ZENSHIN 2012/11/05(No2559 p08)

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第2559号の目次

この集会に結集した勢力こそ労働運動の主流派に躍り出る時が来た! その決意を込めて5800人が一斉に力強く拳を突き上げた

1面の画像
(1面)
外注化阻止・非正規職撤廃へ労働組合の復権を高らかに宣言
職場動いた。新自由主義倒せる! 日・韓・米・独 大感動の国際連帯集会
11・4全国労働者集会 闘いは始まったばかり
労組の組織拡大で勝利を
記事を読む  
【要項】11・11反原発1000000人大占拠 記事を読む  
(2面)
「原発=安全保障・抑止力」論粉砕し11・11反原発首都大行動に立とう
4・1外注化-2月 ライフサイクル阻止へ
記事を読む  
都労連スト貫徹を  人事・賃金抜本改悪粉砕へ 記事を読む  
不起立処分米山さん控訴審 解雇容認の判決弾劾
“絶対反対の闘い貫こう”(10月18日)
記事を読む  
外注化・非正規職化・労組破壊の 「神奈川臨調」粉砕を
県有施設「原則全廃」を宣言 全県を特区にし道州制狙う
県労連の屈服打ち破り職場から反撃へ(革共同神奈川県委員会)
記事を読む  
(3面)
大失業・非正規化と対決し階級的労働運動の大飛躍を
金属労働者の闘う方針と決意
記事を読む  
JR北海道 車両3割が検査不備
安全崩壊の元凶は外注化
記事を読む  
ショーワ 中労委の棄却決定弾劾
派遣労働者の団結権否定(埼玉・小川徹)(10月18日)
記事を読む  
インドネシア “派遣労働なくせ”と要求  400万人がゼネスト
5業種除き禁止かちとる(今井一実)
記事を読む  
(4面)
大間原発建設再開の狙い
青森と北海道が世界一危険なフルMOXの実験場にされる(河東耕二)
記事を読む  
10・20-21青森 工事再開弾劾 大間デモ
六ヶ所再処理工場にも抗議(青森 S)(10月20、21日)
記事を読む  
“原発なくすまで粘り強く”  10・26首相官邸前・国会前行動
世代越え集まり次々アピール(10月26日)
記事を読む  
10・26東京 “米国の友人”迎え
労組が反原発闘争の柱に(10月26日)
記事を読む  
10・28福島 「米国で福島訴える」
ゼルツァー氏、現地訪問(10月28日)
記事を読む  
【要項】11・9対電源開発本社抗議行動 記事を読む  
(5面)
韓国 「外注化阻止・非正規職撤廃」掲げ(室田順子) 記事を読む  
中国 非正規青年労働者が決起
労働者支援NGOを拠点に(河原善之)
記事を読む  
(6面)
裁判員制度いらない! 11・9最高裁デモに立とう
30万候補者への発送やめろ
裁判員制度はいらない!大運動 武内更一弁護士に聞く
記事を読む  
市東さん耕作権裁判 審理強行を阻む  “裁判長は全文書開示を”(10月29日) 記事を読む  
2012年日誌 10月23日〜29日
オスプレイ2機が夜間訓練/陸自に「海兵隊構想」
記事を読む  
(7面)
新自由主義大学粉砕! 全国で集会を開く(広島大学A)(10月23日) 記事を読む  
狭山第3次再審勝利へ
東日本解放共闘 階級的団結誓い集会(10月27日)
記事を読む  
星野再審へ異議申立補充書(下)  第2次再審棄却を批判する
誘導により供述ねつ造 「棄却決定」を全面論破
記事を読む  
国際労働運動 12月号
中東での労働者革命と反革命
記事を読む  
(8面)
外注化阻止・非正規職撤廃へ労働組合の復権を高らかに宣言
職場動いた。新自由主義倒せる! 日・韓・米・独 大感動の国際連帯集会
 闘う3組合から熱烈な提起
記事を読む  

週刊『前進』(2559号1面1)(2012/11/05 )

 外注化阻止・非正規職撤廃へ労働組合の復権を高らかに宣言

 職場動いた。新自由主義倒せる! 日・韓・米・独 大感動の国際連帯集会

 11・4全国労働者集会 闘いは始まったばかり

 労組の組織拡大で勝利を

(写真 この集会に結集した勢力こそ労働運動の主流派に躍り出る時が来た! その決意を込めて5800人が一斉に力強く拳を突き上げた)

(写真 〈上〉動労総連合を始めJR外注化阻止決戦を闘う国鉄労働者が勢ぞろいし、JR体制への反転攻勢を宣言
〈下〉動労千葉争議団、和解を拒否した国労闘争団が6・29判決を武器に1047名解雇撤回へ闘う決意を表明)

 11月4日、東京・日比谷野外音楽堂で全国労働者総決起集会が5800人の大結集で意気高くかちとられた。動労千葉、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同の呼びかけ3労組を先頭に、全国から闘う労働者・労働組合が大結集した。また韓・米・独と、滞日外国人労働者が多数参加し、大恐慌、新自由主義と対決する国際的な労働者大会となった。「闘うわれわれこそが労働運動の主流派にならなければならない!」という使命感、「労働者が団結すれば、必ず資本家を倒し、新しい社会を建設できる」という確信と希望・展望がみなぎる歴史的な集会となった。(続報次号)

(写真 呼びかけ団体の動労千葉、関生支部、港合同を先頭に都心を進むデモ隊。韓、米、独の労働者が笑顔で続いた【京橋】)

(写真 韓国・民主労総ソウル地域本部の30人の代表団が壇上に勢ぞろい。イジェウン本部長が発言)

 

(写真 米から4人が登壇。発言はスティーブ・ゼルツァーさん) (写真 独のブロンシュタインさんが「ダンケツ、ガンバロー!」)

(写真 福島先頭に反原発の訴え 被災地の代表が大挙登壇。福島から参加した佐藤幸子さんは「原発をなくそう!」と訴えた)

 解雇撤回闘争の勝利へ闘う

 最後まで一つも聞き逃せない中身の詰まった発言が続いた。
 集会は何よりも、動労千葉・動労水戸を先頭に闘われた10・1JR検修・構内業務外注化阻止決戦の地平の上に、国鉄闘争の勝利と反原発闘争、沖縄闘争の勝利をめざして闘いとられた。
 民営化・非正規職化攻防の渦中にある自治体労働者と医療労働者が司会を務めた。冒頭、呼びかけ団体を代表して関西生コン支部の高英男副委員長がアピールした。「闘うことでしか生きられない時代は、分断を打ち破り団結するチャンス」「労働者が希望を持てる闘いを全国で実現しよう」と呼びかけた。
 初めに連帯のあいさつが行われた。オスプレイの配備強行と米兵の女性暴行事件に怒りが渦巻く中から参加した沖縄行動団を代表し富田晋さんが発言、子どもたちまで不安にさらされている沖縄の状況を激しい怒りを込めて弾劾し、労働運動の力で米軍基地撤去・安保粉砕を闘いとる決意を表明した。
 三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長は農地死守と反戦平和を、憲法と人権の日弁連をめざす会の高山俊吉さんは裁判員制度廃止の11・9最高裁デモへの参加を訴え、「とめよう戦争への道!百万人署名運動」の西川重則さんは「改憲絶対反対」「労働者の国際連帯が戦争を止める」とアピールした。
 国鉄闘争では、10・1外注化攻撃にストライキと職場闘争で反撃し、団結を守って闘ってきた国鉄(JR)労働者が大挙登壇し発言した。
 動労千葉の田中康宏委員長は冒頭、民主労総ソウル地域本部が動労千葉支援行動をソウルで闘ってくれたことを「生涯忘れません」と感謝した。そして「外注化が強行されて職場には悔しさと怒りがあふれているが、闘いはこれからだ。団結の力で絶対に外注化を粉砕する」と固い決意を述べた。
 続いて動労千葉幕張支部の山田護支部長、動労千葉青年部と動労水戸の青年労働者、国労郡山工場支部の橋本光一さん、動労千葉争議団の中村仁さん、国労闘争団の羽廣憲さん、動労千葉顧問弁護団長の葉山岳夫さん、国鉄闘争全国運動呼びかけ人の伊藤晃さんが、それぞれの立場から外注化・非正規職化阻止、国鉄1047名解雇撤回へ闘う熱い決意を述べた。
 国際連帯アピールでは民主労総ソウル本部の30人の労働者が登壇、イジェウン本部長が外注化・民営化・非正規職化と闘う韓国の闘いを報告し、「労働者が尊重される世の中のために連帯しよう」と呼びかけた。
 続いてアメリカの運輸労働者連帯委員会(TWSC)のスティーブ・ゼルツァーさんが、港湾労働の外注化・組合破壊攻撃と激しく闘うILWU(国際港湾倉庫労組)の3人の労働者とともに登壇した。そして、「労働者と労働組合に対する地球規模の攻撃は、世界の労働者の国際的共同行動でこそ打ち破ることができる」と訴えた。
 ドイツのラーベン・ブロンシュタインさんは、ベルリン都市鉄道民営化反対行動委員会からの連帯メッセージを読み上げ、独日労働者の熱い連帯を表明した。さらにビルマ、スリランカ、クルドなど滞日外国人労働者が多数登壇し、発言した。

 福島・被災地の怒りに応えて

 「福島・被災地を先頭とした反原発の闘い」では、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表の佐藤幸子さん、福島診療所建設委員会、仙台市職労、元全日本運輸一般労組原子力発電所分会長の斉藤征二さん、NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)の富田翔子事務局次長が発言した。それぞれの発言者が原発再稼働に突き進む日帝・野田政権への怒りを表明し、決意を述べた。
 集会の締めくくりに、全国各地で不当処分・不当解雇、団結破壊と闘う労働者・労働組合と学生が決意表明。大阪市職の青年労働者、大阪市教組の女性労働者、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会、郵政非正規ユニオン、全学連が力強く決意を語った。
 最後に港合同の中村吉政副委員長が、「混迷する政治情勢の中、われわれ自身が働く者の権利を守り、職場・地域で先頭に立ち、非正規労働者の組織化に向けて奮闘しよう」と、参加者の一層の奮起を呼びかけた。
 集会後、呼びかけ3労組と民主労総を先頭に、組合旗を林立させ、東電本店前から銀座−東京駅前を通り、都心部を戦闘的にデモ行進した。
 集会は、大恐慌下に労働者が団結して闘うことの価値・威力をあらためて実感させた。また東京都当局が11・11反原発闘争での日比谷公園使用禁止を策動している中、それを粉砕する闘いとしてかちとられた。
 労働者の国際連帯で世界革命に勝利する時代が始まったのだ。

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週刊『前進』(2559号1面2)(2012/11/05 )

【要項】11・11反原発1000000人大占拠

首相官邸前、国会議事堂周辺、永田町・霞が関一帯の、超大規模大占拠!
11・11反原発1000000人大占拠
11月11日(日)午後/主催 首都圏反原発連合
午後1時 国会&霞が関周辺デモ(予定)/午後3時〜7時 国会周辺並びに周辺省庁での抗議・占拠/午後5時〜7時 国会正門前大集会

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週刊『前進』(2559号2面1)(2012/11/05 )

 「原発=安全保障・抑止力」論粉砕し11・11反原発首都大行動に立とう

 4・1外注化-2月 ライフサイクル阻止へ

 10・1JR外注化阻止決戦の歴史的勝利を受けて、11・4労働者集会が、日本の労働運動と階級闘争を地殻変動的に塗り替える闘いとして圧倒的にかちとられた。切り開かれたこの地平を引き継ぎ、直ちに次なる闘いに打って出よう。国鉄を先頭にした全産別での外注化阻止・非正規職撤廃闘争の本格的段階への突入、11・11反原発100万人大占拠闘争と11・9裁判員制度廃止・改憲阻止闘争(最高裁デモ)への総決起、そして11・10〜12訪韓闘争の勝利に向け、さらに闘い抜こう。

 石原ら改憲勢力打倒を

 10月25日、都知事・ 石原慎太郎が突然のように、次の国政選挙に出るために、知事の座を途中で放り投げて、新党を結成すると表明した。80歳の極右ファシスト・石原のこのおぞましくも暴走的なあがきこそ、大恐慌と3・11情勢のもとで、帝国主義として脱落の危機にあえぐ日帝の政治的体制的危機の深刻さを象徴的に示すものであり、新自由主義の最末期的な絶望的な姿そのものだ。
 石原は明らかに、首都における反原発闘争の巨大な爆発と、都労連などの足元の労働者の怒りと闘いによって追い詰められ、打倒された。石原は排外主義と戦争・改憲、核武装などの攻撃を貫く意思をもって都知事になった。しかし動労千葉を先頭とした国鉄分割・民営化絶対反対の闘いが今日の外注化阻止決戦の爆発を切り開くと同時に、教育労働者の日の丸・君が代闘争への不屈の決起が石原を痛撃し、その反人民的で極右的な政治は破綻し挫折したのだ。
 そもそも石原は釣魚台(尖閣諸島)を都が買い取るとぶち上げ、日帝・野田政権による今日の「尖閣諸島国有化」=新たな領土略奪に火をつけた張本人だ。記者会見でもわざわざ中国を「シナ」と公言し、中国への排外主義と戦争を扇動した。この石原が今、超反動の野田に加え、安倍、橋下などと並ぶ極右・改憲勢力として国政の場に引き出されてきた。彼らは〈原発・領土・安保・改憲・戦争>で競い合っており、労働者階級人民の不倶戴天(ふぐたいてん)の敵である。
 石原のようなファシスト的・極右的な政治家は、闘う労働者や労働組合の怒りと決起の前にはきわめて脆弱(ぜいじゃく)だ。大恐慌と3・11情勢、脱落日帝の絶望的な政治危機、それが生み出している革命的情勢こそ、こうした改憲勢力を引きずり出したのだ。労働組合を軸とした国鉄決戦・外注化阻止決戦と反原発決戦の巨大な爆発で、野田、石原、安倍、橋下らを串刺し的に打倒しよう。
 石原のぶざまなあがきはむしろ労働者階級の怒りのえじきだ。真の階級的決着をつけるのは、国鉄決戦と反原発決戦、そして労働組合再生の闘いである。11・4労働者集会の戦闘宣言を突破口に、すべての戦争・改憲勢力をぶっ飛ばそう。

 外注化阻止を全産別で

 外注化阻止決戦は歴史的な第2ステージに突入した。国鉄分割・民営化と89年の総評解体・連合結成、JR資本とJR総連カクマルの結託体制のもとで、ついにその反動的支配を根底から覆す労働組合の闘いがJR本体の中から巻き起こった。一昨年の4・9政治和解以来の「国鉄闘争は終わった」という悪辣(あくらつ)な攻撃を打ち破る総反乱が現実のものとなっている。来年の4・1外注化に向かって、JR体制を根本からひっくり返す国鉄決戦の本格的発展を切り開く時だ。
 JR東日本が強行した検修・構内業務外注化と出向は、JR東日本からの指揮・命令をJRから出向した管理者が受け、JRから出向した労働者に業務を指示する。JR東日本が丸抱えで業務全体を仕切っている。偽装請負の隠蔽(いんぺい)を狙う違法出向だ。業務上の必然性もない。JR資本の最終的な狙いは転籍と労働組合破壊だ。
 来年2月発令のライフサイクル強制配転攻撃との闘いから4・1へ、業務破綻の一つひとつを突いて職場抵抗闘争をさらに闘いぬこう。外注化−強制出向を粉砕しよう。全職場でさらなる総反乱を巻き起こそう。
 新自由主義攻撃は、全産別・全職場、全社会を破壊し荒廃させている。丸ごと外注化・非正規職化の攻撃を柱に、JRと同じやり方が全産別・全職場に急拡大している。
 自治体でも「偽装請負を避ける」と称して専門知識を持つ自治体職員の退職出向・転籍(解雇・非正規職化)が進められようとしている。全国で、税務を中心にセンター化・集約化(合理化)がどんどん進められつつある。集約化の先は外注化・非正規職化だ。
 他方で日帝ブルジョアジーは、外注化=アウトソーシングが進まないのは「偽装請負」問題がネックになっているからだと言いなし、偽装請負という概念自体を追放しようとしている。10月1日施行の改定労働者派遣法を可決した衆院厚生労働委員会は、労基署は偽装請負を摘発するなという趣旨の付帯決議を行った。労働者を総非正規職化し、貧困と絶望の底に突き落としてでも資本にぼろもうけさせろというのだ。
 外注化・偽装請負の徹底追及は、あらゆる職場で闘いの課題になっている。絶対反対で闘いぬいて団結をつくり、外注化を阻止し、労働組合を再生する道がここにある。外注化阻止決戦の第2ステージを闘いぬこう。

