ZENSHIN 2010/10/04(No2458 p08)

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第2458号の目次

鉄道運輸機構訴訟を闘いぬき、JR東日本本社前で「解雇を撤回せよ」「不当労働行為の責任をとれ」と抗議のシュプレヒコール(9月28日 新宿駅南口)

1面の画像
(1面)
10・10三里塚から11月へ
排外主義・侵略戦争と対決し国際反戦闘争を創造しよう
職場・地域に国鉄全国運動を
記事を読む  
鉄道運輸機構訴訟 “解雇撤回まで闘いぬく”
原告・弁護団が意見を陳述(9月28日)
記事を読む  
前進速報版から 記事を読む  
(2面)
解雇撤回・JR体制打倒へ決戦に突入
動労千葉定期大会 12月ダイ改へストを配置  外注化阻止へ臨戦態勢築く(9月26、27日)
記事を読む  
鉄運訴訟報告集会 国鉄闘争の飛躍的発展へ  11月1万人への熱意みなぎる(9月28日) 記事を読む  
茨城 “労働組合の復権を”  動労水戸を先頭に国鉄集会(9月23日) 記事を読む  
JR東弾劾で本社前行動(9月28日) 記事を読む  
(3面)
豊中市職8月攻防の総括<下>
保育新システム導入阻止―2012年決戦に先制突入(革共同豊能地区委員会)
記事を読む  
八尾北労組大会 医療センター売却・民営化阻止の地平守り  新成長戦略と闘う方針確立
11・7集会―11・10裁判へ(投稿/八尾北医療センター労組員・青木麻季)(9月27日)
記事を読む  
国境を越えた労働者の団結で排外主義・国家主義と闘おう
釣魚台は日清戦争で日帝が略奪
記事を読む  
【集会要項】 10・6八尾市役所包囲行動 記事を読む  
(4面)
11・7日比谷に1万人大結集を  動労千葉・田中委員長が訴え
大恐慌と戦争に立ち向かう新たな労働運動登場させよう
国鉄闘争全国運動で勝負しよう
記事を読む  
(5面)
原告の陳述が法廷を圧倒 鉄道運輸機構訴訟
屈辱的和解は断固拒否した  解雇撤回・JR復帰へ闘う
小玉忠憲さんの更新意見(要旨)(9月28日)
記事を読む  
新刊紹介 国際労働運動 11月号  侵略戦争へ進む日帝 記事を読む  
(6面)
10・10三里塚へ熱気  市東さんを迎え群馬集会
9・26「農地守る会」に加入相次ぐ(9月26日)
記事を読む  
11・5現闘本部裁判へ  東京高裁 事実調べ打ち切り許すな 記事を読む  
市東さんの陳述 9・10農地裁判
農地は私たち農民の命だ 農にまさる「公共」はない(9月10日)
記事を読む  
9・25横須賀 青年労働者に11月訴え  基地・戦争への怒りと合流(9月25日) 記事を読む  
職場からの報告
労組青年部の怒りと団結の力で雇い止め解雇を撤回させたぞ!
首都圏・A病院労組青年部 白銀義雄
記事を読む  
日誌 2010年 9月22日〜28日
中国がレアアースを禁輸/日米外相会談「釣魚台は安保対象」
記事を読む  
(7面)
裁判員制度を今こそ廃止へ  10・20東京集会に結集を
検察の大犯罪に断を下そう!
記事を読む  
戦争と改憲を狙う菅政権の辺野古新基地建設粉砕せよ
自衛隊の南西諸島配備も画策
記事を読む  
(8面)
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
マルクス主義学習講座  『共産党宣言』をとらえ返す(中の続)
共産主義は特別の運動ではなく労働者の階級的利害を貫くこと
記事を読む  
法大弾圧裁判  5・28「暴行」デッチあげ
管理権と称し暴行  清宮前総務部長が証言 「新井君を実力排除」(9月22日)
記事を読む  
フランス全土で300万人がスト(9月23日) 記事を読む  
日程 前進社不当捜索国賠訴訟 記事を読む  

週刊『前進』(2458号1面1)(2010/10/04 )

 10・10三里塚から11月へ

 排外主義・侵略戦争と対決し国際反戦闘争を創造しよう

 職場・地域に国鉄全国運動を

 中国領・釣魚台で海保が軍事力行使

 歴史の巨大な転換点を迎えている。内外階級情勢はいよいよ重大だ。世界大恐慌は、金融大恐慌から全産業での実体的崩落へ、さらに世界各国の国家財政の破綻、保護主義の激化と通貨・為替戦争の激化へと、底なしの情勢に突入しつつある。
 この大恐慌情勢のもとで日本帝国主義は、歴史的にも地理的にも中国領である釣魚台(ちょうぎょだい、「尖閣諸島」)での海上保安庁の侵略軍事行動という戦争挑発に踏み切った。中国漁船長の釈放をめぐり、日本共産党スターリン主義を含む全政党とマスコミが「売国だ」「弱腰だ」「土下座外交だ」と、対中国の排外主義・国家主義の大合唱を行っている。
 しかし問題は、この日中の戦争的緊張激化情勢に対し、われわれ労働者階級の敵と味方をはっきりさせることだ。すべての職場や産別、国境を越えて、労働者はひとつに団結し、自らの解放と世界革命勝利へ闘うことのできる単一の革命的な階級である。
 この労働者の国際的団結と国際反戦闘争の巨大な創造・復権こそが、排外主義・国家主義の大洪水を粉砕し、敵権力と資本による分断を打ち砕いて、帝国主義の侵略と戦争を阻止できる唯一で最大の力なのである。
 国鉄1047名解雇撤回闘争をめぐる4・9政治和解の大屈服と大反動は、権力・資本の軍門に下るばかりか、現実には帝国主義の戦争にも率先して協力する地獄の道だ。今こそ11・7全国労働者総決起集会(日比谷野音)の大成功に人生のすべてをかけよう。労働者の激しい怒りをストレートに組織し、結集させよう。国鉄闘争全国運動を全力で発展させ、階級的団結をよみがえらせ、労働組合運動の再生をかけて、11・7の歴史的成功をかちとろう。
 三里塚闘争は巨大な反戦闘争だ。10・10三里塚全国集会に大結集し、そこから青年労働者・学生を先頭に一個の巨大な反戦政治闘争、革命的な国際連帯闘争として11・7大集会をかちとろう。

 11・7集会へ火を噴く闘い

 闘いは激しい攻防に入っている。さらに大胆にどん欲に突き進もう。
 国鉄闘争全国運動が発展し、各地で力強い闘いが始まっている。9・28鉄道運輸機構訴訟控訴審の再開裁判闘争が歴史的に打ち抜かれた。大法廷を傍聴者が埋める中、原告の闘争団員・小玉忠憲さんが、国鉄1047名の怒りのすべてを体現して、分割・民営化への階級的で根源的な怒りをたたきつけた。
 9月26〜27日には動労千葉が第39回定期大会をかちとり、12月ダイ改−外注化阻止闘争をストを構えて全力で闘い、組織拡大を総括軸に前進する方針を決定した。そして動労千葉争議団の仲間が「屈辱的な和解は絶対にいやだ。労働者としての誇りがあるから闘える」と、国鉄闘争全国運動推進へ檄を飛ばした。
 田中委員長は1年間の闘いを次のように総括した。「1047名闘争の4・9政治和解で動労千葉はどうするのかが問われた。日本の労働者の未来をかけ闘う決意を固めた。全国運動を開始する中で、全国にともに闘う同志が多数存在することが分かった。検修業務の外注化4月実施を阻止したわれわれは、分割・民営化と闘う時の決意をJR以降も保ち闘い続けている。絶対にあきらめない。11・7集会の大結集をかちとろう」
 そこには、平成採や非正規労働者の過酷な労働と労務支配への怒りが必ず闘いに合流してくるという不動の確信がある。
 全国各地で青年労働者が職場闘争の先頭に立ち、解雇や賃下げ、合理化攻撃と真っ向から対決し、資本や体制内労組幹部の攻撃をぶっ飛ばしている。攻撃は激しいが、JRや郵政の現実を見れば、敵の方が危機はより深く、破綻的なのだ。
 原子力空母ジョージ・ワシントン横須賀母港化2周年抗議の9・25横須賀闘争では、労組青年部の労働者が次々と11・7集会の賛同に応じた。街頭では右翼・国家権力の妨害と介入を粉砕して大討論となり、集会参加の表明が続いている。
 学生戦線は法大を先頭に新学期キャンパスを反戦政治闘争の戦場にして11月へ突き進んでいる。
 勝負は、すべての闘いを11・7労働者集会へとひとつに結びつけることだ。あと1カ月をとことん闘いぬき、細流を集めて大河へ、1万人結集へ攻め上ろう。

 労働者への無限の信頼に立って闘う

 大恐慌と侵略戦争・世界戦争の危機の切迫は、ブルジョア支配の破綻と崩壊を生み出し、職場・生産点を中心に闘いが爆発する政治空間をつくり出している。労働者階級への限りない信頼があれば、闘いと組織化の芽が必ず見えてくる。ますます時代認識が決定的だ。
 大恐慌下の為替戦争の激化と円高にあえぐ日帝の財政赤字は1千兆円を超え、賃下げ・解雇と非正規雇用化の嵐が吹き荒れている。大量の失業者と5千万人の貧困層を生み出している米帝では、オバマが提唱していた医療保険にも入れない人が1年間で500万人近くも増えている。
 菅政権が日本経団連や連合と一体となって推進する「新成長戦略」で真っ先に着手しているのが、消費税を始めとした大増税策動と法人税の実効税率の引き下げだ。他方、この半年で生活保護受給者が10万人も増え、200万人に達する。菅政権は何よりもブルジョアジー救済政権なのだ。
 菅の言う「雇用の創出」の中身は、公務員の身分保障をなくし、360万人を解雇・非正規職化し、それによって全労働者の雇用・年金・医療などすべてを崩壊させることだ。大阪地検特捜部の証拠改ざん事件が示すように権力の組織的犯罪と腐敗も極まる。さらに水道、新幹線、原発などのパッケージ輸出は新たなアジア侵略であり、帝国主義間・大国間の世界再分割戦そのものだ。
 これに対し、労働組合の現実はどうか。これと闘う労働組合があるか? 動労千葉がいる。国鉄闘争全国運動がある。
 資本や政府の手先と化した労組幹部をぶっ飛ばし、全国運動を水路に職場・地域に労働組合運動・大衆運動を一からつくり出そう。4・9政治和解の「労働者は闘っても勝てない」「二度と争わない」という奴隷の思想の強制に対し、絶対にひるまない路線と団結がある限り勝てる。国鉄分割・民営化がもたらした新自由主義と闘わなければ青年労働者・学生は生きられない。団結して闘えば展望が開けるのだ。

 三里塚・沖縄闘争の勝利へ

 日帝・菅政権は、中国漁船の拘束と船長の長期勾留という形で、中国領・釣魚台への軍事侵略に踏み出した。日清戦争で略奪した釣魚台を「日本固有の領土」と強弁する排外主義・国家主義の洪水となっている。
 「日本の主権を守れ」「中国に屈するな」「核武装もせよ」などの大合唱は、中国と戦争を構えよということだ。事態は一気に日中戦争開戦前夜に引き戻された様相だ。これこそ大恐慌下で激化する帝国主義間・大国間の資源・領土略奪戦であり、「東アジア共同体」の正体だ。
 これは、安保・沖縄闘争の圧殺を狙った絶望的な攻撃でもある。この中での北中城村議選での宮城盛光さんの勝利は決定的だった。普天間基地即時撤去・辺野古新基地建設阻止へ、「日帝の釣魚台侵略反対! 安保粉砕・基地撤去!」を訴えて闘おう。沖縄闘争と三里塚闘争の存在こそ、危機にあえぐ日帝のアキレス腱(けん)だ。
 労働者の国際的団結で排外主義と戦争に対決し、10・10三里塚から11・7労働者集会へ猛進撃しよう。さらに11月ソウルG20と横浜APEC粉砕の反戦政治闘争を闘い抜こう。

 職場・大学・街頭で10月の大攻勢を!

 職場にうず巻く労働者の怒りを糧に、全国各地の闘いをバネに、11・7集会の大成功へ、職場・大学・街頭から10月大攻勢を巻き起こそう! 勝負は国鉄闘争全国運動とただひたむきなオルグ、組織戦にある。
 労働者は団結して闘うことで信じられないほどの力を発揮する。職場の同僚との団結が日常的で決定的な土台だ。同時に職場・産別を超えて、全労働者の団結をめざした時にこそ、最も生き生きと闘える。職場権力という生産過程をも握る闘いは、ブルジョア政治支配打倒の闘いと直接に結びつく時に勝利する。
 階級として「起きあがり、身を伸ばすことができる」と感じた時、自己解放のエネルギーが爆発する。11・7集会1万人結集の力は、10万人、100万人となり、歴史を動かす巨大な力になる。
 職場や大学を変え、この我慢ならない社会を変える力はどこにあるか?それは労働者・学生一人ひとりの中にある。労働者の団結が戦争を阻み、労働者間の競争と分断を打破する。教育も医療も福祉も環境もすべてを奪い返す。この闘いは国際的にも急速に拡大する。この確信に燃え闘おう。
 菅政権や資本の先兵に転落した者たちとの党派闘争を勝ち抜こう。「公務員・正社員=悪者」論を粉砕しよう。自治労の徳永委員長の「正規・非正規の賃金シェア」発言は、国鉄分割・民営化時のJR総連カクマル松崎の論理とうり二つだ。絶対に粉砕しよう。
 4・9政治和解との闘いは現在進行形だ。この中に「勝利に向かっての試練」があり、新自由主義を打ち破る本物の労働者党と労働組合運動をつくる闘いへの挑戦がある。国際的に求められているのは、怒りを階級的団結へとまとめる時代認識と路線と組織だ。革共同の『綱領草案』をどん欲に読み、主体化し、組織建設と世界革命勝利へ突き進もう。
 11・7集会のチケット販売、賛同署名の拡大、さらに物販と国鉄闘争全国運動・動労千葉を支援する会の会員組織化へ、全国運動の新パンフを武器に、職場・大学・街頭でひたすら闘い抜こう。10・10三里塚闘争から11・7大結集へ大驀進(ばくしん)しよう。

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週刊『前進』(2458号1面2)(2010/10/04 )

 鉄道運輸機構訴訟 “解雇撤回まで闘いぬく”

 原告・弁護団が意見を陳述

 鉄道運輸機構訴訟の控訴審再開第1回目の裁判が9月28日、東京高裁第14民事部(西岡清一郎裁判長)で開かれた。国鉄1047名闘争の解体を策した4・9政治和解を拒否し、あくまで解雇撤回を貫く国労闘争団員による裁判闘争が、ついに本格的に始まった。
 この日の裁判では、陪席裁判官の異動に伴う更新手続きが行われ、原告の秋田闘争団・小玉忠憲さんと弁護団が更新意見の陳述に立った。大法廷を埋める傍聴者を前に展開された意見陳述は、被告の鉄道運輸機構と裁判官を圧倒した。
 小玉さんは冒頭、4・9政治解決案に基づき4者4団体が6月28日に最高裁で屈辱的和解に応じて訴訟を取り下げたことを弾劾し、「私はとうてい納得できず、和解に応じることを拒否しました。私は、本訴訟を断固として継続し、解雇撤回をかちとるまで闘いぬきます」と宣言した。
 そして、和解を拒否した理由を述べる形で国鉄分割・民営化を全面的に批判、この攻撃に屈した国労本部ら4者4団体の裏切りを粉砕し、勝利するまで闘いぬく不動の決意を表明した。(5面に更新意見の要旨を紹介)
 弁護団は、原告の請求をすべて棄却した一審判決を根本的に批判した。
 主任代理人の藤田正人弁護士がまず、本訴訟は4・9政治和解を突き破り、国鉄闘争全国運動を軸に階級的労働運動を復権させる重要な闘いの一環であると、その歴史的な意義を明らかにした。
 また、国鉄改革法は国鉄労働運動解体のために制定された違憲の立法だと声を強め、同法の違憲性を否定した一審判決を怒りを込めて弾劾した。
 さらに、JR東日本の採用候補者名簿に当初は小玉さんの名前が載せられていたにもかかわらず、「国労・動労千葉組合員は首にしろ」という鉄道労連(現JR総連)の突き上げを受けて国鉄当局が急きょ設定した「6カ月以上または2回以上の停職処分を受けた者は採用しない」という基準により名簿から削除された事実を暴き出した。国鉄分割・民営化が国家ぐるみの不当労働行為であったことは、この一点だけでも明白だ。
 続いて鈴木達夫弁護士が、国鉄による不当労働行為の存否も判断せず、時効を口実に原告の訴えをすべて切り捨てた一審判決を徹底的に批判、明白な不当労働行為を行った被告に時効を主張する権利はないと断言した。
 原告・弁護団の重厚な更新意見は、4者4団体路線のもとに裁判を金銭解決の手段として位置づけてきた旧弁護団の方針を覆し、階級的原則を貫く新たな裁判闘争に踏み出す戦闘宣言となった。
 これに追いつめられた鉄道運輸機構は、「国鉄は職場規律の紊乱(びんらん)で赤字になった」「停職処分を受けた者はJR社員としてふさわしくない。名簿不登載にしたのは国鉄改革法の趣旨からして当然。不当労働行為にはならない」「原告が1990年に清算事業団から解雇されたのは、再三の就職あっせんに応じなかったから」と言い放った。傍聴席から怒りの声が上がったが、裁判長は弱々しく制止することしかできない。
 被告・鉄道運輸機構は、国鉄分割・民営化を真っ向から弾劾する原告・弁護団の土俵に深々と引きずり込まれてきた。この裁判は、動労千葉争議団の闘いと並び、国鉄闘争全国運動を先導するものになったのだ。
 次回期日は12月2日午前11時半から、大法廷を使って弁護団が弁論に立つ。早期結審を狙う裁判長からこの決定を引き出したことも大勝利だ。
 裁判を終えた小玉さんと傍聴者は、直ちにJR東日本本社前に移動して抗議・宣伝行動を貫徹、夕方の控訴審報告集会まで終日の行動を闘いぬいた。(関連記事2面)
 この日の闘いは、国鉄闘争の火はけっして消えてはいないことを実証した。11・7労働者集会1万人結集に向けての大号砲は打ち鳴らされた。
(写真 鉄道運輸機構訴訟を闘いぬき、JR東日本本社前で「解雇を撤回せよ」「不当労働行為の責任をとれ」と抗議のシュプレヒコール【9月28日 新宿駅南口】)

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週刊『前進』(2458号1面3)(2010/10/04 )

前進速報版から 前進速報版から

▼仏で再び300万人ゼネスト▼横須賀闘争、現場には戦争への怒り▼鉄運機構訴訟一日行動▼「市東さんの農地守ろう!」高崎集会

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週刊『前進』(2458号2面1)(2010/10/04 )

