ZENSHIN 2006/12/11(No2274 p08)

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第2274号の目次

(写真 国会前では30日にリレー・ハンストが再開。1日には教基法改悪と共謀罪に反対するジョイント行動が終日闘われた【12月1日】)

1面の画像
(1面)
教基法改悪案 参院強行採決阻止を
階級的労働運動の前進の力で危機と戦争の帝国主義打倒へ
闘う日教組の再生を今こそ
記事を読む  
法政大 3学生またも不当逮捕(11月29日) 記事を読む  
反戦共同 緊急行動に立つ(12月1日) 記事を読む  
国会闘争スケジュール 記事を読む  
(2面)
国会前のハンスト再開
日教組本部の屈服突き破り 現場から闘い起こそう(11月30日)
記事を読む  
11・25集会 ”国会前に出て来い”  森越委員長に怒り噴出(11月25日) 記事を読む  
朝まで生テレビ
森越委員長が座り込みを「すみません」と謝罪(11月25日)
記事を読む  
「許さない会」  12・10集会に結集を国労再生-無罪獲得へ 記事を読む  
国労弾圧公判  ”統制処分許せぬ”
篠崎新橋支部前委員長が証言(11月29日)
記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2006 11・10〜11・24
厚労省 労働契約法制の新素案示す
郵政で早期退職1万人/教育労働者が2時間残業
記事を読む  
(3面)
「日本版エグゼンプション」導入
労働時間規制の撤廃許すな  労働契約法制に絶対反対を(湯村宏則)
記事を読む  
〈焦点〉  「日本版NSC」へ動きが加速  集団的自衛権で突破狙う 記事を読む  
〈焦点〉  安倍と財界の経財諮問会議  「成長重視」 労働者犠牲に 記事を読む  
民主労総 非正規職悪法・韓米FTAと闘う
15万人がゼネスト  集会禁止突破し民衆大会(11月29日)
記事を読む  
(4面)
教基法改悪阻止をかけ国会終盤の決戦へ
伊吹文科相が組合活動を「不当な支配」と強弁
10条解体に職場から反撃を
記事を読む  
サッチャー教育改革  無惨な破産と荒廃  安倍「教育再生」粉砕へ 記事を読む  
革共同に圧倒的年末カンパを
労働者の階級的団結を強化して日本革命-世界革命へ前進しよう
記事を読む  
新刊紹介 コミューン 1月号  米軍再編阻止の砦 記事を読む  
(5面)
教基法改悪阻止をかけ国会終盤の決戦へ
共謀罪 抜き打ち採決策動許すな
全国各地の職場から国会へ  闘いの大衆的爆発で粉砕を
記事を読む  
腐敗極めるカクマルJR総連解体へ
平成採の労働者は階級的労働運動の隊列に(矢剣 智)
記事を読む  
(6面)
石油が世界戦争の震源地に  米欧日・中・ロが争奪戦  〔島崎光晴〕 記事を読む  
北富士 “侵略演習拡大許さぬ”
小火器を初使用 海兵隊移転演習にデモ(11月26日)
記事を読む  
2006年日誌 11月21日〜28日
米核艦通過「緊急時認める」  イラクで過去最大級の死者
記事を読む  
(7面)
11・5集会の地平とその主体的総括
党の革命的自己変革かちとり新指導路線での実践的一致へ
革共同中央労働者組織委員会
記事を読む  
法政大弾圧  「建造物侵入」をデッチあげ
大学当局と警察が完全に結託(マルクス主義学生同盟中核派・法政大学支部)(11月29日)
記事を読む  
北原さん招き講演会  三里塚と闘う学生が合流(11月24日) 記事を読む  
(8面)
団結ひろば 投稿コーナー
教基法改悪の攻撃に労働者は反撃する! 岡山 物理重久
宇都宮でタウンミーティングに抗議行動 栃木 岩木正美
11月集会−2年続けてのカンパ隊で思う 静岡・福祉労働者 浅井広子
 「三里塚 大地の乱」のビデオを見て感動 広島 高田二郎
ホームヘルプ制度が自立支援法で有料に 兵庫 吉村隆生
記事を読む  
無実で獄中32年 星野文昭さんに自由を!
全国集会 “必ず取り戻す”と誓う  渋谷・東京山手教会に430人(11月25日)
記事を読む  
朝鮮総連への捜索弾劾  北朝鮮侵略戦争の発動狙う(11月27日) 記事を読む  

週刊『前進』(2274号1面1)(2006/12/11)

 教基法改悪案 参院強行採決阻止を

 階級的労働運動の前進の力で危機と戦争の帝国主義打倒へ

 闘う日教組の再生を今こそ

国会前では30日にリレー・ハンストが再開。1日には教基法改悪と共謀罪に反対するジョイント行動が終日闘われた(12月1日)

 教育基本法改悪案の参院強行採決の動きが、12月7日特別委員会、8日本会議と切迫している。この最大の決戦局面への突入に際して、全国110万教育労働者と6000万労働者の国会闘争への歴史的な総決起を訴えたい。臨時国会の開会以来、すでに幾万人もの労働者が、「日の丸・君が代」強制と闘う被処分者や日教組現場組合員を中軸にして国会闘争に立ち上がっている。03年教基法改悪の中教審答申が出されて以降を振り返れば、100万人規模の労働者が立ち上がっている。国論分裂どころか、教基法改悪・改憲阻止は圧倒的多数の労働者の心からの叫びとして渦巻いている。安倍政権は、日一日と拡大する労働者階級の怒りの決起に震撼(しんかん)している。教育労働者の階級的潮流を軸にして、闘う日教組を再生させ、30万組合員が団結して闘えば、教基法改悪策動は根底から吹き飛ぶ。参院での教基法改悪阻止闘争を衆院段階を数倍、数十倍する闘いに押し上げよう。共謀罪新設を絶対に阻止しよう。特に青年労働者と学生が人生をかけた決起をかちとることを訴える。教基法改悪阻止・改憲粉砕の大決戦を帝国主義打倒への永続的闘いとして爆発させよう。

 安倍打倒!職場から国会へ

 12月教基法改悪阻止決戦を闘うにあたって確認したいことの第一は、帝国主義体制の危機がますます深まり、「帝国主義の最弱の環」としての日本帝国主義が絶望的な矛盾の中でのたうちまわっているということである。
 この中で、日本と全世界の労働運動の階級的潮流が帝国主義の矛盾と危機、破綻(はたん)をついて、国際的団結を強化しつつ、帝国主義打倒=プロレタリア革命へと不退転の闘いを開始している。こうした21世紀初頭の世界史的情勢が極右ファシストの安倍政権を教基法改悪へと突進させている。
 帝国主義の基本矛盾の世界史的爆発は、激化の一途をたどっている。29年型大恐慌の切迫、帝国主義間争闘戦の激化、FTA(自由貿易協定)とそれをめぐるブロック化の進行、そしてイラク侵略戦争の泥沼的危機の中で、米・日帝国主義による北朝鮮侵略戦争の発動は、第3次世界大戦の引き金を引くものになろうとしている。アメリカ中間選挙でのブッシュと共和党の大敗北は、基軸帝国主義としての米帝の没落の深さを告げ知らせた。米帝がイラク侵略戦争の泥沼化と天文学的な貿易赤字・財政赤字を解決できない中で、四半世紀にわたる〈戦争と民営化〉の攻撃、貧困と階級格差拡大の攻撃を受けてきた労働者階級が、ついに怒りと不満を爆発させて、革命的情勢をたぐりよせつつある。
 アメリカ中間選挙の結果をも引き金に、イラク侵略戦争はますます危機と泥沼化を深めている。米軍はバグダッドの主要基地すら維持できず、占領軍として崩壊しつつある。他方で、内戦が激化し、毎月の死者が3000人を超え、ついにバグダッドは空港封鎖と夜間外出禁止令を余儀なくされている。イラク侵略戦争の戦略的失敗と敗北という現実は、ブッシュとともに、イギリス帝国主義ブレア政権と日本帝国主義・安倍政権をも、政権末期の危機にたたきこんでいる。
 こうした帝国主義体制の崩壊的危機の根幹にあるのは、帝国主義の階級支配の破綻だ。80年代以降本格化した〈民営化・規制緩和と戦争〉による労働運動の帝国主義的制圧・解体の攻撃が全世界的に破産している。米帝の手先となって世界の労働運動に介入し、弾圧してきたAFL−CIO(米労働総同盟−産別会議)の大分裂とその権威の最後的失墜がそれを象徴している。その対極で、非正規雇用化と対決し80万人のゼネストで不屈・非妥協に闘う韓国・民主労総や、06年に一挙に台頭した移民労働者を軸にしたアメリカ労働運動の内乱的発展の先頭に立つILWU(国際港湾倉庫労組)やAMFA(航空整備士労組)が、日本の戦闘的労働運動の伝統と歴史を受け継ぐ動労千葉と連帯し結合している。「国境を廃止しよう」と宣言し、帝国主義打倒への恒常的日常的国際連帯行動に立ち上がっている。
 日帝・安倍は、最も突出して北朝鮮スターリン主義・金正日体制の転覆と北朝鮮侵略戦争の策動を強めているが、労働運動・労働組合運動を制圧できていない。職場生産点に息づく4大産別の団結を解体できていない。教基法改悪と改憲が意図している日本の労働者階級の戦後的階級意識や階級関係の完全な解体・一掃の攻撃は、必ずや戦後革命期をのりこえる革命的激動に転化する。帝国主義の代弁者である連合・全労連などの既成労働組合指導部を打倒して、階級的労働運動のもとに6000万労働者、日教組30万組合員の怒りを総結集し、ゼネストで闘う韓国・民主労総と連帯し、北朝鮮侵略戦争発動と教基法改悪−改憲に命運をかけている安倍政権を打倒しよう。

 日教組解体し戦争教育狙う

 確認したいことの第二は、安倍政権による教基法改悪攻撃は、日教組30万組合員の団結を解体し、国家が教育労働者を差別・選別・管理し、愛国心教育=戦争教育を強制するものだということである。愛国心は「態度を養う」を結語にしている。これは、学校行事での「日の丸・君が代」の強制が、当日の服装、「日の丸」に対する顔の向け方、起立の仕方、「君が代」を歌う声の大きさなどへの監視・命令として、東京都教委が強行してきたことが、全国化することを意味する。
 さらに、教員免許更新制の導入で、愛国心教育を率先して担い「教え子を戦場に送る」聖職者に教育労働者をつくり変えようとしている。国鉄分割・民営化で国労を解体した「いったん全員解雇・選別再雇用」と同じ方式で日教組の最後的変質と解体を迫っているのだ。国鉄分割・民営化攻撃は、闘いを放棄した労働組合のもとで200人を超える自殺者を生み出した。現下の教育現場はこの比ではない。新採に始まる教育労働者、管理職、子どもが自死へと追いやられている。労働組合の変質と解体は無惨な現実をつくり出すのだ。
 安倍は、「新しい歴史教科書をつくる会」に続いて97年に設立された日本最大の右翼団体「日本会議」の国会議員懇談会の中心人物であり、その関係者を閣僚や補佐官に登用した。政府の教育再生会議をファシスト的に牽引(けんいん)しようとする日本教育再生機構の理事長に八木秀次を就任させた。「日本会議」は結成当初から「このままでは日本は滅ぶ(帝国主義として生き残れない)」という激しい危機感をもって、教基法改悪と改憲を主張してきた。また安倍は官房長官時代に、教育改革タウンミーティングにおいて、教基法改悪の「やらせ質問」「賛成の組織化と動員」を行い、法外な予算を計上していた。こんな世論のねつ造は断じて許されない。
 安倍と思想と行動を同じくする都知事・石原は、教基法改悪を先取りする「教育改革」を断行してきた。労働組合を敵視し、教職員を差別・分断・管理し、さらに皇民化教育を強制し、東京の教育現場をズタズタに破壊した。教育労働者の自死と早期退職者と「いじめ自殺」を激増させた。しかし、03年「10・23通達」による「日の丸・君が代」の強制は、日教組本部の屈服・裏切りをのりこえて、ついに処分を許さず不起立を貫く教育労働者の自己解放的決起を生み出し、9・21予防訴訟勝利判決をかちとった。労働者の階級性と団結の力を見くびった安倍や石原のファシスト的攻撃は、闘う労働組合が一丸となって決起すれば、墓穴へと転化できるのである。
 教基法改悪案の衆院採決以降、国会審議の最大の焦点は、「教育は不当な支配に服することなく」として国家・教育行政による教育への支配・介入を禁じた現行法第10条の問題に絞り上げられている。参院審議で政府・文科省は、「国会で決められた法律と違うことを、特定のグループ、団体が行う場合を不当な支配」(11月22日、伊吹文科相)と言い、「不当な支配」の意味を百八十度逆転させた。教基法改悪の核心は、教基法10条を法的な後ろ盾に連綿と闘いぬかれてきた戦後日教組運動、特に76年旭川学力テスト最高裁判決と9・21予防訴訟東京地裁判決を完全に絞殺し、国家と教育行政権力による無制限の教育統制を正当化することにある。教基法を日教組弾圧法に根本的に作り変え、教育労働者を愛国心教育のもとに縛りつけ、改憲と侵略戦争に総動員しようとしているのだ。
 教基法10条の逆転は、安倍政権の改憲攻撃に直結している。自民党新憲法草案は、近代憲法の立憲主義の原理・原則を百八十度逆転させて、国家が「国民の行動規範」「国民の精神」「国民のものの考え方」を縛ることを明示している。教基法改悪による日教組解体の狙いは、9条改憲で自衛権や自衛戦争の名のもとに侵略戦争を再び行うことと一体なのだ。

 森越委員長に組合員の怒り

 確認したいことの第三は、日教組・森越体制を打倒し、日教組の階級的再生をかちとるために、教育労働者の階級性と誇りと持てる力のすべてを投入する決戦が到来したということだ。
 日教組は、朝鮮戦争下の1951年に「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを決定し、52年に「教師の倫理綱領」の採択で「教師は労働者である。教師は団結する」という階級的立場を確立した。教え子を戦場に送り出し、「死の手配師」になった地獄の苦しみの中から、教育労働者として団結し、侵略戦争の先兵になることを絶対拒否すると誓い、闘ってきたのだ。しかし、日教組中央は95年、文部省との「パートナー路線」を決定し、主任制・職員会議・自主編成・官製研修・「日の丸・君が代」の5項目の闘争を放棄した。96年には「教師の倫理綱領」も棚上げにした。日教組中央が連合のもとに帝国主義労働運動へと完全に変質し転向したがゆえに、政府・文科省の攻撃は現場に集中し、職場支配権の危機をつくり出した。教基法改悪攻撃が激しいのは、帝国主義の危機が絶望的に深まっているからだけではなく、日教組中央が自ら敵に手を貸してきたからだ。その階級的裏切り性を徹底弾劾しなければならない。
 森越委員長に対し、全国の現場組合員の怒りと弾劾が堰(せき)を切ったように噴出している。10・26日教組中央集会から逃亡し、11・25中央集会では10・26から逃亡したことの開き直りと弁明に終始し、参院段階の決戦方針は皆無だった。国会座り込み行動には一度も登場せず、11月25日のテレビ番組で「いじめ問題で学校現場が大変な時に、教師が国会前で騒いでいていいのか」という八木秀次の恫喝に、何と「すみません、先週で(座り込みは)やめました」と謝罪さえしたのだ。
 超多忙化と管理強化の中で、日教組中央の制動と抑圧をも踏み越えて、北海道から沖縄に至る数千数万の現場組合員が、全身全霊をふりしぼって国会行動に立ち上がっている。現場組合員の必死の決起を糾合し、安倍政権と教基法改悪を競い合っている民主党と日教組・森越体制を打倒することが、教基法改悪と戦争をぶっ止める道だ。
 日教組・森越体制の打倒に向け、日教組本部のもとに追随してきた既成指導部をのりこえて、分会・支部・単組の組合権力を奪取し、日教組の階級的再生をかちとろう。日帝・安倍政権が恐れおののく労働者階級と労働組合の階級的団結の力を発揮する最高の情勢が到来しているのだ。組合権力を奪取する主体的力は今や充満している。
 第一に、日本で唯一階級的労働運動を実践し、国鉄分割・民営化攻撃にストライキで反撃し、団結を守りぬいてきた動労千葉などが呼びかけた11月労働者集会の中軸に闘う教育労働者が決起し合流していることだ。特に日米韓の国際連帯が闘いとられ、21世紀のプロレタリア世界革命を宣言した過去3回の11月集会にはすでに1000人規模の教育労働者が立ち上がっている。
 第二に、03年「10・23通達」以来の3年間の「日の丸・君が代」不起立闘争は、処分をのりこえた350人の不屈の決起によって「10・23通達」を無力化させている。ついに職場生産点から教育労働者の自己解放的決起が始まったのだ。そして東京の被処分者を先頭に、全国で「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者が8・6ヒロシマ行動に大合流し、日教組での下からの決起と組織化が前進している。
 第三に、教基法改悪阻止、二度と侵略戦争の先兵にならないという教育労働者の不退転の決起が、日教組本部をのりこえ、国会前で、北海道1万人集会(11・25)を始め全国で、嵐のように起こっている。今や10割年休闘争で国会を包囲しよう、ストライキに立とうという声が巻き起こっている。

 青年労働者の決起が

 さらに重要なことは、教基法決戦が、ついに青年労働者の決起に火をつけたということだ。年間300時間もの初任者研修を強制され、連日深夜まで残業を余儀なくされている新規採用者。新規採用者の自死や20代の教員の退職など、教育現場の矛盾は新採世代に集中している。そして教基法改悪とそれに伴う学校教育法や学習指導要領の改悪、戦争教育と労働条件の悪化の矛盾は、若い教育労働者に集中する。青年が団結して立ち上がれば日教組・森越体制は一瞬にして打倒できる。
 「いじめ自殺」や未履修問題を現場の教育労働者の責任に転嫁し、それどころか教基法改悪の理由に仕立てている。最末期の帝国主義が、一握りの支配者階級の延命と戦争のために、小・中・高・大学の根本的改造を暴力的に推進し、自らが生み出した全矛盾と危機の原因を教育労働者や子どもや学生に帰している。日帝権力は11月29日、法政大学でクラス討論中の学生3人を逮捕した。大学の教室にまで国家権力が踏み込み、教基法改悪阻止を訴えることを封殺しているのだ。

 共謀罪を断固廃案に

 日教組に闘う権力を打ち立て、4大産別の腐敗した労組指導部を打倒し、6000万労働者と300万学生の団結の力で、教基法改悪阻止、共謀罪廃案、安倍政権打倒へ、戦後階級闘争史上、最大の決戦に打って出よう。若者の半数以上が、非正規雇用にされ、未来を奪われ、侵略戦争に駆り出されようとしている。青年労働者・学生が12月教基法決戦の先頭に立とう。ストライキと革命は、21世紀を担う青年・学生の生存をかけた当然の権利だ。
 三里塚闘争、北富士闘争、沖縄闘争の発展をかちとろう。機関紙拡大闘争と冬期一時金カンパ決戦を、職場細胞建設と党勢の倍増をかけ、21世紀革命勝利への執念をもって貫徹しよう。

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週刊『前進』(2274号1面2)(2006/12/11)

