ZENSHIN 2006/08/07(No2257 p06)

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第2257号の目次

三里塚 農業委の不当判断に反撃。 市東さん「農地死守」を宣言(7月24日)

1面の画像
(1面)
4大産別が改憲阻止と戦争協力拒否の先頭に
8月広島・長崎反戦闘争から 11月総決起へ進撃しよう
8・15小泉靖国参拝阻止を
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三里塚 農業委の不当判断に反撃
市東さん「農地死守」を宣言(7月24日)
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(2面)
無罪獲得・国鉄闘争勝利へ  弁護側立証を迎える5・27裁判
「政治解決」路線うち砕き労働運動の再生開く闘い
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再発防止研修 “今年も勝ちきったぞ”
被処分者先頭に都教委圧倒(7月21日)
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藤田裁判 控訴審へ決起集会
“闘いの輪広げ行動へ”(投稿・A)(7月15日)
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帝国主義の侵略戦争と闘うための大カンパを 記事を読む  
8・6広島へ  広教組有志がキャラバン(広島・K) 記事を読む  
(3面)
館山運転区、木更津支区の廃止許すな
動労千葉が“夏の陣”へ  7・20集会 幕張不当処分阻止へ熱気(7月20日)
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8・15 中野ZERO小ホールで集会  韓国からは民主労総が 記事を読む  
都の行財政改革実行プログラム 4千人削減計画粉砕を
バス運転手だけ10%賃下げ(7月13日)
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〈焦点〉 A級戦犯合祀と天皇発言メモ  天皇の戦争責任封印狙う 記事を読む  
〈焦点〉 日本がOECD「貧困率」2位  小泉改革で格差と窮乏化 記事を読む  
自治体労働者は改憲・民営化と闘う  (3)横浜・中田市政の行政改革
競争あおり労働者分断  怒り充満し激突はこれから(吉村潤一)
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(4面)
三里塚北延伸 「耕作権解除」攻撃粉砕へ
革共同からの緊急声明
堂本知事と農業会議は農地強奪申請を却下せよ
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ヒロシマ・ナガサキから改憲阻止決戦の火柱を
被爆61年被青同のアピール
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共謀罪 臨時国会で永久廃案に
7・21 共同行動が決起集会(7月21日)
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2006年日誌 7月19日〜25日
イスラエルがレバノン侵略  靖国参拝中止の「天皇メモ」
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(5面)
ともに帝国主義打倒の革命を
マル学同に総結集し改憲阻止ゼネストへ  中核派から全国学生に訴える
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米帝とイスラエル軍による レバノン侵略戦争許すな 記事を読む  
労働者は医療を奪われる
3割負担で医者にかかれない  〈投稿〉 関西・「障害者」 高見元博
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(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
 『ルポ解雇』島本さんを招き地域で講演会 北大阪労組交流センター 桑原 晶
 街頭署名の時に必ず『前進』購読勧めよう 東京 前島進一
 川崎で『正義なき国』出版を祝う会を開催 神奈川 野田利一
 8・6広島に向けてイラク医師迎え集会 岡山市 本原太郎
 米海軍イージス艦の境港入港を許すな! 山陰 鳥山 雪
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婦人の団結で5万人建設へ 全国連が婦人部大会
部落差別への怒りを力に(7月22、23日)
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狭山再審 要請行動を再開  高検は担当検事が出席(7月13日) 記事を読む  
紹介 『共産主義者』149号
「党の革命」徹底推進へ 榊原論文  「靖国思想」を批判する 柏木論文
記事を読む  

週刊『前進』(2257号1面1)(2006/08/07)

 4大産別が改憲阻止と戦争協力拒否の先頭に

 8月広島・長崎反戦闘争から 11月総決起へ進撃しよう

 8・15小泉靖国参拝阻止を

 中東と北朝鮮をめぐる帝国主義の侵略戦争の情勢が切迫し、今年の8・6広島、8・9長崎の反戦反核闘争、8・15小泉靖国参拝阻止闘争はきわめて重要になってきている。この闘いを勝利的に闘いぬいて改憲阻止決戦を本格的に爆発させよう。この闘いの成否を決めるのは、教育労働者、自治体労働者、全逓労働者、国鉄労働者の4大産別の闘いを軸にした労働者階級の闘いである。民主党と連合による日本労働運動総体の改憲勢力化のたくらみをはね返し、闘う労働運動の再生をかちとろう。動労千葉労働運動から学び、動労千葉のような闘いを全国に広げ、4大産別決戦の勝利を切り開こう。国際連帯の闘いを強め、11月労働者総決起に向かって進撃しよう。

 戦争と改憲攻撃に8月大反撃を

 帝国主義の体制的危機の深まりの中で、米日帝のイラク侵略戦争の継続・拡大、世界戦争危機が切迫している。
 北朝鮮スターリン主義によるミサイル発射を「好機到来」ととらえ国連安保理「7章決議」を狙った日本帝国主義の政治的軍事的突出は、かつてないものだった。日帝が米帝と軍事的に一体化し、北朝鮮・中国に対する侵略戦争への構えを本格的に示した、歴史的事態である。北朝鮮の「脅威」が誇大に宣伝されたが、現実に北朝鮮・中国侵略戦争を射程に入れて、米軍再編(トランスフォーメーション)を遂行しているのは米・日帝国主義の側である。
 同時に、中東では、米帝のイラク侵略戦争の泥沼化の中で、一方ではアフガニスタンにおける戦闘が再び激化し、他方ではイスラエル軍によるガザ地区への侵攻と空爆の強化と併行し、「ヒズボラ壊滅」を掲げてレバノンに対する空爆と地上軍侵攻が拡大している。
 イラクで追い詰められる米帝は「テロリスト壊滅」を掲げてイスラエルを全面援助している。米欧帝国主義間の矛盾は広がり、シリア、イランをも巻き込んだ中東全体に広がる大戦争に発展しようとしているのだ。
 この中で日帝・小泉も体制破産の危機を深め、イラク侵略戦争への参戦をエスカレートさせる一方、米軍再編によって自衛隊を米軍と一体化させた侵略軍隊に転換させようとしている。
 これらの攻撃は、日帝支配階級に憲法改悪、とりわけ9条2項(戦力不保持・交戦権否認)の撤廃を待ったなしに要求するものとなっている。
 9月末からの臨時国会は、共謀罪、教基法改悪、国民投票法案などをめぐる大攻防となる。杉浦法相は共謀罪を「臨時国会が始まったらすぐ採決」と公言している。改憲阻止闘争そのものとして国会闘争を構えよう。
 自民党総裁選で本命視されている安倍晋三は、小泉以上の対北朝鮮強硬論者であり、靖国参拝派であり、「つくる会」派である。いよいよ日帝が改憲を正面テーマにして襲いかかろうとしている。全力で対決しよう。
 8・6広島、8・9長崎反戦反核闘争は、世界戦争危機が深まり、現実に中東で侵略戦争が火を噴き、また北朝鮮侵略戦争の危機が深まっているもとで、また日帝の改憲・教基法改悪攻撃が激化しているもとでの決定的な闘いだ。教育労働者を先頭に、また青年労働者を先頭に、2度と戦争を繰り返さない闘いとして全力で成功させよう。
 また、小泉が「今度こそ(公約どおり)8月15日に参拝する」という「執念」で靖国神社に参拝しようとしている策動を全力で粉砕しよう。昭和天皇のA級戦犯合祀に対する「不快感」の発言メモが示すように、靖国神社は戦後の日帝と天皇制にとって矛盾の塊であり、最大の弱点だ。靖国闘争を改憲阻止闘争の一環として、闘いぬこう。

 6千万労働者の怒りは必ず爆発

 日帝が今、進めている9条改憲攻撃に対して、必ず6000万労働者階級の怒りは爆発する。労働者の怒りと危機感は広がり深まっている。
 憲法9条は戦後革命とその敗北の所産だが、同時に戦後の階級闘争の中で、労働者の血と汗によって死守されてきたものでもある。いわば労働者階級が命がけで守ってきたこの憲法9条を絶対に変えさせないために、今こそ総決起する時なのだ。これはきわめて階級的で大衆的な闘いだ。
 4大産別決戦はこの改憲阻止決戦と一体のものだ。また、朝鮮侵略戦争の攻撃に対する戦争協力拒否の闘いと一体の闘いである。日帝は、国家の基幹を担う公務員や教育労働者が労働組合的団結をもって政府と対決するようなことは今後の戦争情勢の中では許されないとして、今や4大産別の労働運動を壊滅させようとしてきている。
 それは『文芸春秋』昨年12月号での森元首相発言に象徴されている。森は郵政民営化も全逓対策であり、日教組と自治労が「つぶれたら、民主党は大きく変化」すると語り、民営化攻撃で労組を破壊し、改憲の道を掃き清めようとしていることを隠そうともしていない。中曽根が国鉄分割・民営化を「国労をつぶし、総評・社会党をつぶそうと意識してやった」と自慢しているのに森も唱和しているのだ。
 小泉=奥田(日本経団連前会長)路線として進められてきた戦争・改憲、民営化・労組破壊の攻撃は、小泉・奥田後も踏襲される。それ以外に日本帝国主義として道がないからだ。
 ところが、敵の4大産別労働運動壊滅攻撃に対して、労組既成指導部は驚くべき屈服ぶりだ。
 国労本部は、7月27、28日の定期全国大会に向け政治解決・和解路線をむき出しにしている。これは日帝権力ブルジョアジーの国鉄闘争解体、動労千葉解体の意を体した大裏切りだ。国労本部は日帝権力、JR資本の先兵となって闘争団切り捨てと1047名闘争の圧殺に踏み出している。
 これに対しては、今こそ動労千葉の反合・運転保安闘争のように職場から資本と闘いぬくことが1047名の解雇撤回闘争に勝利する道だ。
 また、国労本部は、戦争協力拒否の姿勢も表明せず、「国民保護業務計画」に対し「実施にあたっては本人の同意を得ること」と確認するだけで、有事法制のJRでの実施に対して全面屈服している。
 公安警察と一体化し、組合員を逮捕・起訴させ1年以上の未決勾留を強いた国労本部を弾劾する「コクロウ・エイト」の闘い=5・27国労臨大闘争弾圧粉砕闘争を先頭に、国労本部打倒、国労再生の闘いを進めよう。
 全逓では、集配拠点の再編大合理化に対する組合員の怒りが高まっている。郵政民営化阻止の闘いはまさにこれからだ。
 JPU(全逓)本部は、6月の大会議案から改憲反対を意図的に外した。民営化後もスト権を始め労働者としての権利を制限し続ける攻撃に対してもまったく反対していない。これは改憲勢力化への転落の表明だ。これを打ち破って闘おう。
 教育労働者は「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを教育基本法改悪阻止・改憲阻止の闘いに結合して闘いぬこう。「日の丸・君が代」不起立の闘いは、動労千葉と同様、職場からの不服従闘争であり、最も鋭い戦争協力拒否の闘いだ。この闘いを、「愛国心」を子どもに植え付ける教育への転換攻撃である教基法改悪に対する闘いと結びつけ、より広範な教育労働者の決起にしていくならば、巨大な階級的反撃に発展する。特に政府案より反動的な民主党教基法改悪案は、連合の最弱点だ。「政府案も民主党案も絶対反対」の闘いで連合路線をぶっ飛ばし、勝利を開こう。
 8月自治労大会に向かって、闘う自治体労働者の闘いを強めよう。「骨太方針Y」の公務員人員削減・賃下げ・民営化との闘いと戦争・改憲に反対する闘いを結合して闘おう。「9条改悪反対」の職場からの署名運動がすでに各地で成功裏に始まっている。自治体労働者が改憲阻止の先頭に立とう。
 これら4大産別の闘いすべてに共通しているのは、改憲攻撃に屈服するのかどうか、労働組合の改憲勢力化を許すのかどうかが問われていることである。4大産別の労働者の下からの決起が勝負を決めるのだ。

 動労千葉の闘いに勝利の展望が

 ここで4大産別決戦を闘いぬく上で、動労千葉の存在と闘いの大きさ、動労千葉労働運動の意義を強く確認したい。
 70年安保・沖縄決戦以来、そして79年の動労からの分離・独立以来、三里塚ジェット燃料貨車輸送阻止闘争から、85年国鉄分割・民営化攻撃とストライキをもって真っ向から対決して闘いぬき、かちぬいてきた動労千葉の中に、労働者階級の自己解放闘争の勝利の道が示されている。労働者が団結を固めて原則的に闘えば、資本と権力に対して勝てるのだということを教えている。それは今春の闘いが示している。
 日本共産党も社民党も、労働者は勝てないという思想だ。動労千葉は労働者は勝てるという革命の思想を持って闘ってきた。日本の労働運動の主流派、6000万労働者階級を牽引(けんいん)する迫力をもって闘っている。
 今春の動労千葉の闘いに全世界から寄せられているメッセージが、海外から動労千葉の大きさを教えている。国際階級闘争に比肩する闘いが日本においてすでにあるのだ。動労千葉の闘いは、日米韓の労働者の闘いを結び、国際労働運動に希望の光を照らしている。
 今こそ、4大産別の闘いは、動労千葉に学び、職場闘争を基礎にした階級的団結をかちとり、日帝の改憲勢力化の攻撃をはね返し、今秋11月へ向け改憲阻止の大運動を切り開こう。
(写真 組織破壊攻撃粉砕へ動労千葉が集会 拠点職場統廃合に怒りと闘いの決意【7月20日 DC会館)=記事3面

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週刊『前進』(2257号1面2)(2006/08/07)

 三里塚 農業委の不当判断に反撃

 市東さん「農地死守」を宣言

 成田市農業委員会は7月24日の総会で、三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さんが耕作する天神峰の農地を、暫定滑走路の誘導路の用地に転用することを「相当」とする判断を示した。成田空港会社(NAA)の「耕作をやめ土地を置いて出ていけ」という言い分を認めたのだ。
(4面に革共同の声明)
 本来は「農業を守り耕作者の権利を保護する」(農地法)立場にある農業委員会が、その職務に背いたのである。市東さんはこの場で「私は絶対に農地を手放さない」との戦闘宣言を発し、反対同盟と全国の仲間とともに闘い抜く決意を明らかにした。
 NAAは7月3日、暫定滑走路北延伸攻撃の一環として、空港用地に食い込んで誘導路を「への字」に曲げている市東さんの畑に対し、「耕作権解除申請」を農業委員会に提出した。これを受けて同委は19日にわずか1分の現地視察を行い、24日当日午前の小委員会に市東さんを呼んで1時間の「事情聴取」、午後の総会で「転用相当」を決定、千葉県知事および県農業会議への送付を強行した。
 同委の決定には「双方は合意買収を目指すべき」との小委員会の付帯意見が付けられた。これは「極めて異例」(各紙の報道)とされる。市東さんや事務局次長の萩原進さん(代理人)の小委員会での渾身(こんしん)の陳述とその正当性が、各委員の動揺を引き出した結果である。
 しかし問題の本質は日帝・国交省の反対同盟つぶしと農民殺しである。
(写真 市東孝雄さんを先頭に「農地強奪許さぬ!」【7月23日 成田市】)

