ZENSHIN 2006/04/10(No2241 p08)

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第2241号の目次

三里塚暫定滑走路北延伸着工阻止へ1200人 全国から三里塚現地に結集した闘う労農学人民は、反対同盟とともに、暫定滑走路北延伸着工攻撃粉砕・空港廃港へ、決意も新たに総決起することを誓い合った(3月20日)

1面の画像
(1面)
革共同の4月アピール  4〜6月改憲阻止闘争へ
法大弾圧粉砕した勝利を突破口に学生運動の巨大な爆発きり開こう
国鉄決戦軸に4大産別で前進を
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3・14法大弾圧 29人全員を不起訴で奪還
法大当局の不当処分許すな  立て看・ビラ禁止を打ち破れ(3月25日)
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(2面)
06春闘前半戦 ベア解体の「賃金改善」  連合の屈服つき回答分断 記事を読む  
入管法改悪案成立させるな
衆院通過弾劾! 指紋復活と退去強制(3月30日)
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国労弾圧公判 地本に促され検察側証人に  黒執証人が認める(3月29日) 記事を読む  
民主労総 非正規法阻止へゼネスト  鉄道労組 順法で列車を止める 記事を読む  
4大産別決戦に敵対する日本共産党中央の反階級性 記事を読む  
(3面)
3・26三里塚 「北延伸」着工阻止を宣言
“労農連帯の力で戦争阻む”
「軍事空港反対」を貫いて40年
6・25東京集会と7・2全国闘争へ 闘いの新たな発展誓う(3月26日)
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現調・援農に参加
三里塚闘争の勝利性実感(本紙・石井良久)(3月25、27日)
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3月の杉並区議会・区教委で 山田区長・納冨教育長を追及
「つくる会」教科書撤回へ(投稿/東京西部・飯野依子)(3月17、22日)
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新城節子杉並区議の議会報告
侵略戦争への総動員=国民保護法条例に反対(3月17日)
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(4面)
帝国主義の「最弱の環」日帝の絶望的な財政危機について
4大産別決戦と労働者階級の課題
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(5面)
辺野古新基地 小泉の屈服強要はね返せ
“応じなければ見切り発車”  沖縄差別の攻撃粉砕を
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「島袋市長、裏切ったら許さない」  名護市役所に抗議行動(3月27日) 記事を読む  
自立支援法 「障害者」の生存権を奪う
4月実施を弾劾する(関東「障害者」解放委員会)
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米軍再編と闘う沖縄(3)
沖縄反戦地主 照屋秀伝さん 沖縄が変われば日本が変わり、アジアも変わる
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『ファルージャ 栄光なき死闘』(早川書房)
憎むべき侵略の実態 米帝から見たイラク戦争(小野正春)
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新刊紹介 コミューン 5月号  百万決起の始まり 記事を読む  
(6面)
日教組は改憲に加担するのか
国民投票法案に完全屈服  日教組「中間報告その2」を批判する
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織田全学連委員長が決意 三里塚現地集会  弾圧うち破り勝利した(3月26日) 記事を読む  
世界の労働運動 ドイツ
地方公務員が2ヵ月スト  病院医師、金属労働者も(藤沢明彦)
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2006年日誌 3月22日〜28日
小泉「沿岸案大幅修正せず」  3自衛隊の統合運用が始動
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(7面)
新入生のみなさんに訴えます 怒れる若者の行動で帝国主義打倒を
いかに生きどう闘うか
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陸海空港湾労組20団体 改憲反対で集会  “労組の枠越え闘おう”(3月25日) 記事を読む  
(8面)
団結ひろば 投稿コーナー
完黙・非転向で法大弾圧を粉砕しました 東北地方 被弾圧者一同
3・14完全勝利。全学ストへ第一歩を開く 無所属学生 S
星野奪還闘争の心棒を見落とすことなく 女性労働者 岡川美咲
民営化・規制緩和と対決し春闘スト貫徹 動労水戸 S
「私も立ちません」と都立高で女性の先生 東京 常木新一
記事を読む  
共謀罪阻止へ決戦の時  ターゲットは労働運動だ 記事を読む  
六ヶ所再処理工場 稼働強行弾劾する  4・9反核燃全国集会へ(3月31日) 記事を読む  
獄中16年 倉持嘉之同志が出獄(3月24日) 記事を読む  
今、あなたに 星野文昭さんについて 伝えます。 記事を読む  

週刊『前進』(2241号1面1)(2006/04/10)

革共同の4月アピール 革共同の4月アピール

 4〜6月改憲阻止闘争へ

 法大弾圧粉砕した勝利を突破口に学生運動の巨大な爆発きり開こう

 国鉄決戦軸に4大産別で前進を

 第1章 逮捕を恐れず団結して闘って勝利をかちとる

三里塚暫定滑走路北延伸着工阻止へ1200人 全国から三里塚現地に結集した闘う労農学人民は、反対同盟とともに、暫定滑走路北延伸着工攻撃粉砕・空港廃港へ、決意も新たに総決起することを誓い合った(3月20日)

 全党の同志のみなさん! すべての闘う労働者、学生、人民のみなさん!
 偉大な勝利がかちとられた。3・14法政大弾圧で不当逮捕された学生29人は全員、3月25日に不起訴で奪還された。この勝利は3・26三里塚闘争の場で、全国から結集した闘う人民とともに圧倒的に確認された。完全黙秘・非転向を貫き通して奪還された学生たちは、「逮捕など1ミリも恐れることはない。団結して闘えば勝てることを身をもって知った」と語り、その場で直ちに新たな闘いに入ることを宣言した。
 3・26闘争は、この勝利にわき立つ高揚の中で、暫定滑走路北延伸着工阻止・三里塚軍事空港廃港へ断固として進撃する決意を固めた。そして三里塚闘争40年の不屈の闘いが切り開いた地平を今こそ全国・全戦線に拡大し、とりわけ米軍再編攻撃粉砕の闘いにおいて、沖縄の闘いと結合して、日帝国家権力が最も恐れる「第二、第三の三里塚」を必ず生み出していくことを誓いあった。
 3・14弾圧粉砕の勝利の意義は実に大きい。3・14弾圧とは、日本がすでにイラク侵略戦争に深々と突入し、改憲攻撃が日程に上っている情勢下で起きた、前代未聞の治安弾圧である。大学構内で改憲反対の立て看板を出させない、ビラまきも禁止する。それに抗議した学生を大学当局と公安警察が示し合わせて襲撃し、威力業務妨害や建造物侵入をデッチあげて全員逮捕する。これ自体が改憲と教育基本法改悪の先取りであり、改憲のための国民投票法案の狙いを法の制定に先んじて既成事実化するものだ。
 こんなことがまかり通ったら、戦前・戦中の治安維持法下と同じ暗黒社会が作り出される。そんなことは断じて許さないという激しい怒りと危機感があらゆる人びとの中から党派を超えて噴き出し、獄中の闘いと一体となって権力と大学当局を追いつめ、ついに歴史的勝利をかちとったのである。
 この大弾圧は、昨年11・6集会を頂点とする05年の闘いの前進と、それを引き継ぐ本年1〜3月闘争の爆発に対する日本帝国主義・小泉政権の恐怖に満ちた大反動としてしかけられた。米軍再編攻撃に対する沖縄や岩国での全人民的な怒りの爆発。都教委の10・23通達にとどめを刺す「日の丸・君が代」不起立闘争の大発展。そして動労千葉の反合・運転保安闘争と春闘ストへの決起、それを軸とした4大産別決戦の猛進撃。これらを必死に押しつぶそうと狙った弾圧は、しかし、まさにこの1〜3月決戦を勝ちぬいてきた闘う労働者階級人民全体の力によって瞬時に打ち破られたのだ。
 その力の根源は、新指導路線のもとで革共同がこの間、生きた階級決戦を労働者階級とともにその最先頭で闘いぬき、その決戦のただ中で、反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命をやりぬく党としての戦略的・路線的・思想的な確信と、自らの変革を闘いとってきたことにある。そして動労千葉を先頭とする闘う労働組合の階級的で戦闘的な闘いに深く学び、彼らとともに、帝国主義を打倒する労働者階級の国際的・国内的な団結を日々新たに作り出して闘ってきたからである。だからこそ、他のあらゆる党派が弾圧によって後退や屈服や崩壊を強いられてきたのとは逆に、この弾圧を見事に粉砕して一大反転攻勢への出発点に転ずることができたのだ。
 この力と闘いをさらに強化し前進させていくならば、今日の帝国主義の危機と激烈な階級決戦への突入がもたらすどんな弾圧や困難も必ずのりこえて進むことができる。このことを確信し、4〜6月の大攻勢に猛然とうって出ていこう。
 法政大当局は許せないことに、不起訴で釈放された学生を自宅謹慎処分にし、学生大衆から隔離してなおも学生運動つぶしに走ろうとしている。一点の火花が燎原(りょうげん)の火となるように、この闘いが法大全学生の決起に火をつけることを死ぬほど恐れているからだ。だが賽(さい)はすでに投げられた。当局の悪あがきを大衆的怒りの爆発で粉砕し、戦闘的学生運動の本格的復権をかちとり、全国300万学生の改憲阻止ゼネストへと向かう巨大な流れを作り出そう。
 3・14弾圧の粉砕は実際に、改憲阻止決戦の本格的な荒々しい火ぶたを切るものとなった。改憲をめぐる決戦は帝国主義ブルジョアジーと労働者階級の生きるか死ぬかの非和解的激突であり、まさに「革命の問題」を全社会につきつける。それは、この左右の激突と国論分裂的な大分岐・流動のただ中で、戦後の階級闘争がはぐくんできた労働者階級のありとあらゆる階級的・戦闘的エネルギーを4大産別決戦を軸に解き放ち、改憲を実力で阻止し、侵略戦争を帝国主義打倒の内乱に転化していく闘いである。今回の弾圧粉砕の勝利は、この決戦の歴史的爆発が絶対に可能であることを示している。
 百万人署名運動が呼びかけた3・19イラク国際反戦行動の高揚や、陸海空港湾労組20団体の3・25憲法集会、「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」主催の3・31教基法・憲法改悪反対集会は、そうした闘いへの労働者階級本隊の決起とともに、きわめて広大なすそ野をもった全人民的な決起を呼び起こすものだ。これらの集会の成功を引き継ぎ、改憲阻止への大統一戦線を作り出そう。

 第2章 小泉の行革・医療改悪と米軍再編粉砕しよう

 小泉政権は、小泉と日本経団連・奥田による戦争と民営化・規制緩和攻撃のもとで積もりに積もった社会的諸矛盾の大爆発にぐらぐらとなり、それを引き金とする政治支配の重大な危機におびえている。だからこそ一層凶暴に、国家権力の強権発動に一切をかけてこの危機を突破しようとしている。3月27日の2006年度予算の成立を転換点に、国会での反動攻勢に次々とのりだそうとしている。

 入管法大改悪・共謀罪成立阻止へ決戦の時

 今国会で小泉は、四つの法案を最重要法案として掲げている。それは@行革関連3法案(行革推進法案、市場化テスト法案、公益法人制度改革関連法案)、A医療制度改革法案、B教育基本法改悪案、
C改憲のための国民投票法案である。
 @とAはすでに国会に提出され、審議が開始されている。公務員労働者への大量首切り・大幅賃下げと労組破壊、公教育や社会保障制度の全面解体を強行し、続く大増税への道を開くことを狙う法案だ。Bの教基法改悪は公明党との最終合意が成立すれば、すぐにでも国会提出される情勢だ。Cの国民投票法案は、民主党との与野党協議が進まず足踏みしているが、自民党内には与党単独で強行突破せよという焦りの声さえ上がっている。
 さらに小泉政権は、共謀罪の今国会での成立を狙い、それを軸に治安弾圧体制の全面的なエスカレーションを図ろうとしている。3月30日に衆院を通過した、入管法の改悪による指紋押捺と退去強制の大攻撃もその一環だ。これは韓国・民主労総を始めとする全世界の闘う労働者階級や被抑圧民族人民との国際連帯のきずなを断ち切ることを狙う攻撃だ。
 この4〜6月、4大産別を先頭に、これらの攻撃を真っ向から粉砕する大攻勢をしかけていく時だ。全反動法案を粉砕し、小泉政権打倒へ闘おう。
 国会情勢と並ぶいまひとつの激突点は米軍再編最終報告をめぐる攻防だ。日米帝は、3・5沖縄県民大会と3・12岩国住民投票を頂点とする全国の基地闘争の発展によって、3月末までに最終報告を出すという当初のプランが完全粉砕されるところに追い込まれている。だが日米帝は、イラク侵略戦争に続くイランへの戦争や、北朝鮮・中国侵略戦争に踏み出すことを決断しており、それなしには帝国主義ブルジョアジー自身がもはや生き延びられないのである。そこには妥協の余地などまったくない。
 とりわけ決定的なのは沖縄である。3月28日、小泉首相と額賀防衛庁長官、自民党安全保障調査会長の山崎拓らは都内で会合し、普天間基地の県内移設に伴う辺野古崎への新基地建設案(沿岸案)について重大な決定を行った。名護市長など地元との交渉においてどんな修正にも一切応じず、政府案を丸のみすることだけを迫るという決定である。小泉はふざけたことに、「(微修正がありうるとしても)おれの気持ちとしては(メートルでなく)センチだ」と述べた。これほどあからさまに沖縄を蔑視(べっし)し踏みにじった発言があるか! これはかつての日帝と天皇による沖縄戦の強制や戦後の米軍への売り渡しとまったく同じだ。まさに新たな「琉球処分」そのものだ。
 この攻撃の核心は、「対テロ戦争」という名の侵略戦争・世界戦争の遂行へ向けた日米安保の大改変と沖縄の軍事要塞(ようさい)化だ。その背後にあるのは米帝と日帝自身のとどまるところを知らない体制的危機の進行であり、戦争なしには延命できない帝国主義の破産し腐りきった末期的な姿である。こんな帝国主義の打倒をかけて闘いぬこう。

 第3章 フランスの学生と青年労働者の決起に続こう

 帝国主義の支配に対する労働者階級と被抑圧民族人民の総反乱は、すでに全世界で始まっている。
 何よりも、米帝によるイラク侵略戦争の継続に対するイラク人民の不屈の民族解放戦争の発展が、米帝の体制的危機をますます激化させている。さらに、ハマス政権を誕生させるとともに、それをものりこえて進もうとしているパレスチナ人民の闘いがある。中南米では親米かいらい政権が崩壊し、アフリカのナイジェリアでは、欧米帝国主義の石油資源略奪に対する武装闘争が始まっている。アジア各地での政治的激動の背後では、現地に進出した日本企業などに対する労働者のストや工場占拠が続出している。
 そして、ついに帝国主義の足元から労働者階級の一大決起が開始された。フランスで、学生と青年労働者が初期雇用契約(CPE)の撤回を求めて全国デモとゼネストに立ち上がった。
 CPEは26歳未満の労働者を2年間の試用期間中、いつでも理由なしに解雇できる無制限の自由を企業に与え、若年労働者を完全な使い捨てにする制度だ。性別・人種・思想・信教などによる差別的解雇も自由にでき、それに抗議する権利すらない。これに対して3月28日、労働者と学生300万人がフランス全土でデモに決起し、国鉄・航空・バス・地下鉄・ガス・電力・郵便・教育・医療・金融・通信・メディアなど、全産別の労働組合で一斉にストライキが敢行された。学生と高校生は学校を占拠し、街頭に進出し、警官隊と激突して市街戦をも闘い、さらに駅や高速道路の占拠にのりだしている。4月4日には一層大規模なゼネストが準備されている。
 イギリスでも、ブレア政権が進める年金改革に反対し、同じく3月28日、公務員労働者による24時間ストが闘われた。このストは1926年のゼネスト以来の規模だと言われている。全国で150万人がストに参加し、1千を超える学校が休校となった。ドイツでも、労働時間の延長に反対する公務員労働者のストライキが2月初め以来すでに約2カ月に及び、国内16州中の112州にまで拡大した。
 今や帝国主義の体制が根本から行きづまり、破産して、労働者階級の生存権すら奪う極限的な搾取・収奪と、被抑圧民族への侵略戦争によって生き延びようとしている。それが今日、全世界に吹き荒れている戦争と民営化攻撃の本質だ。これへの大反乱が始まったのだ。韓国・民主労総ソウル地域本部を始めとする韓国の戦闘的労働者の闘いや、日本の動労千葉の闘いはその最先端に立つものである。すべての闘う労働者・労働組合は、今こそこれに続いて日帝に対する巨大な階級的闘いに立ち上がろう。公務員労働者、4大産別はその先頭に立とう。

 日本共産党の共闘破壊の策動に抗して

 とりわけ国鉄決戦はこの4月、尼崎事故1周年を迎えて、いよいよJR体制との胸突き八丁の死闘に突入する。動労千葉・動労総連合は3月春闘ストライキを貫徹し、反合・運転保安確立と1047名の解雇撤回をかけて4月からの一層断固とした闘いに突き進もうとしている。闘う労働組合である動労千葉の排除を狙うあらゆる反動策動を粉砕し、政治・和解路線をきっぱりと拒否し、1047名の固い団結をかちとろう。動労千葉が掲げる「闘いなくして安全なし」を今こそ、全国鉄労働者の生命をかけ、国鉄労働運動の解体か再生かをかけたスローガンとして掲げ、第2の分割・民営化攻撃粉砕、JR体制打倒、JR総連解体の一大闘争に立ち上がろう。
 3月卒業式での「日の丸・君が代」不起立闘争の爆発は、10・23通達完全粉砕への道を大きく開いた。この地平を引き継いで4月入学式闘争を闘い、処分粉砕の闘いに先制的にうって出よう。3・21日教組臨時大会での本部の教基法改悪攻撃への恥知らずな屈服と闘争放棄を弾劾し、3・31集会の成功をバネに、教基法改悪絶対阻止へ、教育労働者の一大決起を作り出そう。杉並での「つくる会」教科書採択撤回をあくまで掲げ、教育労働者と保護者・地域住民の総決起で戦争賛美の教科書使用を実際にずたずたに粉砕し、破産にたたき込もう。
 郵政民営化絶対反対を断固として貫き通してきた戦闘的全逓労働者の闘いが、真にその威力を発揮するのはこれからだ。2月JPU(全逓)臨時大会に続き6月定期全国大会へ、現場労働者の総決起で連合全逓中央打倒へ攻めのぼろう。
 小泉は郵政民営化に続く大攻撃として、公務員制度改革攻撃の反革命的強行突破に全体重をかけている。それは同時に、連合の改憲勢力化を力ずくで推し進めようと狙う攻撃だ。5月下旬の自治労中央委員会から8月全国大会が勝負の時だ。連合1・19決定粉砕の突破口を開く闘いとしてやりぬこう。
 この4大産別決戦の爆発とともに、それと結合して改憲阻止への本格的な大衆運動を作り出そう。日本共産党中央による卑劣な共闘破壊をはねのけ、労働者階級人民の下からの草の根的な決起を軸に、9条改憲阻止の一点でともに闘う大統一戦線の形成に踏み出そう。
 米軍再編粉砕の5・15沖縄闘争に、青年労働者と学生の大結集をかちとろう。5月泉佐野市議選での国賀祥司氏の6選必勝を絶対に闘いとろう。部落解放同盟全国連とともに、5・21―23狭山闘争に立ち上がろう。31年の獄中闘争を闘う無実の星野文昭同志奪還へ、この06年、全同志は総決起しよう。
 この生きた階級闘争の真っただ中で、革共同のプロレタリア革命党としての根底的な変革と飛躍をなしとげよう。

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週刊『前進』(2241号1面2)(2006/04/10)

 3・14法大弾圧 29人全員を不起訴で奪還

 法大当局の不当処分許すな

 立て看・ビラ禁止を打ち破れ

 3・14法政大弾圧で逮捕された29人の学生は3月25日午前、全員が不起訴で釈放をかちとった。東京地検は弾圧への抗議と学生支援の拡大に震え上がり、勾留延長すら請求することができなかった。これは本当に大きな勝利だ。釈放をかちとった学生は、織田陽介全学連委員長を先頭に直ちに翌26日の三里塚現地闘争に決起し、圧倒的な拍手と握手攻めで迎えられた。
 7割の学生が初めての逮捕だったが、29人の完全黙秘の闘いは警視庁の公安刑事どもを終始圧倒した。釈放された学生は「権力の弾圧、恐るに足らず!」「弾圧は百倍にして返す」「外の支援がどんどん広がることにとても勇気づけられた」「この勢いで絶対に改憲=戦争を阻止しよう」と、実に意気軒高と仲間との合流を果たした。3・14弾圧は法政大学と全国の大学キャンパスに筋金入りの闘う学生を生み出したのだ。
 3・14法大弾圧救援会が呼びかけた釈放要求の賛同署名は、10日余りで1000に迫る個人・団体から寄せられ、釈放後の今も集まり続けている。法大の学生、出身者、現職の教職員を始め、労働組合、市民団体、インターネット上などで、自主的で創意工夫をこらした抗議運動がどんどん広がっていった。
 相次ぐビラまき弾圧、立川反戦ビラ弾圧における高裁逆転有罪判決、全日建運輸連帯関西生コン支部への弾圧など、この間の激しい治安弾圧のエスカレーションへの怒り、多くの人たちの「明日は我が身」という危機感が一つになり、東京地検・警視庁・法大当局に殺到したのだ。
 29人全員の奪還という歴史的勝利は、逮捕された学生の徹底した完全黙秘の闘いを軸に、驚異的スピードで広がった支援の輪、警察と法政大学当局に殺到した抗議の声、弁護士の献身的な闘いが内外でがっちりと結びついて実現した。労働者階級人民の共同の勝利だ。

