ZENSHIN 2008/05/26(No2344 p06)

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第2344号の目次

全国青年労働者交流集会の最後に「サミット粉砕! 団結ガンバロー」(5月18日 那覇市)

1面の画像
(1面)
サミット粉砕 火柱立つ  権力・資本ゆるがす大デモへ
“革命の火薬庫・沖縄へようこそ”  労働者の力で基地撤去を
5・15青年交流集会 “職場闘争委つくろう”
記事を読む  
辺野古現地に駆けつけ 5月19日(5月19日) 記事を読む  
沖縄−本土の労働者の生きた団結つくる  5・15沖縄闘争の意義 記事を読む  
6・29へ動労千葉が呼びかけ  戦争・新自由主義と対決を 記事を読む  
(2面)
ライフサイクル発動を絶対許すな  スト配置し強制配転阻む
動労千葉 “緒戦の大きな勝利”
記事を読む  
全国青年労働者交流集会in沖縄 青年労働者がパワーアップ
“本物の団結をつくる”  6・29集会へ職場で闘おう
記事を読む  
全学連集会 法大ストの方針確立  サミット爆砕へ戦闘宣言 記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2008 5・8〜5・16
日本経団連も消費大増税方針
記事を読む  
(3面)
教育労働者はサミット決戦へ  今春闘争の地平を発展させ職場支配めぐる通年攻防を
革共同教育労働者委員会
記事を読む  
動労千葉夏季物販アピール  全職場に動労千葉派つくろう 記事を読む  
〈焦点〉 中国スターリン主義の“犯罪”  「四川大地震」も人災だ! 記事を読む  
〈焦点〉 “年金財源”で大増税狙う福田  消費税「最高18%」と試算 記事を読む  
(4面)
洞爺湖サミット粉砕しよう(中)  全世界の労働者を一つに☆
職場で仲間を組織しサミット粉砕へ
世界は労働者の怒りで一杯だ  生産点は革命の火薬庫
記事を読む  
帝国主義強盗会議粉砕へ  サミットのテーマを斬る C
核保有・開発巡り争闘戦  青森“核サミット”粉砕を
エネルギー・核問題(河東耕二)
記事を読む  
市東さん耕作権裁判
“測量せず土地特定”?!  NAAのデタラメを追及
記事を読む  
日誌 2008年 5月14日〜20日
自衛隊スーダン派兵へ調査団/福田内閣の支持率19%に低下
記事を読む  
訂正 記事を読む  
(5面)
カクマル松崎の延命策動を粉砕しよう
分割・民営化での大裏切りはどうあがいても絶対消せない
樋口氏らの「擁護論」を断罪する
記事を読む  
法大弾圧 内田君保釈かちとる  獄内外の団結の力で奪還(5月16日) 記事を読む  
クラス討論弾圧裁判 極悪・前学生部長に怒り  逃げる安東を追撃(5月15日) 記事を読む  
4・27法大弾圧裁判 公安・川島を追及  「目撃証言」のウソ暴く(5月13日) 記事を読む  
(6面)
団結ひろば投稿コーナー 記事を読む  
つぶそう!裁判員制度 (上)  100万人に今年「赤紙」届く
団結・階級意識の破壊狙う  来年5月実施を阻止しよう(朝霧恒太)
記事を読む  
日程 裁判員制度はいらない! 6・13全国集会 記事を読む  
沖縄とヤマトの架け橋  古波津・福士両氏を偲ぶ会(4月29日) 記事を読む  
寄稿  “いよいよ民衆の出番だ”と笑う古波津さんの姿見える
沖縄民権の会 座覇光子
記事を読む  

週刊『前進』(2344号1面1)(2008/05/26 )

 サミット粉砕 火柱立つ

 権力・資本ゆるがす大デモへ

 “革命の火薬庫・沖縄へようこそ”

 労働者の力で基地撤去を

 5・15青年交流集会 “職場闘争委つくろう”

 1972年5・15ペテン的「返還」から36年の5・15沖縄闘争を、沖縄と全国から青年労働者・学生が大挙駆けつけて闘いぬいた。労働者の抑圧物となり果てた体制内労組幹部を突き破り、沖縄・本土の労働者の本物の団結をつくり出して「5・15体制」を最後的に粉砕する闘いが、5・15闘争で力強く始まった。この力で洞爺湖サミット粉砕に突き進み、プロレタリア世界革命の扉を開こう!
 「反転攻勢に出よう。あらゆる職場に職場闘争委員会をつくり『私たちこそが本物の団結の結集体だ』という闘いをしよう。職場の枠を越えた労働者の団結で資本家をぶっ倒すことだけが戦争をとめる力。それこそが洞爺湖サミット粉砕です」
 那覇市の沖縄県青年会館で5月18日夜、「オキナワとヒロシマを結ぶ全国青年労働者交流集会inOKINAWA」が210人で開催された。
 集会では、「沖縄と本土をつなぐ団結を! 全国の職場の闘いから」と題し、沖縄と全国の青年労働者が次々と発言に立った(2面参照)。みな職場で当局や組合幹部と大激突しながら、仲間との団結をつくり出して生き生きと闘っている。
 沖縄と本土の労働者の団結を分断してきた「5・15体制」を突き破る、沖縄と本土の労働者の団結した闘いがついに始まった。隣の労働者が立ち上がることをとことん信頼し、だからこそ激突を恐れず格闘する。資本と一切折り合いをつけずに闘いぬいて、その中で本物の団結をつくり出す――これこそ今年の5・15闘争の核心だ。
 集会冒頭、「革命の火薬庫、沖縄へようこそ。私たちこそ火薬庫に火を付ける主体です」――富田晋さんが語りかけた。辺野古で新基地建設阻止を闘う富田さんは、海上リーフ案の時には作業員に「基地建設のための労働を拒否しよう」と訴えていた。しかし今は「職場に労働者の団結をつくって闘い、基地建設をとめよう」と働きかけているという。「一人ひとりが職場で闘おう。沖縄で闘う僕らにとっては、辺野古の基地建設を止めることが洞爺湖サミットをぶっつぶすことだ」
 昨年9・29沖縄県民大会に12万人の結集を実現した沖縄高教組の宮城千恵さんが講演した。宮城さんの祖父母は渡嘉敷島で起きた、いわゆる「集団自決」により命を失った。宮城さんは沖縄戦の実相を広く知らせるために昨年7月に発行した英語の絵本『沖縄からの手紙』を紹介しながら、沖縄戦の真実を消し去る政府を強く弾劾した。
 動労千葉新小岩支部長の佐藤正和さんがアピール。ライフサイクル攻撃との闘いのただ中で駆けつけてくれた。
 「一人の仲間を守るために全運転士のストライキを配置し、全組合員が立つ。動労千葉は絶対裏切らないことを青年労働者に示す」――平成採の青年労働者の中に動労千葉をつくる闘いだ。
 そしてサミット粉砕の闘争方針を提起した。
 「6月29日に首都・東京でサミット粉砕労働者総決起集会を行う。動労千葉は近いうちに真紅の動輪旗を掲げた動労千葉青年部の大隊列をこの場に登場させる。11月労働者集会1万人結集へ」。佐藤さんの熱い訴えに、参加者の心が躍った。
(写真 全国青年労働者交流集会の最後に「サミット粉砕! 団結ガンバロー」【5月18日 那覇市】)

「復帰36年 5・15平和とくらしを守る県民大会」に青年労働者をはじめ約4000人が結集した(5月18日 宜野湾海浜公園野外劇場)

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週刊『前進』(2344号1面2)(2008/05/26 )

 辺野古現地に駆けつけ 5月19日

キャンプ・シュワブそばの砂浜で、新基地建設阻止のシュプレヒコール(5月19日)

 5・15闘争に結集した青年労働者・学生は19日、新基地建設阻止へ闘う名護市・辺野古現地に駆けつけた。
 3月にV字型沿岸案の建設へ向けて環境アセスが始まって以来、連日の海上阻止行動が続いている。この日は台風直撃の影響でアセスは行われず、海上行動も中止となった。命を守る会の小屋前のテントやキャンプ・シュワブそばの砂浜で富田晋さんの話を聞いた。
 この日は、昨年5月19日に亡くなった命を守る会代表の金城祐治さんの命日だ。辺野古闘争を闘い、今は東京で組合運動に取り組んでいる青年労働者は「祐治さんに『東京を変えてくれ』と言われたことを忘れない。基地がなければ成り立たない社会のあり方そのものを変えよう。それが『労働運動の力で革命をやろう』の闘い」と訴えた。

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週刊『前進』(2344号1面3)(2008/05/26 )

 沖縄−本土の労働者の生きた団結つくる

 5・15沖縄闘争の意義

 5月18日、宜野湾海浜公園野外劇場で「5・15平和とくらしを守る県民大会」が開かれた。自治労、日教組、私鉄など労組員ら約4千人が結集した。青年労働者の顔が多い。平和行進には本土から2千人、沖縄から5千人が参加した。
 72年のペテン的「返還」から36年、日本全体の米軍専用施設の4分の3が沖縄に集中する現実は変わらない。米軍は沖縄基地を拠点にイラク・アフガニスタン侵略戦争を続ける。侵略軍隊による許しがたい事件・事故……。辺野古では、新基地建設をめぐり海上阻止行動や座り込みが続く。
 この現実に対して、沖縄で階級闘争の大激突が始まっている。昨年9・29県民大会で12万人の大結集を実現したのは、教組や自治労、マスコミ労働者だ。基地労働者の労働組合である全駐労は16年ぶりに2波の全国ストを貫いた。沖縄の労働者階級は、仲井真知事や自・公、連合から日共スターリン主義に至る、あらゆる反動と対決して前進している。
 こうした中で3月16日に那覇で、青年労働者が中心に立ち、動労千葉のストや全国各地のワーカーズアクションとともに集会とデモを闘った。
 9・29―3・23県民大会の地平を発展させ、沖縄労働者階級の自己解放闘争に真に責任を取る闘いは、動労千葉のような階級的労働運動だけだ。勝利を求める沖縄労働者の巨大なエネルギーと葛藤が渦巻く中で、動労千葉派の労働運動がついに沖縄に登場したのだ。
 そして5・15沖縄闘争で、あらゆる分断をぶち壊して沖縄―本土の労働者の生きた団結をつくり出す闘いが始まった。資本と非和解で闘い、労働者の階級性にのみ依拠した労働運動をつくり出す――これこそ本土と沖縄の労働者が本物の団結をつくり出す原動力であり、5・15体制を粉砕し、沖縄を革命の火薬庫たらしめる。
 かつて全軍労闘争で1人の労働者がビラに書いた「死すべきは基地であり労働者は死んではならない」という言葉は、多くの基地労働者―沖縄労働者の心を一気に捉え、全軍労闘争の象徴的なスローガンとなった。これを再び革命の標語として復権する時が来た。
 辺野古の新基地建設をめぐり、「基地なしでどうやって生きていくのか」という労働者の問いに対して、「労働組合をつくって闘い、基地がなければ生きられない社会そのものをひっくり返そう」という闘いが始まっている。基地が死ぬ時、それは団結した労働者が社会の真の主人公として革命を勝利させる時だ。
 5月1日のメーデーで米国とイラクの港湾労働者が連帯して港湾を封鎖した。交戦国同士の労働者が戦略的生産点を停止させる――これが労働者の力だ。団結した労働者の力を職場・生産点で行使すること、ここに唯一の革命の展望がある。
 激動する沖縄階級闘争は革命を欲している。「労働運動の力で革命やろう」を職場で実践してきた沖縄と本土の青年労働者の団結をつくり出した今年の5・15沖縄闘争の意義は大きい。

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週刊『前進』(2344号1面4)(2008/05/26 )

 6・29へ動労千葉が呼びかけ

 戦争・新自由主義と対決を

 「6・29全国労働者総決起集会」に向けて、動労千葉から発せられた呼びかけ文を掲載します。全力で結集しよう。(編集局)
 戦争―失業、貧困、民営化にたち向う労働者の国際的団結を!
 サミット粉砕6・29全国労働者総決起集会の呼びかけ
 いま世界の帝国主義は、最末期ともいうべきどんづまりの危機に突入しています。その危機の中ですべての労働者人民に対して世界戦争と新自由主義―民営化、失業、貧困、飢餓の攻撃がおそいかかっています。
 その全世界共通の攻撃に対して労働者・人民の反乱が燎原を焼きつくす勢いで始まっています。まさに「世界は革命情勢だ」というべき時代に入りました。
 5月1日、「イラク戦争当事国」アメリカのILWU(国際港湾倉庫労働組合)とイラクGUPWI(イラク港湾一般労働組合)がともに連帯表明を出し、港を封鎖し、米からの軍需物資輸送を阻止する一方、イラクからの石油搬出を阻止するという画歴史的な闘いが実現しました。米西海岸の29の全港湾とイラク最大の港ウム・カスルなどがストライキで閉鎖されたのです。1886年5・1メーデーにシカゴを中心に35万人がゼネストに決起した以来の闘いです。この闘いで史上初めて8時間労働制を勝ちとりました。私たち3組合が呼びかける11月集会に参加しているILWUローカル10などを先頭にして闘いとられたものです。
 韓国民主労総も6〜7月にゼネストに決起しようとしています。インドの首都・ニューデリーで4・24〜25ゼネストが実現しました。イギリスでは公共部門40万人がストに入りました。フランスでは教育労働者の全国スト・高校生の決起、そしてマルセイユ港もストで閉鎖されました。ドイツでは郵便労働者、ベルリン交通局の労働者、保育園、学校、自治体の労働者もストライキにたちあがっています。スウェーデンでは、医療・福祉労働者10万人がストにたちあがっています。同時に中南米、アジア、アフリカ、中東などで食糧暴動が爆発しています。
 この世界の労働者の闘いに連帯して私たちは、春闘ストライキに決起しました。そして青年を中心として職場から資本と連合指導部と全面対決する闘いが巻き起こっています。全国17カ所の3・16イラク反戦・全世界一斉デモがうちぬかれ、東京における6人逮捕に怒りが爆発し、職場と地域で団結が決定的に拡大しています。いまや日本の青年労働者・学生を先頭とした闘う労働者の希望は「団結の拡大」です。
 このような世界中の労働者の総反乱の中でサミット=首脳会談(アメリカ、日本などの8カ国)が北海道洞爺湖で7月7日〜9日開催されようとしています。まさにこのサミットは総反乱を開始している世界の労働者人民の怒りの集中点です。
 首脳会談で何がテーマになろうとしているか。それはあまりにも明らかです。帝国主義の末期的危機のなかで、その犠牲をいかに労働者人民に転嫁するか、争闘戦―世界戦争、新自由主義、そして労働組合破壊のための強盗会議そのものです。
 イラク・イラン・アフガニスタンへの侵略戦争、世界戦争推進会議などどうして許せるでしょうか。同時に北朝鮮、中国の体制的危機の中で、米日による東アジアへの新たな侵略戦争策動を強めようとしています。もうひとつは、泥沼的な新自由主義のエスカレーションであり、労働者への競争と分断のもちこみ、失業、貧困、飢餓をもたらそうとするものです。断じて許すことはできません。
 サミット粉砕の闘いに職場から総反乱を組織しよう。世界中で闘いが爆発しているように全職場で資本との絶対非和解の闘いに決起しよう。職場権力を握り、ストライキにたちあがろう。労働者階級の階級的団結、国際的団結を全世界に示そう。団結の拡大こそが勝利です。その中心に国鉄・郵政・教労・自治体の4大産別の労働者がたつことです。第二次国鉄決戦に総決起し、JR体制を打倒しよう。1047名解雇撤回、反合・運転保安闘争にたちあがろう。組織拡大をかちとろう。郵政民営化絶対反対、物ダメ闘争にたちあがろう。「日の丸・君が代」反対―不起立闘争にたちあがろう。根津・河原井解雇阻止、米山解雇撤回。自治体「丸ごと」民営化反対、職場から人事評価制度拒否の闘いをまきおこそう。
 この職場からの闘いを6・29全国労働者総決起集会に結集させよう。首都をゆるがす大デモをぶち抜こう。闘う学生は、その最先頭で全国学生ゼネストにたちあがろう。闘うすべての労働組合、労働者・人民の皆さんの賛同と参加を心よりお願いいたします。

