ZENSHIN 2013/03/25(No2577 p06)

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第2577号の目次

(写真 安全と地方の切り捨て許さない 木更津で行動 久留里線ワンマン化強行に対して木更津運輸区前に総結集し怒りの抗議行動【3月16日 木更津市】)

1面の画像
(1面)
解雇・賃下げ阻止へ4月ストを
解雇撤回・JR復帰10万筆署名と原発再稼働絶対阻止=安倍打倒へ
青年労働者を最先頭に5・1メーデーに立とう
記事を読む  
動労千葉 外注化粉砕の第2ラウンドへ
3・14〜17 総力で第2波ストに立つ(3月14〜17日)
記事を読む  
前進速報版から 記事を読む  
【要項】3・27農地裁判・千葉地裁包囲闘争 記事を読む  
(2面)
動労水戸 強制出向者を先頭にスト  “外注化粉砕まで闘い抜く”(3月14日) 記事を読む  
動労西日本 広島地区でスト貫徹
印刷事業所・五日市駅拠点に(広島/魚住徹)(3月15日)
記事を読む  
10万筆署名運動推進を  全国で統一街宣行動に立つ 記事を読む  
国鉄百万支援陣形を実感  1千筆集めたTさんのアピール 記事を読む  
外注化阻止闘争13年の地平
動労千葉に続き、あらゆる職場で反合・運転保安闘争を実践しよう(菅沼光弘)
記事を読む  
(3面)
米ILWUと連帯行動
動労千葉と交流センター ロックアウトやめろ!  三井物産本店に抗議(3月15日)
記事を読む  
国労組合員資格訴訟 居直る本部を徹底追及
歴史の歪曲と転向に怒り(3月13日)
記事を読む  
郵政非正規ユニオン 井上多摩局課長の陳述を弾劾
都労委闘争で組合の力示す(3月14日)
記事を読む  
闘いは進む 青年の職場から
介護 初任給は「マイナス」。 闘う労組つくりたい  関東 安藤伸明
記事を読む  
JR外注化の先兵=東労組
検修に続き駅業務で大裏切り
受託子会社の設立を後押し〔矢剣 智〕
記事を読む  
(4面)
TPP交渉参加に反撃を
労働者に合理化と賃下げ  農・漁業や医療は崩壊へ(水樹豊)
記事を読む  
千葉県三里塚集会 3・24へ全力決起誓う  青年労働者の闘い先頭に(3月17日) 記事を読む  
官邸・国会前 参加者拡大、勢い増す  台湾学生と共に大コール(3月15日) 記事を読む  
年金支給年齢引き上げ許すな
定年後雇用テコに非正規化  新自由主義とストで闘おう
記事を読む  
2013日誌 3月12日〜18日
4月28日に「主権回復式典」/福島第一原発、冷却停止
記事を読む  
(5面)
闘う広大自治会の再建を
福島の怒りと固く結合し広大を反原発・反核の砦に  マル学同中核派・広島大学支部
記事を読む  
3・14法大 武田君の処分撤回を  決意新たに「7周年」デモ(3月14日) 記事を読む  
東京 非正規撤廃へ学習会  山本志都弁護士を講師に(東京・相馬修)(2月21日) 記事を読む  
イタリア総選挙の結果と展望
緊縮策と労働改革に「ノー」  世界革命に連なる階級的激動へ〔川武信夫〕
記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
星野闘争 全証拠開示を請求  弁護団が要請東京高裁で3者協議(3月13日) 記事を読む  
柴田作治郎さん追悼  星野奪還に最後まで尽力(3月16日) 記事を読む  
ロシア革命の勝利に学び党活動の中心に『前進』を
『革共同の機関紙活動』を読む D
記事を読む  
【要項】前進社不当捜索国賠訴訟 記事を読む  

週刊『前進』(2577号1面1)(2013/03/25 )

 解雇・賃下げ阻止へ4月ストを

 解雇撤回・JR復帰10万筆署名と原発再稼働絶対阻止=安倍打倒へ

 青年労働者を最先頭に5・1メーデーに立とう

(写真 安全と地方の切り捨て許さない 木更津で行動 久留里線ワンマン化強行に対して木更津運輸区前に総結集し怒りの抗議行動【3月16日 木更津市】)

 「労働者をなめてかかったらどうなるかってことを思い知らせてやりたい!」。これは請負契約打ち切りによる全員解雇と闘う青年労働者の叫びです。たとえ低賃金でも、まじめに何年も働き、責任をもって職場を動かしてきたのに、いとも簡単に労働者の首を切る資本に、もうがまんがならない! 安倍政権による大量解雇・賃下げ攻撃に、全国で青年労働者が人生初めてのストライキに立ち上がっています。今こそ積もり積もった怒りを爆発させ、4月ストへさらに総決起しよう。

 闘えば元気になる職場の闘いが重要

 1人の青年労働者が存在をかけ、人生をかけて立ち上がった時、仲間の魂を揺さぶり、闘いへの求心力が生まれます。青年労働者の団結した闘いこそが、今の腐りきった社会を根本からひっくり返す力です。職場を動かしているのは労働者だということを資本にたたきつけてやろうではありませんか。解雇・賃下げ、戦争・改憲、原発再稼働、TPP交渉参加、オスプレイ配備、辺野古新基地建設、三里塚農地強奪といった攻撃に突き進む極右超反動の安倍政権を、労働者の怒りのストライキで絶対に打倒しましょう。
 青年労働者が生きるために全国で立ち上がっていることと一体で、動労千葉、動労水戸、動労西日本が外注化阻止・非正規職撤廃をかけた春闘ストライキを闘っています。この3月春闘ストは、外注化攻撃を粉砕し、JRに戻るまで闘い続ける決意を示した歴史的な決起です。外注化は丸ごと偽装請負という違法行為であり、鉄道輸送の安全を脅かします。これに対し動労千葉、動労水戸、動労西日本は、反合理化・運転保安闘争路線を貫き、鉄道輸送の安全を守り、外注化という究極の合理化を粉砕する闘いに決起しています。
 この動労千葉を先頭とするストは、外注化・非正規職化と闘うすべての労働者に勝利の展望を示しています。ストライキに立ち上がった動労千葉の青年労働者は、「闘えば元気になれる。重要なのはストライキを出発点とした職場での闘いだ。ストをやりぬき明るく元気に管理者と闘う」と訴えています。ストライキをやって、青年労働者の怒りと根源的な力を全面的に解き放ちましょう。
 しかも今やJRのみならず、郵政や自治体などすべての職場で、解雇・賃下げ攻撃に激しい怒りが爆発しています。自治体労働者に対しては、退職金大幅削減、7・8%賃下げ、一時金削減の大攻撃が襲いかかっています。「こんな賃下げを許したら生活できない」「このままでは、やがて退職金はゼロになる」「この攻撃に闘えなかったら、労働組合の存在意義はない」という激しい怒りが職場に満ちあふれ、これに対して自治労本部も4・26全国統一ストライキ方針を打ち出さざるをえない重大情勢となっています。
 動労千葉が40人の被解雇者を出しながら国鉄分割・民営化と闘ったように、自治体労働者は今こそ全国の労働者の先頭に立ってストライキを闘う時です。このストは全労働者の怒りを必ず解き放つ決定的な闘いです。

 「解雇自由化」推進する安倍

 安倍政権は、「産業競争力会議」に郵政民営化を推進した竹中平蔵やブラック企業=楽天の会長・三木谷浩史などの資本家どもを入れ、「労働市場の流動化」を提唱し、「解雇の原則自由化を認めろ」などと叫び、大量解雇をさらに激しく進めようとしています。
 すでに3月雇い止め解雇通告、郵政でのスキル評価による大幅賃下げ、請負契約打ち切りによる全員解雇などが強行され、さらには1カ月に258時間もの残業で家にも帰れず過労死する労働者が生まれるなど、膨大な青年労働者がうつ病や自死に追い込まれています。資本家どもは労働者を日々殺しておきながら、それでもあきたらず労働者の10割を非正規職に突き落す全面的な雇用破壊をやろうとしています。絶対に許せません!
 だからこそ、労働者は団結して、闘って生き抜かなければなりません。すべての労働者の怒りをひとつに束ねて、資本や権力と闘う運動こそ、解雇撤回・JR復帰を求める10万筆署名運動です。労働者が生きていけない現実に突き落された、新自由主義の本格的出発点が中曽根による国鉄分割・民営化でした。ここから労働運動が大きく後退し、民営化・外注化・非正規職化が労働者に襲いかかることになりました。この国鉄分割・民営化攻撃を許して、労働者の未来はありません。
 職場の怒りと団結を組織し、階級的労働運動をつくりだす闘いとして、解雇撤回・JR復帰を求める10万筆署名運動に、職場、地域、街頭で、全力を挙げて取り組もうではありませんか。動労千葉を支援する会の会員を拡大し、物資販売を推進し、国鉄闘争全国運動が呼びかける6・9大集会に全労働者の怒りを総結集させましょう。