 “日本農民の名において”

 反対同盟は23、24の両日、農業委員会のある成田市役所へ向けて緊急闘争とデモを行った。24日当日は緊急動員で駆けつけた65人が終日闘いぬいた。デモ到着地の栗山公園は三里塚実力闘争の原点「成田市営グラウンド」があった場所だ。北原鉱治事務局長がマイクを握り、「農民の生きる権利を奪う北延伸攻撃を許さない」と市民に訴えた。
 午後2時から開かれた総会で、市は「傍聴は10人まで」と不当な人数制限を行ったが、それを打ち破って反対同盟と支援者は会場に入り、内外で呼応して闘った。
 総会終了後、反対同盟は記者会見を行い、空港公団(後のNAA)が88年に元の地主2人から土地を買収しながら15年間も耕作者である市東東市さん(当時)とその息子の孝雄さんにひた隠しにし、地代も何くわぬ顔で旧地主が受け取ってきたこと(詐欺罪!)など、「耕作権解除」の違法性とデタラメを明らかにした。萩原さんは「小泉政権の農業切り捨てを許さず、日本農民の名において全面的に争う」と述べ、市東さんは「絶対に農地を渡さない」と強い口調で決意を述べた。
 8月11日に開かれる千葉県農業会議が攻防の焦点となった。ここに結集し、堂本知事と農業会議による農民殺しへの加担を絶対に阻止しよう。
 反対同盟が「申請却下の要請」を千葉県庁に送る緊急行動を訴えている。この呼びかけにこたえ、「農地強奪に手を貸すな」の声を全国から集中しよう。
 〒260―8667/千葉県中央区市場町1―1/FAX043―202―7320/堂本暁子千葉県知事・農業会議宛

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週刊『前進』(2257号2面1)(2006/08/07)

 無罪獲得・国鉄闘争勝利へ

 弁護側立証を迎える5・27裁判

 「政治解決」路線うち砕き労働運動の再生開く闘い

 国労5・27臨大闘争弾圧裁判は、8月からいよいよ弁護側の立証に入る。国鉄闘争が今また大きな岐路に立たされる中で、この弾圧を打ち破る闘いは、国鉄闘争の行方を左右する位置にある。ひいてはそれは、日本労働運動の階級的再生と、改憲阻止闘争の成否を決する闘いだ。何としても被告の無罪をかちとり、国鉄闘争に勝利しよう。

 「5・27臨大直前情勢」に回帰

 7月12日、日比谷グリーンサロンで開かれた『奴隷の道を拒否せよ!―5・27事件と国鉄闘争』の出版記念パーティーは、5・27臨大闘争弾圧との闘いの持つ意味をあらためて明白にした。被告の無罪を訴えて同書の執筆に加わった「国労5・27弾圧を許さない会」の発起人・呼びかけ人は、この闘いの中に国労再生―日本労働運動の階級的再生にとどまらず、改憲阻止闘争の展望をも見出している。
 それは、まさにこの闘いが国鉄闘争の命運を握っているとともに、この弾圧には労働基本権の根幹にかかわる問題がはらまれているからだ。
 許さない会の発起人・呼びかけ人の多くは、昨年の7・15国鉄集会や今年の2・16国鉄集会の呼びかけ人とも重なっている。これらの人びとは、4党合意以来の国鉄闘争の混迷を突き破るために、鉄建公団訴訟を軸とした1047名全体の統一に心血を注いできた。
 そうした努力が、被解雇者当該の勝利を求める必死の思いと結びついて、今年の2・16国鉄集会を機に「被解雇者10 47名連絡会」が結成された。それは、被解雇者1047名が、闘いの主体として立ち現れる条件をようやく手にしたことを意味している。

 闘いを否定し「解決」を哀願

 ところが国労本部は、早くもこれに背を向けて、「政治解決」の名による1047名闘争の圧殺へと再び走り始めた。
 それは、国労本部の唱える「政治解決」が、組合員の闘いを根本から否定し、政府やJRに「解決」を哀願するものでしかないからだ。
 国鉄1047名闘争は被解雇者の解雇撤回・J R復帰を求める闘いだ。それはJR資本と対決してこそ勝利できる。
 ところが、国労本部はますますJRに屈従を深め、佐藤勝雄委員長名でJR東日本社長の清野智宛に「わび状」を差し出すまでに至っている。
 鉄建公団訴訟原告団や国鉄闘争共闘会議が取り組んだ鉄道運輸機構などへの要求行動を国土交通省からとがめられた国労本部は、こうした恥ずべき行動に出ることで、権力と資本に泣きついたのだ。これと呼応して、チャレンジグループも、鉄建公団訴訟原告団をけたたましく非難し始めた。
 これこそ「政治解決」路線の末路にほかならない。政府・JRに「政治解決」を哀願する限り、結局は相手の言いなりになって国鉄闘争を自ら解体することにしかならないのだ。
 こうした経過が示しているのは、国家権力とJ R資本が国労本部に”鉄建公団訴訟原告団を抑え込め”と指示を出し、国労本部はそうした不当な介入をやすやすと受け入れたということだ。
 こうした事態の進展は、5・27臨大直前の情勢と酷似している。02年4月、自民党らは与党3党声明で「鉄建公団訴訟原告を除名しろ」と国労本部に迫り、これを受け入れた国労本部は、鉄建公団訴訟原告を統制処分手続きにかけるため5・27臨大を強行した。そして、これに反対してビラまき・説得活動に立った国労組合員ら8人を公安警察に売り渡したのだ。
 今、あらためて5・27 臨大闘争弾圧とは何なのかが問われている。この弾圧を打ち砕く闘いは、「政治解決」路線を打ち破り、1047名闘争勝利の方針を打ち立てることと一体なのである。
 5・27臨大闘争弾圧は、国労内部の対立に警察・検察が直接介入し、戦前来の労働運動弾圧法である「暴力行為等処罰法」を適用したという点でも、また弾圧に国労幹部が公然と加担したという点でも、戦後労働運動に例を見ない異様な事態だ。その異様さは、国鉄労働運動を何としても解体しようとする強烈な国家意思と、これを拒みぬいた闘争団員ら闘う国労組合員の決起が、真正面から激突したことによってもたらされた。これは労働者の団結権の根本にかかわる問題だ。
 国鉄分割・民営化とそれに伴う1047名の解雇によって、国鉄労働運動を壊滅に追い込もうとした国家権力の不当労働行為意思は、刑事弾圧という最も凶悪な形をとって今も貫かれている。こうした現実を直視する限り、国家権力に頼った「政治解決」などあり得ないことは明白だ。
 弾圧にさらされた被告たちは、国鉄闘争の保塁を守り、日々、妥協のない闘いを貫いている。ここに国鉄闘争勝利の展望がある。

 資本と闘う組合に再生を!

 国鉄闘争勝利の道は、職場からの闘いを貫き、JR資本と真っ向から対決する闘う労働組合へと国労を再生することによって切り開かれる。
 こうした闘いを果敢に実践しているのが動労千葉だ。動労千葉は、尼崎事故以降、2回にわたる安全運転闘争や春闘ストを闘いぬき、安全の危機を進行させたJR体制と真正面から激突している。さらに、4月6日に発生した幕張車両センター構内事故を口実とする組合員への重処分策動を、全組合員の固い団結と職場からの闘いによって阻みぬいている。
 こうした闘いこそ、J R資本を追いつめ、10 47名の解雇撤回・JR復帰の道筋をもこじ開けるのだ。
 動労千葉は、「104 7名の解雇撤回」を掲げ、連年の春闘ストライキを闘いぬいてきた。争議団が闘いの先頭に立つとともに、JR組合員が自らの闘いとして鉄路を武器に解雇撤回闘争を貫いている。
 この動労千葉と連帯して資本と闘う労働組合に国労をよみがえらせる根底的な力を、5・27臨大闘争弾圧との闘いは持っている。

 国労こそ改憲阻止の先頭に

 国労の階級的再生はまさに急務となっている。
 改憲攻撃が激しく進むさなかにあって、国家権力は国労本部の「政治解決」路線を絶好の導水路に、国労を改憲翼賛勢力へと一挙に転向させようと策している。
 国鉄分割・民営化に際して、当時の首相・中曽根康弘は、「行政改革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と言った。だが、国鉄1047名闘争の不屈の貫徹は、改憲攻撃のストレートな貫徹を今日に至るまで阻んできた。
 しかし今、支配階級は北朝鮮のミサイル発射実験をも絶好の口実に戦争と改憲の衝動を強めている。そのために、闘う労働運動の結集軸となってきた国鉄闘争を根絶すると決断したのだ。
 JR各社は今年3月、「武力攻撃事態法」と「国民保護法」に基づく「国民保護業務計画」を策定した。そこには、戦時における住民の避難輸送や緊急物資輸送を行うことが定められている。
 ところが東日本エリア本部などは、JRの「国民保護業務計画」に真っ向から反対せず、「計画の運用に当たっては本人の同意を得ること」を確認しているだけだ。一切を「本人まかせ」とし、戦争動員と排外主義の嵐の中に組合員をたたき込もうとしているのだ。
 これと軌を一にして、国労西日本エリア本部はJR連合・西労組と一体となって「イラク鉄道復興人道支援会議」を3月に再開した。尼崎事故後、一時中断していた同会議を再開した西日本エリアの革同は、有事体制の先兵となることを資本と国家に誓ったのだ。
 改憲阻止の成否は、労働組合を再生させ、現場組合員の手に取り戻す闘いにかかっている。連合中央が改憲容認にかじを切る中で、日教組や自治労、全逓(JPU)では、「平和基本法制定要求」などの形で事実上の改憲推進方針を打ち出した本部に対し、現場組合員が怒りを燃やして立ち向かっている。
 改憲・戦争との闘いは、日常的な職場攻防を貫くことによってのみ、実践的に貫徹できる。
 動労千葉は「鉄道を戦争のために使わせるわけにはいかない。われわれは戦争の加担者になることを拒否する。労働者の団結した闘いこそが戦争を止める力だ」という戦争協力拒否宣言を発し、有事体制との闘いに立ち上がっている。
 これに続き、国労こそが改憲阻止決戦の先頭に立つべきだ。その血路をこじ開けるものこそ、5・27臨大闘争弾圧との闘いにほかならない。
 8月からの弁護側立証で弾圧の不当性と被告の正当性をさらに徹底的に明らかにし、無罪獲得へ闘いを進めよう。そこに国労と国鉄闘争、日本労働運動再生の道がある。

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週刊『前進』(2257号2面2)(2006/08/07)

 再発防止研修 “今年も勝ちきったぞ”

 被処分者先頭に都教委圧倒

 「反省すべきは石原だ! 不当な研修をやめろ!」――7月21日、都教委による「再発防止研修」の会場前では、雨の中、大きなシュプレヒコールがたたきつけられた。研修の対象とされたのは、今春卒・入学式における「君が代」斉唱時の不起立・伴奏拒否などで懲戒処分を受けた教育労働者のうち、退職者を除く35人。誇りも高く不起立を貫いた被処分者に「再発防止」の名で反省を促すという、まったく許しがたいものだ。
(写真 「日の丸・君が代」強制への怒りに燃え、拍手で被処分を激励。被処分者の闘いは再発防止研修を圧倒した【7月21日 水道橋】)
 研修は文京区の東京都教職員研修センターで、午前・午後の2回に分けて行われた。9時半、都高教や東京教組の組合員を始め約150人とともに、被処分者が会場前に登場した。まず入り口にいる都教委職員に対して被処分者の会の申し入れへの回答を求めたが、都教委職員は口をつぐみ何も言わない。「処分を撤回しろ! 『日の丸・君が代』強制反対!」とシュプレヒコールを繰り返す中で、被処分者は堂々と入場した。
 研修が始まると、被処分者は議事に関する「質問」を皮切りに都教委を厳しく追及した。さらに講義の中で「上司の職務命令が違憲・違法かどうかの解釈は個々の公務員は行うことができない」という言葉が飛び出すと、”こんな横暴は許せない!”と抗議の声をたたきつけた。講義後に書く「受講報告書」では、全員が自らの行為の正しさを堂々と書き記した。
 停職処分を受けた女性労働者2人は、全体から分けた「別室」で研修が強制された。昨年の研修では被処分者が都教委を完全に圧倒する闘いが爆発したため、その再現を恐れて分断したのだ。
 午後2時からの研修でも、被処分者らが都教委を厳しく追及し、「受講報告書」は不当な研修に対する批判で埋まった。
 研修を受けた労働者にはみな、「今年も勝ちきったぞ!」という勝利感があふれていた。会場から出てきた瞬間、満面の笑みを見せた女性労働者や、緊張した面持ちで「これから都高教大会に駆けつけます」と足早に去っていく人もいた。

 都高教大会で修正案を可決

 同日行われた都高教の定期大会では、被処分者の参加を妨害する都教委の思惑をうち破って、被処分者が断固闘った。「都教委による『日の丸・君が代』不当処分、『再発防止研修』の強行に強く抗議し、組合運動への『妨害』『弾圧』を断固許さない緊急特別決議」や、「『日の丸・君が代』の強制に反対し、不当処分撤回・裁判勝利をかちとろう」というスローガンの修正を始め、被処分者が提案した特別決議案や修正案が続々と可決されたのである。闘う都高教再生へ向けた決定的な勝利である。
 03年「10・23都教委通達」以来3年目の再発防止研修に対する闘いは、石原や都教委がどんな弾圧をしようと、もはや「日の丸・君が代」闘争はけっして押しとどめられないことを示した。
 今春、減給・停職の処分を受けた14人には、今回の「基本研修」に加えて9月に「再発防止研修・専門研修」が行われる。再度駆けつけ、被処分者とともに闘おう。

