ZENSHIN 2006/12/25(No2276 p06)

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第2276号の目次

参院議面に激しく迫る 参院特別委での採決強行に怒りが爆発。30人のガードマンと激突した(12月14日)関連記事2面

1面の画像
(1面)
「愛国心」強制と日教組壊滅ねらう暴挙 教基法改悪案の強行採決弾劾
階級的労働運動を発展させ安倍政権打倒へ進撃しよう
闘う革共同に熱烈なカンパを
記事を読む  
国会包む怒りのこぶし  12・15 “労働者の団結で安倍倒す”(12月15日) 記事を読む  
圧倒的な年末カンパを重ねて心から訴えます 記事を読む  
おしらせ 記事を読む  
(2面)
教基法改悪阻止闘争 日教組の再生をかけ連日の決起
採決弾劾!参院に突進
12・14議面前 労働者の怒り天をつく(12月14日)
記事を読む  
“闘う私たちが日教組だ”  12・8日比谷 本部・森越委員長を追及(12月8日) 記事を読む  
動労千葉 訪韓・訪米報告集 記事を読む  
12・10沖縄 高教組の旗が林立  県民集会に1500人(12月10日) 記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2006 11・24〜12・11
規制改革推進会議 団交権はく奪狙う答申へ
連合が春闘方針を決定/労働法制の改悪へ最終案
記事を読む  
(3面)
無罪獲得・国労再生へ
12・10 東京国労5・27臨大闘争弾圧 「許さない会」が全国集会
“新たな国鉄決戦に立つ”(12月10日)
記事を読む  
韓国 スト権奪い解雇も金銭解決
労働法改悪に怒り噴出(室田順子)(12月13日)
記事を読む  
佐藤芳夫さんの逝去を悼む
「生涯一労働者」貫いた人生  革共同関西地方委員会(11月25日)
記事を読む  
連合中央 6年連続ベア要求放棄
「賃金改善」懇願し大幅賃上げは否定(12月7日)
記事を読む  
(4面)
反軍闘争  北朝鮮への侵略戦争と対決を
労働者階級の壮大な決起の力で帝国主義軍隊解体・兵士獲得へ(革共同反軍闘争委員会)
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法政大 弾圧うち破り前進  連日、当局・ガードマン追及 記事を読む  
秋田農民坂本さんが講演  「農地・農業と公共事業を考える」集会
農民つぶしの農政  耕作権問題の深さ知る(投稿/大沼広)(12月10日)
記事を読む  
三里塚反対同盟  農業委追及に立つ  空港会社の不法を暴く(12月11日) 記事を読む  
2006年日誌 12月6日〜12日
空自のイラク派兵を延長へ  「イラク研究G」が撤退提言
記事を読む  
(5面)
崩壊的危機深まる米帝の中南米支配
メキシコ 南部で民衆蜂起“コミューン”
ベネズエ ラチャベス大統領、反米路線を強化(藤沢明彦)
記事を読む  
黒田の死とカクマルの衰滅
教基法改悪阻止に敵対し国会前で無様な姿さらす
黒田なき中枢矛盾が爆発へ  播野隆
記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
 11・5の発言者の思いに学び新たな一歩を 愛媛 藤本三郎
 カットモデルに行き労働者の状況に直面 学生 河北まりも
 保安処分病棟建設に反対しビラまき行動 兵庫 吉村隆生
 立川駐屯地に自衛隊撤兵要求し申し入れ 東京・三多摩 中原一朗
 空中給油機配備反対小牧基地に抗議行動 愛知 F
記事を読む  
社会保障解体に反撃を
保険証奪われ受診抑制で死者  医療・介護・税〜相次ぐ負担増
記事を読む  
法大弾圧 3学生の再勾留延長弾劾(12月15日) 記事を読む  
獄中の星野さんに年賀状を 記事を読む  

週刊『前進』(2276号1面1)(2006/12/25)

 「愛国心」強制と日教組壊滅ねらう暴挙 教基法改悪案の強行採決弾劾

 階級的労働運動を発展させ安倍政権打倒へ進撃しよう

 闘う革共同に熱烈なカンパを

 再び戦争へと動員する攻撃

参院議面に激しく迫る 参院特別委での採決強行に怒りが爆発。30人のガードマンと激突した(12月14日)関連記事2面

 この歴史的暴挙が許せるか! 国会前では結集した労働者人民の天を突く怒りが爆発した。
 日帝・安倍政権と自民党・公明党は、12月14日、ついに参院特別委員会で教育基本法改悪法案を強行採決した。さらに15日には参院本会議で、圧倒的な教基法改悪反対の声を踏みにじって採決を強行した。
 このとんでもない暴挙に教育労働者を先頭として国会前を埋めた労働者人民は、根底からの怒りを爆発させた。そして悔しさに震えつつ戦争・改憲と民営化(労組破壊)に突き進む安倍極右反動政権を絶対に打倒するとの決意を新たにした。
 日帝・安倍政権との徹底対決を貫けない民主党(野党)や、日教組本部を始めとする既成労働運動指導部の変質と屈服・裏切りを粉砕・打倒し、動労千葉、関西地区生コン支部、港合同の闘う3労組共闘に体現されている階級的労働運動の新潮流を強化・発展させて、日帝・安倍打倒に突き進むこと、これこそが、11―12月教基法決戦を闘いぬいての主体的で実践的な結論である。
 まさに、闘う3労組陣形とそれが呼びかける11・5労働者集会実行委員会は、12月14日、15日の最終攻防を始め、今回の教基法決戦の文字どおり先頭に立って闘った。これからの日本の労働運動・階級闘争の未来はここにこそあるのだ。
 教基法改悪の狙いは何か。日教組を壊滅し、教育を国家が全面支配し、愛国心教育=戦争教育を強制することにある。そして、教育労働者と子どもたちを再び戦争へと動員することにある。それは日帝が米帝と同盟関係・枢軸関係を強化し、朝鮮・中国―アジアに対して再び侵略戦争を行い、世界戦争へと突進していくことだ。
 かつての第2次世界大戦―アジア・太平洋戦争をも上回る、この戦争と破滅の道を労働者階級は絶対に許さない。階級的労働運動の発展こそ、日帝・安倍を打倒し戦争を阻止する力だ。米・日帝国主義の北朝鮮侵略戦争―世界戦争への攻撃を絶対に粉砕しよう。
 11―12月の教基法改悪阻止闘争は、かつてない高揚を実現した。日教組の現場組合員を先頭に全国から労働者、学生、人民が国会前に連日、数百から数千人が駆けつけ、リレーハンストと座り込みを闘った。11・5労働者集会の成功や日教組組合員などによる日比谷野音での大集会もかちとられた。また全国各地で教基法改悪反対集会が、数千人から1万人の規模で開かれた。教基法改悪反対は労働者階級人民の圧倒的な意思であり声であったのだ。
 そもそも日帝・小泉と安倍は、「タウンミーティング」なるもので教基法改悪賛成へと露骨な「やらせ」による世論誘導を行ってきた。その不正の実態も次々暴かれた。にもかかわらず当時の官房長官で直接の責任者である安倍は、給与の一部返上でごまかし、参院採決を強行した。
 だが安倍政権は、この間の支持率急落が示すように、きわめて危機にある。盟友ブッシュは中間選挙で大敗し、米帝はイラク侵略戦争の泥沼と世界支配の崩壊的危機にあえいでいる。それは日帝・安倍をも痛撃し、支配階級の分裂、政権の求心力の喪失、労働者階級人民の怒りの爆発で、安倍は今やグラグラだ。

 日教組・森越と民主党の屈服

 ところが民主党、日本共産党を始めとした野党は、この危機の安倍と断固対決し、追撃して、教基法改悪案を絶対粉砕する路線も、決意も、迫力も持っていなかった。それどころか、民主党などは防衛庁「省」昇格法案に自民・公明と一緒になって賛成し、教基法改悪では政府案以上に「愛国心」を強調した法案を提出しているありさまだ。
 さらに決定的な問題は、日教組本部と森越委員長の変質・屈服・裏切りである。日教組本部は安倍が日教組の壊滅を叫んで教基法改悪の攻撃をかけているまさにその時に、本気で闘う方針をまったく提起しなかった。時間内職場集会やストライキはもちろん、国会動員や座り込みさえもまともに提起しなかった。
 文科省との「パートナー路線」が極右から攻撃されていることに震え上がり、ただただ安倍に頭を下げ、安倍との接点の形成を夢想して、闘わないで延命することに躍起となっていたのだ。
 日教組本部の屈服と裏切りの象徴が森越委員長だ。11月25日のテレビ番組で森越は、「つくる会」元会長の極右ファシスト・八木秀次らに、教育労働者の国会前の座り込みを謝罪し、「すみません、(座り込みは)先週でやめました」「あれは(今座り込んでいるのは)うちの人たちではないんです」と土下座したのである。
 教育労働者から「森越やめろ」の辞任・解任要求が噴出したのは当然だ。まさに教基法決戦は日教組本部・森越体制打倒と日教組再生をかけて闘われたし、またその路線で闘ってこそ、真に勝利できたのである。
 国鉄分割・民営化の攻撃で国労と総評が解体され、路線的・歴史的に破産が突きつけられた総評・民同労働運動と、それを変質的に継承する日教組本部などの既成の労働運動指導部では、帝国主義の危機と戦争の時代の攻撃と闘えないのだ。

 革命勝利をめざす労働運動

 今まさに求められているのは、体制内の既成の改良的労働運動ではない。帝国主義を打倒し、革命をめざす階級的労働運動である。日帝権力とブルジョアジーは、それを最も恐れているのだ。
 今こそ日教組本部・森越体制打倒、闘う日教組の再生を真っ向から訴えて、職場闘争の展開と組合権力獲得に向けて総決起する時である。
 教労を先頭に、教労、国鉄、自治体、全逓の4大産別で、既成指導部を打倒し、のりこえて、なんとしても階級的労働運動の前進をかちとろう。安倍政権は「官公労つぶし」と「日教組・自治労の壊滅」を叫んで攻撃を激化させている。4大産別の労働組合に攻撃を集中してきている。これと対決し、何よりも4大産別で、職場闘争の実践を基礎とした階級的労働運動の創成と前進を、画然と切り開いていこう。
 そして、敵の攻撃を打ち破る鉄のハンマーと階級的労働運動の実体を、われわれ日本の労働者階級は、すでに持っている。それは動労千葉労働運動であり、動労千葉、関西地区生コン支部、港合同の3労組共闘である。11・5労働者集会は階級的労働運動の新潮流の総決起の場であった。今こそ動労千葉労働運動に学び、それを職場で実践し、分会、支部を始め、組合権力奪取の闘いに挑戦していく時だ。
 動労千葉の田中委員長は、『世界に翔び立とう7 動労千葉の訪韓・訪米報告』で、「私たちが直面している課題や問題意識は、(日米韓で)驚くほど共通していました。それは、激しい攻撃の前に労働運動が後退し続ける状況を、職場から闘いの組織化と労働者の団結・連帯によっていかに変革するのかということです」と語っている。
 11・5労働者集会の3労組共闘と日米韓3国連帯の中に、階級的労働運動の勝利と未来がすべて体現されているのだ。

 11・5の地平から07年決戦へ

 今日、基軸帝国主義・米帝を先頭に、帝国主義は基本矛盾を全面的に爆発させ、ロシア、中国を巻き込んで帝国主義間争闘戦を激化させている。そこから一方で、イラク侵略戦争を始め帝国主義的侵略戦争と世界戦争への攻撃を激化させ、他方で、民営化と労組破壊、賃下げ、首切り、パート・派遣などの不安定雇用化・非正規雇用化の攻撃を強めてきている。
 結婚もできず、子どももつくれない。ミゼラブルで「工場法以前」的な絶対的貧困と無権利の状態が一般化している。階級間・階層間の格差が激しく拡大している。
 こうした攻撃と闘い勝利できるのは階級的労働運動である。動労千葉を先頭とする階級的労働運動の新潮流の前進に、戦争と民営化・労組破壊と闘う労働者階級の未来があるのだ。11・5労働者集会の地平を発展させ、改憲阻止と4大産別決戦、「日の丸・君が代」不起立闘争、春闘、統一地方選を始めとする07年の大決戦に進撃しよう。
 闘いの先頭には青年労働者と学生(全学連)が立っている。マル青労同1000人組織建設に決起しよう。法政大弾圧を粉砕し、改憲阻止300万学生ゼネストへ向けて前進しよう。
 機関紙拡大の闘いをやりぬこう。そして最後に07年決戦と世界革命の勝利へと闘う革共同への圧倒的な年末一時金カンパを熱烈に訴えます。

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週刊『前進』(2276号1面2)(2006/12/25)

 国会包む怒りのこぶし

 12・15 “労働者の団結で安倍倒す”

 「安倍内閣を倒すぞ」「戦争国家になんかさせないぞ」。12月15日午後6時、教育基本法改悪案の採決がついに参院本会議で強行された。国会前に駆けつけた5千人に及ぶ労働者・学生の怒りが沸騰した。弾圧を加える警察権力に激しくぶつかりながら、声を限りに弾劾を浴びせる。
 国会会期末の15日は早朝から、ニュースを見て居ても立ってもいられなくなった人びとが全国各地から駆けつけた。この日も、教育労働者を先頭とするハンスト団が中心に陣取り、北海道・大分・東京を始めとする各教組が国会前を埋める。11・5労働者集会実行委員会は14日と15日の連日の決起で闘いを牽引(けんいん)した。昼休みに法政大学で300人の集会を成功させた全国学生も、国会前に駆けつけ合流した。昼の段階で座り込みは3千人に達した。
 こうした中で政府・与党は、日に日に高まる教基法改悪反対の声、下落する支持率に追いつめられながら教基法改悪案、防衛「省」法案などを参院本会議で採決した。
 午後6時から始まった教育基本法の改悪を止めよう!全国連絡会の集会は、採決強行の報を聞き、急きょ安倍徹底弾劾の怒りの抗議集会となった。参加者は2500人に上った。
 午後7時、11・5集会実行委員会が総括集会を開いた。闘う教育労働者が満身の怒りで安倍を弾劾し総括を提起した。
 「私たちの闘いが、みごとに国会を揺るがした。採決は強行されたが敗北感はみじんも無い。この場から新たな闘いの歴史が始まる。何よりも、日教組を現場の私たちが取り戻し、森越を打倒して闘う日教組を再生することだ。改悪教基法粉砕の闘いとして来春の不起立闘争を徹底的に闘おう。次の通常国会から始まる教員免許更新制導入など全面的な教育労働者への攻撃と闘おう」
 最後に「日の丸・君が代」被処分者が「安倍を倒すか、私たちが殺されるかだ。現場の怒りに火を付け、全国で続々と不起立の闘いに立とう」と熱烈に訴えた。
(写真 全国各地から駆けつけ国会前を埋めつくした労働者・学生は、教基法改悪を強行する安倍政権に対して声を限りに弾劾を浴びせ続けた【12月15日】)

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週刊『前進』(2276号1面3)(2006/12/25)