 TPPに労働者と農民の総反乱を

 安倍政権は3月15日、TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加を表明しました。これは労働者や農民への歴史的な大攻撃です。
 何よりもTPPが労働者にもたらすものは、さらに激しい雇用破壊・非正規職化です。資本家どもは、米欧などの資本家との国際競争=争闘戦に勝ちぬくために、徹底的なコスト削減=合理化、外注化・非正規職化、賃下げの攻撃をさらに徹底的に推し進めます。すでに「産業競争力会議」や「規制改革会議」では、TPP推進と一体のものとして解雇の自由化や正社員の全面非正規職化が叫ばれています。安倍政権は労働者や農民の生活を破壊し、大資本の延命を図る超反動政権です。
 TPPは米帝国主義を先頭とする国家と資本家どもの延命をかけた争闘戦とブロック化の絶望的な政策であり、農業や漁業や医療を壊滅させるだけでなく、労働者の生存そのものを最後的に破壊する大攻撃です。TPPは粉砕あるのみです。
 TPPを粉砕する力は労働者と農民の団結です。三里塚を先頭とした農民の総反乱です。そして何よりも労働者国際連帯の闘いです。TPP絶対反対で労働者の国際的団結をつくりだし、腐りきった最末期帝国主義を根底から打ち倒し、労働者が真の主人公となる新しい社会をつくりだしましょう。

 福島原発での停電事故徹底弾劾する

 3月決戦をはじめすべての闘いが極右・改憲・超反動の安倍政権と非和解で激突し、安倍政権打倒に向かって闘われています。
 3・11反原発福島行動は、安倍政権による福島圧殺攻撃を打ち破り、原発再稼働阻止・全原発廃炉に向けた歴史的な闘いとして画期的な大成功でした。日本全国だけでなく韓国・アメリカ・ドイツなど全世界から多数の熱烈な連帯メッセージが寄せられ、反原発・反核の国際連帯行動として闘われました。
 福島第一原発では3月18日、使用済み核燃料プールなどで原因不明の停電事故が起き、あわやという深刻な事態に立ち至りました。このことが示すように福島原発事故は収束どころか、いつ何が起こるかわからない危機的状況が続いています。原発は人間の力と技術でコントロールなどできないのです。
 しかし安倍政権は原発再稼働を表明し、経済産業省前の「脱原発テント」をも撤去しようとしています。原発推進・再稼働と輸出に突き進む安倍政権と徹底対決し、反原発闘争をさらに発展させましょう。そのためにも全国にNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)をつくりましょう。
 安倍政権は、名護市辺野古への新基地建設を日米首脳会談で確認し、オスプレイの配備と飛行訓練を行い、4月28日には「主権回復の日」と称した式典を開こうとしています。沖縄闘争が安倍政権と真っ向から激突し、日米安保体制を粉砕し、日本帝国主義を打倒する闘いへと発展するのは不可避です。沖縄の根底的な怒りと一体となって、4・28闘争と5・1メーデーから5・15沖縄闘争に立ち上がりましょう。
 星野文昭同志の奪還に向けて、全証拠開示の大署名運動を取り組みましょう。国家暴力による農地強奪を絶対に許さず、市東さんの農地を守るために、3・24現地大闘争に続き3・27農地裁判最終弁論と千葉地裁包囲デモに決起しましょう。さらに3・29法大暴処法弾圧第1回控訴審闘争に結集し、一審に続き無罪判決をかちとろうではありませんか。
 3月決戦と今春闘に立ち上がった青年労働者は、闘って勝利するための団結と組織を心から求めています。闘う労働組合と労働者の党を青年労働者の団結組織としてつくりましょう。闘う青年労働者は革共同に結集し、プロレタリア世界革命に勝利するためにともに団結して闘おう!
(写真 動労水戸、3波の春闘スト貫徹 第3波ストに決起し勝田車両センターで抗議行動に立つ組合員。「外注化を粉砕するまで闘い抜く」と宣言した【3月14日 ひたちなか市】=記事2面)

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週刊『前進』(2577号1面2)(2013/03/25 )

 動労千葉 外注化粉砕の第2ラウンドへ

 3・14〜17 総力で第2波ストに立つ

 動労千葉は春闘第2波ストライキを敢然と打ち抜いた。3月14日から17日にかけて検修職場の全組合員、全本線運転士と営業職場の組合員が連続的にストに入った。全組合員が一丸となった渾身(こんしん)のストで反撃に立ち上がったのだ。
 14日午後6時から総決起集会が千葉市民会館地下ホールで開かれた。310人が結集し、熱気あふれる集会となった。

 熱気の決起集会

 田中康宏委員長は、「13春闘について自動車などでの『満額回答』の記事が躍っているが怒りに堪えない。全部ベアゼロではないか。目の前で起きていることは雇用と賃金の全面破壊だ。すべてがウソ、偽りだ」と怒りをあらわにした。そして「安倍政権の成長戦略は『公務員制度改革』『雇用の流動化』だ。労働者の賃金を削ることが成長戦略になっている。この現実に本当に立ち向かわなければならない」と13春闘情勢の核心点を鋭く突きだした。そして13春闘の課題として、@検修・構内業務の外注化粉砕、A久留里線ワンマン運転導入反対、Bとりわけ貨物会社を焦点とした賃金抑制打破の3点を強調した。
 幕張支部の山田護支部長は「3・1第1波ストライキは大成功した。違法企業である千葉鉄道サービス(CTS)は業務受託などできない。JRとCTSの管理者は動労千葉の闘いに注目し恐れている。外注化を粉砕してJRに戻るまで闘う」と力強く宣言した。参加者は大きな拍手でともに闘う決意を示した。
 方針提起では長田敏之書記長が、今春闘の三つの課題を闘う中からなんとしても組織拡大を実現すること、さらに3・24三里塚現地闘争への総決起、動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の勝利に向けた10万筆署名の取り組みを強く訴えた。
 各支部からの発言が続いた。千葉機関区支部の斎藤隆男支部長は、貨物会社での13年連続ベアゼロ、徹底的な賃金抑制に強い怒りを示し、「JR貨物は国鉄分割・民営化の矛盾の集中点だ。運転保安上の矛盾も貨物に集中している。国鉄分割・民営化による構造的な矛盾は労働者の責任ではない。分割・民営化そのものが間違いであり大失敗に終わったということだ」と語った。青年部の組合員は「闘えば元気になれる。重要なのはストライキを出発点とした職場での闘いだ。ストをやり抜き、明るく元気に管理者と闘う」と発言し会場を沸かせた。
 16日午後には全支部からの総結集で木更津総行動が闘われた。

 木更津で総行動

 この日のダイヤ改定でJR東日本は、久留里線(木更津―上総亀山)のワンマン運転導入を強行した。JR木更津駅前に150人の組合員と支援が集まり、駅頭でのビラまきとアピール、さらに木更津運輸区門前での抗議行動を行った。
 木更津支部の山中茂男支部長は、現場労働者の切実な訴えをまったく聞こうともせずワンマン化を強行したJR東日本に激しい怒りをぶつけた。さらに久留里線の運転を担当する組合員全員が次々と発言した。「ワンマン化が安全無視なことははっきりしている」「会社はなぜこうまでワンマン化を急ぐのか」「『やってみなくちゃ分からない』なんて運転はできない」。一言一言が重い。門前の管理者たちは下を向きっぱなしだ。
 田中委員長も「金もうけのためなら地方も安全も切り捨てていいのか」と当局を弾劾した。そして「第2波ストは新たな闘いの第一歩として成功をかちとった。今日から鉄道の外注化、ワンマン化を粉砕する新しい闘いが始まる」と組合員に奮起を訴えた。参加者は再度シュプレヒコールを上げ抗議行動を終えた。
 昨年10月以降の動労千葉、動労水戸―動労総連合の闘いは、新自由主義の根幹をなす外注化・非正規職化攻撃を、職場からの具体的な闘いを創造し打ち破っていく重要かつ苦闘に満ちた過程だった。動労千葉、動労水戸の13春闘ストはその到達点であり、外注体制粉砕までやむことのない闘いへの決定的な出発点を打ち立てた歴史的なストライキとなった。

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週刊『前進』(2577号1面3)(2013/03/25 )

前進速報版から 前進速報版から

▼3・7三里塚緊急現地闘争@movie▼全国各地で解雇撤回10万筆署名行動/広島県労組交流センター、動労千葉を支援する会・東海

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週刊『前進』(2577号1面5)(2013/03/25 )