 デッチあげ弾圧が暴かれ大破綻

 3・14弾圧は、警視庁公安一課と法大当局が綿密に打ち合わせを行い、ビラ・立て看板規制に抗議の声をあげた学生を一網打尽に逮捕することを用意周到に計画した、前代未聞の政治弾圧だ。本紙前号で既報のとおり、3月24日に開かれた勾留理由開示公判では、そもそも法大職員は看板撤去の作業に着手すらしておらず「威力業務妨害そのものが事実無根」というデッチあげの構図まで明らかになった。
 警視庁―法大当局は、今国会に提出が狙われている国民投票法案を先取りし、改憲と戦争に反対する学生を法大と全国大学から完全に一掃することを狙っていた。本来なら大学こそが改憲のための国民投票法案に真っ先に反対すべきなのだ。権力と結託して改憲と戦争に反対する学生を逮捕するなど絶対に許されるものではない。
 しかし、デッチあげの構図は29人の完黙の闘いによって大破綻し、その余りの不正義性は敵の墓穴に転化した。全国の学生と労働者人民は、これこそが改憲攻撃の正体だと衝撃的に体で感じ取った。3・14弾圧との闘いをとおして巨大な改憲阻止の決戦が始まった。そして29人の不起訴奪還という大勝利は、闘えば必ず勝てる、改憲と戦争は絶対に阻止できるという勝利の展望をこじ開けたのだ。
 警察と結託し、学生を売り渡した法政大学当局は、なんと釈放された法大生に対して停学や退学などの処分を狙っている。釈放と同時に、「逮捕された」ことを唯一の理由にして「正式な処分決定があるまで自宅謹慎を命じます」という通知を送りつけてきたのだ。
 恥知らずにも程がある! 法大当局よ、お前たちこそ警視庁公安一課と示し合わせ、卑劣な手口で学生をはめ込み、「逮捕」劇をデッチあげた張本人ではないか。問題になっているのは平林総長―安東学生部長を始め、弾圧に手を染めた当局者どもの責任と処分なのだ。今回の許しがたい処分策動に対しても、「恥の上塗りだ」「全身が震えるような憤りを感じる」と抗議の声が殺到している。
 3月31日には釈放をかちとった法大生全員の連名で法大当局に抗議声明をたたきつけた。声明は、@3・14弾圧の真相解明と29人への謝罪、A自宅謹慎処分の撤回と謝罪、B撤去した立て看板の返還、C「立て看板とビラまき」禁止の運用ルール撤回――の4点を要求している。全国からさらに法大当局への抗議を拡大しよう。
 全国学生は改憲阻止ゼネストの爆発に突き進もう。大学を国民投票法案・改憲阻止の拠点に塗り替えよう。フランスの青年・学生のように立ち上がろう。労働者や学生を商品のように使い捨て、戦争に駆り立てるこの社会を根本から変えよう。

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週刊『前進』(2241号2面1)(2006/04/10)

 06春闘前半戦 ベア解体の「賃金改善」

 連合の屈服つき回答分断

 06春闘は3月15日に民間大手の集中回答が出され、後半戦へと移った。今春闘は、奥田・日本経団連のベア拒否、春闘圧殺攻撃に対する労働者の怒りの大きさを示すものとなった。その最先頭で、動労千葉の反合・運転保安春闘が闘いぬかれ、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部や全国金属機械労組港合同の不屈の闘いが続けられている。これらは、小泉=奥田と対決する労働者階級の総反撃の突撃路を切り開いたのだ。一大民営化と労働者階級の生活破壊に突き進む小泉政権打倒へ、春闘を最後まで闘おう。
 今、世界で労働者階級は資本の専制に対する激しい闘いに決起している。フランスでは「新規雇用契約制(CPE)」の全面撤回を要求してゼネストとデモが闘われ、ドイツやイギリスでも公務員労働者がストライキに立っている。韓国の民主労総は非正規職法案阻止のゼネスト戦取へ壮絶な闘いを繰り広げている。
 全世界を覆う労働運動の高揚は、必ず日本にも波及する。06春闘はその予兆をうかがわせた。何よりも、動労千葉の反合・運転保安春闘が、職制1000人を動員しての闘争圧殺体制を打ち破って闘いとられた。3月卒業式での教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いは、労働者を限りなく勇気づけている。
 全日空では8年ぶりのストライキが闘われ、115便が欠航に追い込まれた。
 小泉=奥田のもとで貧富の格差は拡大し、労働者には徹底した貧困化、無権利化が強いられている。年収200万円以下の世帯は2割を超え、労働者の3割が不安定雇用に突き落とされた。もはや帝国主義は、労働者階級を食わせていくことができなくなったのだ。

 たった千円の超低額回答!

 労働者階級の怒りはふつふつとわきたっている。こうした中で闘われる春闘は、労働者が生きていくための死活的な闘いとしての様相を帯び始めた。
 3月15日の民間大手の賃金集中回答は、トヨタが1000円の「賃金改善」を認め、幾つかの企業が「賃上げ」の回答を出した。だがそれは、年間1兆円を超える利益を上げるトヨタでさえ、たったの1000円という超低額回答だ。賃金回答は企業業績によってバラバラにされ、横並びは崩された。賃上げを認めた企業も、それを成果主義賃金体系のもとに労働者分断を貫く武器として使いきろうとしている。トヨタは「本来は賃上げをすべき環境にない」「本年は特別。来年以降は尾を引かない」「俗に言うベアではない」と言い張っている。
 春闘はそもそも、産別を横断して労働者が「横並び」「一律」で賃上げを闘いとるものだ。02年以来の軒並みベアゼロという状況に変化が生じたとはいえ、これを「ベア復活」と言うことはできない。06年版経労委報告で日本経団連は「横並びで賃金水準を底上げする市場横断的なベースアップは、もはやありえない」と言い放った。ベア解体の攻撃は、今春闘でも徹底的に押し貫かれたのだ。

 一律賃上げを否定した連合

大幅賃上げを求める労働者の死活的な要求にもかかわらず、連合幹部はまたしても闘いを圧殺する資本の先兵の役割を演じた。
 連合は昨年秋の段階で早々と統一ベア要求の放棄を決め込み、「春闘終焉(しゅうえん)」を叫ぶ奥田・日本経団連に屈服した。各産別・各単産の賃金要求も、せいぜいのところ1000円や2000円でしかない。こんなものが生活苦にあえぐ労働者の要求か! しかも連合は、その要求についてすら意識的に「ベア」という言葉を避け、「賃金改善」と言っている。資本と同一の立場で賃金を「人への投資」と言いなし、成果主義賃金や職務・職能給にあらかじめ屈服しているのだ。
 富士重工労組が係長職に限っての賃上げを要求したことはその典型だが、新日鉄労組も職務遂行能力に応じた「仕事給」の原資増加を求め、日産自動車労組は成果主義賃金を前提に「賃上げ原資の増額」だけを要求した。電機連合の30歳または35歳ポイントでの賃金要求もまた、これらと同様、賃金配分をあらかじめ資本にゆだねるものにほかならない。三洋電機労組は会社の危機を口実に要求さえ提出せず、連合傘下のJAL労組は1割もの賃金削減を受け入れた。これは労働者の団結を自ら破壊する許しがたい裏切りだ。
 1・19中央執行委員会で公務員制度改革に屈服し改憲容認に転じた連合は、春闘においても決定的な裏切りに踏み込んだのだ。こうした連合の屈服を突いて、今春闘でも資本は、ベースアップ=一律賃上げを拒みとおした。奥田・日本経団連はそれによって春闘解体攻撃をさらに促進しようとしたのである。
 だが、労働者の怒りに押され、わずかでも「賃上げ」となったことは、必ず労働者階級が反転攻勢に立つきっかけに転じる。動労千葉を始め、関西地区生コン支部や港合同などの闘いはその突破口を開いている。3労組は、資本と真正面から対決し、階級的団結を固めて職場支配権を握り返す闘いに果敢に挑戦した。こうした闘いを貫いてこそ、労働者階級は勝利をつかむことができるのだ。
 春闘後半戦を貫き、改憲と民営化・行革攻撃に向かう小泉政権打倒へ、4大産別を先頭に進撃しよう。

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 ◆主要企業の賃上げ回答◆

  回答(円) 要求(円)
 〈自動車〉
トヨタ自動車    1000    1000
日産自動車  原資増7000 原資増7000
ホンダ        600    1000
マツダ         0    1000
 〈鉄鋼〉
新日本製鉄   ※継続協議   3000
JFEスチール ※継続協議   3000
住友金属  ※段階的に実施   3000
 〈電機〉
日立製作所      500    2000
富士通       1000    2000
三菱電機       500    2000
シャープ       500    2000
松下電器産業     500    2000
東芝         500    2000
NEC        500    2000
 〈造船・重機〉
三菱重工    ※継続協議   3000
川崎重工    ※継続協議   3000
石川島播磨重工 ※継続協議   3000
 ※は隔年交渉のため2年分

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週刊『前進』(2241号2面2)(2006/04/10)

 入管法改悪案成立させるな

 衆院通過弾劾! 指紋復活と退去強制

 指紋制度の復活と「テロリスト」認定による退去強制事由新設を軸とする「出入国管理及び難民認定法」改悪案が、3月29日の衆院法務委員会(石原伸晃委員長)、翌30日の衆議院本会議で賛成多数で可決された。3月15日の法務委員会での審議開始からわずか2週間、在日朝鮮人・中国人の永続的な闘いによってかちとった指紋全廃(99年)からわずか6年。日帝・小泉政権のこの暴挙を徹底的に弾劾する。参議院での成立を絶対に阻止しよう。
 改悪案は、日本に入国する16歳以上の外国人に指紋や顔写真などのバイオメトリクス(個人識別情報)の提供を義務づけ(特別永住者は除外)、さらに入国する航空機や船舶の長には乗員・乗客の氏名の事前提出を義務づけ、何よりもテロ行為のおそれがあると法務大臣が認定した外国人の退去強制ができるとした。河野法務副大臣は「日本の治安回復のための元年という位置づけ」だと強調した(22日衆院法務委)。
 今回、付帯決議−@指紋採取の実施時期を慎重に、A個人識別情報の保有期間は必要・合理的に、B出入国管理の目的以外の使用は必要最小限に、C法相によるテロリスト認定は厳格に――の4項目が採択された。これをマスコミは「人権上の配慮」などと持ち上げたが、まったくのペテンだ。逆に日帝・法務省にフリーハンドを与え、より反動に道を開くものだ。
 改悪入管法は「テロの未然防止」「テロ対策」の名による治安弾圧体制の強化にほかならない。改悪案では「テロリスト」と認定された者の退去強制事由が新設された。テロの定義は「公衆等脅迫目的の犯罪行為」とされ、退去強制の対象となるのは実行行為者だけでなく「予備行為」また「実行を容易にする行為」を「行うおそれがある者」としている(2001年「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律」)。そして法務大臣が関係省庁(警察庁、公安調査庁など)の意見を聞いてテロリストと認定し、退去強制できるとした。法務大臣の裁量によっていつでも自由に退去強制できるというのだ。
 そのために指紋など個人識別情報を採取するのである。保有期間について河野副大臣は17日の衆院法務委で「基本的にその人間が生きている間は保有する。16歳以上から採取するので70〜80年は保有したい」と答弁し、永久保存の意志を明らかにした。
 さらに「自動化ゲート」と呼ばれる「指紋採取制度」を創設しようとしていることが明らかになった。定住外国人や日本人の「希望者」は入管で指紋登録をすませておくと、鉄道の自動改札機のような機械式ゲートを高速道路のETCのようにスピーディーに通過できるというものだ。
 すでに3月20日から旅券はすべてIC化され、顔写真情報がデジタル化されている。この指紋情報は入国管理局がデータベース化し、「本人がゲートを利用する意思を有する間」は保有し続ける。警察などが求めてきた場合には指紋情報を提供するとし、これを省令で決めるというのだ。
 日帝は年間700万人に及ぶ外国人の入国者の指紋を採取するのみならず、日本人、在日外国人すべてを対象として指紋を採取し一元的に治安管理しようというのだ。
 今国会での改悪入管法案審議は「共謀罪」審議を先送りして開始された(3・15付毎日新聞)。外国人=犯罪(予備)者=テロリストであるかのような外国人犯罪キャンペーン、恒常的な逮捕攻撃、さらに朝鮮総連への攻撃(関連施設への課税、拉致問題を口実とした不当捜査)と、激しい排外主義・差別主義扇動が展開される中で、改悪入管法案が衆議院を通過した。
 反動的キャンペーンを許さず、これと対決し、改悪入管法案の内容を徹底的に暴露し、参議院での成立を阻止するために全力で闘わなければならない。全労働者の課題として共謀罪もろとも葬り去ろう。

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週刊『前進』(2241号2面3)(2006/04/10)

 国労弾圧公判 地本に促され検察側証人に

 黒執証人が認める

 3月29日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第55回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれ、前回に続き「被害者」と称して出廷した黒執(くろとり)光久証人への弁護側反対尋問が行われた。
 この弾圧は、鉄建公団訴訟原告の闘争団員に対する査問手続きが決定された02年5月27日の国労臨時大会で、本部方針に抗議してビラまき・説得活動に立った国労組合員ら8人が、「暴力行為等処罰法違反」をデッチあげられ不当に起訴されたものだ。
 5・27臨大当時、、長野地本中南信支部・松本運輸区分会組織部長だった黒執証人は、大会警備を率先して引き受けた人物だ。
 国鉄闘争は1047名の大同団結を形成し、4・4全国集会へと向かっている。だが国労本部は、5・27臨大闘争弾圧については謝罪も自己批判も拒否して居直り続けている。国鉄闘争勝利のためには、国労本部のこの弾圧加担に断を下すことが必要だ。5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは、国労の階級的再生にとっていよいよ重大な位置を持ち始めた。
 冒頭、富田益行被告が意見を述べた。3人の保線労働者が殺された1月のJR西日本・伯備線事故を徹底弾劾し、続発する事故が労組の団結破壊の結果であることを明らかにして、「組合が闘わなければ安全は守れない」「国労本部は団結回復へ『リセットを完了した』というが、組合員を警察に売った本件こそ真っ先にリセットされるべきだ」と強調した。
 前回公判で黒執証人は、被告たちが逮捕されるまで、「加害者」が国労組合員であることは知らなかったと述べていた。
 小島好己弁護人が、この点を問いただした。その結果、驚くべき事実が明らかになった。

 組合員が逮捕されたと知り動揺

 新聞報道で国労組合員が逮捕されたことを知った証人は、「相手が組合員だと何で教えてくれなかったのか。こんなおおごとになる前に関係地本の委員長同士で話をして収拾できなかったのか」と古畑秀夫長野地本委員長に抗議したという。また、黒執は吉田進書記長にも電話して、「相手が組合員、闘争団員であることは知っていたのか」と聞いた。ところが吉田書記長は明確な返答を避け、「お茶を濁した」という。
 さらに証人は、被告らが逮捕される前に行われた事情聴取の時、「今回の事件の中に組合員がいるのか」と菊池和史検事に尋ねたが、菊池検事からの明確な返事はなかったという。
 つまり吉田書記長と検察官は結託して、被疑者が国労組合員であることを隠し通した上で、黒執証人に被害届の提出を迫り、事情聴取を重ねたということだ。
 弁護団は、「相手が組合員と知っていたら被害届を出さなかったのでは」と問いただした。証人は「同じ組合員同士で事件にするのは心が痛いが、相手から謝罪がなかったからと自分を納得させた」と返答した。
 この裁判では、被告らが逮捕された02年10月頃、塩尻市の社民党事務所に検察側証人を集めて古畑委員長らが「激励会」を催したことがすでに明らかになっている。弁護団の尋問はそのことに及んだ。
 すると証人は、「激励会というより、私が不安に思っていることを皆に聞いてもらう場だった」と言い始めた。その会合は「(被告たちが逮捕された)翌年の暮れ」に開かれ、出席者は黒執のほかに平山芳夫(長野地本副委員長)、池田久幸(当時、東北信支部委員長)、久保田清一(長野総合車両所支部製造分会書記長)の各証人と山崎中南信支部委員長、古畑委員長だったという。
 当時、黒執証人は「組合員を警察に売ったのかと心が痛み、不安な気持ちになっていた」という。ところがその会合で「頑張れ」と言われ、「被害届を提出して彼らが逮捕された以上、後には戻れないと覚悟を決めた」というのである。
 以前の公判では、久保田証人が「激励会」は被告らの逮捕直後の02年10月頃に開かれたと述べている。他方、黒執証人は、それは03年暮れのことだったと証言した。これは「被害者」証人の尋問が始まる直前だ。「激励会」は何回も開かれたに違いない。吉田書記長ら長野地本幹部は、こうして黒執らの動揺を抑え込み、検察側証人として法廷に送り込んだのだ。

 ひざげり場面の目撃証言も破産

 検察側主尋問で黒執証人は「松崎博己被告が池田さんにひざげりしているところを見た」と述べていた。
 これについて河村健夫弁護人が追及した。黒執は、池田が「ひざげり」されたという場所を図面に記したが、その場所は以前の公判で池田自身が述べた場所とは大きく異なっていた。
 さらに弁護団は、黒執が「ひざげりの直後の場面」と述べていたビデオの映像から作成した一連の静止画像写真を示して尋問を重ねた。一連の画像は、松崎被告の頭が下から上に上がってくる様子をとらえている。その直前まで松崎被告がひざげりをしていたとは、とうてい思えない。
 ところが証人は、「ひざげりしているから体が上下に揺れているのだと思う」と言い張った。裁判長もあきれて、「推測ではなく、松崎被告がひざげりをしながら頭を上下させた場面を見たのかどうか」と質問した。証人は「私の記憶にはありません」と認めた。
 検察側は、松崎被告による池田へのひざげりによって全被告の間に「現場共謀」が成立したと主張している。黒執証人への追及で、検察側の「共謀立証」は完全に破産した。
 闘争団への統制処分に反対した国労組合員を罪に陥れるために、長野地本の組合員を検察側証人に仕立て上げた吉田書記長ら国労本部の責任は重い。弾圧に加担した国労本部を許さず、被告の無罪獲得と国労再生へ闘いを強めよう。

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週刊『前進』(2241号2面4)(2006/04/10)

 民主労総 非正規法阻止へゼネスト

 鉄道労組 順法で列車を止める

 韓国・民主労総は4月6日、7日の2日間「非正規悪法阻止」ゼネストに突入する。3月28日に開いた第3次中央委員会でこの方針を決めた。
(写真 民主労総は組合員1万人が参加した全国労働者大会で”非正規悪法阻止4月ゼネスト”を宣言【3月26日 ソウル・大学路】)

 すでに与党ヨルリンウリ党と野党ハンナラ党は4月6日に臨時国会を開会し、非正規職関連法案を成立させることに合意している。民主労総はここに狙いを定めゼネストで非正規悪法絶対阻止のゼネストに立ち上がる。6日は地域別にストライキと集会、ヨルリンウリ党抗議訪問などを実施し、10日からは連盟別循環ストライキを闘う方針だ。
 すでに貨物連帯は、4月3日と定めた全面ストを繰り上げ、28日午前5時をもって電撃的に全面ストライキに突入した。27日から光州に結集していた組合員2500人は、徹夜の組合員総会の結果、全員一致で全面スト突入を決めたのだ。同時に51人の原職復職を求めて巨大資本・サムソン工場で光州支部幹部2人が高空籠城に入った(サムソン資本は人命の危険をも省みず4時間後に鎮圧!)。この弾圧をはねのけ、貨物連帯はソウルに集結してスト続行中だ。
 さらに全面スト撤回後、3月4日から現場闘争を繰り広げてきた全国鉄道労組は、29日から「鉄道公社の交渉拒否と大量懲戒の脅迫を撤回させるための第1次順法闘争」を開始した。車両支部では職場復帰した組合員を懲戒しないとの暫定合意にもかかわらず大量の職位解除が行われたことに抗議し、すでに作業拒否闘争が続けられている。これに加え運輸、運転、施設、電気の各分会が順法闘争に突入した。全職種で鉄道公社の安全作業規則を順守した闘いが行われた結果、貨物列車では70%以上が止まるなど、現状の列車運行がいかに安全性を無視したものであるかが実証された。
 29日午前9時から電車整備組合員が全面的な作業拒否に突入、30日からはカヤ、テグの組合員も作業拒否に入る。そして4月1日には全国施設幹部会議で夜間作業拒否を宣言することになっている。
 3月16日に出された中央労働委の仲裁裁定は、鉄道公共性とKTX(新幹線)女性乗務員の正規職化、解雇者復職などの主要争点については仲裁を拒否するものだった。怒りを燃やし、団結を固める鉄道労組2万5千組合員は、31日の定期代議員大会をかちとり、4・12再ストライキ突入へと進もうとしている。
 一方、鉄道労組KTX乗務支部の女性組合員は、3・1スト突入から1カ月に及ぶストを闘っている。27日には鉄道公社ソウル支部でイチョル社長との面会を求めて座り込んでいた組合員に警察が暴力的鎮圧を働き、骨折や脳しんとうなど重傷者が続出する事態となった。鉄道公社は同じ乗務業務の男性労働者は正規雇用、女性労働者は子会社の委託契約職と、明確な差別雇用を実施。しかも4〜5月で委託先を変更し、スト中のKTX支部全組合員を解雇するというのだ。KTX支部は「最後まで鉄道公社の責任を追及し、さらに1カ月でも2カ月でもストで闘う」と宣言し、団結を固めて闘いぬいている。
 4月再スト突入は、この正規職と非正規職の歴史的共同闘争の真価が発揮される闘いでもある。
 一層過酷な労働弾圧を発動し続けるノムヒョン政権との間で非正規職闘争が続く。民主労総のゼネスト闘争を断固支持し、闘う動労千葉とともに4大産別決戦の前進をかちとって、国際連帯の道を進もう。

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週刊『前進』(2241号2面5)(2006/04/10)

 4大産別決戦に敵対する日本共産党中央の反階級性

 日帝の危機と絶望的凶暴化の中で、労働者階級は、敵の攻撃の集中点である4大産別決戦を軸に、これを改憲阻止・教基法改悪阻止の決戦と結合して闘うことが求められている。この時、綱領から「労働者階級の闘い」を消し去った日本共産党は、ますます帝国主義に屈服し、闘う統一戦線・統一行動の破壊者として立ち現れている。