 法政大 3学生またも不当逮捕

 11月29日、法政大学で学生3人が建造物侵入容疑で不当逮捕された。12月1日には10日間の勾留が決定され、その際許し難いことに、まったく架空の事件がデッチあげられ、1人には傷害罪が付け加えられた。3・14弾圧以来、法大では延べ40人の学生が不当逮捕された。またしても警察権力と法大当局が結託したデッチあげ逮捕だ。絶対に許すことができない。怒りを込めて徹底弾劾する。警視庁は、今すぐ3人の学生を釈放せよ。警察権力を学内に導き入れた法大当局に怒りをたたきつけよう。この弾圧は、教育基本法改悪案と共謀罪の強行成立に突き進む日帝・安倍政権の絶望的なあがきだ。弾圧を逆に教育基本法改悪阻止決戦の大爆発へと転化させよう。(関連記事7面)

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週刊『前進』(2274号1面3)(2006/12/11)

 反戦共同 緊急行動に立つ

 

”労働者の力で止めよう!” 参加者は教基法改悪・共謀罪絶対阻止を力強く訴えた。基調報告で動労千葉・田中委員長が「来週は年休を取って職場から国会へ」と檄(12月1日 神保町)=詳報次号

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週刊『前進』(2274号1面4)(2006/12/11)

 国会闘争スケジュール

●国会前座り込み
ハンスト者、連日9〜18時/東京教組、連日16〜18時/都高教、4日14〜16時/北教組、6〜8日/全国連絡会、6〜8日9〜17時
●12月5日(火)10時〜13時、共謀罪阻止国会前行動(共同行動主催)/18〜19時、国会前集会(全国連絡会主催)
●12月8日(金)夕、日教組主催の中央集会・国会デモ(日比谷野音)

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週刊『前進』(2274号2面1)(2006/12/11)

 国会前のハンスト再開

 日教組本部の屈服突き破り 現場から闘い起こそう

「日の丸・君が代」被処分者が先頭に立ってリレーハンスト&座り込み行動を再開し、教基法改悪案の廃案へ総力決起(11月30日 衆院第2議員会館前)

 日教組解体を狙う教育基本法改悪を阻止することができるかどうか、最大の決戦を迎えた。まさにこの時、日教組本部は反対行動を一切放棄し、完全屈服している。本部の屈服を突き破る闘いを現場からつくり出し、なんとしても廃案へ。闘う日教組再生へ教育労働者は総決起しよう。
 11月30日、東京の「日の丸・君が代」被処分者が中心になって呼びかけた「国会前リレーハンスト&座り込み行動」が再開された。
 参院特別委で教基法改悪案の審議が進められる中、そして何よりも日教組本部が国会闘争を放棄する中、「なんとしても改悪案を廃案にするぞ」と教育労働者が闘いを再開したのだ。「これで連日、国会前に闘いの拠点ができた!」――待ちに待った再開だった。
 30日は朝9時から座り込み場所を設営。10時過ぎから、「リレーハンスト&座り込み突入セレモニー」の集会を行った。とりわけ日教組本部の闘争放棄があらわになる中で「『日の丸・君が代』被処分者が先頭に立って、本部の屈服を突き破る闘いを現場からつくり出そう」という決意に満ちた発言が続いた。
 午前中は小雨が続いたが、「寒さに負けず闘いぬく」と集まったハンスト団には活気があふれている。単組の旗を持って国会前に駆けつけた教育労働者もいる。
 正午過ぎ、参院特別委を傍聴していた被処分者が状況を報告。「審議をすればするほど、うそとごまかしがボロボロ明らかになる。茶番だ。本当に腹が立つ」
 午後、防衛庁「省」昇格法案の衆院本会議採決を受け、「防衛庁『省』昇格を許さないぞ」とシュプレヒコール。リレートークを続けながら、座り込みを続けた。
 午後4時から東京教組の座り込みが始まった。東京教組は29日から独自の座り込みを開始。石原都政の教育支配と闘う東京の労働者は、改悪への危機感がとりわけ強い。「衆院段階で『国会前に全員集まれ』と呼びかけたら、非組も多く参加した。国会闘争を職場で組織しよう」との訴えに強い共感が寄せられた。

 国会前集会に280人 28日

 28日は午後6時から、教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会の国会前集会が行われた。参院で審議が始まってから初の国会前集会には、教育労働者を中心に280人が集まった。呼びかけ人の小森陽一さんは、「教基法改悪反対の声がしっかりと全国からあがっている」と述べ、25日の札幌の1万人集会を始め各地でかつてない規模の改悪反対集会が行われていると報告、「参院で廃案へ」と訴えた。
 各地で反対運動に取り組む市民などの発言が続いた後、東京の「日の丸・君が代」被処分者がマイクを握り、「待ちに待ったハンスト、再開です!」と訴えると、声援と拍手がわいた。
 与党は、参院特別委で連日、審議時間を稼いでいる。審議時間の積み重ねだけで「70時間の審議を超えたら採決」などとする暴挙を絶対に許してはならない。
 4日からの1週間、職場の仲間とともに国会闘争へ総決起しよう。
(写真 「教基法改悪を阻止するぞ」。全国の組合員とデモをする被処分者の会【11月25日 東京駅前】)

発言 発言

 “廃案まで闘うぞ”

 リレーハンスト団に熱気

●東京「日の丸・君が代」被処分者・都立「障害児」学校教員Wさん
今日からハンストを再開し、廃案に追い込むまで闘います。衆院段階では闘いが人を結びつけ、たくさんの人が座り込み、採決がどんどん延びた。「7日の委員会採決、8日の本会議採決」と報道されていますが、改悪しようというのは少数派。子どもたちが人を殺し、自分が殺される戦争の時代に二度とならないよう広く人びとに訴えかけて力を集めて頑張ろう。
●都高教Iさん 参院段階では、まだ日教組の都高教も座り込みの指示を出していません。しかしここに来ているみなさんは、上部団体に言われたからではなく、いてもたってもいられない思いで来ている。これが本当の闘いです。主権者として国会がおかしい、組合もおかしい、だから立ち上がる、これこそ一番強い。寒いけれど心の中は燃えています。
●被処分者Fさん 自民党、公明党はどこまで堕落すれば気が済むのか。審議に参加もしない委員が、採決だけ参加して可決。こんな審議で日本の未来を決める法律を採決することなど認めない。
●被処分者Hさん 特別委を傍聴した。伊吹文科相は「昔は牛乳・バターには栄養があると言われたが、今は取りすぎはよくないと言われる」ことを例として、「だから教基法を変える必要がある」と。委員は半分も参加していない。こんな審議は認められない。
●都高教・被処分者Uさん 日教組は座り込みの指示を出していない。しかし今「処分うんぬん」などと言う組合幹部の言葉に従う必要はない。教基法が改悪されたら、現場は校長や教育委員会の顔色をうかがう人間ばかりにされ、異分子は排除される。今こそ現場も含めあらゆるところで闘いを展開しよう。できることは何でもやろう。
 もし向こうがこれ以上の攻撃をするなら、混乱は起きうる。それが不起立であれストライキであれ、一切の責任は向こうにある。労働運動の原点にのっとり、これからも運動を続ける。
●都高教・被処分者Aさん 「朝まで生テレビ」で森越が「(座り込みをして)すみません」と発言したのは絶対許せない。12・8集会では抗議の嵐をたたきつけよう。

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週刊『前進』(2274号2面3)(2006/12/11)

 11・25集会 ”国会前に出て来い”

 森越委員長に怒り噴出

 11月25日、日教組など9団体によって構成される「教育基本法改悪ストップ実行委員会」が主催した全国集会が東京・日比谷公会堂で開かれた。「教育基本法改悪をなんとしても阻もう」と真剣な思いで北海道から沖縄まで全国から結集した日教組組合員を中心に、3500人が参加した。現場組合員の真剣な取り組みの対極で、日教組本部が参院段階では改悪反対のための行動を一切取り組まないという大裏切りがますます明らかとなった集会だった。
 午後1時に集会が開会、冒頭に平和フォーラムが主催者あいさつを行った後、すぐにEI(教育インターナショナル=世界各国の教職員の国際組織)のフレッド・ヴァン・リューエン事務局長が発言した。なぜEI事務局長か? 日教組が教育基本法改悪に「非常事態宣言」を発して緊急集会を開いた10月26日、8500人の組合員を動員した森越委員長は、EI執行委員会に参加するために海外出張中だった。当然にも多くの組合員が「なぜ委員長がいないんだ」と抗議した。この組合員の批判をかわすためだけに今回、ベルギーからEI事務局長を呼んで発言させたのだ。組合員の憤りが広がった。
 続いて、森越委員長が発言した。「先月の集会で私の不在が批判されたが、私たちとEIとの連携について語ってほしいとお願いして、事務局長に訪日してもらった」。そんな言い訳を聞くために全国から集まったわけじゃない! 「委員長は国会前に来い!」「国会前に座り込め!」。森越に向かって組合員の怒りのヤジが飛んだ。
 重大なのは、森越の発言でも集会全体をとおしても、何ひとつ今後の行動方針がなかったことだ。最大の正念場を迎えた今、何も行動方針を出さないとはどういうことだ! 「具体的方針がないじゃないか!」「行動提起はないのか!」と、大きな声でヤジが飛んだ。日教組の発言はただ一人森越だけ。集会は50分足らずで終わった。
 集会後は東京駅方面までデモ。そろいのゼッケンや鉢巻きを身に着け、「教育基本法改悪を阻止するぞ」と気合いの入った教育労働者の大隊列は圧巻で、沿道の労働者・市民が注目を寄せた。
 行進中の組合員からは、「森越の言い訳のための集会じゃないか」「なぜ日教組は30万という組織の力を生かさないのか」「この重大な時に、普通に授業が行われている方がおかしい。ストライキで闘うべき」など、日教組本部への怒りの声が上がった。
 まさに組織の存亡をかけた大決戦を迎えた時、日教組本部のこの屈服ぶり。「職場・分会から闘いを巻き起こし、教基法改悪を阻止しよう」「現場組合員の闘いで、闘う日教組を再生しよう」。集まった組合員は怒りをにじませながら、改悪阻止へ闘う決意を固めた。

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週刊『前進』(2274号2面4)(2006/12/11)

 朝まで生テレビ

 森越委員長が座り込みを「すみません」と謝罪

 11月25日午前1時過ぎからテレビ朝日が放映した「朝まで生テレビ」に出演した日教組・森越委員長が、とんでもない暴言を吐いたことが明らかとなった。
 この日のテーマは「激論!”いじめ””自殺”と日本の教育」。パネリストとして、森越委員長のほかに、「つくる会」元会長で現在「日本教育再生機構」理事長として安倍の「教育改革」攻撃を全面的に推進するブレーンとなった八木秀次や、同じく「つくる会」派の極右・元鎌倉市議の伊藤玲子などが並んだ。
 その中で、日教組が教基法改悪に反対して国会前で座り込みを行っていることを八木が攻撃した。
 八木「今国会前で、何百人も日教組の人たち座り込んでいますよね」
 伊藤「みっともない話」
 八木「子どもたちが毎日のように自殺している中で、どうしてああいうことやってんのか。あの先生たちにぜひ教室に戻ってもらいたい」
 するとこれに対して森越は、なんと「すみません、先週で(座り込みは)やめました」と答えたのだ。
 さらに伊藤が「今でも毎日……」と続けると、森越は「あれはうちの人たちではないんです」と返した。
 なんということだろうか。八木らの攻撃に対して「すみません」と謝るとは! しかも「先週でやめました」とは、参院において改悪を阻むための行動を求める組合員への、真っ向からの敵対ではないか。
 さらに、教基法改悪案が衆院本会議を通過した16日をもって日教組本部が座り込みを中断して以降、リレーハンストや座り込みなどの闘いを必死で続けている教育労働者に対して、「あれはうちの人たちではない」とは、なんという暴言だろうか。
 もはや森越は、安倍や八木、そして文科省に向かって”私は教基法改悪を阻止するつもりはありません。闘いはやめました。だから激しく攻撃するのはやめてください”とすり寄ることしか考えていないのだ。こんな大裏切り、こんな大屈服は絶対に許せない。
 この暴言と屈服を徹底的に弾劾し、森越を追及しよう! この闘いと教基法改悪を阻止することは、完全に一体の闘いだ。

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週刊『前進』(2274号2面5)(2006/12/11)

 「許さない会」

 12・10集会に結集を国労再生-無罪獲得へ

 「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」は12月10日、東京・文京区民センターで全国集会を開催する。これは、5・27臨大闘争弾圧裁判に勝利するためにも、また安倍改憲政権下で激しく進行する教労、国鉄、全逓、自治体の4大産別を中心とする労組絶滅攻撃に立ち向かうためにも、きわめて重要な集会だ。
 北朝鮮侵略戦争情勢が切迫する中で、安倍政権は今国会でなんとしても教育基本法改悪案を押し通し、改憲への突破口をこじ開けようと策している。安倍政権は、日教組や自治労の壊滅を公言してはばからない。改憲が問題になる情勢とは、4大産別の労組の存亡をかけた決戦が到来したということだ。
 国鉄闘争をめぐっても、国家権力とJR資本は、1047名闘争の最終的な解体をもくろみ、すべてのJR労働者を資本の直接支配下に組み伏せようと策している。その先兵に転じたのが国労本部だ。国労本部は「政治解決」の名で1047名闘争を内部から解体し、出向協定締結と包括和解でJR本体組合員をJR資本に売り渡した。
 こうした攻撃の切っ先にあるのが5・27臨大闘争弾圧だ。この弾圧は、鉄建公団訴訟原告を査問にかけることを決定した02年5月27日の国労臨時大会に際し、本部方針に抗議してビラまき・説得活動に立った国労組合員の行動が「暴力行為」にデッチあげられたものだ。国労本部はこの弾圧に積極的に加担し、組合員を警察権力に差し出した。
 これは、労働組合の団結を破壊する最悪の裏切りだ。国鉄闘争は4大産別決戦の土台をなす。それを自ら掘り崩そうとする国労本部は、安倍の改憲攻撃に手を貸す利敵行為を重ねているのだ。
 この弾圧との闘いは、国労を闘う労働組合によみがえらせようとする現場組合員や国鉄闘争支援勢力と、裏切りを深める国労本部との最も激烈な攻防点になっている。国鉄闘争に求められているのは、1047名闘争の「政治解決」路線を打ち破ることだ。出向協定締結と包括和解に根底的な怒りを燃やし、JR資本に身を売った国労本部を打倒して、職場からJR資本と対決する闘いを巻き起こすことだ。
 動労千葉は、反合・運転保安闘争を貫きつつ、その闘いを1047名の解雇撤回闘争と緊密に結合させてJR体制を揺るがせている。動労千葉の闘いに続こう。
 5・27臨大闘争裁判は弁護側立証の山場を迎えている。「許さない会」運動をさらに発展させ、被告の無罪をかちとろう。国労の再生をかけて12・10集会に集まろう。

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週刊『前進』(2274号2面6)(2006/12/11)

 国労弾圧公判

 ”統制処分許せぬ”

 篠崎新橋支部前委員長が証言

 11月29日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第67回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれ、国労東京地本新橋支部の篠崎信一前委員長への弁護側主尋問が行われた。
 篠崎前委員長は、02年5月27日の臨時大会に代議員として出席し、本部方針の全面的な修正を求める修正動議を出している。その立場から、5・27臨大の開催と、この大会で決定された鉄建公団訴訟原告への査問の開始は、労働組合として絶対に許されないものであることを全面的に明らかにした。
 浅野史生弁護人が「労働組合にとって一番大事なものは何か」と質問した。篠崎証人は「仲間を守る、助け合うことを基準に資本と闘うこと」ときっぱりと述べた。その観点から、5・27臨大の本部方針について、「闘争団は闘う以外に生きていけない。生きるためにはJRに戻るしかない。だから鉄建公団訴訟を起こした。彼らの生活権を奪うことはできない」と言い切った。そして、「この方針は国労がつくったものとは思いたくない。与党にコントロールされているとしか思えない」と証言した。
 「労働組合の原則から見て、5・27臨大はどうだったのか」と問われた篠崎証人は、「意見の違いがあったら、ひざ詰め談判をしても議論していくのが労働組合。解雇された当事者の闘争団と議論もせず、上意下達でものごとを決めたら組合員は組合を信頼しなくなる」と断言した。
 篠崎証人はまた「5・27臨大で修正動議の趣旨説明をした時、90年6月に新橋支部が主催した闘争団・家族の激励会のことを思い浮かべていた」と語った。国鉄清算事業団から解雇されて間もないこの時の集会で、闘争団員やその家族は、怒りと悔しさで言葉にならず、涙を流すだけだったという。それ以来、厳しい生活を強いられながらも、たくましく解雇撤回闘争を貫いてきた闘争団を支え、深い交流を続けてきた篠崎証人にとって、闘争団を統制処分にかけることなど、とうてい許されることではなかったのだ。その心情を語る証言は、傍聴者の胸を打った。
 さらに篠崎証人は、東京地本が00年12月に「妨害勢力に毅然(きぜん)たる態度をとる」とした見解を出してから、「4党合意に反対意見を述べていただけの私に対しても『妨害勢力』『タリバン』とレッテルを張られた」と証言した。
 篠崎さんの証言で裁判闘争は大きな転機を迎えた。これまで、国労本部や国労東京地本役員の証人に対する追及を軸に展開されてきた裁判闘争は、5・27臨大の不当性と、本部に抗議した被告の行動の正当性を積極的に立証する段階に入ったのだ。
 次回公判は元国労本部委員長の高橋義則証人への尋問が行われる。公判闘争に集まろう。

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週刊『前進』(2274号2面7)(2006/12/11)

 資本攻勢&労働日誌 2006 11・10〜11・24

 厚労省 労働契約法制の新素案示す

 郵政で早期退職1万人/教育労働者が2時間残業

総務相がNHKに放送命令 菅総務相がNHKに短波ラジオ国際放送で拉致問題を重点的に扱うよう命令した。新聞労連、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が抗議文を送り、民放労連も抗議談話を発表。(10日)
国家公務員の改正給与法が成立 国家公務員の給与改定に関する改正給与法が参院本会議で可決、成立した。(10日)
経団連会長、法人税の実効税率引き下げ要求 日本経団連の御手洗会長は約40%の法人税の実効税率について、「早急に30%前後にすべきだ」と表明した。(13日)
経財諮問会議の八代が発言 安倍内閣で新しく経済財政諮問会議の民間議員になった八代国際基督教大教授は、15日発行の朝日新聞で、「労働ビッグバン」について述べた。(14日)=要旨別掲
新日鉄、「賃金改善」を正式回答 新日本製鉄は「賃金改善」を07年度から実施すると正式に回答した。役職者に対する手当を充実させる。(15日)
06年の大卒初任給、3年ぶり増加 厚労省発表の賃金構造基本統計調査では、06年の大卒社員の初任給は前年比1.2%増の19万6200円と3年ぶりに増えた。(21日)
経団連「規制改革・民間開放推進会議」の後継機関設置で提言 日本経団連は、政府の「規制改革・民間開放推進会議」が今年度末で設置期限を終えることから、これに代わる新たな推進機関の設置を要求。(21日)
労政審分科会、「今後の労働契約法制」素案を提示 労働政策審議会労働条件分科会が開かれ、「今後の労働契約法制について検討すべき具体的論点」の素案(1)が示された。(21日)=3面参照
同友会、日本版エグゼンプションに慎重 経済同友会が「労働契約法制」と「労働時間法制」に関する意見書を発表。管理監督者の範囲と裁量労働制の対象を拡大すれば足りるというもの。(21日)
郵政公社、早期退職希望1万人に 日本郵政公社が予定している早期退職の希望者が約1万人に達したことが分かった。(22日)
経団連会長、韓国大統領にFTA交渉再開求める 日本経団連の御手洗会長は、ノムヒョン大統領と会談、04年から中断しているFTA交渉の再開を求めた(24日)
連合の春闘方針案 連合は中央執行委員会を開き、「07春季生活闘争方針案」を確認した。方針案は12月7日の中央委員会で正式決定する。(24日)
小中学校の教育労働者の残業、平均2時間8分 文科省は公立小中学校の教員を対象に行った勤務実態調査の結果を公表。教員一人の平日の勤務時間は平均10時間58分、平均残業時間は2時間8分だった。(24日)
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 11月15日付朝日新聞での八代発言要旨