【要項】3・27農地裁判・千葉地裁包囲闘争

 3・27農地裁判・千葉地裁包囲闘争
 3月27日(水)
 午前10時 千葉市中央公園で集会・デモ
 午後1時30分 市東さん行政訴訟・農地法裁判開廷
 (最終弁論) 千葉地裁

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週刊『前進』(2577号2面1)(2013/03/25 )

 動労水戸 強制出向者を先頭にスト

 “外注化粉砕まで闘い抜く”

 動労水戸は3月14日、外注化粉砕・春闘勝利を掲げて全勤務者の一斉ストライキを貫徹した。3月6日、12日のストに続く第3波ストだ。
 午後、勝田車両センター門前に続々と結集した組合員と支援者は、居並ぶJR水戸支社と水戸鉄道サービス(MTS)の管理者に対し怒りの抗議行動を貫徹した。
 冒頭、石井真一委員長は「JR東日本の春闘回答はベアゼロ・定昇維持のみ。3月16日のダイヤ改定を巡ってMTSは『労働条件の変更は組合には提案しない』と開き直っている。違法企業への強制出向を許さず裁判闘争と一体で職場闘争を闘い抜こう」と訴えた。
 MTSに強制出向させられている組合員は「会社は場当たり的に『業務指示』で青年にスト破りを強制しているが、そんなものに正当性はない。MTSでもストはできる。あきらめずに一緒に闘おう」「JRはうそつきだ。だまされてはいけない。『労働条件は変わらないよ』と言っておいて、外注化されてみれば休日は減らされ手当もなくなり、出向者は『駐車場も自分で借りろ』となった。『3年後には出向から戻れるから』と言っていたにもかかわらず、別のところでは『この出向は帰って来られないから』と平然と言ってのける。MTSの社長が職場に来て、『ここに来たんだから楽しくやろうよ』と言っていた。冗談じゃない」と激しくJRとMTSを弾劾し、職場の労働者に熱く呼びかけた。
 最後に辻川慎一副委員長が「外注化とは非正規職化と解雇自由の攻撃であると同時に、労働者の生命と鉄道の安全に対する責任放棄だ。原発事故を起こした東京電力と、外注化を進めるJR資本は無責任という点で同等だ。会社はスト破りのために『業務指示』を乱発しているが、会社の命令が不当なら労働組合として闘うのは当たり前だ。外注化を粉砕するまで闘い抜く」と訴えた。
 組合員はその後、水戸市内に移動し春闘総決起集会を開催した。
 石井委員長が10・1外注化以降の闘いを全面的に総括し、安倍政権と労働者階級の闘いが非和解的に進んでいると述べ、「大恐慌情勢と切り結び闘う労働運動の復権をかちとるために外注化決戦を闘おう」と訴えた。
 職場からの報告を受けての討論の後、辻川副委員長が「3月の3波のストは目に見える形で会社を追いつめている。会社の指示・命令そのものの正当性を争う闘いは確実に労働運動の新たな段階を切り開いている。今や勝田車両センターの第1組合はわれわれだ」と組合員を鼓舞激励した。
(写真 総決起集会後、JR水戸支社に怒りの抗議。発言者は石井委員長【3月14日 水戸市】)

 被曝車両運用の通告に抗議

 集会後、組合員はJR水戸支社前に移動し、怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
 JR水戸支社は14日、福島第一原発事故から半年間も広野駅に放置され、動労水戸などの反対で1年半近く運用から外されてきた車両(K544編成)について、「運用に向けて交番検査を行う」と一方的に通告してきた。運用の必要性についての説明は一切ない。
 動労水戸は、検修や清掃の労働者、乗務員・駅員・利用者に被曝を強制するJR資本の施策に強く抗議し、「徹底的に闘う」と宣言して新たな闘いに入った。

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週刊『前進』(2577号2面2)(2013/03/25 )

 動労西日本 広島地区でスト貫徹

 印刷事業所・五日市駅拠点に

 動労西日本は3月15日、広島地区で広島印刷事業所とJR五日市駅を拠点に13春闘ストライキに立ちあがりました。
 広島市のJR広島支社前、JR五日市駅北口で結集した組合員と支援を前に山田和広書記長は次のように訴えました。
 「外注化・非正規化は労働者・労働組合が誰一人として声を上げない、闘わないことを前提にして成立している。一つひとつの闘いは直接的な勝利がなくても、たった一人から始まる小さなものであったとしても、資本の支配を根幹からひっくり返す力がある。13春闘について自動車などでの『満額回答』の記事が躍っているが全部ベアゼロじゃないか。目の前で起きていることは雇用と賃金の全面破壊だ」と怒りをあらわにし、「JRを先頭に青年が『外注化阻止! 非正規職撤廃! 解雇撤回!』の路線で闘いの先頭に立とう。動労西日本は、1047名闘争とともに、外注化阻止・契約社員制度廃止・雇い止め解雇撤回に向けて闘う決意だ」
 JR五日市駅北口でのスト突入集会では、大江照己委員長が「本日のストライキは社会をつくりかえる闘いだ。動労千葉・動労水戸の仲間とともに13春闘を闘おう!」と訴えました。岡崎昭夫組合員はストに決起した思いを語り、赤松賢一副委員長は3・25大阪レールテックでストに立つ決意を表明しました。
 広島連帯ユニオン草津病院支部、広島の自治体労働者、高陽第一診療所労組、岡山大学の学生が連帯あいさつを行い、スト突入集会は地域の労働者の団結を固め拡大するものとなりました。

 グループ会社含む組織化へ

 3・15動労西日本広島ストは、動労千葉・動労水戸のストと固く団結して闘われました。
 動労西日本は、1月の定期大会で青年部と近畿支部準備会を発足させました。青年を中心とする新体制を確立し、青年労働者が使い捨てにされている現状を変えるために真っ向から資本と対決できる組合をつくっていこうとしています。
 また、1月の定期大会で組合に加入できる範囲をJR西日本・JR貨物だけでなく、JR四国、JR東海、JR九州に拡大し、JR関連のグループ企業・外注会社の労働者を全部組織していく方針を確立しました。
 動労西日本青年部3人は、それぞれが資本との闘いのただ中にいます。「解雇撤回! 契約社員制度撤廃」の闘い、外注化阻止を掲げての出向先の外注会社での闘い、そして尼崎事故に起因する労災追及闘争(これ自身が尼崎事故の責任を明らかにさせる闘い)です。
 動労西日本の13春闘ストを突破口に、動労千葉鉄建公団訴訟控訴審での解雇撤回・JR復帰の判決を求める10万筆署名を達成し、5・1メーデーから6・9全国集会の歴史的成功をかちとろう!
 (広島/魚住徹)
(写真 〈上〉大江委員長がスト突入を宣言【3月15日 JR五日市駅北口】〈下〉岡崎組合員が決意を表明【JR広島支社前】)

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週刊『前進』(2577号2面3)(2013/03/25 )

