ZENSHIN 2009/12/07(No2419 p08)

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第2419号の目次

“団結の力で「暴処法」と「共謀」を打ち破ったぞ” 国労5・27弾圧裁判判決公判後の集会には520人が大結集。暴処法弾圧を粉砕した巨大な地平から、1047名解雇撤回・外注化阻止の一大決戦に打って出る決意を固めた(11月27日 東京)=記事2面

1面の画像
(1面)
全世界の学生決起の先頭で闘いぬく/獄中8学生を奪還しよう
「暴処法」「共謀」を粉砕した力で12月闘争から10春季ゼネストへ  大恐慌-大失業攻撃を迎え撃て
記事を読む  
12・3大阪 JR西本社を怒りの包囲  被告団を先頭に処分粉砕へ(12月3日) 記事を読む  
前進速報版から 記事を読む  
(2面)
国労5・27弾圧判決 被告の団結が「暴処法」破る
“勝利への進撃が始まった”  判決報告集会に520人 大勝利にわく(11月27日)
記事を読む  
被告団のあいさつ(11月27日) 記事を読む  
鈴木達夫主任弁護人(判決報告集会あいさつ)(11月27日) 記事を読む  
国鉄闘争の正義が権力を圧倒  「共謀」砕き検事に大敗北強いる(11月27日) 記事を読む  
「被害届」撤回しろ  国労本部に抗議申し入れ(11月27日) 記事を読む  
(3面)
検修外注化絶対阻止・JR体制打倒へ
暴処法粉砕した勝利うち固め1047名解雇撤回を貫こう  青年を組織しJR総連解体を
革共同国鉄委員会
記事を読む  
圧倒的な冬期カンパの御願い  法大弾圧8学生即時奪還と労働者革命の勝利めざして 記事を読む  
(4面)
“不採用者を排除するな”  平口さんを先頭に年金機構労組結成を弾劾(11月29日) 記事を読む  
JPEXが完全に破産
現場労働者の拒否で要員集まらず  6000人解雇粉砕、民営郵政打倒へ
記事を読む  
韓国 鉄道労組が無期限スト
団体協約解約に怒り  韓国労総執行部の裏切り許すな(11月26日)
記事を読む  
トルコ公務員労組がスト  団交権とスト権要求し(11月25日) 記事を読む  
(5面)
8学生奪還! 12月決戦へ
国労5・27裁判勝利に続き法大「暴処法」弾圧打ち砕け(マル学同中核派・法大支部)
記事を読む  
ドイツ紙、全学連を報道 坂野君、法大闘争を熱く語る  記事を読む  
法大裁判に集まろう! 記事を読む  
仏全土で「教育改革反対」スト(11月24日) 記事を読む  
泉佐野 下地・橋下「普天間基地を関空へ」  住民の会が先制抗議(11月19日) 記事を読む  
国際労働運動 1月号  民族暴動激発の中国 記事を読む  
(6面)
戸塚秀夫「試論 動力車労働組合運動の軌跡について」を弾劾する〈下〉
「働こう運動」から「他労組解体」の白色暴力まで擁護する最悪の暴論
大迫達志
記事を読む  
部落解放東日本共闘会議第17回総会へ  “勝利は労働者の階級的団結に” 記事を読む  
天野美恵さんを偲ぶ会
元行動隊長天野豊徳さん“1年に260日のゲリラ戦”(投稿・織田三郎)(11月29日)
記事を読む  
日誌 2009年 11月25日〜12月1日
鳩山が沖縄知事と会談/沖縄集団自決「検定意見撤回せず」
記事を読む  
(7面)
小沢・鳩山政権と全面対決を
「事業仕分け」と大量首切り  「国民運動」で労組破壊狙う 全国の職場から大反乱を!
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小沢『日本改造計画』を斬る  90年湾岸危機敗北を教訓に強権支配と戦争国家めざす 記事を読む  
1500点の押収物を奪還!  前進社不当捜索を許さない(12月1日) 記事を読む  
(8面)
第2次再審請求書を提出
新たな証拠が27点  “無実で35年投獄許すな”(11月27日)
記事を読む  
星野再審勝利へ総決起  11・28全国集会に430人
“労働者の力で即時釈放を”(11月28日)
記事を読む  
星野文昭同志からのメッセージ  “怒りを怒りとして解き放とう!”(11月28日) 記事を読む  
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  

週刊『前進』(2419号1面1)(2009/12/07 )

 全世界の学生決起の先頭で闘いぬく/獄中8学生を奪還しよう

 「暴処法」「共謀」を粉砕した力で12月闘争から10春季ゼネストへ

 大恐慌-大失業攻撃を迎え撃て

“団結の力で「暴処法」と「共謀」を打ち破ったぞ” 国労5・27弾圧裁判判決公判後の集会には520人が大結集。暴処法弾圧を粉砕した巨大な地平から、1047名解雇撤回・外注化阻止の一大決戦に打って出る決意を固めた(11月27日 東京)=記事2面

 11・1全国労働者集会の大勝利は、日本と世界の労働者を縛ろうとする「闘っても勝てない」という敗北主義の鉄鎖を引きちぎり、沖縄で、韓国で、全世界で次々と闘いを爆発させている。これは怒りだけではない。労働者階級解放の理論と団結を獲得したからだ。7月サンフランシスコ国際会議と11月労働者集会の成功が、革共同綱領草案「反帝国主義・反スターリン主義世界革命」への希求とひとつになって、雷鳴のように全世界に広がっているからだ。壮大な階級決戦の年となるであろう2010年は、この12月の闘いから始まる。JR東日本の検修業務全面外注化阻止−獄中8学生奪還、マル青労同・マル学同1000人建設を全力で推し進め、10春季ゼネストへ進撃しよう。

 「闘えば勝てる!」の確信

 11月27日、「暴処法を粉砕したぞ!」と、国労5・27臨大闘争弾圧判決公判に駆けつけた200人の傍聴団の歓声が東京地裁にとどろいた。地裁前集会の後、直ちに国労本部におしかけて徹底弾劾した。判決を聞いた国労幹部は絶句、組合員をデッチあげまでして警察に売り渡した幹部連中は、この日もまた卑劣にも全員逃亡した。
 夕方、文京区民センターには勝利の速報に労働者が次々と結集した。前日の4者4団体派の集会(460人)を上回る520人で意気高く判決報告集会をかちとった。
 この日は同時に、獄中35年の星野文昭同志(徳島刑務所在監)奪還へ、妻暁子さんと弁護団を先頭にした35人の隊列が横断幕を掲げて東京高裁に第2次再審請求を提出した。翌28日には、「星野さんを取り戻そう!全国集会」が430人の結集で大成功した。
 また、警視庁と裁判所を徹底弾劾して、10月23日の前進社不当家宅捜索での押収物のすべてを奪還した。
 国鉄1047名解雇撤回を正面に掲げた11月労働者集会の威力で、動労水戸の白河研修センター攻防にも完勝し、不当配転された組合員全員の要求どおりの職場復帰・運転復帰をかちとった。「団結して闘えば勝てる!」が労働者の合い言葉だ!

 すべての力を8学生奪還に

 11月25日に法大「4・24」弾圧、26日に暴処法弾圧グループの公判が行われた。公判で明らかになったことは、当日「事件」を目撃したわけでもない法大総務課長・小川に「被告人たちが看板を引き下ろした」とデッチあげ証言させたことや、誰が撮影したかも分からないビデオデータを採用させて保釈を妨害しようというでたらめさだ。
 8学生は全世界で始まった学生の決起の先頭で闘いぬく日本と世界の学生運動のリーダーだ。直ちに奪還しよう。
 8学生の勾留はもう8カ月を超えている。尼崎事故で107人を虐殺したJR西日本の社長は「在宅起訴」であり、責任をもみ消そうとワイロを授受した連中や、11億円偽装献金の鳩山は不問なのにだ。ふざけるな!
 こうした権力と日弁連の腐敗した執行部による裁判員制度こそ、冤罪の温床なのだ。現代の徴兵制=裁判員制度に反対する闘いが全国各地で燃え上がっている。「絶対反対!」を貫き、廃止大運動を進めよう。
 「8学生を奪還しよう」の全国署名が大学・職場・街頭で始まり、すでに5千筆を超えた。この署名自身が法大と全国の学生、高校生や青年労働者の闘う勇気と展望を組織している。先日も神奈川の女性労働者から「ビラに5000万円保釈カンパと書かれていたので、5万円送ります」と手紙が届いた。12月にそれぞれ2回ずつの公判が入っている。全国署名・傍聴闘争・保釈金カンパ闘争に総力決起して、年内になんとしても8学生を奪還しよう。

 ドバイ危機が日帝を直撃

 11月18日、OECD(経済協力開発機構)のグリア事務総長が「日本が金融・財政両面で打つ手がないのは火星人でも分かる」と言い放った衝撃も冷めやらぬ26日、全世界を「ドバイ・ショック」が駆け抜けた。
 七つの首長国で構成するアラブ首長国連邦(UAE)の一つ、ドバイ政府が、政府出資100%の投資会社ドバイ・ワールドの総額590億j(約5兆円)の債務返済延期を発表し、信用不安から全世界で株安が連鎖している。支配階級は楽観報道で火消しに必死だが、ドバイはこの1年余で不動産価格は半値に下落し、2月に100億jの借金をしたが、「焼け石に水」だった。12月14日には新たに35億j分の償還期限も来る。
 ブルジョアジーが言っている「UAEへの融資残高が多いのは欧州。日本への影響は限定的」というのは大ウソだ。彼らはサブプライムローンの時も同じことを言っていたではないか。
 日帝は「BRICsは欧州の企業・投資家が主体の国。……ドバイは日本企業にとって優先されるグローバル市場」(三菱東京UFJ)と争闘戦丸出しで乗り出していた。ゼネコン4社の未完成工事だけでも、清水建設の受注額500億円超、大成建設530億円、鹿島と大林組の合計は5000億円近いと言われる。
 また、ドバイの最大貿易相手国はインドと中国であり、今後、より巨大な破綻を引き起こすことは間違いない。
 ドバイ・ショックは、すでに進行している円高ドル安によるドル暴落の危機に拍車をかけるものとなる。日帝にとって事態は一層、深刻だ。自動車・電機の輸出基幹産業は壊滅的打撃を受ける。しかも、かつて国内自動車販売台数が約6百万台あったのに、09年は3百万台割れになるのが確実だという。
 これに対して鳩山・小沢は、連合・全労連を奴隷頭に、すべての矛盾と犠牲を労働者に押しつけることで危機をのりきろうとしている。行政刷新会議の「事業仕分け」攻撃、日本航空へのリストラ・年金切り下げ攻撃、社会保険庁解体・千人解雇攻撃は、道州制導入−360万人公務員全員解雇攻撃の先取りだ。

 アフガン増派を弾劾する

 米帝オバマは危機突破をかけて保護主義と侵略戦争に突進し、12月1日、「アフガン新戦略」と称して米軍のアフガニスタンへの3万人増派決定した。ブッシュ時代の3倍だ。まさにオバマは戦争屋だ。
 だがオバマになんの成算もない。米帝のイラク・アフガニスタン侵略戦争は8年を超え、160万人が派兵された。これで約10万人がアフガニスタンに、12万人がイラクに駐留することになる。世界中から職を奪われた労働者が米国に渡っている。そして、米国籍を得るために片言の英語しか話せないまま6万8千人もが入隊し前線に送られ、国籍をとる前に多くの青年が殺されている。
 帰還できても就職口がなく、政府発表でさえ、帰還兵20万人がホームレスになっているという。戦死者も自殺者も、ともに5千人を超えた。「軍はほとんど崩壊している」(パウエル元国防長官の議会証言)というほどの危機的な状況なのだ。
 今回の増派は戦費もないまま決めている。オバマは戦争税の導入を発表した。カリフォルニアでは税収増をねらい、マリファナの合法化を検討している。崩壊しているのは帝国主義だ。

 検修外注化を阻止する決戦

 JR東日本の検修部門全面外注化攻撃は、労働者も利用者も犠牲にして支配階級だけが生き残ろうとする新自由主義のなれの果ての攻撃であり、JRの青年労働者5千人を資本に売り渡す絶望的な攻撃だ。だからこそ逆に、11月集会派がJR大再編の激烈な党派闘争を制して青年労働者を圧倒的に組織し、1047名闘争の勝利を切り開く絶好の闘いでもあるのだ。
 動労千葉が切り開いた反合理化・運転保安闘争は、全産業の労働者に共通の武器だ。昨年末とも比較にならないほど深刻化する大失業のもとで派遣・非正規雇用労働者の闘いや、道州制攻撃との闘いの勝利もこの攻防にある。全逓労働者の闘いは、宅配便事業統合計画の撤回、合併会社「JPEX」の清算発表に追い込んでいる。
 すべての労働者階級の怒りを春季ゼネストの爆発へ組織しよう。それは年末の組織化決戦にかかっている。動労千葉と国労NIPPO物資販売と法大署名を11月集会を呼びかけた全員、全職場に持ち込んで組織しよう。
 革共同の新聞『前進』を読み、広げよう。今こそ革共同とマル青労同・マル学同のもとに結集して団結しよう。世界史を転換させる闘いの実現へ、年末一時金カンパと、8学生奪還の5000万円保釈金カンパを全力で寄せてください。ともに闘おう。

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週刊『前進』(2419号1面2)(2009/12/07 )

 12・3大阪 JR西本社を怒りの包囲

 被告団を先頭に処分粉砕へ

集会をかちとり意気高くデモ。JR西日本の尼崎事故改ざんを弾劾し「1047名解雇撤回、JR体制打倒」を訴えた(12月3日 大阪)

 12月3日、関西、中国・四国、東海の労働者・学生130人がJR西日本本社包囲闘争に決起した。国労5・27臨大闘争弾圧裁判の11・27判決勝利の地平を受け、国鉄1047名闘争勝利、JR東日本の検修全面外注化絶対阻止、JR体制打倒の5カ月間決戦の火ぶたを切った。
 包囲行動に先立ち、5・27弾圧被告団を先頭にJR西日本本社とJR貨物に申し入れ行動を行った。「有罪=即解雇」を粉砕されたJR西日本は門を固く閉ざして、申し入れを一切拒否。貝のように閉じこもることしかできなかった。
 誰が勝利者かは明らかだ。われわれは「罰金刑を口実とする新たな解雇策動を許さない。最後まで闘う」と戦闘宣言をたたきつけた。富田益行被告団長は「“私鉄に負けるな!稼げ!”――それが尼崎事故を生み出した西日本の本質だ」とJR体制打倒を宣言した。
 続いて大阪駅前で、JR西日本本社を弾劾する街頭宣伝を行った。
 午後4時から西梅田公園で総決起集会を開いた。「暴処法」適用と「共謀」を粉砕した11・27判決の勝利で参加者の意気は高い。
 富田被告団長が基調報告を5点にわたって提起した。@暴処法・共謀を粉砕して勝利したこと。この勝利は1047名闘争の勝利に直結している。すべての弾圧をぶち破る糧になる。A1047名闘争の責任勢力として登場した。4者4団体派との激突に勝ち抜いたゆえの勝利だ。BJR西の尼崎事故を徹底的に弾劾して闘う。分割・民営化との決着をつける大闘争に入った。CJR東による検修外注化の大合理化を絶対に許さない。奴ら資本家は車両に手をつけた。安全をかなぐり捨てて動労千葉、動労水戸の破壊攻撃にかじを切った。D道州制、労組破壊・民営化との闘いは煮詰まった。われわれは一歩も引かず、世界の労働者と団結して闘う。――全体が拍手で応えた。
 次に国労5・27臨大闘争弾圧被告団の東元さん、原田隆司さん、小泉伸さんが登壇し決意表明した。1047名の当該でもある羽廣憲被告は、「1047名闘争に責任をとる」と宣言した。
 さらに、米子の国労共闘の仲間は、来年の伯備線事故弾劾集会を呼びかけ、動労西日本の青年労働者は、「勤務時間外のビラ配りに対する訓告処分を許さない」と、闘う決意を表明した。
 決戦の渦中にある豊中市職、八尾北労組、全学連からの連帯アピールが行われた。最後に被告団の橘日出夫副団長が、「検修の全面外注化は、労働者の団結を破壊する攻撃だ。勝利の鍵は反合・運転保安闘争をJRすべての職場で繰り広げ、平成採の青年労働者を獲得することだ」と鮮明に提起した。集会後、退勤時の労働者の圧倒的注目の中、JR西日本包囲デモを闘った。
(写真 JR西日本本社に申し入れ行動【大阪 梅田】)

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週刊『前進』(2419号1面3)(2009/12/07 )

前進速報版から 前進速報版から

▼韓国鉄道ストが最長ストに▼栃木県内初の裁判員裁判に抗議▼東北石けん労組が全一日行動▼福岡「裁判員制度」ディスカッション

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週刊『前進』(2419号2面1)(2009/12/07 )

 国労5・27弾圧判決 被告の団結が「暴処法」破る

 “勝利への進撃が始まった”

 判決報告集会に520人 大勝利にわく

 “ついに暴処法(暴力行為等処罰法)を粉砕したぞ!”――国労5・27臨大闘争弾圧裁判の判決公判が開かれた11月27日、被告団と家族、支援者は、暴処法を完全に粉砕した歴史的勝利にわきかえった。
 この日の公判闘争には全国から約2百人の支援者が集まった。傍聴席に入りきれなかった支援者は、法廷前の廊下で固唾(かたず)をのんで公判の行方を見守った。
 植村稔裁判長(東京地裁刑事第10部)は冒頭、向山和光被告に無罪、国労組合員の6被告に60万円〜20万円の罰金判決を言い渡した。傍聴席から鋭い弾劾の声が飛ぶ。その後、1時間半に及ぶ判決言い渡しをとおして、東京地検公安部がデッチあげた筋書きが次々と退けられていった。法大弾圧にも手を染めている岡本洋之検事はうつむき、肩を落とし、みるみる消耗していった。どちらが勝者かは明らかだ。
 公判後、傍聴者は巨大な勝利を確認するとともに、罰金判決を出した植村裁判長に激しい弾劾の声を浴びせた。