派遣法の抜本改悪
 派遣を含めた非正社員は1600万人おり、全員を正社員化できるはずがない。非正社員なりに雇用を安定させることが大事だ。対象業種の制限、事前面接の禁止など非現実的な規制をなくすなど、派遣法を抜本改正し、純粋な「派遣労働者保護法」にしたい。
解雇の金銭解決制度
 解雇の金銭解決を認めるのは当然で、やめてほしいと言われた会社で無理に働くより、手切れ金をもらって新しい仕事を探した方がいい。
ホワイトカラー・エグゼンプション
 労働時間規制がなくなれば過労死につながるという批判もあるが、過労死するほど働かせる会社はやめられるよう、労働市場の流動性を高めることが必要だ。

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週刊『前進』(2274号3面1)(2006/12/11)

 「日本版エグゼンプション」導入

 労働時間規制の撤廃許すな

 労働契約法制に絶対反対を

 労働法制解体攻撃が切迫している。大きく報道された「日本版エグゼンプション」導入攻撃などがそれだ。厚生労働省は来年の通常国会にパート労働法改定と一体で労働法制全面改悪の法案を提出しようとしている。これらは文字どおり憲法が保障する労働者の権利の全面解体であり、改憲攻撃そのものだ。労働者階級全体の課題として労働法制改悪反対の闘いに総決起しよう。

 12月建議提出-来年通常国会提出狙う

 厚生労働省は経済財政諮問会議や規制改革・民間開放推進会議の論議を受け、昨年9月に労働契約法制の在り方について、今年2月には労働時間法制の在り方についてそれぞれ労働政策審議会に諮問した。
 労政審の労働条件分科会で両者についての検討が続けられてきた。労資双方の反発から途中の中断をはさみながら、11月10日に労働時間法制について、21日には労働契約法制についての素案(1)が出された。分科会は12月中にも建議を厚労相に提出し、厚労省は来年の通常国会への改悪法案提出を狙っている。
 11月に出された2つの素案は次のような内容である。(右下表参照
 @労働時間法制については、6月段階に「自律的労働時間制度」と名づけた日本版のホワイトカラー・エグゼンプション制度を、「自由度の高い働き方にふさわしい制度」などと名前を変えてあくまでも導入しようとしている。エグゼンプションとは「適用除外」の意味であり、対象とされた労働者については労基法の労働時間規制を適用除外にし、「サービス残業」の現実を合法化し、多くの労働者を過労死に追いやるものである。
 A労働契約法制については、資本家が一方的に変更できる就業規則の変更で労働契約を変更可能にするとしている。ここでは労働組合と資本家とが団体交渉をとおして労働協約を締結するという集団的労使関係の原則が否定されていることが大問題である。さらには、解雇の金銭解決制度の導入を明記している。
 このように、11月の2つの素案は6月の素案の内容が基本的に継承されている。それらは、労働者階級にとって徹底的に粉砕の対象である。

 労働法制改悪は改憲攻撃そのもの

 今回の労働法制改悪攻撃の重大性は、労働法制改悪の流れを見るとはっきりする。
 80年代半ばからの労働法制解体攻撃は、労働者派遣法や男女雇用機会均等法、パート労働法、労働契約承継法などの新設とともに、既存の労働基準法や労働組合法、職業安定法、雇用保険法、雇用対策法などの改悪攻撃が折り重なってかけられてきている。それはまさに戦後革命期に確立した戦後の労働法体系を解体し、まったく別の法体系をつくり上げようとするものであった。
 一連の攻撃はよく検討してみると、@労働基準法の労働時間規制改悪攻撃と、A労働者派遣法の成立とその連続的改悪攻撃の二つが軸になっている。つまり、@8時間労働制解体と、A終身雇用制解体・不安定雇用化攻撃を軸に戦後の労働者支配の転換が図られてきたのだ。左上の年表はそのような観点から一連の攻撃を整理したものだ。
 この年表を見れば、攻撃の出発点が85年の労働基準法の女子保護規定の緩和と労働者派遣法成立であることが分かる。85年とはまさに国鉄分割・民営化が閣議決定された年である。「国労が崩壊すれば、総評も崩壊するということを明確に意識してやった」「行政改革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」という中曽根発言そのものの攻撃がしかけられ、それと一体で労働法制が次々に解体されてきた。
 このように労働法制解体攻撃は、労組破壊攻撃と一体であり、階級的支配の転換攻撃なのだ。それは改憲攻撃そのものである。だから労働法制解体攻撃と対決するには動労千葉が国鉄分割・民営化と対決したような質が求められているのだ。そうしてこそ6000万労働者階級を「工場法以前」にたたき込む攻撃に反撃できる。

 労働者は団結して生きる権利守ろう

  闘う隊列内部に“日本版エグゼンプションは絶対反対だが、労働契約法制を解雇規制法にできるのではないか”と夢想しそれには基本的に賛成するという動きがある。
 だが、労働契約法制とは「現在の労働法制の中に採用や転籍、出向、解雇など労働契約に関する項目が規定されていない」ことを口実に、新たな法体系を導入し、戦後労働運動が積み上げてきた労働裁判の判例や労働委員会命令を否定・清算し、労働法制を全面解体しようとする攻撃だ。
 経団連は、05年「経労委報告」で労働契約法制について決定的なことを言っている。「労働契約法制は……工場法の時代の遺制を引きずる労働基準法などの関係法令を、今日の環境にふさわしいものに抜本的に改革する実りの多いものとなることを強く期待する」。まさに資本家たちは労働基準法を解体し、労働者階級を工場法以前の時代にたたき込む武器として労働契約法制をとことん使おうとしているのだ。
 自らの労働力を商品として売ることによってしか生きられない労働者階級にとって、労働契約とは自分の労働力を商品として資本家に「いくらでいつまで」売るかを決める個別の契約にほかならない。だから労働者階級は最初は「全国に分散し競争によって引き裂かれた集団をなすにすぎない」(『共産党宣言』)。
 だが、「労働者は、ブルジョアに対する同盟を結成し、賃金要求のために結束するようになる」(同)。そして労働者階級はこの結束した労働組合の物理的な力を背景に有利な労働条件を資本家からかちとっていく。
 だから労働者階級にとって労働契約も、労働組合と資本家が団交をとおして取り結ぶ労働協約が基礎にならなければならない。ところが現実には、労働契約を個別の労資関係ととらえ、労働契約法制を民法的な法体系としている。それだと労働組合の存在を前提に集団的労資関係を規定した本来の労働法制を原理的に否定するものとなる。
 厚労省が6月に提案してきた素案には、労働組合にとって代わる「常設の労使委員会の設置」が掲げられていた。さらに今回の素案では労基法の条文を労働契約法に移行する項目も並んでいる。このように労働契約法制は戦後労働法制解体法案であり、絶対反対以外にないのだ。
 解雇問題は、賃金や労働時間とともに労働者階級と資本家階級の非和解性を最も鋭く示すものだ。そこには、マルクスが言うように「実力による決着」しかない。
 動労千葉は、職場闘争を基礎に団結を不断に形成して職場支配権を獲得し、ストライキなどを原則的に闘い抜いている。その力で国鉄分割・民営化反対のストライキでの公労法解雇者の解雇撤回をかちとっている。また、不当配属に対して原職復帰も実現している。動労千葉のように団結すれば生きる権利を守ることができるのだ。
 今回の労働法制解体攻撃は、現在激しく闘われている教育基本法改悪=日教組解体・4大産別解体攻撃と一体であり、危機に追い詰められた帝国主義の労働者支配の転換攻撃、団結権破壊と改憲攻撃そのものである。
 教育労働者を先頭にした4大産別の労働運動を爆発させ、貧困化に対して怒りの決起を開始した青年労働者を先頭に全労働者階級の総反乱を実現するならば、労働法制改悪を粉砕することはまったく可能だ。今こそ総決起しよう。
〔湯村宏則〕

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 改悪のポイント

(11月10日、21日の厚労省素案概要)
@労働時間法制
・日本版エグゼンプション制度導入
 対象労働者への労働時間規制を撤廃→過労死を拡大。残業代をなくす
 対象労働者の範囲は労使委員会で決定→いくらでも拡大できる
・企画業務型裁量労働制の規制緩和
 使いにくいという資本家に対応
A労働契約法制
・就業規則の優位性を明記
 資本家が決める就業規則を変更すれば、それが契約内容の変更に直結
・労働基準法解体
 労基法第18条の2(03年改悪で導入)を労働契約法に移行
・解雇の金銭解決制度の創設
 涙金で労働者を解雇可能に
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 ■労働法制解体の経緯

  労働基準法関連 労働者派遣法関連 背景
1947年 労働基準法制定    
1985年 女子保護規定を緩和(男女雇用機会均等法制定) 労働者派遣法成立
16業務に派遣を解禁
国鉄分割・民営化 閣議決定
1987年 1カ月単位変形労働時間制導入
フレックスタイム制導入
裁量労働制導入(専門業務型裁量労働制)
  国鉄分割・民営化実施
1989年     総評解散、連合結成
1993年 1年単位変形労働時間制導入    
1995年     「新時代の『日本的経営』」発表
1996年   労働者派遣法改悪 16業務が26業務に  
1997年 女子保護規定の撤廃    
1998年 労働契約の上限を3年に 新裁量労働制導入
(企画業務型裁量労働制)
   
1999年   労働者派遣法改悪 対象業務原則自由に  
2001年     小泉内閣が成立
2003年 解雇権を明記
企画業務型を緩和
労働者派遣法改悪
派遣期間3年に延長
製造業への派遣解禁
 

 

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週刊『前進』(2274号3面2)(2006/12/11)

焦点

 「日本版NSC」へ動きが加速

 集団的自衛権で突破狙う

 日本版NSC(国家安全保障会議)創設をめぐる論議が動き出した。政府は11月22日、「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」(議長・安倍晋三首相)の初会合を開き、当面、日本版NSCの「権限」「機能」について議論を進め、来年2月までに報告書をまとめることを決めた。政府は、この報告書をもとに組織改編に必要な関連法案を07年通常国会に提出し、早ければ2008年にも日本版NSCを創設することを狙っている。
 重要なことは、安倍がこの会合を日本版NSCの準備と同時に、集団的自衛権に関する政府の憲法解釈変更をめぐる論議の場にすることももくろんでいることだ。会議参加メンバーは「集団的自衛権の議論が必要だというのが会議メンバーの共通認識」「首相が、集団的自衛権を研究すると発言した以上、この会議で合意をめざす」などと口々に述べている。集団的自衛権を解禁し、9条改憲に先がけて日米共同作戦の実行へ踏みこんでいこうとしているのだ。
 日本版NSC設置の狙いは、「大統領型の権力集中」「官邸のホワイトハウス化」「日米の戦略的一体化」にある。
 1947年にトルーマンが創設したアメリカの国家安全保障会議は、米政府の最高意志決定機関の一つだ。メンバーは大統領・副大統領・国務長官・国防長官など、200人余の専任スタッフを抱え大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が実質的に取り仕切っている。ニクソン政権下では、大統領補佐官(国家安全保障担当)にキッシンジャーが就任し、NSCの権限が肥大化、議会、国務省・国防総省まで無視した秘密外交が展開された。
 安倍は、日本版NSCを設置することで首相権限を米大統領並みに強め、実際に戦争のできる国家へと統治形態を変えてしまおうとしているのだ。同時に、〈米国防総省―防衛庁〉〈米国務省―外務省〉といった従来の外交ルートを飛び越し、首相官邸と米ホワイトハウスとを直結して、日米同盟を米英同盟並みの「血を流す」同盟に格上げする動きを一挙に進めようとしている。
 すでに安倍は、首相補佐官制度や教育再生会議など、世論を無視し、議会や省庁を飛び越えて、直属のスタッフで独裁的に政治を動かす手法を加速させている。日本版NSCが設置されれば、首相と官邸に権限が一極集中され、こうした手法は画次元的に強まる。
 「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」は、初会合ですら非公開とされた。労働者人民の声をとことん踏みにじり、安倍と同じ極右・国家主義者どもが、密室の中で勝手に戦争政策を決定し、進めようとしているのだ。
 安倍は、沖縄知事選の結果を受けた22日、米軍再編―日米同盟再編を加速する考えを示した。また30日には、防衛庁「省」格上げ法案の衆院採決を強行した。「対北朝鮮制裁」や「拉致」問題の強硬派として名を売った安倍は、危機が深まるほど“戦争”で突破を狙ってくる。国会決戦の空前の爆発で、安倍内閣もろとも日本版NSC構想を粉砕しよう。

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週刊『前進』(2274号3面3)(2006/12/11)

焦点

 安倍と財界の経財諮問会議

 「成長重視」 労働者犠牲に

 小泉政権がそうであった以上に、安倍政権は資本家階級のためにある――そのことを最もよく示すものが経済財政諮問会議だ。安倍と御手洗冨士夫・日本経団連会長を中心に、反労働者的な政策の方向を次々と打ち出している。
 安倍政権になって出席閣僚や4人の民間議員の顔ぶれは一新された。新たに民間議員になったのは、御手洗のほかに丹羽宇一郎伊藤忠商事会長、伊藤隆敏東大教授、八代尚宏国際基督教大教授だ。「民間」と言っても資本家階級の代表と、そのちょうちん持ちの学者だけだ。
 丹羽は経済同友会の政治委員会委員長であり、地方公務員の人件費3割削減、能力主義・成果主義賃金の導入など「地方公務員制度改革への10の提言」(昨年11月)を打ち出した中心人物である。
 小泉・奥田体制のもとで経済財政諮問会議が資本家階級の利益追求に絶大な力を発揮したことを総括し、日本経団連は御手洗会長になってから内部に経財諮問会議の専門チームまで新設した。
 国家予算の基本的枠組みや中長期の経済・財政政策など重大問題が、国会とはまったく別のところで、政府と財界代表と御用学者の会議で決定されている。労働者階級を煮て食おうか、焼いて食おうかということが、ここで議論されている。議会制民主主義をも否定・解体する暴挙だ。
 安倍政権になって初の10月13日の経財諮問会議は、今後の政策の基本として「経済成長重視」路線を進めていくことを確認した。「経済成長重視」路線とは、一握りの財界=資本家階級が莫大な利益を上げることを国家の最優先政策とすることであり、労働者人民はそのために犠牲になれということだ。「経済成長の重視」なるものが、今日の帝国主義の危機の時代には、労働者階級をただ貧困と失業、不安定雇用化、過労死・過労自殺にたたきこむものでしかないことはこの間の現実がはっきり証明した。
 10月24日の会議では、民間議員が「今後2年間に取り組む7大重点改革分野」を示した。「グローバル化への対応」と称して、社会保障切り捨てや税制改悪、労働法制改悪、公務員リストラ、国内農業切り捨て、医療制度改悪など、労働者階級の生活と権利を根底から破壊する項目の羅列である。
 八代尚宏は、小泉政権の時の「規制改革・民間開放推進会議」の委員であり、タクシー業界などの規制緩和、労働法制改悪を行った「労働経済学」専門の御用学者だ。正社員と非正社員の均衡処遇のためには、賃下げや解雇の自由化など「正社員の労働条件を一方で引き下げることが必要になる」(規制改革会議の意見書)と主張する極悪の人物である。経財諮問会議が重点的に取り組む「7大改革分野」のひとつには「労働市場の効率化(労働ビッグバン)」がある。このことは、安倍政権が労働者階級に攻撃を集中してくることを示している。
 団結を固め、階級的労働運動を大きく前進させ、経財諮問会議を安倍政権もろともぶっ飛ばそう。

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週刊『前進』(2274号3面4)(2006/12/11)

 民主労総 非正規職悪法・韓米FTAと闘う

 15万人がゼネスト

 集会禁止突破し民衆大会

 

〔左〕国会前で非正規職悪法阻止を闘う民主労総 〔右〕実力でかちとった第2次民衆総決起大会(11月29日 ソウル)

11月29日、「ノムヒョン政権は退陣せよ!」「非正規職悪法阻止!」「反米FTA交渉中断!」と真っ向から要求する民主労総ゼネストと第2次民衆総決起闘争が打ち抜かれた。
 11・12全国労働者大会でゼネスト指令1号を発した民主労総は、22日には20万ゼネストを実現、その力を農民・民衆と結合させた「労働基本権獲得! 社会両極化解消! 韓米FTA(自由貿易協定)阻止! 第1次民衆総決起大会」をかちとった。ソウルなど全国13カ所で20万人に及ぶ労農連帯闘争が実現し、各地で警察部隊との激突となった。214人が逮捕・連行、家宅捜索が強行され、42人に逮捕令状が出されるなど事後弾圧が続いている。
 全人民的な怒りの爆発に恐怖したノムヒョン政権は、11・29第2次民衆総決起大会を封鎖、禁止するという暴挙に出た。さらに28日、懸案の非正規職関連法案について、29日法制司法委員会通過−30日国会本会議成立のスケジュールで野党ハンナラ党と合意した。
 この超緊迫事態を迎え、29日午前1時、民主労働党の国会議員は委員会室を占拠。明けて午前10時、民主労総11万3671人が全面ストライキに突入した! 団体行動に立ち上がった4万6087人を含め、ゼネストは185労組、15万9758人(建設運送労組1万4千人、公共連盟3600人、金属連盟13万3千人、民主タクシー1500人、化繊連盟4500人など)で闘われた。同時刻、国会前では「非正規改悪法案阻止緊急総力闘争集会」が始まった。
 首都圏、忠清道、江原道地域からソウルに向かおうとした労働者・農民を各地で警察が阻止、「農協改革と韓米FTA阻止のための農蓄水産員決意大会」が予定されたソウル駅前では農民ら9人が不当にも連行されるなど、弾圧が拡大した。

 実力で開催

 午後1時半、不当検問を突き破ってソウル光化門の東和免税店前で「韓米FTA阻止ソウル決意大会」が始まった。
 民主労総ソウル本部のイジェヨン首席副本部長は、「(87年)6月抗争を思い起こそう。彼らが阻めば阻むほど、私たちは韓米FTA反対の声をさらに大きく叫ぶだろう」と怒りを込めた。
 参加者たちは「民衆総決起を成功させよう!」「必ず午後4時、汎国民大会場所に集まろう!」とシュプレヒコール。
 いったん解散した後、午後3時、300人ほどの参加者が東大門に現れ、4車線いっぱいに広がり、「ノムヒョン政権は退陣せよ!」「韓米FTA反対!」を訴えて駆け足デモを始めた。青瓦台(大統領府)近くでは、「ハジュングン烈士殺人鎮圧責任者処罰、民主労総ゼネスト勝利決意大会」がかちとられた。
 そして午後4時半、明洞のロッテデパート前に労働者、農民、学生ら3千人が奇襲的に集結、ついに第2次総決起大会が始まった。大会は押し寄せる戦闘警察と激突、対峙しながら進行した。
 攻防は続き、最後は明洞聖堂でのキャンドル集会となった。
 不当な弾圧は参加者を鍛えるものでしかなかった。「どのような弾圧も私たちの意志をくじくことはできない」「次は12月6日の民衆総決起大会で会おう」
 12月4日からアメリカで韓米FTA交渉が開かれる。29日の委員会審議は阻んだが、年内強行を押し返す闘いが続く。

