ZENSHIN 2012/07/09(No2543 p06)

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第2543号の目次

7・6官邸前 大飯再稼働強行への怒りに燃え
7月6日夜も数万人が首相官邸前に集まり、全6車線を埋め尽くして、1日の大飯原発再稼働強行に激しく抗議した

1面の画像
(1面)
全国から代々木へ(7月16日午前9時)
再稼働やめろ。オスプレイ配備絶対反対。野田政権打倒し10・1JR外注化阻止へ
動労千葉鉄建公団訴訟「解雇有効」の反動判決 名簿削除の不法を認定 記事2面
記事を読む  
6・29反原発 20万人が官邸前制圧  “再稼働反対”の地鳴りと人波(6月29日) 記事を読む  
【要綱】7・29革共同政治集会 記事を読む  
前進速報版から 記事を読む  
(2面)
解雇撤回の大運動を
動労千葉鉄建公団訴訟判決 「不採用基準は不当」明記
勝利への重大な突破口開く(6月29日)
記事を読む  
大阪市職労青年の訴え  私たちは奴隷じゃない橋下打倒-道州制粉砕へ 記事を読む  
6・29官邸前 “原発絶対止めたい”“命守るために来た”
エテコン、NAZEN先頭に(本紙・北沢隆広)
記事を読む  
動労千葉を支援する会総会へ
職場に「支援する会」を建設し検修外注化阻止の一大決戦に(菅沼光弘)
記事を読む  
(3面)
非正規職場から労組復権する
非正規労働者に聞く  東京西部ユニオン 鈴コン分会の闘い
記事を読む  
(4面)
核と原発への怒りはひとつ 8・6−8・9闘争へ(2)
原爆被爆者の怒り共有しよう  「内部被曝」否定する国  67年後の今も続く攻防(河東耕二)
記事を読む  
20万の怒りの先頭に  原発いらない福島の女たち 国会前などで行動 記事を読む  
福島の女性たちのアピール 記事を読む  
8・6広島-8・9長崎闘争へ  7・22東京集会に参加を 記事を読む  
2012年日誌 6月26日〜7月2日
消費増税法案が衆院通過/沖縄知事、オスプレイ強く拒否
記事を読む  
(5面)
労働者の力で関空廃港へ  泉佐野で全国集会 橋下・千代松打倒を誓う(7月1日) 記事を読む  
民主労総が3万人集会  非正規職撤廃など3大要求 8・28からゼネストへ 記事を読む  
労働者階級の勝利へ闘う革命党建設に大カンパを 記事を読む  
紹介 共産主義者173号  10・1JR外注化阻止かけ国鉄・反原発で総決起訴え 記事を読む  
三里塚裁判傍聴を! 記事を読む  
(6面)
星野再審へ「全証拠開示」大運動を
“労働運動の力で奪還を”  全国再審連絡会議が総会(6月30日)
記事を読む  
無実の私を再審無罪・釈放せよの声を  獄中の星野文昭さんから〈抜粋〉 記事を読む  
爆取弾圧裁判差し戻し控訴審
弁護側証人が重要証言  「鍋爆弾と飛翔弾は同一構造」(7月4日)
記事を読む  
団結ひろば投稿コーナー 記事を読む  

週刊『前進』(2543号1面1)(2012/07/09 )

 全国から代々木へ(7月16日午前9時)

 再稼働やめろ。オスプレイ配備絶対反対。野田政権打倒し10・1JR外注化阻止へ

 動労千葉鉄建公団訴訟「解雇有効」の反動判決 名簿削除の不法を認定 記事2面

 時代が動き出した。6月29日、「再稼働反対!」を叫ぶ20万人(主催者発表)が首相官邸前を埋め尽くした。戦後革命期以来の大規模な決起だ。30日〜7月1日、福井県おおい町で数百人が大飯原発への道路を実力封鎖した。6日も官邸前行動や京大集会が闘われた。29日はまた動労千葉の鉄建公団訴訟判決日闘争をもって10・1JR検修外注化阻止決戦の火ぶたが切られた。7月16日午前9時、代々木公園に全国から集まり、10万人集会を成功させよう。8月6日広島―9日長崎は新たな反核反原発闘争を創り出す場となる。野田政権は沖縄―岩国へのオスプレイ配備に躍起だが、過去最大規模の沖縄県民大会が8月に行われる。9月は橋下打倒の大阪決戦だ。すべての突破口、7・16代々木公園10万人集会に総決起しよう。
(写真 7・6官邸前 大飯再稼働強行への怒りに燃え 7月6日夜も数万人が首相官邸前に集まり、全6車線を埋め尽くして、1日の大飯原発再稼働強行に激しく抗議した)

 労組巡る攻防で決まる

 闘いを圧殺してきた「権威」や御用組合の制動、国家権力の弾圧を許さない労働者階級の自己解放的決起が始まった。
 連合幹部は野田の再稼働宣言と消費増税法案衆院通過を手をたたいて喜んだ。全労連幹部も連合幹部と一体だ。彼らは6月22日、東海第二原発の再稼働反対と廃炉を求めた日本原電への署名提出行動に「廃炉になると失業する」のデマと分断を持ち込み、茨城労連集約分の約4万筆の提出を拒否した! こうした体制内労組幹部への怒りが20万人決起へと結実した。
 6月29日にはもうひとつの歴史的な地平が切り開かれた。東京地裁民事第11部の白石哲裁判長は、動労千葉の公労法下のストに対する処分を理由とする不採用基準自体を不当労働行為と認定しながら、争議団9人に対する国鉄清算事業団による90年4月1日の解雇を「有効」とする、でたらめな反動判決を出した。
 動労千葉の田中康宏委員長は戦闘宣言を発した。「裁判所は……不当労働行為だったことを認めた。認めたら不当な解雇は撤回以外ない! 労働者の首切りは命を取られることに匹敵する。……これは僕たちだけの問題じゃない。国鉄分割・民営化以降どれだけの労働者がひどい目にあったのか。1500万人の労働者が非正規職に突き落とされ未来を奪われた。……目標は解雇撤回です。職場を追われた20万の国鉄労働者の悔しさ、自殺に追い込まれた200人の仲間の悔しさ、その家族の悔しさ。そのすべてを謝罪させるまで闘い続けよう」。解雇撤回まで闘うことが労働者の未来を切り開く。

 国鉄決戦軸に反原発を

 80年代国鉄分割・民営化攻撃がすべての始まりだ。それをひっくり返すのが10・1外注化阻止決戦だ。20万人決起の次の課題は、労組がストを打って官邸前・国会前に詰めかけることだ。それだけが原発をなくす道だ。10・1外注化阻止はその最短の闘いだ。この日に外注化を阻止したか否かで歴史は変わる。
 国鉄分割・民営化と総評解散で結成された連合は原発推進の先兵となった。連合の労働者支配のもとで政府・資本による原発事故隠し、データ改竄(かいざん)は当たり前となり、やっていない検査もやったことにされた。労組は不正を告発する労働者をつぶし、裁判所はそれを追認した。
 そうしたなかで、89年1月の福島第二原発3号機事故から99年9月の作業員2人が死亡した東海村JCO核燃料加工施設臨界事故までの10年半で、レベル2以上の重大事故が8件も発生。02年には事故隠しが発覚し、東電は全原発停止に追い込まれた。

 平岩レポートが始まり

 国鉄分割・民営化の最深の狙いを表したのが、東電会長・経団連会長を歴任した平岩外四の「平岩レポート」(93年)だ。労働組合を屈服させ、原発労働者が強いられてきた非正規・下請け・使い捨て労働を全社会化することを狙った。
 それは95年日経連報告「新時代の日本的経営」の9割非正規化として具体化された。これを徹底したのが01年以降の小泉構造改革と郵政などの民営化・外注化攻撃だ。
 今や全労働者の4割が非正規職。なかでも若年層の約1割が失業し、職があっても9割以上が月収20万円以下で、税などの負担率も4割以上だ。
 この日帝の全体重をかけた外注化攻撃を今日まで11年間阻止しているのが動労千葉だ。主導権は労働者階級の側にある。
 外注化とは青年労働者の別会社への出向=転籍であり、生活と未来の破壊だ。外注化は偽装請負だ。技術継承を不可能にし、安全を崩壊させる。
 10・1JR外注化阻止決戦に6千万労働者階級、2千万青年労働者の未来がかかっている。青年労働者の組織化がすべてを決める。
 時代は動き出した。昨日の労働者は今日の労働者と違っている。労働者階級は必ず立ち上がる――この確信をもって7〜8月の闘いに立とう。
 すべての力を労働組合運動の復権に集中しよう。そのてこは労働者党建設だ。そのための夏期カンパ決戦を闘おう。被災地と全国を結ぶ診療所の建設資金を集めよう。7・29革共同政治集会―国会包囲行動に立とう。

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週刊『前進』(2543号1面2)(2012/07/09 )

 6・29反原発 20万人が官邸前制圧

 “再稼働反対”の地鳴りと人波

 「再稼働反対!」「再稼働反対!」――地響きを立てて20万の人の波が首相官邸前に押し寄せた。6月29日午後7時半前、首相官邸前から財務省前までの約700bは人の波で連なった。官邸近くでは全6車線を埋め尽くし、野田首相に「再稼動やめろ!」「野田やめろ!」と迫った。警察は手を出せず、永田町から霞が関の一帯はエジプトのタハリール広場のような解放区に変わった。(関連記事2面)
 その前の5時すぎ、地下鉄・国会議事堂前駅の出口からひっきりなしに人が出てきた。永田町や日比谷、赤坂方向からも絶え間なく人が集まってくる。瞬く間にあらゆる世代、階層の人びとが官邸前歩道にひしめき、車道にあふれた。
 6時から集会が始まった。鎌田慧さんが「野田首相、聞こえるか! 全国から集まった人の声を聞け! 人の命よりも金が大事なのか。もう首相を辞めろ! 再稼働をやめろ!」と官邸の野田を激しく弾劾した。広瀬隆さん、落合恵子さんらも次々に満身の怒りを込めて再稼動阻止、原発なくせと叫んだ。福島の女性たちが合流し、ドイツの環境団体エテコンも発言に立つ。その最中も「再稼働やめろ」の大コールが響き渡った。人波はまったく途切れない。最寄りの地下鉄駅出口ではあまりにも人が多く、なかなか地上に出られない。人の列は日比谷公園まで続き、なおも広がった。
 7時半ごろ、先頭部分の大集団が官邸方向に歩みだした。数万の民衆が続いて前へ前へと進んだ。人の波が官邸正門から約10bの所に達した時、警察が大慌てで機動隊バスを並べ、阻止線を強化した。機動隊隊長の「官邸を守れ!」の叫び声と、指揮棒で隊員をたたく音が響く。
 怒りで抗議の声がさらに巨大になった。「野田出てこい!」「まだまだ抗議を続けるぞ!」「再稼働やめろ!」
 20万人が野田政権と正面対峙した。29日夜の官邸前行動は労働者民衆の怒りとエネルギーの大きさを示した。新たな時代の幕が開けたのだ。

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週刊『前進』(2543号1面3)(2012/07/09 )

【要綱】さようなら原発10万人集会

東京・代々木公園 イベント広場、ケヤキ並木、サッカー場
7月16日(月曜日/休日)

★メインステージ
 12時15分〜オープニングコンサート
 12時55分〜メイン集会(午後2時まで)
 午後1時30分〜パレード出発(集会中に出発/3コース)
 ■呼びかけ人さようなら原発1000万人市民の会
 内橋克人/大江健三郎/落合恵子/鎌田慧/坂本龍一澤地久枝/瀬戸内寂聴/辻井喬/鶴見俊輔
 注意事項
 ☆当日はJR原宿駅が大変混雑が予想されるので、できるだけ渋谷駅または地下鉄千代田線・代々木公園駅、明治神宮前駅、小田急線・代々木八幡駅をご利用ください。
 ☆当日は暑さ対策として、各自帽子、タオル、飲料水などのご用意を。ゴミは各自持ち帰りを。

【要綱】7・29革共同政治集会

7・29革共同政治集会
外注化阻止・非正規職撤廃! 再稼働阻止・被曝労働反対!日帝・野田政権打倒し、プロレタリア革命勝利を切り開こう

 〈東京〉基調報告 深田 力(中央学生組織委員会議長)

 7月29日(日)午前11時開会 豊島公会堂(豊島区東池袋1-19-1)

 〈関西〉基調報告 黒沢 肇

 7月29日(日)正午開場 午後1時開会 大阪市立西区民センター(大阪市西区北堀江4-2-7)

 〈東北〉基調報告 岡崎康史

 7月29日(日)正午開場 12時30分開会 仙台市戦災復興記念館地下展示ホール(仙台市青葉区大町2-12-1)

 

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週刊『前進』(2543号1面4)(2012/07/09 )

前進速報版から 前進速報版から

▼官邸前抗議行動▼関西空港反対で新たな戦闘宣言▼四川省徳陽市で数万人の暴動▼新橋アクションでドイツ・エテコンが東電を直撃

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週刊『前進』(2543号2面1)(2012/07/09 )

 解雇撤回の大運動を

 動労千葉鉄建公団訴訟判決 「不採用基準は不当」明記

 勝利への重大な突破口開く

 東京地裁民事第11部(白石哲裁判長)は6月29日、動労千葉鉄建公団訴訟において、原告である動労千葉争議団9人に対する国鉄清算事業団の90年4月1日解雇を「有効」とする絶対に許せない反動判決を出した。
 他方で判決は、カクマル松崎を先頭とする改革労協(現JR総連)に突き上げられた国鉄当局が、原告らを採用候補者名簿から排除してJR不採用としたことを不当労働行為と認定し、被告の鉄道運輸機構に慰謝料300万円と損害賠償の支払いを命じた。
(写真 「解雇撤回をかちとるぞ」。東京地裁前でこぶしをあげる動労千葉組合員と支援【6月29日】)