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週刊『前進』(2257号2面3)(2006/08/07)

 藤田裁判 控訴審へ決起集会

 “闘いの輪広げ行動へ”

 7月15日、「板橋高校君が代刑事弾圧事件に崇高な使命を忘れた地裁は『政治判断』で罰金刑!?不当判決抗議!控訴審勝利決起集会」が板橋グリーンホールで開かれた。
 経過報告では、板橋高校元教員の藤田勝久さんに対する不当判決を日本の各紙がトップで報道しただけでなく、「日本は生徒たちのランドセルに旗をたてるかもしれない」と皮肉ったロサンゼルス・タイムズを始め、海外のメディアも大きく取り上げたことが紹介された。そして、「なぜ注目されるのか」と、この判決が10・23通達直後の卒業式で生徒の9割もが着席し、「日の丸・君が代」強制の急先鋒の土屋都議が「立て」と怒号しても応じる者もないという大敗北に都教委も驚き、見せしめに藤田さんを有罪にした不当なものであることを明らかにした。
 また「この裁判が続く限り土屋のみっともない行動と、板橋高校の生徒たちの主体的で誇りある行動は世の中に伝えられる」と、控訴審は都教委の恫喝の愚かさを訴え、裁判所に憲法と人権の重みを突きつける反転攻勢の闘いであることが力強く語られた。
 弁護団は判決の問題点として、事実認定は副校長の偽証に全面依拠したものであること、校長に反対すること自体を「威力」に該当するとし、裁判で積み上げてきた「威力」に対する判断と評価を大きく逸脱していること、表現の自由、憲法認識が欠如していることなどを指摘した。そして、「一審は審理進行について協力してきたことがあったが、二審は遠慮しないで憲法判断にまで持ち込む」と控訴審に向けての決意が表明された。
 ジャーナリストの鎌田慧さんは「言論が『威力妨害』に、体制にとっての異論が『妨害』として罰せられる時代になっている」と、藤田さんへの刑事弾圧はじめこの間のビラまき弾圧を厳しく批判した。そして「まだまだ十分頑張っている闘争がある。三里塚の成田空港は40年たっても計画が完成しないばかりか計画を変えようとしている」と三里塚暫定滑走路の破たんを紹介した。「運動がつぶれているように見えながら抵抗のおき火が燃えようとしている。統一した闘いをやることが課題だ」と訴えた。
 立川ビラ弾圧被告の発言の後、「日の丸・君が代」被処分者、被解雇者から不当判決への憤りや「法廷だけで勝つことは難しい。裁判を運動として勝っていこう」と共に闘う決意が語られた。
 最後に藤田さんが、無罪を求める署名提出時に「裁判に圧力をかけるのか」「法廷で傍聴人がおっかない顔をしている」と言った村瀬裁判長がいかに世論を恐れているかを怒りを込め暴露した。また、「判決直後の記者会見で『実質無罪であり勝った』と言った意味は、懲役8月に対し20万などというバナナのたたき売りではあるまいし、検察は控訴すべきだと挑発したのだ」と、始めに有罪ありきのデタラメな判決を鋭く批判した。そして、「長生きをして最高裁で絶対勝つ」とユーモアを交えた藤田さんの決意に、会場は何度も爆笑に包まれた。
 集会アピールでは「教基法改悪・憲法改悪の危機に闘いの輪を広げすぐに行動に移そう」と決意が表明された。控訴審勝利決起集会は都教委に追随する裁判所に大反撃をたたき付けることを誓い合う場となった。
 (投稿・A)

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週刊『前進』(2257号2面4)(2006/08/07)

 帝国主義の侵略戦争と闘うための大カンパを

 すべての『前進』読者と支持者のみなさん! この間寄せられた夏期一時金カンパに心から感謝いたします。そのうえでなお急迫する情勢の中、さらなるカンパを訴えます。
 日米帝国主義は、北朝鮮・中国を公然と名指しして米軍再編を大々的に推進しながら、演習という名の相次ぐ軍事行動によって、北朝鮮・金正日スターリン主義政権を軍事的重圧で追いつめています。そして北朝鮮の反人民的ミサイル発射実験を口実にして安保理での北朝鮮非難決議をもって一気に金融制裁から侵略戦争発動へと突進しています。南北朝鮮人民大虐殺の侵略戦争が、日本列島全土から出撃する日米軍によって実行されようとしているのです。現実に戦争を起こして憲法9条も吹き飛ばすことさえ狙っています。日本の労働者階級と革共同は、まったく新たな階級闘争の段階に直面しています。「侵略を内乱へ」が文字どおり遂行されなくてはならない時代がきたのです。
 ウソとデマによる愛国主義・排外主義の大洪水のなかで、地方議会などで日本共産党を含めて全会一致の「北朝鮮非難」決議があげられ、連合や全労連も「非難声明」で唱和しています。
 しかし、一方で労働者人民の覚醒(かくせい)と大流動が確実に始まっています。戦争の危機に対して「戦争をしかけているのは日米帝の側だ」と真実を暴露し絶対反対の声を上げたとき、街頭では今までを倍する人びとが改憲反対の署名をし、職場や組合では「経済制裁反対」の決議が挙がっています。
 さらに極限的な賃下げと首切り、無制限の労働強化を強制し、年金を奪い、医療を奪い、介護を奪ったうえに、大増税をしかけるやつらに、怒りのマグマが煮えたぎっています。その先端で、教育労働者の「日の丸・君が代」決起と動労千葉の安全運転闘争が労働者のもつ根底的な力と可能性を示しました。共謀罪をめぐるねばり強いたたかいを先頭にした国会行動が、日教組組合員の行動と結びつき、地に渦巻く6千万労働者階級の怒りにおびえた小泉は、共謀罪などの反動法案を押し通すことができませんでした。
 そして世界中で国際帝国主義の危機を突き破る決起が拡大しています。
 革共同は、この全労働者の怒りに全面的にこたえることのできる労働者党として、いま創成以来の飛躍と大変革に挑戦しています。その先頭には若い力を解き放った青年労働者と法政大学をはじめとした学生戦線が立っています。
 小泉と資本が次々と繰り出す悪らつな攻撃に歯ぎしりして闘っているみなさん! 彼らに巨大な反撃をたたきつけ、労働者の底力を見せつけ、打ち倒すことのできる力ある労働者党をつくるために、さらなるカンパに協力してください。目前にせまる朝鮮侵略戦争と正面から対決して、共謀罪法案、国民投票法案、教育基本法改悪、防衛省昇格法案、憲法改悪阻止の国会闘争と11月労働者大行動勝利へ、重ねてカンパを訴えます。 

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週刊『前進』(2257号2面5)(2006/08/07)

 8・6広島へ

 広教組有志がキャラバン

(写真 8・6キャラバン第1日目に訪れた学校【7日25日東広島市】)

 広教組組合員有志が宣伝カーに乗り込み、8・6ヒロシマ大行動の賛同・参加を呼びかける広島県内キャラバン行動を展開しています。県内各地を回り広教組、広高教組の分会を訪問しています。
 今学校では夏休み出勤が義務づけられており、昼間でもどんどん組合員に会うことができます。宣伝カーが学校周辺の地域を回り、組合員がマイクで教育基本法改悪反対を訴え、8・6大行動への参加を呼びかけます。1日目では、青年部を含む2人の参加が決定しました。組合員同士の交流が進み、団結も強まっています。8・5教育労働者交流集会、8・6大行動の成功へ一人でも多くの仲間の参加を実現するため最後までがんばりましょう。
 (広島・K)

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週刊『前進』(2257号3面1)(2006/08/07)

 館山運転区、木更津支区の廃止許すな

 動労千葉が“夏の陣”へ

 7・20集会 幕張不当処分阻止へ熱気

 7月20日、動労千葉はDC会館で「館山運転区−木更津支区廃止絶対反対! 幕張構内事故への不当処分−幕張支部破壊攻撃粉砕! 憲法9条改悪阻止−06年秋の闘いに総決起を! 7・20動労千葉総決起集会」を開催した。組合員や支援150人が集まった。

 組合破壊狙う攻撃と対決

 動労千葉は、4月6日に幕張車両センターで起きた脱線事故を口実とした重処分策動を打ち砕く激戦の渦中にある。組合員のまなじりを決した闘いによって、JR東日本はいまだに処分を強行できないでいる。これに業を煮やした千葉支社は、「事故が起きたのは職場規律が乱れているからだ」と問題をすり替え、支社幹部25人を動員して連日「職場実態調査」を行い、「職場規律是正」の攻撃をかけてきた。幕張支部は、こうした挑発にのらず、硬軟使い分けた戦術を駆使しつつ、安全問題を徹底追及して当局と対決している。
(写真 J R東日本の大掛かりな組合解体攻撃に総反撃を誓った勤労干葉総決起集会。基調報告する田中康宏委員長【7月20日 千葉・DC会館】)
 その闘いのさなかの7月6日、JR東日本千葉支社は、来年3月のダイヤ改正に際し、@館山運転区と千葉運転区木更津支区を廃止して木更津運輸区を新設する、A津田沼車掌区を廃止し習志野運輸区に統合する、とした基地統廃合の提案を出してきた。
 今年3月には、京葉運輸区の廃止と蘇我運輸区の新設が強行された。JRは、今回の提案にとどまらず、さらに大規模な基地統廃合を計画していると言われている。館山運転区と木更津支区は、動労千葉が過半数の運転士を組織する拠点職場だ。基地統廃合の狙いは、動労千葉の組織破壊にある。これに対し、動労千葉は組織の存亡をかけた一大決戦に入った。
 あいさつに立った田中康宏委員長は、基地統廃合の攻撃について「館山、木更津は動労千葉が圧倒的多数の拠点職場だ。国鉄分割・民営化以来の最大の組織攻防戦が始まった」と訴え、「この攻撃はローカル線切り捨てと一体だ。自治体、商工会、教育委員会など、どこでも巡り歩いて反対の声を上げ、地域を巻き込んだ闘争を展開する。今日を起点に夏の陣に入る」と宣言した。
 さらに、幕張事故に対する処分との闘いについて、「当局は黙って引き下がらない。最後の最後まで動労千葉は闘いを構えていることを示し続けよう」「一人の組合員を守ることに総力を挙げるのが労働組合だ。もし事故を起こしたのが東労組なら、もう免職になっていた。闘えば勝てる。労働者が胸を張っていくために、この闘いは必要だった」と断言した。
 この闘いは、反合・運転保安闘争の原点を強固に再確認することによって闘いぬかれている。その教訓を田中委員長は、次のように語った。
 「事故直後は職場は沈鬱(ちんうつ)だった。安全運転闘争をやりながら事故を起こし、闘いに傷を付けたと支部長は深刻だった。しかし、よく考えたらそうではない。いくら本人が起こしたくないと思っていても、事故は起きる。問題はその時、どう判断するかだ。本人の責任ではない、ATSもなかった、当局の責任だと言い切った時、みんながガラッと変わって団結して闘い始めた」「事故を起こした組合員を守るのは当たり前のこと。しかしそこに労働組合のすべてが含まれている。動労千葉の原点は反合・運転保安闘争だ」

 各支部代表が熱い決意表明

 さらに、この秋の闘いについて「世界中で労働者の反乱が始まっている。11月労働者集会に今度こそ1万人を集め、情勢に立ち向かう力を持とう。労働者が職場から闘ったら改憲はできない」と提起した上で、「全組合員が組織拡大に総決起を」と強調した。
 統廃合の攻撃の矢面に立つ館山支部、木更津支部、千葉運転区支部、銚子支部の代表が、「あらゆる方法で立ち向かう」「絶対反対を貫く」と決意を述べた。幕張支部の代表は、動労千葉に加盟した平成採の組合員に当局が攻撃を集中させていることを怒りを込めて弾劾し、「向こうをつぶすまで闘う」と断言した。
 動労千葉争議団の高石正博さんが解雇撤回まで闘う決意を述べ、各支部代表が全支部一体となってこの攻撃に立ち向かうと表明した。
 こうして動労千葉は、全面的な基地再編という大掛かりな組織破壊攻撃に、総力で立ち向かう決戦体制を打ち固めた。

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週刊『前進』(2257号3面2)(2006/08/07)

 8・15 中野ZERO小ホールで集会

 韓国からは民主労総が

 8月15日(火)に恒例の「労働者・市民のつどい」が開かれる。主催は「戦後50年を問う8・15労働者・市民の集会実行委員会」。会場は東京・なかのZERO小ホール(JR中野駅南口下車、線路沿いを新宿方向に約500b)。正午開場、午後1時開会。
 95年から毎年開かれてきたこの集会は、今年で12回目。改憲と靖国攻撃が激化する中で、今年の集会は例年にもまして重要な意義を持っている。
 メインは、阿満利麿さん(明治学院大学名誉教授・宗教学者)が「戦死者の『慰霊』とは―歴史に学ぶ」と題して講演。
 韓国から民主労総ソウル本部のイジェヨンさんが、新自由主義に30万ゼネストで闘うアピールを行う。おなじみのコメディアン松元ヒロさんの爆笑コントが会場を沸かせるだろう。報告は「小泉の靖国参拝弾劾」「『日の丸・君が代』強制反対の現場から」「沖縄・辺野古の闘いから」など。

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週刊『前進』(2257号3面3)(2006/08/07)

 都の行財政改革実行プログラム 4千人削減計画粉砕を

 バス運転手だけ10%賃下げ

 7月13日、東京都が06―08年度の「行財政改革実行プログラム」を発表した。09年4月までに約4千人の職員削減、都バス運転手の10%賃金削減、都立病院などの地方独立行政法人化、指定管理者制度の拡大による監理団体の整理・統廃合、市場化テストの導入などを進める方針だ。
 石原都政は、民営化をとおして人員削減・賃金引き下げを強行し、労働者間に分断を持ち込み、都労連を破壊しようとしている。小泉改革と一体となって改憲と戦争、民営化=労組破壊の攻撃を仕掛けている。これを許したら職場も生活も命も守れない。都労連の団結を固め、石原都政打倒の闘いを巻き起こし、プログラムを粉砕しよう。

