ZENSHIN 2008/11/17(No2368 p06)

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第2368号の目次

ソウルで民主労総労働者大会 11月9日、ソウル大学路を埋めた3万人の労働者たち。100人を超える日本の訪韓団も参加。右側に動労千葉と民主労総ソウル本部の旗がひるがえる=記事2面

1面の画像
(1面)
国際連帯うち固め11−12月闘争へ 
オバマ登場と世界恐慌情勢を階級的労働運動でぶっ飛ばせ  田母神空幕長の反革命発言徹底弾劾
記事を読む  
富山大学ビラまき弾圧
武藤君を奪還  第3回公判 大学と警察の結託暴く(11月10、11日)
記事を読む  
生きさせろゼネストへ闘う革共同にカンパを 記事を読む  
(2面)
11・9ソウルで日韓共同闘争  ハイテック闘争勝利へ“労働者は一つ”を実践 記事を読む  
都労連08賃金闘争 大恐慌下、スト反撃を  現業賃金15%下げ阻止! 記事を読む  
11・6東京 秋葉原で大宣伝戦  ハイテック遠征最終日(11月6日) 記事を読む  
(3面)
「非正規職撤廃」へ闘おう
派遣法は粉砕あるのみだ  職場闘争の力で改悪案を葬れ
記事を読む  
国労運転士中村さん裁判 最高裁で勝利判決  “乗務外しは不当労働行為”(10月31日) 記事を読む  
“私に弾圧通用しない”  国労5・27弾圧裁判 原田被告が闘志を表明(11月7日) 記事を読む  
〈焦点〉 組織的なクーデター的突出  田母神空幕長論文事件を弾劾する 記事を読む  
日程 国労5・27臨大闘争弾圧公判日程 記事を読む  
(4面)
書評『新版 甦る労働組合』(中野洋著)  藤掛 守
世界大恐慌情勢に立ち向かう労働組合論  労働者は必ず勝つ
記事を読む  
三里塚 支援連が緊急現地闘争
空港会社が明け渡し提訴 市東さんの農地強奪許さぬ(11月9日)
記事を読む  
日誌 2008年 11月4日〜11日
米大統領に民主党オバマが当選/朝鮮有事の日米作戦見直しへ
記事を読む  
(5面)
オバマ当選で革命情勢深まる
戦争と貧困に人民の怒り噴出米帝の危機と没落は加速する
日米韓労働者の連帯が勝利の道
記事を読む  
裁判員制度廃止 11・22大行動へ  改憲と戦争への攻撃許すな 記事を読む  
護衛艦インド洋派兵を佐世保で弾劾 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
星野文昭さんを自由に! 11・29全国集会へ  再審開始へ全国に救う会を 記事を読む  
迎賓館・横田爆取差し戻し審 “誤った裁判やめよ”  ずさんな押収手続きで馬脚(11月12日) 記事を読む  
法大弾圧裁判 4・27弾圧
卑劣な分断を弾劾  新井・友部両君が証言(11月10日)
記事を読む  

週刊『前進』(2368号1面1)(2008/11/17 )

 国際連帯うち固め11−12月闘争へ 

 オバマ登場と世界恐慌情勢を階級的労働運動でぶっ飛ばせ

 田母神空幕長の反革命発言徹底弾劾

ソウルで民主労総労働者大会 11月9日、ソウル大学路を埋めた3万人の労働者たち。100人を超える日本の訪韓団も参加。右側に動労千葉と民主労総ソウル本部の旗がひるがえる=記事2面

 田母神(たもがみ)前空幕長の侵略戦争正当化論文と国会での放言は、軍隊内からの反革命クーデターとも言うべき所業であり、絶対に粉砕しなければならない。また、米民主党オバマの登場は米帝の危機を一層促進し、労働者階級への攻撃を決定的に激化させるものだ。今こそ階級的労働運動の力で大反撃しよう。11・2全国労働者集会と韓国の11・9民主労総労働者大会は、世界金融大恐慌をプロレタリア世界革命で迎え撃つ階級的陣形を鮮明に登場させた。この闘いをさらに前進させるために、11〜12月に5700人の団結を打ち固め拡大する組織拡大決戦にうって出よう。『新版 甦る労働組合』(中野洋著)と『前進』は、その最良の武器だ。13日、11・2集会の銀座デモで不当逮捕された労働者の釈放をかちとった。分岐と激突で鍛えられた青年労働者・学生とともに11月−12月闘争を闘いぬき、麻生政権打倒−09春闘へ進撃しよう。

 プロレタリア革命勝利の国際的陣形

 11・2集会を核とする一連の国際連帯行動は、世界革命の路線と隊列をついに現実化した。動労千葉労働運動と3労組共闘の11月集会が、世界に通ずる路線として宣言されたのだ。民主労総の労働者は「両国間の壁を越えて団結して闘えば、資本と政権による新自由主義の壁を打ち破れると確信します。それぞれの国のバラバラの組織ではなく、ひとつの組織として新たに生まれ変われるよう、より一層組織化に向けて頑張ります」(民主労総ソウル本部のイジェヨン本部長)と決意を語った。
 アメリカの労働者は、「今日は日本人になることができました。明日は私は韓国人になり、そして世界の労働者としてひとつになります。レボリューション!」(ILWU=国際港湾倉庫労組のケナード・ウィルソンさん)、「国際的・革命的な労働者の党が必要だ」(同ジャック・ヘイマンさん)と訴えた。それぞれが、人種・民族の諸課題も含め、プロレタリア世界革命の中にすべての希望があることを、この間の闘いを踏まえて鮮明に訴えたのである。
 11・2集会はまた、誰が労働者の怒りの炎をもみ消そうとしているのかをはっきりさせ、体制内勢力との闘いが焦眉の課題であることを鮮明にした。街頭で訴えて、道行く労働者から大きな共感と反響があるのは、「会社と闘わないうちの組合役員は許せない」という声だ。また、4日の日韓自治体労働者交流会の席で、民主労総の仲間がそれにふれ、「韓国のことわざに、『寝ている人は起こせるが、眠ったふりをしている人は起こせない』というのがあります」と訴えた。
 さらに、訪韓した田中康宏動労千葉委員長がソウルで「日本も韓国もアメリカも労働運動は今、同じ壁にぶち当たっている。敵は崩壊寸前であり、労働者が闘えばうち倒すことができるチャンスだ。それなのに労働者の側が逡巡(しゅんじゅん)している。ここを突破できれば壁は越えられる。命がけのハイテックの闘いに応えられないようでは駄目だ。日本で産みの苦しみで闘って、私たちが本当の力を得よう!」と問題の核心を明らかにした。
 世界は今、革命の現実性が迫る中で、労働者階級をどの勢力・路線が獲得するのかで激動している。オバマの登場も、米帝の階級支配の全面崩壊の危機により、プロレタリア革命を予防・鎮圧するための挙国一致体制としてブルジョアジーが選択したことが核心だ。
 国鉄1047名闘争の「4者4団体」路線をめぐる対決も、労働者階級が解放の道を闘いとるのか、それとも帝国主義の攻撃に屈服してしまうのかの激突であり、それゆえに絶対あいまいにできない闘いなのだ。
(写真 本大会に先立ち開かれた「非正規・女性・中小零細事業場労働者大会」に動労千葉を始めとする訪韓団が参加した【11月9日 ソウル】)

 職場で街頭で世界の激動を訴えよう

 11月7日、世界に「トヨタショック」の激震が走った。91年前にロシア革命があったこの日、トヨタ株に売り注文が殺到して午前中は取引が成立せず、午後も一時ストップ安になったのだ。トヨタの08年度予想売上高は12・5%減、営業利益は前年2兆2700億円から74%減の6千億円に急減した。米帝の7〜9月期GDP速報値が0・3%下落した。米失業率も6・5%と急上昇した。9〜10月の2カ月間の就業者数は52万4千人も急減している。自動車「ビッグ3」関連での数百万人規模のリストラさえ言われ出した。米住宅着工件数は6・3%減で17年ぶりの低水準だ。10月の米新車販売も32%減で17年ぶりの低水準だが、日帝の10月新車販売は40年ぶりの低水準だ。
 このように帝国主義経済は本当に破綻しているのだ。生産が停滞し、例えば石油化学製品のナフサが原料の原油価格を下回る逆転現象さえ起こっている。鉄くず価格も4分の1に急落した。新興国経済も急収縮している。ロシアなど産油国は原油価格の急落で国家予算のメドも立たず、中国、インド、ブラジルなどの経済の破綻も急速だ。日本では企業の法人税収が急減して4〜9月期で41%減。麻生はさらに「法人税率を下げて企業を救済する。(一方で)3年後に消費税を上げる」ことで乗り切ろうとしている。すでに日本の労働者の非正規比率は4割に迫り、3人にひとりは年収300万円以下だ。その上、子どもの教育費などで労働者家族からの極限的な収奪が横行している。
 さらに麻生は、日本学生支援機構(旧日本育英会)に「奨学金返済滞納者情報を金融機関に通報。返済が9カ月以上滞ったら強制執行」を決定させた。ふざけるな! 日帝の教育予算はGDPの3・5%で、OECD(経済協力開発機構)加盟30カ国中29位だ。
 「金は出さずに口と手を出す」最弱の上に最低の帝国主義が日本帝国主義だ。怒りが急速に広がり、駅頭で「足なが募金」運動をしていた学生も11・2集会に結集した。それが全世界で起こっている。10月下旬、イタリア、ギリシャ、ドイツで400万人がストに入り、フランス国鉄が11月6日から実質36時間ストで仏新幹線すら7割が止まった。日本でも10月31日、国労共闘の中村幸夫運転士への不当労働行為事件の最高裁勝利判決がかちとられた。こうした、労働者の力を示す闘いを職場で街頭で訴えよう。労働者は仲間の闘いを自分への援助として感じて、もりもりと力が湧いてくる階級だ。

 麻生と橋下打倒し道州制粉砕しよう

 11月10日午後、武藤淳範(ぶとうあつのり)君が富山刑務所から元気に保釈奪還された。武藤君の奪還は、法大弾圧で獄中で闘う19人の学生の奪還の展望をもこじ開けた。武藤君の保釈金は、なんと400万円だ! 
激増する非正規教員の年収は170万円。2年間食わずに働いてもまだ足りない大金だ。
 この麻生政権の学生への態度は、すべての労働者・高齢者に対する態度とまったく同じものだ。だからこそ、この学生たちの闘いは、すべての人民と結んで、未来を切り開いているのだ。
 法大の学生たちは連日殴られながら、ついに学生の団結を守りきって勝利した。今や法大当局は「警備員を争議行為に介入させた」違法の暴露に震え上がっている。この学生たちの闘いこそ、小林多喜二の『蟹工船』の歴史を真に引き継ぎ、勝利へと導く闘いだ。今こそ日本労働者階級の底力を発揮して1億円と予想される保釈金を集めよう。19人の学生たちを年内に奪還しよう。それは必ず星野文昭同志奪還の道筋を切り開くのだ。
 4者4団体路線派の10・24集会に「11・2」が圧勝した地平に立ち、第2次国鉄決戦を基軸に、11・2集会に向かった時以上のボルテージで麻生政権打倒、橋下大阪府政打倒へ突き進もう。
 日本経団連が道州制への最終提言を発表した。道州制攻撃は警官や自衛隊員以外はいったん全員解雇するというウルトラ反動であり、その最先兵が橋下だ。11・21大阪府庁前闘争は反撃の号砲だ。実際、11・2集会は3労組に続いて70人の組合員が参加した単組を先頭に、全国で3けたの拠点職場からの結集で「1万人結集」に手をかけたのだ。
 そしてまたこの力こそが、田母神前空幕長の侵略戦争正当化発言をぶっ飛ばし、改憲攻撃を攻勢的に打ち砕く力だ。さらに11・9三里塚闘争の成功をふまえ、11・22裁判員制度廃止集会とデモ、11・29星野同志奪還全国集会から12・14国鉄闘争勝利集会に立とう。これらの闘いと一体で、すべての仲間に冬期・年末一時金カンパ闘争を訴え勝利しよう。

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週刊『前進』(2368号1面2)(2008/11/17 )

 富山大学ビラまき弾圧

 武藤君を奪還

 第3回公判 大学と警察の結託暴く

 11月10日、富山大学ビラまき弾圧で7カ月間にわたる不当勾留を完黙で闘い抜いた武藤淳範君を保釈奪還した。武藤君は富山刑務所から元気に出獄した。これは法大弾圧と闘う学生全員の奪還に向けた決定的突破口であり、富大当局の学生運動つぶしを粉砕し、富大学生運動を大きくつくりだす決定的な勝利だ。しかし、今回の保釈条件として400万円もの高額な保釈金が課せられたことを徹底的に弾劾する。
 翌11日、富大ビラまき弾圧の第3回公判が富山地方裁判所(岩井隆義裁判長)で行われた。検察側証人として、笹岡博史と市川勇が登場した。自治会破壊、学生運動弾圧を先頭で行ってきた市川に対して弁護士と武藤君が厳しく追及した。
 今回決定的なことが発覚した。市川の証言によると大学当局がすでに1年前から武藤君をはじめ自治会活動家を警察に売り渡すために、富山中央署の警備課と毎月、多い時には月に7度も謀議してきたのだ。
 逮捕当日の4月15日には武藤君が学内に入ったら警察に売り渡すことを前日に決めており、大学前交番に警備課の警官を待機させていた。
 数々の行為に対して武藤君や傍聴席から激しい怒りがたたきつけられた。それに対して退廷命令を乱発する岩井裁判長を徹底的に弾劾し、階級的に裁判を闘いぬいた。
 武藤君保釈奪還の勝利に続き、法大弾圧と闘う獄中の19学生を直ちに奪還しよう。保釈金1億円カンパ闘争に総決起しよう。