 法廷貫く完全黙秘の闘いで

 同日夕、文京区民センターで開かれた国鉄闘争勝利総決起集会には520人が大結集した。
 まず、富田益行被告団長が「向山被告は無罪、暴処法も共謀の立証も粉砕しました」と報告すると会場いっぱいに歓声があがった。被告団の発言が進むごとに勝利の大きさが実感されていく(被告団の発言要旨別掲)。
 続いて弁護団が登壇。鈴木達夫主任弁護人が「腹の底からわき上がる勝利感でいっぱいだ」と切り出し、もぎり取った勝利の大きさ、判決の評価、今後の闘いについて提起した(要旨別掲)。
 葉山岳夫弁護団長は、「資本主義が終末を迎える中で暴処法と共謀を粉砕したのは巨大な勝利」と高らかに勝利宣言。西村正治弁護士も「裁判長も判決文で闘いの正当性を認めざるをえなかった。事実上の無罪判決だ」と述べた。松田生朗弁護士は「被告のみなさんが誰にこびることもなく信ずる道を突き進んでいること――これが裁判官と検察官を圧倒した。この裁判にかかわれて感謝している」と熱い気持ちを伝え、山本志都弁護士は「共謀立証を粉砕したのは、法廷も含めた完全黙秘の闘いの力だ」と勝利の根拠を突き出した。最後に藤田正人弁護士が「法大裁判での無罪判決に続いて2連勝だ。闘いが前に進むほど弾圧はかけられてくるが団結の力で必ず打ち破れる」と確信を込めて述べた。
 さらに、7年余りの過程をともに闘ってきた被告家族も登壇し、次々とあいさつした。
(写真 東京地裁前に全国から約200人の労働者・学生が駆けつけた。完全無罪戦取まで闘うぞ!【11月27日】)

 外注化阻止の大決戦を宣言

 集会の後半は国鉄労働者と学生の決意表明だ。
 九州から駆けつけた国労闘争団員は、「政府にお願いするということは”解雇撤回”を主張しないということ。原則を貫き、国労本部打倒の立場で闘う」と発言。国労秋田闘争団の小玉忠憲さんは、「02年5・27弾圧は、闘争団を切り捨て、1047名闘争を終わらせるために国労本部と警察権力がデッチあげた事件。これをぶっ飛ばしたのはすごい勝利だ」と述べた。動労千葉争議団の中村仁さんは、「全国の労働者の怒りとひとつになり、絶対にわれわれが主流派になろう。動労千葉はその先頭で闘う」と表明した。
 動労総連合も、この日の闘いをともに闘った。
 動労西日本の大江照己委員長は「被告たちへの処分攻撃との攻防が始まる。ともにJR西日本幹部の息の根を止める闘いに立つ」と宣言。動労水戸の石井真一委員長は「23年間闘い抜き、ついに勝利の展望が見えてきた。われわれは勝利の大進撃を開始している」と確信に満ちた発言。動労千葉の繁沢敬一副委員長は「検修外注化と乗務員へのライフサイクル攻撃粉砕の闘いの要は組織拡大にある。一日も早く青年部を結成するために全力で闘う」と述べた。
 検修職場で働く国労組合員は「JRと和解するために合理化とは闘わないというのが国労本部の方針。検修外注化を止めるには、この本部を打ち倒すしかない。1047名闘争と5・27弾圧粉砕、検修全面外注化阻止の闘いは一体だ」と語った。
 法政大の洞口朋子さんは「今日の勝利で『闘っても勝てない』という体制内の思想をぶっ飛ばした。この力で法大暴処法弾圧に勝利する」と述べた。憲法と人権の日弁連をめざす会代表の高山俊吉弁護士も急きょマイクをとり「今日の勝利は、表現しつくせないほど大きい。闘う労働者の裁判闘争と裁判員制度粉砕の闘いは直結している」とあいさつした。
 最後に国労共闘代表の吉野元久さんが「戦前・戦後をとおして初めて、労働運動の力で暴処法弾圧をうち破った」と勝利の大きさを謳歌(おうか)するとともに、「この地平から半年間決戦に打って出よう。4者4団体の裏切りに対して闘争団・家族に強烈な怒りがわきおこっている。1047名を一人残らず獲得する闘いに入ろう。国労共闘は動労総連合とともに、職場で外注化阻止の新たな反合闘争に立ち上がる。JR本体の組合員と闘争団員・家族がひとつになって、JR体制に挑んでいこう」と訴え集会を締めくくった。
(写真 検察側立証を打ち破った弁護団が勝利宣言【東京・文京区民センター】)

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週刊『前進』(2419号2面2)(2009/12/07 )

 被告団のあいさつ

 JR資本を攻め解雇撤回させる

 国労近畿地本兵庫保線分会・被告団長 富田益行さん
 向山被告は無罪、暴処法も共謀の立証も粉砕しました!
 今日の判決は、本当になんの立証もない判決です。判決文は、事件にいたる経過もかなり認定しています。私たちの闘いが憲法28条にもとづく団結権の行使であると認めざるをえなかった。「そこまで認定するんやったら無罪やろ!」と思いましたが、裁判官は自分の出世もあるのでしょう、どうしても有罪判決を下さなければならず刑法の「暴行」で罰金刑としました。被告団はただちに控訴しました。
 私たちは11・1労働者集会で「1047名解雇撤回闘争の責任勢力になる」と宣言しました。これからJR資本とガンガン闘って名実ともに責任勢力となり、1047名の解雇を撤回させる。今日はその出撃集会です。
 被告団は”JR資本と正面から闘って1047名の解雇を撤回させる”という路線を打ち立てて今日の判決を迎えました。この判決を見て、JR西日本資本は「どういう処分をするか」と必死で考えていると思います。12・3JR西日本包囲闘争からトコトンJR西日本本社を攻め、来年の尼崎闘争までの決戦を闘います。
(写真 晴れやかな表情であいさつする7被告。左から羽廣、原田、小泉、橘、東、向山、富田の各被告)

 戦前にもこれほどの勝利はない

 国労近畿地本奈良電車区分会・被告団副団長橘日出夫さん 
 みんなの闘う団結が、ものすごい勝利をかちとりました。大恐慌の時代に突入し、大失業と戦争の攻撃の嵐が激しく吹き荒れる中で、労働運動の力で暴処法を粉砕した。
 これが、どれほどすごい地平なのか。戦前にもこんな勝利はなかった。ここに来るまでに全部つぶされてきたわけです。敵の攻撃のやり方を完全に粉砕しつくした。「ここにいる仲間にはそういう力がある! 自分たちの力に目覚めよう」と声を大にして言いたい。
 この勝利がいかに重要か、もう一点言いたい。民主党・連合政権は来年3月までに、1047名闘争と動労千葉―動労総連合、国労共闘を壊滅する大攻撃をしかけてきています。分割・民営化で貫徹できなかった国鉄労働運動解体という課題を貫徹することなしに、道州制導入なんてできない。この決戦にわれわれは、この大勝利の号砲をもって突入するということです。勝負の行方は、われわれの闘いにかかっています。このことに大いに確信を持って、4月までの国鉄決戦に猛然と突入しよう。被告団はその先頭に立ちます。

 全国を駆け巡り怒りに火付ける

 国労小倉地区闘争団 羽廣憲さん 
 罰金40万円の羽廣です(笑)。本当にふざけた判決ですよね。しかし、こんな判決しか書けないところまで敵を追い詰めたんです。”最高裁からわざわざ送り込まれた裁判長がこのザマかよ”と言ってやりたい。
 われわれは勝利したと断言できます。しかし、闘いはここで終わりではない。ここまでの闘いは序章に過ぎません。
 資本の攻撃がますます激しくなる中で、職場生産点での闘いが勝負です。私は被解雇者なので「解雇撤回」をどこまでも貫き、日本全国を駆け巡って労働者の怒りに火をどんどんつけていきたい。闘いは労働者に元気と勇気を与えてくれます。被告団の一員として先頭で闘い抜きます。

 “正義と勝利”はわれわれにあり

 国労近畿地本大阪事業分会 東元さん
 今日の判決をもって国鉄闘争は新たな段階に入りました。民主党・連合政権を打倒するアルキメデスのてこが国鉄闘争の中にある。1047名闘争はこれから輝きを増し日帝打倒までやむことのない闘いに入ります。
 7年間の裁判闘争は、有罪、無罪だけを争ってきたのではありません。階級裁判として、国鉄労働運動の未来を決するものとして闘ってきました。私たちの課題は鮮明です。1047名闘争の勝利に最後まで責任をとりきることです。では、いかに闘うのか? 6千万労働者階級の中に、どんどん分け入っていくことです。
 私たちの飛躍が待ったなしに求められています。私たちは本日の有罪判決を、JR資本、国家権力、国労本部、民主党・連合政権を倒す絶好のチャンス到来ととらえています。われわれの力で資本主義社会を葬り去らねばなりません。自らの闘いで革命情勢をたぐり寄せよう。今日の判決をもってその闘いの最先端に私たちは立ちました。正義と勝利はわれわれにあります。

 処分策動許さずJR資本攻める

 国労近畿地本大阪貨物分会 小泉伸さん
 「罰金20万円」のトップで発言します。1年3カ月も勾留しておいて、たった罰金20万円ですか!? 20万の罰金刑でも僕らは現職ですから処分は来る。JR貨物関西支社はJR西日本本社に間借りしてますから、12月3日の闘いをスタートにして、これから「大阪冬の陣」「大阪夏の陣」でJR資本を攻めます。
 闘えば必ず勝利できます! 1047名闘争に勝利し、全世界の階級闘争に打って出ましょう。

 尼崎事故を現場から糾弾しぬく

 国労近畿地本福知山分会 原田隆司さん 
 「月曜日は出勤だけど来れないかもしれない」と職場の仲間に言って公判に来ました。尼崎事故の責任を追及しているのは関西では国労共闘だけです。踏んではいけない虎の尾を何度も何度も踏んできた僕らが、会社からどれだけ嫌われているかは明らかです。
 こんな僕らが解雇処分にもならないのでは職場が締まらない。敵はなんとしても解雇したかったはずなのに、敵はこんな判決しか出せなかった。
 胸を張って職場に帰り、尼崎事故をさらに現場から糾弾していきます。職場の若者が「社長や幹部こそ尼崎の現場に立って頭を下げたらいいんだ」と大っぴらに口にできる職場にするために明日から頑張りたい。

 この勝利突破口に怒涛の進撃を

 国鉄闘争支援者 向山和光さん 
 「無罪」と聞いた時、ちょっと不思議な感じでした。検察の言う「首謀者」が無罪でいいのか、と(笑)。考えれば考えるほど偉大な勝利だと感じています。暴処法を粉砕したことは、今後の労働運動にとって、そして法大闘争にとっても決定的意味を持っています。
 「共謀」を粉砕したことも大きい。第一に、逮捕以来の完全黙秘・非転向の闘いが重要でした。さらに、昨年2月22日の旧弁護団解任の決起と新弁護団結成をもって、この勝利がかちとられたということをはっきりさせたい。この勝利を突破口に、来年4月尼崎闘争までの5カ月決戦に突入しよう。1047名解雇撤回、JR体制打倒にむけた怒涛(どとう)の進撃を開始しましょう。

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週刊『前進』(2419号2面3)(2009/12/07 )

 鈴木達夫主任弁護人(判決報告集会あいさつ)

 最後の勝利まで被告と共に闘う

 腹の底からわき上がる勝利感でいっぱいです。ついに11月派の団結で暴処法をうち破った。何よりも、法廷をも貫いた完全黙秘・非転向の闘いの勝利です。共謀立証も全部うち破りました。暴行の認定も極めて粗雑で許しがたい。およそ刑事裁判の認定として耐えられるものではありません。
 直ちに控訴しました。7被告の闘いは裁判員制度下での控訴審闘争に移ります。「3審制」と言いますが実際には3審制は吹っ飛んでいます。よほどの事情がなければ1審判決は変えない。支配者に都合が悪い1審判決はひっくり返す。そういう中での控訴審です。
 それ以上に、主要な闘いの場は職場に移ります。懲役刑ではなく罰金刑だったことは決定的です。「禁固以上の刑であれば執行猶予でも解雇」という就業規則がある職場がほとんどだと思います。「罰金で即解雇」という就業規則はそう多くはない。JRもそのようです。しかし、敵はこのまま放っておくはずがない。JR東日本では検修全面外注化という大攻撃が始まり、JR西日本は、尼崎事故隠ぺいで組織犯罪をやっている。JR資本は現職の5被告の首をいかに切るのかと必死でしょう。遅かれ早かれ絶対に来ます。それこそチャンスじゃないですか。弁護団も最後の勝利までともに闘います。

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週刊『前進』(2419号2面4)(2009/12/07 )

 国鉄闘争の正義が権力を圧倒

 「共謀」砕き検事に大敗北強いる

 11月27日、東京地裁刑事第10部(植村稔裁判長)が下した国労5・27臨大闘争弾圧裁判の判決は、5・27被告団の勝利を歴史に刻むものになった。判決は、暴力行為等処罰法は適用できないとし、被告の間に共謀があったことも否定した。
 その結果、国鉄闘争支援者の向山和光被告は無罪をかちとった。他方、判決は、刑法の暴行罪は成立するとして、国労組合員の富田益行被告に60万円、羽廣憲、東元の各被告に40万円、橘日出夫、原田隆司、小泉伸の各被告に20万円の罰金刑を言い渡した。ただし、「未決勾留日数を1日5000円に換算して刑に算入する」としているため、実際の罰金額は各被告ともゼロとなる。これは、実質的に無罪判決に等しい。
 東京地裁は、被告団の闘いに追いつめられながらも、被告をあくまで有罪にするという政治的意図に基づいて、こうした判決を出したのだ。だが、それは被告の闘志を一層打ち固めただけだ。
 この勝利は、国鉄分割・民営化と人生をかけて対決してきた被告団の闘いの正義性が、裁判所を徹底的に追いつめたことよって実現された。1047名の一人である羽廣被告はもとより、国労組合員の各被告は、国鉄分割・民営化と非和解的に闘ってきた。だからこそJR資本の憎悪を浴び、解雇や不当配属という仕打ちを受けながらも、被告はそれに屈せず、1047名解雇撤回闘争を全力で闘いぬいてきた。4党合意粉砕の闘いの最先頭に立った被告たちは、闘争団を統制処分にかけるために国労本部が強行した02年5月27日の臨時大会を、満身の怒りで弾劾した。
 その闘いに、国労本部と公安警察が一体となって襲いかかったのが5・27臨大闘争弾圧だ。
 被告団は、自身の生々しい闘争史を、被告人質問や最終意見陳述で全面的に説き明かし、裁判官に突きつけてきた。その迫力が、この判決を引き出したのだ。国鉄闘争の正義性と被告の労働者魂は権力を圧倒しきった。
 判決は、国鉄分割・民営化によって1047名が首を切られた過程や、政治解決路線をとる国労本部が権力と資本に屈して解雇撤回闘争を裏切っていった過程、5・27臨大の議案の内容や、同大会に際し国労本部派が国労共闘を先頭とする反対派を告訴する目的でビデオカメラを準備した事実などを詳細に認定した。そして、「(被告の)ビラ配布・説得活動自体は憲法28条の保護のもとにある」と認めざるを得なかった。被告団の陳述と弁護団の弁論は、そこまで裁判所を追い込んだ。
 判決がこうした認定をした以上、7被告全員に無罪が宣告されてしかるべきだ。だが、東京地裁は、「被害者」と称する本部派組合員の証言やビデオ映像から暴行は認定できると決めつけて、6被告を有罪とした。検察側立証の破綻を逐一指摘し弾劾しきった弁護団の弁論を具体的に検討して反論することから、裁判官は逃げまくったのだ。
 他方で判決は、被告の行為を「ビラを受け取ろうとしないなどの本部派組合員の態度に立腹した結果」とし、本部派の対応にもみ合いの原因があったことを認めている。そして、各被告の「暴行」は「その時々の状況に応じた各実行犯の判断に基づくもの」として、共謀があったとする検察側の主張を退けた。また、「各被告の暴行が多衆の威力を示して行われたと認定することはできない」として、暴処法の適用も否定した。
 これは、向山被告を「首謀者」に仕立て、本件を「中核派の組織的犯行」にデッチあげた検察側の主張が完全に崩れたことを意味している。
 非転向を貫き団結を固めた被告団の闘いは、弾圧に込められた敵の狙いを粉砕し、戦前来の労働運動弾圧法=暴処法を無力にさせた。この勝利を打ち固め、完全無罪戦取へさらに強固に闘おう。

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週刊『前進』(2419号2面5)(2009/12/07 )

 「被害届」撤回しろ

 国労本部に抗議申し入れ

 公判終了後、5・27被告団と弁護団は、直ちに控訴手続きと記者会見を行った。同時に、橘日出夫・被告団副団長を先頭に、被告たちを警察に売り渡した国労本部に抗議申し入れに赴いた。
 事前に告げていたにもかかわらず、なんと本部執行委員は全員が逃亡! 「全員逃亡」は初めての事態だ。本部役員が、自らの階級的大罪を自覚している証拠だ。
 橘さんは怒りをこめて申し入れ書を読み上げ、@本件を「中核派の暴力事件」と決めつけた「本部闘争指示55号」(02年11月11日付)の撤回、A「被害届」を提出した組合員にその撤回を指導すること、B警察権力との癒着・結託の責任をとり関係する本部派組合員は全役職から辞任すること――以上の3点を突きつけて本部書記に文書を手渡した(写真)。
 国労本部は、国家権力と結託して弾圧を強行したことを、居直り続けている。抗議団は国労本部前で怒りのシュプレヒコールをたたきつけ、総決起集会に向かった。

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週刊『前進』(2419号3面1)(2009/12/07 )