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週刊『前進』(2274号4面1)(2006/12/11)

 教基法改悪阻止をかけ国会終盤の決戦へ

 伊吹文科相が組合活動を「不当な支配」と強弁

 10条解体に職場から反撃を

 法破り文科省が最大の弱点 

 伊吹文科相は11月22日、参院教育基本法特別委員会で、「法律によって行われる教育行政は『不当な支配』に当たらない」と発言。さらに政府の教基法改定案に残された「不当な支配」とは、「国会で定められた法律と違うことを、特定のグループ、団体が行う場合を『不当な支配』と言っている」と強弁した。
 現行教基法第10条に対応するのは政府案では第16条1項である。現行法の「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し責任を負って行われるべきもの」の後半の文言を政府案は完全に削除し、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」に置き換えている。この置き換えによって、国家(教育行政)や支配政党による教育内容への介入を禁じた「教育は不当な支配に服することなく」の意味が百八十度逆転させられる。伊吹文科相の答弁はそのことをはっきり示した。
 教育行政が職務命令や処分を振りかざして、暴力的に「愛国心」「日の丸・君が代」を強制することが「合法」とされ、逆にこれに反対し抵抗することが「不当な支配」「違法行為」とされてしまうことになる。まさに10条の解体は教育基本法への「死刑宣告」に等しい。
 そもそもこれまで教基法10条を無視し、学習指導要領などを根拠として教育内容への全面的な介入と統制を行ってきたのは政府・文科省である。その最たるものが卒・入学式での「日の丸・君が代」の実施要項を定めた東京都教育委員会の03年「10・23通達」だ。そしてこの通達が9・21予防訴訟判決によって「憲法違反」「法律違反」とされたのである。伊吹の答弁は「教育行政機関の行為でも国民の信託に反する場合は、『不当な支配』にあたる場合がありうる」とした1976年の旭川学力テスト事件最高裁判決をも完全に否定するものだ。
 しかし政府の答弁もグラグラである。11月24日の国会答弁では伊吹は、「国であろうと、一部の宗教的考えをもって教育行政を行えば『不当な支配』になる」と述べ、発言の修正を余儀なくされた。「不当な支配」をめぐる政府の踏み込んだ答弁は、ただちに三権分立の否定につながる。本来ならばこの問題だけで廃案にできるのだ。
(写真 「教育基本法改悪を許すな」と訴え都心をデモする教育労働者【11月25日】)

 日教組つぶしに政権の命運

  「愛国心」教育や「格差」教育、教員統制・支配など教基法改悪で狙うものすべてが、この10条の解体によって初めて実効性を与えられることになる。逆に職場に組合的団結があり、職場の支配権を教育労働者が握っているならば、いかなる戦争教育も跳ね返すことができる。だからこそ政府・与党は日教組の存在と闘いを完全に壊滅し、学校現場の支配権を現場教職員から奪い取って、国家(教育行政)の完全な支配のもとにおこうとしているのだ。
 この攻撃に政府・与党は政権の命運をかけて総力で臨んできている。中川秀直自民党幹事長や森元首相らの度重なる「日教組や自治労の壊滅を」発言はそのことをはっきりと物語っている。
 さらに「教育再生会議」を右の側から引っ張っているのが「つくる会」教科書運動の別組織である「日本教育再生機構」(八木秀次代表)だ。この八木が9・21判決に危機感をもって、「16条で法令の縛りがかかり、教職員組合の活動も大きく制約されます」(毎日新聞11・7付)と叫んでいるのは重大である。「つくる会」教科書運動が教育労働者を先頭とした闘いの中で破産に追い込まれていることを反動的に総括し、10条解体で組合をたたきつぶすことをあらためて最大の課題としてきたのだ。
 この10条をめぐる最大の攻防点が「日の丸・君が代」強制をめぐる闘いにある。処分攻撃を跳ね返して闘っている東京の被処分者を始めとした「不起立」の闘いは、政府・文科省や東京都による10条破壊と対決し、職場の支配権を現場労働者の手に取り戻す闘いである。同時にそれは、職場での闘いを放棄し、「教育の国家支配」を事実上容認する日教組本部の裏切りを断罪し、組合運動を現場労働者の手に奪い返す、日教組再生の闘いでもある。
 安倍政権が真に恐怖しているのはこの現場労働者の職場からの闘いである。そしてこの闘いが被処分者のハンスト決起を先頭にして国会闘争の大爆発に結びついたからこそ、教基法の攻防の核心点をはっきりさせることができたのだ。
 参院での教基法改悪案の成立強行を、さらなる国会闘争の爆発で粉砕しよう。
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伊吹文科相「法律によって行われる教育行政は『不当な支配』に当たらない」「国会で定められた法律と違うことを、特定のグループ、団体が行う場合を『不当な支配』と言っている」(11月22日 国会答弁)
八木秀次「東京地裁は国旗・国歌で『都教委の強制は違憲』と判断しましたが、16条で法令の縛りがかかり、教職員組合の活動も大きく制約されます」(毎日新聞11・7付)
森元首相「日教組、自治労を壊滅できるかどうかということが次の参院選の焦点だろうね」(産経新聞10・31付)

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週刊『前進』(2274号4面2)(2006/12/11)

 サッチャー教育改革

 無惨な破産と荒廃

 安倍「教育再生」粉砕へ

 安倍政権が最重要課題とする「教育再生」は、英サッチャー保守党政権が1980年代終わりに強行し、ブレア労働党政権が受け継いだ教育政策をモデルとしている。安倍は教育の目的を国家のために命を投げ出す人間の育成におき、@国による教育目標設定A全国統一学力テストとその結果の公表B国の監査官よる学校評価制C学校選択制D教職員入れ替え、学校の民営移管D教員免許更新制F教育バウチャー制――を導入し、「教育再生」を図るとしている。
 このために安倍は、教育基本法改悪で第10条を破壊し、国家による教育の支配・管理、教育内容の決定を合法化しようとしているのだ。また教育労働者と教育労働運動―日教組の教育現場での闘いを「不当支配」化、違法化しようとしている。
 だが、安倍が手本とするサッチャー・ブレアの教育改革は完全に行き詰まり、見直しが始まっている。破産したイギリス教育改革を根拠に教基法第10条の解体と教育の国家支配を狙う安倍「教育再生」攻撃を粉砕しよう。

 労働組合破壊と格差の拡大

 サッチャー・ブレアの教育改革はどのように行われてきたのか。
 1979年初めに成立した保守党サッチャー政権は、新自由主義イデオロギーに基づき、炭坑など国有企業の私有化(民営化)や大ロンドン市議会の解散を強行した上に保健・教育改革=反福祉政策に乗り出した。これらはすべて労働党と労働組合運動の破壊を狙う「反革命」政策だった。
 教育改革の中心軸が88年の教育法大改悪だ。国の役割を教育の条件整備に限定し、地方教育当局のもとに教員が教育内容、カリキュラムを自主的に決めていた根拠である44年教育法を解体したのだ。同時にこれで労働党が支配する地方教育当局、全国教員組合を突き崩すことを狙っていた。
 88年教育法で、国家による教育の統制と国家による教育内容の決定が合法化され、競争原理が持ち込まれた。具体的には@全国統一の国定カリキュラムの設定A全国テスト(小2=7歳時、小6=11歳時、中3=14歳時)と義務教育修了テスト(16歳時)の実施A全国テストの学校別成績の公表B学校選択制C生徒数に応じた学校予算配分――などの導入だ。
 また学校理事会―校長に教職員人事権、予算運用権、学校運営権を与え、地方教育当局の地位を低めた。
 学校理事会は、学校を地方教育当局の管理から脱退させる(オプトアウト)権限を持ち、オプトアウトした学校を国=教育省が管轄・援助した。これは国立校という名の私立校だ(一般科目の授業料は無償だが、特別科目の授業料は保護者が負担)。ここに裕福な家庭の子どもが集中した。残った公立校に貧しい家庭の子どもが転校した。学校を格差化・階層化した。これは経済改革による貧困層=底辺層の拡大と連動していた。
 サッチャーを継いだメージャー保守党政権は、92年教育法改悪で教育水準局を新設した。教育省から独立した勅任監査官からなる機関が20人のチームで1週間、朝から晩まで学校現場を査察し、報告書を公表、優劣をつける。
 全国教員組合は半年間ストライキで闘ったが、88年、教育法大改悪は強行された。教員の賃金は猛インフレで大幅に低下、辞職者が続出、公立校は教員・予算不足で荒廃した。

 テストと監査で窒息状態に

 97年に登場したブレア労働党政権は、競争体制を継承する一方、国家管理を強めた。同時に競争で落ちこぼれた底辺層の学校の支援、教育費の大幅増額、教員賃金引き上げ、学校のIT化や設備拡充で、サッチャー改革の穴を取り繕っている。
 ブレアは、新たに小学校を対象に「読み書きや計算能力向上戦略」を実施、毎朝60分、教員はインターネットで教育省のプランどおりに読み書きと計算の授業を行う。授業の国家管理だ。
 政府は「成績到達目標」を国家目標として設定する。これを基準に各地方教育当局、学校、学年、クラス、一人ひとりが到達目標を立てる。熾烈(しれつ)な競争で点数至上主義が生まれ、教育がゆがめられた。
 テスト漬けと監査・学校評価で子どもと教員は息が詰まるほどだ。
 学校評価で「失敗校」と認定された学校は、2年間、教育水準局の監視下におかれる。2年たっても改善されない場合は廃校となり、校長・教職員を総入れ替えし、再出発する。成績の悪い学校を名指しし、さらしものにする体制だ。

 批判が強まり見直し始まる

 こうした教育体制に批判が強まっている。全英校長会(3万人)は今年5月の総会で、イングランドでの全国テスト結果公表の廃止を全会一致で決議した。スコットランドは全国テストを導入せず、カリキュラムも緩やかなガイドラインによっている。北アイルランドでは数年前にテスト結果の公表をやめ、07年までにテストを廃止する。ウェールズも01年に全国テストの結果公表をやめ、7歳児テストも廃止した。07年までに全テストを廃止するる。教員に自由裁量が与えられ、子どもの必要に応じた学習を可能にする改革が進められている。
 サッチャー・ブレアの教育改革はすでに破産を刻印されているのだ。
 東京都でも一部の区・市がイギリス教育改革と同様の統一テストとその成績公表、学校選択制を実施した結果、学校間格差、廃校が起きている。
 教育の荒廃を招いたイギリス教育改革をまねる安倍の「教育再生」とそのための教基法10条解体を絶対阻止しよう。

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週刊『前進』(2274号4面3)(2006/12/11)

 革共同に圧倒的年末カンパを

 労働者の階級的団結を強化して日本革命-世界革命へ前進しよう

 すべての『前進』読者の皆さん、闘う労働者人民の皆さん、学生の皆さん! とりわけ11・5労働者集会の感動をともにした多くの皆さんに訴えます。
 今こそ日米韓の国際連帯の力を、そして闘う労働運動の全国ネットワークの力を徹底的に強化して、反動を打ち破り、日本革命・世界革命へ驀進(ばくしん)することが求められています。そのために革共同への一時金カンパの圧倒的な集中をお願いします。

 ●労働者階級の生存をかけて

 今年、「格差社会」「ワーキングプア」「偽装請負」が大きな社会問題として取り上げられました。偽装請負とは主として、実質は労働者派遣であるのに、契約の形式は業務処理請負であるというものです。請負契約・業務委託契約は労働契約・雇用契約ではないため、請負先の会社は労働基準法遵守義務を負いません。派遣法でいう一定期間後の直接雇用申し出の義務もありません。
 厚労省の発表によれば、製造業の場合、請負の人数は派遣の約3倍、86・56万人(04年)で、請負労働者がいる職場は事業規模が大きいほどその比率が高く、500人以上の事業規模で、79・2%にもなります。偽装請負はこの間増え続け、05年は過去最多の974件(全体の70%)と報道されています。大企業ほど無法な搾取で利益をむさぼっている実態が浮かび上がっています。そしてその大企業の頭目であるキヤノン会長の御手洗・日本経団連会長は、10月13日の経済財政諮問会議で「請負法制に無理がありすぎる、見直すべき」と主張し開き直っています。
 さらに、日本経団連は11月21日、「特区、規制改革・民間開放集中受付月間」(いわゆる「もみじ月間」)に87項目の要望を提出したと発表しました。その中で派遣法の「事前面接の解禁」「派遣期間制限撤廃」を掲げ、請負法制だけでなく派遣法も改悪せよと言っています。彼らの主張は、現行派遣法には、「採用の自由の侵害」と派遣期間制限があるので、企業は労働者の交替を要求するから「不安定雇用と雇用機会の減少」の問題がある、というものです。
 こうして労働者を工場法以前的状態にたたきこんで、資本だけが延命しようとする攻撃はとうてい許せません。労働者は闘わなければ生きていけない。闘って、この腐りきった社会を変えましょう。

 ●教基法決戦から安倍打倒へ

 安倍政権は、就任した途端、今臨時国会で与党単独での教育基本法改悪強行採決を繰り返し、早くも議会制民主主義をも徹底的に無視し破壊する極右的政治姿勢をあらわにしています。教育基本法改悪攻撃の核心は第10条「不当な支配」を百八十度転換し、教育の国家支配と日教組を解体する攻撃であることが完全に明らかになってきました。
 これに対して教育労働者を先頭に労働者階級の激しい怒りの闘いが繰り広げられています。決定的なことは、11〜12月の教育基本法改悪・改憲攻撃と対決する国会決戦が11・5労働者集会の勝利の地平を引き継いで、07年の階級闘争の大高揚に向かって闘われていることです。
 11・5の勝利の地平とは何でしょうか。それは、労働者階級が今受けている激しい攻撃の中に敵階級の危機の深さを見て取り、味方が団結を固め、闘う労働組合を再生させて、体を張り命懸けで闘えば勝利できることを確信して闘うということです。現に国会前で連日の座り込み、ハンスト、院内集会が意気高く闘い抜かれ、11・12全国連絡会の集会に8000人、16日の衆院本会議強行採決に対して、夕方5000人が国会を包囲しました。闘えば勝てる! 動労千葉労働運動が実証し、3カ国連帯の心棒ともなっているこの確信のもとで、職場闘争と結合させて12月をさらに徹底的に闘い抜いて、教育基本法改悪を阻止し、安倍政権打倒情勢をたぐり寄せましょう。
 革共同は、06年秋、第22回拡大全国委員会総会を開催しました。
 総会は、労働者自己解放闘争の立場から提起された三つの政治局報告のもとで、真剣かつ熱烈な討論を行い、06年に労働者同志の決死の実力決起によって遂行された「党の革命」がこの間切り開いてきた地平を確認し、新指導路線と動労千葉労働運動での路線的・実践的一致をかちとることに成功しました。さらに五つの特別決議を全員の圧倒的賛成をもって採択しました。
 この第22回拡大全国委員会総会をかちとることをとおして、革共同はプロレタリア日本革命・世界革命を達成することのできる革命的な労働者党として再生し、党を強大に建設していく新たな歴史的出発点に立ちました。

 ●革共同とともに社会変革を

 すべての『前進』読者の皆さん、労働者人民、学生の皆さん。
 革共同とともに、この腐りきった帝国主義に最後の引導を渡す歴史的決戦に立ち、時代を切り開きましょう。革共同は12月臨時国会・教育基本法改悪阻止決戦に勝利し、戦後最大の階級決戦となった07年決戦に向けて進撃します。その決戦の規模を決する最大のカンパを寄せられることを訴えます。

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週刊『前進』(2274号4面4)(2006/12/11)

 コミューン 1月号

 米軍再編阻止の砦

 沖縄県知事選で名護新基地建設反対を掲げた糸数慶子候補は惜しくも敗れた。沖縄では悔しさをバネに新たな闘いが力強く始まっている。今号は、米日帝の北朝鮮侵略戦争の切迫情勢のもとで米軍再編阻止・改憲阻止の砦(とりで)として新たな安保・沖縄闘争に決起する沖縄の労働者人民の闘いを特集した。
 第1章は、06年沖縄の闘いの報告。前半は3・5「沿岸案反対」県民大会を中心に米軍再編との闘いに立ち向かい、後半はキャンプ・シュワブの遺跡調査阻止、パトリオットの嘉手納基地配備阻止の座り込み闘争を断固闘い抜いた。
 第2章は、名護新基地建設計画を含めた米軍再編最終報告の全面的な批判。北朝鮮侵略戦争−世界戦争のための沖縄−本土の軍事要塞(ようさい)化を弾劾している。
 第3章は、北朝鮮に対する経済制裁−臨検の発動が米帝の北朝鮮侵略戦争計画「5027」の一環であることを明確に突き出した。
 第4章は、安保・沖縄闘争の主体である沖縄の労働運動の主体的総括。官公労労働運動を戦後沖縄労働運動の柱と位置づけ、その階級的再生の展望を打ち出している。
 資料として、「米軍再編最終報告」(全文)と6月29日にブッシュ米大統領と小泉首相が発表した「新世紀の日米同盟」を掲載した。

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週刊『前進』(2274号5面1)(2006/12/11)