 圧倒的な年末カンパを重ねて心から訴えます

 すべての支持者、『前進』読者の皆さん。特に安倍政権と資本による労働者への攻撃に怒りを爆発させている労働者の皆さん。帝国主義と安倍政権を倒すために、革共同への絶大な年末カンパを重ねて訴えます。
 米帝・ブッシュ政権も日帝・安倍政権も支持率が急落しています。戦争と窮乏、格差拡大という帝国主義の本性むき出しの姿に、労働者階級が世界的な規模で目覚め、生きるための闘いに立ち上がっているからです。
 教育基本法改悪の強行に対しても、組合幹部の裏切りを超えて決起する教育労働者を先頭に労働者の怒りが噴出し、これを阻止し続けています。
 改憲・戦争勢力に転落した労働貴族を打ち倒して進もうと呼びかけ実践している、動労千葉を先頭とした11・5基本勢力が存在していることで、労働者の怒りが解き放たれ戦闘化していることは間違いありません。
 日本経団連が来年1月1日に出そうとしている「御手洗ビジョン」は、労働者を極限的な非正規職化と際限のない労働時間の地獄にたたき込もうとしています。団交権を始め労働3権をことごとく奪い取る「労働ビッグバン」は、資本と労働者の絶対的対立を現出させるでしょう。
 御手洗らがふりまく「景気回復で労働者の生活もよくなる」ということが、マルクスが言うとおりまったくのウソであることを、労働者は体で感じ始めています。資本の業績が上がるほど賃金は激減しているからです。この社会、帝国主義にノーを突きつける労働者の巨大な胎動が始まっています。
 革共同は身を切るような党の革命を遂行して、この労働者とともに本当に革命を実現できる党に脱皮・成長しようとしています。
 「労働組合の中から……度しがたい指導者全部を徹底的に暴露し追い出すまで闘争を推し進めなければならぬ。この闘争がある程度まで進まないうちは、政治権力をとることはできない」(レーニン)という闘いを文字どおり実現するためです。労働組合の中に無数の革命の拠点を作り、全世界の労働者とともにプロレタリア革命を実現する道を具体的に歩み始めました。
 11月集会とその後の訪韓・訪米闘争は、その現実性をはっきりと開示しています。そしてそれが、マル青労同の若い労働者とマル学同の学生によって牽引(けんいん)されているのです。
 すべての皆さん。この生まれ変わった党に未来をかけてください。革共同に結集してともに闘いを担うことを真剣に考えてください。同時にこの党をつくるための共同の行為として、絶大なカンパを寄せてください。

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週刊『前進』(2276号1面4)(2006/12/25)

 おしらせ

次号は新年特別号です
12月25日発売/12n500円
革共同政治局の07年1・1アピール/青年労働者座談会ほか
全国の職場・地域で労働者に勧めよう

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週刊『前進』(2276号2面1)(2006/12/25)

 教基法改悪阻止闘争 日教組の再生をかけ連日の決起

 採決弾劾!参院に突進

 12・14議面前 労働者の怒り天をつく

 12月14日午後6時4分、安倍政権が参院特別委で教基法改悪案の採決を強行したその時、参院議面前に1000人を超える労働者・学生が押し寄せた。「戦争する首相なんかクビだ!」「お国のための労働者じゃないぞ!」――怒りのシュプレヒコールが国会にたたきつけられた。その声は議場まで響き渡り政府を直撃した。30人のガードマンがあわてて襲いかかってくるが、その勢いを押しとどめることなどできない。労働者の闘いに追い詰められ、教基法改悪案の採決を強行した安倍政権を労働者人民は絶対に許さない。この怒りをバネに闘う団結を打ち固め、安倍政権打倒に突き進もう。

 11・5実行委が2度の集会

 14日午前、全国から続々と結集した労働者人民が国会前を埋めた。政府・与党が今にも参院特別委での採決を強行する、という緊迫した状況の中で闘いは続いた。
 青年労働者が次々とマイクを握り、シュプレヒコールをあげた。「やらせでしか通せない法案なんて認めないぞ」「医療費削って戦争するな」「世の中動かしてるのは労働者だ」。元気いっぱいのコールが、ハンスト者を始めすべての参加者を勇気づけた。
 全学連の学生も、不当逮捕への怒りを込めて闘いの先頭に立った。「デモをした学生は退学、処分に反対してキャンパスに入ったら逮捕、こんなことを許せるか! これこそ教基法改悪の先取りだ。二度と学徒出陣を繰り返さないぞ。3人の学友を取り戻すぞ!」
 正午、午前中の特別委での採決を阻んだことが報告されると「ウオー!」という歓声が上がった。国会見学の子どもたちも、ともにこぶしを突き上げている。
 この日で19日目のハンスト、という元教育労働者の命がけの訴えが参加者の胸を打った。「空腹のため寒さが身にしみているが、心は燃えている。歴史を変えるのは今だ」「ハンストが全国の闘いをひとつに結びつけてきた。この力が安倍を打倒する力だ」
 午後2時と4時30分からの2回、11・5労働者集会実行委員会主催で国会前集会が行われた。司会をつとめた動労千葉の滝口誠特別執行委員が「闘う教育労働者と連帯して労働者の怒りを国会にたたきつけよう」と宣言。とめよう戦争への道!百万人署名運動事務局から「国会前での闘いが法案の成立をここまで阻んでいる。北海道や大分など全国から結集している教育労働者とともに闘おう」と報告された。
(写真 「特別委での採決強行を許さない!」と参院議面に詰め寄る【(12月14日午後6時】)

 腐った幹部を現場から倒せ

 動労千葉の田中康宏委員長が発言に立った。「未来をつくるのは国会ではない。ここに結集した労働者の怒りだ。労働者の力は職場からの闘いの中にある。『教え子を再び戦場に送るな』、この現場の労働者の血と汗の闘いを踏みにじるぶざまな森越委員長の姿は何だ! こんな腐りきった労組幹部をつくり変える力が労働者にはある。その団結の力を取り戻すために今日、われわれは国会闘争に立ち上がった」と激しく日教組幹部の裏切りを断罪した。
 そして「すべての生産を担っているのは労働者だ。しかし国会という仕組みだけは労働者がつくったものではない。今こそ、法律を決めるのは労働者だ、ということを宣言しよう。職場からのクビをかけた闘い、これで労組を変え、世の中をつくり変えよう」と力強く宣言した。
 青年労働者が次々とアピールに立ち、国会前集会を牽引(けんいん)した。広教組の青年は「教基法10条を変えて闘う組合をつぶすことを許さない」と訴えた。自治体労働者は「自治体労働者は戦争協力を拒否する。執行部は頼りにならない、現場が闘う」と決意を表した。郵政労働者は「僕たちは武器をつくったり兵士を戦場に送るために仕事をしているんじゃない。赤紙を届けるような仕事はできない」と元気よく発言。東京交通労組の青年は「腐った国会、腐った組合幹部を自分らの闘いで打ち倒し、革命をやろう」と訴え、国会前は圧倒的な拍手に包まれた。
 関東の教育労働者は「12月8日の日教組集会に”森越はクビだ”の横断幕を掲げ、闘わない森越執行部の糾弾闘争に決起した。闘う現場労働者こそが日教組だ」とアピールした。

 国鉄分割・民営化を忘れるな

 関西合同労組、動労水戸、スタンダード・バキューム自主労組、医療労働者からの発言に続き、部落解放同盟全国連合会の金平通雄共闘部長が「部落大衆への差別的な襲撃が相次いでいる。戦争と改憲に突き進み、差別をあおる安倍政権を打倒しよう」と鮮明な決意を明らかにした。婦人民主クラブ全国協の川添望さんは「自分のじいさんである岸信介の戦犯規定を外す、そんな卑劣な安倍を許さない」と怒りをたたきつけた。
 また、三里塚芝山連合空港反対同盟の伊藤信晴さんも駆けつけ、「三里塚の闘いは教基法改悪阻止の闘いとともに、社会のあり方を根底から変えるものだ」と確信に満ちて発言した。
 夕方の集会で再びマイクを握った動労千葉の田中委員長は「国鉄分割・民営化を忘れるな! 動労千葉はストライキで闘い、解雇攻撃を打ち破ってきたからこそ、ここに立っている。ともに職場からの闘いでこの社会の現実を変えよう。今日の闘いをその第一歩にしよう」と訴えた。
 そうだ! 教育基本法改悪との闘いはこれからが本当の勝負だ。教育労働者の「日の丸・君が代」不起立など、職場での闘いを安倍政権は死ぬほど恐れている。組合をつぶし、職場を国家が制圧しなければ戦争教育など貫徹できないからだ。職場闘争を徹底的に闘い日教組を再生しよう。  
(写真 国会前で闘う11・5集会実行委の労働者・学生【(14日午後】)

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週刊『前進』(2276号2面2)(2006/12/25)

 “闘う私たちが日教組だ”

 12・8日比谷 本部・森越委員長を追及

 12月8日、「教育基本法改悪阻止!日教組緊急集会」が行われ、全国各地から1万2000人の組合員が参加した。集会は日比谷野外音楽堂で午後4時45分からと6時からの2回、それぞれ30分ずつ行われた。
 会場は開会前から演壇にそろいのジャンパーを着た組合員が配置され、異様な雰囲気だった。日教組本部と森越委員長は、国会闘争を放棄したことに組合員の怒りが沸騰していることを恐れ、なんと闘いを求める組合員に「防衛隊」を差しむけたのだ。
 第2次集会では、森越委員長が主催者あいさつを始めると、組合員が会場の真ん中で立ち、怒りの横断幕を掲げた。「森越はクビだ」「闘う我々が日教組だ」
 いたるところから声があがる。「組合員に謝れ!」「国会闘争の方針を出せ!」。とりわけ、本部が参院段階の闘いを放棄する中でも座り込みを続けてきた組合員の怒りが爆発した。
 野次と怒号に包まれて発言を始めた森越は、なんと冒頭から組合員を批判した。「先日の集会で『日教組は応援しに来た人に野次を飛ばすのか』と言われました。とにかく足を引っ張らないでください」。怒りが倍加する。「足を引っ張っているのは委員長、お前だ!」
 「今回の国会請願でまた野次があったら、日教組の請願デモは受け付けられなくなる。そういう妨害行動だけはやめてください。ほかの組合から『なんて日教組は下品なんだ』と言われないようお願いします」。会場全体が怒りに包まれた。
 「情勢報告」を行った中村書記長も、提起した行動方針は「全戸ビラ入れ」だけ。組合員の声が飛ぶ。「国会前での闘争はなぜやらないんだ!」。国会闘争方針を一切放棄した本部の姿こそ、10月26日の「非常事態宣言」がまったくのアリバイだったことを示している。教育基本法の改悪がまさに押し通されようとしているこの時に、こんな本部の屈服がどうして許せるか。森越に委員長をまかせておいたら、日教組の団結はずたずたに破壊されてしまう。森越委員長の団結ガンバローには、多くの組合員が抗議の意志を込めて不起立していた。
 組合員は本部への怒りを充満させて、国会請願デモに打って出た。
 国会前では、リレーハンスト団や東京教組の労働者が待ち受けた。「私たちは毎日座り込みを続けてきました。改悪案をなんとしても廃案にするため、最後の最後まで闘いぬきましょう」。トラメガで訴える声が響き渡る。日教組のデモ隊がともにシュプレヒコール。手を振り、声援を送った。ものすごいエネルギーがほとばしる。「自分たちこそが日教組だ」。闘いの意志を燃え立たせる組合員の強い決意を示した感動的な合流だった。
(写真 全国から1万2000人が集まった日教組緊急集会で組合員が掲げた「森越はクビだ」【12月8日 日比谷野音)

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週刊『前進』(2276号2面3)(2006/12/25)

 動労千葉 訪韓・訪米報告集

 動労千葉からパンフレット『世界に翔びたとう7/動労千葉の訪韓・訪米報告/国際連帯 新たな幕開け』が発行されました。
 11・5集会後、動労千葉は相次いで訪韓・訪米。田中委員長が「真剣な討論の中から、11月労働者集会が切り開こうとしているものの画期的な意味を逆に教えられた」と言い切る貴重な経験と教訓が、このパンフに満載されています。講読し、広げましょう!
◆『世界に翔びたとう7/動労千葉の訪韓・訪米報告』B5判44ページ/頒価300円◆注文先・動労千葉/千葉市中央区要町2-8DC会館
TEL 043-222-7207 FAX 043-224-7197 Eメール doro-chiba@doro-chiba.org

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週刊『前進』(2276号2面4)(2006/12/25)

 12・10沖縄 高教組の旗が林立

 県民集会に1500人

 12月10日、「教育基本法改悪を許さない沖縄県民集会」が那覇市・沖縄県庁前の県民ひろばで開催された。沖縄平和運動センター、沖教組、高教組の主催で行われ、教育労働者を中心に自治労やマスコミ労働者など1500人が参加した。
 特に高教組の各分会旗が林立し、現場の教育労働者の情勢に対する危機感と闘いの決意がみなぎった集会となった。国会前での攻防を闘いぬいている全国の労働者(教育労働者)と固く連帯する闘いとなった。今週の参議院での攻防戦で教育基本法改悪案をなんとしても廃案に追い込もうとの訴えが行われた。
 開会のあいさつと司会を平和運動センターの山城博治事務局長が行い、主催者あいさつには平和運動センターの崎山嗣幸議長が立った。
 日教組本部から高橋副委員長が情勢報告を行ったが、国会前での教育労働者の必死の闘いに触れることなく、日教組(教育労働者)の存亡がかかった情勢に何ひとつ具体的な方針を示さなかった。
 沖教組の大浜敏夫委員長は国会前闘争に沖縄から100人の派遣団を送ったことを報告したが、日教組委員長・森越らの屈服は二重にも三重にも沖縄労働者(教育労働者)への裏切りだ。
 集会では、保護者代表、大学人9条の会、弁護士会、マスコミ労協、11月の知事選で惜敗した糸数慶子さんが発言した。発言者の多くが来週にも参議院での採決が強行されるのではないかという危機感と、廃案に向けての決意を語った。
 決意表明では、沖教組・高教組を代表して、沖教組の大浜委員長が教基法改悪阻止の決意を力強く述べた。閉会とガンバロー三唱を松田寛高教組委員長が力強く行った。
 そして「沖縄では、多くの子どもたちがひめゆり学徒隊や鉄血勤王隊などとして戦場にかり出され命を落とした。再びこのようなことを許さない。教育基本法改悪に反対する」という決議が採択され、ただちに国際通りのデモに出発した。
 沖教組・高教組を先頭にした長蛇のデモは沿道の人たちに「教育基本法改悪を阻止しよう」と訴えて注目を浴びた。
(写真 沖教組・高教組を軸に労組が大結集【(12月10日 那覇・県庁前】)

 12・7那覇 雷雨の中座り込み

 12月7日、高教組・沖教組・平和運動センターが、「教育基本法改悪法案・防衛庁『省』昇格法案・共謀罪新設法案を廃案へ!/戦争国家への道を許さない集会・座り込み行動」を県庁前の県民ひろばで闘った。昼からの雷を伴う豪雨の中、300人が参加して午後6時までの座り込みをやり抜いた。(写真)
 産別からの連帯のあいさつとして宮城マスコミ労協事務局長が共謀罪の恐ろしさを批判し、「戦争のためのペンはとらない」と決意を語った。
 「とめよう戦争への道!百万人署名運動・沖縄の会」の”9条を変えるな”沖縄キャラバンも座り込み闘争に合流し、共同代表の桑江テル子さんが発言に立った。桑江さんは、教基法改悪を阻止し、米軍基地を撤去して平和な沖縄をつくり出そうと訴えた。