 検修外注化絶対阻止・JR体制打倒へ

 暴処法粉砕した勝利うち固め1047名解雇撤回を貫こう

 青年を組織しJR総連解体を

 革共同国鉄委員会

 11月27日に開かれた国労5・27臨大闘争弾圧裁判の判決公判で、5・27被告団は歴史的な勝利をかちとった。東京地裁は、暴力行為等処罰法を適用できず、「共謀」も認定できないところに追い込まれた。被告団と弁護団の不屈の闘いは、弾圧にかけた敵の狙いを根本から打ち破ったのだ。1047名解雇撤回、検修全面外注化絶対阻止・JR体制打倒の決戦へ、巨大な突破口は開かれた。われわれは満を持して、国鉄分割・民営化に革命的に決着をつける最大の決戦に突入する。
(写真 不当労働行為を居直って組織破壊攻撃をしかけるJR東日本に対し、動労千葉・動労水戸を先頭に徹底的な弾劾をたたきつけた【10月16日】)

 5・27弾圧を打ち破った被告団の感動的な勝利

 5・27臨大闘争弾圧裁判で、被告団は検察がもくろんだ懲役刑を完全に粉砕した。暴処法と共謀認定は打ち破られ、向山和光被告には無罪判決が下された。その一方で東京地裁は、国労組合員の6被告に罰金刑を言い渡した。未決勾留日数との相殺で実際には罰金もゼロとなる。実質的な無罪判決だ。にもかかわらず、東京地裁はあくまで被告を有罪にするという政治的意図に基づき、この判決を下したのだ。
 だが、こんな反動に被告団は微動だにしていない。罰金判決は、被告の怒りをかき立て、さらなる闘いへのあくなき意志を強めただけだ。
 暴処法を粉砕した勝利は限りなく大きい。権力が労働組合解体法である暴処法を持ち出してきたのは、被告団を先頭とした国労共闘が、4党合意粉砕の闘いを牽引(けんいん)し、1047名闘争の主導勢力として登場しつつあったからだ。
 権力は、暴処法を振りかざして被告団と国労共闘を転向させ、それを突破口に1047名闘争を解体しようと企てた。だが、被告団は転向を拒否し、暴処法を発動した敵の狙いは根本的に崩れ去った。それだけでなく、被告団は弾圧との闘いをとおして、1047名闘争の主導勢力として自らを打ち固めた。戦前戦後をつうじて、暴処法弾圧をこれほど見事に打ち破った例はほかにない。
 この勝利は、国鉄分割・民営化に対し人生をかけて立ち向かってきた被告の労働者魂とその闘いの正義性が、権力を圧倒したことによってかちとられた。羽廣憲被告は1047名被解雇者の一人であり、他の国労組合員の被告たちも、国鉄分割・民営化以降、長期にわたり鉄道本来業務を外されて不当配属を強いられた。その被告たちにとって、闘争団員を統制処分にかけるために開かれた02年5月27日の国労臨時大会は、とうてい許せるものではなかった。だから被告たちは、国労本部を渾身(こんしん)の力で弾劾したのだ。
 被告人質問や最終意見陳述で、5・27決起の正義性と自己の闘争史を縦横に語りきった被告団の闘いは、裁判所をとことん追いつめたのである。
 この勝利はまた、被告団の完全黙秘・非転向の闘いによってかちとられた。敵権力との一切の妥協を拒否した不退転の闘いが、敵の攻撃に破産を強いたのだ。
 さらに、被告団が08年2月22日に旧弁護団を解任し、同年5月に松崎被告との弁論分離をかちとったことも決定的だった。この壮絶な決起によって被告団は、動労千葉の闘いを否定し、4者4団体路線のもとに被告を組み敷こうとした旧弁護団の体制内思想を峻拒(しゅんきょ)した。
 旧弁護団は、裁判所に頭を垂れ、弁解を並べることによって「無罪」をこいねがう路線をとっていた。現に、松崎被告の裁判は、国労本部を一言も弾劾せず、自分が4者4団体派の一翼にあることを必死で検察官・裁判官にアピールするものに転落している。その対極で、被告団は階級的原則を貫く裁判闘争を展開した。その闘いが、暴処法と共謀認定を打ち破ったのである。
 この勝利はまた、11・1労働者集会に結集した5850人の団結が実力でもぎり取ったものだ。11・1労働者集会に結集した5850人は、あらゆる体制内派との激突を貫いて日比谷野音に結集した。その力が、「闘っても勝てない」「非妥協的闘いは敵の攻撃を誘発するだけだ」という体制内派の屈服思想を打ち砕いた。被告団は、団結して闘えば勝てることを実証したのだ。
 暴処法と共謀認定を粉砕した被告団の勝利に、JR資本も4者4団体派も色を失っている。懲役刑の判決を期待し、それを口実に被告の解雇を狙っていたJRが、新手の攻撃を繰りだしてくることも避けられない。被告団は、この策動との激烈な攻防に入っている。
 被告を公安警察に売った国労本部を今こそ打倒し、国労を階級的な労働組合に再生しよう。
 被告団は、4者4団体路線に断を下して、1047名の解雇撤回を貫く不動の決意を固めている。この被告団とともに勝利の道を突き進もう。

 4者4団体は完全破産 われわれこそ主流派に

 被告団が実現した歴史的勝利の対極で、4者4団体の政治解決路線は、今や完全に破産した。彼らが11月26日に星陵会館で開催した集会は、このことをまざまざと示した。4者4団体は首相・鳩山と国交相・前原にすべてを託し、「政治解決の最後のチャンス」としてこの集会に臨んだ。だが、鳩山や前原は出席せず、自民党も参加を拒み、4者4団体の思惑はついえ去った。
 にもかかわらず国鉄闘争共闘会議の二瓶議長は集会で、「年内に解決のめどをつけ、来年2月16日は解決確認の集会にしたい」と言い放った。
 4者4団体は、身も心も民主党・連合政権と一体化している。あろうことか彼らは、鳩山あて、前原あて、厚労相・長妻あての署名運動を国労組合員にやらせている。こんな屈辱があるか!
 今、前原が日航の労働者に対してやっていることは何か。1万3千人の首切りであり、現役5割、退職者3割もの年金削減だ。長妻がやっているのは、社会保険庁労働者1千人の首切りであり、分限免職の強行だ。
 大恐慌が進行し、大失業の嵐が吹き荒れる中で、「生きさせろ」の叫びが6千万労働者を揺り動かしている。その時に4者4団体は、首切りの下手人=民主党・連合政権への総屈服を労働者に強いているのだ。
 4者4団体幹部の本音は、年度内にも出されると言われる鉄建公団訴訟の最高裁判決を前に、裁判所の職権和解で1047名闘争に終止符を打ちたいということだ。
 この4者4団体路線への闘争団の怒りが爆発することは不可避だ。この現実は、1047名の全体を獲得する責任をわれわれに課している。それは、1047名を動労千葉派に組織するまたとないチャンスが目の前にあるということでもある。
 11・1労働者集会は、1047名解雇撤回闘争を世界にとどろかせた。われわれは、名実ともに1047名闘争の主導勢力に躍り出る。その最大の決戦が始まったのだ。

 反合理化・運転保安闘争でJR資本に大反撃を

 1047名解雇撤回闘争と、JR東日本の検修外注化絶対阻止の闘いは不可分一体だ。
 JR東日本の検修・構内外注化の提案は、各車両センター(電車区及び一部の運輸区)と、土崎、郡山、長野、大井、鎌倉などの総合車両センター(旧工場)を含むすべての検修職場を対象とする全面的なものだ。
 これが強行されたら、鉄道の安全は徹底的に解体される。国鉄分割・民営化以降、どれだけの下請け労働者が事故でJRに殺されてきたのか!
 先行的に外注化が実施されている総合車両センターでは、修繕されるべき個所が修繕されないまま故障車両が営業運転に回される事態も起きている。そうした欠陥が、車両センターでの仕業検査で発見され、大事故をかろうじて防いでいるのが現状だ。ところがJR東日本は、その仕業検査業務をも外注化しようとしているのだ。こんなことを許したら、第二の尼崎事故、第二の羽越線事故は必ず起こる。
 00年11月にJR東日本は中期経営構想「ニューフロンティア21」を策定し、01年には設備部門の外注化を強行した。その結果、送電システムはガタガタになり、信号トラブルは続発している。
 さらにJRは、02年以来、検修部門の部分的な外注化に着手した。だが、動労千葉は反合理化・運転保安闘争を貫き、その実施を8年間にわたり阻んできた。
 資本は、もうけのためには安全を無視した合理化を平然と強行する。その結果、労働者の命が奪われようと構わないというのが資本の本質だ。事故をめぐる問題は、労働者にとって最も切実な課題であるにもかかわらず、既成の労働運動は「事故は個人の問題」として、資本との闘いを避けてきた。だが、動労千葉は1972年の船橋事故に際し、「責任の一切は当局にある」と言い切って国鉄当局を徹底追及する闘いに立つ中で、反合・運転保安闘争路線を実践的に確立し、今日まで闘いぬいている。資本の最弱点をなす安全問題を追及し、合理化と全面対決する闘いが、動労千葉の強固な団結をつくりあげてきたのである。
 今回の検修全面外注化は、この動労千葉や動労水戸、国労共闘に対する組織絶滅攻撃だ。
 しかも、検修業務は一括して関連会社に委託される。現在、検修部門で働いている労働者は、関連会社への出向を強いられるのだ。ひいては移籍の強要もあり得る。これは、労働者を徹底的に非正規雇用化する攻撃だ。

 JR総連への反乱は不可避

 JR東日本の経営幹部は、労働者の命を奪う攻撃をしかけながら、この外注化施策によって自らの天下り先を確保しようとしている。こんな腐りきった連中が許せるか!
 この検修外注化にJR総連・東労組は合意を与え、その強行実施に向けた実働作業に入っている。彼らが、崩壊の瀬戸際にある資本との結託体制を維持しようとすれば、外注化の最先兵になる以外に選択肢はない。
 JR総連カクマルは、自分の最大の「拠点」であり、資本=カクマル結託体制の「聖域」をなす運転職場を丸ごと明け渡すことまでして、JR資本にしがみつこうとしているのだ。
 これは、一握りのカクマル分子の延命のために、平成採の青年労働者の現在と未来を奪い去ったということだ。外注化が強行されれば、入社間もない青年労働者も含め、出向を強制される。事実、JR東日本は「若年出向も含めて、腹をくくってやる」と言い放っている。
 まともな教育もされないまま、青年労働者は業務に追いまくられ、ひとたび事故を起こせば、その全責任を負わされる。東労組カクマルは、青年労働者をこうした境遇に追い込んだのだ。これへの青年労働者の怒りの決起は必ず巻き起こる。
 すでにJR東日本は「ライフサイクルの深度化」と称して、運転士を駅に強制配転する攻撃に着手している。だが、動労千葉はこれと全面対決する中で、青年労働者の結集をかちとった。
 検修外注化絶対阻止の闘いは、JR総連を解体する決戦そのものだ。その勝利の核心は、平成採の青年労働者を闘いの戦列に獲得することにある。日常不断の職場闘争を貫いてこそ、青年を組織できる。それは、職場の支配権をわれわれが握り、国労執行部を4者4団体派から奪い取る闘いでもある。
 JR総連カクマルは、国鉄分割・民営化を率先推進したファシスト反革命の原点に立ち返り、戸塚秀夫らと手を携えて、松崎明の復権運動に総力を挙げている。国労東日本本部は、4者4団体路線のもと、外注化との裏切り妥結を策している。
 これら一切を打ち倒し、国鉄分割・民営化に革命的に決着をつける時が来た。

 鳩山政権打倒の先頭に立つ

 検修外注化絶対阻止の決戦は、民主党・連合政権と最前線で対決する闘いだ。
 民主党政権は、社保庁解体を強行し、最低でも100人の社保労働者を分限免職にすると公言している。連合と自治労中央はこれを全面的に容認し、一切の抵抗を放棄すると政府に誓った。
 「ドバイ・ショック」で世界大恐慌はさらに深化し、世界経済は奈落の底に引きずり込まれている。その中で民主党・連合政権は、未曽有の財政危機にのたうちながらも、資本救済のための膨大な財政支出を決断した。これは、労働者階級に向かっては大首切りと大幅賃下げ、大増税の攻撃となって襲いかかってくることは間違いない。
 労働者を塗炭の苦しみにたたき込んできた諸悪の根元は国鉄分割・民営化だ。だがわれわれは11・1と11・27により、国鉄分割・民営化体制を打ち砕く勝利の武器を手に入れた。1047名解雇撤回、検修外注化絶対阻止・JR体制打倒へ、総力で決戦に立とう。

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週刊『前進』(2419号3面2)(2009/12/07 )

 圧倒的な冬期カンパの御願い

 法大弾圧8学生即時奪還と労働者革命の勝利めざして

 すべてのみなさん。法大暴処法弾圧と闘う8学生を何としても年内に奪還しよう。5000万保釈金を集めきろう。冬期一時金闘争は従来を超える一大カンパ決戦です。大恐慌・大不況がますます深まる中、並大抵の闘いではありません。しかし、労働者階級に徹底的に依拠するなら絶対に集めきることができると、革共同は信念をもっています。
 一時金が支給される方は思い切った高額カンパをお願いします。さらに自分の職場の同僚・仲間に保釈金カンパを全力で訴えてください。解雇・雇い止めされた労働者、あるいは薄給に苦しむ労働者も、資本主義への怒りを燃やし、街頭で、地域で8学生奪還カンパを必死に訴えてください。この勢い、力が8学生の年内奪還を可能にします。革共同はその最先頭で闘います。

 青年・学生が先頭に

 すべてのみなさん。8学生を年内・即時奪還し、2010年春季ゼネストへ攻め上ろう。JR東日本の検修部門全面外注化攻撃に対して絶対阻止の一大階級決戦を爆発させよう。社保庁解体・1万人解雇攻撃を絶対にぶち破ろう。道州制=360万人解雇攻撃粉砕・改憲阻止の大攻勢に打って出よう。いまや、労働者階級が小沢・鳩山=民主党・連合政権打倒の大反撃に転じるときです。
 11月労働者集会は国際連帯闘争の新時代を切り開き、世界革命の鼓動に全参加者が奮い立ちました。民主党・連合政権を打倒するテコが労働組合をめぐる攻防にあること、国鉄1047名解雇撤回闘争を軸とする4大産別決戦の爆発に勝利の展望があることを確信し、この道を進めば絶対に勝てると勇気百倍になりました。これを引き継ぐ11月の闘いは、目の覚めるような素晴らしい勝利の大進撃をかちとっています。
 11月27日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判は暴処法弾圧を完全に粉砕する画期的勝利をかちとりました。検察によって「主犯」にデッチあげられた向山被告の無罪戦取に示されるように、検察の「共謀」立証を完全に粉砕したのです。労働運動・学生運動弾圧法である暴処法を、7被告の完黙・非転向の階級裁判を貫く原則的闘いが、プロレタリアートの正義性が、ついに打ち砕いたのです。「権力と闘っても、どうせ労働者は勝てない」と敗北主義を振りまいてきた4者4団体派など体制内勢力に路線的決着をつけたのです。この勝利が、資本と非和解で闘うどれほど多くの労働者を鼓舞激励することでしょう。階級的労働運動路線の勝利性は明らかです。
 さらに星野第2次再審闘争の大前進が開始されました。星野文昭同志と一体となった弁護団・労働者人民・革共同の星野奪還の執念が、星野同志の無実・無罪を証明する27点の新証拠を東京高裁にたたきつけたのです。階級的労働運動の力で星野同志を絶対に奪還しよう。
 重要なことは、こうした全局面で青年労働者・学生が先頭に立ち、職場生産点・学園における不屈・非妥協のあらゆる闘いを牽引し抜いていることです。今や日本と世界の学生リーダーとなった8学生を取り戻すなら、恐れるものは何もない。一発のアジテーションで数千、数万の大衆を動かす力が彼らにはあります。時代が彼らを求めています。

 教育民営化との闘い

 すべてのみなさん。大恐慌がますます深まる中、資本主義・帝国主義は新自由主義攻撃に絶望的にのめりこみ、帝国主義間争闘戦を激化させ侵略戦争・世界戦争へ向かっています。だが一方で、新自由主義攻撃と闘う国際階級闘争の胸躍る歴史的高揚期が到来しています。韓国民主労総はゼネストでイミョンバク政権打倒へ立ち上がっています。
 そして、教育の民営化に学生の怒りが爆発し、米欧の大学にストとデモの嵐が巻き起こっています。カリフォルニアでは労働者と学生が一体となって大量逮捕をものともせず実力闘争を貫いています。ドイツ・イタリアを先頭に全ヨーロッパの学生が欧州統一教育改革に反対し、「教育は売り物ではない」と叫び、ストやデモに立ち上がっています。ここに世界革命の現実性が宿っています。重要なことは8学生を先頭とする法大闘争が112名もの大量逮捕をのりこえ生み出した「教育の民営化反対」「教育・大学・未来を取り戻そう!」のスローガンが、今や国際学生運動の共通の旗となったということです。獄中の8学生こそ、この闘いの最先端を切り開いてきた世界に誇るべきリーダーです。8学生の即時奪還は民営化と闘う全世界の学生・労働者の共通の課題であり願いです。すでに世界の各地から全学連への激励・連帯の感動的なメールが続々と寄せられています。あらためて8学生年内奪還の決意を打ち固めよう。

 綱領草案が全世界へ

 すべてのみなさん。こうした闘いの前進の土台には革共同の綱領草案があります。革共同は、世界大恐慌情勢に真正面から対決する階級的労働運動の鮮烈な登場の時代にあたって、闘う労働者階級が切実に求めている世界革命を実現する党への大飛躍をかけて、綱領草案を発表しました。この綱領草案はさまざまな言語に翻訳され、インターネットを通じて全世界に伝えられ、世界中の労働者の手から手に渡り、労働者階級への衝撃的なアピールとなって全世界をかけめぐっています。革命的共産主義者同盟全国委員会が結成されて半世紀。血と汗と涙によって踏み固められた革命的共産主義運動のこの50年の道程が、ついにその輝かしい勝利を展望する決定的地点に到達しました。労働者自己解放の思想と路線を明確に打ち出し、マルクス主義の復権によって世界単一の党として革命的共産主義者同盟を建設し、日本でこそ世界革命の突破口を切り開く決意を明らかにしたのです。
 すべてのみなさん。冬期一時金カンパを「資本主義打倒すべし」の怒りをもって集中してください。8学生即時奪還の5000万カンパをすべての労働者に訴え集中してください。8学生を奪還し、10春季ゼネストへ、ともに突き進みましょう!