 10万筆署名運動推進を

 全国で統一街宣行動に立つ

 動労千葉鉄建公団訴訟控訴審での解雇撤回・JR復帰判決を求める10万筆署名の達成に向けて、初めての全国一斉街宣が行われた。
 「予想以上の手応え」「またやりましょう」という参加者の声が寄せられ、闘いを求める青年との出会いもあちこちで起きている。各地の闘いの様子を紹介します。
●新宿駅南口
 14日には東京労組交流センターが中心となりJR東日本本社がある新宿駅南口で署名活動が行われた。JAL解雇撤回闘争の当該の方。「昔、職場で物資販売に取り組んだわ」という元教育労働者の女性。大失業攻撃の中で苦闘する就活中の学生など若者が署名に応じる姿も目立った。5千円のカンパを寄せてくれる女性も現れた。
●千葉
 千葉では16日、国鉄闘争全国運動呼びかけ人の山本弘行さんを先頭に千葉駅前で署名活動が行われた。国鉄闘争をよく知る年輩の人や、解雇撤回に共感する若者などから大きな反響があった。
●広島
 広島では16日、この日行われた「ひろしま労働学校」終了後、20人の労働者・学生が広島市中心部の八丁堀交差点に繰り出した。
 宣伝を開始すると街の雰囲気は一変。国鉄闘争を知る世代も、国鉄分割・民営化を知らない若い世代も署名し、1時間で70筆以上が集まった。
 みな闘いを求めている。国鉄闘争の火はこれから燃え上がる。10万人署名運動には国鉄闘争をもう一度日本の労働運動の中心に押し上げ、階級的労働運動をつくり出していく力がある。このことを全員が確信した。
●徳島
 徳島では17日に、国鉄闘争全国運動・徳島が駅前で街頭宣伝、署名、ビラまきを行った。労組回りも行われている。
 解雇撤回闘争26年の話をしたところ、パンフの写真を見ていた25歳の臨時職員の青年からは「こういう労働組合に参加するには年齢制限とかあるんでしょうか」との質問。労働組合は30代以上がするものと思っていたようだ。大歓迎の意を伝えて署名してもらった。
●愛知
 動労千葉を支援する会・東海は、全国一斉3月行動として3月12日を皮切りに17日まで連続して街頭署名に取り組んだ。12日はJR東海名古屋車両工場前、15日には名古屋事業本部前、17日には名古屋駅東口のトヨタミッドランドビルの目の前で署名を呼びかけた。署名板の前に並ぶ人も出てくるほどで、JRで働いている労働者の家族や、「解雇は許せない」という青年労働者からも署名が寄せられた。
●新潟
 新潟でも16日、動労千葉を支援する会・新潟が中心となって署名街宣が行われた。
 参加者が感じたことは予想以上に1047名解雇撤回の訴えは届いたことだ。『首切り自由を許さない』という事務局がつくったリーフは苦闘する若者にも受け入れられる内容となっている。1時間余りで55筆、カンパも集まり、「またやりましょう」との提案が上がった。3月中旬以降、労組オルグも開始されている。動労千葉の外注化阻止の闘いに共感の声がいくつも上がっている。
(写真上 JR新宿駅南口【3月14日】)
(写真下 広島市八丁堀交差点【3月16日】)
●4月末に集約
 次回5月8日の第3回口頭弁論の前に署名提出行動が行われる。そのため第2次署名集約日が4月30日に設定された。インターネット上で署名ができる「ネット署名」も始まった。残り1カ月余り、職場・地域で全力で署名を集めよう。

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週刊『前進』(2577号2面4)(2013/03/25 )

 国鉄百万支援陣形を実感

 1千筆集めたTさんのアピール

 外注化・非正規雇用化反対の闘いをあらゆる産別・地域で発展させる時が来ました。
 その決定的な武器は、動労千葉鉄建公団訴訟の「解雇撤回」署名です。「1047名解雇撤回・JR復帰」は、国鉄闘争全国運動の原点です。(中略)
 私は駅頭でずっと署名をやってきましたが、まずやることが重要です。もうやっていると思いますが、やれば「手応え」は感じると思います。
 私は「今日は、国鉄1047名解雇撤回、JRになるときのクビ切り問題、解雇撤回の署名をお願いします」をひたすらくり返しています。それだけで駆け寄って来る人、「長いですね」「まだやっているんですか」など反応はいろいろですが、国鉄闘争支援の百万人陣形の大きさを毎回、実感しています。とにかく実行あるのみです。
 検修や保線など現業庁舎のある駅でもやりますが、JRの職員が組合を問わず署名に応じてくれます。ビラまきにはいつも署名板を持って行くことです。粘り強く、意識的に取り組もう。物販で回る時にも署名をお願いしてきましたが、5・8結審情勢を打ち砕くべく、前倒しで署名での組合回りを計画しよう。
 職場への持ち込みこそ最大のカギです。雇い止め情勢と対決し、職場ビラなどと一体化しながら、仲間と議論し思い切って持ち込もう。
 敵の狙いは5・8結審です。これを打ち破るのは「葛西を証人に」の内容のこもった10万人署名の達成です。必死で取り組めば可能です。頑張りましょう。
 (国鉄闘争全国運動『全国運動速報』17号から転載しました)

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週刊『前進』(2577号2面5)(2013/03/25 )

 外注化阻止闘争13年の地平

 動労千葉に続き、あらゆる職場で反合・運転保安闘争を実践しよう

 動労千葉は、昨年10月1日の検修外注化強行という現実と対決し、無数の職場討議を重ねて3月ストを打ち抜いた。厳しい分断を打ち破り、反合理化・運転保安闘争で外注化を粉砕する新たな闘いの扉を力強く押し開いた。それは、雇用破壊・賃金破壊の攻撃に怒りを燃やす多くの労働者に展望と勇気を与えている。その土台は2000年以降の外注化阻止闘争の地平だ。反合・運転保安闘争路線を武器にあらゆる職場から具体的闘いを起こそう。そのためにも、反合・運転保安闘争の視点からあらためて動労千葉の外注化阻止闘争をとらえ返し、学びたい。

 青年の反乱を生んだ00年以来の現場攻防

 足かけ13年にわたる動労千葉の外注化阻止闘争は、JR東日本全社を揺るがし会社をぎりぎりまで追いつめた。2011年にはJR東労組京葉車両センター分会が外注化反対の分会決議を上げるという事態にまで発展した。“京葉の反乱”は、水戸支社の勝田車両センターを始め東京・横浜・高崎などJR東日本全社に拡大した。国鉄分割・民営化以来なかったJR総連傘下からの公然たる反乱だ。この力関係は今も情勢を根底で規定しており、JR東日本資本を締め上げ続けている。
 その震源となったのは動労千葉幕張支部の職場闘争だ。その地平が凝縮されているシニア制度(再雇用機会提供制度)反対闘争と06年幕張構内事故闘争の展開はどのようなものだったのか。

 職場実力闘争で要員削減を阻止

 01年4月に始まったシニア制度は、労働組合が業務外注化を受け入れることと抱き合わせになっており、シニア協定を締結した労組の組合員でなければ再雇用の機会は提供しないという卑劣きわまりないものだった。しかもこれは、02年4月から始まった新保全体系合理化(車両検査体制の抜本的改悪)と表裏一体だった。最大の戦場は幕張車両センターだ。本部と支部が一体となって退職予定者へのオルグを必死で続ける一方、幕張支部は反合理化の職場実力闘争に立ち上がる。
 新保全体系は、検査周期延伸で安全を根底から崩壊させるとともに、人員をとことん削減する徹底的な労働強化だった。
 これに対して幕張支部は非協力闘争に突入する。『俺たちは鉄路に生きる3』(労働者学習センター刊、以下『俺鉄3』)に当時の様子が書かれている。「(要員を減らそうとする会社に対して)俺たちは『それでは仕事が回らない』と言って、絶対に手抜きをせずに仕事を遅らせたりした。そういう反合理化闘争は、やる気があればやれることはいっぱいある」「当局の監視が来たけど、それでも『15時までに終わらせろ』という仕事を17時までかかってやった」「しっかり仕事をするということが実力闘争なんだよね。要員を削減できなくしちゃうから」。検修職場での順法闘争だ。
 定時に仕事が終わらないから会社は下請け会社に仕事を回せない。それどころか動労千葉は「検査要員を3・5人に削減する」という会社の計画を、何度も作業ダイヤを書き変えさせ逆に7人に増やさせたりした。
 同時に、シニア制度導入を巡って職場は大もめになり、この闘いを通して外注化要員が下請け会社に行くことを止めたから、当局は外注化を進められなくなった。さらに、外注化を止めた結果として検修職場で要員が足りなくなり、駅への強制配転者を原職に戻させることもできた。
 この闘いの最中に、平成採の青年労働者が「すごいですね」と首を突っ込んできた。これが動労千葉と平成採のなれそめであり、青年の反乱の歴史的第一歩だった。幕張支部の山田護支部長は「仕事は絶対に手を抜かない。手を抜かなければ遅れるんだよ。……平成採に仕事を教えるのは俺たちだから、きっちりと仕事を教えると、平成採も一緒になって遅れを出すようになる。そこが狙いだ」と語っている(『俺鉄3』)。
 合理化は搾取の強化だけでなく、現実の労働、その熟練と技術の体系性をズタズタにし、現場の労働にゆがみや非和解的矛盾を生み出していく。「こんなことをやってたらは絶対に事故になる」――動労千葉は「合理化反対」のスローガンを唱えるだけでなく、現場で発生する矛盾に労働の遂行自体を巡って闘うことで労働者の誇りと団結を守り、当局との力関係を変えていった。

 安全規定守らぬ当局の責任追及

 06年4月の幕張車両センター構内脱線事故での、当該運転士への処分粉砕闘争においても、仕事の遂行それ自体を巡る職場闘争が展開された。
 武器になったのは、そもそもは当局が決めた「1通告・1作業」という安全規定だった。当局は、きっちり仕事をしたら要員が減らせなくなるから基本どおりに遂行されていないことを承知で放置してきた。しかも、助役はろくに現場に来ないから「1通告・1作業」という作業ダイヤをまともに指示することもできなかった。幕張支部は会社に代わって「1通告・1作業」という作業ダイヤを徹底的に実行し、車両センターでの労働過程を組合が完全に支配する事態が生起した。また、事故が起こった現場へのATS(自動列車停止装置)設置要求を、当局が握りつぶしていたことも組合の調査で判明した。最終的には当局に「管理側に問題がありました」と言わせ、当該への解雇処分を阻止した。

