ZENSHIN 2006/08/28(No2259 p06)

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第2259号の目次

靖国神社へと肉薄 青年労働者と学生のコールがデモ全体を力強くリードし、沿道から途中参加者も続出した(8月15日 外堀通り)

1面の画像
(1面)
8・15小泉靖国参拝をデモで痛撃  “参拝強行はアジアへの宣戦布告”
韓国・民主労総の代表とともに 厳戒態勢を打ち破る(8月15日)
記事を読む  
三里塚 県農業会議にデモ  「農地強奪」議題にさせず(8月11日) 記事を読む  
改憲を「政権公約」とする安倍  9条改憲阻止の大決戦へ 記事を読む  
(2面)
青年労働者先頭に被爆地から戦争反対・改憲阻止の熱気とうねり 被爆61周年 広島・長崎
ヒロシマ大行動に3千人  “9条を変えるな”の叫び
反戦反核運動 新たな発展へ(8月6日)
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職場闘争が団結の源泉
青年労働者が交流集会 11月1万人結集へ決意(8月6日)
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国際連帯広がる  中・韓・イラクから参加(8月5日) 記事を読む  
教労先頭に産別集会  “職場を組織し11月へ”(8月5日) 記事を読む  
“小泉の来広許さぬ”  デモで祈念式典参加弾劾(8月6日) 記事を読む  
レバノン侵略に抗議し座り込み(8月5日) 記事を読む  
(3面)
青年労働者先頭に被爆地から戦争反対・改憲阻止の熱気とうねり 被爆61周年 広島・長崎
8・8長崎 九州の闘う陣形を築く  反戦集会が画期的な高揚(8月8日)
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右翼の妨害おしのけ 小泉弾劾に立つ  8・9 式典出席許さない(8月9日) 記事を読む  
“核と戦争許せない”  8・6 被爆者解放集会開く(8月6日) 記事を読む  
“帝国主義倒そう”  学生集会に多数の初参加者(8月5日) 記事を読む  
“原子力空母の配備撤回せよ”
横須賀に労働者3千  市長のだまし討ちに怒り(8月12日)
記事を読む  
〈焦点〉 レバノン停戦決議  米帝の世界戦争に反撃を 記事を読む  
(4面)
改憲阻止へ闘う組合員の大登場を  8・24〜25自治労大会へ
民主支持・政労協議路線許すな 現場の怒りで翼賛状況つき破れ
革共同自治体労働者委員会
記事を読む  
労働者学習センターが新刊
『教育基本法改悪と戦争国家 取り戻せ!闘う日教組』
記事を読む  
三里塚 8・21「公聴会」粉砕へ  北延伸着工狙うアリバイ 記事を読む  
自治体労働者は改憲・民営化と闘う  (5) 危機に立つ自治労連
「全体の奉仕者」と規定  日本共産党路線に未来ない(伏木紀夫)
記事を読む  
2006年日誌 8月2日〜15日
小泉が8・15靖国参拝を強行  イラク派兵「基本計画」変更
記事を読む  
(5面)
戦争阻止へ国際連帯 8・15労働者市民の集い
“靖国・改憲と闘う”
韓国・民主労総の代表と共に 小泉への怒り爆発(稲田 宏)(8月15日)
記事を読む  
「象のオリ」の土地奪還  知花さん囲み喜びの集い(8月1日) 記事を読む  
9・14〜16 300万学生は 全学連第66回定期大会へ
全学連中央執行委員会 委員長 織田 陽介
記事を読む  
均等法制定から20年 女性労働者の現実
激増する派遣・パート  賃金差別の実態は変わらず(藤田奈津子)
記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
 8・6大行動にむけ分会回りキャラバン 広島・教育労働者 S
 同僚が突然の辞職へ怒りを職場の団結に 医療・福祉 間 黒男
 化けて出ろ、時計台で首をつった課長よ 牧師 望月文雄
 「セーフティネットで格差緩和」のペテン 山口 修
記事を読む  
障害者自立支援法 10月全面施行阻もう
撤廃へ「障害者」の総決起を〔関東「障害者」解放委員会〕
記事を読む  
杉並 作業所閉め大集会  「障害者自立支援法」全面実施に異議
若い職員が結束し立つ(投稿/山野由実 全国労組交流センター医療福祉部会)(6月5日)
記事を読む  
共謀罪を廃案に!  関東学院大学教授 足立昌勝さんの講演
決意を処罰し運動を弾圧(7月21日)
記事を読む  

週刊『前進』(2259号1面1)(2006/08/28)

 8・15小泉靖国参拝をデモで痛撃

 “参拝強行はアジアへの宣戦布告”

 韓国・民主労総の代表とともに 厳戒態勢を打ち破る

靖国神社へと肉薄 青年労働者と学生のコールがデモ全体を力強くリードし、沿道から途中参加者も続出した(8月15日 外堀通り)

 8月15日、小泉首相は靖国神社参拝を強行した。任期最後の「靖国予告登場」は、過去の侵略戦争、帝国主義戦争を居直るだけでなく、日米枢軸をもとに新たな侵略戦争に突入することを内外に宣言する攻撃だ。日本労働者階級とアジア人民に屈服を迫るものだ。この暴挙を弾劾する300人のデモが、厳戒態勢を破って靖国神社に肉薄した。(関連記事5面

 アジア人民の怒りと連帯し

 午前7時45分、頭上を旋回するヘリの爆音がひときわ大きくなった。法政大学正門前の外濠公園に続々と結集する人びとは、怒りに満ちて拳を固めた。「いま小泉が参拝に訪れたところか。絶対に許せない!  厳戒態勢もろともデモでぶっ飛ばしてやる」
 8時から反戦共同行動委員会が呼びかける集会が、都政を革新する会の北島邦彦事務局長の司会で始まった。全学連の織田陽介委員長が冒頭に発言に立った。「小泉の参拝に腹の底からの怒りを爆発させよう。アジア人民の靖国糾弾の闘いにわれわれはどう答えるか。A級戦犯を分祀することではない。大学を侵略翼賛の場にするか、革命の拠点にするかが問われている。帝国主義を打倒しよう」
 続いて韓国の民主労総ソウル本部の2人の労働者が紹介され発言に立った。イジェヨンさん(ソウル本部首席副本部長)は「小泉が本来やるべきことは労働者の生活を作り出すことではないのか。ところが彼はかつて日本帝国主義が行った戦争を繰り返そうとしている。民主労総70万組合員は怒っている。退任しても責任を問い続けよう。靖国反対!」と訴えた。
 拳を振り上げてのコールに参加者全員が唱和し、大きな拍手がわき起こった。
 さらに東京労組交流センター、部落解放同盟全国連合会、婦人民主クラブ全国協議会の各代表が怒りの発言に立った。
(写真 集会で民主労総の発言に聞き入る【法大正門前】)

 今日の闘いを1万人決起に

 参加者一同の決意が最高潮にみなぎる中、東京反戦共同行動委の三角忠さんの行動提起をもって、デモに出発した。民主労総と動労千葉の田中康宏委員長、織田全学連委員長、相模原市議の西村綾子さんが「北朝鮮侵略戦争阻止、8・15靖国神社包囲デモ」と大書された横断幕を掲げ先頭を歩いた。青年労働者と学生の力強いコールが全体をリードし、パーカッション部隊のリズムがデモの勢いを促進した。一人ひとりが自分の怒りをゼッケン、ボード、プラカードなどで示した。
 この迫力の前に、日ごろは妨害や挑発をくり返す私服公安刑事らも歯がみしながら見守るだけで、一指も触れることができない。沿道からの声援を受けながら、デモは「参拝弾劾! 小泉打倒!」の叫びを靖国神社周囲にとどろかせた。
 デモ解散地点で再び織田委員長がマイクを握った。「日本の代表は小泉じゃない。われわれだ。この300人が1万人になる。これが決戦であり、ゼネストであり、革命だ。改憲阻止闘争を全力で闘い、11月1万人決起を絶対に実現しよう」
 最後に三角さんの音頭で団結ガンバローを行い、圧倒的勝利感をもって靖国参拝弾劾闘争をやり抜いた。

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週刊『前進』(2259号1面2)(2006/08/28)

 三里塚 県農業会議にデモ

 「農地強奪」議題にさせず

 市東孝雄さんの農地をNAA(空港会社)が強奪することに「お墨付き」を与える論議や決定を絶対に許さない! 
(写真 「市東さんの農地を奪うな」と干葉市内デモ【8月11】)
 8月11日、三里塚芝山連合空港反対同盟の呼びかけで千葉県農業会議に対する包囲闘争が闘われ、反対同盟を先頭に180人の労農学が結集した。結果として堂本知事はこの件をこの日に諮問できず、会議の議題にすることを阻止した。
 午前9時、千葉市のよし川公園で集会が始まった。冒頭、反対同盟事務局長の北原鉱治さんが怒りを込めて発言した。「祖父の代から90年耕作してきた土地を空港のために明け渡せとは、市東さん一家に死ねと言うことだ。堂本知事はそれに加担するのか」
 続いて市東孝雄さんが、「収用法で取れないから農地法で取る、こんな暴挙を絶対に許さない」と決意表明した。
 葉山岳夫弁護士、動労千葉の滝口誠さんの発言の後、事務局次長の萩原進さんの「7〜8月の闘いで北延伸を粉砕しよう」との発言を受け、市内デモに出発した。
 「知事と農業会議は申請を却下せよ」と宣伝カーから伊藤信晴さんの声が力強く響き渡り、横断幕、プラカード、ヘルメットのデモ隊が注目を集めた。
 反対同盟は直ちに千葉自治会館での農業会議常任会議の傍聴に入った。会議中も会場周囲で同盟宣伝カーがアピールを続け、支援がビラをまき、道行く人に訴えた。正午前、会議が終了した。「堂本知事の諮問なし、議題に上らず」という結果がもたらされ、一同が緒戦での勝利を確認し拍手が起きた。
 弁護士会館で記者会見が開かれ、葉山岳夫弁護士が詳しい説明を行った。空港公団(現NAA)が旧地主から土地を買収しながら耕作者である市東さんに知らせず、登記もせず、18年後の今になって空港用地への転用などと言い出したこと、さらにNAAが出した申請書では畑の位置の特定が耕作の実態とまったく違っていることなどを暴き、買収自体が違法で無効であると断じた。このでたらめなやり口に記者の質問が集中した。
 さらにその場で総括集会がもたれた。関西の永井満さんが「審議を聞いていたが、農業が軽んじられていることを実感した。反対同盟の『農地死守』の意義をあらためて確認した」と述べ、9月28日に関西実行委が三里塚集会を開くことを明らかにした。本部役員の鈴木幸司さんが「一人ひとりが市東さんに成り代わって闘おう」と檄を飛ばした。
 最後に萩原進さんが「こんな暴挙がまかり通ったら日本全国の農民の怒りに火がつく。全国の心ある人びとを味方につけ北延伸攻撃を粉砕しよう」と奮起を呼びかけた。
 次回農業会議は9月14日。さらなる包囲で申請の却下に追い込もう。8・21「公聴会」粉砕現地闘争に決起しよう。
  (4面に呼びかけ
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 暫定滑走路北延伸「公聴会」粉砕
 8・21現地闘争

8月21日(月)午前9時成田市東峰の開拓組合道路(市東さん方南側)に集合。同市寺台の成田国際文化会館近く(関戸橋の土手)へ移動しデモ
主催/反対同盟

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週刊『前進』(2259号1面3)(2006/08/28)

 改憲を「政権公約」とする安倍

 9条改憲阻止の大決戦へ

 ●小泉参拝は日帝の危機と絶望的凶暴化

 8月15日、小泉は日本と韓国・中国を始めとする全アジア、全世界の人民の怒りを踏みにじり、靖国神社参拝を強行した。これは、一方で日帝のすさまじい危機の表現である。同時に北朝鮮・中国侵略戦争、新たな15年戦争への宣言であり、歴史的な重大事態だ。
 この許し難い暴挙に対し、日帝権力の超厳戒態勢を打ち破り、小泉の靖国参拝を痛撃する怒りの戦闘的デモが闘いとられた。青年労働者と学生を先頭に、韓国・民主労総ソウル本部の代表を迎えて、徹底弾劾闘争が断固としてうちぬかれた。
 今日、イラク侵略戦争の泥沼的危機にあえぐ米帝ブッシュは、イスラエルを先兵としてガザ侵攻とレバノン侵略戦争を強行し、世界戦争へと絶望的にのめり込んでいる。こうした情勢の中で危機を深める日帝は、日米枢軸のもと、アジア再侵略戦争に帝国主義の延命を求め、戦争と改憲と民営化(労組破壊)の攻撃を極限的に強めている。小泉の靖国参拝は日帝の危機と凶暴さの表現であると同時に、歴史的な侵略戦争攻撃そのものだ。
 7・30東西政治集会で革共同は、今秋11月1万人総決起の決意を固め、8・6ヒロシマ―8・9ナガサキ反戦反核闘争を大成功のうちにともに闘いとり、そして8・15靖国闘争を断固として貫徹した。ここからさらに8・24〜25自治労大会をめぐる決戦に決起しよう。9条改憲阻止と4大産別決戦勝利の闘いを柱に、今秋臨時国会闘争から11月1万人総決起へ力強く前進しよう。

 ●安倍晋三は「つくる会」派の極右政治家

 国内政治情勢は9月20日の自民党総裁選に向け一斉に動いている。自民党内は安倍晋三支持へ雪崩をうっている。
 小泉は安倍支持を鮮明にし、事実上の「小泉院政」のもとで小泉=奥田路線を継承させ、戦争・改憲と民営化の構造改革路線を推進しようと動いている。こうした中で労働者階級人民が、安倍と「安倍政権」の正体、ならびに政策路線を暴き、今からそれと徹底対決して闘いぬくことが、きわめて重要である。
 安倍晋三は現在52歳、自民党内でも極右に位置する政治家だ。祖父の岸信介は、デッチあげ「満州国」の革新官僚(ファシスト)として実権を握り、新興財閥・日産コンツェルンと結託して巨利をむさぼり、東条内閣の商工大臣としてアジア・太平洋戦争を主導した人物だ。戦後はA級戦犯として逮捕されたが不起訴釈放となり、その後、首相として60年安保改定の攻撃を強行した極右政治家である。
 この岸の体質と思想・信条を受け継いだ安倍は、現在は官房長官だが、政治的には天皇制攻撃の最先端にある「神道政治連盟」に所属し、札つきの反共団体・統一教会との密接な関係もある。また根っからの「つくる会」派で、靖国参拝推進派である。何よりも拉致問題、北朝鮮ミサイル問題での反革命的突出が示すように、露骨な対北朝鮮強硬派、戦争・改憲攻撃推進派だ。
 日本軍軍隊慰安婦問題を取り上げた01年のNHK教育テレビ番組「問われる戦時性暴力」改変のための政治介入など、極右の立場からの政治的行動を繰り返してきた。
 安倍は9月1日に、「憲法改正」方針を盛り込んだ政権公約を発表する。これが示すように日帝は安倍政権で改憲を断行しようとしている。