 公共サービス論で闘争放棄

 今日、日帝の攻撃は、公務員に対する攻撃を中心に逆4大産別決戦として加えられてきている。これに真っ向から反撃することなしに、労働者階級は生きていけないところに来ている。ところが、「資本主義の枠内の民主的改革」路線で大企業に「ルール」を求める立場から、日本共産党はこうした闘いに敵対しているのだ。
 第一に、日共は、「日の丸・君が代」強制攻撃を教育労働者の反撃で打ち破るという思想も路線も一切ないことである。いや、日共は方針として「日の丸・君が代」不起立はしないとしているのである。03年10・23都教委通達は、教育労働者の労働運動、労働組合を圧殺するところに狙いがある。首をすくめてこれをやり過ごすことはできない。だが、日共は「首がかかっているから不起立しない」と言って、抵抗の闘いから逃亡している。これは「首をかけてまで戦争に反対しない」というのと同じだ。
 また、「つくる会」教科書採択阻止の闘いでも、杉並での教育労働者への処分攻撃に対する闘いに敵対した。3・31「教基法・憲法の改悪をとめよう」全国集会の取り組みも全教指導部はネグレクトした。
 第二に、郵政民営化に対する郵便労働者の闘いについても同様である。彼らは、民営化攻撃が労働者の首切りと労働組合の一掃を狙っていることをまったく弾劾の対象としていない。彼らの郵政民営化反対論は、「国民の財産と利便性を売りわたし生活に不可欠の金融サービスを切りすてる」ということに尽きる。もっぱら国民にとって郵政民営化が不便になるものであるという立場から反対しているにすぎない。
 全労連は、昨年12月に「もうひとつの日本」闘争本部を発足させた。全労連議長の熊谷は、この組織の目的を、@小泉内閣の「小さな政府」に反対する国民世論を形成する、Aこの課題を「公務員攻撃」という狭いとらえ方をすることなく国民生活全体にかかわる課題として、国民的共同の運動として発展させる、Bそれをとおして公務員労働者・労働組合の雇用や労働条件を守る闘いを激励していく、としている。公務員労働者自身の闘いはまったく中心に座っていない。
 日本共産党は、70年代以来の「民主的公務員労働者論」、いわゆる「全体の奉仕者」論で、国民運動・住民運動との連帯の名のもとに、労働者自己解放闘争としての自治体労働運動を根本的に否定している。そして、自治体労働者の現場にあふれる怒りをまったく見ることができず、職場闘争、団結をつくり出す闘いを軸とした階級的闘いの制動物、敵対物となっている。このような「民主的公務員労働者論」では、公務員削減攻撃に闘うことができないばかりか、「安心できる公務・公共サービス」の名で、結局国家に奉仕する公務員労働者になっていくことになるのだ。
 事実、全国の自治体現場で、日本共産党系自治労連中央は、次々と民営化を認め、公務員リストラの攻撃に屈服を重ねているのだ。

 国鉄4・4集会全労連は脱落

 第三に、国鉄闘争では、日本共産党の裏切りと反動は度し難いものがある。国労内日共・革同は、00年の1047名闘争早期終結の4党合意路線を推進した。そして、02年の5・27臨大に対して鉄建公団訴訟に対する処分攻撃反対を掲げて立ち上がった国労労働者に対して、国労酒田一派とともに、警察権力と結託して弾圧に加担したのだ。
 4党合意路線が破産した後、今日1047名闘争が大同団結して2・16集会をかちとるところまで来た中で、追いつめられた日共革同および全労連指導部は、「国鉄労働者1047名の総団結で不当解雇撤回」「JR不採用差別事件の勝利解決をめざす」を掲げた4・4全国集会に、なんと動労千葉が同席することに反対というセクト主義的な口実を掲げて、不参加を決定した。分割・民営化に対して唯一ストライキで闘い、今日も「闘いなくして安全なし」と反合・運転保安春闘をストと安全運転闘争をもって闘う、最も労働組合らしい労働組合である動労千葉を排除しようとし、それが失敗すると、脱落逃亡するという実に卑劣な対応なのである。これは恐るべき裏切りである。
 今日、JR尼崎事故に示されるように、国鉄分割・民営化の破産が全人民の前に明るみに出て、また一方、国労本部の屈服路線をのりこえてついに1047名闘争の総団結の力が発揮されることに背を向けたのだ。これには全動労争議団を始め、日共支持勢力からも怒りの声が噴出している。

 経団連・奥田路線への屈服

 第四に、連合が改憲勢力に転落しようとしているまさにその時、日本共産党は連合と歩調を合わせている。今年1月19日の連合中央執行委員会で、9条改憲に踏み込んだ昨年7月14日の連合見解を集約できなかったことを『赤旗』は肯定的に報道した。だが、この1・19見解が国民投票法の制定を求め、公務員制度改革攻撃を推進していることについてはまったく触れようとしていない。1・19連合中執決定を率先して推進しているのだ。
 この連合に対する日共・全労連の態度は、同時にブルジョアジーの本部である日本経団連に対する態度と重なっている。
 日本共産党の24回大会決議では、「わが党は『大企業敵視』論に立つものではなく、……“民主的ルールのもとでの大企業との共存”という綱領の立場」を強調している。これは、日本経団連・奥田の経労委報告路線への屈服そのものである。戦争と民営化・労組破壊の攻撃を進める小泉=奥田路線に闘わずに屈服しているのだ。
 日本経団連の「東アジア自由経済圏」構想に対しても、日本共産党は「東アジアでの地域の共同体」を推進するという言い方で、完全に同調している。日帝企業によって低賃金で搾取・抑圧されているアジアの労働者に敵対する立場表明以外の何ものでもない。つまり日共は今日、日帝の大東亜共栄圏づくりの先兵に転落したということだ。
 日帝の治安弾圧攻撃は、日本共産党といえども例外ではなく、現に党員がビラまきで逮捕・起訴される事件が起こっている。しかし、1月に開かれた24回党大会でもこれと対決することがまったく議論になっていない。共謀罪法案も、実に重大な攻撃であるのに、党大会決議にも触れられていない。
 第五に、日帝の改憲攻撃に対して、9条改憲阻止の広範な統一戦線が求められている時、日本共産党は昨年11月5日に声明で、「テロ賛美勢力」を排除することを口実に統一戦線を破壊する宣言をし、今年1月7日付『赤旗』では、新社会党からの共闘申し入れを拒否する態度表明を行った。改憲阻止が目的ではなく、その中で自分たちのセクト的利益を貫くために囲い込むことだけを狙っているのである。これでは「本当に改憲阻止闘争をやる気があるのか」と、党内外からの巨大な反発が巻き起こるのは当然である。
 日本共産党のこうした策動を打ち破り、日本共産党指導部の制動と抑圧をはね返して、改憲阻止、教基法改悪阻止、4大産別決戦勝利へ闘おう。4〜6月決戦を日本共産党との激しい党派闘争として闘おう。

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週刊『前進』(2241号3面1)(2006/04/10)

 3・26三里塚 「北延伸」着工阻止を宣言

 “労農連帯の力で戦争阻む”

 「軍事空港反対」を貫いて40年

 6・25東京集会と7・2全国闘争へ 闘いの新たな発展誓う

 3月26日、成田市天神峰で三里塚芝山連合空港反対同盟主催の「3・26三里塚全国総決起集会」が開かれ、全国から1200人の労働者・学生が結集した。闘いの始まりから40年、この夏にも予想される暫定滑走路の北延伸着工攻撃をにらむ緊張感と、軍事空港化を阻んできた不動の信念を全参加者が共有した。
(写真 三里塚反対同盟を先頭に「北延伸阻止!」の気迫に満ちたデモが長蛇の列となって出発した【3月26日 成田市天神峰】)

 会場は天神峰の千葉県花植木センターの横にある反対同盟員の畑だ。東峰十字路から集会場まで、大量に動員された機動隊や私服刑事の検問・警備体制が敷かれている。ジェット機が爆音を轟かせて、間近で離発着を繰り返している。反対運動の爆発に脅え、異常な警備体制なしには1日ももたない空港の現実が、ここにはっきりと表れている。
 晴れ上がった空のもと、正午から事務局の伊藤信晴さんの司会で集会が始まった。
 本部役員の鈴木幸司さんが開会宣言を行った。「三里塚は当初から、軍事空港粉砕を掲げてきた。戸村一作委員長の『闘えば必ず勝つ』の言葉を糧として、40年間闘ってきたが、私も闘争の始まった時と同じ気持ちだ。部落集団移転の攻撃に対し、一人になっても屈せず勝利をもぎ取る決意だ。本日を悔いのない一日として闘いぬこう」
 続いて事務局長の北原鉱治さんが主催者あいさつに立った。「28年前、当時の福田首相のもとで政府は国家的威信をかけて3・30開港を宣言し、反対運動を力ずくで抑えつけ『犠牲者が出てもやむをえない』と言い放った。だがわれわれの闘いで開港はいったん見事に粉砕された。そして今年2月、小泉政権は自衛隊を成田空港からイラクへ派兵しようとしたが、三里塚第一公園で集会とデモを行い、成田からの派兵を阻止した。三里塚は勝利できる。闘いの正義を確信し、北延伸を粉砕しよう」
 基調報告に事務局次長の萩原進さんが立ち、鮮明な提起を行った。「本集会は@北延伸夏着工阻止の決戦突入集会であり、A米軍再編の一環としての北延伸攻撃、成田軍事空港化を阻止する反戦集会であり、Bさらにフランスを始め全世界で立ち上がる人民との連帯を日本の地から示す集会だ。敵の攻撃の焦点は国道51号のトンネル付け替え工事だ。この着工を北延伸工事そのものとして、闘いを構える。さらに東峰の森伐採、クリーンパーク移転を許さない。空港の現実は実際には破綻(はたん)しているが、形だけ作って反対する者に敗北感を押しつけ追い出しをはかり、最後は南へも滑走路を伸ばす。これが北延伸攻撃の本質だ。40年を節目として三里塚は全国に打って出る。7・2全国闘争を現地で開催し、夏着工を阻止する。また6・25に東京で三里塚集会をもち、関西でも企画する。『三里塚のように闘おう』と大胆に訴え、労働者・学生を獲得しよう」。力強い方針提起に会場は大きな拍手でこたえた。
 動労千葉の田中康宏委員長が発言に立った。「動労千葉は反対同盟とともに闘う中で鍛えられ、団結を強化してきた。3月10日からの安全運転闘争に、のべ700人の組合員が職制の監視・恫喝に屈せず立ち上がった。そして旅客・貨物でストライキを貫徹した。反対同盟40年の不屈の闘いが再び人民の闘いの結集軸となることを確信する」
 敷地内・天神峰の市東孝雄さんが登壇した。「ひとたび51号トンネル工事着工となれば、私が99年から02年の県道工事の時に見たように、何十台もの重機が行き交い、轟音と砂ぼこりをあげる現実が再現する。そんなことは許さない。地上げ屋まがいのやり方に負けるわけにはいかない。完全勝利までともに闘おう」
 芝山からの決意として、鈴木謙太郎さんが発言した。「農地の基盤整備と称して行われてきた成田用水は公団の買収攻撃であり廃村化の攻撃。これを拒否して闘ってきた。東峰の森を伐採し、暫定滑走路の北延伸でわが家の頭上にもジャンボ機が飛ぶような事態は許さない。改憲攻撃の強まりの中で、この日本を変えるために労働者・学生との絆を深め闘おう」

 釈放の全学連に歓声

 三里塚野戦病院が天神峰現闘本部裁判への取り組みと「支援する会」拡大のアピールを行い、会の代表世話人の戸村義弘さんのメッセージを代読した。
(写真 奪還された全学連が決意表明【反戦共同委独自集会】)
 顧問弁護団の葉山岳夫弁護士、遠藤憲一弁護士、浅野史生弁護士の3人が登壇し、代表して葉山弁護士が天神峰現闘本部裁判の支援を強く訴えた。
 婦人行動隊の鈴木加代子さんがカンパアピールを行い、闘いの夏への総決起を訴えた。
 関西新空港反対住民から淡路町空港反対同盟代表の永井満さんと東灘区住民の会代表の山本善偉さんが登壇した。永井さんは「法政大学での不当弾圧で逮捕された29人の学生が奪還された。権力が恐れる学生運動があることは心強い。真実一路、体を張った闘いを40年貫いている三里塚の闘いを、全国に広めよう」と訴えた。山本さんは、反対の声を無視した神戸新空港開港を弾劾した。
 北富士忍草母の会の天野美恵事務局長は、「かつてベトナムがアメリカに勝ったように、どんな嵐があろうと三里塚と北富士の連帯、そして関西、動労千葉、沖縄の連帯で勝利する」と高らかに宣言し、5月28日に行う北富士演習場内での模擬施設訓練所前集会への結集を呼びかけた。
 さらに部落解放同盟全国連合会の金平通雄共闘部長、都政を革新する会の長谷川英憲代表、婦人民主クラブ全国協議会、闘う「障害者」、反戦共同行動委の三角忠さんらが決意表明を行った。さらに共闘団体の決意表明で、前日に不当弾圧を粉砕して奪還された全学連の織田陽介委員長が「完全勝利!」を高らかに宣言し、会場から万雷の拍手を浴びた(発言を7面に掲載)。
 最後に、太郎良陽一さんが集会宣言を読み上げ、野平聰一さんが高らかにガンバロー三唱を行いデモに出発した。
 「夏着工を絶対に粉砕するぞ!」。気迫に満ちたデモが反対同盟を先頭に、集会場から成田クリーンパークまで堂々と貫徹された。

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週刊『前進』(2241号3面2)(2006/04/10)

 現調・援農に参加

 三里塚闘争の勝利性実感

 3・26闘争に合わせて現地闘争本部が企画した現地調査、交流会、援農に参加した。
 25日の現調では、昼に天神峰の市東さん宅に参加者が集まり、現闘の同志からこの日のコースの説明を受けた。
 最初に市東さんの畑に出た。フェンスを隔てた向こうで轟音とともにジェット旅客機の巨体が走行していく光景は、形容しがたい異様さだ。パイプを組み上げた監視台に登ると、目の前に成田空港の誘導路が一望できる。台の揺れと目の前を通り過ぎるジェット機の大音量に、正直恐怖を感じた。遠ざかっていく旅客機の機体は、現闘本部建物わきを過ぎると左へ向きを変え、姿が見えなくなった。なるほどこれが、への字に曲がった誘導路か。
 その天神峰現闘本部建物(成田治安法で封鎖中)とそれに隣接する市東さんの耕作地を訪れ、まさに空港完成を阻んでいる存在感を確認した。
 続いて空港会社が不法な移転を画策している廃棄物処分場「成田クリーンパーク」へ。名称とはほど遠い荒涼としただだっ広い穴の掘られた埋め立て地だ。
 次に東峰の敷地内を訪れた。東峰神社は空港の高いフェンスに四方を囲まれながら、しっかりと存在し平行滑走路の完成を阻止している(写真@)。東峰墓地には、萩原進さんの父作治さんや大木よねさんが眠っている。東峰の森は実に豊かな深い森だ。かつての約束を反故にしてここを伐採し誘導路を造ろうというやり口は、到底許せない。
 横堀の鉄塔を回り、騒音直下の菱田を訪れた。かつて成田用水粉砕の激戦が連日闘われた場所だ。故市東東市さんを先頭に反対同盟も支援も流血・逮捕を辞さず闘った。記者も当時機動隊との衝突で何度かこの田に落ちながら闘ったことを感慨深く思い出す。
 さらに岩山記念館、85年10・20戦闘の三里塚十字路、三里塚第一公園などを巡り全コースを終了した。

 青年を三里塚へ

 夜になり、反対同盟の北原鉱治さん、萩原進さん、鈴木幸司さん、市東孝雄さん、伊藤信晴さんを招いての交流会が開かれた(写真A)。関西から永井満さんもかけつけた。会場には三里塚40年の歴史をたどる写真パネルが並べられた。参加者は口々にこの日つぶさに見た三里塚の現実に、闘いの重要性、勝利性を確信したことを語った。
 逮捕学生釈放のニュースがもたらされ、反対同盟各氏はその報に喜びながら、学生や青年労働者が今後こぞって現地に結集し闘うことへの期待を表明した。また永井さんからは、本紙への「三里塚の記事がまだまだ足りない」と叱咤激励の言葉をいただいた。

 日常生活が闘い

 全国集会の翌27日、天神峰の市東さん宅へ援農に入った (写真B)。記者は20年ぶりの、しかも取材をかねての援農であったが、市東さんは快く受け入れ撮影などに応じてくれた。まずは草取り。日ごろ土いじりに縁のない生活を送っていると、雑草の生命力さえ新鮮に感じるが、これは農家の大敵だ。ていねいに取り、一カ所に集める。その作業中もひっきりなしに眼前を大騒音とともにジェット機が走行する。作業中も「北延伸でジャンボなど飛ばせてなるものか」という怒りをかき立てられた。さらにキャベツやネギの収穫などを行った。作業中、私服刑事が車を徘徊させ何度もこちらを監視している。
 三里塚は日常生活が闘いのさなかにある。集会・デモだけでなく現調や援農に参加し、この現実にふれることが重要と実感できた一日だった。
 (本紙・石井良久)

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週刊『前進』(2241号3面3)(2006/04/10)

 3月の杉並区議会・区教委で 山田区長・納冨教育長を追及

 「つくる会」教科書撤回へ

 杉並区議会と区教育委員会において3月、「つくる会」教科書を採択した山田区政を決定的に追いつめる闘いがかちとられた。
(写真  「つくる会」教科書撤回を! 親の会を先頭に区教委に対し申し入れ【3月22日 杉並区役所】)

 3月17日、区議会最終日、任期1年3カ月を残して辞任する納冨教育長の後任の教育委員任命人事案が出された。山田区長が任命したのは、石原都知事のもとで「つくる会」教科書を推進し、「日の丸・君が代」の強制・処分の中軸を担ってきた都教委の井出隆安指導部長である。「10・23通達」をふりかざして不当処分を乱発し、今年2月10日には、都立学校長あてに職務命令を強要する通知を発した当人だ。元杉教組役員から転向し、石原・都教委で「出世」してきた人物だ。教育労働者の怒りの的である。こんな人物が「つくる会」と石原・山田の危機に際し、「つくる会」教科書を押しつけるために乗り込んで来ようとしている。こんな事は絶対許さない!
 この日、都政を革新する会は早朝・昼休みに区役所前で街頭宣伝を行い、長谷川英憲代表と北島邦彦事務局長がマイクを握った。「井出指導部長の教育委員任命反対!」のビラは圧倒的に注目された。
 午後の本会議では、冒頭、都革新の新城節子区議が質問に立った。新城区議は、井出指導部長が昨年つくった「教科書選定資料」が、その中でイザナキ・イザナミまで「歴史上の人物」に数え、「国家緊急権」なる戒厳令まで「国民の権利」とカウントして扶桑社評価を上げようとしたデタラメなものであることを暴いた。こんな資料作りに職員を総動員してきた井出は不適格、と任命の撤回を要求した。結柴誠一区議は、都教委での「日の丸・君が代」強制・処分の井出の罪状を暴いた。山田区長はまともに答えられない。都革新をはじめ、社民、共産、無所属、生活者ネットが反対意見を表明し、質疑・討論は4時間続いた。採決は反対13で区議会の3分の1に及び、山田区長も納冨教育長もうなだれた。
 続く3月22日、05年度最後の、そして「つくる会」教科書を選ぶキーマンとなった納冨教育長が出席する最後の教育委員会が開かれた。「つくる会」教科書の採択を白紙撤回せよと区役所前に60人がかけつけた。

 “K先生の強制異動撤回せよ”

 この闘いには、「調査報告書」書き換えを告発して強制異動がかけられている教育労働者の中学の保護者もかけつけた。K先生が3月20日、強制異動の差し止めを求め提訴したこと、M中学の保護者の半分近くがこの異動に反対し、都教委や区教委に申し入れを行っていること、卒業式の日、卒業生全員が「先生を異動させないで」と生徒署名を校長に突きつけたこと、教組が同日撤回署名を提出し、総数が3万9千筆に達したことを報告した。
 朝からのビラまきに続き8時半、親の会の司会で区役所前集会が行われた。
 さらに参加者全員で教育委員会に申し入れを行った。「採択の撤回・審議やり直しをせよ、K先生への異動内示を撤回せよ、井出隆安氏の教育長人事に反対!」の3点だ。元杉教組の教員の女性は、井出がかつて「日の丸・君が代」に一緒に反対したことを暴き、「当時の子どもたちになんと言うのか」と弾劾した。
 傍聴団は「教育長は、採択を撤回してから辞職せよ!」と傍聴席に陣取り、抗議の声をあげた。納冨教育長は、目を合わせられないほどうつろだった。
 その間、区役所前では、参加者によるリレーアピールが続けられた。勤評闘争を闘った元教員も発言、3・31集会も提起された。「闘いはこれから。撤回させるまで闘うぞ!」と教育委員会に向かいこぶしを振り上げた。
 (投稿/東京西部・飯野依子)

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週刊『前進』(2241号3面5)(2006/04/10)

 新城節子杉並区議の議会報告

 侵略戦争への総動員=国民保護法条例に反対

 3月17日、杉並区議会本会議において、都政を革新する会の新城節子区議は「国民保護条例」議案に反対する論陣を張った。以下その要旨を報告する。今回の区議会ではこのほか、教育委員人事案(井出隆安都教委指導部長)や、教科書採択と教員への処分・異動問題、介護保険改悪、障害者自立支援法などを追及した。(編集局)
  *  *  *
 この条例は、2003年に制定した武力攻撃事態法や改定自衛隊法、安全保障会議設置法など有事関連法、2004年に制定した国民保護法に基づくものです。
 武力攻撃事態法は、日本国家が武力で対処する「武力攻撃事態」について、「武力攻撃(武力攻撃の恐れのある場合を含む)が発生した事態または事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるにいたった事態」と規定しました。この「予測されるにいたった事態」の規定によって、日本政府が攻撃を加えたいと考えている相手国からの「武力攻撃が予測される」と認定すれば、先制攻撃が可能となったのです。これは、戦前ロシアの脅威を口実に朝鮮、中国を侵略したのとどう違うのか。
 当時、中谷防衛庁長官は「アメリカの対テロ戦争支援のためにインド洋に赴いている自衛艦が攻撃を受けた場合は、武力攻撃事態に該当する」と述べています。「日本有事」だけでなく、地球上あらゆる地域において、武力攻撃事態法を適用して侵略戦争ができるとんでもない悪法です。