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週刊『前進』(2276号2面5)(2006/12/25)

資本攻勢&労働日誌 2006 11・24〜12・11

 規制改革推進会議 団交権はく奪狙う答申へ

 連合が春闘方針を決定/労働法制の改悪へ最終案

全日空が残業代6億円を支払い 全日空は労基署の是正勧告を受け、約1300人の社員に2年間の未払い残業代6億8000万円を支払ったと発表。(11月24日) 
●全労連が春闘方針 全労連は常任幹事会を開き、07年春闘で「誰でも1万円、1000円(時給)以上」の賃金改善を要求する方針を決めた。来年1月の評議委員会で正式決定する。(29日)
私鉄総連、3500円の賃金改善を要求 私鉄総連は中央委員会を開き、07春闘で「定昇相当分2.0%+賃金改善分3500円」を要求するとの職場討議案を確認。(30日)
10月の完全失業率4.1% 総務省の労働力調査によると、10月の完全失業率は4.1%で前月より0.1ポイント低下。厚労省の調査では、10月の有効求人倍率は1.06倍で前月を0.02ポイント下回った。(12月1日)
金属労協が春闘方針 金属労協(IMF―JC)は協議委員会で「物価上昇分を含む賃金改善に取り組む」とした春闘方針を決定。統一ベアは求めない。(1日)
JAMが春闘方針案 JAMは5日まで春季生活闘争中央討論集会を開き、07春闘で「賃金構造維持分+賃金改善分2500円以上」を要求する方針を決めた。(4日)
連合会長が首相と会見 安倍首相と高木連合会長が首相官邸で会見。連合側は労働市場の規制緩和に懸念を示した。(5日)
規制改革会議が答申案 政府の規制改革・民間開放推進会議が今月末に出す最終答申の原案が明らかに。企業に課せられた派遣労働者への直接雇用申し込み義務の撤廃や、少数派労働組合から団交権を奪うことなどが柱。(5日)
電機連合は2000円以上を要求 電機連合は政策委員会を開き、07春闘で「2000円以上の賃金改善」を要求する方針を固めた。電機連合は07春闘から職種別賃金要求方式に移行する。(6日)
連合が07春闘方針を決定 連合は中央委員会で「賃金カーブ維持分+物価上昇分を確保した上で賃金改善に取り組む」などの07春闘方針を決めたが、統一ベア要求は放棄した。(7日)=要旨別掲
労働法制改悪へ厚労省が最終案 厚労省は労働法制改悪に向けた最終報告案を労働政策審議会・労働条件分科会に提出。「ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制の撤廃)」制度の導入を明示した。(8日)
小田急バス労組がスト 小田急バス労組は嘱託運転手を正社員にするよう求めストを実施。(10日)
経営側は賃上げ拒否 日本経団連の御手洗会長は記者会見で、07春闘について「企業業績は順調に拡大しているが、経営側が大盤振る舞いしていい状況ではまったくない」「一律にベースアップする時代は過ぎた」と発言。(11日)
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連合中央の07春闘方針(概要)

●2007春季生活闘争の基本スタンス
・マクロの視点に立った基本的な考え方として、実質1%以上の成果配分を通じて労働分配率の改善を行う
●すべての組合が取り組む課題
・賃金カーブ維持分と物価上昇分を確保したうえで、生活向上分としてのベースアップや時間給の引き上げ、格差是正、賃金カーブの是正、低賃金層の底上げ等によって、昨年を上回る「賃金改善」を行う
●中小・地場組合の賃金要求目安
・賃金カーブの算定が可能な組合
  賃金カーブ維持分の労使確認+賃金改善分2500円以上
・賃金カーブの算定が困難な組合
  7000円以上(賃金カーブの確保相当分4500円+賃金改善分2500円以上)

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週刊『前進』(2276号3面1)(2006/12/25)

 無罪獲得・国労再生へ

 12・10 東京国労5・27臨大闘争弾圧 「許さない会」が全国集会

 “新たな国鉄決戦に立つ”

 国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会は12月10日、東京・文京区民センターで「無罪獲得!今こそ国労再生へ!国労5・27臨大闘争弾圧を許さない全国集会」を開催した。220人が結集し、弾圧粉砕を軸に新たな国鉄決戦に立つことを誓いあった。
 国鉄闘争は今、重大な岐路に立っている。国労本部は「政治解決」の名で1047名闘争解体の策動を強め、JR資本への全面投降を表明した。他方、こうした暴挙に対する現場の国労組合員の怒りは高まり、闘いとなって噴出する瀬戸際まで来ている。
 5・27臨大闘争弾圧との闘いは、闘争団や現場組合員の巨大な決起を押し開けるのか否かを決する重要な位置にある。集会は、こうした国鉄闘争情勢を反映し、緊迫感にあふれたものとなった。

 被告団と家族に大きな拍手

 被告団とその家族が登壇すると、会場は大きな拍手に包まれた。
 富田益行被告が代表して発言し、「国労魂を持った組合員はたくさんいる。国労再生をこじ開けるのが被告団の役割だ」「われわれの闘いで朝鮮侵略戦争前夜、改憲前夜のすべての弾圧を打ち破る」と宣言した。
 各被告がそれぞれに決意を述べ、被告の家族も闘いへの支援を訴えた。
 不当逮捕以来4年、不屈の闘いを貫いてきた被告たちこそ、国労の階級的再生を実現するカギを握りしめている。
(写真 被告たちの不屈の闘いは国労再生の血路を切り開いている。集会は許さない会運動の一層の発展を確認した【12月10日 東京・文京区民センター】)

 本部の「新たな訴訟」を弾劾

 集会の冒頭、許さない会事務局長の佐藤昭夫・早稲田大学名誉教授が開会のあいさつに立った。
 佐藤さんは、12月5日に国労本部が起こした「新たな訴訟」に触れ、昨年の9・15鉄建公団訴訟判決が認めた範囲での請求しかしない本部の訴訟は、9・15判決をのりこえ解雇撤回をかちとろうとしている鉄建公団訴訟控訴審の闘いの足を引っ張るものだと指摘し、「国労本部は9・15判決を上限とする水準の解決で闘争を終わらせようとしている」と弾劾した。
 また、国労本部を中心に行われている「学者・文化人1万人署名」について、「署名の呼びかけ文には『不当労働行為による解雇撤回を確実なものにする』と書かれているが、首相に提出する要請文は政治解決を求めるものになっている。これはペテンだ。組合員を警察に差し出した反省もなく、国労本部は署名を求められるのか」と問題を投げかけた。
 呼びかけ発起人で元新聞労連書記長の師岡武男さんや、元国労九州本部書記長の手嶋浩一さんの弾圧を許さない思いを込めた発言が続いた。
 講演に立った九州大学名誉教授の下山房雄さんは、この弾圧との闘いは言論の自由を守る闘いでもあると強調した。
 教基法改悪阻止の先頭で闘う教育労働者は、「この弾圧はひとごとではない。日教組の森越委員長は右翼に批判されて『座り込みはやめた。座っているのは私たちではない』と国会前の闘いを権力に売り渡した」と弾劾、「教基法改悪案は廃案にできる。国会前を埋め尽くそう」と訴えた。

 “国労本部は警察と一体だ”

 動労千葉争議団の高石正博さんは、「4団体共闘」による解雇撤回を投げ捨てた「統一要求」を批判して、「動労千葉は解雇撤回の原則を守る」と断言した。
 国労闘争団の小玉忠憲さんは、「国労本部は警視庁と一体。私は心の底から本部に憎しみを持っている。この弾圧を粉砕しなければ本部を打倒し国労を再生することはできない」と声を強めた。
 動労千葉の田中康宏委員長は、国労東日本本部による出向協定締結や包括和解について、「国労が根本的に変質・転向した。1047名闘争も和解ならざる最終的処理を行おうとしている。この問題は教基法改悪に比すべき重大問題だ」と提起。また、教基法改悪の核心は日教組解体にあることを強調し「国鉄分割・民営化を忘れるな。国鉄労働運動壊滅の攻撃に動労千葉は首をかけてストに立ち、組織を守った」と教訓を語った。
 一瀬敬一郎主任弁護人が「裁判闘争は勝利的に展開している」とこれまでの闘いを総括し、「来年春から被告人質問が始まる」と今後の裁判闘争の見通しを示して、公判傍聴の強化を訴えた。
 大口昭彦弁護人は、「4党合意の問題を真剣に総括し闘っているのはこの闘い以外にない」とこの闘争を位置づけた。
(写真  被告とその家族らが壇上に並び、裁判闘争と国鉄闘争の勝利に向けてこぶしを上げた)

 JR本体から組合員が決意

 JR本体の国労組合員が決意表明に立った。JR東日本でただ一人、職場で国労バッジを着用して闘う横浜地区本部の組合員は、包括和解を怒りを込めて弾劾した。
 近畿地本兵庫保線分会の組合員は、尼崎事故以来、職場から安全問題で闘いを積み上げてきたことを報告し、「尼崎事故弾劾の闘いを大きく発展させたい」と訴えた。
 新橋支部品川事業所分会分会長の吉野元久さんは、中曽根以来の改憲攻撃を阻んできた国鉄闘争の位置を明らかにし、教基法改悪阻止−改憲阻止へ全労働者と団結して闘う意志を表明した。
 集会のまとめを事務局次長の山川博康さんが行い、会費の定期的納入など、許さない会運動を着実に展開することを訴え、また教基法改悪阻止の国会決戦に立つことを呼びかけた。

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週刊『前進』(2276号3面2)(2006/12/25)

 韓国 スト権奪い解雇も金銭解決

 労働法改悪に怒り噴出

 ノムヒョン政権は11・30非正規悪法強行成立に続き、12月8日、労使関係先進化ロードマップ立法案の国会常任委員会(環境労働委)通過を強行した。15日にも国会本会議での採決強行−成立という超切迫した攻防を民主労総傘下の現場組合員、非正規職・争議労組は必死に闘っている。
 11月29日から8日間のゼネストを闘ってきた民主労総は、この事態を前に12月7〜8日、労組代表者300人あまりが国会前で徹夜の座り込みに入った。
 8日午前から環境労働委の審議が始まった。国会前には千人を超える民主労総組合員が集まり、座り込みを続けていた。昼に中断した後、午後7時すぎに委員会全体会議が開かれ、7時20分ころには委員長が「秩序維持権」を発動したという知らせが座り込み現場に届いた。600人ほどの労働者が一斉に立ち上がり国会へ進撃を始めた。
 怒りに燃えた労働者たちは行く手を阻む警察部隊と激突。この攻防が続く午後7時50分ころ、労使関係ロードマップが委員会で強行採決された。警察車両1台が怒りの炎に包まれた。ホヨング副委員長を始め30人あまりが強制連行される事態となった。

 「労使先進化」!

 ノムヒョン大統領の就任時の公約である労使関係ロードマップをめぐる攻防は、昨年9月4日にノムヒョン政権・労働部が政府案を発表し、新たな攻防に入った。
 「労使関係先進化」とは、現在、締結を急いで交渉を進めている韓米FTA(自由貿易協定)を始め、帝国主義資本の要求に沿った労使関係の構築、世界で最も戦闘的と言われる闘う民主労総、自発的な労働者の団結体である民主労働組合の解体こそが目的なのだ。
 今年9月11日に韓国労総と経済人総連、労働部が、労組専従者の賃金支給禁止と複数労組許容をともに3年間猶予することで合意(9・11野合)したことにより、具体的な立法過程に入った。この韓国労総の裏切りに対しては韓国労総傘下の組合員からも決死糾弾の闘いが噴き出した。
 改悪対象となったのは「勤労基準法」と「労働組合および労働関係調整法」であり、その内容は、▼必須公益事業場の拡大、▼代替労働の全面許容、▼整理解雇時の労働者代表との協議期間短縮、▼不当解雇処罰規定の削除、▼複数労組禁止の3年延長など。全面的な労働法制改悪攻撃だ。
 国際的な非難を浴びてきたストライキ破壊法=「職権仲裁」(注)は廃止されるという。しかしこれまで職権仲裁の対象とされてきた「必須公益事業場」の範囲が、現行の病院、通信産業、電気、ガス、鉄道など運送業、銀行、精油に加え、血液供給、航空産業などに拡大された上、ストライキ時の代替労働の投入(スト参加人員の50%の範囲内)が認められる。資本の不当労働行為が大手を振ってまかり通ることになる。しかも職権仲裁制度も、緊急調整制度で代替される形で残っている。緊急調整制度は強制仲裁条項を含んでおり、職権仲裁と同じ効果が得られる。
 さらに労使関係先進化ロードマップでは、不当解雇に対する刑事処罰事項を削除し、「不当解雇時に勤労者が原職復帰を願わない場合、金銭補償方式を認める」という条項が新設された。「勤労者が原職復帰を願わない場合」という前提など、いかようにも踏みにじられるだろう。経営上の理由による解雇でも、現行の「60日前に通知する」が50日前になる。
 複数労組の許容も3年先送りとなった。「労組は専従者の賃金に責任を持つ能力がない」という理由で使用側がつくった御用労組や名ばかりの休止労組のために、労働者は労組を結成することもできない。
 民主労総は8日夜、11日からの全面ストライキ突入を決めたが、11日からチョジュノ民主労総委員長が断食座り込みに入り、12日から連盟別国会前集中闘争、国会本会議の採決強行かと言われる15日に全面ゼネストを闘う方針に転換した。

 「壁を乗り越え」

 12日、公共連盟、全教組、全国公務員労組、女性連盟などが与党ヨルリンウリ党の前と国会前で集中集会を開いた。
 必須公益事業場の労組を組織している公共連盟は、12〜15日、職権仲裁廃止と必須公益事業場廃止を要求し、100人の集団ハンストに立ち上がっている。
 ヤンギョンギュ公共連盟委員長は、「われわれの闘いは終わったという人がいる。始まってもいない闘いで負けたというなら、これまでどんな闘いをして勝ってきたのか。いくら壁が高くても乗り越えられる。15日の総力闘争を組織しよう」と訴えた。
 (12月13日 室田順子)

【注】職権仲裁 労働組合および労働関係調整法第71条(公益事業の範囲など)で指定された公益事業でストライキが起きた場合、中労委が仲裁回付決定を出すと調停期間15日と仲裁期間15日の合計30日間、争議行為が禁止となる。その間に争議を継続した場合には「不法ストライキ」となる。さらに中労委が出す仲裁案は団体協約と同じと見なされ、労使双方が受け入れなければならず、違反には懲役・罰金。

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週刊『前進』(2276号3面3)(2006/12/25)