 都労連がカギ

 東京都の行政改革は鈴木都政下の1979年度から始まり、石原都政のもとで加速された。
 石原都政は99―05年度の6年間で職員を約1万4千人削減(純減)した(99年度で約2500人、第1次アクションプランで5875人、第2次アクションプランで5651人)。これは当初計画を数千人上回る。さらに今後3年間で4千人削減しようとしている。
 しかし警察だけは毎年200―300人ずつ増員されてきた。治安強化、労働者の団結と闘いの圧殺のためだ。石原都政の行財政改革攻撃は全面的だ。攻防の焦点、都労連が団結を強め、ストライキで闘えば攻撃を粉砕できる。

 東交千人集会

 都バス、地下鉄など都営交通の労働者で組織する東交(東京交通労働組合)は、提案の白紙撤回を求めて7月20日に千人を超す都庁前集会を行い、怒りをぶつけた。
 都は自動車部(バス事業)所属の現業職員(バス運転手)の給与表の改定を提案した。人員削減、特勤手当削減による総人件費削減攻撃が限界に来て基本給削減に手をかけてきたのだ。「バス事業、特に現業職員において給与水準の公民較差は著しい」「地下鉄13号線などの開業でバス事業の赤字拡大が予想される」として、都バス運転手を狙い撃ちしている。
 東交の部門間の分断と組合つぶし、そして都労連つぶしが狙いだ。都労連が結成以来の闘いでかちとった権利、現業職も行政職と同一の給与表で、という原則を解体し、職種別賃金(現業職差別)へ移行させ、都労連の団結の基礎を破壊しようとしているのだ。
 「都バス運転手の賃金は民間よりも2割も高い」と言われる。けっしてそんなことはない。
 当局は「交通局経営計画(チャレンジ2001、同2004)」の6年間、地下鉄駅業務の外注化やバス路線の管理委託などによる経営合理化を推進してきた。バス事業では長期の新採停止で人員を削減してきた。
 その結果、恒常的な欠員状態が生じている。労働者は休日出勤や「早朝から深夜までの」超過・不規則勤務で体が壊れるまで極限的に働かされている。終点での折り返しで車を降りて一息入れることさえできない。病気で倒れる人、仕事が続けられず退職する人、過労死する人がいる。年休も消化できない。
 これだけ身を削って働けば年収も上がるが、それはけっして基本給が高いことを意味しない。公民比較それ自体が間違いだ。雇用主は労働者が生活できるだけの賃金を支払わなければならない。
 都労連の団結を固め、都の行財政改革実行プログラム、リストラ・民営化攻撃を打ち砕こう。小泉―石原の改憲と戦争、民営化=労組破壊攻撃を打ち破ろう。

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週刊『前進』(2257号3面4)(2006/08/07)

焦点 A級戦犯合祀と天皇発言メモ

 天皇の戦争責任封印狙う

 7月20日、靖国神社へのA級戦犯合祀(ごうし)に関する昭和天皇ヒロヒトの1988年の発言メモが報じられた。靖国神社が1978年にA級戦犯を極秘に合祀したことにヒロヒトが「不快感」を示し、「だから私(は)あれ以来参拝していない。それが私の心だ」と、当時の富田宮内庁長官に語っていた。天皇による靖国参拝は戦後も計8回行われたが、A級戦犯の合祀以降は一度もない。中断はヒロヒト自身の意思であることが明らかになったのである。
 この事実が公表されたことで、小泉首相の靖国参拝問題がいよいよ重大焦点化した。だが小泉は、8月15日の参拝をあくまで強行する姿勢を取り続けている。その一方で、政府・自民党内には大きな動揺が広がっている。天皇の参拝を可能にするにはA級戦犯の分祀が必要との声(古賀日本遺族会会長など)も上がり、自民党総裁選への動きともからんで、支配階級内の分裂が一挙に深まっている。
 これは、靖国問題が日本の支配階級にとって解決不能の矛盾点、危機点であることを示すものだ。同時にこの天皇発言は、それ自体が労働者階級にとって絶対に許せないものだ。何よりもそこには、ヒロヒト自身の戦争責任に対する極めて卑劣でペテン的で傲慢(ごうまん)な居直りがある。この発言自体が徹底弾劾の対象だ。
 天皇ヒロヒトこそ、日本帝国主義が引き起こしたかつての戦争を最先頭で推進し、陣頭指揮した張本人だ。アジア人民2千万人を虐殺し、日本の人民も310万人が犠牲になった戦争の、最大最高の責任者はヒロヒトである。だが戦後の天皇はマッカーサーらの天皇制存続の方針を背景に、自らが犯した戦争犯罪の責任のことごとくを、卑劣にも東条英機ら一部の政治・軍事指導者に押しつけることで戦犯としての訴追を免れ、延命した。そのヒロヒトにとってA級戦犯の靖国神社合祀は、封印したはずの自己の戦争責任を再び焦点化させる危険を生むものだった。88年発言はそれへの恐怖と「怒り」の表明としてあったのだ。
 このことは、戦争国家化に突き進む日帝にとって、靖国問題が実は最大の弱点であることを突き出している。日帝は今日、日米同盟のもとで新たな侵略戦争・世界戦争に乗り出そうとしており、戦死者を再び“国に命をささげた英霊”としてたたえる装置の復活を絶対に必要としている。それは靖国神社以外にない。小泉が靖国参拝にこだわる理由はここにある。だがその公然たる復活は同時に、かつての帝国主義戦争がもたらした地獄絵と、そこにおける天皇と日帝の戦争責任をあらためて逃れようのない鋭さをもって突きつけずにはおかない。
 昭和天皇発言メモが明るみに出たことは、「天皇=平和主義者」のデマ宣伝とともに、天皇の権威を正面に押し出すことで現在の危機を突破しようとする新たな動きをも生んでいる。労働者階級にとって必要なことはただ一つ、天皇制や靖国神社の存在そのものを徹底糾弾し、その解体を要求して戦争反対に立ち上がることだ。闘うアジア人民と連帯し、小泉の8・15靖国参拝を阻止しよう。

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週刊『前進』(2257号3面5)(2006/08/07)

焦点 日本がOECD「貧困率」2位

 小泉改革で格差と窮乏化

 経済協力開発機構(OECD)は7月20日、「対日経済審査報告書」を発表した。その中で日本の所得格差が拡大し、「相対的貧困層」の割合がアメリカに次いで2番目に高くなったと指摘した。
 「相対的貧困層」とは、可処分所得(税金や社会保障負担などを引いた後の自由に使える所得)が、中央値に比べ半分以下の所得層をさす。日本は13・5%で、アメリカ(13・7%)と並んでOECD加盟30カ国の中で最悪だという発表である。しかも、これは2000年の統計数値だ。
 1995年に日経連報告「新時代の日本的経営」が出されて以降、非正規雇用化、賃下げ、リストラが激しく進行し、社会保障制度の解体が進み、労働者階級の貧困化が著しく進んだ結果だ。
 OECDの発表を待つまでもなく、今日、小泉構造改革のもとで労働者階級の貧困化、所得格差の拡大は一層進んでいる。
 日本の労働者の49%は年収300万円未満、24%は年収150万円未満である(総務省の「就業構造基本調査報告」=2004年)。非正規労働者は全労働者の34・7%におよび、女性では50%をはるかに超えている。その主勢力であるパートタイマーとアルバイトは、およそ60〜85%が年収150万円未満である。
 NHKの発表によれば、働いているのに生活保護水準以下の暮らししかできない労働者世帯は日本の全世帯の10分の1、400万世帯以上とも言われる。
 このように、資本主義社会の底が抜けたように労働者階級の貧困化が進んでいるのだ。その一方で、トヨタやキヤノン、三菱東京などの大企業、大銀行は労働者階級からとことん搾取・収奪し、また規制緩和や企業減税など政府の手厚い保護を受けて空前の利益を上げている。
 こんな日帝・小泉の言いなりになっていたら、労働者階級は地獄にたたき落とされ、揚げ句の果てに戦争に動員されてしまう。
 労働者階級の貧困化に拍車をかけているのが、連合中央、全労連中央の屈服だ。彼らは今や、労働者階級の怒りと闘いを来年の参議院選挙をめぐる政党選択の枠内に押し込めようとしている。
 とんでもないことだ。6千万労働者階級の怒りと危機感は天地に充満している。今こそ、階級的・戦闘的な労働運動の荒々しい闘いを爆発させる時だ。労働者階級は闘って自らの力で資本家階級、日本帝国主義を打倒することができるし、新しい社会を建設する力を持っている。そうした力強い思想と闘い――動労千葉のような――が、絶対に必要だ。
 帝国主義は全世界で行き詰まり、激しく勢力圏をめぐって争いながら世界戦争に突き進んでいる。イラク・パレスチナ人民、韓国・民主労総を始め、全世界の労働者人民がこれと闘っている。労働者階級は「資本主義的生産様式の変革と諸階級の最終的廃止とを自分の歴史的使命とする階級」(『資本論』)だ。いよいよ、その使命を成し遂げる時が到来しつつある。

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週刊『前進』(2257号3面6)(2006/08/07)

自治体労働者は改憲・民営化と闘う (3)横浜・中田市政の行政改革

 競争あおり労働者分断

 怒り充満し激突はこれから

 小泉構造改革の5年間は、社会の解体、安全の崩壊、「格差」の拡大をもたらした。これらは、徹底した民営化、規制撤廃、そして〈官〉の改革の結果だ。この攻撃は、95年の日経連プロジェクト報告「新時代の日本的経営」を全社会に拡大したものであるが、とりわけ小泉内閣以来、公の部門のリストラ・改革に拍車がかけられた。
 それは従来の財政危機を背景としたコスト削減とは次元を異にする。官=〈行政〉に民間企業的手法を全面的に導入し、人員削減・労働強化を徹底的に推進し、〈意識改革〉を迫り、大資本と帝国主義にとって「忠実」な行政=役所へと「改革」するためのものであった。それは、小泉構造改革を推進するためのテコともなっている。
 今回のテーマは、行政の「経営改革」と呼ばれる一連の「改革」である。全国の自治体で差異はあると思われるが、主要な例として横浜市の手法を取り上げる。

 上意下達で

 中田宏市長のもとで何が変えられたのか。まず第一は、組織・機構のあり方の改革である。中田市長は「エンジン・ルーム」と呼ばれるセクションに、自分の意に沿う管理職をかき集め、ここを〈司令塔〉にして上意下達で改革を推し進めた。既存の体制、機構、人員の全面的見直しである。
 第二に、「新時代行政プラン(03−06年度アクションプラン)」に沿って、港湾病院を始めとした民営化、市立大学などの独立行政法人化、公会堂・地域ケアプラザなど800以上もの施設への指定管理者制度の導入が行われた。
 第三に、徹底した「競争主義」が導入され、局・区ごとに「改革プラン」を提出させ競争させる手法がとられた。平日の開庁時間の延長、土・日曜日の開庁、区内地区センターでの出張受け付けなどが、業務実態・職場実態を無視して強行された。さらに、管理職に対する競争主義と圧迫によって、現場段階からの市長への批判を封じ込めた。
 第四に、引き続き以下の方向で改革を進めるとしている。
 @「経営の視点から、時代の変化に即して制度や執行体制を見直す」、A「電子市役所の推進」、B「最適な主体によるサービスの提供、民営化・委託化の推進、公的サービスの第三者による点検・評価」、C「簡素で効率的な人員体制、機動的な人員配置。4・6%以上の定数削減」、D「意欲・能力・実績が反映される人事・給与制度」
 まさに、さらなる民営化・人員削減だ。特にDは、査定の全面化、定昇の解体、年功賃金の解体である。

 自治体破壊

 では、これらの「改革」は何をもたらしたか。労働強化、精神疾患の増加、定年退職を上回る「普通退職」の増加、係長試験(=管理職の登竜門)受験希望者の激減、そして職場全体の疲弊である。
 管理職に対しては査定の幅が拡大されている。一般職に対しても、人事考課が「試行」として開始された。06年春には、それに重ねるように、一時金への査定導入が提案された。労働強化、「改革」のスピードに「ついていけない」職員がますます増加している。
 税通知などの各種通知書の「誤送付」は、新聞で報道(区役所名・課名まで実名)されるたびに個人責任が追及される。しかし、あらゆる事故、ミスの根底には、絶対的な人員不足が存在するのだ。そして一連の「改革」の連続による労働環境、労働慣行の破壊が存在する。
 これらについて、市当局・市長は一度たりとも言及したこともなければ、自らの責任を明らかにしたこともない。小泉改革のもとで進められている〈地方の改革〉は、自治体の破壊以外の何物でもない。

 団結武器に

 横浜市・中田、東京都・石原に典型的な「改革」は、小泉構造改革の本質を体現している。
 今日の帝国主義の危機のもとで、戦後的な価値・体制の〈典型〉である地方公務員のあり方を徹底的に転換しなければ、改憲―戦争国家への転換は不可能だからである。従来の「公務員のあり方」そのものが、戦争国家への転換にとって大きな制約となっているからだ。上意下達に服従する関係をつくり出すこと――ここに公務員への攻撃、公務員制度改革の一切の狙いがある。
 しかし、この攻撃は、全面的な破綻(はたん)の危機に直面している。小泉構造改革のもたらした「格差拡大」「社会の破壊」に対する怒りの声は急速に拡大し、滋賀県知事選に示されるような地殻変動が起こり始めている。しかし、帝国主義の側は、福祉切り捨て−大増税へと突き進んでいる。自治体・地方行政をめぐる矛盾の激化、本格的な攻防は、まさにこれからである。
 公務員労働者がこの時代認識に立ち、団結を堅持して闘えば、必ず勝てる情勢が到来している。公務員労働者―6千万労働者階級の中には日帝・小泉への怒りが充満している。
 改憲攻撃は、9条を頂点とした戦後社会のあり方の大転換である。その攻防の中心は、地方公務員労働者である。今こそ、公務員労働者−自治体労働者が改憲阻止闘争の最先頭に立とう。
 (吉村潤一)
(写真 旧港湾病院は赤十字社が指定管理者の横浜市立みなと赤十字病院に)

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週刊『前進』(2257号4面1)(2006/08/07)