 原発・核武装との闘い

 日帝・野田は、「脱原発依存社会」なるペテンをも投げ捨て、大飯原発再稼働に踏み切った。そればかりか、大間原発・東通原発・島根原発3号機の建設再開を宣言した。11・11反原発100万人首都大占拠の闘いは、福島第一原発事故などなかったかのように原発・核武装化を推進する一切の策動を粉砕し、労働者階級人民の怒りを爆発させる「生きるための闘い」だ。日本から、そして世界から、原発を全廃しよう。国家権力のデモ禁止弾圧を打ち砕き、首相官邸、国会議事堂、永田町・霞が関一帯の首都中枢を、100万人の人波で埋め尽くそう。
 改憲や核武装をわめく政治家どもが出そろい、「安全保障のため(=核武装だ!)に原発が必要」論を叫んでいる。活断層があろうが知ったことではないというのだ。
 その一方でこれから起きる超巨大地震の予測をうんぬんしながら、それでも原発はやめない。新自由主義の亡者たちは、こういう連中なのだ。
 福島第一原発事故は、日帝によって3発目の原爆が福島に、日本の労働者人民の頭上に落とされたということだ。広島・長崎をはるかに上回る放射能で緩慢な大量殺人が進行している。3万人以上の子どもたちに甲状腺異常が発見された。昨年度の検査で35%、今年度分は43%だ。チェルノブイリ事故でも0・5%でしかなかった。それなのに福島県は、県民健康管理調査の検討委員会に際して「秘密会」を開き、「子どもの甲状腺がん発生と原発事故に因果関係はない」と強弁した。原発労働−「収束」作業においても偽装と被曝隠し、被曝強制、労働者抹殺が横行している。非正規職化・貧困化の拡大がこれを支えている。
 10・1外注化阻止決戦と11・4集会の地平に立ち、階級的労働運動の力で反原発闘争を発展させよう。膨大な非正規労働者が反原発闘争に立ち上がっている。11・11反原発100万人大占拠は、街頭と職場をひとつにつなげ、巨万の青年労働者の反乱をつくりだす。福島の怒りをどこまでも共有し、NAZEN(すべての原発今すぐなくそう!全国会議=な全)とともに全力で立ち上がろう。

 裁判員制度はいらない

 「裁判員制度はいらない!大運動」が呼びかける11・9最高裁デモは、石原の登場=戦争・改憲と真っ向から対決する闘いだ。
 自民党の石破茂幹事長は10月26日、「尖閣諸島防衛」の強化のため日本も独自の「海兵隊」を創設すべきだと発言するとともに、国防軍と緊急時に首相権限を強める「緊急事態条項」を創設するための改憲を唱えた。また次期衆院選で集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ「国家安全保障基本法」の制定を公約に掲げるとの方針を表明した。
 日帝は「領土」で排外主義をあおり、集団的自衛権行使に突進するとともに、日米同盟を強化し、そのためにも原発・核燃サイクル計画を維持・推進し、核武装化を狙っている。集団的自衛権の行使とは実質的な改憲そのものだ。9月には陸上自衛隊と米海兵隊が、離島奪還・防衛をうたって共同訓練を米領グアムで行った。石原の登場で改憲勢力は出そろった。この連中を全部串刺しにして打倒しよう!
 10・1−11・4の地平を発展させる闘いとして、動労千葉とともに11・10〜12訪韓闘争に立ち上がろう。民主労総ソウル地域本部と固く合流し、外注化・非正規職化と激しく闘いぬく国際連帯をさらに強めよう。
 11・23星野再審全国集会を大成功させ星野同志奪還をたぐりよせよう。11・4を打ち抜いた力で機関紙拡大、冬期大カンパ闘争へ突き進もう。

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週刊『前進』(2559号2面2)(2012/11/05 )

 都労連スト貫徹を

 人事・賃金抜本改悪粉砕へ

 都庁、交通、水道、教組など東京都の職員で構成される都労連の秋季賃金確定闘争は、最大の山場に突入した。都当局は、昨年末以来の都労連の激しい反対を押し切って、徹底した能力・業績主義による人事・賃金制度の抜本改悪へ、強行突破を図ろうとしている。これに対して都労連は、11月7日に実質的なストライキである29分間の勤務時間内職場集会、さらに15日に1時間ストを配置して立ち向かおうとしている。
(写真 1999年11月の都労連ストライキ。各単組の組合旗が都議会前を埋め石原を震え上がらせた)

 成績率の拡大・昇給停止と激突

 都当局は昨年末、能力・業績主義による人事・賃金制度の抜本的改革を掲げ、その端緒・突破口として業績評価で格差をつける成績率の一般職員への適用拡大や55歳を超える職員の昇給停止などを打ち出し、それ以降激しい攻防となってきた。今回、当局は人事委員会勧告に基づく8年連続の賃金カット、400万円超の退職金削減を閣議決定された国家公務員並みの退職手当引き下げなどと合わせ、人事・賃金制度改革を強力に主張している。
 能力・業績主義に基づく人事・賃金制度の抜本的改革とは、橋下徹大阪市長による「入れ墨調査」処分や「市職員基本条例」と同じく、労働者を当局の得手勝手な人事評価で分断し、賃金カットや降格、分限免職処分の脅しで労働組合の団結を破壊し、丸ごと民営化・公務員大量解雇まで狙う大攻撃だ。絶対に許してはならない。

 労働組合の再生をかけて闘おう

 都労連の再生か解体か。大恐慌下の道州制=民営化・公務員360万人首切り、労働組合解体攻撃との闘いは、屈服・妥協の許されない段階に突入した。被災地や大阪とともに首都東京はその最大の戦場である。全国の自治体における人事評価制度導入、成績率全面化との闘いの最先端に位置する激突だ。
 この人事・賃金制度抜本改悪の先にあるのは、NTTが進めJRが本格化しようとしている全業務の全面外注化・子会社化と出向・転籍、総非正規職化だ。資本・当局によってギリギリの低賃金と無権利状態のまま65歳まで働けるだけ働かされて搾取され、病気になれば首を切られ、退職後の年金すら保障されない。
 そんな未来は労働組合が絶対反対で闘うなら打ち砕ける。それを示したのが動労千葉のJR外注化阻止の歴史的闘いであり、組織拡大と出向粉砕の職場抵抗闘争への突入だ。9・16橋下打倒闘争は、公務員攻撃を仕掛ける橋下の足元からの反乱として闘われ、労働組合再生の号砲となった。今度は都労連が立つ時だ。
 13春闘は、大恐慌下の大量解雇・非正規職化攻撃との激突となる。危機に立つのは資本の側だ。野田も橋下もグラグラであり、都知事を辞職した石原も同じだ。99年11月の都労連1時間ストは石原を震え上がらせ、謝罪にまで追い込んだ。石原打倒の闘いの締めくくりとして都労連ストライキを打ち抜こう。都労連秋闘は13春闘の先駆けとなる闘いだ。全国・全産別の先頭で闘おう。

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週刊『前進』(2559号2面3)(2012/11/05 )

 不起立処分米山さん控訴審 解雇容認の判決弾劾

 “絶対反対の闘い貫こう”

 10月18日、東京高裁第2民事部(大橋寛明裁判長)は、「日の丸・君が代」強制に反対して2008年3月の卒業式で不起立したことを理由に戒告処分を受け、非常勤教員(定年退職後の講師の職)合格を取り消された教育労働者・米山良江さんの控訴を棄却する反動判決を下した。この裁判は、不起立処分の取り消しと非常勤教員としての地位確認・損害賠償を求めるもので、一審では全請求が棄却されていた。
 大橋裁判長は昨年3月、不起立による都立校教職員168人への戒告処分を“裁量権逸脱・濫用(らんよう)”として取り消す判決を出した。だが本年1・16最高裁判決が、複数回の不起立を理由とする減給・停職処分を取り消す一方で戒告を容認したことを受けて、今回の判決でこれに追随し戒告処分を容認した。昨年自らが出した判決をもほごにしたのだ。不起立処分を受けたことのみをもって非常勤教員合格を取り消したことについても「当不当の問題として論ずる余地がある」と言いつつ、裁量権の逸脱・濫用には当たらないとした。定年後の職を奪うことも容認するまったく許せない判決だ。
 昨年の一連の最高裁判決は、“卒・入学式での「日の丸・君が代」の起立・斉唱は、儀礼的所作であるが国旗に対する敬意の表明として思想・良心の間接的制約となる”と言いつつ、職務命令の必要性・合理性を肯定した。今回の高裁判決は、これに沿って原判決を書き換えただけだ。
 米山さんは総括集会で「『直ちに健康に被害がない』と被曝を強制する政府と、『儀礼的所作にすぎない』とごまかす都教委はまったく同じ。絶対反対を集団で闘い続けていることが重要だ」と述べ、最高裁に上告する意志を示した。年金支給開始年齢引き上げに伴う高齢者雇用安定法の改定に対応した公務員労働者の再任用義務化が検討されている中で、その意味でも譲れない闘いだ。

 抵抗継続し石原の狙い打ち砕く

 08年の米山さんの決起は根津公子さん・河原井純子さんの「君が代」解雇を打ち破った闘いだった。累積加重で根津さんは停職6カ月、河原井さんは3カ月の停職処分を受けていた。一方、03年「10・23都教委通達」以降も、葛飾区など区部では職務命令は出ず、不起立も黙認されていた。不起立を続けていた米山さんは「都教委の分断と見せしめを許さない」と都庁前で堂々と不起立を宣言し、「根津さんを解雇するなら私を処分しろ。仲間の解雇を許すな。団結勝利」と訴え闘った。その結果の解雇だ。
 こうした闘いこそ石原都知事や都教委の反動的意図を根底で打ち破ったのだ。国家権力は昨年・本年の最高裁判決で不起立闘争の収拾を狙っているが、東京の不起立闘争は今も継続され、石原は「破壊的教育改革をやり残した」と言って知事の座を投げ出した。大阪では橋下の「君が代」起立・斉唱条例や「職務命令違反3回で免職」の恫喝を打ち破り、教育の民営化・首切り攻撃と対決する不起立闘争が爆発している。法廷闘争(人事委員会)においても、職務命令と処分を団結破壊として弾劾し、団結権の行使として不起立の正当性を訴える新たな地平が切り開かれている。
 絶対反対の階級的団結に賭けた米山さんの闘いは、新自由主義と対決する闘いに発展している。教育労働現場から外注化阻止・非正規職撤廃闘争をつくり出し、教育の民営化・首切り攻撃を撃つ拠点を建設し、来春の闘いに向かおう。

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週刊『前進』(2559号2面4)(2012/11/05 )

 外注化・非正規職化・労組破壊の 「神奈川臨調」粉砕を

 県有施設「原則全廃」を宣言 全県を特区にし道州制狙う

 県労連の屈服打ち破り職場から反撃へ

 10・1JR外注化阻止決戦と11・4集会の勝利をもって、外注化阻止・非正規職撤廃の決戦は全産別・職場で大攻勢に転じる第2ステージに突入した。大阪・橋下に続く神奈川県知事・黒岩祐治による神奈川臨調攻撃を現場の怒りでぶっ飛ばし、労働組合再生の時としよう。
 大阪市職や仙台市職での闘いに続き、神奈川県下でも全産別で新自由主義への反撃が始まった。教育労働者は校務支援システム導入に職場から反対を組織している。横浜の自治体労働者は区生活保護課への警察OB導入と闘って区配置を阻止、現場から労働組合を再生させる闘いに突入している。郵政職場では、人事交流=強制配転粉砕労働委員会闘争が闘われている。何よりもJR職場から外注化に対して平成採の総反乱が開始された。
 公務員バッシングは職場で闘った時に初めて打ち破れる。正規・非正規、現業・非現業の分断を打ち破り、団結して闘えば神奈川臨調を粉砕することはまったく可能だ。

 教職員人件費の削減も明記

 黒岩知事は「2013年、14年の2年で1600億円もの財政不足が生じる」と県財政の危機を叫びたて、公務員の全員解雇と選別再雇用、非正規職化の攻撃を全面的に開始した。
 黒岩は自らを本部長とする緊急財政対策本部を立ち上げ、3月に緊急財政対策本部調査会(「神奈川臨調」)を設置した(座長は増田寛也元総務大臣・前岩手県知事)。4回の調査会を行い、9月17日に最終意見「緊急財政対策」をまとめた。
 最終方針では124の県有施設「原則全廃」、数値目標を定めた人件費大幅削減を打ち出した。
 また「教育臨調」を設置し特に教職員人件費を削減することを盛り込んだ。教育臨調の委員には連合神奈川の野村芳広会長も入っている。来年8月をめどに報告をまとめる。
 原則全廃するとした124の県有施設で働く労働者は正規職・非正規職あわせて7679人に及ぶ(県発表資料)。神奈川臨調の4回の調査会では、この労働者の解雇・非正規職化についてただの一度も議論されていない。全員解雇、非正規職化が当然のこととされている。本当に許せない。

 大企業投資が破産し危機に

 財政危機の原因も責任も労働者には一切ない。
 神奈川県は「インベスト神奈川」(インベスト=投資)という、多額の税金をトヨタや日産などの大企業に投資し、もうける仕組みをつくった。これがリーマンショック以降の金融恐慌で破産したため、県財政に膨大な赤字が生じたのだ。
 にもかかわらず、大企業には公的資金(労働者の血税!)を投入し救済する一方、労働者には“財政危機だからさらに身を削れ、犠牲になれ”という。退職金400万円削減攻撃のうえに、さらなる賃下げ。こんな攻撃は到底容認できない。
 大恐慌が黒岩知事やブルジョアジーどもを締め上げている。黒岩は、大阪市長・橋下徹や前都知事・石原慎太郎と同様、労働者階級、労働組合が闘いに立ち上がることを最も恐怖している。
 黒岩は、国鉄分割・民営化を答申した「土光臨調」になぞらえ神奈川臨調と名づけた。その狙いは「国鉄型」の労組破壊、労働者全員解雇と選別再雇用、非正規職化にある。この攻撃は、野田政権の国家戦略会議・フロンティア分科会による「40歳定年制」導入の提言、公務員労働者の有期雇用化・外注化・9割非正規職化、さらには出向・転籍攻撃と一体だ。
 公務員労働者全員解雇・選別再雇用、非正規職化と一体の攻撃として特区構想がある。政府は「総合特区をビジネスチャンスに」と全国で国際戦略総合特区7地域、地域活性化総合特区32地域を設定し、これによる「経済効果10兆円、雇用創出効果約46万人」と大キャンペーンしている。

 命よりも資本の延命を優先

 神奈川県、横浜市、川崎市が進める「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」はその一つだ。「規制緩和と減税で日本経済の国際競争力を牽引(けんいん)する拠点づくり」(川崎市担当者)と位置づけ、とりわけ医療特区拠点にしようとしている。黒岩は同時に、県全体を特区にして自らの権限を強化し、「道州制に移行する前段階としても位置づけた」神奈川独立国構想も打ち出した。
 特区構想は、命より金もうけ、資本の延命が一切という新自由主義をとことん推進するものだ。東日本大震災を奇貨とした復興特区攻撃を見ればその本質は明らかだ。
 京浜臨海部特区攻撃は、京浜港構想(東京港・横浜港・川崎港)と一体だ。それは港湾業務の全面的な民営化なしにはできないものであり、現場での民営化絶対反対の闘いがあらためて重要になってきた。

 民営化に絶対反対で闘おう

 震災がれき広域処理でがれき受け入れを表明した黒岩だが、説明会で労働者住民に真正面から批判されるや答えられなくなった。労働者人民が根底から決起すれば黒岩の攻撃は粉砕できる。
 「土光臨調は分科会を含めて700回の論議を重ねた。神奈川臨調はわずか4回。拙速」(神奈川新聞)と言われている。にもかかわらず、なぜ「何の抵抗もなく」わずか4回の調査会で最終報告を出せたのか。県労連(神教組・神高教・県職労・公企労・自治労県職労の5単組からなる)幹部が黒岩の前に完全に屈服しているからだ。「勤評・神奈川方式」「自主交渉自主決着路線」と、あたかも闘っているかのようなポーズをとってきたが、大恐慌の中でこんなものが通用するはずがない。
 動労千葉は「国鉄赤字の責任は労働者には一切ない」と国鉄分割・民営化攻撃に首をかけてストで闘った。さらに、検修業務全面外注化を12年間も止め、10月1日の外注化・出向の強行に対しても外注体制をガタガタに揺さぶる闘いを打ち抜いている。「民営化・外注化・非正規職化絶対反対」で闘うことが勝利の展望を切り開く。職場・地域に「動労千葉を支援する会」をはじめ国鉄闘争全国運動をつくり、原則的な闘う労働組合をよみがえらせよう。
 〔革共同神奈川県委員会〕

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週刊『前進』(2559号3面1)(2012/11/05 )

