を決定 政府は臨時閣議で、12月14日で期限が切れるイラクへの自衛隊派遣を1年間延長する基本計画の変更を決定した。新計画は、陸上自衛隊が活動するイラク南部サマワで治安維持にあたる英豪軍の動向を見極める方針を明記。派遣期間内であっても両軍が引けば、陸上自衛隊を撤退させる可能性を示唆した。派遣延長は2回目で、派遣期間は06年12月14日まで。(8日)
●前原民主代表が集団的自衛権行使を主張
前原民主党代表がワシントン市内で講演し、中東からの原油輸送ルートなどを対象とするシーレーン(海上交通路)防衛について、海上自衛隊も参加する新たな国際的枠組みの構築を提唱した。さらに、その前提として憲法を改正して集団的自衛権の行使を認めることが必要との見解を強調した。(8日) 
●防衛庁官舎ビラまき、逆転有罪 東京都立川市の防衛庁官舎で、自衛隊イラク派遣に反対するビラをまいて住居侵入罪に問われ、一審で無罪となった「立川自衛隊監視テント村」のメンバー3人の控訴審判決が東京高裁であり、中川裁判長は、行為は住居侵入罪にあたるとして一審判決を破棄する逆転有罪判決を言い渡した。3人は即日、最高裁に上告した。(9日)
●ASEAN+3 マレーシアのクアラルンプールで東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)の首脳会議が開かれ、この枠組みを東アジア共同体構築の主要な枠組みとし、毎年開催することなどを盛り込んだ首脳宣言を採択した。インドやオーストラリアなどを加えた東アジアサミットについても、毎年開催する方向で最終調整に入った。(12日)
●民間人死者「3万人」 ブッシュ米大統領はフィラデルフィアでイラク問題について演説し、開戦以来のイラク民間人の死者について「3万人前後」と語った。イラク民間人の死者についてブッシュ政権が数字を示したのは初めて。米軍の死者数は2100人に上っている。(12日)
●サマワ陸自近くで着弾 陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワの宿営地近くで、砲弾が着弾した。宿営地を狙ったとみられる砲撃は12回目。(12日)
●移設合意「中間ではない」 在日米軍再編の中間報告について、防衛庁首脳が「中間報告ではない。(その際の報告書には)中間とはどこにも書いていない」と述べた。関係省庁首脳が「中間ではない」と明言したのは初めて。(12日)
●靖国理由の会談拒否「理解できない」と小泉 小泉首相は、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議で、日中関係について「一つの問題があるからといって首脳が会わないというのは理解できない」と述べ、首相の靖国参拝を理由に中国側が首脳会談を拒否していることを批判した。その上で「私はいつでも会う用意がある」と強調した。(13日)
●最終報告へ、来年1月に米案提示 12日から在日米軍再編に関する外務・防衛当局による日米審議官級協議が東京で開かれた。額賀防衛庁長官が来日中のローレス米国防副次官と同庁で在日米軍再編問題で会談した。ローレスは在沖縄海兵隊削減や、嘉手納飛行場(沖縄県)での戦闘機訓練の本土分散の詳細など先送りされた課題について、来年1月に米側の案を取りまとめて提示する考えを示した。(13日)

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週刊『前進』(2228号5面1)(2005/12/26)

 JR総連カクマル松崎の最期

 組合費3千万円横領しハワイに別荘

 国鉄分割・民営化の先兵が行き着いた腐敗と大破産

 日帝・小泉の戦争・改憲と民営化(労組破壊)の攻撃の前に、反革命カクマル両派は危機と腐敗を深めている。中央派カクマルは「革命」の仮面を付けたファシストとして、小泉と日帝権力への投降=転向路線を完成させた。12月12日の最後の1人をもって、指名手配されていた15人全員が自首=投降したのである。組織としての転向であり、国家権力には勝てないという黒田思想の極致である。他方、警視庁公安部は12月7日、「業務上横領」容疑でJR総連と関係する十数カ所を家宅捜索した。JR総連カクマルは、頭目・松崎の組合利権私物化が国家権力によって暴露され、徹底した戦争協力勢力化の道をさらに進んでいる。このカクマル両派の破産と腐敗の極みは、国鉄分割・民営化攻撃の先兵が行き着いたなれの果ての姿だ。こうした反革命カクマルを徹底断罪し打倒すると同時に、日帝権力が革共同と階級的労働運動に対しては戦時下のより本格的な弾圧を加えようとしていることを見据え、闘おう。

 捜索への「抗議声明」で松崎の横領を自認

 今回捜索されたのは、JR総連本部事務所、日本鉄道福祉事業協会のある東京目黒のさつき会館、JR東労組本部、伊東さつき会館や元役員を含む役員宅である。さつき会館に関しては4日間・84時間という異例の捜索で、会計資料、関連団体名簿など1400点を押収したという。
 容疑は2000年4月の3千万円の業務上横領事件で、松崎明を含むJR総連カクマル幹部が国際交流基金から多額の組合資金を私的に流用したというものである。
 これに対し、JR総連は、12月7日に「抗議声明」を出して、事態の打ち消しに躍起となっている。「被疑者とされる松崎明氏の個人的資金の受け渡しに、JR総連と加盟単組が共同で設立した国際交流推進委員会の国際交流基金の口座を一時・便宜的に使用したことを業務上横領としてデッチあげたものである。よってJR総連は、いかなる損害も受けていない」。JR総連は、容疑とされた金の受け渡しという事実を認めたのだ。
 9日には四茂野修JR総連副委員長が記者会見で重ねて弁明した。「JR総連の傘下団体のJR東労組の元委員長(引用者注=松崎明のこと)が2000年4月、JR総連などが設立した基金の口座から3千万円を引き出した。この金は、元幹部自身の不動産売却代金を口座に一時的に保管していたもので、組合資金の私的流用ではない」「松崎の沖縄の別荘をハワイの別荘に買い替えただけ」
 上記二つの弁明は容疑否定を意図したものであるが、松崎による組織の私物化と横領の事実を逆に公式に明らかにしてしまったものというしかない。もし弁明のとおりだとしても、組織の金と個人の金を同じ口座に振り込んだり引き出しているということは、公私混同もはなはだしい。どこまでが松崎個人の金で、どこまでが組織の金であるのかが帳簿上誰にもわからなくされているということだからだ。「一時・便宜的に」とは、逆に常にそのように運営されていることを意味しており、まさに松崎の組合私物化を自己暴露してしまったのである。松崎が買い替えたという沖縄やハワイの別荘が組合費から出ていることは明らかだ。
 ところで、松崎の横領問題に関して、04年2月のJR総連第26回定期中央委員会で答弁に立った山下書記長は、「松崎がJR東海労に『東京駅助役暴行事件』の対策費としてカンパした『100万円のポケットマネー』が国際交流基金から流用されたものとして『横領事件』がデッチあげられてようとしている」と述べている。今回の発表では額が一けた多く、警視庁の捜索が04年2月時のJR総連の想定を超えたものであることを示している。いずれにせよ、JR総連資金のほとんどが松崎の「ポケットマネー」として、ある時は100万円、またある時は3千万円が、自由に使われている事実を自ら語っているのである。それを誰ひとりとしてとがめようともしないし、できない。それだけでなく、「JR総連はいかなる損害も受けていない」と言うなど、役員全員がこの腐りきった組織的資金の私物化を担っていたことを自己暴露している。
 それだけではない。松崎明の家族ぐるみのJR総連私物化として、息子である松崎篤が01年6月から04年1月まで社長を務めていた「さつき企画」問題がある。JR総連と無関係な息子が社長に就任すること自体が公私混同である。その社長就任期間中になんと5千万円の穴をあけてしまったという。その穴埋めとして鉄道事業協会が融資し、うち1千万円を回収放棄してしまっている。まさに国鉄分割・民営化の最悪の先兵=松崎はJR総連・東労組に家族ぐるみでしがみついて組合員の資金を私的に流用してきた実態が浮かび上がったのである。