 三里塚北延伸 「耕作権解除」攻撃粉砕へ

 革共同からの緊急声明

 堂本県知事と農業会議は農地強奪申請を却下せよ

 市東さん直ちに「農地死守」宣言

 NAA(成田空港会社)が7月3日、反対同盟・市東孝雄さんの耕作地に対する「農地法に基づく耕作権解約許可申請」を成田市農業委員会(会長・平山清一)に提出していた件で、同委員会はまともな審理もせず早々と24日に総会を開き、同案件を事実上の「許可相当」と判断、決定権者である千葉県知事および県農業会議への送付を強行した。同会議は8月11日にもこの案件を機械的に通過させ、知事決定に持ち込む構えだ。
 政府・国交省とNAA、そして千葉県知事がやろうとしていることは、「農地法による代執行」という、法律的にはおよそあり得ない農地強奪である。市東孝雄さんが農業者として生きるすべを物理的に奪おうとしているのだ。それは同時に、市東さんと共同で有機農業を営む萩原進さん(反対同盟事務局次長・東峰部落)をはじめとする反対同盟の営農基盤を破壊することをも意味する。反対同盟と三里塚闘争のすべてを一気に暴力的に破壊する攻撃なのだ。
 攻撃の背景は、三里塚闘争が権力支配の一角を破たんさせていることへの敵階級の猛烈な危機感である。三里塚40年の地平は、無理やり供用した暫定滑走路(2180b)の欠陥を致命傷にまで転化させつつある。これは「民営化」途上にある国策事業=成田空港建設の根本的な破たんに直結しかねない。9月着工が迫る「北延伸」攻撃は、その暴力的突破をはかるものだ。
 また「在日米軍再編」の一方の核をなす成田空港など民間空港の米軍基地化を不可能にしている現実も深刻である。戦争と改憲への攻撃が激しく進行するなか、三里塚闘争が権力への人民的反乱を40年も継続している現実は、日帝支配階級がこれ以上許容できない問題なのである。
 市東孝雄さんは24日の対農業委闘争において「私は何があろうと農地を死守し、最後まで闘い抜く」との渾身の決意を明らかにした。三里塚闘争に我が身を委ねて闘い抜く壮絶な宣言である。革共同は、反対同盟農民との40年にわたる血盟にかけて、この市東さんの決意と闘いを何がなんでも守り抜く。三里塚と闘いをともにしてきた全国すべての労働者・学生・人民の力を強力に結集することを心から訴える。
(写真 「農地法で農地強奪」認めた農業委に反対同盟が怒りの記者会見【7月24日 成田市役所】)

 農地法破壊する「空港への転用」

 市東孝雄さんの耕作地は、「大正」期に開墾した祖父・市太郎さんの代から約90年間も耕作を続けてきた純然たる農地であり耕作権は確定している。戦前、日本の農業人口の7割が小作だったが、敗戦後、農民たちの激しい小作争議と戦後革命の嵐のなかでGHQは農地改革を余儀なくされ、小作人の耕作地は無条件に自作地として解放された。こうして達成された農地改革が戦後民主主義の物質的土台を形成した歴史的経緯もある。戦後農地法はその法律的表現であった。
 市東さんの耕作地は戦後の混乱のなか、この農地解放の手続きが適正になされず、小作地のまま残ってしまったケースで、その耕作権は所有権に完全に等しい重みを持っている。ゆえに旧空港公団も市東さんの畑の耕作権を土地収用法による収用対象としていた。
 今回、NAAが市東さんに仕掛けた農地強奪の手口は、農地法5条による空港用地への農地転用だが、この条項は地権者並びに耕作権者の同意による買収があらかじめの前提だ。転用の許認可権は知事にあるが、買収を拒む者の農地を農地法で強制的にはく奪する規定も条文も存在しない。
 農地法とは「この法律は、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認め、耕作者の農地の取得を促進し、及びその権利を保護し……耕作者の地位の安定と農業生産力の増進とを図ることを目的とする」(第1条)という、農民と農地を保護するための法律なのであって、「農地法による農地取り上げ」という行為自体が成り立たないのである。
 しかしNAAが今回仕掛けた「耕作権解除申請」なるものは、県知事に強制的な「解除許可」を求めるもので、耕作者が拒めば強制執行にまで行き着く内容となっている。これは法のねじ曲げという次元を超え、まさに法も道理もすべて投げ捨てためちゃくちゃな攻撃である。日帝・国交省とNAAは、こうまでして反対同盟の農地を強奪しなければ、三里塚闘争と向き合えないところまで追い詰められたのである。

 事業認定失効し強制収用不可能

 さらに根本的な問題がある。市東孝雄さんの農地は、強制収用の法的根拠である土地収用法による事業認定(1969年12月認可)が適用されたが、今では同認定が消滅した土地だ。1993年段階で当時の運輸省が「収用裁決申請」を取り下げたことで、事業認定の消滅は法的にも確定している。事業認定が認可から20年で失効する規定は、運輸省自身が承認した立場でもある。
 土地収用法はブルジョア社会の根本原理たる私有財産権をはく奪する法律で、「公共性」の名の下に人民から土地を奪い国家事業を推進する武器として使われてきた。だが戦後憲法体系のもとで、この20年失効規定が土地所有者への最後の権利保護規定ともなってきた。事業認定から20年以上が経過して取得出来なかった土地は、事業の「公共性(これ自体がペテンだが)」がブルジョア法的立場からも消滅するのである。
 市東孝雄さんの農地は、本人の同意を得て買収する以外に、他のいかなる法律によっても取り上げることは出来ない土地なのだ。これは戦後憲法体系の根本にかかわる問題である。それゆえ日帝・国交省とNAAは1989年12月以降、強制収用を振りかざしたごう慢きわまる収用政策をあきらめ、もみ手で農家にすり寄る以外の手段を失っていたのである。

 8・11農業会議を重包囲しよう

 わが革共同は、このデタラメを通り越した農地強奪、農民殺しとしか言いようのない市東孝雄さんへの「耕作権解除」攻撃を満腔の怒りをもって弾劾し、千葉県知事と県農業会議に対する重大な警告を発するものである。千葉県自民党と一体化し「完全空港化」の最も熱心な推進者に成りはてた堂本知事は、1971年のあの流血の代執行を再び県知事の名においてくり返すというのか! NAAの「耕作権解除申請」なるものを直ちに却下せよ!
 市東孝雄さんの農地に対する強制執行につながるいかなる決定も絶対に許さないことを、わが革共同は不退転の決意で固く誓う! 8・11千葉県農業会議を圧倒的な怒りで包囲せよ!

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週刊『前進』(2257号4面2)(2006/08/07)

 ヒロシマ・ナガサキから改憲阻止決戦の火柱を

 被爆61年被青同のアピール

 排外主義と対決し反核闘争の原点へ

 被爆61年目のヒロシマ・ナガサキの闘いは、北朝鮮スターリン主義のミサイル発射を口実とした制裁、先制攻撃−全面侵略戦争突入に向けた排外主義とナショナリズムの嵐と対決し、改憲阻止決戦の火柱をうち立てる闘いとなった。日本帝国主義・小泉政権は、日米枢軸体制を強化し、米軍再編と9条改憲でアメリカ帝国主義と共に世界戦争に打って出ようとしている。靖国神社参拝を強行し、再び日本の労働者階級人民を帝国主義戦争に動員して、ヒロシマ・ナガサキへの道をくり返そうとする小泉首相の広島・長崎訪問、祈念式典出席を絶対に許さない。
 排外主義の大洪水の中で、戦後日本労働運動の根幹を成していた「反戦・反核」の旗を引き降ろし、労働者階級全体を戦争に動員する攻撃がかけられている。9条改憲と「安全保障基本法」の制定を主張する連合・高木、米帝の核の傘を容認し原発促進を掲げる核禁会議の主導により、原水禁大会の変質は決定的なものになろうとしている。「ヒロシマ・ナガサキを繰り返すな」という戦後の日本プロレタリアートの闘いの原点を葬り去り、改憲を一気に推し進めようとする日本帝国主義との一大決戦場、それが今夏ヒロシマ・ナガサキの闘いだ。
(写真 被青同を先頭に祈念式典を弾劾【05年8月6日 広島平和公園】)

 イラン・北朝鮮へ核攻撃を狙う米帝

 戦争・核戦争の危機をつくり出しているのは北朝鮮なのか? とんでもない。米、日をはじめとする帝国主義こそ今日の世界戦争・核戦争危機の根源だ。ブッシュ政権は本年、新たなQDR、国家安全保障戦略を打ち出し、アフガニスタン・イラク侵略戦争で開始した世界戦争過程の継続、拡大を宣言した。この世界戦争過程は核戦争をも内包するものである
 2005年初頭からアメリカ・イスラエル・トルコは共同でイラン攻撃を想定した軍事演習を実施してきた。これに対しイランは同年12月、大規模な軍事演習をペルシャ湾で行った。イスラエル高官は06年3月末をイランへの軍事攻撃の最終期限として言明した。アメリカ軍事筋はイランに対する空襲は03年3月のイラクへの「ショック・アンド・オー(衝撃と恐怖)」空爆に匹敵する大規模なものになると確認した。フル装備のB2ステルス爆撃機がディエゴガルシアあるいはアメリカ本土から直接に、またF117ステルス戦闘機がカタールから20か所以上の核サイトを標的にしている。05年11月全米戦略軍司令部(宇宙・地球規模の戦争・核戦争を指揮)は、「全地球的電撃(グローバル・ライトニング)」と名付けた図上演習を行った。北朝鮮とイランを想定した「仮想敵国」に対して、通常兵器・核兵器両方を使用した「宇宙・地球規模の攻撃」を加え、一撃の下に「せん滅」するという演習だ。
 アメリカはイラン攻撃において「小型核」爆弾の使用を想定している。「小型核」は広島型の3分の1の爆発力を持ち、地下で爆発することから「市民に安全だ」とうそぶいている。しかし、小型核爆弾B61―11の地下貫通能力は高さ約1万2千bからの投下で乾いた地表をわずか約6bしか貫通しない。イラク戦争のように都市への攻撃に使用すれば無数の市民に被害を与える。核兵器使用が切迫しているのだ。このような核戦争計画を立て本気で実行しようとしている帝国主義に、北朝鮮の「ミサイル」を非難する資格は一切ない。

 インドに核技術を提供するブッシュ

 米帝は北朝鮮やイランの核・ミサイル開発を非難しつつ、自らは不断に核・ミサイル、その他軍事技術の超高度化を進めている。自らの世界支配戦略に沿う国には膨大な武器輸出を行い、核・長距離弾道ミサイル開発すら援助し容認している。イスラエルにいたっては隣国をミサイル攻撃しようが、住民を虐殺しようが問題にもされない。
 本年3月、ブッシュはインドを訪問し核技術の提供を約束した。インドは「不安定の弧」の中心に位置し、西にイラン・イラク、東に中国・北朝鮮を見据えるブッシュの世界戦争計画の中で重要な国である。インドはパキスタンとの戦争を繰り返すなかで独自に核開発を進めてきた。しかし、98年の核実験以降核関連物資の経済制裁が取られ、核開発が遅れてきた。
 米帝は核技術を提供することによりインドを抱きこみ、「不安定の弧」の中心に自らがコントロールできる「核大国」を作ろうとしているのである。インドは04年段階で40〜50発の核弾頭を有しており、さらに射程距離を伸ばして中東、東アジアまで届く核ミサイルを配置し、世界戦争戦略の重要拠点にしようとしている。こうしたなかで開発が遅れていた長距離弾道ミサイルアグニV(射程3500キロb)の発射実験が7月上旬行われた。アグニVは移動式で中国が射程に入る。この実験成功でインドによる中国・中東への攻撃能力が高まり、戦争の危機が高まっている。

 「独自の核武装」を進める日帝許すな

 日本帝国主義こそ核武装を推進する張本人だ。
 本年3月、青森県六ケ所村の核燃料再処理施設の本格稼働が始まった。これまで使用済み核燃料の再処理はイギリス、フランスに頼っていたが、いよいよ日帝が独自に本格的な再処理を行うことになった。使用済み核燃料からのプルトニウムの取り出しは、停止中の高速増殖炉「もんじゅ」の再稼働を前提にしたプルトニウム爆弾(長崎型原爆)の生産を念頭に入れたものだ。核弾頭の運搬手段であるロケットの開発もH2Aを初めとして躍起になっている。H2Aロケットの長距離弾道ミサイルとしての性能の高さは、北朝鮮の「テポドン」など比較にもならない。日帝は今年度から米帝との「ミサイル防衛(MD)システム」の共同開発に着手し、米帝の世界核戦争戦略のパートナーとして地球規模での侵略戦争に乗り出している。7月12日にはミサイル迎撃ミサイル「パトリオット」24基の沖縄配備を決定し、中国・北朝鮮に対する侵略攻撃策動を一層強めている。
 改憲−9条破棄は、日本帝国主義の核武装と北朝鮮・中国侵略戦争、日米枢軸による世界戦争突入の最後の歯止めを取り払うものだ。闘う被爆者・二世・三世は退路を断って決起する。青年労働者・学生を先頭に、8・6ヒロシマ、8・9ナガサキへ総結集しよう。

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週刊『前進』(2257号4面3)(2006/08/07)

 共謀罪 臨時国会で永久廃案に

 7・21 共同行動が決起集会

 7月21日、「共謀罪を完全廃案に! 総決起集会」が飯田橋の東京しごとセンターで開かれ162人が集まった。主催は、破防法・組対法に反対する共同行動。
 激しい国会闘争が終わって1カ月、国会前にかけつけた人、朝ビラを続けた人、傍聴に参加した人、ビデオをリアルタイムに流し続けた表現者など、国会闘争を闘った人たちが参加し、さらに多くの人びととともに次の国会で廃案をかちとろうと誓った終始熱気にあふれる集会となった。
(写真 「今度こそ完全廃案へ」と勝利感と熱気に沸いた【7月21日 東京しごとセンター】)

 これまで9回阻止してきた

 最初に、共同行動事務局が全面的な基調報告を行った。国際的組織犯罪条約反対闘争の開始から5年、03年春の国会提出から3年半―9度の国会攻防、とりわけ今春通常国会での強行採決阻止の闘いを振り返りながら、「巨大与党が支配する翼賛国会で治安立法策動を打ち破ったのは歴史的快挙だ」と総括した。
 そしてこの勝利の根拠は、共謀罪が現代版治安維持法であるという認識を大きく広げたことにあり、さらに共謀罪法案の危険性を徹底して訴えることが廃案にむけての最大の課題だと提起した。
 さらに、反対運動を一回りも二回りも大きくすること、とりわけ労働組合の本格的な立ち上がりを徹底的に広げていくことなしに秋の闘いには勝利できないと突破すべき課題を訴えた。
 続いて、刑法学者の足立昌勝さん(関東学院大教授)が「共謀罪は廃案しかない」と題して講演。足立さんは、共謀罪法案のもっている構造的な欠陥を鋭く暴き、政府の真の立法目的が「戦争にむかっての国家再編にある」ことを喝破した。

 国会攻防がすでに始まる

 続いて、特別報告として共謀罪阻止の先頭に立つ弁護士の海渡雄一さん、「日の丸・君が代」強制をめぐる刑事弾圧と闘う元板橋高校教員の藤田勝久さんの報告を受けた。さらに、アムネスティ・インターナショナル日本事務局長の寺中誠さん、都教委包囲・首都圏ネットの見城赳樹さん、共謀罪に反対する表現者たちの会、防災訓練反対に取り組む荒川・墨田・山谷実行委、憲法と人権の日弁連をめざす会の武内更一弁護士、組対法に反対する全国ネットワークからの発言が続いた。
 政府・与党は、”まばたきも共謀”と答弁した法務省大林刑事局長を法務事務次官に昇格させ、またマスコミ工作にも力をいれている。秋の共謀罪闘争は、改憲攻防や07年参院選をにらみながら、臨時国会冒頭から激突になる。周りに訴え、共謀罪反対の署名を集め、街頭宣伝、小集会を始めよう。こうした中で、反テロ法と闘う仲間、また教育基本法改悪攻撃と闘う教育労働者とともに本集会をかちとった意義は大きい。直ちに臨時国会へ準備を始めよう。今度こそ共謀罪を永久に葬り去ろう! 