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週刊『前進』(2368号1面3)(2008/11/17 )

 生きさせろゼネストへ闘う革共同にカンパを

 私たちは11月全国労働者集会を、大反動を打ち破って5700人の結集で闘いとりました。日米韓の闘う労働者の世界革命へ向けた階級的団結を打ち固めたのです。10月末から2週間にわたって、集会・デモ、討議、ハイテック資本に対する闘い、街頭宣伝、訪韓闘争と、より深い、本質的な、国境を越えた団結を深め、世界革命への出発点をかちとったことはまさしく歴史的快挙です。
 金融大恐慌に突入した最末期の帝国主義は断崖絶壁です。彼らには労働者階級への搾取・収奪の極限化と世界戦争への道以外に方策はありません。11・2集会は新自由主義と対決し、職場生産点で日々激突して、日米韓の労働者階級が国境を越えて結集したのです。福田が倒れ、麻生も解散すらできない、グラグラな支配階級に労働者階級の実力をたたきつけたのです。
 資本主義の崩壊に、労働運動の既成指導部が「資本主義守れ」運動、つまり体制内労働運動に転落しています。日本共産党、社民勢力など10・24集会勢力の「解雇撤回」投げ捨てに真っ向から対決し、国鉄分割・民営化絶対反対・1047名解雇撤回を掲げた11月集会として闘いとりました。あらゆる反動を打ち破って労働者階級の原則であるマルクス主義、動労千葉労働運動を貫いたのです。
 私たちの闘いは、「生きさせろ!ゼネスト」を実現する09年へ、大きな展望を切り開いています。今、労働者の40%を占める非正規労働者が次々と雇い止め・リストラ攻撃にさらされています。道州制・公務員200万人首切りも激しく襲いかかっています。年末から09年に膨大な数の企業倒産が続きます。誰もが団結して闘う以外に生きられない時代です。
 08年、私たちは、時代認識と路線で一致し、団結を一切の総括軸に闘う革共同に飛躍しようと全力をあげてきました。マル青労同は2000万青年労働者の最先端で職場を戦場に闘いぬき、マル学同は法政大を戦場についに力関係を転換し、300万学生決起の開始を告げています。11月勢力の世界観、時代認識、革命の路線に真に力があります。
 獄中19人の学生同志を奪還し、断崖絶壁の帝国主義・資本家どもを倒すためのカンパを集中して下さい。労働者階級の団結した行動のみが世界を変えます。革共同は階級そのものとして、その闘いの最先頭に立ちます。09年、階級的団結と革命的行動の底力を示し、資本家どもを震え上がらせる世界革命の火柱を上げよう!

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週刊『前進』(2368号2面1)(2008/11/17 )

 11・9ソウルで日韓共同闘争

 ハイテック闘争勝利へ“労働者は一つ”を実践

 

11・9民主労総労働者大会(ソウル・大学路)、左は女性労組連盟

 11月9日、ソウル。民主労総全国労働者大会には3万人が結集し、凶暴な弾圧と公共部門民営化を推し進めるイミョンバク政権打倒を叫んだ。11・2日比谷で日米韓労働者の国際連帯闘争を実現した動労千葉組合員を先頭とする100人を超える訪韓団も、民主労総ソウル本部とともに怒りのこぶしを突き上げた。「現場の壁をのりこえられずに次々に負けているのが今の韓国の労働運動の現実」「ハイテック・コルテックの共同闘争の勝利には80万民主労総、1500万韓国労働者の勝利がかかっている」と、現場から現状を突き破ろうと高空籠城(ろうじょう)が続けられている。その現場に立ち、11・2東京から11・9ソウルを貫く国際連帯闘争の新たな一歩を踏み出した。

 非正規職撤廃を

 動労千葉訪韓団は、11月9日昼すぎ、民主労総全国労働者大会会場の大学路(テハンノ)で大会に先立って民主労総ソウル地域本部と全国女性労働組合連盟が主催した「2008年非正規・女性・中小零細事業場労働者大会」に参加した。
 ソウル本部のイジェヨン本部長は「チョンテイル烈士の遺志を継ぐ38年目の日。長い歳月が流れたが、この地の労働者は今も資本と政権によって苦しめられている。いま世界的な金融恐慌の中、全労働者の存在が脅かされている。新自由主義を粉砕し、この地を真に労働者解放の世の中にしていきましょう。民主労総ソウル本部の同志とともに闘っていきます」と宣言した。
 大挙参加した女性労組連盟を代表し、イチャンベ委員長が非正規職撤廃を訴えた。イミョンバク政権与党のハンナラ党国会議員が最低賃金法改悪を狙っていると暴露し、「最低賃金労働者の生存権を守るためにわれわれが全面的に立ち上がろう」と訴えた。
 続いて、動労千葉の田中康宏委員長が紹介され、動輪旗とともに発言に立った。田中委員長は開口一番、「労働者に非正規職とか正規職とか区別があること自体が間違っている。労働者は社会をつくり、歴史をつくる存在です!」と強調し、「労働組合が歴史の最前線に登場しなければなりません。きょう、ハイテックコリアの高空籠城現場に行ってきましたが、籠城中のキムヘジン支会長の不屈の決意には及ばないが、それでも嵐が来ようとも労働解放まで闘いぬくことを誓います」と決意を語り、大きな拍手に迎えられた。
 ここで11・2日比谷で力強い律動を披露したパランが登場、昼過ぎから降り出した雨を跳ね返す躍動感あふれる律動に会場が大いにわいた。
 その熱気の中、司会のカンヨンスン・ソウル本部首席副本部長が「いま律動をやった同志たちが日本で会った学生同志たちが来ています」と全学連を舞台に招いた。
 発言の機会を得た織田陽介委員長は、法政大学での闘いを報告し、「日韓の学生で話し合って労働者の究極の勝利までともに闘いぬくことを決めました! いま世界中で労働者がすごい闘いをやっている。あとは私たち若者がリーダーになるという決意を固めることです。国境を越えて団結した力で絶対に勝利し、労働者が主人公の世界にしよう。生きて、生きて、闘って、闘って、再会しましょう!」
 自らの闘いで未来をつかもうという青年の決意に参加者は拍手喝采。いつのまにか雨もあがっていた。
 午後3時すぎ、大学路には3万人を超す労働者人民が結集し、2008民主労総労働者大会が始まった。

 高空籠城現場で

 9日午前、動労千葉訪韓団は漢江のほとりに立つ高圧送電塔で高空籠城闘争中のハイテックRCDコリアの闘争現場を、民主労総ソウル本部とともに激励に訪れた。
 コルテック支会との共同闘争として両支会長が15万4000ボルトの高圧電流が通る鉄塔の地上40bに籠城(ろうじょう)してすでに26日、ハンストに突入して16日目だ。100人を超える訪韓団を鉄塔上でキムヘジン支会長が手を振って迎えてくれた。
 鉄塔の下でソウル本部のイジェヨン本部長がマイクを握り、激励集会が開かれた。最初に、11・2集会で発言し、1週間の日本遠征闘争を闘ったハイテックコリアのチョンウンジュ副支会長が、日本遠征闘争から帰って一層力強く闘っていることを報告し、連帯闘争を呼びかけた。
 これにこたえて田中委員長が、「職場に戻って闘いたいという当たり前のことなのに、そのためにどうしてこのように辛い闘いをしなければならないのか。この場に来て何ができるのか、キムヘジン支会長の闘いにこたえるために日本の労働運動の現状を変える決意です」ときっぱり。
 その場に居合わせた民主労総のホヨング副委員長が、「世界金融危機が深まる中、イミョンバク政権の労働者弾圧は警察国家そのものだ。日米の資本が結託する中、韓国と日本の労働者の連帯は新自由主義世界化を阻む大きな力になる」と今後の連帯闘争を訴えた。
 イジェヨン本部長が「皆さん、キムヘジン支会長に会いたいでしょう!」と呼びかけ、40b上空のキムヘジンさんからの電話の声があたりに響き渡った。
 「私はこの場で日本でのハイテック闘争の映像を見て、皆さんの実践する力に感動しました。労働者たちの生存権が脅かされ、労組を追い詰めることで労働者の生存権を奪おうとしています。がけっぷちに追い詰められた労働者の苦しみを闘いによって跳ね返していく、資本の弾圧を労働者の闘いで打ち破っていく、その先頭で闘います。同志たちが実践する、世界の労働者は一つだという闘いに学んで必ず勝利したいと思います!」
 この呼びかけにこたえて、天まで届けと「韓日労働者の共同闘争でハイテック闘争に勝利しよう!」とシュプレヒコールをあげた。
(写真 鉄塔の下で集会後、籠城中の2人に届けと声を上げ、手を振る訪韓団の労働者・学生【11月9日 ソウル・漢江の楊花〔ヤンファ〕大橋北側】)

 ◆11・9前段集会での発言  動労千葉 田中康宏委員長

 ソウル本部の同志たちとの5年間の連帯闘争が、大きな力を僕らに与えてくれたことに心から感謝します。
 労働者に非正規職労働者とか正規職労働者とか区別があること自体が、絶対間違っている。
 労働者はたった一つ、社会をつくり、歴史をつくっていく存在です。雇用を破壊し、賃金を破壊し、権利を破壊し、すべてを破壊してこんな現実を起こしたのは誰なんだ! 私はこんな現実を強制しているあの資本家どもが本当に憎い。資本主義体制が本当に憎いと思います。
 この現実を打ち破れる力はたった一つ、労働者が本当に固く団結すること。胸を張って誇りをもって、俺たちこそが社会を動かしている、そういう存在だと宣言することでしょう!
 資本家どもはガタガタで足元が崩れ落ちています。この時に本当に労働組合が歴史の最前線に登場しなければいけない。
 きょう、金属労組ハイテックRCDコリア支会の高空籠城の現場に行って来ました。あのキムヘジン支会長の不屈の決意には遠く及ばないが、それでも私は、どんな嵐が来ようとも最後まで勝利の日まで皆さんといっしょに、労働解放の日まで闘うことを誓います。

地上40b地点で高空籠城中の民主労総金属労組ハイテックRCDコリア支会のキムヘジン支会長【左】と同コルテック支会のイイングン支会長

 ◆11・8前夜祭での発言 チョンウンジュ副支会長

 

ハイテックRCDコリア副支会長・チョンウンジュです。トゥジェン(闘争)!
 現在、私たちはコルテック支会とともに共同高空籠城闘争中です。労働者の権利を守り、生存権を守るため、民主労組を死守するために闘っています。困難ではあるけれど、組合員が待ちに待っていた共同闘争を展開しています。
 今こそ共同闘争を展開する時です。資本と政権が一つになって襲いかかっている中、労働者が一つになって共同の闘い、共同の戦線をつくっていかなければなりません。
 見よ! このソウル駅の狭い空間で警察に取り囲まれているのが今の労働者の置かれた現実です。スローガンだけの「労働者は一つだ」ではなく、実践と行動をとおして本当に労働者は一つだということを政権と資本に見せてやらなければなりません。
 (チョンウンジュ副支会長は民主労総ソウル本部とともに来日し、11・2労働者集会で発言。1週間のハイテック日本遠征闘争を闘いぬいた)

前段集会で全学連が登壇し発言(11月9日)

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週刊『前進』(2368号2面2)(2008/11/17 )

 都労連08賃金闘争 大恐慌下、スト反撃を

 現業賃金15%下げ阻止!