 「分割・民営反対の組合を差別」

 判決は、原告の動労千葉組合員が採用候補者名簿にいったん記載されていたにもかかわらず、設立委員会への名簿提出期限(1987年2月7日)直前に急きょ、国鉄当局が”停職6カ月または停職2回以上”という不採用基準を策定して原告ら(本州75人、全国で117人)を名簿から削除したことについて、「動労千葉等、分割・民営化に反対する労働組合に属する職員を不当に差別する目的、動機の下に、本件名簿不記載基準を策定したと推認するのが相当」であり「裁量権の逸脱ないし濫用に当たる」と国鉄当局による不当労働行為を明確に認定した。被告側の「消滅時効」の主張も退けた。
 採用手続き過程での不当労働行為を認定したのであれば、現状回復=解雇撤回が絶対の原則だ。承継法人=JR東日本に採用されたものとして扱うしかないはずだ。
 にもかかわらず白石判決は「本件名簿不記載基準が策定されなければ、原告らは採用候補者名簿に記載され、その結果、JR東日本に採用されたはずであるといいうる」とまで述べながら、あくまでも国鉄改革法23条の枠組みを固守する反動的立場から、名実ともに一体である旧国鉄(=清算事業団)とJRを切り離した上で、「再就職促進法の失効という事情」から「清算事業団が原告らに対して行った本件解雇は有効」という許せない判断を出したのだ。
 また損害賠償額認定においても、原告側は、解雇以来の賃金・退職金・年金の全額を要求してきたが、判決は「原告らが労働能力自体を喪失したわけではない」とか「再就職するのに相当と考えられる合理的期間の賃金相当額のみを認めるのが相当」と勝手に決めつけ、JR不採用から3年間の賃金の差額(JRで働いていた場合と清算事業団在籍時の賃金の差額)だけを認定した。原告7人に対してそれぞれ約240万円〜127万円だ。

 国鉄全国運動を大発展させよう

 動労千葉鉄建公団訴訟は、勝利への重大な突破口をこじ開けた。
 4者4団体による鉄建公団訴訟、鉄道運輸機構訴訟などでは、停職処分を理由とするJR不採用は「合理的」と判断されいずれも敗訴してきた。動労千葉と顧問弁護団は2004年12月の提訴以来、この不採用基準をいつ、誰が、どのような経緯で策定したのかという一点をとことん追及し続け、ついに採用候補者名簿からの排除が国家的な不当労働行為であったことを認めざるをえないところまで裁判所を追い詰めたのだ。
 これは、一昨年の4・9政治和解を拒否し、原則をとことん貫いて闘い抜いてきたことが切り開いた勝利だ。国鉄1047名解雇撤回闘争はもう一度、原点に引き据えられたのだ。
 またこの判決は、動労千葉争議団と同じように不採用基準で名簿から排除された秋田闘争団・小玉忠憲さんの鉄道運輸機構訴訟控訴審にとっても決定的な意味を持つ。
 裁判終了後、東京地裁門前で判決弾劾集会が開催された。この場で田中康宏委員長は「解雇撤回まで闘う」と断固として宣言した(発言別掲)。
 この日は多くの動労千葉組合員とともに、動労水戸や動労西日本、全金本山労組、ス労自主、動労千葉を支援する会も傍聴闘争を闘い抜いた。
 職場・地域にこの判決の内容を徹底的に持ち込み、今こそ国鉄闘争全国運動を大発展させよう。検修外注化阻止の職場からの闘いと一体で、解雇撤回の勝利へと猛然と突き進もう。

 田中委員長の発言

 こんなひどい判決は絶対に許せない。裁判所は、9人の仲間が採用候補者名簿にいったん登載されたのに、国鉄分割・民営化に反対した動労千葉を排除するために急きょ名簿から外したこと、それは、改革労協つまり動労カクマル松崎にそそのかされてやった不当労働行為だったことを認めた。認めたなら不当な解雇は撤回以外にないじゃないか! それをわずかな金銭で終わりにしようというのが今日の判決です。こんなことで「解決」になるのか。冗談じゃない!
 ぼくらは解雇撤回まで闘います。これは動労千葉だけの問題でも、首を切られた組合員だけの問題でもないからです。国鉄分割・民営化以降、どれだけの労働者がひどい目にあったんですか。すべて国鉄分割・民営化から始まったんです。
 今日の判決は絶対に許せない不当判決ですが、裁判所をもう一歩追いつめました。これまでの判決では、停職処分を理由に採用を拒否された仲間たちは全部負けてきました。ぼくらは何年もかけてそれと徹底的に闘い、不採用基準自体が不当労働行為だったと認めさせた。2年前に闘いの旗を降ろした人たちがいますが、われわれはこの判決で彼らをまた一歩のりこえました。
 激しい組合つぶし、職場を追われた20万人の国鉄労働者の悔しさ、自殺に追い込まれた200人の仲間たちとその家族の悔しさ、そのすべてを謝罪させる。裁判所も鉄道運輸機構もJRも、ぜんぶ引きずり出して、二度とこんなことはやらないと頭を下げさせる。そこまで闘い続けましょう。
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 国労組合員資格確認訴訟

  7月18日(水)午前0時30分
  東京地裁527号法廷

 鉄道運輸機構訴訟控訴審

  7月19日(木)午前11時
  東京高裁101号法廷

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週刊『前進』(2543号2面2)(2012/07/09 )

 大阪市職青年の訴え

 私たちは奴隷じゃない橋下打倒-道州制粉砕へ

 1万人非公務員化を始めとする橋下大阪市長の攻撃との闘いの最前線に立つ大阪市職の青年労働者からアピールが寄せられた。橋下打倒へともに闘おう。(編集局)

 本部のりこえ怒り噴き出す

 この5〜6月、橋下大阪市長の攻撃に対し、大阪市役所周辺でのべ5千人を超える大集会が続々と開催された。
 特筆すべきは、6月22日に初めて大阪市職総決起集会が開催されたことだ。大幅賃下げや分限免職への怒り、橋下打倒の怒りが、市労連本部をのりこえ、現場労働者の中から噴出し始めている。
 6月25日に開催された法曹8団体呼びかけの集会では、アンケート調査に対して市役所内少数労組から「職場でビラをまき、支部・分会で本音で語り合い、勇気をもって自治体労働者としての誇りをかけて、処分覚悟で拒否することを職場で訴えた」「上司から再三の提出命令。憲法違反の業務命令には従えない。上司に提出した後、取り返したケースなど数々のドラマがあった」との報告があった。さらに入れ墨調査では「課長・代理が来て再三の説得をされ『職場で回答していないのはあなただけ。回答しないと民営化が進むのでぜひ回答してほしい』と迫られた」という。
 別の労組執行委員は、アンケートや入れ墨調査に対し「私たちは公務員である前に人間だ。橋下の奴隷ではない。全員で拒否しよう、全員処分などできない。全員で拒否しよう。処分が出たなら闘おう」「闘えば勝てる」と訴えた。
 民間の労働組合からも、交通局の外郭団体において「交通局から『便宜供与はしないから外せ』と言われた」と当局が組合掲示板の撤去を迫ってきた事例や、民間の社長が「誰が労働組合に入っているのか」などの思想調査アンケートを行っていることが報告された。また、「官と民の分断、組織労働者と未組織労働者の分断、正規と非正規の分断、これは資本の常套(じょうとう)手段だ」と述べた上で、米ウィスコンシン州で労働組合が市民と連帯して州議会を実力占拠した闘いに触れ「今、問われているのは、こういった労働者と市民の大衆行動を基軸とした闘いだ」という提起もあった。

 野田への屈従迫る体制内派

 今や首相官邸前における反原発20万人の決起が、橋下や道州制との闘いにおいても始まる情勢に入っている。ウィスコンシン州での闘いを超える官民一体の闘いが、大阪市役所周辺を占拠するような情勢が始まっている。
 しかし、この闘いの前進は、体制内労組幹部とのより激しい激突の中で進む。自治労本部の徳永委員長は、この間の集会で「いよいよ公務員制度改革が実現しつつある」と民主党政権への屈従を迫り、スト権抜きの人事院勧告制度破壊を推進することに「全力をあげろ」と迫っている。連合本部が最後の門番として民主党政権を守り、橋下を守っている姿がはっきりと浮かび上がり始めた。前述の6・25集会でも、最後に平松前大阪市長が登場し、労働者の怒りを議会制民主主義への幻想で抑えつけようとした。
 「資本主義はもう終わりだ」「労働組合の力で世の中を変える」――こう言い切って国鉄闘争全国運動が登場していること、そして、具体的に八尾北―西郡の橋下打倒の闘いと一体となり、大阪市役所内の職場で絶対反対の闘いを実践し提起し続けてきたことが本当に決定的だ。この闘いの前進の中でこそ、今、生まれつつある橋下打倒−道州制粉砕の労働者の怒りを一気に拡大することができる。9月橋下打倒決戦に突き進もう。

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週刊『前進』(2543号2面3)(2012/07/09 )

 6・29官邸前 “原発絶対止めたい”“命守るために来た”

 エテコン、NAZEN先頭に

 6月29日の首相官邸前20万人結集は、60年安保闘争や70年安保・沖縄闘争にもなかった種類の大規模な闘いとなった。
 「再稼働反対!」のボードを持った人、あじさいの花を持った女性、つえをついた高齢者、小さな子どもを連れた若い夫婦――あらゆる人びとが集まった。
 東京・府中市から来た女性は「原発を絶対に止めたい。ベトナムにまで輸出しようとしているが、それも反対」と語った。練馬区から来た年輩の男性は「居ても立ってもいられなくて来た。若い人が多くて心強い」と言う。神戸から来た年輩の女性は「孫たちのために再稼働を止めたい。今日は子どもたちや孫たちの写真を持ってきた」と背負ったザックを指さした。京都から来た若い女性は「集会はまったく初めて。今までとまどいを感じていたが、生活・命を守るための運動だと気付いたので参加した」と動機を述べた。
 5時45分ごろ、参院議員会館での院内集会と国会正門前行動を終えた「原発いらない福島の女たち」を始めとする全国の女性たちが大挙合流した。織田陽介事務局長を中心としたNAZENの隊列では富田翔子事務局次長や福島出身の学生のリードで「再稼働やめろ!」の激しいコール。ドイツの環境団体エテコンの代表がアピールに立ち、「東京電力の勝俣と主要株主は民主主義の敵だ。彼らは独裁者と同じだ。私たちはヨーロッパ、アメリカ、カナダ、アジア、アフリカ、オーストラリア、みんなで頑張ろう。原発をなくそう」と呼びかけると、「そうだ」の声があちこちから上がった。
 (本紙・北沢隆広)
(写真 ドイツから来日したエテコンの仲間とともに首相官邸前で声をあげるNAZEN部隊【6月29日】)

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週刊『前進』(2543号2面4)(2012/07/09 )

 動労千葉を支援する会総会へ

 職場に「支援する会」を建設し検修外注化阻止の一大決戦に

 JR東日本での10・1検修全面外注化をめぐる闘いは、日本労働運動の成否をかけた階級決戦に押し上げられている。中曽根はかつて「国労をつぶせば総評も社会党もつぶれる」と国鉄分割・民営化を強行したが、検修全面外注化は動労千葉をつぶし、階級的労働運動と外注化反対勢力を一掃する攻撃だ。日本階級闘争の巨大な地殻変動が始まる中で開催される今年の動労千葉を支援する会総会の位置は、例年にも増して決定的に重要だ。動労千葉鉄建公団訴訟での6・29反動判決を徹底的に弾劾し、支援する会総会の大成功から夏秋の国鉄大決戦に立とう。

 現場からの闘いが階級闘争の巨大な地殻変動を開いた

 JR東日本の検修全面外注化4月実施を阻止した力は現場労働者の職場丸ごとの決起だった。動労千葉の闘いが、東労組京葉車両センター分会での外注化反対決議を引き出し、外注化を強行すれば東労組の労働者がすべて動労千葉に結集しかねない状況を生み出した。
 新自由主義のもとで強行されてきた業務外注化は、ブルジョア法に照らしてもけた外れに違法でデタラメきわまりない代物だ。それは、外注会社への出向を前提とし、それを御用組合が組合員に強要することで初めて成り立ってきた。動労千葉の闘いはこの現状を食い破り、連合支配のもとで苦悶(くもん)する労働者の怒りを呼び起こし、労働組合再生の欲求を現場から生み出している。
 他方で、反原発闘争の巨大なうねりが始まっている。3・11福島県民大集会は、福島の女性たちを始めとする地元の人びとの怒りの決起が大成功を切り開いた。結集した1万6千人の中心を担う勢力として、福島県教組や国労郡山工場支部を先頭とする労働組合がついに登場した。さらに今、非正規職・未組織の労働者を先頭に、巨万の労働者人民が首相官邸前に登場し「再稼働阻止」の20万人にものぼる巨大な決起を開始している。
  動労千葉と反原発――二つの闘いに共通することは現場からの闘いが全事態をひっくり返していることだ。日本階級闘争の底辺で巨大な地殻変動が始まっている。動労千葉の闘いはその中心にがっちり座っている。

