ZENSHIN 2011/02/21(No2476 p06)

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第2476号の目次

2・16(選別・解雇)を忘れるな!1047名の解雇撤回を誓う=2月16日 東京・錦糸町

1面の画像
(1面)
今こそ解雇撤回・外注化阻止を
国鉄型解雇と朝鮮侵略戦争狙う 絶望的危機の菅政権打倒しよう
国際連帯で3・20反戦大デモへ
記事を読む  
2・16国鉄集会 “全国運動の本格的発展を”
820人が結集し新たな出発点(2月16日)
記事を読む  
「切り回し道路粉砕!」全学連が総決起(2月14日) 記事を読む  
前進速報版から 記事を読む  
(2面)
職場生産点での組織化へ  2・16発言集 “国鉄型”の解雇許すな
労働運動復権へ新たな挑戦(2月16日)
記事を読む  
講演 資本の支配覆す時「全国運動」に期待
埼玉大学名誉教授 鎌倉孝夫さん(2月16日)
記事を読む  
勝浦市長選 水野まさよし候補が大奮戦
自民党と激突 健闘及ばず次点(本紙・大沢康)(2月13日)
記事を読む  
(3面)
今春「日の丸・君が代」闘争へ
反動判決への回答は不起立の拡大と闘う労働組合の再生だ
菅政権支える日教組本部打倒を
革共同教育労働者委員会
記事を読む  
郵政大リストラ粉砕を
労組交流センター JP労組中央委で訴え(2月17、18日)
記事を読む  
三里塚 「切り替え」強行を弾劾  “互角以上、縦横無尽の闘い”(2月14日) 記事を読む  
三里塚裁判傍聴を 記事を読む  
(4面)
エジプト革命と連帯し 3・20に反戦大デモを
「大恐慌を革命へ」の確信固く全国300万学生は総決起しよう
革共同中央学生組織委員会(上)
記事を読む  
韓国 KTXが脱線事故  外注化と人員削減が原因(2月11日) 記事を読む  
西郡貯金差し押え弾劾裁判 控訴棄却を弾劾
青年部長「団結で生きる」(投稿/全国連西郡支部 植村清)(2月10日)
記事を読む  
2011年日誌 2月9日〜15日
エジプト革命の波、中東全域へ/食糧難で北朝鮮軍内部に反乱
記事を読む  
(5面)
エジプト革命と連帯し 3・20に反戦大デモを
ムバラク打倒で革命は第2段階
大恐慌下に蜂起が全中東に波及(村上和幸)
記事を読む  
独裁者を支持した日共
チュニジア・ベンアリ政権との「深い関係」に口ぬぐう
記事を読む  
〈焦点〉 朝鮮侵略戦争の体制狙う  米帝の新「国家軍事戦略」 記事を読む  
〈焦点〉 日帝財政破綻は世界最悪
大恐慌対策で債務を拡大
記事を読む  
(6面)
3・8国際婦人デー闘争へ
労働者の決起で独裁倒したエジプト革命を引き継ごう
「大恐慌を世界革命へ」の実践を  魚住佳子
記事を読む  
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
法大裁判に集まろう! 記事を読む  

週刊『前進』(2476号1面1)(2011/02/21 )

 今こそ解雇撤回・外注化阻止を

 国鉄型解雇と朝鮮侵略戦争狙う 絶望的危機の菅政権打倒しよう

 国際連帯で3・20反戦大デモへ

 「社会の主人公は労働者だ! その武器はストライキだとエジプトの労働者が示した! 今こそ国鉄闘争全国運動で、大恐慌と大失業・戦争の菅政権を打倒し、プロレタリア世界革命を闘いとろう!」。国鉄分割・民営化の不当解雇から24年、東京・錦糸町のすみだ産業会館ホールを820人の熱気で埋め尽くして、国鉄1047名解雇撤回2・16集会が圧倒的にかちとられた。この地平から今こそ青年労働者と学生を先頭にして、エジプト革命に熱く連帯し、国鉄闘争全国運動と外注化阻止決戦の本格的発展へ、3・20反戦大デモ―3・27三里塚大集会の大爆発へ突き進もう!

 ムバラク打倒した労働者階級の威力

 エジプト革命は、労働者と労働組合の根底的な階級的威力を指し示している。ムバラク打倒にまで到達したエジプトの蜂起と革命は、第一に何よりも、官製労組の支配を打ち破って新たなナショナルセンターを設立した青年労働者を始めとする労働者階級の、嵐のような決起とストライキの爆発が、最大の原動力となった。
 新自由主義は全世界で、農漁民や遊牧民から土地と海を奪うと同時に、膨大な賃金労働者を生み出し、それを「資本主義の墓掘り人」に変えることで「大恐慌をプロレタリア世界革命へ」の闘いを現実化した。中国が「世界の工場」なら、今やチュニジア、エジプト、モロッコなどの北アフリカ諸国は超低賃金下で「ヨーロッパの新工場」、生産基地となっており、日本企業も次々に参入している。
 しかもエジプトの青年労働者は慢性的失業状態にあり、大恐慌前の2005年段階でも若者の失業率は23%におよび、人口の4割が「一日2j以下」の貧困生活を強いられてきた。その上に07年8月パリバ・ショック、08年9・15リーマン・ショック以来の大恐慌下で、さらなる大失業、食糧価格高騰、インフレが労働者を襲った。そして08年の「食糧暴動」やストライキのただ中から生まれた「4月6日運動」の労働者や学生のグループが、今回の決起を呼びかける指導部となり、ムバラク打倒という、プロレタリア革命完遂への第一段階の勝利を切り開いたのだ。
 本紙前号で報じているように、スエズ運河の6千人の労働者のストを始め、鉄鋼、交運、病院、電気、ガス、製薬、新聞など、エジプト全土での労組・労働者のストの爆発こそが、タハリール広場防衛や、百万人デモの組織化を支え抜き、米帝などの策動やムバラク派の反革命を押し返して勝利したのだ。
 情勢の転換点は、2月2日から3日の激突、死闘だった。まだ中規模だったデモ隊を秘密警察とムバラクに雇われた反革命分子が武装襲撃し、13人の死者と5千人の負傷者を出した。だがここで「後退せず」と革命勢力がふんばり抜き、ストを呼びかけてタハリール広場を死守し、労働者階級と学生の真の革命的な力を示した。

 プロレタリア世界革命の前進と試練

 こうして2月4日、壮大な決起が再開され、治安部隊を逆包囲し、武装警官が泣き叫んでデモ隊に命ごいをする事態も生まれた。そして2月8日から11日にかけ、タハリール広場から大統領宮殿前まで埋め尽くす百万人のデモの力でムバラクはついに打倒された。この激突構造は今も継続している。ムバラク打倒後に「全権」を握った軍とその背後の米帝と対決して、革命を次の段階に押し上げる壮大な挑戦が新たに始まったのだ。
 他方、チュニジア・エジプトの蜂起と革命の衝撃は、北アフリカと中東全体に波及した。2月17日、バーレーンではデモ隊に治安部隊が発砲し2人が死亡、50人以上が負傷した。15日夜から16日にかけて、リビアで「カダフィ独裁打倒!」の数百人のデモが警官隊と衝突、数十人が病院に運ばれた。14日にはイラン全土で数万人のデモが闘われ死者が出た。
 バーレーンでは14日にも数千人のデモを武装警官が襲撃し、男性を虐殺。翌15日にはその葬儀の参列者1人が治安部隊に殺される事態となった。イエメンの首都サヌアでも14日、数千人のデモ隊が投石・刃物で襲いかかった保守派と激突した。ヨルダンやアルジェリアなど他の国々も同様の情勢となっている。
 このようにエジプト革命は、米帝による戦後の中東支配、世界支配の体制を吹き飛ばす地殻変動と「大恐慌を世界革命へ」の始まりを衝撃的に告げている。
 「20世紀は石油の世紀」でもある。米帝は中東石油を制圧して基軸帝国主義となった。英・仏の植民地だった中東に膨大な石油が発見されたのは1920年代だった。米帝はこの石油を没落した英・仏から奪い取り、軍事基地国家イスラエルをデッチあげ、中東・北アフリカを常に戦争状態にたたき込んで主導権を握った。さらに王制や独裁政権で労働者を抑え、権益を独占した。
 だが1979年のイラン革命で親米政権が失陥して以降、米帝とイスラエルの中東支配を支えてきたエジプトのムバラク体制の崩壊は、米帝(国際帝国主義)の中東支配・世界支配を吹き飛ばす歴史的事態である。
 今後のエジプト革命の帰趨(きすう)を決するのは、軍や米帝との激突・対峙の闘いと同時に、体制内野党指導部との攻防だ。マスコミはエジプト軍をあたかも「中立」のように描いている。だが軍こそは米帝の全面支援を受けて(毎年の軍予算の3分の1以上は米帝の援助だ)、労働者弾圧と汚職・利権にまみれたムバラク体制を支えてきた最大の実体だった。またこれを補完してきたのがムスリム同胞団などの体制内勢力であり、歴史的にはスターリン主義の裏切りと戦後における革命圧殺だった。
 現下のエジプト革命はプロレタリア革命として、世界革命勝利に向け、かの「9・11」やムスリム勢力を階級的にのりこえる闘いである。
 エジプトの労働者人民は今、軍や体制内の巻き返し策動を打ち破りつつ、タハリール広場奪還の闘いや賃上げスト、職場占拠・自主管理などの闘争に入っている。日本の労働者階級は今こそ変革と飛躍をかけ、エジプト革命に連帯し、それに続かなければならない。労働組合の根底的再生へ、今こそ国鉄解雇撤回・外注化阻止決戦に総決起しよう!

 青年労働者の獲得こそ勝利の総括軸

 2・16国鉄大集会の成功は、国労本部を始め4者4団体が押しつぶそうとしてきた国鉄闘争のすべてを復権させた。
 第一に、何よりも、選別・解雇を強行した<2・16〉を国鉄闘争全国運動の中によみがえらせ、1047名解雇撤回闘争の不屈の継続宣言を発した。動労千葉や裁判を継続している国労闘争団、弁護団の闘いにより、安全問題も含め24年間封印されてきた国鉄分割・民営化の国家犯罪が次々に暴かれている。
 第二に、それを可能にしたのは動労千葉の職場闘争であり、昨年4月1日の外注化を阻止した闘いだった。これは2月京葉車両センター攻防、新小岩貨物基地廃止阻止闘争、4月全面外注化阻止決戦へ継続している。全国の車両センターで決起しよう!
 第三に、平成採の青年労働者獲得の組織攻防戦として闘い勝利したことの決定的意義だ。
 第四に、こうしてついに国労本体をめぐる決戦が開始された。1月29日の国労拡大中央委で本部は、4月1日で闘争団員の組合員籍を奪い、賃下げに応じ、会社の就業規則を労働協約とし、7月大会で連合に合流するなどの方向を打ち出した。国労の現場労働者は怒りを沸騰させている。
 第五に、全逓、自治体、教労、民間などすべてが決戦だが、ここでも核心は資本と闘い抜くのか屈服するのかをめぐる体制内指導部との闘いだ。社保庁の大量首切りは、08年に連合事務局長が日本年金機構設立委員になって強行した。連合トップが組合員の首を切ったのだ! 国鉄闘争全国運動を職場で組織し、組合を再生し、腐った体制内勢力を打倒しよう。
 3・20にエジプト革命と連帯し、学生と青年労働者を先頭とする反戦大デモで渋谷を席巻し、大失業と戦争の断末魔の菅政権を打倒しよう!
 3・27に革命の根拠地=三里塚現地に大結集し、第3誘道路工事粉砕・TPP参加阻止へ総反乱を巻き起こそう!
 さらに、当面する東京地裁での動労千葉鉄建公団訴訟の2・23第26回口頭弁論に大結集し、日比谷公園霞門(11時半集合)から東京地裁に対するデモを闘いとろう。
 『前進』をあらゆる場に持ち込み、拡大しよう! 2〜3月を勝ち抜き、4月統一地方選に断固勝利しよう。

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週刊『前進』(2476号1面2)(2011/02/21 )

 2・16国鉄集会 “全国運動の本格的発展を”

 820人が結集し新たな出発点

(写真 2・16【選別・解雇】を忘れるな!1047名の解雇撤回を誓う=2月16日 東京・錦糸町)

 国鉄闘争全国運動が呼びかけた「1047名解雇撤回2・16集会」が東京・すみだ産業会館で開かれた。会場を埋めつくす820人の結集で感動的な成功をかちとった。
 動労千葉の田中康宏委員長は集会で「4・9政治和解を日本労働運動の深刻な危機と見据え、この運動を立ち上げてから8カ月。全国の皆さんが全力で呼びかけに応えてくれたことで危機はチャンスになった。これが今の時代の特徴です。助走期間は終わりました。全国の労働者の中に徹底して分け入り、この運動を本格的に発展させていこう」と訴えた。
 昨年6月にスタートした国鉄闘争全国運動は、約30の職場・地域組織と1千人を超える会員を擁する運動に発展した。2・16集会は、立ち上げ以来の創意と熱気あふれる実践をひとつに集約し、1047名闘争の全面的発展にむけた新たな出発点を力強く打ち立てる場となった。(発言要旨2面)

 鎌倉孝夫さんが記念講演

 冒頭、司会から、この日の昼間に「国鉄闘争全国運動/全国地域・職場活動者交流会」が開かれ全国50を超える地域・団体から149人が集まったことが報告された。
 開会あいさつに立った全日建運輸連帯労組関西生コン支部の高英男副委員長は「国鉄分割・民営化によって下請け・非正規職とされたJR関連労働者を組織し、JRに闘いを挑む陣形づくりを担う」と運動の先頭に立つ決意を表明した。
 動労千葉からの闘争報告を田中委員長が行った後、埼玉大学名誉教授の鎌倉孝夫さんが「国鉄分割・民営化と新自由主義攻撃の現段階」と題して講演を行った。鎌倉さんは74〜75年恐慌以来の30年余にわたる新自由主義攻撃を俯瞰(ふかん)することで国鉄分割・民営化攻撃にかけた支配階級の意図をあらためて突き出した。そして新自由主義が矛盾を噴出させている今日、資本と国家による横暴・人間破壊を根底から覆していく基軸としての国鉄闘争全国運動に心からの期待を表した。
 カンパアピールを行ったス労自主の入江史郎委員長は「円もドルもユーロも余命いくばくもない。気前よく1割増しのカンパを」と会場を大いに沸かせた。