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週刊『前進』(2344号2面1)(2008/05/26 )

 ライフサイクル発動を絶対許すな

 スト配置し強制配転阻む

 動労千葉 “緒戦の大きな勝利”

 JR東日本が6月1日から発令しようとしている「ライフサイクル」(=運転士の駅への強制配転)をめぐって5月21日、配転の事前通知が強行された。
 動労千葉は機関紙「日刊動労千葉」(5月22日付)で、ライフサイクル強行を激しく弾劾し、「何年かかろうがライフサイクル制度そのものを粉砕するまで全力で闘いぬく」と宣言した。同時に「組織の総力をあげた臨戦体制をとって闘いを展開し、当面の獲得課題であった(動労千葉組合員)滝君の駅への不当配転を阻止するという緒戦における大きな勝利をかちとった」と総括し、いったん闘争体制を集約した。これはものすごい勝利だ! 闘えば必ず勝てるということだ。
(写真 ライフサイクル粉砕まで闘うぞ!【5・8動労千葉総決起集会=動労千葉ホームページより】)

 絶対反対の勝利

 動労千葉は同紙で、この勝利を以下の三つの点から総括している。
 第一に、この勝利を切り開いた力は「攻撃の矛盾を徹底的に突いた絶対反対の全組合員をあげた闘い」だとしている。
 動労千葉は3月14日に春闘第1波ストを打ちぬいて以降、数カ月間にわたっていつでもストライキに入れる万全の闘争体制を全支部で堅持して闘いぬいた。この闘争体制を背景に、説明会への抗議・追及、団交の強化、顧問弁護団との法的検討を重ねてきた。そして何よりも、職場において現場長への徹底追及と怒りの組織化に総力をあげた。その最先頭に立った当該の滝君は、当局と徹底非和解で渡り合った。

 敵の矛盾を突く

 第二に動労千葉は、この勝利は「シニア制度以来7年間にわたる『第二の分割・民営化攻撃』との闘いの成果でもある」と提起している。
 JR東日本本社はこの間の団交で、「(ライフサイクルに関する)労働協約を締結していない労働組合には、協約の効力は及ばない」と動労千葉に回答せざるをえなかった。当局はあくまで「協約の有無と関係なく、通常の異動としてやる」と強弁し、動労千葉組合員にも異動を発令できるとしているが、あまりに矛盾に満ちている。それならなぜ、他労組と協約を結ぶ必要があったのか。
 業務外注化とセットになったシニア制度を開始した当時、当局は「少数組合の団体交渉権を尊重しなければならないから」などとうそぶいて、協約の妥結を拒否した動労千葉の組合員の再雇用を拒否して首を切ったのだ。こんな理不尽な暴挙を重ねてきたことが、ライフサイクルでJR資本にはね返ってきたのだ。
 とことん原則を貫いてきた動労千葉の闘いが、矛盾だらけの敵の攻撃を突き崩したのである。

 職場の団結の力

 第三に動労千葉は、この勝利は「平成採の仲間をはじめ、職場の怒りの声を全力で組織したことによってかちとられた。労働者の力は職場の団結にこそある」と総括している。そして、「何よりも大きな成果は、数カ月間に及ぶ闘いによって、この攻撃が無理を押し通すがゆえに矛盾に満ちたものであり、職場から絶対反対の声を組織して立ち上がれば必ず粉砕できるという展望をつかみとったことだ」としていることが重要だ。
 JR資本は、ライフサイクルへの青年労働者の怒りがあまりに激しいがゆえに、東労組を始めとする体制内労組の屈服=「労使合意」を取り付け、さらに運転士一人ひとりを呼び出して「配転承諾書(面談調書)」まで書かせた。そこまでやらなければライフサイクルを発動できなかった。青年労働者の反乱の予兆に恐怖し、追いつめられているのは資本の側だ。
 ライフサイクル発動は、JR体制打倒闘争の開始のゴングだ! 今すぐ平成採の労働者に動労千葉の勝利を持ち込もう。ライフサイクル粉砕まで徹底的に闘おう。

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週刊『前進』(2344号2面2)(2008/05/26 )

 全国青年労働者交流集会in沖縄 青年労働者がパワーアップ

 “本物の団結をつくる”

 6・29集会へ職場で闘おう

 

左】 パワーアップした青年労働者集会。動労千葉から佐藤正和さんが参加し「感無量です」とアピール(5月18日 那覇市)
【右】 「サミット粉砕の法大ストをぶち抜くぞ!」――全学連集会は、革命の現実性をG8にたたきつけると宣言(5月17日 那覇市)

 全国青年労働者交流集会in沖縄では、全逓、教育、自治体、交通、医療そして沖縄の民間労働者が発言に立った。職場闘争の実践のなかでつかんだ確信が語られ、会場全体で共有した。(1面参照)

 闘えば必ず仲間ができる

 「青年労働者交流集会はすごいパワーアップしている。感無量だ」(動労千葉・佐藤正和さん)
 集会に結集したのは、資本・当局、体制内派と非和解で闘い、何より自分自身と格闘しながら職場闘争を実践して「パワーアップ」した全国の青年労働者たちだ。司会を務めたのも、「有給休暇を取ればボーナス査定にひびかせる」と脅す社長と闘い有休を取得し参加した合同労組の青年労働者だった。
 今年初めて「君が代」不起立を闘った教育労働者。「職場の仲間から何を言われるか最後まで不安だった」とその心中を告白する。だが、卒業式でいざ不起立してみると、入学式前日に「明日どうするの? 頑張ってね」と同僚が声をかけてきた。職場に動きが出てきた。「闘えば仲間ができると確信した。不起立できてうれしい」と生き生きと報告した。
 ファシスト橋下・大阪府政と闘う自治体労働者。職場で当局と激突した。自分の決起で職場の仲間がどう思うか心配だった。「僕が言いたいことを代弁してくれた」と励ましてくれる職場の仲間たちに、「逆に職場の仲間を信用しきっていない自分が露呈した」。信頼関係がより強くなった。以前は一番苦しいと感じた職場闘争が今では「一番楽しい」。
 突然の雇い止めを受けた全逓労働者。朝礼で課長を追及し、ストライキを宣言。顔も見たことがない職場の労働者が課長追及にともに立ち上がる姿に「本当に労働者はひとつだと実感。職場こそ革命の火薬庫だ」。
 資本・体制内派と非和解で自分が決起した時、隣の仲間が立ち上がった。団結を肌で感じてきた青年労働者は自己解放性に満ちていた。

 沖縄の青年労働者が力強く

 集会の結集軸として屹立(きつりつ)したのが沖縄の青年労働者だった。3・16イラク反戦デモを組合決定で取り組もうとしたが、思うようにいかなかった。「職場で本当に団結をつくりだしているのか」(民間労働者Aさん)。連日、夜遅くまで議論を重ねた。「動労千葉派として職場に登場し分岐をつくりだし、体制内派と闘う。職場の仲間を信じて原点に返ってやる」と発言したAさん。
 本集会を呼びかけたBさんは合同労組の役員。直前に組合の中心的な仲間が脱退した。「自分のあり方を突きつけられた。一人ひとりの組合員と向き合って、一緒になってのりこえていく。これが本当の闘い。自分が変わることが世界を変える第一歩」と涙ながらに決意を固めた。沖縄の青年労働者の団結が固まった。沖縄に階級的労働運動の結集軸が立った。
 「落ち込んだり、悩んだりしてきた。しかし、仲間がたくさんいる。みんな闘っていると思って、前を向いて一からやり直す」(Bさん)。全国で同じように格闘する仲間との団結があるから闘える――「革命の火薬庫」は資本・当局と労働者が正面から激突する自分の職場にこそある。革命の火薬庫・沖縄と職場がひとつになった。

 階級の指導部への飛躍を

 「あらゆる職場に職場闘争委員会を」――医療労働者はサミット決戦の方針を端的に提起した。
 職場闘争委員会とは「本物の団結の結集体。職場の実力闘争をかちとって職場の枠を越えて団結する本物の執行部」。自分たちが「本物のリーダー」つまり階級の指導部へと飛躍することだ。「労働者が絶対に立ち上がると信じきること。迷った時に労働者の団結にかけきること。労働者こそが世の中を動かす主人公だと信じきること。さらに新たなリーダーを生み出すこと」である。
 「今こそ団結し、労働者一人ひとりが主人公となるその日まで闘っていきましょう!」と力を込めた交通労働者の発言。
(写真 辺野古現地で戦いの決意を新たに【19日】)

 「職場権力を取る」闘いへ

 彼をオルグした職場の先輩は「後輩の決起に確信を持ちきれていなかった。古い自分は、彼の決起によって打倒された」と決意を新たにした。「決起した仲間とともに職場権力を取る」
 「隣の仲間に闘いを呼びかけて、方針を出す」(教育労働者)。「動員を単に増やすことが組織化ではない。社会変革の主人公としての一人ひとりの決起をともに喜びあえることが本当の組織化」(自治体労働者)。「労基署は雇い止めが合法的という。法律ではなく職場の仲間との団結にかけきる以外にない」(全逓労働者)。オルグとは、仲間とつながり団結すること。青年労働者交流集会は「本物のリーダー」を生み出す大きな一歩となった。

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週刊『前進』(2344号2面3)(2008/05/26 )

 全学連集会 法大ストの方針確立

 サミット爆砕へ戦闘宣言

 「サミット粉砕の法大ストライキを絶対にぶち抜くぞ!」。17日夜の全学連集会は、全国学生が団結し、火の玉となって法大決戦勝利へ総決起していく決定的出発点となった。
 集会前日の16日には、07年10・17法大クラス討論弾圧被告の内田晶理君を奪還する感動的勝利をかちとった! 集会冒頭、司会がその高揚と内田君の連帯メッセージを紹介し、「団結して闘えば勝てる。4〜5月法大闘争の勝利の地平を引き継いで、みんな市ケ谷キャンパスに来て闘おう!」と檄(げき)を飛ばした。これを受けて、富山大学学生自治会が4・15弾圧被告の武藤淳範君奪還への戦闘宣言を発した。
 織田陽介・全学連委員長が基調提起。「集会の獲得目標は、サミット爆砕の法大ストライキで一致することだ。動労千葉、ILWU、民主労総。世界の”11月派”がサミット決戦を開始し情勢を切り開いている。世界はストライキの嵐。労働者だけがこの転倒しきった資本主義を革命できる。われわれ学生もその主体だ。革命の現実性をG8強盗どもにたたきつけるぞ! どんな弾圧もわれわれの団結をつぶせない。この3日間で沖縄とつながり、いざ法大−サミット決戦へ!」
 革共同沖縄県委員会から、「昨年の12万決起は革命の萌芽(ほうが)。それを担ったのはすべて労働者階級だ。ついに21世紀の沖縄闘争が始まった! 世界革命に向かっての08年を闘おう!」と記念講演を受けた。そして法政大の新井拓君が、「5月15日に大学当局主催のサークル代表者会議なるものを怒りで粉砕した。行け行けドンドンで5・29法大包囲デモの爆発を!」と特別アピール。東北大、京都大、広島大、全国学生と初参加者が法大ストライキ決起への決意を語った。
 この沖縄闘争の団結を法大へ! サミット粉砕・法大ストライキやるぞ! 5・29法大デモ−6・29首都大デモに全国学生は総決起しよう!