 組合利権巡り嶋田派と分裂・抗争が激化

 このJR総連組織の松崎独占支配に対する反発から始まった、JR総連の松崎・本部派と嶋田派との対立・抗争は4年目に入った。しかもこれは、今年に入って東労組の枠を越えてJR九州ユニオン、JR西労にまで拡大している。
 本部・松崎派は、「総団結・反弾圧」を掲げて本部権力と浦和事件の被告を使って新潟、長野両地本へ本部指令を出し、嶋田派組織の切り崩しを図ってきた。そして今年の定期大会を機に、昨年の新潟地震に際し一時停止していた組合役員への処分を再開した。横浜地本・嶋田派7人への組合員権停止処分の決定と嶋田派の元本部中執辞任者5人や千葉地本成田支部・元支部長に対する制裁審議の再開決定である。
 処分の動きは東労組だけではなく、JR総連本部も始めており、新潟地本の組合員が役職についている北陸地方協議会の役員について、「地協役員は単組の推薦が必要だ」(東労組本部の推薦が必要ということ)と言い出し、北陸地協の嶋田派役員を認めない行動に出ている。本部派は新潟、長野地本を追い出し、地方組織として分離させてしまいたいのである。 
 これに対して嶋田派は、あくまでもJR東労組に残り、時来たらば現松崎・本部派執行部に代わる道を追求している。嶋田派つぶし攻撃に対して、東労組での徹底抗戦と同時に、嶋田派組織の全国的拡大を始めた。JR九州ユニオンの大分地本役員が新潟地本の嶋田派役員と今年1月31日に会合をもった。また6月6〜7日にはJR西労・近畿地本と組合員交流会を開いている。これがJR総連本部で問題とされ、これを擁護しているとしてJR九州ユニオン全体が弾劾されているのだ。
 この組織分裂・抗争問題は、組合員の末端において激しい直接的対立問題となって深刻さの度を強めている。特に青年部での激しい組織対立は、組合員同士の直接的な暴力事件にまで発展した。
 JR総連の利権をめぐる分裂・抗争は、JR総連自体の組織分裂の危機をはらんで泥沼化しているのだ。
 それは、尼崎事故に際して国鉄分割・民営化と労働組合の屈服が最大の原因と指摘し、「闘いなくして安全なし」を掲げ反合理化・運転保安闘争に必死で取り組んだ動労千葉の闘いとは対極のものである。

 底無しの屈服に走るJR総連を打倒せよ

 JR総連カクマルと松崎は、これまで権力による「横領・脱税」の追及の中で、明示に戦争協力の立場を表明してきた。表向きは「戦争反対、改憲反対」などと言いながら、松崎=JR総連は、「法律で決まっていることは犯さない」(雑誌『創』・松崎)、「軍事輸送に反対しない」(JR総連15回大会)などと、有事立法が制定されて以降の軍需輸送という戦争協力を組織的に行うことを公言して回ってきた。ましてやストライキで闘うなどもってのほかだと言う。
 陸・海・空・港湾労組20団体が「有事立法を完成させない、発動させない、協力しない」として戦争協力拒否の闘いを懸命に貫こうとしている時に、同じ集会に参加=介入してきたJR総連は戦争協力を公言しているのだ。
 だが権力は、今回さらにJR総連への家宅捜索をもって、言葉だけであっても「戦争反対」や「改憲反対」を表明することを許さないとして圧力を加え、積極的な戦争協力勢力になれと恫喝しているのである。一度屈服した者には底無しの奴隷化を強制するということである。
 これまでJR総連は、「日本がだめなら国外で」とばかりに、「反グローバリズム労働運動」を唱えて「浦和で弾圧された闘う労組」のペテンを弄(ろう)して国際労働運動に介入してきた。だがこの金にあかせた労組介入も、11月労働者集会をとおした3労組共闘を始め労働組合の新潮流と日米韓国際連帯の前進の前にペテンがはぎとられ破産してしまった。カクマルが国鉄分割・民営化の先兵であり、分割・民営化に反対してストライキで闘った動労千葉に敵対した労組=「カンパニーユニオン(会社側組合)」としてのJR総連の正体がはっきりしてしまったからだ。
 カクマルは「左翼」を装い「革命」の仮面を付けたファシスト反革命だ。70年闘争以来、労働者人民の戦闘的階級的な闘いを破壊することに全力を挙げてきた。その最大の反階級的裏切りが国鉄分割・民営化の先兵となったことだ。
 日帝・中曽根と一体となって分割・民営化を強行し、JR労資結託体制で生き残ってきたカクマルの行き着いた先が今回の事態だ。カクマルは労働者の敵である。今こそ戦闘的階級的な闘いの爆発でカクマル両派を打倒しよう!
 11・6集会の圧倒的成功をバネに、日本の労働者階級は小泉反革命打倒、国際連帯の力強い闘いをさらに前進させている。4大産別決戦を軸に、それと一体のものとして改憲阻止決戦と新たな安保・沖縄闘争を闘おうとしている。危機にかられた日帝の戦時下での階級的労働運動への弾圧策動を許さず闘おう! 関西生コン支部への弾圧を粉砕しよう! 闘う隊列を打ち固め、動労千葉労働運動を広げ、4大産別決戦の爆発を軸に改憲決戦に勝利し、日帝打倒へ前進しよう!