 6・5日比谷大集会を訴え

 呼びかけ人を代表して愛媛県職労の宇都宮理委員長、元安芸労働基準監督署長の大野義文さん、元国労九州本部書記長の手嶋浩一さんの3氏が、それぞれの立場から国鉄全国運動にかけた思い、その飛躍の方向性について問題提起を行った。また司会から、全国金属機械労組港合同の中村吉政副委員長のメッセージが紹介された。
 いよいよ「解雇撤回への決意」として動労千葉争議団、国労原告団、さらに弁護団を代表して藤田正人弁護士がそろって登壇した。代表して動労千葉争議団の中村仁さんが「必ず解雇を撤回させて運転士に復帰する」と不動の決意を述べ、国労小倉地区闘争団の羽廣憲さんは「和解した仲間も2月16日という日を一生忘れることはできない。その思いも、この全国運動でわれわれが全面的に引き受け闘い抜く」と発言した。藤田弁護士は「解雇から24年目にして裁判は最大の山場に入っている」と報告した。
 最後は決意表明だ。全国運動・東京東部の会代表は、地域における討議を紹介しながら全国運動のさらなる拡大の方向性を突きだした。ともに登壇した動労千葉の佐藤正和新小岩支部長は「新小岩派出廃止攻撃に最後まで絶対反対を貫き、『日航の次はJR貨物』という大リストラとの闘いを開始する」と述べ2・20新小岩集会への結集を訴えた。さらに新たな躍進を始めた三浦半島教組の労働者、自治体の青年労働者が、職場生産点に闘う労働運動を打ち立てる決意を表明した。
 動労千葉顧問弁護団長の葉山岳夫弁護士が「今年前半の最大の闘いとして日比谷公会堂で開かれる国鉄闘争全国運動6・5集会に大結集を」と訴えて集会をまとめた。
 団結ガンバローの音頭をとった秋田闘争団の小玉忠憲さんは「われわれを解雇することで日本労働運動をたたきつぶすことを狙った資本家どもと首を切られたわれわれに和解はありえない。回答はただ一つ、連中を打倒することだ」と語った。参加者は「そうだ!」と一斉に声をあげ、こぶしを突き上げた。

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週刊『前進』(2476号1面3)(2011/02/21 )

「切り回し道路粉砕!」全学連が総決起

 2月14日早朝に「三里塚で切り回し道路への切り替え強行」との急報を受け、全学連は全力で現地に結集し反対同盟とともに弾劾闘争に立った(記事3面)

 

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週刊『前進』(2476号1面4)(2011/02/21 )

前進速報版から 前進速報版から

▼米公務員労働者の闘いが爆発▼エジプト労働者がスト・職場占拠、自主管理の闘いに突入▼エジプトに続き全学連と受験生が大合流

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週刊『前進』(2476号2面1)(2011/02/21 )

 職場生産点での組織化へ

 2・16発言集 “国鉄型”の解雇許すな

 労働運動復権へ新たな挑戦

 官民を問わず“国鉄型”解雇との全面激突が始まろうとしている中、国鉄闘争全国運動の持つ位置はいよいよ決定的になっている。このことが2・16国鉄集会での全発言を通して突き出された。職場での組織化こそ鍵だ。2・16集会発言の要旨を紹介します。(編集局)
(写真 会場を埋めた参加者が田中康宏動労千葉委員長の報告に聞き入った【2月16日】)

 開会あいさつ

 JRに闘いを挑む陣形を 全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部 高英男副委員長

 国鉄闘争の火を消さないためにどのような闘いをするのか。そんなに難しいことじゃない。昨年6・13集会でも、国鉄が分割・民営化されて多くの労働者が派遣・非正規職になっているわけですから、JR関連労働者を各地で組織してJRに闘いを挑む陣形をつくろうと提起しました。
 生コン支部の中でも、「権利侵害闘争を闘う時、労力の配分をどうするのか。内部の団結に7割の力を注ぎこむ。内部の団結が固まれば勝ったようなものだ」と意思統一しています。われわれは、生コン労働者だけでなく多くの関連産業の労働者、日々雇用の労働者も含めて40年間、丁寧に組織化を進めてきました。その仲間が束になってゼネコンと闘ったのが昨年の4カ月半のストライキでした。国鉄闘争も、そういう陣形をつくれるかどうかにかかっています。
 今日の集会で1年間の闘いをしっかり確認しあい、「この1年か2年で決着をつける」という決意で今後の闘いに臨みたい。呼びかけ人の一人として、そういう陣形づくりの一翼を担う決意を述べて開会あいさつとします。

 動労千葉からの報告

 いい勝負ができる時が来た 動労千葉 田中康宏委員長

 昨年6月に国鉄闘争全国運動を立ち上げて以降も、職場は闘いに次ぐ闘いでした。
 業務全面外注化をめぐるスト、年が明けてからは運転士の強制配転に対する2週間の指名スト、勝浦市長選への挑戦、そして1047名闘争も含めてすべてが新しいことへの挑戦でした。われわれの構えと発想さえ変えれば、世の中に山積みになっている怒りと結びつき、相手がJRであろうと自民党であろうと、いい勝負ができる時代が来たと感じています。
 僕たちは4・9政治和解を日本労働運動の深刻な危機ととらえ、これに立ち向かう決断をした。われわれの構えしだいで、すべてが労働者の団結の芽になり可能性になる。国鉄闘争全国運動を大きな柱に、全国の労働者の中に分け入って、分け入って、分け入って組織したい。それを通して日本の労働運動を復権し、その力で1047名闘争に勝利する。それがこの運動の目的です。
 この運動は、職場・地域に根を張る運動であり、同時にそれを労働者の大きな政治的力にしなければならない。
 危機に立つ支配階級の攻撃は、社会保険庁解体のやり方を見ても国鉄方式しかありません。これから数百万の労働者が国鉄方式で解雇されようとしています。いよいよ助走期間は終わりました。これから、この闘いを本気になってつくっていきたい。労働組合を再生させ復権させた時、エジプトのような事態が起きます。そういうことをめざす1047名闘争を、今日を新しい出発点につくっていきたい。

 呼びかけ人の訴え

 職場と地域の主流派に飛躍 愛媛県職員労働組合 宇都宮理委員長

 今日、10時から全国の活動家の皆さんと熱い議論をしてきました。その中で、地域・職場で主流派に飛躍しようと確認しあいました。
 私は自治体労働者ですから、国鉄闘争は支援という位置づけではなく、道州制、「地域主権改革」と闘うためと位置づけて取り組んでいます。
 皆さんの職場でも、さまざまな攻撃が始まっていると思います。愛媛でも全逓の仲間の雇い止めが目の前に来ています。こうした課題に早速、取り組みたいと思います。

 企業の犯罪にもっと怒りを 元安芸労働基準監督署長 大野義文さん 

 1047名解雇撤回闘争は、まだ解決していない。原職復帰と、犯罪者であるJRと国の謝罪がない限り、解決などしていないのが厳然たる事実です。それがない以上、闘い続けるのは当たり前のことです。
 われわれは何か理不尽なことを言っているのではありません。今、新自由主義の中で憲法も労基法もないがしろにされていますが、思想で差別するな、人間の尊厳を守れ、労働基本権を保障しろという、当たり前のことを言い続けていきたいと思います。
 企業犯罪には腹が立ってしょうがない。トヨタでの過労死、過労自殺……。こういう大企業の犯罪が、なぜもっと憤りをもって語られ、糾弾されないのか。私たちはただ、まっとうに生きたいために働いている。労働者を過労死、過労自殺、精神疾患に追い詰め、人間を破壊する企業犯罪とは何なのかを、今一度、考えていきたい。
 1700万人が非正規職に追い込まれ、4人に1人が年収200万円以下、3万人を超える自殺者という現実の中で、「闘っても勝てない」「合理化や賃下げはしかたない」という常識を覆したい。昼の活動者交流会では、職場の労働者の生活、要求に徹底的にこだわって運動をつくっていこうという発言もありました。そのための全国的な闘いの拠点が、この国鉄闘争全国運動です。
 「働きすぎない、怠けない、競争しない」という労働者の仁義を守りながら、「しなやかに、したたかに、しつこく」闘っていく拠点としての全国運動の一翼を担っていきたい。今後とも、ともに闘いましょう。

 4・9和解への怒りに燃えた 元国労九州本部書記長  手嶋浩一さん

 動労千葉の皆さん、ストライキご苦労さまでした。
 私が呼びかけ人になったのは、4・9和解はまさにめちゃくちゃ、こんな和解があるもんかと怒りに燃えたからです。これが政府・資本のやり方です。
 しかも、これをもって国鉄闘争が終わったかのように世間に振りまかれている。ここが大問題だと思います。
 904名の和解に調印した人たちが、今後、どれだけ参加し、闘っていけるかということをぜひ皆さんに呼びかけたい。
 ここに来る途中で、石崎さんと話したら、和解の前に相当な圧力を受けたそうです。和解しないことがものすごく悪いことであるかのように言われたと聞きました。その実態を知って、本当に許せないと思いました。
 家族などに説得され、涙を飲んでやむなく和解せざるをえなかった人もたくさんいると思います。このことを訴えて、私のアピールにします。

 解雇撤回の決意

 解雇撤回させ運転区に戻る 動労千葉争議団 中村仁さん

 今日は高石さん、中村俊六郎さん、さらに動労千葉の全支部から仲間が参加しています。
 国鉄分割・民営化から今日の労働者の現状が始まったのであれば、ここを踏まえた上で1047名問題は語らないといけない。労働者として、ここを踏み外してはいけない。
 私たちは国鉄分割・民営化に反対したことで処分され、それを理由にJR不採用とされました。われわれは国家的不当労働行為を撤回させる運動をしなければいけない。原職に戻るということです。私は千葉運転区出身ですから、2月1日にライフサイクルで駅に強制配転された北嶋君とともに千葉運転区に戻り、一緒に電車の運転士をやるんだと決意しています。すべての動労千葉争議団員も同じ気持ちです。
 私たちの鉄建公団訴訟が2月23日にあります。私と中村俊六郎さんが証人に立ちます。結集、よろしくお願いします。
(写真 国鉄闘争全国運動の牽引車として最先頭に立つ決意を表明した動労千葉争議団、国労原告団、弁護団。発言者は動労千葉の中村仁さん)

 1047名の思い引き受け 国労小倉地区闘争団 鉄建公団訴訟原告 羽廣憲さん

 私たちは2月16日という日を忘れたことはありません。忘れられるわけがないんです。ここに、新自由主義攻撃の根幹がある。だからこそ忘れてはならないと思うんです。
 4・9和解で調印した仲間も、2月16日という日を一生忘れることはできない。その思いをも、この国鉄闘争全国運動でわれわれ自身が全面的に引き受け、解雇撤回まで闘い抜くという新たな決意で、これからも国鉄闘争の牽引(けんいん)車として原告団は最先頭で闘います。

 首切った葛西引きずり出す 鉄建公団訴訟・鉄道運輸機構訴訟・動労千葉鉄建公団訴訟代理人 藤田正人弁護士

 1047名の裁判では全国で15人が引き続き闘っていますが、そのうち国労原告団と動労千葉争議団あわせて13人の代理人をしています。
 裁判の現状についてですが、24年前の事実を争っているんですが、全然古い裁判じゃない。当時、隠されていた事実が新たにどんどん暴き出されています。
 09年12月には、1987年当時、国鉄本社職員局でJR採用候補者名簿を作った証人の証言で、本州闘争団員については、もともと名簿に登載されていたという事実が明らかになりました。この事実に徹底的に食らいつき、首切りの張本人であるJR東海会長の葛西敬之(当時、職員局次長)の証人尋問をなんとしても実現したい。鉄建公団訴訟は最高裁での争いとなっています。いずれの裁判も24年がたって山場を迎えています。
 裁判所はまったく信用できませんが、国鉄闘争全国運動を大きく発展させて裁判官を揺さぶり裁判闘争にも勝利したい。

 まとめ

 6・5大集会に全力で結集を 動労千葉顧問弁護団長 葉山岳夫弁護士

 大恐慌と大失業の時代は世界革命の時代に確実に転化しつつあります。
 チュニジア蜂起に続きエジプト革命が始まりました。労働者、とりわけ青年労働者がストで決起し、必死で呼びかけたことで一大デモが爆発したのです。スエズ運河の下請け労働者6千人のストライキ、電気、ガス、鉄道労働者のストによる動員が勝利をもぎりとったのです。弁護士もチュニジア・エジプトで闘いの先頭に立ち決起しました。日本の弁護士も頑張らなければいけません。
 殺されることを覚悟し必死で呼びかけたから成功したのです。闘えば勝てるという労働者の確信が、勝利をもぎりとったのです。
 全世界が大きく動き出しました。われわれの決起が問われています。
 国鉄分割・民営化を強行し総評・社会党をつぶして新憲法を床の間に安置するとほざいた中曽根の野望を許し、帝国主義戦争で労働者同士が殺し合うのか、労働者・農民が自らの政権を打ち立てるのか。歴史の大きな分岐点にさしかかりました。
 国鉄闘争全国運動こそ労働者の闘いの砦(とりで)であり、米日韓による朝鮮侵略戦争を阻止する大きな武器です。
 今年前半の最大の闘いとして、日比谷公会堂で開催される6・5大集会に全力で結集しましょう。

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週刊『前進』(2476号2面2)(2011/02/21 )

 講演 資本の支配覆す時「全国運動」に期待

 埼玉大学名誉教授 鎌倉孝夫さん

 国鉄分割・民営化反対の旗を絶対に降ろしてはならないと思います。国鉄分割・民営化を仕上げるために国家の不当労働行為、国家の暴力が行われました。これを絶対に許してはなりません。
 国鉄分割・民営化を契機に新自由主義が全面的に展開されました。新自由主義の矛盾は噴出しています。全世界の労働者民衆が人間として生きられない状況になっています。私は、この運動、この集会が新自由主義に対抗する基礎をつくるのではないかと期待を込めて参加しています。
 資本と国家への労働者の連帯した闘い以外に展望は開かれません。労働者こそ職場・社会の主人公だという認識を基盤にして、新自由主義を粉砕しなければなりません。
 国鉄分割・民営化を基盤に、中曽根は戦後政治の総決算を図りました。闘う労働組合を一掃する。暴力によって公共事業を解体、民営化し、独占資本の利潤追求の場にする。それが戦後政治の総決算でした。国鉄改革法23条に明確にされているように、国鉄を倒産させ、全員解雇・選別採用した。この不当性は絶対に忘れてはならないと思います。
 新自由主義の展開には二つの大きな柱があります。その一つは規制の撤廃です。特に重要なのが労働者派遣法です。少しでも景気が悪くなれば即、労働者を解雇できる状況をつくり出した。資本の搾取の自由を保障するのが新自由主義です。
 もう一つは公的な事業の民営化。公的な事業を私的資本の利潤追求の場にするということです。
 新自由主義の最後の姿は株価至上主義、利潤至上主義。カネもうけのためには何でもやる。
 新自由主義は失業、生活破壊をもたらし、労働組合、人と人の連帯関係を破壊します。資本の支配のもとで労働者は人間として生きられません。
 資本・国家の横暴・人間破壊を許さない労働者の団結・連帯形成をめざす、その重要な基盤づくりとして、私はこの運動に全面的に期待したいと思います。
 職場・社会の主人公は労働者です。労働者の実力を見せつける基本はストライキです。それで資本を追いつめていくことが不可欠だと思います。
 資本は社会の主体ではありません。経済・社会の主体にはなれない本質を持っている資本が、経済・社会の現実の主体になっているからこそ、さまざまな矛盾、人間破壊が起きるのです。
 資本の支配を変えなければいけない。資本の支配は変えられます。働く者を主人公とした社会、社会主義をめざし展望した運動を構築しなければならないと思います。その意味で、全国運動に心から期待しています。