 ●改憲政権が戦後史に登場する重大情勢

 安倍は、総裁選に向けて出版した『美しい国へ』で、「自主憲法の制定」という日帝本来の第一の目標が後回しにされてしまったと嘆き、憲法9条について、「我が国の安全保障と憲法との乖離(かいり)を解釈でしのぐのはもはや限界」と言い、9条はそもそも「独立国の要件」を奪うものだと敗戦帝国主義からの脱却を主張している。『文藝春秋』9月号では「闘う政治家」として自己を押し出し、「この国のために命を捨てる」と粋(いき)がっている。帝国主義「列強」の一員として侵略帝国主義へと国家の統治形態を転換し、再び帝国主義侵略戦争―世界戦争の道に突き進む、命をかけると言っているのだ。
 この安倍が自民党の新憲法草案を押し立て、改憲のための国民投票法案の制定に全力をあげること、同時に教育基本法改悪に全力をあげてくることは必至だ。
 安倍は、教基法に対しても一貫して反革命的憎悪をたぎらせている。ライブドア事件を引き合いに出して「ライブドア事件の原因は規制緩和と言われるが、教育が悪いからだ」とこじつけ、長崎県佐世保市での小学6年生の殺人事件についても「大切なのは教育だ。子どもたちに生命の大切を教え、この国、この郷土の素晴らしさを教えていくことが大切だ」と言い、だから教基法を改正しなければならないと言っている。
 安倍の理想は、明治憲法や教育勅語・軍人勅諭を柱とし、天皇のため、お国のために、全国民が一丸となって侵略戦争に突き進むような社会である。階級対立も階級闘争も、国家暴力で一掃・鎮圧された戦前型の戦争国家、それが安倍の「美しい国」なのだ。しかしそのような日本帝国主義こそ、2000万のアジア人民を虐殺し、310万の日本人民を死に追いやった国家なのだ。
 安倍は4月に靖国神社に参拝していた。しかし公表せず、最近の発覚後も「参拝したか、しないかについて申し上げるつもりはない」とうそぶいている。しかし安倍は小泉の靖国参拝について「次のリーダーも、その次のリーダーも受け継ぐことが大切だ」と言ってきた。8・15の小泉参拝についても「政府として論評する立場にない」と逃げ回っている。首相になれば、いかにそれが日帝の危機を招いても、参拝を強行する腹だ。
 またA級戦犯について、安倍は「犯罪人」扱いすることを認めない。東京裁判も認めない。戦争責任についても「戦争指導者の方々に一番重い責任があるのは事実だ」としつつ、「戦争責任は歴史家が判断すること」と居直っている。小泉のペテン的な「不戦の誓い」すら安倍は絶対言わない。安倍は日清・日露戦争を始め、かつての侵略戦争を、何ひとつ悪いとは思っていない。逆にそれを「美しい国」と称賛するのだ。
 安倍は自著で、この間の北朝鮮ミサイル問題での国連制裁決議をめぐる安倍自身の許し難い反革命的な突出を、「成果」として自慢している。安倍は「敵基地攻撃能力」の保持もうたいあげた。日帝が「列強の一員」に格上げされる突破口を、対北朝鮮の帝国主義的な軍事外交で切り開こうとしているのだ。
 まさに「安倍政権」は、9条改憲を断行し、日米枢軸のもとで北朝鮮・中国侵略戦争を実際にやる、とんでもない反人民的政権となる。
 他方で安倍は、小泉政権が労働者階級の貧困化と格差社会を激化させたことについて、ペテン的な「再チャレンジ」を叫んでいる。しかしこれは、弱肉強食の格差社会を合理化し、一層推し進めるものだ。
 さらに安倍は、「首相官邸ホワイトハウス構想」など、大統領型の権力を強めようとしている。小泉が推進した議会制民主主義の統治形態の破壊を、もっと進めるということだ。
 「安倍政権」は小泉=奥田路線を継承するとてつもない反革命政権、戦争と改憲、民営化と労組破壊の極悪政権である。

 ●今秋の臨時国会闘争と11月総決起へ 

 しかし、安倍はとんでもない極右政治家で凶暴ではあるが、盤石ではない。むしろ危機的で、政治的能力的にも脆弱(ぜいじゃく)な人物だ。闘って打倒できる。
 他方で、日帝の体制的危機は激化し、労働者人民の怒りと決起のマグマはいよいよ熱くなる。戦後の本格的な改憲政権の登場に対する労働者人民の怒りの決起は、必ず爆発する。革命的情勢が一層成熟してくる。日帝・小泉打倒、安倍打倒を真っ向から掲げ、新指導路線のもと改憲阻止決戦と4大産別決戦を結合して総決起するなら、労働者階級人民は必ず勝利できるのだ。
 8・6ヒロシマ―8・9ナガサキ、8・15靖国を頂点に、8月闘争は今秋闘争―11月1万人決起への熱い展望を開いた。9月末からの臨時国会では、教育基本法改悪法案、共謀罪新設法案、改憲のための国民投票法案、防衛庁「省」昇格法案などとの決戦が始まる。これらの法案はすべて改憲攻撃としてある。臨時国会闘争を今から準備し闘おう。
 8・24〜25自治労大会決戦に決起しよう。「安倍政権」と全面対決し、9条改憲阻止の大闘争を爆発させよう。動労千葉労働運動を実践し、3労組共闘の陣形を強化し、11月労働者1万人総決起へ今こそ全力で突き進むことを訴えたい。

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週刊『前進』(2259号2面1)(2006/08/28)

 青年労働者先頭に被爆地から戦争反対・改憲阻止の熱気とうねり 被爆61周年 広島・長崎

 ヒロシマ大行動に3千人

 “9条を変えるな”の叫び

 反戦反核運動 新たな発展へ

(写真 “憲法の改悪をとめよう ヒロシマの力で” と誓った3000人の熱気あふれる大集会【8月6日 広島】)

 被爆61周年を迎えた8月6日、「憲法の改悪をとめよう!ヒロシマの力で」というスローガンのもと8・6ヒロシマ大行動が開催され、全国から3000人が集まった。会場を埋めた参加者の熱気と、青年労働者を先頭とした戦闘的なデモは、8・6広島から新たな反戦運動が始まったことを告げている。日本帝国主義が新たな侵略戦争に突入し、憲法9条を全面改悪しようとしているその時、労働者人民は「再びくり返すな」をあらためて誓い、改憲を阻止する出発点を築いた。
 正午から広島県立総合体育館(小アリーナ)に「ヨッシー&ジュゴンの家」とまよなかしんやさんの歌声が響き集会が始まった。司会は岩国市職労と広教組の青年労働者。よびかけ人の栗原君子さんが「小泉首相は靖国参拝を強行し、教育を変え、日本を戦争する国に変えようとしている。改憲阻止の輪を広げましょう」と開会のあいさつを行った。
 被爆者の栗原真理子さんが登壇し、「61年前のあの日、ギラギラの日照りの中をどういう思いで人びとが歩いたのか。今、教育が変えられ再び戦争がくり返されようとしている時、母の『1度目はあやまちでも2度目は裏切りだ』という訴えをすべての皆さんの心に刻んでほしい」とアピールし、母・貞子さんの二つの詩を朗読した。また、東広島原爆被害者の会会長の高山等さんは「さまざまな連帯を求め、被爆者として自分の生き様をとおして多くの人びとに伝えていきたい」と訴えた。
 よびかけ人の北西允さん(広島大名誉教授)があいさつに立ち、「アメリカ帝国主義の指導の下、米英日同盟が戦争の野望を持ち、北朝鮮への敵視政策をとっている。政府の中からは『先制攻撃』論さえ出ている。反戦・反核の象徴であるヒロシマから憲法の改悪をとめよう」と大行動の意義を鮮明に訴えた。

 ヒロシマを軸に広がる国際連帯

 イラク人医師のハナー・アルサドゥーンさんは「イラクでは劣化ウラン弾によって子どもが犠牲になり、未来が殺され続けている。産業基盤が破壊されている。平和を求めるヒロシマは私たちの希望です。だからこそ軍隊を引き揚げさせて下さい、イラクの民族独立を回復するために」と呼びかけた。
 韓国からは被爆2世患友会顧問のキムボンテさんらが登壇し、「韓日の正しい関係は正しい歴史認識抜きにはあり得ない。日本政府は北朝鮮への経済制裁を強め、軍事力を強化している。このままでは東アジアは重大な危機に陥る。民衆が連帯していきましょう」と提起。中国の重慶からの訪問団は「この日に行動する意義は、二度とあの惨劇を繰り返さず永久の平和を実現していくことにある。そのためにも重慶爆撃など日本の戦争責任について総括していくことが必要。重慶爆撃裁判をともに支えてほしい」と訴えた。
(写真 行動力あふれる青年労働者を先頭に被爆地広島の街をデモ行進し61周年を迎えた8月6日は新たな反戦反核闘争の出発点となった)

 4大産別先頭に戦争協力拒否を

 「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者から、都障労組の河原井純子さんは「不起立で私も含め停職が相次いでいる。君が代解雇を許してはなりません。今こそ連帯の輪を」と発言。都高教の伏見忠さんは「不当な職務命令に従わないことが正しい人間としての教育。それは教基法改悪を阻止する武器です」とアピールした。「つくる会」教科書と闘う杉並からは「今、中学1年生はあの歴史教科書を使っている。教育委員会は『教科書どおり教えろ』と通達を出してきた。東京の悲惨な状況を広げてはならない」と訴えた。広教組の平野綾子さんは広島県教委による不当処分を弾劾した上で、「相手は権力を持っているが、それしかない。憲法に手をつけてくるなら私たちは戦後最大の闘いをしていきましょう」と力強く訴えた。
 解雇撤回を闘う国鉄労働者からは、鉄建公団訴訟西九州原告団の永松敏道さんが1047名闘争への支援を訴えた。動労千葉副委員長の繁沢敬一さんは「安全運転闘争は民営化との闘いであり、組合の団結を守り改憲を阻止する闘い。11月労働者集会を成功させ戦争と改憲を労働者の手で阻止しよう」と呼びかけた。
 沖縄から「うないネット・コザ」主宰の桑江テル子さんが「沖縄はこれまでも虫ケラのように扱われ、今また米軍再編という基地強化が襲いかかっている。大多数を結集して戦争をとめ、社会を変えましょう」とアピールした。また「ピースリンク広島・呉・岩国」の湯浅一郎さんも米軍再編との闘いを訴えた。
 広島の大学生は「法政大の弾圧は改憲攻撃そのもの。私も学校や警察の圧力をはね返して卒業式で君が代不起立を闘った。秋の闘いに向け、団結して闘いましょう」とアピール。
 9条改悪に反対する百万人署名運動への取り組みの特別決議、集会アピールを採択し、よびかけ人の平岡誠さんが閉会のあいさつと行動方針を提起して、炎天下の街頭デモに出発した。
 よびかけ人を先頭に、長蛇のデモが広島市内を「改憲反対」一色に染め上げた。とりわけ青年労働者の熱気あふれるデモ隊列は商店街を制圧し、次々と飛び入り参加者が生まれ、街にあふれる戦争反対の思いとデモ隊の訴えが一つになった。
 原爆資料館前では再びデモ参加者が結集し、栗原君子さんが「労働者が先頭になり、この1年、憲法改悪阻止するために頑張りましょう」とまとめを提起し、団結ガンバローで締めくくった。
(写真 平和公園の対岸から小泉の式典出席を弾劾しシュプレヒコールをあげた【8月6日 広島】)

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週刊『前進』(2259号2面2)(2006/08/28)

 職場闘争が団結の源泉

 青年労働者が交流集会 11月1万人結集へ決意

 6日夕、アステールプラザ中ホールで行われた「オキナワとヒロシマを結ぶ全国青年労働者交流集会inHIROSHIMA」は青年のエネルギーに満ちた集会となった。
 四国の自治体労働者が開会あいさつを行い、「この集会を、『明日からも職場で頑張ろう!』と元気が出る集会にしよう」と呼びかけた。
(写真 全国から職場の闘いを持ち寄った青年労働者たちは交流を深め新たな団結をうち固めた【8月6日 広島】)
 まず、反戦被爆者の会の下田禮子さんが、ヒロシマの地から発言。被爆で母を失った体験、広島電鉄に就職してストを闘い解雇された経験を語り、「被爆して亡くなった人たちの分まで生きて、敵(かたき)を取る。被爆者として今こそ性根を据えて闘っていきます」と力強く述べた。
 続いて、動労千葉幕張支部長の山田護さんが特別アピール。「動労千葉の闘いとは、実は簡単なこと。労働者としての誇り、筋を曲げないから、信頼して団結できる。譲れないものをはっきりさせ、仲間を裏切らなければ、必ず展望は開ける。みなさんにもそういう闘いをやってほしい。何よりも大切なのは職場で闘うことです」と語り、幕張支部をめぐる激闘を報告した。そして「11・5全国労働者総決起集会には、青年部のみなさんが親組合も引き連れて、1万人結集を実現しよう」と訴えた。ともに登壇した平成採の青年労働者が力強く決意を表明し、大きな拍手に包まれた。
 後半は青年労働者の発言だ。まず広島の教育労働者が「被爆者を踏みにじり、広島を再び軍都にしようとするのは許せない」と弾劾し、「教基法改悪・改憲に対し、戦後最大の闘いをたたきつけよう」と呼びかけた。関東の自治体労働者は「職場の仲間に『愚痴や不満で終わるのはやめよう』と訴え、ともに抗議の声を上げて不当配転を阻んだ。仲間と団結を固めて闘う」と述べた。
 広島の医療労働者は「『経済大国』と言われる日本で、病院にも行けず死んでいく労働者がいる。労働条件を守るため闘うことが患者の命と安全も守ると信じ、労働運動を頑張る」と発言。関東の全逓労働者は「全逓本部の裏切りと激突し、民営化絶対反対で闘っている。仲間を信頼して訴えれば、仲間は必ず付いてくる。労働者が団結すれば民営化も戦争もぶっ飛ばせる」と述べた。
 九州の労働者は「8・9ナガサキを闘おう」と訴え、岩国の労働者は「基地機能強化に反対する運動を広げるため頑張ります」と述べた。
 四国の全逓労働者は職場でゆうメイトの青年を組織して闘っていることを報告。関西の労働者は連合指導部の制動をうち破って解雇撤回闘争の支援を広げていると報告した。東北の労働者は産別を超えて広がる青年労働者の交流を報告した。
 東交の労働者は「都が自動車部に導入しようとしている賃金10%削減は、労働者を分断し東交をつぶすためのもの」と弾劾し、決意を述べた。
 最後に、@秋の臨時国会闘争を闘おう、A11・5集会に大結集しよう、B各地で青年労働者の団結を広げよう、C何よりも自分の職場で闘おうと確認し、意気高く「団結ガンバロー」を行った。