 自分の仕事に対する誇りと労働者の団結

 故中野洋動労千葉前委員長は「自分の仕事に誇りを持てない労働者は団結もできない」とよく言っていた。著書『甦る労働組合』で一番言いたかったことは「労働者の誇り」だとも語っていた。「搾取されていても疎外労働でも、やっぱり社会を動かしているのは労働者なんだ」と。
 幕張支部の組合員も「仕事はきっちりやる。これが組合運動の基本。幕張でやっている検修は、間違いなく東日本で一番いい仕事をしていると自信がある。そうだからこそ当局に対してもばんばん言えるんだよ」(『俺鉄3』)と語っている。きっちり仕事をし、きっちり安全や権利を守り、誇りと団結を守る。これが動労千葉の団結の根幹をなしている。
 中野前委員長はこうも言っている。「労資関係というのは力関係だ。力関係には、もちろん数の問題がある。だけどそれだけじゃない。政治的な能力、その他さまざまな能力の問題がある。そういうレベルで、やはり動労千葉は当局をまだ圧倒している」(機関誌『動労千葉』29号)。

 全職場労働者がやれる闘い設定

 また、中野前委員長は「俺は絶えず全組合員、全職場労働者がやれる闘いを設定してやってきた。要は全職場労働者を巻き込んだ闘いをつくり出していくことがかぎなんだ」といつも語っていた。その伝統は幕張支部の闘いに脈々と貫かれている。
 例えば、幕張支部は「JR20周年」エンブレム着用強制に対して全員で着けたり外したりして団結力を当局に見せつけた。「組合員には『これを外したからと言って何になるのか』と言う人もいる。逆に『こんなもの着けられるか』と言う人もいる。だけど、一人ひとりが勝手に着けたり外したりしていたら会社は痛くない。処分するだけだから。そうじゃなくて全員で一斉に着けたり外したりすることが一番痛い」(『俺鉄3』)。職場の全労働者がやれる闘いを日々積み重ねて力関係をつくっていった。

 労働者のエネルギー解き放って闘う路線

 反合・運転保安闘争で最も大事なことは、革命的階級である労働者階級が持つ力への絶対的な信頼、確信だ。
 中野前委員長は、反合・運転保安闘争の原点である72年船橋事故闘争について「船橋事故闘争の最終局面は、動労千葉地本の組合員も国労の組合員も千葉の全国鉄労働者が起ち上がった。あの時、当局や組合執行部の言うことなんか誰も聞いていなかった。みんな中野洋がどんな指令を出すのかを固唾(かたず)をのんで待っていた。労働者が本当に決起する時というのは、資本の支配も党派の統制も吹っ飛ばして起ち上がっていく。この労働者の闘いの息吹をわが身で経験しないと、いくら反合・運転保安闘争と理屈で言ったって本当の反合・運転保安闘争なんて理解できない」と語っている。労働者階級と労働組合の持つ無限のエネルギー、可能性を解き放つ――それが反合・運転保安闘争だ。
 労働者は、労働組合に組織されてこそ革命的階級、労働者階級たり得る。党の最重要の任務は、労働組合の建設・再生に責任を取り切ることにある。その時、労働者階級は党の予想をはるかに超えて決起していく。だからこそ党は、緊密に労働者階級と結び付き、革命の主体そのものである労働組合と限りなく一体的なものとして建設されていくことが不可欠なのだ。『甦る労働組合』第1部は「労働者が自分の能力に目覚め、『俺だってこういうことができるんだ』という自覚ができた時に、その運動は進む。そういう労働者を無数に輩出する以外に階級的労働運動は成り立たないし、革命も実現しない」と結ばれている。
 動労千葉の反合・運転保安闘争は中野洋という指導者を育て上げた。動労千葉の古参組合員はそろって言う。「中野洋という指導者は俺たちが育てたんだ」と。人を育て、階級と党をも育てる。反合・運転保安闘争には、そんな無限の可能性が秘められている。
 JR職場へのビラ入れをさらに強力に展開しよう。10万筆署名運動と動労千葉物販を水路にJR総連内部からの青年労働者の総反乱を組織しよう。何よりも、全産別のあらゆる職場で反合・運転保安闘争の実践に挑戦しよう。
 (菅沼光弘)

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週刊『前進』(2577号3面1)(2013/03/25 )

 米ILWUと連帯行動

 動労千葉と交流センター ロックアウトやめろ!

 三井物産本店に抗議

 3月15日、動労千葉と全国労組交流センターは、東京・大手町にある三井物産本店への抗議行動に立ち上がった。三井物産の子会社のユナイテッド・グレイン社(UGC)がバンクーバーで米ILWU(国際港湾倉庫労組)の港湾労働者に対して行っているロックアウトに対する怒りの抗議行動である。
(写真 三井物産本店前で「労組破壊をやめろ! ストップTPP!」と訴え【3月15日 東京・大手町】)

 TPP参加に国際連帯で反撃

 ILWU組合員は今、TPP(環太平洋経済連携協定)参加を前にした激しい組合破壊攻撃、労働者に恐るべき屈服を強制しようとする新労働協約に反対して、巨大穀物資本と激突して闘っている。
 UGCは数カ月前からスト破り要員を雇って準備を整えた上で、バンクーバー港のILWU組合員が機械の破損などの「破壊行為」を行ったとデッチあげて、2月27日以降、同港で働くILWUの全組合員をロックアウトしている。米西海岸の港湾労働者は、この暴挙に激しい怒りを燃やしている。
 動労千葉が呼びかけた3月15日の三井物産本店抗議行動は、ILWU組合員との歴史的な国際連帯の闘いとなった。この行動に対して、西海岸最大の穀物輸出を行うポートランドのILWUローカル8(第8支部)が賛同を表明した。サンフランシスコではILWU組合員や市内の交通労働者などが参加する「運輸労働者連帯委員会」が、同日に太平洋海事協会本部前で抗議行動に立ち上がった。
 この日、動労千葉と全国労組交流センターは、昼食休憩時間を前にして、三井物産本店正門前に登場した。
 「三井は労組破壊をやめろ! ストップTPP!」と書いた横断幕や「三井=死の商人/兵器、ウラン、医薬品、食糧……TPP」というメッセージボードなどを掲げて抗議の訴えを行い、ビラを配り、三井物産ビルから昼食に出てくる労働者や付近の労働者に訴えた。
 同時に、代表団が抗議申し入れのために三井物産ビルの敷地内に入ると、ただちに守衛が飛び出してきて、受付に向かうのを阻もうとした。代表団がひるまずに抗議を続けると、その勢いに困惑した三井物産側は、穀物事業部部長補佐と部員1人を対応に当たらせ、会議室で代表団と話し合うことを認めた。

 抗議文を手渡し回答約束させる

 会議室で代表団は、UGC社がバンクーバー港で雇用しているILWUローカル4(第4支部)組合員全員を不当にロックアウトしていることを厳しく追及した。これに対して三井側は「UGC社は三井の子会社だが、日常的業務についてはすべて任せている。自分たちはロックアウトを行うことを指示する立場にはない」などと責任を回避してのらりくらりと逃げ回ろうとする。
 代表団が「職場で働く労働者を全員ロックアウトして生活を破壊することが日常的な問題なのか。命にかかわる問題だ!」と厳しく迫ると、三井側は沈黙せざるを得なくなった。
 約30分間にわたる抗議申し入れ行動で、三井物産側に抗議文を手渡すとともに、これに対する回答書を3月22日までに動労千葉に送ること、バンクーバーのUGC社に動労千葉と労組交流センターの要求項目を伝えることを約束させた。
 代表団はその後、正門前で報告集会を行い、日本語と英語でシュプレヒコールを上げて、意気高く抗議行動を終えた。
 この国際連帯闘争を通じて、動労千葉とILWUの現場労働者の連帯はさらに強化された。また労働者・農民殺しのTPPの実態を暴き、国際連帯の力で反撃する突破口が切り開かれた。

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週刊『前進』(2577号3面2)(2013/03/25 )