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週刊『前進』(2476号2面3)(2011/02/21 )

 勝浦市長選 水野まさよし候補が大奮戦

 自民党と激突 健闘及ばず次点

 市長選という「壮大な挑戦」

 2月13日に投開票が行われた千葉県勝浦市長選において、動労千葉元副委員長で勝浦市議会議員を4期16年務めた水野正美(まさよし)候補は、2908票を獲得したが、健闘及ばず次点にとどまった。当選したのは、事実上の自民党候補である山口和彦候補だった。(別表参照)
 この選挙戦は、市長という権力の座を狙う、かつてない大挑戦だった。敗れたとはいえ、勝浦市民の中に大きな反響をつくり出した。
 とりわけ、水野候補が訴えた「政治生命をかけて産業廃棄物最終処分場絶対反対」の訴えは、勝浦市民の心をとらえ、市議選レベルをはるかに超える大きな支持を獲得したのである。
(写真 勝浦市中心部の京葉銀行前で第一声を発する水野候補【2月6日】)

 動労千葉の組合員総決起

 そして、この市長選には、勝浦市在住の動労千葉組合員・OBを先頭とする動労千葉組合員が、ライフサイクル強制配転阻止のストライキ、JR貨物の新小岩派出廃止阻止、検修・構内業務の全面外注化阻止の闘いの渦中で総決起し、動労千葉の団結を一層打ち固めるものとなった。
 また、動労千葉を支援する会も連日、選挙支援に駆けつけて奮闘した。

 産廃処分場に絶対反対貫く

 水野候補は、三つの争点を掲げた。
 第一の争点は産廃問題だった。鵜原(うばら)に計画されている産業廃棄物最終処分場は、海を汚染し、有毒ガスが住民の健康を脅かす。勝浦に通じる道路はダンプ街道になる。この産廃問題にいち早く取り組んだのが水野候補だった。
 他の候補もあわてて「反対」を唱えたが、問題はいかに行動するかだ。水野候補は、陳情や請願だけでなく、地元住民の反対運動を全市民が包み込んで、行政と市民が一体となって闘う体制をつくり、政治生命をかけて絶対に阻止することを訴えた。
 第二の争点は、藤平前市長が築き上げてきた市政を評価し、継承・発展させていくことだった。
 藤平市長は、市民の生活を重点にした政治を貫いて、各種イベントも成功させてきた。水野候補は、これを引き継いで、特別養護老人ホームの早期開設、老朽化した保育園の改築などの子育て支援などを公約した。また、市民懇談会を開催することを打ち出した。
 第三の争点は、勝浦の連綿と続いてきた古い体質から脱却することだった。
 藤平市政12年間の前には、今回当選した山口候補の父親が8期32年間も市長の座に居座り、市政を私物化してきた。その結果が今の勝浦市の現状である。こういう勝浦の政治風土を変え、市民が自由に自分たちの代表を選ぶきっかけをつくったのが藤平市長だった。
 「国・県、企業との太いパイプ」を言う山口候補はかつての古い体質に戻そうとしている。これに対して水野候補は、歴史の歯車を逆に戻さないで「市民とのパイプ」を太くして前に進むことを訴えた。
(写真 選挙戦最終日に朝市を練り歩き、市民と握手する水野候補【2月12日】)

 国鉄全国運動発展の教訓に

 選挙戦は、動労千葉派が多数派になっていくための大きな教訓に満ちていた。
 水野候補は、市議4期16年、副議長1年、議長3年を務め、豊富な行政経験を積み重ねてきた。勝浦市総合開発審議会の会長、産廃に反対する議員の会の会長も歴任した。その実績は、保守系を含む勝浦市議会議員の多数の支持を獲得した。「産廃を阻止できるのは、動労千葉で組合運動を経験してきた水野さんしかいない」という声が広がった。水野候補という優れた政治家・活動家の存在を核として、市民の幅広い陣形をつくり出したのである。
 この闘いに学び、国鉄闘争全国運動をさらに全面的に発展させて、動労千葉派が多数派になる階級的労働運動の壮大な発展へ前進しよう。
 (本紙・大沢康)

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週刊『前進』(2476号3面1)(2011/02/21 )

 今春「日の丸・君が代」闘争へ

 反動判決への回答は不起立の拡大と闘う労働組合の再生だ

 菅政権支える日教組本部打倒を

 革共同教育労働者委員会

 「戦争を内乱へ」準備の時代 勝負は労働組合めぐる闘い

 東京高裁は1月28日、予防訴訟(国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟)の控訴審で一審判決を覆す不当判決を出した。原告らの処分の事前差し止め請求を「訴訟として適切でない」と門前払いした上で、「日の丸」に向かって起立し「君が代」を斉唱することを求めた都教委の「10・23通達」を「学習指導要領に沿ったもので合理性がある」と断定した。都教委の「日の丸・君が代」強制を正当化するまったく理不尽な判決だ。
 しかしこの判決は、絶対に屈しない現場労働者の闘いに追い詰められた国家権力が業を煮やして出さざるを得なかったものであり、本質的に破綻したものだ。裁判への幻想は吹っ飛び、闘いは原点に引き戻された。
 そもそも「日の丸・君が代」と労働者は絶対非和解の関係だ。それを教育労働者が職場闘争で国家権力に突きつけているのが不起立闘争だ。戦時下に突入した今日も依然として継続され、労働者の力で「世論二分」状態を強制している。権力の方がギリギリと追い詰められているのだ。
 2004年春の東京における不起立闘争の爆発を見て、動労千葉の故中村栄一書記長は「動労千葉の援軍だ」とエールを送ってくれた。わが教育労働者委員会は以来7年余り、不起立闘争を、闘う労働組合をよみがえらせる闘いと位置づけて、その先頭で闘ってきた。
 チュニジアに続きエジプトで革命が爆発した。いずれも官製労組と対決して組合運動を再建してきた労働者が中軸を担っている。日本でも11・23情勢下でいよいよ「侵略戦争を内乱へ」を準備する時代に突入した。すべては労働組合をめぐる闘いにかかっている。
 反動判決への回答は東京と全国での不起立の拡大だ。それをとおした闘う労働組合の再生だ。今春の卒業式・入学式で現場労働者の怒りと意地と底力を見せつけよう。

 「10・23通達」うち破ってきた現場労働者の7年余の闘い

 絶対譲れない原点を貫いて

 「日の丸・君が代」には2千万人を超えるアジアと日本の労働者の生命と生活を奪ってきた血塗られた歴史が刻み込まれている。だから教育労働者は戦後一貫して「日の丸・君が代」が学校現場に持ち込まれることに反対してきた。
 文部省とのパートナー路線に転落した日教組本部は、新自由主義教育改革の積極的担い手の道を突き進み、「日の丸・君が代」反対の職場闘争を投げ捨てた。しかしその後も現場では粘り強く職場闘争を闘ってきた。
 それを処分と解雇の恫喝で圧殺しようとしたのがファシスト石原東京都知事だ。イラク戦争が始まった2003年、石原は「東京から日本を変える」と叫んで「10・23通達」を発出した。連合路線の組合執行部は腰砕けになり、口では反対を言いながら「職務命令が出たら仕方ない」「処分されたら経済的な不利益が生じるから」と屈服し、闘いを投げ出した。
 その現実を踏みしだいて現場労働者が主人公になって切り開いたのが、不起立闘争だ。子どもたちを戦場に送り出したい教育労働者など一人もいない。絶対に譲れない日教組運動の原点を現場労働者が守り抜き、新たな職場闘争を始めたのだ。

 勝負どころは職場の闘いだ

 06年9月の予防訴訟一審判決は教育労働者の怒りの決起がもぎとったものだが、それは同時に闘いの中に裁判闘争への幻想を生み出した。以降、裁判勝利のために不起立を抑え込むという転倒した方針が頭をもたげ、不起立を「思想・良心の自由」を守る個人の闘いと主張するにいたり、それが運動の論理に押し上げられてしまった。
 しかしこれは、労働者の団結を内側から破壊する思想であり、教育の権力支配を団結の力で打ち砕くという職場闘争を否定する路線である。
 われわれはこの路線と対決し、「不起立で団結しよう」という階級的労働運動路線を確立し、一貫して不起立を呼びかけて闘ってきた。

 絶対反対貫き団結をつくる

 都教委が反対闘争をつぶすために必死になって進めてきたのが、労働者の分断攻撃だ。
 「できれば処分を受けたくない」という労働者の思いにつけ込んで、不起立しそうな教職員を会場外に閉め出し、闘いの現場から引きはがした。卒業学年の担任を会場外に追い出すことはできないため、他県に例のない累積過重処分で解雇をちらつかせ、強制異動の報復人事を乱発して、闘う主体をつぶしにかかった。「3年で反対運動をつぶす」というかけ声のもとで手段を選ばぬ攻撃が続いた。
 しかし絶対反対を貫く労働者の固い意志と正義の前に追い詰められたのは都教委の側だった。08年春、「根津公子さんを解雇するな」と迫った連日の都庁での追及行動は完全に都教委を圧倒した。この団結の力で懲戒免職も分限免職も打ち砕いた。
 そして「強制にはみんなが反対だ」という確信と仲間への信頼をバネに毎年新たな不起立者が登場した。根津さんを先頭に「絶対反対」を貫いて闘い続けていることが、現場労働者を鼓舞し、激励してきたのだ。踏んばり抜けば事態は変えられるということを実証してきたのが、この7年余りの東京での闘いだ。

 青年の決起が始まった!

 教育の民営化が進む今の学校現場は戦場さながらの状況だ。非正規職の激増、長時間労働の日常化、業績評価制度と査定昇給、パソコンによる労務支配、主幹・主任教諭など新職導入と職階制賃金による分断支配、学力テストの導入による競争の激化、免許更新制など。誰もが失職の不安の中で働いている。
 この重圧の中で、新規採用者の自死、精神疾患と病休と早期・中途退職者の激増、過労による現職死亡が生み出されている。職場ではすでに労働者が殺されている。とりわけ青年には矛盾が集中し、闘わなければ生きられない現実に置かれている。
 教育労働者の誇りをかけた不起立は、苦闘する青年労働者の心をつかみ、全国で青年教育労働者の不起立が始まっている。「40秒間でこれほど管理職に打撃を与える痛快な闘いはない!」――これが青年労働者の気持ちだ。不起立は労働者としての誇りを取り戻す自己解放の闘いなのだ。
 不起立闘争は新しい価値を生み出しながら階級的団結をつくり出す闘いとして前進している。

 不起立は戦争協力拒否闘争

 都教委は今も職務命令を出さなければ教職員を「日の丸・君が代」に従わせることができない。職務命令を出し続けても依然として不起立者を抑え込むことはできない。しかも「日の丸・君が代」への起立・敬礼・斉唱を「国家忠誠儀礼」だと堂々と主張できず、職務命令違反の「服務事故」に仕立て上げて処分を続けている。これまた都教委の脆弱(ぜいじゃく)さを示すものだ。
 裁判所は「通常想定される儀礼的所作に当たる行為」という言葉で起立斉唱の強制を正当化し始めた。こうして問答無用に強制することこそ、儀式による刷り込みで愛国心を植え付けた戦前と同じだ。
 不起立は二度と戦争を許さないという労働者の反戦意識に根ざす抵抗闘争だ。その行動には道理があり、階級的な正義がある。都教委が不起立を抑え込むことができないのは当然なのだ。

 現場の怒りと呼吸し時代の要請に応え組合権力奪取へ

 菅民主党政権を支持する日教組本部は今やまったく求心力を失っている。公務員制度改革を「公務員の労使関係が変わる」と美化し、積極的に首切り・賃下げ攻撃に手を貸し、非正規職を激増させる「定数改善計画」を持ち上げてきた。政権交代時には「免許更新制をなくす」と大宣伝しながら、廃止どころかよりひどい「3段階免許制度」を導入しようとしている。裏切りもいいところだ。組合組織率が過去最低になったのは当然の結果だ。
 しかし現場労働者は闘う労働組合を死活的に求めている。民主党政権支持が首切り、賃下げ、非正規化、組合破壊の道であることが誰の目にもはっきりしてきた今、すべては現場の怒りと呼吸して闘う労働組合をよみがえらせることにかかっている。民主党政権と一体化した日教組本部は打倒あるのみ。その機はいよいよ熟している。
 教育労働者委員会こそこの時代の要請に応え、闘う労働組合をよみがえらせる先頭に立とう。
 1月22日から開かれた全国教研集会で日教組本部は、参加が決まっていた組合員を「民主党政権を批判したから」という理由で排除した。2008年の東京の「日の丸・君が代」強制反対のレポート却下に始まった排除と統制は、ついに一切の本部批判を禁圧するところまで来たのだ。不起立闘争は、こうした日教組本部の屈服と腐敗を誰の目にもはっきりさせる闘いでもあった。
 われわれは、すでに不起立闘争の中で「教育の民営化、学校の軍事化」と対決する路線をつくり出し、闘いを開始し、闘う団結をつくり出してきている。非正規職撤廃の闘い、業績評価闘争、官制研修を打ち破る闘いで、口先の批判ではない自前の闘いを切り開いている。組合権力への本格的な挑戦を開始している。今こそ仲間づくりへ思い切って踏みだそう。

 愛国主義・排外主義うち砕く

 すでに戦時下に突入している。菅政権は領土問題や11・23の韓国と北朝鮮の砲撃戦を機に、また名護新基地建設強行のために、すでに実戦発動体制に移行しつつある。今春の不起立闘争は、3・20イラク反戦・エジプト革命連帯闘争の決定的な一環だ。
 大恐慌下で日本でも300万人もの若者が生きることさえ困難な状況に置かれている。不安定雇用と失職の恐怖が「秋葉原事件」を、就職難が「貧困による徴兵」を生み出している。自衛隊は全国1700の高校で採用説明会を行い「校内募兵」を始めている。怒りを抱えた若者が田母神元空幕長ら右翼ファシストの「日の丸」デモに駆り出されている。われわれが苦闘する青年労働者の前に登場し、労働者の団結を呼びかけることが時代を決するのだ。
 不起立闘争は労働者学生が排外主義に動員されていくことを打ち砕く戦略的な闘いだ。

 国境を越えた国際連帯闘争

 不起立闘争は国境を越えた労働者の国際連帯をつくり出した決定的な闘いだ。募兵官追い出し闘争を闘うアメリカの教育労働者は瞬時にその意義を理解し、日米教育労働者の国際連帯が始まった。労働者の国際連帯で戦争を止めるという生きた関係をつくり出し、「教育の民営化、学校の軍事化」との対決という共通の課題で共闘をつくり出している。既成の労働組合から権力を奪取し闘う組合をつくるという同じ目的に向かって、海を越えた団結をかちとっている。
 労働者階級は国際的な存在であり、未来ではなく今ただちに民族・国籍・国境を越えた団結は可能なのだ! これが戦争を阻止する力だ。

 国鉄闘争担い労組の再生へ

 国鉄闘争全国運動を呼びかけた動労千葉は、国鉄分割・民営化絶対反対の原点に立ちきり、分割・民営化以降も「外注化阻止! 非正規職化反対!」を掲げて不屈に闘い続けている。1047名解雇撤回闘争を闘いながら、外注化やライフサイクル強制配転にストライキで反撃に立ち上がっている。
 動労千葉は「展望というのは原則を曲げずに必死に闘う中からつかみとっていくもの」「執行部の腹構えが一切を決する」「攻撃をはね返すのは現場の力」という原則を打ち立て、労働運動の再生に向かって日々前進している。
 この精神と実践から大いに学び、動労千葉の闘いに続こう。
 国鉄闘争全国運動を大きく広げ、大恐慌に立ち向かい、大失業と戦争の時代に勝利する労働運動を全労働者の団結でつくり出そう!