 大失業・非正規化と対決し階級的労働運動の大飛躍を

 金属労働者の闘う方針と決意

 外注化阻止・非正規職撤廃は、職場・生産点をめぐる全労働者の決戦スローガンとなった。11・4集会を引き継ぎ闘い抜こう。金属労働者からのアピールを掲載します。(編集局)

 11・4の地平から資本と正面対決する決戦攻防へ

 11・4労働者集会は、新自由主義と闘う労働者・労働組合が総結集する歴史的な労働者大会となった。4・9国鉄闘争政治和解、3・11大震災という大反動との対決の中でかちとられた。
 革命情勢とは動と反動の渦巻く状況を生む。反動こそ革命の前進を示すものである。JRの全面外注化は、未来なき資本の絶望的な階級戦争攻撃の切っ先であり、巨大な反動である。
 だが、同時に10・1外注化阻止決戦がつくりだしたものは、外注化・非正規職化、強制出向と偽装請負の全矛盾の露呈であり、JRの労働者支配の破綻と青年労働者の反乱の全国化である。外注化は強行されたが、管理者が「失敗した」と言わざるをえない状況にたたき込んでいる。JRに戻るまで終わることのない長期抵抗闘争が始まった。動労千葉や動労水戸は、”組合員一人ひとりが活動家になって”他労組をも巻き込む絶対反対の闘いをやりきることで職場支配権を固め、組織拡大を実現する歴史的な地平をわがものとしている。闘いの勝利が階級的労働運動復権の号砲となって世界に響き渡り、11・4集会を文字通り巨大な階級決戦の出陣式とすることに成功した。
 11・4を引き継ぎ、闘う金属労働者は職場で資本と正面対決し、国鉄決戦を基軸とする階級決戦を闘い抜こう。敵の反動を恐れる必要はない。生命力の絶えた新自由主義の階級戦争に対して、たえず攻勢に打って出て激突し、職場の全労働者の団結で職場支配権を奪取し、路線的組織的な前進をかちとっていこう。
 資本は大恐慌の深化の中で、首切りと非正規職化による労務費の削減を一気に進めている。

 総非正規職化・大量解雇との大激突が始まる

 東京商工リサーチによれば今年、上場企業の希望・早期退職者募集は、8月30日までに50社に達し、大手電機メーカーを中心に3年ぶりに1万5千人を突破した。すでに昨年(8623人)の1・7倍になるなど大量の人員削減が広がっており、08年リーマン・ショック時の2万2950人を上回ると予想される。
 半導体大手のルネサスエレクトロニクスは7500人、電機大手のNECは2390人、事務機のリコーは2340人、シャープは2千人の希望退職を実施。傘下の中小企業や非正規職労働者の膨大な雇い止め解雇を含めると、民間製造現場で数万、数十万人規模の大量首切りが進んでいる。そしてJRによる外注化と強制出向こそ、資本の延命のための人員削減、非正規職化攻撃の最先端である。世界大恐慌はこれからが本番であり、大量解雇と賃下げ、外注化・非正規職化攻撃は、来春にかけてさらに激化することは必至だ。
 大恐慌下の大失業という巨大な階級戦争攻撃が始まっているのであり、帝国主義労働運動の連合幹部がそれに率先協力している。首を切られ、仕事と生活を奪われている職場の現実と真っ向から対決しよう。死の苦悶にあえぐ資本とそれを支える御用組合幹部と激突して勝ちぬくのだ。
 10・1JR外注化阻止決戦は、労働者の団結体である労働組合の力をもってこの大反動を打ち破れることを実証した。職場こそ新自由主義と対決する階級決戦の最前線である。

 資本の根源的な欲望示す長時間労働と非正規化

 資本の利潤は賃金に逆比例する。賃金が安ければ安いほど、労働時間が長ければ長いほど、資本の回転率が上がれば上がるほど、利潤は増える。熟練の必要がない機械化による単純労働であるほど賃金は安くなる。そして資本は、労働者を24時間働かせることを渇望してきた。無権利・使い捨ての非正規雇用と長時間労働は、そのためにつくられていったのである。
 『資本論』でマルクスは、「全24時間の労働の占有が、資本主義的生産の固有の性向となる。しかし、同一個人の労働力を昼間と同様に夜間も連続して搾取することは、肉体的に不可能である。この肉体的な障害条件を克服するためには、昼間に使い果たされる労働者の労働力と夜間に使用される者のそれとの間で、交替が必要となる」と、労働者を24時間搾取する資本の欲望として、交替勤務が生まれたと指摘している(『資本論』第1巻第8章「労働日」第4節「昼間労働と夜間労働。交替制」)。また、「往々にして、12時間交替システムでは、彼ら彼女らは、自身を回復させるために姿を見せなかった者の代わりに、2回続けて24時間仕事をすることを強いられた。少年少女たちはたびたび超過労働していることを証拠が証明している。たまにではなく、24時間または36時間もの中断なき労役へと延長していく」(同)と、交替勤務が24時間の壁を突破する恐ろしい長時間労働を生んでいることを暴露した。
 この交替勤務の背景に、児童労働という実態があった。機械化により熟練労働者であった正規労働者を職場から追い出し、子どもが職場に引き込まれたのである。
 児童労働の横行に対して、イギリスでは1836年に13歳未満の子どもを8時間以上働かせてはならないと法で定めた。だが、資本は「リレーシステム」という交替勤務をつくりだし、朝5時半から午後1時半まで9歳から13歳の子どもが働かされ、午後1時半から夕方8時半まで別の子どもが働かされた。フランスでは1841年に、8歳から12歳までの子どもの1日労働を8時間とし、12歳から16歳までの子どもは12時間としたが、8歳の児童に対しての夜間労働を許容するという例外をつくった。子どもたちは12時間以内なら資本に好きなように扱われ、夜間労働にも従事させられた。『資本論』は、児童労働の実態を克明に暴露している。
 児童労働は安価で無権利な労働力として存在し、資本に膨大な富を生み出した。このあくなき利潤追求に対する批判の声が強まる中でも、資本は「子どもたちがいなくなれば、工場が停止する」とやめなかった。現在、「非正規がいなければ経営が成り立たない」と主張するのと同じだ。
 資本は非正規雇用と24時間労働を利潤獲得の根本にすえており、非正規雇用と交替制度(深夜労働)は一体である。非正規職撤廃は数百年にわたる労働者のスローガンであり、闘いだ。新自由主義は国鉄分割・民営化攻撃をテコにして全労働者に襲いかかった。JR外注化は全労働者を非正規職にし長時間労働を強制する資本の攻撃である。
 だが、分断された非正規職労働者が労働組合をつくって立ち上がっている。資本の攻撃としてある非正規雇用の存在が資本の正体を白日のもとにさらし、逆に資本を脅かしている。非正規職労働者こそ「賃労働と資本」のむきだしの姿を照らし出す存在であり、労働者階級そのものである。
 韓国の金属労働者は、非正規職撤廃と交替勤務制度廃止のゼネストを闘っている。全金本山労組の34年間にわたる解雇撤回闘争も70年代の交替制勤務導入が契機であった。JAM神奈川ジェコー労組の闘いは、資本による組合つぶしの不当労働行為との闘いであると同時に、非正規職の女性労働者に対し7年間も深夜労働を強制して健康を破壊し「派遣切り」解雇をもって使い捨てにしたトヨタ系列ジェコー資本との正規・非正規職労働者の団結した闘いである。資本による倒産恫喝や労組破壊との闘いと一体で、長時間労働の強制、外注化と非正規職導入・拡大を拒否し、非正規職の撤廃と正規職労働者の増員を求める断固とした闘いが、わが金属の各単組で闘われている。
 さらに、今年10月3日、動労千葉のストライキと同時期に闘われた金属労働者を中心とするインドネシア労働者400万人のゼネストは、インドネシアの解雇規制を有名無実化するトヨタやホンダなど日系企業を先兵とした外注化・派遣労働全面導入の新自由主義攻撃に対して、派遣・非正規雇用の禁止と最低賃金の引き上げ、社会保障制度の充実を求める大闘争として闘われた。まさに敵は同じであり、外注化阻止・非正規職撤廃は全世界労働者の階級的な共通・共同の闘いである。

 労働組合運動の復権をかけて13春闘を闘おう

 職場の中に革命の現実がある。マルクスは言う。「労働組合は社会主義のための学校である。労働組合の中で労働者が訓練されて社会主義者になるのは、労働組合では彼らの眼前で毎日のように闘争が行われているからである。政党は、それがどんなものであろうとも、どんなものになろうとしても、すべて例外なく、労働者大衆をほんのしばらく一時的に鼓舞するだけであるのに反して、労働組合は労働者大衆を長い間ひきつける。ただ労働組合だけが、真の労働者党を代表し、資本の力に対して一つの防波堤を築くことができる。自分たちの物質的状態を改善しなければならないという洞察には労働者の大多数が到達しているのだ。……やがて彼らは、自分で気づかずに、社会主義者になるのである」(1869年ドイツ金属労働組合役員ハマンとの会話)と! 労働者は職場の現実と対決して階級性をわがものとし革命家になっていくのだ。
 10・1JR外注化阻止決戦と11・4集会の地平の上に、金属労働者は職場で闘い抜き、党と労働組合の一体的建設、細胞建設と労組拠点建設を推し進め、自ら階級の指導部へと飛躍していこう。壮絶な大失業・倒産攻撃、外注化・非正規職化攻撃との全面激突となる13春闘を、階級的労働運動の復権をかけて職場・生産点で闘い抜こう。

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週刊『前進』(2559号3面2)(2012/11/05 )

 JR北海道 車両3割が検査不備

 安全崩壊の元凶は外注化

 JR北海道が昨年度に行った約3100回の車両検査のうち、約3割で社内の安全規則が守られていなかったことが判明した。この事実は会計検査院の調査によって明らかにされたが、同調査によれば、延べ約900車両で必要な検査の一部が省かれるなどの不備があり、延べ約1600車両については整備記録の一部に空欄があって検査結果が完全に把握できない状態だったという。さらに、関連会社などに委託した約50契約の整備でも、記録がJR北海道に報告されないなどの不備があった。
 この事実が報道された直後の20日早朝には、千歳線の恵庭駅―恵み野駅間でレールが3・5センチ破断しているのが見つかり、運行は3時間ストップ、計71本の列車が運休した。
 昨年5月、JR北海道は石勝線のトンネル内で特急列車が脱線し炎上するという大事故を起こしている(写真)。国土交通省・運輸安全委員会の調査によれば、この事故はディーゼルエンジンの動力を車輪に伝える装置の一部の減速機を支えるつりピンが脱落したことから起きた。減速機は垂れ下がってマクラギやレールと激突、その後、推進軸が脱落するなどして動力伝達装置は破壊され、燃料タンクにも穴が開き、脱線・炎上に至ったものと見られている。
 また、破損を免れた減速機のつりピン10個所を調べたところ、その全部で設計図と異なる特殊座金が用いられ、1個所ではナットが手で緩む状態になっていたことも、この調査で判明している。
 JR北海道は、航空会社と対抗するため列車のスピードアップを図り、ディーゼルカーを振り子式にするという危険な施策に踏み込んでいた。その中で、車両の検査・修繕業務が全体的・根本的に崩壊していたという恐るべき実態があぶり出されたのだ。これが、検修業務の外注化と密接にかかわっていることは間違いない。
 JR北海道の安全崩壊を指摘した会計検査院も、この事態の共犯者だ。国鉄分割・民営化以来一貫して、JR各社特にJR北海道・九州・貨物の3社に徹底した合理化を求めてきたのは、財務省や国交省と並び会計検査院だ。
 動労千葉(動労総連合)を先頭とするJR検修外注化阻止の闘いは、JR体制を揺るがしている。国鉄分割・民営化に革命的決着をつける闘いが始まったのだ。11・4全国労働者総決起集会は、この闘いを全労働者階級の共通の闘いに押し上げた。外注化阻止こそ非正規職撤廃の要だ。
 安全を根本から掘り崩したJR体制を打倒しよう。これを突破口に労働運動再生へ闘おう。

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週刊『前進』(2559号3面3)(2012/11/05 )

 ショーワ 中労委の棄却決定弾劾

 派遣労働者の団結権否定

 10月18日、中央労働委員会は一般合同労働組合さいたまユニオンが申し立てたショーワ不当労働行為事件に対して、再審査申し立てを棄却した。派遣労働者の団結権を否定する資本の10割非正規化・改憲攻撃と一体のものだ。絶対に許せない。さいたまユニオンは翌日、弾劾声明を発した。
 08年9月のリーマンショックを契機に大量の派遣切り(派遣契約中途解除)を行ったホンダ系部品メーカー・ショーワ資本に対して、派遣労働者は行田分会を結成し、派遣切りの中止・撤回と雇用保障を求めてストライキに決起した。ところがショーワは「直接の雇用関係にない」「ストは業務妨害だ」と強弁し団体交渉すら拒否し続けた。
 さいたまユニオンは09年6月、埼玉県労働委員会に不当労働行為救済を申し立てたが、埼玉地労委は却下。ユニオンは10年7月、中労委に申し立てた。中労委は、尋問終了後6カ月以上も経過する2年間の異例の長期審理の末に、反動決定を出したのだ。
 派遣先に団体交渉応諾義務があるか否かは、派遣法制定当時から問題となり、具体的な解雇事件をめぐる初の労働委員会審理は注目されていた。
 中労委は、派遣法は「派遣先については、当該派遣労働者(その属する労働組合)との関係において労組法第7条の使用者に該当しないことを原則として立法された、と解するのが相当」として団体交渉権を奪い去る判断をくだした。派遣法制定以前の闘いによって使用者概念が拡大され判例(朝日放送事件など)となってきた地平を覆す超反動的な棄却決定だ。例外的に認められる場合もあるとしつつショーワに応諾義務があるとまではいえないとして団体交渉権を否定したのである。
 当時ショーワの指揮命令によって、フォークリフトの無免許運転強制、有給休暇取得取り消し、契約以外の就労の強制など、労働安全衛生法違反、労働基準法違反などが繰り返されていた。違法就労の是正について、派遣元が機能しない中で派遣先に団体交渉を申し込む以外になかった。中労委はこれを「この程度の違法は問題ではない」と言い放って棄却した。
 労働委員会自体が新自由主義を支え、「40歳定年制」=10割非正規職化を推進するこの決定は、JR外注化阻止決戦の渦中で出された、6・29動労千葉鉄建公団訴訟判決の地平に対する10・11鉄運機構訴訟反動判決に連なる攻撃である。団体交渉権を認めれば、一気に派遣労働者の組織化と闘いが拡大することに恐怖した反動決定である。
 だが、労働者の反乱を押しとどめることはできない。派遣労働に対する怒りは根底的なものとして噴き出している。インドネシア、インド、中国の労働者のゼネストを見よ。外注化阻止・非正規職撤廃は全世界労働者の共通の闘いだ。ショーワ闘争は新たな次元に突入した。
 (埼玉・小川徹)
(写真 全国の仲間とショーワ包囲のデモに決起【4月27日】)

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週刊『前進』(2559号3面4)(2012/11/05 )

 インドネシア “派遣労働なくせ”と要求

 400万人がゼネスト

 5業種除き禁止かちとる

 動労千葉は10・1JR外注化阻止・非正規職撤廃の歴史的な決戦に勝利し、長期抵抗闘争に突入した。3日、これに呼応するようにインドネシアの労働組合は、日系資本を中軸とする外部委託・非正規雇用の廃止を掲げて400万人のゼネストを闘い、5業種を除く派遣労働の禁止をかちとった。以下、インドネシア労働者の闘いを紹介する。
(写真 派遣労働禁止! 東ジャカルタ工業団地で行われた1万人超のデモ【10月3日)

 ストとデモが日系企業直撃

 400万人のゼネストはジャワ島を始め全国21の県・市にある80以上の工業団地や港湾周辺で打ち抜かれた。日本車が自動車市場の9割以上を独占するインドネシアで、日系工場が集まるジャカルタ東部などの工業団地で1万人超のデモが行われた。ホンダ(二輪車)やパナソニック、川崎重工業を始め多くの日系企業が操業停止に追い込まれた。
 掲げられた要求は「業務の外部委託(=非正規社員の雇用)禁止」「最低賃金の引き上げ」「事業主負担の医療保険制度の開始」だ。
 三つのナショナルセンターで構成されるインドネシア労働者評議会が闘いの中心となった。三つのナショナルセンターは、@インドネシア労働組合総連合(57万人)。中軸の金属労連は製造関連企業の約750労組で成り、うち約7割が日系の自動車や電子部品などの製造会社の労組。Aインドネシア福祉労働組合総連合(51万人)。B全インドネシア労働組合総連合(200万人)。
 ユドヨノ政権はストを圧殺しようと前日から国軍と警察を合わせて3万5千人を動員し、各工業団地のほか空港や国会などで警戒態勢を敷いた。しかしこれを打ち破って闘いが爆発、「参加人数は当初予定していた280万人を上回る400万人に上った」(10・4付『じゃかるた新聞』)。インドネシアの労働者は、初のゼネスト決起をもって清掃業や警備など5業種を除く派遣労働の禁止をかちとった。