 武力の行使

 反対する第一の理由は、国民保護条例を規定する法律が、「武力攻撃事態への対処措置」の内容として、公然と「武力の行使」を盛り込んでいることです。憲法9条に違反することは明らかです。武力攻撃の「回避」「排除」のために、「武力行使」を行うとしています。その際、「日米安保条約に基づいて、アメリカ合衆国と緊密に協力しつつ」とし、「武力行使」は米軍の作戦行動と一体のものだとしています。自衛隊が米軍と一体となりながら、敵と見立てた国家に先制的に「武力行使」を行うのだという意志がこめられています。条例は、この憲法違反の武力行使に杉並区の協力を宣言するものであり、許せません。
 第二の理由は、条例により区が従わなければならない「対処基本方針」の策定が政府の判断に一任されていることです。「国会承認」は必要といいながらも、実はそれは「対処措置」の実施後でよいとされているのです。まさしく「武力攻撃事態」の認定から方針決定、そしてその遂行まで一から十まで政府が独断で行うことができるのです。ここに「武力攻撃事態法」の侵略戦争法としての性格が端的に示されています。「武力攻撃事態」そのものがイラクや北朝鮮を、政府が敵とみなし「自衛」の名において先制的に攻撃を加えることを目的として作り上げられた概念です。このような「武力攻撃事態」の認定は、「敵」とされたイラクや北朝鮮にとっては「宣戦布告」としての意味を即座に持つのです。条例を作れば杉並区もまた宣戦布告に加わったということになります。
 第三の理由は、条例が、国家総動員のために作られることです。「武力攻撃事態法」第3条は、「武力攻撃事態への対処においては、国、地方公共団体、および指定公共機関が国民の協力を得つつ、相互に連携協力し、万全の措置が講じられなければならない」とあります。第5条は、「指定公共機関は、武力攻撃事態への対処に関し、その義務について、必要な措置を実施する責務を有する」とあるのです。これは、政府の「対処措置」に労働者が全面的に協力することを義務付けています。しかも政府が政令で、「公益的事業を営む法人」を認定すれば、動員対象を拡大していくことが可能になるのです。すでに石川島播磨重工業の作業員が、インド洋での自衛隊艦船の修理・整備のために徴用されたのです。このように国家総動員ともいえる状況が法によって決められているのです。

 住民の訓練

 第四の理由は、条例の根拠となる「国民保護法」に基づき、住民への戦争訓練・避難訓練が強制されることです。法の中心にあるのは避難とその訓練です。戦時に向けて、平時から住民の戦争訓練・避難訓練を強い、そのための住民への教育・啓発を徹底的に行うことです。
 国民保護法は、あたかも国民を保護するかのような印象を与えていますが、逆に住民に戦争協力を強制するものです。「国民保護法」は、「戦時」だけを考えているのではありません。区役所やテレビ局、赤十字病院は、平時から戦時のための計画を作り、組織を整え、訓練をしなければなりません。住民参加の避難訓練や自主防衛組織、地域ボランティアに協力を強制するものにもなります。「戦時」に備える意味を国民に理解させる「啓発」、つまり教育をすることにもなっています。区長が不審船をわざわざテロ展で飾り、北朝鮮に対する排外的なキャンペーンが行われ、敵愾心や差別意識が強められる――こんな「啓発」は許されません。
 しかし、いったん戦争になれば住民全体が避難するのは無理なことです。沖縄では米軍基地を避難場所とする県協議会の要請が、米軍に拒否されています。

 拒否は処罰

 第五の理由は、条例に基づく訓練や戦争協力を拒否した場合、処罰されることがあるということです。たてまえでは「国民の協力は自発的な意志にゆだねられ強制はしない」となっていますが、協力しないと土地や家屋が没収されたり、罰金を取られたり懲役を課されたりするのです。
 この戦争を遂行するための条例作りを、都政を革新する会は断じて許すことはできません。今、陸・海・空・港湾・鉄道・自治体労働者、基地労働者が、住民の先頭で、戦争協力を拒否する闘いに立ち上がっています。この力こそ戦争を止めることができると確信します。以上の理由から、反対といたします。

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週刊『前進』(2241号4面1)(2006/04/10)

 帝国主義の「最弱の環」日帝の絶望的な財政危機について

 4大産別決戦と労働者階級の課題

 天文学的な国債残高の重圧にあえぐ日帝

 (表1から5までを文末に掲載)
 基軸国であるアメリカ帝国主義の危機の激化、世界経済危機の爆発と帝国主義間争闘戦の激化―世界戦争過程への突入開始という今日の内外情勢の世界史的激動の中で、日本帝国主義はまぎれもなく最弱の環をなしている。
 第一に、日帝は90年代にすでにバブルが大崩壊し、未曽有(みぞう)の長期不況の中に落ち込み、文字どおり国家の総力をあげた財政投入と空前のゼロ金利政策を展開し、労働市場の一大変動をもたらす「リストラ」(広義の)を展開してきた。日本経団連の言う「高コスト構造」なるものの暴力的変更である。
 だがこうした国内的な政策のみでは、実は長期低迷から基本的には脱することはできなかった。この1〜2年、経済的浮揚が現実化し、自動車産業などを軸にして金融資本・独占的大企業の企業業績は大体において増収増益となって、「ついにデフレを脱出した」などと言われる情勢が生み出されている。しかし、これはアメリカと中国のバブル的経済膨張に主として輸出・資本輸出をとおして乗っかり、「リストラ」効果のもとで大きな利潤を生み出し、「回復」を謳歌(おうか)している姿にほかならない。しかし、日帝にとって10年にわたって超空前の恐慌対策のためにとった財政・金融政策のツケは、いまだ基本的に手つかずに残っている。膨大な財政赤字、具体的には累積国債残高の重圧の厳存である。またゼロ金利をこえた超金融緩和政策のあまりの長期化によって、それがいわば内外経済に内在化しており、これからの脱却の開始が引き起こす危機・動揺の予測がつかないということである。
 ほとんど絶望的なまでに累積した国債残高(国家債務残高)の地獄に落ち込んだ帝国主義国家のすることはただ一つだ。それは国家の歳出歳入構造の「改革」なるものであるが、それは同時にこれまでの戦後的国家構造の解体的改造攻撃である。具体的には郵政民営化からさらには公務員制度の全面的解体・再編攻撃であり、戦後的社会福祉制度の破壊と地方自治制度の破壊である。またおそるべき大衆増税と医療・介護などでの自己負担・自己責任のおしつけである。
 第二には、日帝の15年戦争―第2次世界大戦での敗戦帝国主義としての帝国主義的な脆弱(ぜいじゃく)性・弱体性・歴史的無準備の一挙的露呈である。そして同時に、戦後的・階級的・社会的構造の一挙的変革の必要である。その核心をなすものが第9条の戦争否定条項をもつ現行憲法の破棄と新憲法制定への絶望的飛躍の政策である。また、その一環としての教育基本法改悪の攻撃である。ここにおいては戦後史全体をとおして、とりわけ01年以降の小泉政権のもとでの小泉改革なるものによって〔石原都知事登場を補助エンジンとして〕多くの地ならし攻撃が行われ、「世論調査」的レベルでの「国民意識」は大いに変動し、外堀を埋める作業が大いに進行してきた。
 しかし本当の決着は労働者階級の反撃力の根底的レベルでの攻防で決まるのであり、内堀のみならず外堀だって必ずしも埋められきったわけではない。ここに日帝階級支配の根底的危機があるのだ。
 日帝にとって、第一の危機と第二の危機、第一の危機突破の攻撃と第二の危機突破の攻撃は表裏の関係だ。前者(実体的には4大産別決戦を先頭とする闘い)をめぐる攻防も同一の改憲攻撃の裏側であり、経済的・社会的実体における改憲攻撃としてあると言ってもいい。

 06年度予算の全体が労働者階級への攻撃

【表1】ついに1000兆円を超えた公的債務残高(05年度見込み)

 a.国と地方の長期債務残高(773兆5000億円)の内訳
   @普通国債残高      538兆4000億円
   Aその他内国債       4兆2000億円
   B交付税特会などの借入金  59兆6000億円
   C地方自治体の長期債務  171兆3000億円
             小計 773兆5000億円
 b.国と地方の短期債務残高(285兆7000億円)の内訳
   D政府短期証券      142兆1000億円
   E財投債         143兆6000億円
             小計 285兆7000億円
 c.国と地方の政府債務残高 (a+b=国の借金合計)
             総計 1059兆2000億円


【表2】債務残高の対GDP比

  イ)政府長期債務残高の対名目GDP比
   1990年度= 59.1%
       ↓
   2005年度= 150%
  ロ)政府債務残高の対名目GDP比
   1990年度= 62.7%
       ↓
   2005年度= 200%

 次に、日帝の陥っている財政的危機、それをめぐる日帝内の抗争、階級的決戦構造などについて、より具体的に見ておこう。
 【表1】のとおり、日帝の抱え込む公的債務残高は、ついに1000兆円を超えた。
 次の【表2】をみれば、バブル崩壊―長期大不況の過程での恐慌対策のため、いかに大規模に国債などが発行されたかは一目瞭然(りょうぜん)である。05年度段階で日帝はなんとGDP(国内総生産)の2倍の借金を抱え込んでいるのだ。
 しかも、これは今なお増え続けている。金融資本の不良債権問題が峠を越えた、クリアしたなどと騒いでいるが、その裏側では国家財政が天文学的借金で大破綻(はたん)の重圧にあえいでいるということなのだ。そして財政再建という「大義」のもとに一切の犠牲を、結局のところは労働者階級に押しつけようとしているのである。

 06年度予算の概要

【表3】2006年度政府予算

 <歳出総額〉 79兆6860億2400万円(前年比 ▲3.0%)
 a.一般歳出     46兆3660億円(▲1.9%)
  (内訳)
  ・社会保障費    20兆5738億9800万円(+ 0.9%)
  ・文教・科学振興費  5兆2671億0400万円(▲ 8.0%)
  ・恩給関係費      9988億8800万円(▲ 6.6%)
  ・防衛関係費     4兆8139億1800万円(▲ 0.9%)
  ・公共事業関係費   7兆2014億9400万円(▲ 4.4%)
  ・ODAその他の項目(略)
 b.国債費      18兆7615億6000万円(+ 1.7%)
 c.地方交付税交付金 13兆7424億7400万円(▲ 5.7%)
   地方特例交付金     8159億6000万円(▲46.2%)
 <歳入総額〉 79兆6860億円
 (内訳)
  ・税収   45兆8780億円(+ 4.3%)
  ・税外収入  3兆8350億円(+ 1.3%)
  ・国債   29兆9730億円(▲12.8%)


【表4】06年度特別会計予算(政府予算と同時決定)

  a.31の特別会計 歳出 460兆円(前年比+48兆円)
  b.重複を除く純支出  225兆円( 同 +20兆円)
  c.31の特別会計 歳入 449兆1502億円
  ※cの内、一般会計(政府予算)からの繰り入れ額47兆6887億円

 その現実をまず06年度政府予算の分析をとおして見てみよう。
 06年度政府予算【表3】は徹頭徹尾労働者階級への階級的攻撃としてある。
 国と地方の累積債務の中、短期債務残高の項などをきちんと理解するためには【表3】とともに【表4】特別会計予算にも注目する必要がある。
 ちなみに政府一般予算の約60%=約48兆円が特会会計に繰り入れられて、それをとおして運用・支出されていく。一般予算の規模と比べて31項目の特別会計の純支出合計が225兆円にも上ることをみよ。日帝政府・行政権力は、一般会計以外にも巨大な「金」を動かしているのだ。ここでは政治家・高級官僚・諸公団の役員・ブルジョアジーそのものがあらゆる仕掛けで甘い汁を吸い、矛盾を労働者人民に押しつけているのである。

 労働者に犠牲転嫁

 小泉は06年度予算について、財政再建(行財政改革)を振りかざして、歳出総額を80兆円以下にする、新規国債発行額を30兆円以下にすると呼号してそれを実現したことを誇っている。しかしその実体は徹頭徹尾階級的なもので、公務員総人件費の削減や三位一体攻撃(これも結局は地方公務員労働者へのリストラ・人員整理・賃金削減となる)を強化し、戦後的社会保障制度・地方自治制度の全面的破壊を狙うものだ。
 まず、小泉は歳出総額を1・9%刈り込んで総額80兆円以下にしたと言うが、その最大の実体は地方への補助金・交付金のカットなのだ。交付金を含めた補助金カットは総額で1兆8667億円にもなる。そして税源の移譲分は1兆2844億円である(義務教育費負担の一部地方移転)。
 要するに、国の財政的負担の地方への押しつけであり、その結果は地方公務員への攻撃の激化、人民の生活・教育・社会保障の破壊となるのだ。この意味で06年度予算は百パーセント行政改革推進法案と一体のものだ。
 次に、社会保障費は0・9%増となっているが、もちろんこれは何か改善されるなどというものではない。むしろ逆だ。社会保障制度上当然なすべき支出という点からみれば大幅に刈り込んでいるのだ。実際、06年4月1日より70歳以上の高齢者(一定の所得条件を付けてはいるが)の病院窓口支払いを2割から3割に引き上げる。また療養入院の際の食費・居住費を自己負担させる。要するに、少子高齢化で高齢者が増えるので、高齢者の社会保障レベルを大幅にカットするしかないと言っているのである。
 高齢者とは何か。そもそも圧倒的大多数は元は労働者であり、基本的に労働者階級に属するのである。資本制社会がそもそも一社会をなすというからには、本来階級としての労働者の再生産の責任は賃金の中に含まれるべきもので、今日の社会保障費用は本質的に賃金の後払いなのだ。帝国主義経済が危機だからといって労働者階級を抹殺していいということはないのだ。そもそも少子高齢化論をもって年金を論じたり、社会保障制度を論じたりする世代間負担論などというのは、本来子どもが親の面倒をみるのが当然といった家族制度のロジックであって、支配階級の階級的義務を超階級的なお話にすり替えているものでしかない。だいたい科学技術が発達して生産力が幾何級数的に伸びているなどと言いながら、労働者階級とりわけ高齢化した労働者階級の生活も賄うことができないと言うのか。結局は、争闘戦を口実に国際的なブルジョア階級がすべて甘い汁を吸い取っているということでしかない。
 文教・科学振興費のところでも問題がある。日帝ブルジョアジーのための科学技術向上の費用は実は増えている。結局、文教費がカットされているのだ。すなわち義務教育費の国庫負担金は、06年度では1兆6763億4900万円で、前年比20・7%の削減となっている。これはいわゆる「三位一体」で地方に押しつけるからである。ここから教員の1000人の削減を確認している。結局ここでも、歳出カットの実体は教育労働者への攻撃の強化なのだ。
 歳入面でも内容は労働者階級への攻撃である。
 小泉は今回の予算で税収増は景気好転によるものが主因のように言っている。だが実際には今回の税収増は約1兆9000億円だが、そのうちの1兆4000億円分、約74%(約4分の3)はいわゆる「サラリーマン増税」によるものである。具体的には所得税・住民税の定率減税の廃止によって、国の増税分は1兆3060億円、地方の増税分は4274億円になる。たばこ税の引き上げは国にとって940億円、地方にとって882億円の増税となる。
 ちなみにこれらの数字は1月17日の06年度税制改正要綱として閣議決定されている。これによれば、「三位一体」関係のプラス・マイナスとあわせて国と地方全体ベースでみると、実に06年度は2兆4181億円の増税となっている。
 新規国債発行を30兆円を下回って29兆円台にしたと小泉は言っているが、実際には29兆9730億円もの新規国債を発行しているのだ。これは予算の歳入の実に38%を占めている。40%は切ったものの38%なのだ。また国債費は18兆7615億6000万円もあって、新規国債発行額の63%も占めている。つまり、新規国債の3分の2が、過去の国債費の償還に費やされている始末なのだ。06年度予算は、こうして国の国債残高―債務残高をさらに増大させているのだ。
 しかしそれにしても06年度予算を少し見てみるだけで、国家財政の危機の深刻さとその克服のための措置というものが百パーセント労働者人民への犠牲転嫁、収奪の強化、特に労働者階級の団結の破壊(公務員労働者への大襲撃を突破口とする)にあることは明白である。まさに驚くほどストレートに階級的攻撃としてあるのだ。

 公務員大量首切りと消費税大増税を狙う

 05年度末までの日帝の「国と地方の債務残高」はついに1000兆円を超えた。この間小泉は、小泉=奥田路線のもとで、「小さな政府」などと称して労働者階級への攻撃を強め、国家財政でも年金・介護・医療などの社会保障制度解体、さらには増税の繰り返しによってその打開を図ってきた。そして06年度予算案でもこれはさらにエスカレートした。これは2章で見てきたとおりだ。
 しかし、日帝の財政危機はあまりにも重く、依然として打開のメドなどまったく立っていない。このことは米経済バブルや中国バブルの崩壊必至の趨勢(すうせい)の中で、国際争闘戦やブロック化が進んで帝国主義の間のつぶし合いの時代に突入しつつある中で、再び巨大な世界的な不況の重圧にさらされた場合の日帝の耐久力を根底から奪うものとしてもある。本格的な戦争ができない帝国主義という制約も日帝にとってもはや放置できないものとなっているが、破滅的な財政危機と金融危機(ゼロ金利―超緩和政策から抜け出られない危機)の現状も帝国主義として体制存亡の問題になっていると言っていい。

 公務員人件費カット

【表5】財務省による今後4年間の財政状況の推計「後年度影響試算」 (06年1月19日公表)

 (単位:兆円)06年度 07年度 08年度 09年度
 歳出     79.7  83.9  85.2  89.8
 一般歳出   46.4  47.4  48.0  51.5
 国債費    18.8  18.9  19.6  20.6
 税収等    49.7  52.1  52.9  56.3
 新規国債   30.0  31.2  32.3  33.5
 PB    ▲11.2         ▲12.9

 ※プライマリーバランス(PB)とは、国債の利払いと償還費を除いた歳出(一般歳出)と、国債発行収入を除いた歳入(税収など)の財政収支で、国の収入・支出の釣り合いを見る指標。

 06年に入ってから経済財政諮問会議で最大のテーマとなっているのは財政再建問題だ。より具体的に言えば、これからの5年間で政府財政における基礎的財政収支(いわゆるプライマリーバランス=PB)の黒字を達成するためのプラン策定である。そして、そのために必要な経済成長政策の程度や歳出規模の切り込みの量を巡って小泉内閣の閣僚が激烈な内部抗争を繰り広げている。これには小泉、そして奥田らがかんでいる。
 この経済財政諮問会議の議論をつかむ上での一つの便宜として、06年1月19日に財務省が消費税導入の必要をアピールするために政治的目的をもって提起した「財務省による今後4年間の財政状況推計」がある。
 この推計で仮定されている条件は次のようなものである。
 @06年度予算案の制度・施策を前提。
 A名目成長率、長期金利はともに2%で推移。
 B社会保障費は、高齢化で年々0・9兆円増加する。
 C交付金は、税収増および特別会計の借入金の償還で徐々に増える。(【表1】にあるように、06年レベルで交付税特別会計に59兆6000億円の借入金がある)
 D国債費も、国債残高が増加するので増加する。
 E長期金利を07年度から3%になると仮定すると、【表5】の09年度の新規国債発行高よりさらに4・4兆円増、総額37・9兆円となる。
 これは、現行の制度・あり方を変えず進むとき(つまり大増税などをしない限り)、景気好転で名目成長率2%(長期金利は一定不可避的に上がって2%くらいとなるとされる)となって税収などが一定増加していくとしても、社会保障費は高齢化時代で増加しないわけにはいかないこと。そして何よりも長期金利の利率のアップも含めて国債費などがかなり増加するので、結局09年度に至ってもPBは改善せず、12・9兆円の赤字となってしまう。財務省はここから、大増税とりわけ消費税増税の導入は不可避となるとしたいのである。
 これに対して、この間の経済財政諮問会議などでこの問題が検討され、増税なしでPBの黒字化を図るためにはどうするべきかという議論が強烈に展開されている。
 2月15日の会議では三つの具体例が提示された。今日経済財政諮問会議は竹中にかわって与謝野が経済財政担当相になったので、竹中−中川ライン(背後には小泉がいるとみられる)とは一定の矛盾をはらみつつ進行している。2月15日の会議の内容は次のようなものである。
(1)増税なしで2011年度に国・地方の基礎的財政収支(PB)を黒字化するため、5年間で20兆円前後の歳出規模の削減が必要となる。(これまで15兆円の削減としてきたが、歳出削減がもたらす税収低下などの恐れを考慮すると20兆円の削減とすべきと民間議員が主張し、それを確認したとされている。)
(2)5年で20兆円の歳出削減の三つのイメージ
 ▽第一の例 
  イ)公共事業費     8兆円
  ロ)その他政策的経費  12兆円
            計 20兆円
 ▽第二の例
  イ)公務員人件費    8兆円
  ロ)公共事業費     5兆円
  ハ)その他政策的経費  7兆円
            計 20兆円
 ▽第三の例
  イ)社会保障関係費   6兆円
  ロ)公務員人件費    5兆円
  ハ)公共事業費     3兆円
  ニ)その他政策的経費  5兆円
            計 19兆円
 与謝野は「増税なしのプライマリーバランスの黒字化という設定の難しさを示すためだ」などと言っているが、ここで見ておかなければならないことは、日帝ブルジョアジーの中でさまざまな対立や意見の違いがあるにせよ、5年で20兆円の歳出削減ということの可能・不可能ということとは別に、上記の三つの例の中で公務員の人件費のカット(もちろん総人件費ということで民営化・人員整理・賃金の切り下げを含む)が8兆円〜5兆円という大変なレベルで含まれていることである。また第三の例の場合には、社会保障関係費の6兆円の削減(本来なら06年度の制度のままでも年々0・9兆円増になるというのに!)さえ想定しているということである。
 結局、いよいよはっきりしてきていることは、日帝が帝国主義としての致命的弱点ともいうべき財政の大破綻不可避的状況の中で、
 α.公務員人件費大幅カットという形での公務員制度の全面的・解体的再編
 β.社会保障制度の全面的な解体・再編
 γ.消費税率大幅引き上げを中軸とする大増税
 を核心とする労働者階級のあり方・団結・生活にかかわる全面的階級決戦に訴えようとプランを練り上げているということだ。