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週刊『前進』(2476号3面2)(2011/02/21 )

 郵政大リストラ粉砕を

 労組交流センター JP労組中央委で訴え

 2月17〜18日、東京・池袋でJP労組第7回中央委員会が行われた。初日の17日、労組交流センター全逓労働者部会は中央本部を弾劾し、郵政大リストラ粉砕を訴える宣伝行動に立った。
 JP労組中央は郵便事業会社の大量雇い止め・解雇、大幅賃金カットの大攻撃と一切闘わず、容認=推進の姿勢を示している。中央本部を許さず、大リストラ絶対反対の闘いに立ち上がろう。
(写真 大量雇い止めに反撃を! JP労組中央委員会で訴え【2月17日 東京・池袋】)

 数千人もの雇い止め狙う

 郵便事業会社は3月31日をもって非正規社員2千人〜数千人を雇い止め・解雇する方針だ。さらに正規社員のボーナスカット、委託業者に対する手数料の削減もたくらんでいる。2月15日、郵便事業会社は事業計画の変更を総務省に申請した。赤字額は約1185億円にも膨らむ見通しだとされる。赤字は会社がつくり出したものだ。赤字の責任が郵政民営化とJPEX計画の失敗―昨年7・1ゆうパック再統合の大破綻にあることは、総務省ですら認めざるをえない事実だ。
 2月に入り、全国の一部の支店で非正規社員に向け「退職希望者」を募る張り紙が出された。「(平成)23年4月からの要員配置の適正化に向けて」という会社の資料がある。これは雇い止め攻撃の方法を管理職向けに説明したものだが、これによると、この「退職希望者募集」の攻撃は実に悪辣(あくらつ)だ。
 「退職希望者」が出なかった場合は「意向調査」を行うとする。内容は「勤務日数の短縮(勤務時間の短縮)」に応じるか否かを問い、「応じない」を選択した場合は雇い止め。「応じる」を選択した場合でも雇い止めがあり得る。「調査」と称する脅迫だ。到底許すことはできない!
 また資料によると、「退職希望者募集」に先んじて「1月中旬頃、期間雇用社員の見極め」を行う。そこで「勤務成績不良な期間雇用社員」などとののしった上で、「指導・育成を図ってもなお、勤務成績向上が図れない期間雇用社員については、雇用契約を更新せず……退職を検討」とある。絶対に許せない。どれだけの労働者が低賃金・長時間の労働に耐え、非正規という不安定な条件の中で不安にさいなまれながら働き、労働者として誇りを持って郵便事業を支えていると思っているのだ。会社はこの労働者の誇りまでずたずたにし、ほうり出せと言っているのだ。
 今、郵政現場は労働者の耐えに耐えた怒りが大噴火寸前の状況だ。ある職場では全逓部会の仲間に同僚が「会社役員は減給1月、こんなんじゃダメだ。まず社長の鍋倉が辞めるべきだ」と訴えてきた。全逓部会のビラが全国の職場で反響を呼び、さまざまな形で闘いの輪が広がっている。
 退職強要を受けたある労働者は「泣き寝入りしたまま退職してたまるか。会社に対し、そして闘わない組合に対し闘って、絶対一矢報いたい」と語り、闘いを開始している。朝のミーティングで、これまで文句の一言も発しなかった労働者が課長に対して「赤字は会社の責任じゃないか!」と抗議の声をあげる事態も始まっている。
 さらに職場全体で「事業会社は雇い止め・首切りをやめろ! 賃下げをやめろ!」の声を上げよう。チュニジアやエジプトのように、全国の職場で仲間同士が団結して立ち上がったら首切り・賃下げは阻止できる。

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週刊『前進』(2476号3面3)(2011/02/21 )

 三里塚 「切り替え」強行を弾劾

 “互角以上、縦横無尽の闘い”

 2月14日、成田空港会社(NAA)は天神峰の市東孝雄さん宅の目の前の「切り回し道路」への切り替えを強行した。
(写真 「NAAを追い詰めている」と語る萩原事務局次長。左は北原事務局長【2月14日 天神峰】)
 三里塚芝山連合空港反対同盟と労働者・学生は怒りに燃えて早朝から現場に総結集し、市東さんを先頭に厳寒をものともせず徹底的に弾劾しぬいた。
 NAAは第3誘導路建設に向けて市東さん宅前の取香2号線(旧小見川県道)をトンネル化するために、この切り回し道路を造り、1月中に開通することを市東さんに一方的に通告していた。第3誘導路は、市東さんの家と畑を空港内に囲い込み、その圧力でこの地から追い出すことだけを目的に、莫大な費用を投じて造られようとしている。その工事は、周囲の地形をことごとく破壊しながら傍若無人に進められようとしている。
 「切り替え強行」の急報が現地を駆けめぐり、反対同盟と支援連は午前6時から続々と現場に結集した。全学連は現地行動隊に加え、東京から織田陽介委員長を先頭に全力で駆けつけた部隊が合流した。
 雪がちらつく厳しい冷え込みの中で「第3誘導路粉砕!」「切り回し道路を許さない!」のシュプレヒコールがたたきつけられた。反対同盟宣伝カーから大音声で弾劾のアピールが響き渡った。北原鉱治事務局長もマイクを握り、「このような営農妨害をただちにやめろ。フェンスを撤去せよ!」と迫った。
 NAAの当初の1月強行の思惑は、現地での連日の弾劾と監視の闘いによって、すでに完全に粉砕されている。この日の強行は、工事の遅れによるあせりをむき出しにして、周囲に大量の機動隊を動員し、通る車両を片っ端から見境なく検問する中で行われた。
 また小見川県道の天神峰トンネル出口一帯ではおびただしい数の鉄板が立てられ、第3誘導路の橋脚工事がいよいよ本格化しようとしている。
 このようなとてつもない難工事を反対運動つぶしのためだけに進めているが、三里塚農民が意気高く「農地死守」の原則を貫いて闘い続けている限り、NAAには何の展望もない。
 反対同盟と労働者・学生は空港廃港への手応えを実感しつつ、弾劾闘争をやりぬいた。
 市東さん宅の庭で総括集会が開かれた。萩原進事務局次長は「敵がいかに三里塚闘争の爆発を恐れているかが明らかになった。われわれの闘いで工事がさんざん遅れた末に今ごろ朝早くやってきて切り替えだとは、そのざまを見てみろと言いたい。今日の闘争を見て、90年の成田治安法による天神峰現闘本部の封鎖攻撃との雪の中での闘いを思い出した。あの時も老いも若きも心を一つにしてがんばりぬいた。今や大恐慌、大激動のただ中で、われわれは互角以上の闘いを縦横無尽にやっている」と自信にあふれて語り、第3誘導路粉砕へさらなる決起を呼びかけた。
 北原事務局長は「今日のような国家暴力を絶対に許してはだめだ。だが45年闘ってきたから、どのような攻撃にも驚きはしない。闘うか闘わないか、それだけが問われている。でかい希望をもってさらに前進しよう」と勝利への確信を語り、一同を鼓舞した。
 成田空港は、反対同盟45年の闘いによって「永久に完成しない欠陥空港」としての惨めな姿をさらけ出し、さらに羽田国際化による大打撃をこうむって没落の一途をたどっている。労農連帯を打ち固め、闘いの大義を貫く市東さんと反対同盟に対し、NAAは根本的に打つ手なしの状態だ。だからこそ凶暴さをむき出しにした力ずくの攻撃に訴えるしかない。こんな農民殺し、農業破壊の第3誘導路工事をわれわれは絶対に許さない。実力闘争で必ず粉砕する。
 農地と現闘本部をめぐる現地攻防、NAAの違法脱法を容赦なく暴く裁判闘争――これら一つひとつが重大な決戦だ。全力で駆けつけ闘おう。3・20反戦デモから3・27三里塚全国総決起集会の大結集をかちとろう!
(写真 市東さん追い出しを狙い、天神峰の地形をずたずたに破壊して進められる第3誘導路工事。「空港粉砕・農地死守」こそ労働者人民の大義だ!)
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週刊『前進』(2476号3面4)(2011/02/21 )

 三里塚裁判傍聴を

◎市東さん行政訴訟
 2月22日(火)午前10時30分 千葉地裁

◎市東さん農地法裁判
 2月22日(火)午前11時10分 千葉地裁 (同日に同じ法廷で連続して開かれます)

◎団結街道裁判
 3月1日(火)午前11時 千葉地裁

◎鈴木さん一坪裁判
 3月10日(木)午前10時30分 千葉地裁
 ※傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を

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週刊『前進』(2476号4面1)(2011/02/21 )

 エジプト革命と連帯し 3・20に反戦大デモを

 「大恐慌を革命へ」の確信固く全国300万学生は総決起しよう

 革共同中央学生組織委員会(上)

 2月11日の「エジプト大統領ムバラクの辞任」は、エジプトにおける労働者学生人民の巨大な蜂起が切り開いた勝利である。これに応え、帝国主義足下からプロレタリア革命を断固やり抜く闘いをただちにつくり出そう。その最大の方針が3・20渋谷反戦大デモだ。問われているのは、いかなる情勢にも攻撃にも反撃できる強固な組織をつくり出すことだ。03年3月20日のイラク開戦から8年、世界革命情勢は日々成熟している。03年イラク反戦闘争と国鉄闘争を契機に国際連帯闘争を11月大結集として発展させている動労千葉、そして反帝国主義・反スターリン主義の革命的共産主義運動が今こそ世界の革命運動の最先端に躍り出る時なのだ。全国学生は3・20闘争への大結集でその歴史的任務を担おう。
(写真 全学連は「3・20反戦デモ」のノボリを掲げ連日入試情宣に立っている。受験生との熱い討論で「エジプトのようなデモをしたい!」との反応も【2月16日 飯田橋】)

 世界革命の展望を切り開くエジプト労働者階級の闘い

 エジプト革命が示していることは第一に、大恐慌は必ずプロレタリア革命へ転化する、「戦争と大失業」への怒りが帝国主義を焼き尽くす、その主体は労働者階級であるということだ。
 今次革命の引き金となった大失業と食料価格高騰は、新自由主義政策によって生み出されたものだ。エジプトでは、かつては生産の9割以上を国営企業が担っていたが、現在は7割以上が多国籍企業中心の私企業で生産が行われている。それは一方で、民営化・首切りや投機経済を横行させるとともに、しかし他方で、07年マハラ・ストライキ、スエズ運河労働者のストライキ、そして「4月6日運動」に代表されるような若々しい労働運動潮流を歴史の表舞台に登場させている。
 第二に、今回革命の突破口を切り開き最後まで責任を取りきった主力部隊が階級的労働運動潮流であり、これは1979年イラン革命と01年9・11反米ゲリラ以来、ひいては中東における階級闘争史全体を塗り替える画歴史的な決起である。
 ソ連スターリン主義は、エジプトのみならず中東全体の戦闘的労働運動の伝統を自己の官僚的利害のもとにねじ曲げ、圧殺してきた。それがマルクス主義への絶望を生み出し、中東プロレタリアートの世界革命の闘いへの合流を阻んできた。その反革命政策の代表として、イスラエル国家建設の承認(1948年)とアフガニスタン侵略戦争(79年12月〜89年2月)があった。
 それにより、とりわけ70年代以降は、帝国主義の石油支配に対する怒りやイスラエルによるパレスチナ占領の屈辱への反発が、いったんはイスラム復興勢力(イスラム原理主義潮流)に集約される構造をとってきた。ホメイニによるパーレビ王制打倒のイラン・イスラム革命(79年2月)であり、01年9・11であり、パレスチナ・ガザ地区におけるハマス〔イスラム抵抗運動〕政府樹立(07年6月)である。
 しかし、エジプト革命はこの構造をすべて吹き飛ばし(止揚し)、プロレタリア世界革命の重要な一環としての中東革命の主人公はやはり労働者階級であるということをはっきりさせた。世界革命の重要な構成要素としての民族解放闘争もまた、プロレタリアートの主導によって勝利に導かれる。だからこそわれわれは世界単一の階級=プロレタリアートの闘いとして帝国主義打倒の闘いを最後まで推し進めなければならないし、帝国主義国での連帯闘争と反戦闘争が決定的なのだ。