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週刊『前進』(2259号2面3)(2006/08/28)

 国際連帯広がる

 中・韓・イラクから参加

 8月5日午後、広島市内アステールプラザで国際連帯集会(8・6ヒロシマ大行動実行委主催)が開かれ、250人を超える参加者が集まった。
 栗原君子さんの開会あいさつで始まった集会は、61年前の日帝のアジア侵略戦争と被爆、現在のイラクをつなぎ新たな国際連帯を宣言する場となった。
 セイブ・ザ・イラクチルドレン広島の招きで、現在、広島大学病院で研修中のイラク人医師のハナー・アルサドゥーンさんが、戦火の続くイラクの現実をスライドを映し出しながら訴えた。劣化ウラン弾の影響で妊婦の50%が流産するか新生児に先天性形成異常が見られるとのことだ。さらに「バスラでは1日に百人もが虐殺されて路上に捨てられています。これがアメリカのいう『自由』なのです」
 韓国からは、被爆2世患友会顧問のキムボンテさん、イゴクジさん夫妻、平和市民連帯のカンジェスクさんが参加した。キムボンテさんの息子・被爆2世のキムヒョンユルさんは、原爆後遺症を発症し、被爆者と被爆2世の名誉回復と補償を求めて特別法制定を要求、国会提出までこぎ着けながら昨年5月29日に急逝した。キムさんは「日本と韓国が連帯し、和解して平和のために力を合わせていきましょう」と呼びかけた。
 中国からは重慶大爆撃の被害者と支援者・弁護士など4人が参加。すでに重慶大爆撃の被害者40人が日本政府に謝罪と賠償を求めて東京地裁に提訴、10月25日に第1回公判が行われることが決まった。
 原告の趙茂蓉(ジャオ・マオルウォン)さんは13歳の夏、日本軍の空襲で右頬(ほお)に深い傷を負い、女性としてその後の人生を変えられた。趙さんは「平和がいかに大事か身をもって訴えたい。歴史の公正を取り戻したい」と裁判支援を訴えた。
 各国からの訴えにこたえ実行委の平岡誠事務局長が「憲法9条改悪阻止の大闘争に取り組み、国際連帯を発展させて核と戦争を阻止しよう」と呼びかけた。
 最後に広島県朝鮮人被爆者協議会の李実根(リシルグン)さんが、力強く共同闘争を宣言した。
(写真 スライドを使ったハナー医師のイラク報告は参加者に衝撃を与えた【8月5日 広島】)

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週刊『前進』(2259号2面4)(2006/08/28)

 教労先頭に産別集会

 “職場を組織し11月へ”

 8月5日夕、全逓、教育、自治体、国鉄、医療、民間、合同労組の七つの産別の労働者全国交流集会が、各実行委の主催でアステールプラザなどで行われた。
 東京と広島の「日の丸・君が代」被処分者らが呼びかけた教育労働者全国交流集会は、アステールプラザ中ホールで行われた。北海道から沖縄まで160人を超える労働者が参加した。
 東京で「日の丸・君が代」不当処分と闘う教育労働者2人が特別報告を行った。都高教の組合員は「今年の卒・入学式で3年目の不起立闘争を闘いぬいたことにより、03年の『10・23都教委通達』を事実上破綻(はたん)させました」と勝利感に満ちて報告。そして「秋は被処分者が職場の仲間を組織して国会前に駆けつけよう。教基法改悪案の廃案まで闘おう」と呼びかけた。不起立を理由に停職処分を受けた女性労働者は「『40秒の不起立で停職とは、世界一重い処分だ』と言われている。しかし、教基法改悪に反対する闘いは、教員なら誰でもできる。それが不起立です。みんなで不起立しましょう」と訴えた。さらに杉並から、昨夏に採択が強行された「つくる会」教科書との闘いが報告された。
 広島の被処分者が「秋の闘いに向けた問題提起」を行い、「日教組の解体を狙う教基法改悪を阻もう。現場の活動家が〈私たちこそ日教組〉という立場で闘い、職場からの決起をつくり出そう。労組の共闘を広げよう。臨時国会での改悪阻止へ、全力で立ち上がろう」と呼びかけた。
 続いて全国各地から闘いの報告が行われ、最後に「職場・分会から教基法改悪阻止の闘いをつくり、11・5集会、11・12集会に結集しよう」という行動提起を受けて、団結ガンバローを三唱。
 今年3回目のこの集会は、「日の丸・君が代」強制と闘う勢力が教基法改悪阻止の先頭に立ち、闘う日教組を再生することを誓い合う、画期的な集会となった。
 そのほかの各産別集会も、青年労働者の新たな参加が目立ち、活気に満ちたものとなった。

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週刊『前進』(2259号2面5)(2006/08/28)

 “小泉の来広許さぬ”

 デモで祈念式典参加弾劾

 6日早朝、8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委の呼びかけで祈念式典糾弾・小泉来広弾劾のデモが行われた。小泉の靖国神社参拝をめぐり情勢が煮詰まる中で例年を倍する約500人が参加した。
 前段の集会では反戦被爆者の会会長の大槻泰生さんが「勝利するためにはどうすべきか、一人ひとり考えてほしい」と闘いへの執念を込めて訴えた。全国被爆者青年同盟の中島健委員長は「小泉は広島に来て被爆者と会おうともしない。改憲阻止、北朝鮮侵略戦争阻止を断固闘う」と訴えた。
 全学連の織田陽介委員長の決意表明を受け、デモに出発。原爆投下の午前8時15分、平和公園の式典会場の真横から怒りのシュプレヒコールが小泉首相を直撃した。「靖国神社参拝阻止」「改憲を許さないぞ」。原爆ドーム前で実行委の入江史郎さんが「小泉・安倍打倒、改憲阻止へ闘い抜く」と総括した。

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週刊『前進』(2259号2面6)(2006/08/28)

 レバノン侵略に抗議し座り込み

 イスラエルのレバノン空爆・侵略戦争に抗議して、ヒロシマ大行動実行委員会は原爆ドーム前で緊急の座り込みを行った。8・6広島闘争に参加する全国各地の労働者や学生たちも合流した(8月5日 広島・原爆ドーム前)

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週刊『前進』(2259号3面1)(2006/08/28)

 青年労働者先頭に被爆地から戦争反対・改憲阻止の熱気とうねり 被爆61周年 広島・長崎

 8・8長崎 九州の闘う陣形を築く

 反戦集会が画期的な高揚

(写真 小泉の祈念式典出席に抗議をたたきつけた【8月9日長崎市松山町】)

 8・9長崎反戦・反核闘争は、かつてない高揚を実現した。日帝の戦争政策を絶対に阻むという労働者民衆の決意があふれた8・8反戦反核集会を受け、8・9闘争は、右翼の敵対をはねのけ、小泉の祈念式典出席を弾劾し抜いた。
 8・6―8・9全国統一実行委員会主催の8・8反戦反核長崎集会は、長崎市民会館に160人が結集し、会場からあふれ出し、戦闘的熱気に包まれた。会場後ろでは、国労小倉地区闘争団NIPPO事業部の物資販売が行われ、熱烈に購入が呼びかけられた。
 午後6時、集会は小倉地区闘争団の羽廣憲さんとス労自主の長谷川ユキさんの司会で開始された。主催者あいさつに立った元長崎市長の本島等さんは、A級戦犯を祭る靖国神社をめぐる攻撃に警鐘を鳴らし、第2次世界大戦について「しっかりと反省しながら被爆者の問題を考えていかなければならない」と提起した。
 平和教育研究者として今も教育労働者の闘いを導く梶村晃さんが講演した。講演を「8・9ナガサキへの道―重慶大爆撃から日本の侵略戦争を考える」としたのは「めまぐるしく変わる今日の状況の中で、底流に何があるのかを見すえ、反戦平和の運動をしていく必要がある」からだと問題提起した。さらにイスラエルのレバノン侵略と人民大虐殺を弾劾し、問題の根本が帝国主義の中東侵略とそのためのイスラエル国家のデッチあげにあることを明らかにした。
 そして、原爆の投下後も米軍のプレスコードで日本の中で原爆の被害について知られていなかった現実や、ビキニ核実験での第五福竜丸被爆に怒りを持った杉並の主婦による署名運動から原水禁運動が始まり、発展していった過程を説明した。そして平和教育の中で日本による加害の歴史が伝えられていない現実に直面し、侵略の歴史を伝えていった過程を説いた。
 その重要な一つとして重慶大爆撃について「戦略爆撃は日本がつくり出した」と語り、盧溝橋事件から南京大虐殺と侵略の歴史を明らかにし、その泥沼の中で重慶大爆撃へとのめり込んでいった過程を克明に明らかにした。最後に、憲法9条改悪を許さないためにも戦争の被害とともに加害の歴史を伝え、加害に対しては償いが必要であることを提起し、戦争反対の行動を起こしていくことを訴えた。
 各界からの訴えとして佐賀県唐津市議の三浦まさゆきさんが玄海原発のプルサーマル計画を止めようと訴えた。玄海原発の使用済みウラン燃料からプルトニウムを取り出す実験で、3カ月で5回も被曝事故を起こしていること、220`ものプルトニウムが使われようとしていることを暴き、「日本が戦争の道を歩もうとしている」「この計画を止めたい。手を取り合いながら頑張りたい」と語った。佐賀大学教授の豊島耕一さんはイギリスの核兵器廃絶運動への参加を呼びかけた。
 イラク人医師ハナー・アルサドゥーンさんは、米帝のイラク侵略戦争で湾岸戦争の7倍もの劣化ウラン弾が使われ、子どもたちのガンや白血病の被害が拡大している事実を訴えた。米帝とカイライ政権がイラクを分断しようとしていることを弾劾し、イラクから日本軍を引き揚げさせるために闘ってほしいと訴えた。
 後半に入り被爆3世からのアピールとして全国被爆者青年同盟が、イラクやレバノンの現実を弾劾し、憲法9条改悪阻止の大運動を巻き起こそうと訴えた。青年労働者の代表は、労働者が悲惨な現実に置かれていることに対して「われわれはこの現実を変えられる。労働者階級はそういう力を持っている。この秋は僕たちの手でものすごい闘いを始める。全九州を一つにまとめる闘う統一陣形をつくり、この社会の変革を目指す」と力強く宣言した。
 決意表明では廃園・解雇攻撃と闘う福岡の「障害者」施設の労働者が前面に並び、委員長が開園要求の闘いへの支援を訴えた。教育労働者は、「日の丸・君が代」強制攻撃と職をかけて闘う決意を表明し、教育基本法改悪法案を廃案に追い込むために全力で闘う決意を表明した。部落解放同盟全国連合会の金平通雄共闘部長は、北朝鮮ミサイル問題で核兵器を使おうとしていること、日帝が参戦しようとしていることを弾劾した。
 動労千葉の田中康宏委員長は、時代が大きく動こうとしていること、働いても食っていけない現実に対して労働者がいつまでも黙っていることはないと提起した。憲法9条改悪の大攻撃に対して現場から闘いをつくっていくことを宣言した。全学連の織田陽介委員長は、「明日小泉が長崎に来ることは絶対許せない。1千人決起を実現した法政大の学生を代表して闘う」と宣言した。
 集会のまとめを統一実行委事務局長の三角忠さんが提起し、翌9日の闘いを小泉弾劾の闘いとしてうち抜くことを訴えて、力強く団結ガンバローの拳を突き上げた。
(写真 熱気にあふれた長崎反戦集会。今秋決戦へ決意も固くシュプレヒコール【8月8日 長崎市民会館】)

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週刊『前進』(2259号3面2)(2006/08/28)

 右翼の妨害おしのけ 小泉弾劾に立つ

 8・9 式典出席許さない

 広島―長崎反戦反核統一実は9日、小泉の長崎の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典への参加を弾劾し、断固としたデモに決起した。イラクに自衛隊を派兵し、米帝の侵略戦争に参戦する一方、8・15靖国参拝を強行し改憲と戦争国家化への全面的攻撃に出ている小泉が原爆犠牲者の前で「平和」を語るペテンを許すことはできない。
 原爆が投下された午前11時02分、デモ隊は式典が行われている平和公園の下の道路から「長崎原爆投下61周年弾劾! 小泉の式典参加を許さないぞ! 小泉は靖国参拝をやめろ!」と激しい糾弾をたたきつけた。
 デモ隊の迫力に圧倒された警察権力は、宣伝カーを連ねた右翼をなんの規制もせず、デモを妨害する策動に出た。デモ隊がこの策動を激しく弾劾し、式典に参加した帰りの人びとが群がって注目し、デモ隊を激励した。前にいた右翼宣伝カーを脇へと押しのけデモ隊は断固戦闘的デモを貫徹し、小泉を弾劾し抜いた。
 デモに先立つ決起集会は、平和公園近くの城栄公園で行われた。長崎の労働者が司会をし、最初に被爆者青年同盟が8月6日に広島で小泉が「広島・長崎は再びくり返されてはならない」と発言したことに対し、「イラク侵略戦争に自衛隊を派兵したのは誰だ。憲法9条を変えようとしているのは誰だ」と弾劾した。
 部落解放同盟全国連福岡県連準備会の代表は、前夜の集会での感動を語り、「日の丸・君が代」不起立を闘う教育労働者、動労千葉、国労闘争団、コクロウエイトの労働者、全学連の闘いとともに闘うことを表明し、九州で全国連の支部を結成する決意を語った。
 国鉄戦線からは5・27国労臨大闘争弾圧被告の富田益行さんが国労の政治解決路線を粉砕して1047名闘争に勝利する決意を表明した。福岡の自治体労働者は、若い人たちを獲得する決意を表明し、自治労を改憲勢力にしようとする攻撃を粉砕するために8月の自治労大会の闘いに決起する決意を表明した。
 全学連の学生の小泉靖国参拝糾弾闘争への決起宣言、東京三多摩の労働者の発言に続き、統一実行委事務局長の三角忠さんが行動方針を提起し、直ちにデモに出た。