 インフレで国債償還

 さらにこの問題を巡って今日明白になっている重大問題がある。それは日帝・小泉がポスト小泉体制構築のヘゲモニーを握ることをも狙って、今日の日帝の財政危機の打開において経済のインフレ化政策を狙ってきていることだ。これが竹中―中川ラインのもとでかなり強力に推進されている。
 具体的には、日本の経済の潜在的成長率を2%とし、これに2%程度のインフレをターゲット化し、4〜5%の名目成長率を狙うということである。しかもその場合、経済成長やインフレ下で不可避となる長期金利の上昇について、それがあまり国債費の増大にならぬようにかなり低い状態を想定する(または可能とする)ということが主張されている。これはアメリカでインフレターゲット論者のバーナンキがFRB(米連邦準備制度理事会)議長になったことなどとも一定の連動性をもっている。
 財務省―谷垣―与謝野などのラインは、いずれにせよ今や消費税率アップ以外に財政再建のメドはつかないということを押し出しつつ、他方で歳出圧縮論をもってブルジョアジーの階級意志を自己のサイドに引きつけようとしている。
 また背後で、小泉が「私の任期中は消費税のアップをしない」をテコに政治権力を握り続けた手法を(すこし変化させて)さらに使おうとしている可能性がある。つまり2%程度のインフレの下での名目成長率の4〜5%化によって税収を増やすことで、消費税率の引き上げ時期をすこしずらしたり、引き上げ幅を低下させるという政策(根底的にポピュリズム的)によって世論を引きつけ、小泉の望む後継体制の成立を狙うということである。しかし、インフレの力で国債償還を促進するという手法は、ひとつ間違えばコントロールできないインフレを引き起こしかねない。また逆に、急速な名目的成長は長期金利の予想を超えるアップを引き起こすこともありえる。
 さらに重要なことは、先の2月15日の経済財政諮問会議の「三つの例」は、2011年度までにPBの黒字化のために5年で20兆円の歳出圧縮ということでしかないのだ。しかしPBの黒字化の達成は、たとえそれができたとしても、財政危機の脱出の「第一歩」とは言えても、これまでの累々と積み上げられた長期債務残高の重圧それ自体はまだ残っているということだ。これを取り崩すこと自体、また巨大な問題となるのだ。

 労働者への一大階級決戦攻撃との対決へ

 結局、日帝の帝国主義としての存在を揺るがす財政破綻に対して、これからさらに激化する国際的経済情勢、政治・軍事情勢の激動化の中で、日帝がこれをクリアしようとすることは、労働者階級への一大階級決戦とならざるをえない。むしろ日帝ブルジョアジーはこの階級決戦を、郵政民営化の06〜07年的強行と06年通常国会での行政改革推進法案(5年間で5%の公務員数の純減、市場化テストと民営化、組合の破壊と改憲勢力化を狙ったもの)の強行をもって遂行するプロセスに突入している。まさに労働者階級に対して逆4大産別決戦を挑んできているのだ。社会保障制度改悪・大増税も労働者階級への大攻撃であり、4大産別の労働者の団結破壊=全労働者の団結破壊の攻撃と一体のものである。
 つまるところ4大産別決戦は、この日帝の帝国主義としての生き残りをかけた経済的財政的大攻撃との闘争なのだ。ブルジョアジーが仕掛けている階級決戦をプロレタリアートの側からも真っ向から受けて立つ革命的な階級決戦なのだ。
 これは日本帝国主義の攻撃との闘いだが、ほとんどそれは日本帝国主義の存否をかけた決戦としての性格を持つ。したがってこれは改憲阻止・教育基本法改悪阻止という壮大な階級決戦と表裏一体をなす闘いだ。4大産別決戦を基軸に闘いぬくことなしに一切はありえない。この4大産別決戦を軸に、それと改憲阻止決戦を固く結びつけて、改憲阻止決戦自体をも断固闘いぬくということだ。そうしてこそ労働者階級の底力を引き出す勝利的な改憲阻止決戦をつくりだすことができる。
 すでに小泉政権は、自公与党の決定として、皇室典範改正や防衛庁の省昇格が今国会では不可能となる中で、一方における行政改革推進法案、他方における国民投票法案と教育基本法改悪法案について、自公政権の堅持と継続にかけて今国会での貫徹を図っている。
 また、ブッシュ政権はイラク戦争の継続激化論・対テロ長期戦争論・対中国戦争論をもって、米帝の体制的危機をのりきろうとしている。これは在日米軍再編問題の強行と一体である。日帝は日米枢軸の政策に踏みきっている。この中で沖縄の新基地建設を軸とする米軍再編に対する反基地・反戦反安保闘争は、改憲攻撃と一体のものとして相互に規定しあって進行している。
 4大産別決戦を基軸に、それと固く結合させて改憲阻止決戦、教育基本法改悪阻止決戦、新たな安保・沖縄決戦を闘いぬこう。
 この間の「日の丸・君が代」決戦、「つくる会」教科書粉砕の闘いは、戦時下階級闘争の最も鋭い戦略的突破口を切り開いている。
 そして動労千葉は、戦争と民営化の攻撃に生産点から資本と全面対決して闘いぬいている。
 この動労千葉の闘いの素晴らしい戦略的意義をしっかりとつかみ、この動労千葉労働運動を全国・全世界のものにしていくことが今日の革共同の大戦略である。動労千葉の闘いを学び、その意義を全労働者に熱烈に訴えよう。そのための決定的武器として物販活動を戦略的に位置づけよう。
 教育基本法・憲法の改悪をとめよう!3・31全国集会の高揚に続く、1047名闘争など国鉄闘争勝利に向けた4・4全国集会は、4大産別決戦の重要な闘いだ。この大成功をかちとろう。

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週刊『前進』(2241号5面1)(2006/04/10)

 辺野古新基地 小泉の屈服強要はね返せ

 “応じなければ見切り発車”

 沖縄差別の攻撃粉砕を

 小泉首相は3月28日夜、自民党の山崎安全保障調査会長、額賀防衛庁長官、守屋防衛事務次官と会合、米軍普天間基地のキャンプ・シュワブ沿岸部移設案の修正協議について、「沿岸案堅持」「名護市が誠実に協議のテーブルに乗らないなら、見切り発車せざるを得ない」と、島袋名護市長のそれ自身、絶対に認めることのできない「修正要求」さえも足蹴にし、一方的に島袋市長の屈服=容認を迫った。しかもここで小泉は傲慢(ごうまん)にも「おれの気持ちとしてはセンチ(単位の修正)だ」と言い放ったのである。
 いったいどこまで沖縄を差別するのか! これは、あくまで「日本全体の安全のために」(小泉)沖縄は犠牲になれと、屈服を強要するものだ。
 普天間基地の辺野古への移設(県内たらい回し)には全県民の9割が反対なのだ。賛成は3%だ! 3・5県民大会に集まった3万5千人の怒りの声を踏みにじるというのか! 小泉政権はこの沖縄県民の総意をまったく無視して、沿岸案を押しつけようとしているのだ。
 北朝鮮・中国への侵略戦争のための米軍再編攻撃は、日米間の協議が3月中にまとまらず、「最終合意」は4月以降に持ち越された。決着がつかなかったのは、一方で沖縄海兵隊司令部と隊員8千人のグアム移転の経費をどのように分担するか、などで合意に至らなかったということもあるが、やはり最大の問題は普天間基地移設先の辺野古沿岸案への地元合意を取り付けられていないことにある。
 この間、島袋市長と額賀防衛庁長官との会談が断続的に行われてきたが、決着がついていない。
 島袋市長は、「落としどころ」を求めて、首相官邸に日参して、防衛庁長官との交渉に腐心してきた。市長は、裏切りの方便として「私は政府に対して市民の意向を入れさせるように頑張ったのだ」というポーズを取ろうとした。
 そこでは、飛行コースを10度変えるとか、10b、20b場所をずらしたらどうだとか、まったく話にならない論議が延々と行われた。起こっていることは、名護市民に(沖縄県民に)「米軍再編」という名の「死刑」を、それも人民の頭越しに決定し、それを執行しようということなのだ。辺野古・命を守る会を先頭に、この話し合い決着に対する怒りの弾劾闘争が闘われた。こうした中で、島袋市長はこれまでは妥協することができなかった。
 日帝・小泉は、今あらためて辺野古沿岸案強行を宣言し、地元合意なしで見切り発車することを決め、すべての沖縄県民、労働者人民に襲いかかろうとしている。こんなことを絶対に許してはならない。名護市長が反対しても、稲嶺知事が反対しても、辺野古沿岸案だけが建設可能な唯一の道だと、政府は強行突破しようとしているのだ。反対なら、公有水面使用許可の権限を県から奪って(特別措置法を作って)建設する、という強硬姿勢を突きつけて、名護市と沖縄県の屈服を迫っている。これは、文字どおり現代の琉球処分そのものである。
 米軍再編は沖縄人民にとって「永遠に基地の奴隷として生きることの強制」「対北朝鮮、対中国の戦争体制構築=第2の沖縄戦の強制」だ。97年名護市民投票以来の闘い、一昨年以来の海上阻止行動の闘いの勝利の上に、今こそ沖縄の怒りが根底的に爆発する時だ。
 沖縄全島ゼネスト、10万人決起を実現し、辺野古案を粉砕し尽くそう。岩国、座間を始め全国で沖縄と連帯し、反戦・反基地闘争を巻き起こし、米軍再編を粉砕しよう。

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週刊『前進』(2241号5面2)(2006/04/10)

 「島袋市長、裏切ったら許さない」

 名護市役所に抗議行動

 3月27日、ヘリ基地反対協と辺野古・二見以北の住民代表を先頭に島袋名護市長が住民の頭越しに強行している政府との「辺野古沿岸案容認」に向けての交渉を弾劾し、住民との話し合いを要求した。島袋市長が28日にも東京に行くのではないかと報道される中、60人ほどが名護市長室前に詰めかけた。
 不在の市長に代わって安里市長室長が対応した。住民側は「28日に東京に出かける前に市長はわれわれの代表と会うべきだ」と室長に日程調整を図るように要請した。言を左右して時間稼ぎに終始する室長に住民の怒りが爆発した。
 「非常事態なんだから電話ぐらいかけられるだろう。私たちの命がかかっているんだ」「市長が東京に行ってから心配で夜も眠れない。地元の気持ちが行政マンのあなたにわかりますか!」と二見以北10区の会の渡具知智佳子代表が涙ながらに訴えた。辺野古・命を守る会の金城祐治代表も「市長は住民の話も聞かないで何をしたいのか。本当に地元を敵に回すことになる。市長はその覚悟があるのか!」と弾劾した。(写真)
 ヘリ基地反対協の代表が「私たちと話し合わないのなら市長を名護から出さない。もし名護から脱出できても、全県に号令を発して那覇空港で座り込んで、市長の東京行きを阻止する態勢をとる」と宣言した。
 その後、名護市役所にゴザを敷いて3時間近く座り込んだ。結局、翌日、末松助役が反対協と会うという約束を取り付けた。28日の参加者は100人に膨れ上がった。だが、27日夜半、岸本前市長死去という事態で急きょ、助役との交渉は29日に延期された。

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週刊『前進』(2241号5面3)(2006/04/10)

 自立支援法 「障害者」の生存権を奪う

 4月実施を弾劾する

 4月1日、日帝・厚労省は「障害者自立支援法」の一部施行(10月全面施行)を強行した。われわれ「障害者」はこの暴挙を絶対に許さない。昨年の国会闘争を引き継ぎ、直ちに法撤廃に向け総決起しよう。
 自立支援法は、「身体、知的、精神の3障害の福祉制度の一本化」として「身体障害者」への施策(これ自体不十分極まりない)に比べてもきわめて低水準の「知的障害者」「精神障害者」への施策を充実させるかのようなペテンを使いながら、制度利用にあたって1割の応益負担を新たに導入する。また介護保険と同様に6段階の障害程度区分を設け、区分ごとに支給量を定め「全国一律のサービスを確保する」として介助時間を大幅に引き下げる。

 「重度」ほど多額の利用料

 第一の問題点は、制度を利用する者すべてから1割の利用料を徴収する応益負担を導入したことだ。その結果、介助を含めより多くの制度を利用する「重度」の「障害者」ほど多額の利用料を払わされる。あらゆる職場から排除され、わずかな基礎年金を命綱にして生活している人から多額の利用料をむしり取るのである。
 厚労省は「低所得者に配慮したきめこまかな減免措置がある」と言うが、とんでもない。障害基礎年金1級(月8万3000円弱)相当の収入層では2万4600円を利用負担上限とし、障害基礎年金2級(月6万6000円程度)では1万5000円を月額上限とする。このどちらも住民税非課税の低所得者層の負担額であり、これだけでも「障害者」の生活を直撃する。市町村のわずかな福祉手当を得ていれば「一般世帯」と見なされ、上限額は月3万7200円に跳ね上がる。
 負担額はこれで収まらない。介護給付、地域生活支援事業、自立支援医療、補装具のそれぞれで別々に負担上限が設定され、その合計額を徴収される。また作業や訓練に通えば昼食費も取られる。施設入所者にも利用負担額に加えて光熱水費や食費といった「ホテルコスト」が課される。年金額に迫る利用料を払わなければならない人も出てくる。その結果、介助時間を減らしたり制度利用自体をあきらめる人が大量に出てくる。さらに精神通院公費負担制度や更生医療、育成医療からなる自立支援医療の開始に当たっては、ほとんど無料だった医療が一掃され有料化される。
 利用料を負担した結果、生活保護以下の生活になる恐れがある人や、社会福祉法人資格を持つ派遣業者から派遣を受けている人には、負担上限を半額にするなどの減免措置を打ち出しているが、何の解決にもならない。しかも、この減免を受けるためには徹底した資産調査が強制され、「申告漏れ」でもあるものなら条例で罰金まで徴収しようというのだ! 「障害者」の基礎年金や不測の事態に備えたわずかな貯蓄からもむしり取ろうというのだ。

 負担増で制度利用の断念も

 第二の問題点は、「全国一律のサービス提供」と称して介護保険同様6段階の障害程度区分を設定し、それぞれに支給量の基準(上限)を設けていることだ。
 3月1日の全国主管課長会議に示された支給量基準は、介護保険と比べても最高82・58%から最低17・55%でしかない。人口呼吸器を使用している人で24時間の介助態勢なしには生命の維持自体が困難なALS(筋萎縮性側索硬化症)などの人でも、「重度障害者等包括支援」として月額45万5000円の支給量でしかない。派遣業者の維持運営費を差し引くと、時間単価は600円にも満たない。これでは24時間の介助は保証されない。他の「障害者」は介護保険並みの介助も受けられない。激変緩和措置はいずれも3年間の期限付きだ。しかも秋以降、介護保険への統合の動きが本格化する。「障害者」の地域生活は破壊される。命さえ脅かされる。
 さらに介助の時間単価を全体として引き下げた上、ヘルパー資格1、2級以外の介助者はさらに単価が引き下げられる。「障害者」から介助者を奪い、介助労働者には一層の低賃金化・パート化が強制される。

 支援法廃止へ団結し闘おう

 03年の支援費制度施行によって「障害者」福祉は措置制度から契約制度へと本質的に大転換した。「障害者」福祉版の民営化攻撃そのものだ。これによって「障害者」福祉に対する国の責任は大幅に後退し、資本の利潤追求の場に変えられた。その結果、派遣業者の都合に合わせて生活を組み立てざるを得なくなった「障害者」や、「手がかかる」としてヘルパー派遣を断られる「障害者」が続出している。その一方で、この契約制度を受け入れさせるために、介助時間の全国一律での大幅な削減や応益負担の導入は見送った。今回の自立支援法はその攻撃を一気に全面化させたのである。加えて自立支援法では「就労支援」を前面に押し出すことによって「自立」を「働いて自分で稼ぐ」とし、「働けない」「障害者」を無慈悲に切り捨てようとしている。まさに資本の論理そのものだ!
 さらに自立支援法の施行は、応益負担導入、介助時間の大幅削減によって憲法25条「生存権」を「障害者」から奪うものであり、改憲攻撃そのものである。
 「障害者」の不安と怒りは日々高まっている。4月以降これらの攻撃が全国の「障害者」一人ひとりの生活に襲いかかるのである。闘いの爆発は必至である。支援費制度(契約制度)を推進してきた人の中からも「契約制度を見直すべきではないか」「介護保険に対する反対を組織できなかったことから総括すべきではないか」という声が出始めている。今後、このような動きが拡大していくのは確実である。全国に渦巻く「障害者」の怒りと結びつき、その怒りを解き放つならば、自立支援法の廃止はまったく可能だ。
 闘いはこれからが本番だ。自立支援法廃止の一大運動を巻き起こそう!
 (関東「障害者」解放委員会)

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週刊『前進』(2241号5面4)(2006/04/10)

沖縄反戦地主 照屋秀伝さん 米軍再編と闘う沖縄(3)

 沖縄反戦地主 照屋秀伝さん

 沖縄が変われば日本が変わり、アジアも変わる

 3・5県民大会は若い人が多かった。僕の家族は10割動員だった。孫4人、子どもたち夫婦4人、私たち夫婦の10人で参加した。
 労働組合は次から次に若い世代が出てきます。自治労がデモで会場に入ってきた時、自治労OBが「自治労が来たらさまになったな」と話していた。闘いを担うのは自分たちだという気概を持つことだ。こういう気持ちがある限り闘いは絶対に終わらない。
     ◇
 全駐労も参加した。60年代の後半からベトナム反戦、全軍労闘争、いわゆる沖縄闘争の中で全軍労闘争を組織したのは、基地労働者としての矛盾は闘うことなしには解決できないということでした。
 基地労働者だからね、基地の中で働いて賃金をもらって生活をしていくわけだが、それを恩恵ととらえるのか。恩恵ととらえるんだったら、基地反対闘争はできっこない。
 沖縄もそうだ。沖縄の400年の歴史は何かというと、差別と貧困、そして戦争と抑圧だった。これは全駐労が抱えている問題と別個じゃない。沖縄はそれらからの解放をどうするのか。そこから出発しないといけない。
 基地というのは攻撃されるから、被害の一番小さな所に要塞(ようさい)をつくる。攻撃する拠点が攻撃されるのが戦争だ。
 沖縄は60年前と同じで、なんにも変わっていない。「基地・軍隊は住民を守らない」――これが沖縄戦の教訓であった。1952年に日米安保条約ができた時からもう戦争の準備はなされていた。
     ◇
 僕は97年の米軍用地特措法改悪の国会審議を傍聴して逮捕されたことがある。ほとんど論議もなしで9割の国会議員が賛成をした。沖縄は全人口の1%、土地も全国の0・6%、日本政府は大したことはないと思っているだろうけど、絶対にそこから崩していくんだ。
 だから沖縄が変われば日本が変わる。僕が変われば沖縄は変わる。君が変われば沖縄は変わる。沖縄が変われば日本が変わる。日本が変わればアジアも変わる。僕はずっと労働運動をやってきたから、自立と連帯、これがあれば絶対に勝てると思っている。
 今、普天間基地即時閉鎖・解放、辺野古移設を何がなんでも阻止する。県内移設を許さない闘いを全国の連帯で闘うしか私たちの未来はないと思う。
(写真 全県下1万人動員で3・5県民大会に臨み、前段の独自集会からデモで登場した自治労沖縄の労働者・家族)

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週刊『前進』(2241号5面5)(2006/04/10)

 『ファルージャ 栄光なき死闘』(早川書房)

 憎むべき侵略の実態 米帝から見たイラク戦争

 初めに断っておくが、この本は良い本ではない。逆だ。この本のコンセプトは、アメリカ軍兵士がいかに英雄的に戦ったかをうたいあげた海兵隊賛歌である。しかし、米帝・米軍がひた隠しにするイラク戦争の真実が描かれている。
 著者ビング・ウェストはレーガン政権下で国防次官補を務め、ベトナム戦争、イラク戦争を描いたノンフィクション作家である。「海兵隊ヘリテージ賞」「コルビー賞」を受賞し、その作品は「海兵隊の司令官が読むべき書籍」に指定されている。
 本書は「アメリカ軍兵士たちの20カ月」と副題にあるように、イラク戦争の最激戦地となったファルージャでの空挺(くうてい)部隊、海兵隊の兵士から司令官までをインタビューして書かれた実録である。アメリカの軍事請負会社の社員4人がファルージャで殺され、ユーフラテス川の架橋にその死体がつるされたことへの怒りから始まる。最後は、海兵隊の司令官の一人が、戦死した部下の遺族に会うため訪問して歩いている姿で終わっている。
 私は、米軍戦死者2千人の6割が路肩爆弾(IED簡易爆弾)によることをこの本で知った。武装勢力は最初は少なかったのに、どんどん増えていると本書は指摘している。
 武装勢力の戦闘は固定陣地の死守ではない。いたる所の家に武器を配置しておき、移動しながらそれを使って攻撃してくる。米兵を倒してもわざととどめを刺さず、救出に来る米兵を有利な地点で待ち伏せしてより大きな打撃を狙う。そこでのやりあいなどは実にリアルに描かれている。
 米軍の同士撃ちがどうして起きたのかの実例も紹介されている。
 ベトナムのようなジャングルに身を隠すこともできない戦士たちが、最新鋭の武器を持つ米軍となぜ戦えるのか。それは人民の海に守られているからだ。そのことが実によくわかる。
 武装勢力を外国から来たムスリム戦闘プロ集団のように言いながら、家から銃を隠し持って出てきた若者を狙撃銃で倒したら、家から老人が出てきて若者の遺体を引きずり込み、庭に穴を掘って埋めた住民親子の姿も紹介されている。
 ビングは、あと数日あれば、04年4月段階でファルージャは陥落したと総括している。アメリカ国内世論や世界の反戦世論にブッシュ政権が動揺し、戦闘を中止したから、敗北の印象を与えてしまったと言う。そして11月に再度攻撃して勝利したと主張する。
 「長引く戦争によって際だったのは、武装勢力の粘り強さ、イラク指導部の無力さ、アメリカ軍上層部の計算違い、そして不屈の精神を持ったアメリカ軍の歩兵たちの姿だった」
 こういう立場から描かれる11月のファルージャ総攻撃の様子には、胸がむかむかしてくる。死を決して市内に立てこもり、最後まで戦い抜く戦士の姿が、私の見たイラクの市街と重なって浮かんでくる。
 ビングは、劣化ウラン弾や白燐弾(イタリアのジャーナリストが報じた映像もある)のことは一言も触れない。米帝が石油を奪うために起こした戦争であることもまったく触れられない。米兵への愛着はあっても、イラク人や武装勢力への同情心などはない。侵略者によって脚色された文書だが、現地取材だけに戦場の真実がにじみ出てくる。
 ビングは、ファルージャで、戦士たちの死体をわざと放置して、野良犬や野鳥に食わせている様子を平気で描いている。こんな戦争のどこに「正義」があるというのか。
 「人間の盾」としての私の任務は終わっていない。イラク侵略戦争の真実を暴き、イラク人民とどこまでも連帯する。敵の本をも自分の武器とするために、この本を紹介した。
 (小野正春)