浦和事件
 02年11月12日JR東労組組合員ら(1人は元組合員)7人が「強要」の容疑で逮捕・起訴された事件。同労組組合員が他組合と接触したとして集団的につるし上げ、組合脱退・退職に追い込んだもの。ファシスト組合を守るための抗争事件。

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週刊『前進』(2228号5面2)(2005/12/26)

 立川ビラまき弾圧裁判 逆転有罪判決弾劾する

 戦時下の治安弾圧粉砕を

 12月9日、立川・自衛隊反戦ビラ裁判の控訴審で東京高裁第3刑事部・中川武隆裁判長は、立川自衛隊監視テント村の3被告に対して、1審の無罪判決を破棄し逆転有罪判決(2人に20万円、1人に10万円の罰金刑)を出した。3被告は直ちに上告した。この判決は戦時下の超反動判決である。徹底的に弾劾し、無罪を必ずかちとろう。
 3被告は、自衛隊イラク派兵反対のビラを東京都立川市の自衛隊官舎に配布した件で、04年2月に住居侵入罪に問われ不当逮捕・起訴され、東京地裁八王子支部で同年12月に無罪判決(求刑は懲役6月)をかちとっていた。
 まず、はっきりさせなければならないのは、日帝・小泉政権の自衛隊イラク派兵に反対するすべての行動は、日本と世界の労働者人民にとって階級的正義を貫く行為であることだ。この一点で3人を被告席に座らせることなど絶対に許されないのだ。
 さらに2審判決は、控訴を棄却すべきであるにもかかわらず、警察・検察がイラク派兵反対運動をつぶすという政治目的で3人を逮捕・起訴したことを正当化するために行われた政治判決、国策判決である。中川裁判長ら3人の裁判官は戦後憲法の「三権分立」の原則や「思想・表現の自由」など「基本的人権の尊重」規定を踏みにじり、小泉政権の戦争・改憲と民営化攻撃の先兵と成り果てた。
 東京高裁は、3人が自衛隊官舎に投函したビラの内容が「自衛官・ご家族の皆さんヘ、自衛隊のイラク派兵反対!いっしょに考え、反対の声をあげよう!」とイラク派兵反対を訴えているから「有罪」としたのだ。さらに判決は「表現の自由が尊重されるべきものとしても、そのために他人の権利を侵害してよいことにはならない」と言い切った。
 裁判所自らが、戦時下で国策に反対するビラを配布する自由=表現の自由など認めないという立場を表明したのだ。
 戦時下に突入した中で、国家権力は、「日の丸・君が代」強制に反対するビラまき、区役所職員へのビラまきを始め労働運動、反戦闘争でのデッチあげ不当逮捕など治安弾圧を激化させている。さらに共謀罪新設を始めとした治安立法攻撃を推進し、警察に無制限の権限を与えようとしている。全力で粉砕しよう。

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週刊『前進』(2228号5面3)(2005/12/26)

 市民投票9年目 “辺野古に基地つくるな”

 12・23海上パレードへ

 「新たな基地はいらない」との結論を出した97年12月21日の名護市民投票から9年目の12月23日、名護市汀間(ていま)で集会と海上パレードが行われる。新たな安保・沖縄闘争、辺野古闘争の勝利を切り開くために、すべての労働者人民は12・23集会にかけつけよう。米日帝の中国・北朝鮮侵略戦争のための辺野古への巨大基地建設を絶対阻止しよう。
 11・23辺野古現地緊急抗議集会でヘリ基地反対協は「米軍再編・辺野古崎沿岸案は絶対に認められない。島ぐるみの力で粉砕する」「第1ステージだった97年の市民投票、そして今回のボーリング調査強行という第2ステージも完全阻止して私たちは日米両政府に勝った。ともに第3ステージで沿岸案を葬り去ろう」という戦闘宣言を発した。12・23大浦湾海上パレードは、この戦闘宣言を実行に移す闘いの第1弾だ。
 大浦湾は、今回の「沿岸案」によって辺野古浅瀬とまたがる形で1800bもの長さを持つ滑走路部分が大きくせり出すのに加え、「駐機場」と称して埋め立てられる。大浦湾は水深が15bの「天然の良港」で、巨大な原子力空母すら寄港可能だ。この大浦湾の埋め立ては、事実上の巨大軍港の建設を意味する。
 こんな計画が強行されれば、辺野古のみならず、大浦湾に面した二見以北10区の住宅地域は、新世代の垂直離着陸機MV22オスプレイの騒音と墜落事故の恐怖におびえる「米軍基地無法地帯」と化すだろう。したがって、12・23集会が辺野古住民と並ぶ「闘いの主人公」となる二見以北10区の汀間で闘われることの意義は大きい。
 そして今回の海上パレードは、600日(12月9日現在)の闘いを海上行動隊とともに担った国頭・宜野座などの北部・やんばる地域のウミンチュ(海人=漁師)たちが辺野古崎計画に対して今後もともに闘うことを宣言する場だ。
 今や沖縄人民の90%が辺野古崎移設に反対の意志を示すに至った。この「島ぐるみ」情勢をつくり出した最大の原動力が地元辺野古の600日間にわたる不屈の座り込みと海上阻止行動だった。
 だからこそ日帝は「反対運動の手が届かない所」としてキャンプ・シュワブ内に基地建設場所を定めたのだ。しかし、米軍基地の中だろうと沖縄人民の新基地建設阻止闘争を止めることなど不可能だと小泉とブッシュ、在沖米軍に思い知らせてやろう。

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名護市民投票9周年
辺野古基地建設反対海上パレード

12月23日正午 集合場所・汀間漁港
主催 ヘリ基地反対協
協賛 県内移設を許さない県民会議

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週刊『前進』(2228号5面4)(2005/12/26)

 神奈川の基地報告

 米陸軍第1軍団司令部は朝鮮・中国侵略戦争の指揮中枢

 陸自中央即応集団司令部も座間に

 日米安保協が10月29日に発表した米軍再編の中間報告「日米同盟・未来のための変革と再編」は、神奈川の在日米軍と自衛隊の大変貌(へんぼう)をもたらそうとしている。これに対して、万余の反戦闘争が、また4大産別の労働者による戦争協力拒否の不屈の闘いが新たに始まっている。
 10月30日の沖縄県民大会、11月のキャンプ座間包囲闘争と原子力空母の母港化反対の横須賀闘争、12月の相模補給廠(しょう)闘争は、11・6全国労働者集会と連なって大高揚した。06年階級決戦を百万人の改憲阻止・新安保沖縄闘争として発展させよう。沖縄と連帯した米軍再編粉砕・基地撤去・安保粉砕闘争だけが、また労働者人民の直接行動だけが未来を開く。