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週刊『前進』(2259号3面3)(2006/08/28)

 “核と戦争許せない”

 8・6 被爆者解放集会開く

 6日午前9時半から8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委が「改憲と核武装阻止! 被爆61周年 被爆者解放総決起集会」をアステールプラザで開き、250人が参加した。
 初めに被爆者、被爆2世・3世が訴えた。韓国在住の被爆女性イゴクジさんが、自分の息子が被爆2世解放の特別法制定のために闘ったことを紹介した。
 続いて反戦被爆者の会の下田禮子さん、反戦被爆者の会会長の大槻泰生さん、在日朝鮮人被爆者、全国被爆者青年同盟の中島健さん、被爆3世の若い女性たちが発言した。大槻さんは「戦争と原爆は許せない。小泉は再び戦争を仕掛けようとしている。私たちは爆心地・広島で糾弾する。それが子や孫を戦争から救う道。今日は祈りの日ではなく闘いの日。ともに闘おう」と熱く訴えた。中島さんは「戦争と核を必然化する社会をわれわれの世代で終わらせよう」と述べた。
 全国統一実中央事務局長の三角忠さんと部落解放同盟全国連の中田潔書記長が特別アピールで戦争と核の元凶、帝国主義と闘う決意を述べた。

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週刊『前進』(2259号3面4)(2006/08/28)

 “帝国主義倒そう”

 学生集会に多数の初参加者

 闘う学生は5日夜、広島市内で全国学生交流集会を開催し、会場を満杯にする約80人が集まった。ヒロシマ大行動への参加は初めての学生も多く、元気な発言が次々と続いた。反戦被爆者の会の下田禮子さんから、61年前のヒロシマでいったい何が起きたのか、その生々しい体験をじかに聞き、帝国主義戦争と核兵器への怒りを新たにした。
 全学連の中島敦史副委員長(広大生、被爆3世)が、核への反対は戦争反対・9条改憲阻止と一体でしかありえないと提起。織田陽介全学連委員長の「ヒロシマから世界を見、歴史を見れば、今イラクやレバノンで起きていることの本質が分かる。一切の根源である帝国主義を打倒しよう」との訴えに、熱い拍手がわいた。
 集会には動労千葉から新小岩支部長の佐藤正和さんが参加。「敵が憲法を変えようとしていることは逆に体制変革のチャンス」「一人ひとりが世の中のからくりを見破って決起することが大事だ」と、学生が労働者とともに今秋11月に総決起することを訴えた。

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週刊『前進』(2259号3面5)(2006/08/28)

 “原子力空母の配備撤回せよ”

 横須賀に労働者3千

 市長のだまし討ちに怒り

 8月12日、08年原子力空母の母港化絶対阻止を掲げ、「空母母港化33周年・キティホーク横須賀母港化8周年抗議・原子力空母配備撤回を求める8・12全国集会」(主催=母港化を許さない全国連絡会、神奈川実行委、市民の会、三浦半島地区労)が、米海軍横須賀基地を臨む横須賀ヴェルニー公園で開かれ、3千人が参加した。
(写真 組合旗を林立させ米海軍横須賀基地にむけて出発するデモ隊【8月12日】)
 集会は、日教組、自治労、国労、そして一段と注目された全逓(JPU)の組合旗などが立ち並ぶ中で始まった。「市民の会」代表の呉東正彦さんが横須賀市の蒲谷(かばや)市長の訪米と裏切りを糾弾し、原子力事故の危険性について、外務省の「事故の影響は半径3`を超えない」というペテン的な回答を批判し、チェルノブイリの例をひいて「事故は100`を超える広範な地域を壊滅的にする。絶対に阻止していかなければならない」と訴えた。「全国連絡会」の福山真劫さんは「改憲で戦争のできる国にしようとしている。靖国参拝の暴挙を許すな。基地再編を許さない」と呼びかけた。
 沖縄平和運動センター事務局長で全国基地問題ネットワークの事務局長でもある山城博治さんは「市長が紙切れ一枚で態度を変えるということは、沖縄では何度もやられた」と指摘。市長の「裏切り」は「心変わり」ではなく「だまし討ち」であると糾弾した。
 デモは雨が降る中だったが、基地ゲート前でのシュプレヒコールは一段と熱気を帯びた。
 神奈川労組交流センターなどが4種類のビラをまき、改憲阻止決戦への4大産別の労働者の総決起を訴えた。「動労千葉のように戦争協力拒否を職場の団結で闘えば戦争は止めることができる」と訴え、8月自治労全国大会から教基法改悪阻止の国会決戦を呼びかけた。3000枚以上のビラは、「全部読みました」などの好反応を生み出した。
 母港化攻撃は重大な段階に入っている。蒲谷市長は6月、「日本と極東の安全を考える上で原子力空母の存在は重要。配備はやむを得ない」と述べ、原子力空母配備を積極的に容認し、その母港化を前提とした防災協定締結協議が米軍・政府・市当局の間で開始されている。
 さらに8月16日、松沢成文神奈川県知事が、何の根拠もなく「最大限の安全性確保が明確になった」と述べ、原子力空母の配備容認を表明した。断じて許せない。
 しかし地域の住民、労働者、労働組合の反対は6割を超え、反対署名は50万筆に達している。これらの声を押しつぶすことなしには「母港化」は進められない。すでに日本政府による12号バース周辺の浚渫(しゅんせつ)工事申請が横須賀市当局に提出された。そして、蒲谷市長が米海軍の要請に応じて訪米しようとしている。米海軍の「安全説明」を受けて一連のセレモニーを終わらせ、工事の協議に入ろうとしているのだ。
 8・12集会は、こうした力くらべの真っただ中で闘いぬかれたのだ。米軍再編粉砕・改憲阻止の大決戦を全力で闘おう!

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週刊『前進』(2259号3面6)(2006/08/28)

焦点 レバノン停戦決議

 米帝の世界戦争に反撃を

●イスラエルを利する停戦決議
 1カ月にわたってレバノン停戦を拒否し続けてきたアメリカ帝国主義は、国際的な怒りが高まり、またヒズボラの武装闘争でイスラエル軍が苦戦し危機に陥る中で国連安保理でのレバノン停戦決議採択に動いた。
 しかし8月11日に採択された決議は、ペテンに満ちた実に許しがたいものだ。決議は、ヒズボラに「全攻撃の即時停止」を求める一方、イスラエルには「攻撃的な軍事作戦の停止」を要請するにとどめ、イスラエルが“自衛権行使”と称して行う侵略戦争を容認している。しかも決議は、イスラエル軍の即時撤退を求めず、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)とレバノン国軍の展開と「同時並行」で撤退を進めるよう求めているにすぎない。UNIFILの展開には相当の時間がかかると見られ、「それまでイスラエルはレバノン南部でフリーハンドを確保した」(国連外交筋)と言われている。イスラエル政府高官は「掃討作戦は防衛にあたる」とし、停戦発効後もヒズボラ掃討作戦の継続は認められると公言している。
●中東侵略戦争の継続・拡大
 今回の、イスラエルを先兵としたレバノン攻撃は、突如として起こったものではない。その本質は、イラク侵略戦争と中東支配で危機に立つアメリカ帝国主義が起こした侵略戦争であり、2003年に開始されたイラク侵略戦争の継続・拡大そのものだ。
 ブッシュは8月14日の会見で、レバノンはアフガニスタン、イラクに続く「対テロ戦争の前線」であると公言した。まさに米帝の世界戦争への攻撃の一環なのだ。
 米帝は第2次大戦後の中東・石油支配のための軍事基地国家としてイスラエルをデッチあげた。
 米帝は戦後一貫して、イスラエルに膨大な軍事援助を注ぎ込み、イスラエルを拠点とし、先兵としながら不屈の民族解放闘争に立ち上がるパレスチナ人民、ムスリム人民を虐殺し続けてきた。援助額は01〜05年平均で年額25億〜30億j(約3000億〜3500億円)で、イスラエルの軍事予算の2割以上を占めている。これなしにイスラエルは戦争を遂行できない。しかも米帝は、イスラエルの侵略戦争が国連で問題になる度に拒否権を発動し、実効性のある決議案をことごとく否決してきたのだ。
 01年「9・11」は、こうした米帝の中東支配に対するムスリム人民の積もりに積もった怒りが極限的なゲリラ戦争という形で爆発したものだ。米帝がこれへの「報復」と称してアフガニスタンとイラクへの侵略戦争に踏み込み、世界戦争戦略を全面的に発動した。だが米帝はイラク侵略戦争の泥沼化・長期化にあえぎ、絶望的な危機に追いつめられている。
 こうした中で米帝は、イスラエルを先兵として、ヒズボラ壊滅、ハマス政権圧殺を狙った侵略戦争の一挙的拡大に踏み切ったのだ。この先にあるのは、米帝自身によるシリア、イランへの爆撃であり、さらなる侵略戦争拡大だ。
●ハマス・ヒズボラ躍進の衝撃
 今回のイスラエルのレバノン攻撃は、ヒズボラが7月12日にイスラエル北部の基地を攻撃し、2人のイスラエル兵を捕虜にしたことが直接の口実とされている。しかし米帝が、7月12日のはるか前から軍事作戦立案に深く関与していたことが米誌『ニューヨーカー』で暴露されている。米帝とイスラエルは、ヒズボラ攻撃の機会を狙っていたのだ。
 1978年の侵攻以降、レバノン南部を軍事占領してきたイスラエル軍は、00年5月にヒズボラに敗北して撤退を余儀なくされた。しかしイスラエル軍は、撤退以降もレバノン南部に執拗(しつよう)な攻撃を続け、ヒズボラ幹部への暗殺作戦を展開してきた。
 こうした中で、対イスラエル抵抗闘争を貫いてきたヒズボラが05年4月のレバノン総選挙で14議席を獲得、閣僚2人を輩出するという政治的躍進をとげた。さらに今年1月25日のパレスチナ評議会(国会)選挙ではハマスが圧勝した。このことは、米帝とイスラエルに巨大な衝撃を与えた。
 つまり今回のレバノン侵略戦争とガザ地区への侵攻は、米帝の侵略戦争が生み出した危機を突破するための絶望的な戦争拡大としてあるのだ。
 しかし、米帝はより一層の危機と破綻(はたん)を深めている。レバノン、パレスチナを始め中東全域でムスリム人民の闘いが燃え広がっている。またロンドンで10万人(5日)、ベルリンでも1万5千人(12日)が反戦デモに立った。またイスラエルのテルアビブでも3千人が反戦デモに参加(5日)、レバノン戦争従軍を拒否するイスラエル軍兵士も出てきている。12日には全米各地で反戦デモが行われ、ホワイトハウス前の集会には5千人が集まった。
 米帝は、決定的に追いつめられている。しかしそうであればあるほど帝国主義としての延命をかけて一層の侵略戦争へとのめり込み、全世界を世界戦争の泥沼に引きずり込んでいくしかない。そして、この米帝の世界戦争戦略を支えているのが、イギリス帝国主義とともに日本帝国主義だ。イスラエルを先兵とした米帝(米英日帝)のレバノン侵略戦争に国際的な革命的反撃をたたきつけよう。

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週刊『前進』(2259号4面1)(2006/08/28)

 改憲阻止へ闘う組合員の大登場を

 8・24〜25自治労大会へ

 民主支持・政労協議路線許すな 現場の怒りで翼賛状況つき破れ

 革共同自治体労働者委員会

 8・24―25自治労さいたま大会決戦への闘う自治体労働者の総決起を訴える。自治労第78回定期大会は歴史を分かつ決戦だ。後にこの大会から労働者階級の改憲阻止の闘いが始まったと言われる闘いをやろう。4大産別の先頭で自治労100万人組合員の改憲阻止決戦への決起をかちとり、連合の改憲勢力化を阻もう。11月労働者集会1万人結集への大進撃を開始しよう。闘う代議員、傍聴者は本部と対決しよう。それと結合して議場外で大情宣を繰り広げよう。自治労の革命的分岐・流動を促進し、自治労本部の改憲勢力化を阻もう。

 階級闘争左右する重大大会

 さいたま大会は、自治体労働者戦線のみならず、06年日本階級闘争全体の流れを大きく左右する重大な決戦になる。この間の自治労本部の動き自体が決戦を煮詰まらせている。
 7月29―31日に宮崎市で行われた現業評議会(約2千人結集)において自治労本部は、「現業はこの20年で30万人から16万人弱に半減した。崖(がけ)っぷちに立たされているどころか、落ちようとしている」など最大級の表現で「危機」をアジり、一切の結論を「民主党への政権交代で職を守ろう」と絞り込んだ。そして全参加者に民主党の「日本国教育基本法案」を解説する美麗なパンフレットを配布した。
 さらに、来年の自治労大会を岩手県で開くことを明らかにした。岩手県は小沢一郎の地元だ。自治労本部は、民主党の最大の支持母体として、民主党を地獄の底まで支え、労働者階級の側から戦争と改憲への道を進めようとしている。
 また、7月29―30日に東京・葛飾で開かれた青年部総会で、大阪府本部青年部が「今、問われているのは、職員個々の意識の持ち方です――職員満足度が住民満足度の前にあってはいけません」と「質の高い公共サービス」「自治体職員自らの意識改革」を真っ向から掲げるビラをまいた。”自治体労働者は自分たちの権利や要求を掲げてはならない”と、階級意識−階級性の解体を主張している。「質の高い公共サービス」論とは、自治労の階級移行―改憲勢力化攻撃そのものだ。
(写真 公務員連絡会の2006人勧期第3次中央集会【8月1日 東京・日比谷野外音楽堂】)