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週刊『前進』(2344号2面4)(2008/05/26 )

 5・8〜5・16

 日本経団連も消費大増税方針

雇用保険の国庫負担廃止を検討 財務省は雇用保険制度の財源の一定割合をまかなっている国庫負担を2009年度から廃止する検討に入った。(8日)
グッドウィルとフルキャスト、日雇い派遣を大幅縮小 人材派遣大手のグッドウィル・グループは日雇いなど短期の派遣事業を大幅に縮小する方針を固めた。フルキャストも、316あった事業所を200に削減。(9日)
外国人研修・実習、受け入れ機関の不正行為が過去最多 法務省入国管理局は、外国人研修生・実習生を受け入れた機関のうち2007年に「不正行為」があったと認定した団体は449と発表。前年の2倍で過去最多。(9日)
残業代支払い求めコンビニ元店長提訴 管理職の肩書があるものの一般社員以上に過酷な労働条件を強いられる「名ばかり管理職」として扱われ、過重労働の末にうつ病になったとして、コンビニエンスストア「SHOP99」元店長が資本に残業代など求め提訴した。(9日)
経団連、基礎年金「全額税方式」を提言 日本経団連は、社会保障改革に関する提言の中間取りまとめを発表した。基礎年金を保険料方式から全額を消費税で賄う「全額税方式」へ移行させることが柱。今秋にも最終提言をまとめる方針。(14日)=要旨別掲
AOKI、全店長に残業代支給 紳士服販売大手のAOKIホールディングスが5月からすべての店長を管理職から外し、残業代を支払うように制度を変更したことが分かった。(15日)
最低賃金引き上げの円卓会議 政府と労使の代表らが最低賃金の中長期的な方針などを議論する「成長力底上げ戦略推進円卓会議」が約5カ月ぶりに開かれた。(15日)
就職率、大学生は過去最高 厚生労働省と文部科学省は今春卒業した大学生の就職率と高校生の内定率を公表した。大学生は96.9%(前年比0.6ポイント高)で4年連続で上がり96年度の調査開始以降の最高値を更新。また高校生は厚労省調べで97.1%(同0.4ポイント高)、文科省調査でも94.7%(同0.8ポイント高)でともに6年連続で上昇した。(16日)
インドネシア人看護師など受け入れ機関の募集を開始 日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)が参院本会議で可決、承認された。あっせん機関の国際厚生事業団が、インドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受け入れ機関の募集を開始した。(16日)
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 日本経団連、社会保障制度改革・中間とりまとめ(概要)
 日本経団連の社会保障制度改革案は、「人口構造の大変化」「危機的な財政状況」「社会保障給付の非効率」などを理由に、基礎年金や高齢者医療、介護について、社会保険料負担から税負担(公費負担)へシフトしていく方針を打ち出した。
 「財政健全化、税制抜本改革との整合的な改革」などと言って「税制の抜本改革にあたっては、社会保障費用を賄うために、消費税で対応すべき」と、税負担の財源は消費税で賄うことを明確にしたのが特徴。ただし、引き上げ幅は明記しなかった。
 この報告を受け、御手洗会長は19日に消費税大幅引き上げ発言を行った。

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週刊『前進』(2344号3面1)(2008/05/26 )

 教育労働者はサミット決戦へ

 今春闘争の地平を発展させ職場支配めぐる通年攻防を

 革共同教育労働者委員会

 08年卒・入学式闘争は、根津公子さんへの解雇攻撃を跳ね返し、階級的団結をつくりだす不起立闘争への飛躍をかちとった。この地平を日常的職場実践としてさらに発展させ、6〜7月サミット決戦に総決起しよう。

 全世界でストと暴動が

 

帝国主義の最後の延命策としての新自由主義は、労働者階級に耐え難い搾取と貧困を強制し、資本主義の墓掘り人を生み出した。経済の投機化・バブル化は住居も食糧も食い物にし、暴利をむさぼったあげく世界金融大恐慌に行き着いた。
 利潤のために生産する資本主義は、体制として歴史的破産をとげた。労働者階級が生産手段を奪取し社会の主人公となる共産主義こそが人類の未来を切り開く。
 全世界で巻き起こるストライキと食糧暴動は、労働者を食わせていけなくなった資本主義への総反乱だ。戦争当事国の米ILWU(国際港湾倉庫労組)とイラクの港湾・石油労働者のストライキによる交歓は、帝国主義戦争を国際的内乱に転化する闘いの始まりだ。
 洞爺湖サミットは、労働者階級の闘いを鎮圧し、アフリカをはじめ世界の市場と資源を分捕り合うための強盗会議だ。G8法相・内相会合の議題は、新自由主義が生み出した「青年と移民の過激化」への対処だという。革命情勢におののく国際帝国主義を労働者階級の国際的団結で迎え撃とう。世界革命をたぐりよせる闘いとして6・29サミット決戦をかちとろう。
 日本における最大の新自由主義攻撃であった国鉄分割・民営化攻撃に勝ちぬいた動労千葉は、いよいよライフサイクル粉砕=平成採獲得の闘いをもってJR体制を根幹から覆す闘いに突入する。この闘いを最先頭に、全産別全職場で資本・当局と非和解的に激突する闘いを開始しよう。「日本に動労千葉派あり」を全世界に示し、階級的労働運動―マルクス主義を復権しよう。5・1西海岸港湾封鎖を闘ったILWU、6月末からゼネストを含む総力闘争に突入する韓国・民主労総とともに、11月国際連帯のさらなる発展を切り開こう
(写真 職場闘争の軸として不起立闘争を打ち立てたと報告する米山良江さん【5・11全国入管集会】)

 職場に階級的な団結を

 革命情勢への突入に対応して、プロレタリアート独裁を今日的に準備する闘いとして職場生産点で階級的団結をつくりだす階級的労働運動の実践が問われている。とりわけ、4大産別こそ新自由主義攻撃との最大の激突の戦場であり、ここに革命への意志に貫かれた団結をつくりだすことにプロレタリア革命の成否がかかっている。

 新自由主義攻撃は階級戦争

 戦後帝国主義の国家独占資本主義政策のもとで拡大してきた公共サービス部門は、新自由主義にとって解体の対象である。その基本手段が、市場原理を駆使したNPM(新公共経営)と呼ばれる民間的経営手法の導入、すなわち民営化=労組破壊である。
 国家は、公務員を雇って自ら公共サービスを供給することをやめ、営利企業やNPO(非営利活動団体)などとの契約にとってかえ、競争させる。業績目標を課し、事後的に査定することが国家の役割となる。NPMは、公務員と公共支出を削減するだけでなく、より強力な国家統制を可能とする。いかに「金銭の支配力」を貫徹するかを中心命題とし、現場労働者の職場支配権を解体し、政府の目的に忠実に従わせるために考え出された手法なのである。
 新自由主義教育改革は、国が設定した教育目標・水準を達成する結果責任を学校と教育労働者に課し、競争を組織し、結果に応じた報償と罰を与える。イギリスやアメリカでは、学力テストの点数に応じて予算を配分し、基準を達成できない貧困地域の学校は廃校となり、教員は首となる。それは、格差をますます拡大すると同時に「貧困による徴兵」のシステムとして機能している。
 中教審(中央教育審議会、文科相の諮問機関)は、新学習指導要領の狙いとして「教育課程におけるPDCAサイクル(*)の確立」を掲げ、「学校や教師は指導の説明責任だけでなく結果責任も問われている」という。日本でも全国学テを軸とする学校評価−教員評価による統制管理システムがめざされている。
 新自由主義教育改革のもとで、教育労働は一種の請負業と化し、労働者としての権利も専門職としての権限も奪われる。「教育の自主性・自律性」など成り立ちようもない。新自由主義攻撃は階級戦争であり、教育労働者の階級的団結こそがそれへの唯一の回答だ。

 米英仏での決起と連帯

 新自由主義攻撃に対して、世界の教育労働者が立ち上がっている。
 イギリスでは4月24日にNUT(全国教職員組合)が21年ぶりのストライキを決行。アメリカではHEA(ヘイワード市教組)が昨年4月に10日間のストライキに立ち上がった。フランスでも人員削減や年金制度改悪に反対する公務員ストの先頭に教育労働者が立っている。これらの闘いは、賃金改善要求にとどまらない、新自由主義教育改革に対する積もり積もった怒りの爆発なのである。
 日本でも、賃金7%カットと査定昇給導入に反対する北教組のストライキ、教科書記述の書き換えを12万人決起で粉砕した沖縄高教組の闘いとして、改悪教基法―教育4法体制を打ち破る闘いが始まっている。
 米UTLA(ロサンゼルス統一教組)―CAMS(校内の軍国主義に反対する連合)の闘いに続いて、英NUTが4月の大会で校内募兵活動に反対する決議を上げたことは決定的だ。校門前で反戦ビラをまいて処分を受け、日本の不起立闘争への熱い共感を伝えてきたランク&ファイルの仲間たちがもぎりとった成果だ。

 戦争協力拒否の国際連帯

 教育労働者の国際連帯は、帝国主義戦争と世界革命の時代への突入とともに始まっている。エドキンテルン(教育労働者インターナショナル)の原点も、第1次大戦過程の軍国主義教育に動員されたことへの反省から帝国主義打倒の反戦闘争を呼びかけたことにあった。
 非合法下で1930年に結成された日本教育労働者組合は、エドキンテルン綱領を採択し、事実上の機関誌であった「新興教育」は、毎号のように世界各国の教育労働者の闘いを報じている。当時の青年教育労働者たちは、世界革命の展望を糧として治安維持法弾圧も恐れず果敢に闘ったのだ。
 UTLA−CAMSの闘いと「君が代」不起立闘争を結び付けたのは、新たな戦争と革命の時代の到来と、労働者階級の国際主義的本質である。教育労働者の国際連帯の力で史上3度目の世界革命情勢を世界革命に転化しよう。

 評価制度は分断の攻撃

 08年卒・入学式闘争は根津公子さん、河原井純子さんの首を賭けた闘いとの階級的団結をつくりだし、不起立闘争の新たな地平を切り開いた。米山良江さんの処分・嘱託解雇を辞さない闘いは、折り合いをつけない非和解的闘いこそが不起立を拡大し職場支配権を奪還することを実証した。
 血債主義・糾弾主義と決別して、不起立闘争は教育労働者の自己解放闘争、階級的団結を総括軸とする階級的労働運動への転換と飛躍をかちとった。その先頭に青年教育労働者が立っている。
 体制内指導部は、根津さんを全国教研から排除し、都教委闘争への弾圧の先兵として立ち現れ、その反動的正体を暴露した。だが、現場組合員が自ら闘う方針をつくり行動することで、その制動は完全に打ち破られた。
 職場闘争の基軸として不起立闘争を貫徹した地平を踏まえ、職場支配権をめぐる日常的・通年的攻防に突入しよう。とりわけ評価制度は、査定昇給のみならず指導改善研修や免許更新制度などすべての攻撃の根幹をなしている。教育労働者を多忙化に駆り立てる元凶でもあり、何よりも団結破壊そのものである。絶対反対を貫く闘いで階級的団結をつくりだし、「C・D評価上等!」といえる階級的団結で評価制度を打ち砕こう。

 教労に強大なマル青労同を

 導入されつつあるこれらの制度は、何よりも青年層をターゲットとし、新たな支配のもとに組み敷こうとする攻撃である。免許更新制で有期雇用化され、査定昇給と新職=新級でヒラ教員は賃金も上がらない境遇に置かれる青年労働者の怒りと不安は大きい。
 交渉の体裁を取り繕うことだけに腐心している既成体制内運動は、もはや支配機構の一部と化している。とりわけ、経過措置を「成果」と称して賃金水準切り下げなどを丸のみしていく手法は、労働者階級を世代間で分断し、青年労働者を売り渡す攻撃以外の何ものでもない。
 体制内労働運動と決別した絶対反対の闘いだけが青年労働者の怒りと結合し、階級的団結をつくりだす。青年教育労働者を獲得し、教労戦線に強大なマル青労同を建設しよう。

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週刊『前進』(2344号3面2)(2008/05/26 )

 動労千葉夏季物販アピール

 全職場に動労千葉派つくろう

 国鉄1047名解雇撤回闘争が重大な正念場を迎えている。4者・4団体によって解雇撤回の要求を放棄した無原則的な「政治解決」が策動されている。1047連絡会における意志決定がないがしろにされ、動労千葉が排除されてきた。現場の闘争団に秘密にして「民主党への白紙委任」まで行われている。
 この無条件降伏とも言える1047名解雇撤回闘争の解体策動を打ち破り、何よりもJR本体から国鉄闘争の戦闘的再生に打って出よう。

 解雇撤回闘争はJR打倒の闘い

 08年夏季物販闘争にあたって第一に確認したいことは、国鉄1047名解雇撤回闘争の原点は何なのかということだ。
 1047名解雇撤回闘争とは、JR体制打倒の闘いそのものである。
 国鉄分割・民営化攻撃とは、国鉄労働運動を二度と再生できないところまでたたきつぶすことを狙った攻撃であった。ストライキも職場闘争も争議も完全に根絶されるはずだった。ところが、動労千葉はストライキを打ち、1047名は今も解雇撤回闘争を闘い続けている。これは分割・民営化の破産を示している。動労千葉と1047名が存在していること自体が偉大な勝利なのだ。
 第二に確認したいことは、動労千葉の闘いが1047名闘争を産み落としたということだ。
 分割・民営化との攻防の基軸は、職場・生産点における団結と職場支配権をめぐる労働者と資本の死闘にあった。動労千葉は国鉄分割・民営化攻撃に対し、首をかけて2波のストライキに立ち上がって団結を守りぬいた。JR体制下でも、業務外注化を阻止し続け、反合・運転保安闘争を決死で闘いぬいてきた。
 1047名闘争の勝利は、JR資本との職場・生産点での闘いの勝利なくしてありえない。だが国労本部は、分割・民営化攻撃と結局一度も闘わなかった。動労千葉だけが分割・民営化攻撃と職場・生産点で闘ってきたのだ。分割・民営化反対闘争も、1047名闘争も、実は動労千葉の闘いを軸にして展開されてきたのである。
 したがって第三に確認したいことは、動労千葉労働運動の中にこそ、1047名闘争勝利の道も、民営化阻止の道も、労働運動再生の道もあるということだ。
 4者・4団体問題とは、日本の労働運動の未来をかけた、体制内労働運動と階級的労働運動の路線をめぐる激突だ。それはひとごとではなく、われわれ自身の問題だ。革命はすべての党派、勢力をふるいにかける。国労本部の道を行くのか。動労千葉の道を行くのか。まずわれわれ自身が動労千葉派としてぶっ立つことが問われている。
 最後に、動労千葉は第2次国鉄決戦を宣言した。ライフサイクル攻撃に見られるように、第二の分割・民営化攻撃は新段階へエスカレートしようとしている。保線や検修業務の外注化に続き、駅業務の全面外注化攻撃が開始されている。
 しかし、ライフサイクル攻撃は平成採の青年労働者の反乱を不可避に引き起こす。JR体制解体へ打って出る絶好のチャンスだ。