 学生が最先頭で治安部隊と激突

 第三に、革命を牽引したのは、新自由主義政策のもとで生み出された膨大な青年労働者と学生だということだ。とりわけ大学では、ムバラク政権が学生組合の選挙にまで不正介入する、大学構内への警官隊の常駐を強行する、そしてイスラエルのパレスチナ抑圧政策に政府が加担していることへの反発が、今回カイロ大学を中心に爆発した。学生はキャンパスを出撃拠点にタハリール広場占拠と治安部隊との激突を最先頭で担った。まさに革命の主人公は青年・学生なのだ。
 第四に、没落するアメリカ帝国主義の脆弱性(ぜいじゃくせい)であり、米帝とイスラエルによる中東軍事支配、民族解放闘争の圧殺と石油支配は破綻しているということだ。帝国主義足下と新植民地主義諸国の労働者・農民・学生の団結で、21世紀革命を貫徹する時が来た。
 第五に、エジプト革命はこれから本格的な発展段階に突入するということだ。ムバラク打倒は始まりの一歩にすぎない。軍と宗教勢力の野合による新たな支配構造をうち破り、この闘いを民族解放闘争と結合した中東全体の革命へと発展させ、米・欧・日帝国主義打倒の闘いと一体で、世界革命まで上りつめよう。
 ムバラク打倒による「権力の空白」。この権力を誰が握り、誰が生産に責任をとり、どのような社会をつくるのか。大党派闘争と権力闘争が始まろうとしている。それは一方で、米帝とイスラエルによる露骨な介入が本格化し、他方で、階級的労働運動潮流が自らを本物の権力として組織し革命をやり遂げる過程に入るということだ。
 エジプト革命の発端が大恐慌下での大失業と食料高騰にある以上、たとえ民族ブルジョアジーや軍が政権を握ろうとも、それにムスリム同胞団などイスラム勢力が合流しようとも、絶対に矛盾は解決しない。
 そして米帝は、中東の大国エジプトが「反イスラエル国家」へと転化することを死ぬほど恐怖している。ムバラク政権に対して毎年1000億円を超える軍事費支援を継続してきた米帝は事態の急進展に震え上がり、2月12日の時点で早くも「次のエジプト政府はイスラエルとの(和平)協定を承認することが重要」(米大統領補佐官ギブス)だと絶叫している。そしてそれがかなわなければ、軍事力発動によって革命を叩きつぶそうというのだ。反革命的軍事介入策動に対して国際反戦闘争の嵐を! 3・20大結集でその意思を示そう。

 米帝を基軸とする帝国主義戦後世界体制の全面的崩壊

 大恐慌、つまり帝国主義の基本矛盾の爆発の中で米帝による戦後世界支配体制が最後的に崩壊し、とりわけそれが中東軍事支配の瓦解(がかい)としてあらわれている意義を確認しよう。
 一つに、08年リーマン・ショックによる大恐慌の本格化で、帝国主義の過剰資本・過剰生産力の問題があらためて決定的に露呈し、世界はドル暴落、世界経済の分裂・ブロック化、世界戦争へと向かっていることだ。
 大恐慌は一方での国家財政の破綻、他方での大失業として現出している。その矛盾は基軸帝国主義としての米帝に集中し、巨大な財政赤字・貿易赤字の重圧の中でもはやドル暴落は不可避だ。ドル暴落がもたらすものは世界経済の分裂であり、帝国主義間・大国間の政治的・経済的・軍事的対立の激化とブロック化であり、その究極の姿としての帝国主義侵略戦争、帝国主義間・大国間の世界戦争への突入だ。昨年の朝鮮半島をめぐる「11・23」情勢は世界史が「戦争かプロレタリア革命か」の大分岐点にあることを示している。
 二つに、その中でうち抜かれたエジプト革命は、米帝の戦後支配体制を根幹から覆す歴史的意義を持っている。
 帝国主義は第2次世界大戦を前後して、プロレタリア世界革命に向かっての巨大な闘い(民族解放・革命戦争を含む)に直撃され体制的危機に陥ったが、それをスターリン主義の裏切りによってのりきった。そして、米帝の絶対的力量を基軸として世界を再編成し、戦後革命を圧殺して帝国主義世界支配体制を形成した。新植民地主義的支配はその不可欠の要素としてあったが、とりわけ朝鮮半島の南北分割、中国本土と台湾の分割、イスラエル国家の建設強行とパレスチナの占領・民族圧殺攻撃による中東での対決構造の展開が決定的な柱をなしていた。
 イスラエル国家と中東支配政策に絞って言えば、それはいかなる民主主義的「幻想」もないむき出しの軍事支配と石油強奪の歴史だ。イスラエルという特異な人工軍事基地国家の存在と、そのもとに民族解放闘争を力ずくで組み敷いていくことにおいてのみ米帝の世界支配は成立していた。それは、48年のイスラエル国家建設と数次にわたる中東戦争、そして91年「湾岸戦争」と03年イラク侵略戦争、さらにパレスチナ解放闘争圧殺の全歴史を見れば明らかだ。
 しかし、イラン革命で親米パーレビ王制が打倒され、イラク侵略戦争が泥沼にはまりこみ、「最後の砦」としての親米ムバラク政権が打倒されたことで米帝の中東支配政策は破綻しようとしている。いよいよ全中東の労働者階級人民が、反共軍事基地国家(シオニスト国家)イスラエルを打倒し、帝国主義打倒のプロレタリア革命に大合流するときがきた。

 反スタ第2革命へと向かう中国

 三つに、「第2のエジプト」として中国スターリン主義が大焦点化し、それが一層米帝(米日帝)の中国侵略戦争衝動を高めるということだ。
 大恐慌下での大失業、国内抑圧体制、階級的労働運動潮流の台頭、その中心部隊としての青年・学生。エジプトとまったく同じ条件が中国にある。中国プロレタリアートが反スターリン主義第2革命の主力部隊として登場してきている。人口13億人超、GDP世界第2位の中国における反政府暴動=プロレタリア・農民による階級闘争の爆発は、エジプトをもはるかにこえる衝撃を支配階級に与え、文字どおり世界革命の引き金そのものとなる。だからこそ、米帝オバマ政権は「11・23」をも契機として全面的な中国侵略戦争に突入し、革命の炎を消そうとしているのだ。
 四つに、そうであるならば、帝国主義足下からプロレタリア革命を貫徹すること、中東を先頭とする新植民地主義体制諸国における民族解放闘争をプロレタリア革命としてかちとること、そして中国スターリン主義打倒の第2革命を実現し、反帝国主義・反スターリン主義の世界革命をやりぬくこと、そのための革命的労働者党をインターナショナルに建設することこそが喫緊の任務だ。
 あらためて、エジプト革命に断固連帯する学生・青年の総決起としての3・20闘争の重要性を訴える。ここに国鉄×沖縄×三里塚×法大を切っ先とした1〜3月のすべての闘いを集約しよう。
 イラン、リビア、バーレーン、イエメン、アルジェリア、ヨルダン、イラク……とエジプト革命の衝撃は日に日に拡大している。世界大恐慌はブルジョアジーには解決不能であり、この闘いは世界革命勝利までやむことはない。「大恐慌を革命へ」に確信を持ち、全国学生は3・20大闘争へ!

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週刊『前進』(2476号4面2)(2011/02/21 )

 韓国 KTXが脱線事故

 外注化と人員削減が原因

 2月11日午後1時40分ごろ、釜山駅から光明(クァミョン)駅に向かい乗客149人を乗せて走っていた「KTX(韓国高速鉄道)サンチョン(山川)」が脱線した。人命被害は出ていないと発表されたが、京釜高速線は上下線が30時間にわたって不通となった。
 イミョンバク政府・国土海洋部と韓国鉄道公社(KOREIL)は「ポイントの誤動作」「外注整備業者の職員がポイントのコントロールボックスの老朽ケーブル交換作業中に7_のナットを正しく締めなかったため」と発表した。外注化が事故の根本原因であることを自認したに等しい。
 事故当日の未明、事故現場ではポイントなどを交換する工事が行われたが、工事直後からポイントを操作する信号に異常があることは感知されていた。しかし鉄道公社は安全よりも定時運行を優先し、自動信号を手動に切り替えて、異常信号を発するポイント上に列車を走らせ続けたのだ。
 しかも、わずか3分の遅れを取り戻そうとして、通常とは異なるホームにKTXを入れるためポイントを無理に切り替えたという。設備の安全を解体しておきながら、回復運転を強行して事故に至った構図は、尼崎事故とまさに重なる。
 ソウル−釜山間を2時間40分で結ぶKTXは、国家予算の2割に達する総額22兆ウォン(約2兆円)もの事業費をかけて04年4月1日に暫定開業(完全開通は昨年11月1日)した。今回脱線した「KTXサンチョン」は次世代車両として昨年3月に運行開始以来、今回の事故を含めて信号装置などのトラブルが15件に上っている。
 韓国鉄道は05年1月1日に韓国鉄道公社と韓国鉄道施設公団(施設所有)に公社化された。この過程で安全に直結する施設維持・保守業務は丸ごと外注化された。鉄道労組関係者は「KTXの維持・保守業務には開通時からほとんど人員が配置されず、ほとんどを外注化し、鉄道公社は管理監督の形で仕事をしてきた」と指摘している。
 さらに、鉄道公社化に伴い全労働者の15%を超える5115人を削減するとともに、鉄道労組に対しては労使交渉が進行していた09年11月24日、既存の団体協約を破棄すると一方的にファックスで通告するという暴挙に出た。この労組抹殺攻撃に鉄道労組はゼネストを宣言し、8日間のストライキで大反撃した。この闘いにイミョンバク政権と鉄道公社は組合員の大量処分で報復、鉄道労組は組織をあげた攻防を闘いぬいている。
 鉄道労組のサイトには”安全を放棄した鉄道公社”への組合員たちの怒りが書き込まれている。
 「人員は足りないのに仕事は多く、出てきたのが業務縮小。目に触れない施設、電気、車両の分野は安全運行に絶対に必要な維持補修、整備業務を担当する所だ。5115人の人員削減が大災害を予告している」「鉄道の安全は信号システムで維持されるが、鉄道信号の維持補修はずいぶん前に外注化され、現在も鉄道では全国的な外注化と人員削減が予定されている」「事故は予想されていた。その時期がいつか分からなかっただけ」
 鉄道労組も2月14日に声明を発し、「経営効率化の指針により、むやみに行われる広範囲な業務の外注・委託化は、すでに鉄道施設の維持補修分野と鉄道車両整備の分野に深刻な問題をもたらしている」と指摘、「まさに鉄道運行の基本である『安全』が脅かされている」と断罪した。
 動労千葉の反合理化・運転保安闘争、検修・構内業務全面外注化阻止闘争は、世界の労働者の共通の課題だ。韓国国鉄労働者と連帯し、青年労働者を先頭に11春闘を闘い、闘う労働運動をよみがえらせよう。
(写真 トンネル内で脱線事故を起こしたKTX 【11日】)

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週刊『前進』(2476号4面3)(2011/02/21 )

 西郡貯金差し押え弾劾裁判 控訴棄却を弾劾

 青年部長「団結で生きる」

 2月10日、応能応益家賃制度絶対反対で闘う供託者に対する八尾市による年金貯金差し押さえ弾劾裁判控訴審(判決)が大阪高裁202号大法廷で開かれた。原告団・部落解放同盟全国連西郡支部を先頭に八尾北医療センター労組、八尾北命と健康を守る会、全国連杉並支部、関西労組交流センター、全学連の仲間たちが大結集した。
 供託者の正義の闘いに追いつめられ、12月22日の控訴審第1回裁判で一方的に審理を打ち切り結審を強行した小松一雄裁判長は、この日「本件控訴を棄却する」と一言告げると、顔も上げずにわずか数秒で席を立った。
 ふざけるな! 原告の佃文弘青年部長が立ち上がり裁判長を弾劾した。「この判決は私たちの生活・いのちを奪う殺人行為だ! 八尾市と裁判所がグルになった不当判決だ! 正義は私たちにある。私たちは学生・青年、労働者の団結で絶対に勝利する。エジプトに続くぞ! 動労千葉に続くぞ!」とシュプレヒコールをたたきつけた。原告団と傍聴者の怒りが一つになり、法廷は裁判所と八尾市に対する弾劾の場と化した。ただちに弁護士会館に移動し、不当判決弾劾集会を意気高くかちとった。(写真)
 全国連西郡支部・岡邨(おかむら)洋支部長は「判決はたった10秒。私たちの主張に一言もふれない。そこまで敵を追いつめている。団結の拡大で資本主義と国を倒し、私たちが政権を取る。怒りがわき上がってくる。言いたいことを何でも言おう。仲間がいっぱいいる」と発言した。佃青年部長は「悔しさと怒りがこみあげる。学生、青年、労働者と怒りを共有できたことを誇りに思う。この団結で生きていきたい」と新たな戦闘宣言を発した。原告団・西郡支部の烈々たる戦闘宣言が続いた。「これなら法も裁判所もいらない」「負けた気がしない」「世界の労働者、住民が進みつつある、その先頭で闘う」
 誰一人敗北感などない。1・28の住宅明け渡し不当判決に対して、八尾北医療センターを休診にして八尾北労組・職員総決起で闘った私たちは、この団結の力で自分たちが一切を決める時代が来たと、一層確信を深めた。八尾市丸ごと800事業民営化攻撃を打ち破る労組と支部、守る会との団結はさらに打ち固められた。裁判所はもはや、グラグラの菅政権の姿そのものだ。1・28、2・10の闘いはこのことをはっきりさせた。
 「職場・地域・学園で団結を拡大し、すべてをひっくり返そう。私たちの闘いは、国鉄闘争・エジプト革命とつながっている」(すえみつ道正八尾市議)のだ。私たちは2・16「1047名解雇撤回」国鉄大集会と結びつき、青年を先頭に、この社会を根本からひっくり返す新たな闘いに突入した。ただちに上告してとことん闘う。
 (投稿/全国連西郡支部 植村清)

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週刊『前進』(2476号4面4)(2011/02/21 )