 都労連の08賃金闘争は最大の山場を迎えている。11月18日のストライキを断固貫徹し、都の業務を止め、都労連5万3000組合員の団結の力を示そう。スト貫徹以外、都の大幅賃下げ・団結破壊攻撃に反撃し、都労連の戦闘的団結を保つ方針はあり得ない。
 すでに都労連執行部は12日の1時間ストを中止し、29分の時間内職場集会に切り替えた。その理由として「都労連の要求に対して都側が真摯(しんし)に検討する姿勢をみせた」ことを挙げた。しかし、都はなんら当初提案を値引いたわけでも、新たな提案を示したわけでもない。都労連執行部は、スト中止の理由を見つけるために都の姿勢を「真摯」と評価したのだ。
 闘いを放棄した組合執行部には用はない。労働組合は労働者が闘うための武器だ。現場労働者に労働組合を取り戻そう。
 都の提案には断固拒否あるのみだ。一律大幅賃上げ要求を掲げて断固ストライキを貫徹しよう。

 主任教諭新設は分断攻撃だ

 都は10月24日以来、@現業系職員給与の平均15%引き下げA教員給与表の小中高1本化B「主任教諭」の新設――の主要3点に加えて、職員給与月例給0・09%引き下げ、特別給(ボーナス)据え置きの提案を維持している。しかも、都営交通、水道をはじめ約7000人の現業系職員の賃金15%引き下げの理由として、「主要に業務を運営しているのは行政系であり、現業職は判断業務についていない」と言った。現業労働者を愚弄(ぐろう)し差別する言辞だ。実際の業務を担っている現業労働者だけが賃金削減に甘んじなければならない理由はない。
 教員については、小中高の統一給与表の導入で、40―50代の高校教員の月給は4―5万円も減ることになる。主任教諭とその給与表の新設は差別・分断、団結破壊・組合破壊攻撃そのものだ。
 賃金カーブのフラット化の強化は、生涯にわたって賃金水準を低く抑え込む攻撃だ。都は都職員労働者と家族が自らを再生産し、社会生活を営むことさえ許さないのだ。
 このような都と職員労働者とは絶対的に非和解だ。いんちき「時短」と「現給保障」を「かちとる」ことで妥協・決着を図る都労連執行部を許してはならない。特別区区長会は昨年の賃金交渉で特区連に「現給保障」を約束したが、その約束は破られた。妥協の余地は一切のないのだ。
 今日、世界金融大恐慌―世界革命情勢のなかで都労連が08賃金闘争をストライキで闘うことは決定的だ。都労連ストで、金融大恐慌にあえぐ資本家階級の労働者支配は音を立てて崩れ始める。ストは労働者の階級的団結を強化し、革命へ主客の情勢を前進させる。一律大幅賃上げをかちとり、民営化・人事評価・道州制導入・200万人首切り攻撃を打ち砕き、石原都政を打倒しよう。都労連全組合員は「生きさせろ!」ゼネストの先頭で秋闘ストを打ち抜こう。

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週刊『前進』(2368号2面3)(2008/11/17 )

 11・6東京 秋葉原で大宣伝戦

 ハイテック遠征最終日

 

▲6日、秋葉原駅前で3時間の大街宣。米UTLAのグレゴリー・ソティアさんもマイクで訴えた【写真左】。街宣をやりぬき団結を固めた【写真右】

 11月6日、民主労総金属労組ソウル支部ハイテックRCDコリア支会と動労千葉、支援の労働者たちは、三たびハイテック・マルチプレックス・ジャパン本社前に登場し、資本に回答を迫った。
 職員は、「社長は出張中で責任ある回答はできない」との対応に終始。すでに48時間も時間を与え、資本の誠意ある回答を待ったにもかかわらず、どこまで蹂躙(じゅうりん)するのか!
 予定どおり、すべての闘いを貫徹しようと確認し、まずは日本ラジコン模型工業会に行き、マルチプレックス・ジャパンの除名を要請。さらに秋葉原でハイテック製品を扱っている販売店への申し入れを行った。
 昼から秋葉原駅頭で行った3時間の大街頭宣伝は大きな注目を浴びた。ハイテックの労働者は段ボールで作ったロボットの中に入って、道行く人にハイテック製品不買運動をアピール。1500枚のビラをまききった。
 11・2労働者集会に参加したUTLA(ロサンゼルス統一教組)のグレゴリー・ソティアさんと鉄道労働者のポール・C・ジャンセンさんも街宣に参加し、ハイテック資本の労働者弾圧阻止を訴えた。
 マルチプレックス・ジャパンの伊丹社長は、数年前に韓国の九老(クロ)にあるハイテック本社で研修を受けた際、ハイテック資本の労働弾圧を目の前で見ているのであり、それを支持し日本法人の社長になった労働弾圧の確信犯だ。
 15万4000ボルトの高圧電流の流れる鉄塔の上で籠城・ハンストを闘いぬいているキムヘジン支会長の決死の闘いにこたえて、日本遠征団も全力で闘いぬいた。
 日本の労働者が自らの闘いとしてハイテック資本に対する闘いを独自に闘いぬくことが大きな課題となった。

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週刊『前進』(2368号3面1)(2008/11/17 )

 「非正規職撤廃」へ闘おう

 派遣法は粉砕あるのみだ

 職場闘争の力で改悪案を葬れ

 麻生政権は11月4日、労働者派遣法改悪案を閣議決定し、国会に提出した。その内容は、日雇い派遣の禁止をうたいながら、不安定雇用の最大の実体をなす登録型派遣を温存するという、徹頭徹尾、許しがたいものだ。派遣労働者を依然として無権利の低賃金状態に置き、あくなき搾取を貫こうとする資本の意志が、そこにははっきりと貫かれている。11・2労働者集会で掲げられた「非正規職撤廃」のスローガンを貫き、労働者階級の国際的な団結を打ち固めて、「生きさせろ」のゼネストへ闘うことが今こそ求められている。
11・2労働者集会後のデモ。「非正規職撤廃! 生きていける賃金よこせ」の横断幕をかかげて銀座を行進する労働者。派遣労働者も多数参加した

 最大焦点の登録型派遣の規制見送り

 政府が国会に提出した法案は、日雇い派遣や派遣期間30日以内の短期間派遣を、専門的業種18種を除いて原則禁止するとした。だが、最大の焦点となっていた登録型派遣の規制は見送られた。
 登録型派遣は、320万人いる派遣労働者の7割を占めるが、そのうち日雇い派遣は1万人と言われている。日雇い派遣の原則禁止といっても、その効果が及ぶ労働者はごく一部に限られる。
 労働者派遣法の改定に向けた厚生労働省・労働政策審議会の議論の中で、使用者側は「われわれは派遣労働という、低コストで必要な時だけ使える便利な労働力を手にし、それを前提としたビジネス・モデルを構築した。その成功の条件を崩すべきでない」と露骨に主張した。これは、政府法案の中にも基本的に貫かれている。
 しかも法案は、短期間派遣を期間の定めのない派遣に置き換えるためとして事前面接を解禁し、3年を超えて派遣された労働者に対する使用者の雇用契約締結申し込み義務を撤廃するなど、一層の規制緩和策を盛り込んでいる。
 「こんな法案など粉砕だ」という派遣労働者の叫びはまったくそのとおりだ。麻生と資本家どもがたくらんでいるのは、これまで以上に悪らつなやり方で派遣労働者をこき使い、使い捨てにするということだ。
 労働者派遣法の改定は、福田政権下で検討が開始された。小泉以来の新自由主義攻撃に対する労働者階級の怒りが高まり、改悪された派遣法をも無視した偽装請負などの違法行為が次々に明るみに出る中で、福田は新自由主義政策に一定の手直しを図るかのようなポーズを取らざるを得なくなったからだ。
 だが、世界金融大恐慌がついに爆発を開始する中で、資本は一切の犠牲を労働者に押しつけて危機を突破する以外になくなった。それは、規制緩和の流れを逆転する選択など、資本にはできなくなったということだ。
 麻生は「非正規雇用を正規雇用に変える」などと豪語するが、実際に進行しているのは労働者の一層の非正規雇用化だ。厚生労働省が公表した調査によれば、2007年に非正規雇用労働者の割合は37・8%に上ったという。特に、派遣労働者の割合は4・7%で、03年に比して2倍以上になったという結果が出ている。ここ数年で、非正規雇用化はすさまじい勢いで進んだのだ。
 とりわけそれは、製造業への派遣が解禁された04年以来、急速に進展した。

 青年先頭に労働者の反乱が始まった

 世界金融大恐慌は、実体経済にも激しく及んでいる。トヨタが09年3月期決算の業績予想で、営業利益が約7割減になると公表したことは、資本に激震を与えた。この中でトヨタは、本体の期間従業員を3000人削減する計画を打ち出した。トヨタの主要下請け会社7社は、今年3月以来、すでに非正社員を2900人減らしている。日産も派遣労働者の大規模な削減計画を打ち出した。
 大失業が労働者階級を本格的に襲い始めた。その中で、真っ先に首を切られるのが派遣労働者だ。低賃金労働者を踏みつけにしてマネーゲームに熱中し、その揚げ句、世界経済を破綻させた資本の不始末を、どうしてこれまでさんざん資本によって踏みにじられてきた労働者が負わなければならないのか。日々、人格を否定され、いつでも代替可能な「労働力商品」としてしか扱われない派遣労働者の現実に、積もりに積もった怒りをたたきつける時は今だ。
 資本主義を延命させる手段は尽き果てた。労働者を生かしていくことのできない資本主義など、打ち倒す以外にない。すでに、全世界で労働者階級は荒々しい闘いに立ち上がっている。労働者を一層の貧困と無権利状態にたたき込み、金融資本を救済するために膨大な税金を投入する資本主義国家に対して、怒りの決起が始まっている。
 それは、全世界で労働者を非正規雇用に突き落とした新自由主義の攻撃に対する根底的な反乱であり、プロレタリア世界革命に一直線につながる闘いだ。この中にのみ、労働者階級が生き抜くことのできる道がある。

 連合の屈服粉砕し09春闘ゼネストへ

 政府が打ち出した労働者派遣法改悪案に対して、連合は「労働者派遣法制定以降の規制緩和の流れに歯止めをかけ、一定の規制を行う」ものと評価し、「連合の運動の成果でもあり、前向きに受け止める」という談話を出した。
 民主党が提案している労働者派遣法改定案も、登録型派遣を温存し、2カ月以内の派遣契約を禁止するというだけの内容だ。
 こんなものは、およそ派遣労働者が求めているものではない。非正規雇用の撤廃こそが、労働者の要求だ。民主党や連合に、労働者の命運をゆだねるわけにはいかない。彼らは、崩壊の瀬戸際にある資本主義を救済するために、一層の犠牲を労働者に押しつける資本の代官にほかならない。
 国鉄1047名闘争をめぐる4者・4団体路線もまた、資本主義救済の体制内労働運動の最先端にある。
 労働者派遣法は、国鉄分割・民営化に先立つ1985年に制定された。中間搾取を禁じた戦後労働法制の根幹を破壊する攻撃は、国鉄分割・民営化と並ぶ新自由主義攻撃の切っ先としてあった。95年の日経連プロジェクト報告以来、労働者を非正規雇用に突き落とす攻撃は本格的なものとなった。本来、国鉄闘争は、こうした攻撃に最先頭で立ち向かうべき位置にある。それを真っ向から裏切っているのが4者・4団体だ。
 労働者は、国家や既成勢力による救済を当てにすることなどできない。職場で資本と闘うことによってのみ、活路は切り開かれる。
 今こそ、体制内労働運動を打倒して、「生きさせろ」のゼネストに立つべき時だ。階級的労働運動復権の突破口は、11・2労働者集会でこじ開けられた。09春闘に向け、この道を断固進もう。そのただ中で、労働者派遣法改悪案を労働者の実力で葬り去ろう。

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週刊『前進』(2368号3面2)(2008/11/17 )

 国労運転士中村さん裁判 最高裁で勝利判決

 “乗務外しは不当労働行為”

 10月31日、最高裁は、国労豊田運輸区分会所属の運転士・中村幸夫さんに対するJR東日本の不当労働行為事件に関して、中村さん勝利の判決を出した。
 中村さんは00年7月1日の国労臨時大会に際し、本部方針に反対して闘争団とともにスクラムを組んで機動隊と対峙する中で、公安警察により不当逮捕された。この大会で国労本部は、1047名闘争の解体を狙う4党合意の受け入れを強行決定しようとしていたが、闘争団の演壇占拠などの闘いでこの策動は阻まれた。
 中村さんは完全黙秘を貫き、不起訴で釈放されたが、JR東日本は不当逮捕にかこつけて、中村さんを中央線の運転勤務から降ろし、電車区構内の草むしりなどの日勤勤務や、ベッドのシーツ交換と運転との混合勤務を命じた上、八王子支社に呼びつけて国労脱退を強要した。
 これに対し中村さんは個人で労働委員会に救済を申し立て、東京都労働委員会、中央労働委員会はいずれも「乗務に戻せ」「乗務していたら得られた賃金を支払え」などの全面勝利命令を発した。しかしJRは命令を守らず、その取り消しを求める訴訟を起こした。
 一審東京地裁(難波裁判長)は中労委命令を取り消す反動判決を下したが、07年6月に東京高裁は逆転勝利判決を出した。この判決は、4党合意に反対し、執行部と対立していた中村さんの闘いを、正当な組合活動と判断した画期的なものだった。今回、最高裁がJR東日本による上告受理申し立てを退けたことにより、高裁勝利判決は確定した。
 4者・4団体路線のもと、国労本部は1047名解雇撤回の原則を投げ捨て、JR資本と結託して現場組合員の闘いを抑圧する裏切りに走っている。06年11月、国労東日本本部はJR東日本と「包括和解」を結び、JRの不当労働行為を免罪して、計61件の紛争案件を取り下げた。今や4者・4団体は、原則を貫き闘う者を、警察権力を使って排除するところにまで転げ落ちた。
 この中で、中村さんの闘いは、現場から原則を貫いてJR資本と対決すれば勝利できることを実証した。国労組合員に対する不当労働行為事件で、最高裁で勝利判決をかちとった事例はきわめてまれだ。
 JRの不当労働行為と闘う中で、中村さんは最高裁判決を待たず、すでに運転勤務への全面復帰をかちとっている。
(写真 「最高裁判決に従え」「直ちに未払い賃金を払え」とJR東日本本社に抗議行動。中央が中村さん【11月5日】)