 「外注化違憲」判決を契機に

 歴史的なゼネストへと上りつめる過程での決定的な闘いがあった。
 1月20日、西ジャワ州ブカシで5万人規模のデモに立った労働者が約8時間にわたって主要幹線道路を封鎖し物流を止めた。西ジャワ州のバンドン行政裁判所が州政府に最低賃金引き上げの決定を取り消すよう命じたことに対する怒りの実力行動だ。行政裁判所に最低賃金引き上げの取り消しを求めた経営者協会は要求を撤回せざるをえず、州知事はブカシ管区の最低賃金を当初の決定どおりに改定した(注)。
 その直後の1月27日、憲法裁判所は「外部委託は違憲であり、憲法にうたわれた労働者の権利を侵害する」との判断を示した。この判決は、ある電気検査員が「自分の常用雇用が外部委託労働者に奪われたのは憲法違反だ」として起こした裁判で出されたものだ。これが何百万人もの労働者が月給や手当、退職金、社会保障給付などの権利を実力でかちとる闘いの大きなはずみとなった。

 正社員化を拒む日帝資本

 6〜7月、ジャカルタ周辺の工場をデモ隊が包囲、派遣社員、契約社員、研修生の正社員化を要求し企業幹部に誓約書への署名を迫った。日本商工会の機能をもつジャカルタ・ジャパン・クラブは危機感をあらわに「脅迫行為」「警察に通報を」といきり立った。日系企業の関係者は、「正社員に登用すれば退職金を払う義務が生じる。正社員の比率を1割ほどに抑えている企業も多い」と本音を吐いた。
 経産省が管轄する貿易・投資円滑化ビジネス協会(事務局は日本機械輸出組合)と会員企業は「外国投資誘致を促進する観点から外国企業経営側が不都合を感じないレベルに」「労働者寄りの労働法は早急に改正が必要」と主張している(11年版「インドネシアにおける問題点と要望」)。

 敵はひとつだ連帯し闘おう

 トヨタやホンダ、日産を始め日本企業は中国バブル崩壊と「尖閣問題」を契機に中国での販売が落ち込み、減産を余儀なくされている。世界大恐慌下で、リスク回避とさらなる資本の投下先を確保しなければ、資本主義はこれ以上立ちいかない。過剰資本・過剰生産力の矛盾にあえぐ各国が、新たな投資先として東南アジア、中でも年率5〜6%の経済成長を続けるインドネシアに先を争って殺到している。
 野田政権と経団連は10月8日、日本・インドネシア経済合同フォーラムを開催し、インフラ(社会基盤)整備、貿易、投資、エネルギーなど幅広い分野で協力することを確認した。翌日には約3兆4千億円でジャカルタのインフラ整備を共同で行うことで合意した。7月に閣議決定した日本再生戦略の実践だ。
 日本企業はジャワ島を横断するジャカルタ−スラバヤ高速鉄道建設計画(総事業費2・1兆円)の受注を狙っている。生産の効率化のためにも輸送網の整備は不可欠だ。それは労働者への搾取を強め、いっそうの不安定雇用にたたき込む。
 インドネシア労働者のゼネスト決起はこうした日帝資本を先兵とする全面的な外注化・非正規職化攻撃に対する巨大な反乱として闘われている。敵は一つだ。闘うインドネシア労働者階級と連帯し職場で外注化阻止・非正規職撤廃を闘おう。
 (今井一実)

(注)インドネシアの法定最低賃金(州別最賃)は、各州が独自に最低賃金を決定する。州と県・市の最低賃金は11月中に策定する。州の最賃が決定した後は、各社の業種に応じた部門別の最賃が決められる。
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 インドネシアの日系企業

 インドネシアに進出する日本企業は3月23日時点で1266社。製造業が692社(54・7%)、卸売業が275社(21・7%)。自動車関連の業種だけで120社で全体の約1割。

 ●工場建設計画など

 城南電機工業がジャカルタ近郊で海外初の工場竣工式。川崎重工業がチビトゥンで新工場建設に着手。伊藤忠商事は運営するカラワン工業団地を2割拡張。インドネシア政府がカラワンに日本企業向け工業団地を新たに造成。花王がカラワンに第2工場を、デンソーがブカシに第3工場を、山崎製パンがジャカルタ近郊に新工場を、京浜金属工業がスルヤチプタに工場を建設。(チビトゥン、カラワン、ブカシ、スルヤチプタはジャカルタ東部の工業団地)

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週刊『前進』(2559号4面1)(2012/11/05 )

 大間原発建設再開の狙い

 青森と北海道が世界一危険なフルMOXの実験場にされる

 建設再開強行に抗議広がる

 10月1日、電源開発(Jパワー)の社長・北村雅良は、原発絶対反対の民意に逆らって青森県の大間原発の建設再開を一方的に宣言し、「大間原発は原則40年間動かしたい」と言い放った。そして10日には格納容器鋼板の原子炉建屋への設置を強行した。
 3・11の核惨事をなんら省みず、フクシマをまた繰り返そうというのか。労働者人民の命と未来を踏みにじって核武装と金もうけに突っ走ろうとする核犯罪組織集団の暴挙を絶対に許さない!
 大間原発は世界一危険なプルトニウム満載のフルMOX原発だ。原発大事故が起きれば広範囲にわたって壊滅的核被害をもたらす。至近距離に民家が並ぶ大間町。大間原発から50`圏内の人口は青森側が9万人、北海道側が37万人。電源開発のいう「地元」の範疇(はんちゅう)には、30`圏内にかかる人口28万人の函館市をはじめ北海道は入っていない。大間原発の建屋の直下、北側と西側の海底に加え、南西の海域にも活断層があると専門家は指摘している。
 こうしたリスクだらけの大間原発にもかかわらず、「工事再開を認めろ」と頭ごなしに強制する北村社長と渡部常務の周辺市町村訪問に対し、地元民、周辺自治体が怒りを爆発させたのは当然である。函館市は大間原発差し止め訴訟の準備を表明した。13日には札幌市で労働組合や市民団体など1万2千人が集まり、大間原発建設絶対反対の声を全国に発信した。
 東京で6500人が「さようなら原発集会」に参加し、大間原発建設中止を訴えた。また電源開発本社に対する弾劾行動が相次いでいる。毎週金曜日に行われる首相官邸前抗議行動でも「再稼働反対」とともに「大間原発反対」の声がとどろき始めた。全国で粘り強く続く巨万人民の反原発闘争は、大間原発反対の闘いとより強固に結びつき、全原発廃炉への展望を切り開きつつある。
(写真 建設工事が再開された電源開発大間原発【9月22日撮影】)

 原発敷地内で土地買収阻む

 3・11以降中断した大間原発の建設は37・8%の進捗(しんちょく)率という。
 1970年代初頭の美浜原発と福島第一原発から本格的に開始された原発建設は、金と国家暴力をフル発動しながら推進されていった。だが、全国の原発立地では原発建設阻止の闘いが巻き起こった。大間でも78年に商工会の原発誘致計画が発覚するや、大間・奥戸(おこっぺ)の漁民を中心に反対運動が闘われた。だが82年原子力委員会の新型転換炉実証炉計画の決定と95年の改良型沸騰水型軽水炉計画への変更のなかで、電源開発の懐柔策により大間・奥戸の両漁協への漁業補償協定が締結された。そして99年に電源開発は通産省に原子炉設置許可を申請する。
 ところが2008年5月まで工事着工ができなかった。炉心建設予定地にかかる土地を所有する熊谷あさ子さんが原発建設に反対し、最後まで買収に応じなかったためである。日常的監視と面会強要、脅迫の手紙や電話、友人・親族との分断・孤立化、家族の漁業生計の破壊……ありとあらゆる卑劣な手段を駆使して電源開発と行政の原発推進勢力が執拗(しつよう)に用地売り渡しを迫った。しかし、あさ子さんは「土地は絶対に売らない、原発立地には絶対反対」と売り渡しを拒み続けた。電源開発は2003年買収を中断し、炉心の主要建屋を200〜250b移動して原子炉設置許可申請を変更せざるをえなくなった。
 「これからの子どもや孫たちに負の遺産を残さないためにも自然豊かな大間町を放射能で汚染させてはならない」というあさ子さん(06年逝去)の決意を引き継ぎ、娘の小笠原厚子さんが「経済よりも何よりも生命が一番なんです」「原発が世界からなくなるまで頑張っていきたい」と表明し、全国の人びとに支援を訴えている。
 青森と北海道の地元の労働者住民を先頭にこの間展開された大間原発建設再開反対の町内デモは町民の圧倒的な注目を浴びている。反原発の巨万のうねりと結び、「あさこはうす」を守り、大間原発現地闘争と電源開発本社闘争で大間原発建設を粉砕しよう。

 プルトニウム大量消費原発

 大間原発の最大の問題は世界一危険なフルMOX原発であると同時に日帝の核武装国家化推進のためのプルトニウム大量消費原発という点だ。
 ウラン燃料を使う普通の原発でさえ危険きわまりない。ところが大間原発では、安全性の検証が不十分なまま、コントロールの一段と難しいMOX燃料(ウランと混ぜたプルトニウム燃料)をいきなり138万`ワットの世界最大級の実用炉(商業炉)の全炉心で燃やそうというのである。青森と北海道をプルトニウム満載のフルMOX実験場にする言語道断の犯罪行為である。
 これほどまでに危険な大間原発の建設の再開を、なぜ日帝・野田政権は急いで強行したのか。核武装国家化政策、そのための核燃サイクル計画を続行したいからだ。
 日帝は、原発で生産し再処理工場で取り出したプルトニウムを高速増殖炉「もんじゅ」と原発(フルMOXの大間原発を含む)で消費するからプルトニウムはたまらないと強弁して、「核武装につながる余剰プルトニウムは持たない」という公約を掲げてきた。
 だが「もんじゅ」によるプルトニウム消費は核兵器に最適な高純度プルトニウムを生み出す。原発のプルトニウム消費(プルサーマル計画)は、この本来の目的をごまかそうとする補完物にすぎない。
 ウラン燃料の一部をMOX燃料に代えて原発で使うプルサーマル計画は、プルトニウム消費計画であり、福島第一原発3号機をはじめ伊方・玄海・高浜の原発で動きだしていたが、3・11で頓挫している。これらのMOX燃料の割合は全核燃料の3割程度だが、大間原発は100%MOX燃料であり、大量のプルトニウムの消費を自己目的とする。日帝にとって大間原発は「原子力の平和利用」論のもとで核武装化政策を維持・推進するための戦略的核軍事施設にほかならない。
 だが「もんじゅ」と六ケ所再処理工場の行きづまりと3・11核惨事発生・全原発停止のなかでプルトニウム需給のつじつま合わせが大破綻の危機に直面した。現在、日帝が保有するプルトニウムは約30d。見せかけの「消費」が完全に宙に浮き、核武装国家への動きを隠しようもなくなっている。さらに原発廃絶を求めて巨万人民が決起を開始し、原発を基礎とした日帝の核武装化計画=核燃サイクル計画が根底から揺らいでいる。
(写真 再処理工場に対して「日本の核武装阻止!」のシュプレヒコールをたたきつけるNAZEN【10月20日 六ケ所村】)

 核燃サイクルに日帝が全力

 原子力基本法に「安全保障に資することを目的」という文言を挿入し(6月20日)、また原発推進を促す米帝の「アーミテージ第3報告」(8月15日)をも奇貨として、核武装国家化と原発輸出に突進している。日米争闘戦下で日帝は、核燃サイクルの護持に死活をかけているのだ。脱落帝国主義への転落に恐怖する日帝は、大飯原発を突破口とする原発・プルサーマル原発再稼働攻撃を強めながら、ぼろぼろになったプルトニウム需給のつじつま合わせの当面唯一の「切り札」としてフルMOX大間原発の建設再開に踏み切った。
 日帝の核武装化を阻むために、「もんじゅ」と六ケ所再処理工場の解体の闘いとともに、全原発廃炉と連動する大間原発建設阻止の闘いが決定的に重要となっている。
 労働者の力こそが原発を止め核武装の道を断つことができる。原発・核燃施設の労働者、建設労働者こそその鍵を握っている。動労千葉の外注化阻止決戦と11・4労働者集会の爆発は、新自由主義・帝国主義を打倒する闘いの画期的地平を切り開いた。フクシマの怒りを共有し、日米韓独の労働者階級の国際連帯の力に依拠し、搾取も核もない社会を闘いとるために前進しよう。11・9対電源開発本社抗議行動、11・11反原発100万人大占拠に決起しよう。
 〔河東耕二〕

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週刊『前進』(2559号4面2)(2012/11/05 )

 10・20-21青森 工事再開弾劾 大間デモ

 六ヶ所再処理工場にも抗議

 NAZEN青森、とめよう戦争への道!百万人署名運動・青森県連絡会、8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会、スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合の仲間は、10月19日の「原発も基地もいらない!青森・三八労働者集会」、20日午前中の三沢基地ゲート前の闘いに続いて、20日午後、六ケ所再処理工場門前抗議行動・村内デモに合流した。
 主催は県内各反核燃団体の有志でつくる「みらいアクション青森」。当日は県内および東北、さらに沖縄からの参加も得て全国からの結集で闘われた。
 門前抗議行動は午後1時から始まった。核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会の澤口進さんは、「十何年たっても完成しない核燃料再処理工場とは何か。一般の化学工場ではない。原子力基本法の中に安全保障の文言が入った。核兵器のためのプルトニウムを抽出する再処理工場は絶対に許せない」と訴えた。
 核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団事務局長の山田清彦さんは、「来年4月で再処理工場着工から20年。動く前に壊れてしまう。危険でいられないとフランスの技術者は帰った。絶対に動かしてはならない。今すぐ止めて将来の子どもたちに核のゴミを残さないようにしよう」とアピール。さらに弘前の団体、六ケ所住民の方からのアピール、仙台金曜デモ主催者、福島原発告訴団の方からの連帯アピールが続いた。
 8・6広島―8・9長崎統一実事務局長の三角忠さんは、「核燃サイクルは日本の核武装政策だと批判し、闘い続けてきた。現在、『尖閣』国有化宣言で排外主義をあおり、領土問題と合わせて日本の原発推進のテコにしようとしている。沖縄オスプレイ反対の怒り、フクシマの怒り、全部をつなげて原発を止める。それが基地をなくすことにもつながる」と、今こそ反戦反核反基地で全国一つになって闘おうと提起した。
 最後に、参加者全員でドラムに合わせて手拍子コール、続けて固くシュプレヒコールを再処理工場にたたきつけて行動を終えた。
 六ケ所村内デモには70人が結集し、「再処理やめろ!」「原発なくそう!」「核兵器なくそう!」「子どもを守ろう!」「大人が守ろう!」とコールして村役場まで歩いた。人通りは少ないが、出会った住民はみなデモをじっと見つめ、4月のデモ以上の注目だった。

 函館、大間住民とともにデモ

 21日には、大間原発反対現地集会実行委員会の主催で「大間原発建設工事再開抗議!10・21大間現地デモ」が開催された。
 フェリーでかけつけた函館市民、複数の大間町民も参加し、80人で大間町役場までデモを行った。途中からデモについてきて解散点でのアピールに聞き入る町民もいた。
 デモに先立ち、8・6広島―8・9長崎統一実が電源開発株式会社大間原発建設所に「建設中止を求める申し入れ」を行った。現地の闘いと連帯して、東京本社への抗議行動を強化していく決意が示された。
 「全国から結集してくれた仲間の力も得て、青森の私たちが闘い、結果を出す」。19日の労働者集会の司会を務めた南部バス労組書記長の言葉が3日間を闘い抜いた私たち青森の仲間の決意だ。
 (青森 S)
(写真 「大間原発建設再開を絶対に許さない!」。地元民を先頭に町内を怒りの抗議デモ【10月21日】)

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週刊『前進』(2559号4面3)(2012/11/05 )

 “原発なくすまで粘り強く”

 10・26首相官邸前・国会前行動

 世代越え集まり次々アピール

 10月26日、首相官邸前、国会前などで世代を越えた多くの労働者民衆が「原発なくせ!」「子どもを守れ!」と叫び闘い、「原発をなくすまで粘り強く闘おう」と人生をかけて闘う決意を心の底から表した(写真)
 首相官邸前では2人の幼児を連れた福島県二本松市の母親が訴えた。「原発事故から1年7カ月、一日も心が安まる日はなかった。雨が降っても風が吹いても不安。甲状腺検査を受ける子どもたちを見た時、苦しくて胸が引き裂かれそうでした。全部原発のせい。でもここに来て福島に寄り添うたくさんの方がいるのに勇気づけられたので私はこの苦しみをのりこえてみせる。絶対にあきらめず原発反対の声を上げ続けます」
 国会正門前でも次々とアピール。中年の男性が「政治家たちは皆さんの疲れを、あきらめを狙ってる。われわれはあきらめちゃいけない。この場を絶やすわけにはいかない。福島の大事故を経験した世代が少なくなったときが怖い。われわれがここでケリをつけなければいけない。粘り強くいきましょう」と訴えた。
 大恐慌下の新自由主義、戦争・大失業、核武装化の攻撃を許すな。11月11日、首相官邸前・国会前、永田町・霞が関一帯を大占拠しよう。 