 解雇撤回・JR体制打倒へ決戦に突入

 動労千葉定期大会 12月ダイ改へストを配置

 外注化阻止へ臨戦態勢築く

 再び動き始めた外注化攻撃

 動労千葉は第39回定期大会を9月26、27日、千葉市のDC会館で開催した。各支部の代議員に加え、例年にも増して多くの傍聴者・支援が結集した。再び動き始めた外注化攻撃との決戦局面を迎える中、緊張感と決意がみなぎる討議が行われ、新たな闘いの方針と決戦態勢を確立した。
 冒頭のあいさつに立った田中康宏委員長は、まず「今大会は、歴史の転換点におけるきわめて重要な大会だ。この1年は動労千葉にとっても大転換の年だった。“動労千葉そのもの”とも言える中野洋前委員長の死をのりこえ、自分たち自身の手でこれからも動労千葉を守りぬいていく決意を固めた。何よりも1047名闘争の和解の問題にいかに立ち向かうのかが問われた。また検修外注化攻撃に対しては、幕張支部を先頭に5波のストに決起し4月1日実施を阻止した」と、まさに息つく間もない激闘の過程を振り返った。そして「こうした闘いは、これからの労働者階級の行方を決めるような攻防であり、これから動労千葉が闘いぬいていく土台をつくった」と勝利的に総括した。
 さらに田中委員長は、大会でかちとるべき課題について、@国鉄闘争の火が消されようとしている重大情勢に立ち向かい国鉄闘争全国運動の発展をかちとること、A正念場を迎えた外注化阻止闘争への総決起、B11・7労働者集会への1万人結集を実現し労働運動再生の展望をこじ開けること、C動労千葉の命運をかけて組織拡大闘争への全組合員の総決起をかちとること――の4点にわたって提起した。
 特に外注化阻止闘争について「12月4日のダイヤ改定を機に、京葉車両センターで構内運転業務を外注化しようとする動きがある。とにかく千葉で外注化に着手することを狙っている。大会終了後、いつでもストに入れる闘争態勢を直ちに固めて欲しい」と檄を発した。会場を埋めた組合員は大きな拍手でこたえた。正念場の決戦に向け組合員は気合い十分だ。
(写真 激闘に次ぐ激闘の1年間を勝利的に総括し、再び決戦局面を迎えた外注化阻止闘争への総決起を訴える田中委員長【9月26日 DC会館】)

 「偽装請負」を居直るJR東

 続いて、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、動労千葉顧問弁護団の葉山岳夫弁護士、動労水戸の石井真一委員長、動労千葉を支援する会、OB会、水野正美勝浦市議が来賓あいさつを行い、ともに闘う決意を表明した。
 繁沢敬一副委員長が経過報告と総括を、長田敏之書記長が情勢と方針を全面的に提起した。長田書記長は、特に組織拡大闘争について「これこそ最重要課題だ。この一点にすべての力を集中し全支部・全組合員の総決起を」と訴えた。
 討論では外注化攻撃、ライフサイクル強制配転、貨物職場を焦点とした「国鉄分割・民営化25年問題」を中心に活発な意見が出された。
 幕張支部の代表は「職場討議を重ね、いつでも闘争に入れる態勢だ。自分も本社や支社との団交に出たが、会社は偽装請負問題について『緊急時にはJRが下請け会社に直接指示を出しても問題ない』と完全に開き直っている。『緊急とは何か』と追及したら、会社は『辞書を引け』なんて言っている! ふざけきっている」と怒りをあらわにした。車両技術分科会の代表は「外注化―強制出向の行き着く先は間違いなく転籍だ。外注化をやれない状況をつくるために組織拡大を軸に闘う」と述べた。
 津田沼支部からは「突発の休みが出て、勤務明けの運転士をもう一度乗務させるという、とんでもないことが起きた。人がいないと言っているがライフサイクルで駅に飛ばした滝君を戻せば済む話だ」と当局を弾劾した。新小岩支部からは「『JALの次は貨物』なんて言われているが冗談じゃない! レールを持たない欠陥会社を発足させておいて、発足させた国交省がなに言ってるんだ。本当に怒っている」と激しい怒りが表明された。運転保安にかかわる職場の課題、基地統廃合問題、強制配転者の原職復帰などについても討議が交わされた。

 組織拡大こそ外注阻止の力

 総括答弁で田中委員長は「動労千葉は12月ダイ改にストを構えて闘う。ここから闘いが始まる。いかにして外注化に立ち向かうのか。これまで検修職場で動労千葉に3人の平成採の仲間が結集してくれているが、彼らの決起こそ当局に最大の打撃を与え、外注化4月1日実施を止める力になっている。一人ひとりの決起がすごい力を持っている。年明けにはライフサイクル強制配転も焦点となる。この闘いの過程で組織拡大をやりぬけば十分勝負できる。ここで闘いぬき、初っぱなで敵の出鼻をくじこう。11月労働者集会への総決起をかちとろう」と力を込めて訴えた。
 スト権を満場一致で批准し、動労千葉は外注化阻止決戦の臨戦態勢を打ち立てた。

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週刊『前進』(2458号2面2)(2010/10/04 )

 鉄運訴訟報告集会 国鉄闘争の飛躍的発展へ

 11月1万人への熱意みなぎる

 鉄道運輸機構訴訟の控訴審が行われた9月28日の夕、「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を共に闘う国労の会」の主催で「国鉄闘争勝利!鉄運訴訟控訴審報告集会」が開かれた。
 会場の東京・文京区民センターには255人の労働者・学生が結集し、この日から始まった裁判闘争をテコに国鉄全国運動をさらに発展させ、青年労働者を組織して11・7集会1万人結集を実現しようと誓い合った。
 裁判闘争を闘いぬいた小玉忠憲さんは、「更新意見を読んでいるうちに国鉄分割・民営化の過程を思い出し、心から怒りを覚えた。絶対に負けない」と述べ、「青年を組織することがわれわれの権力・資本への報復だ」と力説した。
 4・9政治和解を拒否して鉄建公団訴訟上告審を闘う旭川闘争団の成田昭雄さんは、「全国どこでも若い人が先頭に立って闘っている。私もあくまで闘い続ける」と力強い決意を表明した。
 同じく鉄建公団訴訟原告である小倉地区闘争団の羽廣憲さんは、「国鉄闘争の責任勢力になると宣言した以上、それをやりきる。実力で勝利をもぎり取るという気概が人を動かす」と述べ、11・7への奮起を促した。
 動労千葉争議団の中村仁さんは、「検修外注化を絶対に許さない。労働者がひとつになって団結すれば資本を倒せる。11・7に1万人を集め、情勢を変えたい」と熱く呼びかけた。
(写真 255人が結集した控訴審報告集会。1047名闘争解体策動を粉砕して開始された新たな闘いは、11月に向けて勝利の確信と大きな高揚を生み出した【9月28日 文京区民センター】)

 青年の決起が歴史を動かす

 新たな鉄建公団訴訟・鉄道運輸機構訴訟を闘う弁護団が発言に立った。
 主任代理人の藤田正人弁護士は、4者4団体路線のもとで行われていた旧弁護団の裁判方針の誤りを具体的に指摘した上で、国鉄分割・民営化と真正面から対決する今後の裁判闘争の基本方針を明らかにした。
 鈴木達夫弁護士は、新弁護団編成の経緯に触れて「弁護士も階級性が厳しく問われる時代に入った」と強調、破産した裁判員制度の撤廃へさらに闘うことを訴えた。
 基調報告を国労新潟駅連合分会の星野文男さんが提起し、国鉄全国運動の先頭に「共に闘う国労の会」が立つと宣言。「青年労働者の決起こそが歴史を動かす」と力説し、11・7に向け青年を軸に労働者を圧倒的に組織しようと呼びかけた。
 連帯のあいさつを動労千葉の田中康宏委員長と動労水戸の国分勝之副委員長が行った。
 田中委員長は、「国鉄闘争の火が消され、全体が総屈服していく中で、労働運動を自らつくりかえるために国鉄全国運動を呼びかけた。一切の責任はわれわれにある。怒りを抑えられ、あきらめを強いられている労働者に、団結して闘う道があることを示したい。それが11月労働者集会だ」と述べ、1万人結集に向けての総決起を訴えた。
 国分副委員長は、「団結の輪は必ず広がる。仲間をつくるためにどうしたらいいかを本気で考え、この1カ月を闘いぬこう」と呼びかけた。
 国労5・27臨大闘争弾圧被告で国労近畿地本福知山分会の原田隆司さんがカンパアピールを行うとともに、11月24日の5・27裁判控訴審第1回公判への結集を訴えた。
 教労、郵政、合同一般労組、医療・福祉の各産別の労働者が決意表明に立った。非正規職撤廃、公務員制度改革粉砕へ闘う熱意がみなぎった。
 全学連の坂野陽平委員長代行は、戦争切迫情勢の中で学生を先頭に反戦政治闘争に立つことの決定的な意味を強調した。
 国労米子地本後藤車両所分会の鷲見貢さんが「共に闘う国労の会」としての決意を述べ、国労上野支部我孫子金町保線技術センター分会の吉野元久さんが「今日の闘いを出発点に1047名闘争の飛躍的発展を必ず切り開く。壁を突破する力は青年の組織化にある」と集会のまとめを提起、吉野さんの音頭で全参加者が団結を固め、一斉にこぶしを突き上げた。
(写真 不屈の闘いを貫く国労闘争団と動労千葉争議団。左から成田さん、中村さん、小玉さん、羽廣さん)

週刊『前進』(2458号2面3)(2010/10/04 )

 茨城 “労働組合の復権を”

 動労水戸を先頭に国鉄集会

 「国鉄分割・民営化に反対し1047名解雇撤回闘争を闘う茨城集会」が9月23日、つくば市内で開催された。動労水戸を始め県内の労働組合、労働者50人が集まり、県内での具体的な支援行動の出発点を築いた。
 まず司会を務めた合同労組の労働者が集会に至る経過を述べた。9月18日に水戸市内で開かれた4者4団体の報告集会・レセプション会場に茨城県労組交流センターが登場し、解雇撤回を訴えるビラを配布して参加者から大きな反響があったことを報告した。
 主催者あいさつに立った動労水戸の石井真一委員長は「国鉄問題は終わってない。労働組合は資本と闘い、団結するための武器だ。労働組合の力は現場にある。現場に根ざして闘うことが重要だ。動労水戸は分割・民営化以来の不当配転を粉砕してハンドルを奪い返し、検修業務の外注化4月実施を阻止した。団結して闘えば勝てるチャンスが来ている」と述べ意気高く開会を宣言した。
 動労千葉争議団の中村仁さんは「国鉄分割・民営化は2人に1人の首を切る攻撃だった。隣の仲間が首を切られるか自分が首を切られるか。こんなこと許せますか。分割・民営化反対のストは自分たちにとって当たり前の闘いだった。自分は解雇撤回をかちとって現場に戻るまで闘う」とアピールした。
 国労闘争団の成田昭雄さんは「感動も悔しい思いもある。腹の中は煮えくり返っている。みなさんの職場で起きていることは、すべて国鉄分割・民営化のやり方だ。自分たちがよければ、他を犠牲にするのが体制内労働組合。われわれの運動は正しいものは正しい、いけないものはいけないと言える闘いだ。11月1万人結集に向けてともに闘いましょう」と訴えた。
 2人の渾身(こんしん)のアピールを受け、県内の自治体労働者、民間交通労組、合同労組、百万人署名運動を闘う仲間から次々と発言。星野文昭さんを取り戻す茨城の会からは、17日に起きた徳島刑務所による星野暁子さんの面会不許可に対する抗議決議が提案され、満場一致で決議文が採択された。
 最後に、茨城県労組交流センターの辻川慎一代表からまとめが提起された。辻川さんは4・9政治和解の本質について「あらん限りの国家的不当労働行為を不問にし、労働者はいくばくかの金を払えば解雇しても構わないと居直り、経営者は社会的責任をとらなくていい、会社の経営が成り立たなければ労働者がどうなっても構わないということを宣言するもの。それを労働組合が認めたということだ」と怒りを込めて暴露した。
 また国鉄分割・民営化以降の非正規職化、偽装請負の現実を弾劾し、公務員制度改革と称して分割・民営化以上の攻撃が開始されようとしていることに警鐘を鳴らした。そして「本日の集会は県内でともに闘ってきた労働組合が呼びかけ、基軸を担って開催した。労働組合の大事さをもう一度はっきりさせよう。全国、全世界の労働者とともに労働組合を復権させ11月集会に総結集させよう」と熱烈に訴えた。
 最後に青年労働者の音頭で団結ガンバロー。今後の方針を確認して集会を終了した。その後、中村さん、成田さんを囲んで和やかな中にも熱気ある交流会が行われた。
(写真 県内の各労組からの参加で、茨城での国鉄全国運動地域共闘の出発点を築いた【9月23日 つくば市】)

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週刊『前進』(2458号2面4)(2010/10/04 )

 JR東弾劾で本社前行動

 鉄道運輸機構訴訟の控訴審を闘いぬいた労働者・学生は、原告の小玉さんを先頭に直ちに新宿駅南口のJR東日本本社前に移動し、JR東日本に対する抗議と街頭宣伝行動を貫徹した。
 あわてふためいたJR東日本はガードマンを総結集させ、公安刑事も鈴なりになって弾圧の機会をうかがった。これに付け入るすきを一切与えず、小雨が降りしきる中、約50人が1時間の行動を闘いぬいた。
 JR東日本は、小玉さんらを不採用とした不当労働行為の張本人であるとともに、極限的な合理化で鉄道の安全をとことん破壊し、労働者を労災死に追い込んできた極悪企業だ。小玉さんや鉄建公団訴訟原告の羽廣さん、動労千葉の後藤俊哉特別執行委員らがマイクを握り、「JRは解雇を撤回しろ」「検修外注化を阻止するぞ」と戦闘宣言をたたきつけた。JR現場の国労組合員も次々にマイクをとり、JRに対する腹の底からの怒りを表明した。
 通行する労働者がこの闘いに注目し、11・7労働者集会への結集を訴えるビラを続々と受け取った。最高裁と東京高裁に解雇撤回の判決を求める署名も、青年労働者を始め次々と寄せられた。
 行動の最後に、参加者はJR東日本に対する怒りのシュプレヒコールを突きつけた。

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週刊『前進』(2458号3面1)(2010/10/04 )

 豊中市職8月攻防の総括<下>

 保育新システム導入阻止―2012年決戦に先制突入

 新システム賛成の執行部

 階級闘争が国鉄分割・民営化25年と公務員制度改革―人勧制度廃止をめぐる2012年決戦に突入するなか、階級的労働運動派=動労千葉派は豊中市職執行部選を戦った。それは豊中市「新行財政改革プラン」をめぐる民主党・連合政権―自治労本部―豊中市職執行部との激突だった。
 豊中市は新行財政改革プランの柱に保育所・幼稚園の募集業務の一元化と監督部門の一元化を打ち出した。市は政府の「子ども・子育て新システム」(以下「新システム」)の全面的導入・推進へ動きだしたのだ。市職執行部はこれを支持・推進しようとしている。
 豊中市職の特別執行委員で自治労本部の社会福祉協議会副議長(保育労働者部門トップ)を務める今井小百合氏は、先の自治労保育全国集会で新システムがいかに素晴らしいかを強調した。そもそも今井氏は04年に豊中市立保育所8園の民営化を組合側から推進した張本人なのだ。
 昨年、市職執行部は「攻めの民営化対応」と称して市立豊中病院の独法化を逆提案した。この執行部と今井氏の妨害をはねのけて3・6道州制反対・橋下打倒・府庁前行動がかちとられた。
 今井氏は3・6行動の直前、3月4日の市職女性部委員会に現れ、3・6行動つぶしに走った。ここでつぶせないと見るやニセ「女性部ニュース」を発行し、ニセ「女性部FAX通達」を流すなど、3・6行動破壊を試みて失敗した。
 この今井氏と市職執行部が新システム導入・推進のための行財政改革に賛成しないはずがない。

 “委員長選に出るべきだ”

 昨年4月24日、深町加代子さんが働く保育所で彼女と子どもとの接触事故が起こった。市当局と市職執行部はこれに飛びつき、「故意に殴った暴行事件」をデッチあげて深町さんを解雇に追い込もうとした。
 深町さんは市職執行部に処分撤回闘争の取り組みを申し入れたが、市職執行部は「保育士としてやってはならないことをした」と市当局・五嶋保育課長とまったく同じせりふを吐き、処分撤回闘争への取り組みを拒否した。民営化と闘う組合員の首を労使一体で切ろうとしたのだ。当局は一貫して保護者の言い分を絶対視し、これに合った事実確認をするように深町さんに迫り続けた。当局は「保護者は顧客である。顧客の言い分は絶対であって、そこでどういう保育が行われたかは一切関係ない」という新自由主義の立場に立っているのだ。
 だから保育事故処分撤回闘争は民営化・団結破壊・公務員360万人首切りの新自由主義攻撃との闘いなのである。また「現場で起こった事故の責任はすべて当局にある。事故の原因は人員削減にある」という反合理化・保育安全闘争である。さらに保育公務員30万人首切り・新システム導入絶対反対の先制的な職場闘争である。
 こうした職場闘争を貫く深町さんに対して職場の同僚たちは「委員長選に出るべきだ」と深町さんを委員長候補に推し、全面的に支持した。
 これは、民営化=新システムを推進しようとする当局・市職執行部と現場労働者との間に妥協の余地は一切ないこと、両者は絶対非和解の関係であることを職場の同僚たちがつかみ、闘う労働運動をよみがえらせる闘いに支持と共感を寄せつつあることを示している。
 1年間の職場での苦闘が「新システム絶対反対」の団結の形成へと結実しつつある。この職場の団結を基礎に全市職組合員の決起を引き出すこと、自治労本部―市職執行部による女性部解散攻撃への怒りをもバネに新システム絶対反対闘争の爆発を切り開くことが今後の課題となっている。

 外注化・非正規化と闘う

 豊中市は新行財政改革プランの一環として窓口業務の外注化を全面的に進めようとしている。
 本庁舎の窓口や図書館のカウンター業務が狙われている。これらの部門は「個人情報の漏洩(ろうえい)」の危険などを理由に外注化には適さないとされ、今までできないできた。しかし政府・自治体は世界大恐慌下の財政破綻の危機を全業務の民営化・外注化で突破しようとしている。これは公務員制度大改悪、戦後的地方自治の解体、地域主権―道州制、公務員360万人全員解雇、改憲・戦争国家化の新自由主義攻撃に連なっている。だからこれまでの「個人のプライバシーを守る」という反対論では闘えない。外注化絶対反対、新自由主義粉砕の立場で闘う以外ないのだ。
 外注化・民営化阻止の闘いは、正規職―非正規職、公務員―民間労働者の分断を打ち破り、資本・当局と絶対非和解の階級的団結をつくり直す闘いである。
 徳永自治労委員長は徳島大会で「財政危機の現在、賃金原資はあらかじめ決まっている。それをどう分け合うかを考えるしかない。正規の賃金を減らして非正規に回すことに協力しろ」と恫喝する「賃金シェア」論を提起した。資本主義体制を土台とし守る立場に立ち、民営化・非正規化=新自由主義攻撃を認めたのだ。国鉄分割・民営化攻撃に屈服し、4・9政治和解という歴史的裏切りを居直る発言だ。賃金シェア論など断じて認められない。

 国鉄闘争貫き11月集会へ!