 民営化攻撃への総反撃のときだ

 第2次国鉄決戦の号令は、全社会的にかけられた民営化攻撃にいよいよ全労働者階級が反撃を開始するときが来たことを告げ知らせている。その主戦場は、国鉄闘争を先頭とした4大産別だ。
 なぜなら、分割・民営化を強行した政府・自民党の最も恐れる事態が現出しているからだ。敵は、本格的な戦争と改憲の攻撃を開始した今日、いまだに4大産別どころか、国鉄労働運動も1047名闘争も制圧できていないのである。
 今や全社会に資本主義に対する怒りが渦巻き、青年労働者を先頭とした労働者階級の闘いが全世界で始まっている。この全社会的な反乱と、組織されたプロレタリアートとしての4大産別労働者の民営化攻撃に対する反撃が、一体になって燃え上がる情勢が到来した。
 国労5・27臨大闘争弾圧裁判をとおして、国労の中から真に闘う主体が登場したことは決定的だ。平成採を始め全国鉄労働者を動労千葉派に獲得し、国鉄労働運動の戦闘的再生をかちとろう。
 4大産別と青年労働者の決起で11月1万人結集を絶対に実現しよう。1万人の結集こそが4者・4団体路線を吹っ飛ばす最大の力だ。物販闘争はその突破口だ。08年夏季物販闘争を全力でやりきろう。

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    ◇販売品目◇  (円)
1 天津甘栗       500
2 焼カシューナッツ   650
3 くんさき       600
4 根昆布おやつ     450
5 黒糖おからクッキー  750
6 丹波の黒豆・あずきゼリー
            1100
7 くずきり甘夏    1300
8 ドラえもんバスタオル
            1500
9 梅こんぶ茶      900
10 ほたて貝柱     1100
11 パスタとソースセット3200
12 さつまのいも焼酎  2900
13 山梨ワイン     2900
14 夕張メロンゼリー  2100
15 野菜ジュース    1300
16 北海道レアチーズケーキ
            950
17 静岡茶        650
18 モカブレンド     850
19 梅酢ドレッシング   850
20 もりおか冷麺(生)  1000
21 冷し中華(生)    1000
22 寒干し味噌ラーメン 1300
23 ポケットチーズ    900
24 ドライフルーツ   1000
25 もずくスープ生タイプ 500
26 即席みそ汁20食    1300
27 野菜たまごスープ   1300
28 種ぬきプルーン    900
29 かりんとう      700
30 島原てのべそうめん 1300
31 稲庭うどん     2000
32 北信濃手折りそば  1700
33 梅にんにく     1300
34 カットわかめ     650
35 ひじき 房総産100%  650
36 根昆布しょうゆ    600
37 天然だしパック   1300
38 ナガイの焼のり5帖 1700
39 紀州南高梅     1700
40 ビーフカレー20食  3000
申込先/動労千葉協販部 TEL 043(227)7833 FAX 043(227)8125

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週刊『前進』(2344号3面3)(2008/05/26 )

焦点 中国スターリン主義の“犯罪”

 「四川大地震」も人災だ!

 四川大地震は、死者4万人、行方不明者が3万人を超え、中国当局はいまだに被害の正確な実態も把握できないでいる。被災現場では無数の人びとが衣食住の危急を訴え、山崩れや土砂ダムの決壊など、二次災害も懸念されている。これはビルマを襲ったサイクロンによる大災害と同様に、単なる自然災害では断じてない。中国スターリン主義の官僚的支配体制とその反人民的政策のもたらした大惨事そのものである。
 この地震での犠牲がこれほどの規模に及んだのは、家屋・建造物の倒壊、とりわけ病院や学校などの公共建築物が、いとも簡単に崩れ去り、おびただしい人びとが生き埋めとなったことによる。
 中国教育省によると損壊した校舎は四川省内だけでおよそ7千。全省の小中学校2万2千校のおよそ3分の1が崩落し、子どもたちに犠牲が集中した。父母らがわが子を捜し求めて必死に校舎のがれきをかき出す中で、コンクリートが指でこすっただけでボロボロと崩れ、鉄筋は鉛筆のような細さであることが、誰の目にも明らかになった。地震が起きればひとたまりもなく倒れるのは必然だったのだ。その一方で、党・政府の建物は堅固に造られていて倒壊を免れている。わが子を失った悲しみは、次々と怒りに変わった。
 しかも中国では1976年に死者24万人を出した唐山地震が起き、その後も四川省に隣接する青海省や雲南省など内陸部で、M7・0級の大地震が何度も起きていた。しかし必要な震災対策はとられず、逆に耐震強度を度外視した「豆腐渣(とうふさ=おから)工事」と呼ばれる手抜き工事が横行していた。地方官僚は財政を私物化し、建設業者と癒着して建材の質を落とし、必要な工事を省略して建設費を安く抑え込むことで利ざやを稼ぎ、口止め料を受け取る。こうした腐敗関係が日常茶飯事だったというのが現実だ。
 インターネット上には、「腐敗官僚と不正業者が子どもたちを殺した」などの政府批判が次々と書き込まれているが、当局はこれらの削除に躍起となっている。
 まさにこの未曽有の大災害は、最末期帝国主義のグローバリズム・新自由主義政策の展開のもとで、それにのみ込まれながら、改革開放路線による野放図な資本主義的政策と経済膨張に突進してきた中国スターリン主義の矛盾と危機の爆発そのものである。
 この中で膨大な農民が無権利の低賃金出稼ぎ労働者とされて搾取・収奪され、農地は奪われ、都市と農村の格差は一層ひどいものになった。これはスターリン主義体制の土台を崩壊させる危機を必然的に蓄積している。
 残存スターリン主義として国家の威信をかけた「北京五輪」は、今やチベット問題と四川大地震で、完全に中国危機の焦点に転化した。中国全土でこの間、都市における労働者や農民工のストライキ、農民の土地占拠、そして諸民族の解放を求める決起が拡大している。こうした闘いに連帯して、反帝・反スターリン主義プロレタリア世界革命の展望を切り開くために団結し決起しよう。それが日本の労働者階級の進むべき道だ。

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週刊『前進』(2344号3面4)(2008/05/26 )

 “年金財源”で大増税狙う福田

 消費税「最高18%」と試算

 政府の社会保障国民会議は5月19日、基礎年金の財源をすべて税でまかなった場合、09年度には消費税率が9・5〜18%になるとの試算を公表した。これは、現行の保険方式維持派と全額税方式論者の対立があることを前提とした上で、日帝が近い将来狙っている消費大増税の導入に向け、労働者人民への本格的な攻撃に踏み出したものとして、重大な情勢である。
 今回の試算は現在の保険方式を「全額税方式」に変更した場合の数値なので、表面上、年金保険料負担は減るが、消費増税との差し引きで年金受給者や労働者世帯、とりわけ低所得者世帯では大幅な負担増となる。またこの全額税方式の重大なポイントは、年間3兆〜4兆円にのぼる厚生年金の企業拠出金がゼロになることだ。
 消費増税は、日帝ブルジョアジーと政府がつくり出してきた巨額の財政赤字(国と地方を合わせて累積1千兆円超)が解決不能となり、帝国主義の体制が破産しているツケを、すべて労働者人民に転嫁する大衆収奪攻撃としてある。特に全額税方式の場合、年金保険料を免除されていた低所得層に、消費大増税による負担が「公平に」襲いかかる。すでに年金を受け取っている高齢者も、年金受給額は増えず消費税の支払いだけが増える。いったい消費税率が「18%」になって、今日のリストラ・賃下げ、貧困化、社会保障解体、インフレの中で、労働者はどうして生きていけというのだ。
 そもそも「国民会議」は、福田政権が「社会保障のあるべき姿を議論する」と称して今年1月に発足させた御用機関である。前経団連会長の奥田碩らがメンバーの中心で、大資本本位の新自由主義政策を「社会保障の議論」にかぶせて誘導する機関となっている。また、連合会長の高木剛が会議メンバーに加わったことが重大で、日帝の増税路線に連合と民主党があらかじめ取り込まれているのだ。
 「全額税方式」導入論の源流は、経団連・奥田ビジョン(03年1月)である。同ビジョンで奥田は、「社会保障と税財政の抜本的構造改革」の中心的課題として「消費税率18%化」を明示に打ち出していた。さらに昨年9月には経団連会長の御手洗冨士夫が、基礎年金について「全額税方式が望ましい。社会保障と税制を抜本的に見直す」とぶちあげている。
 彼ら日帝ブルジョアジーの主眼は、徹底的な大衆収奪と法人税率の引き下げである。要するに「税制の抜本見直し」とは、消費税率の大幅アップであり、その財源で社会保障費をすべてまかない、法人税減税もやれということだ。
 さらに消費大増税は戦争・改憲の攻撃と一体である。日帝ブルジョアジーは軍拡・戦争の最大の財源として消費税アップを狙っている。しかもこの攻撃に連合・高木と民主党が組み込まれ、加担していることは、断じて許し難い。そもそも「全額税方式」とは連合と民主党の主張でもあるのだ。
 ついに本格的な消費大増税の攻撃に踏み出した日帝と福田政権を、労働者階級の団結とサミット決戦で打倒する時が来ている。

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週刊『前進』(2344号4面1)(2008/05/26 )

 洞爺湖サミット粉砕しよう(中)

 全世界の労働者を一つに☆

 職場で仲間を組織しサミット粉砕へ

 世界は労働者の怒りで一杯だ

 生産点は革命の火薬庫

 職場で必死に闘うことが一気に世界に拡大する情勢だ。世界の労働者階級に対する攻撃の本質はただひとつ――資本主義はもう終わりということだ。つかの間の延命のために労働者の闘いを弾圧しているのだ。矛盾に満ちた資本主義の運動が一瞬でも止まった時、資本主義は命運が尽きる。

 戦争・新自由主義と対決し

 資本家階級の労働者階級に対する攻撃は万国共通だ。最末期帝国主義の戦争と新自由主義の攻撃との対決が労働者階級の正面課題となっている。雇用を破壊し、住宅、医療、食糧を奪い、地球環境を破壊しつくし、耐え難い犠牲を強制する資本主義への労働者階級の怒りが全世界で爆発し、世界中でストライキと食糧暴動が起きている。私の職場、あなたの職場――世界中の職場が革命の火薬庫なのだ。ひとつの職場の闘いが世界を揺るがし、誘爆を起こし、連続爆発となる。
 世界中の労働者は、どんな遠い外国の闘いにも共感を寄せ、闘いの意義と教訓をつかむ。そして実際の闘いによって団結する。労働者階級は本質的に世界単一の階級だ。世界中の労働者の闘いを団結させるのがサミット粉砕闘争だ。
 何よりも自分の職場で闘いを開始しよう。職場で動労千葉のように闘おう。動労千葉のような団結をつくろう。動労千葉は、国鉄分割・民営化という前代未聞の労組破壊攻撃と闘い抜き、20年を経て勝利を宣言する地平を築いた。職場で徹底的に闘うことで、韓国・民主労総ソウル地域本部や米国の国際港湾倉庫労組(ILWU)などの世界の階級的労働組合との団結をつくった。
 すべての職場に怒りが渦巻いている。職場のリーダーとして登場し、職場闘争の方針を出そう。マルクス主義者とは、労働者が決起することに確信を持つ者だ。労働者の団結した力に賭けて闘う者が本物の執行部だ。職場に潜む階級対立を公然と暴き出し、資本との非和解性を貫く職場闘争を提起しよう。
 ある郵政の職場(前号3面参照)で、1人の青年労働者が突然の雇い止めを受けた。「こんな人を人間扱いしない、使い捨てにするあり方は許せない」――彼は職場の仲間全員にビラを配り、朝礼の場で課長に対して「絶対に認めない。撤回しろ」と実力追及を行った。
 そしてストを宣言。同僚も欠勤届をたたきつけ、終日、抗議行動を続けた。門前闘争には他局の労働者も駆けつけた。「あいつらは反乱が起こることに恐怖している。なぜなら職場を動かしているのは俺(おれ)たち労働者だからだ」「みんなで団結して一斉にストライキをすれば、管理職はあわてふためいて俺たちの言うことを聞くしかない」

動労千葉は職場闘争の力で業務の外注化を阻止してきた。3月14日に24時間ストを貫徹。業務の一部外注化が強行された京葉車両センター前に結集し、抗議行動を闘った

 職場支配権に挑戦しよう

 職場生産点での力関係こそ、労働者と資本家の階級的力関係を根本のところで規定している。労働は本来、最も人間性が発露される場である。しかし現実には、労働者は職場生産点で、生きるためにやむを得ず資本の搾取と支配に甘んじている。職場闘争とは、これへの怒りから出発し、資本の支配(労働者の奴隷化)を拒否して、労働者の職場支配権を打ち立てるものだ。
 隣の労働者と徹底的に討論しよう。あらゆる職場に職場闘争委員会をつくろう。職場闘争方針を一緒に形成し、それを実践しよう。労働者は資本と非和解に闘う中で社会の真の主人公としての主体を奪い返す。
 一緒に闘う仲間を獲得することが世界の労働者と団結する道だ。確かに職場は競争と分断の罠(わな)だらけだ。職種や雇用形態、官民、性別、国籍……労働者は本当にバラバラになっている。だが敵の攻撃が労働者をひとつにする。
 資本家階級の真の危機は労働者支配の破綻(はたん)にある。もはや、やつらには支配階級の権威も迫力もない。あらゆる職場で階級支配が決壊を始めている。職場が回らないのは、お前ら資本家のせいだ! 怒りをぶちまけ、職場をぶっ止めよう。職場闘争を実力闘争として貫こう。超勤拒否、査定・人事評価拒否、朝礼拒否、応援業務拒否、不当配転拒否……。資本主義の枠や秩序をたたき壊す実力闘争をどんどんやろう。
 総括軸は団結だ。職場の仲間で徹底討論し、闘争方針を決め、職場支配権を奪い返す実力闘争を貫いた時、労働者は団結が生きがいになる。それが動労千葉のような労働組合だ。
 「動労千葉のオルグにも心動かされた。自分の中には、この先30年、この人達と一緒に生きていくのか、決別するのか、というのが一番強くあった……やっぱりこの人らと決別できないな。だったら一緒にクビになった方がいいや」(『日刊動労千葉』07年9月7日号)
 団結が何よりも大切という労働者の誇りと主体性を決定的に引き出すのが労働運動であり、革命運動ではないか。労働者が団結すれば、資本家がいなくても職場も社会も動かせる――職場生産点での闘いで鍛えられた青年労働者の集団を、日本と世界の階級闘争に決定的に登場させよう。これがサミット闘争方針だ。
 世界は革命情勢だ。既成の意識をガンガンのりこえて闘おう。資本主義と折り合いをつける思想には用はない。マルクス主義を労働者の革命の思想として復権させる闘いだ。処分・弾圧される闘いをやってやる。敵との均衡をとる考えをうち破ろう。
 職場で仲間を組織し、サミット粉砕を掲げて6・29代々木公園に総結集しよう。 (片瀬 涼)