 JR本社への抗議行動貫く

 同じく10月31日、JR東日本は国労バッジを着用して闘う国労組合員に対し、出勤停止10日という重処分を発令した。
 11・2労働者集会の熱気もさめやらぬ11月5日、闘う国労組合員と支援者は、JR東日本本社と同神奈川支社前に結集し、「最高裁判決に従い直ちに中村さんに未払い賃金を払え」「バッジ処分を撤回せよ」と抗議行動を展開した。また、国労神奈川地区本部に対して、「闘いを放棄し抑圧する国労執行部の屈服がバッジに対する重処分を引き出した」「資本に食われた執行部は労働者を食う側に回る」と抗議・要請行動を行った。
 JR資本を撃つJR本体の闘いと1047名の解雇撤回闘争を緊密に結合し、国鉄闘争に勝利しよう。12・14国鉄闘争勝利集会に結集し、現場からJR資本と対決する勝利の路線を確立しよう。

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週刊『前進』(2368号3面3)(2008/11/17 )

 “私に弾圧通用しない”

 国労5・27弾圧裁判 原田被告が闘志を表明

 11月7日、東京地裁刑事第10部(植村稔裁判長)で、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第97回公判が開かれ、前回に続き原田隆司被告への被告人質問が行われた。原田さんは、国鉄分割・民営化が徹頭徹尾、国鉄労働運動の解体を目的に強行されたことを、職場での体験を踏まえて全面的に暴ききった。その内容は、4者・4団体路線の裏切りを鋭く突き出すものともなった。
 冒頭、羽廣憲被告が意見を述べ、裁判所が松崎弁護団らに「特別傍聴」を認めていることを弾劾した。毎回行われている被告の意見陳述に追いつめられた松崎弁護団らは、前回に続き今回も公判に姿を現さなかった。
 弁護団の質問に答えて原田さんは、「11・2労働者集会で1047名闘争は国際的な闘いに発展した。国労闘争団が登壇し発言したことにより、11・2は4者・4団体路線に真っ向から対抗する闘いになった」と確信に満ちて発言した。
 国鉄分割・民営化の攻撃が具体化したのは、1982年に第二臨時行政調査会が設置され、国鉄分割・民営化の基本方針が打ち出された頃からだ。同時期、自民党は「国鉄基本問題調査会・国鉄再建に関する小委員会」(通称・三塚委員会)を設置し、「国鉄の職場規律は乱れている」というデマを叫んで、国鉄労働者がかちとっていた諸権利を奪い取る攻撃を開始した。
 原田さんが勤務していた山陰本線・綾部駅も、三塚委員会によって「重点職場」に指定された。その理由を聞かれた原田さんは、「分会青年部が合理化反対の立て看板や懸垂幕を職場で出していたからだ」と答え、三塚委員会による攻撃の中で職場の団結がどう破壊されていったかを具体的に説き明かした。
 85年11月の動労千葉のストライキについて問われた原田さんは、「動労千葉のストライキは、国労組合員に対し、みすみす首になるなら一緒に闘えという呼びかけだった」と返答した。このストライキは、国労の中に「動労千葉のように闘えば勝てる」という思いを与え、修善寺大会(86年10月)での山崎執行部提案の否決に結びついた。だが、国労はその後もストに立てなかった。「それは、国労本部が敵の本気さに対抗できなかったからだ」と原田さんは述べた。
 86年7月に原田さんは人材活用センターに送られた。原田さんは、この攻撃に対し、あくまで国労にとどまるという腹を固めた。それは、「赤字を労働者のせいにするのは問題をすり替えるデマだ」という強い怒りを感じたからだという。
 原田さんはまた、国鉄分割・民営化を率先推進し、国労や動労千葉の組合員の首切りを要求した動労本部カクマルの裏切りを生々しく暴露した。
 90年4月、国鉄清算事業団から1047名が解雇された。これを前に国労本部は、全員をいったんJRに採用するが、すぐに退職させるという政治解決案で闘争収拾を図った。だが、動労千葉がストライキに立ち、国労もストライキに入らざるを得なくなる中で、こうした国労本部の思惑は吹き飛んだ。90年3月のストライキの意義を、原田さんは「1047名闘争が二十数年にわたり闘われる基盤をつくった」と総括した。
 国鉄闘争勝利のために何が必要かと問われた原田さんは、「1047名闘争はJRに戻るための闘いだ。そのためには、私たちがJRと闘うことが必要だ」「JR体制の矛盾を背負わされた青年労働者には、不満が鬱積(うっせき)している。これに火をつけるために、尼崎事故の責任を糾弾し続ける」と言い切った。
 最後に原田さんは、「私はこの弾圧の中で、労働者は社会を運営する主体になれるという確信をつかんだ。私たちに弾圧は通用しない。取り調べで刑事は『お前は二度と制服を着てホームに立つことはできない』と言ったが、私は制服を着てホームに立っている。今後も人生をかけて闘う」と宣言した。
 弁護団の質問に答え、原田さんは「検察官、裁判官の質問に一切黙秘する」ときっぱりと答えた。検察官が質問しようとすると、すかさず弁護団が異議を出し、判例を引用しながら、黙秘を明言している被告に質問すること自体が違憲・違法だと声を強めた。裁判長は異議を棄却したが、検察官の質問は「いかなる質問にも答えないのか」の一問だけで終了した。
 その後、裁判長は弁護側が申請していた田中康宏動労千葉委員長と荻野富士夫小樽商科大学教授の証人採用を決定し、2月13日の公判で立証段階を終えるまでの残り5回の公判予定を確定した。次回は向山和光被告への被告人質問だ。あと5回の公判に総力で結集し、裁判闘争に勝利しよう。

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週刊『前進』(2368号3面4)(2008/11/17 )

焦点 組織的なクーデター的突出

 田母神空幕長論文事件を弾劾する

●参考人質問で反動的開き直り
 航空自衛隊前幕僚長・田母神(たもがみ)俊雄による「侵略戦争正当化」論文と、辞職拒否は、超重大な事態だ。世界金融大恐慌の中で末期的な危機に立つ日本帝国主義の体内から、それも武装した実力部隊である自衛隊のトップから、既成の秩序・価値観を真っ向から打破することを呼びかける人間が出てきて、しかも「処分」に対し開き直っている。個人的な意見表明にとどまらず、組織的な広がりをもったものであり、いわば軍隊内からの反革命クーデターともいうべき性質のものだ。
 田母神は、11日の参議院外交防衛委員会での参考人質問を自分の見解の宣伝の場と心得、言いたい放題の放言を繰り返した。与野党の質問も、田母神を打倒はおろか批判・弾劾すらできず、その引き立て役でしかなかった。明らかに田母神はこの質疑をとおして自衛隊を丸ごと獲得し、労働者人民の中にその反革命思想を流布することを狙ったのだ。
 論文を募集した「アパグループ」の元谷外志雄代表は、田母神の求めに応じて「小松基地金沢友の会」を立ち上げるほどじっこんの間柄だ。田母神は、元谷を空自小松基地のF15戦闘機に体験搭乗させたりしている。そしてこのアパグループの懸賞論文に、田母神など94人もの自衛官が応募し、そのうち62人が小松基地所属の自衛官だというのだ。
●田母神の思想百も承知で抜擢
 そればかりではない。田母神は統合幕僚学校長時代にも、「歴史観・国家観」のカリキュラムを新たに設け、今回の論文と同様のおぞましい侵略戦争美化の主張を満展開していた。参考人質疑で、田母神は論文応募を指示したのではないかという質問に対し「私が指示すれば1000を超える数が集まる」と答弁した。つまり、田母神の反動思想は空自全体に浸透していることを豪語しているのだ。田母神は、03〜04年にも4回にわたり、隊内誌「鵬友」に今回と同じ趣旨の自説を書き記している。
 そういう思想の持ち主であることを百も承知で、安倍政権の時(防衛庁長官は石破、事務次官は収賄の罪で5日に実刑判決を受けた守屋だ)、空自のトップに抜擢(ばってき)したのだ。今回、田母神は空幕長の任を解かれ、辞職を求められてそれを拒否する際、二人の元首相の名をあげたという。石川出身の森であり、極右の安倍である。後ろ盾がいるのだということを押し出しているのだ。
●旧帝国軍隊の復活を目指す
 田母神は参考人質疑で「書いたものはいささかも間違っているとは思わない」「『日本の国は良い国だった』と言ったら、解任されてびっくりした」「日本をいい国だと思わなければ、国は守れないと思った」などと言い、論文の立場を全面的に開き直った。つまり、柳条湖事件(31年)から盧溝橋事件(37年)〜真珠湾攻撃(41年)〜敗戦(45年)に至る15年戦争(中国・アジア侵略戦争と対米英帝国主義戦争)の全過程の日本軍が「被害者」であり、「正当な行為」であったということを自衛隊の国家観、歴史観として打ち立てるのが正しい、と国会の場でまくし立てているのである。
 また、「これほど意見が割れるようなものは直した方がいい」と言って憲法改悪を主張し、「集団的自衛権も行使し、武器を堂々と持とうというのが本音か」と聞かれて「そうすべきだと思う」と答えた。
 田母神は「イラクでの自衛隊の活動は違憲」という名古屋高裁判決について「そんなの関係ねえ」と言ったが、要するに行政も司法も無視して軍隊の論理で突き進むのが正しいと主張し、扇動しているのだ。戦前の帝国軍隊の復活を目指しているということだ。
 そして、こういう反動的突出に対して国会もまったく無力であることを示した。また、麻生政権は本音では田母神と同様の思想を持っているため、完全に容認している。11日の自民党防衛関係合同会議では、田母神を容認する発言が噴出している。まさに元凶は安倍であり、麻生だ。
●日帝・麻生政権を打倒しよう
 一連の事態は日帝のイラク・アフガニスタン侵略戦争への派兵、改憲に向かっての攻撃の中で起こっている。一方では派兵された兵士の自殺や、上官指揮のもとでの残酷なリンチ殺人が発生している。軍服を着た労働者である兵士の反乱の条件が満ちてきている。
 重要なことは、これは日帝のすさまじい危機の表現だということだ。田母神の目指している道は、1945年にいったん完膚無きまでにたたきのめされた道であり、日本の圧倒的多数の労働者人民が二度と繰り返してはならないと考えている道である。また、朝鮮・中国・アジア人民が絶対に許さないものである。
 日帝にとって憲法改悪と自衛隊の帝国主義軍隊化は、田母神のような思想でしか切り開かれないことも示している。
 だから労働者階級にとっては、「文民統制を徹底せよ」とか、「国益を損なうな」というような対応では、問題にならない。極右クーデター攻撃に対しては、帝国主義そのものを打倒せよ、の闘いでこたえなければならない。体制内労働運動を打倒し、階級的労働運動の前進で、「攻めの改憲阻止闘争」を強力に推進しよう。麻生政権打倒、対テロ新特措法(給油新法)延長法案を阻止しよう。

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週刊『前進』(2368号3面5)(2008/11/17 )

 日程 国労5・27臨大闘争弾圧公判日程

 11月28日(金)/12月19日(金)/1月16日(金)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁 

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週刊『前進』(2368号4面1)(2008/11/17 )

 書評『新版 甦る労働組合』(中野洋著)

 藤掛 守

 世界大恐慌情勢に立ち向かう労働組合論

 労働者は必ず勝つ

 

 中野洋・動労千葉前委員長の『新版 甦る労働組合』が刊行された。本書は、文字どおり「すべての労働者に」――動労千葉を支持する労働者はもちろん、今はまだそうでない労働者にも、読んでほしい本だ。「動労千葉の労働運動には賛成できない」という労働者にも勧めたい。すべての国労闘争団員、4者4団体を支持し、10・24集会に参加したような労働者にも、JR総連のもとにいる平成採の労働者にも、およそ労働者という労働者は例外なく読んでほしい。
 著者の中野洋前委員長は、自分の意見にあらかじめ賛成してくれる限られた読者に対してだけではなく、すべての労働者に向けて語りかけている。故意の偏見を持ってあらかじめ理解することを拒絶する人を別にすれば、すべての労働者を獲得する力、説得力を圧倒的に持っている。今回、もう一度読み直してそう確信した。
 戦後世界を長きにわたり支配してきたアメリカ資本主義の象徴とも言うべき巨大証券会社リーマンブラザーズの倒産に始まる金融大恐慌の爆発は、アメリカ資本主義、帝国主義が絶対的存在ではないことを全世界の労働者に強烈に印象づけた。世界の労働者は、「資本主義の終わり」の始まりを文字どおり見てしまったのだ。
 このまっただ中で日米韓3国の闘う労働者が11・2労働者集会を開催し、世界の労働者に檄(げき)を飛ばした。09年が決定的な歴史的な年にならないはずがない。労働者の新たな闘いの幕が開いた。この歴史的な地平の中で、労働者への限りない信頼を込めて訴えかけるメッセージとして『新版 甦る労働組合』が出版された。
08春闘ストの拠点職場でビラをまく動労千葉(3月14日 幕張車両センター)