 佐藤芳夫さんの逝去を悼む

 「生涯一労働者」貫いた人生

 革共同関西地方委員会

 佐藤芳夫さんが11月25日12時50分、宇治市内の病院で10年8カ月の闘病の末、長年の伴侶である定子さんに看取られながら、78年の労働者人生を全うされた。まさに最後のその時まで「生涯一労働者」を貫いた壮大な人生だった。入院中にさえ、看護労働者や患者さんの労働相談、生活相談に親身になってアドバイスをされていた姿が思い出される。
 思えば、この資本主義社会のもとで苦しむどんな一人の労働者に対しても、粉骨砕身、連帯と団結を求め、ともに闘うことが佐藤さんの行動原理だった。労働者を愛し、時に厳しく、労働者が原則を守って闘えば必ず勝利できるという信念を貫いた人だった。
 病床で次第に穏やかになっていく佐藤さんの顔を見ながら、「何を自分たちは引き継げるのだろう」と問い続けた。佐藤さんが関西に住居を移されて14年、佐藤さんの労働者人生の何十分の一も聞き取れていなかったと思う。
 あらためて佐藤さんの著書『小沢一郎の暗躍を支える連合』を読み直してみると、レッド・パージ下で労働運動に決起し、全造船石川島分会、中立労連議長を経て「帝国主義に抗する戦闘的階級的労働運動」の原則を貫く道を選択した佐藤さんの姿がよみがえる。その結論として全国労組交流センター結成と動労千葉労働運動とともに歩むことを決断した佐藤さん。その感動的な闘いは戦後日本労働運動の精華のひとつだろうと思う。
   □
 「帝国主義の全攻撃を引き受けつつ、組織破壊攻撃に打ち勝ってきた組合が動労千葉以外にどこにあるのか」
 動労千葉との共闘が問題になる時、佐藤さんはいつも厳しくこう訴え続けた。攻撃の厳しさを前に妥協して原則をねじ曲げることを組織防衛としてきた多くの労働組合に対して、「そうじゃないんだ。闘う中から展望は見えてくるんだ」「動労千葉を見てみろ」と叱咤(しった)激励してきた。国労が202億円損賠問題で訪ねて来た時、「闘ってから出直してこい」と一喝したエピソードは有名だ。この精神は今日の国労本部に対しても投げかけられなければならない。
   □
 「労働運動は現場でこそ闘うもの」
 11月労働者集会が始まった頃、盛んに言われていた。職場闘争こそ労働運動の神髄であることを各所で訴えてこられた。残されたノートには合理化攻撃に対する反撃の研究がびっしりと残されていることには驚きを隠せない。成績給攻撃、QC攻撃、産業生理学への批判など、組合員との討論の蓄積がそこにある。組合分裂攻撃にあいながら職場労働者の支持は圧倒的だったことがよく分かる。労働者は激しい攻撃の前に動揺するが、原則を貫く闘いが存在すればけっして屈しないことを実践した。
   □
 「社会主義の原則を掲げ続けなければならない」
 『前進』への厳しい批判や要望も絶えず出されていた。とりわけマルクス主義・レーニン主義の諸原則による労働者の組織化が労働運動の前進にとって必須不可欠であることを訴え続けていた。
 「どのくらい闘争を進めるかの基本は、何と言っても闘争主体である労働者の階級意識だ」と労組交流センターの会合などで絶えず提起されていた。資本攻勢の本質を見抜く力、労働者が自らの力を確信するイデオロギーの源泉としてのマルクス主義を、労働者が自らの武器とすることこそ活動家の責務であると繰り返し強調されていた。
   □
 書き出せばきりがないが、名実ともに戦後労働運動の先頭で闘ってこられた佐藤さんの労働運動人生は教訓の宝庫だ。日本労働運動が蓄積してきた戦線の広大さそのものでもある。このことは同時に、革共同が労働者階級の党へと成長していく実践領域の広大さも示している。佐藤さんが人生をかけて動労千葉労働運動に行き着いたことに、その真理があるのではないだろうか。
 葬儀は佐藤さんの遺言どおり、無宗教で家族と数人の旧知の人のみで質素に行われた。「葬式なんかに金をかけるな」−−本当に最後まで活動家だった。石川島分会の昔の仲間、動労千葉の田中委員長の弔辞、ス労自主を始め交流センターの活動家、何よりも最愛の伴侶・定子さんに最後まで見送られて満足していただけたと思う。佐藤さんの人脈の広さからすれば連絡が付けられなかった方々がたくさんいられるだろうが、それはこの場を借りておわびし、報告とさせていただきたい。
 佐藤さんの遺志は労働者階級の中に脈々と生き続けている。革共同は佐藤さんの生き方に学び、労働者階級に寄り添い、労働者階級そのものとして最後の勝利をかちとるまで闘い続けることを誓います。

◇佐藤芳夫さん略歴◇

1928年9月13日 浅草に生まれる
1948年 石川島播磨重工に管理工として入社
1951年 中央大学専門部経済学科(二部)卒業
1952年〜 全造船機械労組石川島分会執行委員、石川島播磨重工労連中央執行委員長、中立労連議長などを歴任
1971年 職場復帰
1989年 全国労組交流センター代表運営委員
2006年11月25日 10年8カ月の闘病の末、永眠。享年78歳

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週刊『前進』(2276号3面4)(2006/12/25)

 連合中央 6年連続ベア要求放棄

 「賃金改善」懇願し大幅賃上げは否定

 連合は12月7日に中央委員会を開き、「2007春季生活闘争方針」を決定した。だが統一方針は、「『賃金カーブ維持分』と『物価上昇分』を確保した上で、賃金改善に取り組む」というものでしかない。それは、額も明示しないで資本に賃金改善をお願いする事実上のベア要求放棄である。連合中央の春闘方針を徹底批判し、闘う春闘を再生させよう。

 賃金破壊に屈服

 労働者階級の貧困化・賃金破壊が激しく進行している。低賃金労働者の増大と中堅労働者の賃金低下が重なり、賃金は97年の467万円から8年間で30万円も落ち込み、13年前の水準へと転落している。一方、企業は3年連続で1兆円以上の利益を上げたトヨタを始め、5年連続で増益を続け、株主配当を増やしつづけている。本当に労働者階級にとってがまんのならない現実だ。労働組合運動の荒々しい復権こそ求められている。
 しかもこの攻撃が、小泉=奥田の後を継ぐ安倍首相と御手洗日本経団連会長による教育基本法改悪を突破口にした4大産別破壊の一大反動攻勢としてしかけられている。
 このように労働者階級への攻撃が労組の破壊を軸にしてかけられてきている時、組織労働者の責務は重大である。にもかかわらず連合中央は、日帝・安倍=御手洗の労組破壊攻撃に迎合している。そして教基法改悪や改憲攻撃と闘う部分を抑圧し、労働代官の役割を買って出ることでなんとか延命できるのではないかと夢想しているのだ。連合中央を打倒し、一律大幅賃上げを要求して春闘再生に総決起しよう。

 統一要求見送り

 連合中央の07春闘方針の第一の問題は、統一ベア要求を6年連続で見送っていることだ。
 戦後の労働運動は、敗戦直後の飢餓状態の中で「食える賃金をよこせ」という死活的な要求から出発して「戦後革命」を闘った。その後も総評・民同の右翼的指導にもかかわらず、一貫して反戦闘争と同時に「春闘」形式を編み出し、産別を越えた統一ベア要求を掲げて賃金闘争を激しく闘ってきた。この春闘による一律賃上げは、地域の未組織労働者や官公労の賃上げにも波及した。
 春闘の核心は、職場のアンケート調査で要求を下から組織し、それを一律大幅賃上げ要求にまとめ上げたことだ。そして、怒りをストライキとして爆発させ、資本に屈服を強い、闘いをとおして団結を形成してきた。
 今こそ戦後の賃金闘争の原点に立ち返り、職場闘争として一律大幅賃上げを掲げ春闘を闘おう。

 賃金闘争を解体

 第二の問題点は、賃上げという言葉を否定し、額も明示しない「賃金改善」を資本にお願いして賃金闘争を否定していることだ。民間大単産は職種別賃金要求で格差賃金を容認しさえしている。
 そもそも労働者階級と資本とは非和解的な対立関係だ。資本は労働力を「1円でも安く買い、1秒でも長く働かせる」ことで利潤を増大させようとするのだ。だから、労働者階級は労働組合に団結し、「食える賃金をよこせ」と資本に屈服・妥協を強制する以外にない。動労千葉は春闘で、反合・運転保安とともに3万8000円の大幅賃上げ要求を掲げてストライキで闘いぬいている。そこには「支払い能力論」などはみじんもない。
 怒れる労働者階級は、今こそ闘う労働運動を復権させ、07春闘を春闘再生の出発点にしよう。

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週刊『前進』(2276号4面1)(2006/12/25)

 反軍闘争

 北朝鮮への侵略戦争と対決を

 労働者階級の壮大な決起の力で帝国主義軍隊解体・兵士獲得へ

 米帝のイラク侵略戦争の破産とイラク情勢の激烈な展開、イスラエルによるレバノン侵略戦争の大敗北、アフガニスタンの危機の中で、イラン・シリアなど中東全域へ侵略戦争が拡大されようとしている。ムスリム人民の民族解放闘争は爆発的に発展している。
 アジア、アフリカ、中南米、中央アジア、バルカン半島の情勢など、現代は、世界戦争か世界革命を問う世界史的激動の時代に突入している。それは、戦争=軍事の問題が、世界のプロレタリア革命=階級闘争の第一級の課題として浮かび上がってきたということである。
 11・5労働者集会への4900人の結集、教基法改悪阻止決戦における連日のような5千人、8千人の労働者の決起は、改憲=戦争阻止への6千万労働者の決起の展望を切り開いている。11・5集会の前段に、「とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会」と百万人署名運動は、防衛庁に対し「イラク派兵」に反対する申し入れ闘争を貫徹した。対自衛隊の闘争として重要な闘いである。
 今日の世界戦争情勢の中で、日本革命の重要な課題である反軍闘争について革共同反軍闘争委員会より提起する。
(写真 「空自部隊はイラクから撤退せよ」「小牧基地への空中給油機配備を許すな」を訴え小牧基地に申し入れ行動【11月26日 愛知県小牧市】)関連記事6面

 米帝は核先制攻撃をねらう

 米帝・日帝は、北朝鮮スターリン主義の反人民的な核実験を口実として、侵略戦争への動きをいよいよ強めている。
 米帝の朝鮮戦争計画である「作戦計画5027」の骨格(朝鮮人民百万人、米軍5万人の犠牲が出る)は変わらないが、イスラエル軍のレバノン侵攻がヒズホラの地下壕(ちかごう)を使ったゲリラ戦により大敗北したことを見たとき、米帝は躊躇(ちゅうちょ)なく核兵器を使用するだろう。米帝は、米軍兵士の戦死者の増大を何よりも恐れている。それはベトナム戦争時のような革命的危機に直結するからだ。
 米帝はアフガニスタン侵略戦争の初期に、アルカイダとタリバンに対してバンカーバスター爆弾を投下し、同時に、高性能小型核爆弾の開発を発表した。これは、5千カ所以上の地下要塞(ようさい)を持つ北朝鮮、数万カ所の地下要塞を持つ中国に対する核兵器使用のメッセージであり実験だ(米帝は155_砲で撃てる小型核も含め1万発の高性能核兵器を保有している)。
 北朝鮮への先制核攻撃を狙う米帝(日帝)の侵略戦争と全面的に対決し闘おう。

 日帝の核武装問題の重大さ

 日帝の核武装問題が浮上している。いわゆる核問題の核心は、敗戦帝国主義、日本とドイツの核武装問題にある。
 中川昭一・自民党政調会長、麻生外相らの「核論議は必要」発言は、核武装発言そのものである。北朝鮮の核実験を「待っていた」かのように自民党首脳や現職の外相がこういう発言を繰り返し、首相の安倍が支持するということは、「現に進行している核武装計画」について社会の反応を打診したと見るべきだろう。
 今日、日帝にとって核武装の材料はすべて出そろっている。日帝は、広島型原爆にして5000発分の使用済み核燃料を保有している。核弾頭の運搬手段としては、H2Aロケットが開発済み(すでに偵察衛星3個を打ち上げている)であり、ミサイルとして使いやすいM5大型固体燃料ロケットの開発も終了した。起爆装置は日帝の得意分野である。核実験はコンピューターシミュレーションで十分できる。この方法でイスラエルは約200発、南アフリカは数十発の核兵器を開発したと見られている(南アは90年代に核兵器放棄)。この四つを組み合わせれば、瞬く間に核戦略体系ができ上がる。
 日帝の核武装問題では、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)問題以上に、米帝が激しく反応することは確実だ。米帝ブッシュは10月12日、訪米した中国の唐家せん国務委員(前外相)に「日本が核武装していいのか」と言ったという。米帝は日帝の核武装を絶対に許さない立場だ。米帝にとって「核問題」とは、日帝、ドイツ帝の核武装を抑え込むことが核心だ。北朝鮮核開発をめぐる攻防も、日帝の対抗的な核武装を阻止することがメインテーマなのだ。
 日米安保体制=日米軍事同盟をどう見るか。核問題に典型的にみられるように、日米帝国主義の〈共同〉と〈対抗〉という視点で見ておく必要がある。日米同盟は帝国主義同士の強盗同盟であり、日帝の独自の帝国主義としての野望を見過ごしてはならない。米帝の圧倒的軍事力の前で現象的な対米従属論(米帝に巻き込まれる論)に陥っては、対日帝・自衛隊の闘争は日本革命戦略の中に正しく位置づかない。
 防衛庁の「省」昇格と海外派兵の本来任務化、陸海空3軍の統合作戦体制の構築(統合幕僚監部の設置、統合任務部隊の指定と司令官の任命、中央即応集団の結成、情報本部の長官直轄化)などの戦争即応体制の構築、周辺事態法の拡大解釈、集団的自衛権解禁の主張など、自衛隊は帝国主義的侵略軍隊として急速な変貌(へんぼう)をとげようとしている。
 こうした軍部の台頭と自衛隊の内外における行動は、完全に改憲を先取りするものだ。イラクへの派兵、対テロ特措法での自衛艦の派兵は決定的な問題なのだ。日帝支配階級は祖国防衛主義、愛国主義、排外主義をあおり、戦争に実際に突入し、その迫力で軍事大国化・改憲に持ち込もうとしている。「拉致」問題は、日帝の軍事行動の絶好のイデオロギー的武器として使われている。安倍内閣は、「はじめに戦争ありき」で突っ走る戦争遂行内閣である。
 世界戦争か世界革命かを問う時代への突入は、いうまでもなく体制の根本的変革=革命の問題を提起している。それは、労働者階級がブルジョア国家の粉砕の問題に直面しているということでもある。革命が現実の課題になっているからこそ、日帝・支配階級は、共謀罪の新設を始めとする治安弾圧体制のエスカレシ
ョン、軍法会議の設置や自衛隊の治安出動を含め、労働者階級の闘いを予防反革命的に鎮圧する体制づくりに躍起になっているのである。