 教基法改悪阻止をかけ国会終盤の決戦へ

 共謀罪 抜き打ち採決策動許すな

 全国各地の職場から国会へ

 闘いの大衆的爆発で粉砕を

 歴史を分かつ階級決戦

 安倍政権による共謀罪審議入り―採決強行の攻撃を絶対に許すな! 愛国心を強制し、教育労働者と子どもたちを国家統制で縛る教基法改悪案の衆院採決強行を、満身の怒りで弾劾しよう! 国会闘争をさらに徹底的に強化し、「職場から国会へ、国会から職場へ」の闘いをまきおこそう。共謀罪法案、教育基本法改悪案の成立を絶対阻止しよう。
 安倍政権は、日帝のすさまじい体制的危機の中で登場した極右・改憲突撃内閣である。
 安倍は政権発足後すぐ、北朝鮮の「核実験」発表を口実として国連決議に先んじて「追加制裁」を強行し、朝鮮総連弾圧に手を染め、排外主義を国家的に扇動している。他方で、経済封鎖のため米軍と一体となって日米合同演習を日本海で行っている。
 アフガニスタン侵略戦争を行う米軍を支援するための「テロ対策特措法」の延長を10月末に強行した。政権発足と同時に米軍再編―沖縄基地強化を進行させた。
 また軍部に独自の法案の提案権を与え、海外派兵を自衛隊の「本来任務」とする防衛庁「省」昇格法案を11月30日にも衆院通過させようとしている。
 改憲のための「国民投票法案」は10月に審議入りしている。通常国会から継続審議となっている共謀罪法案については、臨時国会で一度も審議を行わないまま、与党が抜き打ち的に採決を強行しようと狙っている。
 さらに、安倍はNHKに対して「拉致」問題の放送命令を発し、言論統制に乗り出した。また麻生(外相)や中川昭一・自民党政調会長らが「日本に核が持てるかどうかを議論しなければいけない」と世論誘導をはかり、日本の核武装への布石を打とうとしている。
 極めつけは安倍が、集団的自衛権解禁発言の上に、「自分の任期中に改憲をする」と6年以内の改憲を表明したことだ。
 安倍政権は、政権成立後わずか2カ月で、北朝鮮への侵略戦争準備と侵略国家への大転換に全力で突き進んでいるのである。
 今秋の臨時国会決戦過程は、日帝支配階級が戦争に向かう階級意志を法律的に確定しようという大転換期にあり、激しい階級攻防の真っただ中にある。超ど級の政治決戦が、国会をも舞台として闘われなければならない。安倍との対決は改憲攻撃との闘いであり、この一連の決戦局面を全力で闘い、階級的・政治的攻勢を取ろう。
 安倍政権は、小泉とは違い、明らかに対米対抗性をもって政策を展開している。米帝ブッシュのイラク侵略戦争での泥沼的敗北と米中間選挙での敗退・凋落(ちょうらく)に、日帝・安倍もまた大打撃を受け、危機だからこそ必死で労働者階級への攻撃を強めている。安倍の国会攻防にかける決意は「地雷原に足を突っ込んだ」ような、危機線上を歩んでいると言ってよいものだ。
 この間の国会闘争でつくり出した有利な政治空間を、闘う労働者階級の側に引き寄せて闘うことだ。そして巨大な大衆運動・労働運動をつくり出そう。「職場から国会へ、国会から職場へ」の闘いを縦横無尽に展開しよう。
(写真 教育基本法改悪案の衆院特別委強行採決に国会に駆けつけた多くの労働者・学生が激しく弾劾をたたきつけた【11月15日 衆議院議員面会所前】)

 議会制度転覆狙う安倍

 教育基本法改悪案の強行採決から安倍政権の政治手法を見てみたい。
 安倍は、政権成立後初の国会の冒頭で、憲法に次ぐといってもよい教育基本法改悪案の衆院強行採決を行った。どの政権でもなしえなかったことだ。昨年の総選挙で得た3分の2超の議席数の力で採決を強行したのである。野党の抵抗を「少数の横暴」と切り捨て、しかも、事前にマスコミを呼んで「これは強行採決ではない、単独採決だ」と世論誘導を行った。
 安倍は、著書『美しい国へ』で「尊敬するおじいさん岸信介」のことに言及し、「(日米安保条約改定で)世間のごうごうたる非難を向こうに回して、その泰然とした態度には、身内ながら誇らしく思った」と書いている。そして安倍は、岸の60年安保条約改定時の強行採決そのままに、同じやり方を使いだした。
 安倍は他方で、側近政治を使って政府機構を骨抜きにしようとしている。側近の正体は、侵略戦争賛美の「つくる会」教科書を推進し、靖国神社参拝を奨励してきた日本会議や生長の家など、天皇制極右分子どもである。中でも教育改革担当の山谷えり子首相補佐官や下村博文官房副長官は、「つくる会」教科書の強制と、ジェンダーフリー教育へのバッシングの先頭に立ってきた反動だ。
 安倍は、野党の反対意見を「少数の横暴」と切り捨て、議会制民主主義の解体と、労働運動の破壊に全力を挙げている。この安倍政権との最初の決戦が、今臨時国会の教育基本法改悪と共謀罪をめぐる攻防なのだ。

 労働運動の壊滅に照準

 共謀罪は、9月3日に自民党東北大会で安倍が「共謀罪も臨時国会で優先して成立させたい」と発言したものの、臨時国会が始まってからは「教育基本法改悪を優先、共謀罪は今国会断念」などと報道されてきた。
 共謀罪は、春の通常国会で6度もの強行採決策動が挫折し、その過程で政府答弁のうそなどが発覚、通常どおりの審議をしたら到底成立しない状況である。そこまで労働者人民の闘いが追い詰めてきたのである。
 政府・与党にとってはもはや審議抜きの強行採決しかない。安倍は、教育基本法改悪の参院採決と同時に共謀罪の衆院突破を狙っている。
 教基法改悪法案の衆院特別委採決が強行された11月15日以降、いつ審議―採決を強行してもおかしくない状況が続いている。11月末の法務委員会理事会では与党理事が「共謀罪の審議に入りたい」と言い始めている。与党は、通常国会の閉会の段階で共謀罪の与党修正案を記載することを可決しており、臨時国会ではその段階から再開し、審議入りしたら直ちに採決強行するシナリオを描いている。
 安倍政権にとって、共謀罪は侵略戦争国家づくりのもう一つのかなめとなる治安法規である。改憲をめぐって労働者階級の闘いを抑えつける治安体制の頂点に位置するものが共謀罪だ。
 共謀罪は、実行行為ではなくその前段階の「話し合い」だけで罪に問うものであり、スパイ潜入を容認する「自首免責」まで規定している。
 それは思想・信条の自由を奪い、労働者階級の団結権をはく奪するものだ。戦闘的・階級的な労働運動に狙いをつけていることは明らかだ。森元首相が「日教組と自治労を壊滅できるかどうかが参院選の争点」と言い、中川秀直自民党幹事長が「官公労と対峙する気概が求められる」と言っているが、共謀罪は彼らの決定的武器になる。日帝危機と階級的激動の中で、安倍政権は強力な治安法をのどから手が出るほど欲しているのだ。
 同時に安倍政権は、この治安体制に見合う警察の反動的転換をも狙っている。盗聴法の拡大を始めとした捜査手法の転換を軸に、予防警察・政治警察への転換を狙っている。侵略戦争国家を、同時に警察国家にしようというのが、共謀罪のもうひとつの狙いだ。
 いよいよ国会決戦は最大の決戦過程に入った。労働者人民の闘う決意はかつてなく高まっている。教育労働者を先頭に全国の労働者はあらゆる行動に立とう。教基法改悪案・共謀罪法案を絶対に廃案に追い込もう。
(写真 都教委包囲・首都圏ネットと破防法・組対法に反対する共同行動がジョイント行動【11月23日 銀座】)

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週刊『前進』(2274号5面2)(2006/12/11)

 腐敗極めるカクマルJR総連解体へ

 平成採の労働者は階級的労働運動の隊列に

 はじめに

 安倍政権は米帝ブッシュとともに北朝鮮への侵略戦争を構え、教育基本法改悪を突破口に改憲へと突進しつつある。この中で、教労、国鉄、全逓、自治体の4大産別労組に対する壊滅攻撃もまた激しく進行し始めた。この攻撃との攻防は、労働者階級全体の命運を決する位置を持つ決戦だ。11・5労働者集会は、4大産別を先頭に階級的労働運動を取り戻す闘いの号砲を打ち鳴らした。
 国鉄闘争をめぐっても、国家権力とJR資本は国労本部をより一層の屈服に追い込み、1047名解雇撤回闘争の最終的な壊滅を狙うとともに、出向協定締結と包括和解でJR本体の国労組合員の闘いを徹底して抑え込む攻撃に乗り出している。動労千葉に対しては、館山運転区と千葉運転区木更津支区廃止などの大規模な基地統廃合による露骨な組織破壊攻撃を加えてきた。
 こうした攻撃の背後にあるのは、安全問題や人員問題で国鉄分割・民営化体制=JR体制が総破産を露呈している現実だ。この中でJR資本は、JR総連カクマルとの結託体制をも清算しようと踏み出した。JR東日本による「ライフサイクルの深度化」の提案、すなわち首都圏7支社の40歳以下の運転士を5年間、駅に強制配転するプランは、運転士を始めすべてのJR労働者を資本の直接の制圧下に組み敷こうとするものだ。
 これは、平成採の青年労働者のJR資本への怒り、この攻撃を全面的に受け入れたJR総連・東労組カクマルへの怒りをかき立てている。青年労働者をJR総連のくびきから引き離し、JR総連を解体して、動労千葉を先頭とする階級的労働運動の隊列に獲得する、またとないチャンスが来ているのである。
 これは、資本と権力に身を売って国鉄分割・民営化を率先推進してきたJR総連=カクマル松崎の路線的破産がついに全面的に明らかになったということだ。松崎の金銭的腐敗は、こうした中で起きていることなのだ。

 組合資金横領した松崎の犯罪は明白

 松崎による組合資金・国際交流基金口座からの3000万円横領がすでに明るみに出ているが、旧動労資産食いつぶし、さらには組合員から集めた特別カンパの収奪などその腐敗した姿がますます露わになってきた。
 05年12月7日、警視庁公安部は、業務上横領容疑で松崎の自宅を始め、JR総連事務所、JR東労組本部、(財)日本鉄道福祉事業協会(以下、鉄福と記す)など22カ所を家宅捜索した。06年1月18日には松崎が身体捜索を受け、手帳などを押収されている。令状には、「松崎明らが共謀の上、国際交流基金名義の普通預金口座に預けいれられていた全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)の預金3000万円を横領した」とある。
 これに対してJR総連は、「松崎明氏の個人的資金の受け渡しに、JR総連と加盟単組が共同で設立した国際交流推進委員会(現国際委員会)の国際交流基金の口座を一時・便宜的に使用したことを業務上横領としてデッチあげた」などと釈明した。
 JR総連国際委員会の資料では、この不動産は松崎名義の沖縄県今帰仁(なきじん)村の別荘で、99年に、鉄福が松崎から購入したことになっている。その代金5100万円が国際交流基金の口座に入金され、ここから3000万円が松崎の請求により「返却」されたとなっている(2000年4月)。
 このような作り話を誰が信じるというのか。そもそも同別荘の土地は95年9月に松崎の妻名義で購入され、建物は96年4月に(株)さつき企画が新築したものだ。悪徳政治家が妻名義で自分の資産を隠すのと同じ手口である。00年1月に所有権が鉄福に移転された時点でも土地、建物とも松崎名義ではない。この売却代金がなぜ松崎のものとなるのだ。すべては組合員の金だったのだ。この時点で横領は成立する。
 最近出された釈明パンフ『これが真実だ!』(JR総連・闘争本部/06年10月)では、同別荘の件には一言も触れていない。明らかにできないのだ。また松崎が購入したハワイの別荘2棟、品川区のマンションの購入代金約1億円の出所も明らかにされない。
 この国際交流基金は、松崎の提唱で90年に立ち上げられた国際交流推進委員会の基礎財源と言われるものである。JR総連と加盟単組の出資で運営されている。今回の横領問題の発覚も、03年6月のJR総連の家宅捜索で押収された国際交流基金の預金通帳が発端となっている。通帳の名義は「国際交流基金代表松崎明」である。表向きはポーランドの美術・技術センター建設、日本語学校建設などに使われていることになっているが、組織の金を松崎の「ポケットマネー」としてプールする「裏金庫」の意味合いが強い。「反グローバリズム労働運動」を語り、国際交流を隠れみのに、松崎JR総連はその資金を私的に流用していたのだ。寄付が額面どおり行われていたのかは検証のしようがない。
 国際交流基金以外にも、さつき会(注)、鉄福、(株)鉄道ファミリー、(株)さつき企画をめぐる資金の流れも不透明なことばかりだ。
注・さつき会 旧動労資産の継承団体、鉄福を支配する。初代会長は松崎明。さつき会が継承したとされる資産は流動資産29億5300万円、固定資産12億6900万円、合計は42億2000万円に上る。権力の介入を恐れ04年5月に解散。

 旧動労の資産も私的に食いつぶす

 03年6月のJR総連家宅捜索で、鉄福所有の貸金庫の存在が明らかになった。同年9月にこの貸金庫が捜索され、松崎の土地の権利書や登記簿などが押収された。これに動揺した鉄福の佐藤政雄理事長(当時、元JR東海労委員長)が「失踪」事件を起こしている。
 鉄福に対してはそれ以前から監督官庁である厚生労働省から再三「改善勧告書」が出されていた。鉄福ばかりでなく、さつき会、さつき企画の不透明な資金運用が問題にされていた。
 04年2月27日、鉄福臨時評議委員会は「改善報告書」をまとめ上げた。その内容は、ずさんな資金運用とデタラメな会計処理の事実を示すものばかりだ。
 「資金運用」に関しては「理事会の議決等を経ず、理事長に一任している状況」であったなどと私物化を自認している。佐藤理事長に一切の責任を転嫁する内容となっているが、しかし佐藤が松崎の指示や承認なしに独断で資金運用や会計処理などできるはずがない。この「一任」とは松崎による私物化を示すもの以外の何ものでもない。
 さつき会に関する記載はさらにデタラメである。さつき会が継承した資産のうち「債務」となった部分については、「残存する債権は65名分、3億5千万余」となっている。しかし、物故者5人の氏名のみを明らかにし、その「債権回収は事実上不可能となった」という。3億5千万円はどこに消えたのか。明らかな資産隠し(=私的流用)そのものだ。
 また報告書は、「2000年6月に動労結成50周年記念行事で5000万円を支出した」が、「その際別口座に9889万円の資金を移していたことが新たに判明した」などと苦しまぎれの言い訳をしている。しかし、5000万円支出の内訳は一切明らかにされていないし、9889万円を誰が、何のために移したのかも不明のままである。9889万円の残額内訳についても8000万弱の個人貸付が報告されているが、その内容もやみの中である。貸付の内5000万円は(株)さつき企画の経営再建のために貸し付けられたと見られる(04年に「経営再建のためのご協力のお願い」が出された)が、内1000万円は債権放棄(チャラということ)となっている。
 以上簡単に見ただけでも、旧動労資産の激しい侵食の状況が推察される。さつき会が継承した42億2000万円の資産は欲しいままに食いつぶされているのだ。実際の残高は一切明らかにされていない。
 「改善報告書」は最後に、「役員体制の不備という条件もあり、明瞭(めいりょう)性を欠く会計処理がなされてきた」「資金の支出や運用に際し、会計の全貌(ぜんぼう)を知るものが誰もいない状態のまま、必要に迫られた処理が行われてきた」「会計処理もずさんで、帳簿類が未整理であったばかりか、各種預金口座の便宜的な使用により収支や資産状態が極めてわかりにくい状態にあった」と私物化を居直っている。読むものをあきれさせる内容である。しかも一切責任をとることなく、その後も松崎とそれに連なるJR総連カクマル幹部が鉄福を食いものにし続けている。
 (株)さつき企画は松崎の息子・篤が01年6月から04年1月まで2年半社長を務めた会社だ。松崎の息子というだけでJR総連とは無関係な人間が社長に就任すること自体が公私混同であり、組合の私物化そのものだが、篤は社長就任中に5000万円の負債を作ったのだ。それを鉄福からの融資で埋め合わせをしている。指摘されなければやみの中に葬られていたのだ。

 「人道」を標榜したカンパで一億収奪

 旧動労資産に寄生する松崎JR総連カクマルは、それ以外にも組合員から金を搾り取る収奪機構を巧妙に作り上げた。それは各種の特別カンパである。カンパが額面どおり運用されているかは誰も検証できない構造になっている。疑問を呈する者は「組織破壊者」の烙印(らくいん)を押され、排除される。
 このカンパ活動は、階級的労働運動に敵対するJR総連が、「ヒューマニズム」を標榜し、資本と闘わないことを隠蔽(いんぺい)するために「あたりまえの労働組合」などと称して始めたものである。身体「障害者」への「旅のプレゼント」運動は92年から、中国に小学校を建てるための「10円カンパ」は98年から、アフガン救援への支援活動「子ども平和基金」はアフガン戦争後の02年から始められた。
 「10円カンパ」は、中国の少数民族地域に小学校を建設するという触れ込みで始められた。中国スターリン主義の「教育支援プロジェクト(希望工程)」に乗っかったものである。松崎は、先の中国侵略戦争で死亡した兄の松崎暁への鎮魂と「中国人民への謝罪を込めた平和の掛け橋」などと称し推し進めてきた。松崎自身が寄贈したとされる小学校は、松崎とその兄の名前を冠して「暁明希望小学校」と命名された。侵略者の名前を冠するなど唾棄(だき)すべき侵略思想だ。
 JR東労組の組合員全員が「ひとりが1週間10円のカンパ」を毎週するというものだが、5万人を擁する東労組の物質力はけっして侮れない。計算高い松崎らしい発想だ。1校当たりの建設費は約300万円とされ、04年4月までに19校を建設したと発表している。建設費総額は約5700万円となる。カンパ総額は98年から05年までに、単純に計算して約1億9000万円を下らない。残りの約1億3500万円はどうなったのか、管理組織名も収支報告書も一度も公表されていない。先の鉄福による旧動労資産の食いつぶしを見れば、松崎とJR総連カクマル幹部が「寄付」を私的に流用しているのは明白だ。

 青年労働者を先頭に反乱を

  戦争協力を誓い、ストライキに反対する松崎JR総連は、もはや全労働者の名において打倒される時が到来した。大事故を続発させるJR体制を生み出した元凶は、資本とJR総連カクマルの結託体制にほかならない。
 「ライフサイクルの深度化」などの攻撃に対し、平成採の青年労働者を先頭に、職場から闘いを起こそう。腐敗を極め、労働者の自己解放の闘いを押しつぶすファシスト支配をJR体制もろとも今こそ打ち破ろう。反合・運転保安闘争を貫徹し、階級的労働運動を実践する動労千葉のもとに、すべての闘う国鉄労働者は結集しよう。
 〔矢剣 智〕
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 JR総連松崎による3000万円横領事件の経過

90年 国際交流推進委員会を立ち上げ
95年 沖縄県今帰仁村の別荘用地を松崎の妻名義で購入
96年 さつき企画が沖縄の別荘を新築
99年 鉄福が別荘を「松崎から購入」
   代金5100万円を国際交流基金の口座に入金
      ↓
00年4月 うち3000万円を松崎に「返却」(=横領)
03年6月 JR総連の家宅捜索 国際交流基金の預金通帳押収
05年 業務上横領の容疑で、警視庁公安部が松崎の自宅、JR総連事務所、鉄福などを家宅捜索

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週刊『前進』(2274号6面1)(2006/12/11)

 石油が世界戦争の震源地に

 米欧日・中・ロが争奪戦

 〔島崎光晴〕

 石油は現代帝国主義にとって戦略的な資源をなす。石油の確保は全帝国主義国の死活問題である。アメリカ帝国主義が絶望的なイラク侵略戦争を続けているのは、石油資源を奪うためだ。すでに、帝国主義間の石油争奪は侵略戦争にまで進展しているのである。さらにロシア、中国も石油の奪い合いに加わってきている。そのなかで、日本帝国主義は最も弱い帝国主義としての姿をさらけだしつつある。以下、石油争奪戦の現状をみていきたい。
(写真 攻撃されて炎上するイラクの石油パイプライン)