日誌'11 2月9日〜15日

 エジプト革命の波、中東全域へ/食糧難で北朝鮮軍内部に反乱

●ロシアが極東の軍備増強へ ロシアのメドベージェフ大統領が北方4島の支配強化を宣言。領土問題で対ロ強硬発言を繰り返す菅政権に対抗し、駐留ロシア軍部隊の増強にのりだす。日本との有事をも想定し、強襲揚陸艦「ミストラル」をウラジオストックの太平洋艦隊に配備する方針。(9日)
●米で「テロの脅威最大」 ナポリターノ米国土安全保障長官が議会で、米国が01年9・11以降で「最大のテロの脅威にさらされている」と証言した。特に米国内の過激主義者の台頭を指摘し、警告した。(9日)
●離島防衛で日米共同訓練 離島防衛を視野に入れた自衛隊と米海兵隊の実働訓練が米カリフォルニア州のキャンプ・ペンデルトンで始まった。南西諸島に配備されている陸自西部方面隊が参加。3月3日まで行う。(9日)
●米で「普天間早期解決」要求 米民主党の重鎮であるダニエル・イノウエ上院議員が「米国があとどれだけの間、何もしないまま見守っていられるかは分からない」と、普天間問題の早期解決を迫った。(10日)
●国の借金が過去最悪更新 2010年末の国の借金総額が919兆1511億円に達し、過去最悪を更新したと財務省が発表した。(10日)
●経団連が農業改革を提言 日本経団連がTPP参加へ向け、企業参入や農地集約の促進など国内農業の構造改革に関する提言を発表した。(10日)
●エジプトで軍が全権掌握 エジプトでムバラク大統領が辞任し、軍の最高評議会が全権限を掌握した。米政府は歓迎声明の一方、次期政権がイスラエルとの平和条約を継承するよう求めた。米紙ワシントンポストはムバラク退陣でオバマ政権の中東戦略に「空白が生まれる」と指摘した。(11日)
●モスクワで日ロ外相会談 前原外相がロシアを訪問し日ロ外相会談を行った。ラブロフ外相は領土問題で「日本側が過激な態度をとるなら平和条約交渉の展望はない」と日本を批判。日ロ関係は最悪の状況に。(11日)
●北朝鮮軍内部で反乱 韓国の報道機関が北朝鮮軍内部で1月に食糧難への抗議行動が起きたと伝えた。ウラン採掘に動員された部隊600人が将官を先頭に作業命令を拒否するデモを起こし、鎮圧された。(11日)
●鳩山前首相「抑止力発言は方便」
鳩山前首相が、「米海兵隊の抑止力」を普天間県内移設の理由に挙げたのは辺野古への移設を理屈付けする「方便」だったと明かした。(13日)
●反政府デモ、中東全域に拡大 エジプトの独裁政権打倒に触発された反政府デモがイラン、バーレーン、イエメンなど中東全域に拡大した。(14日)
●米予算教書発表 オバマ政権が2012会計年度(11年10月〜12年9月)予算教書を米議会に提出した。米経済の競争力強化に重点投資の一方、徹底した歳出削減で財政赤字を10年間で計1兆1千億j削減する方針。(14日)
●世銀総裁が食料高騰に警告 世界の食料価格が1年で29%高騰、貧困層が4400万人増え、危険水準に達したと世界銀行総裁が警告した。(15日)

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週刊『前進』(2476号5面1)(2011/02/21 )

 エジプト革命と連帯し3・20に反戦大デモを

 ムバラク打倒で革命は第2段階

 大恐慌下に蜂起が全中東に波及

 エジプトの労働者は2月11日、ムバラクをついに打倒した。歓喜の嵐、夜通しの祝祭がカイロ・タハリール広場から全国のあらゆる職場、地域に広がった。力関係は逆転した。旧政権の大小の手先の責任を追及し、打倒する闘いが各地で繰り広げられている。蜂起は全中東に拡大し(地図参照)、帝国主義の中東石油支配・世界支配体制の崩壊を近づけている。

 労働者のスト・職場闘争が全国で爆発

 11日のムバラク打倒は、1917年ロシア革命でいえば2月革命だ。壮大なドラマの第一幕は大勝利で閉じられた。さらにプロレタリア革命完遂に向けた本格的な大激突はこれからだ。
 11日、ムバラクに代わった軍最高評議会が「文民政権までの移行に責任を取る」と発表した。
 だが、エジプト軍こそムバラク体制そのものだ。軍幹部は米軍に訓練され、日常的に親密な関係だ。アメリカの対エジプト軍事援助は年間13億jで、対イスラエル援助に次ぐ。軍は政府と企業の利権を牛耳り、軍へのコネとワイロがすべてを支配してきた。そして今も軍は「非常事態法撤廃」「政治犯全員釈放」の要求を拒んでいる。
 二人の軍最高幹部と会談した青年活動家の統一戦線の二人の代表によると、「軍最高評議会は、10日以内に改憲案を作成する。そしてそれを2カ月以内に国民投票にかける」という。軍最高評議会が革命の解体・大弾圧を準備していることは明白だ。だが、ムバラク打倒で勝利の確信を深めた労働者階級は全国で職場の組織化・団結の強化拡大を進めている。
 これまで労働者の闘いはビラまき一つでも理由なしの逮捕・拷問、「行方不明」にされる危険があった。だが1月25日からの蜂起は機動隊と公安警察関係者の襲撃を市街戦で粉砕し、地域の武装自衛組織を組織し、動員を数百万人に拡大してムバラクを辞任に追い込んだ。労働者階級はまだ国家権力を奪取できていないが、支配階級もすぐには攻勢に出られないという力関係をもぎり取ったのだ。労働者は今、解放感あふれる闘いをあらゆる所で開始している。
 「職場をタハリールに」を合言葉に、職場を組織化し、ストライキ、職場占拠、職場権力の奪取に入っている。弾圧や利権・腐敗の手先への責任追及、打倒の闘いが全土で爆発している。
 国有のエジプト航空では社長が追放された。カイロでは、独立労組である不動産税徴税官労組を始めとする数百人が、官製労組=ETUF(エジプト労働組合総連合)本部前でETUFの解体、幹部追放を要求した。ETUFは、石やガラスビンを投げつけてきたが、労働者に包囲され、憲兵隊(軍警察)によってようやく救い出されるありさまだ。
 また最大の国有銀行、NBEの労働者がストに突入し、本社前に非正規職労働者が結集して封鎖し、正規職化を求めた。他の国有銀行の労働者もNBEストに続いた。中央銀行も14日には全銀行に閉鎖を指令せざるをえなくなった。エジプトの新自由主義政策の核心部分が停止したのだ。
 マスコミでも、最大の新聞社アルアハラムや国営ナイルテレビなどで労働者が職場権力・編集権を奪い取り、各地のストライキを自由に報道している。国営石油・ガス会社の労働者は賃上げと非正規職の正規化、「イスラエルへのガス輸出停止」を求めてストに突入した。
(写真 ストに突入した石油・ガス労働者【石油省前 2月14日】)

 米帝の中東支配と石油独占は崩壊へ

 世界の基軸国アメリカ帝国主義は、中東石油地帯の支配、石油独占支配で成り立ってきた。
 世界大恐慌の中で、アメリカ帝国主義はますます石油支配にしがみつかざるをえない。基軸通貨ドルが風前のともしびになっているからだ。ドル体制の最後の望みの綱が石油支配なのだ。
 石油がドル建てで取引されている現状が崩壊すれば、すでに信用が失墜しているドルを誰も持ちたがらない。世界の基軸通貨で無くなるのだ。果てしない大恐慌に落ち込むことは必至だ。アメリカの中東支配こそ石油のドル建て取引の命綱なのだ。その中東支配の要がエジプトだ。
 73年、エジプトのサダト政権は、ナセル前政権の国有化政策、国内産業保護政策を「門戸開放」政策に大転換した。関税大幅引下げ、補助金等の廃止、外資導入だ。その結果、77年、失業の急増と価格の暴騰で食糧暴動やストライキが爆発的に拡大した。こうした闘いを軍と公安警察による大量逮捕、拷問、虐殺によって弾圧し続けたのが、サダトとその後を継いだムバラクだった。
 エジプトは、他の多くの国に先駆けて新自由主義化を強行したのだ。
 こうしてサダト政権がアメリカ資本と親密になったことによって、政治的同盟関係もつくられていった。78年の米、イスラエル、エジプト間のキャンプデービッド会談でつくられた同盟だ。
 従来はアラブ諸国への侵略者・大虐殺者であるイスラエルに対しては、アラブ国家である限りどんな反動政権でも「敵」として扱わざるをえなかった。だが、サダト政権は、公然とイスラエルとの同盟=共犯関係に踏み切ったのだ。
 これを引き継いだムバラク政権は、PLO(パレスチナ解放機構)指導部の屈服を引き出し、闘いを分裂させ、イスラエルを支えてきた。そして、イスラエルと共同で現在のガザ地区封鎖を行っている。
 このキャンプデービッド体制という中東全体の労働者人民の闘いを抑え込んできた堤防がついに決壊の時を迎えたのだ。
(写真 イエメンの数千の学生と弁護士。「ムバラクの次はアリ【サレハ大統領】だ!」【首都サヌア 2月14日】)

 国際的団結の力で労働者権力樹立を

 新自由主義のグローバル化によってエジプトで大量の労働者階級が生み出されている。そして人口の4割もが1日2j以下の生活を強いられている。このエジプト労働者の解放は、諸野党の文民政権に移行することではけっしてかちとれない。ブルジョア民主主義や民族主義への依存は「十分な成果があがらない」から駄目なのではない。それは根本的に不可能な道であり、労働者階級を血の海に沈める反革命の道なのだ。
 ソ連スターリン主義は52年のナセルらのクーデターの後、ブルジョア民族主義を代表するナセル政権を支持し、労働者の大弾圧をもたらした。中国スターリン主義もナセルやインドネシアのスカルノらを支持し、65年9月のインドネシアクーデターで300万人の労働組合員や共産党員の大虐殺を招いた。まして、大恐慌で資本主義が断末魔の叫びを上げている今、ブルジョア民主主義、民族主義の「解決」が許容されるはずがない。
 「労働者階級の解放は労働者自身の事業」である。労働者階級こそ、徹底した革命性を持っている階級だ。
 06年、07年、マハラの繊維労働者はムバラク政権の極限的な弾圧を打ち破り、ストライキで勝利した。そして「08年4月6日ゼネスト」を呼びかけ、マハラ食糧暴動闘争は、その規模も戦闘性も組織性も、タハリールに直接つながっている。
 労働者階級が独自の勢力として圧倒的に前面に立ち、ヘゲモニーを握り、職場の団結を基礎に武装自衛体制を強化し、兵士・下級将校を獲得して、軍解体を進め、中間的諸階層をも吸引すれば必ず勝利できる。
 また、労働者階級は、全世界ひとつの階級だ。
 エジプト労働者がすさまじい弾圧と激動をくぐりぬけてきたのも、エジプトが米帝・戦後世界体制の戦略的核心だからだ。帝国主義の全体重がエジプト労働者階級にのしかかっていたのだ。逆に言えば、エジプト労働者の闘いは帝国主義の根幹を揺るがす。だから、全世界の労働者の命運と直結している。
 すでに、エジプト革命はパレスチナ人民の闘いを激励し、イスラエルを窮地に追い込んでいる。
 そして中東全域、特に湾岸協力会議(GCC)の石油輸出国――サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、バーレーン、オマーン、カタール――の一角、バーレーンで大規模な蜂起が始まった。決定的だ。エジプト革命とGCCは、直接に人的つながりがある。GCC諸国の労働者の8割が移民、出稼ぎであり、技術者、教員、公務員など、エジプト人労働者なしにGCC諸国は成り立たない。多くのエジプト人移民がいる欧州やアメリカとも直接の人的つながりがある。
 既成野党勢力とではなく、世界の労働者との団結こそ現実的であり、エジプト革命勝利の道だ。
 日本の労働者は、新自由主義の世界的総攻撃の突破口である国鉄分割・民営化を打ち破る国鉄闘争全国運動と職場の圧倒的な組織化でエジプト労働者と団結できる。米軍の中東展開は日米安保なしには不可能だ。米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒の闘いでともに勝利しよう。世界革命の道を突き進もう。
 〔村上和幸〕

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週刊『前進』(2476号5面2)(2011/02/21 )

 独裁者を支持した日共

 チュニジア・ベンアリ政権との「深い関係」に口ぬぐう

 互いの党大会に代表が出席

 チュニジアで労働者階級人民の怒りの蜂起で打倒された独裁者ベンアリと、日本共産党は深い関係にあった。このことを今、当の日共は口をぬぐって、無かったかのように振る舞っている。
 共産党前議長・不破哲三は「イスラムの国で深い関係が発展しているところ」としてチュニジアを挙げていた。日共は、1991年のソ連スターリン主義崩壊を頂点とするソ連・東欧の政権崩壊以後、国際活動で行き詰まっていたが、1998年の中国共産党との関係回復以後、「野党外交」と称して、アジア・アフリカなどの政権および政権党との関係形成を必死に図ってきた。
 彼らが「野党外交」と言う場合、その国の被抑圧階級=労働者階級はまったく視野に入っていない。日本の野党として政権政党の外交を補完するというのが趣旨である。
 2003年に不破がチュニジア立憲民主連合(RCD)の大会に参加した。ベンアリ大統領が党首を務める政権政党だ。それ以来、互いの党大会に代表が出席する関係が続いてきた。昨年1月の日共第25回大会には、チュニジア大使館の代表が参加した。昔の話ではないということだ。

 労働者の状態には無関心

 03年のRCD大会で不破は外国代表団席でベンアリの開会あいさつを聴き、夜はベンアリ主催の晩餐(ばんさん)会に出席し、ベンアリの部屋を訪れて握手を交わした。当時の不破の訪問記では、ベンアリが「現在われわれは、『みじめな暮らしをしている国民が一人でもいれば、国民の尊厳は不完全だ』という自覚を広める努力をしている」と演説したと、大いにたたえている。
 独裁者は、どこでも美辞麗句を得意とするものだ。問題は労働者階級がどういう状態にあるかなのだ。不破は「為政者が民のことを気にかけている」という次元からしか政治を見ないから、労働者階級の解放闘争に関心が及ばない。まさに今回の決起で暴かれたように、「みじめな暮らしをしている国民」は1人どころか圧倒的大多数だった。「国民の尊厳」はずたずたにじゅうりんされていたのだ。
 不破は、チュニジア訪問記を『チュニジアの七日間』という本にして出版し、その英語版をベンアリに贈呈した。ベンアリから「この本であなたが示された、現代チュニジアの近代化と発展への歩み、さらに協力と連帯、平和にもとづくバランスある公正な関係を打ち立てるチュニジアの継続的な努力への賛辞にたいして、深い感謝を申し上げたい」という手紙が来たと「赤旗」は麗々しく報道した。不破はベンアリ独裁支配の維持に手を貸したのだ。
 不破は最近(昨年11〜12月)も読売新聞の「時代の証言者」という自伝の連載で自らのチュニジア訪問を自賛していた。また07年11月、チュニジアの首都チュニスで開かれたRCD主催の国際シンポジウムに日共から森原国際局次長が出席。さらに08年7月、今度は政策委員長の小池晃(4月都知事選の日共候補)がチュニスを訪問、RCD大会に参加した。不破同様、小池も「チュニジアの人々からの温かいもてなし」を喜々として手記にした(08年8月5日付「赤旗」)。「若者・女性が目立つ党大会」に感嘆し、チュニジアは「アフリカのなかでは競争力が第一位」「豊かな国づくりが着実に進んでいる」とベンアリ政権への歯の浮くような賛辞を並べた。わずか2年少し前の話だ。