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週刊『前進』(2559号4面4)(2012/11/05 )

 10・26東京 “米国の友人”迎え

 労組が反原発闘争の柱に

 10月26日午後、東京・千代田区の在日本韓国YMCAの国際ホールで、「10・26アメリカの友人を迎えて/脱原発運動のこれからを考える労働者・市民の集い」が開かれた。原発いらない福島のおんな・椎名千恵子さんら6人が呼びかけ、「10・26椎名プロジェクト」が主催したもので、約60人が参加した。
 冒頭、椎名さんが開会あいさつを行い、呼びかけ人の経産省前テントひろばの江田忠夫さんがあいさつした。
 次にサンフランシスコで「レイバーフェスタ」を主宰しているスティーブ・ゼルツァーさんと鳥居和美さん夫妻が「3・11以降のアメリカ労働運動・ゼネスト・オキュパイ」と題して報告を行った。「AFL―CIO(アメリカ労働総同盟・産別組合会議)に属する電機産業の労働組合の幹部は、組合員に『原発は安全だから大丈夫』とウソをついている。しかし労働者を被曝させ、がん患者にさせる労働が『家族を養えるいい仕事』であるわけがない。原発で働く労働者にとって、それは悪夢そのもの。日本でもアメリカでも内部告発した原発労働者が報復されている。労働者を守り内部告発者を守ることは、日米共通のテーマです。来年3月に内部告発者の会議を開催したい。そして3・11には全世界で反原発のアクションを起こしたい。未来のためにともに闘おう!」
 日本の三つの労組が発言した。トップバッターは動労水戸の石井真一委員長だ。「私も7月にサンフランシスコを訪問し、椎名さんと一緒にレイバーフェスタで発言しました」と話し始め、原発から20`余の広野駅に7カ月放置された被曝車両の検修作業を阻んだ昨年10月のスト、ラジエーター除染作業を拒否した今年7〜8月のストを報告。「この闘いをとおして8月末、JR東労組の常陸大子支部青年部長が『労働組合は労働者を守るもの』という信念に基づいて動労水戸に加入した」と報告すると、大きな拍手がわいた。
(写真 訪日したスティーブ・ゼルツァーさんの訴えに真剣に聞き入る参加者【10月26日 在日本韓国YMCA】)

 労働によって原発を止める

 続いて、連帯ユニオン関生支部・近畿地本書記長の西山直洋さんが発言した。関西全域のゼネコンを揺るがした一昨年の139日間のストの勝利と、今年1400人の組合員の加入をかちとったことを報告。日本の労働組合の中で唯一、1981年に原発で働く非正規労働者を組織した関生支部原発分会の闘いにも触れ、生コンの運搬を担っている労働者として「未組織の運輸労働者を組織して原発建設をストップさせたい。労働によって原発をストップできるのは労働組合だけ。労働組合ゆえの組織性を反原発闘争においても発揮していこう」と語った。
 次に解雇通告に対して即座に分会をつくり、解雇撤回をかちとった東京西部ユニオンの若い女性労働者が報告した。「私は3・11以降、行動を始めました。私が非正規雇用労働者であることと、この社会に原発があることはつながっている。非正規職の私たちの存在こそこの社会は成り立たないことの証し。未来のために闘い続けます」。そのみずみずしい感性と解雇撤回闘争の勝利は、参加者を奮い立たせた。
 質疑応答をへてゼルツァーさんが再び発言し、「原発にあくまでもしがみつく日米政府。政治家個々人ではなく、資本主義体制そのものの問題です。労働者はすべてを止める力を持っている。このことを自覚して、闘う労働組合をつくっていこう」と呼びかけた。
 最後に椎名さんが「呼びかけた私の予想を超える質の高い内容の集会になりました。原発の問題も労働の問題も変える力は私たち自身が持っています。頑張りましょう」と訴え、参加者は自信と確信を深めて首相官邸前の金曜行動に向かった。

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週刊『前進』(2559号4面5)(2012/11/05 )

 10・28福島 「米国で福島訴える」

 ゼルツァー氏、現地訪問

 10月28日夕方、福島市のチェンバおおまちで、スティーブ・ゼルツァーさんと鳥居和美さん夫妻を囲む交流会が開かれた。今年7月に訪米して3・11後のフクシマの現実をカリフォルニアの労働者・市民に訴えてきた椎名千恵子さんが呼びかけた集まりである。
 椎名さんの開会あいさつに続いてDVDが上映され、カリフォルニアを訪問した際の椎名さんの真剣な訴えと、心温まる交流が映し出された。
 続いて、ゼルツァーさんがアメリカの原発および反核・反原発運動の現状について報告した。
 104基の原発を抱える核大国・アメリカ。カリフォルニア州には4基の原発があるが、3・11原発大事故の衝撃と米連邦高裁の判決を受け、NRC(米国原子力規制委員会)が今年、「使用済み核燃料の問題が解決されない限り、当面、原発の新規建設は許可しない」と明言したという。
 ゼルツァーさんは「私たちは3・11以降、福島の現実を米国内で伝えともに行動するために『ニュークリア・フリー・カリフォルニア(核のないカリフォルニアを)』という団体を立ち上げた」と語った。8月6日にはサンフランシスコの日本領事館前で原発反対集会を開催。「以降、毎月11日に日本領事館前で集会を開き、日本領事館員に面会。『福島の子どもたちをすぐ避難させろ』などと求めている。次は11月11日」と述べた。
 さらに「AFL―CIOの幹部たちは『労働者には仕事が必要。だから原発が必要だ』と主張し、組合員を原発維持のために動員している」と語ると、参加者からは「日本の電力総連とまったく同じだ」という声がもれた。
 「 『フクシマ、ネバー・アゲイン』というドキュメンタリー映画を製作してネット上にアップしたところ、3週間で7500件以上ヒット。今後も米国内でフクシマのことを訴え続ける」と力強い言葉。
 ゼルツァー夫妻の「福島の母親たちの声を直接聞きたい」という思いに応え、母親たちが発言した。「福島市は表向きは穏やかな状況。しかし実際は公園で子どもを遊ばせることもできない。それでも『学校に行けば(学校以外の場所よりは)まだ安心』というお母さんもいます。『年20_シーベルトまでは大丈夫』と言われる土地で子どもとともに暮らすのは本当につらいです」
 「文科省は『20_まで大丈夫』と言うが、成人の原発労働者と子どもが同じでいいわけがない。子どもの未来がむしばまれていることが苦しく、地獄のような毎日です。大人には原発立地を許した責任があるが、子どもたちは絶対守ってほしい」。切実な訴えに参加者は真剣に聞き入った。
 高線量の福島市渡利の住民や、遠く青森県から駆けつけた男性などの発言が続き、福島の母親たちの思いに寄り添い、国境を越えて原発廃止へ闘うことを誓い合った。

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週刊『前進』(2559号4面6)(2012/11/05 )

【要項】11・9対電源開発本社抗議行動

世界一危険なフルMOX大間原発の建設をやめろ
11・9対電源開発本社抗議行動
11月9日(金)午後4時 電源開発本社前集合
8・6-8・9反戦反核闘争全国統一実行委員会

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週刊『前進』(2559号5面1)(2012/11/05 )

 韓国 「外注化阻止・非正規職撤廃」掲げ

 現代自動車非正規職 蔚山工場包囲のデモ 50b送電塔で高空籠城闘争

 10月26日、韓国の金属労組は、現代自動車蔚山(ウルサン)本社工場に対する包囲闘争に立ち上がった。蔚山工場では、10月17日夜以来、現代自動車の2人の非正規職労働者が正規職化を要求して高さ50bの送電塔に上がり、高空籠城(ろうじょう)闘争を闘いぬいている。この日午後4時半から送電塔の下で、金属労働者決意大会が開かれた。工場正門前からデモ行進し、700人に膨れ上がった決意大会だ。これに先立ち、蔚山、牙山(アサン)、全州(チョンジュ)の現代車3工場の非正規職労働者約400人が工場正門前に結集、蔚山工場非正規職支会のカンソンヨン首席副支会長が「今年は必ず正規職化をかちとり、工場に堂々と帰ろう」と檄(げき)を飛ばした。さらに3工場の非正規職組合員千人はこの日夜、全面ストライキに突入し、27日明け方まで徹夜の座り込みを敢行した。
(写真 地上50b地点で籠城する現代自動車の非正規職組合員)

 “すぐ正規職に”

 高空籠城に突入したのはチェビョンスン解雇者とチョンウィボン非正規職支会事務局長の2人だ。「大法院の判決どおり非正規職労働者を即刻、正規職に転換しろ」がその要求だ。2010年7月に大法院は「製造業社内下請は不法派遣」の判決を出したが、現代資本はそれを無視し、社内下請労働者に非正規雇用を強要し続けた。
 これに対し同年11月、蔚山本社工場の25日間の占拠・籠城闘争が非正規職組合によって闘われた。牙山、全州工場でも非正規職支会が占拠闘争などを展開し、大資本下の非正規化攻撃との全面激突の闘いを不退転に展開した。
 今年2月、チェビョンスン組合員に対する大法院の最終勝利判決が出され、中労委も「社内下請けの解雇は無効、不当解雇ですでに正規職」と判定したにもかかわらず、資本は正規職への転換を拒否したままだ。現代資本はこの夏になって「3千人の新規採用」をペテン的に打ち出したが、それは非正規職労働者8千人の半分にも満たない数であり、非正規職の撤廃ではなく継続を意味する新たな分断攻撃だった。
 こうした現代資本に対する非正規職労働者のやむにやまれぬ叫びが送電塔への籠城闘争になったのだ。海岸近くの吹きすさぶ寒風の中、鉄塔に体を縛り付け、ベニヤ板の上での籠城だ。

 98年IMF危機

 1998年、IMF(国際通貨基金)管理下で、韓国資本と金大中政権は整理解雇制度導入に続き労働者派遣法を改悪し、非正規職の量産攻撃を加えてきた。これに対する反撃は苦闘を重ねたが、あらゆる職種で闘いはまき起こっていった。
 そうした中で、韓国を代表する巨大資本、現代自動車でも非正規職化された労働者が会社側のテロ攻撃に対決し、2003年3月に牙山工場下請け支会が、04年10月には全州工場非正規職支会が結成され、蔚山工場でも遅れて支会が結成されて、現代自動車3工場のすべてで非正規職労組が誕生した。そして激しい弾圧と対決しながら、法廷闘争をも展開し、ついに大法院で「不法派遣である」と認定する判決をかちとったのだ。韓国の1千万非正規職労働者と、闘う労働者のすべてが歓呼の声で迎えた。
 高空籠城闘争を闘う2人は、塔の上から「会社は非正規職労働者をほこりのように、虫のように取り扱ってきました」と弾劾し、「非正規職撤廃闘争10年、今度が最後だという覚悟でストライキ闘争をしています」「すべてを賭けて鉄塔に上がりました。必ず勝ちたいです」と訴えている。そして、組合員の固い団結と連帯があれば勝てるとの確信を表明している。
 現代自動車非正規職労働者の正規職化要求=非正規職撤廃の闘いは、韓国労働者階級の不屈の闘いの象徴となり、鉄道労組など公共部門の労働者の民営化阻止の闘いと並んで、資本との攻防の中心軸をなす闘いとなっている。
 (本木明伸)

 公共部門 鉄道・ガス民営化反対 2万5千人総決起

 鉄道労組が合意

 「鉄道民営化中断、2012年賃金団体協議勝利」を要求し、10・27ストライキを構えていた公共運輸連盟全国鉄道労働組合(鉄道労組、イヨンスク委員長)は、10月26日、韓国鉄道公社との交渉で賃団協暫定合意案を引き出し、27日のストライキを撤回した。25日朝から22時間におよんだ交渉の結果、「新入職員の年俸制廃止」「一部人員補充」などで暫定合意に至ったのだ。
 しかし、鉄道労組は「鉄道駅および車両基地返納などの民営化阻止闘争は賃金団体協議とは別に闘争していく」とし、「もし鉄道施設返納など民営化が一方的に推進されればストライキに突入する」と表明した。
 イミョンバク政権はKTX(韓国高速鉄道)民営化政策を打ち出したが、国民的な反対の声に押され足踏み状態となり、公社資産を外資を含む民間資本に売り渡そうと画策しているのだ。
 動労千葉の10・1外注化阻止決戦に対し、民主労総ソウル本部は10月27日、日本大使館前で動労千葉ストライキ支持・連帯の記者会見を行った。この闘争に鉄道労組パクテマン首席副委員長が参加し、連帯発言を行った。動労千葉はこの連帯行動に感謝するとともに、今回の鉄道労組ストに対し連帯メッセージを送った(別掲)。
 まさに「政権末期のイミョンバク政権が、公共部門の民営化を引き返すことができない地点まで推し進めようとしていることに対して、労働者階級全体の力でこれを粉砕しなければ」ならない。
(写真 「対政府交渉戦取」「社会保険改革」などを掲げる公共部門労働者2万5千人【10月31日 ソウル市ヨイド】)

 2大労総が共闘

 10月31日、公共運輸労組韓国都市ガス公社支部と健康保険公団支部、国民年金公団支部が全面ストライキに突入した。
 この日、韓国の2大ナショナルセンターである民主労総と韓国労総傘下の公共部門労働者2万5千人が国会近くのヨイド広場に集まり、鉄道、ガス、発電産業など公共部門の民営化を阻止するために公共部門労働者総力闘争決意大会を開いた。
 イサンム公共運輸労組連盟委員長は、「私たち公共機関労組は今年の闘いを『政府賃金闘争』元年と定めている。物価上昇率に達しない賃金引き上げによる実質賃金削減、公共機関における賃金格差の拡大、成果賃金の強要と非正規職の労働条件改善も統制するという問題だらけの『予算編成指針』を変更しろ」と要求し、核心的に「鉄道、ガス、空港、医療など全面的な民営化が推進されており、これを労働者の力で阻止するために私たちはここに集まった。きょう総決起し、全面ストライキに向かう私たち公共部門労働者の要求は組合員の要求だけでなく、全国民的な要求だ」と強調した。
 イミョンバク政権は、12月に迫った大統領選挙の前に都市ガス公社の民営化を狙っている。しかもその手口は、都市ガス事業法の施行令のみを改正し、民営化しようというデタラメなものだ。
 民営化阻止、非正規職撤廃を掲げて開かれる11・11民主労総全国労働者大会へ動労千葉とともに駆けつけ、国際連帯の地平を押し広げよう!
 (室田順子)
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 鉄道労組のストを支持し国際連帯で共に闘います

 国鉄千葉動力車労働組合

 日本の鉄道、JR内の労働組合である国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)です。
 10・27鉄道民営化阻止警告ストライキをはじめとする鉄道民営化阻止のためのストライキ闘争を力強く展開される鉄道労組の組合員の皆さんに熱い支持、連帯のあいさつを送ります。
 政権末期のイミョンバク政権が、公共部門の民営化を取り返すことができない地点まで推し進めようとしていることに対して、労働者階級全体の力でこれを粉砕しなければなりません。私たち動労千葉は皆さんの闘争を断固支持して連帯し、最後までともに闘います。
 日本においては、新自由主義の攻撃は1980年代の国鉄分割・民営化がその出発点になりました。その後30年間の新自由主義政策の自由な展開が2千万人の労働者が非正規職につき落とされるという悲惨な事態をもたらしました。このかん動労千葉は国鉄分割・民営化絶対反対の立場を堅持して闘い続けてきました。
 動労千葉は去る10月1日から5日まで、第2の分割・民営化と言うべきJRの全面外注化阻止、非正規職撤廃、偽装請負弾劾のストライキ闘争を貫徹しました。10・1外注化は強行されましたが、この闘争は私たち動労千葉の組合員の団結をより強化し、近い将来かならず外注化体制を粉砕するための新たな闘争の出発点をつくり出しました。
 この闘争にあたり、9月27日に民主労総ソウル地域本部が、私たち動労千葉の外注化阻止ストライキ闘争に対して支持連帯する記者会見を日本大使館前で開いて連帯してくれました。この記者会見闘争に鉄道労組のパクテマン首席副委員長が参加して連帯してくださったことに心底から感謝いたします。
 全世界で世界大恐慌による資本主義の危機が深まる中、公共部門の民営化、外注化、構造調整による大量解雇などに対して闘うことが全世界の労働者階級が生きて行くための共通の課題となっています。
 今後も国際連帯の力でともに闘って行くことを約束して連帯のあいさつといたします。
 2012年10月25日
 国鉄千葉動力車労働組合 委員長 田中康宏