 米帝の石油独占支配が崩壊へ イラク泥沼化で制圧力低下

 イラク戦争は、米帝にとって世界支配の成否をかけた死活的な戦争である。イラクの石油の確認埋蔵量はサウジアラビアに次いで世界第2位だ。そのイラクが90年代に、米石油会社を排除してフランス・ロシア・中国などに原油の開発権益を与えてきた。しかもイラクは00年に石油輸出をドル建てからユーロ建てに切り換えた。このままではイラクが欧州帝国主義の支配下に入りかねない。そうなると、米帝の石油支配・中東支配・ドル支配のすべてが崩れてしまう。そうした危機を最深の動機として、米帝はイラク侵略戦争にうって出たのだ(『現代帝国主義論U』131n〜参照)。だから、戦争がどれほど泥沼化しようとも米軍は撤退できない。
 米帝はイラクを親米の大産油国に変え、イラク石油を増産して、あわよくばOPEC(石油輸出国機構)の影響力をそぎ落とすことを狙っていた。しかし、これは大破産した。イラクでは武装勢力が3日に一度の割合で石油関連施設を攻撃している。中部バイジのイラク最大規模の製油施設は05年12月に「治安上の懸念」で操業を停止してしまったほどだ。このため、イラクの石油輸出量は03年の戦争開始後で最低レベルに落ち込んでいる。イラク政府は現在、石油増産のために外資による投資を呼びこもうとしているが、内戦が激化している中では容易ではない。
 イラク内戦の激化は米帝のイラク戦争の大破産を示す。米帝・米軍はこの泥沼戦争から生きて抜け出すことはできない。それは米帝を一層の侵略戦争−世界戦争へと駆り立てる。これこそ、今日の世界と日本の情勢を規定している最大要因だ。

 外資石油会社排除する南米

 米帝の石油消費量は、世界全体の25%をも占める。米帝の膨大な交通・運輸燃料の97%が石油製品であり、米軍の兵器も石油頼みだ。経済も軍事も石油なしに成り立たない。ところが輸入石油への依存率は98年に50%を超え、2025年には68%まで上昇すると予測されている。このため米帝は、中東石油の絶対的な確保とともに原油調達先を多様化することを国家戦略としてきた。南米、ロシア・中央アジア・カスピ海地域、アフリカからの輸入を増やす戦略だ。ところがこの調達の多様化の点でも次々に行きづまっている。
 まず、南米では反米政権が外資石油会社を排除し始めている。ベネズエラのチャベス政権は今年4月、フランスとイタリアの石油会社が運営する2つの油田を政府管理下に置いた。ベネズエラはOPEC加盟国で、米帝にとってカナダ、サウジアラビア、メキシコに次ぐ第4位の輸入国。そのベネズエラが中国との関係を強め、鉱区の権益を渡してさえいる。さらに5月にはボリビアのモラレス政権が「天然ガス国有化」を宣言した。ベネズエラ・ブラジル・アルゼンチンは南米を縦断する天然ガスパイプラインを計画しており、米帝の権益を一段と排除しようとしている。

 独がロシアとパイプライン

 次にロシア。ロシアはサウジに次ぐ世界第2位の石油輸出国で、天然ガスの埋蔵量と生産量は世界最大である。そのロシアが、従来の商業的な供給方針から、資源を外交上の武器にする戦略に転換している。
 @一時は、ロシア産原油・天然ガスを米国に輸出する計画だったが、これが急変した。米欧5社はバレンツ海の海底ガス田(推定埋蔵量は日本の年間消費量の114年分)を共同開発しようとしていたが、今年10月にロシアのガスプロム社が100%の権益を保有すると決定、外資を締め出した。
 A欧州にとって必須となっているロシア産の天然ガスの供給を制限して、外交上の圧力としている。EU25カ国は天然ガスの約5割をロシアから輸入しており、うち85%がウクライナ経由だ。今年1月にはウクライナ向けガス供給を停止して、ウクライナと欧州に圧力をかけた。
 B欧州が危機感を強める中、ドイツが抜け駆けして、バルト海を経由してロシアに直結するガスパイプラインを建設し始めた。05年9月合意、10年稼働の予定。運営会社の会長にはシュレーダー前独首相が就いた。EUにはエネルギー分野での共通政策はない。このパイプラインが完成すれば、EU内でドイツがロシア産ガスの調達で優位に立つ。すでにイラク−中東石油をめぐって米欧が対立してきたが、ドイツの突出した動きは米欧対立をますます激化させずにはおかない。
 さらに中央アジアについて。カザフスタンでは、90年代には油田の開発権はすべて米欧企業が獲得していた。しかしここ数年は資源ナショナリズムが台頭、そこに中国の国有石油会社が進出している。03年には中国からの投資がロシアからの投資を上回った。今年5月にはカザフスタンと中国との石油パイプラインが開通。中央アジアの資源を独占的に確保しようとした米帝の思惑は、ここでも破産している。
 最後にアフリカについて。米国の原油輸入に占めるナイジェリア産は10%、アフリカ全体では20%に及ぶ。ところがこのアフリカでも中国が急進出している。中国のアフリカからの原油輸入は98年から05年で17倍にもなり、輸入原油の3割に達した。中国はスーダンでは石油開発会社を立ち上げ、パイプライン敷設にも携わっている。ナイジェリアには今年4月に胡主席が訪問し、4油田鉱区の優先開発権を得るとともに、製油所の買収や発電所・鉄道の建設まで決めた。アフリカ第2の産油国であるアンゴラにも中国が進出、中国にとってアンゴラはサウジアラビアに次ぐ輸入相手国となっている。
 このように石油の争奪戦は、帝国主義間だけでなく、ロシア・中国をも巻き込んで激化している。

 中国は35カ国に権益を拡大

 特に中国の動きは激しい。中国は93年に石油輸入国に転じて以来、国外の石油・天然ガスの権益確保を国家戦略とした。すでに35カ国のエネルギー権益に投資している。06年からの5年間でエネルギー分野に毎年7千億元(約10・1兆円)を投じる計画だ。05年だけをとっても、中国の大臣級以上の首脳によるエネルギー確保のための外国訪問は20回以上に及ぶ。今年11月には北京で初の中国・アフリカ首脳会議を開いた。アフリカ53カ国中、台湾と国交のある5カ国を除いて48カ国が参加。うち実に41カ国が国家元首か首相だ。首脳会議は資源エネルギーなど10分野の協力強化を決めた。
 それにしても、中国がこれほど世界の資源確保の動きを満展開できるのはなぜか。米帝がイラク戦争の泥沼化の中で世界支配力を低下させているからだ。米帝は01年9・11の直後にパキスタンなど数カ国に対し、核兵器の使用を振りかざして恫喝(どうかつ)した。その勢いでアフガニスタンとイラクへの侵略戦争に突っこんでいった。しかし今や、イラク戦争の泥沼化に伴って、軍事による世界支配力を急低下させてしまったのだ。もちろんそれは米帝をますます絶望的に戦争に駆り立てる。実際、米帝はイラクからイラン、北朝鮮・中国に戦争を拡大しようとしている。しかしそれが一方的に進むのではなく、米帝の世界支配の危機、米帝自身の危機、帝国主義間争闘戦の激化をも伴って進むのだ。
 また、石油がドル建てで取引され、その石油を米帝が軍事力によって支配し、これによってドルへの信認も保ってきた。米帝の石油支配と軍事力に少しでも陰りが見えると、それがドル暴落の引き金となり、世界大恐慌を引き起こす。

 独自権益を持てぬ日帝の危機 石油公団民営化で国策破産

 日本帝国主義は、石油を始めとする資源に最も弱い帝国主義である。05年の原油の中東依存度は37年ぶりに9割を超えた。原油価格は7月に1バレル80j直前まで高騰し、新しいタイプの石油危機が始まりつつある。石油危機が本格化すると、日帝はひとたまりもない。米政府は05年春に「石油の衝撃波」と名付けたシミュレーションを実施した。”ナイジェリア・サウジアラビア・アラスカで事件が続発した場合、原油価格が1バレル150jに跳ね上がり、数週間でまず輸入依存度の高い日本経済がメルトダウン(炉心溶融)、その後、他の先進国も同じ運命をたどる”という内容だ。

 アザデガンの自主開発失う

 日帝は危機感を募らせて、今年6月に「新・国家エネルギー戦略」を決め、「骨太方針Y」にも盛り込んだ。00年にやめていた自主油田開発の目標を復活させた。輸入に占める自主開発分の割合を現在の15%から40%に引き上げる。その他、他のエネルギー確保による石油依存度の低下、石油の国家備蓄の4割増なども目標とした。
 ところが、実際はそのための3大プロジェクトがすべて破綻(はたん)している。@イランのアザデガン油田について。日帝は04年に油田開発の正式な調印にこぎつけた。政府系の国際石油開発が75%の権益を握った。しかし、その後も米帝からの圧力はやまず、今年10月には日本の権益を10%に大幅削減せざるをえなかった。自主開発権益を手放すしかなくなったのだ。もともとの計画では、アザデガン油田の開発・生産だけで自主開発原油の比率が7ポイントも上がるはずだった。それがふっ飛んでしまったのだ。

 サハリン事業で日本は排除

 Aサハリンの石油・天然ガスについて。日本が30〜45%の権益を持つ2つのプロジェクトが進んでいた。うち「サハリン2」については、工事がほぼ8割完成。ところが9月にロシアが工事の承認を取り消し、外資を排除する姿勢に転じた。70年代から延々とロシアに働きかけていたサハリン事業が一瞬にして破産してしまったのだ。
 B東シベリアの石油パイプライン。日帝はパイプラインを太平洋側まで建設する方式を求めていた。しかし、ロシアから中国へのパイプラインを優先して建設、太平洋側までの敷設は諸条件を検討する、となった。
 もともと日帝は敗戦帝国主義として、国外の資源を自前で確保する力が非常に弱い。しかも小泉政権下での「外交の停滞」は、そうした力をますます低下させた。さらに小泉政権は、02年に石油公団を廃止して国外での石油開発・生産を民間企業に投げ出した。「民間でこそ競争力がつく」と称して。しかし実際は、国策抜きの自主開発追求となってしまったのだ。その結果が、3大プロジェクトの総崩れである。野放図な民営化政策のしっぺ返しを受けているのだ。
 日帝にとって取り返しのつかない歴史的な破産にほかならない。日帝こそ〈帝国主義の最弱の環〉であることがあらためてはっきりした。
 しかし日帝は石油なくしては生きられない。日帝は今になって、「もはや資金を出せば石油を買える時代ではない」(経産省幹部)と嘆いている。
 すでにイラク戦争という形で、戦争による石油の奪い合いが始まっているのだ。結局、日帝もまた石油のための侵略戦争という衝動を強めていく。しかしここでも日帝は、一方で独自の経済圏や資源権益を追求しつつ、他方では日米同盟を強化するしかない、という矛盾に七転八倒している。そのなかで安倍政権は、核保有論議に見られるように、日帝独自で戦争ができる国家体制に踏みこみつつある。
 帝国主義は今や、戦争によって資源を奪うことなしに1日として成り立たない。こんな帝国主義は一刻も早く打倒すべきだ。

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週刊『前進』(2274号6面2)(2006/12/11)

 北富士 “侵略演習拡大許さぬ”

 小火器を初使用 海兵隊移転演習にデモ

 

(写真 演習場前で「イラクへの自衛隊派兵をやめろ」「海兵隊の実弾演習を中止せよ」と申入書を読み上げる天野豊徳さん【11月26日 北富士】)

 11月26日、北富士での米海兵隊演習を弾劾し、北富士闘争が80人の結集で闘われた。参加者は、米軍演習の拡大に怒りを燃やし決起した。
(写真 集会後、意気高くデモ。後方が北富士駐屯地)
 集会は北富士駐屯地のすぐ横で行われた。最初に忍草母の会の天野美恵事務局長が司会のあいさつを行い、「昨日から演習が始まっていますが、今度の演習は機関銃など小火器も使っています。絶対に許せない。富士を平和の山にすることが私たちの目的です。富士を世界遺産にするというが演習場で戦争の訓練をしているところがどうして世界遺産になるか」と弾劾した。
 主催者あいさつを忍草国有入会地守る会会長の天野豊徳さんが行った。「今度8回目の本土移転演習で初めて小火器を含めた演習をする。極東の有事、つまり朝鮮を敵視した演習をしようとしている。また戦争への道が近づいている。われわれはけっして戦前には戻らない。北富士演習場の完全なる入会権を最終目的に、入会地を奪還して米軍の実弾演習を阻止し、米軍演習の増加を止めなければならない」と決意を語った。
 連帯あいさつの最初に三里塚反対同盟の北原鉱治事務局長が「日本はどこに向かっているんだろうか。再び60年前のあの悲惨な戦争へとたどっていく情勢だ。第2次世界大戦の道を再び歩んではいけない。社会を変え、希望ある未来をつくろう」と訴えた。
 「戦争反対、世の中を変えるんだということで私たちもがんばります」と動労千葉家族会、「戦争をやるような政府はぶっ倒していいんです」と婦人民主クラブ全国協が発言した。部落解放同盟全国連合会は「階級闘争の大きな発展の中で差別との闘いの勝利をかちとる」と表明。反戦共同行動委員会を代表して在本土沖縄青年が教育基本法改悪阻止へ12・1緊急行動への決起を呼びかけた。都留文科大学生協労組、とめよう戦争への道!百万人署名運動山梨県連絡会も力強く決意を表明した。
 全学連の織田陽介委員長は「韓国に行き動労千葉がつくりあげてきた国際連帯が世界を動かそうとしていると実感した。労働者階級は一つ。労働者階級には世界を変えて革命をやる力がある。この腐りきった世の中をひっくり返していこう」と呼びかけた。
 母の会の大森ふじえさんが「私たちの入会地を無断使用した演習を許すことはできません」とカンパの訴えを行った。同じく母の会の天野正子さんが「梨ケ原は私たちの入会地です。命の山である入会地を朝鮮への戦争に使うことは許せません。演習場撤去まで闘います」と決意表明した。最後に内閣総理大臣と防衛庁長官に当てた申入書を読み上げ、参加者の拍手で確認した。
 雨を突いて力強くデモに出発した。演習場正門で天野豊徳さんが申入書を読み上げ、自衛隊演習場管理室長に手渡した。

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週刊『前進』(2274号6面3)(2006/12/11)

日誌'06 11月21日〜28日

 米核艦通過「緊急時認める」

 イラクで過去最大級の死者

●宜野湾市長選、伊波市長出馬へ 来年4月に1期目の任期満了を迎える宜野湾市の伊波市長は、「市政の課題は山積している。継続して取り組みたい」と述べ、2期目に向け出馬する意向を示した。(21日)
●安倍「国旗国歌の尊重は重要」 安倍首相は参院教育基本法特別委員会で、教育現場での「日の丸・君が代」への対応について「学校のセレモニーを通じて敬意、尊重の気持ちを育てることはきわめて重要。政治的闘争の一環として掲揚や斉唱が行われないとすれば問題だ」との見解を示した。(22日)
●日本版NSCへ初会合 政府の「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」の初会合が首相官邸で開かれた。安倍首相が政権公約に掲げた日本版NSC(国家安全保障会議)構想の具体化に向けて検討に入った。(22日)
●国会審議が再開 教育基本法改悪案の衆院採決をめぐり審議がストップしていた臨時国会は、参院教育基本法特別委員会での同改悪案の趣旨説明と質疑に野党4党が出席し、与野党そろっての審議が再開した。(22日)
●「核語らせずの4原則認めぬ」 自民党の中川昭一政調会長は、核保有議論についての自らへの批判に対し、「最近は非核三原則に加えて『語らせず』という四原則がある。私はそれは認めない。議論してはいけないという人は、さらに『非核五原則』、『考えてはいけない』と言い出すのではないか」と反論した。(23日)
●イラクで同時爆発、死者200人超 バグダッドのサドルシティーで強力な爆弾を積んだ車6台がほぼ同時に爆発。警察当局によると200人以上が死亡したとしている。03年のイラク戦争開戦以来、最大規模の被害となる。サドルシティーはバグダッドの北部で、シーア派サドル師派の勢力下にある。(23日)
●米核艦船の領海通過「緊急時やむを得ぬ」 久間防衛庁長官は衆院安全保障委員会で、政府が非核三原則で禁じている核を搭載した米軍艦船の日本領海内の通過について「緊急事態の場合はやむを得ない」と答弁した。政府はこれまで領海内通過は核の国内持ち込みにあたるとして、米国との事前協議で拒否するという立場をとっている。(24日)
●やらせ質問、中間報告公表せず 「やらせ」質問が問題となっている政府主催のタウンミーティング(TM)について、政府のTM調査委員会は、中間報告にあたる調査概要の報告を受けた。だが調査委は「百パーセントの状況とは言えない」として公表を見送った。参院教育基本法特別委員会でも政府が公表を拒んだ。(24日)
●在日米軍、MD型5隻に強化 在日米軍が横須賀基地(神奈川県)を拠点とするイージス艦9隻のうち4隻について、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載するミサイル防衛(MD)対応型に改修する計画であることが分かった。再配備後は、在日米軍のSM3搭載イージス艦は5隻態勢となる。これとは別に首都圏のMDを強化するため、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を横須賀基地や横田基地(東京都)に配備するように防衛庁が米側に要請したことも明らかになった。(26日)
●TM動員、8回中6回 03年から今年にかけて開かれた8回の教育改革タウンミーティングのうち、6回で文部科学省や内閣府が地元の自治体や教育委員会に参加者の取りまとめを依頼していたという調査結果が参院教育基本法特別委員会の理事会で報告された。「やらせ質問」と同様に「動員」も複数回にわたって続いていたことが明らかになった。(27日)

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週刊『前進』(2274号7面1)(2006/12/11)

 11・5集会の地平とその主体的総括

 党の革命的自己変革かちとり新指導路線での実践的一致へ

 革共同中央労働者組織委員会

 はじめに

 動労千葉、関西生コン支部、港合同が呼びかけた11・5労働者集会は、帝国主義・資本主義が全世界に繰り出す戦争と民営化・労組破壊、極限的抑圧・搾取の攻撃に対する労働者階級の総反撃の火柱を打ち立てた。
 「諸君(労働者)が人間であり、自分たちの利益と全人類の利益とが同一であることを承知している、人類という大きくて普遍的な家族の一員である」(エンゲルス『イギリスの労働者階級の状態』)。労働者一人の苦闘と希望が、団結の苦闘と希望に高まった時、労働者はすでに社会の主人公として登場しているのだ。労働者が、工場、職場生産点を拠点に、国境を越え、あらゆる反動・弾圧・分断をのりこえ立ち上がったその時に、革命への力強い一歩が踏み出されるのだ。そして「国境の廃止」が宣言され、「労働者はひとつ」であることが高らかにうたわれた時、労働者の闘いと団結は世界革命の炎となって階級の大地に燃え広がる。11・5労働者集会の感動と高揚は、職場生産点から全世界に広がる労働者自己解放への、こうした圧倒的な確信によってもたらされた。
 11・5集会は、動労千葉、関西生コン支部、港合同の3組合の血と汗のにじむ闘いを体現し、韓国の民主労総ソウル本部やアメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)、AMFA(航空整備士労組)との労働者国際連帯の血盟を強め、その感動のただ中で青年労働者、学生の闘いを鮮明に屹立(きつりつ)させた。
 革共同は11・5集会に心の底から感動するとともに、労働者の自己解放的決起の無限の可能性とその生きた姿から徹底的に学ばなければならない。11・5集会の総括をとおして「党の革命」をさらに徹底的に推進し、労働者党として根底からの自己変革に邁進(まいしん)することを決意する。