 ☆キャンプ座間 有事に数十万兵力を戦場へ

図 神奈川の米軍基地と米軍再編 現在キャンプ座間は、相模原市と座間市にまたがる235fの広さを有する。米国防総省=ペンタゴンを摸した建物には、在日米陸軍司令部兼米陸軍第9戦域支援コマンド司令部、在日米陸軍基地管理本部、米陸軍第1軍団前方連絡所などが置かれる在日米陸軍の中枢である。また、各種物資の補給・保管・修理など太平洋地域全体の兵站(へいたん)任務を統括する。
 このキャンプ座間に移転する第1軍団司令部は、有事に数十万人の兵力を戦場に動員し、指揮する。第1軍団司令部は、UEx(前方運用司令部)に再編され、トップを大将に格上げし、北朝鮮・中国侵略戦争を始めとしたアジア全域の戦争の司令部となる。
 現在でもキャンプ座間は静かな司令部では断じてない。1981年に返還された相模大野の米陸軍医療センターはキャンプ座間基地内へ移転した。91年湾岸戦争時代からNBC(核・生物・化学)兵器の訓練が公然となされ、また沖縄トリイステーションや青森・三沢通信基地を傘下に置く通信と諜報(ちょうほう)活動の中枢である。
 他方でキャンプ座間は1971年、陸上自衛隊の施設隊が共同使用を開始した。使用面積は57f。移駐反対運動に押されて、相模原市は「自衛隊が共同使用する区域は座間市域のみである」という政府との覚書をもって拒否した。また横浜防衛施設局は座間市との間で「自衛隊は増やさない。米軍基地は縮小する」という覚書に調印した。これらの覚書は、両市が第1軍団司令部移転に反対する根拠となっている。
 すでに陸自は、戦車部隊・ロケット砲部隊が90式戦車や多連装ロケット・弾薬を持参して、米ワシントン州のヤキマ演習場で毎年実弾演習を実施している。
 このキャンプ座間に新たに陸自が中央即応集団(CRF)司令部を置くことは決定的な事態だ。06年度に新設する中央即応集団は、五つの陸自方面隊から独立して防衛庁長官に直属する侵略戦争殴り込み部隊である。この中央即応集団を構成するのは、緊急即応連隊(宇都宮。陸自の飛行場あり)、第1ヘリコプター団(木更津)、第1空挺団(習志野)と特殊作戦群(習志野。陸自のグリーンベレーと呼ばれる)、第101特殊武器防護隊(大宮)、国際活動教育隊(御殿場)などである。指揮官には陸将が充てられ、陸自で初めて司令官と呼称される。

 ☆相模補給廠 陸自1300の部隊も配備

 米軍相模補給廠は、朝鮮戦争・ベトナム戦争において戦車からトイレットぺーパーまでを供給したアジア最大の補給基地だ。広さ214fのこの基地は、連日数万人に包囲され、修理された戦車のベトナムへの搬出が半年間もストップした。全学連と青年労働者の実力闘争は、横浜市長に村雨橋の通行不許可権限を発動させ、1972年相模原闘争を歴史に刻んだ。
 近年は、土壌のカドミウム汚染の発覚、アスベストの大量持ち込み、PCBの搬出入、内陸部石油配給システムコンテナ搬入、さらに地雷施設訓練が行われた。1994年、横田基地から極東科学技術センターが移転。2000年8月、衛生演習のメデックスは陸海空3軍演習として実施された。共同演習と防災訓練の名で、有事法制・国民保護法で、自治体と病院の労働者を戦争動員する攻撃が繰り返されている。
 今回、相模補給廠に配備される1300人の部隊は、災害救助隊というのはデマで、中央即応集団の本隊の緊急即応連隊であると予測される。

 ☆横須賀海軍施設 米海軍の中枢第7艦隊母港

 在日米海軍司令部がある横須賀基地は、東はハワイから西はアフリカ・喜望峰までカバーする米第7艦隊の旗艦ブルーリッジ、空母キティホークなど11隻の艦船が母港としている。「米海軍の海外基地の中で最大で最良の基地のひとつ」(横須賀基地司令部)とされる。03年以来のイラク侵略戦争の主力部隊は、空母キティホークを始めとした第7艦隊であり、真っ赤に血塗られている。トマホーク、クラスター爆弾、劣化ウラン弾を積んでいる。
 米海軍施設は4カ所で面積236f。修理部・弾薬庫・補給部・病院・住宅。この第7艦隊の軍人・軍属・乗組員と基地労働者だけで2万人。他方で空母1隻と随伴艦7隻、艦載機100機の建造費だけで2兆円規模である。許しがたいことに、「つくる会」教科書派の沢田前市長は、原子力空母の長さは330bに対応させる12号バースの延長工事を認可した。
 また横須賀には自衛隊発足以来、海自の自衛艦隊司令部が置かれ、早い段階から米海軍との一体化を進めてきた。海自は現在、アフガニスタン・イラク侵略戦争において米空母など多国籍軍への給油作戦を続けているが、これは集団的自衛権行使=共同戦闘行動そのものだ。
 1973年からの米第7艦隊母港化に対して、地元地区労は毎年反対闘争を展開。これに先立つ60年代の原潜入港阻止の横須賀闘争は、反戦青年委員会と全学連の反戦闘争の主要課題だった。
 横須賀の自衛艦隊司令部は、全国の海自部隊を統括・指揮する。基地群と艦船はここでは列挙できないほど膨大だ。防衛大学校まで存在する。
 戦後初の自衛隊の海外派兵は、91年ペルシャ湾への横須賀からの掃海艇派兵だった。現在建造中の護衛艦は1万3千dの軽空母級である。護衛艦のイージスシステム・SM−3、陸自の地対空誘導弾PAC−3(06年度末から配備)は弾道ミサイル防衛(BMD)の柱である。

 ☆厚木海軍飛行場 空母艦載機の訓練・補修基地

 厚木基地は米海軍飛行場であり、第7艦隊艦載機の訓練・補修基地である。また海自の航空集団司令部としてP3C対潜哨戒機などの全国司令基地だ。基地内には軍需産業が存在する。
 基地は人口密集地のど真ん中にある。5千人の第3次爆音訴訟原告団は、基地の爆音と生活も学校教育も共存できない、と30年を超えて闘っている。空母艦載機と夜間離発着訓練(NLP)の岩国移転反対闘争と連帯して、米軍再編粉砕・基地撤去・安保粉砕の闘いを強めよう。
 04年の有事立法の成立に対して、陸・海・空・港湾労組20団体は「従事命令拒否・労使の事前協議制」を要求し、労働者の戦争動員を拒否する職場からの闘いを神奈川で全国で確実に始めている。「日の丸・君が代」の強制に不起立闘争を闘う教育労働者、交通運輸・港湾労働者を先頭に不退転の闘いを強めよう。