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週刊『前進』(2257号4面4)(2006/08/07)

日誌'06 7月19日〜25日

 イスラエルがレバノン侵略

 靖国参拝中止の「天皇メモ」

●ミサイル追跡艦が那覇軍港に 米海軍のミサイル追跡艦「オブザベーション・アイランド」が那覇軍港に停泊しているのが確認された。北朝鮮のミサイル発射をめぐって日本近海に配備されていたとみられる。(19日)
●天皇の靖国参拝中止、発言メモ 昭和天皇が1988年、靖国神社のA級戦犯合祀(ごうし)に強い不快感を示し、「だから私はあれ以来参拝していない。それが私の心だ」と、当時の宮内庁長官に語っていたことが分かった。昭和天皇は1978年のA級戦犯合祀以降、参拝しなかった。日経新聞が報じた。(20日)
●天皇発言メモに小泉「影響ありません」
 小泉首相が記者団に対し、昭和天皇が靖国神社のA級戦犯合祀に不快感を示した資料の発見が自らの参拝に与える影響について「ありません。それぞれの人の思いですから」と述べ、否定した。(20日)
●PAC3、年内に運用開始 日本政府は、米政府が8月から沖縄県の嘉手納基地などに地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)を配備する準備を進め、年内に一部運用を始めると発表した。来年3月末までに完全運用となる見通し。(20日)
●額賀「武器使用基準の緩和を」 額賀防衛庁長官は、自衛隊の海外派兵を随時可能にする恒久法に関連し、「現場で働く人の身になって考えないといけない」と述べ、同法制定に際し、武器使用基準を緩和する必要があるとの認識を示した。(21日)
●イスラエル地上軍、レバノン侵攻 イスラエル軍は、レバノン南部のイスラエルとの境界に近い村に数百人規模の地上部隊を侵攻させ、制圧した。00年5月のイスラエル軍のレバノン南部からの撤退以来、レバノンの再占領は初めて。(22日)
●靖国参拝「反対」60%に 朝日新聞社が実施した全国世論調査で、次の首相の靖国神社参拝の賛否を尋ねたところ、反対が60%を占め、賛成の20%を大きく上回った。今年1月の調査では反対46%、賛成28%で、今回反対が大幅に増えた。(23日)
●「共謀罪、秋にも採択」 杉浦法相は、共謀罪新設法案について「秋に臨時国会があれば、すぐに採択されてもいい状況」との見解を示した。(24日)
●パトリオット移動を想定 PAC3の嘉手納基地への配備で、米軍が日本政府に対し、在沖米軍基地間の移動訓練が必要との意向を伝えていたことが分かった。移動訓練は公道を使って行われる可能性があるという。日本政府は日米地位協定で認められた「米軍車両の施設間移動」に当たるとし、問題視しない方針。(24日)
●山崎がアーミテージと会談 訪米中の山崎自民党前副総裁がアーミテージ前米国務副長官とワシントン近郊で会談した。アーミテージは、日本の07年度予算の概算要求基準で防衛費が1%削減されたことに「(北朝鮮ミサイル)問題もあるのだから防衛費は拡充すべきだ」と語り、ミサイル防衛システムの導入も前倒しで進めるべきだと指摘した。(24日)
●イラク陸自の帰国が完了 イラク南部サマワに派遣されていた陸上自衛隊の最後の部隊となる約280人が羽田空港に到着した。これにより派遣されていた約600人の全隊員の撤収が完了した。(25日)
●民間機利用に航空労組が抗議 陸自がクウェートから帰国する際に日本航空のチャーター便が使われたことについて、航空労組連絡会など3団体は額賀防衛庁長官、北側国土交通相あてに、「国際民間航空条約では『民間航空の乱用』を禁じている」として、民間航空機を利用しないよう申し入れた。(25日)

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週刊『前進』(2257号5面1)(2006/08/07)

 ともに帝国主義打倒の革命を

 マル学同に総結集し改憲阻止ゼネストへ

 中核派から全国学生に訴える

 全国の学生のみなさん! マルクス主義学生同盟中核派に結集し、帝国主義打倒に向けてともに闘おう。帝国主義体制の危機と破産は深まっている。帝国主義を打倒する労働者階級の世界的決起も完全に始まっている。いかに生きるのかが一人の例外もなく問われる時代だ。革命に生きることこそ最も階級的=人間的な生き方だ。何よりも、こんな腐りきった社会をどうしてこのまま放置できるだろうか。自分たちの手でこの社会を根本的に変革しよう。マル学同中核派の仲間となってともに未来を切り開こう。

 帝国主義の支配は完全破綻している

 マル学同中核派は訴える。第一に、生命力が尽き果て、体制として破産した帝国主義を、学生・労働者階級人民の力で今こそ打倒しよう。
 現代帝国主義は根本的に破産し、破綻(はたん)しきっている。基軸帝国主義・米帝は、空前の経常赤字・財政赤字にあえぎ、経済のバブル化によるのりきりも限界に達し、ドル暴落の危機に直面している。ドル暴落は29年型世界大恐慌を不可避とし、世界経済のブロック化と世界戦争に一挙に突き進む。米帝はイラク侵略戦争や米軍再編で積極的に軍事力による世界再分割に突入している。これが先制攻撃論に基づく米帝の世界戦争計画の本質だ。
 米国内では膨大な人民が明日の食事も保証されず、飢餓にあえいでいる(3千万人が慢性的食糧不足!)。医者にもかかれない無保険者が実に4千万人に上っている。国内で膨大な飢餓や貧困を抱えながら恥ずかしげもなく「自由」や「人権」を口実に世界中で戦争を拡大し延命しようというのが今日の米帝の姿だ。
 日帝も同じだ。累積赤字は国と地方を合わせて1千兆円を突破した。国債を含めた年間の国家収入の10倍以上、税収のみで言えば20〜30倍だ。まさに国家的破産だ。すべてが金融資本を救済するため湯水のように税金を投入してきた結果だ。小泉らは構造改革で、労働組合を解体し、社会保障を奪い、労働者階級人民の生活や未来すら資本の食い物にしている。労働者階級は生きることさえ許されないのか。
 こうした連中が裏で何をやっているのか。村上ファンド問題では、福井日銀総裁による濡れ手で粟(あわ)の大もうけが暴露された。ゼロ金利による民衆からの収奪で銀行に大もうけさせたうえ、その地位と権力を利用して私腹を肥やしていた。何と宮内オリックス会長ら小泉改革を先導していた資本家連中が続々と名を連ねていた。
 巨大資本が政治権力を買収し、資本に都合のよい政策をさせてぼろもうけする一方、労働者階級から労働も、賃金も、医療も、年金も、生きるために必要なすべてを奪い尽くす。政治家と資本家がぐるになって違法・脱法行為をやって巨額の利益を手中にしていた。
 こんなやつらが「痛みを伴う改革」だの「米百俵の精神」だのと扇動し、労働者階級人民がひたむきに生きようとすることにつけ込んで、生きるか死ぬかのぎりぎりのところにたたき込んでいる。それどころか、多くの人を殺している。もはやこんなやつらが支配者然としていること自体が許せない。
 しかも帝国主義は、こうした破産と腐敗を深めながら、さらに侵略戦争・世界戦争をやってでも延命しようとする。米軍の世界的な再編は、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争計画であり、世界戦争計画だ。日帝も、自衛隊を米軍と一体化させて市場・勢力圏の分割・再分割をかけてこの戦争に突入しようとしている。国家主義を扇動する小泉や安倍は、唯一それに活路を見いだしている。
 資本はあり余る生産力を産み出しながら、利潤の追求を生産の根本的動機としているがゆえに、その生産力は労働者階級の生活を豊かにするものではなく、恐慌や戦争という破壊力となっている。こうして矛盾を爆発させるのが資本主義であり帝国主義だ。
 こんな体制はもはや労働者階級の手によって根本から打倒されるしかない。帝国主義はすでにその命脈が尽きている。労働者階級の側から革命=権力闘争を挑む闘いがまだ明確にたたきつけられていないがゆえに延命しているだけだ。求められているのは、帝国主義の救済策を講じることではなく、帝国主義打倒の革命だ。マル学同中核派に結集し、われわれ自身の力で帝国主義に引導を渡してやろう。

 全世界で労働者の決起が始まった

 第二に、帝国主義を打倒する国際労働者階級の闘いがすでに開始されているということだ。06年改憲阻止決戦は、労働者階級人民による日帝打倒の闘いの始まりだ。
 06年通常国会は、共謀罪、教育基本法改悪案、国民投票法案、防衛庁「省」格上げ法案など本格的な改憲攻撃への突入であった。同時に労働者人民の壮大な階級的決起の幕開けとなった。小泉は昨年の衆院選で3分の2以上の議席を確保したにもかかわらず、これらの改憲法案を強行できなかった。国会前の闘いを先端とする労働者階級の存在と闘い、労働者階級の国際性、何よりもプロレタリア革命の現実性の前に小泉は恐怖し追いつめられた。
 年頭から都下の教育労働者が「日の丸・君が代」拒否の闘いに立ち上がった。これは都教委による強制を無力化させる勢いで爆発し、国家主義・愛国主義教育への大転換を狙う教育基本法改悪阻止の国会攻防の結集軸となった。動労千葉は春闘ストをぶち抜いて安全運転闘争を闘い、帝国主義の最大の矛盾・破綻点である安全問題を労働組合運動の柱にうち立てた。そして国鉄闘争を牽引(けんいん)し、階級的労働運動と国際連帯の要として団結を強化している。自治体、郵政などの職場・生産点での激突が改憲攻撃の前に立ちはだかった。
 米軍再編に対して、3・5沖縄3万5千人集会を先頭に、神奈川、岩国など全国で数千、数万人規模の闘いが次々とたたきつけられた。学生運動も、法大において学館破壊以来の積年の怒りがついに大爆発した。
 国際階級闘争も決定的段階に入った。学生が牽引し2波にわたる300万人デモ・全国ストに立ったフランス労働者階級、全米100カ所以上、数百万人がデモに立ちメーデーを復活させたアメリカ労働者階級、政府・資本との死闘を闘い続け17万人ゼネストに決起する韓国民主労総。そして国際プロレタリアートの先頭に立つ労働組合が、動労千葉の安全運転闘争に次々と連帯のアピールを発している。06年前半、かつてなく国際プロレタリアートの決起と日本の階級的潮流が結びつきを開始している。
 これらの闘いが全一体となって、改憲攻撃に突入する日帝を包囲し、追いつめた。労働者階級は国際的存在だ。その闘いも国際的だ。日帝は、6千万日本労働者階級が国際労働者階級の一翼として総決起する胎動、プロレタリア革命の現実性の前に追いつめられた。
 改憲阻止決戦が始まった。憲法改悪との闘いは、もはやこれまでのあり方では支配する能力を失い、根本から腐りきり、改憲という反革命クーデターで全社会を再編し、侵略戦争・世界戦争に突き進むしかなくなった日本帝国主義に対して、労働者階級人民の側から歴史的決着をつける闘いだ。世界史的には、国際的に行き詰まった帝国主義世界体制に対し、国際労働者階級と被抑圧諸国人民が一つの軍勢となって、世界史的スケールで帝国主義世界体制を打倒し、プロレタリア世界革命を切り開く決定的一環に位置する闘いだ。
 マル学同中核派に結集し、本気になって全国300万改憲阻止ゼネストの大爆発を実現しようじゃないか。それは日本革命・世界革命を切り開くとてつもなく巨大な闘いだ。マル学同が文字どおり先頭で歴史的決戦の突破口を開く時が来た!