 全労働者が団結して大幅賃上げを要求する賃金闘争以外の闘い方はない。そして賃金制度そのものと資本主義を打倒し、搾取と階級のない社会、労働者が自ら運営する新しい社会をつくるべきなのだ。
 戦争と恐慌・大失業に対置すべきは革命だ。その具体的水路が国鉄全国運動と11月全国労働者総決起集会だ。新システム絶対反対の闘いを国鉄全国運動と一体的に推進するとき、それは必ず自治労本部打倒、民主党・連合政権打倒の「アルキメデスのテコ」となる。
 われわれは階級的労働運動路線を実践し、保育公務員30万人を始め公務員360万人首切りの公務員制度大改悪、道州制・民営化=新自由主義と対決する2012年決戦を闘う。とりわけ国鉄全国運動の爆発と11・7労働者集会1万人結集を実現するために全力で闘う決意だ。
 (革共同豊能地区委員会)

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週刊『前進』(2458号3面2)(2010/10/04 )

 八尾北労組大会 医療センター売却・民営化阻止の地平守り

 新成長戦略と闘う方針確立

 11・7集会―11・10裁判へ

 9月27日、第10回八尾北医療センター労働組合定期大会を、センター待合室でかちとった。八尾北明け渡し裁判が11月10日に本格的に始まるのを前に、集中性に満ちた歴史的大会だった。
 大会では八尾北命と健康を守る会、部落解放同盟全国連西郡支部、関西労組交流センターなどの来賓あいさつ、動労千葉などのメッセージ紹介につづき、労組三役が組合員との討議で深め、2度にわたり民営化を阻止した勝利の地平を総括した議案を提起した。 
 まず00年12月に労組を結成、コンサルタント導入と闘い、嘱託の正規職化をかちとり、医療・介護切り捨てと闘い、05年1月、介護労働者の合流と団結拡大で大病院への売り飛ばしを粉砕し、自主運営をかちとった。 
 2度目が05年〜10年の攻防だ。この過程は「早期発見・早期治療」を破壊するメタボ検診や医師と患者の信頼関係を破壊する5分間ルールに反対し、合理化攻撃と闘った。そして、全国連本部の敵対を打ち破り、住宅闘争を闘う3人の労組員の賃金差し押さえ、供託者の年金・貯金差し押さえ攻撃と闘い、09年2月26日、花屋の森本政二さんへの住宅追い出し強制執行に対し歴史的ストに決起した。労組は部落差別が資本による労働者の分断攻撃であり、資本・権力との非和解の闘いが労働者の団結をつくることを闘ってつかんだ。
 07年4月には、労働者・住民の代表として末光道正院長を八尾市議会に送り出し、市の800事業民営化阻止への全市的闘いを開始した。
 八尾市は08年3月市議会で「八尾北売却が基本方針」と答弁、2度目の激突が始まった。労組は売却のための土地建物鑑定絶対反対で団結を固めた。09年10月13日の「契約違反」で「契約解除」という市の文書に対し、「何が契約違反か! 私たちは日々医療と介護をやっている。八尾市こそ契約違反だ」と正義性を鮮明にして「医療法人健進会八尾北医療センター」の抗議文書をたたきつけた。そしてついに今年3月31日売却攻撃を打ち破ったのだ。
 つづく「5月31日に八尾北を明け渡せ」の攻撃も、5・23総決起集会で「数年がかりの闘争」を宣言し粉砕した。議会は7月1日、末光議員を排除、八尾北明け渡しを裁判にかける議案を強行採決した。追いつめられているのは八尾市だ。
 議案は第二に、八尾北攻防が、菅政権が打ち出した9割非正規化、首切り自由の新成長戦略=新自由主義攻撃との闘いであることを明確にした。
 新成長戦略の柱は医療・介護だ。「医療でもうける」タブーを破ると、次の大改定を12年に策動している。国鉄分割・民営化25年問題、公務員制度改悪と一体だ。動労千葉は外注化を止め「4・9政治和解」を拒否、国鉄1047名解雇撤回を貫く闘いに決起した。連合・全労連は東アジア共同体づくりの先兵に転落した。6・13で始まった国鉄全国運動は、世界の労働者が新自由主義と闘う結集軸だ。
 議案は最後に「裁判闘争は労組結成以来現場で新自由主義と闘い、医療と介護をやりぬいてきたことをそのままぶつける闘いだ。八尾北明け渡し攻防は、12年に向かう激動と一体で八尾市の自治体労働者、6千万労働者の決起と必ず結びつく。11・10裁判に総決起し、国鉄全国運動を職場と地域に広げ、11月労働者集会1万人の団結で大失業と戦争の菅政権を倒そう」としめくくった。
 「労働者の誇りを貫いた絶対反対の団結があれば勝てる」「外へ打って出よう」などの意見が承認された。特別執行委員に選出された末光院長が来年4月の統一地方選挙の決意を述べ、閉会した。10〜11月、八尾北労組は総決起する。
 (投稿/八尾北医療センター労組員・青木麻季)
(写真 「6千万労働者と結びつこう!」青年労働者の音頭で団結ガンバロー【9月27日 八尾市】)

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週刊『前進』(2458号3面3)(2010/10/04 )

 国境を越えた労働者の団結で排外主義・国家主義と闘おう

 釣魚台は日清戦争で日帝が略奪

 歴史的・地理的に中国領である釣魚台(ちょうぎょだい、「尖閣列島」)付近で発生した海上保安庁の巡視船と中国漁船との「衝突事件」をきっかけに、日中間の政治的軍事的緊張が著しく高まり、排外主義・国家主義が激しくあおられている。まさに戦争前夜情勢だ。11・7労働者集会は、この情勢と真っ向から対決するという点でも決定的な位置をもつ集会となった。起きている事態の本質は何か、労働者階級はどう考え、どう行動すべきかをはっきりさせよう。

 大恐慌と米日中の資源・領土争奪戦

 釣魚台で起きた問題は、二つの点できわめて重大である。
 ひとつは、世界大恐慌の進展下で、帝国主義各国による資源・市場・勢力圏の独占的確保のための争闘戦が、残存スターリン主義の大国である中国をも巻き込んで激しく火を噴いていることだ。それがついに「領土」をめぐるむきだしの政治的軍事的対立、戦争的激突に発展し始めたことである。しかも海上保安庁の巡視船を使った釣魚台一帯の力による制圧という日帝の公然たる侵略軍事行動への踏み切りが、その火付け役となった。
 まさに日帝が中国侵略戦争に突入していった1930年代の歴史を思い起こさせるような歴史的事態であり、許し難いことだ。「新成長戦略」を掲げた菅政権のもとで、労働者階級への大量首切り・非正規化、極限的な搾取強化の攻撃と一体で、東アジアにおける新たな戦争の危機が今や現実の問題として、日本人民と朝鮮・中国・アジア人民の頭上に襲いかかろうとしている。
 いまひとつは、この日帝の戦争挑発に呼応して、マスコミや極右勢力を先頭にした排外主義・国家主義のすさまじい大合唱が展開され、そこに連合はもとより、日本共産党をも含めた全政党がこぞって参加しているという超重大事態である。「主権の侵害」「売国」「弱腰外交」「領土と国益を守れ」などという叫びが大手を振ってまかりとおり、戦争反対の声は圧殺される――まさにかつての中国侵略戦争や日米開戦時に日本の各地で繰り広げられた光景と同じではないか!
 こんな状況を放置していたら、労働者階級の団結はずたずたに破壊され、資本家階級の行う戦争に再び動員されて、他国の労働者と身の毛もよだつ殺し合いをさせられることになってしまう。
 排外主義の大洪水を断固としてぶち破り、逆に国境を越えた労働者階級の国際主義的な団結を圧倒的に組織して闘おう。戦争を止める力はその中にある。そして闘う労働者や学生にはこの団結をつくりだす力がある! この戦争切迫情勢を反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命の勝利に転化するために、今こそ全力をあげて奮闘する時が来ているのだ。

 釣魚台侵略は再度の対中戦争の道だ

 まず、この排外主義キャンペーンの唯一最大の柱となっている「尖閣列島は日本固有の領土」という主張自体がデマゴギーであり、侵略イデオロギーそのものだ。これは侵略戦争による他国領土の略奪を完全に居直り正当化する、帝国主義ブルジョアジーによる許すことのできない「強盗の論理」である。
 民主党政権もブルジョア・マスコミも日本共産党を含めた他の全政党も、「明治政府が1895年の1月に閣議決定で日本の領土に編入した」ことを一切の根拠にしている。卑劣にもこの「編入」に、当時の中国(清国)は「異議を申し立てなかった」などと、あたかも平和的に何の争いもなく行われたかのように語られているが、大ウソだ。事実はこの時、日本は兵士24万人・軍夫12万人の大軍を動員した日清戦争のまっただ中にあった。その渦中で黄海海戦の勝利がもたらした東中国海の軍事制圧を背景に、台湾攻略の戦略的要衝であった釣魚台を日本が問答無用に強奪したというのが事の本質だ(年表参照)。
 1894年〜95年の日清戦争は、日本のブルジョアジーが中国大陸への侵略に本格的にのりだす突破口を開いた戦争だった。明治政府はこの戦争を、最初から領土略奪の狙いをもって、実に犯罪的で汚い手口を使って仕掛けた。最大の目的は朝鮮半島の支配権確立と台湾の領有である。そして95年3月の下関条約によって台湾の割譲を清にのませるが、釣魚台もまさにこの侵略戦争で中国から略奪した領土以外の何ものでもない。
 問題は、今日の日帝・菅政権がこの歴史を真っ向から居直るだけでなく、逆に釣魚台周辺の軍事的制圧を強めることをテコとして、東中国海の制海権を握ろうとする行動に再び決定的に踏み出したことである。これは再度の対中国戦争の道そのものである。

 新安保懇報告と一体の動き

 今回の事態の本質を露骨に示すものが、8月27日の「新安保懇」の報告だ。そこでは「従来の『静的抑止』に対し、『動的抑止』の重要性が高まっている」として、日帝の側から進んで軍事行動に訴えることが公然と叫ばれている。そしてアメリカの海兵隊をモデルにした「日本版海兵隊」の創設が打ち出され、防衛省内でその検討が始まっている。海兵隊とは、侵略戦争において敵地に真っ先に殴り込みをかける部隊だ。これと連動して「南西諸島の防衛強化」が重要課題に押し上げられ、石垣島や宮古島への自衛隊配備がすでに策動されている。
 この新安保懇報告を直ちに実行に移したのが、そのわずか10日後に発生した中国漁船との「衝突」事件だ。菅政権・前原はすぐさま船長の逮捕を命じ、「日本の主権を脅かす活動や行為には毅然(きぜん)と対応していく」と言い放った。これは、釣魚台の完全な略奪と日帝にとっての軍事拠点化を狙うと同時に、東アジアの支配権をめぐる帝国主義国・大国間の争闘戦に日帝の側から全面的に打って出るという宣言にほかならない。
 今や日帝のこの反動的突出が、大恐慌下で激化の一途をたどる保護主義と争闘戦に決定的な拍車をかけている。通商戦争に続いて「通貨切り下げ競争」という為替戦争が火を噴き、むき出しの資源争奪戦が激烈に進行してきている。
 重大なことは、この帝国主義国・大国間の争闘戦の最焦点に、中東石油地域と並んで東アジアが決定的に浮上したということだ。米帝はすでにこの間、米帝によるアジア支配の再確立を狙って中国や北朝鮮への対決政策と対日争闘戦を強力に進め、東アジアにおける戦争的緊張を生み出す元凶となってきた。9月27日から開始された黄海での米韓合同軍事演習も、北朝鮮と同時に中国への露骨な軍事的圧力だ。
 中国スターリン主義もまた米帝や日帝に帝国主義者と同様の手段で対抗し、軍事力の誇示による南中国海の制海権確保や領土的野望、さらに国内資源の全面的囲い込みに動くなどの突出した行動を、ますますエスカレートさせてきた。
 日帝の行動はここにおいて、「領土問題」に決定的に火を付けることにより、これら一切の緊張と対立を一気に爆発的に燃え上がらせるものとなっている。領土略奪への衝動に火が付くことこそ、戦争への扉を開く最大の力だ。かつての戦争もまさにここから始まった。その扉が押し開かれるのを許すか否か、今やすべては労働者階級の決断と行動にかかっている。

 安保・沖縄闘争の解体も狙う菅政権

 現在起きている事態の背後には、大恐慌下での米帝の危機、中国スターリン主義の危機、そして何よりも日帝自身のきわめて深刻な危機がある。
 労働者階級人民の怒りによって打倒される恐怖に震え上がった支配階級が、国内支配の危機を対外戦争に訴えて突破しようとするのは、いつの時代にも常套(じょうとう)手段だ。日帝・菅政権の反革命的凶暴性・突出性は、歴代政権と比べても一層深刻なその破産性、権力としての根本的なもろさと表裏一体だ。
 とりわけ日米帝を鋼のように締め付けているのは、沖縄に充満する基地と日米安保に対する激しい怒りのマグマである。釣魚台侵略の軍事行動への突進は、この沖縄人民の怒りを排外主義的にそらし、ねじ曲げることで沖縄闘争を解体に導こうとする悪質な意図をもつものだ。だがそんなことで沖縄労働者人民の戦争絶対反対・基地撤去への積年の思いを圧殺できるわけがない。
 辺野古新基地建設をめぐる菅政権と沖縄労働者人民との絶対非和解の激突、沖縄闘争の一層の大爆発は必至である。
 中国スターリン主義の場合も同じだ。中国人民の民族解放・革命戦争の勝利をプロレタリア世界革命の勝利に結びつけることを拒否してきた中国スターリン主義は、今日では最末期の資本主義の延命を支える最大の支柱に成り下がっている。
 だがその足元でついに今日、中国の労働者と農民の歴史的反乱が決定的に始まった。中国政府は、日帝や米帝への対抗的な軍事的戦争的対応にのめり込むことで自らの危機を必死に突破しようとしているが、それは、帝国主義とスターリン主義をともに打倒することを求める中国人民の一層根底的な決起を準備するものに必ずなることを確信しよう。
 「労働者に国境はない。万国の労働者団結せよ!」――これこそ、「領土を守れ」「国益を守れ」の排外主義・国家主義の大洪水に対して労働者階級が高々と掲げるべきただひとつのスローガンだ。自国の資本家階級の利益を守るために、他国の労働者人民と徹底的に分断・対立させられ、戦争に動員されることを拒否しよう。
 労働者階級の国際的団結の力であらゆる分断を打ち破り、世界を根底から変革する闘いに踏み出そう。11月労働者集会を同時に、菅政権への巨大な怒りの反戦政治集会としてかちとろう。
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 ■日清戦争と釣魚台略奪の経緯■

1894年
6月 朝鮮政府が農民戦争鎮圧のため清国軍に朝鮮半島への出兵を要請。日本軍も朝鮮政府の許可なしに対抗的に出兵
7月 日本軍、朝鮮の王宮を襲撃・占領
8月 日清両国が宣戦布告
9月 黄海海戦。清の北洋艦隊に大打撃
11月 日本軍の旅順攻撃・占領
12月 伊藤博文が新たに台湾占領作戦を提起し、決定
1895年
1月 日本政府が釣魚台の日本領土編入決定
2月 威海衛陥落、北洋艦隊降伏
3月 台湾西方の澎湖島を日本軍が占領
4月 下関条約(日清講和条約)締結、台湾割譲
5月 台湾人民が「台湾民主国」樹立、武装抵抗闘争開始。日本軍が約5カ月にわたる台湾征服戦争に突入
11月 日本、台湾平定を宣言
(釣魚台の略奪が、日清戦争の勝利と台湾の植民地化にとって決定的に重要な東中国海における戦略拠点の確保としてなされたことは明らかだ)

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週刊『前進』(2458号3面4)(2010/10/04 )

【集会要項】 10・6八尾市役所包囲行動

クビ切り自由・9割非正規職化=新自由主義とたたかう団結の拠点、八尾北医療センター明け渡し攻撃をぜったい許さない!
10・6八尾市役所包囲行動
●夕方・八尾市役所包囲弾劾行動
 午後4時半 八尾市役所前 抗議宣伝活動
 午後5時20分 八尾市役所包囲抗議デモ
●夜・総決起集会
 八尾市文化会館プリズムホール
 4階会議室(1)(近鉄八尾駅東すぐ)
 ●午後6時開場/6時半開会
《主催》八尾北医療センター労働組合
    部落解放同盟全国連合会西郡支部
    八尾北命と健康を守る会
    道州制・民営化と闘う共闘会議
    関西労働組合交流センター

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週刊『前進』(2458号4面1)(2010/10/04 )

 11・7日比谷に1万人大結集を

 動労千葉・田中委員長が訴え

 大恐慌と戦争に立ち向かう新たな労働運動登場させよう

 国鉄闘争全国運動で勝負しよう

 11・7全国労働者総決起集会まで、いよいよ残り1カ月となった。歴史の大転換点の中で11・7集会の持っている位置はあまりにも巨大だ。おしなべてあらゆる勢力が総転向の道に転落する中でわれわれに問われている課題はなにか。動労千葉の田中康宏委員長に、大いに語っていただいた。(編集局)

 「4・9和解」の大反動に反撃

 文字通り、帝国主義がその足元から崩れ去ろうとしています。支配階級は、この危機をのりきるというよりも、とにかく「今日、明日をどうやり過ごすのか」で必死の状況です。この危機から、内に向かって全面的な階級戦争、外に向かって侵略戦争が目の前で進行しています。「為替戦争」ともいえる米欧日のやり合いが公然と始まり、他方で、釣魚台をめぐる日本と中国の対立がどんどん非和解化しています。
 中野洋前委員長がずっと言っていたことですが、支配階級の危機は、運動する側の危機にもなる。支配体制の危機が深刻であればあるほど、ほとんどの左翼勢力、労働組合が危機に陥るんだ、と。並みいる勢力がすべて崩壊していく中、われわれが「この道を行こう」ということを明確にして情勢の主導権を握れるのかどうか、今その大きな分岐点に立っているんじゃないかと感じます。
 今年の11・7労働者集会が持っている位置を鮮明にしなければなりません。情勢は変わったと見ないといけない。