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基地強化を許さない
12・22行動in相模原

12月22日(木)18時半〜(19時デモ出発)
相模原市役所=市庁舎前
※キャンドルに火を灯し、相模原補給廠正門ゲート前を経てJR相模原駅までデモ行進をします。
主催 自治労相模原市職員労働組合
   第1軍団の移駐を歓迎しない会
   基地撤去をめざす県央共闘

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週刊『前進』(2228号6面1)(2005/12/26)

団結ひろば 投稿コーナー

  11・6に参加して 「思いは一つ」気持の高ぶり 中四国・JPU 遠藤 登

 11月6日全国集会に参加して、感動を覚えました。
 全国各地から、いや韓国、アメリカといった世界から一堂に会した集会には、圧倒されました。いろんな労働者の方から、報告がされましたが、全国には、まだ頑張っている労働組合もあるのだと思って感動すら覚えました。
 会場には、いろんな言葉が飛び交い、初めて会う人ばかりなのに、「思いは、一つ」になり、何か大きな力ができてしまったように思えました。これだけの規模でやるのに、思いは一つになり、今こそ立ち上がらないといけないという会場の熱気に私自身、気持ちが高ぶりました。
 今の情勢の中、今の労働組合に諦(あきら)めが出てきてるし、周りも、「もういいんだよ」と諦めています。そんな中にいて、私自身、周りに流されている、なるようにしかならないと思っていました。しかし、全国の仲間は、こんなに頑張っているのが分かって、少しでも職場がよくなるように、頑張っていきたいと思います。
 一人の力は小さいが、多くの仲間が一緒ならやってやれないことはないと確信しました。

 11・6に参加して 「ピケライン越えるな」に感動 広島・全逓労働者 T・K

 私は今回が二度目の参加となりましたが、一番印象に残ったのは『ピケラインを越えるな』と三度繰り返した、アメリカのAMFAローカル9委員長の発言です。この言葉は、闘争経験のない私の魂をも熱く揺さぶりました。経験のあるなしにかかわらず、闘う労働者の心は、国際的に通じるものがあるんだと強く感じました。
 また、家に帰ってさっそく子供や連れ合いと「鉄の労働者」のメロディーに合わせて「律動」を行いました。しばらくすると、メロディーを忘れてしまったのですが、ビデオを見ながらあの感動とともに思い出しています。
 全逓労働者の『我々が小泉打倒の最先頭に立つ』の発言、”よしっ””異議なし”と思わず叫びました。
 これから職場で仲間の輪を広げて、広島の地からも、大きな闘いの勢力をつくっていきたいと思っています。

 11・6に参加して 運動の力強さ戦闘性に驚く 仏教徒 Y・N

 11・6集会と訪韓闘争のビデオを送っていただき感謝します。さっそく家族で一緒に見ました。運動の力強さ、戦闘性に驚いています。年末のサークルの忘年会はこのビデオを見る会にしようと思います。
 最近『前進』に”感動”の2文字がおどっています。執筆者の高揚感が伝わります。
 『前進』2227号の団結ひろばに載った「11・6を訴えて『前進』を拡大」を読んで、私もジーンと
”感動”しました。街頭宣伝が人をつかむ時代が始まったのですね。来年も共に前進しましょう。 合掌

 資本の搾取と矛盾をアルバイトでも実感 学生 S・T

 私は、飲食店でずっとアルバイトをしながら大学に通っています。学生は労働者ではないけど、アルバイトという形で資本の搾取とその矛盾を実感します。
 私の時給は850円で、朝10時から夜10時まで12時間ぶっ続けで立ちっぱなしの勤務をこなしても、もらえる休憩は30分です。本当に忙しい時はまったく休憩がもらえないこともあります。
 もう一つ酷(むご)いのが悪質な女性差別が横行してることです。私のそのバイト先では、ロッカー室が男性と女性で分かれておらず、同じ場所で女性だけが三つ用意された試着室の中でビクビクしながら着替え、男性がその場で着替えるため、女性はそれを見なくてはいけません。本当に屈辱的で惨めな気分になります。
 また、私の職場にはフリーターの男性で正社員並に働き、店長とアルバイトの間を取り持つような中心的な存在の人物がおり、多くの女性学生アルバイトを”おごり”で飲みに誘ってはグチをぶちまけます。同じ職場の仲間で、グチを言い合うことはとても大切なことだとは思いますが、彼の場合相手はほとんど女性で明らかなセクハラです。
 アルバイト先を替えれば良いと多くの人は思うかも知れませんが、どこでもこれくらいの女性差別は横行しています。それに悪いのは女性の方ではないのに、どうして、一から仕事をおぼえ直したり、人間関係も一から築かなくてはいけないような不利益をこうむらなくてはならないのか。多くのアルバイトやパートの非正規雇用労働者の女性たちが不安定な身分保障のもと、明らかなセクハラにも泣き寝入りしているのが現実だと思います。
 もうすぐ私は大学を卒業して、学生から労働者になります。どんな職場に入っても絶対労働組合を作って資本主義社会を倒してやりたいと思っています。ようやく労働者になって資本家の腹に入って勝負できることを楽しみにしています。
 女性解放のためにも負けられない。私をこのような、強搾取と女性差別のアルバイト状況に追い込んだ資本家どもに後悔させてやります!

 労基法違反が横行する労働実態のひどさ 東京・学生 M・W

 都心のまんが喫茶で深夜働いています。まんが喫茶というと、イメージとしては楽な感じがしますがまったく違いました。働き始めてまだ2カ月ですが、その労働実態のひどさに驚愕(きょうがく)しています。
 まず、シフトのデタラメさです。採用人数が極限的に少なくされているので、足りない日にどんどん入れられてしまうのです。シフトが希望通りになったことはありません。週2回と申請しても、週4回入れられることなんてザラです。しかし、それでもまだマシなほうです。他の人の状況はもっとひどく、夜11時から朝9時までの深夜労働なのに、月20日以上入ったり、10日連続深夜勤務なんてのもあります。一番多く入っている人で月24日です。普通に考えて明らかに労働基準法に違反しています。
 さらに驚いたのは、店長がネット経由で自宅から監視カメラで見張っているのです。店員がちょっとその辺によりかかっているだけで、速攻で「そこによりかかるな!」と電話がかかってくるのです。当然、店員が店のまんがを読むことは禁止です。
 そして、働いている労働者の実態も悲惨なものがあります。深夜だけあってほとんどの人がフリーターです。時給が低いのでお金などまったく貯まりません。6畳1間に住んでいる人などがほとんどです。しかもつい最近まで、1・25倍の深夜割り増しすらついていませんでした。とんでもないことです。
 また、時給がまったく上がりません。2年以上やっている先輩がいるのですが、その人は仕事も良くできるし、仕事のことなら何でも知っているのですが、始めたばっかりの自分と時給が20円しか違いません。
 そしてもっとも許し難いのは、店舗リニューアルによる首切り・リストラです。皆さんが知っている大型チェーンなどでは、店舗がリニューアルされたらほとんどの人が首を切られます。そのことによって、長くやっている人など数人で、大多数の人が始めてから3〜4カ月ぐらいです。大量解雇・大量採用というやつです。まさに「使い捨ての商品」そのものとなっているのです。
 このようなひどい実態が平然とまかり通っていることに対して怒りを禁じ得ません。動労千葉のように闘うことなしに、ほんとうに生きていけないと強く思いました。