 民営化に「働こう運動」対置

 こうした中で大会議案書が公表された。その核心は第1号議案「2007年度年間行動計画(案)」の【2007年度年間行動計画の基本的考え方】に表れている。(別掲参照)
 1の@「市民ニーズに基づく効率的・効果的な公共サービスの実現」とA「参加と自己決定・責任による対等・平等な労使関係の確立」を「両輪とした総合的な運動」方針と2の「民主・リベラル勢力の前進による政権交代」という目標に自治労本部の狙いが示されている。
 小泉構造改革による社会の格差拡大を挙げつらいながら、改憲と戦争、民営化―大量首切り、労組破壊攻撃への怒りは皆無だ。したがっていかなる国会闘争方針もない。
 特に1の二大運動方針は自治労運動の解体を根本から狙うものだ。団結を固め、闘って要求をかちとる思想の解体だ。
 1の@は、小泉構造改革、規制緩和・民営化攻撃への屈服だ。首切り反対を掲げて闘うのではなく、民との競争で対抗する「働こう運動」を対置して、自治体労働運動の団結、階級性を根こそぎにし、労働運動としてのあり方を根本から解体しようとしている。
 1のAは、政労協議の基本路線化の宣言と断じてよい。「21世紀宣言」の労使協働路線の行き着いた先だ。
 7月27日、行革推進法に基づいて設置された「行政改革推進本部専門調査会」の第1回会合が開かれた。東大総長の佐々木毅を座長とする15人の会のメンバーに連合の古賀事務局長、自治労の岡部委員長(公務労協議長)、国公連合の丸山委員長が入っている。われわれ自治体労働者委員会は、この調査会を「首切り推進本部」と名付けて弾劾してきたが、自治労本部はこれを”連合、公務労協が要求して実現した””スト権闘争でも実現しなかった労働基本権奪還を実現しつつあるのだ”と臆面(おくめん)もなく最大限に自画自賛している。
 連合―自治労本部はこの政労協議の枠組みを民主党への政権交代論とセットで路線化しようとしている。これは職場からの労働運動を根絶やしにすることと一体だ。こうして総評以来の戦闘的労働運動の魂をなお残す自治労運動のあり方を最後的に一掃しようとしているのだ。
 このことは、8月1日に行われた公務員連絡会の人勧第3次中央闘争での2人の発言と符合する。公務労協の山本事務局長は「賃金闘争の基本的スローガンの見直し」を呼号した。連合の高木会長は「仮に政府が公務員給与を引き下げたいというのであれば、小泉総理が私のところに直接話をもってくるべきだ」「行革推進本部のもとに設置された『専門調査会』の審議をつうじて労働基本権問題や決定システムの抜本解決に向けて闘いを進める」と強調した。
 「新自由主義」の用語で粉飾しているが、政労協議の基本路線化は、産業報国会の始まりとなった労使協議制そのものだ。

 職種別賃金に自ら道を開く

 第3号議案「自治労第2次賃金政策」も「働こう運動」、民主支持・政労協議路線の一環をなす重大な踏み込みだ。
 「第2次賃金政策」は賃金闘争の原則と労働運動が戦後革命期以来の闘いでかちとった成果である賃金体系を自治労自らが投げ捨てるものだ。「同一価値労働・同一賃金の原則」の名のもとに行政職と現業職の差別・分断を始め、給料表見直し―職種別賃金に自ら道を開き、自治体労働運動をその基礎から解体するものだ。絶対に撤回させなければならない。
 結局、中央本部は、非常勤職員出身で女性の相原久美子組織局次長を来年参院選の組織内候補として民主党から出すことによって、民主党選挙一本に実践的方針を絞り込もうと狙っている。そのために今回の大会を参院選勝利の総決起集会としてやろうとしているのだ。
 闘う自治体労働者に課せられた任務は、全国の自治体労働者の中に逆巻く怒りを自ら体現することだ。大会の総翼賛状況を突き破るのはわれわれしかいない。ここに不動の確信をもち、乾坤一擲(けんこんいってき)の決起で一大決戦を挑もう。全国の闘う自治体労働者の団結した力を登場させ、自治労の中に激しい分岐・流動をつくり出そう。
 自治労本部の改憲勢力化の攻撃とそれにひれ伏す無力な「反対派」を突き破ろう。自治労が改憲阻止決戦、今秋の臨時国会決戦の最先頭で立ち上がることを真っ向から訴えよう。
 動労千葉の労働運動を真正面から掲げ、真に闘う反合理化闘争、職場闘争こそ展望を切り開くことを訴えよう。
 すべての怒りを階級的労働運動の再生、11月労働者集会1万人大結集に結びつけて闘おう。

 【2007年度年間行動計画の基本的考え方】(1)(2)、下線は引用者
1 5年間にわたる小泉構造改革により、社会の格差は拡大し、将来不安が蔓延している。これへの対抗軸を鮮明にした(1)市民ニーズに基づく効率的・効果的な公共サービスの実現と、(2)参加と自己決定・責任による対等・平等な労使関係の確立を両輪にした総合的な運動を、向こう1年間の最重要課題として中央・地方で一体的に推進します。
2 上記を中心とした運動展開を通じ、2007年統一自治体選挙と参議院選挙における組織内協力候補の必勝と民主・リベラル勢力の前進により、政権交代への道筋を確実なものとします。

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週刊『前進』(2259号4面2)(2006/08/28)

book 『教育基本法改悪と戦争国家 取り戻せ!闘う日教組』 労働者学習センターが新刊

 『教育基本法改悪と戦争国家 取り戻せ!闘う日教組』

 労働者学習センターが、3人の教育労働者の執筆による新刊『教育基本法改悪と戦争国家/取り戻せ!闘う日教組/教育労働者の戦争協力拒否宣言2』を発行した。教育基本法改悪・政府案を徹底批判した書だ。
 教育基本法の改悪が今秋臨時国会の最大の焦点となろうとしている。教基法改悪を阻止する大運動を巻き起こすため、本書を職場・地域で多くの労働者に広めよう。
☆発行 労働者学習センター/A5判114n
☆注文先 千葉市中央区要町2―8DC会館/TEL043―222―7207/FAX043―224―7197/
E-mail doro-chiba@doro-chiba.org

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週刊『前進』(2259号4面3)(2006/08/28)

 三里塚 8・21「公聴会」粉砕へ

 北延伸着工狙うアリバイ

 三里塚反対同盟が8・21暫定滑走路「北延伸」公聴会粉砕闘争の呼びかけを発した。(要項1面
 国土交通省はこの日、成田国際文化会館で午前10時から「北延伸」にかかわる空港の施設整備変更に関する「公聴会」を開くとしている。「地元住民の意見は聞いた」というアリバイ作りのセレモニーだ。「公聴会」粉砕現地闘争に立ち上がり、夏から秋の三里塚決戦の突破口を開こう。
     *
 闘う仲間のみなさん。
 NAA(成田空港会社)は、7月10日に暫定滑走路「北延伸」計画への変更申請を国土交通省に行いましたが、国交省はわずか1カ月で公聴会(成田国際文化会館)をアリバイ的に行い、8月中にも計画変更認可を強行する構えでいます。法で定められた環境アセスメントも行わず、北延伸計画の「09年完成」とそのための9月着工をごり押ししようとしています。市東孝雄さんへの「耕作権解除」攻撃と完全に一体の動きです。
 北延伸工事の「09年完成」を困難にする要因はたくさんあります。新誘導路を計画している「東峰の森」の伐採計画、有害物質による周辺の土壌汚染の恐れが大きい廃棄物処理場(成田クリーンパーク)閉鎖問題、騒音拡大が著しい成田市北部地域の住民の不同意など、解決していない問題があふれています。
 NAAはこれらの窮地を暴力的に突破しようと狙っています。
 8・21公聴会粉砕闘争へ、多くの皆さんの結集を訴えます。
 2006年8月10日
三里塚芝山連合空港反対同盟

 東峰区の住民がNAAに質問状

 暫定滑走路の騒音直下にあり、空港予定地のど真ん中でその完成を阻んでいる東峰区の住民一同が8月3日付で、NAAと黒野社長に対して公開質問状を発した。
 旧空港公団時代から一貫して住民無視、農民殺しの施策をごり押しし続けてきたNAA・黒野社長は2003年に書面で「お詫び」「謝罪」の言葉を並べた。ところがその舌の根も乾かぬうちに「北延伸」で住民の暴力的なたたき出しに手をかけてきたのだ。
 住民の怒りは忍耐の限度を超えた。質問状は東峰部落の総意として、「誘導路建設を認めない。東峰の森の伐採を許さない」「あなた方の謝罪とは何なのか」と強く糾弾し、回答を要求している。北延伸攻撃を粉砕し、東峰の農地・農民を守り抜こう。

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週刊『前進』(2259号4面4)(2006/08/28)

 自治体労働者は改憲・民営化と闘う

 (5) 危機に立つ自治労連

 「全体の奉仕者」と規定

 日本共産党路線に未来ない

 私の属する単組は自治労連に加盟しているが、労働現場では労働者の団結を基礎にした闘いに取り組み、集団的団交や交渉によって勝利をかちとっている。私たちの職場では、現場労働者の拒否闘争などによって人事評価制度を形骸(けいがい)化させている。幼保一元化と民営化攻撃に反対する保育労働者は、団結によって、指定管理者や民営化を断念させている。また、同じ県内でも福祉労働者の闘いが保護者の決起と結合し、指定管理者攻撃に対して、人員削減を阻止し、賃金・労働条件を維持するなど、大きな勝利をかちとっている。
(写真 幼保一元化による「こども園」の施設。指定管理者や民営化は阻止した)

 組合員半減

 しかし、そもそも自治労連はいま労働組合運動としての存続の危機に直面している。それは労働現場ではっきりと現れている。私の所属する単組では1千人以上いた組合員が500人近くに激減している。だが当局に協力して大量脱退した結果とは必ずしもいえない。ある元組合員は「闘わないのに闘争資金を徴収することに納得できなかった」と脱退理由を挙げている。労組執行部が闘わないだけでなく、執行部と対立する私たち反対派が十分に信頼されていないがゆえに、労働組合運動そのものに絶望して辞めていったのである。@dan
 労組執行部は、労働組合運動からの脱走を開始し、これからの身の振り方をめぐって動き回っている始末である。かつて自治労連委員長を出し、専従職員をも出してきた重要拠点であるはずの労働組合でさえ、このような事態なのである。
 私たち反対派は労働組合役員選挙で対立候補を立て、80年代から幾度も日共系執行部と闘ってきた。そしていま労働組合運動の路線をめぐる新たな攻防になっている。
 自治労連は日本共産党の指導に基づいて結成されている。私たちが階級的な労働組合運動を闘うことは、必然的に自治体当局と同時に共産党との党派闘争を闘うことになる。
 私たちは、共産党の指導下では自治体労働者の未来はないと確信している。自治労連は「自治体労働者論」なるものを発表し、自治体労働者を「全体の奉仕者」と規定している。「全体」は「住民」のことであるとされ、「自治体の雇用者は住民である」と述べている幹部もいる。
 しかし、「自治体の雇用者は住民である」という規定は、資本主義社会が階級分裂した社会であることを覆い隠し、ますます激化する階級対立を否定し、支配階級である資本家階級に迎合・屈服するものとなっている。実際、自治体当局が公務員を「全体の奉仕者」だと強調する時、「全体」とは明らかに「国家」を意味している。

 現場後景化

 こうした「全体の奉仕者」論は、民営化攻撃との闘いにおいて、現場労働者自らの闘いを後景化させ、地域主義的な市民運動から議会請願運動へ、そして集票運動に集約され、日共系議員が闘いを代行する。しかし、このような路線は幾度も敗北してきた。
 そもそも公共事業の民営化攻撃とは、行き詰まった資本家階級に投資先を与え、救済するための国家政策であり、労働者階級の搾取と収奪を極限的に推し進める資本攻勢である。実際、民営化された職場では低賃金攻撃と長時間・強労働攻撃の嵐が吹き荒れ、不安定雇用化がとことん進められている。
 さらに、社会保障のむちゃくちゃな切り捨て、公共料金値上げや大増税、新たな地方税や保険制度の導入など、労働者階級は国や地方自治体による大収奪攻撃にさらされているのである。
 しかも、小泉政権による地方行革攻撃は、行革推進法・市場化テスト法のもとで拍車がかかっている。さらに道州制導入による戦後的地方自治の全面解体の攻撃が企図されている。これらはすべて戦争国家づくりの攻撃である。

 階級的立場

 公務員労働者は、労働者階級の立場に立ちきれなければ、公務員バッシングや民営化攻撃、地方自治破壊と闘う根拠・思想を失う。私たちにとって勝利の道は、とことん現場労働者の支持と協力を得ること、さらに現場労働者を組織すること以外にない。公務員労働者も労働現場で労働組合運動を展開する以外に生きる道がない。動労千葉に学ぼう。
 労働現場では労働者の団結が広がっている。私たちは自らの見解を堂々と労働者に明らかにし、真に現場労働者によって鍛えられ、労働者との団結を強固にすることで前進する。そして、こうした闘う労働者の団結によって、私たちは11月労働者集会1万人結集を成し遂げることができるのである。
 (伏木紀夫)

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週刊『前進』(2259号4面5)(2006/08/28)

日誌'06 8月2日〜15日

 小泉が8・15靖国参拝を強行

 イラク派兵「基本計画」変更

●嘉手納に劣化ウラン弾40万発 01年当時、沖縄県の米軍嘉手納基地に約40万発の劣化ウラン弾が貯蔵されていたことが、米情報公開法に基づき米空軍の公開した資料で明らかになった。(2日)
●安倍が4月に靖国参拝 安倍官房長官が靖国神社の春季例大祭の直前の4月15日に同神社を参拝していたことが分かった。関係者が明らかにした。昨年10月の官房長官就任後の参拝は初めて。(3日)
●空自活動領域に2空港を追加 政府は、イラク南部サマワで活動した陸上自衛隊の撤収完了を受け、イラク復興支援特別措置法に基づく基本計画の変更を閣議決定した。陸自活動に関する従来の規定を削除し、航空自衛隊の活動実施区域にバグダッドなど2カ所を追加した。派遣期間は従来どおり今年12月14日まで。(4日)
●「靖国を非宗教法人に」 麻生外相が靖国神社についてまとめた改革案が明らかになった。神社に対して自主的に宗教法人としての任意解散を促し、その上で立法措置により非宗教法人として国立の追悼施設とする段階移行論を打ち出した。(5日)
●被爆61年広島 広島市の平和記念公園で開かれた平和記念式典に小泉首相が就任から6年連続で出席した。(6日)
●ミサイル防衛で米へ前倒し配備要請 日米外務・防衛当局による審議官級協議が7日からワシントンで開かれた。政府は日本のミサイル防衛システムの前倒し配備への協力を要請、米側は「検討する」と回答した。(8日)
●被爆61年長崎 長崎市の平和公園で開かれた平和記念式典に小泉が出席。(9日)
●米総領事「普天間は危険ではない」 米軍ヘリ沖国大墜落事故から2年を前にメア在沖米総領事は、米軍普天間飛行場周辺の住宅が密集した現状について、日本のほかの飛行場と比べ「普天間は特別ではない。飛行場として特に危ないとは思わない」との認識を示した。宜野湾市の伊波市長は、事故以後も米軍機が住宅地上空を飛び、危険性は極限にあると批判した。(10日)
●米行き旅客機テロ未遂で24人逮捕 ロンドン警視庁は、「英国発米国行きの複数の旅客機を同時爆破するテロを計画した」として「容疑者」24人を逮捕した。(10日)
●「イスラムのファシストと戦争状態」
ブッシュ米大統領は、旅客機同時テロ計画について声明を発表し、「われわれの愛する自由を破壊し、わが国を傷つけるためにあらゆる手段を使うイスラム教のファシストと戦争状態にあることを強く思い起こさせた」と述べた。(10日)
●レバノン停戦決議採択 国連安全保障理事会は外相級会合を開き、イスラエル軍とイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの戦闘が続くレバノン情勢をめぐりイスラエルとレバノンに「敵対行為の全面停止」を求める決議を全会一致で採択した。双方とも決議受け入れを閣議決定。14日に停戦が発効した。(11日)
●小泉が8・15靖国参拝 小泉首相が靖国神社に参拝した。現職首相による8・15の参拝は85年の中曽根以来21年ぶり。小泉は就任前に8・15の参拝を公約していたが過去5回はずらしていた。参拝後、「いつ行っても批判する勢力がある。ならば今日は適切な日と判断した」と語った。(15日)
●首相靖国参拝を中国、韓国が非難 中国外務省は小泉首相の靖国神社参拝について「日本軍国主義侵略戦争の被害国の国民感情を傷つけ、中日関係の政治的基礎を破壊するこの行動に対し強烈に抗議する」と非難声明。韓国外交通商省は「深い失望と憤りを表明する」と報道官声明。(15日)