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週刊『前進』(2344号4面2)(2008/05/26 )

 帝国主義強盗会議粉砕へ

 サミットのテーマを斬る C

 核保有・開発巡り争闘戦

 青森“核サミット”粉砕を

 エネルギー・核問題

 7月の洞爺湖サミットに先がけて、日・米・英・仏・独などの帝国主義国のエネルギー相会議(ロシア・中国・インド・韓国やIAEA〔国際原子力機関〕・世界銀行などの5国際機関も参加)が、6月7〜8日、青森市のホテル青森で開かれる。議長国の日帝は六ケ所再処理工場・核燃サイクル基地がある青森県をわざわざ開催県に選んだ。断じて許せない。

 

 「原発=クリーン」の大ウソを暴け

 今回のサミットはエネルギー・環境問題を主要議題に掲げている。だが、労働者人民を貧困・飢餓と戦争の中にたたき込み、環境を徹底して破壊してきた世界の帝国主義強盗どもは、環境保護どころか放射能を大量につくり出す環境破壊・被曝(ひばく)労働の大元凶=原発を「地球環境に貢献する」「クリーンエネルギー」と大ウソをついて世界中で推進しようとしている。日帝は「原子力の活用による地球温暖化対策を参加各国に働きかける」(4月12日の経産相・甘利発言)などと叫び、青森エネルギー・サミットを、この憎むべき核犯罪の共謀の場に仕立てあげようとやっきになっている。
 06年、米帝ブッシュ政権は、「国際核エネルギ・パートナーシップ」(GNEP)構想を発表した。世界恐慌への突入情勢下で死の苦悶(くもん)にあえぐ最末期帝国主義・米帝にとって、核を基軸とした軍事力は世界支配の最後の拠り所にますますなっている。だがその基盤をなす再処理・高速炉・原発の核産業における日帝・仏帝の追い上げ、またインドの核武装国家化などの核拡散の進行によって、米帝の従来の核支配体制は大きく破綻し始めている。
 GNEPの狙いは何か。@核兵器用プルトニウム生産の要である再処理・高速炉を最重点に、日帝・仏帝などが持つ最新核技術を米帝のもとに掌握し、米帝の利益に沿う形でコントロールしていく。A原発建設の大規模な推進をうちだし、日帝など他帝の資本を引き寄せ、共同で中国、インド、東南アジア、中近東など世界中に原発を大量輸出して暴利獲得をたくらむ。この2点だ。
 GNEPは「核拡散の種」と「死の灰」を全世界にばらまき、核戦争とチェルノブイリ事故再現の危機を激しく促進する。青森―洞爺湖サミットは、これに輪をかけるものにほかならない。
 核燃サイクル施設を保有し、独自の核武装と原発輸出を策動してきた日帝は、GNEPに飛びつき、米帝との間で日米原子力エネルギー共同行動計画=日米核同盟を結んだ。そのもとで日本最大の軍事資本の三菱が、米エネルギー省との間で、日本原燃とフランスのアレバ社とともにGNEPへの共同参画の契約を締結した。日帝は三菱を押したて、再処理・高速炉開発・稼働を公然と国内外で展開することをとおして、独自の核武装への決定的道筋をつけようとしているのだ。
 六ケ所再処理工場と高速増殖炉「もんじゅ」の主幹製造企業であり、原発の主力メーカーでもある三菱は、同時にH2Aロケット・軍事衛星の製造・打ち上げ事業を独占。さらに米軍再編攻撃のなかで、MD(ミサイル防衛)への参加、イージス艦建造、パトリオットミサイル3の生産などを推し進めている。
 「日本の核弾頭を積んだ大陸間弾道ミサイルは三菱重工がつくる」――とんでもないことだ。米・日帝国主義による核先制攻撃を柱とした東アジアへの新たな侵略戦争、日帝核武装への道を断じて許すな!
 六ケ所村にある日本原燃の再処理工場は、周辺を監視カメラと高圧線付きの二重の塀で囲み、工場間を地下道でつなぎ、人を寄せ付けない核軍事施設だ。アクティブ試験段階の現在、1日あたり派遣会社の労働者も含め下請け会社の労働者が1300人、全部で3000人以上の労働者が交代勤務しているという。
(写真 青森県六ケ所村にある日本原燃の再処理工場)

 労働運動の力で核武装化阻もう

 死の灰がぎっしり詰まった使用済み核燃料をばらばらに切断し硝酸に溶かして核分裂性物質のプルトニウムを取り出す再処理は、最も危険な作業だ。すでに19歳の下請け青年労働者がプルトニウムを吸って内部被曝したのを始め、相次ぐ内部被曝が起きている。
 また偽装請負のみならず、派遣労働者の告発で二重派遣の犯罪も明るみに出た。放射能汚染の最も強い工場中枢の現場に派遣労働者・下請け労働者が投入されている。
 再処理工場・高速増殖炉・原発、そして原子力機器製造企業の労働者こそ、日帝の核武装を阻止する決定的カギを握っている。金もうけと核武装・核戦争のため、被曝労働を強い、労働者の生き血を吸う資本主義・帝国主義を労働者階級の団結・国際連帯の力でぶっ倒そう。6・7〜8青森現地で”核サミット”阻止闘争を爆発させ、6・29東京・代々木公園に大結集しよう。
 (河東耕二)

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週刊『前進』(2344号4面3)(2008/05/26 )

 市東さん耕作権裁判

 “測量せず土地特定”?!

 NAAのデタラメを追及

 5月19日、千葉地裁で三里塚反対同盟・市東孝雄さん耕作権裁判の第7回弁論が開かれ、反対同盟を始め90人が傍聴・支援に駆けつけた。
 2007年2月、成田空港会社(NAA)は、市東さんが祖父の代から耕作し続けてきた天神峰の畑に対し「不法耕作だから出ていけ」という訴訟を起こした。あれから1年3カ月で6回の弁論が開かれたが、その悪らつな意図にもかかわらず、被告席の市東さんと弁護団が、原告NAAのデタラメを徹底追及する闘いになっている。
 NAAは、土地の位置・形状の特定がまったくいい加減で測量もくい打ちもやってないことを指摘され、しどろもどろになっている。そしてこの期に及んで「空港反対運動の激化で、現地での境界立ち会いや測量ができなかった」などと苦し紛れに言い出したのだ。ふざけるのもいい加減にしろ! こんなデタラメな訴訟は即刻取り下げられなければならない。
 弁護団は求釈明の準備書面を読み上げて、市東さんの土地の隣接地について「立ち会いがあったか、実際に耕作していたのはだれか、確認書がないのはなぜか」と一つひとつ具体的に明らかにするよう鋭く迫った。また独自の測量・調査にもとづき、祖父・市太郎さんの入植以来の市東家の耕作状況を明らかにした。菅原崇裁判長は、当初の拙速裁判のもくろみを打ち砕かれ、原告に釈明を促すしかなかった。
 終了後、弁護士会館で記者会見と報告会が開かれた。冒頭に市東さんが、「今は力のあるものが『正義』ということになってるが、そうはさせない。法廷でおかしな点があればすぐ手を挙げて指摘できるようにがんばります」と決意を述べ、大きな拍手を浴びた。さらに弁護団による詳細な解説が行われた。
 反対同盟事務局長の北原鉱治さんは「30年前の今日、開港阻止決戦を闘った私は千葉刑務所から出てきた。成田空港はいまだに完成のめどさえ立っていない。農業切り捨てを許さず、未来をかけて闘おう」とあいさつした。
 動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長は、動労千葉がスト態勢に入っていることを報告し、「三里塚闘争は世界とつながっている」と世界の労働者との国際連帯行動の意義を訴えた。市東さんの農地取り上げに反対する会代表の井村弘子さん、関西実行委の松原康彦さん、群馬実行委の青柳晃玄さんが地元での取り組みと決意を語った。
 最後に事務局次長の萩原進さんが「裁判闘争は敵の土俵ではあるが、裁判官を圧倒し人を引きつけることもできる。過密なスケジュールだが歯を食いしばって闘おう。6・8現地闘争の会場はうちの畑だ。全力で結集を」と訴えた。
 次回期日は9月1日。市東さんが耕す畑は、すべて市東さんに権利がある。NAAには指一本ふれる資格もない。傍聴に大挙結集し、「訴訟継続断念」に追い込もう!
(写真 裁判終了後、記者会見を行う市東孝雄さん【左)と、葉山岳夫顧問弁護団事務局長【5月19日 千葉市】)

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週刊『前進』(2344号4面4)(2008/05/26 )

 日誌 2008年 5月14日〜20日

 自衛隊スーダン派兵へ調査団/福田内閣の支持率19%に低下

●自衛隊スーダン派兵へ調査団 政府は、スーダン南部に展開中の国連平和維持活動(PKO)への自衛隊要員派兵の可否を探るため、6月にも現地調査団を派遣する方向で調整を始めた。13日に官房長官、外相、防衛相の3閣僚会合で方向性を確認したという。調査団には外務、防衛両省や陸上自衛隊、内閣府国際平和協力本部事務局から20人程度が参加する方向。(14日)
●再編交付金、名護に9億7千万円 防衛省は、在日米軍再編への協力に応じ地方自治体に交付する再編交付金の08年一時内定額として、米軍キャンプ・シュワブ沖に普天間飛行場代替施設建設を受け入れる名護市と宜野座村にそれぞれ9億7千万円、1億6100万円の交付を決めた。(14日)
●米兵の脱走認定、不明1〜2日で 神奈川県横須賀市のタクシー運転手強盗殺人事件をめぐり、脱走米兵の連絡体制が不備だった問題で、日米合同委員会は、米側が脱走認定手続きを迅速化したうえ、全脱走兵について直ちに日本側に連絡し、逮捕要請することで正式合意した。日米地位協定の運営改善で対応する。(15日)
●本土復帰36年 沖縄の本土「復帰」から36年が経過した。復帰時点で約2万7893fあった沖縄県内の米軍専用施設は08年1月現在、約2万2925f。日本全体の米軍施設の74・23%が、面積比で日本全土の0・6%しかない沖縄に集中している状況は変わっていない。(15日)
●沖縄米兵に懲役4年 沖縄県で女子中学生に暴行したなどとして逮捕され、告訴取り下げによって不起訴処分になった在沖縄米海兵隊員の2等軍曹に対する米軍の軍法会議は、16歳未満の少女に対する暴力的な性的行為の罪について、懲役4年の実刑判決を言い渡した。(16日)
●指導要領解説書「竹島は日本領」 文部科学省は、中学校社会科の新学習指導要領の解説書に、独島(竹島)を「我が国固有の領土」として新たに明記する方針を固めた。これまでに指導要領や解説書には「北方領土」に関する記述はあったが、独島の記述はなかった。民間の出版社は指導要領や解説書に沿って教科書を作成する。今回の措置は、今後の教科書づくりへの影響が指摘される。(17日)
●内閣支持19% 朝日新聞の全国世論調査によると、福田内閣の支持率は19%で前回調査(4月30日、5月1日)の20%に続いて低い水準だった。不支持率は65%(前回59%)と内閣発足以来最高。(17、18日)
●米兵裁判権、密約で大半を放棄 日本に駐留する米兵らの事件をめぐり、日米両政府が1953年に「重要な案件以外、日本側は裁判権を放棄する」との密約に合意し、日本側がその後約5年間に起きた事件の97%の第1次裁判権を放棄していたことが、機密解除された複数の米側公文書で分かった。(17日)
●沖縄県民大会に4千人 宜野湾市海浜公園野外劇場で「5・15平和とくらしを守る県民大会」が開かれた。約4千人が参加した。米軍再編に伴う基地の拡大・強化に反対し、日米地位協定の抜本的改正を求めるアピールを採択した。平和行進は沖縄県外からの2千人を含む約7千人が米軍基地周辺を行進した。(18日)
●沖国大ヘリ墜落、国に文書提示命令 04年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落をめぐり、国を相手に、日米両政府の協議内容を記した文書の公開を求めた訴訟の控訴審に絡み、福岡高裁は国側に文書の不開示部分を裁判所に提示するよう命じた。一審福岡地裁判決は「米側の同意なく公表すれば米国との信頼関係が損なわれると容易に予想される」などとして、国側の主張を踏襲する形で公開請求を退けていた。(20日)

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週刊『前進』(2344号4面5)(2008/05/26 )

 訂正

前号4面本欄のエジプトの写真の説明に「ムシャラフ」とあるのは「ムバラク」の誤りでした。

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週刊『前進』(2344号5面1)(2008/05/26 )

 カクマル松崎の延命策動を粉砕しよう

 分割・民営化での大裏切りはどうあがいても絶対消せない

 樋口氏らの「擁護論」を断罪する

 労働者階級にとってカクマル・松崎明は歴史的な裏切り者であり、「現代のユダ」である。「国労をつぶし、総評を解体する」と叫んで、日帝・中曽根の国鉄分割・民営化攻撃の先兵となり、国労と動労千葉の組合員を権力・資本に売り渡した歴史的大罪は、永久に消し去ることはできない。そのカクマル・松崎は今や、分割・民営化体制自身の危機とともに、路線的にも政治的にも破産し、追い詰められた惨めな姿をさらし、権力からも「走狗煮らる」(『史記』)の状況に置かれている。この松崎が最近、自己の裏切りと破産を塗り隠し、延命を求めて醜悪なあがきを開始した。またあろうことか、カクマル・松崎の大罪を擁護する少数の人たちが現れた。こうした反動的策動は、今や本質的には問題にもならないことだ。だが動労千葉を先頭とする階級的労働運動の前進への恥ずべき敵対策動として、断固対決し、粉砕することを宣言する。