 “国鉄闘争の火を消すな”と決起

 24年間続いてきた1047名闘争が「4・9和解」という形で政治解決して、僕らは反対の声を上げていますけれども、世の中的には、いったん国鉄闘争がなくなった状況に入った。
 国鉄分割・民営化攻撃は、労働組合に対する戦後最大の攻撃でした。それ以降、労働者階級にとっての対抗軸が1047名闘争であったことは間違いありません。これが終わってしまったら、いったいどういう対抗力を労働組合が持てるのか。
 もっと率直に言えば、動労千葉という小さな労働組合が、全体がこうなった時、本当に団結を守って闘いの道を進んでいけるのかということを真剣に考えました。「こんな和解は間違っている」と言うのは簡単です。だけど僕らに突きつけられたのは、和解を拒否し、団結を守り抜き、なおかつ新しい運動をつくっていけるのかどうかということだったわけです。
 これを突破する道を絶対に見つけなきゃいけない。2月、3月、4月と必死に困難を見据え、考え抜いた末に、国鉄闘争全国運動という新しい闘いを呼びかけました。最初は孤立を覚悟しました。でも、呼びかけてみたら孤立しなかったんですよね。多くの人たちが「国鉄闘争の火を消してしまったら、これからの労働運動は大変なことになるぞ」という同じ思いでいてくれたんです。「ここから新しい闘いをスタートさせよう」という思いで6・13集会を開催し会場全体が一体となるような集会にすることができました。
 その後、3労組で今年の11月労働者集会を11月7日に開催することを確認するとともに、新しくスタートを切った国鉄闘争全国運動にも呼びかけ団体に加わって欲しいということで意見が一致しました。すべての呼びかけ人の方に快諾をいただき、今年は4団体の呼びかけという形になりました。
 求められていることは、この労働組合の惨 (さんたん)たる現状を、職場からもう一回作りなおす決意でこの運動をやることです。単なる動労千葉支援の運動ではなく、それぞれがこの運動を結集軸にして職場からの闘いを始める。今の情勢を見たら、これ以外に道がないことを見据えて欲しいと思います。
 なぜか。1987年の国鉄分割・民営化後、総評が解体に追い込まれた後だって、まがりなりにもこれに反対する勢力はいました。体制内的な勢力を含め、多くの勢力が「右翼労戦統一」と連合結成を批判していました。だから全労協などもできた。思惑は違いますが日本共産党も全労連をつくりました。
 でも今、1047名闘争の「4・9和解」以降、そんな動きがありますか? 異議を唱えているのは、われわれだけです。「4・9」以降に起きていることは、労働運動の一線を越えた変質です。だから現場から一からやり直すということなんです。怒りの声は積もりに積もっています。これほど怒りの声が社会に満ちている時代はないですよ。ここを絶対に信じて、ここからやり直す。
 国鉄闘争全国運動の呼びかけ人の方々はみんな本気です。時代に対するものすごい危機感があります。この運動に、ひとつの希望を見いだしているんです。それは、大恐慌情勢に通用するものになる可能性を持っています。その可能性を、本物にできるかどうかはわれわれ次第です。ここから新しい労働運動の歴史を始める――この闘いはそういう大きさと可能性を持っていると思うんです。
 どのような展望を生み出せるのかは闘いを前進させる中からしか出てこない。理屈だけならいろいろ言えますが、労働運動というのは実際に運動が成り立ち、その中で団結が広がり、しかも一時に終わらず持続されていくこと以外に「正しい道」というものはありません。すべてはこれからです。
(写真 1635人が結集した6・13大集会)

 再び動き始めたJR東の外注化

 情勢は「4・9和解」以降、一斉に動き始めました。
 JRでは、国交省が和解を前後して「国鉄分割・民営化25年問題」を騒ぎ始めた。JR7社のうち4社の経営が破綻しています。国鉄分割・民営化は大失敗ですよ。これ以上、こんな状況は続けられない。国交省は「日航問題の次はJRだ」と公言し、九州・四国・北海道・貨物に抜本的な日航型大リストラを求めています。こういう形で「国鉄分割・民営化は成功した」ととり繕おうとしている。貨物ではこの春から、ベアどころか定期昇給もストップしました。国交省は「もうこれ以上は税制上の優遇はやらない」「JRは国策会社だという認識を一掃しろ」「純粋に株主にとってこの企業が意味があるかどうかなんだ」と言っています。これと1047名問題の終結策動は完全に一体だったんです。
 こうした中で、国労は7月定期大会で完全に一線を越えました。和解したとたんに、国労闘争団員を切り捨て、選挙権も被選挙権もなく、組合費も払わない特別組合員にしました。組合運動に一切関与させないということです。唯一、全国的機能を果たしていた職種別協議会も解体し、12億円のスト基金のうち7億円を取り崩した。国労の流れ解散、連合合流への分水嶺を越えたわけです。これが1047名問題和解の結果です。
 これまで止まっていたJR東日本での外注化問題も全面的に動き出しました。団交をストップさせたまま、水面下で東労組と準備を進め、ふたが開いた時にはもう後戻りできないという形で進めています。本社からは、下請け会社に割り振る要員数を9月中に出せという指示や、偽装請負隠しを指導する取り扱い注意の文書が出され、千葉では8月2日に下請け会社と委託契約を結んでいます。
 年末にかけてが勝負です。あらゆる産別で、労働組合がこういう委託や派遣、別会社化などを全部のんだ結果、1千数百万人が非正規職に突き落とされました。これをひっくり返したら、もう一回労働運動の展望が必ず見えてくると確信しています。とくに、この闘いの渦中で組織拡大を実現することができれば、外注化を止めることは不可能ではないと考えています。いずれにしても、すべてが動き出しました。

 「2012年」焦点に大決戦

 1047名闘争の「政治和解」が、労働者階級全体にとってどういう意味を持っているのかという問題に注目しなければなりません。
 支配階級は「公務員360万人をいったん全員解雇する」と言ってますから、公務員制度改革は国鉄分割・民営化を10個ぐらい、いっぺんにやる攻撃です。来年の通常国会に法案を提出し、2012年に改革を行うというのが菅政権の方針ですから、あと2年です。「4・9和解」以降の流れを見ると、このために国鉄闘争をつぶそうとしたことがいよいよ鮮明になってきました。
 その核心は、公務員労働者の「身分保障」を解体するところにあります。そもそも戦後の公務員制度は、1948年の政令201号で骨格ができました。アメリカ帝国主義の占領軍が、公務員労働者から労働基本権を奪い、奪った途端に定員法で国鉄10万人の首を切り、レッドパージを強行しました。こうして成立したのが戦後の公務員制度です。血まみれの制度ですよ。政令だけで労働基本権を奪い、その代わりに身分は「保障」されている。
 菅政権は今、これを破壊するために「労働基本権を回復する」と言っているわけです。人勧制度を廃止し、公務員庁を設置して、労働協約の締結権を与えるということが検討されています。しかも、自治労や日教組は「スト権はいりません」と組合の側から言ったんです。
 すでに、8月3日の衆院予算委員会では「今の制度があるから生首が切れないんですよ」「とにかく労働基本権を早く付与して、民間並みの人員整理ができるようにしましょう」なんて議論が公然とされている。
 さらに菅政権の新成長戦略では、2012年に公立保育園・幼稚園を全廃することが打ち出されました。民営化して「こども園」にすると言っています。公立保育園・幼稚園には30万人の労働者が働いています。昨年末に社会保険庁が解体され、日本年金機構になりましたがこれもその先があって、2013年に日本年金機構はもう一回解散し再編される。さらに、財界がこの7〜8年間、要求し続けていることは小学校・中学校の民営化です。国鉄闘争を終わりにするということは、こういうことです。公務員労働者への大攻撃をやる時に、国鉄1047名闘争がまだ継続しているなんてことは絶対に容認できなかったんです。
 これは単に自治体労働者や教育労働者だけの問題じゃありません。日本の全労働者に対する戦後最大の労働運動解体攻撃であり雇用破壊攻撃です。そして究極の民営化攻撃です。戦後的なあり方が最後的に、徹底的に解体され、階級関係が根本的に変わる。その当面する焦点が2012年です。「国鉄分割・民営化25年問題」も2012年。全部、ここに焦点が絞られてきています。
 こんなことを強行したら、いったいなにが起こるか。直接的にも数百万人の労働者が非正規職に突き落とされます。すでに、この二十数年間で3分の1の労働者が非正規職に突き落とされ社会は根底から崩壊しています。医療、年金、社会保障制度、教育、これらすべては雇用が土台になっていたわけですから。この上、さらに数百万人の労働者の首を切り、非正規職化した時に起きるのは社会の全面的崩壊です。階級支配なんかできなくなる。こんなことは民主党でも自民党でも分かっているはずです。しかし「これしかない」と踏み切っている。
 そういう意味では、ここに向かって怒りを結集し、闘いを組織できたら、けっこういい勝負になりますよ。僕らは国鉄分割・民営化との攻防を経験しているからよく分かるんですが、支配階級は国鉄分割・民営化攻撃ひとつだって、いまだ貫徹できてないわけです。
 同時に、だからこそ国鉄闘争全国運動の持っている可能性に賭けようということでもあるんです。この一大攻防を闘い抜く中で、この社会を根底からひっくり返すような力をここに結集しようじゃありませんか。
 この攻撃は「新成長戦略」という形でやられています。全体が改憲と戦争に向かって集約されていくものとなります。安保と沖縄をめぐる闘いも、こうした情勢の中でますます非和解化していかざるを得ない。菅政権は、とにかく真正面からたたきつぶす以外にない。そして、外に向かっては「東アジア共同体」づくりを叫び、アジア侵略だけが日本帝国主義の延命の道になっている。原発、鉄道、水道といったインフラをパッケージで輸出する。何兆円という事業を海外でばんばんやる。そのためにも徹底的に公的部門を解体しなきゃいけない。こういう関係になっています。
(写真 5波のストで外注化4月1日実施を阻止した動労千葉)

 職場と地域で力ある運動を

 ですから今年の11・7労働者集会は、絶対にこれまでの延長線上ではありません。2012年を焦点とした国鉄分割・民営化10個分の全面的な階級戦争に対して新しい闘いを準備する出発点――このように11・7労働者集会の位置をとらえ、全力で立ち向かわなければいけない。

 国家揺るがした関生支部のスト

 この時代の中で生きていけない現実、せっぱ詰まっている状態。これは誰もが言うことですが、これに具体的構想と方針を与える力を労働組合が持っているのかどうかがやはり決定的です。僕は、今度の全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の闘いを見て本当にそう思いました。7月から3カ月間に及ぶストを打ち抜き、阪神地区の工事現場の9割を止め、ゼネコンを揺るがして勝利しようとしています。日本の国家が揺らいでいるってことです。歴史的な闘いです。関西生コン支部は今1800人ですが、労働者がその気になったら1800人の力でもこういう闘いができるんです。本当に腹をくくって「勝ちたい!」と思えば知恵はいくらでも出てくる。
 JRで闘っても、そう思います。検修外注化問題で昨年10月から半年間で5回のストを打ちました。動労千葉としても初めてのことです。やったことはJRや下請け会社に徹底抗戦し、こんな外注化をのむ東労組を徹底的に揺るがすぞ、という闘いです。あとは、偽装請負問題、安全問題などをガンガン追及した。その結果、JR東日本という大企業全体の外注化が、少なくとも今日まですべて止まった。今の資本の攻撃のあり方からすれば、あり得ないことが起きた。労働者は腹を据えて団結したら闘えるんです。
 今、掛け値なしに勝負の時が来ています。あらゆる勢力が屈服を深める中、われわれに何が問われているのか。1929年世界大恐慌の時もそうですが、「こうした危機の時代には労働運動は闘えない」と労働組合が総屈服していった歴史が世界中にあります。政府や資本家と一緒になって「危機救済」の立場に転落し、最後には戦争協力にまで行き着きました。
 本来は、今のような情勢だからこそ労働運動が徹底的に闘いの道を選ばなければいけないし、危機の時代だからこそ闘いの中から新たな展望を切り開くことができるはずです。これまでの労働運動が何度も繰り返してきた屈服の歴史を絶対に突破したい。この情勢の中で、一から労働運動を作りかえ、この情勢に通用する運動を作りたい。国鉄闘争全国運動を呼びかけた思いはここにあります。労働者がこれだけ悔しい思いを強いられ、年収200万円以下の労働者が1千万人を超えているのに、この現実に立ち向かえない労働運動なんて、もはや労働運動とは言えませんよ。
 ここまで切羽詰まった状況なのに、なぜ日本の労働者の怒りが具体的な闘いになっていないのか。もちろん最大の責任は腐った労働組合の幹部たちにあります。だけど、それだけ言っててもしょうがない。「われわれの責任なんだ」とはっきりさせなければいけない。腹の中で怒りをたぎらせている労働者たちには、われわれの存在はまだ見えていないわけですから。
 だから11・7労働者集会への1万人結集なんです。それは、たった一つの光であったとしても階級の主体の側に巨大な化学変化を引き起こすものとなります。それが国鉄闘争全国運動の役割であり、11月集会の持っている位置です。ここに賭けきろうということです。
 ほとんどの労働者は、怒りさえ奪われ、あきらめさせられ、「闘う」という道を思い起こすことすらできない状況にあります。こうした、生身の労働者が置かれている現実に立って真剣に考えなければいけません。この現実に肉迫し、ともに格闘しながら職場・地域に具体的な運動を作っていくことです。組合のあるところでは、現場労働者とつながり、分会や支部の権力を握っていくことに365日すべてを費やす。組合のないところでは組合を結成するために365日、24時間すべてを費やす。こういう執念が情勢に打ち勝つ道です。職場の労働者の怒りを誰よりも体現する存在になることが重要です。
 当面、全国運動3千人会員の獲得を目標にしています。さらに、この数年の間に労組交流センターを2倍の勢力にすることだと思っています。そうなれば十分に情勢に対抗できます。
 国鉄闘争全国運動を軸に、社会の根本的な変革に向けた力を僕らが獲得することができるかどうか――そういう大勝負が始まりました。今年の11月集会は特別な意味を持っています。
(写真 3カ月にわたる産業ゼネストに立ち上がった関生支部)

 10・10三里塚から11・7大集会へ

 三里塚も、市東さんの農地をめぐる大決戦を迎えています。44年間にわたって国家権力のいかなる暴虐にも屈せず、今も激しく火花を散らしながら全国の仲間に大結集を呼びかけている三里塚闘争の存在が、まったく新たな可能性をもって再び最前線に躍り出る時代が来ています。今までの延長線上ではない新しい三里塚闘争の出発点が10・10全国総決起集会だと思っています。10・10三里塚への総決起から11・7労働者集会へと突き進んでいきたい。
 国際連帯闘争もこの1年、予想を超えてさらに大きく広がりました。それは、この時代の中である種の必然性をもっています。この情勢と対決し、勝利するためには国際連帯闘争がなくてはならない要素になっている。今年は韓国民主労総ソウル本部、アメリカ、ブラジル、ドイツの4カ国から、すでに11・7集会への参加を表明してくれています。
 情勢は変わりました。昨日と今日とではまったく情勢が違います。動労千葉はすべてを賭けて国鉄闘争全国運動と11・7集会の先頭に立つ決意です。この闘いを通して、われわれ自身が変わり、階級情勢が変わり、労働者の意識が変わる。これが新たな出発点になります。あと1カ月、全力の奮闘を訴えます。

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週刊『前進』(2458号5面1)(2010/10/04 )

 原告の陳述が法廷を圧倒 鉄道運輸機構訴訟

 屈辱的和解は断固拒否した

 解雇撤回・JR復帰へ闘う

 小玉忠憲さんの更新意見(要旨)

 鉄道運輸機構訴訟の控訴審再開第1回裁判が9月28日、東京高裁第14民事部で開かれ、原告の秋田闘争団・小玉忠憲さんと弁護団が更新意見の陳述に立った。小玉さんは、最高裁で上告審闘争を展開している3人の鉄建公団訴訟原告とともに、国鉄1047名闘争の圧殺を狙った4・9政治和解を拒否して闘いぬいている。解雇撤回を貫く新たな裁判闘争は本格的に開始された。この日の裁判で小玉さんが陳述した更新意見の要旨を紹介します。見出しは編集局で付けました。
(写真 控訴審報告集会で発言する小玉忠憲さん【9月28日】)

 不採用にしたJR体制倒す

 本訴訟は本年6月28日、最高裁において、私を除く「一審原告全員と一審被告」との間で和解が成立し、私以外の控訴人は訴えを取り下げました。しかし、私はとうてい納得できず、和解に応じることを拒否しました。私は、本訴訟を断固として継続し、解雇撤回をかちとるまで闘い抜きます。
 以下、私が和解を拒んだ理由を述べます。
  (1)
 今回の和解は、不当労働行為によって解雇され、24年間、解雇撤回を掲げて闘ってきた私たち国労闘争団員に、耐え難い屈辱を強いるものです。私たちが求めているものは、何よりも解雇の撤回です。だが、和解条項のどこを探しても、「JR復帰」はもとより、「解雇撤回」の文字は一つもありません。また、被告・鉄道運輸機構が不当労働行為の事実を認め、謝罪するとの条項もありません。
 いくばくかの金銭が支払われたとしても、解雇撤回のない和解には応じられません。私たちが24年間、あらゆる困難をはねのけて闘い続けてきたのは、こうした屈辱的な「解決」のためでは断じてないのです。
 しかも、今回の和解は、動労千葉争議団および動労千葉を除く4者4団体に対してのみ提案されました。1047名の全体が、組合の所属を超えて一致団結した時に解雇撤回は実現できると私は確信しています。だから1047名に分断を持ち込む和解案を断じて認めることはできません。
  (2)
 私は旧秋田鉄道管理局で一人だけ不当に選別され、見せしめとしてJR不採用になりました。昨年12月の動労千葉鉄道運輸機構訴訟での、採用候補者名簿を作成した者の証言によれば、私は採用名簿に掲載されていたのです。
 しかし、1987年2月の新会社設立委員会開催を前にして、旧動労カクマル松崎一派が「自分たちが分割・民営化に協力したのに、分割・民営化反対の国労組合員を採用するのは許せない。首にしろ!」と当時の国鉄総裁にねじ込んだ結果、膨大な定員割れにもかかわらず、私の名前が名簿から削除されたのです。
 削除を指示したのは、「国鉄改革3人組」と言われた者の一人で、当時国鉄本社職員局次長であり、現在JR東海会長の葛西敬之氏です。これを国家的不当労働行為と言わずに、何を不当労働行為と言うのだろうか!
 「国鉄改革3人組」の2人目、JR東日本元社長の松田昌士氏は、1人当たりボーナス1千万円と言われる執行役員25人が年間9億5千万円もの役員報酬をふんだくる経営陣の相談役として君臨しています。
 2005年4月に尼崎事故を起こしたJR西日本の最高責任者は誰なのか! 「国鉄改革3人組」の3人目、井手正敬氏だ!
 こいつらが、国鉄時代も、JRに移行後も、際限なく不当労働行為を積み重ね、現場労働者を極限的に削減し、乗客を犠牲にして、主要株主となった外国の巨大投資家や日本の3大メガバンクに、巨額の株主配当を確保するためだけにJRを経営している。
 こんなJR体制をぶっ飛ばすのが1047名解雇撤回闘争なのです。その実現なしに、こんな屈辱的和解で闘争を終わらせることはできません。
  (3)
 和解調印を受けて、当時の国土交通大臣・前原誠司は、「国鉄改革は……国民に対して大きな成果をもたらした」「国土交通省としては、今後とも、未(いま)だ完全民営化を果たしていないJR三島会社(JR北海道・四国・九州)やJR貨物の経営の自立をはじめ、国鉄改革に関する未解決の課題への取組みを強化し、その完遂に全力を挙げてまいります」と表明しました。
 国土交通省の前身である運輸省は、政府・自民党や国鉄当局、JR資本と一体となって国鉄分割・民営化を強行し、私たちの首を切った張本人ではありませんか! 何が「大きな成果をもたらした」だ! 国鉄分割・民営化の結果、資本による首切りと労働組合つぶしの攻撃は野放図に横行し、あらゆる職場で労働者の権利は徹底的に奪われ、切り捨てられました。国鉄分割・民営化と並行して行われた労働者派遣法の制定と相まって、労働者の非正規職化はすさまじい勢いで進行しました。今では約3割の労働者が非正規雇用を強いられています。青年労働者に至っては、非正規は半数近くに上ります。その日を生きていくことすら困難な「ワーキングプア」の現実は、国鉄分割・民営化を発端につくり出されたのです。
 それだけではありません。国鉄分割・民営化により公共交通はズタズタに解体され、ローカル線ははぎ取られて、地方は衰退の一途をたどるばかりです。
 何よりも、国鉄分割・民営化のもたらした最悪の結果こそ、2005年4月25日のJR西日本・福知山線の尼崎事故です。107人の乗員・乗客の命を一瞬にして奪った鉄道史上最悪のこの事故は、国鉄が民営化され、利潤追求が一切とされたことによって引き起こされました。民営化以降、下請け労働者の労災死亡事故が優に300件を超えると言われています。これこそ、「国鉄改革が国民に対してもたらした」ものではありませんか!
 国鉄分割・民営化から24年を経て、三島JRとJR貨物が経営的に成り立たないことは明白です。「国鉄赤字解消」という点でも、国鉄分割・民営化は完全に失敗に帰しました。にもかかわらず「国鉄改革を完遂する」とは、JRにおいて外注化を軸とするさらなる合理化・業務の子会社への丸投げを強行するということにほかなりません。それは、公共交通である鉄道の安全をますます崩壊させるものになります。
 JR東日本は昨秋以来、鉄道の安全の要をなす車両の検査・修繕業務の外注化を提案してきました。これに対して動労千葉が5波のストライキで反撃に立ったことを先頭に、偽装請負の実態が次々と暴露され、外注化に対する現場労働者の怒りが噴出し、今年4月1日を期して外注化を実施するとしていたJR東日本の計画は当然のように頓挫しました。
 この事態の中で注目すべきことは、JR移行後の「平成採用」の青年労働者が、JRへの怒りをついに公然と解き放ち始めたことです。国鉄当局の手先となって分割・民営化を率先推進してきたJR総連による労働者支配は、ついに終わりの時代を迎えたのです。