 国鉄闘争に対する熱い思い

 「国鉄分割・民営化が強行されたのは1987年4月1日だから、すでに21年余りたっている。その20年間、国鉄闘争の基軸を形成してきた1047名闘争が今、危機的状況に直面している」(『新版
甦る労働組合』36n、以下ページ数のみ)
 「1047名闘争は、日本労働運動史上に例のない大量首切りをめぐる長期争議であり、国労闘争団をはじめとする1047名の解雇者は、労働者の誇りをかけて不屈に闘ってきた『日本労働運動の宝』とも言うべき存在である」(37n)
 今日、直面している国鉄1047名闘争の危機は、国労本部の政治解決=和解路線、1047名闘争終結方針に、国労内の闘う闘争団を始めとするほとんどの国鉄闘争支援陣形などの勢力が賛成し、「和解路線」を推進しようとしていることによって起きている。
 国鉄闘争、国鉄1047名闘争について、著者は、動労千葉の前委員長ということを超えて全身全霊を打ち込んで先頭で闘い、指導してきた。しかも、常に全労働者階級の立場から、階級的労働運動の前進という立場から冷静に見ている。それだけに国鉄闘争、1047名闘争に対する思いは誰よりも熱い。著者を知る人でそのことに異議を差しはさむ人はいないだろう。
 だからこそ、この国鉄1047名闘争が「スズメの涙のカネで『解決』=屈辱的屈服をしてしまっていいのか。断じて否だ」(37n)と断ぜざるを得ないのだ。
 「仮に『和解』で決着したとして、国労はどうなるのか、どの道を選択しようとしているのか。解雇撤回を投げ捨てることは、国鉄分割・民営化に賛成することであり、国労を解散し、JR連合に吸収・合併されることにならざるを得ない。あるいは、JR資本ともJR総連革マルとも闘わないことになる。このように『和解路線』は、国鉄−JR労働運動の反動的な再編に棹(さお)さすものになることは疑いない」(38n)
 「国鉄闘争が『民営化賛成』で決着すれば、200万人首切り攻撃と闘う自治体労働運動はどうなるのか。民営郵政のもとで闘う全逓労働運動、『日の丸・君が代』に反対する教育労働運動はどうなるのか」(39n)
 「国鉄、全逓、自治労、教労という4大産別の決戦が、それぞれ国鉄1047名闘争の行方に左右される情勢に入っている。この時こそ1047名闘争が、全産別の労働者を糾合し、その未来をかけて闘わなければならない時代に入っていると思う。1047名の解雇者がそういう自覚と展望を持って闘った時に勝利を手にすることができるのではないか」(39〜40n)
 ――と、熱烈に訴える。

 マルクス主義の魂がここに

 本書の初版は1995年に発行され、特に最近の数年、青年労働者の中でよく読まれてきた。著者は初版の「はじめに」で次のように書いている。
 「大変な時代である。では、こうした状況の中で労働者はどうすればいいのだろうか。僕は、労働者を軽んじ、蔑視(べっし)する考えに取り込まれないかぎり労働者は勝てると確信している。難しくはない。団結して立ち上がれば道は切り開かれる。侵略戦争を阻む力もそこにある」
 「そのために、自分たちの労働組合を甦らせ、労働運動の現状を変革することだ。それこそが今、最先端の変革である。闘うことはけっこう楽しいものだ。朗らかに闘おう」
 私は、これを読んで強い衝撃を受けたことを鮮明に覚えている。著者の、それが何者であろうとも「労働者を軽んじ、蔑視する」者は絶対に許さない、という激しい怒りと、労働者がこのような考えに取り込まれない限り「労働者は必ず勝てる」という固い確信を強く感じた。この言葉は新版でも引用され、この精神がこの新版の全体にも強く貫かれている。
 考えてみれば、これがマルクス主義なのだと思う。マルクス主義の魂なのだ。マルクス主義とは、単にあれこれの難しい教義のことではない。労働者への、労働者階級への絶対的な信頼だ。労働者には、資本家(資本主義)を打倒し、労働者の社会を労働者自身の手で実現する力がある、労働者とはそのような階級なのだ、という確信だ。

 労働者の理論

 著者はマルクス主義について次のように語っている。
 「マルクスだけが労働者の存在を認めてくれた。マルクスだけが、この世の中を動かしているのは労働者だと言った。マルクスだけが、世の中を変革する力を持っているのは労働者階級だけだと言った。そうである以上、労働者はすべからくマルクス主義者になるべきだ、と僕は言っている。そのために学習会もやる。だから今、動労千葉の労働者学習センターの労働学校も、すべてマルクス主義を勉強する。マルクス主義以外に労働者の持つべき思想はない」(84n)
 そうなのだ。マルクス主義とは労働者の理論なのだ。マルクスやエンゲルス、そしてレーニンが労働者の出身ではなかった、ということに何か特別な意味を持たせる人が今でも多い。が、それはマルクス主義が「労働者の理論だ」というこの核心を少しも変えるものではない。
 マルクス主義が歴史に登場するまでは、理論、学問は支配階級の独占物だった。労働者はマルクス主義という形で初めて「自分の理論」、労働者、労働者階級の理論を持ったのだ。労働者は労働者の理論、「自分の理論」、マルクス主義を持つことによって、歴史、社会を変革する真の主体、すなわち革命的階級になったのだ。
 今日の全世界的な革命的情勢の到来の中で、労働者がマルクス主義を労働者自身の手に取り戻すことは、労働者が革命のチャンスをつかみ、勝利するために必須の課題だ。この点からも、この著書がこのような形で出版された意義は大きい。

 労働組合を闘いの武器に

 労働組合を甦らせること――この一点に労働者階級の未来がかかっている。
 「甦る労働組合」という表題にも見られるように労働組合について書かれた本である。労働組合の何が書かれているのか。一言でいって「労働者の側が労働組合をきちんと位置づけよう」ということだ。
 「考えてみれば、資本主義社会においては、圧倒的多数は労働者階級であり、労働者を支配している資本家階級は圧倒的少数者だ。にもかかわらず、なぜ資本家階級の支配が成り立ってきたのか」(34n)
 資本家階級が、数では圧倒的多数の労働者の階級的団結を破壊し、労働者を分断し、支配できたからだ。
 敵、資本は、労働者の階級的な団結の破壊、解体に、自己の存在をかけて総力でかかってきている。労働者はここで、すなわち職場で、この資本の攻撃に対して真っ向から闘いに立ち向かわない限り、階級的団結は守れない。解体される。労働組合運動は、労働者の階級的団結をかけた資本との最も厳しい、勝ち負けを決する最前線の戦場なのだ。この主戦場を連合に押さえられ、職場での階級的団結を解体されたままで革命などと言っても空言になる。
 「資本の側は労働者の団結を破壊して、労働組合を弱体化させることにものすごい執念を燃やしてきた。今もそれは変わらない。ではそれに対して、労働者が、それほど労働組合を大事にしているか。ほとんどの労働者はそう思ってない」(56n)
 こんなままで労働者は資本に勝てるのか?
 「(労働組合運動で)労働者の階級的利害を本当に貫く者が主流派にならなければ、労働者の勝利はないのだ。ここが勝負の時だ。労働組合を甦らせること、この一点に労働者階級の未来がかかっている」(34n、プロローグ)
 だからこそ「労働者の側が労働組合をきちんと位置づけよう」と言っている。また別のところでは「労働組合運動を自らの天職と腹を固めること」(98n)と言っている。そして、労働組合、労働組合運動に「人生のすべて」をかけろ、とも言っている。

 激動の09年へ

 世界的な大恐慌情勢への突入の中で労働者には、大量首切りや賃下げの攻撃が襲いかかり、これに対して世界各国、各地で広範に労働者のストライキ、食糧暴動が巻き起こっている。
 エピローグは「今こそ『生きさせろ』のゼネストを!」で締めくくられている。6nと短い章だが、大恐慌情勢への突入という中で09春闘に向けた闘いが決定的に重要になっていることが強調されている。
 「大規模な大幅賃上げ闘争を組織しよう」「資本の弱点をついて、日本資本主義を揺るがす闘いを起こそう」という大方針の提起だ。
 ここでは、これ以上踏み込めないが、非常に重要な内容が提起されている。
 この『新版 甦る労働組合』を階級的労働運動の推進の武器として駆使し、広めることはわれわれの課題である。
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◎『新版 甦る労働組合』
 国鉄分割・民営化=新自由主義に唯一ストライキで闘った動労千葉前委員長が語る”労働組合論”。40余年に及ぶ労働組合の経験、マルクス主義の実践に基づく階級的労働運動路線の神髄がここにある。08年10月20日発売。発行/編集工房 朔。発売/星雲社。定価/本体1800円+税。注文は労働者学習センター(千葉市中央区要町2−8DC会館/電話043―222―7207/FAX043―224―7197)へ

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週刊『前進』(2368号4面2)(2008/11/17 )

 三里塚 支援連が緊急現地闘争

 空港会社が明け渡し提訴 市東さんの農地強奪許さぬ

 

 成田市東峰で11月9日、三里塚闘争支援連絡会議の緊急現地闘争が行われた。7日、千葉地裁は市東孝雄さんに対し、成田空港会社(NAA)が提訴した農地明け渡し訴訟の期日を指定した。農地強奪裁判をいよいよ始めるという通告だ。
 絶対に許さない! 怒りに燃えて、85人の労働者や学生が市東さん宅にほど近い開拓道路に結集した。ここは、ジェット機が騒音を立てて走行しているのが間近に見える空港隣接地だ。
 司会の三里塚野戦病院の大熊寿年さんが「NAAによる農地明け渡しの提訴を絶対に許さない!」と第一声を発し、集会が始まった。
 三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長が最初にマイクを握った。「NAAに提訴の許可を与えた千葉県の堂本知事は、もともと”環境”を売り物にして当選した。だがこの人権無視、生活破壊の空港こそ最大の環境問題ではないのか! NAAによる常識を無視した詐欺的行為を弾劾する。反対同盟は市東さんの土地を責任をもって守りぬく。今日の集会を支援連が主催したことは大変素晴らしい。若者は未来を自分の手で切り開いて闘おう」と訴えた。
 続いて反対同盟の太郎良陽一さんが「市東さんの決起にこたえ、実力闘争で闘おう」とアピールした。福日労が「組対法弾圧を粉砕する」と決意を述べた。
 三多摩労組交流センターの労働者は「NAAは、市東さんが3代90年耕作してきた農地を奪い取ろうとしている。農民にとって農地は命だ。われわれは85年10・20機動隊せん滅戦の地平を押し広げて闘う。11・2労働者総決起集会は5700人の結集で大成功した。世界金融大恐慌下、日米韓労働者の国際的陣形がつくり出された。6千万労働者の怒りと結合して三里塚の勝利をかちとろう」と発言した。
 続いて関東「障害者」解放委員会が10・31自立支援法撤廃集会入り口で11・2への大結集を訴えた闘いを報告。「動労千葉、全学連の闘いと固く一体となって闘う。これこそ帝国主義打倒、障害者解放、被抑圧民族解放の唯一の道だ」と決意を表した。
 全学連の倉岡雅美副委員長は「空港建設は大破産している。追いつめられているのはNAAだ。法政大でも当局と権力の弾圧に対して一歩も引かない闘いを展開している。動労千葉と反対同盟との労農連帯の発展に勝利の道がある」と闘いの方向を指し示した。
 さらに、解放派、統一委員会、蜂起派が決意表明を行い、直ちにデモに出発した。
 ジェット機走行の騒音をものともせず、大挙動員された機動隊を圧倒し、天神峰一体にシュプレヒコールをとどろかせて団結街道を北上、成田治安法によって封鎖されている現闘本部建物前を過ぎ、市東さんの畑の前に到着した。
 市東孝雄さんが農作業の最中だ。市東さんが手を休め、大きく両手を振ってデモ隊を激励した。
 国家権力の脅しと暴力に対し、労働者・農民の底力が正面からここでぶつかり合っている。「この豊かな実りをもたらす農地を奪われてなるものか」と、全員があらためて決意を固めた。
(写真左 団結街道をデモ行進【11月9日 成田市天神峰】)
(写真右 「市東さんの農地を守ろう」と開拓道路で集会)

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週刊『前進』(2368号4面3)(2008/11/17 )