 松崎の対極で闘い大前進する動労千葉

 歴史的裏切り者であるカクマル・松崎の惨めで醜悪な延命と「復権」策動の具体的な表れは、まず雑誌『情況』1・2月合併号とそこに掲載された樋口篤三、山崎耕一郎、戸塚秀夫の3氏の松崎擁護論文とメモである。もう一つは4月に発行された『松崎明 秘録』で、これは公安調査庁のエージェント(協力者)である宮崎学の松崎へのインタビューという形で、松崎を弁護し擁護するものである。
 これらの内容を具体的に批判する前に、あらためて絶対にはっきりさせておきたいことは、松崎とは何者であり、いったい何をやってきた人物かということだ。これはそもそも労働運動・階級闘争の原点に関わる、あいまいにはできない決定的問題なのである。
 カクマル・松崎は、国鉄分割・民営化という日帝・中曽根の希代の反革命攻撃(新自由主義攻撃)に対し率先協力し、それに反対する国労と動労千葉の組合員を権力・資本に売り渡し、松崎と動労カクマルだけはJR体制で生き残るという反階級的な大裏切りの道を突き進んだ。「冬の時代だ」「闘っても勝てっこない」などとうそぶきながら。
 敵の攻撃に屈服し、その先兵となり、他の労働者や労組を犠牲にして自分たち(カクマル)だけは生き残る。これほど罪深い反階級的な裏切りはない。労働者と労働組合が絶対にやってはならないことである。このカクマル・松崎の歴史的大罪を労働者階級は絶対に忘れないし、今も許してはいない。

 裏切りのカクマル的「論理」 

 だがカクマル・松崎は、今にいたるも国鉄分割・民営化でのこの大裏切りを、『秘録』の中で破廉恥に居直り、合理化している。
 「国鉄分割民営化やむなしという判断をしたのは、勝てっこないと思ったからですよ」「断固反対といっても、勝てる展望が全くない。根拠がないわけです」
 「私はきれい事をいっていただけではダメだと思っている。単独で対決するバカ(ママ)がいるか、と、これは最初から思っているんですよ」
 「われわれは(JRに)残ると決心したんです。なんといわれようと残る、と。なぜならば、わが組織(JR総連カクマル!)は階級的だから、と私は思っていましたね」
 ここにはカクマルの反労働者的で反革命的な階級闘争観が、むき出しになっている。権力の攻撃には勝てないから真っ先に屈服・協力し、他を犠牲にカクマルだけは生き残る、そしてそれを、カクマルは「革命的」「階級的」だから、裏切りも許されると合理化する。これこそカクマルが、70年決戦でも、国鉄分割・民営化でも、一貫してやってきた路線であり、イデオロギーなのだ。 
 しかし国鉄分割・民営化で、このカクマル・松崎=JR総連の対極にあって闘いぬき、生き残り、現在も展望をもって力強く前進しているのが、動労千葉だ。
 確かに協会派と革同の国労は体制内労働運動そのものであり、敵の攻撃に原則的階級的に対決できず、「たこつぼ」に入ったまま闘えないで、結局は権力・資本とカクマル・松崎に組織を突き崩され、展望を失い、今や分割・民営化反対も解雇撤回も投げ捨てるまでに変質し、転向を深めてしまった。
 しかし動労千葉は、分割・民営化絶対反対のストライキを3波にわたって打ち抜き、組織の団結を守ったばかりか、今や階級的労働運動路線の旗を高く掲げて、力強く前進している。韓国の民主労総ソウル本部やアメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)などとの国際連帯を発展させ、恒例の11月労働者集会を大成功させ、動労千葉に続く多くの青年労働者の決起を生み出して、闘い続けている。
 そして今や破産したJR体制の打倒を真っ向から訴えて、ライフサイクル粉砕と反合・運転保安闘争、平成採の青年労働者の獲得・組織化などを軸に、第2次国鉄決戦勝利へと総決起を開始している。
 この動労千葉の存在と闘いの発展に対比してみたとき、歴史的裏切り者であるカクマル・松崎の末路は、あまりにもおぞましく、惨めだ。労働者階級からまったく信頼されない組合であるJR総連は大分裂し無力化し、松崎自身は二つの組合費横領事件(国際交流基金事件と日本鉄道福祉協会事件)で権力から追及され、「刑事被告人」となる寸前まで転落した、ぶざまで惨めな存在だ。
 こうした絶望的現実からの延命と「復権」をかけた松崎の断末魔のあがき。それが分割・民営化過程での歴史的大罪を居直り、合理化し、自己の破産を塗り隠そうとする、最近のカクマル・松崎の策動である。だがこんな恥ずべきあがきが成功するはずがない。
 われわれは彼らの惨めな策動をとらえて離さず、それを逆に粉砕し餌食(えじき)として、動労千葉とともにライフサイクル粉砕・JR体制打倒を軸に第2次国鉄決戦の爆発をかちとり、4大産別を先頭とした階級的労働運動の大発展をかちとっていくであろう。

 「松崎擁護」を買って出た『情況』の2論文

 松崎は03年6月のJR総連への強制捜査以降、二つの組合費横領事件での追及に戦々恐々としてきたが、権力の「お目こぼし」による07年12月28日の不起訴決定(08年1月中旬時効)を受け、自己の延命というはかない願望のもと新たな反革命策動を開始した。
 まず松崎は07年、JR総連にどこまでも寄生して生き延びるために、JR総連内に「国際労働総研」なる組織を立ち上げ、その会長職に納まった。ここには理事長に城石靖夫(元JR貨物労組委員長)、監事に四茂野修(JR総連副委員長)が就任したのを始め、主任研究員を含めて動労時代からのカクマル幹部を配した。機関誌『われらのインター』を発行し、黒田・松崎・カクマルの反階級的裏切りを合理化するファシスト的な理論・イデオロギーの流布がその狙いだ。四茂野は、「総研」設立の目的を、総研セミナーで次のように露骨に語っている。
 「行き詰まりと混迷の中で、労働運動が進むべき道を国際的な視野に立って明らかにすることをめざした小さな試み。中心は松崎さん」だ、と。「行き詰まりと混迷」とは松崎とカクマルの内的世界をよく表しており、分割・民営化の大破産の中で、最末期帝国主義の新自由主義攻撃にカクマル路線ではまったく闘えないことの告白そのものである。

 国際労働総研設立が足場に

 「総研」設立を基盤に、次に松崎がやったことは、カクマル・松崎の歴史的大裏切りを弁護し擁護するグループを糾合する策動である。JR総連からどれほどのカネがばらまかれ、彼らが何を勘違いしたのかは分からないが、そのカクマル・松崎擁護役を買って出たのが、樋口、山崎、戸塚の3氏である。『情況』の08年1・2月合併号には、この3氏の論文などが掲載される事態となった。
 『情況』によれば、この論文掲載は、樋口が持ち込んだ「特別企画」となっている。当初、戸塚の論文「『JR総連・JR東労組=革マル』説に怯(おび)える人々に」が持ち込まれたという。しかし松崎・JR総連賛美のこの論文は、「研究書とは程遠い」という評価が与えられ、一度はボツになった。そのために、政治的無節操で知られる樋口がメーンに「60年間の実践の教訓と私の自己批判/産別民主化同盟と動労革マル問題」を書き、「怯える人々に」はあくまでも「資料」扱いでの掲載となった。
 しかしこの樋口「自己批判」もまた、戸塚論文に輪をかけた松崎・JR総連賛美なのである。この2論文に「学術的」意義などどこにもない。松崎の擁護と「復権」願望に貫かれた完全な政治的文書でしかないのだ。
 (1)樋口「自己批判」の主要な内容は、「JR総連≠カクマル」の論証にある。しかしその論拠は、戸塚などが中心の、5回にわたる松崎に対する「聞き取り研究会」なるものに拠っている(07年)。松崎の主張を鵜呑(うの)みにするということだ。さも文献の検討から「JR総連≠カクマル」の傍証を得てきたかのように言うが、その出典が、黒田や四茂野の本に限られている。そして「JR総連≠カクマル」説に確信を深めたのも、四茂野との懇談を通してとなっている。
 だが、この「JR総連≠カクマル」の論証には何の意味もない。カクマルとは端的に言って黒田(議長)と松崎(副議長)であり、動労以来、JR総連はその松崎とカクマル勢力がはっきりと牛耳ってきたのである。分割・民営化攻撃に率先協力し、日帝・中曽根の先兵となったのは、カクマルとしての組織的方針だったのだ。こんなことは今では誰一人疑わない歴史的事実ではないか。
 そして松崎・JR総連派カクマルと中央派カクマルに「分裂」したのは、分割・民営化の過程で突き出された黒田「組織現実論」の破産の必然的結果の問題であり、また「分裂」後も両者は「腐った政治的妥協」を続けてきたのである。
 しかも樋口論文の結論に従えば、分割・民営化攻撃にカクマルは関与しなかったことになる。ファシスト・カクマルの裏切りを免罪するにもほどがある。このような詭弁(きべん)は誰にも通用しない。
 そればかりか樋口論文は、松崎・カクマルの推進した分割・民営化攻撃について、「@“冬の時代”が激しくなる後退局面では、攻勢期の戦略戦術とは当然異なる。A動労が“国労の左”として突出すれば首を切られる。B絶えず『反革命松崎を殺す』と宣伝され、強敵に包囲された中で選択した路線。C組織防衛、活動家確保など、“大胆な妥協”という選択はありうる」などと、松崎・カクマルの歴史的裏切りを積極的に美化している。国労や動労千葉の組合員を敵に売って、カクマルが生き延びた攻撃を擁護するというのか。労働者の徹底弾劾の対象である。
 (2)文末には「研究会」参加の山崎(悪名高き国労・チャレンジの幹部で「元社青同委員長」)のメモが引用されている。だがこれもまた松崎擁護の極致だ。山崎は「戦術の選択」は「裏切り」ではないとか、「JR総連が言う『ニアリー・イコールの労使関係』論は、これからの連合運動を強化するために、有効な考え方ではないか」などと説教を垂れ、カクマル・松崎の大裏切りと資本への屈服・協調、それを合理化するためのインチキなファシスト的な屁理屈(へりくつ)を「有効」だと賛美しているのである。
 (3)「怯える人々に」は、戸塚の「体験した一連のおぞましい事件」を告発する内容となっている。戸塚によれば「『JR総連=カクマル』説に怯える人々」によってその事件は引き起こされたと言う。「事件」とは四茂野の国鉄闘争への介入阻止をめぐるものである。戸塚は運動内部の交流を妨げている「JR総連=カクマル」説に対しては、「歴史的に、実証的にこの風説を批判的に検討する必要がある」と述べ、樋口と同様に「JR総連≠カクマル」の論証に全力を傾注する。実におぞましい限りというしかない。
 戸塚は、中央派カクマルと分裂したJR総連カクマルが「カクマルではない」と擁護したいらしい。だが黒田と並んで松崎そのものがカクマルなのだ。だから松崎の裏切りはカクマルとして、どこまでも階級的に弾劾されるのだ。ところが戸塚は「JR総連≠カクマル」を「実証」して、「組織の枠を超えた人々の知的、道徳的交流の可能性、そこから生まれる新しい未来への希望」なるものを願望する。カクマル・松崎の歴史的大罪をここまで免罪するとは、断じて許し難いことだ。

 宮崎と『秘録』-松崎はカクマルそのものだ 

 『秘録』は、宮崎学による松崎へのインタビューを本にしたものである。『秘録』で松崎が展開している内容と、「研究会」で松崎が語った内容とは見事に合致している。
 第一に、松崎が中央派カクマルとはとっくの昔に「決別」していると力説していることである。しかし松崎がいつカクマルを離れたかという議論などほとんど意味がない。前にも述べたように、カクマルとは黒田と松崎なのであり、松崎の裏切りや反革命はカクマルのそれなのだ。だから『秘録』では松崎はついに最後まで、いつ辞めたとは明言しない。それどころか「わかんないんだなあ」といった発言を繰り返し、結局は「だから今だってね、革マル派にいわせれば俺は革マルなんだと思いますよ」とうそぶく。これで「JR総連≠カクマル」の論証など崩壊している。
 第二に、かつてないほど激しい言葉で分割・民営化での大裏切りを居直っている。「労働組合には転向はないんですよ。……労働組合に関係があるのは、ただ一つ、組合員の利益だけなんです」などと、国労や動労千葉の組合員を権力・資本に売ることで、動労カクマルが生き延びたことを「誇って」いる。こんなことを今なお公言していること自身が、万死に値する大罪なのだ。
 第三に、松崎は、JR総連を軸にした「統一戦線的な」「緩やかな組織体、運動体」なるものの構築への願望などを述べている。しかし、カクマルと手を組むまともな勢力などいない。
 一方ではこれに対応し、中央派カクマルも08年『解放』新年号に「わが運動の創始者たち」の一人として松崎の存在を確認する一文を添え、樋口、山崎、戸塚、宮崎ら松崎擁護グループの一角に参入する「名乗り」を上げている。このカクマル両派の腐った妥協!
 しかし労働者階級は、カクマル・松崎の歴史的大罪を絶対に忘れないし、断じて許すことはない。松崎自身がそのことに恐怖し、戦慄(せんりつ)している。すでに歴史的に破産し、追い詰められて、醜悪で見苦しい延命策動に走る松崎のあがきなど、破産は目に見えている。
 われわれはこのカクマル・松崎の策動を徹底粉砕し、反階級的な裏切り者に恥多き末路を強制してやらなければならない。

 第2次国鉄決戦の爆発へ

 動労千葉は分割・民営化とカクマル・松崎に対する歴史的決戦に勝利し、階級的労働運動の発展へ勇躍進撃している。第2次国鉄決戦の爆発と階級的労働運動の力で、松崎・JR総連を解体・一掃しよう。ライフサイクル粉砕と破産したJR体制の打倒、平成採の青年労働者の組織化へ、動労千葉とともに団結して決起しよう。職場・生産点から6〜7月サミット決戦の大爆発をかちとろう。

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週刊『前進』(2344号5面2)(2008/05/26 )