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週刊『前進』(2241号5面6)(2006/04/10)

新刊紹介 コミューン 5月号

 百万決起の始まり

 アメリカの労働者階級は、既成労組官僚の制動を突破し、続々と闘いに決起している。
 移民労働者を「犯罪者」として弾圧する新入管法に対して、全米各地で数万〜数十万人がデモしている。
 ノースウエスト航空の整備士労組(AMFA)の労働者、全米自動車労組(UAW)の労働者は、倒産攻撃に屈せず闘っている。
 ニューヨーク都市交通労組(TWUローカル100)の労働者は、公務員ストを禁止する州法であるテイラー法の恫喝をはねのけ、執行部の当局への屈服方針を拒否している。
 特集の第1章では、アメリカ帝国主義がその経済的危機を労働者階級を犠牲にしてのりきろうとしている現実から、この闘いを考えていく。
 第2章では、QDR(4年ごとの国防戦略見直し)を軸にして、アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争、世界戦争に向けた絶望的な凶暴化を検討する。
 第3章で、戦時下の愛国主義、排外主義の嵐に立ち向かって闘う労働者階級の姿に迫る。
 翻訳資料1は、イギリス国際婦人デーでのパレスチナ代表の講演である。パレスチナ解放闘争で女性が直面している困難と、それをのりこえて闘っている姿が明らかにされている。
 翻訳資料2は、労働運動内の排外主義への屈服の動きに対する、国際港湾倉庫労働組合(ILWU)の階級的翼からの根底的な批判である。

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週刊『前進』(2241号5面7)(2006/04/10)

 訂正

前号5面の関西のイラク反戦国際行動の記事の中で、「(全日建運輸連帯労組の近畿地方本部)戸田よしひろ委員長」とあるのは、戸田ひさよし委員長の誤りでした。おわびし訂正します。

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週刊『前進』(2241号6面1)(2006/04/10)

 日教組は改憲に加担するのか

 国民投票法案に完全屈服

 日教組「中間報告その2」を批判する

 日教組憲法論議対策委員会は2月、「職場討議資料/憲法論議に関する日教組の基本的考え方(中間報告その2)」を全組合員に配布した。日教組が昨年7月の連合見解(案)にのっとった平和基本法制定方針を初めて掲げた、歴史的な大転向文書である。同報告はさらに、国民投票法案について「06年通常国会での成立を断念させるよう取り組む」と言いつつ、法案そのものには反対しない態度まで打ち出した。日教組本部は3月21日の臨大で「『中間報告その1、その2』をもとに職場討議をすすめる」ことを決定し、憲法改悪とそのための国民投票法制定に全面加担しようとしている。日教組が改憲推進方針に大転向することを許してはならない。今号では、同報告の中の「V『憲法改正のための国民投票法案』と日教組の考え方」を徹底批判する。
(写真 日教組第94回臨大で被処分者の会や労組交流センター教育労働者部会がビラまき【3月21日 日本教育会館前】)

 教育者の改憲反対運動の禁止に沈黙

 一読してはっきりすることは、この中間報告は本気で国民投票法案を絶対阻止する立場に立っていないということである。
 日教組本部の主張は「与党案を中心とする国民投票法案は……06年の『通常国会成立ありき』が先行している拙速そのものの法案と言えます」「十分な国会論議が保障されなければならない」ということに尽きる。つまり、政府与党の国民投票法案が9条改憲の強行のための現実的突破口として、改憲そのものの一環として提出されようとしていることへの絶対反対の立場が百パーセント蒸発しているのである。

 連合1・19見解を忠実に体現

 日教組本部の「中間報告その2」の内容は、1月19日に連合中央執行委員会が確認した「9条を中心とした憲法改正問題について一元的に集約すること、およびそのもとで統一的に対応することは現段階では控える。ただし、憲法を始めとする『国の基本政策』に関わって、具体的な動きが予想されるため、連合として何らかの考え方・対応を明確にする必要のある課題については、さらに検討を深め、三役会あるいは中執においてその都度対応する」「国民投票法案については、早急に、民主党とも協議しながら具体的な対応を図っていく」という方針に沿って、日教組本部も動くという表明である。このことは、同報告の全体が実にはっきり示している。
 まず、Vの1「問題の多い国民投票法案」にある文章である。「問題の多い」と言いながら、問題点について内容的批判をしていない。何より国民投票法案の「公務員および教育者の地位利用による国民投票運動の禁止」については、ストレートに日教組に関わることであるにもかかわらず、まったく触れていない。
 支配階級が「公務員制度改革」の名のもとに公務員労働運動の解体を狙っている今日、この条項が自治労・日教組などの改憲阻止闘争圧殺の武器とされることは明白である。国民投票法案にはさらに新聞・雑誌の虚偽報道等の禁止、不法利用の制限、放送事業者の虚偽報道の禁止など、まさに改憲阻止のあらゆる動きを圧殺する条項がある。
 これについて日教組本部は「現在与野党協議で緩和が検討されています」と言ってすませている。要するに、与党に民主党が迎合し協力して国民投票法案を国会に提出しようとしていることを、きわめて肯定的に評価しているのである。
 しかし民主党は今や基本的に改憲勢力と化している。支配階級の側は、国民投票法案づくりで民主党を「大連立」的状態に引き込み、その勢いで改憲そのものを強行することを狙っているのだ。しかも、国民投票法案は国会の2分の1で可決される。この関係をテコにして与党で強引にことを進め、その力の中で民主党を抱え込んでいく方法もあるのだ。(このパターンは周辺事態法制定の際に実際に行われた)

 「慎重審議」要求して絶対反対を放棄

 このように見てくると、日教組本部が「したがって日教組は、連合をはじめとする労働組合などとの連携対応によって(国民投票法案を)慎重に扱うよう求め、民主党、社民党などに対する働きかけを強化し、当面06年通常国会での成立を断念させるよう取り組むことが必要です」と言っていることは、きわめて重大な問題をはらんでいる。
 要するに、日教組本部は国民投票法案の国会提出と審議の開始にはなんら反対していないのだ。「06年通常国会での成立の断念」とは、継続審議ならかまわないということに通ずる。しかもこの文面を見ると、与党案が国会に提出され、民主党がその中に力で巻き込まれていく姿を想定している。「十分な審議を」と言いながら、事実上国会成立に賛成していくことさえ意図しているようである!

 国民投票法制一般は“絶賛”

 いまひとつ、重大なことがある。「国民投票法制は本来、国の最高法規の在り方について国民が直接的にその是非を判断する機会を持つことを意味するものであり、日本の民主主義熟成にとって重要な意義があります」と、国民投票法制をきわめて意義あるものとしてうたい上げているのだ。
 これは現実の階級的攻防から隔絶された議論だ。日帝ブルジョア政権のもと、自公主導で民主党を巻き込みつつ、現憲法(9条)を破棄して自衛軍を憲法に規定し、戦争のできる国家に変える攻撃が大々的に進行している。この突破口として、改憲に反対する労働運動や言論活動を圧殺して改憲を実行するために、国民投票法の成立が目論まれている。こうした流れの中で日教組本部は“国民投票法制は意義のあるもの”とキャンペーンしているのだ。これは、実質的な国民投票法促進の立場以外の何ものでもない。こんなスタンスで“通常国会での成立を断念させるよう取り組む”と言っても、およそ改憲阻止の立場とは無縁である。

 改憲阻止の主体は労働者

 さらに、憲法改悪や国民投票の問題を、国会と国会議員の問題を基軸にした考え方である。「憲法改正のための国民投票は、国会議員が国の最高法規の変更を政治的に決断し、それを国民に促す行為です。国会議員は自らの信念によって憲法改正という政治的にも重い判断をしたことから、国民投票結果については道義的、政治的責任を負わなければなりません」。
 これは一体何なのだ! 国会議員が主体で、国民は「促される」受動的な存在なのだ。憲法問題も国民投票問題も、労働者階級人民こそが主体であり、その闘いと運動こそが一切を決めるものではないのか。
 大体国民投票の結果に国会議員が責任を負わねばならないとは何だ。改憲とは戦争と専制への国家大改造である。労働者階級が総力をあげた決戦として闘いぬき、勝利しなければならないものだ。“国民投票の結果として改憲となるなら、国会議員の責任だ”などという言葉は、改憲阻止闘争の爆発などまるで考えていないから言えることだ。

 よりよい国民投票法要求の大ペテン

 結論として日教組本部は、“あるべき国民投票法制”について論じている。@改正は各条文または各項目ごとに賛否をとるべきで、一括で賛否をとるものであってはならない、A18歳以上が投票権を持つべき、という二つである。
 これら二つの事項はもちろんきわめて重要な問題である。しかし、「国民投票法制に対する日教組の考え方」の結論でこの二点のみ論じるというのは、きわめておかしなことである。
 与党の国民投票法案に民主党がペテン的な修正で基本的に協力し、今国会で成立を強行しようという、とんでもない事態が現実に進行しているのだ。この法案の核心は、労働者人民の反対運動を極限的に規制し、国論二分状況をつくる余地も与えないということだ。まさに9条改憲のために、クーデター的に国民投票法案が強行成立させられようとしているのだ。
 これに対して日教組本部は連合中央方針に沿って動くことを決め込んでいる。そして“国民投票法は本来必要なものだ。与党の国民投票法案に対しては、民主党が与党と協議してよりよい法案にしていけばいい。その中で日教組も論点を出して国会討論に加わればいい”と言っているのだ。
 これははっきり言えば、国民投票法案の提出を阻止せず、その審議を阻止せず、対案を出して論議していけばいい、という態度にほかならない。これは現実の政治の中では、日教組本部が、日帝・小泉、与党による「国民投票法」の成立に事実上手を貸す協力者となることを意味する。
 日教組本部はこのコースに組合員を引き入れることを狙っている。9条改憲のための「国民投票法案」はそれ自身超反動的反革命的なものであり、そもそものところで現行憲法の考え方・原点などを踏みにじっている。これに対して、“よりよい国民投票法制のために論議しよう”などという態度では、敵階級に吹っ飛ばされる。大衆運動、改憲阻止大闘争をただちに巻き起こすべき時なのだ。

 「教え子を戦場に送るな」貫き

日教組本部の方針は、敵に全面的に協力する行為である。このような国民投票法案の成立に協力していってしまう態度と、9条改憲に対して「平和基本法」による自衛隊承認をもって屈服し改憲に協力していってしまう態度とは、表裏一体をなしている。断じてこれを許してはならない。
 日教組運動の一切の土台は、明治以来の長い侵略戦争と第2次世界大戦の歴史をふまえ、「教師は労働者である」と宣言して「教え子を再び戦場に送るな」を中心スローガンとして闘いぬいてきたところにある。これは日教組という組合にとって、教育をめぐる闘い、権利闘争、経済闘争のすべてを律するものとしてもあった。
 憲法改悪と教育基本法の改悪はまさに、それを許せばもはや日教組は組合として存立していけないものとしてある。学校の教育が天皇制賛美や戦争を鼓吹する内容で塗り固められ、これに抵抗するものは排除されるという時代へと一挙に全面的に突入していく。「日の丸・君が代」の闘いと「つくる会」教科書問題での闘いは、このことをはっきりと突きつけている。
 日教組本部が“国民投票法自体の成立はいいこと”として改憲体制づくりに協力していくことなど、絶対に認めることはできない。この策動を完全にうち破り、教育労働運動の階級的再生の道を切り開こう。

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 憲法論議に関する日教組の基本的考え方(中間報告その2)Vの2
 国民投票法制に対する日教組の考え方

(1) 与党案を中心とする国民投票法案は、現時点では投票行動等の規制措置、改正条項を一括して賛否をとる投票方式の導入、投票行為者の制限など多くの問題を抱えており、国民の意向が十分に反映されるものとは言えません。06年の「通常国会成立ありき」が先行している拙速そのものの法案と言えます。
 したがって日教組は、連合をはじめとする労働組合などとの連携対応によって慎重に扱うよう求め、民主党、社民党などに対する働きかけを強化し、当面06年通常国会での成立を断念させるよう取り組むことが必要です。
(2) 国民投票法制は本来、国の最高法規の在り方について国民が直接的にその是非を判断する機会を持つことを意味するものであり、日本の民主主義熟成にとって重要な意義があります。同時に憲法改正のための国民投票は、国会議員が国の最高法規の変更を政治的に決断し、それを国民に促す行為です。国会議員は自らの信念によって憲法改正という政治的にも重い判断をしたことから、国民投票結果については道義的、政治的な責任を負わなければなりません。
 国民投票法案はこういう重要な意義があるので、国会での十分な審議は勿論のこと国民的な論議が保障されなければなりません。具体的には、国会自らが多くの国民及び各界からの声を聞く機会を積極的に設けることが必要であり、そのため十分な国会論議が保障されなければならないからです。
(3) 国民投票法制は、国民主権の原理から知る権利や表現の自由が保障されるとともに、国民投票法制は国民が制定権者として「在るべき憲法改正」について意見を述べる機会を与えられたものであり、次のことが担保されなければなりません。
@国民の意向が的確に反映される投票方式をA必要な18歳以上の投票行為

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週刊『前進』(2241号6面2)(2006/04/10)

 織田全学連委員長が決意 三里塚現地集会

 弾圧うち破り勝利した

 3・14法大弾圧をうち破って25日に釈放をかちとった織田陽介全学連委員長の、3・26三里塚現地集会での決意表明を紹介します。(編集局)
 昨日、3・14法政大弾圧を打ち破って29人の釈放をかちとりました。完全勝利です。私自身、三里塚への合流を阻止するという敵の意志をぶち破り、中核派の意地で今日の発言のために出てきました。
 大学当局は200人もの警察官を投入して29人を逮捕しましたが、「110番通報して警官が来た」と主張している。ふざけるな! 完全なデッチあげ弾圧です。この弾圧を打ち破って29人は勝利しました。
 何よりも29人は1人も欠けることなく完全黙秘・非転向の思想で闘いました。これは三里塚の豊かな農地で実った思想と団結です。これに恐怖しているのが国家権力です。
 動労千葉の闘いを見てください。「日の丸・君が代」強制を拒否する教育労働者の闘いを見てください。フランスの闘いを見てください。労働者が団結して闘えば絶対に勝てる。
 今この弾圧の目的が完全に明らかになっています。沖縄での3万5千人の闘い、それに続く岩国での4万3千票の反対票。この闘いがあるかぎり、小泉が戦争しようとしてもできません。そして最終的には、弾圧してしか支配することができない。いや、弾圧をしても支配することはできないわけです。労働者の力で文字どおり革命の炎の中に小泉をたたき込もうではありませんか。
 全世界の前に、白日のもとにさらけ出された、労働者階級を弾圧しても支配できなくなった小泉・帝国主義の姿、これをがんがん暴露して、われわれの時代がついに到来したということをはっきりさせよう。帝国主義の打倒と労働者階級の勝利はともに不可避です。
 何よりも今年の夏、三里塚で北延伸の着工が行われることを絶対に許すことができません。われわれはこのことを言わなければならない。三里塚の豊かな土、人間の笑顔、誇り高き闘い、これにまったく似合わないものがここに存在している。それは空港と腐りきった国家権力である。こんなやつはぶっ飛ばす以外にない。ただちにたたき出そうじゃありませんか。
 今年の夏があたかも反対同盟と労働者階級にとってのタイムリミットとしてあるかのように言われている。しかし、タイムリミットが突きつけられているのは私たちではなく、成田空港とこの腐りきった国家権力です。この夏までにこの三里塚から出ていかなかったならば、われわれはこのヘルメットをかぶっている意味をはっきりさせて、断固としてたたき出します。
 小泉政権よ、労働者階級の革命に抵抗するのをあきらめろ。三里塚の地で、われわれの思想と団結で、帝国主義を打倒し、成田空港を廃港に追い込むことを宣言します。ともに闘いましょう。

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週刊『前進』(2241号6面3)(2006/04/10)

世界の労働運動 ドイツ

 地方公務員が2ヵ月スト

 病院医師、金属労働者も

 戦後最長のスト

 ドイツ第2の単産で、地方公務員470万人中240万人を組織する統一サービス産業労組が38・5時間から40時間への週労働時間延長に反対して2月6日以来ストライキを続けている。ドイツの地方公務員労組のストは14年ぶりで、6週間以上のストは第2次大戦後最長だ。
 ストの波はドイツの全16州中12州に広がった。その中で3月1日、ハンブルク州では週40時間労働への年齢に応じた段階的な移行など条件付きで妥結した。3月15日、ニーダー・ザクセン州では週39時間労働で妥結した。しかし、最初にストに入ったバーデン・ビュルテンベルク州では労使交渉が決裂、調停も不調で、ストは8週目に入った。
 地方公務員に続いて3月16日、大学病院・公立病院の医師組合マルブルガー・ブント(2万2千人)が30%賃上げや超過勤務見直しを求めて無期限ストに入った。ストは全国50以上の病院に波及している。
 またドイツ最大の単産、金属労組IGメタル(678万人)も、5%賃上げ・リストラ反対を掲げて、3月28日ライプツィヒのBMW工場を皮切りに29日からフォード、ダイムラークライスラーなど全国の自動車工場が4年ぶりの本格的な時限ストライキに入った。
 ドイツの2大労組のストライキ、フランスの学生・労働者の新規雇用契約制撤回を求める数百万人のスト・デモ、イギリスの公務員労働者150万人のスト(80年ぶりの規模)、アメリカの移民労働者ら数百万人のデモ、そしてイラク―ムスリム人民の民族解放・革命戦争の爆発――全世界で労働者階級人民が帝国主義体制を揺るがす闘いに立ち上がっている。世界史的な革命的情勢の到来だ。

 週40時間労働に

 このストライキは、州政府連合が財政再建のためとして賃金据え置きのまま週労働時間を現在の38・5時間から40時間に延長する制度改定案を提起してきたことに反対して闘われている。州当局は州財政の半分を占める人件費の削減を労働時間延長=人員削減でやろうとしているのだ。
 清掃のほか幼稚園、保育園、公立病院、療養施設、劇場、水泳プール、墓地、道路メンテナンスなどの労働者がストライキに入り、多くの自治体業務が停止し公共施設が閉鎖された。毎日約3万5千人の公務員労働者が街頭デモに出た。
 当局は「1日18分延長するだけだ」と言うが、月に6時間以上、年間78時間もの延長になる。しかもこの延長分はただ働きだ。このような賃下げ、労働条件引き下げ、搾取強化は許せない。また、統一サービス産業労組のブジルスケ委員長が「結果的に公共部門の25万人の職を奪う」と言うように、労働時間延長は雇用の減少をもたらす。
 シュトゥットガルトではゴミ回収が止まり、4週間で1万d以上のゴミがたまった。市当局は3月4日、民間業者を動員してゴミ回収を始めた。組合員がゴミ焼却場への道路を封鎖したため、ゴミ運搬車が600b連なった。警察も動員されたが、労組は封鎖をやめなかった。民間業者の導入にもかかわらずゴミの山はなくならない。
(写真 2月14日、シュトゥットガルトで労働時間延長に反対してデモをする無期限スト中の地方公務員労働者たち)

 長期ストに確信

 3月6日、週40時間労働を譲らない州当局に対して労組側はバーデン・ビュルテンベルク州でのストを拡大し、2万5千人(同州の公務員は20万人)のデモを行った。3月15日からのバーデン・ビュルテンベルク州の調停作業では、キリスト教民主同盟(CDU)の調停人が硬直的に週40時間労働を提案したため、労組側はこれを受け入れられず、ストを続けている。
 マスメディアはスト不支持が増えていると宣伝するが、労働者たちはますます闘いへの確信を深めている。「雇用の削減につながる労働時間の延長は絶対認められない。失業者がたくさんいるからだ」「ストライキ基金が十分にあるからまだまだ闘える」「ストが長引けば長引くほど意志が強固になる」「子どもの親たちがストライキを理解してくれている」「今のところスト疲れはまったくない。要求どおりの結論が出るまで闘う」と意気軒高だ。
 (藤沢明彦)

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週刊『前進』(2241号6面4)(2006/04/10)

日誌'06 3月22日〜28日

 小泉「沿岸案大幅修正せず」

 3自衛隊の統合運用が始動

●「愛国心の涵養」明記 自民、民主両党などの国会議員でつくる超党派議員連盟「教育基本法改正促進委員会」(委員長・亀井郁夫参院議員)は、「愛国心の涵養(かんよう)」や義務教育の充実などを柱に独自の「新教育基本法案」をまとめた。同議連には約380人が参加。(22日)
●防衛施設庁07年度に解体 額賀防衛庁長官は防衛施設庁の談合事件を受け検討していた再発防止策の中間報告をとりまとめ、小泉首相の了承を得た。施設庁を解体して防衛庁に統合することや、防衛庁・自衛隊の業務全般をチェックする観察組織を新たに設けることなどが柱。(24日)
●日米審議官級協議が終了 在日米軍再編をめぐり都内で開かれていた日米審議官級協議は、焦点となっている在沖縄米海兵隊司令部と隊員約8千人のグアム移転に伴う経費負担などについて結論を得られないまま2日間の日程を終えた。(24日)
●沿岸案の微修正で合意ならず 額賀防衛庁長官と島袋吉和名護市長は、米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部移設案をめぐって防衛庁で協議した。長官は沿岸案を基本に微修正案を提示したが、合意には至らなかった。長官は「今後、政府は一切譲歩しない」と伝え、最後通告の形で市側に決断を迫った。(26日)
●佐賀県知事、プルサーマル同意 古川佐賀県知事は、九州電力による玄海原子力発電所(同県玄海町)のプルサーマル計画への同意書を九電の松尾社長に手渡した。玄海町の寺田町長も正式に同意し、玄海原発3号機で、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜた混合酸化物(MOX)燃料にして発電するプルサーマルを国内初実施する手続きが整った。九電は10年度までの実施を目指す。(26日)
●自衛隊が統合運用 自衛隊は1954年の創設以来初めて、陸海空3自衛隊を1人の指揮官が束ねて作戦行動をする統合幕僚監部を置いた。トップの初代統合幕僚長には先崎一統合幕僚会議議長が就任。(27日)
●小泉が中国、韓国を批判 小泉首相は、中国と韓国が首相の靖国神社参拝を理由に首脳会談を拒否していることに対し「一つの意見の違いや対立があるからと首脳会談を行わない国はほかにない。理解できない」と強く批判した。8月15日を含め9月の退任までに参拝するかは「適切に判断する」と述べた。自衛隊のイラク撤退については「時期を申し上げる段階にない」と述べた。(27日)
●「沿岸案の大幅修正には応じない」 小泉首相は、都内で額賀防衛庁長官、自民党の山崎拓安全保障調査会長らと協議し、普天間飛行場の移設問題で、沿岸案の大幅修正には応じない方針を確認した。首相は滑走路の向きを変更するなどの微修正で、名護市と4月中決着を目指すよう指示した。次回の島袋市長との会談でこれが受け入れられない場合、名護市との協議を打ち切る方針を申し合わせた。(28日)
●青森県知事、核燃再処理の試運転開始を受け入れ 青森県の三村申吾知事は、原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す再処理工場(同県六ケ所村)の試運転開始を受け入れると発表した。月末にも試運転が始まる。(28日)
●在日米軍再編の日米協議が延期に ワシントンで30、31日に開く予定だった在日米軍に関する外務・防衛審議官級協議が、米側からの通告で延期された。米政府は表向きの理由を「議会日程」としているが、米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設(沿岸案)をめぐる政府と沖縄県名護市との協議がまとまっていないことなどが本当の理由と思われる。(28日)