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週刊『前進』(2228号6面2)(2005/12/26)

 共謀罪を絶対に阻止しよう

 思想処罰と団結禁止狙う 治安維持法をしのぐ悪法

 秋の特別国会に提出された共謀罪新設法案は、大衆的反撃の高まりの中で継続審議となった。来春通常国会では、この共謀罪を、改憲のためのクーデター=国民投票法案、教育基本法改悪案、防衛省昇格法案とともに何がなんでも成立させようとしている。労働者階級の力で絶対に阻止しなければならない。国家権力は、共謀罪制定攻撃と一体で、反戦運動や労働運動への刑事弾圧を一段と激化させつつある。12月に入ってからも、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部に対する第3次弾圧や立川の自衛隊官舎への反戦ビラまきに対する控訴審有罪判決など、労働者の団結、言論・政治活動への不当弾圧が相次いでいる。労働者階級人民の団結と闘いで、共謀罪もろともあらゆる治安攻撃を粉砕しよう。

 国際的な闘いの圧殺が目的

 今、日帝・小泉政権は、外に向かっての北朝鮮・中国侵略戦争への突進、内に向かっての大資本攻勢が日本階級闘争の爆発と帝国主義支配体制の破局に連動していくことに身構え、労働者人民の一切の闘いとその団結体の根絶を目的とした戦時下治安弾圧体制づくりにやっきとなっている。その軸が、話し合っただけで逮捕・処罰できるという最凶悪の弾圧法規=共謀罪だ。共謀罪がすべての労働者人民を標的にした恐るべき予防反革命、思想処罰・団結禁止法であることが、先の国会審議でますます明らかになった。
 共謀罪は、国際的(越境)組織犯罪条約の批准のための国内法整備を名目として登場してきた。同条約は、94年の国際組織犯罪世界閣僚会議での「ナポリ政治宣言及び世界行動計画」で提唱され、98年設置のアドホック委員会(政府間特別委員会)で起草作業が始まり、00年11月に国連総会で採択された(日本政府は同年12月に署名、03年に国会承認を強行している)。
 この条約は、目的として「国際的な組織犯罪の防止と国際協力の促進」を掲げている。
 国際的組織犯罪条約は、21世紀に入って、日米刑事捜査共助条約・テロ資金供与防止条約・サイバー犯罪条約などの一連の治安弾圧関連条約とともに進められてきた。その目的は、「マフィア対策」などを名目としながら、帝国主義の搾取と抑圧、差別と支配に反対し解放を求める全世界の被抑圧民族人民・労働者階級人民の闘いを圧殺し、国際連帯と階級的団結を破壊するための帝国主義強盗どもの予防反革命にほかならない。
 70年代中期を転換点とし91年のソ連崩壊を経て、戦後世界体制の解体的危機が新植民地主義支配体制、特に中東支配体制の危機として進行していった。そのなかで繰り広げられてきた米帝の世界支配・石油独占支配のための帝国主義的侵略戦争は、新植民地主義体制諸国人民への残酷きわまる抑圧・圧殺と搾取・収奪の過程だった。これに対しパレスチナ・中東・ムスリム人民を先頭に被抑圧民族人民の民族解放闘争が不屈に闘われ、帝国主義支配体制の崩壊を激しく促進している。この情勢のもとで90年代に国際的組織犯罪条約は打ち出され、今日、発動されはじめている。
 日帝は、条約第5条が締約国に、参加罪か共謀罪のいずれかについての国内での立法・措置を求めていることを思わぬ好機として、これまで虎視眈々(こしたんたん)と狙っていた、事前弾圧を核心とする共謀罪の全面的導入へと舵(かじ)を切った。条約第34条2では、共謀罪の国内法化にあたっては、「第3条1に定める国際的な性質又は組織的な犯罪集団の関与とは関係なく定める」となっていて、条約の国際性・組織性要件が取り払われている。公開請求で出されてきたこの交渉経緯資料は、重要個所が墨塗りとなっていた。これについて、政府は「外交秘密」をふりかざして公表をかたくなに拒否している。ここに日帝の明白な意図が隠されている。
 94年の朝鮮危機を画期に有事法制化策動が一挙に前面化し、99年には周辺事態法と国旗・国歌法、そして組織的犯罪処罰法と盗聴法などの組対法3法の成立が強行されている。この過程は国際的組織犯罪条約の浮上・起草作業と重なる。
 今回のトランスフォーメーションと一体の攻撃であるが、中東、北朝鮮侵略戦争に対応する日米枢軸の治安法規の共有化がめざされた結果が、すでにアメリカで施行されている共謀罪の導入にほかならない。日帝が、全世界人民の抑圧と侵略のために踏み込んだ攻撃が国際的組織犯罪条約なのである。これが交渉経緯の墨ぬりの中に埋め込まれたものであるといってよい。
 共謀罪の国内法化を阻止すれば、同条約の日帝の批准を阻止できる。国際連帯の矜持(きょうじ)にかけて共謀罪新設粉砕=条約批准阻止をかちとろう。