日誌'08 2008年 11月4日〜11日

 米大統領に民主党オバマが当選/朝鮮有事の日米作戦見直しへ

●米大統領選、オバマが当選 08年米大統領選が各州で投開票され、民主党のバラク・オバマ上院議員が、共和党のジョン・マケイン上院議員を破り、当選を決めた。米史上初のアフリカ系の大統領が誕生する。(4日)
●米に対抗し、ミサイル配備 ロシアのメドベージェフ大統領はクレムリンで上下両院議員総会を招集、大統領就任後初の年次教書演説をした。グルジア紛争や世界金融危機の原因は米国にあるとした上で、米国が東欧で進めるミサイル防衛(MD)システムへの対抗措置としてロシア西部にミサイルを配備する方針を表明した。(5日)
●空自78人も論文応募 航空自衛隊の田母神俊雄・前幕僚長が日本の侵略などを正当化する論文を発表して更迭された問題で、防衛省は、航空自衛官78人が田母神と同じ懸賞論文に投稿していたことを明らかにした。応募総数は235人で約3分の1を航空自衛官が占めた。空自小松基地の第6航空団は、田母神が応募した懸賞論文と同じテーマ「真の近現代史観」で幹部隊員に論文指導していた。(6日)
●全駐労が平和運動センターを脱退 沖縄平和運動センターが幹事会を開き、全駐留軍労働組合沖縄地区本部の脱退を了承した。全駐労は10月25日の定期大会で「組織の若年化により、働く根拠である日米安保を否定する運動に対する意識が変化した」などを理由として、平和運動センター脱退を決定した。(6日)
●嘉手納基地、E3B緊急着陸相次ぐ 嘉手納町は、米軍嘉手納基地でE3B空中早期警戒管制機が9月からこれまでに少なくとも5回緊急着陸したとして、安全管理の徹底や原因究明を求める文書を同基地に送付した。また6日から7日朝にかけて騒音や異臭被害を訴える住民の苦情が8件寄せられたとして、抗議した。(7日)
●ロシア原潜で20人死亡 日本海を試験航行していたロシア太平洋艦隊の原子力潜水艦で、消火装置の誤作動で消火ガスが噴出し、20人が死亡、21人が負傷した。ロシア海軍は、原子炉は正常に動いており、放射能漏れはないとしている。(8日)
●日米作戦、抜本見直し 朝鮮半島有事など周辺事態や日本有事に備えた自衛隊と米軍による「共同作戦計画」に関し、日米両政府が抜本的な見直し作業に着手したことが分かった。有事に米軍が使用する民間空港の選定や、負傷米兵の搬送・受け入れ態勢整備など十数項目が検討課題として挙がっている。計画の抜本見直しは06〜07年に続き、2度目。来年秋までの完了を目指す方針。(10日)
●米原潜、通報せず寄港 米原子力潜水艦プロビデンスが、日本政府への事前通報をせずに沖縄県うるま市のホワイトビーチに入港、沖合で約2時間停泊した。米原子力艦船の日本寄港の際には、24時間以上前に日本側に通報することが両政府間で決まっている。米側は「連絡ミスが原因」と伝えた。(10日)
●参院委、論文めぐり参考人招致 参院外交防衛委員会は、田母神・前航空幕僚長を参考人招致した。田母神は懸賞論文を航空幕僚監部の教育課長に紹介したことは認めたが、投稿の指示は否定した。(11日)
●「控訴審は一審尊重を」と最高裁 来年5月に始まる予定の裁判員制度に向けて、最高裁判所の司法研修所は、市民が審理に参加した一審の結論を、裁判官だけの二審もできるだけ尊重すべきだとする研究報告書をまとめた。結論を覆せるのは「(一審の判断が)明らかに不合理」な場合などに限られる、としている。報告に拘束力はないが、全国の裁判官が参考にするため影響は大きい。(11日)

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週刊『前進』(2368号5面1)(2008/11/17 )

 オバマ当選で革命情勢深まる

 戦争と貧困に人民の怒り噴出米帝の危機と没落は加速する

 日米韓労働者の連帯が勝利の道

 米大統領選でのオバマの圧勝は、アメリカ帝国主義のかつてない危機と没落、労働者の怒りの激しさを示すものとなった。アメリカで革命的情勢が現実化しているということだ。オバマは首席補佐官に超タカ派のラーム・エマニュエルを就け、その本性を現しはじめた。今後、オバマがどういう政策をとろうとも、米帝の危機と没落は緩和されるどころか、ますます加速する。世界金融大恐慌はさらに本格化し、世界戦争の危機も高まっていく。帝国主義がのうのうと延命できるような「変革」など絶対にありえない。オバマ圧勝の中に、プロレタリア革命の時代の到来を見なければならない。
当選後初の記者会見をするオバマ【中央】。手前左隣は次期副大統領のバイデン。手前右隣は主席補佐官のエマニュエル

 「イラク撤退」の公約を棚上げ

 オバマ圧勝とは何よりも、アメリカで革命的情勢が現実化していることを示す。8年間のブッシュ路線のもとで、米帝の歴史的な没落、資本主義体制の破綻が極限まで進み、労働者階級はもはや革命以外に生きられなくなっているからだ。
 米帝によるイラク・アフガニスタン侵略戦争は泥沼化しており、大統領選初期の大争点となった。また、80年代のレーガン政権以来の新自由主義攻撃は、貧困と超格差社会をもたらした。しかも9月15日の米証券会社リーマン・ブラザーズの破綻で世界金融大恐慌が本格的に爆発し、米労働者の生活は急激に悪化している。これが9月以降は大統領選の最大争点となった。すでに大リストラが襲いかかり、失業保険の新規申請は1週間で50万件にも膨らんでいる。ローンが返せなくて住宅が差し押さえられる件数は、1日当たり8000件を上回る。もはやプロレタリア革命以外にないという情勢だ。
 その労働者階級の怒りがひとまず議会主義的には、共和党の拒否、オバマの支持として現れた。オバマの圧勝とは、すさまじい米帝危機と労働者階級の怒りの巨大さ、激しさを示す。オバマに対する幻想が吹っ飛ぶのは時間の問題であり、革命的情勢がさらに深まるのは確実だ。

 「融和」で階級闘争圧殺狙う

 そもそも米民主党は米資本家階級の利害にそったブルジョア政党である。オバマ自身もブルジョア政治家にほかならない。オバマは黒人指導者のジェシー・ジャクソン牧師から「黒人を見下している」と批判される人物だ(ニューズウィーク誌7月23日付)。
 さらに重大なのは、ホワイトハウスで最も重要な位置を占める首席補佐官にエマニュエルを就けたことだ。この男は、91年の湾岸戦争でイスラエル軍に志願して参加した経歴を持つ。今回の首席補佐官就任についてイスラエルの新聞は、「ホワイトハウスにわが味方が!」と小躍りして喜んでいる。米政界でも「ランボー」「政界のけんか野郎」と呼ばれる。「以前、世論調査担当者の報告が締め切りに遅れたとき、死んだ魚を箱に詰めてその担当者に送りつけたこともある」(同4月16日号)。オバマはこういうエマニュエルとタッグを組んだ。
 オバマは、選挙戦中はそうした本性をほぼ隠した。労働者人民の不満と怒りを幻想的に引きつけるために、「チェンジ(変革)」をスローガンにペテンと懐柔を繰り返した。
 何よりも、「16カ月以内のイラク全面撤退」を公約に掲げて反戦票を取り込もうとした。しかし、6月からは「イラク撤退のペースは駐留米軍の安全と治安、および現地の治安状況によって変わる」と変更した。また、「テロ対策」の名目で令状なしの盗聴を合法化する「外国情報監視法」に反対していたが、7月の上院採決では賛成に転じた。
 さらにオバマは、階級的矛盾が極限化していることを承知しているからこそ、「アメリカ人として一つ」「人種を超えた結束」という標語を繰り返した。米帝の国益を貫くために階級間の融和を図るということだ。資本家階級の側から労働者階級に対して”階級闘争をやめろ”と言っているのだ。労働組合を破壊し、労働運動を解体して挙国一致に持ち込もうとしているのだ。
 米労働者階級はこういうオバマの本性を見抜き、必ず打倒に立ち上がっていくにちがいない。

 大恐慌は食い止められない

 では、オバマ大統領のもとで米国と世界はどうなるのか。明白に、米帝と世界の危機は一段と加速し、階級的矛盾がさらに爆発し、革命的情勢はますます深まっていく。
 何よりも、すでに本格化している世界金融大恐慌は、どういう政策をもっても抑えられない。むしろ、あがけばあがくほど米帝の危機と没落を促進するだけだ。
 オバマは恐慌対策として、ブッシュ政権が決めた7000億j(約70兆円)の金融機関支援の増額、GMなど自動車産業の救済、公共事業による雇用増加、中所得層への減税、失業保険の給付期間の延長などを構想している。しかし、かりに実施されても、恐慌を一時的に緩和できても、恐慌の進行自体を食い止めることはできない。
 しかも、膨大な財政支出を伴うものばかりだ。すでに09年度の財政赤字は1兆j(100兆円)を超す見通し。さらに赤字が加われば、国債の大増発で長期金利が上昇し、ドル信認もますます崩れてしまう。大恐慌を加速させ、ドルを暴落させるだけだ。
 かつて29年恐慌の際はニューディール(新規まき直し)政策がとられた。しかし、それを繰り返すことなどできない。国家財政が大破産しているからだ。大恐慌が来る前にすでに財政力を使い果たし、財政赤字のアリ地獄に陥っている。帝国主義が、二度にもわたって大恐慌から生き延びられると思ったら大間違いだ。プロレタリア革命で打倒されるしかない!
 また、米帝の雇用・税制・医療・教育などの制度・政策はレーガン以降の新自由主義攻撃で解体されてきたが、オバマはそれを元に戻そうとしているわけではない。その解体の方向は引き継ぎつつ、減税などの一時的でささいな措置を検討しているにすぎない。こんなもので労働者人民の生活が良くなるはずがない。革命で帝国主義を吹っ飛ばす以外にないのだ。
 また、オバマ大統領のもとで世界戦争の危機は一段と促進される。オバマはシカゴでの勝利演説で「世界を破滅させようとする者は打倒する」と述べている。結局は戦争ということだ。

 アフガンへの増派を最優先

 すでに「イラク撤退」の公約を棚上げしつつあるだけではない。オバマは一貫して、「対テロ戦争の最前線はアフガニスタン」とし、1万人の増派を外交の最優先課題としている。もともと01年9・11反米ゲリラ戦の直後にオバマは、「自分も武器をとってアフガニスタン戦に参加したいと思ったという」(同7・23付)。さらに、パキスタンへの米単独での攻撃も辞さないと言明している。すでに8月以降、アフガニスタン駐留米軍によるパキスタンへの越境攻撃が少なくとも18回に及んでいる。これをさらに大々的にやろうというのだ。
 また、オバマ体制で米帝の保護主義が強まるのも必至であり、帝国主義間争闘戦も激化していく。オバマはNAFTA(北アメリカ自由貿易協定)の見直しを掲げてきた。「低燃費自動車(ハイブリッド車)を日本などからの輸入に頼るべきではない」とも強調してきた。低燃費自動車を対米輸出し現地生産しているのはトヨタだ。
 基幹産業での保護主義は共和党政権下では弱まっていたが、民主党オバマ政権下で再燃する可能性が強い。それは日米間をはじめ帝国主義間争闘戦を新たな次元でエスカレートさせる。それがまた、世界戦争の危機にますます火をつけるものとなる。

 日米同盟動揺で日帝危機に

 日帝にとって、米帝の保護主義化は大打撃となる。特に北米市場に利益を依存するトヨタにとって致命的だ。トヨタをはじめ日本車メーカーは競って米現地生産を拡大し、それを経営の要としてきた。しかし、大恐慌と保護主義が本格化すれば、この現地生産自体に対する反発が噴出するのは避けられない。”平時”がずっと続くと思い込んで米現地生産にのめりこんできた日本の自動車資本には、恐るべき破滅が待っている。ニューズウィーク誌(10・1付)ですら、経済危機のワーストシナリオとして「世界恐慌、保護主義から貿易戦争へ」としているが、それが現実だ。
 しかも日帝は、日米同盟という面でも危機に入りつつある。米帝は北朝鮮の「テロ支援国家」指定を解除した。これに対し日帝は、単独で北朝鮮に対する追加制裁に動きはじめている。これは許せないことだが、アジア外交をめぐって日米同盟が動揺していることを示す。日帝にとって、日米同盟抜きに帝国主義としての延命はないにもかかわらずだ。この面でも日帝は、帝国主義の「最弱の環」の姿をさらけだしている。労働者階級にとって、日米同盟が揺らぐことは大歓迎だ。革命で日帝を打倒するだけだ。
 結論として、オバマ圧勝はアメリカをはじめ世界の革命的情勢をますます煮詰まらせていくものとなる。オバマがどうあがいても、世界金融大恐慌は加速する。オバマが当面どういう政策をとろうと、帝国主義であるかぎり戦争にさらにのめりこむことになる。労働者階級にとってプロレタリア革命以外にどんな出口もない。
 11・2労働者集会は、このような歴史的な瞬間に闘いとられた。日米韓労働者の団結の中に、プロレタリア革命の展望と労働者政党の希求があふれかえった。参加したILWUローカル10、ローカル34やUTLAの労働者たちこそ、今後オバマ政権下で帝国主義打倒に続々と立ち上がるアメリカ労働者の先鋒だ。11・2集会は、オバマを打倒しアメリカ革命−世界革命に突き進む画期となった。動労千葉派の日米韓労働者はこの日、世界革命の展望と現実性を完全につかんだのだ。確信をもってこの道を進もう。

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週刊『前進』(2368号5面2)(2008/11/17 )

 裁判員制度廃止 11・22大行動へ

 改憲と戦争への攻撃許すな

 「1500人が結集した6月13日の集会に続く大行動は、11月22日の東京大行動です。今回は集会後、銀座デモをやります。絶対廃止をデモでアピールすることに力点をおいています」「弁護士は、労働者と一緒にこの世の中を変える気概を持たないといけない。一緒にデモとストライキで、”自分たちが社会の主人公だ”という時代をつくりたい」(前進2366号7面、佐藤和利弁護士・高島章弁護士の対談より)。
 「裁判員制度はいらない!大運動」が主催する11・22東京集会は、金融大恐慌下の日帝の改憲攻撃と対決する決定的な行動だ。麻生政権と戦争翼賛国会に怒りをたたきつけ、労働者人民の団結と闘いを呼びかけるデモである。全力で結集することを再度訴える。
 また、裁判員制度の廃止をかちとる「11月全国一斉行動」が呼びかけられ、各地で集会やデモ、街頭宣伝などが予定されている。最高裁が11月28日、約30万人を対象に裁判員候補者通知を発送するからだ。一つの勝負どころだ。全国でともに闘って成功させよう。