 動労千葉の物販を職場で「組合活動」として取り組もう

 動労千葉を支援する会は、なによりも1047名闘争の当該である動労千葉の闘いを支援し物販闘争を担う大衆団体だ。
 「国鉄1047名解雇撤回」は労働者階級の大義だ。6・10集会で愛媛県職労の宇都宮理委員長が「解雇撤回を闘い続ける労働者・労働組合を支援するのかしないのか。国鉄闘争全国運動の本質は簡単にいえばこの一点にあります。支援するのが労働組合です」と述べたように、国鉄闘争支援と動労千葉物販は正当な組合活動そのものであり労働組合の正面に据えるべき闘争課題だ。
 だが現実には、動労千葉物販を組合決定として取り組むことについては「所属ナショナルセンターの違い」や「国労物販」を理由に多くの既成労組執行部がお茶を濁してきた。動労千葉は、全金本山労組の物販闘争から学び、動労千葉組合員が自ら現場を回ることで個人や分会、支部単位での物販の取り組みを切り開いてきた。既成執行部は苦虫をかみつぶしたような顔をしつつ、現場組合員の自主的な動労千葉物販の取り組みについては黙認せざるを得なかった。1047名解雇撤回には大義があり、物販を理由に統制処分を行うことは反動的執行部でも絶対できない。
 また、1047名闘争と物販の大義を据えた時、階級的労働運動再生への闘いも既成労働組合の中に正しく位置づく。
 かつて4者4団体は、1047名闘争と職場闘争を切断し、1047名闘争を裁判闘争に切り縮めてしまった。同様に、外注化・非正規職化との闘いを1047名闘争と切り離すなら、その闘いは自分の職場だけの攻防に切り縮められ、バラバラに分断されて個別撃破されてしまう。国鉄分割・民営化は究極の外注化攻撃であった。職場における外注化と闘うためにも、1047名解雇撤回の大義に立ち返ろう。

 戦後労働運動の限界をのりこえ

 1047名解雇撤回の大義を掲げた国鉄闘争全国運動は、労組や党派の壁を越えた大衆的結集運動として大きく発展しつつある。その中心を担う動労千葉を支援する会は、中野洋動労千葉前委員長の助力のもと、一貫して大衆団体、大衆的結集運動として建設されてきた。労組交流センターの仲間こそ、職場「支援する会」建設と動労千葉物販の先頭に立つことを熱烈に訴えたい。中野前委員長が「労組交流センターはフラクションとして建設されるべきだ」と一貫して言いつづけた理由もここにある。
 1960年代、三池闘争を支援するために「三池を守る会」が全国で結成された。戦後革命敗北の後、労働者階級は総評の戦闘的転換や、安保闘争と三池闘争を経て再生を始めていた。三池を守る会は、協会派フラクション「反合研」の影響下でつくられたとはいえ、安保闘争と三池闘争を闘った多くの戦闘的労働者を結集していた。
 三池闘争も三池を守る会も、本質的には全労働者階級の財産だった。もし、三池を守る会が全労働者の階級利害を体現する運動として発展していたなら、それは労働運動再生の結集軸となっていたに違いない。しかし、三池を守る会は、協会派の党員獲得のためのセクト的道具へとおとしめられ、やがてその可能性は押しつぶされていった。ここに戦後労働運動の限界のひとつが運動論、組織論の両側面において象徴的に表れている。
 この限界を突破したものが動労本部からの動労千葉の「分離・独立」闘争だった。戦後労働運動において、「左派」の運動は絶えず少数分裂組合として破産してきた。確かに民同を始めとする既成執行部は、反動的であり悪質であり現場組合員から嫌われている。だが日共や協会派のように、むき出しのセクト主義を持ち込むことは現場からは分裂行為にしか見えない。労働組合は労働者階級の共同体だ。分裂行為は感覚的に拒絶される。
 党派闘争とは、資本との闘いを通して競われるものだ。最も資本と闘う勢力を労働者は選択する。それが本来の党派闘争だ。動労千葉と動労本部カクマルとの闘争が、なぜ「分離・独立」として決着したのか。これは言葉のアヤではない。「分裂」ではないから「分離・独立」なのだ。

 国鉄闘争全国運動をすべての労働者の結集軸にしよう

 中野洋前委員長は反合理化・運転保安闘争の核心についてこう述べている。「72年に始まる船橋事故闘争の最終局面は、千葉の国鉄労働者がすべて立ち上がった。動労千葉地本の労働者も国労の労働者も、誰も執行部や国鉄当局の言うことなんか聞いていなかった。あの瞬間、千葉の国鉄労働者のすべてが固唾(かたず)を飲んで中野洋がどんな指令を出すかを待っていたんだ。労働者が本当に決起する時には、党派や組合執行部の統制も、資本の支配も完全に吹っ飛んでしまうんだ。あの労働者の決起の息吹をわが身で感じないと、理屈で反合・運転保安闘争と言ったって本当の反合・運転保安闘争の意味なんて理解できないんだよ」。ここに動労千葉労働運動と反合・運転保安闘争の核心がある。国鉄闘争全国運動が挑戦しているのは、こうした労働者の現場からの根底的な決起を切り開くことだ。

 職場に根を張り資本と闘い抜く

 動労千葉と反合・運転保安闘争、1047名闘争と支援する会、すべてが労働者階級の財産だ。この階級の財産を、全労働者の結集軸として発展させる挑戦が国鉄闘争全国運動だ。
 体制内派に見られる、一定の組合員をセクト的に囲い込んで組合権力を維持するあり方は、労働者の自己解放の力を押しつぶす。動労千葉の反合・運転保安闘争は、労働者の力を限りなく解放する。そのもとで動労千葉の労働者は、自らが労働そのものを支配し組織する力を形成してきた。それが、幕張支部の闘いの教訓として語られる「しっかり仕事をすることが実力闘争」ということであり職場支配権の核心だ。動労千葉の分離・独立も、ジェット燃料輸送という労働それ自体をめぐって資本と徹底的に闘う中で貫徹された。
 労働運動は大流動を開始し、激しい党派闘争が始まっている。だからこそ「労働それ自体」をめぐって現場に根を張って闘うことが決定的だ。
 労働組合は労働者階級の共同体だ。その共同性を体現する大義が、1047名解雇撤回の闘いとして貫かれてきた。職場でこの旗を掲げ、動労千葉物販を職場生産点で取り組むことが動労千葉派の党派闘争だ。
 車両センターを始めとするJR東日本の職場ビラまきの先頭に、支援する会の会員が立とう。国鉄闘争全国運動の2千人会員を実現しよう。動労千葉物販を水路に、職場生産点から闘いを起こそう。 
(菅沼光弘)
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 動労千葉を支援する会総会

   7月22日(日)午前10時〜午後4時
   千葉県労働者福祉センター3階
   (千葉市中央区千葉港4―4)

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週刊『前進』(2543号3面1)(2012/07/09 )

 非正規職場から労組復権する

 非正規労働者に聞く

 東京西部ユニオン 鈴コン分会の闘い

 3カ月雇用のミキサー車の運転手が労働組合を結成して3年。東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会は明るくしたたかに闘い抜いている。職場は東京都板橋区舟渡に工場を持つ生コン製造・運送会社である。「ものを言えば雇い止め・解雇」という資本の攻撃を跳ね返し、解雇撤回・非正規職撤廃を掲げて奮闘中だ。7月15日には鈴コン分会闘争支援・連帯共闘会議がいよいよ結成される。非正規職の労働者がどうやって組合を結成し団結を固めて闘っているのか、3人の分会員と世田谷地区労顧問で共闘会議の呼びかけ人でもある花輪不二男さんにその教訓を聞いた。(編集局)
(写真 左から花輪さん、吉本分会書記長、内尾分会長、鈴木さん【東京西部ユニオン事務所にて】)

 参加者

内尾稔さん(分会長、勤続5年)
吉本伸幸さん(分会書記長、東京西部ユニオン委員長、勤続9年)
鈴木善弘さん(分会会計、勤続20年)
花輪不二男さん(世田谷地区労顧問、鈴コン分会闘争支援・連帯共闘会議呼びかけ人、国鉄闘争全国運動呼びかけ人)

 結成 想像を超える決起

 ――鈴木コンクリート工業はどういう会社ですか。
 内尾 会社は身内経営でいい加減。組合ができる以前は賃金でもなんでもどんぶり勘定です。1万5千何百何十何円とあっても、何十何円が入ってない時もあります。1時間の昼休みも30分しか休ませなくても、30分の残業代をつけない。
 鈴木 入社して5年後のある日、東豊商事という所に形だけだからと言われて転籍させられました。その後、3カ月雇用の書類が出てきた。転籍前は期限の定めのない雇用だったのに。でも、当時は残業があり今よりはずっともらえていたから、よしとして働いていました。
 ――善さん(鈴木善弘さん)は、それで3カ月雇用更新を数十回も繰り返している。とんでもない会社ですね。
 吉本 俺は鈴木コンクリート工業という会社に入ったのに、ふたを開けてみたら3カ月雇用の有限会社東豊商事の契約社員だったんですよ。
 ――鈴木コンクリート工業と東豊商事とはどういう関係なんですか。
 吉本 25年前、鈴木コンクリート工業は組合をつくられるというので、会社は2組を先につくったんです。1組は運輸一般傘下で労働組合をつくったら弾圧を受けて、5人が逮捕されそのうち3人が200日以上の実刑をくらう。その中で85年に有限会社東豊商事というのをつくっているんです。鈴木コンクリート工業は、当時みんな正社員。組合をつくられた恐怖から東豊商事をつくって、そこに有期雇用として入れる。はっきり言えば東豊商事はダミー会社ですよね。当時を知る職場の仲間からは「3カ月雇用を打ち切られるから余計なことを言わない方がいいよ」と聞いていました。だいたい鈴木富美子(東豊商事取締役)がいつも言うのが「嫌だったら他にもっと良いところがあるだろうから辞めればいいじゃない」と。
 ――その中でどのように組合を結成していったのですか。
 吉本 組合結成には実質上7年間かかったんです。花見、忘年会、新年会の計画を立てた。会社の脇はパチンコ屋、その隣は立ち飲み屋で、環境的にはいい。そこに行くとだいたい誰かがいて、職場の不平・不満の話がでる。そこから組合の仲間づくりを始めたのがきっかけですね。11月集会にも声をかけ動労千葉の物販もやっていました。
 最終的に組合結成の判断になったのは3年前、正社員基本給の6万5千円の賃下げと、アルバイト(非正規の契約社員)に定年制がないのに、8月で60歳を迎える田口守さんに日当1万円の25%カットの7500円で働くか、辞めるかという攻撃がかかったことでした。
 酒を飲まないで毎週ファミレスとかで職場の仲間と秘密会議を始めた。鈴木富美子と話をするにはどうするかとか。初めから組合という話は出なかったんですよ。でも鈴木富美子は出てこない。結局、出させるといったら団体交渉じゃないかと。あっ、これ労働組合だよなと。

 安全運転を掲げ順法闘争に入る

 ――そして09年7月5日、10人で組合を結成しました。
 吉本 3カ月雇用契約だから組合をつくったと言ったらまず解雇になるだろうと。じゃあクビを覚悟しなかったらこれはできないとみんなで腹を固めた。
 職場の仲間は「アルバイト(契約社員)は17人いるんだ。最低でもやっぱり10人は、過半数以上は取らなかったら、いざ事を1人2人で起こしたら間違いなく雇い止めになる」と。職場に戻っても秘密会議をやっている話は絶対にしないと決めた。そこから団結が生まれました。見事に他の人間には誰にも話さなかった。それが鈴コン分会ができる一つの力になったと思います。
 職場の仲間がこうしようと言ったときにその話を聞かなかったら、基本になる職場がぶれちゃうからだめなんです。仲間をつくって立つ大事さ、そして何度も何度も丁寧に議論する過程が絶対必要です。
 ――組合を結成していよいよ第2ステージに入ります。
 内尾 7月に組合を結成して11月に組合がバラバラにされるまで、内容の濃い4カ月でした。何年にも感じた。第1回、第2回団体交渉で、会社都合休みでの休業補償も過去1年分払わせた。順法闘争もやりました。過積載拒否、昼休み1時間厳守、残業拒否、始業点検をやって渋滞中は中央線1本で走る。大型車両というのは中央線専用で走って下さいよというのがあるんですよ。
 吉本 運転手というのは渋滞中はすいている方を走りたいんです。でも安全にかかわる問題でしょ。事故をやると鈴木富美子に「あんたのせいだ」とされる。だから中央線1本で走ることにしたんです。
 内尾 あとトン数規制、大型規制の看板があっても規制オーバーで行かされていたんだけども、そういうのも拒否。あと仲間からの提案で組合の腕章をつけて順法闘争をやりました。
 吉本 組合にも17人中15人が入りました。組合が闘い出した時、闘い方に枠はないと思いましたね。俺らより職場の連中の方が「もっとこういこうよ」と出てくる。想像をはるかに超える決起が生まれた。逆にブレーキをかけなければやばかった。
 内尾 組合のつくり方とか進め方ってマニュアルはない。もう抑えるのがたいへん。ずうっと会社に不平不満があって、今やっと労働組合ができて団体交渉でものが言えると。団結によって、そこが変わった。
 吉本 闘いの中で、その人たちが変わっていくというのが本当に目の前で見えるんですよ。よく簡単な言葉で自己解放と言うけれど、うれしいながら逆に背筋がぞっとしてくる。
 内尾 恐怖すら感じるよね。
 吉本 どこまでいくんだろうと。
 内尾 つっ走っちゃうから。
 吉本 こっちがそう思う以上に経営側は、会社を乗っ取られてしまうという恐怖があったと思います。10人ぐらいわーっと事務所にのりこむんだから。ここまでくるかというのはありますね、組合の闘いというのは。だから「時代認識と路線」という難しい言葉じゃないけど、ぴしっとなってないと裏で工作をやられたのを見落とす、走るだけだと。敵はどうしてもそこに分断を入れようとするから。
(写真 東京メーデー行動で、鈴コン分会をはじめ合同・一般労組全国協など70人が解雇撤回を求めて鈴木コンクリート工業の社前に登場、鈴木資本を追い詰めた【5月1日 板橋区舟渡】