 反軍闘争の革命的発展を

 労働者階級は、資本の積極的止揚をとおして、プロレタリア自己解放=全人民の人間的解放へと突き進む。そのためには社会の全気孔をふさぐ「寄生体」であるブルジョア国家(およびその諸機構)を暴力革命をもって粉砕し、労働者階級の自己権力=プロレタリア独裁権力を打ち立てなければならない。この闘いの途上において労働者階級は、どのような形にせよ、ブルジョア国家の実体的支柱である帝国主義軍隊との対決に至る。
 ここにおいて労働者階級は、軍隊との激突を辞さず、圧倒的な労働者階級の決起で包囲し、逆に軍隊の内的危機(革命的解体)を促進していかなければならない。これは、単に敵階級の武装解除であるばかりでなく、歴史的に「身に寸鉄も帯びない」までに武装解除されてきた労働者階級人民が、武装せる自己権力を打ち立てるために無くてはならない闘いだ。
 反戦・反軍闘争は、プロレタリア独裁の樹立へと突き進む労働者階級の正面課題だ。そして、革命的反戦反軍闘争の第一の課題は、新指導路線のもと、労働者階級の根底的な決起をかちとり、その自己解放闘争としてプロレタリア革命をかちとることだ。この闘いを圧倒的な基軸として立てることである。隊内での独自の革命的工作もまた、労働者階級の壮大な決起、その自衛隊内への波及の中でこそ決定的威力を発揮するのである。
 防衛庁の「省」昇格と軍部の台頭、イラクを始めとする戦地への派兵は、自衛隊内においても愛国主義・排外主義を強め、一定の反動化をもたらすだろう。しかし本質的には、自衛隊が帝国主義軍隊として不正義の侵略戦争や内乱鎮圧の前線に投入されることは、自衛隊の深刻な内的危機を生み出し、その革命的解体への決定的手がかりを与える。
 戦争がもたらす矛盾は、その直接の担い手である自衛隊員(と家族)に集中する。「人を殺していいのか」「殺されていいのか」「そもそも誰のための戦争なのか」「何のための戦争なのか」。こうした問題が隊員一人ひとりに突きつけられてゆく。自衛隊員は圧倒的に労働者階級出身であり、軍服を着た労働者だ。戦争の進展は、戦争の不正義性、自衛隊のあり方をめぐって、家族を含む隊内外の闘いに発展せざるをえない。自衛隊の持つ本質的な矛盾=階級対立が爆発せざるをえないということだ。
 自衛隊のあり方は急激に変化している。隊内支配の強化、いじめと自殺の増加、麻薬の蔓延(まんえん)、勤務中の飲酒などである。戦時下への突入の中で、いよいよ隊内民主化の要求を重視しなければならない。
 反軍闘争は、自衛隊と真正面から対決し、隊内反乱をかちとって革命的に解体し、闘う労働者の側に自衛隊兵士を大量的に獲得していく闘いだ。同時に、兵士自身の労働者階級の側への復帰=自己解放闘争そのものだ。
 自衛隊員はもとより、その家族・友人・知人に、米帝・日帝のイラク侵略戦争、朝鮮・中国・アジア侵略戦争の不正義性を訴え、ともに立ち上がることを大胆に訴えていこう。日本革命・世界革命の成否を決める対自衛隊・対米軍の反戦・反軍闘争に、ともに立ち上がろう。
 〔革共同反軍闘争委員会〕

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週刊『前進』(2276号4面2)(2006/12/25)

 法政大 弾圧うち破り前進

 連日、当局・ガードマン追及

 法政大学では、11月29日の3学生デッチあげ逮捕の弾圧を打ち破って闘いが前進している。3・14法大弾圧を許さない法大生の会が呼びかけた「無実の3人を釈放しろ! 退学・停学処分撤回! 新たな退学処分阻止! 平林体制打倒! 12・15緊急法大集会」(詳報次号)に向けて、連日、学生部やガードマン、警視庁公安への追及がガンガン闘われた。
 学生にキャンパスからたたき出されて以来姿を隠していた「転び屋」=大久保廣宣は、11日から再び現れたが、学生の追及を恐れて昼休みには姿を見せない。大久保に対して学生から「お前が撮影していたビデオ映像を公開してみろ! デッチあげの姿がはっきり映っているだろう」と弾劾の声がたたきつけられた。学生を連日ビデオで監視し、恫喝し、ついに“転び”まで演じた大久保への怒りが広がっている。
 追いつめられた大久保は、被処分者に「麹町警察署に連絡するよ」などと言い放ち、またもや転びを演じようとした。日帝・国家権力と法大当局は、もはや“法大学生運動の爆発を押しとどめることができない”と敗北宣言しているに等しい。

 署名が続々と

 不当逮捕を許さない緊急署名が続々と集まっている。平林総長への弾劾と謝罪を求める署名だ。教室の中にまで公安警察を導入した平林への怒りは強い。署名した学生からは「ずっと注目している。大学当局はやりすぎだ。絶対に屈しないで下さい」「15日は行きます」などの声が次々と上がった。
 3月14日以来、法大で40人も学生を逮捕し、力ずくでビラまきすら禁圧しようする法政大・平林体制にはもう我慢ならない!――これが法大生の声だ。
 法大当局は、12・15緊急集会を前に「法政大学市ケ谷キャンパスにおける警備体制および一部出入口の閉鎖について」なる文書を出した。「法大生の会」が不当処分に抗議し、連日ビラをまき、演説し、集会を開いていることを「騒動」とか「大学の秩序と平穏な環境を著しく損ねる」などと書いている。ただただ、学生の闘いが爆発していることを嘆き、悪罵(あくば)を投げつけているだけだ。暴力ガードマンによる禁圧体制の破産を自己暴露する当局の敗北宣言だ。
 しかも文書は、3月14日以来の逮捕については一言も述べず、11・29デッチあげ弾圧にも一切触れられない。事実すら明らかにできないのだ。こんな文書を今ごろ出してきたのは、暴力ガードマンへの怒りが教職員も含めてキャンパス全体にあふれているからだ。平林は、もはや裸の王様だ。一部の極右理事以外、誰も認めていない。

 教職員の決起

 総長選挙廃止に対する教職員の怒りも爆発した。11日には100人を超す教職員総決起集会が行われ、13日には数十人の教職員が、総長選廃止を決定しようとした評議員会会場に押しかけ、会場前を占拠。評議員会は急きょ場所を変更して逃亡、会議自体も総長選廃止の議題を引っ込めて延期せざるをえなかった。平林はもう終わりだ。

 富山大自治会非公認化許すな

 

法大での攻防は、教育基本法改悪を先取りした階級攻防の先端だ。法大の状況は全国の大学に波及している。
 富山大学では、学生自治会を非公認化する攻撃が行われている。富山大学当局は10月26日に、「ビラの内容が『特定の政治団体の主張を助長』したから学生規則違反である」という理由で、学生自治会の非公認化を一方的に決定した。新聞会についても非公認化を狙っている。しかも当局は、「規則違反」の具体的な事実認定について「総合的に判断した。具体的な説明をする義務はない」と、説明すら拒否する横暴ぶりだ。
 富山大学当局が問題にしているのは改憲・戦争反対や法大処分反対という自治会の主張だ。“戦争にも処分にも反対するな”ということだ。まさに戦時下の学生運動禁圧、教育基本法改悪の先取り、戦前の治安維持法の再来だ。完全に法大当局と同じやり方なのだ。
  ◇    ◇
 法大弾圧と処分攻撃を打ち破り、全国学生の力で法大学生運動の爆発をつくり出していくことにこそ勝利の展望がある。
 被処分者の法大生を先頭に、いかなる処分や逮捕にも屈せず闘い抜いてきたことが、いま教育基本法改悪阻止の万余の国会闘争と結合し、それを牽引(けんいん)しつつ、全キャンパス的な平林打倒情勢をつくり出している。今こそ決着をつけるときだ。
 法政大での攻防に全国学生の帰趨(きすう)がかかっている。退学・停学処分を撤回させ、極右・安倍と結託した平林体制を打倒し、法大を改憲阻止・日帝打倒の砦(とりで)にしよう!
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 富山大での学生自治会非公認化攻撃の経過

【2005年】
 10月に県内国立大学が統合。大学当局が、従来の学生との慣行・確約を破棄を一方的に通告

【2006年】
 3月 新「学生規則」を突然発表
 4月 学生の改憲反対の署名活動を当局が「特定の主張を助長・普及しているから禁止する」と妨害
 9月 新「学生規則」について対当局交渉。副学長は学生の意見や質問に一切答えず
 10月26日 「学生規則19条違反」を理由に学生自治会「非公認」を学生支援委員会で決定

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週刊『前進』(2276号4面3)(2006/12/25)

 秋田農民坂本さんが講演

 「農地・農業と公共事業を考える」集会

 農民つぶしの農政

 耕作権問題の深さ知る

 12月10日に千葉市内で「農地・農業と公共事業を考える」と題した講演集会がありました(写真)。講師は秋田八郎潟・大潟村の農家で坂本進一郎さん。農民運動家として有名ですが、お話を聞くのは初めて。木訥(ぼくとつ)とした秋田弁が印象的でした。
 集会の趣旨は、成田空港の暫定滑走路北延伸問題で、空港会社が市東孝雄さんの畑を農地法で取り上げようとしている問題を考える集会です。市東さん本人は農業を続ける強い意思を持っているのに、農地確保、農民支援、農業振興のための農地法でそれを取り上げる。考えられないことが起こっている。問題の背景に何があるのか? という集会でした。
 市東さんご自身は「失敗もあったが農業に自信がついた。有機完全無農薬の野菜を消費者に届けることに喜びがある。祖父、父、私と90年耕作し続けた。土地は私の命と思っている」と語っていました。
 坂本進一郎さんの講演は地味だったが面白かった。米作を中心としてきた日本農業を政府がつぶそうとしていることを「亡国農政」と厳しく批判されていた。
 日本の米作りがここまで危機に瀕(ひん)しているとは私の想像を超えていた。アキタコマチの生産者価格が1万1000円?
すぐに意味が分からなかったけれど、コストは1万5000円から1万6000円とのこと。日本中の農家が赤字でコメを作っている? 政府は確信犯? これは大変な問題だと再認識しました。市東さんの「耕作権解除」問題は、日本農民全体が直面する問題と背中合わせなんですね。
 市東さんの仲間の農家・萩原進さんは「(農産物の)価格が安ければいいというあり方は、結局労働者の賃下げや首切りにつながる」「農民が耕すことの誇りを取り戻す運動が絶対に必要。農業のない社会なんて考えられますか?」と問いかけていた。
 私もこれまで三里塚には何度も足を運んできましたが、農業問題全体という観点は正直言って持っていなかった。政府の「新農政」は農業つぶしであること。労働者の賃金が削られる問題と裏表の関係。そうだったのか。「コメは安い方がいい」という常識の落とし穴は大きかった。
 坂本さんの自伝的小説『大地の民』がずいぶん売れていました。市東さんの畑で取れた野菜も格安で買えました。大きい(!)白菜が大変美味しかった。これを食べれば風邪知らず。ビタミン剤はいらないそうです。(投稿/大沼広)

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週刊『前進』(2276号4面4)(2006/12/25)

 三里塚反対同盟

 農業委追及に立つ

 空港会社の不法を暴く

 12月11日、三里塚芝山連合空港反対同盟が成田市農業委員会に対する抗議の闘いに立ち上がった。
 同農業委は今年の7月、成田空港会社(NAA)の言いなりになり、反対同盟の市東孝雄さんの耕作地をめぐる賃借権解約要求を「相当」と判断して千葉県に送った。「農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位向上に寄与するため」(農業委員会等法第1条)の機関としてその責任はきわめて重大だ。
 反対同盟と支援連はこの日、市役所前でのビラまきと宣伝カーでの訴えを行った上、市東孝雄さん、事務局次長の萩原進さんが公開質問状を携え、成田市議の足立満智子さんとともに庁舎内の農業委への抗議申し入れに臨んだ。
 「NAAは土地を買収したのは03年とウソをついていたが、実は88年だったことを自分から認めた。耕作者である市東さんにひた隠しにして、旧地主に15年間も地代を取らせていたのだ。こんなデタラメ・違法を認められるのか。今になって出ていけと言っても、賃借解約の請求権は98年で時効消滅しており無効だ。審査を最初からやり直すべきだ」
 農業委の代表は「農水相に審査請求が出されているからこの場では何も言えない」などと責任逃れを試みたが、当の本人である市東さんの追及の一つひとつから逃げることができない。ついに「農業委としては所有権の移転は03年だと思っていたのだが……」と自分たちの認識が誤っていたことを渋々認めた。だとすれば当然審議はゼロからやり直しだ。
 1時間以上にわたる抗議・追及の後、市東さんと萩原さんは市役所1階ロビーで待機していた反対同盟・支援連の人びとと合流し、農業委の責任ある回答を要求したことを報告した(写真)。事務局長の北原鉱治さんが「正義はわが方にある。追及の手をゆるめず、NAAの不法・不当を暴きだしていこう」と総括した。

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週刊『前進』(2276号4面5)(2006/12/25)

日誌'06 12月6日〜12日

 空自のイラク派兵を延長へ

 「イラク研究G」が撤退提言

●「08年春に大半撤退可能」提言 米国のイラクをめぐる新たな戦略について、超党派の立場で検討を続けてきた有識者の集まり「イラク研究グループ」(共同議長・ベーカー元国務長官、ハミルトン元下院議員)が、08年春までにイラク駐留米軍の戦闘部隊の大半を撤退させることが可能だと指摘し、イラン、シリアとの直接対話も含め外交を活発化させるなどの提言をまとめた報告書を、ブッシュ大統領と議会に提出した。(6日)
●文民警官、PKO派遣へ 政府は、国連平和維持活動(PKO)「国連東ティモール統合派遣団(UNMIT)に文民警察官を派遣する方針を固めた。近く現地に調査団を派遣して治安状況を把握した上で、年明けにも正式に派遣を決定する。派遣人員は警察庁などから計3人程度。(6日)
●米国防副次官、憲法解釈変更迫る ローレス米国防副次官が、政府の憲法解釈で禁じられている集団的自衛権の行使とミサイル防衛(MD)をめぐり、「ミサイルが米国に向かうことが明らかで、日本がそれを撃ち落とせるのに落とさないのはどうかしている。そんなものは日米同盟ではない」と日本側に強い不満を伝え、憲法解釈の変更を迫っていたことが分かった。(6日)
●防衛庁長官、イラク戦争支持を否定 久間防衛庁長官は参院外交防衛委員会で、米国のイラクに対する武力行使について「日本は政府として支持すると公式に言ったわけではない。(小泉前)首相がマスコミに言ったということは聞いている」と述べ、イラク戦争支持は政府の公式見解ではなく、小泉首相(当時)の個人的見解との考えを示した。翌日「間違いだった」と訂正し撤回。(7日)
●対イラク新方針発表へ ブッシュ米大統領はブレア英首相との会議後の共同会見で、イラク情勢について「新たな取り組みが必要だ」と認め、超党派提言などを踏まえ新方針を発表する考えを示した。(7日)
●空自イラク派兵延長を決定 政府は、イラクで活動中の航空自衛隊部隊の派遣期間を、イラク復興支援特措法の期限が切れる来年7月末まで延長することを閣議で決めた。(8日)
●東アジアサミット延期に フィリピン政府は、日本を含むアジア、オセアニアの計16カ国首脳が参加する「第2回東アジアサミット」など、同国中部セブで11〜13日に予定していた一連の首脳会議を「台風による悪天候と重なるため」として、来年1月に延期すると発表した。これほど大規模な首脳会議の日程変更は異例で、会議を狙ったテロ計画説も出ている。(8日)
●「イラクで軍事的勝利できない」 15日に退任するラムズフェルド米国防長官が国防総省内で講演、イラク情勢について「駐留米軍は可能な限りのことをしているが、いわゆる軍事的な勝利はできない。和解や政治的プロセスを通じイラク人の手で勝利をかちとるべきだ」と述べた。(8日)
●普天間「開店休業に」 沖縄県の仲井真知事は、公約に掲げた普天間飛行場の3年内閉鎖の意味について、「イラク戦争時のような『開店休業』のイメージ」と説明した。宜野湾市長は「イラク派兵時も基地は使われ『開店休業』ではなかった。実態を分かっていない」と批判した。(11日)
●普天間移設、完成前倒しを検討 久間防衛庁長官は、在日米軍再編の焦点である米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設について、「(環境アセスメントが)3年かかるのを2年、工事を1年短縮するなど(工期短縮の)知恵を出すべきだ」と述べ、計画の前倒しを検討するとの意向を示した。同沿岸の環境調査については、来年にも着手する方針を表明した。(12日)