 国労組合員資格訴訟 居直る本部を徹底追及

 歴史の歪曲と転向に怒り

 国労組合員資格確認訴訟の第7回口頭弁論が3月13日、東京地裁民事第11部(団藤丈士裁判長)で開かれた。裁判長の交代に伴う弁論更新手続きが行われ、原告代理人が意見を述べた。
 国労本部は、国鉄1047名解雇撤回闘争の終結を宣言するとともに、被解雇者の闘争団員から組合員の資格を奪った。この国労本部を相手に、2010年の4・9政治和解を拒否して解雇撤回闘争を闘いぬく4人の闘争団員が、組合員資格の回復を求めて起こしたのが、この裁判だ。
 この日の弁論に先立ち、被告の国労本部は闘争団からの組合員資格剥奪(はくだつ)を全面的に居直る書面を出してきた。そこで本部側は、@「(国労は)企業別組合であり、組織対象企業に雇用される労働者をもって組合員とするということは、組合規約自体に明文の規定はないが、国鉄時代から現在に至るまで、一貫して基本的に変わらない」、A「解雇等に対して雇用関係の存否を争っている場合も、係争の結果として雇用関係の不存在ないし終了が確定すれば、組合員資格も当然に失われる」、B「JRへの雇用可能性が失われたとしてJR不採用問題にかかわる闘争を終結するとの判断を行うことも、団結自治に基づく組合の方針決定に属することであり、違法となるものではない」――などと述べている。
 法廷で原告代理人弁護士はこれを徹底的に批判した。「雇用関係が前提というのは、労働組合のあり方として間違っている。国労は激しい闘いの中で『組合員資格は雇用関係の存在が前提』という枠を打ち破り、『組合員名簿に登録された者を組合員』とすることで被解雇者を守ってきた。被告の主張は歴史を改竄(かいざん)するものだ」と本部側に迫った。
 また、「組合員資格剥奪は国労本部がJRの労務政策の協力・加担者に転落する節目としてあった」と喝破し、就業規則をそのまま協約にした総合労働協約を結ぶことで協約締結権さえ放棄した国労本部の裏切りと転向を突き出した。そして、グリーンスタッフ(契約社員)の雇い止めとも闘わない存在になり果てた国労本部を怒りを込めて弾劾した。
 前回12月の裁判で、前任の白石哲裁判長は本部側に「組合員名簿から原告の名前は抹消されているのか否か」の釈明を求めていた。ところが本部側はそれに一切答えていない。こんな基本的な事実さえ隠そうとする態度は明らかに不自然だ。原告代理人は「何か不都合な事実があるのか」と本部側に詰め寄った。それでも本部側は沈黙を決め込んだ。
 裁判に先立ち、原告を先頭に「共に闘う国労の会」は裁判所前での宣伝行動を貫徹。国労本部を打倒して1047名解雇撤回闘争を貫徹し、現場からの闘いでJRの外注化攻撃を粉砕する不屈の意思を示した。動労千葉鉄建公団訴訟での解雇撤回・JR復帰判決を求める署名活動も行われ、1047名闘争が今も継続している事実を知って感動し、その場で裁判傍聴に合流した人もいた。
(写真 原告の小玉忠憲さん、羽廣憲さんを先頭に東京地裁前で1047名解雇撤回を訴えた【3月13日】)

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週刊『前進』(2577号3面3)(2013/03/25 )

 郵政非正規ユニオン 井上多摩局課長の陳述を弾劾

 都労委闘争で組合の力示す

 3月14日午後1時30分から都庁において郵政非正規ユニオンの第4回東京都労働委員会が行われ、支援共闘労組の多くの仲間が審問室を埋め尽くしました。
 今回は元東京多摩局ゆうパック課総括課長の井上真二(現在、新東京局普通第一郵便課長)に対する審問が行われ、井上は次々と卑劣な陳述をしました。井上こそ郵政非正規ユニオン委員長の私・齋藤裕介以下四役と全組合員を不当に解雇した、事実上の郵政非正規ユニオンへの殲滅(せんめつ)戦の指揮官です。
 井上は、2011年2月に行った私への雇い止め通知について、「雇用が1年を超えると雇い止めは大変なので、1年未満で切っておいた方が無難」「齋藤君はまだ若いから雇い止めの対象とした」と語りました。許せない言い分です!
 2010年7月のJPEX統合時の広告には「長期スタッフ大募集」とあり、面接担当官も「3年働けば正規社員になれます」と言って入社させました。にもかかわらず会社は、「経営難であればスリム化するのは当然。統合当初よりも取り扱い物数が減ったので余剰労働力となって負担する人件費が増えた」として、雇い止め通知をしたのです。
 さらに、その後に雇い止めを撤回した最大の理由が、11年3月に全国労組交流センター全逓部会が作成した「お通知」(雇い止め予告通知撤回要求書)であるにもかかわらず、井上は「まったく継続雇用には関係ない」と言いました。
 また当時、私と井上の話の中で「協力者は内にも外にもいる」と私が語ったことに驚愕(きょうがく)した事実を隠し、「雑談程度の中で出た会話」で雇い止め撤回とはまったく無関係、と言い切りました。「あくまで人員に穴が空いたので雇い止めを撤回したのだ」と強弁したのです。
 郵政資本はこの半年後の11年9月末をもって私を雇い止めしました。絶対に許せません。
 この間の郵政資本との闘争で明らかになったことは、”非正規は人間でなく労働力商品=物扱い”であり、”無駄な荷物は廃棄して当然”という、非正規労働者を人間扱いしない資本の本音です。非正規労働者には人権はなく、その生活や苦しみは経営陣や職制にとっては「非正規のバイトのクズども!」(大工原重良・元東京多摩局ゆうパック担当課長)なのだろう。
 闘いの目的や打倒すべき対象はより明確になりました。郵政非正規ユニオンの1千人組織建設は、これら”雲の上にいる”と勘違いしている者を打ち倒すための、労働者の希望となる組織としての建設でなければならない。闘う労働運動の歴史を受け継ぎ、さらに発展させ、青年の活力や希望があふれる「闘い、勝つ労働組合」の屹立(きつりつ)は待ったなしの急務だ。
 今回の労働委員会闘争で、現場での苦闘は労働委員会の場でも通用する、それは一個人ではなく団結した「労働組合」の力だと確信しました。
 (郵政非正規ユニオン委員長 齋藤裕介)
(写真 齋藤委員長が「青年の希望となる郵政非正規ユニオン1千人組織建設を」とアピール【3月14日 都労委】)

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週刊『前進』(2577号3面4)(2013/03/25 )

 闘いは進む 青年の職場から

 介護 初任給は「マイナス」。 闘う労組つくりたい

 関東 安藤伸明

 特別養護老人ホームで働いています。福祉を金もうけの手段に変えてしまった悪名高い介護保険制度が始まった年に設立された法人です。法人全体では7億円もの資本金を有しています。20人弱の介護職員がシフトを組んで約50人の利用者の介護にあたっています。
 多数の求人を出し、どんどん職員が辞めていく職場なので、私は面接で即採用が決まりました。試用期間は3カ月のはずなのに、最初の雇用契約は2週間。「2週間以内なら法的に使用者側の都合で自由に首を切れるから」と平然と施設長は言う。「できるだけ早く来て」と言われて働き始めたが、初任給は保険料を満額取られて、手取りがなんとマイナスに。給料日にお金を支払いに行くというスタートでした。
 介護職はまったく初めてなので大変な半面、楽しく働いています。新人いびりのようなものはありますが、持ち前の鈍感さで乗り切り、とにかく愚直に仕事を覚えているところです。
 一緒に働く労働者もさまざまです。利用者そっちのけでおしゃべりに興じる人や、食事介助の時にまるで単純作業のように利用者の口に詰め込む人、忙しい時に楽な仕事だけしている人、やたら職員や利用者にまで気をつかって場をなごませようとする人もいます。
 労働者の本音を聞けるのは昼休憩の時間。仲がいいとつい愚痴をこぼしたり、職員同士の人間関係の話や施設への不満も出てきます。夜勤ができるようにならなければ正社員にしないこと、どんどん人が辞めて現場が回っていないのに人員を増やさないこと、現場を知らない管理者が「業務改善委員会」などと労働強化を押し付けること、施設自体がそもそも介護しやすい構造になっていないこと、などなど。一番印象的だったのは看護師が持たされている携帯電話の待ち受け画面が理事長の写真であること。「公私混同も甚しい。速攻で消してやったわよ」と強気な看護師は笑う。
 労働者も黙って資本に従っているだけではない。職場のミーティングで強い口調で反撃することもある。仲間に被害が及ばないように、自分の個人的意見として主張する。そういう人に限って「こんな会社いつ辞めてもいい」と思っている。
 他方、新人いびりにあってる人は「仕事ができるようになり、私がいないと困るくらいになってから辞めてやる」と。その気持ちはとてもよくわかる。とても労働者らしいなと感じた。怒りが資本に向くか労働者に向くかはほんの紙一重です。
 こういう職場に組合をつくって、「辞めずに最後まで団結して闘おう」と言いたい。闘争になりそうな課題は山のようにあるが、その中から「これだ!」というものを探っています。まずはまじめに仕事に習熟して、人間関係をつくって、周りの職員から信頼を得ていこうと思います。