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週刊『前進』(2419号4面1)(2009/12/07 )

 “不採用者を排除するな”

 平口さんを先頭に年金機構労組結成を弾劾

 11月29日、日本年金機構不採用の通知を受けた自治労全国社保労組組合員・平口雅明さんを先頭に東京・全国の労組交流センター自治体労働者部会の労働者ら30人は、不採用者を排除して社保労組支部代表者会議=年金機構労組結成大会を開く自治労本部・社保労組本部に対して怒りの弾劾・宣伝行動に立った。30人は、大会が開かれる日本教育会館前で横断幕を広げ、1千人分限免職・1万人非正規職員首切り反対、新労組結成弾劾を訴えるビラまきとアジテーション、抗議申し入れ行動を行った。
 驚いたことに日本教育会館の案内板は「第3回支部代表者会議」とのみ表示されている。「自治労」「社保労組」とも「年金機構労組結成大会」とも書かれていない。自治労本部・社保労組本部は秘密裏に新労組結成大会をやろうとしていたのだ。不採用通知を受けた1千人を排除して自分たち年金機構採用予定者だけで新労組を結成する、裏切り行為を自覚してやっているのだ。また新職場では過去の違法行為や同僚の違法行為の申告が義務とされ、3%賃下げや人事評価・査定強化、諸手当・休暇大幅削減が待っている。労組幹部はこれらを丸のみし組合員に押し付けようとしている。
 この裏切りは平口さんと労組交流センターの闘う労働者の怒りに火を付けた。会場に入る組合員に「解雇者を切り捨てるのか。それが組合のやることか。解雇絶対反対で闘え!」という訴えが響き渡った。労働者・労働組合なら誰も否定できない圧倒的な正義の声だ。うなだれて会場に向かうダラ幹連中の一方で、関心を表してビラを受け取る組合員もいる。他の催しなどで会館に来た人たちも関心を示し、数十人が社保庁解体=1千人解雇絶対反対の署名をした。大恐慌・大失業時代、労働者は闘う労働組合運動を切実に求めている。この中で自治労と社保労組の幹部の屈服と転落は際立っている。
 大会が始まる前、平口さんが申し入れ行動に向かった。社保労組の幹部らは、平口さんが議場前で「不採用者を排除せず労働組合に入れろ」と申入書を読み上げ始めると、慌てて「他の客に迷惑だから静かにしろ」とわめき出し、まともな理由も言えず、力ずくで排除しようとしてきた。
 平口さんは排除策動をものともせず、断固として最後まで申入書を読み上げ、社保労組に突きつけ、受け取らせた。傍らでは自治労本部の軍司輝雄副委員長もこの一部始終を見ていた。自治労本部の指導下で不採用者を排除しているのだ。
 自治労本部・社保労組本部は小沢・鳩山=民主党・連合政権と一体であり、数百人の分限免職者が出て長期の解雇撤回闘争が起こることを恐れ、圧殺しようと躍起になっているが、いくら闘争圧殺を試みようと、首を切られる労働者の怒りと決起を抑え込むことはできない。
 連合・自治労本部・社保労組本部は鳩山政権の平野博文官房長官、長妻昭厚労相らと、分限免職者の闘いの爆発を未然に抑え込もうと連日協議してきたが、12月1日の長妻厚労相発表の処遇方針の受け入れで決着した。
 不採用通知を受けて現在再就職先が未定の約520人のうち、@懲戒処分歴がない約200人を対象に、年金機構の非常勤職員(任期1年、最大7年)として170人程度追加採用するA懲戒処分歴のある約320人を対象に、厚労省の非常勤職員(雇用期間2年3カ月)として200〜250人を公募する(民間と同列に)B22人の「ヤミ専従」経験者は応募を自粛させる――という屈服的合意だ。自治労は、政府の官民人材交流センターの求人や自治労自身による再就職あっせんで雇用確保は可能という。要するに不当な解雇と一切闘わない、闘いを見捨てるということだ。
 一方、当局との交渉で現在1万人以上いる非常勤職員の雇い止め期日が当初の12月28日から12月31日に延長された。厚生年金は継続されるが、年末雇い止め・解雇には変わりがない。
 全国の自治体労働者、社保労働者は職場で体制内指導部と対決し、「社保労組解散反対、新労組の不採用者排除弾劾、分限免職・雇い止め解雇絶対反対」の声を上げよう。解雇絶対反対闘争を組織し、国鉄1047名解雇撤回闘争に続こう。
(写真上 「不採用者を排除した新組合結成大会を許さない」労組交流センターが宣伝行動【11月29日 一ツ橋の日本教育会館前】)
(写真下 平口雅明さんが不採用者の新組合加盟を申し入れ)

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週刊『前進』(2419号4面2)(2009/12/07 )

 JPEXが完全に破産

 現場労働者の拒否で要員集まらず

 6000人解雇粉砕、民営郵政打倒へ

 セールスドライバーが不足

 郵便事業会社が日本通運との宅配便事業統合計画を撤回し、JPエクスプレス(JPEX)を清算する方向で検討していることが、11月26日の東京新聞で報じられた。報道では「郵便事業会社は、JPEXへの日通出資分を全額買い取り、いったん自社の100%子会社とする。その後、事業規模を縮小しつつ6千人いる従業員を削減。さらに人員・設備・システムをすべて吸収した上で、JPEX自体は清算する」とされている。
 JPEXの完全破産は今や不可避だ。JPEXは今年4月から9月の半年で「248億円の損失を計上。回復のメドは立っておらず、数カ月先にも資本不足に陥る恐れ」(東京)、「資金ショート(不足)が明確な状態」(産経)、統合の延期で「顧客流出が加速」(日経)であり、事実上の倒産状態だ。11月段階で各職場ではJPEXへの出向者の大半を引き揚げており、要員の面では清算の過程に入っている。
 今回の破産の原因は、現場労働者の出向拒否の抵抗闘争によって、JPEX計画の中核をなす集荷・配達・営業を担うSD(セールスドライバー)が集まらなかったことだ。これが致命傷となり、日本通運のペリカン便との統合が頓挫した。昨年10月1日の統合計画の延期の際、佐藤勉総務相が「要員問題が解消していない」ことを理由に挙げているのがそれを証明している。
 JPEXの完全破産は「郵政民営化絶対反対」「民営郵政打倒」を掲げた動労千葉派の職場での粘り強い闘いの勝利であり、それと根底で結びついた現場労働者の「東北地方だけで150人のSD不足」と言われるような、全国的で広範囲なJPEXへの出向拒否の闘いの勝利だ。
 JPEXの完全破産は会社・資本の攻撃がどんなものであろうが労働者が従わなかったら絵に描いた餅でしかないことを示している。労働者が闘えば絶対に勝てることを確信させるものだ。

 民営化の戦略的事業の失敗

 今回の勝利は郵政民営化攻撃を入り口段階で大失敗に追いやった。郵政民営化攻撃全体を破綻させる展望を手にした。動労千葉、動労水戸を先頭に、5・27被告団の闘い、社保庁労働者の闘いと並んで日帝の新自由主義攻撃を根幹で打ち砕き、4大産別決戦の大前進を切り開くものだ。
 JPEX子会社化攻撃とは、商業新聞でも「郵政民営化を象徴する案件」(東京)と指摘しているように、民営化の成否をかけた「戦略的な事業」であった。
 郵政民営化とは何なのか。「かんぽの宿」の略奪であらわとなったように、300兆円の郵貯・簡保などの郵政資産をブルジョアジーが食い物にすることであり、「利益を上げる」ことを一切の基準に、労働者に対し徹底した強労働・強搾取を進める攻撃である。「子会社化」こそその核心をなす。各部門を次から次へと分社化・子会社化し、その攻撃をとおして労働組合を体制内化させ現場労働者の抵抗をたたきつぶす。それによって非正規職化を進め長時間労働・低賃金を強制し、職場を激変させていく。
 実際JPEXでは次のように計画されていた。年間総労働時間が郵便事業会社より472時間多い最大で2680時間。「病気休暇、冬期・年始休暇はなし」「成果給を導入、定期昇給はなし」、SDには「ヤマト運輸方式の小集団活動組織」を導入し、「グループ間の競争と組織管理」を行わせる(JP労組中央本部作成の資料)。
 死滅の危機にひんする資本主義が延命するために、労働者から生きるための最低限の賃金や人間として必要なギリギリの休息時間まで奪い取り、むしり取る。これが「効率的な経営を目指す」(斎藤次郎日本郵政社長)なるものの実態であり、民営化攻撃なのだ。

 JP労組中央打倒し進撃を

 郵政民営化・JPEX子会社化攻撃の手先となり、積極的に推進してきたのがJP労組中央だ。彼らは組合綱領で「日本郵政グループの健全な発展」を目指し、「生産性運動を推進する」と会社に誓った。労働者の言葉に翻訳するなら「会社が少しでも多くもうける」ために「これまでの何倍もの密度や時間で労働者を働かせる」ということだ。その結果が郵便労働者全体の6割が非正規職という現実であり、「昼飯を食う時間もない」ほどのただ働きの横行である。さらには「自爆営業」と呼ばれる、最大で一人7千枚(35万円)もの年賀状の自腹での買い取り強制だ。
 JPEX子会社化についてはどうか。「JPEXが成長・発展できる会社となること」(第3回中央委員会議案書)、「要員確保は組合として万全を期す」(仙台大会で山口義和委員長)と積極的に推進してきたのだ。今回の事態は、JP労組中央の民営化推進路線の完全な破綻だ。JP労組中央は現場労働者の闘いで本質的に打倒された。
 「『収益性』という難しい課題を背負っている」(斎藤社長)と語っているように、資本の側はJPEXが破綻してもなお民営化の道を突き進むしかない。郵政民営化をめぐる新たな攻防が始まった。何よりもJPEXの「6千人の従業員の削減」=首切り攻撃を粉砕する闘いだ。
 JPEXへの出向拒否の闘いは、JP労組中央によって分断されてきた現場労働者が団結を取り戻しながらの闘いだった。JP労組中央やそれに付き従う支部執行部を打倒し、さらに団結を強め拡大して闘おう。この間の宣伝・扇動の前進をふまえ、組織化の闘いを推し進めよう。

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週刊『前進』(2419号4面3)(2009/12/07 )

 韓国 鉄道労組が無期限スト

 団体協約解約に怒り

 韓国労総執行部の裏切り許すな

 韓国で全国鉄道労働組合(キムギテ委員長、組合員2万4060人)が11月26日午前4時、韓国鉄道公社の一方的な団体協約解約に対し、無期限ゼネストに突入した。以来1週間、歴史的な94年6月の6日間ストを超える最長の鉄道ストが進行している。
 政府が法律で強制する「必須維持業務」の要員を確保した上での合法ストライキとして闘われているが、スト6日目の12月1日現在、旅客列車の平均運行率は60%、貨物列車に至っては20%となり、ストの威力は拡大している。
 さらに12月1日、全国輸送産業労組貨物連帯(組合員1万5000人)が鉄道ストに連帯し、鉄道貨物の代替輸送を全面拒否することを決めた。
(写真 鉄道労組スト出陣式には6000人が結集【11月26日 ソウル駅前】)

 「違法スト」規定

 イミョンバク政権は1日、政府談話を発表し、「ストは経済回復ムードに水を差し、膨大な経済的損失を招く無責任な行為」と決めつけ、「公共機関先進化(=民営化)政策に反対し、解雇者復職を求めるなど、労働組合活動の合法的な範囲を超えた違法なスト」だと言い放った。まったくふざけている!
 談話発表に先立ち同日未明、キムギテ委員長ら労組執行部15人に「業務妨害容疑」での逮捕令状が出され、龍山(ヨンサン)にある鉄道労組本部とソウル地方本部事務室などへの家宅捜索が強行された。この日は、ソウル市内で全国統合公務員労組に対する家宅捜索も強行されるなど、イミョンバク政権による卑劣な労組破壊が行われた。
 鉄道労組ストの発端は労使交渉が進行中の11月24日、鉄道公社が一方的に既存の団体協約を解約することをファックスで通告してきたことだ。
 25日、鉄道労組は緊急記者会見を行い、「鉄道労組60年の歴史上、初めての団体協約解約は労使関係自体を破綻させようとする企図だ」と弾劾し、「26日午前4時から無期限全面ストで対応する」と宣言した。キムギテ委員長は「公社側は24日午後、突然これまで要求することもなかった無争議宣言など新たな要求案を出してきた。これは事実上、労組の降伏宣言を要求することにほかならず受け入れられなかった」と経過を語り、「すでに賃金を9%削減しておきながら、会社側は追加賃金カット、年俸制および定年延長なき賃金ピーク制など、8項目にも及ぶ賃金改悪案に固執しており、ストライキで闘う以外にない」と怒りをあらわにした。
 このような団体協約の破棄は、すでに発電5社とガス公社でも相次いで強行されており、イミョンバク政権による公共部門先進化=民営化・労組破壊攻撃との激突は不可避となっていた。

 民主労組死守を

 26日にソウル駅前で6000人が結集してかちとられたゼネスト突入集会、鉄道労組は闘争決議文をつうじて「今日の私たちの闘争は鉄道労働者の血と汗、犠牲でかちとった団体協約を紙切れにすることはできないという鉄道労働者の怒りであり絶叫だ」「500人余りの鉄道労働者に対する告訴・告発と立件、解雇と懲戒でおどす鉄道公社の弾圧に対抗してきた民主労組を死守する闘いだ」と宣言した。
 鉄道スト3日目の11月28日、民主労総と韓国労総の公共部門労働者3万人余りが果川政府総合庁舎前大運動場に集まり、「イミョンバク政府の先進化政策阻止」を掲げる共同決意大会を開き、12月ゼネストへと闘いを進めることを宣言した。大会は、11月初めに共闘を宣言した公共運輸連盟(民主労総)と公共連盟(韓国労総)の初の共同集会として開催され、司会から発言者まで1対1で行われた。
 キムドファン公共運輸連盟委員長は、「政府が今度も労政交渉に出なければ、12月に両労総共同ストライキで対応していく」と発言し、ペジョングン公共連盟委員長も、「イムテヒ労働部長官が昨日、労組専従の賃金支給禁止を公共部門から始めると言ったが、私たちが実験対象なのか」と政府を糾弾した。
 鉄道労組のキムギテ委員長は「政府は働き口がなくて大騒ぎなのに、なぜストライキなのかと言うが、公共部門の働き口をなくしたのは誰だ!」と政府を弾劾した。
(写真 公共部門労働者3万人が集まり「2MB【イミョンバク】OUT」を叫んだ【11月28日 果川政府総合庁舎前】)

 12月ゼネストへ

 イミョンバク政権が来年1月1日に実施を宣言している複数労組窓口一本化・労組専従賃金禁止問題の解決をめぐり両労総の12月共同ゼネストへ闘いは進んでいた。韓国労総で11月30日午後まで進められたゼネスト投票には組合員50万人が参加し、80%がゼネスト賛成に投じた。
 しかし、30日午後、政財界と談合した韓国労総執行部は一変、突然「複数労組反対」に転換した。ゼネストで闘おうと意気上がる韓国労総組合員を裏切ったのだ。この不意打ちに怒りは一挙に噴出し、広がっている。
 時代は革命情勢だ。労働者の怒りは止められない。12月ゼネストでイミョンバク政権打倒へ!

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週刊『前進』(2419号4面4)(2009/12/07 )

 トルコ公務員労組がスト

 団交権とスト権要求し

 11月25日、トルコの公務員労組(Kamu-sen)と、公共部門労組連合(KESK)が団体交渉権とストライキ権を求めてストライキに入り、街頭デモを展開した。公務員のストライキは憲法では違法とされているが、労働者たちは警察権力の介入を粉砕して断固たるスト権要求ストを貫徹した。
 政府や既成の労組ナショナルセンターも、このストライキをやめるように激しい圧力をかけたが、公共部門の労働者たちは、この圧力を完全に跳ね返した。
 トルコ国鉄の電車は、運転手のストライキで24日夜から25日いっぱい全面ストップした。港湾と空港でも荷扱い作業が完全に停止した。病院も急患以外の受け入れを中止するストライキに突入した。
 政府は2・5%の賃上げで労働者の不満を解消しようとしたが、労働者はこんな額では到底認められないとして政府の提案を拒否した。この闘いは、これまでスト権を奪われてきた公共労働者がついに総体としてストライキ闘争に決起したものとして、画期的な地平を切り開いた。
 なお、この闘いの主軸の一つを担ったKESKは、DISK(進歩的労組連盟)とともにトルコで体制内派と闘いながら戦闘的な労働運動を展開している労働組合として知られている。
(写真 ストに決起しデモに立ったトルコの公共部門労働者。催涙ガスの一種のコショウガスを吹きかけ弾圧する警察機動隊に投石や旗ざおなどで反撃【左】。プラカードを掲げてデモ【右】)

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週刊『前進』(2419号5面1)(2009/12/07 )

 8学生奪還! 12月決戦へ

 国労5・27裁判勝利に続き法大「暴処法」弾圧打ち砕け

 「暴処法を打ち破ったぞ!」。 11月27日、東京地裁が震えた! 判決公判に結集した国労5・27臨大闘争弾圧7被告を先頭とする200人の労働者が歓呼の声をあげた。国鉄1047名解雇撤回を掲げた11・1全国労働者総決起集会5850人の団結した力が切り開いた偉大な勝利だ。闘えば勝てる! 国労5・27弾圧7被告の階級的正義をかけた闘いが東京地裁を揺るがし、暴処法を葬り去り、判決さえも団結の力でもぎりとったのだ! この勝利した力で法大弾圧8学生を即時奪還し、暴処法弾圧もろとも粉々に粉砕しよう!