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週刊『前進』(2259号5面1)(2006/08/28)

 戦争阻止へ国際連帯 8・15労働者市民の集い

 “靖国・改憲と闘う”

 韓国・民主労総の代表と共に 小泉への怒り爆発

 8月15日午後、「靖国と改憲/国益と排外に憲法は屈するのか」をテーマに、8・15労働者・市民のつどいが実行委員会の主催のもと東京・なかのZERO小ホールで開かれた。95年の戦後50年集会以来、12回目となる8・15集会だ。
(写真 「変革の時が来た。団結して闘えば社会は変えられる」と今秋改憲阻止を誓い合った8・15労働者・市民のつどい【8月15日 東京・中野】)
 この日の早朝、小泉は靖国参拝を強行した。これに怒りを燃やし、例年を上回る520人が結集した。その大半が、午前中の靖国神社包囲デモを貫徹してこの集会に駆けつけた。韓国・民主労総ソウル本部の代表を招いたこの集会は、国際連帯で日本帝国主義の新たな侵略戦争策動と対決する宣言を発する場になった。
 主催者としてあいさつした葉山岳夫弁護士は、「小泉の靖国参拝を満身の怒りを込めて弾劾する」と切り出し、「これは新たな侵略戦争を準備する歴史的犯罪行為だ」と断罪した。
 織田陽介全学連委員長が、「大きな反対の声の中で小泉は靖国参拝を強行せざるを得なかった。今年前半のわれわれの闘いが小泉を追いつめている」と、意気高く靖国闘争の報告を行った。
 沖縄・辺野古で基地建設阻止を闘う青年が、「10年の闘いが基地建設を阻んでいる」と宣言し、「辺野古に政府が手を出せば3・5沖縄県民集会に結集した3万5千人が駆けつける。政府こそかかってこい。何度でも建設を止めてみせる」と声を強めた。2人の若々しく力強いアピールで、会場の温度は一気にヒートアップした。
 「2006年8・15アピール」として発言した鈴木達夫弁護士は、小泉の靖国参拝を徹底弾劾するとともに、共謀罪法案や教育基本法改悪、国民投票法案など改憲に向けた反動諸法案との対決となるこの秋の臨時国会闘争への総決起を呼びかけ、この攻防の中心軸に労働者の闘いがあることを強調した。
 明治学院大学名誉教授の阿満利麿(あまとしまろ)さんが「戦死者の『慰霊』とは−歴史に学ぶ」と題して講演し、「戦争の原因を問わない慰霊という行為の中に大変な欺瞞(ぎまん)がある」と問題を提起した。その中で「靖国神社は、戦死者を国家の守護神とすることで戦争を肯定し賛美する政治的装置だ」「死者を追悼するのに、なぜ国家権力の手を借りなければいけないのか」と靖国思想を根本的に批判した。そしてこれからの闘いに向けて「絶望する必要はない」と参加者を激励した。
 コメディアンの松元ヒロさんが、恒例のコントで「これが見納め」と小泉に扮して痛烈に風刺し、会場をわかせた。
 韓国・民主労総ソウル本部からイジェヨン首席副本部長があいさつに立ち、「小泉の靖国参拝に対し韓国の全労働者を代表し弾劾する」と述べた上で、「米日韓の政府・資本は北朝鮮のミサイル発射を口実に戦争の危機を促進させている。その本当の狙いは、新自由主義(帝国主義)の搾取構造の確立にある」と熱烈に訴えた。また、「非正規職法案に対し民主労総はゼネストも辞さない」と宣言し、日本の労働者への熱い期待を込めて「困難な闘争と弾圧の中で、平和を守るために闘う日本の皆さんと連帯する」と表明した。
 動労千葉の田中康宏委員長がこれにこたえ、「社会の根本的な変革が必要な時が来た。労働者が団結を取り戻して闘えば社会は変えられる」と訴え、「11月に日米韓の国際連帯集会を開催する。ここになんとしても1万人の結集を実現したい。その力で改憲を止める」と呼びかけた。
 卒業式での「日の丸・君が代」に反対し不当な有罪判決を受けた板橋高校元教員の藤田勝久さんが弾圧への怒りを語った。退学処分の攻撃と闘う法政大学の学生は、「われわれの闘いは小泉を追いつめている。私はまったく絶望していない。全国大学ゼネストに打って出る」と意気高く宣言した。
 まとめを平和遺族会全国連絡会代表の西川重則さんが行い、「61年目の8・15に靖国と改憲が焦点になった。私たちは屈していない。一人ひとりの闘いが国際連帯の闘いとなることを訴えたい」と結んだ。
 すでに開始された改憲をめぐる大攻防に突入する新たな決意を呼び覚まされた集会だった。
 (稲田 宏)

 解説 小泉靖国参拝強行はアジア侵略戦争宣言

 小泉は8月15日早朝、「公約どおり」と称して靖国神社への参拝を強行した。朝鮮・中国・アジア人民の抗議の叫び、日本の労働者人民の反対を押し切ってのこの暴挙を満身の怒りを込めて弾劾する。
 中国、韓国から何と言われようと参拝を強行し、まさに新たな朝鮮・中国侵略戦争の宣戦布告を行ったのである。
 小泉は、首相就任以来毎年靖国神社への参拝を行ってきたが、それに対する怒りの高まりと外交問題にまでなる重大事態化に対して、それを反省するどころか、逆に「いつ行っても批判される。ならば今日が適切な日ではないか」などとへ理屈を付けて、8月15日当日の参拝を強行したのだ。この傲慢(ごうまん)な開き直りに、小泉政治の本質が示されている。
 それは、小泉個人の性格に帰すべきものではなく、日帝がその危機の中で新しい侵略戦争、帝国主義戦争に向かっており、新しい戦死者を出すことを想定した、労働者階級人民に対する今日的な攻撃なのである。
 靖国神社は日帝の侵略戦争を美化し、その戦死者を顕彰する施設であり、「二度と戦争を起こしてはならない」という第2次大戦後の日本の労働者人民の固い決意とは対極にある存在である。A級戦犯が合祀されているかどうかを超えて、その存在そのものが日本の労働者階級、アジアと世界の人民とは相入れない存在なのだ。
 小泉の8・15参拝は、支配階級内の分裂を拡大させ、日帝の政治危機を深める。敵の凶暴化は労働者階級の好機だ。
 8・15小泉参拝に抗議したソウル3000人の労働者を始めとする闘うアジア人民と連帯し、日帝・小泉と靖国神社に対する怒りを爆発させ、日帝の戦争国家化攻撃、9条改憲攻撃に対して立ち上がり、11月労働者1万人総決起をかちとろう。

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週刊『前進』(2259号5面2)(2006/08/28)

 「象のオリ」の土地奪還

 知花さん囲み喜びの集い

 1945年4月1日、沖縄戦で米軍が沖縄本島上陸を開始した日から61年間、米軍によって占拠され続けてきた先祖伝来の土地が、地主である知花昌一さんと家族のもとに返ってきた。8月1日、この土地で知花さんと反戦地主会会長・照屋秀伝さんの呼びかけで祝う集いが開催され、百数十人がかけつけた。
(写真 とゐむどぅちゃんどー【取り戻したぞー】と喜ぶ知花さん親子ら【8月1日 読谷村・米軍楚辺通信所内】)
 知花さんの土地がある米軍通信施設、通称「象のオリ」はSACOで返還が合意されていたにもかかわらず、移設先の建設遅延を理由に2度にわたって強制使用がかけられてきた。そして、またも本年7月31日に期限切れを迎える事態となった。地主がどんなに抵抗しても総理大臣の指揮で全面的に土地の強制使用ができるように改悪した米軍用地特別措置法をもってしても7月31日に間に合わない。またも米軍と日本政府が人民の土地を不法占拠するという事態を現出させるのか! 米軍再編という新たな琉球処分に対する沖縄県民の怒りの高まりの中で、決定的に追い詰められた政府は、米軍基地のど真ん中へ130b入った所にある知花さんの土地だけを柵で囲い返還するという道を選んだ。
 違憲共闘会議の安里秀雄さんの司会で集いは進められた。安里さんは「きょうは『返還』ではない。闘いで勝ち取った解放だ」と述べた。照屋秀伝さんは「60年間闘い続けてよかった。知花さんは沖縄の誇り、感慨無量だ。アジア、世界のどこでも殺し合いがないように、沖縄からのろしを上げていこう」。
 違憲共闘弁護団の5人の弁護士も参加し発言、金城睦さんは「今日の事態に生きている喜びをみんなで感じましょう。沖縄は政府から頭をなでられている。韓国の闘いのようにもっと激しく」と檄(げき)を飛ばした。
 知花さんが、家族とともに参加者の前に立ってあいさつした。知花さんが語った「この土地の歴史」は沖縄と沖縄人民の、連綿と続く苦難と自己解放の闘い、生きざまそのものであり、多くの人に感銘を与えた。
 ――米軍上陸の時、昌一さんの父・昌助さんに土地を相続すると遺言していた大叔父・知花平次郎さんは、娘が「障害」を持っていたため近隣の家々の多くが避難していたシムクガマに入らず2人で家に残っていた。平次郎さんは家と娘を守ろうと米兵に竹ヤリを構え射殺された。フィリピンで敗戦を迎えて生き残った昌助さんが土地を相続し、生きるために働き闘い続けたこと、米軍に土地を取られた波平部落の全地主が契約拒否の反戦地主となったこと、復帰後の政府の圧力で全体が契約に追い込まれていく中、心ならずも契約せざるを得なかったこと、その後昌一さんが土地の生前贈与を受けて相続し契約を拒否したこと。
 三線、エイサー、歌などで参加者が心からの喜びを表現するにぎやかな祝いとなった。

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週刊『前進』(2259号5面3)(2006/08/28)

 9・14〜16 300万学生は 全学連第66回定期大会へ

 全学連中央執行委員会 委員長 織田 陽介

 全学連中央執行委員会は第66回大会へ以下の招請状を発した。
    ◇
 300万学生のみなさん! 今春、全学連は300万学生ゼネスト方針を掲げて、国会前で、沖縄で、三里塚で、そして何より法政大学を天王山に全国大学キャンパスで、改憲攻撃を振りかざす小泉に対し、一歩も引かずに闘い抜いてきた。
 果たして「300万学生ゼネスト」方針は空論だったか? 全学連中執は堂々と言い切ることができる。300万学生ゼネストはもう始まったではないかと! あなたは法政大学での1000人集会を見たか。これが学生の力だ。
 帝国主義の危機の時代は、300万学生の反乱の時代だ。学生こそが、この腐りきった社会をひっくり返す、歴史の前面に躍り出る時が来た。全学連中執は、沸き上がる感動をもって、9月14〜16日全学連大会への結集を呼びかける! 私たちは、歴史に残るような大会の成功を確信する。共に同じ時代を生きる仲間として、この熱い呼びかけにこたえて立ちあがってほしい。
 すべての学生は、一人の例外もなく、帝国主義の腐りきった体制をぶっ倒す力を持っている。全世界の労働者人民と団結し闘うことができる。そうだ。激動の時代にあっては、300万学生一人一人が革命家だ。
 こんな学生が一堂に会して大会を開催し、どう改憲をぶっつぶすか、どう社会を変えてやろうかと議論する。この期待感はもはや言葉では表現できないではないか!
    ◇
 何より今回の大会は、文字通りの改憲阻止300万学生ゼネストへの大前進を切り開いてきた学生が集まる。
 3月14日、法政大学当局による戦時下の言論弾圧・立て看板撤去に対して、29人の全学連闘士がたちあがった。逮捕された29人は、誰一人として仲間を裏切らない鉄の団結で完黙を貫き、200人の公安警察の大弾圧をぶっ飛ばした。時を同じくしてフランスでは大量の逮捕者を出しながら、学生と労働者がゼネストを闘っていた。全学連は日本の代表として誇り高く闘い抜いたのだ。その3カ月後の6月15日、検問体制や事前弾圧をぶっ飛ばし、検問の柵を踏みしだいて、1000人の学生が退学者や3・14弾圧と闘った全国学生との合流を果たし、キャンパスを奪い返す感動的な闘いが打ち抜かれたのだ。法政大決戦は同時に、3人の退学処分、2人の停学処分者を出しながら激しく闘い抜かれている。必ずこの処分は撤回させることができる。
 この闘いの中で、感動的な言葉を発しながら全国で、法政大で、次々と学生が立ち上がった。たくさんの仲間が全学連の隊列に加わってきた。その一人一人が各大学でビラを作り、まき、友達を真剣に説得し、びっくりするほどの力を発揮して闘った。このことの感動が、この闘いの勝利を保障している。300万学生のゼネストとはそういうことだ。
 全国の闘う学生のみなさん。今春の闘いの大勝利を今大会で共有し、法政大学を先頭とした全大学でのストライキの爆発のために、激しく討論し方針を決定しよう。戦時下の団結破壊、寮の廃寮化、サークル活動破壊、学問の腐敗と対決し、全国大学キャンパスに、全学生が団結し闘う自治会、ストライキで闘う自治会の旗を立てるまで突き進もうではないか!
    ◇
 そして今大会は同時に、今秋臨時国会に向けた9・20自民党総裁選に対する、300万学生の回答だ。
 自民党は秋の臨時国会に、教育基本法改悪案、共謀罪、国民投票法案、防衛庁「省昇格」法案といった「改憲4法案」を提出すると言っている。しかしこんなものは論外だ。教育基本法の改悪案は、全国の教育労働者の決起の前に粉砕された。共謀罪に至っては、あまりのむちゃくちゃさに世論の大半が反対を表明、与党内すら分裂する事態に陥り破産した。改憲国会は、一日の国会延長もできずにぶっとばされた。今秋臨時国会で同じ法案審議を行うなど恥知らずもいいところだ。もはや始まる前からこのような臨時国会は誰も認めていない。ぶっつぶすのみだ。全学連こそがストライキでのキャンパス封鎖と万単位の国会デモで改憲阻止闘争の最先頭に立つことを宣言しよう! 
 ブッシュはさらにイラク戦争へのめり込み、イラン、レバノン、北朝鮮へと戦争を拡大しようとしている。小泉・自民党も、自衛隊をさらにイラク戦争に深々と参戦させるとともに、米軍再編を進め、沖縄・辺野古への新基地建設の再びの着工、三里塚軍事空港の暫定滑走路の北延伸工事着工を狙っている。北富士をはじめ、基地・演習場の強化を狙っている。他方、動労千葉は臨時国会まっただ中の11月労働者集会で、日韓米国際連帯と1万人大集会で迎え撃とうとしている。この天下分け目の大決戦を前に、自民党は総裁選をぶつけてきたのだ。
 この秋、改憲攻撃の息の根を止めるべき私たち学生は、どうすべきか。歴史的な大会を学生の手で勝ちとり、団結し、300万学生ゼネスト方針をうち立てるべきではないだろうか。全学連大会に全国から一人残らず結集しよう!
   ◇  ◇
全学連第66回定期大会
 9月14日(木)〜16日(土)
 東京都内