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週刊『前進』(2559号5面2)(2012/11/05 )

 中国 非正規青年労働者が決起

 労働者支援NGOを拠点に

 合同労組への弾圧に反撃

 全世界で新自由主義の嵐が吹き荒れる中、中国でも非正規雇用の青年労働者の闘いが激しく爆発している。その典型が、広東省の「経済特区」深セン(センは「土」へんに「川」)市での労働者支援NGO(非政府組織)に対する封鎖の攻撃であり、それに対する非正規労働者、青年労働者の不屈の闘いである。
 深せん市には現在、労働者支援NGOが11団体(「深セン非正規労働者センター」「若い労働者の仲間たちの家」など)あり、今年の2月以降、これら11団体に対して、市政府は団体認可の取り消しや移転の攻撃をかけてきた。この攻撃に対して青年労働者は市政府などへの連日の抗議闘争に立ち上がってきた。さらに閉鎖を強制されても、闘いと団結を今後も継続しようと必死で闘いぬいている。中国における非正規労働者、青年労働者の闘いが今、新たな胎動を開始し、中国の階級闘争の先頭に立とうとしている。
 深セン市はトウ小平(トウは登におおざと)の「改革・開放」政策のもとで最初に「経済特区」(1980年)となった街のひとつである。辺鄙(へんぴ)な漁村はわずか30年で中国経済の中心地に急激に変貌(へんぼう)した。経済成長に伴って中国各地からの農民工(出稼ぎ労働者)が流入し、さらに農民工の両親から生まれた次世代の労働者もいる。彼らのほとんどが農村戸籍であり、教育や福祉などで社会的な差別を受けているほか、職場でも非正規労働者として働かされている。日本と同じく低賃金で首切り自由の労働者である。こうした経済先進地帯を始めとして、中国でも膨大な非正規の青年労働者が生み出されているのだ。
 中国には「工会」といわれる労働組合があるが、それはスターリン主義政府の御用労働組合であり、労働者階級の利害を体現していない。また、農民工・非正規労働者は加盟できなかったり制限されているケースも一般的である。しかし「工会」以外の労働組合を自主的に結成することは許されていない。
(写真 1万人もの労働者、住民、学生らが寧波市政府を取り囲み化学工場建設の中止を要求【10月28日 中国浙江省】)

 「私の仲間は世界中にいる」

 こうした搾取と抑圧支配の中で、農民工を中心とする青年労働者は、労働者としての自分たちの権利を守るために、この数年間に労働者支援NGOを自分たち青年労働者の手で次々とつくり出してきた。
 それは実質的に合同労組のような存在であり、労働者同士の日常的な交流から、職場での事故防止のための教育、生活相談、労働法の学習と宣伝、労働争議へのアドバイスなどの活動を積極的に行ってきている。そしてこれらの労働者支援NGOの活動が、深せん市における労働者の労働争議を促進し、その勝利をかちとる大きな力となってきたのである。
 それは同時に労働者の階級的覚醒(かくせい)を生み出していった。さらに今年の春に、非正規職撤廃の署名運動を街頭で公然と取り組んだ団体もある。
 この事態をもはや容認できなくなった深せん市政府は、これらの労働者支援NGOに弾圧をかけてきたのである。これに対して青年労働者は、連日のように市政府などに押しかけて抗議し、団体の継続を要求して闘った。そして閉鎖や移転を余儀なくされても屈しない。例えば「若い労働者の仲間たちの家」は事務所閉鎖の日(9月16日)に、事務所前の路上で今後の闘いに向けて労働者集会を開催した。
 この集会で青年労働者は次々と発言し、「誰がすべては終わったなどというのか?/私たちは一つの網、その端を握ってひとつにつながっている/『私たちの世界を変えよう!』と私は言う/この世界を変えるのは、この世界は変えなければならないから/誰がすべては終わったなどというのか?/私はここに心を捧げる!」というラテンアメリカの詩を全員で一緒に朗読した。
 最後に、「私は人の知らない小さな草/私の仲間は世界中にいる」という歌を歌って集会を終えた。そこには、今後も仲間との団結と闘いを維持し、この社会を変えようという不屈の青年労働者の決意がみなぎっている。この青年労働者の運動をつぶすことなど不可能なのだ。
 中国の青年労働者の闘いは激しい弾圧を受けているが、この過程をも通して、中国の階級闘争の新しい段階を切り開く勢力に今成長していこうとしているのである。
(写真 経済技術開発区での化学工場建設に反対する数千人のデモ【10月26日】)

 環境汚染への怒りが暴動へ

 こうした非正規の青年労働者の闘いの成長と一体となって、中国各地で環境汚染をめぐる労働者、農民、漁民の「生きさせろ!」の闘いが爆発している。
 10月13日から海南省三亜市楽東黎族自治県鶯歌海鎮で、火力発電所の建設に反対する労働者や漁民の暴動が起きた。この暴動は1週間以上にわたって続いている。
 また10月22日から、今度は浙江省寧波市で有毒のパラキシレンを生産する化学工場の建設に反対するデモが始まり、26日より暴動となった。彼らは「私たちは生きていきたい/命をつなぎたい」と横断幕を掲げて闘っている。いずれも武装警官と激しく激突し、多くの逮捕者を出して闘われている。
 「改革・開放」政策、とりわけそのもとでのバブル経済は、政治家(官僚)と企業・金融業が癒着した形での乱開発を引き起こした。それは同時に農民や労働者からの膨大な住宅や土地の強制収用を伴い、政治家の極限的な腐敗を進行させた。さらにこの乱開発は、すさまじい環境汚染を生み出し、労働者住民の命と健康を日々むしばんでいる。
 今世界恐慌への突入、欧州経済危機の爆発、対日関係のあつれきの激化の中で、中国経済は一挙に崩壊過程に入っているが、そうであるがゆえに中国スターリン主義政府は絶望的にますます乱開発を進めて経済にテコ入れし、この経済的破局をのりきろうとしている。労働者は資本や政府によって「生きられなく」なっているのである。
 こうした労働者住民の暴動的決起が、中国各地で次々と起きており、実際に環境問題をめぐる「群体性事件」(民衆が政府や企業に対して起こす集団的抗議行動)が2005年から平均29%ずつの割合で毎年増加しているという(中国環境科学学会副理事・楊朝飛)。それだけ「改革・開放」政策、バブル経済のもとでの環境破壊がすさまじく、中国の労働者人民の決起が陸続と続いているということである。
 彼らの闘いは、まさに今の福島の「生きるため」の闘いと同じである。資本とスターリン主義政府が生み出した破局的な状況に対する決起であり、この社会を変えるまではやむことのない闘いである。つまり中国スターリン主義の打倒を本質的にはらんだ闘いなのである。
 中国の階級情勢は、今新たな激動の過程に入りつつある。そしてそれは、11月8日から始まる中国共産党第18回全国代表大会を根底から揺るがしている。「非正規職撤廃・原発再稼動阻止」のスローガンは、こうした中国の労働者階級の闘いと完全に通じるスローガンであり、この闘いを推進する中で、中国の労働者階級との団結をつくりだしていこう!
 (河原善之)

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週刊『前進』(2559号6面1)(2012/11/05 )

 裁判員制度いらない! 11・9最高裁デモに立とう

 30万候補者への発送やめろ

 裁判員制度はいらない!大運動 武内更一弁護士に聞く


武内更一弁護士

 東京弁護士会所属/憲法と人権の日弁連をめざす会事務局長
 11・9最高裁デモへ!11月9日(金)正午/日比谷公園霞門に集合 11月9日昼に「裁判員制度はいらない!大運動」の呼びかけで、最高裁判所に向けたデモが行われる。来年度の裁判員候補者に最高裁が通知を発送することに対して、首都中枢を貫く大衆的デモで「やめろ! 発送するな!」と怒りをぶつける行動だ。呼びかけに応えて全力で闘おう。「大運動」事務局の武内更一弁護士に闘いの意義を語ってもらった。(編集局)

 拒否の声は満ちている

 ――昨年もこの時期に最高裁デモをやりました。11月デモの意味は?
 最高裁が11月中旬に次年度の裁判員候補者の約30万人に通知を出そうとしているからです。その時期に「もうやめろ!」「人を裁くことを強制するな。思想・信条の自由の侵害をやめろ!」とアピールするためです。去年はデモをしたちょうどその日に最高裁は通知書を発送しました。その作業している最中にデモをかけたわけです。デモコースの地図を見てください。日比谷公園から出発し、まず裁判員制度を推進している日弁連に抗議し、その先で東京地裁・高裁に抗議する。さらに進んで経済産業省前〜文部科学省前で「原発やめろ!」とアピールし、首相官邸の直下で野田首相に「やめろ!」とアピールします。それから赤坂で昼休みの労働者の皆さんに呼びかけ、赤坂見附の交差点を右折し、民主党本部の真横を通って最高裁に至る。最高裁の前で直接抗議の声を上げます。

 圧倒的拒否で制度は危機的

 ――09年に制度が施行されて3年半たちました。現在の状況は?
 「裁判員なんかやりたくない」「人を裁きたくない」という声は満ち満ちています。昨年2月に最高裁が2千人に面接して行った調査で「裁判員やりたくない」が80%を超えました。「やりたい」「やってもいい」という人は10%ほどしかいなかった。直後に3・11大震災・原発事故があって、「人を裁くどころじゃない」という気持ちはもっと満ちあふれているでしょう。
 ところが、この調査以降、最高裁もマスコミも世論調査を行わなくなりました。やっても発表できないのかもしれません。「やりたくない」の声が9割を超える高い比率になっているのではないでしょうか。
 裁判所が呼び出した裁判員で、最終的に裁判所に来る人の数がどんどん減っています。9月の鳥取地裁でのある裁判員裁判――75日間の審理期間を要する裁判――では、700人もの候補者を選び出しましたが、最終的に裁判所に来た人は38人でした。わずか5%です。それほど多くの人たちに忌避されている。
 75日間も裁判所に来ることを国家が命じることが許されるのか。人びとには生活があり、この大恐慌の時代に自分と家族の生活を維持するだけでも精一杯です。裁判員の仕事は、日当は出ても休業の補償などはいっさい出ません。個人タクシーの運転手さんとか商店主は、商売が成り立たなくなります。こういうことにお構いなしに人を裁くために呼び出すというこの考えは、実に許し難いです。
 呼び出しが来ても、最後まで無視し続ける人が10%ぐらいいます。「正当な理由なく呼び出しに応じないと10万円以下の過料」となっていますが、裁判所は調査もしていないし罰則も発動できないのです。
 こういう現状なのに、最高裁の竹ア長官は5月に「比較的順調」と言いました。「比較的順調」とはどういうことか。「よほど問題が起きている」ということです。刑事裁判が「比較的順調」などと言われれば、誰も裁判を信用しなくなるでしょう。

 廃止に向け連続学習会

 ――「大運動」は今、どのような活動をやっていますか?
 「裁判員制度はいらない!大運動」は、私たち弁護士と市民の皆さんがともに闘っていく運動です。裁判員制度に反対する声は、本当に広範に広まっています。私たちが発行している「全国情報」は、マスコミが書かないことをちゃんと取材して書いています。ぜひ多くの人に読んでもらいたい。そして、これを使って学習会をやってもらいたいですね。持ち寄って読むことで議論も深まります。希望があれば、講師も派遣します。
 私たち「大運動」は、「憲法と人権の日弁連をめざす会」との共催で、7月から連続学習会を始めました。10月に4回目をやりました。裁判員裁判の現場はどういう状況になっているのか、事実から検証しようということです。
 1回目は裁判員裁判の弁護を実際に担った弁護士から、現実の裁判員裁判はどのように行われているかをレポートしてもらいました。思っていた以上に裁判が形骸化していることがよく分かりました。
 たとえば裁判所は、検察官に供述調書そのものではなくて、それを要約したものを出せと要求する。「長い調書を朗読すると裁判員が眠ってしまいます」と、裁判官が言ったそうです。しまいには検察官の捜査報告書が証拠として出される。鑑定書も、専門家が書いた鑑定書そのものではなく要約したものを出せと要求される。これが「直接主義、口頭主義」と称して行われているのです。完全に証拠裁判主義の否定であり、近代刑事司法の破壊です。
 2回目の学習会は「検察の劣化と裁判員制度」というテーマでやりました。これは裁判員裁判対応の地検の検事が、裁判員に向けたパフォーマンスに流れていて、刑訴法に則った緻密な立証活動を行わなくなっている。そうした問題点を明らかにしました。
 3回目は、「被害者参加制度と裁判員制度」を中心テーマに行いました。被害者が裁判に参加することで、法廷が被害者が被告人を糾弾する場になっている。本来、被告人は無罪推定を受けるわけだから、被害者から糾弾されるいわれはないのです。特に裁判員裁判では被害者の声が裁判員の判断に非常に影響を与えていると思われます。
 先日の4回目の学習会では、「裁判員の守秘義務」についてレポートと討論をしました。裁判員が誰か、どういう意見だったかを隠して責任の所在を不明化し、判決への批判をさせない狙いがあるということが分かりました。
 こういう学習会を地道に重ねて、裁判員裁判がどう現実に刑事裁判を壊していくのかを確認したい。そして、やはり裁判員制度は見直しですむことではなく、制度そのものを廃止しなければならないと確信をもって訴えてゆきたいと思っています。
(写真 昨年11月11日の最高裁デモ。雨の中を220人が「現代の赤紙【召集令状】」=裁判員制度に怒りの声をあげた)

 今現在の改憲阻止闘争

 ――なぜ、政府や最高裁は、「国民」を裁判に引き入れようとしているのでしょうか。
 それは司法権力の強化のためです。司法制度改革審議会の2001年の意見書は「司法の国民的基盤の確立」と言っています。裁判員制度はそのひとつの具体化です。「国民」をして人民を支配・管理・統制し、取り締まる――こういう司法像を彼らは狙っているのです。
 なぜそのようなものが必要かと言えば、新自由主義です。新自由主義を進めていくと、リストラ、賃下げ、非正規職化など、人びとはどんどん生きていけない状況に追い込まれます。そこから反発・反撃が必ず起きます。それに対して、国民を分断して「裁く側」に引き込み、「民意による裁判」と称して抑え込んでいくことを狙っていると思います。司法審の意見書は、司法の新自由主義改革の方向を打ち出したものです。
 この闘いは、「いま現在の生きた改憲阻止闘争」です。「大恐慌―大失業と戦争の時代」の深まりの中で、支配階級の喫緊の課題として「改憲」が急浮上し、安倍・石原・橋下らは「集団的自衛権合憲化と9条破棄」を公言しています。
 戦争とは「国家による人殺しへの人民動員」です。「人を裁き、場合によっては死刑台に送り込む。そうした国家権力の発動には手を貸さない」――ネット上で期せずして“現代の赤紙”とネーミングされたこの裁判員制度を、ますます多くの日本人民が拒否している。このことの意義はとても深く大きい。
 8割9割の人が「そんなものやらない」と言っているわけです。日本の人民は大したものです。単純に「やりたくない」という気持ちもあるでしょうけれど、「こんなものを認めてはいけない」とまで言いきったときに、この制度を廃止に追い込める。それはまた、この社会を大きく転換しひっくり返す時です。

 日弁連を変革する闘い

 ――日本弁護士連合会の対応はどうですか。
 日弁連は最悪です。裁判員制度をなんとか手直ししてでも存続させようと必死です。日弁連は「裁判員制度によって無罪判決が増えた」と宣伝していますが、それはデマです。無罪率自体は全然増えていません。従前の裁判とほぼ同じで、わずか0コンマ数lです。
 逆に、検察官の求刑よりも重い判決が出されているのは大問題です。10年の求刑に対して15年の実刑とか。実に異常なことです。検察官が「被告人にこういう程度の処罰をすべきだ」というのは、国家の要求です。裁判所はそれでいいかどうかを判断するチェック機関ではなかったのか。だから、求刑の範囲を超えて判決してはいけないのです。ところが、今や裁判所が「検察官の求刑は軽すぎる」ということで求刑を超える判決を出している。これは刑事裁判の構造を変えています。裁判所が積極的に人民を処罰する主体として前面に出てきている。江戸時代の奉行所みたいですね。近代の刑事司法原理からは最も否定されるべき、「時代の空気」によって人を裁く裁判が、裁判員制度のもとで行われているのです。そういうことに「国民」が利用されています。
 こんな制度を容認し推進する日弁連は、人権の砦(とりで)とはとても言えない。この日弁連の姿勢も絶対にひっくり返して、変えていかなければならない。