 分裂 資本が脱退を組織 

 ――資本の組合脱退攻撃にはどう立ち向かいましたか。
 吉本 田口さんに解雇予告通知が出てから分会三役の態度が急に変わってくるんです。分会三役は当時副分会長だった内尾さん含め4人。俺は西部ユニオンの委員長をやっていたから、三役には入っていなかった。
 分会会議で田口さんの解雇をストで迎え撃とうと議論していた時に、こんな組合にいたらクビになっちゃうと分会員2人が落ちる。そして09年11月1日の労働者集会の日です。「吉本さんは11月4日の分会会議には出ないでくれ」と内尾さんが言いにきた。
 内尾 「分会会議に吉本委員長が来ると、みんなが自分の思っていることを言えないから来ないでくれと言ってくれ」と言われたのが俺だったんです。
 吉本 その分会会議に出ないことにしたんだけど、その夜、当時の分会長からメールが入るんですよ。「鈴コン分会は解散しました。組合に残ったのは吉本さんと田口さんの2人だけです。さようなら。ごくろうさん」と。まさに天国から地獄につき落とされた。内尾副分会長(当時)を外して三役だけでそういう話を裏で決めていたんです。組合脱退の念書も分会員に書かせた。
 11月10日の田口さん解雇の当日、善さんと分会員の2人が腕章をつけてくれた。同じ仲間がクビになるのに、組合はなくなったというのはおかしいだろって。そして内尾さんはこう言ったんです、俺は会社を辞める、こんなのおもしろくねえと。
 内尾 組合を辞めるイコール会社を辞めるという腹積もりでいたから。でもやらないで後悔するより、やって後悔した方がいいんじゃないかと残った。
 吉本 その過程でわかったことは、鈴木富美子から「会社と折り合いがつけるような組合だったら認めてやるけど、あんな吉本とか西部ユニオンみたいな強いところはだめ」と当時の副分会長が言われていた。当時の書記長は「クビになるとわかっていて闘う人間なんか誰もいませんよ」と言った。そんなの許せるかということで、もう1回やろうよと残ったのが善さん、内尾さん、田口さん、俺も入れた6人なんです。
 鈴木 俺、この分会の中で一番田口さんと会話をしている時間が長いんです。俺を子どものように可愛がってくれて。それで田口さんがクビになる、これは許せないと。とにかく抗議するということで腹を決め腕章をつけました。11月4日の分会会議で俺は組合脱退を保留したんです。クビにされようとしている人間を前にして俺抜けたというわけにはいかないって。
 吉本 その中で俺らが総括したのは、負けちゃいねえということ。負けていなかったら俺らの勝ちじゃんと。
 残った6人はみんな職場に訴える。36協定の選挙や賃下げのことも抜けた連中も全部まきこむんです。抜けた連中は分会が嫌で抜けたんじゃない。でも田口さんの解雇がネックにある。
 敵はSJK(鈴木コンクリート工業従業員の会)という形だけの2組をいつの間にかつくらせていた。「会社あっての従業員」ということを言わせる。そうじゃねえんだよというのが職場での闘いですよね。
 田口さんは「俺たちは奴隷じゃねえ」と言っていた。それはSJKの連中もわかっている。敵は一つなんですよ、労働者というのは。労働者と資本家・経営者しかないんだから。そこをはっきり踏まえてやれば大丈夫だよって職場で言っています。

 職場 仲間の解雇許さぬ

 ――その後の闘いについてですが、11年9月、精勤・皆勤手当廃止撤回と急逝した田口組合員の解雇撤回を求めて全分会員が1日ストライキに決起します。会社は組合の宣伝活動が会社の名誉を傷つけたとして分会員3人を雇い止め・解雇にしました。しかし12年2月、1年間の賃金仮払いの仮処分決定をかちとります。12年3月24日には鈴コン分会闘争支援・連帯共闘会議準備会が結成され、花輪さんは「残った人生を鈴コン闘争にかける」と訴えました。
 花輪 僕は田口さんの話を聞いて、これは鈴コン分会が生き残れるかどうかのバロメーターになるなとみていました。僕も長年、労働組合畑で生きてきましたから、資格職種の労働組合の難しさは嫌というほど経験している。この職場が嫌ならこっちだあっちだと、てめえ一人で生きられるとね。看護師などもそうです。鈴コン分会は、田口さんを守ると言って闘って、分会員3人はクビを切られてもなお闘うと聞いた時に、これは本物だと信じた。だから惚れた。
 やっぱり当該が闘わなくてお助け下さい、ではだめなんです。当該がゆるがなくて初めて、周りが結集してくる。
 ――解雇者と現職の分会でどう団結してますか。
 内尾 職場を大事にしています。俺たちは職場に必ず戻るという意識だから、やっぱり職場とつながっておかないといけない。分会会議では職場にどう広げるかが話になっています。解雇された3人が社前で訴える、職場はどういう反応かと。
 ――仮払い決定をかちとり社前に登場した時、職場の仲間が次々に声をかけてきましたね。
 内尾 労働者の気持ちはいっしょなんですよ。お前らよくやったという笑顔です。
 吉本 全部クビになって職場の仲間が一番考えたのは、どうせもちはしないよと。でも何カ月たってもクビになった人間が負けてねえといばって社前に登場している。俺らが闘うたびに社前に人が増える。それで「やっぱりやつらがやっていることは間違いなかったんだな」と。
 内尾 鈴コン分会の軸がぶれなければ職場の人間もついてきてくれる。ウソにウソを固めた会社に労働者の信用がなくなってくるんです。
 鈴木 会社側は労働委員会に行ってもウソばっかり。俺らはまともなことを言っているからすぐ切り返しができるわけですよ。だから負ける気がしない。勝って勝って勝ちまくれです。
 吉本 俺はもともと田口さんを絶対に戻すという頭があったから、絶対に引かない。何があっても。ここの事がおそらく鈴木富美子にとったらすごい恐怖だ。俺は絶対に戻るという気持ちは忘れていない。この一点。

 地域 共闘会議の結成へ

 ――7月15日にいよいよ鈴コン分会闘争支援・連帯共闘会議が結成されますね。
 花輪 闘う労働組合といっしょに行動をしながら、非正規の広がりに歯止めをかけていかないといけない。もうナショナルセンターの別なんてことを言って解決できる問題じゃない。共闘会議の結成を前提にしながら、鈴コンの非正規の闘いを本当に信じてもらえる組合、仲間を増やして、鈴コン分会が鈴コン分会の闘いで終わらないところを展望して闘うことです。
 ――結成に向けてどんな取り組みをしていますか。
 花輪 連合であれ全労連であれナショナルセンターの別なく当該と回っています。国労の支援共闘がああいう結末になったことを見れば、生やさしい状況ではない。一生懸命、何回も通って闘いの本質をわかってもらいながら広げていく。
 吉本 あくまで鈴コン分会の団結を基本にして、俺が支援連帯を訴えていく所は各職場なんです。いっしょに闘おうよと。こっちからその職場の闘いに行くこともあります。今回、職場単位で呼びかけになってくれる所が出てきている。
 鈴木 同じ労働者ですから、労働者が団結できると思って回っています。うちもそうだよって情報交換をやっていけたら本当に共闘できる、地区労ができる。今、この団結が快感になってきたんですよ。自分個人の小さい領域でしたけれども、どんどん自分では考えられない広がりをもってきた。
(写真 鈴コン分会闘争支援連帯3・24集会で共闘会議準備会を結成。呼びかけ人と事務局団体が登壇【北区赤羽】)

 国鉄闘争継承し非正規職撤廃へ

 ――3・24共闘会議準備会結成集会で善さんが「私たち鈴コン分会は国鉄闘争の継承者です。だからこそ勝てるのです」と発言しました。鈴コン闘争にとって国鉄闘争とは何ですか。
 内尾 国鉄分割・民営化から非正規が数多く生み出されてきた中で、鈴コンの職場でもものを言えないようにされ、新自由主義が生き残る手段にされた。俺たちの闘いは一鈴コンの板橋の舟渡の闘いではなくて、日本全国、世界中の非正規の労働者の怒りをそこに集めてものを言わなければそれまでだと。
 吉本 国鉄闘争の継承者というのは、労働組合の復権をかけての闘いが同じだということです。労働組合というのは解雇撤回を掲げて闘う。その原則を守り抜いているのは動労千葉であって、俺ら鈴コン分会も解雇撤回にかけている。
 花輪 国鉄闘争は不当労働行為を重ねてきた政府の責任を追及しないでなんで解決できるのか、頼みます拝みますでね。それは闘うんですよ。闘うことと一人の労働者のクビも許せないということは同じなんです。これが国鉄闘争全国運動の意味じゃないですか。だから鈴コン分会に僕の生き方の一つを当てはめた。
 吉本 国鉄闘争全国運動から合同・一般労組全国協議会も生まれました。職場から本当に闘う組合に変えていこうというつながりが全国協議会です。
 ――全日建運輸連帯労組関生支部との交流も始まり、産別の闘いにも発展しています。
 鈴木 関生支部に行ったら、事務所も大きくてバスもいっぱい。関東でも是非実現してみたい。イメージもてました。
 内尾 東京で拠点をつくって後々には東京生コンもつくっていきたいですね。そのためには産別を超えて地区労をつくってさらに東京全域に広げていく。
 吉本 関西には、港合同の地域的な闘い、関生支部のいろいろな建設運輸の闘いがある。これをミックスしたのが共闘会議なんです。そこにあるのは労働組合の復権ですよ。
 花輪 大手ゼネコンは日本全体を支配している資本の形態です。この資本の中枢にわれわれが迫る。重要な一歩ですね。
 ――最後に全国の仲間に一言お願いします。
 鈴木 生まれてきたんだから闘って前のめりになりましょう。やっぱり小さなことでも闘いです。当たり前の賃金をもらって闘おう。
 内尾 6・10国鉄集会で「団結は無限大」と発言しました。1日でも2日でも日本の労働者が全員ストをやったらこの国でも何でも変えられる。労働者が主役です。マルクスは、労働者はみすぼらしいんじゃなくてとてもすばらしいんだと言った。生まれてこの方労働者だけれども、労働者としてみすぼらしいと思ったことは一度もない。それが自信にもつながっている。みんなにその思いを伝えたい。
 吉本 職場の仲間を信じて、職場で闘って労働組合をつくる。そこが基本になって声を上げたら世の中ひっくり返せる。だから職場で闘おう。ここが労働組合の原点。心配ない、鈴コン分会でできたんだから、必ずできます。どんな職場でも。
 花輪 支援連帯で一歩下がったところで助けてあげますよというよりは一緒に闘うという共闘会議、これを本物にしていく。その役割を鈴コン闘争がもっている。私もその一点に集中しようと思っています。
 ――ありがとうございました。
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 鈴コン分会 闘いの経過

2009年7月   組合結成
   8月   安全・順法闘争開始
   11月   田口組合員解雇
        組合破壊攻撃
   12月〜  労働委員会闘争開始
2011年8月16日 田口組合員が急逝。62歳
   9月14日 会社が精勤・皆勤手当を廃止に
     20日 田口解雇撤回(名誉回復)・謝罪を要求。会社は拒否
     27日 全分会員1日ストライキ
   10月12日 「手当廃止へ異議」を組合員他9人の連名で会社に提出
     13日 ストが就業規則違反だとして分会長、書記長に1週間の出勤停止処分
     17日 分会会計に3日間の出勤停止処分(1週間抗議街宣)
     27日 他組合員に2日間の出勤停止処分
   11月6日 11月全国労働者集会で発言
     19日 分会員への解雇予告に対し西部ユニオン緊急抗議集会
   12月7日 分会長に組合の宣伝活動を理由に雇い止め・解雇
     12日 分会会計雇い止め・解雇
     18日 分会書記長雇い止め・解雇
     22日 解雇撤回総決起集会
2012年2月29日 東京地裁で賃金仮払いの仮処分の決定
   3月24日 鈴コン分会闘争支援・連帯共闘会議準備会を結成
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 鈴木コンクリート工業分会闘争支援・連帯共闘会議 結成集会

7月15日(日)午後4時開場
赤羽会館・4階小ホール(東京都北区赤羽南1-13-1、JR赤羽駅東口から徒歩5分)
 午後4時半 結成集会
 午後7時 レセプション

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週刊『前進』(2543号4面1)(2012/07/09 )

 核と原発への怒りはひとつ 8・6−8・9闘争へ(2)