 国鉄改革法は承認できない

  (4)
 最高裁における今回の和解調印は、本年4月9日に民主党、社会民主党、国民新党、公明党の4党と政府が結んだ「国鉄1047名問題の解決案(四党申入れ)について」と題する合意文書をベースに行われました。
 この合意文書は、「解決受入れの条件」として、次のように記しています。
 「四者・四団体(原則原告団910名全員)が、次の事項について了解し、その旨を正式に機関決定すること。
 @この解決案を受け入れること。これに伴い、裁判上の和解を行い、すべての訴訟を取り下げること。
 A不当労働行為や雇用の存在を二度と争わないこと。したがって、今回の解決金は最終のものであり、今後一切の金銭その他の経済的支援措置は行われないこと。
 B政府はJRへの雇用について努力する。ただし、JRによる採用を強制することはできないことから、人数等が希望どおり採用されることは保証できないこと」
 ここに、今回の政治和解の意図が鮮明に表されています。
 ”JR採用は保証できないが、二度と雇用の存在を争うな”などという解決案を受け入れたら、解雇撤回・JR復帰を実現する道は完全に断たれてしまいます。
 これは、国鉄改革法を全面的に承認しろということにほかなりません。
 誰がどういうふうに見ても、国鉄とJRは実質的に同一の事業体です。にもかかわらず、国鉄改革法が「国鉄とJRは別法人」という虚構をしつらえたことにより、解雇撤回・JR復帰という私たちの当然の要求は、ことごとくはねつけられてきました。JRの責任を追及すれば、最高裁が「JRに使用者責任はない」と私たちの前に立ちはだかり、政府の責任を追及すれば、「民間会社になったJRに政府は採用を命令できない」と居直られました。私たちは、国鉄改革法によってさんざん苦難をなめさせられてきたのです。
 国鉄改革法によって首を切られた当事者が、首切りの元凶である国鉄改革法をどうして全面承認しなければならないのか。これほど屈辱的なことはありません。
  (5)
 国鉄分割・民営化を強行した中曽根康弘元首相は、「国労をつぶし、総評を崩壊させるために国鉄改革をやった」と公言してはばかりません。その狙いどおり、国鉄分割・民営化によって総評は解体され、連合が結成されて、労働運動の主流は労資協調の御用組合によって制圧されました。
 しかし、労働者の闘いは決して根絶されはしなかったのです。国鉄分割・民営化以来24年、1047名解雇撤回闘争は、資本と闘う労働者の結集軸をなしてきました。非正規職に突き落とされた青年労働者が、資本の横暴に立ち向かい、自らの力で労働組合を結成して闘う時、「1047名のように闘おう」というスローガンが常に合言葉になりました。こうした役割を果たし得たことに、私は希望と誇りをもっています。
 国家財政の危機が叫ばれる中で、菅政権は360万人の公務員労働者全体を対象とした解雇・選別再雇用の攻撃に手を着けようと構えています。公務員制度改革はその切っ先に位置するものです。しかし、こうした菅政権の政策は、労働組合に一層の変質とかつての産業報国会化を強いなければ押し通せません。だから、闘う労働運動の基軸中の基軸をなしてきた国鉄1047名闘争をなきものにするために、今回の政治和解が行われたのです。
 事実、今回の和解を経て開かれた7月28〜29日の国労第79回定期全国大会で、国労本部は「菅政権が……『戦後行政の大掃除の本格実施』『経済・財政・社会保障の一体的立て直し』『責任感に立脚した外交・安全保障』など……山積する諸課題をいかに円滑に具現化するかが名実ともに問われている」とする運動方針を押し通しました。
 菅首相の言う「戦後行政の大掃除」は、国鉄分割・民営化に際して中曽根元首相が唱えた「戦後政治の総決算」を思い起こさせます。この言葉が意味するものは、国鉄分割・民営化と同様の手法で公務員労働者の首を切るということです。「経済・財政・社会保障の一体的立て直し」とは消費税の大増税を、「責任感に立脚した外交・安全保障」とは沖縄県民の怒りを押し切って名護に米軍新基地を建設し、ひいては改憲するということではないでしょうか。
 こんなことを認めたら、国労はもはや労働組合ではなくなります。
 さらにこの大会では、私たち闘争団員を「特別組合員」とし、組合費の徴収もせず、あらゆる役職の選挙権・被選挙権を剥奪(はくだつ)することが決められました。国労本部は、私たち闘争団員から組合員資格を奪おうとしています。
 また、スト基金を取り崩して、「解決報告集会」の開催費用などに流用することも決定されました。これは、JR資本に対して「ストライキはやりません」と誓うものであり、スト絶滅の「労使共同宣言」の道です。
 これに加え、全国職能別協議会を解体し、エリアごとの組織とするという規約改定が押し通されました。これは全国単一体としての国労を解体し、国労をJR会社ごとの労働組合の連合体とするということです。国労をJR連合に合流させることがその狙いです。
 今回の政治和解を経て、国労本部はここまで変質し腐り果てました。ここに示されているように、国労を、これから始まる大量首切りの手先、JR資本による大合理化攻撃の手先に転じさせることこそが、政治和解の目的だったのです。
 国労と国労闘争団員はこれまで幾多の労働者の支援・共闘を得ながら解雇撤回闘争を闘ってきました。その国労と国労闘争団員は、支援・共闘してくれた労働者への首切り攻撃を容認し、その手先となることなど、労働組合として、労働者として、絶対にとってはならない道です。したがって私には、このような希代の反動的和解を拒否する以外の選択肢など、初めから存在しないのです。

 裏切り執行部との闘い貫き

  (6)
 最高裁に上告中の鉄建公団訴訟は国労が4党合意を巡り大激論のさなかにあった2002年1月28日に提起され、本訴訟はこれを引き継ぎ2次訴訟として2004年11月30日に提起されました。
 「JRに法的責任がないことを認める」とした4党合意を、国労本部は2000年7月1日の臨時大会で決定しようと画策したものの、当該闘争団員の猛烈な反対行動により流会に追い込まれました。都合3回の全国大会でも可決できない状況に追い込まれた本部は、ついには、わずか半年で4度目の2001年1月27日の大会開催を強行し、警視庁機動隊1千名を導入し、その制圧下で強行採決しました。
 両訴訟は、4党合意を受け入れ、それまでの訴訟を取り下げて、闘争団の切り捨てへとあからさまに踏み込んだ国労本部の裏切りを徹底弾劾し、私たち被解雇者当該が主体となって、あくまで解雇撤回・JR復帰を貫く意志を示すために始められたものです。
 この闘いを貫く中で、鉄建公団訴訟一審原告22名は国労本部により「組合員権停止3年」という統制処分をかけられました。この原告らを除名を含む統制処分に付すために開かれた2002年5月27日の国労臨時大会では、本部方針に抗議するため、代議員に対する闘争団員・国労組合員・支援者によるビラまき・説得活動が行われました。しかし、鉄建公団訴訟原告の羽廣憲氏を始めとする国労組合員らは、警視庁公安部と結託した国労本部により暴力事件を捏造(ねつぞう)され、不当にも逮捕・起訴されました。この刑事裁判を巡る7年有余の闘いは、昨年11月27日の東京地裁判決で暴力行為等処罰法の適用と共謀の成立を退け、懲役刑判決を粉砕するなどの大きな勝利をかちとっています。
 あくまで解雇撤回を貫こうとする私たちの闘いは、被告・鉄道運輸機構やJRとの闘いであると同時に、国労の執行部を握った裏切り者たちとの熾烈(しれつ)な闘いでもあったのです。
 今また国労本部は、「原告910世帯のうち、6名が解決案を不服とし、裁判を継続する意思を表明しているが、……国労としてこれらの訴訟と関係する運動には一切関与しない。よってその旨を全機関に徹底すること」という闘争放棄の「闘争指示54号」を出しました。国労本部は和解を拒否して裁判を継続する私たちに敵対し、闘いの妨害者として再び襲いかかってきています。
 かつて国労本部から統制処分された原告団の指導部は、本訴訟の原点を見失い、今や本部と同一歩調をとるに至っています。そして、今回の和解の受諾を個々の原告に強制する立場に完全に移行したのです。それは、彼らが「体制内派」として自己を位置づけることから抜け出せず、解雇撤回闘争の勝利の展望を喪失したことを示すものにほかなりません。
 和解を拒否し訴訟を貫く国労闘争団員は6人になりました。だが、私たちはなんらひるんではいません。闘志はますます燃えさかっています。なぜなら、資本主義は世界大恐慌という情勢に突入し、ついに終わりの時代を迎えたからです。この社会のすべてを生産し、回しているのは労働者階級です。その労働者を大量失業に追い込み、まともに食わすこともできない社会状況の到来は、労働者階級による生きるための資本主義の根底的止揚、すなわち革命的情勢の到来です。労働者階級の解放は労働者自身の事業である。ここに私は、絶対的勝利の確信をもっているからです。
 6月13日には、東京・文京シビックホールに1635人の労働者・学生が結集し、「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動」をスタートさせました。「人道的救済」などと、政府への哀願に明け暮れてきた従来の闘争とは画然と異なる、労働者階級の階級性に立脚した本当の1047名闘争が、ついにここから始まったのです。新たな「国鉄闘争全国運動」は、あらゆる職場で資本と対決する闘いを巻き起こし、連合による労働者支配を覆して、階級的労働運動を主流派の位置に復権させる闘いです。この闘いの発展の中に私たちの勝利の確信があります。
 そしてついに、JR現場で働く国労組合員の中からも、私たちを支援し、JRと非和解的に闘い抜く「共に闘う国労の会」の運動が始まりました。こうした闘いの発展こそ、国労の本来のあり方と、国労が負う歴史的使命を貫くものです。
 最後に、私はすべてを賭けて本訴訟を闘うとともに、JR資本と非和解で闘い抜き、日本の6千万労働者、とりわけ2千万青年労働者と300万学生の団結した力に依拠して、家族とともに解雇撤回・JR復帰を手にするまで闘い続ける決意を表明します。

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週刊『前進』(2458号5面2)(2010/10/04 )

 新刊紹介 国際労働運動 11月号

 侵略戦争へ進む日帝

 世界大恐慌が深化するなか、帝国主義諸国は為替戦争に走り、資源・市場獲得競争を激化させている。世界経済は収縮と分裂・ブロック化に向かっている。世界戦争はますます不可避だ。APECやG20は帝国主義の強盗会議だ。
 世界大恐慌とともにイラク・アフガニスタン両戦争における米帝の軍事的敗退は、帝国主義が最末期にあり、全世界的に革命情勢が到来していることを示している。
 国際帝国主義の最弱の環、日帝は新安保懇報告で、新成長戦略と一体の侵略国家への大転換を打ち出し、北朝鮮侵略戦争を構え、釣魚台において対中国侵略戦争の第一歩を踏み出した。
 第1章は新安保懇報告批判。報告は「受動的な平和国家から能動的な平和創造国家」を主張し、中国艦隊の太平洋進出を抑えるため南西諸島への自衛隊配備を提言。釣魚台略奪はその一環である。
 第2章は米帝の対中国戦争戦略の弾劾。「米国防報告見直し(QDR)」からその意図を暴く。
 第3章は在日米軍基地の侵略戦争実態の暴露。
 翻訳資料は「労働組合シオニズムとヒスタドルート(イスラエル労働総同盟)」。シオニストの労働運動を徹底批判する国際ユダヤ人反シオニスト・ネットワーク労働運動グループ/パレスチナ支持労組連合(米)の文書である。

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週刊『前進』(2458号6面1)(2010/10/04 )

 10・10三里塚へ熱気

 市東さんを迎え群馬集会

 9・26「農地守る会」に加入相次ぐ

 三里塚芝山連合空港反対同盟は全国の闘う労働者人民に向け、10・10三里塚全国総決起集会への大結集を猛然と訴えている。9・20千葉集会の熱気を引き継ぎ、9月26日、群馬県高崎市で市東孝雄さんを迎えた三里塚集会が大成功をかちとった。労農連帯、国際連帯の飛躍をかけて、第3誘導路を粉砕する現地実力攻防を自ら担う気概で10・10に全国から駆けつけよう。そのエネルギーをさらに高めて11・7全国労働者総決起集会の1万人結集をかちとろう。(編集局)
 9月26日、高崎市労使会館ホールで、群馬・市東さんの農地を守る会が呼びかけた「市東さんの農地を守ろう!9・26群馬集会」が、昨年を上回る広い層からの協力を得て、88人の参加でかちとられました。
 集会に先だって三里塚の記録ビデオが上映され、今年前半期の激闘が日帝とNAA(成田空港会社)を追いつめていることに、参加者全員が確信を持ちました。
 司会の開会宣言を受けて、主催者あいさつに立った共同呼びかけ人の高階(たかはし)ミチさんは、「昨年の9月に市東さんを迎えての集会を開いてから1年、三里塚現地集会や、裁判の傍聴に参加してきました。今日の集会も多くの方々ががんばって宣伝し、市東さんの闘いを広めてくれました。これからも皆さんと力を合わせて市東さんの農地を守りましょう」と呼びかけました。
 守る会事務局から、「労農連帯の強化で市東さんの農地を守ろう」と熱をこめた基調が提起され、「市東さんと連帯する、職場と地域から」の発言に移りました。
 毎週、門前ビラまきをして職場闘争を闘う地元高崎の鉄鋼労働者、自治労で闘う青年労働者、群馬合同労組委員長の青年、裁判員制度と闘う弁護士が次々と登壇し、自らの職場闘争を三里塚と一体で闘う報告と決意が述べられました。
 群馬・動労千葉を支援する会(準)は、「10月17日にこの同じ労使会館で結成集会を開きます。10・10三里塚−11・7日比谷労働者集会の大結集で市東さんの農地を守ろう」と、熱く訴えました。さらに会場から、不当な大規模開発と闘う議員と、三里塚をたたかう全群馬実行委・小池正男代表から、熱烈な決意が表明されました。
 さらに、市東さんの来県を歓迎してフルートの演奏が披露されました。 いよいよ市東孝雄さんの登場です。満面の笑みで登壇した市東さんは、次のように訴えました。
 「私の会を作ってもらって群馬へ伺うのは3回目。来るたびに参加者が増えることで、皆さんが一生懸命やってくれていることが分かり感謝しています。NAAの看板を壊したことで5月17日に逮捕されましたが、そもそもあの時点では市道はNAAのものではないんです。向こうは不当なことをやっていることが自分らで分かっているから、私が抗議に行ったら逃げちゃった」「今や、労働者も農民も食べられない状況を強いられています。農民の時給は300円といわれる。全国の農民の怒り、労働者の怒りの先頭で闘っているのが三里塚です。この闘いに勝利するために10・10集会への結集をよろしくお願いいたします」
 激闘に勝利して、日帝もNAAも頭からのんでかかる風格を感じさせる市東さんに、参加者は心底からの感動を覚え、ともに闘う決意を固めました。 
 千葉から参加された「市東さんの農地取り上げに反対する会」の方からは、この間の闘いの報告と群馬への熱いエールをいただきました。
 市東さんの訴えを受けて、守る会事務局長が10・10三里塚集会結集とカンパのアピールを行いました。集会のまとめで青柳晃玄さんが「負けた心にならない限り、われわれは勝つ。市東さんは勝っている。まっすぐな生き方を貫こう!」と力強くアピールし、これまで集めた賛同金と会場カンパを市東さんに手渡しました。
 市東さんへの拍手が鳴りやまぬ中で、参加者全員が熱い気持ちで「反対同盟の歌」を大合唱し、「10・10三里塚にバスで行こう」と約束しあいました。
 集会後の交流会にも20人を超える方がかけつけ、三里塚と群馬の連帯を一層深めました。
 集会の直後に「本日、三里塚のことを知りました。親子3代にわたって守り抜いてこられた市東さんのご苦労に胸が震える思いで、会員になることを決意しました」という手紙をくれた方をはじめ、3人が会への加入を申し込まれました。
 市東さんは「労働者をワーキングプアにおとしめる国や会社のやり方は許せない」と述べていました。そういう状況の中で、反対同盟や動労千葉のように「絶対反対」を貫いて闘っている姿は初めての人にとって非常に新鮮で、感動的で、直ちに参加し一緒に肩を組める情勢なのだと実感しました。10・10―11・7へさらに進撃しよう。
 (群馬・T)
(写真 「10・10三里塚へ行こう!」との呼びかけで参加者が心をひとつにした群馬集会【9月26日 高崎市】)