 デモをやって制度つぶそう

 ――あらためて、読者に行動の呼びかけを。
 私たちのスローガンは「裁判員制度は見直しではなく、直ちに廃止を」です。「一般国民が参加するのだから、裁判官だけの裁判よりまし」という声がありますが、全然ましではありません。手続きの面でも判決の中身でも、今までの裁判よりも、もっととんでもない代物になっている。これ自体を断固否定し、廃止に追い込まなければならないと思います。
 いよいよ決戦です。向こうも相当追い込まれています。大衆運動のもう一押しでこの制度はつぶせると思います。これ以上、裁判員制度を長くやらせておくわけにはいかない。『前進』読者の皆さん、9日昼の最高裁デモに、ぜひ大結集してください。

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週刊『前進』(2559号6面2)(2012/11/05 )

 市東さん耕作権裁判 審理強行を阻む

 “裁判長は全文書開示を”

 10月29日、三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、市東孝雄さんの耕作権裁判の法廷で一丸となって闘い、千葉地裁民事第2部・白石史子裁判長による違法な審理続行を阻止した。
 この裁判は、成田空港会社(NAA)が市東さんの南台の耕作地の一部を「不法耕作」と決めつけ、明け渡しを求めて起こしたものだが、その土地特定の「根拠」が偽造文書であると発覚し、いよいよ重大局面を迎えている。
 前回7月の弁論までに弁護団は、NAAが証拠として出している「境界確認書」「同意書」やその添付図面が偽造されたものであることを繰り返し暴いてきた。そして、偽造の経過を示す文書がNAA=旧空港公団のもとに必ずあるはずだとして、用地買収の経過を記載した交渉記録、報告書、その他関連記録一切の開示を要求して、ねばり強く闘ってきた。
 白石裁判長は「文書提出命令」をNAAに出したが、NAAが提出した10点の文書のうちわずか3点しか開示せず、その他は却下したため、弁護団は「全文書を開示せよ」と東京高裁に即時抗告申立書を提出している。高裁の結論が出るまでは、民事訴訟法に則ってすべての審理を停止しなければならない。だが、白石裁判長はそれを無視して「予定通り」進めようとしているのだ。断じて認められない。
(写真 勝利への気迫をみなぎらせて決意を述べる市東さん。右は北原事務局長【10月29日 千葉市】)

 NAA代理人に怒りが爆発

 午前10時30分、傍聴席が埋まり裁判長が開廷を告げようとしたまさにその直前に、葉山岳夫弁護士が「裁判長!」と挙手し、「審理進行を一切止めるべきだ」と迫った。白石裁判長は「開廷に支障はない。被告の準備書面の陳述もまだだし、文書提出命令と関係ないことは進められる」と、はねつけようとした。これに対し、弁護団が猛然と抗議をたたきつけた。「関係のない書面などない。偽造問題はこの裁判のもっとも根幹にある」「証拠が出そろわないのに、主張を組み立てることはできない。防御権の侵害だ」
 裁判長は陪席裁判官との合議の末に、「2回の裁判期日を決めたい」と言い出した。これだけ批判されて、なお強引に進めようというのか! 傍聴席からの怒声も一層強まった。「そんな期日は断じて認められない」と弁護団ははねのけた。
 NAAの代理人弁護士は裁判長から意見を求められると、「通常通り進めて問題ない」などと悪びれる様子もなく言い放った。「なんだその言いぐさは!」と怒りが爆発した。文書偽造という重大事を指摘されながら立証責任を放棄して、まともな反論もしないからこの事態になっている。お前たちはその当事者ではないか! 弁護団はNAAを徹底糾弾し、市東さんも被告席から弾劾した。
 葉山弁護士は裁判長に「即時抗告の結果が出るのはそう遠い将来ではない。期日を強引に指定することには何の合理性もない」と再度鋭く迫った。白石裁判長は結局これに折れて、「葉山代理人の意見を踏まえ、期日は追って指定する」と言わざるをえなかった。

 “勝利のために皆さんの力を”

 近くの会場で報告集会が開かれた。司会は伊藤信晴さん。最初に北原鉱治事務局長があいさつに立ち、「どんな攻撃だろうと来るなら来いという気概でわれわれは闘っているが、証拠も出そろわないで裁判を進めることなど認めない」と強い調子で語った。
 続いて動労千葉の後藤俊哉さん、関西実行委、群馬・市東さんの農地を守る会の青柳晃玄さん、市東さんの農地取り上げに反対する会が連帯発言を行い、さらに全学連三里塚現地行動隊の学生が朝に千葉駅頭で数百枚のビラをまいて、裁判支援・農地強奪阻止を訴えたことを報告した。
 弁護団も全員が発言し、白石裁判長の拙速裁判に対し傍聴者もふくめ全体で反撃して審理を止めた勝利の手応えを語った。そして白石のあせりの策動は、民事第3部・多見谷裁判長と連動した早期結審・来春判決を狙う農地強奪攻撃であることに警鐘を鳴らした。
 最後に市東さんがあいさつに立った。「文書を3点しか開示せず、裁判進行は早める、こんなやり方に腹が立つが、弁護団の力で今日は押し返しました。勝つためにこれから何をしたらいいのか。私一人では勝てないので、これもある、あれもある、とみなさんで意見を出してほしい。ともに闘いましょう」と熱を込めて訴え、全体の大きな拍手に迎えられた。
 市東さんの農地をめぐる裁判は、例外なく一つひとつが気を抜けない真剣勝負だ。「農地死守」の気概で全力で闘いぬこう。
 11月12日、萩原進事務局次長の証人尋問が行われる農地裁判の傍聴に集まろう!
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 三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
11月12日(月)午後1時30分 千葉地裁
★萩原進事務局次長の証人尋問

12月10日(月)午後1時30分 千葉地裁
※萩原さん証人尋問の続きを行うよう求めて裁判所と折衝中(傍聴券抽選のため1時間前に集合)

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週刊『前進』(2559号6面3)(2012/11/05 )

日誌'12 10月23日〜29日

 オスプレイ2機が夜間訓練/陸自に「海兵隊構想」

●オスプレイ夜間訓練 米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ2機が、沖縄配備後初となる夜間飛行訓練を1時間半〜2時間実施した。同訓練は日米両政府が合意した「安全策」で「最小限に制限する」と規定しているが、配備からわずか23日目で実施した。日米合意で「運用上必要な場合を除き、米軍施設・区域内のみ」とされている市街地でのヘリモードでの飛行もすでに沖縄県内の多くの場所で確認されている。(23日)
●全国16原発、初の放射能予測 原子力規制委員会は、全国16カ所の原発で東京電力福島第一原発事故のような深刻な事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測を公表した。(24日)
●オスプレイ撤回求め最大規模の抗議行動へ オスプレイ配備に反対する沖縄の県民大会実行委員会は那覇市で会合を開き、オスプレイの配備撤回を目指して12月中旬ごろに、県内全41市町村長に市町村議会議長、県議を加えた大規模な野田佳彦首相に対する要請行動を展開することを確認した。実行委では、要請行動に加えて要請団による首相官邸、国会議事堂前での座り込みや、東京県人会などとも連携した5千人規模の抗議集会の開催を検討する考えも提起された。(25日)
●日本郵政、15年秋上場 日本郵政が、2015年秋に同社の株式を上場する計画案をまとめたことがわかった。同社株は政府が保有しており、売却益は最大で7兆円規模になる。同社は上場の道筋をはっきりさせることで、来春に予定する住宅ローンなどへの参入を実現させる考え。(26日)
●緊縮策に抗議、ローマで2万人がデモ イタリアのモンティ首相が進める財政緊縮策に抗議する大規模デモがローマであった。左翼政党や労組の主催で、地元メディアによると約2万人が参加。一部が銀行の店舗に卵や瓶を投げつけた。(27日)
●陸自に「海兵隊構想」 陸上自衛隊に、洋上からの上陸作戦を主任務とする「海兵隊」の機能を持たせようとする構想が進んでいる。陸自は9月、米領グアムで敵に奪われた島を奪還する訓練を実施し、米海兵隊から上陸のノウハウを学んだ。自民党の総裁選では「日本にも海兵隊が必要だ」という主張が語られた。陸自は来年度、上陸作戦に使える水陸両用車4両を約25億円で新規購入する予定。(28日)
●放射能拡散予測を訂正 原子力規制委員会が24日に公表した全国16カ所の原発で重大事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測について、規制委は、東京電力柏崎刈羽原発など6カ所で、データの入力ミスなどが原因で放射性物質の拡散する方角や距離が誤っていたと発表した。修正した予測図を改めて公表した。(29日)
●福島県がIAEA研究拠点を三春町に誘致 国際原子力機関(IAEA)の研究拠点が福島県三春町に誘致される。県は、除染や放射線対策の国際的研究拠点をめざす「福島県環境創造センター」(仮称)の建設計画を発表。その一部で、IAEAから派遣される研究員を受け入れる計画。(29日)

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週刊『前進』(2559号7面1)(2012/11/05 )

 新自由主義大学粉砕! 全国で集会を開く

 福島大 原発推進大学に怒り 教室使用拒む当局を弾劾

 10月23日、福島大学キャンパスで「福大から原発と大学を問う学生集会」が開催された。
 福島大当局は、同日開催を予定していた元原発労働者の斎藤征二さんの講演会の教室の貸し出しを不許可にした。にもかかわらず、9月9日には福島県立医大副学長・山下俊一ら御用学者シンポジウムに教室を貸し出している。こうした大学のあり方を問うていくことが本集会の趣旨だ。
 集会開始直前、教室貸し出し不許可にかかわった入戸野修学長ら3人の責任者の名前が張り出された机とイスがキャンパス中央に並べられる(写真)。事前に提出した申し入れ書への回答を求めてのセッティングだ。
 そこに登場したのが、教室貸し出し不許可の責任者の工藤副学長を先頭とする弾圧職員だ。
 しかし、これを切り裂くように、福島大2年のW君が高らかに集会の開始を宣言した。
 「私たちは福大から原発と大学を考える実行委員会の者です。福島大学は、自分たちには都合の悪い人たちは締め出す、そんなみみっちい大学だったのでしょうか!」
 続いて福島市の椎名千恵子さんが発言。「福島大学は集会をやめさせようとしていますが、福島で起きている事態はそれどころではありません」という渾身(こんしん)の訴えが響き渡った。
 斎藤郁真全学連委員長を始め全国学生がアピールを行った。
 周囲にも徐々に学生が集まってくる。その中で福島大3年のH君がマイクを手に取り、「福大は原発を推進しているとしか考えられません。大学ではどのような主張も圧殺されてはなりません」と当局を追及した。
 集会終了後、入戸野学長に抗議するため本部棟前に移動。「抗議文は受け取らない」とかたくなに主張する当局に対し、「ひとりの福大生としての声を聞いてください」とW君が迫る。ついには抗議文を学長に渡すことと、回答を行うことを確約させた。
 夕方には「原発で働き、原発に反対する」と題し、斎藤征二さんの講演会が開催された。
 斎藤さんは自らの経験を基に、全原発はただちに停止・廃炉以外にないと熱く語った。今回の福島第一原発事故についても「事故収束作業に若い人を送り込むのは殺人行為」と弾劾。さらに「原発と基地は一緒だ」「原発も戦争も責任が誰にあるのかをはっきりさせなければならない」と社会の根本的変革を訴えた。そして労働組合結成時、「原発での労働は命の切り売り」「人の痛みは自分の痛み」「労働運動とは階級闘争」などを関西生コン支部の武健一委員長に教わったと語り、労働組合の重要性と11・4集会を呼びかけた。
 講演会には、福島大生が複数飛び入りで参加。福島大生は、原発や放射能のことを真剣に考えキャンパスから声を上げたいと考えている。法大・福島大に続き、全国キャンパスから反乱を起こそう!
 (全学連 S)

 京都大 葛西(JR東海)打倒へ闘う 関西電力・藤追放の大勝利

 10月23日、京都大学で「松本×橋下×葛西打倒京大集会」が開かれ、京大生の圧倒的注目の中で大成功した。
 「新自由主義大学には勝利できる!」。冨山小太郎君の基調提起は、確信に満ち満ちていた。「新自由主義に一切の積極性はない。労働者階級の団結を破壊し尽くす以外の方針をもっていない。団結を復権させれば、新自由主義大学の現実も一発で変革できる」
 京都大学で闘う学生は3・11以来の1年半、原子力ムラに深々と根ざす新自由主義大学の現状を変革するために申し入れ行動や団交を通じて当局を徹底的に追及し、松本総長体制を追い詰めてきた。そして今年6月、全学自治会同学会が学生の圧倒的支持のもとに復権される中で、関西電力と松本総長との蜜月体制の象徴であった関電元社長の藤洋作を大学キャンパスから追放する偉大な勝利を切り開いた。
 追い詰められた京大松本総長は、なんと国鉄分割・民営化の下手人であるJR東海の葛西敬之を経営協議会委員に任命した。国鉄分割・民営化で20万人の首を切り200人を自殺に追い込んだ下手人が、今再び京都大学で学生自治破壊に手をつけようとしている。こんなことが許せるか!
 10・23京大集会では、動労西日本の特別講演が基調報告と一体で打ち抜かれた。動労西日本書記の樫村厚さんは、国鉄分割・民営化と25年間対決しぬき、今年度2人の青年労働者の組織拡大を実現した勝利者の立場で発言。「葛西は結局、労働者階級の団結を破壊することができなかった。動労千葉の10・1外注化阻止の闘いに示されたようにJR体制はもはや破綻している。職場支配権にこだわって団結を組織し対決した時に、こんな脆弱(ぜいじゃく)な体制は吹き飛ばすことができる!」と闘う京大生を激励した。
 そうだ! 葛西とは動労千葉の6・29判決などによって、不当労働行為の下手人であることが満天下に暴露され、全労働者階級の怒りによって完全に打倒された人物ではないか! 絶対に打倒できる。
 集会の最後に、司会の学生が方針を提起した。「葛西も松本も大阪の橋下も、職場支配権を巡る攻防の中で、グラグラに揺さぶられている。労働組合・学生自治会を武器に闘い、新自由主義を打ち破ろう! 11・4に集まろう!」。この迫力ある提起が会場全体の拍手で確認された。
 11・4の勝利を引き継ぎ、すべての学生は学生自治会を復権し、自らのキャンパスを武器に、新自由主義大学粉砕の闘いに攻め上ろう。
 (京都大学 B)

 広島大 “福島とつながろう” 御用学者追放へ戦闘宣言

 10月25日、広大生は、黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)を囲んで「福島とつながろう講演会」を開催。キャンパスから御用学者を追放し、新自由主義大学を学生の手でひっくり返すと宣言しました(写真)
 郡山市在住の黒田さんは、「福島では放射能が大気を覆っているが、もう一つ、”情報隠蔽(いんぺい)”という黒い雲が子どもたちを傷つけている」「年間20_シーベルト以上になるホットスポットが郡山市の小学校だけで15校ある」と、福島の現状をリアルに報告しました。
 さらに、山下俊一(福島県立医大副学長)を、「小児甲状腺がんが見つかっても『普通、原発事故の4年後しか出ないから事故によるものではない』『測る機械が精密になったから、異常がいっぱい見つかるようになった』とぬけぬけと言っている」と弾劾しました。
 全学連副委員長の鈴木研也君は、「福島とつながり、山下俊一・神谷研二ら御用学者を大学界・医学界から追放しよう」「3・11は大学・学問がこれでいいのかを根本から突きつけた。大学の人事・経営は大企業に掌握され、広大は原発メーカーの三菱重工に握られている。教職員・院生は競争競争で企業にすり寄ることでしか生き残れなくなり、共同性が奪われ、自殺が相次いでいる」と訴えました。
 10月2日、広大で教授が飛び降り自殺を図る痛ましい事件が起きました。広大は全国大学で「自殺者ナンバーワン」と言われています。「東の筑波、西の広大」と言われ、80年代以降、「大学改革」の旗振り役を担ってきた広大は、御用学者を多数輩出する一方、多くの学生・教職員の命を奪ってきたのです。
 鈴木君は「福島と大学で起きていることの根っこは一つ。3・11をきっかけに全国の学生が同じ気持ちで行動に立っている。大学を学生・教職員の手に取り戻そう」と締めくくりました。
 10・25に先立ち、広大原医研所長の神谷研二(福島県立医大副学長)に黒田さんとの直接面談を申し込みましたが「出張で不在」を理由に拒否。浅原学長に至っては回答すらありません。福島の怒りと向き合えず、何が「福島支援」か!
 私たちは、御用学者追放・新自由主義大学粉砕の闘いを巻き起こし、学生自治会再建へ突き進みます。
 (広島大学 A)

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週刊『前進』(2559号7面2)(2012/11/05 )