 無限定の共謀で組織壊滅へ

 共謀罪は、組織的犯罪処罰法の一部改正(第6条の2を新設)という形で03年に初めて法案が国会に提出されたが、2回廃案になり、特別国会で再々度提出され、次期通常国会での継続審議となっている。
 具体的には、「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者」を罰するというものである。実行行為がなくても、「長期10年以上の懲役か禁錮にあたる犯罪の共謀」をした場合は5年以下、「長期4年以上10年以下の懲役か禁錮にあたる犯罪の共謀」をした場合は2年以下の懲役または禁錮を科すとしている。これに該当する罪は、619(法務省発表)もあるという。
 共謀罪の最大の問題は、「事件」が何も起きなくても、「意思の連絡、合意があった」「組織的に共謀した」と権力が決めつければ処罰できる点である。
 法務省は共謀共同正犯の共謀と今回の共謀罪の共謀の概念について、同一の内容と認めている。(ただし、前者は実行行為が前提とされているという決定的違いがある)
 明示的なものではなくても、目くばせや咳(せき)払い、黙示・黙認や順次の共謀でも共謀が成立するとしている。最高裁は12月1日に山口組の組員の拳銃所持事件裁判で、組長と配下の組員の間に「具体的な拳銃所持の指示をしていなくても、黙示的な意思疎通があった」と、1審無罪判決を破棄し懲役6年の実刑とした2審逆転有罪判決を追認し確定させた。この2審判決を意識した「いただけで、一定の地位等があって、いること自体がそれなりの合意を分担していると見られれば、共謀はなり得るのか」という野党議員の質問に対し、大林法務省刑事局長は「御指摘のとおりと思います」と答えている(10月25日衆院法務委員会)。
 このように共謀規定はエスカレートの一途をたどっている。権力がいったん狙いを定めた団体・組織に対しては、共謀をデッチあげ、個別的に、一斉に、あるいは芋づる式に、「ケース・バイ・ケース」で思いのままに検挙しようとしているのである。
 現行法には、刑法の内乱罪、特別刑法の爆発物取締罰則・破防法・自衛隊法・国家公務員法・地方公務員法など9つの法律に共謀罪があるといわれている。これに加え、労働運動弾圧に乱用されている逮捕・監禁、組織的強要、業務妨害、恐喝などを中心に619もの大量広範囲の罪に共謀罪を導入しようというのだ。事前弾圧、新旧共謀罪の発動が容易な法体系への移行がたくらまれている。

 標的は革命党と労働組合だ

 「共同の目的を有する多人数の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」――これが共謀罪の規定する団体である。非常にわかりにくい言い回しで、どのようにでも解釈可能な超一般的な団体規定となっている。新設される共謀罪には、「国体の変革や私有財産制度の否認」を取り締まるとする治安維持法や「公共の安全の確保」をめざすとする破防法のような目的規定もない。
 団体には、革命党・政党はもとより、労働組合、反戦団体、住民・市民団体、学生自治会、サークル、同好会、宗教団体、弁護士団体などがすべて含まれる。(政府は、10月25日法務委員会で政府・警察・検察庁・刑務所などは団体に当たらないと、国家権力機関の除外を宣言している)
 法務省は特別国会で、団体規定は「認定次第」、団体の共同目的は「個別具体的に、総合的に判断して決するしかない」と、権力の恣意(しい)的判断がすべてであることを自認した。
 日帝支配階級は、被支配階級である労働者人民総体を共謀罪適用の対象としつつ、「戦争・改憲、民営化」反対などをラジカルに闘う労働者民衆の団体・組織を、共謀罪適用の最大のターゲットとしている。
 共謀、団体、共同目的の定義の著しいあいまい性に依拠して、労働者民衆の思想・言論・結社そのものを犯罪と規定し、団体関係者の活動を事実上の非合法に追い込み、団体・組織を根こそぎつぶすことを狙った、治安維持法以上の恐るべき予防反革命、最凶悪の治安弾圧立法――それが共謀罪の正体なのだ。治安維持法の暗黒の歴史を絶対に繰り返させてはならない。

 デッチあげの日常化が必至 

新設共謀罪には、「実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する」という重大な自首減免規定がある。国際的組織犯罪条約には義務づけられていないものを、国内法化に際してわざわざ付け加えたのである。共謀したとする事実を警察に通報すれば、その者には「共謀罪」を問わないという。国家権力が裏切りや転向強要を奨励し、果てはスパイ分子が運動や組織に潜入する水路となる。デッチあげによる一網打尽の組織・団体壊滅の弾圧が狙いなのだ。
 共謀罪成立は、警察の捜査手法の大転換を必ずもたらす。会話、通信を取り締まり対象とすることは、尾行・張り込みの徹底的強化とともに、盗聴法の適用範囲・室内盗聴の拡大、おとり捜査、司法取引、電子メールのリアルタイム盗聴などを不可避とする。
 新設共謀罪とサイバー弾圧法の一体的法案提出にも見られるように、手紙、電話のみならず、メール、インターネットの掲示板・ブログ、ホームページのアクセス履歴、キー情報など、あらゆる会話・通信手段が権力の監視・弾圧の対象にさらされる。さらに物的立証がきわめて困難な共謀罪の特徴からして、自白強要の激化は必至である。
 警察の高級官僚(元警視庁防犯部長)上がりで自民党法務部会長の平沢勝栄は、「今の段階では捜査機関が、計画段階では全く何もできないが、共謀罪が新設されれば、組織犯罪を事前に食いとめることができる」(10月14日衆院法務委員会)と言っている。警察に弾圧の新たな武器を与えるな! 社会のすべての毛穴を塞(ふさ)ぐ警察国家、監視・密告社会の到来、検閲制度・特高警察の復活を許してはならない。
 今、労働者人民に共謀罪を粉砕する重大な歴史的任務が突きつけられている。11・6労働者総決起集会で切り開かれた革命的地平の継承・前進の中に、その勝利の道がある。4大産別決戦・改憲阻止決戦と共謀罪阻止決戦を固く結合させ、共謀罪を永久に葬り去る闘いに総力決起することを心から訴える。
 〔宇多叡一〕

 ――関連年表――

90年 革共同への破防法攻撃破産
91年 1・17イラク・中東侵略戦争。ソ連崩壊
97年 1月オウム真理教への破防法適用棄却、9月新ガイドライン協定締結
99年 5月周辺事態法成立、8月国旗・国歌法、組対法
   3法が成立、12月団体規制法制定(オウムに適用)
00年 11月国際的(越境)組織犯罪条約が国連で採択、12
月日本が署名(03年国会で承認)
01年 6月司法審最終意見書提出、9・11反米ゲリラ戦、
   10月アフガニスタン侵略戦争、米「愛国者法」成立
02年 テロ資金供与防止条約批准
03年 3月イラク侵略戦争開始、共謀罪国会に初提出(10
   月廃案)、6月武力攻撃事態法など有事3法成立、
   8月日米刑事捜査共助条約締結
04年 2月共謀罪の再提出、4月サイバー犯罪条約批准、
   5月裁判員法など司法改悪法成立、6月有事7法成
   立、12月「テロの未然防止に関する行動計画」発表
05年 8月衆議院解散・共謀罪廃案、10月共謀罪の国会
   再々提出、11月特別国会閉会、共謀罪が継続審議

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週刊『前進』(2228号6面3)(2005/12/26)