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週刊『前進』(2458号6面2)(2010/10/04 )

 11・5現闘本部裁判へ

 東京高裁 事実調べ打ち切り許すな

 11月5日、東京高裁において天神峰現闘本部裁判控訴審の第2回弁論が開かれる。
 10・10全国集会の大結集から、10月の白熱的現地攻防を闘いぬいて、11・5現闘本部裁判闘争に立ち上がろう。
 一審判決は明け渡しを求める不当判決だが、反対同盟は顧問弁護団、支援とともに全力で闘い、数々の違法不当な訴訟指揮を行った千葉地裁・仲戸川裁判長を徹底弾劾し、仮執行宣言(判決の確定を待たずに建物を撤去できる)を付けることを粉砕した。そのことは日帝とNAAを一層焦りと動揺の中に陥れた。日帝国家権力は控訴審で、事実調べを打ち切って早期結審することを狙っていることは火を見るよりも明らかである。絶対に許してはならない!
 NAAは安全を無視して「へ」の字に蛇行する無様でいびつな誘導路建設を自ら強行しておきながら、今は「直線化にじゃまだから本部を撤去しろ」と要求している。まさに国家的地上げ屋の暴挙だ。2月、日帝・NAAの手先に成り下がった仲戸川裁判長は、建物の検証もせず、反対同盟の明確な地上権を否定し、法廷で違法・脱法的な手法まで使って不当判決を出したのである。控訴審ではこれらの一つひとつを徹底的に再検証し、石橋恵美子証人の再喚問を実現しなくてはならない。
 11・7労働者集会のまさに直前にあたる日だが、そうであればなお一層、労働者、学生、人民が力を合わせて霞が関に大結集して、法廷と裁判所周囲を「現地検証と証拠調べを徹底的に行え! 早期打ち切り策動許すな!」の声で満たそう。
 この法廷内外を貫く闘いが、市東さんの農地と第3誘導路建設をめぐる攻防にも連動する。
 44年の不屈の歴史を誇る三里塚が日々勝利していることは、今日の大恐慌情勢のもとで権力・資本の攻撃と闘う労働者階級にとってかけがえのない希望であり、世界も注目している。
 10・10三里塚から11・5現闘本部裁判控訴審闘争へ立ち上がろう。

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週刊『前進』(2458号6面3)(2010/10/04 )

 市東さんの陳述 9・10農地裁判

 農地は私たち農民の命だ 農にまさる「公共」はない

 9月10日千葉地裁での農地裁判の市東孝雄さんの陳述要旨を紹介します。「農地死守」の決意に全力で応えよう。(見出しは編集局)

 不当逮捕に抗議

 5月に予定された裁判が、私に対する不当な勾留で延期になり、今日になってしまったことは誠に遺憾です。こうした事態をもたらした市道廃止と不当逮捕に強く抗議したいと思います。
 今回の事件とこの農地取り上げ裁判は、まったく一つのことだと思っています。
 そもそもの原因は、農家の声をふみにじった力の政治であり、場当たり的な空港建設です。機動隊を含めると死者7人、逮捕・投獄のべ3300人、負傷者のべ6500人。国の暴力に対して、身体ひとつの農民・労働者・学生が、必死に抵抗したのが三里塚の歴史でした。
 この力による空港建設を、政府は謝罪しました。空港会社の黒野前社長は「人としての尊厳を損なうようなことは二度とやらない」とわび状を書きました。
 ところがその直後には、東峰地区の民家にぶつかるように低空を飛ぶ暫定滑走路を建設し、「効率が悪い」からと言って誘導路を2本にしました。東峰の民家は空港の中に取り込まれ、爆音と墜落の恐怖のなかで生活しています。
 そしてついに、私の家のすぐ横に3本目の連絡誘導路を造る計画を持ち出しました。私の家は騒音をふりまく2つの誘導路で囲まれます。
 江戸時代の図面にも残る里道で、今も一日150台の車が通り、私の農作業にとってもなくてはならない市道を廃止する暴挙も、この場当たり的な空港造りがもたらしました。これに強く抗議したらすぐに逮捕。23日間も勾留されたあげく、不起訴で釈放。こんなひどい話はないと思う。

 許せぬ欠陥空港

 欠陥だらけの暫定滑走路は造るべきではなかったのです。
 今日の農地取り上げ裁判は、暫定滑走路の「へ」の字誘導路を真っすぐにするために、畑を強引に取り上げようとする裁判です。「へ」の字に曲がるから造るべきでないものを、「安全性に問題ない」と言って強引に建設しました。使い始めたら「効率が悪い」「畑が曲げているのだから裁判で取り上げろ」というのです。
 信号機で通行規制しなければ使えないのだから効率が悪く危険なことは始めから分かっていました。自分でつくった不具合ですが、その不具合を口実に、今度は農地を取り上げる。どうして納得できますか。
 今、空港会社は一坪共有地を取り上げて、「へ」の字のカーブを緩和する工事を進めています。でもそれで広がる滑走路と誘導路の間の距離は、わずか13b。国際的な安全基準からすると62・5bも足りません。ところが空港会社は、「信号機をはずして効率がよくなる」と宣伝しています。これでは尼崎の鉄道事故や、成田で起きた貨物機の激突・炎上事故の二の舞です。
 羽田を「ハブ(基幹)空港」にするという国の政策に、空港会社はあわてて「年間30万回離着陸」を打ち出しました。3本目の誘導路や、「へ」の字の緩和などの無謀な工事はこのためです。人の命を考えない空港会社に、怒りがこみ上げます。
 私は行政訴訟で千葉県の責任を追及したいと思います。私は畑に対する数々の農地法違反や、位置の誤りについて、調査を申し立てましたが、結局、何もしないで無視されました。
 そうして出された無責任な許可決定を錦の御旗に、空港会社は裁判を起こしました。そして一帯をコンクリートで埋める動きにつながって、市道の閉鎖と不当逮捕をもたらしたと思っています。
 民事裁判については、父・東市と私に対する空港会社のデタラメを、徹底的に追及する裁判として闘いたいと思います。これは、場当たり的な拡張工事との闘いでもあります。

 耕すものに権利

 農地は私たちの命です。「耕すものに権利あり」です。農家はそうしてこそ守られると思う。
 農は公共そのものなのです。「政治とカネ」「ゼネコン」「ワイロ」の公共事業で、環境が破壊され、農地がどんどんつぶされました。その結果が今の社会のゆきづまりではないでしょうか。農地を守り、畑をつくり続けることは、これにまさる公共だと信じています。
 まして農民の権利を掲げて国と闘い続ける三里塚のなんたるかをしっかりと見て欲しい。空港が戦争に使われることにも反対する私の気持ちは、沖縄とひとつです。
 国や会社のいいなりになる裁判は公平とは言えません。強権から人々を守ることこそ裁判所の役割であると信じるものです。
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 三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん耕作権裁判
10月18日(月)午前10時30分 千葉地裁
◎現闘本部裁判控訴審
11月5日(金)午後2時 東京高裁
※傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を

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週刊『前進』(2458号6面4)(2010/10/04 )

 9・25横須賀 青年労働者に11月訴え

 基地・戦争への怒りと合流

 9月25日、「空母母港化37周年・原子力空母ジョージ・ワシントン横須賀基地母港化2周年抗議・原子力空母配備撤回を求める9・25神奈川集会」が、2700人の労働者の結集で行われた。
 神奈川労組交流センター、婦人民主クラブ全国協議会、とめよう戦争への道!百万人署名運動や反戦共同行動委員会が、「沖縄・横須賀から基地撤去を」「戦争を絶対に阻止する労働運動をともにつくりだそう」と11・7日比谷野音への結集を訴えた。
 集会の中身は、菅政権による釣魚台侵略への弾劾はおろか、ジョージ・ワシントンが日本海などでの米韓合同軍事演習に参加し、対北朝鮮・中国侵略戦争の要に位置していることへの言及すらなく、闘いを原子力空母の安全性に切り縮める許しがたいものだ。
 体制内労組幹部たちが反戦闘争を放棄したばかりか、労働者階級の侵略戦争絶対反対の意思を労働組合の名で抑えつけるものに転落したことを完全に示した。
 現場労働者は戦争に対して怒り、労働組合として闘いに立つことへの誇りに満ちている。「今日は初めて集会に参加しました」と笑顔で話しかけてくる青年労働者。激しい人員削減攻撃と闘いながら組合員の多数で参加したと誇らしげに語る鉄道労働者のグループ。ものすごい熱意と意気込みだ。「攻撃の中で組合がガタガタにされている。いかに組合が勝負できるかだ」「労働運動の力で戦争を止めることに賛同します」など、青年労働者と労働組合をめぐり論議がわき起こった。
 すべての回答は、国鉄全国運動と11・7労働者集会の成功にある。集会賛同が次々と寄せられ、チケットが売れた。
 デモ行進では、横須賀米軍基地ゲート前で「教え子を再び戦争に送らないぞ」とものすごい気迫と勢いでシュプレヒコールをあげた教育労働者の大隊列は圧巻だった。労働組合には戦争を止め、社会を変える力がある。問題は指導部だ。国鉄全国運動を武器に、11・7労働者集会1万人結集で、民主党・連合政権を打倒し、闘う労働運動をよみがえらせよう!
(写真 米空母の横須賀母港化に怒り2700人が結集)

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週刊『前進』(2458号6面5)(2010/10/04 )

 職場からの報告

 労組青年部の怒りと団結の力で雇い止め解雇を撤回させたぞ!

 首都圏・A病院労組青年部 白銀義雄

 9月初めに、私たちの病院で非正規で3人の子どもを持つ青年労働者に対して、突如「今月末で来なくていい」と雇い止め解雇攻撃がありました。
 「組合だったらなんとかしてくれるんだよね?」「彼女がいなくなるのは絶対にイヤだから、できることがあったら何でも言ってほしい」とすぐに血相を変えて言ってくる仲間も出ました。現場は「こんな解雇など絶対に認めない!」という激しい怒りにあふれていました。しかし同時に、当該の青年を始めとして激しい動揺もありました。これこそ今、全国に無数にある青年労働者が置かれている現状なのです。
 組合執行部が断固として方針を提起するなら、必ず団結して立ち上がる――私たちはこう確信し青年部を先頭に直ちに組織化を開始しました。
 組合の集会や職場で呼びかけると、瞬く間に全労働者が注目し共感しました。それは解雇の理由がデタラメ(「契約期間中に子どもの病気が理由の欠勤が続き、労働契約である週3回の勤務を満たしていない」というが、実際にはそんなことはない)ということもありますが、現場に渦巻いていたのは、「資本は青年労働者をモノのように扱い、家族が路頭に迷っても構わないと言っている。絶対に許してはいけない!」という怒りです。極限的な人員不足の中、「これ以上人が減ったら職場の安全はどうなってしまうんだ!」という声も噴き出ました。
 私たちは満を持してビラまきと解雇撤回署名を開始しました。これまで署名活動などしたこともなかった青年が8人も病棟前に立ち、1日で100筆近い署名が集まりました。正規・非正規、職種の壁を越えた怒りの決起が起こったのです。
 これに驚がくした経営は、署名行動の翌日、わずか1日で解雇を撤回しました。労働者は団結すれば勝てるということです! 私たち青年部は勝利宣言を出しました。
 振り返ってみると、今回の非正規職労働者の解雇は突然起きた問題ではなく、この間、経営が人件費削減を掲げて行ってきた徹底的な合理化との闘いであり、菅政権の新成長戦略の医療・福祉における「284万人非正規化」との闘いそのものでした。核心は闘う労働組合解体、とりわけ青年部破壊攻撃でした。まさに国鉄4・9政治和解情勢との対決そのものだったのです。
 今回の勝利にとって決定的だったのは、4・9情勢との対決を見すえ、青年部を先頭にこの間、反合理化闘争を系統的に積み重ね、同時に「6・13国鉄大集会にオレたちの未来がある!」と国鉄全国運動を担ってきたことでした。この過程で現場の労働者が新自由主義に激しく怒り、ひとつになって立ち上がった。今回の勝利は、こうした地道な闘いの積み重ねで初めてかちとられたのです。
 言うまでもなく、自分たちの職場だけで労働者は勝てるわけではありません。あらゆる職場に闘う労組青年部を甦(よみがえ)らせる中に、青年労働者の未来を切り開く道があります。新たな国鉄全国運動を握りしめ、青年部を先頭に11月集会に1万人を集める中に本当の勝利があります。
 非正規職・派遣法撤廃! 国鉄1047名解雇撤回! 私たち若い労働者が未来を描ける社会を目指し、闘う労組青年部を甦らせよう! 団結して闘いましょう!

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週刊『前進』(2458号6面6)(2010/10/04 )

日誌'10 2010年 9月22日〜28日

 中国がレアアースを禁輸/日米外相会談「釣魚台は安保対象」

●嘉手納機、那覇空港使用も 米空軍嘉手納基地で10月から開始される滑走路改修工事に伴い、1年半にわたり同基地所属のF15戦闘機が緊急時に普天間飛行場を使用することに関して、嘉手納基地報道部は那覇空港の使用もあり得るとの認識を示した。「作戦活動は常に那覇と普天間を統合しつつ実施している」「これら飛行場は互いにとても近接していて選択を可能にしている」と述べた。(22日)
●日米首脳会談 菅首相がオバマ米大統領とニューヨーク市内で会談し、対中国関係について、日米が緊密に連携していくことで一致した。日米同盟をさらに強化する方針も確認した。西太平洋の海洋問題について、今後緊密に協議していく方針で合意した。米軍普天間飛行場移設問題については、日米共同声明に基づき名護市辺野古崎への移設を目指す方針をあらためて確認した。(23日)
●中国がレアアース禁輸 中国の複数の関税で、ハイテク製品の生産に不可欠なレアアース(希土類)の日本への輸出が止められていることが分かった。釣魚台(ちょうぎょだい=日本名「尖閣列島」)問題を受けた事実上の禁輸措置と見られる。(23日)
●日米外相会談「釣魚台は安保対象」
 訪米した前原外相がニューヨークでクリントン米国務長官と初めての日米外相会談を行った。クリントンは緊張する日中関係について、釣魚台について「安保条約は明らかに適用される」と述べた。(23日)
●中国でフジタ社員4人が拘束 中国河北省で軍事管理区域に侵入、違法に軍事施設をビデオ撮影したとして日本人4人が国家安全機関の取り調べを受けている事件で、4人はゼネコンのフジタの関係者と判明。日本外務省などが明らかにした。釣魚台沖での中国漁船衝突事件以降、中国で日本人の拘束が明らかになるのは初めて。(24日)
●中国人船長を釈放 釣魚台沖で石垣海上保安部(沖縄県石垣市)の巡視船と中国漁船が衝突した事件で、同保安部が公務執行妨害の疑いで逮捕し、沖縄県警八重山署に勾留していた中国人船長を処分保留のまま釈放した。中国外務省は「日本側は謝罪し、賠償すべきだ」との声明を出した。日本外務省は「まったく受け入れられない」と拒否した。(25日)
●回収弾4064個 沖縄県北中城村の泡瀬ゴルフ場跡地で米軍の未使用弾などが大量に見つかった問題で、沖縄防衛局は、陸上自衛隊不発弾処理隊が回収した弾数が、最終的に総数4064個と火薬14`に上ると発表した。ゴルフ場跡地での磁気探査は8月2日〜9月17日の間行われ、その都度陸自が回収した。(27日)
●沖縄県議会が抗議決議 沖縄県議会が日中両政府に対する「尖閣諸島海域での中国漁船領海侵犯事件に関する抗議決議」を全会一致で可決した。日本政府に対して、中国人船長を処分保留で釈放した措置などに抗議し、中国政府に対しては「尖閣諸島が石垣市に属する本県の行政区域であることは疑問の余地がない」とする内容。(28日)

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週刊『前進』(2458号7面1)(2010/10/04 )

 裁判員制度を今こそ廃止へ

 10・20東京集会に結集を

 検察の大犯罪に断を下そう!

 「憲法と人権の日弁連をめざす会」が主催する「幕引きの秋(とき)裁判員制度 10・20集会」が10月20日(水)夜、東京・弁護士会館2階の講堂クレオで行われる。めざす会代表の高山俊吉弁護士は、「裁判員制度をめぐる情勢と反対運動は、確実に新たな高みを迎えている」「(10・20集会で、裁判員制度を)倒す思想をうちかためよう」(裁判員制度はいらない!全国情報12号)と訴えており、集会内容はそれに応えるものとなっている。検察と司法の史上最大の危機を裁判員制度廃止のチャンスにして集会の大成功をかちとり、11月闘争へ前進しよう。
(写真 日比谷公会堂を1800人の熱気と決意で満たした「裁判員制度にとどめを!5・18全国集会」)

 拒絶8割、総破綻の危機に

 昨年8月の裁判員裁判開始から1年2カ月、制度粉砕の闘いは勝利の展望を圧倒的にかちとってきた。なによりも、依然として人々の8割超が裁判員制度に消極的で拒絶的だという、不動の現実である。そして、裁判所からの呼び出しに従わない人がますます増加しているにもかかわらず、一人も処罰できない(裁判員候補者の不出頭等に対する過料10万円)という現実を切り開いている。
 さらに、法施行から今年7月末までの裁判員裁判対象起訴事件のうち、判決を言い渡せたのは半分以下の43%(2300件中1000件)という破産的な現実を突きつけている。9月17日付の法律新聞1面で大林宏検事総長は「全国の検察庁が、相当数の未済事件を抱え、その中身も複雑困難な事件が少なくない」「今後数が多くなる上に現場も時間的な余裕がなくなってくると予想される」と嘆いている。実際、10月からは死刑求刑が予想される事件など重大難題案件が相次ぐ。事件処理の滞留状況の悪化はますます不可避だ。
 「国鉄改革」「政治改革」に次ぐ新自由主義攻撃であった「司法改革」。その柱であった弁護士激増政策も完全に行きづまり、法科大学院(ロースクール)も「整理・統合・廃校」が始まっている。裁判員制度の危機は「司法改革」攻撃の総破綻の頂点にある。
 こうした中で、いわゆる「郵便不正事件」で厚生労働省の元局長に対する無罪判決(9月10日、大阪地裁)、北九州「つめ切り事件」の逆転無罪判決(9月16日、福岡高裁)と、検察の失態が相次いで露わとなった。その上に、郵便不正事件の押収資料(フロッピーディスク)を主任検事が改ざんして逮捕される未曽有の権力犯罪が発覚した。検察組織は今、史上最大の危機にある。
 重要な点は、検察庁と裁判所と日弁連執行部は、この問題が裁判員制度を直撃することを最も恐れているということである。すでに裁判員制度粉砕の闘いは、弁護士戦線を先頭に、司法権力という日帝権力機構の中枢部を揺るがす全人民的な大反乱に向かって進んでいる。検察の歴史的危機をチャンスととらえ、「検察庁解体、裁判員制度廃止」を掲げ、闘争の爆発力に転化しよう。