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週刊『前進』(2577号3面5)(2013/03/25 )

 JR外注化の先兵=東労組

 検修に続き駅業務で大裏切り

 受託子会社の設立を後押し

 動労千葉は3月1日の春闘第1波ストに続き、3月14〜17日までの第2波ストを貫徹し、検査・修繕部門の外注化や久留里線ワンマン運転の強行に怒りの反撃をたたきつけた。動労水戸も3月6、12、14日と連続してストに立った。
 他方、JR東労組カクマルは検修外注化の手先となったことに続き、駅業務の外注化をも率先推進することで延命を図ろうとしている。国労本部も同様だ。
 JR東日本は、東日本環境アクセスの駅業務事業部門を分割して新たに東日本ステーションサービスを設立し、4月1日から駅業務を委託しようとしている。これとの闘いが、階級闘争の決戦課題にせり上がった。
 JR東日本は、設立する新会社にエルダー社員700人、出向社員300人を配置し、プロパー社員と本社部門、新規採用者を併せて約1200人規模にする計画だ。雇い止めにされた契約社員(グリーンスタッフ)をさらに低賃金のプロパー社員として新会社で働かせることも、JRはもくろんでいる。
 2月27日、東労組との団交でJR東日本は、「業務の一部門としてではなく、駅業務に特化したマネジメント体制の確立」を目指すと述べ、新会社設立の目的が駅業務の全面外注化にあることを明らかにした。業務内容も駅業務(出改札、乗客室、遺失物センター)、駅業務に付随する業務(販売センター)など全営業部門に及ぶ。
 これに対して東労組は「駅業務に特化することでしっかりした体制を確立すべき」と答え、会社施策を後押しした。そればかりか「働きがいの持てる会社をJR東労組で創り出そう」(『業務部速報』41)と、外注化推進の先頭に立つことをあらためて表明した。

 契約社員導入に積極的加担

 12年1月11日、JR東日本は「駅業務委託のさらなる推進」と題する外注化施策を提示した。
 これは、07年4月1日から実施された「ニューフロンティア2008における今後の駅のあり方」を、内容、規模ともにさらに進めようというものだ。「今後の駅のあり方」は、首都圏5支社(東京、横浜、八王子、大宮、千葉)の360駅を対象に、大・中規模駅にはグリーンスタッフを大幅に配置し、小規模駅は委託会社に全面外注化するというものだった。
 その上に打ち出された「駅業務委託のさらなる推進」は、1日の乗降客2万人以下の比較的小規模駅だけを委託の対象としてきたこれまでの制限を取り払い、首都圏5支社では駅の規模にかかわらず外注化を進めるとした。また、地方7支社(高崎、水戸、長野、仙台、盛岡、秋田、新潟)でも駅業務の委託を例外なく実施するとした。JR東日本の全駅が外注化の対象とされたのだ。
 外注化された駅業務には、エルダー社員や出向社員のほか、委託会社で採用するプロパー社員も従事させるとしている。
 この外注化を、東労組は提案から1カ月にも満たない12年2月9日に単独妥結した。妥結に当たって東労組は、「高齢者雇用の場の確保」とか「グリーンスタッフをプロパー社員として採用することができた」などと得意げに語った。
 そもそも東労組は、「今後の駅のあり方」提案を「高齢者雇用の場が確保された」として06年8月11日に単独妥結し、07年からのグリーンスタッフ制度の導入に道を開いた。さらに東労組は、06年10月に提案された「ライフサイクルの深度化」(運転士の駅への強制配転)も率先推進した。12年1月には外注化攻撃を人事・体制的に補強する「新人事・賃金制度」についても妥結、同年6月には「グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進」を単独妥結して、検査・修繕部門の外注化を会社と一体となって強行した。

 駅ナカ会社に業務を丸投げ

 「駅業務委託のさらなる推進」を妥結した東労組は、直ちに「中央ラインモール構想」として進められている営業職場の大改編(=外注化)攻撃の推進に向かった。
 「中央ラインモール構想」は、08年にJR東日本が打ち出した「グループ経営ビジョン2020−挑む−」で提示され、三鷹〜立川駅間を連続立体交差(高架)にし、その高架下にショッピングセンターなどを開設するというものだ。
 その根幹には、00年にJR東日本が策定した「ニューフロンティア21」以来の「ステーションルネッサンス」という発想がある。駅の集客機能のみを重視し、「エキナカ」展開やターミナル駅の大規模開発を「生活サービス事業」と称してもうけようというのだ。「ニューフロンティア21」は、17年度までに運輸業以外の営業収益を全営業収益の4割まで引き上げる目標を示した。
 12年10月にJR東日本が打ち出した「グループ経営構想X」でも、大規模ターミナル駅開発、品川開発プロジェクトと並んで「中央ラインモール構想」が重要戦略として確認されている。そこでは、JR東日本が100%出資する中央ラインモール会社に駅業務を委託し、駅に入るショッピングセンターと駅業務を一括して管理することが打ち出されている。「駅機能」をJR本体から切り離し、全面外注化(=別会社化)することを狙っているのだ。
 東労組は12年3月6日、「中央ラインモール構想」などを検討する「営業職場の将来をつくりだすプロジェクト会議」を立ち上げた。同プロジェクト作成の職場討議資料「営業職場の将来像をつくりだそう」は、「JR本体に何が必要で、何を残していかなければならないか、全組合員で議論しなければなりません」などと、外注化前提の論議を組合員に強制している。東労組機関紙『緑の風』12年9月15日号は、「既に会社は『中央ラインモールプロジェクト』として、鉄道と生活サービス事業を融合した新たな駅づくりを展開しようとしています」「本部は、2012本部政策フォーラムで営業職場の未来を考え、JR東労組が考える『駅』を提言します」と、外注化の推進をあらためて確認している。
 12年12月21日、東労組は「組合員の雇用と生活を守り、営業職場の未来を切り拓(ひら)く」と称する申し入れを会社に出した。そこで東労組は、技術専任職を「営業のプロ」として職場に配置すること、新規採用は採用の段階で「乗務員コース」と「駅コース」に振り分けること、「駅コース」は「営業職コース」と「輸送職コース」に分けることなどを具体的に提案している。
 駅業務外注化の具体策をここまで踏み込んで提案した東労組カクマルの意図は、専門会社を設立し、そこに労働者を出向・転籍させることにある。東日本ステーションサービスの設立が完全に前提にされている。また、管理職として新たに、「サービスマネージャー」「フロアマネージャー」「安全マネージャー」などを配置することも求めている。

 現場には怒りが満ちている

 新人事・賃金制度の妥結にあたり東労組の吉川書記長は、「技術専任職は職場のプロづくりであり、職場のリーダーになる人だと思う。全系統に専任職の配置を求める必要がある。構内検修の外注化、駅のあり方などを含めて職場のプロの配置を求めて議論をつくり出す」(『緑の風』12年2月15日号)と語った。これは、設備部門、検修部門、営業部門など、最終的には鉄道業務のすべての部門で全面外注化を進めろという主張だ。
 青年労働者を先頭に、現場には東労組カクマルへの怒りが満ちている。東労組カクマルの反階級的裏切りを徹底弾劾し、労働者の広範な決起を引き出そう。反合理化・運転保安闘争路線をさらに創造的に発展させ、外注化阻止決戦の第2ラウンドを全力で闘い抜こう。
〔矢剣 智〕

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週刊『前進』(2577号4面1)(2013/03/25 )