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週刊『前進』(2259号5面4)(2006/08/28)

 均等法制定から20年 女性労働者の現実

 激増する派遣・パート

 賃金差別の実態は変わらず

 男女雇用機会均等法「改正」

 今春通常国会で改正男女雇用機会均等法が、参院4日間で16時間、衆院2日間で6時間というわずかな審議で成立した。付則に「5年後見直し」が書き込まれた。小泉の構造改革の柱−労働法制改悪の一環として改正均等法は成立したのだ。
 今回の「改正」は男女を対象とした「性差別禁止法」へと均等法の性格を転換したこと、「間接差別の禁止」を導入したことが特徴。
 しかし、最大の間接差別問題である「賃金」については、「労基法4条がある」「配置・昇進、妊娠出産の差別をなくすことで勤続年数が長くなり、結果として賃金格差は縮小する」と問題外とした。「パート差別はパート労働法で対処すべき」とし間接差別から外した。
 「間接差別」という表現は法には盛り込まず、何が間接差別なのかは、今後「省令」で決めていくとした。「間接差別の禁止」は三つに限定して列挙。間接差別を制度化している均等法の指針−「雇用管理区分」は禁止対象にしていない。
 均等法の理念に「仕事と生活の調和」を明記せよとの連合の要求を、厚労省は「機会均等にはなじまない」と拒否した。
 さらに、「女性の坑内労働禁止」(労基法64条2項)が「妊婦等の坑内業務の就業制限」に変更された。「女性の坑内労働」を解禁し、労基法・女子保護規定の最後の歯止めをなくしたことは、戦後労働法制の解体であり、重大な攻撃だ。

 格差は拡大し労働条件悪化

 均等法と労働者派遣法は表と裏の関係にあり、それが政府・資本の女性労働力政策だった。労働者派遣法制定(86年)以降、派遣労働者、パート労働者が増加した。95年日経連「新時代の『日本的経営』」方針でさらに増大した。現在では、女性労働者の2人に1人は非正規労働者(55・06%)で基幹的労働力となっている。派遣労働者の83・01%が女性。均等法で男並みに働くこと、それができない女性はパートや派遣となった。
 商社、損保、銀行など大企業は、均等法施行と同時にコース別人事管理制度−総合職(男性)、一般職(女性)を導入し、「雇用管理区分」が事実上の男女差別への穴抜け、賃金格差に道を開き、女性労働者差別待遇を制度化させた。
 90年代、「コース別訴訟」等の女性労働裁判が頻発。今年4月、住友金属男女賃金差別裁判で和解が成立した。95年8月提訴以来10年余りかかった。住友金属工業は「差別の実態はないが、訴訟が10年以上に達していることから和解案を受け入れた」とコメント。すでに、職場実態、労働現場が派遣や契約社員で成り立つという状況にあり、今さら正社員でなければの状況でないということだ。労働裁判では「区分が違えば処遇の違いは当然」とする資本の論理をいまだ崩せていない。均等法女性労働裁判の限界がここにある。「雇用管理区分」と「均等指針」は職場の闘いで葬り去らなければならない!
 均等法攻撃を「実効あるルール作り」・政策要求運動に切り縮める連合指導部や既成女性運動の屈服をのりこえ、今こそ職場の仲間を信頼し、非正規・正規労働者が団結し、職場からのランク・アンド・ファイルの階級的力で、労働法制解体攻撃と闘おう。
 身をぼろぼろにして必死で働いても、年収200万円以下。妊娠したら即首、でなければパートにされる。働いても子どもの学費も払えない。無権利、低賃金・長時間労働・不安定雇用、これが、均等法20年の女性労働者の実態だ。 
 現在、女性労働者は2229万人、全労働者に占める女性の割合は41・3%。政府発表でさえ正社員比率は85年(均等法制定時)68%、97年(均等法改悪)58%、04年には48%と低下してきた。逆に、短時間女性労働者は887万人、卸売り・小売業、サービス業、医療・福祉、製造で7割を占めている。賃金は、男性100に対して女性は64・0、女性労働者100に対して女性短時間労働者は69・0である。『女性労働者の実情』(厚労省)には派遣、請負、アルバイトの実態調査報告はない。すべての労働者が「均等法は女性労働者を守らない」という事実を知っている。

 女性労働者は改憲阻止へ

 改悪均等法−労基法解体は、政府・資本の新たな階級攻撃の突破口だ。小泉「聖域なき構造改革」は、少子化対策というスローガンのもと、男女共同参画社会基本法と均等法・労基法改悪で安価な労働力としての「女性の活用・登用」をもって資本の利益を肥やし、戦争動員をする女性労働政策である。
 改悪均等法にあたって資本はあけすけに語っている。「少子化へのかつてない関心があつまっている。労働力人口の減少を考えれば、女性の活用をさらに進め、男女共同参画社会を目指すことの重みが一層増している。女性が子育てをしながら働ける社会、雇用環境の整備が必要」(毎日新聞1・30社説)と。「男女の働きやすい環境」「仕事と生活の調和」など絵空ごとだ。資本は「格差は経済力の源」(御手洗日本経団連会長)と公言してはばからないのだ。
 今「労働契約法」や労働時間規制の緩和で8時間労働制を解体し、企業が労働者を24時間、自由勝手に使える法律がつくられようとしている。改悪均等法はそうした動きと密接不可分だ。戦争・民営化(労組破壊)、改憲攻撃と一体である。
 北朝鮮ミサイル発射を口実に日米帝による侵略戦争発動への動きが強まっている。しかし、労働者の不安・いらだち、怒りは階級的怒りへと化学変化し始めている。”憲法9条を変えるな”運動を職場からつくろう。9月国会闘争−共謀罪、教育基本法改悪、国民投票法案を阻止しよう。
 今秋11月労働者総決起へ向け、女性と女性労働者はその先頭に立とう!
 (藤田奈津子)
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◎間接差別
 外見上は性別に関係のない中立的な取り扱いであっても、結果として男女間に賃金や労働条件の格差を生じさせるもの。
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 ■「改正」のポイント

@男女双方への性差別を禁止する。
A配置、降格、雇用形態・職種の変更、退職勧奨、雇い止めなどについても性差別禁止
B間接差別の禁止。省令で限定列挙する。
イ 募集・採用にあたって身長・体重・体力
ロ 総合職の募集・採用にあたって全国転勤
ハ 昇進にあたって転居を伴う転勤経験
C妊娠・出産・産前産後休業の取得を理由にした不利益取扱禁止
Dセクシャル・ハラスメントの対象に男性も加え、予防、解決のため具体的措置を執るよう事業主に義務付け
Eポジティブ・アクションに関する企業の取り組みの開示を国が支援する。
F調停の対象にセクハラも加える。
G「女性の坑内労働の禁止」の緩和

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週刊『前進』(2259号6面1)(2006/08/28)

団結ひろば 投稿コーナー

 8・6大行動にむけ分会回りキャラバン 広島・教育労働者 S

 今夏「8・6ヒロシマ大行動」は全国の多くの仲間の結集で大成功をおさめました。ありがとうございました。
 私たち広島の教育労働者はこの8・6大行動にむけて、7月下旬からスピーカーを付けた街宣車と乗用車に乗り込んで「分会回りキャラバン行動」を行いました。乗用車の仲間がビラ・賛同用紙・チケットを手に学校職場を訪問し、その間に街宣車は、学校付近を回り、地域の住民や労働者に訴えました。
 私は3日目のキャラバン街宣行動に参加しました。当日キャラバンをする地域は郡部の職場で、学校と学校の間がずいぶん距離のある所もありました。しかし、朝9時から夕方5時までの間に230`メートルを走行し、20職場を訪問することができました。すごく頑張ったと思います。
 この行動で多くの広教組・高教組の仲間と直接会って話をし、多数の賛同署名や8・6大行動への参加を勝ちとることができました。また学校でクラブ活動をしている子どもたちには「平和な世の中をつくるためにお互いに頑張りましょう!」とエールを送りました。街宣車の私たちに手を振る子どもたちや教育労働者も多くいました。手を振り返した私たちとひとときの交流でもあり、すばらしい「平和教育」にもなったと思います。
 この3日間の街宣行動を通して一番の大きな成果は、広島の青年から壮年、そして退職教育労働者を含め十数名が、一致団結して元気よくこの街宣キャラバン行動を行ったことです。
 このエネルギーは、秋の教育基本法改悪阻止・改憲阻止―11月1万決起の闘いに向けて、すごく大きな団結の力になったと確信しています。

 同僚が突然の辞職へ怒りを職場の団結に 医療・福祉 間 黒男

 同僚のN君が突然、電話一本で4交替の職場をやめました。管理職の人は電話口でN君に「あなたには、社会人としての責任は無いのですか。今まで、そんな気持ちで働いてきたのですか」などと言いました。N君は何も言い返せず無言のままでした。
 しかし『前進』2257号の動労千葉集会での田中委員長の発言「よく考えてみたらそうではない。当局の責任だ……」を読んでスッキリしました。これも、小泉、安倍らの僕ら青年労働者に対する攻撃の結果です。低賃金、休みなし、仕事量増加と管理者のしめつけで乗り切ろうとすることへの抗議の辞職でした。
 この怒りを職場の団結に変えて、世界の労働者とつながる11月労働者集会に参加していきたい。

 化けて出ろ、時計台で首をつった課長よ 牧師 望月文雄

 今年の6月1日の朝日新聞、川崎のページに大きな見出しで「ごみ収集週3回に…来年4月から」という記事がありました。経費約6億4千万円、人員58人、車両56台の削減効果があるとされた、という削減効果を表した記事です。
 その記事の4、5段下に「市環境局の課長庁舎内で自殺か」という小さな見出しの記事がありました。
 「31日午後2時半ごろ、川崎市川崎区の市役所本庁舎の時計台の中で、男性が首をつっているのを点検中の委託業者が見つけた。すでに死亡しており、市環境局の課長と確認された。川崎署は自殺と見ている」
 翌日自宅近くにごみを収集にきた環境局の職員に事情を聴いてみたが、1人は事件そのものを知らず、もう1人は名前は聞いていないという。
 自分が勤務する市役所の時計台の中を死に場所と決めた課長の市に対する恨みは深いのでしょう。30年前、私の同期生が職長職試験に2度失敗して、緑ケ丘霊園の雑木林を死に場所に選び、縊死(いし)しました。私なら勤務先を選んだでしょうに。
 この環境局課長が市庁舎の時計台を死に場所と決めたことは、行財政改革の責務の負担に耐えかねたものでしょう。自分を死に追いつめたその業務の象徴の場を死に場所に選んだに違いありません。
 縊死した課長よ、死に追いつめた組織の長に化けて出なさいよ、毎晩、毎晩。(06年7月24日)

 「セーフティネットで格差緩和」のペテン 山口 修

  今、労働者の暮らしが極限的に破壊され、格差が拡大しているなか、政府や民主党、さらには連合本部までもが口をそろえて「セーフティネットの構築」と言っている。これについては非常にうさんくさいものを感じていたが、先日NHKが放映した「ワーキング・プア 〜働いても働いても豊かになれない〜」という番組を見てはっきりした。「セーフティネットの構築」とはうさんくさいどころか、労働者の誇りを踏みにじる実に許せない考え方であり政策だ。
 番組で、旧大蔵省で予算策定を担当していた村尾信尚という大学教授はこう語っていた。「困った人、弱い人を救うのは政府の役割。しかしその財源は、活力で、競争で稼いだ人から持ってくる。稼いだ人のお金を税金や寄付という形で社会に還元してもらい弱者の人々を救ってゆく」と。
 冗談ではない。資本主義社会における「富」の根源は、われわれ労働者の労働ではないか。それを「競争原理だ、自己責任だ」と言ってとことん搾り取っておいて、そのもうけのおこぼれで「救ってやる」だと? この社会を動かしている真の主体である労働者を「弱者」に落とし込めているのは誰なんだ。他人の労働を搾り取ってもうけておいて、その偉そうな口のきき方はなんだ。
 さらに許せないのは労働組合の屈服指導部だ。「ネット」とは「網」である。「セーフティネットの構築を」と叫ぶ連合本部は、労働者の組織であるにもかかわらず、われわれ労働者を「網で掬(すく)ってやるべき存在」と考えているのか。
 連合本部は、「セーフティネット」の具体例として社会保障や雇用保険などを挙げているが、これは資本家階級が労働者階級を救うために設けた制度などではなく、資本家階級がプロレタリア革命を抑えつけるために渋々認めた制度だ。本質的には労働者階級が戦後革命期の闘いをとおして力で獲得したものだ。
 「格差社会」とは資本主義のあり方そのものである。「セーフティネットによる格差社会の緩和」ではなく「労働者自身の手による資本主義の打倒」を!