 「ラフ司法」で冤罪増加必至

 第一に、検察の失態と犯罪がここまで露わとなった最大の理由は、裁判員制度が導入されたからである。
 裁判員制度の導入に伴って「精密司法から核心司法へ」の転換が進められてきた。「核心司法」とは「(裁判員に対して)分かりやすい司法」すなわち「ラフ司法」、つまり被告人を「市民の目から」弾劾するために好都合な焦点を勝手に設定し、証拠は極力絞って事実認定を単純化し、超短期審理で刑を決めてしまうやり方だ。犯罪を誰がどのようにして行ったかを正確に究明することを捜査と裁判の建前としていた従来のやり方・考え方を根本的に変えてしまい、動機や犯行場所の特定すら不要とする。
 そうした「裁判員時代」の捜査方法・公判方法の指導のもとで検察のエリートと言われる連中が走り出している。「裁判員に事件をどう説明するかばかりに力点が置かれ、肝心の取り調べや証拠の収集がおろそかになっている」(特捜部OBの検察幹部、朝日新聞9・11付)。これが「核心司法」すなわち「ラフ司法」の実態だ。法大裁判や5・27国労臨大弾圧裁判闘争が明らかにしたように、検事の訴訟遂行能力はすでに地に落ちている。
 この「ラフ司法」と裁判員裁判が一体で進められると、冤罪が激増することは必然だ。厚労省の元局長は1年近く法廷闘争を闘って無罪をかちとったが、裁判員裁判は2日や3日の審理で判決を出してしまう。そんな短期間で真実が明らかにされるわけがない。無実を叫ぶ被告が裁判員裁判で無罪をかちとることは不可能に近い。

 検察シナリオ裁判所が支え

 第二に、「特異な検事の暴走」や「特捜部」の問題ととらえるのではなく、検察の本来的な問題、司法権力の全体構造の問題であることを暴かなければならない。
 「捜査過程の透明化」とか「取り調べの可視化」というごまかしの議論が行われている。今回の押収資料の改ざんは、「取り調べ」という次元の問題ではない。可視化で問題は何も解決しない。検事の作文が最も有力な証拠とされてゆくあり方が問題なのだ。
 検察は起訴権限を独占し、犯罪事実があっても実際に起訴するか否かを決める裁量権を有している。つまり検察は、捜査から起訴、求刑、上訴、刑の執行の指揮まで、刑事司法のあらゆる分野で強大な権限を行使する存在である。
 その検察が、主任検事が描いたシナリオに基づいて事件をつくるのである。検事調書は関係者の証言をそのまま書くわけではなく、検事のシナリオに合わせて書き換える。つじつまが合わない、都合の悪い証拠は隠してしまう。戦後史に残る冤罪の松川事件では、被告人のアリバイを証明している「諏訪メモ」を検察側は最後まで隠していた。検察とはそういうことを必ずやるのだ。
 その検察を支えてきたのが、実は裁判所である。検察が証拠隠しやデッチあげをやっても、裁判所が必ずフォローしてきた。戦後においてすら司法とはそういう構造だった。その中で証拠改ざん検事が生まれたということだ。
 この司法の全体構造を全人民に知られ、裁判員制度の問題に結びつくことを恐れているのが最高裁判所だ。裁判員法の第1条は、「国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資する…」と書いている。つまり、戦後一貫して政府と大資本の利益の救済者でしかなかった日本の司法に対する人民の信頼は、完全に地に落ちている。その回復と向上を狙うのが裁判員制度というわけである。そのたくらみが今、音を立てて崩壊しようとしているのである。

 「草の根翼賛運動」を許すな

 裁判員制度をめぐる情勢としてもう一つ、制度推進の弁護士や制度支持の市民団体、裁判員経験者が主催者となった「裁判員経験者ネットワーク」が、この8月に立ち上げられた。推進弁護士は日共系から右翼、元最高裁判事らまでが勢ぞろい。「経験を一般市民に分かち合う」「制度をよりよくする」ことを掲げている。9月20日に東京で「交流会」が開催されたが、参加した裁判員経験者はわずか7人、このネットワークに登録したのはたった13人で、4000人近い経験者からほとんど背を向けられたのである。
 しかしこのような「草の根翼賛運動」が始まっていることは軽視できない。最も熱烈な制度推進派弁護士の一人は、「皆が社会のことを考えるこの仕組みは、司法制度にとどまらず社会制度や政治制度でもある」(『世界』7月号)と言い放った。これは民主党政権の「新しい公共」論と同根である。
 そもそも「司法の国民参加」の狙いは、「裁判官のまねごとをさせて、”この国の治安を守り、この国を支えるのは自分だ”と、一人ひとりの国民に思い込ませるところにある」(高山弁護士)。そこにあるのは滅私挺身(ていしん)の奉公を求める「赤紙の思想」であり、国民の戦争動員の攻撃そのものである。裁判員制度粉砕の大衆闘争は、この歴史的な大攻撃を完全にうち砕く闘いである。
 それゆえ裁判員制度粉砕の闘いは、改憲阻止の闘いである。改憲とは支配形態の全面的転換、つまり戦争ができる国家への大改造であり、人民分断攻撃である。裁判所への出頭を命じて人を裁く義務を課し、国家刑罰権の発動に人民を動員していくことは、国家と人民とのあり方の原理的転換にほかならない。
 支配権力の破綻の裂け目に沿って今、労働者階級人民の怒りが噴き上がろうとしている。闘う弁護士戦線とともに10・20集会の圧倒的成功をかちとり、11・7労働者集会の1万人結集へ、G20・APEC・日米首脳会談粉砕へ突き進もう。
 〔花石佳美〕
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 幕引きの秋 裁判員制度 10・20集会
10月20日(水)午後6時〜8時
東京・弁護士会館2階講堂 クレオ(東京メトロ・霞ケ関駅B1出口)
●講演 池田浩士さん(京都大学名誉教授)
 「ファシズムは市民参加で!――ボランティアから裁判員まで」
●報告 高山俊吉さん(呼びかけ人・弁護士)
 「ここまできた!破綻」
●ビデオメッセージ 高橋伴明さん(映画監督)
 「国のタクラミが気にくわない」
●各地の取り組みと報告
主催 憲法と人権の日弁連をめざす会

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週刊『前進』(2458号7面2)(2010/10/04 )

 戦争と改憲を狙う菅政権の辺野古新基地建設粉砕せよ

 自衛隊の南西諸島配備も画策

 菅改造内閣は、日帝の未曽有の危機の中で、ブルジョア救済内閣としての本性をむき出しにし、「新成長戦略」のもとに、連合ダラ幹を巻き込んで公務員大攻撃に突っ走っている。そして、辺野古新基地建設に関する日米共同声明を強行することを宣言し、中国領・釣魚台(ちょうぎょだい、「尖閣諸島」)への侵略軍事行動を展開して、戦争と改憲の道を進んでいる。菅政権と真っ向から対決して安保・沖縄闘争を強化し、11・7労働者集会の爆発をかちとろう。
 鳩山が迷走の末、辺野古回帰の日米共同声明を発表して失脚した後、菅はこれを既定の路線として、「日米共同声明を履行する」ことに突き進んでいる。1月の名護市長選に続き、9月12日の名護市議選で辺野古新基地建設反対派が勝利したことは、大きな打撃となった。だが、それでも「誠心誠意説明して理解を求める」(仙谷官房長官)「より一層丁寧に説明したい」(北沢防衛相)として、辺野古への「移設」方針に変更がないことを力説している。
 民主党政権になって初めての「防衛白書」では、普天間基地の県外・国外移設は「海兵隊の機能を損なう」と否定し、「代替施設を決めない限り普天間が返還されることはない」と露骨に明記している。

 危険増す一方の普天間基地

 米軍嘉手納基地は10月から約1年半にわたり滑走路改修工事を行うとして、2本ある滑走路の1本が使えなくなるため、同基地のF15戦闘機が緊急時に普天間飛行場に着陸すると発表された。そのダイバート(目的地変更)訓練が9月22日に行われ、2機が普天間の滑走路に進入した。低周波で響くヘリの音とは対照的な、高音で耳をつんざくような轟音(ごうおん)が住民を襲った。これが今後1年半、常態化しようとしている。
 「世界一危険な空港」(7月29日、普天間爆音訴訟控訴審判決)と言われた普天間基地の現実は「危険の除去」とは正反対だ。

 隠蔽されてきたオスプレイ

 8月31日、政府は、辺野古の「代替施設」について、滑走路を2本とする案(V字案=06年に日米合意した現行案)と、1本とする案(I字案=日本政府の新たな提案)の2案を併記した日米の専門家による検討結果報告書を公表した。両案の飛行経路については日米で意見が一致せず、協議を継続するとして明記されなかった。
 この協議の過程で、飛行経路についてのこれまでの日本政府の説明は集落の上を飛ばないかのように狭く描いたものであることが米側の指摘で明らかになった。米軍は滑走路使用上の制約を排除したいのだ。報告書とは名ばかり、飛行経路自体がまとまらない、結論のない無内容さだ。
 この飛行経路の問題は、米軍が新たに配備しようとしている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて一貫して日本政府が隠蔽(いんぺい)してきたことと一体の問題だ。このオスプレイは、これまで開発途上で多くの墜落事故を起こし、死者を出している欠陥機である。「負担軽減」どころか、さらに危険性が増すのであり、許し難い攻撃である。
 両案併記というが、海上埋め立て面積を120f(I字案)にするか、160f(V字案)にするかという違いでしかない。V字案であろうがI字案であろうが、新たな最新鋭巨大基地の建設であることは同じであり、問題にならない。

 釣魚台侵略と沖縄基地強化

 この交渉の過程で、日帝は「辺野古新基地の日米共同使用」を米側に提起した。米帝は同意しなかったものの、「日米作業チームを作る」ことでは一致した。
 北沢防衛相は、「(普天間代替)施設を自衛隊と米軍が共同使用することが、日本の安全保障はもとより地元・自衛隊・米軍の3者の間でより強いきずなをつくるための一助となる」「共同使用を増やして沖縄の負担を軽減する(?)」と述べ、この共同使用で、自衛隊を加えることが県民の反発を和らげるものであるかのように言っている。何たることか!
 沖縄県民は、旧日本軍によって沖縄戦の地獄にたたき込まれ、集団死を強制され、スパイと呼ばれて殺され、食料や住居を強奪され、強制労働させられるなど、ありとあらゆる辛酸をなめさせられた。旧軍を引き継ぐ自衛隊に対して、拒絶する闘いが連綿と続いてきたのは、沖縄戦の体験が骨身にしみているからであり、親から子へ孫へ語り継がれてきたからだ。
 日帝は、この関係をひっくり返そうとしているのだ。民主党政権の恐るべき凶暴さを示すものである。
 8月27日、首相の私的諮問機関、新安保懇(新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会)が提出した報告書の中で、陸上自衛隊を南西諸島に配備することがうたわれている。さらに、「陸自の海兵隊化」が打ち出されている。来年度予算にその調査費が組み込まれ、年末の新防衛大綱にもこれは盛り込まれる。
 陸上自衛隊西部方面総監部(熊本県)の隊員らが9月26日から、宮古や石垣など南西諸島の主要な島を現地調査した。釣魚台問題が焦点化している最中の行動は、明らかに自衛隊南西諸島配備のための行動だ。
 日帝は釣魚台侵略の中で対中国排外主義をあおり自衛隊を強化し「自分の国は自力で守る」思想攻撃を強めている。だが、それは日中戦争、沖縄戦を再現する道であり、絶対に許してはならない。
 この問題は、「自国帝国主義の領土・領海問題に対して労働者階級のとるべき態度」を深刻に問うている。帝国主義の領土略奪と人民分断攻撃に対して、「労働者階級に国境はない。中国労働者階級と連帯して闘おう」というプロレタリア国際主義、革命的祖国敗北主義をもって立ち向かわなくてはならない。
 この問題で、9月の日米外相会談の際、クリントン国務長官が「尖閣は日米安保条約第5条(共同防衛)が適用される」と発言したことは重大だ。米帝として、日帝・自衛隊が釣魚台で中国と衝突したら、日帝とともに「安保を発動」すると言っているのだ。
 米帝はこの間、米海軍佐世保基地所属の掃海艦「ディフェンダー」を地元自治体の抗議を無視して宮古島市の平良(ひらら)港に強行寄港させた。これも、釣魚台をにらんだ、南西諸島での米帝の存在感を示すための示威行動である。
 日帝は、釣魚台侵略を通じて、「抑止力としての米海兵隊の意義(さらにそれと一体的に活動する自衛隊の意義)」を押し出し、辺野古新基地建設を推進するテコとしようとしている。そして、沖縄の体制内勢力は、すべてこの排外主義攻撃にのみ込まれ、侵略に加担しているのだ(沖縄県議会は全会一致で排外主義決議を上げた)。日本共産党はその最先兵の役割を果たしている。
 だが、日帝・菅政権がこのことで「抑止力」を振りかざし、辺野古新基地建設、沖縄基地強化、自衛隊配備強化を正当化しようとすることは、帝国主義の墓穴を掘るものだ。まさに米海兵隊と自衛隊は、帝国主義的侵略戦争のために沖縄に存在するのであり、現にイラク、アフガニスタンに侵略出兵して人民を虐殺し、北朝鮮、中国に対する侵略戦争を発動しようとしているのだ。

 基地撤去・安保粉砕を貫こう

 したがって、普天間基地即時閉鎖・撤去、辺野古新基地建設阻止の闘いは、帝国主義の侵略と戦争に対する反戦政治闘争でなければならない。そうであるならば、けっして「県外・国外移設」要求ではあり得ないのだ。侵略と戦争(人民虐殺)のための軍事基地はどこであろうと造らせてはならない。
 菅新政権は、辺野古新基地建設反対、基地撤去の怒りの高まりに阻まれ、立ち往生している。7月参院選でも沖縄で民主党候補を立てられず、不戦敗した。参院選全体の敗北を象徴するような惨状だったのだ。11月県知事選でも、いまだに政府与党の候補を立てられず、展望がまったくない。仲井真知事でさえ「日米合意の見直し」を打ち出さなければ勝負にならないと認めている。
 菅が決定的に追いつめられ、再び沖縄が政権の命取りとなる情勢がやってくる。だからこそ、根源的な闘いが求められている。「普天間基地撤去・辺野古新基地建設阻止」の闘いには、あいまいな「落としどころ」はない。沖縄基地撤去・安保粉砕しかないのだ。それは日帝打倒そのものだ。一切の体制内勢力は、日帝の存立と安保同盟を前提に、「県外・国外移設」の要求にねじ曲げている。日共は「アメリカとしっかり交渉する」ことを政府に求めるだけだ。
 絶対反対派として、帝国主義政府に非和解的に対決すること、帝国主義に階級的労働運動の前進をもって立ち向かうこと、すなわち国鉄全国運動の前進で労働組合を階級的によみがえらせることが必要なのだ。菅政権を支える連合の支配を打倒し、階級的労働運動が主導権を握ることが鍵だ。11・7労働者集会の大成功こそが、安保・沖縄闘争を切り開く道だ。
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 民主党政権の1年と沖縄問題

2009年
8.30 衆院選で自民党敗北、政権交代が確定
9. 9 民主、社民、国民新党が連立政権合意
16 3党連立の鳩山内閣が発足
11. 8 辺野古新基地建設反対の県民大会に2万1000人
13 オバマが初来日、日米首脳会談
2010年
1.24 名護市長選で辺野古移設に反対する稲嶺氏が初当選
4.18 徳之島で移設反対集会に1万5000人
4.25 県民大会に9万人が参加
5. 4 鳩山が就任後初訪沖、「県民の皆さんに負担をお願いする」と県内移設表明
28 日米両政府が辺野古移設に関する共同声明を発表
6. 2 鳩山が退陣表明、小沢幹事長も辞任
6. 8 民主、国民新党の菅連立政権発足
7.11 参院選で与党過半数割れ
28 米国防総省が在沖海兵隊のグアム移転
   14年断念の最終報告
8.30 日米両政府が代替施設の専門家による検討を完了
9.12 名護市議選で稲嶺市長の支持派が圧勝
17 菅改造内閣が発足。前原が外相に

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週刊『前進』(2458号8面1)(2010/10/04 )

団結ひろば 投稿コーナー 団結ひろば 投稿コーナー

 全学連大会に初参加“学生は団結できる” 北陸・学生 室井慎一

 私は、9月9日、10日に行われた全学連全国大会に初参加しました。
 想像していたよりも学生の数が多いことに驚きました。また、真剣に今の情勢をとらえ、学生が何をすべきなのか話す姿に、「日本の学生も捨てたもんじゃない」と感心してしまいました。
 話は変わりますが、学生には不満や怒りが渦巻いています。私の先輩に4年生でまだ就職先が決まっていない学生がいます。また、親のリストラなどにより、授業料が払えず、退学せざるを得ない学生もいます。
 さらにキャンパスでビラをまいただけで不当処分される学生など、いろいろなことから学生の怒りがわき起こっています。
 私は思う。「学生は必ず団結できる」と。学生一人ひとりでは、どうしたらよいのか、怒りをどこにぶつけたらよいのか分からない。その学生たちを団結させる場が、全学連大会であり、各キャンパスの学生自治会だと思うのです。
 今、全学連が学生の主流派になることが重要だと思います。全国の学生は団結しよう!

 問題を共有し解決策模索する格好の大会 富山大学 クマ吉

 今回の全学連大会は、自分の中の問題点を明確にし、これからの闘いをどうするか考える上で重要な大会になりました。
 全国から集まった人たちとの交流で見解を広め、問題を共有することで解決策を模索する格好の場所が全学連大会だと思います。今年で自分の参加は3回目ですが、何度参加しても得るものがあるこの大会は重要だと思います。
 その上で、今回全学連大会は2日になりましたが、本来は3日以上やらないといけないと思います。全国学生の意思統一を図る上で、2日という期間は非常に短いからです。
 自分としては、もっと初参加者の意見も聞きたいし、経験豊富な先輩たちに色々な問題点をぶつけて納得のいく答えを見つけたいと思っています。また、今の時代に、全国学生に通用する全学連をどうつくっていくか気になりました。

 早くも『綱領草案』で党に獲得できた! 首都圏・大学 J

 『綱領草案』の力はすさまじい!
 全学連大会に参加した首都圏の学生を、前進社より先日発刊されたこの『綱領草案』で早くも党に獲得できました!
 今回の全学連大会では学生運動の壮大な復権に向けた実に画期的な提起が行われ、学生同士がこの「戦争と大恐慌」情勢下で自らの生き方をめぐって真剣な討論を行いました。
 その中である首都圏の学生は、反戦闘争を爆発させたいという強い思いを訴え、その最先頭に自分は立って闘いたいと決意表明しました。
 そしてその直後に『綱領草案』での学習会を行い、その中で本当に戦争を止めることができるのは革共同しかないと確信して党への結集を決断したのです! まさにこの学生の決起こそ、壮大な学生運動を爆発させる巨大な一歩であると思います。
 革共同がこの『綱領草案』を出したことは決定的です。「わが党の目的」では、労働者と資本家との階級対立をハッキリさせ、「反帝国主義・反スターリン主義」を貫き、そして労働者党の建設という目的意識性でもってプロレタリア世界革命は達成されるのだと言われています。まさにその通り! 日共や日和見主義的イデオロギーを粉砕するカギもまさにここにあると思います。
 革共同半世紀の闘いの地平の結晶であるこの『綱領草案』でもって、党建設をガンガン推し進めよう!