 原爆被爆者の怒り共有しよう

 「内部被曝」否定する国

 67年後の今も続く攻防

 長崎地裁が被爆者認定拒む

 原発再稼働へ暴走する野田政権への労働者人民の怒りがふくれ上がり、6月29日、ついに20万人が首相官邸前を占拠した。日本階級闘争は歴史的大激動期に突入した。日帝支配階級を労働者人民の実力で打倒する革命の勝利なくして、原発は廃絶できない。今やこのことは労働者人民の共通認識となりつつある。
 帝国主義が生み出した核は、原爆と原発の開発・使用をとおして、人間の生存基盤を根底から破壊する。食べること、住むことなどの前提としての身体すらも細胞分子レベルで破壊し、類的存在の継続をも脅かす核(放射能)。3・11福島原発事故で、この内部被曝の超重大な問題にわれわれは直面している。
 爆心地から12`圏内で原爆に遭いながら、国の指定地域外のため「被爆者」と認められていない人たちが被爆者認定・被爆者健康手帳交付を求めた集団訴訟で、長崎地裁は6月25日、第1陣395人全員の訴えを却下した。井田宏裁判長は、「爆心地から半径5`以上では放射能による健康影響はない」とした国の主張を追認し、放射性物質を体内に取り込むことによる内部被曝の認定を全面的に否定した。これこそ内部被曝否定の結論ありきの暴論だ。
 長崎では、放射能を含んだ原子雲が爆心地から30`近くまで広がり、東の西山地区や間の瀬地区、南の旧香焼(こうやぎ)村、西の旧式見村など広範囲にわたって黒い雨を降らせた。1950年代のABCC(原爆傷害調査委員会)の調査では、904人が黒い雨に遭ったと回答。西山地区の住民の体内からセシウムが検出されている。
 長崎に落とされた原爆はプルトニウム爆弾であり、西山地区の水源地では06年の近畿大の調査で、水底の土中からプルトニウムが検出されている。また09年には、1945年末までに亡くなった被爆者7人の解剖標本を研究してきた長崎大の七条和子助教らの研究グループによって、被爆者の肺・腎臓・骨などの細胞核付近からα線が放出されている様子が初めて撮影された。体内に取り込まれたプルトニウムが60年以上になっても放射線を出し続けていることが実証されたのだ。
 原子雲の下にいた住民たちは、降ってきた放射性物質を、呼吸したり食べたり飲んだりすることで内部被曝し、がんなどの原爆症を患ったことは明白である。にもかかわらず長崎地裁は、放射性降下物による環境汚染と内部被曝の事実を「合理的根拠がない」と一方的に否定し、被爆者認定要求を「被爆者援護法が定める被爆者に該当すると認めることはできない」と切り捨てた。
 その上に、「健康手帳が交付されるかもしれないという意識がある以上、記憶の混乱や変容が生じる恐れが低いとは言えない」と、原告をうそつき呼ばわりさえしている。しかし、被爆の苦しみの中から闘いに立ち上がった被爆者の証言こそ最大の証拠ではないのか。被爆者は怒りを倍加させ、7月2日に福岡高裁に控訴し、闘いの継続を宣言した。
 反動判決に対し、日赤長崎原爆病院院長の朝長万左男(ともながまさお)は、「医療費補助対象の精神疾患の拡大解釈を国に要望するよう運動を転換した方がいい」と、内部被曝を認めさせるために命をかけて国と闘っている被爆者の闘いを貶(おとし)め、国への屈服をそそのかした。
 IAEA(国際原子力機関)のチェルノブイリ原発事故調査団長となった重松逸造(当時放射線影響研究所理事長)は、「放射能による健康影響は認められない。むしろ放射能恐怖症による精神的ストレスの方が問題」と、なんら根拠のない非科学的結論を発表し、世界中の怒りの的となった。朝長はこの重松とまったく同じ論法で、ナガサキの内部被曝を抹殺しようというのだ。放影研は1945年から行われてきた内部被曝の継続調査を1989年に中止している。
 朝長はかつて長崎大学大学院医歯薬学総合研究科長であり、山下俊一はその後継者だった。今年の長崎の8・9平和祈念式典・平和宣言文の起草委員会第1回会合(5月12日)には、昨年に続いて朝長とともに山下が出席。「福島の子を励ませるのは広島や長崎だ。情報をきちんと伝えていくことが大事だ」とぬけぬけと言い放った。山下は福島県民に「放射能=安全」のデマ宣伝を繰り広げ、子どもたちに被曝を強制した大犯罪人だ。フクシマの怒り、ヒロシマ・ナガサキの怒りに敵対し、内部被曝を握りつぶして、被ばくをも金もうけ・核武装化推進の対象にしようとうごめく日帝支配階級に、今こそ歴史的鉄ついを下そう。

 「黒い雨」分布図が被曝証明

 放影研は昨年12月、「黒い雨」の降雨分布図を公開した。ABCCが50〜60年代にかけて行った寿命調査(LSS)による12万余のデータがあり、その中で広島では黒い雨を浴びたと回答した人が1万4633人いたことがわかった。放射線による人体への影響については初期放射線だけに限定し、内部被曝を排除して「黒い雨」に関するデータを隠し続けてきたが、関連文書が見つかり、しぶしぶ出してきたのだ。
 この黒い雨の降雨分布図は、多くの黒い雨を浴びた地域でがんの死亡リスクが高まっていたことを証明するものとなった(広島大原医研・大瀧慈教授の研究)。
 広島大などの研究グループは、国の援護対象の「大雨地域」外の佐伯区湯来町や安芸太田町を始めとした地域で住宅の床下の土壌を調査し、6カ所からセシウム137を検出した(米ソの大気圏内核実験の降下放射性物質との混同を避けるため、第2次大戦直後に建築された住宅を選択している)。
 1989年に増田義信・元気象研究所研究室長が住民の聞き取りなどをもとにした調査では、降雨域が国が定めた区域(北西29`・幅15`)の4倍に広がることが明らかになっている。
 原子雲が広範囲に広がり放射能を帯びた黒い雨を大量に降らせ、環境を放射能汚染した。大勢の人びとがその黒い雨を浴び、放射能汚染された水を飲み、食物を食べることによって放射能を体内に取り込み、内部被曝してがんなどの疾病にかかり、命を奪われている。このことが被爆者の証言を始め新証拠・科学的新知見などでますます確証されてきている。
 5月29日、厚労省の検討委員会は、広島・長崎の被爆者認定を求める闘いに対し、「黒い雨の体験があると答えた人は、ないと答えた人に比べ精神面での指標が悪い」と暴言を吐き、体の病気は「調査設計上、評価が困難」と、内部被曝を検証皆無のまま全面的に切り捨てる方針にますますしがみつくことをあからさまにした。内部被曝を争点として、これまで被爆者がかちとってきた画期的地平を覆そうとする許しがたい攻撃である。
 それは同時に3・11への日帝支配階級総体の反革命宣言にほかならない。原子力基本法の大改悪(「安全保障に資することを目的」の追加)で、日帝の核武装国家化の野望が露見した。
 内部被曝認定は“100_シーベルト以下は健康に影響はない”とするICRP(国際放射線防護委員会)基準の崩壊に直結し、日帝の原発・核燃(=核武装)政策を根底から破綻に追い込むものとなる。
 内部被曝をめぐる階級攻防は日本階級闘争の主戦場となった。被爆者の怒りを共有し、7・16反原発デモをかちとり、8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争へ。野田政権打倒、全原発廃炉へ突き進もう。
(河東耕二)

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週刊『前進』(2543号4面2)(2012/07/09 )

 20万の怒りの先頭に

 原発いらない福島の女たち 国会前などで行動

 6月29日午後、「原発いらない福島の女たち」や全国の女性たちの呼びかけで、「大飯再稼働は許さない!女たちの国会前アピール」が行われた。「女が変える! 政治も、暮らしも、原発も!」と題して、経産省前テントひろばの前での集会、参院議員会館での院内集会、国会正門前アピールを行った。7月1日に大飯原発の再稼働が強行されようとしている緊迫した状況の中で、再稼働を絶対に阻もうという熱い思いを集めた行動となった。
 午後1時、経産省前テントひろばの前で集会が始まった。司会を務めた「原発いらない福島の女たち」呼びかけ人の森園かずえさんが「野田政権は生命軽視、経済優先で大飯原発の再稼働を決めました。私たちは怒っています。再稼働をなんとか止めるために今日は全国から集いました」と訴え、北海道・泊原発、佐賀・玄海原発、愛媛・伊方原発、茨城・東海原発など、原発立地県から参加した女性たちが発言した。
 続いて福島から駆けつけた約20人の女性が次々とマイクを握った。「福島の私たちのような思いを、大飯の人たちにさせるわけにはいかない」「私たちはけっしてあきらめない」と真剣な訴えが続いた。
 福島からの発言の最後に、椎名千恵子さんが「昨年秋、福島の女たちが初めてここに並んだ時は、こんなに力強い言葉はなかった。一人ひとりが鍛え上げられ高めあって、今日は豊かな表情で自分の思いを語った。若い人たちも増えた。これこそ未来への希望です。未来を変える力は私たち一人ひとりにあります。このうねりを高めていけば、未来は変えられます」と訴えた。
 3時からは参議院議員会館で院内集会を行い、参加者は200人を超えた。
 5時、国会正門前に移動して、会津磐梯山の歌に合わせて福島の民衆の鎮魂と抵抗の踊り「かんしょ踊り」を踊った。
 続いて国会議事堂を背に福島と全国の女性たちが次々とアピール。福島の女たちの呼びかけ人・武藤類子さんは「野田首相は大飯原発再稼働の理由に『国民の生活を守る』と言っていますが、少なくともそこに福島県民は含まれていない。『いい加減にしろ、野田!』と言いたい。今日、官邸前は10万を超える人びとで埋め尽くされると思います。私たちはもうだまされません。もうあきらめません。みなさん、ともに歩みましょう」と力強く訴えた。国会前アピールと並行して向かいの歩道では「かんしょ踊り」を続けた。
 その後、6時から首相官邸前を20万人で埋め尽くした大飯原発再稼働反対デモに合流した。福島の女性たちの登場は、多くの参加者の注目と共感を集めた。
(写真 かんしょ踊りで大飯原発再稼働反対をアピールする女たち【6月29日 国会議事堂正門前】)

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週刊『前進』(2543号4面3)(2012/07/09 )

 福島の女性たちのアピール

■郡山市・人見やよいさん この1年3カ月、福島県民がどれだけの恐怖を感じて生きているか。将来の不安もいっぱい。地震が起きるたび、4号機が倒れるんじゃないかとめちゃくちゃ怖い。再稼働されても、私たちは絶対にあきらめません。執念深くいつまでも反対します。再稼働できるなら、再停止は必ずできます。私たちの力で再停止させ、原発ゼロの日をもう一度祝います。
■郡山市・黒田節子さん
 暖かくなると心配ごとが増えます。ほとんどの小中学校でプールが再開されます。課外活動の「3時間ルール」制限が最近、撤回されました。給食は福島のお米を使っています。どうしようもないぐらいたくさんの不安があります。子どもたちとお母さんが不安をたくさん抱えながら暮らしています。だから私たちはあきらめるわけにはいかないんです。福島の女たちはこの1年3カ月、原発をやめるために行動することが生きることだと知りました。私たちはこれからも生き延びます。みなさん、一緒に生き延びよう。

 私たちはもうだまされない

■西郷村・地脇美和さん
 私たちはもうだまされません。本当のことを見つめて、きっちり声を上げて、子どもたちやすべての命を守るためにみなさんとつながって生きていきたい。実際に事故が起こり、誰も責任をとれない取り返しのつかない事態になっているんです。その現実と向き合って、命を守ることが一番大事です。私たち自身の手で新しい社会をつくりましょう。
■福島市・佐藤幸子さん
 福島の子どもたちは毎日、つらい思いをしています。先日、福島大学の学生が私のところに食と農の話を聞きに来て、放射能の問題も話をしました。すると「質問してください」と言っても黙っている。大学では話せなくされているからです。
 国は大飯を再稼働して福島県を見捨てる気ですか。福井県民に同じ思いをさせたいんですか。私たち福島県民は3・11以降、仕事、暮らしをすべてひっくり返されました。もう二度と起こしてほしくない。国を変え、原発をとめましょう。
■福島市の女性 私は自分の娘と一緒に住んでいません。自分の子どもと一緒に住むことができないお母さんたちが福島にはいっぱいいます。それなのに大飯を再稼働するというニュースを見て、いてもたってもいられずにバスに乗ってきました。福島のお母さんたちの声を聞いてください。
(写真 首相官邸前を埋めた20万人とともに「再稼働反対!」を訴える原発いらない福島の女たち)

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週刊『前進』(2543号4面4)(2012/07/09 )

 8・6広島-8・9長崎闘争へ

 7・22東京集会に参加を

 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会が「被爆67周年反戦反核闘争に決起しよう」とアピールを発した。呼びかけに応え7・22反戦反核東京集会に参加しよう。(編集局)
 被爆67周年反戦反核闘争に決起しよう
 8・6広島-8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
 全世界の労働者人民の反対を押し切って野田政権は大飯原発の「再稼働」を決定。7月1日、関西電力は3号機の運転を再開した。
 われわれは、この暴挙を心の底から弾劾する。
 野田政権は、ストレステスト評価で、再稼働に反対する委員の声を無視し、あらたに東洋大渡辺満久教授の大飯原発直下に破砕帯があるという重要な警告をも無視し、「安全確認」のおスミつきを与えたのである。
 われわれは、これほどまでに多くの労働者人民の反対の声を圧殺して原発再稼働をなぜ強行するのか、をはっきりと見てとらなければならない。
 それは、この野田政権の「再稼働容認」と軌を一にして原子力基本法第2条「目的」に「安全保障に資する」という追加条項を盛り込んで、6月20日国会成立させたことに「原発再稼働」の真の狙いがあるからだ。
 原子力の憲法と言われ、自民党歴代内閣―民主党鳩山政権―野田政権まで、国会でたびたび言明してきた「非核三原則」(つくらず、持たず、持ちこませず)が、すでに当初から骨抜きにされていたことを措いても、これほど明らかな日本核武装宣言はなかった。
 原発再稼働が日本帝国主義にとって、単なる電気エネルギー問題として収斂(しゅうれん)されるものではないことをはっきりと示したのである。
 われわれは、これまでも原発が「軍事転用」されるから危険だと言ってきたのではない。そもそも1953年12月の国連総会でのアメリカ大統領アイゼンハワーの「アトムズ・フォア・ピース」を直接的な起点とし、翌年早くも日本の原子力予算が中曽根康弘によって計上され、国会成立したことにあらためて着目する必要があるのだ。
 ちょうどこの時、3月1日中部太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁でのアメリカ水爆実験による死の灰を浴びた遠洋漁業乗組員の被害が、とりわけ第五福竜丸事件として明るみに出た。この放射能汚染に対し、「原爆マグロを食べたくない」という杉並の主婦の素朴な願いから出発した原水爆禁止運動がまたたく間に全世界に広まり、反米運動として大きな盛り上がりを見せたのである。
 しかし、アメリカCIAのワトソンと読売・正力松太郎の意を受けた柴田秀利によって「毒をもって毒を制す」という「日本に対する原子力技術の供与」と200万jの見舞金で政治決着をはかったのである。
 これが日本の核開発の直接的な出発点になったのであり、54基に及ぶ原発とその使用済み核燃料からウランとプルトニウムを分離抽出する再処理工場、さらに福井もんじゅを稼働して超兵器級プルトニウムを生みだしていく「核燃料サイクル」を手中にして「日本はすでに核保有能力を有している」(2010年9月民主党政権誕生直後の鳩山首相の国連演説)のである。
 われわれがこれまでに確立した「くり返すなアジア侵略―ヒロシマ・ナガサキ、オキナワ、ビキニ、フクシマ」という闘いを、「日本の核武装阻止」を基底に「原発再稼働反対」「プルサーマル運転阻止」「核燃サイクル解体」として、本年被爆67周年の闘いを闘いとろう。
 7月22日文京区民センターに集まろう。ヒロシマ大行動、すべての原発いますぐなくそう!全国会議と相協力して〔行動要項〕で訴える集会・デモ・抗議行動に全力で参加しよう。とりわけ、全国統一実行委員会が主催する反戦反核の初めての二つの行動――8・5午前放射線影響研究所(旧ABCC)見学会、8・7午後佐賀・玄海原発プルサーマル運転再開阻止行動に交通手段を工夫して参加しよう。
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 7・22反戦反核東京集会