 根底的な危機を深める日共

 今日、チュニジア労働者の蜂起とベンアリ追放について、日共は「(ベンアリ政権崩壊の)背景には食料価格の高騰や高失業率に対する抗議が拡大したことに加え、長期政権に対する不満の高まりがあります」などとひとごとのように言う(1月16日付「赤旗」)。
 明らかに日共は今日まで、チュニジアの労働者人民の側ではなく、労働者を搾取し収奪し、血の弾圧を加えたベンアリの側に立ってきたのだ。そしてチュニジアには階級対立などないかのように宣伝してきたのだ。
 今日の事態を受けて、過去の「友好と交流」について何ひとつ弁明しないことは開き直り以外の何ものでもない。チュニジア蜂起は、日共の反革命性、反労働者性を暴き出している。
 かつて日共は、1989年に東欧スターリン主義諸国が軒並み政権崩壊に至った時、とりわけ劇的に打倒されたルーマニアのチャウシェスク独裁を支持してきたことで、窮地に陥った。今回起こっていることはそれと本質的に同じ、いや大恐慌と世界革命の現実化の時代に、もっと根底的な危機を示している。
 チュニジアの労働者階級の蜂起は、世界大恐慌のもとで、帝国主義の新自由主義攻撃が全世界に吹き荒れる中で労働者階級が既成の労組の支配を打ち破って、労働組合を復権し闘う労働運動をよみがえらせることを基礎にしてかちとられた。日共が今になって人民の側に立っているかのように取り繕おうとも、彼らがバリケードの反対側の存在であることは明白である。
 今回の事態は、世界革命を否定し、労働者国際主義を否定する日共の綱領の犯罪性と破産性をさらけ出すものだ。日共の本質は労働者階級の闘いに対する反革命的敵対にある。日共スターリン主義を打倒し、のりこえて「大恐慌を革命へ」に向かって前進しよう。

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週刊『前進』(2476号5面3)(2011/02/21 )

焦点 朝鮮侵略戦争の体制狙う

 米帝の新「国家軍事戦略」

 米統合参謀本部は2月8日、米軍制服組による軍事戦略の報告書「国家軍事戦略」を公表した。大統領が出す「国家安全保障戦略」(昨年5月)や、国防総省の「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」(同2月)を受け、軍の運用指針をブッシュ政権下の04年以来、7年ぶりに全面改定した。
 最大の特徴は中国に関して「軍近代化の戦略的意図への懸念」や「攻撃的対応」を明言し、北朝鮮への対応(体制転覆)を含めて「われわれの意思を証明する用意がある」と強い対決姿勢を打ち出しつつ、「今後数十年間、北東アジアにおける強固な米軍戦力を堅持する」とアジアシフトを鮮明にしたことだ。そして日韓やASEAN(東南アジア諸国連合)などの軍事協力の必要を特に強調し、QDRで「地球規模の安全保障への同盟国とパートナーの貢献を促進」としていた点を具体化した。
 とりわけ日帝自衛隊の海外派兵の質や規模に関して暗に批判的な姿勢を打ち出したことは同種の報告書では異例だ。「自衛隊の域外(!)での運用能力改善に協力する」と「域外運用」を明記、「韓国は世界で米国の安全保障努力を支援する確固たる同盟国であることを証明してきた」などと、日韓の軍事貢献度を対比させて論じたのである。さらに「日本と韓国の安全保障関係の改善」にまで踏み込み、”日韓軍事協力”の拡大を米軍が後押しする方針まで打ち出した。水面下ではすでに「日米韓合同軍事演習」への踏み込みが検討されている。
 背景にあるのは、大恐慌の進展で米財政赤字の規模が危険水域を超え、FRB(米連邦準備制度理事会)が米国債の事実上の全量買い取り政策に踏み切り、今後5年間で1780億j(約14兆6千億円)の国防費削減計画を強いられること、またアメリカの帝国主義的国益において「アジア太平洋地域の比重が高まる」(本報告書)としたアジアをめぐる争闘戦の激化、さらには朝鮮侵略戦争の危機が11・23砲撃戦以来、ついに実戦の段階に突入していることへのすさまじい危機感である。世界危機の爆発が、ドル体制を含む米帝の世界支配を根底から揺るがす段階なのである。
 鳩山・前政権の「対等の日米同盟」論を、普天間問題での動揺をとらえて公然と罵倒(ばとう)したゲーツ国防長官が、さる1月訪日の際に「日米同盟は平等のパートナーシップだと覚えておくことが重要」と日帝に迫ったことも象徴的である。早くも菅の連休訪米予定は「延期」と言われている。
 菅政権は進退きわまっている。朝鮮侵略戦争情勢を目前にして、辺野古新基地建設の「日米合意」が沖縄を先頭とする労働者人民の怒りに阻まれ続けていることが、帝国主義国家として致命的な弱点をさらけ出しているのだ。
 日帝支配階級が4・9政治和解を頂点にすさまじい階級戦争に乗り出している根拠も、この”11・23情勢”での日帝・菅政権の危機の深さにある。それは日米安保体制そのものの危機の深さだ。危機の本質は労働者人民との階級的激突である。国鉄全国運動と一体で3・20イラク反戦デモをぶち抜き、菅政権打倒、沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒へ進撃しよう!

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週刊『前進』(2476号5面4)(2011/02/21 )

焦点 日帝財政破綻は世界最悪

 大恐慌対策で債務を拡大

 チュニジア・エジプトで始まった青年労働者を先頭にした革命の嵐が、北アフリカと全中東に波及している。帝国主義・ヨーロッパでのゼネストに続き、それをも超えて世界大恐慌のただ中でプロレタリア世界革命がついに開始されたと言える歴史的事態となっている。大恐慌の爆発的進展のただ中で、「最弱の環」をなしている日本帝国主義の体制的危機、財政破綻の深刻さは突出している。
 菅政権は新年度予算案で、借換債なども含めると169兆6千億円もの史上最悪の天文学的な国債発行を行おうとしている。その結果、11年度末の国債発行残高は668兆円にも膨らむ見通しだ。これは自民党政権時代の赤字国債の乱発のつけが来ていること以上に、大恐慌に震え上がった日帝が米欧帝国主義と同様に、赤字国債を乱発して未曽有の財政投入に延命の活路を見いだしてきたことによる。その結果、大恐慌対策が国家財政の破綻へと転化していることを示している。
 日銀が発表した昨年7〜9月期の資金循環統計によると、国債を含む国と地方自治体の借金総額が1042兆円と、ついに1000兆円の大台を超えたことが明らかとなった。これは国民一人あたりに換算して817万円にもなるという途方もない額である。
 またOECD(経済協力開発機構)によると、日本の11年の債務残高のGDP(国内総生産)比は204・2%に達する見通しだ。財政赤字に苦しむ米国が98・5%、財政危機から政治危機に陥ったギリシャ(136・8%)やアイルランド(112・7%)をもはるかに上回り、OECD加盟国中最悪である。
 その結果、日本国債の格付けの引き下げや見直しの動きが加速している。1月27日には、アメリカの格付け会社であるスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が日本の長期国債の格付けを1段階引き下げ、財政破綻の危機に直面しているスペインをさえ下回ることになった。今月に入ってからアメリカのもう一つの格付け会社であるムーディーズ・インベスターズ・サービスが、日本政府が財政再建策を打ち出せなかった場合には格付けを引き下げる可能性があると指摘、菅政権が衆院解散に追い込まれれば「格付け上はマイナス」とも語っている。これは、米帝・国際金融資本の対日争闘戦の側面もあるが、日帝財政危機の深刻さを示す事態である。
 このように、日帝・菅政権はまさに後がないどん詰まりの危機に直面している。そこから菅は「税と社会保障の一体改革」と称した消費大増税や、国家財政破綻を口実にした公務員360万人首切り、道州制攻撃などに打って出てきている。しかも連合のダラ幹連中がその先兵となっているのだ。
 連合は、春闘否定の日本経団連の経労委報告を丸のみして、許し難いことに「こうした認識については労働組合としても共有できる」などと主張する。さらに彼らは「社会福祉の財源を含めた消費税議論を今後避けることはできない」として消費大増税に賛成した。まさに連合こそ菅政権を支える最悪の支柱だ。連合中央を打倒し、国鉄決戦の大前進を軸に11春闘の大爆発へ進撃しよう。

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週刊『前進』(2476号6面1)(2011/02/21 )

 3・8国際婦人デー闘争へ

 労働者の決起で独裁倒したエジプト革命を引き継ごう

 「大恐慌を世界革命へ」の実践を

 魚住佳子

 チュニジア蜂起から始まった青年労働者を先頭とするプロレタリアートの革命的決起は、ついにアメリカ帝国主義の中東支配・世界支配の要=エジプト・ムバラク独裁政権を打倒した! エジプト革命は北アフリカ・中東―全世界を根底から揺り動かしている。この革命の中軸を担っているのは、官製労組の支配を打ち破って労働組合を奪い返した労働者だ。彼らは「労働者階級の決起で独裁体制を打ち倒したのは初めてだ! 何十年に一度あるかないかの興奮する出来事だ!」と言っている。 「大恐慌をプロレタリア世界革命へ」の闘いそのものが開始されたのだ!
 2011年3・8国際婦人デー闘争をプロレタリア世界革命を切り開く闘いの日としよう!
(写真 2月14日、カイロで公共医療部門の労働者が賃金引き上げと労働環境改善を要求してデモ。革命で男女一緒にデモできるようになった)

 ロシア2月革命の口火切った労働者

 労働者のデモとストでムバラク独裁体制を打倒したエジプト革命は、第1次帝国主義世界戦争のさなかで帝政を打倒した1917年のロシア2月革命を彷彿(ほうふつ)させる。
 ロシア2月革命の口火を切ったのは、3・8国際婦人デー(ロシア暦2月23日)における首都ペトログラードのビボルグ地区(工場地帯でボルシェビキの拠点)の女性労働者のストライキとデモだった。
 当時のボルシェビキ党指導部はストには慎重だったが、戦争と飢えを強制する帝政と資本家に対する労働者民衆の怒りは爆発寸前であり、決定的行動が待ち望まれていることを現場の革命的女性労働者たちは熟知していた。そして彼女たちを先頭に3月8日の午前中にビボルグ地区で3万人がストに突入すると、その日のうちにストはペトログラード中心部も含めて49工場12万8400人に拡大した。「3・8」は蜂起の始まりの日となり、翌9日には222工場21万4100人がストに入った。最初のスローガン、「パンをよこせ」は「専制打倒」「戦争をやめろ」に変わった。
 蜂起が始まって3日間で警察は「片付けられ」、代わって登場した軍隊は、女性労働者を先頭とする労働者の大群に取り囲まれ、続々と蜂起側に移っていった。「女工は男性より勇敢に兵士の列に押し寄せ、手でライフル銃をつかみ、頼み込み、ほとんど命令するように言う。『銃をひっこめな、私たちの仲間におなり』」(トロツキー『ロシア革命史』)。ついに帝政は崩壊した。
 この2月革命と同じ光景がエジプト革命で繰り広げられた。そしてどちらの革命においてもその土台には職場・工場における労働運動の組織化の不屈の闘いがあった。
 2月革命は、10月革命にいたるプロレタリア革命の始まりだった。そしてエジプト「2月革命」の本当の勝利も、労働者自身の権力を打ち立てるプロレタリア革命=世界革命の勝利としてしか成就し得ない。チュニジア、エジプトで始まった世界革命の巨大なうねりの中で迎える今年の3・8においてこそ、国際婦人デー闘争本来の革命的伝統と精神をよみがえらせよう。
 連合や全労連、フェミニズム運動は、国際婦人デーを労働者階級の闘いと切り離した「女性の祭典」「国連の行事」におとしめ、女性の革命的自己解放的決起を抑圧してきた。しかし、それらの抑圧物は、「大恐慌をプロレタリア革命へ」の闘いが燃え上がり始め、女性労働者の決起が続々と開始された中で急速に力を失い、打ち破られている。
 全世界であらゆる闘いの中心に女性労働者が立っている! 
 大量解雇攻撃と闘う米UTLAの女性教育労働者、非正規職撤廃の先頭で闘う韓国の民主労総の女性組合員、「整理解雇撤回」に立ち上がっている日航キャビンクルーユニオン(CCU)、そして何よりも世代を超えた女性たちが宗教的制約を取り払い解放感に満ち満ちた姿を登場させているエジプト革命のデモやストライキ――。
 2011年3・8国際婦人デー闘争を、1917年ロシア革命の口火を切った革命的闘いを復権したチュニジア―エジプト革命に連帯して闘おう! その基軸は国鉄闘争全国運動を発展させ、闘う労働組合を組織する闘いだ。

 資本主義打倒する革命情勢の到来

 世界は革命情勢だ。これを現実のプロレタリア世界革命に転ずることができるかどうか――。私たちの職場・地域にチュニジアやエジプトの青年労働者、女性労働者と同じ苦悩、怒りが満ちあふれている。課題は全世界みな同じだ。
 50件、100件も面接しても仕事のない若者、財政危機を理由に民営化・外注化である日突然に首切り・非正規職に。妊娠や子育て中の女性労働者が真っ先に狙われる。仕事、結婚や出産、子育てという人間として当たり前の社会的生活ができないところに追い込まれている青年たち。路上に投げ出されて命を落とすか、戦場で殺されるかの「未来」しか与えられない資本主義はもう終わっている! 菅民主党政権は、医療・介護・保育などあらゆる社会保障領域を民営化し、企業の参入で「280万人の雇用」増を生み出すというが、想定されているのは全員「非正規職」だ。「失業よりもましだろう」=「最小不幸社会」など絶対許せない!
 日本経団連と菅民主党政権は「このままでは日本の産業も財政も破綻する」と叫んで、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加、消費増税、公務員首切りの公務員制度改革、朝鮮侵略戦争参戦へとかじを切っている。資本の利潤獲得だけを目的とし、そのために一切の矛盾を労働者階級人民に押しつけた結果、ついに生産も社会も回らなくなった。この資本主義体制を打ち倒す革命情勢が到来したのだ。大恐慌・大失業・戦争からの真の解放の道を進もう!
 昨年11・23の北朝鮮と韓国軍の砲撃戦は、アメリカ帝国主義(米日帝)による朝鮮侵略戦争の開始であり、大恐慌の進展による米中矛盾の激化が世界戦争に転化し始めたものだ。歴史の大転換期のヘゲモニーを握るのは労働者の側か、支配階級の側か。 革命か、戦争か。昨年、国鉄解雇撤回闘争の「政治和解」という形で戦後労働運動を根絶やしにする4・9反革命と対決し、国鉄全国運動をもって階級的労働運動を発展させる地平に立ったわれわれは、11・23情勢を「絶望と暗黒」ではなく、革命のチャンスととらえ、2011年の闘いを開始している。
 朝鮮侵略戦争が現実化したこの時に、日本共産党は祖国防衛主義を全面化させ、「中国から尖閣諸島・日本領土を守れ」「北朝鮮の無法を許すな」と叫んで、日帝の侵略戦争を翼賛、扇動している。日共系の新日本婦人の会は、3・8国際婦人デーを「1977年には国連デーとなり、国連事務総長がメッセージを発表する全世界のとりくみ」とし、ロシア革命を消し去り、国連のお墨付きをもって「全世界の行動」と言っている。新日本婦人の会は「国連登録のNGOである」ことを自慢し、反戦・反核運動をオバマ賛美運動にねじ曲げてきた。3・8国際婦人デーの革命的歴史をおとしめる日本共産党スターリン主義反革命と対決して「帝国主義侵略戦争を内乱へ」の路線で闘おう。