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週刊『前進』(2276号5面1)(2006/12/25)

 崩壊的危機深まる米帝の中南米支配

 メキシコ 南部で民衆蜂起“コミューン”

 ベネズエ ラチャベス大統領、反米路線を強化

崩壊的危機深まる米帝の中南米支配 裏庭で反米化FTAA挫折

 米帝の中南米支配が総崩壊の危機に陥っている。次々と親米右派政権が倒れ、中道左派あるいは反米左派政権が成立し、米帝を「包囲」している。もはや中南米は米帝の“裏庭”とは呼べない。米帝は、伝統的に自らの勢力圏としてきた中南米の新植民地主義体制を失いかねず、イラク戦争の敗勢と中東危機の深刻化が重なり、大ピンチに立たされている。
 昨年11月の中米ホンジュラスから中南米12カ国で続いた大統領選は、12月のベネズエラでのチャベス大統領3選で締めくくられた。中南米左傾化の流れは顕著だ。左派が勝利したのはウルグアイ、ボリビア、チリ、ペルー、ブラジル、ニカラグア、ベネズエラの8カ国だ。11月、80年代に米帝と対決したサンディニスタ民族解放戦線のオルテガ元大統領が復活した。エクアドルでも左派のコレア元経済相がバナナ大資本家に勝った。
 コスタリカ、コロンビア、メキシコでも左派系候補が健闘し、親米右派はかろうじて勝利した。メキシコでは左派大統領候補が「並行政権」を主張し、親米右派大統領と正面対峙している。
 中南米の反米・左傾化は、米帝の南北アメリカ勢力圏化の基本政策である米州自由貿易圏(FTAA)構想の実現を頓挫(とんざ)させている。
 米帝は94年にカナダ、メキシコとの間で北米自由貿易協定(NAFTA)を発足させ、それを中南米まで拡大しようとしてきた。だが、中南米の盟主、ブラジル・ルラ中道左派政権の農業輸出補助金問題を盾にとった抵抗にあい、2005年のFTAA発足に失敗した。代わりに米帝は2国間の自由貿易協定(FTA)を積み上げようとしている。今年4月、コロンビア、ペルーとFTAで合意した。
 これに対して95年、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ4カ国は南米南部共同市場(メルコスル)を発足させた。04年には南米12カ国がメルコスルとアンデス共同体を統合した南米共同体を発足させた。同共同体は自由貿易圏の実現などを検討する方針で、12月8―9日、ベネズエラに続く反米左派モラレス政権のボリビアで首脳会議を開催した。
 FTAAの頓挫は、欧州連合(EU)を拡大・深化させる独仏帝、中国を含む東アジア自由経済圏構想を進める日帝との争闘戦で米帝の位置を弱くさせる。米帝は、帝国主義の盟主、基軸国としての地位を維持するために、世界戦争戦略のもとに次々と凶暴な侵略戦争を発動し、世界を危機にたたき込む以外になくなっている。しかし、それは世界のプロレタリアート・被抑圧民族人民の反戦闘争、反米闘争の爆発、国際的内乱を必ず呼び起こし、革命的情勢を引き寄せる。
 中南米における一連の左派政権の誕生と親米右派の後退の背景にあるのは、米帝が主導するいわゆるグローバリズムと新自由主義政策の破綻(はたん)的な結果だ。
 ほとんどの中南米諸国は、80年代には親米右派軍事政権から民政に移行し、親米右派・中道右派政権が成立した。ところがこれらの諸国のほとんどが新植民地主義的金融的支配・収奪、政権の腐敗によって深刻な債務危機に陥った。

 IMF・世銀の指導で貧困化

 債務諸国は90年代後半、融資を受けるために米帝や国際通貨基金(IMF)、世界銀行の構造調整策に従った。融資条件として市場自由化政策が課された。「ワシントン・コンセンサス」だ。
 各国は、国有企業・公共サービス(水道も)の民営化(私企業への売却)や貿易の自由化、資本市場の自由化、規制緩和、労働条件の柔軟化、補助金カットなどを実施し、「小さな政府」をめざした。
 各国市場は世界を自由に動き回る資本に食い物にされた。仕事を増やし、所得格差や不公正が減ると約束されたが、国有企業を売り払った政府官僚が私服を肥やした。私営化された水道は、料金を大幅に引き上げた。労働者は料金が払えず水道が使えなくなった。社会保障は大幅削減の上に民営化され、困窮者は救済されなかった。
 世銀によると、中南米では今も4人に1人が1日2j以下で暮らしている。上位10%の富裕層が総収入の半分を占める。格差は激しく、貧困層の怒りは充満している。この状況を打破すべく登場したのがチャベスだ。

 石油資源国有化し貧困対策

 チャベスは高校卒業後、陸軍士官学校に入ったが、ゲリラ掃討の名目で農民を裁判なしで処刑する軍隊に疑問を持った。19世紀に南米北部をスペインから独立させた革命家シモン・ボリバルに心酔、同志を募った。
 92年、司令官となったチャベスはクーデターを起こすが、失敗し、投獄された。94年、恩赦で釈放。98年、「貧者救済」を掲げて大統領選に立候補し、貧困層の支持を受け圧勝した。
 ところが02年、米帝に支援された資本家階級とAFL―CIOが御用組合の「ゼネスト」を指導、軍の反チャベス派がクーデターを起こし、チャベス大統領を拘束した。だがチャベス派の労働者階級が蜂起し、クーデターを粉砕、数日で巻き返しに成功した。
 同年12月、石油公社の再度のストで国家財政が危機に陥った。翌03年1月、政府は石油公社の運営を開始した。石油を手中にしたチャベス政権は3月から懸案の貧困対策を本格的に開始した。
 それは▼キューバ人医師2万5千人を受け入れ、全国の貧民地区で無料医療▼150万人に識字教育▼大学教育希望者や中学未就学者への支援▼小学校の無料給食▼全国2千カ所に市価半額の生活必需品売り場メルカル開設▼女性グループへの起業資金向け低利融資――などだ。
 貧困対策は近年の石油価格の高騰、オイルマネーに支えられている。チャベス政権は、これまで富裕層が不当に独占してきた石油利権を奪い取り、労働者人民の生きる権利、働く権利、教育・医療を受ける権利を保障しているのだ。
 チャベス大統領は反米を軸に中南米の結束を呼びかけている。キューバやニカラグア、ボリビアなどとの協力が進めば米帝にとって「脅威」だ。

 国会で大統領就任式できず

 メキシコでは7月2日の大統領選でかろうじて“勝利した”親米右派のカルデロン大統領の不正に対して全土で抗議行動が起こった。12月1日、予定されていた国会での大統領就任式はできなかった。カルデロンの当選を認めない反米のオブラドール前メキシコ市長を支持する労働者人民が国会を占拠し街頭を制圧したからだ。
 他方、南部オアハカ州でも労働者人民の闘いが燃え上がっている。5月下旬以来ストライキを続けていた7万人の教職員組合の支部に対して6月半ば、反動的で腐敗した州知事が警察に襲撃させた。教育労働者を始め労働者人民はオアハカ人民評議会を結成し、蜂起、州知事を追い出し、コミューンの成立を宣言した。民衆は市庁舎、公共施設、ホテル、空港を占拠し、州政府への不服従を宣言、州行政は完全に停止した。
 10月3日、2万人の陸海空軍・警察が出動した。10月末、連邦警察がオアハカ市を制圧。11月末、軍・警察が市の中心を制圧したが、市と州の全体を支配しきれず、人民評議会は闘争継続を呼びかけている。決着はついていない。
 チアパス州では94年1月NAFTA発足に合わせて蜂起した反米左派ゲリラ・サパティスタ民族解放軍が存在している。
 カルデロン新政権による安定支配は当面ありえない。メキシコ危機は米帝危機、NAFTA危機に直結している。
 (藤沢明彦)
(写真は、チャベス大統領の演説に沸き立つボリビアの民衆=12月10日)

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週刊『前進』(2276号5面2)(2006/12/25)

 黒田の死とカクマルの衰滅

 教基法改悪阻止に敵対し国会前で無様な姿さらす

 黒田なき中枢矛盾が爆発へ

 播野隆

 「いい写真とれたか? よし撤退!」

 カクマルの唯一にして絶対的指導者であった黒田が死亡し、その黒田に取り残されたカクマルが10月15日、追悼政治集会を開催した。約3カ月かけて全力で全国からかき集めたカクマルという小集団、小世界が「唯一の前衛党=カクマル」として自己存在を確認し、組織の存続を必死に追求したものである。
 ちなみに実数を2〜3倍して発表するカクマル発表で2200名の結集とある。黒田が権力に追及されて表向き議長を退いた96年のハンガリー革命40周年政治集会は3200名の発表であった。カクマル自身が10年間で1000名の減少を自認している。すでに政治的組織的影響力を失い、衰滅の道を歩む黒田なきカルト組織カクマルにもはや未来はない。
 このカクマルが、参院での教育基本法改悪をめぐる闘いが決戦状態となったただ中で国会前に登場した。だが教育労働者がハンストをもって必死で闘っている国会前で、カクマルはその反動性を完全に暴かれた。
 11月10日、首都圏の学生を動員して国会前に登場したカクマル学生部隊は、絵コンテをもったカクマルカメラマンに配置を指示されて写真撮影を行った。そして隊長がカメラマンと「いい写真撮れたか?」「撮れた」などと会話し、「よし撤退するぞ」というかけ声とともにたちまちにして国会前から消えてしまったのだ。『解放』には国会前にカクマル学生しかいないかのような写真が掲載されている。これがカクマルの「闘争」なのである。
 そもそもカクマルは、現行教育基本法に基づく教育制度を「ネオ・ファシズム的に再編されてきたとはいえ遺制として残っているブルジョア民主主義的諸制度」と言い切り、その最後的解体攻撃が教育基本法改定だとしている。つまり、現行教育基本法自体がすでに再編されたネオ・ファシズム社会の中で中身のない遺制になっているという立場に立っている。だから、カクマルには教基法改悪阻止を闘う必要性などまったくないのだ。
 にもかかわらず教育労働者を先頭とした教基法改悪阻止闘争が爆発し始めたために、カクマルは急きょ国会前に写真撮影に行かざるをえなくなったのである。まさに闘いを妨害するための登場以外ではない。教基法改悪反対闘争の爆発に追い詰められ恐怖したカクマルの姿がそこにある。

 「追悼政治集会」が示した組織的危機

 10・15カクマル政治集会は、わが革共同から黒田とともに脱落した西條武夫と朝倉文夫が共同司会を行い、黒田指名の議長・植田琢磨が追悼の辞を述べた。その後にカクマルの実権を事実上掌握している議長格の前原茂雄が第1基調報告を、書記長格の柳葉真弘が第2基調報告を行った。
 植田は自らを「扇の要」と言い、政治指導、組織指導はできないが、大衆的存在においてあくまで自分が議長であると強調している。
 前原は“1956年ハンガリー革命における黒田の営為を追体験せよ”と56年の黒田の“偉大さ”をたたえ、解釈を行っている。黒田とカクマルの歴史はどこまで行っても1956年で止まっているのだ。前原は「黒田は現代のマルクス」とまで言って神棚に祭り上げ、「世界でただ一人」の黒田と、それに導かれてきたカクマルとしての幸福(選民性)を強調し、それに依拠したカクマル組織建設を必死に提唱している。そこでは異様なほど何度も「唯一の前衛党」を繰り返している。
 前原という人物は、73年当時書記長であった朝倉が、われわれの革命的鉄槌を浴びた「なでしこ問題」以降、カクマル謀略論も含めた組織指導を一貫して担ってきた。つまり黒田・松崎が決断した、中曽根の国鉄分割・民営化攻撃の先兵化方針を全力で推進した責任者の一人、反プロレタリア的人物が前原なのである。
 また前原は、その後の賃プロ問題の発生とその粛清の全過程に最高指導部としてかかわった、無責任な黒田のエピゴーネンである。そして特筆すべきは、JR総連派カクマルとの分裂・離脱−総破産の際の、黒田のもとでの直接の責任者であったということだ。すでに破産した指導部なのだ。
 この前原については、“前原は黒田と同じように偉大だ”という前原礼賛運動が、03年3・16カクマル派集会以降、黒田の実質上の死という中で組織された。通常そうした場合、前原が議長になるべきなのだが、黒田が最後まで認めなかったということである。
 柳葉は、今回の集会で情勢分析的提起を行っている。実は、1年半ぶりに06年新年号に登場した植田が、その時も今回もいずれも柳葉の論文をなぞるだけの発言をしている。柳葉は植田の陰の指導者なのである。
 柳葉なる人物は、ソ連起動力論をとってきた黒田のえせ「反帝・反スターリン主義論(=実は容帝・反共主義論)」が、89―91年のスターリン主義の崩壊によって大破産して以降、黒田が「民族=宗教戦争」論なる文明相克論へ傾斜し、カクマル世界認識が大混乱=ジグザグを繰り返す中で、ブルジョア・マスコミを後追いし、事態を糊塗(こと)してきた。世界は“三極構造だ”とか、“台形構造になった”とか、今度は“新三極構造だ”などと、くるくる変わるペテン的言辞を繰り返してきたデマゴーグなのである。
 柳葉は、帝国主義諸国が自国の権益の確保のために勢力圏をめぐって激しい争闘戦を展開していることをまったく認識できない。結局今また「米中新対決論」などと、80年代にとっくに破産しきった「アメリカとソ連の東西対立論」の焼き直しへと舞い戻っている。
 黒田は、数年前に「わが党が後継者そのものである」と言った。本来なら議長に据えた植田を公式に「後継者」とするべきなのにそうはしていない。「議長」に指名しておきながら黒田に代わる人物を黒田はけっしてつくらなかった。

 後継者ではない議長とは?