 “暴処法を打ち破ったぞ!”

 5・27弾圧裁判で、検察(法大裁判とまったく同一の検事・岡本洋之だ!)が求刑した懲役刑と、JR資本による「有罪即解雇」のたくらみは粉砕された。東京地裁は、労働組合・労働運動解体法である「暴処法」をまったく適用することができず、「共謀」も認定できないところに追い込まれた。7被告の闘いは、戦前から治安維持法と一体で暴威をふるった治安弾圧法である「暴力行為等処罰法」を、階級的団結の力によって粉砕できることを満天下に証明したのだ! 
 この勝利は、国労5・27弾圧7被告が1年3カ月もの完黙非転向の獄中闘争、7年間にも及ぶ階級裁判を貫いた闘いによってかちとられた。そして、国労本部をはじめとする4者4団体の屈服・裏切りと徹底的に対決し、旧弁護団を解任し、1047名解雇撤回闘争の最先頭で闘ったこと、さらに8・30総選挙情勢に示される日本の労働者階級の最深部の怒りと結びつき、体現するものとして闘ったがゆえにもたらされた勝利だ。「絶対反対」を掲げ、労働者階級に依拠して階級裁判を闘えば、どんな弾圧も絶対に打ち破ることができる!
 この勝利は、9月に無罪判決をかちとった法大裁判と一体で闘いとられた労学連帯の勝利だ。11月派の労働者・学生、そして弁護士の闘いが東京地裁・東京地検を圧倒しているのだ!
 暴処法は絶対に粉砕できる! 11・27勝利判決で、あらためて暴処法のデタラメさがはっきりした。そもそも、“増井君への名指しの入構禁止看板を撤去した”という事実ひとつをもって、「団体もしくは多衆の威力を示し……もしくは数人で共同して……の罪を犯したるもの」を罰するとしている「暴処法」を適用すること自体が、デタラメ極まりない弾圧なのだ。
 警察・検察は、「暴処法」をもって、5月15〜16日に全国で11人を一斉に逮捕し、8人の仲間に「事情聴取」と称する団結破壊を行った。暴処法などで起訴した8人の学生には、8カ月もの勾留を続けている。国労5・27弾圧裁判の判決で示されたことは、この一つひとつの弾圧の事実が、すべて法的根拠もなく違法・無法なものであり、絶対に許せない弾圧だということだ。「暴処法」を打ち破った11・27判決によって、8人が勾留されている根拠がすべて崩れ去ったのだ。東京地裁は、今すぐ8人の学生を釈放せよ!

 全国学生の怒りを解き放て

 11・27判決の勝利を受けて、あらためてはっきりさせたい。「暴処法」弾圧を打ち破り、8学生を取戻す力はどこにあるのか?
 一つは、8学生の完黙非転向の獄中闘争、階級的裁判闘争の大前進の中にある。法大闘争の3年半の真骨頂は、112人が不当逮捕されても、全員が完黙非転向を闘い、団結を拡大している偉大な勝利の中にある。中でも、暴処法弾圧との闘いにおいて最も鋭く完全黙秘の闘いが問われた。
 06年3・14以来の弾圧、逮捕、処分への怒り、これが4・24法大解放集会1500人の結集として大爆発した。そして5・15暴処法弾圧は、世界大恐慌への突入の中で、学生があらゆる制動やブルジョアイデオロギーを粉砕し、決起を開始していることへの国家権力の恐怖の現れだった。今や日本の学生運動のリーダーである織田陽介全学連委員長および文化連盟の学生を、法大生と結合させないこと――この一点のために、あまりにもデタラメな弾圧が行われた。
 警察・検察は「暴処法」の適用で仲間を一斉に逮捕し、獄外の仲間や友人に対しては異常極まる取り調べ・事情聴取を行い、「仲間を売れ」と自白を強要した。しかし、この暴処法弾圧は、11人の完全黙秘・非転向の闘いによって、完全に粉砕された!
 徹底した学生の団結を破壊する一点に、暴処法弾圧の階級的本質があることを、団結した力で暴ききった。8学生を先頭とする完全黙秘の闘い、112人もの大量逮捕にもビクともしない法大闘争において、もはや暴処法を適用して弾圧することなど、絶対に不可能なのだ! 完黙非転向を貫いた8人の学生は、裁判闘争・獄中闘争を堂々と闘いぬき、検察、裁判所を圧倒して意気軒高と闘っている。
 二つに、“8学生の決起とキャンパスの怒りを結合させ、8学生を奪還しよう!”ということだ。法大当局は、洞口朋子さんにさらなる追加処分をかけようとしている。弾圧職員は四六時中、洞口さんの後をつけ回し、ビデオカメラを片手に処分の口実を見つけようと必死になっている。
 「処分に従え」ということは、教育の民営化の帰結であり、法大当局の「営業権」、金もうけの自由を認めろということだ。しかし、当局職員による尾行・監視に対して、怒りの一言カードが集まっている。「アカハラをやめろ!」「ストーカーは人間として最低だ!」「法大に自由を!」などの声が集まり、学生の怒りがついに頂点に達しようとしているのだ。
 洞口さんへの処分を阻止する闘いは、教育の民営化を阻止し、本来大学の主人公である学生が、キャンパスを自らの手に奪い返す闘いだ。8学生と一体の怒りで処分粉砕をかちとり、キャンパス支配権を奪い返し、法大当局を追い詰めよう! 
 09年度卒業予定者の就職内定率は62・5%だ。大恐慌の爆発で「就職氷河期」の到来が叫ばれ、学生の3人に1人は就職できない状況だ。就職できたとしても、派遣や非正規雇用だ。「もはや、こんな社会で学生は生きていけない!」。この学生の怒りと8学生の怒りは一体だ!
 ドイツで、フランスで、全世界で、教育の民営化に対して学生と労働者の闘いが大爆発している。11・1全国労働者集会で洞口さんは、「学生の生きる道は労働者と連帯して闘う中にある」と全世界の学生に鮮烈な戦闘宣言を発した。全世界の学生の怒りの最先頭に8学生は存在し、闘っているのだ。法大闘争を爆発させ、キャンパスでの力関係をひっくり返し、8学生を奪還しよう!
 三つには、8学生奪還の勝利は、11・1で示された世界の労働者階級・学生の怒りと完全に結合していく中にこそある。11・1で爆発した力のすべてを8学生奪還闘争へ転じていくことだ! 11月派の労働者階級の闘いの前進が、8学生を奪還する。11・27判決を闘いとった労働者は、動労千葉・動労水戸を先頭に検修業務の全面外注化絶対阻止へ総決起を開始している。韓国の労働者は12月ゼネストに向かって突き進んでいる。全国のキャンパス・学寮攻防が火を噴き、11月派の学生が学生大衆の怒りと結合し、300万学生の怒りを体現して、闘いは前進している。
 11・1で示された全世界の労働者階級の怒りと結合し、闘えば、暴処法弾圧など粉砕できる!
 何が何でも年内奪還をかちとろう!

 12月公判で検察立証粉砕へ

 国労5・27弾圧裁判の判決が示したことは、もはや“8学生を勾留することなど1日たりとも認められない”ということだ。「暴処法」というもはや葬り去られた法律をもって、8人の身柄を拘束する根拠など、どこにもない! 裁判所は即刻8学生を釈放せよ!
 この間の法大裁判は圧倒的に前進している。検察側証人として出廷する公安警察や法政大学総務部職員は、ほとんど裁判としてまともな証言もできず、8学生と弁護団の追及によってボロボロになっている。検察側立証は完全に破綻した。いまや登石、秋吉裁判長の訴訟指揮をぶっ飛ばし、完全に8学生と弁護団が主導権を握っている。
 12月は、暴処法裁判、4・24弾圧裁判ともに重要証人が出廷し、いよいよ山場を迎える。裁判闘争を頂点とした12月の1カ月間決戦で8学生を何が何でも取り戻そう!
その力で2010年決戦へ突進しよう!
 すべての力を8学生奪還へ! 全国声明運動の賛同数はついに5000筆を超えた。8学生の意見陳述集は労働者階級の中に感動をもって受けとめられている。年末一時金カンパ決戦と一体で、保釈金5000万円カンパ闘争に勝利しよう!
 国労5・27弾圧裁判の地平を引き継ぎ、12月裁判闘争を激しく闘いぬき、8学生を絶対に年内に奪還しよう!
 (マル学同中核派・法大支部)

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週刊『前進』(2419号5面2)(2009/12/07 )

 ドイツ紙、全学連を報道

 坂野君、法大闘争を熱く語る 

 11・1労働者集会や民主労総労働者大会、サンヨン自動車闘争を取りあげてきたドイツ『左翼新聞』が11月22日付で、第4弾として全学連へのインタビュー(11月4日に行われた)を詳細に報道した。坂野陽平委員長代行と松室しをり書記長代行が、全学連の闘いの歴史と法大闘争を身振り手振りも交えて語り、「大切なことは全世界で学生運動を巻き起こすこと」と訴えている。じつに感動的だ! 

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週刊『前進』(2419号5面3)(2009/12/07 )

 法大裁判に集まろう!

★暴処法弾圧裁判
 恩田君、増井君、織田君、内海君、新井君
第5回公判 12月7日(月)午後1時30分
第6回公判 12月25日(金)午後1時30分
★4・24集会弾圧裁判
 斎藤君、恩田君、増井君、倉岡さん、冨山君、 内海君
第5回公判 12月17日(木)午後1時30分
第6回公判 12月22日(火)午後1時30分
※東京地裁429法廷 12時半に傍聴券配布所へ

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週刊『前進』(2419号5面4)(2009/12/07 )

 仏全土で「教育改革反対」スト

 

 この間、大学占拠闘争などを続けてきたフランスで、学期明けの第1回の全国ストが爆発した。11月24日、教育関係労組の呼びかけで、サルコジ政権の教育改革に反対してほとんどすべての教育機関の労働者がストに決起した。学生もこれに合流、全国的な教育ストとなった。写真は、レンヌ市。高校生を先頭に、教育労働者、郵便労働者がデモをした。

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週刊『前進』(2419号5面5)(2009/12/07 )

 泉佐野 下地・橋下「普天間基地を関空へ」

 住民の会が先制抗議

 11月30日、橋下徹・大阪府知事は記者会見で米軍普天間基地の問題について、「政府から正式に話があれば、基本的に(関西空港への移設を)受け入れる方向で検討したい」と語った。これは下地幹郎・衆院議員(国民新党)の11・2衆院予算委発言に飛びついて、関空を米軍基地=軍事空港にすることで一切の危機を打開しようとする、とんでもない攻撃である。
 これは道州制の中心に関空を据える橋下の道州制攻撃、戦争攻撃である。民主党政権は、アジア侵略に向けて民間空港の軍事空港化を進めるために普天間問題を利用しようとしているのだ。この攻撃を絶対に許すな。関西空港の軍事基地化を絶対に許すな。普天間基地は即時全面撤去あるのみだ。自治体労働者とともに闘って粉砕しよう。
 この橋下発言に先立って11月19日午後、関西新空港絶対反対泉州住民の会は、下地議員の「普天間基地を関空に持っていけ」発言を弾劾し、また「関西空港に利子補給金160億円も税金を投入するな」と、大阪航空局、近畿財務局、大阪府に抗議申しれを行った。
 下地議員は11月2日の衆院予算委員会で「普天間基地の軍事訓練を関空に移せ。関空2期は使っていない。米軍基地に適している」と鳩山首相と岡田外相に迫ったのである。
 下地発言に対し、住民の会は「米軍基地は、沖縄にもどこにもいらないと考えている。国土交通省はどう考えているのか、反対するのか」と追及した。大阪航空局は関空課長、管理課長ら6人が出てきた。関空課長は「私も発言を聞いて、びっくりしている。米軍基地にするのは……です」と答えた。住民の会は「はっきり答えろ!」と追及したが、答えられない。われわれは怒って1時間追及した。
 大阪府はひどい対応だ。4人が出てきたが、「平時においては軍事使用しないと国が言っているので、軍事使用はないと考えている」とまともに答えようとしない。官僚答弁に終始した。住民の会は怒って1時間にわたって追及した。さらに泉州住民の会は、「関空会社への利子補給金を合計160億円も税金で出すなど絶対に認めない。銀行への利払いにわれわれの血税を使うな」と申し入れた。
 泉州住民の会はこの間、ビラや宣伝カーでこの問題を訴え、住民や労働者の怒りの声を代表して、航空局と財務省、大阪府に抗議の申し入れを行ってきた。泉州の労働者・住民はみな、関空のために泉佐野市が財政破綻し「早期健全化団体」に落ち込み、首切り・賃下げ、福祉や教育の切り捨てを強めていることに腹の底から怒っている。住民の会はこの声を代表して、闘いの先頭に立っている。
(写真 国賀祥司事務局長【泉佐野市議】を先頭に大阪航空局【手前】に申し入れ【11月19日】)

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週刊『前進』(2419号5面6)(2009/12/07 )

 国際労働運動 1月号

 民族暴動激発の中国

 世界大恐慌の中で、全世界で労働者のストライキの嵐が吹き荒れ、被抑圧民族人民の民族解放闘争が前進している。中国でも労働者のストライキが激発し、08年3月のチベットのラサ暴動、09年7月のウルムチ暴動と、民族反乱が相次いでいる。中国共産党は「国外の分裂主義分子の扇動によるもの」などと大キャンペーンし、民族的怒りが爆発したことを隠ぺいすることに必死だ。しかしこれらは全世界的な新自由主義の破綻、そのお先棒の一つを担いできた中国スターリン主義の破綻のもとで、労働者、少数民族の反乱として起きているのだ。
 第1章は、7・5ウイグル人のウルムチ暴動の背後にある90年来の中国「西部大開発」政策の持つ民族抑圧の問題を暴露する。
 第2章は、レーニン主義の全否定、特に民族自決権を否定した中国スターリン主義の民族政策の反革命性を、ウイグル民族の闘いを中心に歴史的に解明している。
 第3章は、中国の少数民族の解放の道を、この間の国際労働運動の画歴史的な前進を基礎にして提起している。
 翻訳資料は、「中国初期労働運動」(下)。1923年の京漢鉄道労働者のストライキは軍閥の2・7大虐殺により鎮圧されたが、この闘いは25年5・30上海事件と6月ゼネストへ発展していく。

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週刊『前進』(2419号6面1)(2009/12/07 )

 戸塚秀夫「試論 動力車労働組合運動の軌跡について」を弾劾する〈下〉

 「働こう運動」から「他労組解体」の白色暴力まで擁護する最悪の暴論

 大迫達志

 JR検修・構内業務全面外注化阻止の大決戦が始まった。国鉄1047名解雇撤回闘争と一体の国鉄分割・民営化をめぐる決着をかけた決戦だ。この重大時に、国鉄分割・民営化の先兵となった動労本部カクマル松崎明の所業を“旧来の労働運動からの華麗なる変身”“JR労働者の相当部分を組織する、JR総連の中心を占める新しいユニオニズム”などと絶賛する戸塚秀夫・東大名誉教授らの反階級的行為は断じて許されない。彼らはJR総連カクマル松崎明に全面協力する国鉄決戦の最悪の破壊者だ。前号に続き、今号ではファシスト労働運動路線への明示の転換点となった82〜83年動労カクマル「働こう運動」批判を中心に追撃する。

 国鉄分割・民営化とは何か カクマル松崎の反革命所業

 日帝・中曽根政権は、1987年4月1日をもって国鉄分割・民営化を強行し、JR7社の新事業体をスタートさせた。国鉄分割・民営化は、日本帝国主義の延命をかけた中曽根「戦後政治の総決算」攻撃の最大の柱だった。成田空港2期工事着工をもって農地死守・軍事空港建設阻止を闘い抜く反戦の砦=三里塚闘争を国家暴力でたたきつぶす。国鉄における戦闘的労働運動を壊滅させて総評を解散に追い込み、軍事大国化・改憲に突き進む。日本労働者階級に対してかけられたこの戦後最大の階級決戦において、動労カクマル・松崎明は中曽根に全面的に協力し、国労や動労千葉を背後から襲撃してクビを切り、ファシスト労働運動の道を突き進んだ。
 この悪行が闇に葬られることなど断じてない。動労千葉が渾身(こんしん)のストライキで国鉄1047名解雇撤回闘争を切り開き、外注化・組織破壊を阻止し、JR・カクマル結託体制を破綻に追い込んだことでカクマル松崎の大罪は暴かれ、「資本の犬」「裏切り者」として全労働者から断罪され続けているのだ。
(写真 国鉄分割・民営化を目前に、松崎は勝共連合の機関紙『世界日報』で転向を宣言【87年2月】)

 首切り3本柱にも率先協力

 国鉄分割・民営化の先兵=松崎明の反階級的大罪の第一は、何より20万人首切りのファシスト突撃隊となり、白色暴力でカクマル分子以外の組合員を解雇・退職に追い込んだことだ。
 カクマルは白色テロルで動労組織全体を抑えつけ、現場労働者の抵抗を押しつぶして、当局がうち出した大合理化計画を丸のみした。そうして意図的につくり出された「余剰人員」の対策=首切り3本柱に全面協力し、国労や動労千葉、さらには動労の一般組合員に対しても解雇・退職を強要していった。
 松崎明の反階級的大罪の第二は、闘争圧殺と国労解体、総評解体を動労の最大の組織的課題として進めたことだ。
 中曽根「戦後政治の総決算」攻撃の核心である「国労をつぶし総評を解体する」を、動労の実践的組織方針とした。当局と一体で国労や動労千葉組合員を職場から追い出し、余剰人員化することを狙った「血の入れ替え」や「業務移管」の攻撃を総力で進めた。
 国労や動労千葉が団結を維持してJR新会社に残ることが明らかとなるや、87年1月、「採用枠を削ってでも国労や動労千葉の首を切れ」と国鉄当局に申し入れ、90年3月、JR資本に対し「清算事業団の組合員を採用するな」と反革命ストの脅しまでやった。
 松崎明の反階級的大罪の第三は、「働こう運動」による労働組合運動の変質と産業報国会化を動労カクマルの組織をあげて実行したことだ。
 松崎明は、自らの転向を日帝権力に認めてもらうために、中曽根や自民党国鉄再建小委員会・三塚博や元警視総監・秦野章、勝共連合・統一協会にまでこびを売り、彼らの機関紙に何度も登場して転向宣言をくりかえす醜態をさらした。
 それは、労働組合幹部の単なる日和見主義とか自己保身ではない。動労本部カクマルは1982年1月発表の『国鉄問題に関する動労の考え方』(以下『82年・動労の考え方』)と83年1月『83年・我々の組織的課題』(以下『83年・組織的課題』)の「全組合員総学習」を水路に、自覚的なファシスト労働運動の立場に移行し、「冬の時代」論と「働こう運動」を軸に動労全体をカクマルが牛耳る産業報国会運動への転換に踏み出したのである。