 国鉄全国運動広げ拠点労組つくろう

 労働者階級人民の怒りは地に満ちているが、体制内勢力が抑えつけている。これを打ち破ることだ。
 エジプトで、ムスリム同胞団などを「協議」や「閣内に抱え込む」形で闘いを収束しようとする局面を打ち破ったのは、労働組合と青年の「ムバラク政権打倒!」の非妥協の闘いだった。労働者の監視・管理機関でしかなかった官製の労働組合と対決して設立された新たなナショナルセンター「エジプト独立労働組合連盟」を先頭に、エジプトの労働者はムバラク政権打倒後、国営企業やバス、医療、電話会社、繊維、鉄鋼会社などあらゆる職場で賃金引き上げや待遇改善を求めてストライキとデモを拡大している。国際海運の大動脈、スエズ運河の関連企業の労働者も闘い続けている。米帝の中東石油支配、帝国主義の世界支配を崩壊させる闘いが、体制内労組を打倒し、のりこえる闘いをもって始まったのだ。
 日本もまったく同じ状況だ。4・9反革命に対し、動労千葉を先頭に「国鉄闘争の火を消すな」という新たな全国運動が立ち上がり、体制内労働運動を打倒する闘いが始まっている。
 民主党政権の一翼を担い日本経団連とのパートナーシップを公言する連合や、資本主義の枠内での「民主的改革」を掲げる全労連は、労働者階級の自己解放、プロレタリア革命に敵対しており、本質的に脆弱(ぜいじゃく)だ。国鉄全国運動、闘う拠点(労働組合)の拡大で打ち破ることができる。動労千葉の青年の連日スト、4大産別での現場からの決起、法大を始めとする学生たち、三里塚の市東孝雄さん、無実の星野文昭さんらの闘いは、とりわけ若者たちの怒りと結合し拡大している。
 相模原・杉並・八尾選挙戦を地域に闘う拠点労組をつくり出しながら全力で闘い、勝利しよう。

 新システムは60万幼保労働者首切り

 今年の3・8国際婦人デーの闘いの中に「『子ども・子育て新システム』絶対反対!」を掲げて闘おう!
 菅民主党政権の目玉方針である「新成長戦略」の中に「子ども・子育て新システム」がある。これは経済の分野から「マーケットと雇用の創出」「ビジネスチャンス」として出された。妊娠から墓場まで「切れ目のない包括的なシステム」として、資本がもうける仕組みだ。
 市町村の「実施義務」をなくし、役所は介護保険のように保育認定をするのみで、保護者と保育所は直接契約関係となる。資本・企業が参入自由となり、「もうけ」を出すために人件費と設備費の極限的な削減競争に拍車がかかる。保育時間も親の就労時間によってバラバラとなる。当然、労働者はパートのつなぎとなり、保育現場で子どもや保育労働者の命・生活・安全が奪われることは明らかだ。
 また、幼稚園は今まで学校法人でなければならなかったが、「こども園(仮称)」には企業参入ができるため、学校教育の民営化がこれを突破口に一気に進む。1月24日、政府の最終案が出されたが、政府にとっては幼保一体化も待機児童解消もどうでもよいことがはっきりした。すべての公の保育所・幼稚園を一気になくし、「こども園」にすることだけが貫かれている。
 民主党政権の狙いは、自治体労働運動の中で階級的闘いを中心で担ってきた保育労働者の組合的団結を解体することにある。首切り・非正規職化で団結をつぶし、2012年公務員制度改悪・360万公務員首切り―道州制導入、6千万労働者の9割非正規職化に道を開こうというのだ。
 これに対して自治労や日教組は「すべての子どもへの良質な生育環境を保障し、子どもを大切にする社会を実現するために、政府は幼保一体化に向けて『子ども・子育て新システム検討会議』を設置」(2011年教育研究全国集会基調報告)と全面賛美し、推進部隊になっている。「チルドレンファースト」と称して「子ども」を盾に首切り・非正規職化を進めているのだ。
 他方、日共・全労連や全国保育運動連絡会は「よりよい保育を」をスローガンに、署名運動などで一見新システムに反対しているかのポーズを取っているが、自治労以上の推進部隊であり、闘いの絞殺者だ。

 労働者の首切りを言わない日共

  日共は新システムが保育労働者の首切り問題とわかっているのに、そのことを絶対に言わず、闘わない。彼らの言う「市民との幅広い共同」路線は、子どもや保護者を盾に現場労働者の決起を抑えつけるものだ。首切り・合理化攻撃と闘わず、日航の整理解雇に対してそうであったように、ストライキを絶対にさせない。それどころか「よりよい保育のために」「公立を残すために」「市民のニーズに応える」と、延長保育など極限的な労働強化を推進し、直接契約である一時保育を率先導入し、「こども園」受け入れ体制を準備しているのだ。配置基準の改悪や成績主義賃金、正規人員削減など新システムの先取り攻撃を現場の怒りを抑えつけ、推進しているのだ。
 しかし、現場はみんな「新システム反対」だ。昨年7月、和歌山で行われた自治労全国保育集会での「労働者はどうなる?!」との追及をきっかけに全国から疑問と批判が集中して以来、自治労本部はいまだに各地の単組での説明会すら開けず、情報すら流せない。日共系集会でも、われわれの「絶対反対!」「首切り反対!」の呼びかけに呼応する動きが出ている。エジプトのように体制内労働運動との激突、打倒の中にこそ勝利があるのだ。ある日の神奈川県での街宣では、年配の元保育労働者の女性が「私たちが戦後すぐから必死に闘って保育所をかちとってきたのに!」と怒りの発言があった。保育労働者、保護者にビラを渡し、闘いの展望を語って、新システム絶対反対の運動の拠点をつくり出そう!
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 日程 2011年国際婦人デー闘争

【東京集会】
3月5日(土)午後0時30分開場、1時開会 終了後デモ
アットビジネスセンター池袋駅前別館
主催 3・8国際婦人デー行動実行委員会

【関西集会】
3月5日(土)午後5時〜5時45分 近鉄八尾駅前で大街宣
       午後6時30分〜8時30分 集会 八尾プリズムホール4F
主催 婦民全国協・関西ブロック、労組交流センター関西女性部

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週刊『前進』(2476号6面2)(2011/02/21 )

団結ひろば 投稿コーナー 団結ひろば 投稿コーナー

 「エジプトはすごい。3・20デモに行く」 首都圏学生 N

 エジプト革命の衝撃が日本の青年・学生の意識を激しく揺り動かす中、3・20デモに向けた全学連の街頭宣伝に圧倒的な注目が集まっている。
 13日の御茶ノ水駅頭では明治大学の受験生を始め次々と賛同署名が集まった。「エジプトでは青年・学生を先頭に巨万の民衆が立ち上がり、30年近く続いたムバラク軍事独裁政権をぶっ飛ばした。日本でこういう闘いを始めるのが3・20デモだ!」「青年・学生は反戦デモの先頭に立とう!菅政権を打倒しよう!」。われわれの訴えに多くの受験生が足を止め、次々と街宣隊との討論が始まる。
 「エジプトはすごいですね! あの数!」「日本でもやりたいですね!」「3月20日渋谷デモに行きます!」。エジプト革命の衝撃が連日報道される中、受験生の反応も例年とは画然と違う。中には「討論よりも早くデモがしたい」という人もいるほどだ。
 今や青年・学生は圧倒的に行動方針を求めている。3・20渋谷反戦デモの呼びかけが今の情勢にぴったりかみ合っている。また、あらためて法大闘争が圧倒的な獲得力を発揮している。法大当局がくり返してきた闘う学生への不当処分や情宣禁止仮処分に対し、多くの受験生が「大学がこんなことをするなんて信じられない!」と怒りもあらわに署名に応じる。
 ここにエジプト革命に続く闘いが日本で爆発する現実性がある! 3・20デモの爆発に向け、街頭に登場し、青年・学生の組織化を推し進めよう!

 資本主義の最期の鐘 今度はアジアの地で 東京 円堂剛

 ムバラク打倒――この一報が全世界に発信された。アルジャジーラ、BBC、CNNがエジプトの映像を一日中ライブ中継で流し続ける。ありったけの声で歓呼の叫びをあげ、涙を流しながら抱き合う若者たち。テレビの前にクギづけになり、言葉にならない感情がこみ上げてくる。言葉や理屈が先行しがちな自分の日常に化学変化が起きる。100万人が一つの「生き物」のようになっていくエジプト革命に胸の高鳴りを抑えることはできない。「行動すれば変えられる」と、自分と同世代のエジプト人民の闘いに勇気と元気をもらった。
 なぜこの革命が起きたのか? これまでエジプトについて考えたことのなかった自分は、中東の地へ思いをはせ、『パレスチナの怒り』(丹沢望著・前進社刊)を一気に読み込む。あのエジプト青年の決起の背景には、100年にもわたる中東、ムスリム人民の怒りの鬱積(うっせき)がある。2月5日のエジプト連帯デモで「エジプト革命はパレスチナ解放まで続く!」と在日エジプト人たちは叫んだ。まさにその通りだ。エジプト革命はパレスチナ解放、プロレタリア解放へのプロセスの始まりだ。
 この革命をもたらしたのは、政治家、宗教者、軍人ではなく、フェイスブックを片手にした、労働組合で団結した青年労働者たちだ。新自由主義が資本主義の墓掘り人である彼ら労働者階級を大量に生み出した。この一人ひとりに歴史を変えるパワーがある。エジプト―中東全域で鳴り響く「資本主義的私的所有の最期を告げる鐘」(マルクス)を、今度はアジアの地で鳴らそう。

 百万人署名2・11公開学習会が街宣の力に 杉並 長谷川英憲

 雪が舞う2月11日、都内で開催された百万人署名運動の公開学習会に約50人が参加し、西川重則事務局長の講演と川添順一事務局員の提起に熱心に耳を傾けました。杉並からは思っていたより多くの方が参加しました。
 感じたことは、何と言っても西川さんの戦争体験をふまえた「戦争絶対反対」の根底的な思いの強さです。そして、百万人署名運動が今こそ立つ時だという確信です。また、川添さんの提起は「生々しい現実」としてアメリカの朝鮮侵略戦争が差し迫り、それに菅政権が参戦するという激しい情勢と、これに対してエジプトに見られる労働者人民の決起の大きな展望でした。二つの講演と提起が相まって時宜を得た学習会でした。
 翌日、杉並連絡会の街宣と例会が行われ、ある会員が1時間の街宣で5人に百万署名をしてもらうことができました。「保育の民営化反対」が主な演説テーマの統一街宣だったのですが、そんなに署名集めが得意ではなかった人でも「憲法9条改悪反対署名」と「朝鮮侵略戦争反対署名」を両方ともキッチリ取ることができたと意を強くしていました。
 例会には9人が参加し前日の学習会のこととエジプト情勢で討論が盛り上がりました。「学習会の成果だね」「西川さんの講演が効いたよね」とか、いろいろと意見が出ました。署名を取った当人も「西川さんの真剣な目で見つめられると、やらなくちゃと思うわね」と言っていました。公開学習会はみんなのやる気に火をつけたようです。

全学連三里塚援農記 全学連三里塚援農記 三里塚が闘う法大生の団結の砦になった 全学連副委員長・法大 倉岡雅美

 三里塚で見たもの、それは「少数者」の「抵抗闘争」ではなくて、とても誇り高い農民の姿と、戦争を止め労働者階級の勝利の展望と未来を切り開く輝かしいエネルギーに満ちあふれた闘いでした。労働者階級の勝利が120%実感できます。
 私は118人逮捕の弾圧をはねのけて、1年生と(!)新しい仲間と(!)三里塚の地に立てたことを本当にうれしく思います。この4年間、12月は獄中の仲間を奪還する闘いでした。しかし2010年の12月は1年生と新しい仲間と三里塚にやって来ることができました! この事実そのものが、法大で逮捕を乱発してきた国家権力への最大の反撃でした。三里塚闘争と法大闘争・全学連運動の合流! これほど敵権力に恐怖と打撃を与えるものはありません。
 目の前の不正義に対する「怒り」、仲間と労働する「共同性」、収穫する「喜び」、作物の「生産」――三里塚で感じ取ったすべての感情が、取り戻された人間性や階級性、共同性として全身に染みわたりました。
 「ここに来て仲間との団結が深まった」「だから今度はもっと仲間を連れていきたい」。一緒に参加した法大の仲間が「三里塚で法大の仲間ができる」「三里塚で仲間同士の団結が強化される」と三里塚が法大生の団結の砦(とりで)となっています。
 2011年は法大からドンドン現地に駆けつけたいと思っています! 三里塚と法大――固いスクラムを組んで勝利に向かってともに進んでいきましょう!

 全学連三里塚援農記 国鉄1047名闘争との共通点を実感 関西 後藤玲子

 初めての現地調査・援農でした。現調では三里塚の闘いが空港建設をぼろぼろにしていることがよく分かりました。監視やぐらは高くて怖かったけど、いざとなれば意外と平気になるかも、と思いながら登ってました。
 援農では鈴木さんの畑で里芋とヤーコンを収穫しました。ご飯がとびきりおいしかったです。加代子さんが1960年代から今までの闘いの話をたくさんしてくれて、当時のすさまじい切り崩しと分断の様子や、国家権力の激しい暴力と弾圧、それを目の当たりにして加代子さん自身が正義がどちらにあり、敵が誰なのかを明確にしていったことなど、初めて聞く話ばかりで、NAAと国家権力に対する怒りと非和解性を再認識しました。
 現地調査の後の北原さんの講演で、「反対同盟は国家権力による切り崩しになぜ団結を守り抜いて闘えるのか」という学生の質問に対する、「土地を守るために闘ってるんじゃない。未来のために闘っているんだ」という北原さんの回答がすごく印象に残っています。
 今回感じたことは、三里塚の闘いと国鉄1047名解雇撤回闘争との共通点――労働者階級全体の未来をかけた闘い――です。だからこそ膨大な労働者が感動し、展望を感じ、ともに闘いを支えていることです。
 戦争と失業を必要とし、人が共同性の中で発揮する力を奪う社会を終わらせ、自分たちの力で新しい社会をつくる時代です。2011年、歴史をかけた大決戦をともに闘おう!

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週刊『前進』(2476号6面3)(2011/02/21 )

 法大裁判に集まろう!

 ★5・28暴行デッチあげ控訴審(判決)
  第8回公判 2月28日(月)午前10時
  東京地裁429号法廷
  9時30分に傍聴券配布所に集合

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