 学生運動の爆発に日本革命の成否が

 第三に、学生運動とそれを牽引するマル学同中核派の建設が日本革命の成否を握っている。
(写真 6・15法大生1000人決起は全国300万学生に巨大な衝撃を与えた【法大市ヶ谷キャンパス】)
 まず、大学当局、資本、国家権力との大学支配権をめぐる攻防に学生運動が勝ちきるか否かが日本階級闘争の方向を規定する。今、大学をめぐって激しい攻防が闘い抜かれている。問われているのは、大学をブルジョアイデオロギー・侵略イデオロギーの生産の拠点にするのか、それとも労働者階級の解放=人間の普遍的解放の一翼を担うマルクス主義・レーニン主義と階級闘争の拠点にするのかということだ。
 戦後一貫して大学はマルクス主義の拠点であった。それを体現してきたのが戦闘的学生運動の存在と闘いだ。支配階級は、マルクス主義を武器に大学を拠点に闘う学生運動と階級的労働運動とが結合することを死ぬほど恐れている。だからこそ構造改革攻撃の決定的柱に大学改革をすえ、学生運動圧殺に全力をあげ続けてきた。戦前がそうであったように、国家や資本家のためにウソや虚構で侵略戦争を扇動し、「学徒出陣」で学生を戦場に差し出す大学にしようというのだ。
 しかし、こうした狙いはすでに破産している。何よりも法大決戦の爆発と全国の大学への波及だ。法大当局・警察権力一体となった弾圧を、1千人決起を先頭に大衆闘争の爆発に転じ、はね返した。それは全国の大学キャンパスに波及し、労働者階級の決起を鼓舞・激励した。大学を拠点に国会闘争の爆発をかちとった。
 全国の大学でマル学同が団結し、法大のような闘いを繰り広げたら、その瞬間帝国主義の支配は必ずや破綻する。全国300万学生の改憲阻止ゼネストはそういう闘いだ。マル学同に結集し帝国主義の度肝をぬく闘いを一緒にやろう。
 マル学同が政府や資本、大学当局や国家権力とガンガンやり合う中で戦闘的学生運動の爆発は必ずやかちとられる。この決起を根本で保証するものがマルクス主義の思想だ。労働者階級の闘いに学び、その解放の思想であるマルクス主義で武装しよう。
 『共産党宣言』第1章は「ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利は、いずれも不可避である」という言葉で締めくくられている。
 資本主義は現に今、恐慌と戦争という形で矛盾を爆発させている。資本家階級は支配する能力すら失っている。資本家が生産手段を独占することで労働力を商品化し、それを目いっぱい使いきって利潤を得る社会、人間の生き血を吸ってしか成立しない社会がいつまでも続くはずがない。
 他方で労働者階級は、資本主義と闘う国際的な一個の軍勢として連帯・結合を強めている。プロレタリアートの勝利は不可避であることを現実が示している。マルクスが言ったとおり現実が進行しているではないか。
 資本主義社会は幻想、ウソ、まやかしの社会だ。なぜなら、資本主義社会においては、「法の下の平等」という形で、政治的な関係においてはあたかも諸個人が平等であるかのように見なされる。しかし現実には資本家階級と労働者階級、賃労働と資本という搾取・被搾取、支配・被支配の関係が厳然と存在する。ここに資本主義社会の矛盾と限界がある。この階級関係こそ資本主義社会の真の姿である。もはや表面上の変革ではなく、この階級関係の根本的変革が問題なのだ。それができる階級こそ労働者階級だ。
 このように社会を認識したとき、革命に決起することが人間の最高の意識性の発露であり、きわめて人間的な闘いであることがはっきりする。同時に、今までどうせ変えようがないと思っていた社会を自分たちの行動で変革することができると確信がもてる。社会や歴史に主体的にかかわることができる。ここに、革命のためにはそれを目指す組織=革命党が絶対に必要であるという根拠があり、唯一の自己解放の道がある。一人ひとりが革命を目指して団結するという、これほど強固ですばらしい団結体があるだろうか。
 一国社会主義論をてこに世界革命を裏切り、労働者階級の国際性を否定し、労働者階級の決起を圧殺し続けてきたのが日本共産党などスターリン主義だ。マル学同こそ、反スターリン主義・革命的共産主義の旗のもと、資本主義を根本的に批判し打倒する革命的イデオロギーであるマルクス主義を、改憲阻止決戦の激突の中で復権しよう。
 革命の時代をものにするか否かは、私たち一人ひとりの決断と行動に託されている。マル学同の仲間、同志としてともに闘おう。8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争、8・15靖国闘争へ。今秋国会決戦と11月1万人決起へ進撃しよう。

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週刊『前進』(2257号5面2)(2006/08/07)

 米帝とイスラエル軍による レバノン侵略戦争許すな

 国連10施設を146回爆撃

 イスラエルがアメリカ帝国主義に全面的に支持されてレバノンとパレスチナ・ガザへの侵略戦争をエスカレートさせている。許しがたい暴挙だ。
 7月12日の空爆以来のレバノン側の死者は400人を超えた。イスラエル側の死者の10倍だ。レバノンを脱出した難民は80万人以上、レバノン人口の4分の1に上る。首都ベイルートはがれきの山だ。他方、6月27日夜のガザ空爆以来のパレスチナ人死者は140人以上になった。
 世界中がイスラエルの侵略戦争、人民虐殺を弾劾している中で、米帝だけがテロリストからの「自衛」と強弁してイスラエルの侵略戦争を擁護している。米帝の「即時停戦」拒否は、イスラエルのヒズボラ掃討作戦のための時間稼ぎだ。
 米帝とイスラエルの圧倒的な軍事力による侵略戦争、人民虐殺に対して中東―アラブ―ムスリム人民を始め世界のプロレタリアート人民が怒りの抗議に立ち上がっている。連帯して闘おう。
 イスラエルのレバノン侵略戦争は無差別化、凶暴化、長期化している。
 7月25日、イスラエル軍はレバノン南部にある国連レバノン暫定軍(UNIFIL)関連施設を6時間にわたり計16回、精密誘導弾などによる空爆で破壊、4人の停戦監視要員を殺害した。国連側の再三の中止要請を完全に無視して攻撃を続けたのだ。国連施設周辺ではヒズボラはまったく活動していなかった。イスラエルはヒズボラに対する「自衛」だと繰り返し主張してきたが、侵略戦争であることは歴然としている。
 国連によると、イスラエル軍は7月12日以来、レバノン南部にあるUNIFIL関連10施設に計146回も空爆し、うち16回が施設を直撃した。
 25日、アナン国連事務総長は国連施設攻撃・要員殺害への非難声明で「攻撃は意図的」と述べたが、イスラエルのオルメルト首相は「過失だ」と居直った。米英は26日、国連安保理で「早期停戦の要請」を削除したイスラエル非難議長声明案の採択を阻んだ。米帝は事実上、イスラエルのレバノン侵略戦争継続・拡大を促したのだ。
 イスラエルの狙いはレバノン南部の再軍事占領だ。イスラエルは1978年のレバノン侵攻以後、ヒズボラに敗北して撤退する2000年5月までレバノン南部を「安全保障地帯」と称して軍事占領していた。今回のイスラエルのレバノン侵略戦争はレバノン南部占領の邪魔になるヒズボラの壊滅あるいは弱体化、UNIFIL追い出しのために行われている。
 オルメルトは26日、レバノン南部に幅約2`の「安全保障地帯」を設立する計画を明らかにした。ヒズボラのロケット弾攻撃がイスラエル領内に届かないようにするための緩衝地帯だ。国際部隊が形成されなければイスラエル軍が管理することをも狙っている。

  ヒズボラ壊滅狙い戦争継続

 米帝とイスラエルは、ヒズボラを完全に壊滅するまで時間を稼ぎ、停戦合意を結ばない考えだ。
 イスラエル軍司令官は26日、「対ヒズボラ掃討作戦はなお数週間続く」と述べた。村々の攻略作戦が数百人のヒズボラ部隊の強力なゲリラ戦で行き詰まっているのだ。
 他方、ライス米国防長官は24日にイスラエルを訪問、オルメルトを激励し、「ヒズボラの武装解除、掃討が先決」「テロ撲滅こそ恒久的な根本解決策」と強調した。同日、ヨルダン川西岸ラマラでパレスチナ自治政府アッバス議長とも会い、ハマスの路線転換を求めた。
 ライスは26日にローマでレバノン問題国際会議に出席し、「即時停戦」を否定、「永続的で持続可能な停戦」以外は無意味だと強調した。会議は「永久的で持続的な停戦」「停戦実現へ最大の緊急性を持って行動」とどっちつかずにうたい、「国連安全保障理事会が承認する本格的な国際部隊を展開させる」ことで一致した。しかし、ライスは国際部隊の具体的な編成方法や停戦の道筋を決めさせなかった。
 イスラエルはライスが東南アジア諸国連合の地域フォーラム(マレーシア)から中東に戻る次週まで「自由」に戦争を激化させようとしている。
(写真 イスラエル軍による爆撃で破壊されたレバノンの首都ベイルートの南部地区【7月27日】)

 ガザでも無差別に人民虐殺

 イスラエルはガザ地区への侵攻もエスカレートさせている。7月26日、イスラエル軍は武装勢力掃討作戦と称して、子どもや母親ら民間人12人を含む計24人のパレスチナ人を虐殺した。過去2週間で最大の戦闘だ。
 イスラエルが人民を虐殺すればするほどハマス政権とヒズボラへの支持は高まる。イスラエルの2正面侵略戦争は行き詰まっている。米帝のイラク―アフガニスタン侵略戦争も泥沼化している。闘う中東人民と連帯して国際反戦闘争に決起し、帝国主義打倒―世界革命への道を切り開こう。

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週刊『前進』(2257号5面3)(2006/08/07)

 労働者は医療を奪われる

 3割負担で医者にかかれない

 〈投稿〉 関西・「障害者」 高見元博

 保険証取り上げここ数年で激増

 日本は国民皆保険と言われ一見すべての人が健康保険に入っているかのように思われています。しかし実態は全く違ったものです。
 7月4日付の朝日新聞に、保険料滞納者で受診を自己抑制させられ死に至らしめられた人が00年以降分かっているだけで21人いる、と書かれています。このショッキングな事態はなぜ生まれたのでしょうか。
 日本が国民皆保険と言われるようになったのは、61年に国民健康保険が社会保険に入っていない人全員を対象にしてからです。これには二つの動機があったと言われています。
 ひとつは高度成長期の労働者確保の必要からでした。高度成長期の大量生産時代、大量の労働者を確保する必要があり、労働者の健康問題も配慮せざるをえなかったのだと思います。もうひとつは労働者からの収奪でした。年金も当初は支払いがないわけですから収奪し放題でゼネコンをもうけさせていたのですが、健康保険もそういう意味合いがあったのです。
 今、リストラと賃下げの時代を迎えています。健康保険の会社負担は一人につき月3〜4万円かかります。資本家が非正規雇用化を進めているのにはその削減の意味合いもあります。
 非正規雇用の場合は会社の健康保険に入るのに条件があり、実際には入っていない人が多いのです。その結果、国民健康保険の対象者が増え、その国保料も払えない人が激増しているのです。
 国民健康保険に加入している世帯は全国で2440万世帯です(04年)。そのうち国保料を滞納している世帯は461万世帯で、全体の18・9%にのぼります。97年からは150万世帯も増えています(7年間で1・5倍)。
 国保料を1年以上滞納すると保険証を取り上げられ、代わりに「資格証明書」を発行されますが、その世帯は30万を超えています(97年からは5倍)。また、滞納のために正規の保険証に代わり短期保険証を発行されているのは105万世帯です。
 政令指定都市では取り上げが集中し、滞納世帯のうち41%が資格証明書もしくは短期保険証にされています。00年に保険証取り上げを国が政策化したためです。

 低所得者に対し3割負担が直撃

 都道府県により違いますが、資格証明書の人が医者にかかる回数は一般の人の30分の1から90分の1で年1回にもなりません。医療費が全額払いだから医者にかかれないのです。資格証明書の人は受診時に全額を支払い、あとで7割を返還されるという建前です。しかし、そもそも国保料も払えない人が全額を用意できるはずもなく、また返還されるという7割から滞納分が引かれますから実際には戻ってきません。
 さらに保険証のある人でも3割負担が払えずに医者にかかれない人も多くいます。国保に加入している1世帯あたりの平均所得は198万円です(00年)。無職の人の比率は51%と半数を超えています(02年)。所得100万円以下の世帯が48%です。そのうち所得なしは27%です。これでは医者にかかれません。
 「障害者」には医療費を5%か0%にする減免制度がありましたが、「障害者自立支援法」の中の自立支援医療によって法の対象者は原則1割負担、その他は3割負担ということになりました。それだけでも医者にかかれない人が激増します。
 日本経団連は、05年版の経労委報告で「非正規雇用化を推し進めよ」とか「工場法的(19世紀の女工哀史時代以後の)労働者保護を廃止せよ」と宣言し要求しています。そうなれば保険料を払えない人、医療費を払えない人の数は激増します。まさに労働者は医療を奪われていくのです。労働者は生きていくためには小泉=御手洗(奥田)体制を打倒するしかありません。

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週刊『前進』(2257号6面1)(2006/08/07)

団結ひろば 投稿コーナー

 『ルポ解雇』島本さんを招き地域で講演会 北大阪労組交流センター 桑原 晶

 私たちは、昨年12月の総会で、年2回北大阪労組交流センター主催で、北大阪地域で集会をやろうと決めました。
 北大阪労組交流センターを名乗りながら、ビラの発行団体としては、一定知られていても一体どんなことをやっている労働団体なのか。地域の多くの労働組合・労働者に見えていない、そんな思いから、北大阪地域で何年ぶりかで集会を取り組みました。
 『ルポ解雇』(岩波新書)を出されたノンフィクション・ライターの島本慈子さんを講師に招いた集会と決めました。
 島本さんは「自分も戦後世代で、戦争の具体的内容をどれだけ話せるのか。『若い世代』の戦争についての意識とそんなに変わりがない。自分たちがまだまだ知っていない戦争の多くのことを知り、その内容を『若い世代』に語るならば、戦後世代の自分がそうだから彼らも反戦の気持ちを高めていくのではないか」と、私たち交流センターが、多くの青年労働者と戦列をともにするための貴重な考えを語ってくれました。(写真)
 島本さん自身、このまだまだ知られていない戦争の生の写真、いつの間にか労働者もこの戦争に組織されていく構造(兵隊・軍隊だけでなく)などを、7月20日出版の岩波新書『戦争で死ぬ、ということ』で丹念に書かれています。
 本当に、戦争反対・改憲反対の闘いは、私たち労働組合と若者にかかっています。これからが本番です。職場で地域で闘いを。

 街頭署名の時に必ず『前進』購読勧めよう 東京 前島進一

 私はこの間、9条改憲反対の街頭署名活動を行いながら『前進』を販売してきました。
 7月中旬の都内C駅でのことです。3時間弱で署名は41筆でした。署名に応じた人できちんと話を聞いてくれた人すべてに『前進』を広げ、「改憲阻止を訴えている新聞です。読んでみてもらえませんか?」と購読を勧めました。この日は6部販売。10代から50代と各世代にわたっていました。改憲に対する危機感は広く存在していることの表れだと思いました。
 「改憲を阻止するために何かしたい、しかし何をしたらよいか分からない」――このような人々が多数存在するにもかかわらず、どこの政党も具体的な行動を提起していない、これが現状ではないでしょうか。だから具体的な行動を訴えている『前進』に興味と関心を持ってくれたのです。
 署名に応じてくれた人には、世代にかかわらず、必ず『前進』を広げて「読んで欲しい」と訴えることが大切です。この時に、何の躊躇(ちゅうちょ)も必要ないし、すべきではないと思います。仮に共産党などの他党派支持者であっても、です。むしろ、共産党支持者であったならなおのこと改憲阻止の一大統一戦線の必要性を訴えるべきでしょう。戦争と改憲情勢に多くの人が危機感をつのらせ、具体的な行動を欲していることを強く感じています。