7月22日(日)午後1時半開会
文京区民センター3A (都営地下鉄三田線春日駅A2出口)
パネルディスカッション
山田真さん(小児科医)
下田禮子さん(反戦被爆者の会)
黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)
特別報告 間山正茂さん(南部バス労組委員長)
主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会

 

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週刊『前進』(2543号4面5)(2012/07/09 )

日誌'12 6月26日〜7月2日

 消費増税法案が衆院通過/沖縄知事、オスプレイ強く拒否

●消費増税法案が衆院通過 消費税率を14年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる消費増税関連8法案が衆院本会議で可決された。そのうち消費増税法案は賛成363、反対96、欠席・棄権16。民主党内からは57人が反対に回った。(26日)
●六ケ所村のMOX加工工場を認可
経産省原子力・安全保安院は青森県六ケ所村に建設中のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料加工工場の施設や機器の工事を認可した。申請した日本原燃は16年3月の完成を目指している。(26日)
●米のオスプレイ配備方針を政府が容認 野田政権は、墜落事故が続く米新型輸送機オスプレイを予定どおり配備するとした米政府方針を容認することを決めた。(27日)
●連合会長が自民党で講演 連合の古賀伸明会長は、自民党の国土強靱(きょうじん)化総合調査会で講演し、連合は今は民主党の最大の支持団体だが、今後の政治状況によっては支持政党を見直す可能性があることを示唆した。(28日)
●原発24基「即時廃炉を」 原発に依存しない社会をめざす超党派議員の「原発ゼロの会」は、直下に活断層が通っている疑いがある日本原子力発電敦賀原発1、2号機など計24基を直ちに廃炉とするよう求めた。(28日)
●新幹線3区間を認可 羽田雄一郎国土交通相は、整備新幹線の未着工3区間(北海道、北陸、九州・長崎ルート)の着工を正式に認可し発表した。認可は民主党政権では初めて。(29日)
●F35契約、1機102億円 防衛省は、空自の次期主力戦闘機として導入する最新鋭ステルス戦闘機「F35」について、16年度末に納入する4機分を米政府と契約した。1機あたり約102億円。(29日)
●再稼働反対で20万人が官邸前埋める
 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働決定の撤回を求め、首相官邸周辺に約20万人が集まった。(29日)
●サイバー機動隊を内閣官房に新設
政府機関のコンピューター機器や通信網への攻撃に対抗するため、野田政権は「サイバー機動隊」を立ち上げた。攻撃を受けた省庁に出向いて技術支援を行い、被害の拡大を防ぐ。(29日)
●大飯原発3号機を再起動 関西電力は大飯原発3号機を再起動した。福島原発事故以後、定期検査に入った原発が再起動するのは初めて。(1日)
●沖縄知事、オスプレイ強く拒否 沖縄の仲井真弘多知事は森本敏防衛相との会談で、オスプレイ配備計画を「断然拒否する」と強く抗議。「配備強行なら全基地の即時閉鎖・撤去」と訴えた。(1日)
●関西空港と伊丹空港が経営統合 関空と大阪(伊丹)空港の経営が統合され、新関西国際空港会社による一体運営が始まった。14年度をめどに両空港の運営権を外部に売却して、約1兆2千億円の借金解消をめざす。(1日)
●民主分裂、50人が離党届 消費増税関連法案に反対した民主党の小沢一郎元代表ら衆院議員38人と、参院議員12人の計50人が離党届を提出。(2日)

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週刊『前進』(2543号5面1)(2012/07/09 )

 労働者の力で関空廃港へ

 泉佐野で全国集会 橋下・千代松打倒を誓う

 7月1日、大阪・泉佐野市で「関西空港反対全国集会」が160人の参加で意気高くかちとられた。主催は関西新空港絶対反対泉州住民の会と関西労組交流センター。この日、関西空港と大阪(伊丹)空港が経営統合した。これは1兆2千億円の借金を抱える関空会社を救済するためだ。統合は労働者へのさらなる首切りと賃下げ、非正規職化しかもたらさない。7・1闘争は経営統合に真っ向から反対し、橋下(大阪市長)・千代松(泉佐野市長)へ打倒宣言をたたきつけた。
 直前まで降っていた雨も午後1時半の開会時にはやみ、会場の末広公園コミュニティひろばに労働者・学生・市民が続々と結集した。
 冒頭、富田益行関西労組交流センター代表が主催者を代表してあいさつし、6・10国鉄集会の大勝利を徹底的に踏まえ、「10・1JR外注化阻止に階級闘争の一切の決着がかかっている」「労働監獄と化している関空島の労働者の決起こそ軍事空港化を阻止する闘いだ」と訴えた。
 連帯あいさつを入江史郎全国労組交流センター代表、部落解放同盟全国連西郡支部、婦人民主クラブ全国協が行った。
 そして泉州住民の会代表の国賀祥司さん(泉佐野市議)が基調報告に立った。国賀さんは冒頭、6・29首相官邸前20万人の熱い決起を語り、「すごい情勢だ。いよいよ日本を変えるときが来た」「泉州住民の会結成から25年、関空開港から17年間闘ってきたが、関空も資本主義も完全に行き詰まっている。新自由主義と闘う関空闘争がついに勝利する時代に入った」と確信をもって語った。そして市の命名権を売りに出したり、犬にまで税金をかけようとしている千代松市長に市民はあきれ怒っていること、また震災がれき受け入れに対して市職労働者を組織して闘っていることを報告し、「被曝労働拒否を市職労働者と市民への分断攻撃をのりこえて闘おう」と呼びかけた。
 国賀さんは、さらに空港への新自由主義の核心的攻撃としてのLCC(格安航空会社)導入を弾劾し、「労働者への非正規職化・強労働、安全破壊を絶対に許してはならない」と訴えた。最後に、三里塚・沖縄と連帯して関空の軍事空港化絶対反対を闘うことを呼びかけた。
 泉州住民の会、関西労組交流センター自治体労働者部会、八尾北医療センター労組、関西合同労組泉州支部、全学連が決意表明した。とりわけ自治体部会の大阪市職青年労働者は、首切り・賃下げ・労組破壊に突き進む橋下市長に市職労働者の怒りが高まっている状況を報告し、「労働者が闘えば橋下は倒せる。橋下が攻撃すればするほど労働者の団結は拡大し、攻撃はまったく貫徹していない。今秋、中之島を赤旗で埋め尽くす大闘争を闘おう」と呼びかけた。
 集会には、動労千葉、森田恒一さん(泉州住民の会元代表)らからメッセージが寄せられ紹介された。
 いよいよデモ出発だ。泉佐野市街を通り、空港島を沖合に望むマーブルビーチまでデモした。沿道では市民が家の中から出てきてデモ隊を応援、国賀さんと固く握手する場面もあった。
 7・1関空闘争は意気高く打ち抜かれ、関西における階級的労働運動の前進の大きなエネルギーをつくりだした。
写真 富田さん、入江さん、国賀さん【前列左から】を先頭に「関空の軍事空港化反対」の横断幕を掲げてデモ。沿道から市民の熱い共感【1日 泉佐野市】)

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週刊『前進』(2543号5面2)(2012/07/09 )

 民主労総が3万人集会

 非正規職撤廃など3大要求 8・28からゼネストへ

 6月28日午後5時、「非正規職撤廃! 整理解雇撤廃! 労働悪法改正!」の3大要求を掲げる民主労総が、ソウルのヨイドにある国民銀行前で警告ストライキ・集会を開いた。25日から全面ストに突入した貨物連帯、27日からストに入った建設労組を始め、金属労組、公共運輸連盟、保健医療労組、事務金融連盟、化学繊維連盟、公務員労組、女性連盟、民主一般連盟、地域本部組合員など3万人を超える労働者が結集した。
 この場で民主労総は、イミョンバク政権に対し3大要求の実現とともに労働弾圧中断、労働基本権および民衆生存権保障のための10大課題、79項目の社会改革立法を要求し、政府・資本が応じない場合は8月28日から無期限ゼネストに突入する方針を明らかにした。
 貨物連帯と建設労組のストに続き、金属労組は7月15日に第1次警告ストライキ、20日に第2次警告ストライキを闘い、8月第3次ストライキへと継続しながらゼネストへ向け闘争水準を高めていく構えだ。さらに保健医療労組の営利病院阻止闘争、貨物連帯ストライキを援護している公共運輸労組の公共部門民営化阻止闘争など、韓国労働運動は、新自由主義攻撃との全面的な激突局面を迎えている。
 労働者と労働者家族の生存権をかけた激突情勢が到来している。それを端的に示すのが、「特殊雇用労働者」の労働基本権保障、未払い賃金根絶を要求する貨物連帯と建設労組のストライキだ。

 貨物連帯と建設労組がスト

 貨物連帯(組合員1万2千人)は、6月25日朝から無期限全面ストライキに突入した。同時に、コンテナ輸送の中心地である釜山新港と京仁ICD(内陸コンテナ基地)で、釜山支部長、京畿支部長がそれぞれの物流拠点で高空籠城(ろうじょう)闘争に決起した。スト初日、釜山港を往来するコンテナ車両約2千台のうち600台以上の運行がストップ。1日1万台を超える全車両運行量が30%以上も減少した。大型トラックは全国で運行している8万2千台中、初日には37%にあたる3万台が止まり、2日目からは8万台以上がストに参加した。非組合員も含め90%以上が運行を拒否し、浦項鉄鋼工業団地、釜山港などで80%以上の運行が止まった。
 「車を走らせる奴隷」とまで呼ばれる貨物労働者は、個人事業主と定義され労働三権を認められていない特殊雇用労働者だ。多段階下請け構造のもとで斡旋(あっせん)手数料という形で中間搾取され、受け取る運送料は荷主が支払った運賃の63%。しかもその中から道路費と燃料代を含む油類税を負担し、買い取った車両の代金を返済しなければならない。その上、自動車用軽油価格の高騰が続いている。軽油に付加される税は約40%、1人の貨物労働者が納める油関連税は収入の58%にも上る。
 日常的な長時間労働と深夜運行、交通事故発生率の増加、死亡事故……。しかし労災保険はない。黙っていたら殺される!ともにストに立ち上がった建設労組も同じだ。
 全国建設労働組合(2万9千人)は、6月27日から18項目の対政府要求を掲げて無期限の全面ストに突入。翌28日には組合員1万5千人がソウル市庁広場の総決起大会に集まった。タワークレーン操縦士たちが現場を放棄し結集したことで全国1千カ所、80%の工事現場が止まり、非組合員のスト参加が広がった。
 現在、韓国の建設労働者の70%が臨時・日雇いであり、低賃金の上、慢性的な賃金・建設機械賃貸料の未払い問題に苦しんでいる。労災での死亡率も高いが、特殊雇用労働者のため労災保険が適用されない。昨年1年間に建設現場での事故で死亡した建設労働者は577人に達した。安全対策が軽視され構造的な大規模事故が多発している。
 建設労組は28日の対政府交渉で前向きの回答を引き出したとして一部地域を除きストを中断し、貨物連帯も29日、運送料の9・9%引き上げをもってスト中断を決定した。しかし要求貫徹へ、闘いはこれからだ。8月民主労総ゼネストへ、闘いは続く。(室田順子)
(写真 ストに入った貨物連帯、全国建設労組など3万人を超える労働者が結集した【6月28日 ソウル】)

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週刊『前進』(2543号5面3)(2012/07/09 )

 労働者階級の勝利へ闘う革命党建設に大カンパを

 すべての同志、支持者のみなさん! 野田政権を倒すために立ち上がっているすべてのみなさん! 革共同に絶大なカンパをよせていただくよう訴えます。
 労働者階級が腐り果てた政治権力をうち倒し、社会の実権を握り、社会主義社会を建設していくためには、労働者階級の利害に立ちきって闘いを進める党を建設しなければなりません。今日そのような党は革共同以外にありません。革共同を強く大きく建設する闘いにみなさんとともに勝利したい。革命に勝利できる党の建設のために、資金カンパをお願いします。