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週刊『前進』(2241号7面1)(2006/04/10)

 新入生のみなさんに訴えます 怒れる若者の行動で帝国主義打倒を

 いかに生きどう闘うか

CPE反対を叫ぶ若者 300万人が抗議デモ  初回雇用契約(C P E)反対で学生団体と主要労組がゼネストに突入(フランス)  

 『前進』を初めて手にした新入生のみなさん。いま大学も日本社会も世界も大変な状況になっています。この現代世界をどう認識し、いかに生きどう闘うかが問われています。この問題をみなさんと一緒に考えてみたいと思います。(片瀬涼)

 世界に広がる戦争と貧困化 ■非正規雇用と所得格差が拡大へ

 いまフランスでは、26歳未満の若者を試用期間中の2年間は理由も示さずにいつでも自由に解雇できる初回雇用契約(CPE)をめぐり、大規模な抗議行動が起きています。「2年間もびくびくして働くなんてごめんだ!」――左の写真を見て下さい。怒れるフランスの若者たちが行動に立ち上がっています。

 労働者の現状

 日本はどうでしょうか。「格差社会」という言葉がクローズアップされています。トヨタ自動車の純利益が3年連続で1兆円を突破するなど大手企業が過去最高の利益をあげる一方で労働者の所得は減少の一途をたどっています。いま労働者の4人に1人は年収150万円以下、半分が300万円以下です。80年代前半までは、上位2割の「高所得者」と下位2割の「低所得者」の所得格差は約10倍でしたが、02年には168倍まで拡大しています。労働者の貧困化と格差の拡大が劇的に進行しているのです。小泉政権発足前には1割以下だった貯蓄ゼロ世帯が約24%に急増しています。01年には78万だった生活保護世帯が100万を突破しています。
 健康保険料が払えない人は10人に1人。東京23区では6人に1人です。一人娘の学費を優先し、ガン治療が手遅れになった父親、「病院にかかれない」と書き置きして亡くなった糖尿病の女性――病気になっても病院に行けない人が増えています。東京都の公立の小中学校では、給食費や修学旅行費が払えず就学援助を受ける児童・生徒の数が約25%に達しています。
 貧困化の背景は、賃下げと非正規雇用化です。小泉政権が、人材派遣を自由化するなど、非正規雇用を増やす労働法制の規制緩和を進めた結果、いまや労働者の3人に1人、1600万人余りがパートやアルバイト、派遣社員といった非正規雇用労働者です。大卒者の正社員就職率は6割を切り、若者の半分は、生涯賃金が正規雇用の約4分の1であるフリーターにしかなれないのです。
 成果主義や裁量労働制で20代30代の労働者に過密な長時間労働が拡大しています。01年ごろから働き過ぎによる過労死や自殺が急増しています。経済活動が24時間化し、労働者間の競争があおられ、職場の緊張は高まるばかりです。
 これが2006年の日本の労働者の状態です。小泉首相が「さまざまなひずみはあるが、全般的に歴史始まって以来の豊かな社会だ」と称賛する日本の社会の現実です。怒りなしには語れません。こんな社会は即刻終わりにすべきです。

 イラクの戦争       

 世界に目を転じると、03年3月に米英軍の軍事侵攻によって始まったイラク侵略戦争の開戦から3年が過ぎました。
 ブッシュ米大統領が戦争の理由としたフセイン政権の「大量破壊兵器開発の疑い」「アルカイダとの関係の疑い」はすべて偽情報でした。この戦争でのイラク民間人の犠牲者は少なくとも3万5千人を超えると推計されています。なんの罪もないイラクの人びとが毎日殺されています。米軍はいまだに空爆や掃討作戦を展開し、国際条約で使用が禁止されている白リン爆弾や劣化ウラン弾などの非人道的兵器を公然と使用しています。刑務所では凄惨(せいさん)な拷問・虐待が行われています。
 他方で、戦死した米兵は発表されただけでも2314人、負傷者は1万7千人以上。兵士の多くは、大学進学資金や米国籍を得るために志願した貧しい家庭の若者です。除隊後も深刻な心的外傷後ストレス障害(PTSD)で苦しむ兵士も少なくありません。石油資源の略奪と民族抑圧のための不正義のイラク戦争は、戦場に行った多くの若者の人生を激変させているのです。
 ブッシュ大統領は01年の9・11反米ゲリラ戦の後、「テロとの戦い」では先制攻撃をためらわないというブッシュ・ドクトリンをうち出し、実際にアフガニスタン、イラクに一方的に侵攻し、軍事占領を続けています。そして米軍トランスフォーメーション(変革・再編)によって、侵略戦争を全世界(特にイランや北朝鮮、中国が標的)に拡大しようとしています。
(写真  「アメリカのテロリズムにノーを」 と米軍に抗議するイラクの人びと)

 世界戦争危機

 では、その米社会はどんな状況でしょうか。米国でも最低限の生活ラインに収入が満たない貧困層は3700万人、人口の13%に達しています。貧しさから医療保険に加入できない人は約5千万人もいます。所得格差は日本よりもさらに大きく、米国の企業経営者の報酬は、80年代には労働者の40倍だったのが04年には500倍になっています。
 米国の経常赤字は、前年比20%増で初めて8千億j(約94兆円)を突破し、過去最大を記録しています。財政赤字も4千億j(約47兆円)。世界のGDPの4分の1を占める米国経済は、世界中から天文学的な額の資金(借金!)を集めて、それを浪費(軍事費だけで5千億j)することによって維持されているのです。こんなことは永遠には続きません。米ドルが国際取引の決済に使われる基軸通貨なので、ドルで対外支払いできるためすぐには破産しないとか、日本や中国などが膨大な米国債を購入・保有しているなどの諸要因の結果かろうじて成り立っているだけなのです。
 これほど著しく貧富の差が拡大し、経済が不安定で危機的な状況は1929年の世界大恐慌以来です。このとき、持たざる帝国主義である日本やナチス・ドイツは、世界戦争の放火者になりました。現在、唯一の超大国であり、帝国主義の盟主である米国が空前の危機に直面し、その没落を阻止するために、イラク侵略戦争を泥沼化させながら、全世界を戦争にたたきこもうとしています。世界は、再び、第2次大戦を超える世界戦争の爆発に向かって進んでいるのです。

 社会変革の主力は労働者だ ■もはや資本主義には未来がない

 今日の資本主義は一見すると、科学技術が高度に発達し、巨大な生産力が発展して、永遠に続くかのように多くの人に思われています。しかし、その実態はどうでしょうか。
 最近の大企業の腐敗ぶりを思い出して下さい。ちょうど1年前にJR尼崎事故が起きました。JR西日本は、私鉄との競争に勝つために、無理なスピードアップを行い、そのダイヤを維持するために運転士にむちゃな回復運転を強要した結果、107人の尊い生命が失われる事故が起きました。交通機関として一番大切な「安全」を無視していたのです。
 JR東日本では01年以来、約8千人の労働者がリストラされ、人件費850億円、修繕費約330億が削られました。この5年間の利益増1152億円の大半がリストラと安全投資の削減から出ているのです。安全に直結するメンテナンス部門が下請けになり、車両や線路の検査の期間が大幅に延長されています。その一方で無謀なスピードアップが行われ、損傷したレールが放置されています。その結果、レールが破断する恐るべき事態が頻発しています。
 ほかにも雪印乳業食中毒事件やそごう破綻(はたん)と乱脈経営、三菱自動車のクレーム隠し、耐震偽装建築事件、日本航空のトラブル続発……。例をあげればきりがありません。
 労働者の現実はどうでしょうか。この社会を成立させる根本的土台である生産=労働を行う労働者は、この社会では資本家に雇われる限りでしか生きることができません。しかも、資本家や企業が金もうけできる限りでしか労働にありつけないのです。労働者の生活と生存は、資本家がもうかるかどうかによって無慈悲に左右されるのです。
 資本主義のもとで労働者は、他の商品と同じように扱われています。こういう労働者の現実に対して、労働者階級は資本主義の勃興(ぼっこう)期以来、資本や国家の弾圧をうち破って、団結権やストライキ権、8時間労働制など、さまざまな権利や法律を獲得してきたのです。しかし、小泉を始め政財界の連中は、そうした労働者階級が獲得してきた権利や資本への規制をすべて廃止して、労働者を極限的にこき使って、無制限に搾取できる社会にしようとしているのです。
 その結果、21世紀の世界は、かつてないほど失業者が満ちあふれています。ILO(国際労働機関)の調査では1日2j以下で暮らしている人が地球上の全人口の半分を占めています。「先進国」と呼ばれる米日欧でも貧困層が激増しています。もはや資本主義のもとでは大半の労働者が生きられないのです。
 資本主義的な生産が発展すればするほど、労働者はますます貧しく、労働は苦しく、意味のないものに感じられるのです。労働は、労働者にとって苦役・奴隷労働となり、ますますその社会的、人間的意味が感じられなくなります。
 資本主義における生産諸力の発展はきわめて一面的です。社会や社会的生産が一握りの資本家・企業の営利のためだけに存在する転倒した社会なのです。大多数の労働者にとっては、生活を豊かにし、人間性を発展させるものではなく、もはや破壊力としてしか作用しないのです。その結果、生産力という本来社会的な力が社会に対する破壊力となり、鋭い社会的対立と緊張を生みだすのです。
 『共産党宣言』でマルクスは「巨大な生産手段と交通手段を魔法のように呼びだした近代ブルジョア社会は、自分で地の底から呼びだした魔物をもはや制御できなくなった魔法使いに似ている」と書いています。
 資本主義の一面的な発展が破壊力として爆発する究極の矛盾が恐慌と戦争です。かつて一握りの帝国主義列強は、その独占的な地位を守るために世界の再分割をかけて2度の世界戦争を引き起こしました。21世紀にまで生き延びた資本主義=帝国主義は、その歴史を再びくり返そうとしているのです。

 変革が必要だ

 労働者は生きるためには闘わなくてはなりません。私たち労働者階級の生活条件は、資本主義社会のもとでは、ことごとく破壊されています。労働者は、資本の営利のために商品や奴隷のように扱われ、人間の尊厳を踏みにじられ、人間性を奪われています。こうしてしか成り立たない資本主義社会のあり方を根本から変革しない限り労働者の解放はないのです。もはや資本主義社会は、賃金奴隷であり、資本にとって搾取材料である労働者の生存さえ保障できない社会になっています。資本家の存在は、もはや社会と相入れないのです。資本主義社会は、一個の社会として存続しえなくなっているのです。
 この資本主義の基本矛盾は、修正や改良、慈善事業では何も解決しません。現在の資本主義社会は限界を持った体制であり、資本主義の発展そのものが資本主義それ自身の持つ矛盾と危機を激成し、爆発させるのです。資本主義には未来はないのです。このような資本主義を根本から打倒することが必要です。
 労働者階級は救済の対象ではなく、この社会を変革できる力を持った存在です。社会の根本的土台をなす社会的な活動=労働を担う労働者階級によってのみ、この資本主義社会は変革できるのです。すみずみに至るまで社会を実際に動かしているのは労働者なのです。労働者階級こそがこの社会の真の主人公なのです。労働者階級が本当に団結したとき、資本家階級による労働者の支配は成り立たないし、団結した労働者の力によってこそ、腐敗し、行き詰まった資本主義社会を根本から変革できるのです。

 ストライキで

 この原稿を書いている間も、フランス全土でストライキが起きています。国立84大学のうち約60校、パリの110高校のうち4割が閉鎖か授業不能になっています。街頭デモには300万人が参加。36時間ストに突入した仏国鉄では、日本の新幹線にあたるTGVが3本に2本、在来線特急が約4割、郊外線が約半数運休しました。パリの地下鉄も半分がストップ、航空機も管制官やエールフランス労組のストで3分の1が運休しました。教員のストで学校の授業はなくなり、郵便、電話、銀行、電力・ガス会社など幅広い業種の労働者がストに参加し、国の機能全体がストップしています。1968年の「パリ5月革命」の再来を予言する声もあがり始めました。
 労働者は1人で闘うことはできません。1人で闘っても大抵は「君の代わりはいくらでもいる」とクビになるだけです。労働者はただ共同してのみ資本家階級に対抗できるのです。今回のフランスのように労働者が団結して闘ったとき、初めて事態は変わるのです。ストライキこそ、この資本主義社会を揺るがし、社会の本当の主人は資本家ではなく、労働者階級だということを思い出させます。
 全世界で労働者階級は生きるための闘争に立ち上がっています。労働者階級こそが資本主義社会を変革できる根拠は、まさに実際に起きている労働者階級の闘いにあります。フランスと同じ日にイギリスでも1926年以来という規模の24時間ゼネストが起きています。イラクでは侵略軍である米英軍に対して若者が武器を持って命がけで戦っています。労働者階級はこうした闘いをつうじて、誰がこの社会を実際に動かしているかを自覚し、社会を変革する力を形成していくのです。

 学生こそ階級闘争の先頭に ■現代世界を揺るがす若者の反乱

 闘えば勝てる

 いま大学は大変な状況にあります。立て看板もビラの禁止され、言論・表現も、学問の自由もままならない時代に入っています。
 法政大学では3月14日、改憲に反対する看板やビラの規制をめぐって、大学当局が200人もの私服警官隊を導入し、その場にいた全学連の学生ら29人全員を逮捕する政治弾圧に手を染めました。これが現在の大学の真の姿です。もはや言論・表現の自由も大学の自治も投げ捨て、国家や大学に逆らう人間を全部警察に売り渡すのです。
 しかし、この前代未聞の政治弾圧に驚き、怒った多くの学生や労働者が救援に立ち、大学近くの駅前では連日、多くの人が釈放を求めてビラを配りました。その声は全国に広がり、大学に抗議が殺到。総長の独裁と言論弾圧に対して法大の教授からも怒りの抗議が発せられ、学生団体は抗議文を突きつけました。
 東京地裁で行われた勾留理由開示公判では、弁護士の鋭い追及に裁判官は勾留理由をまともに答えられず、最後は、逮捕された学生と傍聴者が法廷内で握手を交わし、肩をたたき合いました。裁判官はまったく制止することができませんでした。虚構が完全に暴かれ、国家権力の権威と支配が崩れ去ったのです。
 こうして29人は釈放されました。闘えば勝てるのです。闘うことによって初めて、言論・表現の自由もあるのです。
 大学はいま、国家や企業のためにひたすら働く「有用な人材」を養成するキャリア形成や専門能力を育成する場に変質しています。「学生は商品」と公言し、企業の金もうけのために利用し、役に立たなければ切り捨てるのです。この現実を食い破って、大学を社会変革の砦(とりで)に変えなければなりません。
(写真 立て看板禁止に抗議する法大生。この直後、200人の警官が突入し全員を逮捕した【3月14日】)

 その先は破局

 日本の政財界(=資本家階級)は、労働者を犠牲にして、労働者の生き血を吸って生き残ろうとしています。社会保障や福祉を切り捨て、大増税を狙う一方で、銀行や大企業の救済のためには何十兆円もの金を湯水のごとく使っています。その先に待つのは破局です。小泉政権の5年間で国の借金は約540兆円から約800兆円へと260兆円も増えています。毎月5兆円増えているのです。いつ国家破産してもおかしくない。もうこの社会は、彼らのもとでは成り立たないのです。
 政治的にも経済的にも未曽有(みぞう)の危機に陥る中で、日本の政財界、反動勢力がその「出口」を反動と戦争に求めています。
 日米両政府は、米軍再編と日米同盟の変革をとおして、朝鮮半島や台湾海峡で米軍と自衛隊が共同作戦を展開できる体制を形成しようとしています。そのために太平洋からインド洋、中東をカバーする米陸軍第1軍団の司令部をキャンプ座間(神奈川県)に移転し、この司令部を頂点に米軍と自衛隊を融合・一体化させようとしています。
 これと並んで、戦争放棄と戦力不保持を定めた現行憲法を変える動きが強まっています。日本経団連が「わが国の基本問題を考える」と題する報告書を発表し、9条改憲を声高に主張しています。自民党は昨年10月、新憲法草案を発表。9条を変え、自衛隊の国軍化と集団的自衛権の行使、国民への「国防の責務」を要求しています。国会では改憲のための国民投票法案が提出されようとしています。憲法問題が日本の政治の最大の焦点になりつつあります。
 改憲と戦争の道をひた走るいまの政治にノーを突きつけよう。労働者を犠牲にし、戦争するしかない体制は打倒しよう。いま学生や青年労働者が行動に立ち上がれば、戦争を止め、社会を変えることができるのです。

 ベトナム反戦

 かつてベトナム戦争で米国は、最大56万の兵士と核兵器以外のあらゆる兵器を投じても勝利できず、撤退を強いられました。
 アメリカが敗北した理由は、ベトナムの人びとが武器を持って戦い、侵略に粘り強く抵抗したからです。そして、米国内で広範な反戦運動が起き、多くの若者が徴兵を拒否、米軍兵士の脱走が相次ぎ、前線でも抗命・サボタージュが頻発したからです。黒人解放や女性解放の運動がベトナム反戦闘争と結びつき、大学キャンパスでも反戦運動が大高揚しました。
 日本でも、日米安保によって沖縄から米軍がベトナムに出撃していく現実に対して、何万、何十万人の学生・青年労働者が全学連や反戦青年委員会に結集して命がけで闘いました。フランスでも5月革命と呼ばれる闘いが起きました。
 再び世界では、若者を先頭に労働者が資本主義に異議を申し立て、資本主義を揺るがす闘いを始めています。ベトナム反戦闘争以来の若者の反乱の時代が来ているのです。
 日本でも、教育労働者が「教え子を戦場に送るな」をスローガンに、どんな処分も恐れず「日の丸・君が代」強制に抗して、卒業式で不起立で闘っています。動労千葉というJRの運転士の労働組合は、労働者と安全を守るためにストライキで闘っています。労働者の闘いの復権が確実に始まっています。
 沖縄では名護市辺野古の海上基地建設が600日に及ぶ座り込みと海上での抵抗闘争でついに阻止されました。空母艦載機の移駐受け入れの賛否を問う岩国市の住民投票は反対9割で国策にノーを突きつけています。基地と安保に反対する住民・労働者の闘いが日本各地で盛り上がっています。
 いまこそ学生や青年労働者が社会の根本的変革−帝国主義打倒の革命のために積極的役割を果たすときです。改憲阻止のゼネストへともに闘いましょう。

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週刊『前進』(2241号7面2)(2006/04/10)

 陸海空港湾労組20団体 改憲反対で集会

 “労組の枠越え闘おう”

 東京・九段の千代田公会堂で3月25日午後、陸海空港湾労組20団体の主催する「憲法と私たちの安全を考えるつどい」が開かれ、750人の労働者・市民が参加した(写真)。集会は、99年の日米新ガイドライン・周辺事態法反対の闘い以来、有事立法とその発動に対する闘いを展開してきた20労組が、憲法改悪に対する労働組合のナショナルセンターを越えた闘いを呼びかけて開催したもの。
 司会は海員組合教宣部長の藤丸徹さん。主催者あいさつに立った航空安全会議の大野則行議長は、「日本国憲法を変えて戦争できる国にしようという動きが活発になってきている」と警鐘を鳴らし、「労働組合が働く者の立場で発言しなくてはならない」と行動を開始することを訴えた。
 評論家の佐高信さんが「憲法をめぐる特権と人権」、弁護士の坂本修さんが「自民党改憲案とはなにか」と題して、それぞれ講演を行った。佐高さんは、国鉄から東証まで、民営化がいかに害をなしているかを説き、「憲法は人権によって特権を制約する」ことを強調した。
 坂本さんは、国民投票法案が提出されようとしている「のっぴきならない」状況の中で、20労組が枠を越えて闘いを呼びかけていることに敬意を表した。そして、9条改憲とともに前文に「愛国心」が盛り込まれることについて、「人を殺す国を愛することを憲法に書かれたらどうなるか」とその重大さを指摘した。
 連帯のあいさつでは、平和フォーラムの福山真劫事務局長が発言した。
 労働組合からの発言として、新聞労連、全建総連、全気象、国労の4人が登壇した。
 有事法制によって真っ先に戦争に動員される20労組が改憲阻止に立ち上がったことは重要だ。ともに闘おう。

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週刊『前進』(2241号8面1)(2006/04/10)

団結ひろば 投稿コーナー

 完黙・非転向で法大弾圧を粉砕しました 東北地方 被弾圧者一同

 全国の闘う仲間のみなさん! われわれ全学連29名は、3月14日の法政大学におけるデッチあげ治安弾圧を完全に粉砕し、25日に釈放をかちとりました! これは、被弾圧者当該、家族、党、そして全国の労働者階級人民の総力でかちとったものであり、高らかに大勝利を謳歌しましょう。ご支援、本当にありがとうございました! 特に、温かい檄文と『前進』、そして動労千葉のストライキ闘争と「日の丸・君が代」強制拒否の闘い、フランスの学生・高校生の闘いに本当に勇気づけられました。
 この攻防の最先頭で闘い抜いた私たち東北地方の学生6名から、勝利の報告をします。
 今回の弾圧は何よりも、改憲阻止闘争をたたきつぶすためのブルジョアジーの階級意思であり、さらには全学連・マル学同、革命的共産主義運動が戦時型の組織壊滅攻撃を粉砕して日本階級闘争を発展させられるかどうかの試練でした。であるからこそ、当該29名の原則的な完黙・非転向の闘いを基礎にして、勾留延長すら許さずに日本帝国主義・警視庁のもくろみを打ち破ったことはとてつもない意義があると思います。06年冒頭に、われわれは弾圧を粉砕して日帝ブルジョアジーへの挑戦権をもぎり取ったのです!
 公安刑事どもの取り調べは実に許し難いものでした。親や家族をちらつかせての恫喝、「人間のクズ」「最低人間だ」などの罵倒、長時間の取り調べ、「ほかのやつはしゃべっているぞ」というデマ、党と労働者の闘いをおとしめての転向強要。とりわけ、完全黙秘の闘いを「どうせ上の人間に指示されているだけなんだろう!」「おまえはロボット、操り人形だ」などと口汚くののしっている姿にこそ、支配階級の本質がさらけ出されていました。民衆が自主的・主体的・自発的に決起して国家権力と対峙・対決する姿、これをやつらは認められない、認めたくもないという徹底した大衆蔑視に貫かれているということです。何という貧困な人民観!
 今回、起訴できなかったのみならず、プロレタリア革命と改憲粉砕の決意を固めた若い学生共産主義者を全国的に大量に産み出してしまった。この点において日本帝国主義は根本的に敗北しました。
 われわれ全学連は織田執行部のもとに団結し、4〜5月新歓決戦をキャンパスにおいて爆発させ、全国学生改憲爆砕ゼネストに向かって驀進していく決意です。追い詰められているのは小泉だ、絶対に倒せる! ともに闘いましょう!