 法大弾圧 内田君保釈かちとる

 獄内外の団結の力で奪還

 5月16日午後8時、ついに内田晶理(てるまさ)君の保釈をかちとった! 小菅の東京拘置所には、一報を聞いた仲間が駆けつけ、釈放の喜びを分かち合った。握手! 握手! 握手! 07年10・17法大クラス討論弾圧以来の約7カ月間、内田君の闘いは、ついに獄壁をぶち破った! われわれが勝利し、国家権力が敗北したのだ。
 内田君の保釈は、最後の最後まで、獄内外一体となって闘った勝利だ。16日午前中に東京地裁が保釈決定。この決定を検事が不服としてただちに抗告。弁護士がただちに高裁に保釈を要求。高裁前では、終日仲間がビラをまき、即時保釈を訴え続けた。この力が、高裁に保釈を決定させたのだ! 獄中同志奪還に向けた執念の勝利だ!
 闘いはこれからだ。内田君の保釈はサミット粉砕に向けた大きな号砲だ! ここにサミットを粉砕する力がある! 次は、富山大弾圧の武藤淳範(ぶとうあつのり)君をとり戻そう! 
(写真 元気一杯で出獄の内田君。仲間と7カ月ぶりの合流だ【5月16日夜 東京拘置所前】)

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週刊『前進』(2344号5面3)(2008/05/26 )

 クラス討論弾圧裁判 極悪・前学生部長に怒り

 逃げる安東を追撃

 5月15日、東京地裁刑事第21部(半田靖史裁判長)で10・17法大クラス討論弾圧裁判の第5回公判が行われ、11・4弾圧の責任追及から徹底して逃げる前学生部長・安東祐希に対する会心の弁護人尋問が闘われた。また内田君は、前回被告退廷とした半田裁判長に対する怒りの弾劾と口頭での保釈請求を行った。裁判所のブルジョア秩序を侵害した内田君、その翌日法大1千人集会をかちとった傍聴席の仲間には自信と熱気がみなぎっていた。威信を打ち砕かれた半田裁判長にはまったく血の気がなかった。
 今回の弁護人尋問の核心は、ひとつは安東の「学生の教育環境のため」というウソを徹底的に暴き出したことだ。
 安東は11・4労働者集会への結集妨害を目的とした体制当番や政治弾圧を言い逃れるために、「よびかけの内容は問題ではない。ビラまきや演説が学生の教育環境を阻害することを危惧(きぐ)してやったのだ」という恥知らずなウソをついてきた。しかし、そのことが安東の墓穴となった。
 安東は「教育環境とはだれにとっての環境か?」という弁護人の質問に「まずは学生」と答えた。ところが、立て看板・ビラまき規制は、実際には全学生の大反対の中、当局が06年3・14弾圧や反対した者の処分という分断をとおして押し通してきたものなのだ。「なぜ学生の意見を集約しなかったのか?」と聞かれた安東は「聞く必要はない」と居直り、「反対意見があった」にもかかわらず強行したことを認めざるを得なかった。
 さらに弁護人が、「562教室の学生から苦情はあったのか?」とただすと、「なかった」と。「この教室以外」の苦情についても「数字は勘定していない」と答えざるをえなかった。実際、ウソをつくろうために、安東らが後日562教室の学生に行った「聞き取り」にも9割の学生が応じなかったのだ。「学生の教育環境のため」がいかにデタラメな口実かということだ。
 もうひとつの核心は、安東が計画的逮捕を言い逃れるために言ってきた「われわれの手に負えないと判断し、警察に要請した」論のウソを暴いたことだ。「教職員が7、8名もいれば実力で(3人を)出せたのでは?」との追及に答えられず、「つかまえるのは警察、われわれはそれが仕事ではない」とごまかす安東。実際には、内田君たちをつかまえ、階段で警察に引き渡したのは安東だ。言い逃れは完全に破産した。
 最後に内田君は、「安東に敬称をつけないと尋問させない」という半田裁判長を徹底弾劾した。また7カ月に及ぶ不当勾留が裁判闘争を妨害している事実を挙げ、即時保釈を要求した。そして、傍聴席も一体となった追及によって、次回の安東に対する被告再尋問を認めさせ、翌16日にはついに保釈・奪還をかちとった。

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週刊『前進』(2344号5面4)(2008/05/26 )

 4・27法大弾圧裁判 公安・川島を追及

 「目撃証言」のウソ暴く

 5月13日、東京地裁刑事第18部(福崎伸一郎裁判長)において、4・27法大弾圧裁判の第16回公判が行われた。4・27法大弾圧とは07年4月27日、2人の闘う法大生、新井君、友部君に対し、法大当局と警察権力が結託して教職員への「暴行」をデッチあげて不当逮捕・起訴した弾圧である。被告の2人を先頭に、毎回の公判を階級的団結拡大の場として闘い抜いてきた。今回は警視庁・公安一課の川島勇二への尋問である。川島は長年、毎日のように法大キャンパスを徘徊(はいかい)、学生を監視し、何人もの学生を弾圧してきた張本人である。4・27当日も新井・友部君逮捕を指揮した極悪の公安デカだ。4・27弾圧の許しがたい実態を暴くために学生・弁護側から引きずり出した「証人」だ。
 ところが公判は検察側の尋問から始まった。姑息(こそく)にも検察は、自らの「立証」を終えているのに川島を有罪「証人」として請求し、裁判所もそれを認めた。新たなデッチあげ証言をさせようというのだ。
 川島は検察の尋問に答えて、友部君逮捕の際、法大当局からの通報を受けてキャンパス内に突入したことを証言した。さらに「新井君が佐藤を投げるのを見た」とデッチあげの目撃証言を行った。許しがたい!
 弁護人の河村建夫弁護士が即座に川島を追及。キャンパスへの突入、友部君に対する逮捕前の拘束、「暴行」をデッチあげた後での暴力的な拘束という、友部君逮捕のすべてが完全に不当なものであることをビデオ映像を使って追及した。川島は何も言えず、何度も沈黙した。さらに写真を使い、法大周辺を徘徊する公安デカの氏名をすべて白状させるべく追及。川島は見苦しく言い逃れようとするが、何人かの部下の名前を白状する、無様な姿をさらした。デッチあげ目撃証言についても、映像を使って、目撃が物理的に不可能であることを突きつけられ、またしても沈黙した。
 さらに友部君、新井君の怒りの追及に川島は完全に意気消沈した。「現場責任者」と自ら証言する割りにはまったく大したことのないやつだ! 
学生、労働者はこんなやつには絶対に負けない! 
 最後には、新井君が佐藤を投げるのを見たという「目撃証言」について裁判官に念を押されるが、すっかり狼狽(ろうばい)した川島は「とにかく見たんです」としか言えず、デッチあげの失敗を確定させた。
 公安デカの責任者・川島をぶっ飛ばした勝利は、直ちに内田君の奪還、法大キャンパスの大勝利、前進に結びついている。この団結の拡大はもう誰にも止められない! ブルジョア支配をがんがんに侵食し、5・29第2波法大包囲デモから、サミット粉砕の6月法大ストに攻め上るぞ!

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週刊『前進』(2344号6面1)(2008/05/26 )

 あたり前の労働組合動労千葉の実践学び 自治労公務サービス民間労組 松村健

 自分は自治体業務に携わる民間委託の労働者だ。委託労働者は、自治体の入札制度により、基本的には競争入札と単年度契約のもとにおかれている。雇われている会社が業務を受注できなければ雇用を失うし、たとえ落札したとしても受注額の低下のしわ寄せは労働者側に賃金削減となって現れる。
 雇用不安と賃金・労働条件の劣悪化は生活破壊をもたらす。生活設計、人生設計が成り立たないし、何よりも働きがいの喪失である。
 また、委託の大部分は中小零細企業によって担われている。現場の規模も小さいものが多いし、労働者も数人で高齢者というところも少なくない。そこへ不安定雇用がもたらす人の出入りの激しさが加わるため、横のつながりがほとんどない。委託労働運動における組織化をいかに進めるか、悩むところである。
 動労千葉の『俺たちは鉄路に生きる3』では、組合員のそれぞれの職場での経験が赤裸々に語られている。動労千葉はなんら特別な組合ではない。動労千葉は、直面する課題にあたりまえに原則的に対応してきただけではあるまいか。しかし、組合員は、自らの問題として直接に緊急性を帯びなければ、理屈の正論だけでは動かない。
 ここを突破するため、動労千葉は組合員にすべてをなげかけ、徹底して討論し、団結をつくり、闘いに臨むのだ。これをやりぬくための動労千葉執行部の苦闘は想像に難くない。何かにつけて闘争回避の合理化だけに血道をあげてきた大手労組や企業内第二組合にはまさに驚異、過激派に映るのであろう。
 動労千葉の闘いの総括と途中経過報告とも言うべき本書からつくづく感じることは、理論や御題目では人は動かないし、一般論では運動はつくれない、しかし理論なしでは運動は成り立たない、ということだ。
 動労千葉の実践を参考にして、今後の運動に生かしていきたい。

 北海道の階級的団結強めた第5回総行動 北海道 J・S

 5月17日、「国鉄労働者の解雇撤回」などを掲げ、前回を上回る延べ70数名の参加で5回目の札幌総行動が行われました。晴天に恵まれ、デモでは大通公園からシュプレヒコールに応じる人が何人もいました。
 国労闘争団は稚内、音威子府や美幌、紋別などの遠方を含めて30名以上が参加し、4月29日に24時間ストを打ち抜いたタクシー労働者は職場から20名以上が合流。北教組や自治労の組合員、「障がい者」と作業所の労働者、裁判員制度と闘う弁護士、星野文昭さんの兄・治男さんら救う会の参加もありました。 
 今回は北海道労組交流センターが旗を立てて初参加し、タクシー労働者のストライキと連帯して職場闘争を闘う決意を込め、「労働運動の力で革命を」「国際連帯の力でサミット粉砕を」と訴えたことが決定的だったと思います。
 私は動労千葉を支援する会会員として個人参加しましたが、交流会ではライフサイクル阻止の動労千葉ストライキが国鉄闘争の新たな展望を切り開こうとしていることを紹介できました。行動の過程で、ライフサイクル問題について闘争団ではあまり知られていないことが分かりましたが、闘争団員から「国鉄闘争は、やっぱりJR資本との闘いが重要」「北海道本社に対して抗議行動をしたい」との声を聞きました。
 札幌総行動は、北海道の労働者の階級的団結を強化していく上で重要な水路です。今回はサミット粉砕決戦を、労働者の国際連帯と階級的労働運動を推進する立場から呼びかけていく上でもひとつの契機になったと思います。4大産別決戦、青年労働者の決起の発展をかちとり、サミット決戦へがんばります。(写真は北海道交運本社前の総決起集会)
 5・15沖縄闘争に参加して

 5・15沖縄闘争に参加して 一歩踏み出し職場で団結を 関東・医療労働者 小山 透

 まず思ったことは、沖縄に基地はいらないということだ。基地を撤去するために俺たち労働者がしなくちゃいけないことは、みんなで団結をつくり、基地なんて必要ないもの・資本家にすがっているような社会を、絶対ぶっつぶす。
 2日目の青年交流集会で、職場のことを話していた人が涙を流していた。それだけつらい思いをうちやぶって闘ってきたことに心を打たれた。俺なんかはあまい。流されていることもあるし、みんな俺についてきてくれるのかと不安になる。でもやんなくちゃだめだ。思うことも大切だけど、やっぱりもう一歩ふみ出すことだ。資本家や上のやつらに命令され、屈服していることを打破して、みんなで職場で団結して、違うことは違うとみんなでぶつけていく、組合としてどんどん活性化していくことが大切だと思いました。
 辺野古で一番心に残ったことも、金城祐治さんたちが闘っても相手の方が多くて、どうにもなんなくて、でも海人の方が助けにきた。自分を信じて闘っていれば周りの人はついてくるんだと、思いが通じて、それが団結につながっていく。それを職場でやっていくことが大事だと思う。
 V字型基地は何があっても阻止。基地なんて必要ない。なんのために基地をつくるんだ。戦争だよ。戦争をやって人々を殺しているような政治、資本家は俺たちがつぶす。強く思った。
 6・29闘争には必ず行く。G8は強盗のG、搾取するために悪いやつらが集まって戦争をやって、石油のために俺たちを殺していくのは言語道断。絶対に許されない。6・29で示していく。

 5・15沖縄闘争に参加して 一人の悩みはみんなの悩み 民間労働者 I

 普段見られない、教科書で習ったこととは違う、さらに深い内容で学ぶことができた。辺野古は鉄条網以外はさえぎるものは何もない砂浜。銃殺されるのではないかと感じた。あんまりいていい気分はしなかった。テレビではよく見るが、実際見ると、いたくない、人間がいる場所ではないなと。
 私は今、不当解雇撤回を闘っているが、青年集会では、同じような仲間がたくさんいるということが分かった。印象に残ったことは、団結すれば勝てるということ。ひとりのことはみんなのこと。みんなのことはひとりのこと。一人で悩まないで相談できる仲間、一人の悩みはみんなの悩み。情の厚さを強く感じた。今、解雇撤回を闘っているが、仲間を増やして団結していきたい。

 5・15沖縄闘争に参加して 沖縄は「展望の島」だった! 東京・学生 寺門竜平

 「軍命による強制死」「捨て石」「米軍による少女暴行事件」「辺野古への基地『移設』」……自分の沖縄観はすべてが「悲劇」だった。
 しかし実際の沖縄はどうだったか。闘いがある、団結がある、何よりも革命の現実性がある! 舞台で繰り広げられるのは「悲劇」ではなく「革命」であり、沖縄は「絶望の島」ではなく「展望の島」だった。
 これからの沖縄闘争をつくりだすのは、沖縄の労働者階級だけではない。紛れもなく自らの職場・キャンパスで闘う労働者・学生だ。青年労働者と学生、どちらの集会でもそのことが断固として確認された。
 俺たちの沖縄闘争はやっと始まった。沖縄に対する哀れみや絶望を、帝国主義への怒りに、共産主義への展望に、すべて転化しよう! 沖縄を、全世界を、俺たちの手に取り戻そう!