 資本の突撃隊・産業報国会路線を正当化する転向理論

 戸塚秀夫は、論文のいたるところで「国鉄の分割・民営化の過程での動労の方針転換について、それを許しがたい『裏切り』として非難する言説が、現在でもなお根強く存在している」とした上で、「そこにいたる歴史過程を運動主体の思想と行動に即して検討することが必要」だと、歴史を得手勝手に描いて松崎明を賛美する反労働者的思想を満展開させている。
 戸塚論文は「政府・自民党の『国鉄改革』に向けての合理化計画が単なる国鉄赤字問題への取り組みというより、国鉄労働者の組合運動への壊滅的な攻撃として企画されている。ではどうしたらよいか」として『82年・動労の考え方』から次のように引用する。
 「形成されつつある『民衆の敵=国鉄』の重包囲網を打破するためには、国鉄の『社会的必要論』を全面化させ……検修外注化についてはそれを阻止するためにも『働き度を高める』ことを通してわれわれ自身の『職場と仕事とそして生活』を守るたたかいを追求」
 「『働かないから赤字がでる。赤字だからつぶす』という論理に対して『ならば働くから列車を増発させ、赤字を克服せよ』と突き付けてたたかう……」
 何が「たたかう」なのか。まさに「働こう運動」ではないか。戸塚が何を言おうと、労働者としての階級意識を解体する企業防衛主義の思想、戦前の産業報国会とまったく同じである。
 国鉄分割・民営化攻撃とは、日帝こそが行き詰まり打倒されるべき情勢の到来であった。高まる労働者の怒りをプロレタリア革命に向かって解き放つことが問われた。それが国鉄決戦だった。
 そのとき動労カクマルは、敵の攻撃の大きさだけを強調して「闘う主体の条件がない」とする「冬の時代」論を満展開させ、敗北主義をあおり立て、闘争の放棄を宣言し、国鉄の経営再建に協力する立場に階級移行し、「働き度を高める」ことを実践方針化した。攻撃に立ち向かうのではなく、奴隷頭となって組合員を「働こう運動」に駆りたてたのだ。
 しかし動労千葉は、賃労働者と資本との絶対的非和解性に踏まえた絶対反対論と階級的団結論の立場に立ち、反合理化・運転保安闘争を武器に、職場生産点から戦後史上最大の決戦に立ちあがっていった。国労も現場労働者の怒りをこめて闘いに立ちあがった。
 その対極で「働こう運動」を路線化した動労本部カクマルは、臨調・自民党・国鉄当局の先兵となって「緊急措置11項目」を受け入れた。「『既得権を守る』から『世論を変える』へ」と称し、ブルトレ手当の返済に応じ、無料乗車証制度廃止、現場協議制度改悪を認め、「57・11(82年11月)ダイ改」大合理化を受け入れ、「国労ストは挑発者」として国鉄労働者の闘いにことごとく敵対していった。
 ストライキに敵対しこれを圧殺することがどれほど犯罪的か。「裏切り者」として断罪され、たたきだされて当然だ。動労本部カクマルは全国の国鉄労働者から「資本の軍門に下った動労」と弾劾を浴び、動労内部でも組合員の脱退が続出し、大動揺を引き起こした。

 闘いを継続する労組を罵倒「国労解体」を公然と掲げる

 こうした動労「働こう運動」をめぐる危機の中で、カクマル松崎がうち出したのが『83年・組織的課題』であった。
 カクマルは、「働こう運動」が大打撃を受けた理由が、カクマル自身とその「働こう運動」の裏切り性、反労働者性にあるにもかかわらず、いっさいを「国労の非」にすりかえ、国労攻撃を全面化していった。
 『83年・組織的課題』は、「国労は当局の労務政策転換の背後にあるものを分析できない」「国家意志がわかってない」「現実は(産業報国連盟が発足した)1938年に妥当する」「総評労働運動の崩壊と国労における労働運動の終えん」であるとし、「59・2(84年2月)ダイ改」の貨物大合理化を丸ごと受け入れ「効率化の土俵に乗って職場と仕事を守る」であり、「当局の具体的構想を先取りして要求を押し込む」とまで言い放った。そして現場組合員からわきあがる不満や疑問に対して、「機関あるいは役員に問いかけ、追及したり突き上げるなどは許されない……『職場と仕事を守る』ために『自分はどうすべきか』を各組合員が自らの問題として自覚せよ」と脅し、結論は、闘いを継続する他労組を蹴落とすこと、すなわち「国労解体」を実践方針としたのだ。
 戸塚論文は、こうしたカクマル松崎明のファシスト流の論理すり替えを受け入れ、動労本部の裏切りを賛美し、松崎と一緒になって国労指導部を非難してみせる。
 戸塚は、「当局が提案してきた三本柱を逆手にとって組合自身が余剰人員問題の解決」に乗り出した「動労のこの時期の『剰員整理』への取り組みは、日本だけでなく世界の労働運動史でもまれな実験であった」とほめそやし、「動労独自の職域拡大」「動労の提言運動」を賛美し、結論として「ともあれ、余剰人員問題への対応において、動労と国労は明確に異なる取り組みをした。そのいずれが有効であったか。歴史はすでに回答を与えている」とまで言ってのけた。
 現実はどうか。20万人の首切りと200人を超える自殺者である。これをどう説明するのか。断じて怒りを抑えることはできない。エセ学者の虚飾は地に落ちた。

 自治労本部も「対案路線」に

 注目すべきは、1987年当時から、自治労本部が中心になり、戸塚秀夫らとともに、イギリス・ブレア労働党政権の「第3の道」=ニューレイバー主義の基礎となった「ルーカスプラン」を日本に輸入する作業を進めてきたことである。
 「ルーカスプラン」とは、国家・資本との熾烈な闘争の中で生み出された敗北主義のもとで、「反合理化闘争の伝統的な『条件闘争路線』と『絶対反対路線』に対する第3の新しい潮流」「労働者の対案戦略運動」と称する「働こう運動」路線である。戸塚らと自治労本部は、国鉄分割・民営化をめぐる決戦の最中に「それまでの合理化絶対反対闘争ではない対案戦略運動」にとびつき、カクマル松崎の「動力車労働組合運動」に行き着いたのだと臆面もなく語っている。
 この間の自治労本部の転向・転落は見事にこれに対応する。90年代の橋本行革・民営化攻撃に対し、自治労本部は「職の確立」を唱え、「現業活性化」という自治労版「働こう運動」を現場に押しつけた。そして道州制・民営化攻撃の開始にあたって「攻めの民営化対応」と称する労働組合の側からの積極的な協力方針に踏み切り、ついに09年8月熊本大会において「道州制参加・民営化推進・北朝鮮弾劾」を大会方針として決定した。われわれが、「動労カクマルがとった道を自治労本部がくり返そうとしている」と批判してきたことが現実となったのだ。
 「国労の二の舞いになるな」を合言葉に、戸塚らと資本主義救済の体制内労働運動の道を探ってきた自治労本部は、いまや小沢・鳩山=民主党・連合政権の与党勢力として、道州制・民営化推進のファシスト労働運動の道を突き進もうとしている。われわれはこれを断じて許さない。国鉄決戦を基軸に4大産別決戦に総決起し、JR・カクマル結託体制もろとも小沢・鳩山政権打倒に突き進もうではないか。
 動労千葉の反合理化・運転保安闘争の路線こそ労働者階級の勝利の道だ。国鉄分割・民営化をめぐる階級決戦の決着をかけ、10春闘の爆発へ総決起しよう!

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週刊『前進』(2419号6面2)(2009/12/07 )

 部落解放東日本共闘会議第17回総会へ

 “勝利は労働者の階級的団結に”

 プロレタリア世界革命の実現へむけ国際連帯の発展を切り開いた11月労働者集会に、差別分断を打ち破り部落の労働者が労組のもとに団結して全国から結集した。これに恐怖し憎悪を募らせた旧与田派残党が牛耳る全国連中央は11月20日、西郡・杉並・品川の3支部役員10人を除名し支部を解体すると通告してきた。断じて許さない! 
12月20日に開催される東日本解放共闘総会を成功させ、3支部を守りともに闘おう。総会の案内を掲載します。(編集局)
     ◇

 総会のご案内

 部落解放東日本共闘会議に結集するみなさん。日頃のご奮闘に心より敬意を表します。
 部落解放東日本共闘会議は、来たる12月20日(日)、第17回総会を開催し、階級的部落解放闘争の前進、第3次狭山再審勝利にむけた解放共闘の陣形を作っていきたいと思います。
 大恐慌は底なしに深まっています。労働者に解雇、賃下げ、倒産の嵐が襲いかかり、戦争・大失業、民営化・労組破壊攻撃がいよいよ強まっています。11・1労働者集会5850人の結集・訪韓闘争は、国際連帯の闘いが本格的に発展する大きな地平を切り開きました。国鉄1047名解雇撤回闘争が世界の労働者の結集軸となりました。民族・国家・国境による分断を打ち破り、まさに「万国の労働者は団結せよ!」を実感するものでした。
 11・8沖縄では「基地撤去・辺野古新基地建設反対」を掲げて、2万1000人が立ちあがり、鳩山民主党・連合政権への怒りが爆発し、日米安保体制を揺るがそうとしています。
 解放共闘は、10・24狭山集会で「3者協議」路線粉砕、第3次再審勝利を絶対勝ち取る決意を固めました。一切の勝利は労働者の階級的団結にあります。この1年間の闘いで体制内派、融和主義的部落解放運動と闘い抜いて、階級的部落解放闘争、狭山闘争(論)を勝ち取りました。
 今第17回総会は、09年の闘いの総括を鮮明にさせ、1047名闘争の勝利と一体で部落解放闘争を闘う、職場・地域で団結を作り出す2010年の方針を打ち立てます。12月「3者協議」による狭山闘争つぶし攻撃、狭山再審棄却情勢のまっただ中での総会です。国家権力と非妥協に闘う石川一雄さんと共に事実調べをもぎり取り、第3次再審勝利闘争に決起しましょう。
 解放共闘のみなさん、第17回総会へのご参加を心から訴え、ご案内とします。
 2009年11月25日
 部落解放東日本共闘会議
 事務局長 井上 長治
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 総会要綱
日時 12月20日(日)
 午後1時開場 午後1時30分開会
場所 渋谷勤労福祉会館 第1洋室
     (渋谷区神南1−19−8)
《主催》部落解放東日本共闘会議
    台東区元浅草2−4−10−5F
    電話03−3845−7461

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週刊『前進』(2419号6面3)(2009/12/07 )

 天野美恵さんを偲ぶ会

 元行動隊長天野豊徳さん“1年に260日のゲリラ戦”

 11月29日、山梨県忍野村忍草で、10月4日に逝去された天野美恵さんを偲(しの)ぶ会が行われた。
 天野美恵さんは1960年の安保闘争のただ中で結成された北富士忍草母の会の事務局長を結成時から務めた。以来、専従活動家として北富士演習場撤去・入会地奪還のために闘い続けた。
 黙祷(もくとう)の後、婦人民主クラブ全国協議会代表の西村綾子さんが「1972年の相模原闘争の翌年に北富士に伺い、40年ともに闘ってきた。婦民全国協結成大会もここでやった。美恵さんはじめ北富士のお母さんから多くのことを学んだ。遺志を継いで戦争のない社会を築きたい」とあいさつ。これを受け、元忍草入会組合行動隊長の天野豊徳さんが「入会闘争の最盛期、ゲリラに入った数は1年365日のうち260回におよんだ」と、入会闘争の歴史を語った。
 革共同山梨県委員会の同志は「政府の農民切り捨て政策の中で、農民として北富士闘争の継続は困難になったが、美恵さんの闘いの精神は日本の労働者・学生に受け継がれている。故人に恥じない闘いをやっていく」と決意を語った。
 三里塚芝山連合空港反対同盟事務局長・北原鉱治さんのメッセージに続いて、動労千葉の繁沢敬一副委員長が「動労千葉も若い労働者を獲得し、車両検修のほとんどを外注化する大攻撃との決戦に入っている。来年3月へ組織の総力をあげて粉砕する」と発言した。
 天野美恵さんと40年来のつきあいとなる婦民全国協の丹治孝子さんが献杯の音頭を取り、革命的共産主義者同盟の鎌田雅志同志が「私たちは、11・1の勝利で美恵さんを追悼しようと誓った。国際連帯、労働者の階級的団結の広がりを伝えたい。北富士闘争と美恵さんの闘いは革共同にとってかけがえのない闘いだ。私の世代が全責任をとり闘いを牽引(けんいん)していく」と決意を述べた。
 全学連委員長代行・坂野陽平君は「天野美恵さんを知らない世代の学生が膨大に立ち上がっていることを知らせたい。全学連は世界の学生運動を束ねていく」と訴え、獄中の織田陽介委員長の手紙を読み上げた。
 北富士忍草母の会の天野正子さんと大森ふじえさんが、母の会のゲリラ闘争のエピソードを紹介、「一人、二人では勝てない。民衆は団結しないと勝てない」と団結を呼びかけた。
 「忍草入会の歌」(天野重知・元忍草入会組合長作詞の武田節替え歌)、「インターナショナル」を斉唱し、会を締めくくった。
 (投稿・織田三郎)
(写真 天野美恵さんの闘魂を受け継ごうと決意を新たにした偲ぶ会【11月29日 山梨県忍野村】)

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週刊『前進』(2419号6面4)(2009/12/07 )

日誌'09 2009年 11月25日〜12月1日

 鳩山が沖縄知事と会談/沖縄集団自決「検定意見撤回せず」

●事業仕分け、基地労働者給与見直し
 政府の行政刷新会議は、事業仕分け作業で、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の半分以上を占める基地労働者給与(要求額1233億円)について「同一地域の同職種とのバランスを考慮すべきだ」として、地域ごとに給与水準を見直すよう求めた。基地労働者の給与は、ほぼ全国同一のため、米軍基地が集中する沖縄県などで、周辺の民間給与水準に比べ高額との指摘が出された。(26日)
●松沢発言撤回要求し決議 名護市議会は、臨時会で11月上旬の訪米中に米軍普天間飛行場移設について、日米合意通りに名護市辺野古への移設推進を求める発言をした神奈川県の松沢知事に対し、発言撤回と市民や県民への謝罪を求める意見書を全会一致で可決した。(26日)
●三連協、嘉手納統合案に反対声明
沖縄市、北谷町、嘉手納町の各首長と議会議長で組織される「嘉手納飛行場に関する連絡協議会」(三連協)は、米軍普天間飛行場の嘉手納基地統合案に反対する声明を発表。岡田外相の普天間の嘉手納統合案の発言撤回などを求めた。(27日)
●自民県連、結論先送りなら「県外」
 自民党の沖縄県連は、県議会内で議員総会を開き、米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、年内に政府方針が示されない場合、県内移設を容認してきた立場を転換し、県外移設要求に踏み込む方針を全会一致で決めた。(27日)
●沖縄知事と鳩山が極秘面談 沖縄県の仲井真知事が首相公邸で鳩山首相と極秘に面談した。米軍普天間飛行場移設問題を含む、沖縄の米軍基地の負担軽減を求めた。知事と首相の面談は、鳩山政権発足後初めて。(27日)
●政党ビラ配布、最高裁で有罪 政党のビラ配布で東京都葛飾区のマンションに立ち入ったことで住居侵入に問われた住職の上告審判決があった。最高裁は「表現の自由とは言っても、管理組合の意思に反して立ち入ることは管理権を侵害する」と述べて上告を棄却。1審・東京地裁の無罪判決を破棄して罰金5万円を言い渡した2審・東京高裁判決が確定した。(30日)
●普天間結論、時期は示さず 沖縄県の仲井真知事が鳩山首相と官邸で会談し、米軍普天間飛行場移設など基地問題の解決を求めた。知事によると、双方とも県民の多数が普天間の県外移設を求めているという県内世論への認識は共有したが、辺野古を含む県内移設については言及しなかったという。また、鳩山首相は結論を出す時期についても明示しなかった。(30日)
●「検定意見撤回しない」 高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述で、日本軍が「強制した」との文言が削除・修正された問題で、「9・29沖縄県民大会決議を実現させる会」が川端文部科学相と面談、06年度の教科書検定意見の撤回と記述回復を求めた。川端は「政治介入があったという点は私の立場として分からない部分が多く、判断できない」と述べ、検定意見撤回や記述回復をしない意向を示した。(30日)

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週刊『前進』(2419号7面1)(2009/12/07 )

 小沢・鳩山政権と全面対決を

 「事業仕分け」と大量首切り

 「国民運動」で労組破壊狙う 全国の職場から大反乱を!