 85年蜂起戦 20周年の集い

 新たな団結と出発を誓う

 12月4日、東京都内で「1985年蜂起戦勝利20周年のつどい」が開催され、100人近い参加で大盛況のうちにかちとられた。つどいには、首都圏を中心に東北、北陸、関西、中国地方などの各地から、85年10・20三里塚闘争と11・29浅草橋戦闘の元被告と家族、弁護団、友人知人などが駆けつけた。
 司会は元被告の家族。冒頭、参加者全員でこの間の物故者に黙祷をささげた。10・20三里塚闘争弁護団長の三野研太郎弁護士、11・29浅草橋戦闘弁護団の杉井健二、多田謡子弁護士。そして、86年1月20日にクラス討論中にカクマルに虐殺された京大生の福島慎一郎同志、一昨年に不慮の事故で亡くなった10・20被告の飯田憲同志。
 主催者を代表して、85年の二つの闘いで16年に及ぶ獄中闘争を貫徹し01年2月に出獄した鎌田雅志元全学連委員長が、「三里塚闘争と動労千葉に人生をかけて蜂起するという決断をした青年労働者と学生が、今日に至る闘いを切り開いてきた」「不当な指名手配攻撃と闘い続ける同志たちを守り抜き、晴れて再会する日までさらに闘っていこう。今日は新たな団結と出発の日だ」と、あいさつ。
 救援連絡センター代表弁護士である葉山岳夫弁護士の力強い音頭で乾杯し、ヨッシー&ジュゴンの家による闘いの歌が雰囲気を盛り上げた。
 浅草橋戦闘裁判で弁護団長を務めた保持清弁護士を始め、弁護団が次々にマイクを取った。被告団と一心同体となって闘い抜いた熱い思いがこもる発言に、会場内は大いに沸き立った。さらに駆けつけた動労千葉の滝口誠特別執行委員が「尼崎事故は、国鉄分割・民営化の犯罪性と85年の闘いの正しさをはっきり示した」と発言。この滝口氏の言葉は、参加者全員の思いである。
 85年10・20と11・29の二つの闘いのビデオ(初公開)が上映され、つどいは最高潮に達した。丸太部隊を先頭に阻止線に突撃する行動隊・鉄パイプで機動隊と渡り合うシーン。噴き上がる炎と煙。うろたえてしどろもどろのニュースキャスター。熱い歓声と拍手が上がった。
 興奮さめぬ中、「三里塚闘争40年の丁度中間だった20年前の10・20闘争は、三里塚闘争史に残る偉大な大闘争でした」という三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長のメッセージが読み上げられた。
 そして革命的共産主義者同盟を代表して天田三紀夫書記長が発言した。
 万雷の拍手に包まれて新生全学連が、織田陽介委員長を先頭に登場。85年生まれを含む新三役の登場に、思わず熱いものがこみ上げる。「がんばれ!」という激励と連帯の声があちこちからあがった。
 浅草橋戦闘で10年間の獄中闘争を貫いた後に、労働運動現場に復帰して闘い続けている小泉義秀同志の音頭で団結ガンバローを三唱した。新たな団結を固めあって20周年のつどいは熱気と大成功のうちに終了した。参加者の多くが二次会に残り、語り尽くせぬ思いを語り合った。

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週刊『前進』(2228号6面4)(2005/12/26)

 8・15実が討論集会 “国民投票法案粉砕へ決戦”

 日米開戦から64年目の12月8日、「徹底討論!自民党改憲案と国民投票法案」が渋谷勤労福祉会館で行われた。主催は「戦後50年を問う8・15労働者市民の集い」実行委員会。
 司会の鈴木達夫弁護士は冒頭「自民党は、07年中にも自公民で改憲を発議するために、06年通常国会で国民投票法を絶対に通すと言っている。決戦はもう眼前に迫っています」と訴えた。緊迫した情勢の中、国民投票法案の問題性をどう訴えていくのかという実践的観点から、白熱した討論が交わされた。
 葉山岳夫弁護士の主催者あいさつに続き、第二東京弁護士会・憲法委員会の森川文人弁護士から、国民投票法案と自民党新憲法草案の条文に沿った問題提起が行われた。とりわけ国民投票法案の54条(国民投票の効果)、63〜71条(国民投票運動の規制)について提起されたポイントはきわめて重要だ。
 森川弁護士は「54条で、有権者の半数や投票総数の半数ですらなく『有効投票総数の過半数で承認』となっていることは重大。有権者を10人と仮定し、5人が迷った末に棄権、2人が「一部賛成、一部反対」などと書いて無効票とされた場合、残り3票のうち賛成2票で改憲案が承認されてしまう」とそのペテンを暴露した。
 さらに「国民投票運動の規制」について、1967年猿払事件を例にあげながら「法案では『地位を利用して』という限定をつけているが、なんの絞り込みにもならない。国と地方あわせて360万人の公務員労働者が改憲をめぐるあらゆる活動を規制される」とその重大性を指摘した。猿払事件とは、北海道猿払村の全逓労働者が、67年衆院選で選挙ポスターを公営掲示板に張っただけで国家公務員法と人事院規則違反として罰せられた事件だ。「公務員だ」と名乗ったわけでもなく、勤務時間外に、労働組合活動として行った行為に刑事罰を科したのだ。
 森川弁護士は最後に「微罪逮捕が相次ぎ、共謀罪新設が狙われる中でこんな法案が成立したら、今日のような集会にすら警察が踏み込んでくる可能性がある。改憲反対の声すらあげられなくするためだ。持ち帰って法案の問題性を徹底的に広げてほしい」と訴えた。
 問題提起をうけ、自治体労働者や青年労働者などから活発な意見が出され、討論は一時間余りに及んだ。憲法と人権の日弁連をめざす会の武内更一弁護士は会場から、日弁連内部の議論を紹介しながら「どこか修正すればいいということではない。これは自民党の改憲案を通すための国民投票法だ。この2つをセットで問題にしていくことが重要だ」と述べた。共謀罪阻止を闘う戦線からは「9・11総選挙後情勢のもとでも共謀罪成立を阻止した。闘い方次第で絶対に阻止できる」という展望が出された。最後に、西川重則さんから「新たな小泉内閣は、憲法・防衛・教育を柱に国家改造をやりとげるための内閣。国民投票法案を提出させないために、論理と運動を早急につくろう」とまとめが提起された。
 徹底討論をとおしてはっきりしたことは、「こんな国民投票は八百長だ」(鈴木弁護士)ということだ。自民党は、逐条的に賛否を問えば9条改憲は否決されるとみて、改憲案の一括投票方式にこだわっている。可決のハードルを下げる大ペテンを盛り込み、改憲阻止のあらゆる運動を禁圧しようとしている。とりわけ、地区労の中心を担ってきた4大産別の労働者を標的に、その決起と階級的団結をなんとしてもつぶそうとしているのである。
 日帝・小泉は、改憲阻止決戦の革命的爆発に恐怖している。国民投票法案の内容を検証した時、そのあまりのデタラメさと同時に、きわめて脆弱(ぜいじゃく)な本質がはっきりする。ただちに学習会に取り組み、改憲阻止決戦に全面的に突入しよう。通常国会への国民投票法案提出を阻止しよう!
 (本紙・内田康)

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