 川崎で『正義なき国』出版を祝う会を開催 神奈川 野田利一

 7月1日、川崎市で東京都国籍任用差別裁判を闘った鄭香均(チョンヒャンギュン)さん編著『正義なき国−「当然の法理」を問いつづけて』の「出版を祝う集い」が開かれ、百人以上が参加しました。
 記念講演は『釜ケ崎と福音』を出版された本田哲郎神父。大阪の釜ケ崎で野宿労働者の支援を行っている本田さんは、福音とは「人権」「反差別を生きる」であり、教会がいま歩み寄りとすりあわせをしていることを根底的に批判しました。
 川崎市長は「外国人は準会員」と発言、謝罪も撤回もしていません。多くの組合や市民運動体も問題にしていないようです。本田さんの話はこうしたあり方への痛烈な批判でもあると思いました。
 4月から三宅島に異動した鄭さんは、最高裁判決(05年1月26日)について「外国籍者の問題ではなく日本国籍者自身の問題であるにもかかわらずそのことが理解されていない」と訴えました。
 1974年就職差別裁判に勝訴して日立に就職した朴鐘碩(パクチョンソク)さんは、勤続30年以上です。組合委員長選挙に立候補している朴さんは今年、春闘交渉を傍聴したことが組合の統制を乱した(?!)とされ、統制委員会に召喚されたと報告。「孤立を恐れずに同化と抑圧に抵抗して人間性を主張し求めていきたい」と語り、大きな拍手が起こりました。
 鄭さん、朴さんは同胞や市民運動体からも支援されないところから闘いを貫きました。同じ職場で働く労働者の労働条件や人権が侵害されていることを労働組合の正面課題として取り組んでいくことが死活的になっているのではないかと痛感した集いでした。

 8・6広島に向けてイラク医師迎え集会 岡山市 本原太郎

 7月16日、百万人署名・岡山の呼びかける8・6ヒロシマに向けた集会に参加しました。約30人が参加し、イラクの医師ハナ・アルサドゥーンさんが講演しました。
 ハナさんは、湾岸戦争とイラク戦争で使用された劣化ウラン弾によって、以前と比べると数十倍も「障害」をもった子どもが生まれてくること、「多くの赤ちゃんが、母親の横に寝かせても生まれてすぐに死んでしまう」と訴えました。また、米軍によって多くの市民や子どもたちが殺されていることを弾劾し、「米軍がイラクにいる限り、私たちに平和はない」と訴えました。
 今年4月から半年間広島大学医学部で研修中のハナさんは、8・6ヒロシマ大行動でもアピールし、5日の国際連帯集会ではスライド上映をしながらイラクの詳しい現状を報告される予定です。
 私は、「61年前の8月6日から広島で起こったことが、今、イラクでくり返されている。『2度と戦争はしない』という憲法9条が変えられ北朝鮮で劣化ウラン弾や核兵器さえ使われようとしている。絶対とめなければならない」と決意を新たにしました。
 18日には津山でも集会が行われ、8・6ヒロシマ大行動に向けて週2回の街頭宣伝も行われています。岡山からは今年も
観光バスで参加します。

 米海軍イージス艦の境港入港を許すな! 山陰 鳥山 雪

 7月18日午前9時、大雨洪水警報の中、鳥取県・境港にイラク人民を殺したイージス駆逐艦ジョン・S・マッケインが黒い姿を現した。早朝より境港への米海軍イージス駆逐艦入港に反対する実行委員会(自治労・県教組・高教組・全港湾・護憲フォーラム加盟団体ほか、百万人署名運動山陰連絡会も参加)と島根・山口・岡山・広島から結集した労働者・市民150人が怒りのこぶしをあげた。(写真)
 豪雨の中、「イラク人民を虐殺したマッケインは帰れ!」「境港を軍港にしないぞ!」とシュプレヒコールが飛び交う中、百万人署名運動・山陰連絡会は、ビラを配布し集会に参加した。
 当初入港が通告された7月2日にも、労働者・市民130人が抗議集会をもった。
 「ミサイル発射」を口実に「北朝鮮脅威論」が声高に騒ぎ立てられているこの時、鳥取県の商業港であり漁港である境港への米イージス艦入港は何を意味するか。境港市にある空自美保基地は西日本唯一の輸送機部隊が所在する基地で、「米子空港」と「美保基地」の二つの名称をもつ民間との共用施設である。北側には「象のオリ」と呼ばれる美保通信所があり、防衛庁の直轄で陸・海・空の自衛隊員の混成チームで電波傍受をしている。
 すでに山陰・境港は、米軍再編、北朝鮮・中国に対する臨戦体制が敷かれていると言っても過言ではない。

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週刊『前進』(2257号6面2)(2006/08/07)

 婦人の団結で5万人建設へ 全国連が婦人部大会

 部落差別への怒りを力に

 部落解放同盟全国連合会婦人部第15回大会が7月22〜23日、栃木県の鬼怒川温泉で開かれた。茨城県連を先頭に全国連の婦人と共闘の労働者ら180人が集まった。
(写真 茨城のアンケート結果を熱心に討論【7月22日】)
 主催者あいさつで全国連中央本部の楠木吉秀事務局長は、「小泉政治のもと法律も何もない時代の解放運動について、婦人の熱心な討論で『光が見えた、よしこういう方向だ』と思える大会にしよう」と呼びかけた。
 北浦寿恵子婦人部長が「いよいよ全国連の時代がやってきた。婦人が変われば部落は変わる。5万人建設達成へ団結してがんばりましょう」と力強く呼びかけた。大会準備の大任を果たした茨城県連の中川せの婦人部長は歓迎を表明した。
 来賓あいさつは北富士忍草母の会の天野美恵事務局長と全国労組交流センター女性部の大野由美子事務局長。天野さんは「石川さんが無実をかちとるまでは私は死にません」と全国連への共感を語った。
 大野さんは今春の闘いを振り返り「根強い抵抗の前に小泉も数の力では押し切れなかった」と指摘し、「婦人部と気持ちをひとつにして闘いたい」と決意表明。新城せつこ杉並区議、婦民全国協代表の西村綾子相模原市議からのメッセージが紹介された。
 狭山第3次再審闘争アピールに立った狭山支部の井田一郎書記長は、「狭山闘争の原点に戻ることが重要。(事件直後の)部落の青年たちの取り調べ状況を明らかにし、国家権力の差別犯罪に迫る」と語った。
 メイン企画は「茨城のアンケート調査と婦人の組織化」をめぐるパネルディスカッション。
 初めに茨城県連の井橋昌夫事務局長が、茨城の部落の特色を紹介した。農村地帯の少数点在の部落であること、土方・ひとり親方が多く、婦人は草履づくりや30〜40`もの野菜、米、乾物などを背負って東京方面に売りに行く「しょいだし」をして一家を支えてきた。
 「部落差別を受けたことがある、あるいは身近にあった」と答えた人は全体の6割。20〜30代でも約5割が差別体験ありと回答している。結婚や職場での差別が横行しているのだ。「実際には差別体験はほぼ100%だろう。抱え込まれた差別への怒りはある。この気持ちと結びついた運動が求められている」と井橋さん。生活要求では医療・介護、仕事がない、教育や借金返済など、茨城の婦人は「部落差別の現れだということが身にしみてよくわかった」と語った。
 差別発言をした相手にその場で全国連の運動や部落の起こりを話して説得、謝らせたというケースもあった。婦人部での活動の成果だった。
 中央本部の中田潔書記長が「差別に対する怒りは解放運動のエネルギー。要求と差別への怒りをしっかりと結びつけて闘おう」と助言した。
 最後に岩崎喜子事務局長が「なんで苦しいか。小泉改革のせいだ。怒りを組織していこう。憲法や教育基本法の改悪、戦争への動きを絶対に止めよう」とまとめた。
 夜の交流会は、婦人部大会の真骨頂。交流し、楽しみながらエネルギーは充電されていった。
 2日目は三つの分散会に分かれて、アンケートと婦人の組織化についての討論を深めた。
 再び全体集会となり、満場の拍手で全議案を一括採択した。そして新役員が前に並び、北浦婦人部長(再選)が「どんなにしんどくても差別は、政治は待ってくれません。頑張りましょう!」と呼びかけた。「狭山第3次再審闘争に勝利する決議」など三つの決議を採択して意気高く2日間の大会をかちとった。

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週刊『前進』(2257号6面3)(2006/08/07)

 狭山再審 要請行動を再開

 高検は担当検事が出席

 7月13日、部落解放同盟全国連合会と解放共闘は、東京高裁と東京高検に対して狭山要請・糾弾行動を行った。5月23日の再審請求をもっていよいよ開始された第3次再審闘争を受けて、新たな要請行動の第1回目だ。
 東京高裁は、第4刑事部・仙波厚裁判長が担当することとなった。また東京高検は当初山川検事が担当だったが、1カ月もたたないうちに矢野元博検事に交替した。この日の要請行動には矢野検事が初めて出席した。
 要請に先立って開かれた集会では、全国連中央本部が「狭山闘争の原点に戻って、いわば仕切り直しとしてやりぬこう」と、この日の行動の意義を提起した。
 さらに「全国連の手で70年代を超える300万部落大衆の総決起を実現し狭山闘争の勝利を、第3次再審でこそ実現しよう」「必ず再審は実現できる。無実の石川さんを犯人にデッチあげた国家権力の差別犯罪はまだほとんど明らかにされていない。まだ裁かれていない。証拠も検察によって隠されたままだ。この全貌(ぜんぼう)を法廷の場に引きずり出し徹底糾弾することこそ、第3次再審闘争の基軸だ」「法廷の枠を超えた大衆的糾弾闘争こそ勝利の力だ。石川さんと部落大衆、労働者大衆が力をあわせて、国家権力による差別犯罪を裁こう」と第3次再審闘争の方向と勝利の展望を提起した。
 要請行動では高裁、高検のそれぞれの狭山事件担当者に、第3次にあたってどのような立場と体制で要請を受けていくのか、また引き継ぎなどどうなのかをただしつつ、事実調べと再審開始を要請し、行動を終えた。
(写真 東京高裁に向かってシュプレヒコールをあげる解同全国連と部落解放共闘【7月13日】)

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週刊『前進』(2257号6面4)(2006/08/07)

紹介  『共産主義者』149号

 「党の革命」徹底推進へ 榊原論文

 「靖国思想」を批判する 柏木論文

 北朝鮮のミサイル発射を口実に、米日帝による経済制裁発動と排外主義が激しく扇動されている。小泉の後継と言われる安倍官房長官は、「敵基地攻撃の検討・研究は必要」と侵略戦争策動を声高に主張している。既成の政治勢力はおしなべて、日米帝による戦争重圧には口をつぐみ、「北朝鮮バッシング」に唱和しているありさまだ。「労働者の団結で帝国主義を倒し、戦争を止める」ことに確信をもった本物のマルクス主義の実践だけが、これからの激動情勢を切り開きうる。
 フランスで、イギリスで、韓国で、労働者が壮大な規模で立ち上がっている。日本においても6千万労働者階級が本格的決起を開始している。これに対応して、革共同が自己の「壁」を突破し、労働者党として本格的に飛躍することが必須の課題となっている。

 動労千葉の運動

 巻頭の榊原論文は、この「党の革命」のテーマに真正面から取り組んだ。この間の党内論議から、重要な論点が4点にわたって抽出されているが、ここでは、3全総から新指導路線に至る革共同の闘いにおける動労千葉労働運動のもつ意義を強調したい。今日、反合・運転保安を闘い国際連帯を切り開いている動労千葉労働運動の意義は誰にとっても明らかである。それは、革共同がファシスト・カクマルとの熾烈(しれつ)な内戦をとおして「自らの分身」として防衛しぬく中で、ともにかちとった階級的労働運動の精華である。つまり、「革共同の労働運動の実践は、動労千葉労働運動のなかに結晶している」。こうした趣旨から、新指導路線の実践を強く訴えている。11月労働者1万人決起へ、必読の論文だ。

 侵略戦争と靖国

 「靖国A級戦犯合祀に昭和天皇が不快感」報道が政界を揺るがしている。この時期にタイムリーに出された柏木論文を勧めたい。「分祀」論・「新追悼施設」論など一見もっともらしい主張は、本格的な侵略戦争を前にした支配階級の動揺と分裂からくるのりきり策でしかないと、切れ味鋭く暴いている。これまで、ともすればアジア人民や宗教者の闘いとしてとらえられがちだった靖国問題を、労働者階級を主軸とした改憲決戦の正面テーマとして骨太に論じきった。
 靖国攻撃は、国家暴力そのものであるがゆえに確かに凶暴な攻撃だ。しかし、しょせんは敗戦帝国主義として一度は破産した攻撃であり、「日の丸・君が代」被処分者の闘いに込められた労働者魂でこっぱみじんに粉砕できるという、確信と勇気がわいてくることうけあいだ。

 闘う最前線から

 教労論文・国鉄論文・共謀罪論文の3本は、いずれも闘いの最前線からの生き生きとしたアピール。とりわけ、関西の国鉄現場からの報告は、現場労働者が手がけ、ひと味ちがったものに仕上がっている。共謀罪論文は、「治安維持法以上の悪法」の正体をわかりやすく暴き、臨時国会での廃案を強く訴えている。
 ヒロシマ・ナガサキ闘争論は、「労働者階級にとってヒロシマ・ナガサキとは」の原点から説き明かし、改憲決戦の主戦場として被爆61年目の夏を闘おうと呼びかける。
 「立ち上がる世界の労働者」として、2本のドキュメントを掲載。戦争と大資本攻勢に対して、米仏の労働者階級はいかに数百万人の決起を実現して反撃しているのか。そこにおける排外主義との闘い、帝国主義的労働運動との対決、学生の先進的役割……。具体的な描写なので気軽に読め、しかも貴重な教訓を必ず学び取れるはずだ。
 次号150号をもって『共産主義者』は全面的にリニューアルされる。プロレタリア自己解放の思想を体現する理論機関誌として、「特集」などの企画性を強め、闘いの前線からの熱い息吹を凝縮したものへとレベルアップしていきたい。全国の仲間からの感想、批判、積極的意見をお待ちしています。

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