 政権交代から3カ月。積もりに積もった労働者の怒りが自民党政権を崩壊させたにもかかわらず、代わって登場した鳩山政権が、新自由主義攻撃をますますエスカレートさせて労働者に襲いかかっている。今号では、「ムダ根絶」を掲げて公務員労働者への激しいバッシングを大キャンペーンした「事業仕分け」の本性と、鳩山政権の中枢を握る小沢一郎の主張が著書『日本改造計画』(1993年)以来一貫していることの2点を暴く。小沢・鳩山=民主党・連合政権を打倒しよう。
(写真 「事業仕分け」最終日、会場を埋めた傍聴者)

 新自由主義貫き1.6兆円削減

 11月11〜27日にかけて9日間、行政刷新会議が「事業仕分け」を行った。「95兆円に膨れ上がった来年度概算要求を絞り込む」として行われた事業仕分けの本質は、「国民運動」として新自由主義攻撃を貫徹していく究極の民営化攻撃であり、公務員労働者の大量首切りと賃下げ・労組破壊、道州制攻撃だ。
 「仕分け対象」とされた449事業のうち「要求どおり」と結論づけられたのは15事業のみ、それ以外は軒並み「廃止」「予算計上見送り」「予算縮減」「地方へ移管」に「仕分け」された。その結果、概算要求から約7400億円が削減可能とし、公益法人や独立行政法人の基金のうち約8400億円を国庫へ返納するよう要求。しかし合わせて約1兆6千億円で、「削減目標3兆円」の約半額にとどまった。
 そのため鳩山政権は、今回対象とならなかった事業約330件や基金約100件にも「横串」を刺し(仕分けと同じ視点や手法で横断的に見直すこと)、3兆円に近づけたいとしている。
 事業仕分けは、「国民動員」の大パフォーマンスとして行われた。会場に来た傍聴希望者は9日間で2万人近く、インターネットでの同時中継へのアクセス数はのべ270万と宣伝された。
 1980年代の国鉄分割・民営化攻撃では、マスコミ総動員の「ヤミ手当・カラ出張」キャンペーンで国鉄労働者をバッシングした。これを今回はさらに大がかりに、あたかも「国民運動」のごとくに展開。事業仕分けそのものには、日本共産党を含め全政党が賛成だ。その圧力で、廃止や見直し対象とされた職場の労働者の抵抗を封じようとしているのだ。

 賃下げ・非正規化を徹底推進

 「仕分け対象」とされた事業は、道州制に向けた地方移管、公務員労働者の大量首切りのために選別したものばかりだ。当然、防衛費の根幹や原発政策などは対象外だ。
 「仕分け」の手法は乱暴極まりない。1事業にかける時間は55分間。各省担当者が5分程度で事業を説明、財務省主計局が3分程度で査定担当の考え方を表明、とりまとめ役の議員が2分程度で論点を提示。質疑・議論を40分ほど行った後、仕分け人のコメントを回収し、2分程度で評決結果を出す。5分間の休憩を置き、次の事業の仕分けに入る。まるでベルトコンベヤーのようだった。
 以下、見直し対象とされた事業を見てみる。
 ◆防衛省「駐留軍等労働者の給与水準」(概算要求は1233億円)
 「思いやり予算(=在日米軍駐留経費)」全体には手をつけず、基地労働者の賃金だけを対象とした。仕分け人からは「沖縄と神奈川という両極にある地域における実情が反映されていない」「沖縄の現実的レベルに近づける努力が必要」などの声が続き、結論は「見直し」。沖縄の基地労働者の大幅賃下げ、全駐労つぶしの攻撃だ。
 ◆文部科学省「義務教育費国庫負担金」(概算要求は1兆6379億円)
 小中学校で働く教育労働者の賃金の国庫負担金は、小泉「三位一体改革」で06年度に2分の1から3分の1に切り下げられた。同時に総額裁量制(国庫負担金総額の枠内で、賃金水準と教職員数を都道府県が決定できる仕組み)が導入され、教育労働者の非正規化が一気に進められてきた。
 今回の仕分けでは「国と地方の関係の整理などが必要」とされたが、10年度の概算要求は見直さないことになった。しかし、このテーマを俎上(そじょう)にのせたこと自身が大攻撃だ。
 民主党のマニフェストは「国庫負担金の一括交付金化」を掲げ、原口総務相は「11年度から実施する」と主張している。民主党政権下で国庫負担金制度が廃止されることは確定的だ。歯止めない賃下げ、ほんの少数の正規教員以外のほとんどを非正規教員化することを狙っているのだ。
 ◆厚生労働省「保育所運営費負担金」(概算要求は3621億円)
 市町村の民間保育所の経費の2分の1を国が負担してきたものだが、結論は「見直し」。とりまとめコメントでは「(保育料の)基準表の見直しについても検討を」「応能負担を求める」とされた。民営化に拍車をかけ、労働者の首を切り、強労働と賃下げを強いるものだ。

 連合とり込み政労資一体で

 行政刷新会議は、首相の鳩山が議長を務め、副議長は行政刷新相の仙谷、議員には副総理の菅、内閣官房長官の平野、財務相の藤井、総務相の原口らが並ぶ。事務局長には全国の自治体で「事業仕分け」を行ってきたシンクタンク「構想日本」代表の加藤秀樹を任命。財界代表として京セラ名誉会長・稲盛、キッコーマン代表取締役会長CEO・茂木が入り、さらに連合前事務局長の草野(自動車総連出身)も参加した、文字どおり「政労資一体」体制だ。
 民間から登用された「仕分け人」は、このかん事業仕分けを実施した自治体の首長経験者ら。さらに神奈川県の自治体職員6人(小田原市・厚木市が各2人、三浦市・横須賀市が各1人)は、自らの自治体だけでなく他の自治体の仕分けにも参加し、「事業仕分けのエキスパート」と呼ばれる。杉並区和田中学で東京初の民間人校長になり「夜スペ」などの民営化を推進し、橋下に大阪府教育委員会特別顧問に抜擢された藤原和博や、新自由主義攻撃を推し進める大学教授やエコノミストが参加した。
 事業仕分けは「構想日本」の提唱により02年以降、計44自治体で実施されてきた。彼らは「行財政改革の切り札」「戦後60年目の大掃除」と位置づけている(以下の引用は構想日本編著『行政の事業仕分け』より)。
 「最も重要なことは、『事業仕分け』を行った県や市の担当職員が自分たちの仕事の中身についてよく考えるようになったことです」「内部の人が本気になって改革に向けた努力をすることが一番です。『事業仕分け』はその点、内部からの改革の大きいきっかけを作ります」
 そして和歌山県の事業仕分けを、「一番の特色は、仕分けの効果を職員数で表す、つまり県の仕事の見直し(廃止、縮小、ものによっては拡充)に応じて事業ごとの定数を見直し組織体制も改正する点」「廃止や縮小の規模が大きいものであれば……全体としての余剰人員数を出すことになるのでしょう。……『事業仕分け』→『公務員の人員見直し』という正しいアプローチです」と持ち上げている。
 自治体職員を担い手とし、労働者性を奪い尽くし、「ムダ」とされた事業を担う労働者の首を労働者自身の手で切らせるという、究極の団結破壊、組合破壊攻撃だ。
 国に先駆けて事業仕分けを実施してきたのは、横浜の前市長・中田宏ら、いずれも道州制推進者だ。橋下も来月から大阪府で事業仕分けを始めることを決めた。

 渦巻く怒り解き放って闘おう!

 事業仕分けで廃止や見直しと判定された職場では、すでに「自分たちは分限解雇されるのか?」「組合方針で民主党に投票した結果がこれか!」という怒りが渦巻いている。全国のいたる職場で、公務員労働者の生き死にをかけた大反乱が巻き起こることは必至だ。
 核心は、闘う労働組合をよみがえらせることである。これまでの自治体での事業仕分けはみな、組合が積極的に協力したから成り立ってきたのだ。労働者の団結にかけきって闘えば、こんな破綻的な攻撃は絶対に打ち破ることができる。国鉄分割・民営化攻撃以来の動労千葉の闘いはそのことを示している。
 今こそ国鉄1047名解雇撤回闘争とJR外注化阻止決戦の爆発が決定的だ。資本・当局の手先に成り果てた労組幹部と大激突し、「道州制・民営化絶対反対! 小沢・鳩山=民主党・連合政権打倒!」を掲げて、全職場で反乱を巻き起こそう!
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 「事業仕分け」結果の例
◆防衛省「駐留軍等労働者の給与水準」(概算要求は1233億円)
 結論は「見直し」
 →沖縄の基地労働者の大幅賃下げ、全駐労つぶしを狙う
◆文部科学省「義務教育費国庫負担金」(概算要求は1兆6379億円)
 小中学校で働く教育労働者の賃金の国庫負担金。結論は「国と地方の関係の整理などが必要」
(10年度の概算要求は見直さない)
 →国庫負担金制度そのものの廃止、大量解雇と賃下げ、非正規教員づくり
◆厚生労働省「保育所運営費負担金」(概算要求は3621億円)
 市町村の民間保育所の経費の2分の1を国が負担してきたもの。結論は「見直し」
 →保育所の民営化に拍車をかける

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週刊『前進』(2419号7面2)(2009/12/07 )

 小沢『日本改造計画』を斬る

 90年湾岸危機敗北を教訓に強権支配と戦争国家めざす

 自民党支配の歴史的崩壊の日となった8・30総選挙と鳩山政権の成立から3カ月。鳩山政権の実際上の最高権力者は鳩山由紀夫ではなく、小沢一郎・民主党幹事長であることがはっきりしてきた。重要な政策は小沢を抜きでは決まらない。鳩山政権下で小沢路線が貫徹されているのだ。小沢路線は1993年の自著『日本改造計画』で明らかにされている。小沢は今日もこの路線を貫き、実現しようとしているのだ。小沢こそ最大の打倒対象だ。権力を握った小沢の狙いを明らかにしたい。
(写真 10月15日、民主党本部で小沢一郎が連合の古賀会長ら三役と会談)

 鳩山政権の実権を握る小沢

 民主党政権は小沢・鳩山=連合政権である。「小沢グループ」は民主党内で最大の政治グループであり、固い結束力をもって小沢の指示どおりに一糸乱れず行動する。多数決原理主義者の小沢は全員一致のための意見調整や合意形成を追求しない。多数派の小沢の意思どおりに決定され、少数派は不満を残す。
 小沢は、鳩山が議長を務める行政刷新会議の事業仕分けのメンバーとしていったん選ばれた1年生議員14人を引き揚げさせた。鳩山が仕分け議員32人を官邸に集めて激励した10月22日、小沢は「人選に問題がある」「来週から新人研修がある」と言って新人14人を辞めさせた。
 そもそも「選挙に強い」小沢なくして8・30の民主党大勝も起こり得なかった。鳩山が政府首班に納まっていられるのも、小沢が党を一手に引き受けているからだ。
 だが小沢の議会制圧はまだ道半ばだ。小沢は、小沢グループをとおして民主党=政権党を自由に動かし、民主党をとおして政治(議会と内閣)を動かそうとしている。それを実現するための最大の課題が来年の参院選での民主党の勝利だ。参院でも単独過半数を獲得し(現在の109議席に14議席を上積みする)、民主党政権に盤石の基盤を与えることだ。
 そうすれば、国民新党や社民党との連立協議など一切不要になり、民主党路線、いや小沢路線を思いどおりに貫徹することができる。小沢・鳩山は、数の力であらゆる反動立法を通そうとするだろう。その一端は11月下旬の議会運営でも示された。政府提出の12法案を成立させるため、自公欠席のまま委員会での強行採決を繰り返した(9法案が成立)。
 参院選で民主党が圧勝したらこの比ではない。200〜300人の小沢グループの力で「一党独裁」「小沢独裁」体制を敷けるのだ。

 首相の独裁権力確立が目標

 ここで想起されるのが『日本改造計画』だ。この中で小沢は「強固な権力基盤」を基にして「55年体制の下での因習や悪習によって事実上封じこめられてきた首相の権力を解き放つ」「明確な使命感と権力意思を持ち、かつ勇気を持って実行していく政治家が首相の座にすわるべきだ。そのリーダーシップを支えるために制度の改革が必要である」と述べた。首相が強力なリーダーシップ=独裁権力を振るうのが本来の議院内閣制だということだ。
 その政治制度改革として小沢は「首相官邸機能の強化」「与党と内閣の一体化」「小選挙区制」などを挙げた。このうち小選挙区制は、細川政権のもと94年3月に法制化された。06年9・11「郵政選挙」では小泉・自民党が大勝した。今年8・30総選挙では民主党が大勝した。2大政党のうち一方が大勝し、中間政党、小政党がますます没落する。現に、社会党は解散に追い込まれ、社民党も極小化した。
 これは小沢の信条である多数決原理の貫徹につながる。小沢は『日本改造計画』で、自社による55年体制が少数意見の尊重と満場一致、合意形成を追求する「ぬるま湯」的体質に安住したため、90年湾岸危機に対応できなかったと総括し、特に「国連平和協力法案」が少数派の社会党の反対で成立しなかったことを嘆いている。
 首相官邸機能の強化も、首相官邸の新築、内閣府設置、首相補佐官導入などが自民党政権下で一定程度実現された。
 鳩山政権下での当面する焦点は「与党と内閣の一体化」だ。これは「政治主導」「脱官僚依存」などをスローガンに進められている。鳩山内閣では、国家戦略室(国家戦略局にする予定)、行政刷新会議が新設された。大臣に加えて副大臣、政務官の「政務三役」が各省庁を牛耳る体制を強めた。政策決定を内閣に一元化し、議員立法をやめ、官僚による政策関与を封じるのが狙いだ。政府に入る与党議員を百数十人に増やす。そこから取り残された政府外議員はただの投票マシンと化す。結局、与党が内閣―政府省庁を一元的に支配する。
 小沢は10月、官僚答弁の撤廃などを盛り込んだ国会改革案(国会法改正案)を提起した。「与党と内閣の一体化」の一環だ。小沢は「国会論戦を政治家同士のものにする」ためだと正当化を図る。前述のように、90年湾岸危機の際、自民党幹事長だった小沢が成立を目指した国連平和協力法案は、内閣法制局が自衛隊の派遣条件を厳しくとらえる憲法解釈を曲げなかったため、廃案に追い込まれた。小沢は『日本改造計画』で「政府を支えるべき内閣法制局が従来の見解に固執して政府答弁が食い違ったことがある。本来の権力のあり方からすれば無責任のそしりを免れない」と言っている。官僚は政府・与党のロボットでなければならないというわけだ。
 98年秋、小沢が自由党党首として小渕政権と連立合意した際も、法制局長官を含む官僚答弁の禁止を政策合意の筆頭に挙げた。自民党は「法制局長官の国会出席は必要だ」と譲らず、「政府補佐人」とすることで小沢と妥協した。
 官僚答弁の禁止を執拗(しつよう)に追求する小沢・民主党の狙いは明らかだ。安保問題でのこれまでの政府見解、憲法解釈の限界を突破し、集団的自衛権行使、恒常的海外派兵、武力行使への道を開くことであり、改憲情勢をつくり出すことだ。

 小沢「普通の国」路線粉砕を

 『日本改造計画』発表から16年以上たつが、ここで小沢が述べた問題意識、課題を小沢は今日も基本的に維持している。
 一つは90年湾岸危機の教訓だ。日帝は米帝に次ぐ経済大国でありながら、「一国平和主義」に陥り、湾岸戦争に軍隊を送ることができず、国際的に脱落した。日帝は争闘戦での敗退、存亡の危機に立たされた。自民党は戦争の危機にまったく対応できなかったのだ。これを突破しなければならないというのが小沢の一貫した問題意識だ。
 二つは「普通の国」路線だ。日帝はもはや日米同盟に依存して安保・防衛問題から自由に自国の経済的繁栄を追求するだけでは済まされない、「国際貢献」を果たして大国としての責任を全うできる「普通の国」にならなければならない、と主張する。
 その実現条件は、@首相のリーダーシップの確立、与党と内閣の一体化、小選挙区制、A国連中心主義、日米安保体制の相対化、憲法9条改悪、自衛隊の「国連待機軍」化、B規制緩和・民営化、地方分権・300基礎自治体=道州制だ。これらを実現・整備し国のかたちを変えなければならない、という。
 小沢の目指す「普通の国」とは、首相の独裁権力のもと、自衛隊が軍隊として日米安保に頼らず日本を防衛し、海外派兵と武力行使を自由にやる国家だ。これを実現するのが小沢・民主党の役割なのである。
 小沢路線と労働者階級―階級的労働運動との激突は不可避だ。だが民主党と鳩山政権は連合の組織力に大きく依存している。ここに弱点がある。連合の実体は労働組合、労働者だ。労働者階級は怒りを爆発させ決起を開始している。連合=帝国主義的労働運動を内側から覆し、階級的労働運動を大きく前進させ、小沢路線を打ち砕こう。

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週刊『前進』(2419号7面3)(2009/12/07 )

 1500点の押収物を奪還!