 狭山第3次再審勝利へ

 東日本解放共闘 階級的団結誓い集会

 10月27日、東京・品川のきゅりあんに90人が結集し、部落解放東日本共闘会議の主催で狭山集会をかちとった。31日で、無実の部落民・石川一雄さんに東京高裁寺尾裁判長が無期判決を出して丸38年になる。徹底糾弾し第3次再審闘争に勝利しよう、そのためにも11・4労働者集会を成功させようと誓い合った。
 主催者あいさつに立った岩本正治事務局長は、狭山闘争の勝利と非正規職撤廃をかけて11・4集会の組織化に全力を挙げようと訴えた。
 部落解放同盟全国連西郡支部のメッセージ紹介の後、集会の基調報告を杉並支部の田中れい子支部長が行った。
 田中さんは、狭山闘争は国家権力と絶対反対で対決し新自由主義を打倒する闘いであることを確認、世界大恐慌と3・11情勢下で石川さんの不屈の闘いと解放共闘の粘り強い闘いが狭山闘争を階級闘争の最前線に押し上げていることを鮮明にさせた。同和住宅からの追い出しと部落の更地化は野田政権の10割非正規化の攻撃だと説いた。杉並支部員が職場で東京西部ユニオンとして団体交渉を闘いとったことを報告し、「階級的団結の中で勝とう。各地の合同労組に結集しよう」と呼びかけた。
 「寺尾判決の二の舞を踏んではならない」「えん罪が晴れるまでとことん闘い抜く」との石川さんの10・31メッセージが読み上げられ、連帯し闘う決意を全員が固めた。
(写真 田中杉並支部長が基調を提起。石川一雄さんと連帯し闘う決意を全員が固めた【10月27日 品川区】)

 新自由主義との対決軸を鮮明に

 カンパアピールに続く4本の報告が新自由主義と闘う路線を深め、会場全体を高揚させた。
 東京北部労組交流センターの医療労働者が狭山現地調査を報告。狭山をまったく知らなかった職場の青年が参加し、「新自由主義の現実がここにもある」と感想を寄せたという。「部落差別は階級分断。労働組合で分断を打ち破って団結し闘うことが共同性を回復する」と確信を語った。
 杉並支部の青年は5月から毎月取り組んできた高裁要請行動を報告し、「労働運動と一体でしか部落解放運動はありえない。水平社のときから階級闘争として闘ってきた」と力を込めて語り、要請行動への決起を呼びかけた。
 拍手に迎えられて動労水戸の執行委員が登壇。この間の被曝労働拒否の闘い、外注化阻止決戦について勝利感を込めて語り、青年の信頼を得ることの重要性を強調した。
 なんぶユニオンの宮里勝博委員長は品川支部員の解雇撤回闘争を報告、8月の都労委の反動命令を弾劾した。支部員を解雇した芳賀通運への怒りも新たに中労委闘争に立つと述べ、ともに闘おうと訴えた。
 闘いの決意を動労千葉の後藤俊哉さん、東京労組交流センター代表の中村和憲さん(ス労自主)、 全学連の坂野陽平書記長が述べた。品川支部は「新自由主義と対決する部落解放運動が必要。11・4の成功へ突き進もう」と呼びかけ、杉並支部は「差別を許さないためには非正規職撤廃しかない」と訴えた。
 まとめと行動提起は大西文夫事務局次長が行った。集会は狭山闘争が新自由主義と対決する闘いであり、非正規職撤廃が部落解放運動の路線であることを鮮明にした。

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週刊『前進』(2559号7面3)(2012/11/05 )

 星野再審へ異議申立補充書(下)

 第2次再審棄却を批判する

 誘導により供述ねつ造 「棄却決定」を全面論破

 星野文昭同志に許しがたい無期懲役を下した判決(東京高裁・草場良八裁判長、1987年確定)は、Kr供述調書を核心的証拠として「星野同志が機動隊員を殴打した」と認定し、Ao、Arの各供述調書を証拠として「星野同志が火炎びん投てきを指示した」ことを認定している。しかし星野同志はどちらもやっておらず無実だ。「供述調書」は、いずれもデッチあげられたものだ。今回は、「厳島鑑定書」を否定した「再審棄却決定」を徹底的に批判している異議申立補充書の第8章を紹介する。
 3カ月も前の一瞬の出来事を詳細に述べているKr供述は人間の記憶としてはあり得ないこと、それは取調官によって捏造(ねつぞう)されたものであることを、「厳島鑑定書」は心理学的知見と具体的な実験に基づいて科学的に明らかにした。

 ありえない記憶

 「厳島鑑定書」は、Krの「機動隊員殴打」現場の目撃に関して、正確な目撃・記憶を妨げる多くの要因があることを指摘している。
 記憶は機能的に、@「符号化(知覚)」、A「貯蔵(保持)」、B「検索」の3段階に分けることができる。「符号化段階」では、知覚時間(=体験時間)が短いほど、またその時の情動的興奮が高いほど、正確な記憶形成は阻害される。Krの場合、見た時間はたった35秒間ほど。また、機動隊との激突という極度の興奮状態にあったのであり、しっかり見て、それを記憶する状況ではまったくなかった。
 「貯蔵段階」では、体験から思い出すまでの時間が長いほど忘却は進む。Krの場合、3カ月も経過してからの記憶の想起である。
 「検索段階」では、権威的な面接者の態度が目撃者の回答に大きな影響を与え、事後情報が記憶を変容させる。長期間身柄を拘束されている、当時18才の少年であったKrにとって、取調官はまさしく「権威的な面接者」そのものであり、取調官から「事後情報」が次々と注入されたのだ。
 さらに厳島教授は実験も行った。実験は、1グループ5、6人で、数グループの被験者が、それぞれ1分間風船割りを行い、その時の様子を2カ月後に思い出す、というものであった。Krの体験に比べ、知覚時間は長く、情動的興奮は低く、また思い出すまでの時間もかなり短く、より記憶を想起しやすい条件を設定した。それにもかかわらず、全員が、具体的な状況をほとんど覚えていなかったのである。

 威圧的取り調べ

 ところが「棄却決定」は、@Krの体験と本件実験とでは「社会的現象としての性質」に大きな差異がある、AKrは「質問の仕方や想起の手がかりを得やすい環境」にあった、B「捜査官による誘導もそれが不当なものでない限り有効な記憶喚起の方法になる」、C「記憶喚起のために費やされた時間」は長いほど正確で詳細に記憶を喚起できる、という暴論をもって「厳島鑑定書」を否定したのだ。
 だが、Krが受けた取り調べは、連日、朝食後すぐに開始され、昼食も夕食も取調室で取調官と一緒にとらされ、夜の10時、11時まで、30日間以上も続いた。狭い取調室で、少ない時でも3人、多い時には5人もの取調官に囲まれ、その威圧感のもとで行われたのだ。これを「想起の手がかりを得やすい環境」だと居直る「棄却決定」を断じて許すことはできない。
 「棄却決定」は心理学者の「鑑定書」を全面的に否定している。しかし、04年4月9日の大阪地裁判決は「犯人識別供述は……信用性の判断を誤ると、冤罪の温床になりかねない危険性を孕(はら)んでいる証拠である」として、心理学の研究成果に照らして供述の信用性を否定しているのだ。
 「補充書」を学習し、星野同志の無実を深く確信し、全証拠開示運動に猛然と打って出よう。全人民の怒りと一体となって東京高裁を包囲し再審開始をもぎ取ろう。11・23星野再審全国集会への全力結集を訴えます。
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【要項】フクシマ・オキナワの怒りと一体で獄中38年を打ち破れ
 11・23星野再審全国集会
 11月23日(金) 正午開場、午後1時開会
 赤羽会館(JR京浜東北線赤羽駅東口)
 主催/星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議

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週刊『前進』(2559号7面4)(2012/11/05 )

 国際労働運動 12月号

 中東での労働者革命と反革命

 【特集】

 2011年の「アラブの春」以降、中東諸国の労働者階級が米・EU帝と癒着する独裁政権打倒の革命に決起した。新自由主義が生み出した膨大な青年労働者が世界恐慌のもとで労働組合をとりでにプロレタリア革命に向かっている。米帝やEU帝は中東支配の危機を巻き返すため、リビアに続きシリアで新たな侵略戦争を仕掛け、エジプト、チュニジアで労働者革命阻止に全力を挙げている。
 第1章はエジプト情勢。労働者階級は、新たな闘うナショナルセンターの独立労組連盟を軸に前進している。ムバラク独裁を打倒した労働者階級は、今は米帝と結ぶムスリム同胞団の政府と非妥協で闘っている。
 第2章はチュニジア情勢。御用組合内の左派活動家が産別拠点を確保し、ストライキでベンアリ独裁を打倒した。その後、米帝の支援を受けたムスリム同胞団系の政府との闘いを前進させている。
 第3章はシリア情勢。労働者階級の決起が始まったが、本格的発展の前に反革命的内戦に巻き込まれた。アサド独裁体制対米帝の侵略戦争、反動王政諸国とトルコの支援を受けたイスラム政治勢力などの反革命同士の内戦だ。労働者階級の登場が求められている。

 【ニューズ&レビュー】

▽韓国・民主労総の公共部門の労組は、民営化阻止のスト決起宣言を発した。
▽緊縮政策を推進するEU首脳会議に、ギリシャで7万人がデモで大反撃した。

 【世界経済の焦点】

 アメリカの「財政の崖」に焦点をあて、米帝の危機と没落を象徴するこの問題に内容豊かに切り込む。

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週刊『前進』(2559号8面1)(2012/11/05 )

 外注化阻止・非正規職撤廃へ労働組合の復権を高らかに宣言

 職場動いた。新自由主義倒せる! 日・韓・米・独 大感動の国際連帯集会

 闘う3組合から熱烈な提起

 11・4労働者集会で行われた動労千葉の田中委員長、連帯労組関生支部の高副委員長、港合同の中村副委員長の発言を紹介します。(要旨、見出しは編集局。その他の発言は次号に続報)

 ●国鉄闘争の決意 外注化は絶対粉砕できる

 国鉄千葉動力車労働組合委員長 田中康宏さん

 全国からの結集、本当にありがとうございます。今日は私たちの外注化・非正規化阻止の闘いに全国からのご支援をいただいたことに心からお礼を申し上げたくて、ここに来ました。本当にありがとうございました。
 12年間闘い続けてきた外注化が強行されました。職場は悔しくて怒りの声があふれています。だけど、私たちは負けてはいません。労働者の団結はますます強くなっています。こんな外注化は絶対粉砕できると確信しています。今日はあらためてこれからも闘い続け、民営化・外注化・非正規化攻撃を絶対に粉砕する決意を述べさせていただきます。さらにご支援をお願いします。
 それと、韓国・民主労総の同志たち、本当にありがとうございました。熱い連帯の気持ち、絶対に生涯忘れません。命をかけてこの社会を変えるために闘い続ける気持ちです。本当にありがとうございました。
 一点だけ申し上げます。国鉄分割・民営化以降、日本の労働運動はなすすべなく後退しました。外注化等々の原点は何だったのかということです。僕らは民営化から外注化というこの25年間の闘いをとおして、労働者の団結した力は新自由主義攻撃に立ち向かえることを示したかったんです。闘う労働運動の復権は可能だと示したかったんです。この現実、僕は悔しくて悔しくてしょうがないから、労働者は勝てることを示したかったんです。日本の労働組合は国家権力を挙げた攻撃には立ち向かえないんだという歴史をひっくり返したかったんです。だから25年間闘いました。
 そして民営化と外注化闘争を闘い抜いて、必ず労働者はその力を持っているということを私は確信しました。10月1日は新しい闘いの開始の日になりました。民営化は必ず粉砕してみせます。
 今日、関西生コン支部の高さんから報告がありました。関生支部は今年1400名の組織拡大を実現しました。このままでは関生支部の10年後はないという危機感から始まったと聞きました。この思いと決意を今日参加したすべての仲間が自らのものにしてほしいと思います。
 私たちがやらなきゃいけないことは、この日本に闘う労働組合の組織拡大を実現することです。一人ひとりが決意を固めればできます。来年はここに集まる数を倍にしましょう。そうしたら歴史が動きます。社会が変わります。われわれの未来をわれわれの手でつかみましょう。

 ●呼びかけ団体からの訴え 労働者が団結するチャンス

 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部副委員長 高英男さん

 さまざまな闘いが日本各地で闘われています。動労千葉は、外注化阻止に向けてストライキを闘争戦術の柱として現在も闘いを継続しています。港合同は、大和田委員長、辻岡執行委員を亡くしながらも地域において団結権確保・権利侵害闘争を粘り強く闘い続けています。関西地区生コン支部は、生コン産業における産業政策運動を基軸として、業界の民主化を求める闘いを継続する中で、組織拡大を運動の柱として今期1400名を超える会員拡大の成果をあげています。
 しかし、私たち労働者を取り巻く社会状況は激しさを増しています。その犠牲はすべて人民大衆に転嫁されているのです。この間、多くの地域職場で闘いが継続されてきましたが、十分な戦線拡大をするには至っていません。その要因をしっかりととらえ、情勢を正確に分析し、戦術を検証することが重要です。
 派遣・非正規労働者の増大やワーキングプアの増大は、闘う環境を厳しくしているのではなく、団結できる環境が広がっているととらえる視点が重要です。新自由主義の一部特権階級の利益追求は、多数を犠牲にすることで支配構造を突き崩します。以前は、有名大学を卒業し一定の企業に就職すれば、生活に困ることはありませんでした。しかし、現在は多数の労働者が派遣・非正規労働者とされ、闘うことでしか生きられないと突きつけられています。多数の労働者が団結できる環境が生み出されているのです。現象面は困難に見えても反転攻勢をかけられるチャンスがあることに確信を持ち、闘いを展開することが重要です。
 今後の闘い方は、まず共通する要求を組織すること、共通する戦術・闘い方を組織すること、共通する業種で共通する闘いをつくり出すことが重要です。
 動労千葉は、10月1日から40名を超える組合員が出向させられていますが、新たに出向先の労働者オルグに取り組んでいます。港合同は、地域で南労会闘争・田辺運送闘争を中心とした権利侵害闘争に取り組んでいます。関生支部は、生コン産業を中心にゼネコン・セメントメーカーの業界支配に抗する戦線拡大を目指し、共通の課題で中小企業集団と労働者へのオルグを展開し、他産業にも拡大する取り組みを始めています。
 多くの労働者が闘い方が分からず労働組合に絶望し、団結の機会を失っています。この集会への参加機会を失っています。私たちの闘いが現状を打開する闘いの典型を示せていないことが大きな要因です。要求を基礎にした闘いを組織することこそ、労働者に希望と勇気を与えるのです。
 本集会以降、労働者が要求を実現できる闘い・労働者が希望を持てる闘いを全国の地域・職場で展開することを訴えて開会のあいさつとします。

 ●まとめの発言 非正規の組織化に奮闘を

 全国金属機械労働組合港合同副委員長 中村吉政さん

 全国労働者総決起集会に参加いただきました皆さんに心から感謝し、まとめのあいさつを申し上げます。
 本日の総決起集会には海外からの参加者を含め、5800人の仲間が参加されました。
 本年は闘いの柱として、@反原発・反失業の国際連帯、A国鉄闘争―労働運動の再建、B福島・被災地を先頭とした反原発の闘い、C闘いの報告として職場・地域から血のにじむ闘いが披瀝(ひれき)されました。いずれの闘いも簡単ではありませんが、闘いによって敵の弱点を見いだし、団結すれば勝利できることが力強く報告されました。
 とりわけ、韓国・民主労総ソウル地域本部の仲間には、動労千葉が組織の総力を挙げて闘いぬいた外注化反対のストライキに対し、駐韓日本大使館前で、「動労千葉のストライキ闘争を民主労総ソウル地域本部が支持し連帯します」との抗議行動を闘っていただきました。長年にわたる国際連帯の証しであり、闘うものの信頼と連帯の象徴です。
 今日本の労働組合でストライキを打ち抜く組織は、本労働者集会に結集する組合以外ありません。なかでも動労千葉と関西生コン支部は、歴史に残るストライキで自らの権利拡大、組織拡大という成果を残しました。
 国鉄労働者1047名の解雇撤回闘争は、故中野委員長、故大和田委員長、故辻岡執行委員が人生を賭けて闘った闘争であり、残されたものの責任として何がなんでも勝利をかちとらなければなりません。
 福島をはじめ被災地では、復興は進まず、長期にわたる避難生活は限界を超えています。原発の収束はおろか、毎日降りかかる放射能を解決するすべはありません。
 全国で巻き起こる「反原発」の闘いが、かつてない運動になり、電力資本や政府を追い込んでいます。被災地の仲間と連帯し命を守る闘いを展開しようではありませんか!
 混迷する政治情勢の中、われわれ自身が働くものの権利を守り、職場・地域で先頭に立ち、非正規労働者の組織化に向けて奮闘しよう。
 みなさんの奮闘を心から祈念し、まとめといたします。

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