 国家の統治に人民組み込む

 支配階級が裁判員制度を導入する狙いは何か。その核心は、裁判という国家権力行使の一翼を強制的に担わせることで、労働者人民に「統治主体意識」(推進派の言葉)を持たせることにある。ブルジョアジーの階級支配機構の一端に人民を「参加」させる形で組み込んでしまうのだ。裁判員になってお国のために奉仕する、その経験を生かして国家に従順な国民になれということだ。そんなものは絶対に拒否しなければならない。
 支配階級がなぜ裁判員制度を必要としているのか。資本主義が土台から崩壊しつつある情勢のもとで、労働者人民からの搾取・収奪を徹底的に強める新自由主義をさらに強力に進めるためだ。新自由主義的諸政策が引き起こす社会的諸矛盾の激発を予防反革命的に抑えこむためである。
 すでに青年労働者層を先頭に「生きさせろ!」の叫びや闘い、様々な形の反乱が各地でまき起こっている。階級矛盾の本格的な爆発は確実に始まっているのである。それゆえ支配階級は、労働者人民自身に治安機構の一翼を担わせ、そのなかに組み込むことを狙っている。それが裁判員制度の本質なのである。
 だが世界は金融大恐慌に突入し、帝国主義の最後の延命策だった新自由主義の破綻が赤裸々となってしまった。資本主義の時代の終わりがついに始まったのである。
 支配階級は相互のつぶし合いをくり広げつつ、一切の犠牲を労働者人民に押しつけ、市場、資源を奪い合うための戦争政策に人民を動員する以外にない。そのためにさまざまな契機をとらえて国益主義と排外主義に労働者人民を染め上げ、9条改憲の先取りとなる政策を進めることが必要なのだ。裁判員制度は、そうした政策の中心的な攻撃であることを突き出さなくてはならない。

 正味2日間の審議で評議へ

 「導入の延期」や「制度の見直し」で問題を解決できるようなものでは断じてないのだ。労働者人民にとっては絶対廃止以外にない制度だということである。
 裁判員になりたくないと思っている人のほとんどが、人を裁く側に立ちたくないと思っている。ところが裁判員裁判は、裁判初日の午前中の面談で裁判員になるかどうかということが聞かれ、その日の午後には裁判が始まってしまうのだ。次の日の丸1日と3日目の午前中に審議して、午後には評議となる。結局、正味2日間の審議で罪状を決めなければならない。
 また、公判前整理手続きが導入され、裁判官、検察官、弁護士で裁判の「争点」はあらかじめ決められてしまう。法廷で調べる証拠も証人もここで決められてしまう。反論する証拠や証人が出てきても法廷に出せない。ストーリーがすでに決まっている状況のもとで、有罪か無罪か、量刑をどうするかを判断しろというシステムなのだ。
 さらに、裁判員に動員された人は、評議に関する情報の「秘密保持義務」を一生負わされる。守秘義務違反には懲役刑が科される。他方、被告人は裁判員制度による評議を拒めない。
 何が「司法の民主化」「えん罪の防止」か。ふざけるな! 労働者人民の怒りを徹底的に爆発させよう。

 麻生政権の命脈を断つ闘い

 裁判員制度廃止闘争は勝利できる。その展望が大いにある闘いである。総力で決起し、麻生政権の命脈を断つ大運動に発展させようではないか。
 11月10日から、推進キャンペーンのためのテレビCMが始まった。最高裁は、宣伝のためなら何十億円もかけると言っている。商業新聞でも特集や記事が相次いでいる。だがそれによって労働者市民の関心が高まり、街頭宣伝でのビラ受け取りや署名などが急増している。不安や怒りの声がさらに強まっている。
 支配階級は今、このままでは裁判員制度が破綻するという危機感を持っている。裁判員制度推進派の竹崎を最高裁長官に抜擢(ばってき)したのもそのためだ。
 だが、知れば知るほどとんでもない制度だと分かってしまうのが、裁判員制度なのだ。暴露と批判が決定的である。
 重要なのは、職場から絶対廃止の声をあげることだ。連合や全労連は、裁判員制度に賛成して積極的に推進している。ブルジョア支配に協力する体制内労組執行部を徹底弾劾し、職場労働者の反撃を組織しよう。
 11・22東京集会と銀座デモに、仲間とともに集まろう。

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週刊『前進』(2368号5面3)(2008/11/17 )

 護衛艦インド洋出兵を佐世保現地で弾劾

 新テロ特措法採決を阻止しよう

 11月10日朝、「長崎労組交流センター(準)」と「とめよう戦争への道!百万人署名運動を推進する長崎の会」は、海上自衛隊護衛艦「ありあけ」のインド洋給油活動に伴う出兵に対して、佐世保―長崎の労働者とともに抗議行動を行った。
  今回の派兵は、新テロ特措法に基づくもので、米帝のアフガニスタン・イラク占領軍への給油活動が目的だ。護衛艦の投入によって、日帝自らが侵略戦争に参戦する姿勢を示す意図もある。
  「侵略国家などぬれぎぬ」という、前航空幕僚長・田母神の発言で明らかになったように、日帝・自衛隊の中に、組織的に侵略戦争を肯定・推進する勢力が台頭しつつある。戦前の2・26事件(青年将校のクーデター事件)を想起させる問題だ。新テロ特措法にもとづく自衛隊の海外派兵は、こうした動きの中で強行されている。田母神発言を実質的に擁護し、自衛隊の侵略軍隊化を進める麻生政権を弾劾しなくてはならない。
  また「政権」を意識した小沢・民主党は、田母神の参考人招致と引き換えに、新テロ特措法の採決に早々と合意した。民主党もまた、ブルジョアジーの階級利害を体現する政党なのだ。
  全国で労働者の怒りの声が湧き上がるなか、佐世保―長崎の労働者は10日午前10時、佐世保地区労の呼びかけた抗議集会(前畑埠頭)に100人が集まり、護衛艦「ありあけ」のインド洋派兵を徹底的に弾劾した。
  佐世保は、米軍再編の中で日米の侵略戦争基地として強化され、自衛隊の侵略出兵の最前線基地となっている。迎撃ミサイルSM3の配備も真っ先に行われた。
  こうした攻撃に対し、ベトナム侵略戦争への参戦国化と闘った68年佐世保闘争以来の長崎―佐世保の労働者の怒りが、うねりとなって拡大している。麻生政権を打せ! 資本主義体制の転覆へ、長崎―佐世保の労働者は全国の仲間と団結して闘うぞ!
   (投稿・K)
(写真 護衛艦「ありあけ」の出航を弾劾する労働者【11月10日 佐世保・前畑ふ頭】)

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週刊『前進』(2368号6面1)(2008/11/17 )

団結ひろば 投稿コーナー

 11・2、11・9を闘って 労働者階級としての誇り感じた訪韓闘争 法政大学 春山かすみ

 11・1法大祭突入集会、11・2全国労働者総決起集会を闘い抜き、興奮もさめぬまま韓国へ行ってきました!
 私は今回が初参加でしたが、韓国の労働者・学生との国際連帯闘争は、自分が労働者階級の一人であることの誇りと喜びを感じさせてくれるとても感動的な闘いとなりました。たとえ言葉は分からなくても私たちの闘いはひとつです! それは世界革命へとともに突き進む同志だからです。
 韓国でも労働者が解雇撤回を貫き壮絶な闘いを続けています。解雇撤回闘争は、自分の労働、自分の生き方を資本から奪い返す誇り高き闘いです。資本と非和解に闘うことこそが労働者の真の団結をつくり出します。逆に解雇撤回を投げ捨てることは今までつくりあげてきた団結をも資本に売り渡すことになる。だから私たちは「解雇撤回! 仲間を絶対に見捨てない!」という闘いにさらに突き進んでいかなければなりません。
 法政大学でも倉岡さんと斎藤くんへの処分を半年以上も阻止し続けています! ここに全学生の展望があります! それは「処分撤回! 一人の仲間も見捨てない! 大学を学生の手に取り戻そう!」と、これまで獄中同志を先頭とした全学連と闘う文化連盟が当局と徹底的に非和解を貫いて闘ってきた地平です!
 私たちは「全学生は必ず立ち上がる!」という確信と、われわれは革命の主体であるという展望のデカさを持って、明日からまた自分たちのキャンパスで闘います。「労働者階級に国境はない!」――このことに確信を持ち、すべての労働者とともに勝利の日まで闘いぬく決意です!
 国際連帯!! トゥジェン!!

法大サークル員が描いてくれた似顔絵

 11・2、11・9を闘って 獄中同志の思いをも原動力に11・2オルグ 碧海

 大学から家に帰ってからさっきまで悔し泣きしてました。11・2が刻々と迫る中、オルグやアジテーションがどうもかみ合っていなかったり、日和ってしまいそうになったり、やればやるほど飛躍が突きつけられて……。
 敵は自分の中にもいるんです。新自由主義で生まれ育ったわたし(たち)には資本主義の価値観が「徹底的」に染み込んでいます。オルグやアジという革命的な活動でさえ、成果主義にとらわれ、うまくいかないと「努力が足りない」「自分が悪い」と決め付けてしまいがちです。ここを団結の力で突破したときに、本当の自己解放があるんだと思います。
 この間、学生の闘いは新しい局面に入りました。10・17法大1000人集会で腹の底からの怒り、切ないほどの興奮! 「団結すれば勝てる」ということが物理的にも明らかになりました。獄中同志がどれほど一緒に闘いたいか、どれほど生身の人間にオルグしたいか、痛いほど感じます。これもわたしの原動力です。
 新しい仲間が目の前で11・2へ決起する瞬間は、全身がブルブル震えるくらい感動的です。残り少なくなりましたが、11・2まで1分1秒を完全に燃やし切って闘います!

 11・2、11・9を闘って 世代超え街頭で売れた11・2報道の『前進』 東京 野上 巌

 11・2労働者集会のあとただちに街頭宣伝に立ち、集会を報道した『前進』をひとりで6部販売しました。買った人の反応を紹介します。 
 大学受験生はILWUの港湾ストや動労千葉の闘いに「確かにそうすれば戦争は止められるのですね」「こんな新聞が読みたかったんです」。70代の女性は「若い者はダメだとあきらめていましたが、私が生きているうちに革命が起きる可能性があるんですか。頑張って下さい」。60代の男性は「国鉄分割・民営化で解雇された労働者が、今でも解雇撤回を求めて闘っているのですか。原則的に闘わなければダメですね」。
 30代の人も買いました。11・2集会を大きな写真で報道した『前進』は、世代を超えて多くの労働者・学生を獲得する力を持っています。街宣で『前進』をこれほど売ったことはありませんでした。
 私は11・2集会に向かう街宣でチケットを69枚売りました。そのうち4人が初めて集会に参加しました。今年ほどチケットが売れたことはありませんでした。
 10月31日の自立支援法反対集会では、介護職場の労組青年部書記長が4者4団体路線の批判に共鳴してチケットを購入し、集会に参加しました。切実に闘いの方針を求めている青年労働者と結びつき、集会への参加をかちとったことに大きな可能性を実感しました。
 『前進』を武器に11・2の切り開いた革命の時代を11・2に向かった以上の情熱で闘います。

 11・2、11・9を闘って 労使協調組合を脱退闘う合同労組で交渉 大阪 民間労働者 K・S

 私は全労連系の民間労組で分会の公然化をしました。しかし、この労組が管理職の横暴の追及を抑えつけたり、要求実現の戦術をねじ曲げた会社寄りの運営をしたりすることに納得がいきませんでした。
 私は、全労連系の民間労組を脱退して関西合同労組泉州支部に加盟しました。全労連系の組合の時の労使協調ではなく、会社の横暴に毅然(きぜん)として対決しているために、会社は団体交渉の拒否や脱退書の証明の開示、加盟書の開示などの攻撃を仕掛けました。
 私は会社や企業内組合の嫌がらせや攻撃にもめげずに、団体交渉での徹底した追及と労働者集会への参加をしています。
 民主党中心の政権交代は労働者の解放につながりません。労働者の解放は、政権交代ではなく革命で成し遂げられると確信しています。

 獄中から 東拘から11・2集会に参加。共にゼネストへ 大阪市大 後藤玲子

 みなさん、今日は私も東京拘置所からこの11・2全国労働者総決起集会に参加しています。5・29法大戦闘から5カ月間、1日たりともみなさんの闘いを思わなかった日はありません。志を一つにする仲間と団結し、支え合い、ともに闘う中で、自分の感情がよみがえるのを感じています。
 労働者・学生を徹底的に商品として競わせ、自己責任だと言って生命さえ切り捨てる資本主義社会の中で、私たちは自分を商品として見ることを強いられてきた。怒りを抑え込まれ、誇りを奪われ、感情を殺され、生きる意味を奪われてきた。新自由主義大学・法大で、文化連盟を先頭として、学生が「もうこれ以上の大学の暴挙は許さない。一人の仲間も見捨てない」と立ち上がり、全国の学生がこの闘いに感動し、ともに立ち上がっている。
 世界中で労働者が、ゴミくずのように労働者を扱う資本家に対し、「殺されてたまるか!」と怒りを爆発させ、ストライキに立ち上がっている。資本主義の崩壊が止められないのと同じように、労働者が団結することも止められない。私たちは人間だ。モノじゃない。ポイ捨てにされるのはもう我慢がならない。敵が私たちを獄壁で隔てるのなら、その獄壁をぶち破る団結の力を身につけるまでだ。
 この資本主義の大崩壊の中で、戦争と改憲、民営化と労組破壊を進め、労働者にさらなる搾取と支配を強めようとする麻生政権を倒そう。学生は労働者とともに300万学生ゼネストをやろう。この集会をそのための号砲として圧倒的な団結を固め闘いぬこう。勝利は私たちの手の中にある。
 (法大5・29デモ弾圧裁判被告/東拘在監)
絵/東北大学 内田晶理(東拘在監)