 前進社不当捜索を許さない

 10月23日に警視庁が強行した前進社への不当捜索時に「公安条例違反」容疑で強奪した約1500点の押収物すべてについて、12月1日に還付をかちとった。
 警視庁公安1課は、前進社から大量のフロッピーディスク、MO、CD、DVD、USBメモリーなどのあらゆる記録媒体を、立会人の内容確認も拒み、抗議すれば片っ端から排除して強奪していった。そのために、通常の2倍の機動隊員を動員して、暴力的で違法な押収を強行した。
 警視庁による無法な捜索・押収に対して、革共同はただちに10月28日に準抗告をたたきつけ、霞が関で「無法・不当な捜索・押収を許すな」と訴えた。ところが許せないことに、11月11日、東京地裁刑事21部(半田靖史裁判長)は準抗告を棄却した。他方、マイク・トラメガ・全学連旗・のぼりの押収は違法とした。しかし、こんな反動決定に屈する革共同ではない。11月17日、準抗告棄却決定に対して特別抗告をたたきつけた。
 第一に、「公安条例違反」容疑自身がデッチあげだ。10・16法大解放闘争で法大当局に怒りの声を上げたことが「無届け集会」にあたり、公安条例違反だというのだ。しかも、こんなデッチあげ容疑を口実に前進社を家宅捜索することは絶対に許されない。同容疑で逮捕された法大生ら2学生は、起訴を粉砕して奪還をかちとった。
 第二に、「(本多)著作選」「写真ファイル」「060615法政大」などのタイトルのついたCDやDVD、フロッピーディスクやメモリーなどの記録媒体1223点を、中身を確認することもせずに、文字どおり手当たり次第に無差別に強奪した。こんな無差別・網羅的な押収は断じて許されない。押収品目録では「フロッピーディスク127枚」「MO94枚」「DVD―RAM33枚」などと記載されているが、これでは押収物の特定もできない。これが強奪でなくて何なのか。
 警視庁公安部は、革共同に対する情報収集や、『前進』『共産主義者』の発行の妨害を狙い、記録媒体を集中的に押収したのだ。11・1労働者集会つぶしのために機関紙・誌の発刊停止を狙ったのだ。こんな破防法型弾圧は断じて許せない。
 われわれはこの大弾圧を打ち破って『前進』を断固発行し、、11・1労働者集会の歴史的成功をかちとり、さらにデジタル版『本多延嘉著作選』の刊行を実現した。
 われわれの激しい怒りに追い詰められた警視庁公安部は、押収物をすべて還付せざるを得なかったのだ。
 しかし、押収物を返還したからといって、われわれの怒りはおさまらない。今回の警視庁公安による、国家権力を笠に着た政治的強盗行為を断じて許さない。その犯罪性を告発し、全労働者階級の怒りを組織して、さらに闘いぬく決意だ。
(写真 10月23日に強行された前進社への不当捜索時に強奪された押収物を、12月1日に奪還)

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週刊『前進』(2419号8面1)(2009/12/07 )

 第2次再審請求書を提出

 新たな証拠が27点

 “無実で35年投獄許すな”

(写真 〈右〉11・28全国集会で新証拠を解説する岩井弁護士。〈左〉壇上に勢ぞろいした全国の星野救援会)
 11月27日、星野文昭同志と再審弁護団は、東京高裁に第2次再審請求書を提出した。午前10時過ぎ、霞が関の弁護士会館に家族と弁護団、「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」の35人が集まった。
 星野暁子さん、星野誉夫さんらが持つ横断幕を先頭に東京高裁に向かった。各地の会から集まった人たちが、ゼッケンを着け、「星野のぼり」を掲げて続く。「第2次再審に勝利し、星野さんを取り戻そう」という決意が、どの顔にもあふれている。
 家族と弁護団が再審請求書と証拠の分厚いつづりを提出した。「新証拠」の筆頭(弁第1号証)は、この日のために星野文昭同志が渾身(こんしん)の力を込めて書き上げた「陳述書」だ。
 11時から司法記者クラブで記者会見が行われた。鈴木達夫弁護団長が司会をし、家族の訴えの後、岩井信弁護士が再審内容を説明した。昨年7月14日の特別抗告棄却から1年半、弁護団と事務局が必死の努力で集めてきた新証拠27点に基づく再審請求は、記者たちを圧倒した。特に新発見のカラー写真は注目を集め、予定の時間を超えて質疑が続いた。
 弁護士会館ロビーに移動して報告が行われた。鈴木弁護士は「今日、ついに第2次再審請求書を提出した。最高裁決定は、事実認定で破産している。こんなもので35年間も星野さんを投獄していることは絶対に許せない。明日の集会を成功させて、必ず星野さんを取り戻そう」と訴えた。
 星野暁子さんは、全国から集まってくれたことに感謝し、「再審の実現で文昭を取り戻したい」と力を込めた。
(写真〈下〉11・27第2次再審請求=東京高裁前。)

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週刊『前進』(2419号8面2)(2009/12/07 )

 星野再審勝利へ総決起

 11・28全国集会に430人

 “労働者の力で即時釈放を”

 11月28日、「獄中35年星野文昭さんを自由に/第2次再審勝利/11・28全国集会」が、東京・牛込箪笥区民ホールで開かれ、全国から430人が集まった。
 昨年7月14日、最高裁は特別抗告を棄却した。これに対する怒りをバネに獄中の星野文昭同志と弁護団、家族、全国の星野の会が一丸となって第2次再審請求を準備してきた。集会前日の27日、ついに再審請求を提出した。全国集会は再審勝利・即時釈放の実現へ、熱気あふれる総決起の場となった。
 司会は、大阪・取り戻す会の小久保喜行さんと埼玉・越谷実行委員会の斎藤知春さんが務めた。開会あいさつに立った杉並・救う会の狩野満男さんが「星野さんを取り戻そうと本気になって考える労働組合が登場した。きょうは新たな陣形での出発の日。第2次再審勝利への総決起集会にしよう」と呼びかけた。
 「無実のゴビンダさんを支える会」の花島晟信さんが連帯を表明し、法大裁判で無罪をかちとった中島宏明君が獄中の8学生奪還をアピールした。「星野さんを取り戻そう」という組合決議を上げた、群馬合同労組、東京西部ユニオンの労働者が発言した。国労5・27臨大闘争弾圧裁判被告団長の富田益行さんが「暴処法」を打ち破った11・27判決を報告し、大きな拍手を浴びた。富田さんは昨年、徳島刑務所で星野さんに面会している。
 奥深山幸男さん免訴の訴えが山本志都弁護士から行われ、「免訴を実現する会」の2人が横断幕を広げてアピールした。
(写真 「勝利できる」と確信した全国集会【11月28日 東京】)

 労働者を軸に広範な戦線を

 星野全国再審連絡会議事務局の金山克巳さんが全国総会報告に立った。金山さんは「6月の全国総会の目標はただ一つ。最高裁決定を打ち破って星野さんを本当に取り戻すにはどう闘うか、だった。熱烈で真剣な討論を行って、労働者の闘いを軸に広範な戦線をつくっていこうと決めた。それが7項目の確認だ」と報告した。「勝利の展望はある」とし、その根拠として、@無期という365日の転向攻撃に不屈非転向で闘う星野さんの存在と闘い、A大恐慌に突入した今日の情勢、B11月労働者集会に見られる新たな闘いの高揚を挙げた。「松川裁判闘争の教訓に学び、われわれ一人ひとりが星野になって、全国を回ろう。その力をもってすれば再審の門を開くことができる」と訴えた。
 休憩時間のロビーは人であふれた。壁には、星野同志の水彩画5点が展示されている。星野カレンターや詩画集、奥深山農園の野菜が販売され、「東京拘置所にいる8学生を年内に奪還しよう」と訴える学生たちの声が響いていた。
 「第2次再審請求への歩み」のビデオ上映後、星野同志のメッセージを、群馬・実現する会の事務局で、高崎経済大学時代からの友人である伊藤成雄さんが代読した。
 「権力が私たちの未来を閉ざすために、私の無実を百も承知で無期を強いる、35年にもわたって投獄していることへの労働者人民全体の怒りを解き放って、自らとすべての人々の人間的解放と一体に、再審無罪、即時釈放を、心を一つにしてかちとりましょう」と呼びかける長文のメッセージのキーワードは、「怒りを怒りとして解き放とう!」だ。星野同志は、「労働者こそ、世の中を変える力を持っています。……不正議や理不尽への怒りが怒りとなり、正義が正義として実現される時代に、無実の私に対する無期への怒りが怒りとなり、再審無罪、即時釈放が労働者人民の力で実現する」と言い切っている。

 新証拠27点を弁護団が報告

 再審弁護団の鈴木達夫弁護団長は、大恐慌の深まりという今日の情勢から星野闘争勝利を展望し、第2次再審請求書が星野同志、弁護団、事務局を始めとした総力で作られたことを強調した。和久田修弁護士は、中村巡査への攻撃が1分以内であることを厳密に解明し、権力のストーリーが崩壊していることを明らかにした。岩井信弁護士は映像を使い、確定判決の証拠構造を踏まえて新証拠の意義を明確にした。特に、新証拠27点の核心をなすカラー写真の発見は、全参加者の再審勝利への確信を深めるものとなった。
 第2次再審費用を集めようと東京東部・取り戻す会の戸村裕実さんが訴えた。続いて、全国各地から参加した星野の会がステージに並んだ。今年新たに結成された大阪、茨城、千葉、福島、新潟、埼玉・越谷の代表が決意を語った。昨年面会拒否にあった沖縄の和田邦子さんが、「11月に星野文昭さんと会ってきました! 大勝利です!」と元気に報告した。
 家族から星野暁子さん(妻)、星野修三さん(弟)、星野誉夫さん(従兄)が発言した。暁子さんは自作の詩を朗読した後、「労働運動と市民運動の結合した力で、星野の運動を全国全世界に広げたい。”星野さんのように闘おう。星野さんとともに闘おう”――このあり方を豊かにつくっていきましょう」と呼びかけた。
 最後に沖縄から駆けつけた共同代表の平良修さんが「前途に光を見いだした全国総会です。正義が光を放つためには行動しなければならない。執念をもって鉄の扉をこじ開けよう」と閉会のあいさつを行った。2010年の再審無罪・即時釈放へ、歴史的な全国集会がかちとられた。

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週刊『前進』(2419号8面3)(2009/12/07 )

 星野文昭同志からのメッセージ

 “怒りを怒りとして解き放とう!”

 昨日、私と弁護団は、第2次再審請求を申し立て、私も陳述書を提出しました。
 権力が私たちの未来を閉ざすために、私の無実を百も承知で無期を強いる、35年にもわたって投獄していることへの労働者人民全体の怒りを解き放って、自らとすべての人々の人間的解放と一体に、再審無罪、即時釈放を、心を一つにしてかちとりましょう。
 今日の社会で、生産を担い、社会を動かしているがゆえに、社会を変える力を持つ労働者が、自らの職場、闘いの場で、すべての人民が、自らの生活の場、闘いの場で、星野を取り組み広げることを心から訴えます。
     ☆
 労働者こそ、世の中を変える力を持っています。……不正義や理不尽への怒りが怒りとなり、正義が正義として実現される時代に、無実の私に対する無期への怒りが怒りとなり、再審無罪、即時釈放が労働者人民の力で実現する、そのことが可能になっていると思います。
 怒りが怒りとして向かうべき者に解き放たれないと、私たち労働者人民自身の世の中を変える力をどこまでも信頼する立場に立たないと、私たちの怒り、闘いは腐ります。権力に屈服することで、対立・分断が持ち込まれます。
 当時(71年)、沖縄の本土復帰の希求をかなえるかのような形をとって、沖縄に永久に基地を集中しようという沖縄返還協定の批准が、沖縄・本土の労働者人民の反対を封殺して強行採決されようとしていました。これに対して、沖縄では島ぐるみの反対闘争が闘われ、それに応えて、本土・首都で私たち労働者人民が一つになって、強行採決を阻止することが歴史的責務として問われました。
     ☆
 その責務を果たすために、私たちの呼びかけに応えて渋谷に結集した万余の人々と合流し闘うことが、当日の私たちの目的でした。それを、当時の自民党政府は国家権力を乱用し、警察機動隊の力を使って、集会・デモと、一切の行動を禁圧しようとしました。……私たちの行く手を阻む阻止線など、あらゆる妨害をはね返して、渋谷に結集した人々と合流し闘うこと、それが、リーダーの一人としての私の当日の役割でした。
 そのために、私は、阻止線を突破した後、バラバラになったデモ隊を再結集し、再出発するために……十字路に終始いました。
 終始十字路にいた私が、囲みの中にいた、殴打していた、火炎びん投てきの命令をしたということは、絶対にありえません。そんな現実にはありえない、まったくの虚構によって無期を強いられていることは、天人ともにけっして許されるものではありません。私は、一点の曇りもなく無実です。
     ☆
 資本・権力が今、民営化による大量首切り・賃下げ・労働強化、非正規化と労組破壊−改憲・戦争に延命の命運をかけ、20年不屈に闘う1047名解雇撤回闘争を軸にした闘いにかちぬくことが、その闘いの勝利を切り開くし、その闘いと結ぶことで、三里塚、沖縄はじめすべての闘い、そして星野の勝利があります。
 このような闘いを圧殺するために、私の無実を百も承知で無期を強い、35年間も投獄していることへの根底的怒りを解き放ち、無実への百パーセントの確信をもって、再審無罪、即時釈放をかちとりましょう。それを全労働者人民、全社会的な闘いとして勝利し、合流をかちとりましょう。
 ともに闘い、ともに全未来を獲得しましょう。〈抜粋〉

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週刊『前進』(2419号8面4)(2009/12/07 )

団結ひろば 投稿コーナー 団結ひろば 投稿コーナー

 社会保険事務所ビラ入れにその場で署名 東京 立崎 治

 日本年金機構の新労組結成を前に、社保事務所への朝ビラに行った。
 7時半少し前に40歳位の男性が出勤。ドアの鍵が掛かっていて通用口の前に立っていた。署名用紙を挟んだビラを持って声をかけたところ、すぐに署名してくれた。
 「首切り攻撃に反対して闘いましょう」と言うと、「処分歴とかはないけれど、自分は中途採用なので社員には採用されない。1月1日以降はパートなら採用するということだけど、辞める。10万ちょっとの収入なら他の仕事を探した方がいいと思ったから。頑張ってください」と言う。署名用紙のアピール欄には「再雇用すべきである」と書かれていた。
 さらに30代の男性が出勤。声をかけると「中に入ってから来ます」と言って入って行き、しばらくして署名を持ってきて「頑張ってください」と言って中に戻った。
 8時を過ぎて正面玄関が開いたので二手に分かれてビラ入れ。8時40分ころビラを受け取って1階事務室に入った女性が数分後に出てきて、「この署名はどうすればいいんですか?」と聞いてきたので、その場で署名してもらった。
 「民営化で首を切るのは許せないですよね。こういう時こそ組合が先頭で闘う必要があると思っています」と話すと、「本当にそうです。国鉄の時はひどかったですね。以前は別の所で働いていたんですが、国鉄の物販でよく訪ねて来ていました」と言う。動労千葉について話すと、「知っています。一番戦闘的な組合ですね」とうれしそうに言った。後日、署名のお礼の手紙と『前進』、動労千葉物販カタログなどを郵送した。
 闘う組合があれば労働者は立ち上がる。そう確信したビラ入れだった。「辞めずに闘おう!」

 映画「沈まぬ太陽」に描かれた闘いと安全 広島市 F

 「沈まぬ太陽」を観た。御巣鷹山の日航機墜落事故がいかにして起こったのか。映画の中では「国民航空」という設定でフィクションということになっているが、明らかに日航機の墜落事故を題材にしている。
 強い労働組合をつぶすために委員長の渡辺謙を海外に左遷し、会社側は第二組合を育成し、一組にいた者が仲間を裏切るのか、それとも閑職に追いやられるかという中で、御巣鷹山の事故は起こるべくして起きていったのである。国鉄分割・民営化の中で、尼崎事故が起こるべくして起きていったのと構図が非常によく似ているのではないかと思った。
 この映画は最後の字幕で「あらゆる交通機関の安全を願います」としめくくってあった。私は動労千葉の物資販売を今回初めて職場で取り組んでみたが、まさに「闘いなくして安全なし」のスローガンはそのとおりと映画を見てあらためて思った。
 また一人の人間の生き方として、労働組合のあり方として、けっして仲間を裏切らないという生き方はしんどいかもしれないが、それしかないと思う。映画の中では仲間を裏切った者の末路も描かれていて非常にリアルにとらえることができた。

 きっと我々労働者は戦う時期にきている 40代・男性

 民主党による政権交代後も依然として続く景気の悪化・雇用情勢の悪化――。私はシステム屋で製造業ではありませんが、同様に仕事が無く、失業6カ月になります。
 貯金の類も使い尽くし年を越せるかどうか不安な毎日を送っております。
 国鉄崩壊後、すべての労働者の先陣を切って戦う労組が無くなり、労働者派遣法など、後にさまざまな問題を残す悪法が制定されました。
 また、インターネット普及によって組合活動の陳腐化、阻害化は拡大し、今や労組=ダサい存在にまでなっているような気がしてなりません。
 派遣会社による登録派遣の紹介ページをご覧下さい。ひどい条件、安い賃金、派遣社員のみの労働環境――。過去の奴隷制度に近づいているとしか思えません。
 きっと我々労働者は、再び戦わなければいけない時期にきていると思います。
 自由化・規制緩和は一部の資本にのみ多大な利益をもたらし、社会格差を生みました。格差=差別ではないでしょうか?
 歴史が教えてくれているように、戦いは繰り返さなければならないのです。しかし、団結・連帯することを忘れた現代の労働者は戦えるのだろうか?
〔「戦えます。団結して闘いましょう」編集局〕

 青森で核に反撃する労組への出発点築く W

 11月22日、青森市で行われた核燃反対の秋の共同行動に参加した。「六ケ所断層はある」と題した渡辺満久・東洋大教授の講演は衝撃だった。再処理工場周辺一帯にたわんだ地層があり、地下の逆断層の存在を明示するという内容。
 翌23日、六ケ所現地での露頭観察会で地層が幾層も海岸方向に向かって傾いているのを現認した。長大な大陸棚外縁断層の延長にこの六ケ所活断層が存在し、再処理工場の下にまで伸びている可能性が強いという。
 M(マグニチュード)8級の地震が予想される活断層の上に再処理工場が建設されている。だが、日本原燃は「耐震性は確保されている」として本格稼働を強行しようとしている。労働者はこんなことを絶対に許さない。核燃は即時解体のみだ!
 夜の反戦反核学習会では、「世界恐慌情勢における日本の核武装」をテーマに吉田義久さん(核問題研究情報センター代表)が、労働運動と革命の視座から戦争と核の問題を提起した。
 これを受けて活発な意見交換が行われた。「核と労働者は絶対に非和解。現場の労働者とともに全国の人と連帯し、核燃をなくしていきたい」「労働者は民営化と六ケ所再処理・核燃を止める力をもっている。六ケ所の労働者とつながり、反戦反核を闘っていきたい」と地元労働者。「再処理工場への多重派遣問題は許せない。六ケ所も非正規も国策。六ケ所は日本の労働者が置かれている実情そのもの」「核燃・原発の労働者は獲得する対象。正規・非正規の分断を克服していかねば」と青森に駆けつけた労働者。
 核に反撃する労働組合をつくる出発点が、日帝核武装阻止の最前線・青森で築かれた。

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