 無償化から朝鮮学校の排除に反対し集会 東京 加藤正明

 本年4月から「高校無償化」が始まり、東京韓国学校、中華学校、独逸学園など31校の外国人学校・インターナショナルスクールも無償化の対象となりましたが、朝鮮学校だけは排除されたままです。昨年、中井拉致担当大臣(当時)が「北朝鮮と朝鮮総連の支配下にある朝鮮学校は反日教育をしている」「拉致問題があるから朝鮮学校を排除せよ」と騒ぎ、以来、産経新聞が反共・民族差別キャンペーンを繰り返し、橋下大阪府知事と石原東京都知事も「補助金を打ち切る」と言い出しています。これに対し「新たな民族差別を許すな!」と全国で闘いが巻き起こりました。
 9月26日、東京の社会文化会館で「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する全国集会が行われ、約1500人が参加しました。全国に10校ある朝鮮高級学校(生徒数、約2000人)から9校の朝鮮高校生代表が登壇、「高校生だけで約11万筆の署名を集めた(署名数は6月末で50万筆を超えた)。自分たちの力と協力してくれる日本の人の力でのりこえていくことができる」「朝鮮学校は私たちの誇りであり魂だ」「差別に屈することなく闘う」と力強く発言。日本の高校生4人が「大切なのは若い自分たちが声を上げていくこと」「一緒に闘う」と応え、壇上で高校生同士が握手・交歓する姿に感動しました。
 また、「在日一世の思い」として2人のハルモニ(おばあさん)が発言。「3歳の時、両親とともに渡日。昼間は日本語、夜は朝鮮語を両親から教わった」「老体にむち打ってこの差別と闘う」とアピール。大きな拍手が沸きました。
 デモには朝高生・朝鮮大学生・保護者が先頭に立ち、都高教や自治労など労働組合・労働者・市民が続きました。「朝鮮学校を排除するな! 排外主義に反対! 植民地主義をくりかえすな! 日本人は朝鮮学校・生徒と連帯するぞ! 朝鮮学校にも無償化を!」と声を上げ、6`のデモを貫徹しました。
 国鉄全国運動を推進し、これを中心としつつ、「民族・国籍・国境による分断」を許さず、隣の在日朝鮮人と交流し、さまざまな課題を一緒に担い、ともに闘って一歩一歩、信頼関係を築き上げよう。11月集会には多くの在日朝鮮人とともに決起しよう!

 獄壁を越え交流する葉書を星野文昭さんへ 徳島 仙田哲也

 すべての皆さんに星野文昭さんに葉書を出すことを訴えます。毎週、獄中に葉書を出している人もいます。
 結婚記念日を狙い撃ちした夫婦面会禁止がありました。しかし、葉書が届くことで獄中を孤立させていません。特に初めてもらった葉書は、外の団結が広がっていることを獄中に実感させ、大きな力になっています。まだの方、ぜひよろしく。
 観光絵葉書も、星野さんには「旅ができる」と喜ばれます。晩飯の魚がおいしかったなど日常の話もうれしいそうです。ご多忙なら、職場ビラだけもOK。大切なのは、手紙によって獄壁を越えて星野さんが外の仲間や階級を「実感できる」ことなのです。そして、外の私たちが獄壁を越えて獄中細胞を「実感する」ことなのです。
 朝鮮戦争時、松川事件では国鉄共産党細胞ら20人が逮捕、5人が死刑判決。その救援運動は、生死がかかった背水の陣でした。全国の労組員、結核患者会が「松川は、我らへの攻撃だ」と書いた5万枚の手紙が彼らを守りぬきました。
 今、革命情勢の中で国鉄4・9政治和解攻撃、労組破壊、沖縄辺野古新基地建設と激突しています。敵の暴力装置の中心にとらわれている獄中同志への攻撃は、きわめて苛烈(かれつ)であり、直撃的です。
 この中で星野さんは「自分たちの仕事は、外のみんなを励ますこと」と奮闘しています。渋谷暴動闘争を闘った人たちは、今日もプロレタリア階級闘争の盾となり矛となり、安保・沖縄闘争の指揮官として仁王立ちし続けています。
 この抹殺攻撃を、われわれ全体で跳ね返しましょう。11月、壁を突き破る1万人のデモ隊を登場させましょう。その実現に”背水の陣”を敷いて臨みます。
 ★葉書のあて先は「徳島市入田町大久200−1 星野文昭様」です。

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週刊『前進』(2458号8面2)(2010/10/04 )

 マルクス主義学習講座

 『共産党宣言』をとらえ返す(中の続)

 共産主義は特別の運動ではなく労働者の階級的利害を貫くこと


【目 次】
◆「まえがき」部分、第1章前半(2454号)
◆第1章後半(2455号)
◆第2章/プロレタリアと共産主義者(今号)
◆第2章つづき、第3章、第4章(次回)

 プロレタリアと共産主義者 2章

 第2章では第1章を土台に、〈踏み込んだ共産主義論〉が展開される。もちろんあくまでも、資本主義社会に対する徹底批判の貫徹として。最初に問題になるのは、労働者階級と共産主義者の関係である。
共産主義者とは
 共産主義者とは、自分の歴史的使命を自覚した「闘う労働者」のこと、労働者階級の先頭に立って全面的勝利まで人生をかけて闘う決意をもち実践している人。党とはそうした共産主義者の政治的結集体である。といっても、ただ自覚した個人の結集体であるわけではない。資本の搾取と闘う労働者の階級的団結を基礎にしている。
 「共産主義者(たち)はプロレタリア一般に対してどんな関係に立つのか? 共産主義者は他の労働者党に比べてなんら特別の党ではない。共産主義者は、プロレタリア階級全体から切り離された利益をもたない。共産主義者は、特別の原則を立てて、その型にプロレタリアの運動をはめこもうとするものではない」
 普通の労働者(党)と共産主義者の間に根本的な違いはない、共産主義とは何か特別な思想とか特別な運動ではないのだと強調している。
 闘う労働者は、自分たちの階級的利害を貫くためには、労働組合的団結を基礎に党的団結(政治組織)をもつくりあげていく(第1章)。狭い秘密結社的あり方ではだめ。ここで述べられている党の概念は「革命的プロレタリアートそのもの」「革命的プロレタリアートの政治的結集体」ということだ。これが労働組合的団結と一体で(後者を土台として)提起されている。
 しかし、共産主義者の党は他の労働者党とまったく同じではない。
 「共産主義者が他のプロレタリア党と違う点は、一つは、プロレタリアのさまざまな国民的な闘争において、国籍と無関係なプロレタリア階級全体の共通の利益を強調し貫徹すること、もう一つは、プロレタリアートとブルジョアジーのたたかいが経過していくさまざまな発展段階で、つねに運動全体の利益を代表すること、以上の点だけである」
 「違わない」ことをベースに「大変な違い」を提起している。だが、この「違い」はあくまでベースそのものを貫くために突き出されている。
 「だから共産主義者は、実践的には、あらゆる国々の労働者党のなかで最も断固としており、つねに運動を推進していく部分である。また理論的には、プロレタリア運動の諸条件、進行過程、一般的結果を見通している点で全プロレタリアートに先んじている」
 「最も断固としている」というのは、最も戦闘的であるということ。資本の弾圧および政治権力との対峙・対決の問題をも完全に見据える。
 「理論的に一般的結果を見通している」。さしあたりの成果でなく、全面的究極的勝利を目指している。それができるのは、この社会の矛盾を根本的につかんでいるからだ。「だから」のあとの課題を実践的に貫いていくところに本当の勝負がある。そこを踏まえて、「共産主義者の当面の目標は、他のすべてのプロレタリア党と同じである。すなわち@階級へのプロレタリアートの形成、Aブルジョアジーの支配の打倒、Bプロレタリアートによる政治権力の奪取である」と3点セットでまとめている。
 この3点セットを一体でとらえたとき、「政治権力の奪取」が単に政府への参加(政府の交代)以上のものであることははっきりしているが、重要なことは、さらにこれを「当面の目標」と述べていることである。

 共産主義者は究極的には何をめざしているか

 労働者階級の革命は階級のない社会を生み出す。その意味でプロレタリア革命=共産主義革命である。第1章では、あくまでもそれを「プロレタリアの歴史的運動」として述べていた。第2章のここで初めて、プロレタリアートの運動の目標(一般的到達点)としての共産主義について明示的に述べる。
 共産主義の理論は、誰かが発見した思想や原理に基づくものではない。 「共産主義者の理論的命題は、現に行われている階級闘争、つまりわれわれの目の前で展開されている歴史的な運動の本当の諸関係を一般的に表現したものであるにすぎない。これまでの所有諸関係を廃止するということは、何も共産主義に独特のものではない」
 何か特別の原理を立てて、それに合わせて社会をつくりかえる運動ではない、と言っている。
 共産主義とは、普通には財産共同体=財産共有制のことである(個人の所有を廃止)。こういう思想は、ある意味では古くからある。このような常識をひとまず肯定しながら、次のように言う。
 すべての所有諸関係は歴史的に交代、変化してきた。たとえばフランス革命。「共産主義の特徴は、所有一般を廃止することではなくて、ブルジョア的所有を廃止すること」「ところで近代的なブルジョア的私的所有は、階級対立すなわち他人の搾取にもとづいて生産物の生産と取得が行われる、最後の、そしてもっとも完成された表現」「このような意味で、共産主義者は自分たちの理論を、私的所有の廃止という一語に総括することができる」
 〈共産主義=財産共有制=所有の廃止〉という常識的観念に対して、@所有関係は歴史的に(革命をとおして)変化してきたA共産主義は、所有一般でなくブルジョア的な所有(すなわち資本主義)を歴史的に廃止するBブルジョア的私有は「階級対立すなわち他人の搾取にもとづく生産と取得の完成された表現」だからその廃止は階級と階級社会の廃止となるCだから共産主義とは私有財産の廃止であると一語で表現できる――と展開している。
 所有の廃止、財産の廃止を狭くとらえるのでなく、〈搾取によって他人の労働を奪う階級社会の廃止〉=〈具体的にはブルジョア的私有財産の廃止〉=〈資本の支配の廃止〉(つまり結合した労働者が社会的生産を自分たちの力で運営すること)。これこそが共産主義、共産主義者の「一般的到達目標」である。
 次に、ここを基軸としつつ共産主義者を人間性の否定者として罵倒(ばとう)するブルジョアイデオロギーを批判しながら、共産主義の積極的内容を打ち出していく。

 個人的所有は廃止するのか?

 働く人(労働者)が自分の生産手段で生産活動を行う。これが「個人的所有」の基本である。ここには「小ブルジョア的・農民的所有」も入る。近代の賃金労働者の場合は労働力を売った上に他人の生産手段で働くのだから、個人的所有とは言えない。賃金で買うものも、ただ労働力の再生産のための必需品(消耗品)でしかない。
 では資本家の場合はどうか? 他人の労働力を買い、資本を動かしているだけだ。この資本は社会的生産の全体の中で「社会的力」としてあって、資本家は「社会的なものを私的に独占」している。ブルジョア的私的所有=資本は、他人の労働の搾取であって、自分の労働で生み出したものではない。だから、資本家の個人的所有という規定はあてはまらない。
 「したがって、資本が社会のすべての成員の共同の所有に転化するとしても、個人的所有が社会的所有に転化するわけではない。所有の社会的性格が変わるだけ。所有が階級的性格を失うだけ」
 もともと資本家どもには「個人的所有」を語る権利も資格もないのだ。
 共産主義は私有財産を廃止するが、〈生産手段と土地(本源的生産手段)の共有に基づく個体的所有〉を復興する。『資本論』第1巻第7篇24章第7節と重なる内容をここでマルクスは提起している。

 階級的な教養(文化)の廃止

 ブルジョアジーは、階級的な教養(文化)の廃止を教養そのものの廃止とみなす。しかしブルジョアジーが失われると嘆いている「教養」とは、多数者にとっては(労働者にとっては)、「機械になるための訓練」でしかない。

 家族の狭い枠からの解放

 さらにブルジョア的家族はブルジョア的私的所有関係の一部分でしかない。資本の廃止はブルジョア的家族そのものを消滅させる。ところで「家族」は、そもそも階級社会的に、私有財産的に限定されたものである。ブルジョア的な私的所有の廃止は「家族」の狭い枠からの人間の解放をももたらすだろう。

 労働者は祖国をもたない

 「プロレタリアートは、まず政治支配を奪取し、自らを国民的階級へと高め、国民として自らを形成する。だから、ブルジョアジーと同じではないが、なお国民的である」(だが)「諸民族の国民的分離と対立は、ブルジョアジーの発展……生活諸関係の(国際的な)一様化によってますます消え去りつつある。プロレタリアートの支配は、こうした国民的分離と対立を消滅させる。少なくとも文明諸国の団結した行動が、プロレタリアート解放の第一条件の一つである」「一個人による他の個人の搾取が廃止されるにしたがって、一国(民族)による他国(民族)の搾取も廃止される」「国民(民族)の内部での階級対立がなくなると、諸国民(民族)相互間の敵対的関係もなくなる」
 これらの原則は20世紀の歴史を経た現在も根本的にはすべて生きている。これからむしろ新しいかたちでもっと強力に復権するだろう。国家はもちろん民族もまた歴史的諸関係、階級的諸関係の中で生きているのだ。

 宗教、道徳、哲学は永遠か?

 ある時代の支配的思想はつねに支配階級の思想であった。これは大事な確認である。問題はその先、「革命をもたらす思想があるということ」についてはどうか? そういうものがあるのか?
 「それは、古い社会の内部に新しい社会の要素が形成されたこと、古い思想の解体は古い生活諸関係の解体に歩調をあわせるということをいっているにすぎない」
 まず思想があって、それが次に「物質化」されるというわけではない。労働者階級の解放=革命的共産主義の思想・理論もまたプロレタリア階級闘争の現実の発展を基礎として生まれてきた。逆ではない。革命的階級が存在し、そのやむにやまれぬ実践的闘争があるということが現実的前提なのだ。そこから離れれば「思想」は空回りする。(孤立することをも恐れず闘い抜くことができる土台も、このような現実を踏まえた唯物論的確信の中にある)
 人間の社会的意識諸形態はこれまで階級対立という条件のもとで発展してきた。つまり、宗教、道徳、哲学、政治、法……という社会的意識諸形態は、階級社会が廃止されれば存在しなくなるのだ。人間の意識活動は、自立し逆立ちしたイデオロギー諸形態としてでなく、新しい形態と内容に置き換わっていくだろう。階級の廃止とは根本的な人間の解放なのである。
 以上で、反論のかたちをとった積極的展開としての共産主義論はひとまず終わる。 (つづく)
 〔仲山良介〕

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週刊『前進』(2458号8面3)(2010/10/04 )

法大弾圧裁判 法大弾圧裁判

 5・28「暴行」デッチあげ

 管理権と称し暴行

 清宮前総務部長が証言 「新井君を実力排除」

 9月22日、法大5・28暴行デッチあげ裁判控訴審の第2回公判が東京高裁第9刑事部(小倉正三裁判長)で行われた。
 1人目の検察側証人として法大当局の清宮隆・前総務部長が呼ばれた。清宮は総務部長当時、学生会館の解体や3・14弾圧、ジャージ部隊の導入などを先頭で指揮してきた極悪の職員だ。検察官の目的は、本件当時の新井拓君への「入構禁止措置は正しかった」と清宮に証言させることだ。
 新井拓君と中島宏明君は一審で無罪判決をかちとった。法大生である新井君への警備員を使った排除行為を「管理権の濫用による違法」と認定させ、法大当局の不正義性を徹底的に明らかにさせた。ここにケチをつけようというのだ。
 新井君は、08年の本件に先立つ07年12月14日に突如として大学構内から排除され始めた。別件で保釈をかちとって登校した新井君に数人の大学職員が襲いかかり、ベルトをつかむなどして暴力的に学外に排除したのだ。
 この日の措置の根拠について清宮は「当日、柳沼理事、安東学生部長と私の3者で排除を決定した」「年明けの08年1月30日の常務理事会で事後的に追認した」「教授会の処分決定はないが、管理権があるので問題ない」「本人に不利益はない」などと居直った。
 しかしこんなデタラメは通用しない。弁護団は反対尋問に立ち、「大学にいた新井君は何もしていなかったが、実力排除した」こと、しかも、保釈条件で新井君が接触禁止とされていた大学職員をわざわざ排除に参加させ、あたかも新井君が「接触禁止の職員を脅かした」かのようにデッチあげていた事実を明らかにした。
 さらに清宮は、常務理事会で決定されたのは「12月14日のみの立入禁止(の事後承認)だと思っていた」という決定的証言を行った。事実は12月14日以降、現在に至るまで新井君の入構はガードマンに実力阻止されている。これについて清宮は「警備員を仕切っていたのは学生部長だから、実力阻止させていたかどうかは知らない」などと自らの責任逃れのみに腐心する、矛盾に満ちた醜悪な姿をさらした。これらすべてを「『施設管理権』があるから有罪も無罪も関係ない」と開き直ったのだ。こんな不正義は百二十パーセント認められない!
 しかし裁判所は次回も検察官の請求する2人の証人採用を決定した。一審で請求すらしなかった当日のビデオ映像を撮影した公安刑事と、監視カメラの画像に関する鑑定証人だという。政治裁判に加担する裁判所を断じて許すことはできない。
 デッチあげ証人を断固として粉砕し、無罪を確定させる。腐敗した司法権力の本性を暴ききり、法大闘争の前進をともに切り開こう。
 次回10月21日の第3回公判の傍聴に駆けつけよう。
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 法大裁判に集まろう!
 ★5・28暴行デッチあげ裁判(控訴審)
  第3回公判 10月21日(木)午後1時30分
 ★暴処法裁判
  第19回公判 11月1日(月)午後1時30分
  いずれも東京地裁429号法廷
  12時30分に傍聴券配布所に集合

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週刊『前進』(2458号8面4)(2010/10/04 )

 フランス全土で300万人がスト

9月23日、年金制度改悪に反対する今月2度目の全国ストとデモが闘われた。公共部門と民間部門の労働者300万人が全国230カ所で抗議に立ち30万人がパリをデモした。サルコジ政権に対する労働者階級の怒りが極限的に高まっている

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週刊『前進』(2458号8面5)(2010/10/04 )

 日程 前進社不当捜索国賠訴訟

 第3回弁論 10月15日(金)午後1時30分
 東京地裁415号法廷

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