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週刊『前進』(2368号6面2)(2008/11/17 )

 星野文昭さんを自由に! 11・29全国集会へ

 再審開始へ全国に救う会を

 星野文昭同志は無実だ。最高裁による特別抗告棄却への怒りに燃え、国家権力のデッチあげ無期攻撃と非和解で闘う星野同志のアピール(前号既報)に応え、11・29全国集会に総結集しよう。

 団結求め34年闘う

 11月2日、「生きさせろ!ゼネスト」を求めた労働者全国総決起集会に5700人が結集した。「今こそ全世界の労働者は改良主義を克服し、社会主義変革へ進もう」(民主労総ソウル本部長・イジェヨンさん)、「階級協調派が世界の労働運動を支配している。国際的・革命的な労働者の党が必要」(ILWUローカル10執行委員・ジャック・ヘイマンさん)という訴えは集会全体の声だった。
 世界金融大恐慌が全世界を覆っている今、資本主義の救済ではなく、資本主義を労働者階級の力で終わらせる!ことを鮮明に掲げて結集した5700人の団結した力が、これから限りなく爆発していくことは間違いない。これは全世界で起こっている「生きさせろ!」の労働者の闘いと本質的に結びついている闘いだからだ。
 星野文昭同志は徳島刑務所から、この11・2労働者集会へ、「今、日本と世界の労働者人民が、すべてを奪いつくそうという新自由主義と闘い、すべてを奪い返すために世の中を変えようとしている情勢・闘いと、今一つに重なり、一つに未来を開こうとしていることに心が高鳴る思いです」とアピールを発し、労働者階級とともに闘いぬいた。
 1971年11月14日の沖縄闘争に敢然と決起した星野同志は、国家権力に殺人罪をデッチあげられ、無期懲役判決を受けた。星野無期は「人間としてのすべてを奪う」極限的な攻撃であった。星野同志は獄中にありながらも、常に獄外と一体となって「すべてを奪い返す」闘いを貫いてきた。星野同志は、日本帝国主義・国家権力との絶対非和解の闘いを貫き、プロレタリア革命を目指し、日々階級的団結を求めて闘いぬいている。この地点において日帝・国家権力のもくろみは完全に破産している。星野同志の闘いが全世界の労働者階級の闘いとがっちり結びつき、巨大な隊列となって資本家階級のための国家を打ち倒そうとしているところに、今われわれは立っている。
 このような時代は、すべての勢力に、それまでのあり方、闘い方の徹底した変革を突きつけている。新自由主義攻撃と絶対反対で闘い、労働者階級の団結をもって世界革命の大道を歩むのか、それとも体制内勢力として、徹底的に資本主義・帝国主義の危機を救済する転向・反革命の道を歩むのかという、峻厳(しゅんげん)な分岐を生み出す。
 星野同志奪還運動は、塩川一派と激烈に闘いぬいて、11・2労働者集会に全力で結集した。革命情勢の到来に恐怖する塩川一派は、階級的労働運動路線を否定し、今や最悪の転向スパイ集団へ転落している。それは、動労千葉や、法大弾圧と闘う獄中19人の学生と一体となっている星野同志への敵対であり、大衆運動としての星野奪還闘争の破壊である。自らの延命のために、星野奪還運動を利用しようとする塩川一派の介入を断じて許さない。星野同志を絶対に奪還するために、分岐を恐れず促進して闘おう。

 星野奪還大運動を

 星野同志奪還闘争の第一の課題は、星野同志の獄中闘争とともに闘うことだ。
 徳島刑務所は10月、工場で星野同志が使用しているミシンのライトのカバーに落書きがあったことを口実にして、取り調べをした揚げ句、「落書きを見つけた際に申告しなかった」と言い、「統括訓戒」という攻撃を加えてきた。日帝の危機の中で、刑務所当局による暴力と監視、非人間的処遇が極限的に強まっている。自由に息することもできない刑務所の実態を弾劾し、こうした中で日々闘いぬいている星野同志とともに闘い、絶対に奪還しよう。
 第二に、再審闘争を力強く前進させることだ。1996年の再審請求から12年、最高裁は特別抗告棄却の決定を下した。星野同志と弁護団の闘いで破綻が明白になっているにもかかわらず、デッチあげ無期を強引に維持しようとするものであり、断じて許さない。
 国家権力は、1971年の安保・沖縄闘争の爆発に恐怖し、星野同志へのデッチあげを強行した。「共犯者」の「供述」を捏造(ねつぞう)し、その「証拠」だけで星野同志に無期懲役を強制しているのだ。国家の暴力以外の何ものでもない。直ちに第2次再審闘争にうってでよう。デッチあげの構造を暴き、司法権力を追い詰め、再審開始・無罪に向かって不屈に前進しよう。
 第三に、星野奪還大運動である。危機に陥った資本主義を労働者階級の力で打ち倒す闘いと一体となって星野闘争を運動的に発展させよう。新自由主義攻撃に立ち向かう労働者階級人民に、星野同志の怒りと闘いを訴えよう。全国に「救う会」を結成しよう。
 「星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」が11・29全国集会を呼びかけている。この集会に大結集して、第2次再審闘争をともに闘いぬこう! 34年間不屈に闘う星野文昭同志を今こそ取り戻そう!
(写真 星野文昭同志の自画像)

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週刊『前進』(2368号6面3)(2008/11/17 )

 迎賓館・横田爆取差し戻し審 “誤った裁判やめよ”

 ずさんな押収手続きで馬脚

 11月12日、東京地裁刑事第20部(林正彦裁判長)で迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判の差し戻し審第9回公判が行われた。
 冒頭、3同志が意見陳述をかちとった。板垣宏同志は、11・2労働者集会を5700人の大結集でかちとったと確認、「世界金融恐慌がスーパー大恐慌となりつつある。資本主義・帝国主義は終わりの時、世界革命の時を迎えた。本件は政治的冤罪事件であり、その目的はサミット擁護、新自由主義擁護だ。今や破綻が明白な新自由主義を守るため、裁判所がその下僕となるのは無慙(むざん。罪を犯しながら自らに恥じないこと)だ。本件裁判は、迎賓館・横田事件当時の労働者・人民の闘いが正しかったことが証明されつつあるという意味でも、私たちが本件に関与していないという意味でも、完全に誤った裁判だ。差し戻し審を直ちにやめよ」と要求した。
 須賀武敏同志は「本来、裁かれるべき被告の座に座るべきものは、警視庁公安であり、職権を濫用して公訴した検察官自身だ。検察官主張を超える新たなデッチあげ証拠を捏造して一審無罪判決を否定し、無実の私たちに被告の座を強制してきた控訴審裁判所だ。現在、林裁判長らが事実調べを強行している橿原・関之沢関係証拠は、警視庁公安と検察官が一度デッチあげをはかり破産したものだ。裁判長が実況見分すればわかる。検察官の主張や控訴審判決の推論は、事実無根の虚構だ。橿原借家関係証拠は、岩手借家押収物とも本件両事件とも、私たちとも関係ない。岡田、吉田証人の全証言の排除を要求する」と迫った。
 十亀弘史同志は、田母神空幕長ら94人の自衛官が憲法否定の論文を書いた事実をとりあげ、「文書による一種のクーデターだ。許せない。田母神は自衛隊のイラクでの輸送活動を違憲とした名古屋高裁判決について『そんなの関係ねえ』と述べた。裁判所は、田母神ら行政権力によっておとしめられている。それは裁判所自身が憲法を守らず、行政権力のいうがままになってきたからだ。本件の控訴審判決も裁判による判決ではなく直接の政治弾圧だ。控訴審判決を否定し、直ちに一審判決に戻り、速やかに確定的な無罪判決を出せ」と締めくくった。
 その上で3同志は前回に続き吉田喜平に反対尋問を行った。吉田は大阪東警察署に出向いて橿原関係証拠の再押収を行ったが、その手続きはまったくずさんだったことが暴露され、吉田はしどろもどろになった。
 最後の30分は北側鑑一弁護人による元警視庁公安・古池澄夫への反対尋問。古池は関之沢林道終端周辺部から発見されたとする砲弾関連部品の寸法を測定したという証人だが、実際にはその現場捜索に参加している警察官だ。現場での物の発見状況を弁護人が追及すると、古池は「記憶にない」を連発して逃げたが、不自然さは見え見えであった。
 次回公判は12月1日(月)。古池に対する3同志による追及に加え、関之沢関係証拠のデッチあげ責任者の1人、元警視庁公安・青木幸雄に対する反対尋問が始まる。差し戻し審の大きな山場だ。全力で傍聴を。


 日程 迎賓館・・横田爆取デッチあげ弾圧差し戻し審
 第10回公判 12月1日(月)午後1時15分開廷
 ◎東京地方裁判所

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週刊『前進』(2368号6面4)(2008/11/17 )

 法大弾圧裁判 4・27弾圧

 卑劣な分断を弾劾

 新井・友部両君が証言

 11月10日、東京地裁刑事第18部(福崎伸一郎裁判長)で新井拓君と友部博文君の法大4・27弾圧裁判が4カ月ぶりに行われた。法政大学における今年5月28日のデッチあげ逮捕で、保釈中の新井君は不当にも獄に奪われた。新井君は中島宏明君とともに5・28暴行デッチあげ弾圧裁判に全力で立ち上がり、4回の公判を勝利的に闘い抜いてきた。一方、7月を最後に、4・27裁判は新井君に対する被告人質問を残して中断された。
 新井君と友部君と中島君、そして弁護団は二つの裁判を併合するよう強く要求してきた。法大闘争の全容を正確に明らかにするためにも、獄中で二つの裁判を闘う新井君の困難を考えても、必要なことだからだ。しかし、裁判長は不当にも認めず、4・27裁判を単独で強行した。
 冒頭、久しぶりに法廷に立った友部君が意見を述べた。「06年の3・14弾圧に端を発する法大闘争と、そこでの弾圧はすべて一体だ。法大当局は、警備員にジャージを着せ『嘱託職員』と偽らせて学生に暴行をふるってきた。どこまで堕落しているのか。裁判を併合してその全容を明らかにしなくては判決など出せない。私は判決を急がない。新井君と別々に判決を下そうと思っているようだが、やめていただきたい」。併合を拒否したうえに、友部君を新井君からも切り離して早期判決を出そうとする裁判所を批判した。
 新井君が証言台に立ち証言しようとした途端、福崎裁判長が「座るように」と命じた。「立って証言したい」という新井君に対し、福崎は顔を赤くして拒絶。結局、裁判は進まず、30分もの休廷を置いて再開された。
 新井君は立ち上がったまま証言を開始した。
 「法大に入学して、3・14弾圧を受けた法大生とまず一緒にビラをまいた。法大当局は『学生証を見せないと排除するぞ』と言った。大学に抗議する者を人間扱いしない姿勢は、この時から一貫している」「6月19日の弾圧で、ともに闘う法大生全員が不当逮捕された」「9月以降、ついに被処分者以外の法大生も公然と立ち上がり、その中に益森君もいた。法大当局は社会的な権力を使っていやがらせをし、彼らの人格や誇りを否定し踏みにじった。4月27日当日、闘いの半ばで亡くなった益森君のことを思い、『今日のデモは君の分まで闘うぞ』と看板に書いた。人間として、すべてのものを取り戻す闘いを法大生の手でやる決意を固めたからだ」「私は団結を求め、ビラをまいてきただけだが、かけがえのない仲間が増えた。これが私の誇りであり、存在そのものだ。この生き方を貫いて闘う」
 4・27弾圧との闘いは、人間的で熱い団結と革命的なリーダーを生み出し続けている。
 4・27裁判は、すべての証人調べを終わった。裁判所は不当にも友部君だけをひとり別にして1月に論告求刑を行うと宣言した。そのうえで新井君を5・28裁判と併合するというのだ。しかし、どんな反動も闘いのなかで生まれた誇りと団結の拡大をつぶせない。法大闘争の勝利へ、新井君・友部君とともに闘おう!

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 法大裁判に集まろう!
★11月19日(水)7・24法大弾圧裁判
  第3回公判 午後1時30分開廷
★11月20日(木)5・29デモ弾圧裁判@グループ
  第5回公判 午後1時15分開廷
★11月27日(木)5・28「暴行」デッチあげ裁判
  第5回公判 午後1時30分開廷 
★12月2日(火)7・24法大弾圧裁判
  第4回公判 午後1時30分開廷
★12月3日(水)5・29デモ弾圧裁判Aグループ
  第4回公判 午後1時15分開廷
★富山大ビラまき弾圧裁判(富山地裁)
  第4回公判 12月16日(火)午前10時開廷

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