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週刊『前進』(2344号6面2)(2008/05/26 )

 つぶそう!裁判員制度 (上)

 100万人に今年「赤紙」届く

 団結・階級意識の破壊狙う

 来年5月実施を阻止しよう

 来年5月の裁判員制度実施に向かって山口県光市の「母子殺害」事件などがセンセーショナルに取り上げられ、被害者の報復感情と重罰化があおられている。「あなただったらどう裁くか」と繰り返し問いかけられている。これに真っ向から「ノー!」の声を上げる大集会が6月13日に日比谷公会堂で開かれる。司法改革に反対する弁護士らが呼びかける「裁判員制度はいらない!6・13全国集会」だ。大結集し、戦時司法動員攻撃そのものである裁判員制度を労働者階級の団結で葬り去ろう! 3回にわたり裁判員制度の問題点を明らかにする。

 82%が「やりたくない」

 来年5月21日の裁判員制度実施に向かって、裁判員候補者名簿への記載通知と調査票が年末までに約100万人に届く。そのための準備作業が自治体労働者を動員して始まっている。
 一方、今年4月1日に最高裁が発表した意識調査では、82・4%の人が裁判員制度に参加したくないと表明した。2004年5月の法成立以来、「理解と関心を深めるための措置を講じること」まで定め、取り組んできた結果がこれだ。当たり前だ。国家権力と一緒になって「他人の人生や生命を奪いたい」などと誰も思わない。
 国家権力はなぜ、裁判員制度の強行にこだわるのか。
 裁判員制度とは、死刑や無期刑を科しうる重大事件の裁判に、労働者人民を強制的に動員するものだ。ひとつの事件につき、3人の裁判官と6人の裁判員が配置される。裁判員は、有罪か無罪かを決める評決(多数決)に参加し、有罪の場合には死刑を含む量刑をも決めさせられる。被告人は裁判員の参加する裁判を拒否することができず、3〜5日程度の短期間の連日法廷で裁判が行われる。
 「市民の司法参加、国民主権の実質化」で「自由や権利を守る」などと、日弁連執行部までが大賛成しているが、まったくのウソだ。
 まず裁判員への参加は、権利ではなく辞退のできない強制だ。出頭しなければ10万円以下の過料。一生の間、裁判の内容を口外できず、違反すれば6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。多数決による評決は、「疑わしきは罰せず」という刑事裁判の大原則を全面否定している。さらに、公判前整理手続の密室で裁判官が証拠と主張をすべて選別した上で裁判が開かれるので、裁判官は結論をどうにでも誘導できる。裁判は儀式となり、裁判員はただの飾りにすぎない。
 裁判員制度の本当の狙いは何か。裁判制度を「迅速、重罰、密室化」の戦時司法へ転換させ、資本家階級によるむき出しの搾取と戦争の遂行に必要な統治のあり方をつくり出すことだ。
 階級矛盾の激化の中で労働者階級の怒りに直面した資本家階級の、延命をかけた絶望的なあがきだ。だからこそ、死刑・無期といった国家による刑罰=暴力の露骨な発動に、労働者階級を強制的に動員することが必要なのだ。
 労働者の側からすれば、階級的な怒りの矛先がねじ曲げられ、団結と階級意識(「資本家階級と労働者階級は非和解だ!」という意識)を破壊される攻撃だ。

 労働者人民の戦時動員

 裁判員制度を中軸とする司法改革を全面的に打ち出した司法制度審議会の意見書(01年6月12日、以下、意見書)では、「国民の統治客体意識から統治主体意識への転換を促す」などと、労働者階級人民を分断して国家の側に立たせる、とあけすけに語っている。
 しかも、「刑事手続に一般の国民の健全な社会常識を直截(ちょくせつ)に反映させる」などと、ナチスドイツ時代の刑法の「健全な民族感情に従って処罰する」と同一のイデオロギーを打ち出している。
 裁判員制度は、資本家階級によるむき出しの階級支配を、言わば「赤紙」(召集令状)と、労働者階級人民を相互に監視させる「隣組」制度で支え、さらなる搾取と戦争を強制する卑劣で許すことのできない攻撃だ。
 裁判員選任のしくみを簡単に整理してみる。
 裁判員制度が適用される重大事件は、過去の統計では年間で約3700件前後にのぼる。
 一つの事件につき、裁判員6人と裁判官3人が担当するが、その6人は、最大100人ほどの裁判員候補者から質問票と面接で絞り込まれていく。あらかじめ提出させた質問票の回答が、定められた辞退理由に該当しない限り、裁判員を辞退することはできない。あくまで「やりたくない」と主張すれば、個人の内面にまで踏み込んだ思想調査は避けられない。
 こうして毎年37万人前後に裁判所から呼出状と質問票が送りつけられることになる。最高裁は、こうした試算などによって、有権者の約0・3%が裁判員制度に関わるとしている。
 しかし、この数字にはゴマカシがある。裁判員候補者の母体となる裁判員候補者名簿の数が明確にされていない点だ。
 裁判員候補者名簿は、市町村の選挙管理委員会が選挙人名簿からくじで選んだ名簿に基づき、各地方裁判所が作成する。そして、地方裁判所は、裁判員候補者名簿に記載された者に調査票を添えた通知を送りつける。この調査票をもとに、警察官や学生や病人や70歳以上の者、特に困難な辞退理由がある者などを除外して、裁判員候補者は選ばれる。だから、最初に調査票を送りつけられる者の数は、37万人などをはるかに上回り、100万人に及ぶ可能性がある。そうなれば、年末ごとに有権者の100人に1人の割合で「赤紙」が届くことになる。誰もがわが身に引きつけて「人を裁く」ことを考えざるをえなくなる。マスコミを総動員した事件報道や、キャンペーンと一体となって、労働者階級人民を、資本家の階級支配の防衛隊につくり変えようというのだ。

 新自由主義攻撃粉砕を

 裁判員制度を中軸とする司法改革攻撃は、国鉄分割・民営化を強行した「国鉄改革」、小選挙区制を導入した「政治改革」をはじめとする行政改革、規制緩和、民営化攻撃などに続く、「『この国のかたち』の再構築に関わる一連の諸改革の『最後のかなめ』」(意見書)として位置付けられている。労働者階級の団結と獲得物を破壊して、むき出しの強搾取と貧困と戦争を強制する新自由主義攻撃そのものだ。
 同時にそれは、あからさまな改憲攻撃そのものであり、裁判員制度を中軸に据えて、戦後の統治のあり方を根本的にくつがえそうとするものだ。
 しかし、これら一連の攻撃は決定的に行き詰まり、世界金融大恐慌と労働者階級の底知れぬ怒りを呼び覚ましている。末期状態に陥った福田政権と日帝支配者階級は、もはや統治能力を失っている。だからこそ彼らは、ますます裁判員制度にしがみつくほかない。
 われわれは、裁判員制度など断じて認めない。労働者階級が裁くのは、人間を食い物にし、虫けらのように踏みにじってきた資本家階級の一切の罪であり、下す「判決」は革命だ。
 階級的団結の力で、来年5月実施予定の裁判員制度を、改憲もろともぶっとばそう!
 (朝霧恒太)

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週刊『前進』(2344号6面3)(2008/05/26 )

裁判員制度はいらない! 6・13全国集会

 裁判員制度はいらない!
 6・13全国集会
 6月13日(金)午後6時開会
 東京・日比谷公会堂(参加費/1000円)
 主催/裁判員制度はいらない!大運動
●ゲスト発言 小田中聰樹/東北大名誉教授
       池内ひろ美/家族問題評論家
●呼びかけ人発言
高山俊吉/弁護士
今井亮一/交通ジャーナリスト
蛭子能収/漫画家
斎藤貴男/ジャーナリスト
●落語−林家時蔵
「裁判員制度はハナシにならない」

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週刊『前進』(2344号6面4)(2008/05/26 )

 沖縄とヤマトの架け橋

 古波津・福士両氏を偲ぶ会

 4月29日、東京都内で「古波津英興さん生誕百周年、福士譲二さんを偲(しの)ぶ会」が開かれた。主催は沖縄民権の会。東京など首都圏から労働者・市民20人が集まった。
 会場には、柔和な笑顔の古波津英興さんの遺影とともに、文部科学省前でマイクを握り、「沖縄戦教科書検定意見」を糾弾する福士さんの遺影が掲げられた。
 司会は全国沖縄青年委員会が担い、初めに3月8日に逝去した福士さんが制作にかかわった沖縄CTS闘争の記録映画(ビデオ)が上映された。
 黙祷(もくとう)の後、沖縄民権の会代表・座覇光子さんが「古波津さんが亡くなってから早9年、そして福士さんが若くして逝った。福士さんは死の直前まで三里塚を思い、沖縄を思い、労働者階級の解放を求め続けた。沖縄とヤマトの架け橋だったお二人の志を受け継ぎ、これからも私たちの闘いの糧としていきたい」と、主催者のあいさつを行った。
 続いて、70年代に闘われ、福士さんが沖縄に移り住んで取り組んだ石油備蓄基地(CTS)建設阻止闘争とはどういう闘いだったのかを、会員のTさんが報告した。「沖縄と本土の架け橋―福士譲二さんの遺稿と発言」と題するリーフレットが配布された。参加者全員が次々発言し、古波津さん、福士さんの思い出が語られた。
 古波津さんの「沖縄民権」の思想は、本土・沖縄の労働者の分断をのりこえ、労働者階級の国際的団結で沖縄米軍基地を撤去する闘いに引き継がれている。この日の偲ぶ会は、沖縄闘争勝利・洞爺湖サミット粉砕の闘いへ決意を固める場となった。
(写真 2人の遺影を前に思い出を語り合った【4月29日 東京】)

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週刊『前進』(2344号6面5)(2008/05/26 )

 寄稿

 “いよいよ民衆の出番だ”と笑う古波津さんの姿見える

 沖縄民権の会 座覇光子

 「民権をもって国権を撃て」。この言葉が今、生き生きと響いて来る。
 古波津さんが逝かれてから9年、存命なら百歳になられる。もっと生きて欲しかった。私たちはいまだ未熟ゆえに、もっと教えを請わねばならないから……。こういう時、古波津さんは何とおっしゃるだろうかと思い巡らす。「失敗したら出直す。団結しなくちゃならんのに分裂とは何事か!」と怒られそうだ。
 「議会は相手の土俵なんだ。議員になってもしょせん切花さ」と分かっていても、沖縄の闘いに連なることならと区議選にも老体にムチ打って応援に来られた。しかし今、人間関係は引き裂かれた面もあるが、私たちは前向きに進むしかない。古波津さんは「いよいよ民衆の出番だな」とニコニコ笑っておっしゃることだろう。
 今年3月、沖縄とヤマトの架け橋となった福士譲二さんの死に哀惜の念を禁じ得ない。ヤマトの人で、これほど沖縄を真剣に思う人は少ないのではなかろうか。「ヤマトの人間が沖縄を真剣に考えて闘わなかったら、沖縄とヤマトの労働者の解放はない」と語った。三里塚と沖縄を結び、より強い連帯をめざした。
 私たちの一生は長い歴史の一瞬でしかないからこそ、後の世の人びとに明るい未来を手渡さねばならない。苦しい闘いの中にこそ光明を見い出す。長いトンネルの向こうに明かりをほのかに見い出す時の胸の高鳴りに似ているかも知れない。
 私たち沖縄人は支配階級に引き裂かれ、分断された溝を埋めるためにヤマトの労働者とガッチリ手を結ぶ。私たちに直接に差別、抑圧したのは支配者のみならずヤマトの労働者だったから、不信は簡単に消えるものではないが、この苦しみを必ずや乗り越えよう。これはおのれとの闘いでもある。
    ◇
 つい最近、ある建設会社に勤め、異例の早さで出世して行った甥が44歳の若さで突然亡くなった。余りにも忙し過ぎて身体も神経も限界に来ていたのだろう。会葬者は二千人と五百余の花輪があった。高校時代の友人は父親の所に飛んで来て「親父さん、彼はこの花輪に殺されたんだよ! こんなに大勢つき合っていたんでは忙し過ぎて、身体がもたなかったんだよ!」と、号泣した。
 それでも忙しい合間をぬって私の入院先に見舞いに来てくれた彼は、少年のころと同じようにやさしい面影を残していて懐しかった。あの笑顔、姿形が灰になったとは信じ難いが、これが現実だ。資本家階級と労働者階級と二分したこの社会構造は、どちらに属してもけっして幸せをもたらさないとつくづく感じた。「社会全体が幸せでなかったら個人の幸せはあり得ない」という言葉を思い出した。
 「会社に殺されたのかな」とつぶやくと、傍らにいた8歳の女児に「会社は誰が殺すの?」とシビアな質問をされ、ハッとした。子どもはラジカルなのだ。殺されたら殺して当然だと思っている。「働いても働いても苦しい生活をしている働く人たちが『生きられるだけの給料をくれ!』と言っても会社がきかない時にね、働く人たちが会社をつぶして新しい仕事場を作って、みんなが幸せに暮らせるようにするんだよ」と答えた。
    ◇
 24年前、フィリピンで見た労働者の真剣な闘いを思い出す。当時、多国籍企業がアジアを経済侵略していた。「私たちはここでがんばるから、あなた方は日本の資本主義を打倒して」と言われ、日本の企業がフィリピンをわがもの顔で、人権を無視して暴利をむさぼることを知った。
 若い女性従業員が組合事務所で、昼食になると「これを食べて」と、わずかなおかずとごはんを差し出して、「私たちはいつもごはんに少し塩をかけて食べているから大丈夫」と言われ、涙が出てしまった。
 「会社がわれわれの要求を受け入れなければ、われわれが決める」と大きな横断幕が胸を張るように風になびいていた。フィリピンの労働者は国際連帯を強く望み、世界の労働者の解放を願っている。
 今こそ世界に通用する「民権をもって国権を撃て!」の古波津さんの言葉を、誇りをもって実現する時が来た。

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■古波津英興さん(1907〜99) 沖縄県東風平村(現八重瀬町)に生まれ、龍谷大学在学中から労働運動を始める。治安維持法弾圧で2度逮捕・長期投獄。戦後、本土で沖縄の復帰運動に尽力。謝花昇(じゃはな・のぼる)顕彰会を設立。後、沖縄民権の会と改称。60年代後半から、全学連、反戦青年委員会の闘いに共感、沖縄救援センターをつくるなどして安保・沖縄闘争の裁判闘争などを支援した。以後、一貫して沖縄闘争の前進のために奮闘した。ガイドライン・有事立法に反対する闘いの渦中に交通事故で急逝した。

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