 3・14完全勝利。全学ストへ第一歩を開く 無所属学生 S

 3・14で私は不当逮捕された。この過程で多くの方々のデモ・抗議文・ビラ配り・カンパなど迅速で圧倒的な救援・支援にこの上ない感謝をしています。ありがとうございました。
 さて、今回の勝利の要因は、大学当局・警察の支配と不当性を暴露したことと、大衆・学生の圧倒的な決起・賛同によって成された。勝利は、階級的な力関係で決まり、我々の最大の武器は、団結・抗議・扇動にあると確信した。
 他方、今回の歴史的弾圧は改憲攻撃の激しさと大学の階級矛盾を露呈し、人民の階級的決起を示した。だからこそ、我々が目指す全学ストは不可避であり、絶対成功させなければならない。改憲問題を政治闘争・学内闘争へと怒りの爆発に転化し、大衆・人民との連帯と共闘を深めなければならない。
 この弾圧粉砕の過程で、人民と戦闘的活動家との距離間はグッと近づいている。この機会に、改憲の重大性・闘争の必要性をわかりやすく人々の心をつかむため扇動、ビラ、機関紙、新歓企画を具体的に改良していこう。弾圧の実態・闘う労組をガンガン宣伝し、「抗議・闘争にこそ必ず勝利がある」と広めよう。
 私の大学では、大学当局に「今回の不当弾圧に対してどうするのか」「大学全体が改憲阻止ゼネストをしよう」と団交で訴えていきたい。全国の学生の皆さん、改憲阻止ゼネストに向かい闘いを築きましょう。

 星野奪還闘争の心棒を見落とすことなく 女性労働者 岡川美咲

 2月20日付号の星野文昭さんの奪還を訴える論文を読みました。以前、星野さんの新証拠に踏み込んで詳しく書かれたものとは論点がかわって、筆者の野田さんは、私たち現場の労働者も星野さんを取り戻すために総決起するよう訴えられているように感じました。
 「沖縄の中心で闘う人びとが星野闘争の担い手であるのはけっして偶然ではない。星野奪還闘争の心棒こそ沖縄闘争なのだ」と書かれていました。
 星野さんの闘いは沖縄の闘いと固く一体の闘い。今も獄中で闘っているところがスゴイです。そういう獄中の星野さんを支えているのは、沖縄闘争を闘ってきた信念なのだ、と思いました。星野さんは”沖縄闘争を獄中闘争として貫いている””獄中闘争は自分にとって沖縄闘争であり、革命闘争なんだ”というふうに獄中から発信しているのですね。
 そこを見落としてはいけない。そこがなかったら、獄外が見落としたら、救われるだけの存在になったら、星野さんも「闘え」なくなる。
 「星野奪還は、労働者自己解放を根底で支える心棒」とも書かれていました。11・14渋谷暴動自身が、労働者階級の闘いでした。「労働者!」として決起した永田さんには、普遍性があります。
 また星野さんを取り戻す運動には、党派をも超えて「自分も『星野』になっていたかもしれない」というものが、今もあります。そんなことを感じました。

 民営化・規制緩和と対決し春闘スト貫徹 動労水戸 S

 3月17日、私たち動労水戸は、動労千葉、動労総連合の仲間とともにストライキを打ちぬきました。昨年の尼崎事故や、その他、重大事故の多発は、20年たったJRの安全体制が破綻(はたん)し、国鉄分割・民営化のさまざまな矛盾が激化している事態と見るべきです。
 こうした中、今回のストライキは、結成20年を迎える動労水戸が、原点に立ち返り、JR当局とJR総連−革マルが結託し、やりたい放題、合理化をやってきたJR体制に怒りと自信をもって反撃に出たストライキでした。
 当日の情況を説明しますと、日勤者・乗務員(対象23名)はおおむね正午をもって、各職場でストライキを通告し、整然と突入しました。組合員は水戸運輸区に集合し、抗議行動をやり、その後、水戸支社抗議行動、街宣、そして総決起集会と、ハードなスケジュールでしたが、やりぬきました。
 当日”追い風”かも知れませんが、強風のため常磐線のダイヤは終日大混乱に陥りました。これまで数々のストを経験しましたが、おそらくこんなことは初めてだったと思います。
 乗務員で当日14時スト突入予定だったが、電車が6時間近くも遅れてしまい、総決起集会が終わり、打ち上げ(飲み会)で盛り上がっている時、ようやく到着し、合流した仲間もいました。本人談「まさかストの日にこんなことになるとは思わなかったよ!」という発言に一同大笑いしました。
 この日まったく許せない事が起こりました。スト当日の朝、2名の仲間に対し、強制配転の事前通知を当局は発令してきた! しかもこの2名は当日スト対象者である。私はこの事態にJR当局の錯乱した姿を見たし「おまえらつぶすぞ!」という新たな敵の宣戦布告であると確信します。
 しかし、この不当労働行為そのものの攻撃は私たちの怒りの火に油をふりそそぐだけだということを、これからの闘いでJR当局にわからせてやる決意です。

 「私も立ちません」と都立高で女性の先生 東京 常木新一

 少し緊張した面持ちで登校してきたその先生は、「これだけは譲れない!」という労組交流センターのビラと、「あなたにも私にも、立たない、歌わない自由があります」とある都教委包囲ネットのビラを受け取ったあと、私たちに「きょうは私も立ちません」と明るく告げて校内に入って行きました。
 その高校は最初のビラ撒きの時から先生が、そして生徒が明るくのびのびしている印象を持ちました。居丈高な校長や副校長のクレームもなく、誰が管理職かもしばらくわからない程でした。先生たちはみな「ごくろうさま」とあいさつをしてビラを受け取り、ビラを読みながら校内に入って行きます。
 分会の役員の方は「不起立者が出れば分会で守る」と語っていましたが、組合の力を感じました。卒業式が近付くにつれて分会の役員と会うことも難しくなりましたが、たとえ会えなくとも、現場の教育労働者が心血そそいで書き上げた一枚一枚のビラの思いは必ず伝わるはずだと信じていました。その先生は「私も立ちません」という言葉で教育労働者同士の団結を伝えたかったのだと思います。
 半休をとった労働者を始めその場にいた4人全員大喜びでした。かけつけて下さった弁護士さんも喜んでいました。彼女らに対する不当処分を許さず闘いぬく決意を新たにしました。

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週刊『前進』(2241号8面2)(2006/04/10)

 共謀罪阻止へ決戦の時

 ターゲットは労働運動だ

 政府・法務省は、2月14日に共謀罪の修正協議を野党に提案、3月中に衆議院通過を図る強硬方針を明らかにしてきた。昨年6月の審議開始以来、思想・表現・団結権解体を狙った共謀罪に怒りの声が集中し、審議再開・採決強行を狙った攻撃が3月段階でも押しとどめられている。だが、小泉政権は、連休前の共謀罪成立を狙っている。決戦の時が来た。全力で粉砕しなければならない。

 入管法改悪、参院で阻止を

 今国会は、戦時下の階級闘争の圧殺を狙った攻撃がかけられ、その一つひとつが重大な攻防になっている。改憲に道を開く国民投票法案、天皇制・軍国主義教育に道を開く教育基本法改悪、公務員削減・賃下げを狙う行政改革推進法案、医療制度改革法案などである。
 共謀罪法案に対する反撃にたじろいだ政府・与党は入管法改悪攻撃を仕掛け、3月29日に衆院法務委員会で可決、30日に衆院を通過させた。さらに4月冒頭、「代用監獄法案」の強行突破を狙っている。共謀罪だけでなく、今国会で政府が成立を予定している法案だけでも、少年への警察取り調べ拡大と重罰化を狙う少年法改悪案、公務執行妨害罪の適用拡大を狙う刑法改悪案、さらに部落民の糾弾権剥奪(はくだつ)と在日朝鮮人・中国人の権利剥奪を狙う人権擁護法案、警察官の職質強制を狙う警職法改悪案など、労働者の権利と市民的権利を侵害する攻撃が続いている。

 指紋の復活とテロリスト認定

 とりわけ、3月30日に衆院を通過した入管法改悪案を満腔(まんこう)の怒りをもって弾劾し、参議院で廃案にする闘いを訴える。
 特別永住者を除く16歳以上の入国者からの110指の指紋採取と顔写真提供の義務化で生体情報を採取する。それをデータベースとして保存し在留管理や犯罪捜査に使用。さらに法務大臣がテロリストと認定したものを強制退去させる。しかもテロリスト規定が「テロ行為」「準備行為」「その幇助(ほうじょ)行為」として限りなくあいまいで法務大臣の意のままに退去強制ができるというものである。
 在日朝鮮人・中国人の永続的な闘いによって99年に撤廃した指紋押捺(おうなつ)制度を復活させるだけでなく、全世界の労働者人民を治安管理の対象とし、国際主義的連帯に大きなくさびを打とうとするものだ。これは、01年9・11反米ゲリラ以降にアメリカの「愛国者法」に沿って日本でも作られた〈テロ防止行動計画〉の本格的発動に向かうとんでもないものだ。
 4月1日から日本人のパスポートもIC化され、顔写真情報がデジタル化されるようになり、治安当局による個人情報の収集がさらに進む。これまで四つの情報を入れて出発した改悪住民基本台帳法と住基台帳カードにはすでに100を超える情報が埋め込まれ、それを国家(警察・入管・税務署など)だけが使うことができるようになっている。こうした超治安管理社会化は一層進む。これに、日常的監視が加わる。
 日本全国で500万台を超えると言われる監視ビデオや、自動車ナンバー捕捉装置であるNシステムなどに加えて、4月から地下鉄霞ケ関駅でカメラによる顔認証システムの実験が始まる。カメラに入ってきた通行人の顔を警察のデータベースに照合させて人物を特定していくものだ。「尾行・張り込み」の膨大なハイテク化である。入管法改悪と併せて、超治安管理・監視社会をつくろうという攻撃だ。
 政府答弁は今度の入管法改悪を「テロ対策元年」としているが、さらに日本版「愛国者法」の第2段が準備され、今後次々と攻撃がかけられようとしている。
 このあと「代用監獄法案」の審議が予定され、4月中旬からの攻防となる。これは、警察の留置場を「代用監獄」として法制化し、冤罪・デッチあげの温床を容認しようという法案だ。この審議の後に共謀罪法案が強行されようとしている。連休前の4月20日過ぎが最大の決戦となった。

 共謀罪は「予防反革命」立法

 共謀罪は古くから労働運動弾圧に使われてきたが、労働者階級が資本家階級との長期にわたる闘いで団結権・団体交渉権・争議権などの諸権利をかちとっていく中で、日本では戦後革命と日本国憲法の施行・労働諸法の成立以後、使われることが少なくなってきた。
 今、小泉・奥田路線のもとで戦争と民営化・労組破壊の大攻撃が労働者階級人民に襲いかかっている。有事法体制確立、国民投票法・改憲への突進。それと一体となった、労働者に対する首切り・リストラ、賃下げ、労働条件の切り下げ、雇用破壊、労働法制の解体、労働組合破壊の進行の中で、労働現場は百年前のような資本の専制支配におかれつつある。貧富の差は拡大し、過労死、過労自殺、職業病が増大している。
 政府は、共謀罪の成立は国際的な責任だと主張する。しかし、治安関係の法案導入にはきわめて熱心だが、人権関係の国際条約は締結をしない。例えばILOの基本条約である8時間労働制の条約は批准しない。日本政府は人権条約にはことごとく反対して、「日本は人権小国」と世界中から批判されている。
 日帝はこうした攻撃と同時に、根っからの反共主義者・高木剛(UIゼンセン同盟出身)を連合の会長に据えた。しかし、4大産別を軸に、連合の翼賛勢力化攻撃を打ち破って、労働者の反乱が公然と開始され、拡大・爆発の様相を日一日と深めている。その事前鎮圧・予防反革命を狙って共謀罪成立に躍起となっている。

 労組に適用される5つのケース

 日本労働弁護団が03年7月9日に発表した「共謀罪新設についての意見」で、労働組合等は、その活動内容を執行委員会、三役会議、共闘会議等において集団的討議を経て決定し実行するものであるから、団体性と組織性という共謀罪の構成要件を常に満たしているとして、次の五つのケースをあげて、どのような共謀罪が適用されるかを示している。
 @要求に誠実に対応するまで団交を継続すると決議した場合。逮捕監禁罪(刑法220条、組織犯罪法3条1項2号)の共謀
 A親会社、持株会社や取引先、金融機関等に要請行動を行い面会を求めることを決議した場合。強要罪(組織犯罪3条1項5号、刑法223条)の共謀
 B労働組合や争議団がビラまきや街頭宣伝を行うことを決定した場合。信用毀損や業務妨害罪(組織犯罪法3条1項7号、刑法233条)の共謀
 C退職金の上積みや解決金支払いを要求することを決定した場合。恐喝罪(刑法249条、組織犯罪法3条1項10号)の共謀
 D賃金・退職金等の労働債権を支払わず企業が倒産した場合に、会社資産の散逸を防ぐために一時的に組合の管理下に置くことを決議した場合。威力業務妨害罪(組織犯罪法3条1項8号、刑法234条)
 また全日建運輸連帯関西生コン支部に対して背任罪を使った弾圧が行われている。とりわけ現場・実力で闘う労組や争議組合には、現在共謀罪の対象犯罪とされていない名誉毀損罪が使われ、部屋の賃貸契約に関連して詐欺罪が最近使われている。また広範な不当捜索などで名簿などが重点的に押収されている。
 最近の事例では、立て看板・ビラまき禁止に反対の声を上げた29人の学生が法大で逮捕されたが、即座の大衆的反撃で全員の不起訴・釈放をかちとった。ところで共謀罪はシュプレヒコールの段階での逮捕と全員の起訴を可能にするものなのである。絶対に許してはならない。
 予防反革命立法=共謀罪を断固廃案にしよう。

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週刊『前進』(2241号8面3)(2006/04/10)

 六ヶ所再処理工場 稼働強行弾劾する

 4・9反核燃全国集会へ

 小泉政権・三村青森県知事・日本原燃は、3月31日、青森県地元住民の必死の反対の声を踏みにじって、六ケ所再処理工場のアクティブ試験(実際の使用済み核燃料を使った最終試験で本格稼働そのもの)をついに開始した。この暴挙を絶対に許さない。
 放射能がぎっしり詰まった使用済み核燃料をばらばらにしてプルトニウムを取り出す再処理は、恐るべき被曝(ひばく)の危険に周辺住民をさらす。原発1年分以上の放射能を六ケ所再処理工場はたった1日で放出する。プルトニウムやウラン、クリプトン、トリチウムなどが放水管から海へ、煙突から大気中へと垂れ流され、呼吸や飲食で体内に取り込まれる。イギリスのセラフィールド再処理工場操業で、驚くほど広範囲の放射能海域汚染が確認されている。日本原燃の「安全」宣伝は大うそだ。農業・漁業・環境・生活・生命破壊の再処理稼働をただちにやめよ!
 この再処理稼働と一体で、原発で燃料としてプルトニウムを燃やす危険きわまりないプルサーマル計画推進の攻撃が一斉にかけられている。もんじゅ事故での高速増殖炉頓挫、使用済み核燃料の原発内貯蔵飽和状態、青森・岩手・佐賀などでの反対運動の高揚…。核燃サイクル崩壊の危機に直面し、日帝は再処理稼働―プルサーマルへと暴力的推進に踏み切った。核兵器の材料であるプルトニウムを生産する核燃サイクルは、日帝独自の核武装政策の根幹をなす。日米枢軸のもとで北朝鮮・中国、アジア・世界への侵略戦争に突き進む日帝の六ケ所再処理工場=核燃サイクルの稼働を、アジア・世界人民は最大の危機感と警戒心をもって見ている。
 「被曝と核武装」の六ケ所再処理工場稼働に労働者階級人民の巨大な怒りをたたきつけ、「核燃白紙撤回」をかちとろう。青森での「4・9反核燃の日!全国集会」に総結集しよう。

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週刊『前進』(2241号8面4)(2006/04/10)

 獄中16年 倉持嘉之同志が出獄

 3月24日、90年決戦武蔵野爆取デッチあげ弾圧と74年1・24対カクマル戦弾圧を完全黙秘・非転向で不屈に闘いぬいた倉持嘉之同志を、ついに闘いの戦列に奪還した。
(写真 横浜刑務所から出獄した倉持同志を囲み感動の再会を喜ぶ【3月24日】)

 午前8時前、倉持同志はさわやかな表情で横浜刑務所の正門に登場した。迎えの同志たちの大きな拍手の中、花束が手渡され、握手が交わされた。たくましくなった倉持同志の姿がそこにあった。
 同日夜、横浜市内で奪還歓迎会が開催された。32年間という長期の分断を打ち破った感動的な再会であった。74年1月24日の横浜国立大学における対カクマル戦争−指名手配下の17年間の闘い、加えて爆取デッチあげ弾圧などでの16年間の獄中闘争、実に32年。倉持同志の戦闘性に満ちた出獄奪還のこの日、完全勝利を刻印した。
 この1・24カクマル完全せん滅の戦闘は、「1・24精神」として対カクマル戦勝利の行方を照らした金字塔であった。特筆すべきことは1・24戦闘の戦士は、倉持同志が横浜水道という最強の労働者細胞から20歳で決起したことに示されるように、全逓・電機・造船・金属らの若き労働者によって担われたことである。
 さらに重大なことは、星野文昭同志が三里塚闘争での指名手配の中で71年安保・沖縄決戦に決起したのと同じく、倉持同志は指名手配中にもかかわらず、階級闘争の最先端の90年天皇決戦に決起し、爆取デッチあげ弾圧と闘い、16年の長期獄中闘争に勝利したことである。
 90年11月の不当逮捕では、倉持同志は再逮捕・再々逮捕という不当弾圧を受け、実に86日間もの取り調べが続いた。戦後の弾圧史上空前というべき過酷な弾圧を完全に粉砕したのだ。
 倉持同志は出獄後、「革共同の存在と闘いが、何よりも自分の勝利と一体であった」「星野同志を獄中に残してきたことを悔やんでいる。必ず、奪還しよう」という感動的で厳格な第一声を発した。
 集まった国鉄を始め各産別の労働者同志、長期獄中闘争を闘いぬいた同志、横国大出身の同志などが次々と歓迎の言葉を述べた。「直接の面識はなかったが、1・24戦闘を知り、倉持同志に続こうと決意して横浜国立大学に入学しました」という鎌田雅志元全学連委員長(85年決戦で獄中16年)の発言は階級闘争の原理にとって象徴的であった。すべての発言が、不当弾圧が新たな革命家を生み出し、闘いの部署や時代を隔てても同志的な熱いきずなを強めることを鮮明に示していた。
 全参加者は倉持同志とともに新指導路線の爆発的な前進と星野同志奪還を固く誓い合った。

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週刊『前進』(2241号8面5)(2006/04/10)

 今、あなたに 星野文昭さんについて 伝えます。

 

「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」からパンフ『今、あなたに星野文昭さんについて伝えます。1946−1971−2006』が発行された。
 星野文昭同志の幼いころからの人となり、ご家族の紹介などから始まり、1971年11月14日沖縄闘争になぜ決起したのか、国家権力の弾圧と裁判経過、再審を実現するためのアピール、獄中処遇の闘いなどが、写真や図で非常にわかりやすく記されている。星野同志やその闘いについてまったく知らない人が関心を持てる内容だ。
 すべての同志、『前進』読者の皆さん! この星野パンフを購入し、このパンフを持って、街頭、職場、学園、地域であらゆる人びとに星野再審署名を呼びかけよう。無実の星野文昭同志の再審開始−無罪・奪還をかちとろう!

◎B5判2色刷12n 1冊100円(送料別) 10冊以上は単価75円
★申込先=星野さんをとりもどそう!全国再審連絡会議(東京都港区新橋2-8-16石田ビル4階)

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週刊『前進』(2241号8面6)(2006/04/10)

 訂正

2239号4面解同全国連第15回大会の写真説明に「『狭山差別裁判うちくだこう』の歌に乗って」、1日目の記事に「『狭山差別裁判うちくだこう』を全体で歌う中」とあるのは、ともに「解放歌」の誤りでした。おわびし、訂正します。

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