 労働者階級の党をともに建設しよう

 6月29日、政治権力の中枢・首相官邸前を20万人の労働者・学生・人民が埋め尽くし、野田政権の再稼働強行に対する怒りをたたきつけました。3・11以降、誰にも明らかになった被災地の労働者を切り捨てるブルジョアジーの手法に対して、被曝労働を強制して使い捨てにする電力会社やJRといった資本家たちに対して、またその渦中で消費大増税や民営化・外注化・非正規職化を推し進める野田政権に対して、満身の怒りを「再稼働反対」の一点に絞り込んで、たたきつけたのです。
 この闘いは誰か特定の党派が仕掛けたとか、動員したものでもありません。労働者自身が生きぬくために一人ひとりが立ち上がったのです。怒りの決起が始まったのです。しかしこれを本当に勝利させるには、労働者自身の手で革命党を建設する必要があります。
 ここで日本共産党スターリン主義をはじめとした政党は、党を現実の労働者階級の外部に、労働者の上に立つ特別の集団として位置づけてきました。この点にこそ致命的な誤りがあります。これでは労働者階級の利益が守られないだけでなく、あらゆる運動においてその決定的局面で闘いが分断され、勝利することができません。
 革共同は組織についてまったく違う考え方をもっています。革共同は労働者階級全体の利益と切り離された利益をもちません。また特別の原則を立てて、その型に労働者階級の現実の運動をはめ込もうとするものでもありません。あくまで労働者階級の一部として、また労働者の階級意識を鋭く体現する最高の団結形態として、そして鍛え抜かれた階級の前衛として、革共同を建設する決意です。このことは現下の反原発と国鉄の大決戦を前進させていく実践的格闘の中で初めて実現できる課題だと考えています。

 国鉄全国運動拡大し労働組合再生を

 労働者階級全体にとって、今もっとも必要なことは、闘う労働運動を再生するという一点にあります。原発再稼働も、非正規職化も、解雇・賃下げも、労働組合が全力で闘えば簡単に進められるものではありません。労働運動を再生する決定的な鍵が国鉄決戦にあります。
 日本階級闘争の基軸は戦後一貫して国鉄労働運動でした。国鉄労働者が先頭に立つことで労働運動が一つにまとまり、資本や国家権力との力関係を形成してきました。とりわけ1987年の分割・民営化以降、国鉄労働運動の解体か再生かをめぐって激しく闘われてきました。
 ところが不当解雇撤回1047名闘争の2010年4・9政治和解は、国鉄闘争の大変な危機をもたらしました。国労本部自らが「二度と雇用や不当労働行為を争わない」という屈辱的条件をのみ、国・JR資本の謝罪もないまま解雇撤回の旗を降ろしたのです。こんなことがまかり通れば、国家の名による「全員解雇・選別再雇用による労働組合つぶし」が合法となり、資本家は解雇・組合つぶしをやりたい放題になってしまいます。それを労働組合が自ら認めたら終わりです。また、およそ労働運動を語る党で、この4・9政治和解に賛成した党は、その時点で労働者階級の階級的立場から転落したと言わなければなりません。結局のところ国家をあげた攻撃には労働組合は闘えない、勝てないということになってしまいます。これでは原発再稼働や非正規職化の攻撃と闘うこともできません。
 国鉄闘争全国運動を全力で拡大しましょう。6月10日には、動労千葉、国労闘争団4人をはじめ多くの闘う労働組合、活動家1800人が結集し、反撃の火柱をうち立てました。革共同はこの闘いこそ、今日の労働運動衰退の危機を、意気軒高とした闘いの広がりへと転化できる闘いであると確信し、一切の闘いの基軸に国鉄闘争全国運動の発展をすえています。JRの検修・構内業務の10・1全面外注化を絶対に阻止し、国鉄闘争勝利で労働組合をよみがえらせるため全力で闘います。階級的労働運動の前進のために非合法・非公然体制を堅持し、国家権力に断じて負けません。
 すべてのみなさんとともにこの闘いに勝利し、革命の突破口を切り開きたい。すべてのみなさんとともに革共同を建設したい。そのために絶大なカンパをお願いします。

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週刊『前進』(2543号5面4)(2012/07/09 )

新刊紹介 共産主義者173号

 10・1JR外注化阻止かけ国鉄・反原発で総決起訴え

 党と労働組合の一体的な建設を

 『共産主義者』173号は、10・1JR外注化阻止の国鉄決戦を闘うための論文を中心に、国鉄決戦勝利への総決起を全党・全労働者階級人民に訴えている。
 巻頭の松丘静司論文は、春の「全国代表者会議」での革共同中央労働者組織委員会報告だ。1〜4月の闘いの前進とその到達地平を踏まえ、『前進』春季特別号の内容をより深めて、わかりやすく提起している。「情勢に食らいついて、本当に勝負したら時代は動く、そういう時代が来ている」(2n)、「戦後の労働運動の限界を突破する闘いをぼくらができるところにまで来た」(19n)。だからこそ、この革命的情勢における労働組合論が求められている。だから、レーニンの『共産主義における左翼空論主義』を今日的に深化させ、「党と労働組合の革命論的一体性」論を発展させた提起がなされているのだ。9月橋下打倒―10・1外注化阻止決戦への必読論文だ。
 革共同国鉄委員会論文は、国鉄決戦こそ日本労働者階級の命運をかけた決戦であり、平成採獲得こそ「責任勢力」となるための飛躍をかけた革共同の決戦であることを明らかにした。3・11郡山大集会をめぐる闘いの渦中でつかんだ教訓に、国鉄・反原発決戦の一体的推進の環があり、新たな国鉄決戦の勝利の展望がある。10・1外注化阻止の力は、平成採を獲得できる党への飛躍にあると熱烈に訴えている。
 矢剣智論文は、JR東労組の裏切りを暴き、外注化が東労組の全面協力なしに成り立たないことを具体的に鮮明化させた。この現実が突き出すものこそ、JRの労務支配の大破綻であり、平成採の総反乱が巻き起こる情勢なのだ。
 この2論文は、7月国鉄決戦がJR外注化阻止をかけた最大の決戦として到来しており、この決戦に断固進撃し勝利することを呼びかけている。

 新自由主義と闘う教育労働者

 芹誠一論文は、教育労働者がいま立ち向かっている課題を鮮明にさせ、新自由主義と闘う教育労働運動を明らかにした。大阪市長・橋下打倒の闘いと福島県教組の闘いが、新自由主義攻撃をうち砕く先駆的な闘いであることが実践を踏まえて提起されている。新自由主義との最先端的な攻防をとおして全国の教育労働運動の路線的な課題を明確にした産別論文として重要である。
 村雨省吾論文「12年『経労委報告』批判」は、経団連の「2012年経労委報告」を外注化阻止・非正規職撤廃を闘う青年労働者の観点から批判している。外注化攻撃こそ日帝ブルジョアジーとの真正面からの一大階級決戦であることを鮮明にさせた意欲作だ。
 革共同反軍闘争組織委員会論文は、「新自由主義に勝利する反軍闘争」として新たな路線を明らかにした。米軍をはじめとする軍隊の民営化・外注化の現段階をえぐり出した。戦争・軍隊の民営化こそ新自由主義攻撃が行き着いた末期的な姿であり、軍隊内では矛盾がすでに激発している。沖縄へのオスプレイ配備は、その最先端攻防としてある。また、職場闘争の前進こそ、兵士の獲得の道筋であることを明らかにした。
 経済情勢分析・世界情勢把握のために「世界大恐慌と階級決戦情勢の成熟」を収録した。この論文はギリシャ、スペインをはじめとする欧州危機の根本矛盾と世界の労働者階級の決起の始まりをダイナミックにつかむために最適だ。本号収録の『前進』春季特別号アピールと一体のものであり、この2本を巻頭論文と合わせて学習してほしい。本号を武器に、7月〜10・1JR外注化阻止決戦を白熱的に闘い、8月ヒロシマ・ナガサキを闘い、野田政権打倒へ攻め上ろう!

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週刊『前進』(2543号5面5)(2012/07/09 )

 三里塚裁判傍聴を!

◎第3誘導路許可取消裁判
7月17日(火)午前10時30分 千葉地裁

◎市東さん耕作権裁判
7月23日(月)午前10時30分 千葉地裁
(傍聴券抽選のため1時間前に集合)

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週刊『前進』(2543号6面1)(2012/07/09 )

 星野再審へ「全証拠開示」大運動を

 “労働運動の力で奪還を”

 全国再審連絡会議が総会

 6月30日、7月1日両日、「星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」は都内で2012年全国総会を開き、全国24救援会の活発な論議の上に「全証拠開示の大運動を全国で展開し、星野文昭さんを取り戻そう」という大方針を確立した。その闘いの第一弾として7・1東京高裁包囲デモを全国労組交流センターの労働者とともに闘った。「全証拠を開示せよ!」のシュプレヒコールを東京高裁にたたきつけ、再稼働反対の怒りを体現したデモは経済産業省から東京電力を弾劾し、銀座へと進んだ。この日、全証拠開示を求める新たな星野再審闘争が始まった。
(写真 「星野文昭さんは無実だ! 全証拠開示し再審開始を」の横断幕を先頭に東京高裁から東電前、銀座へと力強くデモは進んだ【7月1日 東京・霞が関】)

 東京高裁−銀座へデモ

 「星野さんは無実だ!」「再審棄却決定弾劾!」「全証拠を開示せよ!」のシュプレヒコールが霞が関にこだました。1日午後、星野文昭同志を一日も早く取り戻そう、検察が隠し持っている全証拠を開示させ、再審を切り開こう、という意志を燃やし、霞が関−銀座デモが180人の労働者・学生・市民の参加でかちとられた。
 1971年11月14日、沖縄基地を永久に押しつける沖縄返還協定の批准に反対しデモ禁止を打ち破って渋谷で闘いの先頭に立った星野同志を、国家権力は殺人罪のデッチあげ無期懲役刑で37年間も獄中に閉じ込めている。
 今年2月5日、収監されている徳島刑務所包囲闘争に全国から600人が立ち上がり、獄壁を越えた団結を固めた。これに対して東京高裁は3月30日、第2次再審請求を棄却する暴挙に訴えた。
 この日の闘いは、再審請求棄却を弾劾し、「全証拠開示」の大運動を起こしていく闘いの始まりだ。しかも、首相官邸を20万人が包囲した6・29原発再稼働反対の闘いと結んで、野田政権と裁判所を徹底的に追い詰める闘いだ。
 日比谷公園霞門前に集まった参加者を前に、まずつれあいの星野暁子さんがマイクを握り、「今日のデモを未来を開く闘いとして、みんなの力で成功させよう」と訴えた。2月の徳島刑務所闘争の意義を強調し、「労働者が自分たちの未来を開くために星野奪還を闘い、星野奪還の力で階級的労働運動に勝利する」ことを訴えた。また、「今日のデモは棄却決定で警察の取り調べでの誘導を美化した裁判官を弾劾する闘いだ」と力を込めた。「こんな腐敗した裁判官を許して労働者人民の未来はない」
 労組交流センター、動労千葉、動労水戸、三里塚反対同盟、全学連の発言の後、徳島・みやぎ・福島を始め各地の救う会が次々と発言、不屈に闘う星野同志と固く団結して闘う決意を述べた。最後に、全国再審連絡会議共同代表の平良修さんが「昨日、今日と全国総会を開き、実りある討議をした」と報告、「再審請求を一蹴した裁判官こそ有罪」と弾劾した。
 横断幕を先頭にデモに出発。黄色い「ホシノフリー」ののぼりや組合旗を林立させ、勢いよく繰り出した。まず、東京高裁、東京高検に向け、「再審棄却弾劾!」「全証拠を開示せよ」の怒りをたたきつけた。経済産業省前の座り込みテントが道路の反対側に見える所では「原発廃炉」「再稼働反対」を叫んでエールを交換、内幸町の関西電力東京支社、東京電力本店前でもひときわ声を張り上げて「原発再稼働許さない!」とシュプレヒコールを上げた。この日、大飯原発の再稼働が強行されようとしていることに対し、大飯現地を始め各地で闘われている行動と連帯したデモだ。その後、銀座を外堀通りから水谷橋公園まで、日曜日の沿道に「星野」と「原発」を訴えてデモ行進を貫徹した。

 勝利めざし新方針確立

 デモに先立ち「星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」の全国総会には94人が参加した。
 今回の全国総会は、前日の「原発再稼働反対!」20万人の決起という情勢の中で開催された。また、6・10国鉄全国運動集会の大高揚がそのまま会場に引き継がれた。総会全体を、「ついに星野さんを取り戻す情勢が来た」という熱気が包みこんだ。国鉄闘争と反原発の前進の中でかちとられた総会である。
 2・5徳島刑務所包囲デモ、徳島刑務所の面会拒否・手紙墨塗り、さらに東京高裁の3・30棄却決定という激しい攻防の上に、星野同志奪還の大方針が確立されたのだ。総会参加者は「明日からただちに闘いを開始しよう」と、新たな大方針に奮い立った。
 星野同志は便箋(びんせん)13枚にびっしり、再審棄却に対する具体的批判も含めて熱烈なメッセージを送ってきた(抜粋別掲)。メッセージをつれあいの星野暁子さんが読み上げ、「満腔(まんこう)の怒りとはこういう時に使うもの」と述べて棄却決定を弾劾し、「階級的労働運動の力で星野奪還をと私たちは言って来ましたが、同時に、星野奪還の力で階級的労働運動、人間解放の勝利を実現する」闘いを進めようと訴えた。
 共同代表戸村裕実さんの開会あいさつから総会は始まった。労組交流センター、全学連、郵政非正規ユニオン、沖縄民権の会、三里塚反対同盟から連帯の発言を受け、事務局が「総括と運動方針」を提起した。再審弁護団が異議審に向けた報告を行った。
 討議の冒頭、福島からの報告が行われ、この間取り組んできた診療所建設基金カンパ20万1千円が手渡された。次々に手が挙がり、2日間の討議で総計19人が発言した。発言者は口々に「3・30再審請求棄却決定は絶対に許せない。全証拠の開示を求める運動を全国で開始して、星野さんを取り戻そう」と語った。
 星野暁子さん、星野誉夫さんが家族の訴えを行った後、平良修さんがまとめに立ち、「内容豊かな総会だった。国家権力、新自由主義との闘いへ自己を解き放って、全証拠開示へ闘おう」と提起した。この提起を全参加者が圧倒的な拍手で確認し、団結がんばろー!
 6・10集会の圧倒的な高揚、「官邸前がタハリール広場になった」という6・29と星野闘争が一体となり、全国総会がかちとられた。この力でなんとしても全証拠開示をかちとり、無実の星野同志を奪い返そう!
(写真 「獄外にいる星野として闘う」と語り、卑劣な再審棄却攻撃と対決して勝ちぬくことを呼びかける星野暁子さん)