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 〈投稿規定〉

 原稿は600字以内。紙面の都合で短くする場合があります。原稿は返却しません。都道府県名または地方名、職業、所属組織・団体、希望のペンネームを添えてください。
 あて先は、〒132−0025 東京都江戸川区松江1−12−7 前進編集局「団結ひろば」係
 『前進』ホームページの「安心メール」でも受け付けます。

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週刊『前進』(2259号6面2)(2006/08/28)

 障害者自立支援法 10月全面施行阻もう

 撤廃へ「障害者」の総決起を

 「障害者自立支援法」は、4月1日に応益負担(1割の利用料)など法律の一部が施行され、10月1日から介護保険と同じ6段階の「障害程度区分」による要介護認定を含めて全面施行されようとしている。このなかで障害者自立支援法に対する怒りがあらためて爆発している。
 6月6日に行われた知的障害者施設協会の日比谷野外音楽堂での集会には6000人が参加し、たくさんの自民党の国会議員を前にして「最後に裏切られた。これだけの議員がいて去年どうしてこんな法律が国会を通ったのか。自立支援法は『障害者自滅』の悪法。私たちの要望が認められないなら、実力行使で厚労省におしかけよう」という発言が行われた。日本障害者協会の6月3日のフォーラムでも、主催者から「自立支援法をいったんリセットして考え直すべき」という提起が行われた。
 6月8日の東京フォ−ラムには1800人が集まり、7月4日の大阪府庁に対する抗議行動では2200人の「障害者」が庁舎を包囲した。続く7日には全国から集まった「障害者」が厚労省前で抗議行動を行い、怒りをたたきつけた。さらに応益負担の支払いを集団で拒否する名古屋の闘いや、「10月以降の介助保障がはっきりするまで認定調査を拒否する」という人まで、さまざまな形で抗議の闘いが取り組まれている。 
 この背景には、去年の国家審議の過程で「政省令にゆだねる」という形で隠したまま成立が強行された「自立支援法」の具体的な中身がようやく明らかになってきたということがある。「自立支援法」のもとでは、一人ひとりの「障害者」の生活が到底成り立たないことがあいまいさなく明らかになってきたのだ。
 こうした中で特徴的なのは、法の成立に反対してきた人はもちろんのこと、知的障害者施設協会のような、施設隔離に反対する私たちとは立場の違う「自立支援法」の賛成派だった自民党系の団体からさえ怒りの声が広範に巻き起こり始めていることだ。
 また、法案が成立する前まで反対していても、成立すれば「よりよい制度に」と常に事実上賛成に転換する共産党系の団体でも、大衆的な怒りに突き上げられて、自立支援法に関しては容易に「よりよく」とは言えない状況が生まれている。
 一貫して法の撤廃を掲げてきたわれわれの方針がすべての「障害者」の方針となる情勢が確実に進行している。闘いはこれからだ。10月全面施行を絶対阻止しよう。
(写真 障害者自立支援法阻止のために駆けつけた人びとが国会前を埋めた【昨年10月28日衆院厚労要での採決強行への抗議行動】)

 あらわになる許し難い実態

 10月の全面施行を前にして障害者自立支援法の許しがたい実態が次々と明らかになっている。1割の自己負担が導入された結果、負担に耐えかねて入所施設や作業所を退所した人が数百人規模で出ている。利用回数を減らしている人ははるかに多い。
 厚労省は「きめこまかな低所得者対策を実施している」と言っているがとんでもない。都内の法定通所施設の運営主体で構成する団体によるアンケート調査の結果では、自己負担に対する何らかの減免措置を受けている人は利用者のわずか14・9%に過ぎない。ホームヘルプに対する国庫負担基準は介護保険の基準よりはるかに低い。しかも障害程度判定のための調査項目が介護保険のものを基礎にしているために「知的障害者」「精神障害者」は本人の実態とはかけ離れた低い区分しか当てはまらない。
 また「地域生活への移行」と称して入所施設の敷地内へのグループホームの設置を認め、隔離を固定化しようとしている。
 「精神障害者」の場合は、5月末に「退院支援施設」なるものが打ち出され、精神病院の病棟の一部をそのまま障害者自立支援法に移すことで見かけ上の入院者総数を減らそうとしている。これが、心神喪失等医療観察法の成立と一体で厚労省が打ち出した「10年間で72000人の入院患者を精神病院から退院させる」という「社会復帰」政策の主要な中身なのだ。本当に許せない。
 通所授産施設、グループホーム、入所施設については、これまで月額払い方式だった報酬支払いが日額払い方式に変えられた。つまり、病気や外泊などで利用者が欠席するごとに施設に支払われる報酬が減額されていくという仕組みに変えられたのだ。結果、2割を超える減収になる施設が続出しており、運営を圧迫している。小規模作業所では国からの補助金が打ち切られた。労働者にとっては労働条件の悪化やリストラ、利用者にとっては介助水準の低下につながる。
 こうした中で、家族による無理心中など「障害者」殺し事件も激増している。一部施行の段階でも事態はこのように進行していることを、私たちは怒りをこめて弾劾する。10月からは、さらに深刻な状況になることは確実だ。4大産別を軸とする改憲阻止決戦と結合して、今こそ障害者自立支援法撤廃の大運動をつくり出そう!
〔関東「障害者」解放委員会〕

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週刊『前進』(2259号6面3)(2006/08/28)

 杉並 作業所閉め大集会

 「障害者自立支援法」全面実施に異議

 若い職員が結束し立つ

 差し迫る攻撃に対し何もせずにいるのか。それとも活路を求めて立ち向かうのか。障害者自立支援法を巡る攻防は、福祉労働者と「障害者」当事者の生存と生活をかけたものとなってきている。
 杉並の精神障害者共同作業所の職員たちは結束し、10月からの障害者自立支援法全面実施を前に、異議を訴え、反撃に立ち上がっている。

 膨らむ労働者としての自覚

 6月5日、杉並区精神障害者共同作業所・グループホーム連絡会は「作業所はどうなるの? 緊急大集会」を開催、15カ所の作業所を一斉に閉所し220人が参加した。集会後も区長への要望書提出、連日の対区議会行動とビラ発行と創造的に闘いを進めている。
 杉並区はこれに対し、地域活動支援センター利用料を「事務手数料」条例の区議会可決というペテン的なやり方で強行し、屈服を迫ってきた。
 しかし、連絡会の結束は強まっている。会議、学習会や議会行動をとおして、福祉切り捨てを許さない労働者としての自覚が膨らんでいる。
 7〜8月の対区交渉では、早期同意をもくろむ区行政(障害者施策課)に対して「これでもか。これでもか」と食い下がり、「障害者」や作業所を類型化し、分断する政策、補助金カットや利用料徴収案に反対し続けている。それは作業所を超えて団結し、共同で行動することの威力を実感する過程でもあった。
 特筆すべきは、一斉ストライキを彷彿(ほうふつ)させた「作業所閉所―統一集会」に至る全過程を牽引(けんいん)した20代、30代の青年労働者が日々変わっていくダイナミズムだ。作業所閉鎖・縮小は自分たちの職場の喪失=失業攻撃でもある。「私たちは事業者ではない。私たちはボランティアではない。私たちは労働者だ」。職員たちは、絶対反対派の登場に触発され、自ら福祉労働者としての階級性にめざめようとしている。
 障害者自立支援法は3年後の見直しを明記し、介護保険との合体をもくろんでいる。国は「障害者」を「就労し、再び課税対象になる者」と「もはや働くことが不可能で税金を消費するだけの者」に振り分け、前者をとことん搾取し、後者を切り捨てようとしている。自立―社会復帰の名のもとに「国の厄介者から国に役立つ障害者」へとリハビリさせられ、職員をその訓練員、管理者にしようとしているのだ。
 行き着く先は戦争協力の道だ。憲法9条を変え、25条に手をつけ、「健康は国民の義務」とされる福祉解体の現実こそ、日本が戦争への道をひた走っている証左だ。
 共同作業所と「精神障害者」の存在は社会の鏡であり、その実践に貫かれる人間解放の思想と障害者自立支援法の価値観は相いれない。この間の非妥協的な闘いの根拠がここにある。

 改憲阻止決戦と一体で闘う

 この闘いは、どこに向かうのか。一つに、自治体労働者と結合し、ともに闘うことが重要だ。その中で革命的議員との結合も追求しよう。二つに、安全を掲げてストライキで闘う動労千葉の階級的労働運動を学ぶことである。労働学校や学習会、集会に参加しよう。三つに、杉並の地平を全都・全国に波及させることである。自信をもってアピールしよう。障害者自立支援法との攻防は3年間の激動になり、改憲阻止決戦と同時並行していく。11月国際労働者集会に職場ごと参加し、世界中の、日本中の現場労働者と交流しよう。
 社会を動かしているのは労働者であり、時代を切り開くのは青年労働者のみずみずしい行動だ。杉並の若者たちが直接行動に身を投じ日々変わっていく姿の中に勝利の未来を確信する。
 (投稿/山野由実 全国労組交流センター医療福祉部会)

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週刊『前進』(2259号6面4)(2006/08/28)

 共謀罪を廃案に!

 関東学院大学教授 足立昌勝さんの講演

 決意を処罰し運動を弾圧

 「共謀罪を完全廃案に! 7・21総決起集会」(主催 破防法・組対法に反対する共同行動)での足立昌勝さん(関東学院大学教授 共謀罪新設反対!国際共同署名呼びかけ人)の講演「共謀罪は廃案しかない」の要旨を紹介します。杉浦法相は7月下旬、「すぐにでも共謀罪法案が採決されてもいい」と述べている。臨時国会は冒頭から共謀罪法案をめぐる激突になる。今度こそ完全廃案に追い込むために闘いを強めよう。(編集局)
 まず最初にお話ししたいのは、共謀罪の立法理由なんて本当に日本にあるのかという点です。
 法務省はそもそも法制審議会刑事法部会の中で「日本には立法事実(法律が必要な背景事情)はない。こんな法律を作らなくていい」と言ってたんです。あくまで「条約を批准するためだけに(立法が必要だ)」と言ってきました。
 ところが、法案ができて国会審議が始まるとさまざまな理由が付いてきました。「共謀罪を制定しなければ日本がテロ実行犯のたまり場になる」とか「暴力団対策としても有効だ」と言ったり。
 しかしこれは基本的に間違っている。有効であろうがなかろうが「跨国(国際的)組織犯罪防止条約」とは無関係なんです。私は条約そのものに反対の立場ですが、この条約の5条は、共謀罪を制定しなければならないとはどこでも言っていません。参加罪である必然性もありません。
 これについて現在では、国連の「立法ガイド」51節の説明に従って、第3の道もありうるという指摘もなされています。お隣の中国では条約批准に伴う新規立法はしていません。韓国も条約に署名しましたが、新規立法はしていません。
 では、真の立法目的は何なんでしょうか?
 これから戦争への道が始まっていきます。すでに2003年、日本はイラク派兵という形で戦争への道を一歩切り開きました。そしてこれから日本は憲法改正に向かおうとしている。そのために国民投票法案を作り、憲法改正を先取りしたもので私たちを慣らしてやってくるのではないかと私は思います。
 まさに国家再編の一環として、その中に共謀罪法案は組み込まれているということです。組織犯罪条約そのものの基準から離れ、日本の国家再編の一環、あるいは日米の価値一体化の中で、この共謀罪法案が出てきているのだと思います。

図 犯罪の実行行為と共謀の関係

 正当性のない「中抜け処罰」

 共謀罪法案は、日本の法体系に合わない構造的欠陥のあるものです。
 日本では既遂処罰が原則です。例外として”未遂”が処罰されます。そして、ごくごく例外として未遂より前の準備段階で”予備”が処罰されます。私たちがする”決意”は予備のずっと前です。だから決意では絶対に処罰されません。
 しかし、共謀というのは2人以上の者の決意が合致すること――つまり共謀が処罰されるということは、決意の処罰と一緒なんですね。
 次に”中抜け処罰”に関する正当性の欠如についてです。
 例えば、公衆トイレに「反戦」という落書きをした建造物損壊罪は既遂で処罰されましたが、予備、未遂は処罰されません。ところが、5年以下の懲役ですから共謀罪の対象となります。予備、未遂は処罰できないのに共謀は処罰できる。つまり”中が抜けてる”わけです。窃盗も、既遂・未遂は処罰できますが予備は処罰できません。中抜けしていないのは予備罪が処罰されている殺人など重大なものしかないんです。私はこの問題を前から指摘しています。しかしこれについて法務大臣も、大林刑事局長も誰も説明しておりません。
 共謀罪の対象とされる団体の定義についても、与党再修正案では「団体の『共同の目的』として犯罪を行うことと掲げている団体」としました。これで本当に、対象とされる団体が限定され、労働組合や市民運動が排除されたのでしょうか。実際は、団体の”共同の目的”として犯罪を行うことを掲げている団体なんてどこにもありません。暴力団ですら目的としては違うことを書く。だとしたら、こんなものは何の限定にもならない。市民運動や労働組合にも掛かってくるでしょう。

 継続審議は欺瞞そのもの

  6月16日の衆院法務委員会では、もとの政府案だけが継続審議になりました。
 しかし、与党は何回も法案を変えました。最後には民主党案の丸のみ案まで出てきた。これら全部が継続審議になるなら通常国会の議論が次の国会につながってくると思うんです。ところが、政府原案だけを継続審議にして、それ以外が一切無いとすれば、今までの議論はどこに行ったのか。まさに欺瞞(ぎまん)です。
 5月19日、河野衆議院議長が「もっと話し合いなさい」と言ったことで、与野党は実務者協議に入りました。政府案に批判が出て委員会としてはもう審議できなかった、つまり廃案しか道がなかったはずなんです。
 なぜ共謀罪を新設しなければならないのか。この議論をもう一度、最初からし直すべきです。私は、共謀罪は一度廃案にして「跨国(国際的)組織犯罪防止条約」の審議からもう一度やり直すべきだと思いますし、これからもそう主張をしていきたいと思います。
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 跨国(国際的)組織犯罪防止条約(Convention against Transnational Organized Crime) 2000年11月15日、国連総会で採択された。06年8月現在、署名国は147、批准国は123。国連公用語の中国語では「跨国」としている。

 予備 犯罪の実行の着手に至る前段階の状態を指す。刑法は、特に重大な少数の犯罪に限って予備を処罰している。殺人予備罪、放火予備罪、強盗予備罪、身代金目的略取予備罪、内乱予備罪、外患誘致予備罪、外患援助予備罪、私戦予備罪のわずか八つ。

 未遂 刑法上は「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった」(43条)場合を言う。未遂の段階で処罰されるのも重大犯罪に限られる。

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