 日米韓国際連帯のもと世界革命の現実性示す

 11・5労働者集会は、帝国主義・資本主義の底知れぬ危機がもたらすかつてない革命的激動情勢のもとでかちとられた。唯一の超大国であり帝国主義世界体制の基軸国であるアメリカ帝国主義がついに崩壊を開始し、世界史は世界戦争か世界革命かの選択をかけた史上何度目かの巨大な階級決戦期を迎えている。
 アメリカ経済はあらゆる意味で没落の度を深めている。アメリカ中間選挙でのブッシュ=共和党の敗北は、米帝のイラク侵略戦争の絶望的な泥沼化と、アフガニスタン、パレスチナで米帝支配が崩壊しつつあることによってもたらされた。だがより決定的なことは、米帝の国内階級支配がドラスチックに崩壊し始め、アメリカの労働者階級が数百万人規模の根底的な決起を開始したことにある。
 11・5集会は、アメリカで最も戦闘的に闘う労働組合、ILWU、AMFAとの国際連帯を打ち固めた。まさにここに、世界史的な革命的激動の主体が登場したのだ。
 米帝は、イラン侵略戦争をもうかがいながら、核実験を口実に北朝鮮侵略戦争への突進を試みている。
 韓国・民主労総ソウル本部は、帝国主義の朝鮮侵略戦争に激しい危機感と怒りを募らせつつ、侵略戦争のすさまじい重圧の中で11・5集会の国際連帯に革命的展望を見いだし、「国境を廃止しよう」とプロレタリア世界革命に向けた根源的な訴えを発した。
 日帝は帝国主義間争闘戦の激化にあえいでいる。日帝・安倍政権は激しい危機の中にあり、その本質はきわめて脆弱(ぜいじゃく)だ。だが安倍が改憲突撃内閣として登場したことにより階級情勢は一変した。安倍は、集団的自衛権行使の攻撃を振りかざし、硝煙を実際にまき散らしながら改憲に突進しようとしているのだ。
 安倍政権は、自治労と日教組を破壊するとあからさまに叫び立てている。安倍は、サッチャーや30年代ドイツのヒトラーにならい、労働組合の解体をとおして戦争体制を構築しようと策している。教育基本法の改悪や共謀罪新設を狙う執拗(しつよう)な攻撃は、まさに4大産別を始めとする労働組合を解体し、戦争と改憲への突進を図ろうとするものだ。
 これに対して動労千葉などの3労組は、教育基本法改悪阻止・共謀罪阻止の国会決戦と固く結合し、安倍の日教組絶滅攻撃と対決することを11・5集会で宣言した。4大産別決戦を先頭に、闘うすべての労働者、すべての労働組合の階級的団結を強化・拡大するために、新潮流をさらに力強く登場させた。そして日米韓の最も戦闘的な労働組合の国際連帯を発展させ、末期的危機にあえぐ帝国主義世界体制と真っ向から対決して「全世界を獲得する」路線を高々と掲げた。11・5集会は、その感動と高揚のただ中で、帝国主義の危機をプロレタリア世界革命に転じる不抜の拠点を築き上げたのだ。

 職場闘争を闘いぬいて強大な労働者党建設を

 11・5は素晴らしい感動と躍動、4900人の密集力を生み出した。この集会を実現した3組合に革共同は深く感謝するとともに、階級とともに闘い生死すべき党として、自らの主体的総括を深めなければならない。この集会の圧倒的な勝利性、戦闘性、階級性の高さゆえに、党として「これで満足してよいのか」と自らに問い、「1万人結集を実現できなかった悔しさ」を自身に突きつけなければならない。
 プロレタリア解放に向けて胸躍らせて決起していく烈々とした精神、現状の実践的で根底的な変革を求めるマルクス主義の基本思想を体得し、プロレタリア革命をなんとしても切り開こうとするならば、革共同には、党としてどうしても鋭角的な主体的総括が求められるのである。
 3組合は、「3組合のような闘いを日本労働運動に無数につくり出し、11月集会に1万人を結集しよう」と訴えた。これを革共同は断固として支持し、11月集会への1万人結集をプロレタリア革命を目指す階級的労働運動を発展させる闘いとして位置づけた。
 北朝鮮侵略戦争が切迫し、極右・安倍政権が登場する中で、戦争か革命かが白熱的に問われている。だからこそ1万人結集の方針は、この情勢に真っ向から立ち向かうために一層死活的なものになっていた。北朝鮮侵略戦争から世界戦争に突き進む帝国主義と対決し、国際連帯を掲げて労働者階級の革命的団結を打ち固め、その総決起を実現する必須不可欠の路線として、1万人決起の方針はあった。
 労働者1万人の結集は、情勢を主客にわたり根底的に塗り替える力を持っている。労働者階級の闘いは、その量的拡大が質的変化に転じることにより、戦時下階級闘争に襲いかかるどんな大反動をもはねのける力を獲得する。またその質的強化によって、量的発展を累乗的に促進させることができるのである。
 問題は、労働者1万人結集の絶対性と勝利性に、党が本当に確信と展望を持って決起したのかどうかなのだ。このような労働者1万人結集方針の路線的・戦略的意義を確認しつつも、実はそれを不退転に実践することにおいて、全党にまだ不一致の余地を大きく残していたのである。
 11・5の現状に満足することは、迫り来る大反動の嵐に吹き飛ばされることを意味する。ここで確信すべきは、1万人結集は可能であったし、その条件は圧倒的に存在していたということである。階級情勢への革命的認識と労働者階級の現実に対する把握がまだ決定的に不十分だったのだ。
 賃下げ、失業、非正規雇用化、貧困と生活破壊が激化し、労働強化による過労死や自殺が急増する一方で、資本は史上空前の利益を上げ、膨大な減税を享受し、労働者を好き放題に搾取している。6千万労働者階級に渦巻くこれに対する激しい怒り、特に青年労働者が置かれている耐え難い現実。急迫する改憲攻撃が、教基法改悪とともに現実の戦争攻撃として襲いかかっていることへの戦慄(せんりつ)と怒り。これらに肉薄し、結びつき組織化する意欲と能力が、まだ党全体にみなぎっていない。それは大きくは改憲決戦下あるいは戦時下の階級闘争へと、全活動が主体的・革命的に転換されていないということでもある。
 国際連帯のもとにかちとられた11・5集会と11・11〜12の訪韓闘争は、民主労総ソウル本部と動労千葉の不抜の連帯を飛躍的に強化する、実に歴史的な意義を有していた。
 朝鮮侵略戦争の切迫情勢下で、韓国プロレタリアートとの国際連帯を強化することの中にプロレタリア世界革命の現実性があること、またそうすることでプロレタリア日本革命が絶対に可能であることを、震えるような感動をもって確信できたのである。しかもそのプロセスは、民主労総ソウル本部と動労千葉との連帯の強化として、具体的・現実的に進行しているのだ。
 民主労総ソウル本部は、戦争切迫下でゼネストに総決起しようとしている中で、不可避に発生する労働運動の分岐・流動情勢に直面し、動労千葉の闘いに展望を見いだして、動労千葉との路線的一体化と同志的きずなを真剣に求めている。また、動労千葉をとおして三里塚闘争を知り、40年間不屈に闘う三里塚農民に全力で学び、三里塚闘争と労農連帯をかけてストライキを闘った動労千葉にさらに引きつけられている。動労千葉に必死に誠実に学ぶこうしたソウル本部の欲求と熱望から、われわれは党がいかに変革されるべきかを学び、これにこたえなくてはならないのだ。
 そこには、朝鮮侵略戦争の切迫に対する生死をかけた激しい危機感がある。動労千葉との連帯強化による戦闘的労働運動の発展によってこの情勢を打開し、展望と勝利を獲得しようとしているのだ。党は、この階級的危機感に学び、心底から共有し、帝国主義打倒のプロレタリア革命をかちとるために総決起しなければならない。
 このような動労千葉とソウル本部との血盟的連帯と団結から、党自身の自己飛躍と自己変革の必要性が痛切に自覚されなければならない。ソウル本部のゼネストへの壮絶な決起にこたえるためにも、1万人結集は絶対に必要だったのだ。その断絶を絶対に突破することが迫られている。
 労働者階級を1万人規模で獲得・組織化できるような党への変革=自己変革に挑戦することから一歩も逃げてはならない。「党の革命」が突きつけたのは、全党がこれまでのあり方を変革することである。そこに新指導路線の革命的核心があるのだ。全党が真に新指導路線のもとで一致し団結することこそが、どんな困難も超え、これまでを数倍、数十倍する党の力を引き出すことを可能にするし、それが1万人結集への血路を切り開くのである。

 3労組の訴えにこたえ再挑戦に打って出よう

 今こそ全党の革命的一致をかちとり、3組合が熱烈に訴える1万人結集にこたえる再挑戦を不退転の決意で開始しなければならない。
 第一に、1万人結集を可能にするために党が決定的に打開すべき課題は、労働者階級と徹底的に結びつき、獲得し、団結を組織化する路線的確信と時代認識、それを展開する「党派性」を研ぎ澄まし、そうした労働組合運動を実践的に推進する能力を形成することである。それは実は、マルクス主義による武装そのものであり、その実践にほかならない。
 「プロレタリアはおよそ人間の考えうるもっとも言語道断な、もっとも非人間的な状態におかれている」「彼らは支配階級にたいする怒りを感じているあいだだけは人間なのである」(『イギリスの労働者階級の状態』)
 今や6千万プロレタリアートが「工場法以前」の19世紀的な世界に丸ごと放り出されようとしている。この現実とそれに対する労働者の怒りに肉薄し、労働組合を媒介に階級を獲得する能力を形成することは、党に絶対に求められる階級的責務である。
 この点で重要なのは動労千葉の闘いだ。動労千葉は、反合・運転保安闘争路線を確立し、そのもとで闘いを前進させ、鮮明な時代認識によって労働者を組織し、団結を打ち固めている。ソウル本部が動労千葉に求めて学ぼうとした最深の核心こそ、結局はマルクス主義であり、その路線なのである。
 第二に、こうした階級獲得能力は、職場闘争の実践と労働者細胞建設によって培われ鍛えられる。そして、職場闘争と職場細胞建設を基礎として、職場支配権と労働組合権力をどんどん獲得した時に、1万人どころかそれをはるかに超える結集は可能となる。
 だが、これらの闘いはこれからである。11・5集会を職場闘争や労働組合獲得の闘いの総和・集約と見るならば、その結果にとうてい満足することはできない。確かに、今日の激しい労組解体攻撃や連合・全労連などの既成指導部のおぞましいまでの裏切りと無力化の中で、まともに職場闘争を推進し、ましてや労組権力を獲得することは、きわめて困難である。そこでは激しい党派闘争は避けられない。あらゆる反動勢力が、労働者階級への絶望と敵視から、労働者の決起に対する妨害の一点で密集してくるからだ。だが、労働組合の現実は、草も生えない荒れきった大地のようなものではない。党はまだ、職場生産点に全力を投入していない。不屈に粘り強く現場に張り付いているわけではない。4大産別を軸に、まだ掘り起こされず、放置されている空間は膨大に存在する。
 ここでも、動労千葉、特に中野洋前委員長の『俺たちは鉄路に生きる2』を徹底して実践的に学ぶことだ。『俺たちは鉄路に生きる2』は、単なる職場闘争論ではなく、職場の団結をいかに形成するかを実践的に提起することをとおして、組織建設−労働者獲得の細胞建設の道筋をも示している。
 特に、11・5集会に向けて全力で開始された宣伝・扇動戦の変革を圧倒的に推し進めなければならない。全党は今こそ決然として、こうした階級的労働運動の実践に総決起しなければならない。
 第三に、帝国主義国のプロレタリアートの決定的な闘いとして、4大産別決戦をさらに全面的に発展させることである。そのためには、4大産別における路線の強化・発展をかちとる闘いが、産別委員会の強化とその路線的一致を実現する闘いとともに画然と求められている。
 教基法決戦を貫き、日教組再生を掲げて教育労働者の総決起を実現し、教育労働者細胞を強大に建設する闘いを今こそ、より徹底的・目的意識的に推進しなければならない。また、4大産別の土台をなす国鉄決戦を動労千葉労働運動を先端とする「第2次国鉄決戦」として闘いぬき、1047名闘争を不屈に推進し、5・27臨大闘争弾圧を粉砕する闘いの陣形をさらに強化しなければならない。12月は、教基法・国会決戦であるとともに国鉄決戦である。全逓決戦は、郵政民営化攻撃が現場で総崩れ・総破産状態に陥っている現実を突き、超勤拒否闘争を突破口に今こそ郵政民営化絶対阻止を掲げて総反撃に打って出る好機を迎えている。自治体労働者は、公務員制度改革・道州制導入による国家改造攻撃、自治労解体攻撃と対決する大決戦に勝ちぬかなければならない。
 4大産別決戦は、教基法改悪攻撃を突破口に改憲決戦がいよいよ本番中の本番を迎える中で闘われる。それは、労働者の戦争動員拒否の闘いが、4大産別を先頭に本格化するということである。またそれは米軍再編攻撃と立ち向かう安保・沖縄闘争と完全に一体をなす闘いだ。特にこれらの闘いは、労働組合を中心とした統一戦線の強化・発展が課題になっている。
 第四に、一切の実践的結論は、青年労働者と学生を獲得する闘いを前進させることにある。青年労働者の現実には、帝国主義・資本主義による人間破壊のすさまじさ、悲惨さが凝縮されている。「ブルジョアジーにたいする憎悪と憤激とをもってしなければ、労働者は自分たちの人間性を救い出すことができない」。『イギリスの労働者階級の状態』に描かれたこうした状況は、まさに現代の青年労働者の現実である。今、その根源的な怒りを解き放ち、なんのけれんみもなく革命を訴えなければ、青年労働者の心をとらえることはできない。それほど現在の青年労働者は、すさまじい抑圧的・隷属的状態に置かれている。こうした階級社会、帝国主義社会の現実に対する認識の徹底的な深化が求められている。
 青年労働者の決起を実現することなしに革命を語ることができるだろうか。プロレタリア自己解放の闘いと労働者の団結は一歩でも前進するだろうか。労働組合運動の革命的発展は可能だろうか。青年労働者の獲得こそが、労働者を普遍的に獲得することであり、階級的労働運動を推進することであり、プロレタリア革命の現実性を一挙に引き寄せる闘いなのである。それはまさに、11・5の総括で問われた、1万人結集の条件そのものである。党の根底的自己変革とは、指導部を先頭に青年労働者を獲得する闘いに実践的に突入するということだ。
 第五に、以上を踏まえて、1万人結集を可能とする「党の革命」、すなわち新指導路線の前進をかちとるために、労働者細胞建設を独自の課題として設定し、目的意識的に推進しなければならない。
 その一つは、地区党や産別の細胞における徹底した路線的一致の闘いである。二つに、マルクス主義の学習である。三つに、機関紙を徹底的に活用し拡大していく闘いである。これらの闘いは、きわめて粘り強く徹底的、不退転に貫かれなければならない。
 11・5集会総括の結語として、第一にマルクス主義青年労働者同盟の強化・発展を、今こそ日本革命の未来をかけてかちとろう。第二に、かけがえのない3組合共闘を強化・発展させるため、3労組に学び連帯して07年決戦を切り開こう。第三に、韓米日3カ国連帯の革命的発展にあらゆる必要な精力を注ぎ込み、21世紀世界革命へ驀進(ばくしん)しよう。

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週刊『前進』(2274号7面2)(2006/12/11)

 法政大弾圧

 「建造物侵入」をデッチあげ

 大学当局と警察が完全に結託

 マルクス主義学生同盟中核派法大支部は、11月29日に法大で起きた学生3人に対するデッチあげ逮捕を絶対に許さない。警視庁公安部は、今すぐ学生3人を釈放せよ!
 不当逮捕された学生3人は、法大生5人に対する退学・停学処分を撤回させるために闘っている学生だ。法大キャンパスに入って処分撤回を訴えるのは当然だ。何が「建造物侵入」だ。
 事実はこうだ。不当逮捕された学生が法大キャンパスに入構した時、警備員と称して学内に潜入している公安警察が、いきなり自分からビデオカメラを放り出してひっくり返ったのだ。身体接触どころか、暴行したとされる学生との間は10〜15bも離れていた。だが、公安警察が自分で転んだことを合図に、法大当局は直ちに警察に通報し、100人を超える警官が法大キャンパスに突入した。1時限目の講義のまっただ中、警察は各教室を土足で踏みにじり学生3人を暴力的に連行した。まさに、3・14法大弾圧と同じように、警察と法大当局があらかじめ準備した大弾圧だ。
 数時間後、法大当局は「法政大学市ケ谷キャンパスにおける学外者の侵入及び暴力行為について」なる告示を早々と打ち出した。それには「学外者3名が市ケ谷キャンパス内に侵入し、そのうちの1名が警備員に対し暴力行為を行い、けがを負わせ逃亡するという事件が発生」「警察の出動を要請」などと書かれている。
 ところが「けがを負」ったはずの警備員は、学内に突入してきた警察を校舎に引き入れるなどの指揮をしていたのだ。実際、不当逮捕から1日たっても、警察権力は「容疑に傷害をつけるかどうか検討中」と言っている。暴力行為のデッチあげストーリーが予定とあまりにも違うので、動揺しているのだ。そもそも、暴力行為を行ってきたのは、退学・停学処分を受けた法大生に対して暴行してきた警備員の方ではないか。
 こんな弾圧は初めから大破産している。日を追うごとにデッチあげ弾圧の真相が明らかとなり、法大生の怒りは沸騰している。「絶対に許せない」「自分は弾圧に負けない」という決意が語られ、救援カンパも次々と集まっている。

 さらなる処分策動する当局

 今回の弾圧は、3・14法大弾圧を粉砕して法大生の大衆決起が爆発してきたことに追いつめられた警察権力と法大当局による絶望的なあがきだ。同時に、教育労働者を先頭にした教育基本法改悪阻止の大衆決起の広がりに恐怖し、何がなんでも教育基本法改悪と共謀罪新設の強行成立を狙う日帝・安倍政権による絶望的な弾圧だ。
 教育基本法改悪の核心的狙いは日教組解体である。同時に大学においては、教職員組合の解体や教授会自治の解体、自治会・自治寮・サークル団体の破壊をとおした学生の団結破壊として襲いかかっている。法大では、総長選挙廃止によって教職員が大学運営に参加する道を封殺し、教職員組合を解体し、教員任期制と全大学教員の研修義務化を導入しようとしている。そしてマルクス主義や戦争反対の教授を大学から一掃し、高崎経済大学の八木秀次のような極右ファシスト教授で大学を支配し、「国のために死ぬ学生」を膨大に生み出す大学にしようとしているのだ。
 しかし法大当局は完全に追いつめられている。12月にも総長選挙の廃止を決定しようとしているが、教職員に大反対されている。
 法大当局は、停学処分となった2人の法学部生に対して、「停学期間中に学内に入った」という理由だけで退学処分の強行を狙っているが、11月30日に行われた2人に対する事情聴取は、逆に停学処分と11・29弾圧に対する追及の場へと転化した。法大当局が唯一依拠する警察暴力も、逆に平林独裁体制の命取りとなろうとしている。
 今こそ、平林独裁体制打倒に突き進もう。法大生の闘いや、総長選挙廃止反対で闘う教職員の闘いは、日帝の大学支配の破綻(はたん)点となっている。法大での闘いを解体せずに教育基本法改悪攻撃は貫徹しない。全国大学キャンパスで教育基本法改悪阻止の闘いを爆発させ、国会闘争に攻め上ろう。
 (マルクス主義学生同盟中核派・法政大学支部)

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週刊『前進』(2274号7面3)(2006/12/11)