 植田は96年当時、カクマルによるJR列車妨害を追及した権力が黒田に的を絞った際、責任を逃れる「弾よけ」として据えられた人物である。いまだに「理論」も政治的組織的力もない植田を、カクマルは「植田議長を先頭とする政治組織局の指導のもとに一致結束」などと言葉の上では押し出している。
 しかし実体とかけ離れたこの体制は、カクマル指導中枢の最大の弱点であり、カクマルが組織分裂の危機を絶えず内包していることを示すものである。特にこれまで大事件に際して黒田の直観をもって謀略論を決裁してきたカクマル組織が、黒田なき今、誰の直観で謀略かそうでないのかを決裁するのか? これひとつとっても、激動する世界情勢の分析をめぐって大混乱し、組織問題化することは明らかだ。

 労働者自己解放と無縁のカルト組織

 カクマル組織はどこまでいっても黒田という人格によって一元的に指導・支配されてきた組織である。マルクス主義を掲げながらそれを反革命的に改作した黒田の思想、理論、路線から発しないものは何ひとつない。それにとどまらず、カクマルは「思想=組織的同一」を超えた「人間的同一」を求めると言う。黒田という人格に限りなく同一化=一体化することを強制し、目的とするカルト的な集団である。
 会議で「朝起きたらまず黒田の本を声を出して読め」という指導が大まじめで行われ、そして実際「声を出して読んだら元気になった」というカクマル組織員の感想文が『解放』にあふれている。それを黒田が聞く(点検する)というのである。〔なお黒田は声を出して読むことを遺言として残した〕
 そのカクマルの「人間的同一」を求める人格が不在となった今、黒田によって創始された「唯一の前衛党」のもとにいた自分たちカクマルは幸せであり、その「唯一の前衛党」組織を守り拡大する、としたのが10・15黒田追悼集会での「確認事項」である。
 マルクス『共産党宣言』は、共産主義者の党は「特別な党ではない」と述べている。「革命的マルクス主義」を掲げたカクマルは、自らを「黒田の党=特別の党」であると繰り返し強調している。まさにカクマルは『共産党宣言』とはけっして相いれないファシスト組織である。黒田追悼集会は、6000万労働者階級の大地からかけ離れた正真正銘のファシスト集会である。

 革共同第6回大会が壊滅打

 黒田の歴史的破産とその残骸(ざんがい)化については、2001年のわが革共同第6回全国大会で完全に暴き尽くされている。6回大会では革命的内戦の勝利の地平が確認された上に、黒田の綱領、路線、組織論なるもの、そして何よりも黒田哲学への全面的批判がなされた。
 黒田カクマルは、そのどれに対しても一言の反論もなしえなかった。10・15追悼集会でも、これらについて一言も触れないで終始している。いまだに前原は「黒田哲学は『実践的唯物論』だ」などと言い、“「実践的唯物論」を掲げた観念論だ”との革共同の理論的暴露に一言も反論しえないありさまである。
 黒田「組織現実論」の破産にしても同様である。柳葉が「わが同盟のみならず日本労働運動の戦闘的部隊・戦闘的労働組合」などと語るJR総連カクマルは、カクマルからすでに分裂・離脱し、資本の労働者支配の奴隷頭として腐敗を深め、黒田組織論そのものが現実に破産しきった物証となっている。
 カクマル組織は、かつて拠点と称してきた沖縄組織の分裂、学生戦線での早稲田大の失陥などが起き、今や文字どおりすべてが“虚点”となってしまい、見る影もない。
 また重要なことは、組織内暴力と謀略論作りの実行部隊である白色テロ暴力装置=非公然軍事組織が、黒田の「神戸謀略論」運動の破産の中で、権力に全面投降=自首・自壊してしまい、内部テロを柱とするカクマル組織建設の存立条件を失ってしまったことである。
 この全面破産した自己の現実を黒田自身が表白したものこそ、黒田の遺作である『自撰 黒田寛一歌集 日本よ!』でうたいあげた世界である。
 日本帝国主義の前に屈服し、その配下となって日本の美をたたえ、国家主義者となった黒田は、「過ぎ去りし悪夢のごとき半世紀」「扉あけむとしたれども巌(いわお)うごかず」「夢やぶれ〜荒(すさ)びし心に風吹きぬける」などと慨嘆し、自らの総破産を自認して滅び去った。まさに「革命家」をかたったファシストは、自ら恥多き死としか言いようのない姿をさらしたのだ。

 激動の現代世界とカクマルの総破産

 日本帝国主義は、北朝鮮の核実験(10月9日)やミサイル発射実験(7月5日)に際して、独自の制裁案を早々と発表するのみならず、自らのイニシアティブで国連安保理制裁決議採択に奔走した。
 これは、米帝・ブッシュによる軍事力を使った帝国主義間争闘戦の展開の中で、日帝が日米同盟の強化を全面的に推進しながら、他方で戦争に訴えてでも朝鮮・中国−東アジアでの自己の帝国主義権益を守り拡大しようとする立場からの積極的行動としてある。
 日帝・安倍政権は、北朝鮮侵略戦争の発動を決断している。その遂行のために、国内支配体制の構造的転換をかけた戦争国家づくり、国家改造の攻撃を行っているのだ。集団的自衛権行使の合憲化策動、教基法改悪−改憲、共謀罪新設、防衛庁「省」昇格など、すべてこの戦争を実際に遂行する観点から進めている。戦争をも辞さない日帝の体制的危機という点をけっしてあいまいにしてはならないのだ。
 これに対しカクマルは、安倍政権を「小泉以上に“対米盲従(ママ)”」と言い、「米帝の属国」などと相変わらず主張している。日帝の改憲攻撃に対しても、「ブッシュ押し付け憲法」と繰り返し、“戦後憲法はマッカーサーに押し付けられた憲法だったが、改憲の新憲法はブッシュに押し付けられたものだ”とし、“だから改憲に反対”としている。安倍や右翼もびっくりするような国粋主義からの「反改憲」論である。これではブッシュの代が終わったら改憲攻撃はなくなるかのようである。
 また、北朝鮮の核実験に対する経済制裁の発動と臨検を機とした米日帝の北朝鮮侵略戦争の危機に対し、さすがにカクマルも「対北朝鮮臨戦態勢の恒常化」などと口にし始めた。
 だがよく読んでみると、これはあくまでも侵略戦争のための臨戦態勢化ではなく、6者協議への圧力としてのものということなのである。“米日帝がけっして北朝鮮侵略戦争を具体的には行わないことを前提とした臨戦態勢の恒常化”なのだ。このインチキ性と侵略戦争に反対する闘いへの武装解除は絶対に許されない。
 そもそもカクマルはこれまで「朝鮮侵略戦争は中核派の捏造(ねつぞう)」などと主張し続けてきた。その立場が現実の国際情勢を前に完全に粉砕されているのだ。
 カクマルは、米帝のイラク軍事占領のもとで初めて成立が可能となっているマリキ政権を、イランと同じシーア派であるという一点で支持している。これでは米帝と同じ立場となるとして、あたかもこの政権が反米政権であるかのようにデマを流している。だが、反米ゲリラ戦闘を闘っているスンニ派を米軍と一体となって殺害して回っているのが、マリキ政権ではないか。
 黒田・カクマルは、開戦当初から「シーア派シスターニ師の熟柿(じゅくし)戦略」などとほめ上げ、帝国主義の侵略と闘うムスリム人民に敵対し、米帝のかいらい政権に期待を寄せてきた。だが今や激烈な内戦状態に陥ったイラク情勢を前にして、米帝ブッシュとともに完全に行き詰まってしまっているのだ。

 ファシストを打倒しよう!

 カクマルにとって、資本主義社会(帝国主義)の打倒など何の関心もないことである。彼ら自身、「現代革命の本質はまさに人間変革にこそあるという黒田さんの『哲学』」「わが組織はまさに『人間変革の場』そのものである」などと言い、帝国主義支配体制の打倒=変革という立場など皆無であることを告白している。
 労働者の貧困(ワーキング・プア)、使い捨て、人間性抹殺という帝国主義が強制する現実を労働者階級自身が革命によって変革し自らを解放するのではなく、黒田に依拠して自己救済を図るのがカクマルである。
 われわれは「党の革命」をやりぬき、「党は階級そのものである」という立場を確立した。党は、労働者階級の階級的利益を守り、帝国主義を打倒して労働者階級自身と全人民を解放するための組織であり、それは労働者階級人民が自らの自己解放的決起で帝国主義を打倒するためのものである。
 逆に彼らは「唯一の前衛党」を掲げて、闘う労働者に敵対し、運動を分断・破壊・襲撃するファシストである。まさにわが革命的内戦による勝利と、その土台に立った5月テーゼ−新指導路線における労働者人民の総決起、階級的力がこれを粉砕したのだ。労働者の自己解放的運動の前進こそファシストカクマル組織を衰滅に追いやってきた最深の根拠である。
 今、カクマルは絶対的党首=黒田の死で衰滅を深め、ついに労働者人民による包囲の中で階級的鉄槌を受けて死滅する道へと歩んでいる。
 4大産別決戦に勝利し、闘う労働者による組合権力奪取を実現しよう。動労千葉労働運動を実践しよう。教基法改悪阻止決戦―改憲阻止決戦に敵対するカクマルを粉砕しよう!

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週刊『前進』(2276号6面1)(2006/12/25)

団結ひろば 投稿コーナー

 11・5の発言者の思いに学び新たな一歩を 愛媛 藤本三郎

 病気療養のため、11月労働者集会に参加することができませんでした。これまで何があっても必ず参加すると決めていたのに本当にくやしい思いです。しかし、労働者集会に行けなかった分、集会の内容を伝える、『前進』の記事や報告集を何度も読み返し、発言者のその一言一言に込められた思いに必死になって学ぶことができたように思います。集会現場での高揚感は体感することが出来なかったけれど「11・5」がなんであり、どこに向かっているものなのか、私なりに分かったように感じています。
 「11・5」は、私たちの闘いの重要な「集約点」であり、「総括軸」でもあると同時に、ひとつの「通過点」であること。それはまた、階級闘争という「大地」の「温度計」としてもあるということ。革命をめざし、蜂起を準備するために、今「なにをなすべきか」を捉え返す「場所」としてあること、それは蜂起の「司令部」としてのソビエトの萌芽(ほうが)であり、マルクス・レーニン主義を復権する「第5インター」への展望でもあります。いろいろな側面が見えてくればくるほど、今現在の私たちの任務が鮮明になってきます。私自身の職場の仲間に対する向き合い方が、大きく変化していることを感じています。
 「11・5」は私たちにプロレタリア革命に勝利する真っ直ぐな道筋を示しています。しかし、その道筋を示すことと、実際にその道を歩むことは、必ずしも同じではないこともまた事実でしょう。闘うがゆえに生まれる矛盾と対立、動揺と逡巡、ジグザグや迂回や後戻り…。それでもやっぱり、革命への道はまっすぐに伸びる「大道」なのだということを「11・5」は教えてくれているように思われます。
 もうひとつはっきりしたことは、私たちは「階級的力関係の変動」のために闘っているのではなく、ブルジョア民主主義のウソを暴き出し、ブルジョアジーの支配を打倒して、プロレタリア独裁をかちとるために闘っているのだということです。生きて生きて生き抜いて、闘って闘って闘いぬく以外にどんな決意が必要でしょうか。
 全国連に結集する1人の部落民として、「身分的差別を受けた労働者階級の一員」として、私自身の闘いの発展が、すべての部落民、すべての労働者の闘いの発展の条件になるような、新たな一歩を踏み出す決意です。

 カットモデルに行き労働者の状況に直面 学生 河北まりも

 美容室代を浮かせるためにカットモデルへ行きました。仕上がる最後の方になって美容師さんがこんなことを話してきました。以下会話です。
 「カットモデルやってると、見習いに思われるんだけど、そうじゃないんだ」
 「じゃ、スキルアップのためにやってるんですか?」
 「うちの美容室ね、カット代が高いのよ。5500円。それでカットモデルをやってくれたお客さんには次回から3000円で切ってるんだ。それでもう100人以上も切ったよ」
 なるほど。この人は客寄せのためにただで切ってるんだ。大変だな。
 そして帰る頃に、「うちの美容室さ、みんな薄情だから帰っちゃうんだよね。他の店だったら手伝いがあるからね。今日も2時間かかったけど手伝いあれば1時間半でできるんだ」と冗談まじりで言った。
 お店の客寄せのためにこの人が仕事が終わった時間からただで髪を切っているんだ。カットモデルと称して、客寄せのためにこの人が一人で抱え込んでいる。
 ただで切ってもらおうと気軽に行った美容室で、労働者に責任を押し付けたり、仲間同士で分断されている状況に出会ってしまった。

 保安処分病棟建設に反対しビラまき行動 兵庫 吉村隆生

 12月7日、関西の医療観察法=保安処分病棟建設法に反対する有志は大阪枚方市にある大阪精神医療センターへの保安病棟建設に反対し抗議のビラまきを行いました。全国で保安病棟が180床建設されている中で、関西ではまだ1病床も建設されていません。奈良県の国立病院機構松籟荘病院での建設が私たちや地元住民の強固な反対で頓挫したままだからです。
 関西では近くに入院病床がないから遠くの病院では家族の面会も妨げられ社会復帰が進まないという理由で強制入院の判定がでないケースがいくつもあります。その中で自治体病院として3つ目に大阪精神医療センターに白羽の矢が立ちました。しかも姑息(こそく)なことに全面建て直しの一環として建設するというのです。厚生労働省が、とにかく建設したらよいとする中でわずか5床の新病棟です。これでは厚生労働省が言う「手厚い医療」でさえなくなります。厚生労働省は「保安処分ではない」という言い逃れの中で、「手厚い医療を施す」ことを理由にあげました。厚労省は、その言い逃れさえなりふり構わず投げ捨てているのです。
 私たち関西の「精神障害者」と労働者は、最寄りの京阪枚方市駅での抗議のビラまきに決起しました。市民の反応は極めてよく、ある市民はスピーカーの音が自分の方に聞こえにくいから、もっとこっちへ向けてほしいと言ってきました。1時間あまりで500枚のビラをまき、松籟荘病院に続き大阪精神医療センターでも建設を阻止しようと訴えました。

 立川駐屯地に自衛隊撤兵要求し申し入れ 東京・三多摩 中原一朗

   

12月9日、「とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会」と「とめよう戦争への道!百万人署名運動三多摩連絡会」が、陸上自衛隊・航空自衛隊東部方面隊立川駐屯地に対する申し入れ行動に立った(写真上左)。立川駐屯地からは、当直司令の白井一尉が応対に出た。
 三多摩連絡会の代表は、「イラク侵略戦争は、アメリカ石油資本による中東石油の独占支配をかけて行われた不正義の戦争だ。安倍政権は自衛官の命を紙切れ同然にしか考えていない」「北朝鮮に対する船舶検査活動への自衛隊の参加は戦争行為そのものだ。自衛官は朝鮮人民に銃を向けてはならない」「自衛官も憲法9条改悪反対の声をあげよう。いま国会前では、多くの教育労働者が『教え子を戦場に送るな』と教基法改悪反対に体を張って立ち上がっている。自衛官もともに立とう」と訴えた。
 続いて反戦自衛官の小多基実夫さんが、「日本においてイラク戦争の犠牲となっているのが自衛官とその家族だ。派兵された隊員には『精神障害』や米軍が使用した劣化ウラン弾による内部被ばくの危機が進行している」「サマワの民衆から石をもって追われることになった第10部隊・東部方面隊は、なぜコソコソと隠れるように帰国せざるを得なかったのか。小泉、安倍には戦争放火者として説明責任がある」「自衛官は労働者の仲間だ。労働者としてのすべての権利を認めることを要求する」と訴えた。
 日帝・安倍政権は、パトリオットミサイルの実戦配備など、北朝鮮侵略戦争に向けた準備を具体的に進めつつある。今こそ自衛官をわが労働者の隊列に獲得する大チャンスだ。労働者の闘いをどんどん隊内に向け訴え、自衛官を獲得する宣伝・扇動に打って出よう。
 これに先立ち、11・5全国労働者集会当日の午前中、「とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会」は、防衛庁に対する申し入れを行った(写真上右)。海上・航空自衛隊のインド洋〜イラク戦線からの即時・全面撤退を要求し、また安倍政権の核武装策動や朝鮮侵略戦争策動を強く弾劾した。