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週刊『前進』(2543号6面2)(2012/07/09 )

 無実の私を再審無罪・釈放せよの声を

 獄中の星野文昭さんから〈抜粋〉

 今総会は、再稼働を許すかどうかの攻防のただ中で闘われます。
 福島第一原発事故の全責任がある電力をはじめとした資本・権力が事故にまったく責任を取らず、自己のもうけと延命のためには事故が起ころうと構わないという再稼働は、資本のもうけと延命をすべてに優先し、労働者人民の職場・生活・生命がどうなっても構わないという、今日横行してきた新自由主義の流れを再度全社会的に強めるものとして絶対に許すことのできないものです。
 これを労働者人民の団結した力を信じ、どこまでも闘いを通して団結した力を拡大し強め阻止することによって未来は開かれます。そして、その闘いは、この闘い、労働者人民の団結で世の中を変える闘い自体を圧殺しようとする星野無期を覆す闘いと完全に一体です。
    ☆
 労働者人民が一つに団結し闘うことによって、この社会を変えることができます。
 だからこそ、権力は、この団結を分断し破壊し、既成労組指導部を屈服させ、率先協力させようとします。
 労働者は生産と社会の根幹を担い、すべての人民とともに、本来働き、活動することで誰もがその持って生まれたものを解き放ち、人間らしく喜びをもって生きられる社会を形成する力を持つ存在です。
 今の社会・資本主義社会の根本的矛盾は、生産手段を独占する資本が労働者を労働力商品=賃金奴隷として搾取し、権力を握って全社会を支配し、全人民を抑圧、収奪して、資本増殖・金もうけのみを追求し、その結果、労働者人民の職場・生活・生命がどうなっても構わないとすることにあります。
 それがむき出しになっているのが、新自由主義の正体であり、国鉄分割・民営化にはじまる民営化・外注化・非正規化、原発の正体です。
 このことへの労働者人民の怒りは、福島を先頭に反原発・反核闘争として、動労千葉・青年を先頭とする国鉄分割・民営化−外注化・非正規化との闘いとして、日米安保・沖縄基地・三里塚空港との闘いとして、法大・京大・福島大・全学連の闘いとして、西郡・八尾北の闘い、全世界の新自由主義との闘いとして爆発し、それは、労働者人民の団結した力で、生命より金もうけの新自由主義・資本主義を打倒し、労働者人民が主人公の社会、人間史の本史を開くまで後戻りのない闘いとして、地殻変動と言える情勢を日々深化させていると言うことができると思います。
    ☆
 棄却決定は、無実が明らかになり、2・5によって無実の私を直ちに再審無罪・釈放せよという声が大きくなり、決定的に追い込まれながら、虚構の上に虚構を重ね、確定判決を権力の力で無理やり押し通そうとするものであり、最初から破綻が明らかな脆弱(ぜいじゃく)なものです。
 無実の星野を直ちに再審無罪・釈放せよの声を、すべての証拠を開示する新たな運動とともにさらに労働者人民の声として大きく強め、無実が明らかで、唯一の供述が崩れていて、再審無罪・釈放を決定しなければ裁判所が裁判所として成り立たない所に追い込み、一日も早い再審無罪・釈放を必ずかちとりましょう。「2〜3年で出る」を必ず実現しましょう。
 怒りを解き放ち、労働者人民が本来持っている力を信頼し、労働者人民の職場、生活、生命を破壊し、不幸に突き落とす新自由主義攻撃のすべてを、自らと仲間への絶対に許せない攻撃として闘い、職場、学園、地域、そして全世界を、誰もが喜びをもって働き人間らしく生きられるものにしていく団結した力を強め、拡大して、これら諸攻撃を阻止し、ついに資本・権力を倒して、すべてを奪い返し、労働者人民が社会の主人公として人間的共同性・力を解き放って、誰もが持って生まれたものを生き生きと解き放って、喜びをもって人間らしく生きられる社会を必ず実現しましょう。
 そのことに圧倒的に確信を持ち、その未来をかけて、星野闘争、星野再審・釈放闘争に必ず勝利しましょう。
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 獄中37年、無実の星野文昭同志(66)は71年11・14沖縄返還協定批准阻止・渋谷暴動闘争のデッチあげ殺人罪で無期懲役となり、徳島刑務所で不屈・非転向の獄中闘争を闘っている。今年3月30日、東京高裁が第2次再審請求を棄却。現在、異議申し立て中。

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週刊『前進』(2543号6面3)(2012/07/09 )

 爆取弾圧裁判差し戻し控訴審

 弁護側証人が重要証言

 「鍋爆弾と飛翔弾は同一構造」

 7月4日、東京高裁第6刑事部(山崎学裁判長)で、迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判の差し戻し控訴審第3回公判が行われた。1〜2回公判の攻防で須賀武敏、十亀弘史、板垣宏3同志と弁護団は、山崎裁判長の早期結審策動を粉砕し、弁護側証人採用をかちとったのだ。
 3同志は1986年、岩手借家で「鍋爆弾」を製造した別件で逮捕・起訴され、1年後に迎賓館と横田基地へのロケット弾戦闘でデッチあげ再逮捕された。警視庁は、岩手借家にあった「メモ」を、ロケット弾戦闘を準備した時のものだと勝手に解釈して3同志をデッチあげたのだ。しかし、岩手借家に存在したメモのほとんどは「鍋爆弾」用であり、両戦闘とは一切関係ない。「鍋爆弾」の開発・製造のために、書き写されたものであった。
 ところが、差し戻し一審判決は「飛翔(ひしょう)弾と鍋爆弾はまったく違うもので、書き写す必要がない。メモはオリジナルなものだ」と、事実と反する認定をなし、3同志に「有罪」判決を出していたのだ。
 この日のO証人は、アメリカ海軍協会の会員として20年間、兵器の構造を含む軍事学の研究に携わってきた専門家である。O証人は、自身が作成した「迎賓館・横田基地事件に対する意見書」に沿って、鍋爆弾と飛翔弾の構造の同一性を明らかにする証言を行った。
 O証人は、自身が翻訳した『米国陸軍の即製爆発物に関するハンドブック』を引用して、「本件飛翔弾と鍋爆弾は『榴散(りゅうさん)迫撃砲式地雷、および擲弾(てきだん)発射機に類似』した『即製爆発物』の特徴を有して」おり、「手造りの爆発物である両事件の飛翔弾と鍋爆弾について、原判決が認定する『基本的構造や設計思想が大きく異なる』などとするのは誤りであり、鍋爆弾のために飛翔弾の資料・メモや資材を参考にすることは可能である」という事実を、パワーポイントによる映像を駆使して軍事専門的視点で客観的・科学的に明らかにしたのだ。
 O証人の圧倒的な説得力をもった堂々たる証言は、その真実性と正義性において法廷を完全に圧倒し、一審判決の「メモがオリジナルなものという認定の誤りと虚構性」をどうあがいても認めざるを得ないところに裁判所を追いつめた。
 あわてた検察官と裁判所は意味をなさない、しどろもどろな反対尋問で証言を傷つけようと試みたが、O氏証言の核心を射抜いたリアルな論拠にグーの音も出ないくらい打ちのめされた。
 追い詰められた山崎学裁判長は、弁護団がO証人に続いて3証人を採用して証人調べを行えと要求していたにもかかわらず、決定せず留保した。そして次回裁判は、被告人質問を行うという反動的決定を強行した。早期結審を狙っているのだ。
 6月29日、原発再稼働阻止・野田政権打倒を叫ぶ20万の労働者人民が、首相官邸と国会南通用門前を埋め尽くした。デッチあげ弾圧と、非妥協に闘いぬいて26年。3同志の闘いが、労働者人民の怒りと結合して勝利できる情勢が到来した。
 次回9月18日の裁判は、3同志がデッチあげを弾劾する。全力で傍聴に結集し、3同志とともに闘おう。

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週刊『前進』(2543号6面4)(2012/07/09 )

 団結ひろば投稿コーナー

 動労千葉の高石さんと宮古島で労組回り 沖縄 儀間義一

 6月4日から8日までの5日間、動労千葉の高石さんと一緒に沖縄の労組回りをやりました。最終日の8日は、沖縄本島から約250`離れた宮古島での労組回りです。
 前夜に宮古島に入り、支持者のAさんと酒を酌み交わしながら歓談しました。Aさんとは、国鉄闘争の現状や沖縄・宮古島の政治情勢などを語り合い、今後も一緒に頑張っていこうと確認しました。宮古島にも強力な『前進』の読者がいるのです。
 翌日はいよいよ労組回りです。早朝から自治労傘下の各労組や高教組宮古支部の各分会、そして全糖労など、幾多の労組・分会を1日かけて回りました。この間動労千葉物販を取り組んでくれた労組はもとより、まだ取り組めていない労組なども含めて反応は至って良好です。行く先々で正念場を迎えた国鉄1047名解雇撤回闘争の現状やそれに対する動労千葉の闘い、そして沖縄や宮古島の労働運動の現状に話がおよびます。先日の北朝鮮のミサイル発射を口実とした自衛隊PAC3の宮古島への配備強行や、TPP問題なども論議になりました。数年前から動労千葉物販で回っていることもあり、もはや宮古では国鉄闘争を知らない労組はないほどです。
 そもそもなぜ宮古島の労働組合が動労千葉物販を取り組むのか。それはまぎれもなく国鉄闘争のもっている普遍性だと思います。国鉄分割・民営化と闘って25年、今なお解雇撤回・原職復帰を高々と掲げて闘っている不屈性と正義性と何よりもその労働者魂に共感しない労働者はいません。
 またそういう闘いを掛け値なしに受け入れてくれる労働者としての感性が宮古島の労働者の中にたくましく育まれているということを実感します。沖縄における階級的労働運動派の隊列に多くの宮古出身の労働者がいることは、その証でもあると思っています。

 6・30吉祥寺「再稼働ゼッタイ反対!」デモ 東京 N

 20万人が首相官邸前に決起した翌6月30日、興奮さめやらぬまま東京・吉祥寺デモに立ち上がりました。(写真)
 明日にも大飯原発再稼働かという緊迫した中、怒りは燃え盛っています。主催はNAZEN吉祥寺(準)。青年労働者が中心になって準備を進めてきました。
 昼過ぎから吉祥寺で街宣。2時間で署名70筆、カンパ8千円が集まりました。午後7時デモ出発。若者の街・吉祥寺の繁華街を、パーカッションのリズムコールにのって元気にスタート。前日の首相官邸前でなすすべもなかった権力は、この日も50人ほど動員したが、まったく憔悴(しょうすい)しきったままでした。吉祥寺を一周する間に、沿道や店の中から手を振る人や笑顔でデモに合流してくる人が続出しました。10人を超える人がデモに合流し、解散地・井の頭公園で60人になりました。 
 この日初めてデモに参加した30代の看護師(非正規)さんは、昨日の首相官邸前にも一人で駆けつけたとのこと。買い物に来て警察車両の赤いランプがチカチカしているのを見て「これはデモだ!」と、直ちにデモに合流した。交流会では、『国際労働運動』の最新号と診療所グッズを購入して、16日代々木公園にも参加を約束。
 また、大飯原発直近の小浜市から来た男性、栃木県から都内の専門学校に通っている青年など、新参加者を迎えて大いに盛り上がりました。
 最後に「職場から仲間を組織して7・16は労働組合旗で代々木公園を埋めよう」と誓い合って、一日の行動を終えました。

 台湾で紡織労働者が無期限ストライキ! 郷田水樹

 台湾の代表的な紡織企業である台湾華隆株式会社で、200人を超える労働者が首切りや解雇手当などの未払い、賃下げに抗議して6月6日より無期限ストライキに突入している。会社は経営危機に直面して賃下げを次々と強行したばかりか千人以上の労働者を退職させたが、その退職手当さえ支払おうとしていない。この暴挙に対する労働者の怒りが無期限ストライキとなって爆発した。
 労働者は、解雇攻撃に抗議し、手当の支払いを求めて、「北上抗争」と号して工場のある台北県中和市から首都の台北に上京し、夜は台北駅に寝泊りして行政院や立法院に対する闘いを闘っている。そして6月27日には、この台湾華隆株式会社の責任者である翁大銘の自宅への抗議行動に決起した(写真)。 
 労働者がいうには、この会社を経営していた翁大銘と翁有銘の兄弟は、会社が経営危機に陥り借金が山積みになっても美食ざんまいの生活を送っていた。そして社長である翁有銘はすでに海外に逃亡したが、翁大銘は会社の破産を宣告したにもかかわらず豪邸になお住み続けている。この翁大銘は表向きは名前が出てこないが、会社を破産に追い込んだ張本人、首切りの張本人なのだ。
 ストライキは、今なお続いているという。
 欧州危機の波及は、大陸の中国経済に破滅的な影響を及ぼしている。一方で台湾経済をも破局に追い込みつつある。大陸における暴動やストライキと一体で、台湾の階級情勢も大きく動き出している。それは帝国主義とスターリン主義による分裂と分断の戦後の中国(大陸と台湾)の歴史を、労働者が階級的団結によって超え、帝国主義とスターリン主義をともに倒していく闘いの始まりになろうとしている。

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