 北原さん招き講演会

 三里塚と闘う学生が合流

 11月24日、自主法政祭で、三里塚芝山連合空港反対同盟事務局長の北原鉱治さんを囲んでの講演集会が成功した。(写真)
 DVD「大地の乱」が上映され、初めて見た学生たちは、その映像を衝撃をもって受け止めた。
 北原さんは開口一番、「法政大学で講演できてとてもうれしい。3・14弾圧を跳ね返して闘う学生の皆さんと連帯したい」とあいさつ。北原さんの言葉の端々からうかがえるのは、権力に対する怒りだ。「買収された農民は人間らしい生き方ができなかった。闘うことの中にしか、人間として生きる道はない」という北原さんの言葉が強く印象に残った。
 三里塚現闘から北延伸をめぐる攻防、現地の闘いの大前進などが報告された。参加した一学生は「日本に三里塚闘争のような闘う農民の歴史があることを初めて知って衝撃を受けた」と感想を述べた。北原さんは「未来は青年にかかっている。三里塚をどんどん持ち込んでほしい」と訴えた。
 学生こそ三里塚闘争の先頭で闘おう。
 (投稿/学生・堀内拓也)

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週刊『前進』(2274号8面1)(2006/12/11)

団結ひろば 投稿コーナー

 教基法改悪の攻撃に労働者は反撃する! 岡山 物理重久

 11月20日、岡山市の石山公園で「国鉄の分割・民営化に反対し、『国鉄闘争』と連帯する岡山県民会議」、国労岡山地本、岡山地区労で構成する11・20集会実行委員会の主催により「国鉄闘争勝利!教育基本法改悪反対!11・20集会」が行われ約80人が参加した。
 集会前日の19日に起きた津山線事故は、分割・民営化による安全無視・営利優先の結果だ!
 教育基本法改悪攻撃に対する岡山での反撃としては、この日で連続5日目だ。
 「国労をつぶせば、総評がつぶれる。総評がつぶれれば社会党・総評ブロックという護憲勢力がなくなる。そうすれば現在の憲法を改正して新たな憲法を制定できる」と、首謀者・中曽根康弘が自慢するように、国鉄分割・民営化とは「戦争をする国づくり」にむけ、教育基本法・憲法を改悪しようとする流れの大もとなのだ。
 集会後デモが行われ、JR岡山支社を労働者の隊列が取り囲み、「解雇撤回・原職復帰をかちとるぞ!」「国家的不当労働行為を許さないぞ!」とシュプレヒコールをあげた。
 集会に先立ち支社への申し入れが行われた。会社側は、尼崎事故後に申し入れをした時と同じく、敷地内に代表者だけの入場を許し(社屋には入れさせない!)、申し入れ書を受け取るという横暴な態度に終始した。
 「労働組合が弱体化したら、資本は労働者をここまで侮るようになるのだ!」と、あらめて怒りがわいてきた。

 宇都宮でタウンミーティングに抗議行動 栃木 岩木正美

 教育基本法改悪攻撃が戦争への道そのものだと栃木の地でも多くの人々が感じ取っています。
 11月8日には、宇都宮市でタウンミーティング(TM)が開催されました。仙台、津、名古屋とともに、「地方公聴会」とは名ばかりのTMをもって教育基本法の改悪を強行採決するための布石でありました。時あたかも、やらせ問題が浮上してきているさなか、百万人署名運動を先頭に抗議行動が展開されました。
 危機感を抱いた教育労働者と国鉄労働者も駆けつけてくださいました。県内では、公聴会に反対する共同声明も急きょまとまり、記者会見も行われ、多くの方々とともに反撃を開始しました。
 また、11月労働者集会に向かう過程では、宇都宮駐屯地に編成されようとしている「中央即応連隊」(仮称)に反対する申し入れ行動が、百万人署名運動をはじめとする三つの市民団体の連名で行われました。
 中央即応連隊は、テロ・ゲリラに国際協力で対処するために新設されると、防衛庁は説明していますが、これが欺瞞(ぎまん)に満ちたものであり、真の狙いが石油権益への野望にあることは明らかです。イラク戦争の不正義性は、米中間選挙での共和党の敗北によってより鮮明になっています。
 教育改革・タウンミーティングと日米安保強化という二つの攻撃が同時になされてきていることは、今日の攻撃の本質だと思います。すべてが戦争につながっているということです。こうした攻撃を絶対に許さないために労働者が団結して闘わなければならないし、労働者の団結こそが敵の攻撃を粉砕できます。

 11月集会−2年続けてのカンパ隊で思う 静岡・福祉労働者 浅井広子

 11・5労働者集会にてカンパ隊を2年連続行いました。昨年より目標を大きく設定されましたが、やや下回りました。昨年より人が増えているのに、格差社会の影響か、苦闘している労働者は、サイフのひもがややきつくなっている状況のようです。
 2年続けてということで、私なりに皆さんに訴えたいことがあります。世界戦争か革命かの超歴史的な時代にあって、カンパも勝利を導く一体の闘いの時、「もう出した!」とかいう、逃げの姿勢は絶対やめていただきたいです。
 お札が出せなくても、小銭でもよいから、自分の良心に応じて出しましょう。来年こそ一人ひとりの力で目標額を達成しましょう。
 次に、カンパ隊が負い目を感じず、もっとやる気を出せるように、皆さんカンパ隊に自ら近づいてきていただき、笑顔で出して下さい。全体の勝利へと導く、ふれ合いや、やる気がどんどん生まれ、カンパ隊の任務感がなくなると思います。
 打ち合わせや集計で、集会にはほとんど集中できず悔しくなりますが、それは、参加したくてもできなかった人と同じと割り切ります。
 そして、一人ひとりが職場や地域、あらゆる所で苦闘し血と汗の結晶であるカンパを数える時、闘いの喜びと、地道な役割を少しでも支えることができた充実感があふれ出しました。

 「三里塚 大地の乱」のビデオを見て感動 広島 高田二郎

 話には聞いていたが、このビデオをみて本当にショックを受けた。教育労働者として、自分なりにたたかってきたつもりだったが、この三里塚の地に一度も足を運んでいないとは一体どういうことか。
 私は今日も畑にいく。大根、白菜に朝のあいさつをする。今年は雨が降らず、畑の野菜は苦しんだ。草を刈り、干し、大地に鋤(す)き込む。大地の多様な生のエネルギーの音が聞こえる。私の生の土台である。
 その大地を奪い、破壊しようとする輩(やから)がいる。成田・三里塚空港建設だ。しかも戦時になれば「軍事空港化」するのだ。40年間も続く大地の取り上げに対して、三里塚の農民は「渡してはなるか」と闘い続けている。
 沖縄・辺野古の闘いもしかりだ。「この土地こそはわしらが命、祖先譲りの宝物。われらはもはやだまされぬ、老いた硬き手の平の野良の仕事のキズの跡、一坪たりとも渡すまい」「黒い殺人機が今日も、ベトナムの友を撃ちにいく。世界を結ぶこの空を再びいくさでけがすまい」と闘うオキナワの声が、今私の腹の底に響いてくる。
 教育労働者は、未来の主権者を育てる学校・教室を国家権力に奪われてなるものかと叫ばなければならない。教育基本法改悪阻止と三里塚が一直線に固く結びつく。
 私は行動する。農民・労働者の団結で「一坪たりとも渡すまい」。来年の3月、初めて参加する三里塚が楽しみだ。

 ホームヘルプ制度が自立支援法で有料に 兵庫 吉村隆生

 障害者自立支援法の制定に先立つこと2年、私たち「精神障害者」に対するホームヘルプ制度が始まった。これは、日常生活の維持に困難な「精神障害者」に家事援助を行うという制度だ。
 こういう制度ができることを政府も行政も一切宣伝しなかったから、情報を持っていたのは「精神障害者」運動をしているか家族会に入っている人という程度できわめて限られていた。
 友人で条件に合わなかったのは、「家族と同居」の人は対象外という規定だった。家族と同居の「精神障害者」でも介助が必要なことには変わりないが、家族による介助が行われて当然という考え方から来ている。この考え方が「精神障害者」を家族制度の下に縛り付けている大きな要素なのだが。
 ともかく、私には介助が行われるようになった。週に2回、1回2時間だ。3日か4日分のたまった食器・なべ類を洗ってもらい、食事の下ごしらえをしてもらう。ジャガイモの皮をむいたり、キャベツを千切りに刻んでもらったり。ところがこれがAさんのは「三百切り」くらいに大きいので、もっと細かくと注文をつけたりもした。
 介助者は時間給のパートタイマーか、パートではないが非正規雇用の女性がほとんどだ。いつも細かく切ってくれるBさんにも事業所からその注意が行くことになる。Bさんが、これ以上細かく切れないと泣きそうになっていたのであわてて、「あなたのことではない」と言った。こういうことがあるから固定した人にして欲しいのに次々に入れ代わっている。
 自立支援法で、これが有料になった。上限にまで達しないが、自立支援医療の方もあり、軽い負担ではない。生きかつ闘うという両面が一つの問題にもなっている。

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週刊『前進』(2274号8面2)(2006/12/11)

 無実で獄中32年 星野文昭さんに自由を!

 全国集会 “必ず取り戻す”と誓う

 渋谷・東京山手教会に430人

(写真 描かれた文昭さんの顔を背に講演する知花昌一さん【11月25日 東京山手教会】)

 11月25日、東京・渋谷で「星野文昭さんを取り戻そう 35年目の渋谷で問う、沖縄−星野11・25全国集会」が開かれ、全国から430人が参加した。首都圏にある七つの星野救援会が実行委員会をつくって7月から準備を重ねてきたもの。友人面会の実現で獄中の星野さんの存在と闘いがぐっと身近になる中、あらためて“1日も早く星野さんを取り戻そう”と誓い合った。星野文昭同志の再審−無罪、釈放を実現しよう。星野同志を労働者階級の力で取り戻そう。
 会場の東京山手教会では、星野文昭同志と弟の修三さんの絵画展も開かれ、参加者は開会前から熱心に見入っていた。07年星野カレンダーのほか、版画、藍染、CDやバッジなどを販売するコーナーが設けられ、「奥深山農園」で収穫された農産物も並べられた。
 「ヨッシーとジュゴンの家」のオープニング演奏から集会は始まった。司会は、「杉並星野文昭さんを救う会」の狩野裕子さんと「星野文昭さんを取り戻す会・京滋」の竹内宙さん。
 開会のあいさつを行った共同代表の松永優さんは、友人面会を果たした一人として「人は人に出会い認識を深めていくのだと実感した。交流が深まる中で救援運動も生身の手触りのある運動へと質的に転換することを期待している」と語った。
 沖縄の辺野古からの平良修さんのビデオメッセージでは、11月14日に夫妻で星野さんと面会し「とてもとても大切な友人を得たという確かな手ごたえを感じた」と報告、「文昭さんはすでにこの辺野古の闘いに加わっています。全国集会の大成功が文昭さんの救援の力となり、それが沖縄の平和構築のための大きな力となる」と語った。
 『1971年11月14日、その時渋谷は』のビデオ上映に続いて、群馬の青柳晃玄さんが星野さんとの面会報告を行い、「星野さんに年賀状を出そう」と訴えた。
 徳島から参加した加藤明夫さんと河野和代さんが、「歌と語り」で星野さんへの思いを伝えた。
 再審弁護団の鈴木達夫、和久田修、岩井信の3弁護士が報告に立った。長年の懸案であった「秘密交通権」が回復し、看守の立ち会い抜きの面会を実現したことが最初に報告された。その後、再審請求のポイントが分かりやすく解説され、近く第2補充書を最高裁に提出するという決意が語られた。
 今年、新たに結成された、なんぶ、三多摩、広島の星野救援会の代表があいさつし、カンパアピールを行った。カンパは26万円を超えた。
 後半は、星野修三さんのパフォーマンス『KAKOと今』から始まった。ギター演奏の中、大声が響き、振り向けばスポットライトの中を杖をつきながら舞台に向かって歩く修三さん。演じるのは兄弟の父、星野三郎さんだ。知花昌一さんが三線を弾いて登場した後、修三さんは「星野文昭」へと変わった。無期懲役の苦悩とそれからの解放が強烈に表現された。
 知花昌一さんの講演が、「1972年沖縄本土復帰の内実を問う――星野文昭さんは何のために闘ったか」と題して行われた。(要旨別掲)
 続いて、星野暁子さんと福地一義さんによる朗読劇『イノセント』が上演された。今年、星野文昭同志と暁子さんは結婚20年を迎えた。出会いから結婚、無期懲役、そして再審実現に向けたふたりの交流と闘いが描き出された。
 徳島刑務所の星野同志から届いた、「獄中32年を迎えて、再審無罪−釈放に向かって、新たな大きな一歩を踏み出す集会として、皆さんと共に、ぜひ成功させたいと思っています」というメッセージが読み上げられた。(次号に全文掲載)
 続いて星野暁子さん、長兄の星野治男さん、弟の星野修三さん、従兄の星野誉夫さんが壇上に並んであいさつした。治男さんは、お母さんが集会に出席できなかったことを報告、高齢のお母さんが待つ札幌に文昭さんが1日も早く帰れるようにしたいと訴えた。
 最後に北海道から駆けつけた共同代表の柴田作治郎さんが、「9月の面会では文昭さんは後ろを振り返りながら手を振って去ったが、全国の救援運動の力で本当に取り戻そう」と語り、参加者も決意を新たにした。
(写真 〔上〕文昭さんの絵の前で朗読する暁子さん〔下〕左から星野治男さん、暁子さん、修三さん、誉夫さん)

 知花さんの講演 星野奪還へ“ちむぐるさ”

 沖縄に“ちむぐるさ”という言葉があります。ちむというのは心、心が苦しい、ちむぐるさ。かわいそうとは違う。自分の心が苦しいんだということで、相手を思いやっている。
 きっと星野文昭さんは1971年11月14日、この渋谷で、沖縄の闘いに思いをはせて、構造的な差別の中に置かれている沖縄の解放をかちとるために精一杯頑張ったのだと思います。そして今なお獄中にいる。
 全国から注目された沖縄知事選は負けました。県民の世論は83%が辺野古の新基地反対です。しかし選挙ではその結果が出なかった。沖縄の失業率は7・9%、本土の2倍です。有効求人倍数は0・2、仕事をしようにも仕事がないという現実です。自公の候補はこれをうまく使った。
 でも基地反対を貫こうとする糸数慶子さんに30万人あまりが投票した。けっして沖縄は平和より金を選んだわけではありません。
 沖縄では27年間、米軍の軍事独裁支配が続きました。どんどん起きる米軍犯罪に対して沖縄側は手が下せない。沖縄の怒りは一触即発の状況でした。その中でアメリカはこのまま沖縄を支配できないと判断した。沖縄の米軍基地を維持するためだけに沖縄返還があった。
 日本になりたいと復帰運動をやった私たちが、基地も核もそのままの返還はいやだと71年5月と11月に2度のゼネストを打った。沖縄以外に日本の中でゼネストを打ってまで自分たちの思いを実現しようとした所がどこにあるでしょうか。
 そういう沖縄の思いをちむぐるさの中で感じていた本土の労働者、学生が、血を流して逮捕をされ、闘ってきたわけです。その頂点が渋谷闘争だと私は思っています。
 今も星野さんは囚われている。獄中にいるのが“かわいそう”ではなく、ちむぐるさの思いを強く持って、彼を表に出しきれない闘いの弱さを自分たちに問い、沖縄万人(ウマンチュ)の力で星野さんを取り戻す会をつくりました。ともに返還協定と闘った一人として、仁義として僕は一日も早く星野さんを出す、そういう運動をしなければいけないと思っています。
 文昭さんはメッセージに「星野無期を許さないことと、沖縄への基地集中を許さず戦争の道を許さないことは一つです」と書いている。私たちは1日も早く文昭さんを取り戻すために精一杯闘っていきます。
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 集会参加訴え渋谷で街宣 25日

 25日、全国集会に先立って渋谷駅ハチ公前で集会参加を訴える街頭宣伝が行われた。黄色ののぼりや「星野さんに自由を」のプラカード、横断幕が駅頭を埋め、路上ライブも行われて、圧倒的注目を集めた。その結果、署名が30筆集まり、ビラを受け取った1人の青年が集会に参加した。
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 獄中の星野さんに年賀状を
☆送り先 徳島市入田町大久200―1 星野文昭様
(星野さんからの発信は制限されています)

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週刊『前進』(2274号8面3)(2006/12/11)

 朝鮮総連への捜索弾劾

 北朝鮮侵略戦争の発動狙う

 警視庁公安部は11月27日、「薬事法違反」を口実に数百人もの警察部隊を動員し、文京区の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)東京都本部と渋谷・世田谷支部、新潟出張所などを強制捜索した。同時に都内在住の在日朝鮮人女性宅を捜索した。
 続く29日には、神奈川県警外事課が、川崎市の人材派遣会社など4カ所を派遣法違反容疑なるもので強制捜索した。
 米日帝国主義の北朝鮮侵略戦争が切迫している情勢の中での、日帝権力による朝鮮総連へのこの排外主義的な大弾圧を徹底的に弾劾する。
 そもそも27日の不当捜索の容疑とされた「薬事法違反」とは、この75歳の女性が今年5月、「万景峰92号」で北朝鮮を訪問する際に持参しようとした常備薬にすぎない。それを、総合アミノ酸製剤は「被曝による放射線障害で、消化管から体液流出などの症状が起きた際に用いられる」(朝日新聞)ものだ、などと強弁しているのだ。
 また29日の不当捜索に対しては、派遣会社社長が顧問をしている「在日本朝鮮人科学技術協会」(科協)は「ロケットエンジン開発の権威」であり「科協に北工作機関指示/日本の先端技術提供か」(読売新聞)とか、「物資持ち出しは外為法などの強化で対応できるが、科学者の頭の中の知識は人の往来を止めない限り流出する」(産経新聞)などと、マスコミを挙げた排外主義扇動で、政治的フレームアップに躍起となっている。
 「派遣法違反」と言うなら、まず真っ先にトヨタやキヤノンを摘発すべきではないのか!
 第一に、今回の朝鮮総連に対する捜索は、米日帝の北朝鮮侵略戦争突入に向けての朝鮮総連の解体を狙った排外主義的弾圧であり、すでに発動されている北朝鮮への経済制裁のエスカレートそのものである。また6者協議で日帝が独自性を主張し、ヘゲモニーを握ろうとする攻撃の一環でもある。
 第二に、教育基本法改悪案と共謀罪の成立を狙う日帝・安倍が、そのためのテコとして拉致・ミサイル問題を始め、北朝鮮への排外主義の扇動を徹底的に使おうとしていることだ。一切が安倍政権の戦争遂行政策として進められているのだ。
 国会前で闘いぬかれている教基法改悪反対のハンスト・座り込みの場に、11月8、9、10、12日、「STOP!『人権侵害』/在日朝鮮人に対する迫害はもうやめて」の大横断幕を広げた数百人の在日朝鮮人青年たちが合流した。反北朝鮮キャンペーンの中で激発する朝鮮学校生徒への暴行や嫌がらせを「絶対に許さない」と立ち上がった青年たちだ。日帝・安倍は、こうした在日の政治的活性化を最も恐れているのである。
 朝鮮総連への戦時下の弾圧を粉砕し、労働者人民の国際連帯で、北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。排外主義を許さない日本の労働者階級の闘いで、日帝・安倍政権を打倒しよう。

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