 空中給油機配備反対小牧基地に抗議行動 愛知 F

 11月26日、東海3県の「とめよう戦争への道!百万人署名運動」主催の小牧基地申し入れ行動を行いました。地元を中心に東京、関西からも代表が参加し、総勢35人が「イラクから航空自衛隊は撤退せよ」「小牧基地への空中給油機の配備を許すな」の訴えを全力で行いました。(写真)
 いま小牧基地をめぐる情勢は非常に緊張したものとなっています。それは、イラクへの自衛隊C130輸送機の派兵延長に加えて、来年の2月には「空中給油機の配備」が予定されているからです。この空中給油機の配備は、北朝鮮侵略戦争を想定したものであり、戦闘機の航続距離を伸ばして、その攻撃能力をたかめようとするものです。
 この日の行動は、基地司令への申し入れを東京・関西・愛知・三重・岐阜の5団体が行い、基地正門前で集会を行いました。小牧市民からの「小牧基地を世界の侵略戦争の基地にしてはならない。解体するまで闘う」という発言は、基地内に響きわたりました。それから労働組合として「ス労自主」と「笹日労」から発言があり、この中で「石油は軍事物資だ」と指摘があり、労働者としての戦争協力拒否の断固たる表明でした。また関西からの「全国闘争として闘おう」という訴えは、全体の方向性を決定するものでした。
 最後に、愛知の百万署名運動を代表して桐村剛さんから「最も闘うものが、必ず多くの人たちを結集することになる」との檄が発せられ、参加者全員が小牧基地闘争の決意を新たなものとしました。

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週刊『前進』(2276号6面2)(2006/12/25)

 社会保障解体に反撃を

 保険証奪われ受診抑制で死者

 医療・介護・税〜相次ぐ負担増

 今年の通常国会で医療制度改悪が強行され、7月1日、10月1日と順次施行される中で社会保障制度解体による労働者人民の生活破壊が激しく進行している。中小医療機関は経営危機に見舞われ、医療現場には合理化攻撃が激しくかけられている。また、膨大な人びとが医療、介護を受けられなくなっている。日帝ブルジョアジーが生き残るために労働者人民に一切の犠牲を強制する攻撃である。4大産別を始め労働組合・労働運動を全面解体して教育基本法改悪から改憲、戦争へと突き進もうとしている帝国主義打倒へ、階級的労働運動の新潮流が最先頭で闘い抜こう。

 破壊されている国民皆保険

 国民健康保険の保険料が払えず、無保険者となった世帯が05年段階で32万世帯に上った。これは00年の3・3倍、10年前の6倍である。保険料を滞納している世帯全体は470万にのぼる。
 00年度からこのように無保険者が増えた原因は、賃下げ、非正規雇用化で労働者の収入が減少しており、また介護保険料や税金値上げなど税負担が急増していることによる。しかも、その上で政府が自治体に対して1年以上の滞納者に対する資格証明書の発行を義務づけたことが大きい。それまでは1年以上滞納していても保険証を発行していた自治体が、短期の保険証すらも発行しなくなったのだ。
 資格証明書は被保険者としての「資格」はあるが「受益権」は停止されるというもので、医療を受けたときに治療費は全額自己負担で払わなければならない。後で手続きをすれば保険者負担相当分が返還されるが、保険料を払えない人が、病気になって全額自己負担することは困難であり、病気になっても受診をあきらめざるをえなくなっている。すでに受診抑制で死に至ったケースが21例も明らかになっている。これは、受診抑制の末、病状が悪化して病院に運び込まれ、死亡にいたった例であり、病院に運び込まれず自宅で孤独死した例がどれほどに上るかは計り知れない。
 今年4月の診療報酬改定と7月、10月の医療制度改悪の実施で、労働者人民から医療を奪う大変な事態が進行している。

 改悪ポイント

 政府が現在進めている医療制度改悪のポイントは、@今年4月に実施された診療報酬改定で、総額で3・16%引き下げ。政府はこれによって約6000億円の医療費圧縮を見込む。A健康保険の医療費自己負担額の見直しで高額療養費の自己負担限度額の上限を引き上げた(10月実施)。B70歳以上の現役並み所得者の自己負担割合を2割から3割に引き上げた(10月実施)。C70〜74歳の自己負担割合を1割から2割に引き上げる(08年4月)。D乳幼児に対する自己負担減額の対象年齢を拡大する(08年4月)。そしてE新たな高齢者医療制度を創設する(08年4月)などである。
 診療報酬改定では、リハビリが制限されたことが大きな問題を引き起こしている。リハビリの制限は、早期リハビリを従来の1・5倍認めた一方、脳血管疾患は発症や手術から180日、運動器疾患や心筋梗塞(こうそく)によるものは150日、呼吸器の病気は90日と上限を定めた。
 リハビリを打ち切られたために、その後病状が悪化し、再入院せざるをえなかったり、死期を早めるケースがすでに相次いでいる。政府は、介護保険でリハビリを受ければよいと主張するが、介護保険のリハビリは医療リハビリとは内容も施設も違うものであり、医療的な要求を満たすことはできない。ある病院の例では、4月以降320人がリハビリを打ち切られ、そのうち30人は介護保険の通所リハビリに移ったが、残る290人は行き場を失った。

 病院の統廃合

 診療報酬改定ではさらに、看護師の配置数により入院基本料が割り増しされる配置基準が変更された。新基準で新たに7対1の区分Aを設け、診療報酬点数が15対1未満の区分Eとは3倍近い差となっている。これによって看護師の争奪戦が起こっている。これは単なる看護師の争奪戦ではなく、病院の統廃合を含めた医療制度の大再編を狙ったものである。
 厚労省は今年5月、医療制度改革の「基本的考え方」を示し、医療費適正化として@生活習慣病の発症抑制、A医療機関の分化・連携などによる再編、B入院日数の短縮と在宅医療・介護への転換を進めるなどを打ち出した。これによって医療費を7兆7千億円削減しようというのだ。
 この方針の下で今年4月1日から入院基本料が大幅に減額された。これによって病院は入院期間の長い患者の退院を求めるという病院からの追い出しが広範に起こっている。さらに10月から入院時の居住費、食費が自己負担化されており、患者は入院期間が長くなれば費用の負担が困難で病院から出て行かざるをえなくなっている。厚労省の麦谷医療課長は、「医療の必要のない人は他の施設に移ってもらうために、(療養病床の入院基本料を)恣意的に引き下げた」とあけすけに語っている。
 政府は医療制度改悪で現在38万ある療養病床の内、25万の医療療養病床を15万に削減し、13万の介護療養病床はすべて廃止するとしている。これは、患者の追い出しであると同時に、医療機関に対しても弱体な病院を切り捨て、統廃合を大々的に進める政策である。

 公立の民営化

 その中で一般的な中小の病院が重圧を受けているということだけでなく、自治体が運営する病院も再編・統合の波にさらされている。また、自治体病院の側でも調理などの部門を民間委託に移し、労働者に犠牲を転嫁する形で生き残りをはかる動きが強まっている。患者や労働者を犠牲にしながら民間資本の大病院が利益を拡大していく構図がつくられているのである。
 医療機関の再編・統廃合のテコとして、診療報酬の改定と看護師配置基準の変更が行われた。看護師配置基準の変更で激しい看護師の争奪戦が起こっており、弱体な病院の経営が困難に陥る事態になっている。さらに、もう一つ重大な問題が起きている。看護師が都市部の病院に偏ることによって地方の医療が崩壊の危機に陥る情勢が生まれているのだ。

 施設を追い出される高齢者

 厚労省は、「入院日数の短縮と在宅医療・介護への転換を進める」としているが、病院を追い出された人たちの行き場はどうなるのか。ところが介護施設においても入所者の追い出しが進められているのだ。
 介護保険では昨年10月に特別養護老人ホームや老人保険施設、介護療養病床の入所者から食費全額と居住費の徴収が強行されている。このため、複数部屋で月3万円、個室では月5万円の負担増になっている。合計の支払いは6万〜10万にもなる。国民年金の収入は4万〜6万円という層が多く、とても払える金額ではない。経済的負担が困難なことから介護施設を出なければならないケースが全国で続出しているのだ。
 介護保険は今年4月に大きな制度改悪が行われた。高齢者の保険料は全国平均で24%もアップし、基準月額が4090円になった。その一方で要介護度で要支援1、要支援2という新たな段階が設定され、これらの人は「予防給付」という規定の下に、ヘルパー派遣がそれぞれ週1回、週2回と制限された。
 それだけではなく、要支援1、2の人が、サービスを受けられないケースが相次いでいるのだ。原因は、ケアマネージャーの担当人数が制限された上、軽度の人については報酬額を大幅に引き下げられたため、ケアマネージャーが軽度の人のケアプランづくりを敬遠しだしたことによる。介護保険では要介護度の認定が総体的に低く認定されるようになっている。認定が下げられることによって受けられるサービスがより制限されているのだ。利用者400万人の内要支援1、2が4割を占めている。この人たちが、ケアプランを作成してもらえないためにサービスを受けられない状態がつくられているのである。「保険料を払えば、安心して介護サービスを受けられる」といううたい文句もまた、まったくのウソだったのだ。
 先述の介護保険料の値上げも高齢者にとって大問題である。月4万〜5万円の年金で暮らす高齢者にとって月々3千円、4千円という負担は死ねと言うに等しいものだ。国民健康保険の保険料引き上げと重なってこれが襲いかかっている。
 「障害者自立支援法」の実施も絶対に許せない重大な問題である。実施によって法の中身がより明らかになって、「障害者」の怒りが爆発している。実施1年を迎えた10月31日、1万5千人の「障害者」の怒りのデモが国会周辺を席巻した。

 低所得者に増税の追い打ち

 

さらに今年から税制改正によって住民税・所得税の増税が行われた。特に高齢者については年金所得控除の切り下げ、老齢者控除、非課税措置が廃止された。65歳以上の年金生活者で266万6千円以下の年金では非課税だったものが、単身者で155万円以上、控除対象配偶者があっても211万円以上は課税となった。非課税措置の廃止は、総所得が125万円以下は非課税とされていたのが廃止された。しかもこれによって住民税非課税であることで適用されていた控除や助成措置が受けられなくなり、2重3重の負担増となる。
 日帝は財政危機を理由に「構造改革」を掲げてこうした社会保障解体を推し進めてきた。特に、その突破口として位置づけられたのが介護保険制度の導入であった。介護保険は、「介護を社会で担う」というまったくウソの美名のもとに、国の社会保障の義務を投げ捨て、労働者人民の負担に転嫁するものであった。特に06年医療制度改悪は社会保障解体の本丸に手を付けたものである。
 日帝の財政危機は、国債残高が827兆4805億円にまで上っていることにある。日帝は、この財政危機をも恫喝材料に使いながら、社会保障解体を進めてきている。
 その一方では、資本に対しては大幅な所得税減税を行ってきた。大資本は90年以降の相次ぐ法人税の引き下げで、累計160兆円もの減税を手にしている。その上、日本経団連の御手洗会長は11月13日の記者会見で、法人税を「30%をめどにして考えるべきだ」と主張した。現在約40%の標準税率を10%下げろというのだ。これによって4・4兆円の追加減税になる。日帝は、介護保険料、健康保険料、住民税、所得税とこれだけ値上げし、負担を強制しながら、資本にはさらに減税しようとしている。その一方で消費税の引き上げまで画策している。
 大資本は、労働者に対しては、賃金切り下げ、非正規雇用化の攻撃をとことん推し進めながら、過去最高の収益などと言いつつさらに減税を要求しているのだ。
 日帝の社会保障解体攻撃に対する怒りを労働者の現場から組織しよう。日帝・安倍政権の教育基本法改悪、憲法改悪による戦争国家体制づくり、イラク・アフガニスタン侵略戦争参戦から朝鮮侵略戦争へと突き進もうとする攻撃は、労働者階級の生活と権利を一切破壊しようとする攻撃とまさに一体である。労働者人民は帝国主義を打倒する以外に生きられないところにきているのだ。労働者階級の総決起で日帝・安倍政権を打倒しよう。
 〔柿坂信二〕
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医療・介護制度改悪の経過

1980年代 中曽根第2臨調で行革攻撃
1983年  老人保健法で老人医療に一部負担金を導入
1984年  健康保険10割給付が崩され本人1割負担に
1990年代 一部負担金の増額、健康保険本人負担が2割に
2000年  介護保険制度創設、社会保障制度の改悪の突破口
 同年  厚労省が国民健康保険料の1年以上滞納者の資格証明書発行を義務づけ
2002年  老人医療費1割負担の徹底
2003年  健康保険本人負担3割に
2005年  障害者自立支援法施行。1割の利用料導入
2006年  介護保険制度に予防給付を導入。保険料大幅引き上げ
 同4月 医療制度改革のための診療報酬改定
 同6月 医療制度改革関連法が成立
 同10月 現役並み所得の70歳以上の医療費を2割から3割に。療養病床70歳以上の食費・居住費を自己負担に

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週刊『前進』(2276号6面3)(2006/12/25)

 法大弾圧 3学生の再勾留延長弾劾

 12月15日、東京地方裁判所は、東京地検の請求に応じ、11月29日に法政大学で不当逮捕し勾留中の3人の学生に対し、5日間の再勾留延長を行うことを決定した。徹底弾劾する。
 10日間の勾留の上に5日間延長し、今回さらに5日間再延長した。これは、起訴する事実などまったくないのに、とにかく身柄を拘束し続けるということであり、絶対に許せない。3人の学生は無実であり、即時釈放すべきである。
 そもそも学生たちは、法大生5人に対する退学・停学処分に抗議し、処分を撤回させるために学内で闘っていたのだ。これに対して法大当局と警視庁は、100人を超える警官を待機させ、警備員が自分で転んだことを合図にキャンパスに突入し、3人の学生を暴力的に連れ去った。何が「建造物侵入」「傷害」か! 大学当局・権力が仕組んだ学生運動つぶしの大弾圧である。
 だが、危機を深め、闘いの永続化に悲鳴を上げているのは法大当局と権力だ。学生たちは何年でも闘い、処分を撤回させる決意を固めている。闘う法大生と連帯し、不当処分粉砕へ闘おう。3学生の即時釈放かちとれ。

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週刊『前進』(2276号6面4)(2006/12/25)

 獄中の星野さんに年賀状を

☆送り先 徳島市入田町大久200―1 星野文昭様
(星野さんからの発信は制限されています)

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