 TPP交渉参加に反撃を

 労働者に合理化と賃下げ

 農・漁業や医療は崩壊へ

 争闘戦とブロック化政策

 安倍政権は3月15日、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加を表明した。安倍は記者会見で「(TPP参加は)国家百年の計」と主張し、「あらゆる努力で農と食を守ると約束する」「日本もルール作りに参加できる」などと見え透いた甘言で、このクーデター的暴挙を居直った。
 だが、米帝オバマ政権が主導してきたTPPは単なる通商協定ではない。それは、1%にも満たない大資本の延命のために全面的な規制緩和を推し進め、労働者や農民を始めとする全人民の生活を極限的に破壊する新自由主義的な社会改造を、すべての参加国に要求するものだ。農業破壊にとどまらず、医療や国民皆保険制度の破壊、食の安全崩壊、さらには労働者への雇用と権利の破壊をもたらすものだ。
 また、安倍自身が会見で「(TPP参加は)わが国の安全保障やアジア太平洋地域の安定にも寄与する」と主張したように、日米安保強化の一環である。まさに「TPP参加表明」は、労働者人民への階級戦争宣言だ。
 TPPの本質は第一に、世界大恐慌下で没落にあえぐ米帝の死活をかけた争闘戦戦略であり、アジア市場の強奪とブロック化戦略である。
 現在、TPP交渉に参加している11カ国に日本を加えた名目GDPの合計は、世界シェアで実に38・2%に達し、NAFTA(北米自由貿易協定)の25・8%、EUの25・2%をはるかに上回る。この巨大な排他的経済ブロックの形成をもって中国やEUをねじ伏せようという、米帝の暴力的な世界戦略である。
 第二に、それは同時に米帝の対日争闘戦である。07年8月のパリバショックから08年9月のリーマン・ショックを経て世界大恐慌が本格化する過程で、WTO(世界貿易機関)ドーハ・ラウンドが決裂(08年7月)して以来、米帝を始めとする各国はFTA・EPAの締結合戦を激化させ、世界経済の分裂・ブロック化を一気に進めた。そうした中で日帝・鳩山政権が09年に掲げた「東アジア共同体構想」は、米帝を排除し中国を加えた日帝独自のアジア勢力圏化の構想だ。米帝オバマはこれに激甚に反応し、力ずくでたたきつぶすためにTPP戦略を打ち出したのだ。
 安倍は現在、この点をごまかして「日米同盟の完全復活」などと軽薄にうたいあげ、「日米主導で貿易ルールを決める」などと日米が協調して有利な交渉ができるかのように描いている。だが、遅れて交渉に参加した日帝の「絶対的不利」は自明だ。例えば先行11カ国が合意した事項の再協議を日本が求めることは、ほぼ認められないことが確実視されている。米帝は、情け容赦なくこうした点を突き、日帝の追い落としを図ってくる。交渉次第で日本の要求が通るかのように描くこと自体がペテンなのである。

 新自由主義の全面化狙う

 第三に、TPP参加は主要帝国主義からの脱落の危機にある日帝・ブルジョアジーの絶望的な延命策である。だが、ここには何の展望も成算もない。政府は「TPP参加で10年後にGDPが3・2兆円増える」とする「試算」を発表し、大宣伝しているが、この数字でさえ年間GDPのわずか0・6%の増加にすぎない。他方で農林水産業は実に年間3兆円の減である。しかもこの試算自体が、「輸出拡大で企業が潤い、雇用が拡大し、個人消費が3兆円増える」などというおよそありえない想定に基づくデタラメな数字である。実際には、TPP参加による国際競争の激化は、労働者への賃下げ・労働強化・雇用破壊・非正規職化をもたらす。これが安倍の語る「国益」や「繁栄」なるものの正体だ。
 第四に、TPPは関税撤廃にとどまらず、21の交渉分野すべてにわたって「包括的な規制緩和」を要求し、社会全体の新自由主義的な大改造をもたらすものだ。その攻撃の矛先は農業・漁業とともに労働者階級である。
 しかもISD条項(投資家・国家間の紛争解決条項)で、企業や投資家は「相手国の法律や規則のために損害を受けた」とみなした場合、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」に損害賠償訴訟を起こせる。資本の利益が国内法よりも優先される仕組みだ。すでにNAFTAや米韓FTAにおいて、アメリカの大企業やヘッジファンドがこの条項を使って相手国政府に数々の訴訟を起こし、巨額の賠償金を支払わせている。

 労働者と農民の総反乱へ

 だが、以上のようなTPPによる新自由主義の満展開は、労働者・農民をはじめ全人民の怒りの反乱を不可避とし、革命情勢を成熟させる。TPPが秘密交渉を原則としているのは、労働者や農民の怒りの爆発を恐れているからだ。
 安倍は「日本の農を守る」などと言う一方で、産業競争力会議(議長・安倍)の会合ではTPP参加を前提に「農業の構造改革を加速する」などと主張し、企業参入の全面自由化や大規模化などをぶち上げている。農家を守るどころか、農業を全面的な競争原理にたたき込み、圧倒的多数の農家の淘汰(とうた)と資本による農地収奪を奨励しているのだ。
 今や農民の大反乱は不可避だ。「雨の日も風の日も雪の日も、赤ん坊を育てるように土を耕してきた。それを奪うというなら死を覚悟しても守る」「食糧をまかなうことは社会の絶対的な基礎としてある。農民はそのことに誇りをもっている」(2月4日の市東さん農地裁判における萩原進さんの証言)――これが農地強奪と農業破壊に対する農民の怒りだ。
 市東さんの農地強奪阻止・TPP断固粉砕をかけて、3・24三里塚全国集会に全力で結集しよう。新自由主義と対決する階級的労働運動が軸となり、労農同盟の力で破産した安倍と日帝ブルジョアジーに断を下そう。
 (水樹豊)

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週刊『前進』(2577号4面2)(2013/03/25 )

 千葉県三里塚集会 3・24へ全力決起誓う

 青年労働者の闘い先頭に

 3月17日、千葉市のDC会館において、第8回を数える千葉県三里塚集会が実行委員会主催で開かれた。県内の青年労働者を先頭に、1週間後の3・24三里塚全国集会への全力決起を誓い合う場として大成功した。
 冒頭に、2・18市東さん農地裁判での千葉地裁包囲闘争、3・11福島行動を記録したビデオが上映され、特に福島の農民・労働者の原発廃炉へ向けた訴えが参加者の胸にあらためて響いた。
 司会のちば合同労組のあいさつに続き、早速、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、伊藤信晴さん、宮本麻子さんの3人が紹介され、前に並んだ。
 北原さんは、2月20日早朝に千葉地裁の執行官が天神峰の市東孝雄さんの農地や農業施設などに立ち入って「公示書」なる看板を14カ所も据えつけていったこと、さらに3月7日に第3誘導路が供用開始されたことを強い怒りで弾劾した。農地取り上げの攻撃に対しては「実力をもって闘う。来るなら来い!」と気概を示し、3・24全国集会と3・27農地裁判最終弁論の闘いに立ち上がることを訴えた。そして「労働者・農民の力でこの社会を変えるまで、闘いに終わりはない。千葉は全国の先頭に立ってほしい」と呼びかけた。
 伊藤さんは、三里塚闘争が日本帝国主義の航空政策の遅れと破綻をもたらしていることを強調し、農地死守の決意を表した。宮本さんは、反原発・福島の闘いと連帯して安倍政権を打倒することを訴え、3・24への決起を要請した。反対同盟の発言は、参加者の熱烈な拍手で迎えられた。
 14日からのストを闘いぬいた動労千葉の田中康宏委員長がマイクを握った。「TPP交渉参加にあたり安倍は“農業を犠牲にしない”と言っている。全部うそっぱちだ! 国鉄分割・民営化で政府は“一人も路頭に迷わせない”と言って、実際にはどうなったか。労働者が生きられないこんな社会じゃないか」と断罪した。そして反対同盟に連帯したジェット燃料貨車輸送阻止闘争などを振り返りながら、「敵は三里塚と市東さんを恐れている。47年の闘いのすべてを凝縮し、国家権力を驚愕(きょうがく)させるような3・24の大成功をかちとろう」と訴えた。
 反対同盟と動労千葉のアピールを受け、ちば合同労組の2人の青年労働者が立ち、職場での苦闘をにじませながらも勝利への力強い決意を表した。
 「現地からの訴え」として、三里塚現闘と全学連三里塚現地行動隊の同志が立ち、緊迫する現地攻防と裁判闘争の現局面を報告し、残る1週間を3・24大結集の実現へとことん突き進むことを要請した。
 さらに会場からの発言が続き、ちば合同労組委員長、千葉・星野文昭さんを取り戻す会、裁判員制度はいらない!千葉県実行委、動労千葉を支援する会・習志野、婦人民主クラブ全国協・千葉支部、全学連の斎藤郁真委員長が3・24への決意を表した。斎藤君は「“1億8千万円の金よりも1本100円の大根を作り続けるのが大事”と言った市東さんの生き方に希望がある」と労農学連帯の核心を示した。
 最後に司会が3・24―27の具体的行動方針を確認し、団結ガンバローを三唱して集会を締めくくった。
 その後の交流会では、北原さんの91歳の誕生日を盛大に祝福した。闘いへの自分の思いを語る県内の労働者、動労千葉組合員、全学連の学生たち一人ひとりに、北原さんは叱咤(しった)激励と期待の言葉を送り、時を忘れて温かい交歓が続いた。
(写真 実力をもって闘う! 反対同盟の熱い呼びかけに応え労農連帯の決意固める【3月17日 千葉市】)

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週刊『前進』(2577号4面3)(2013/03/25 )

 官邸・国会前 参加者拡大、勢い増す

 台湾学生と共に大コール

 3月15日午後6時から首相官邸・国会前などで金曜行動が行われた。「原発やめろ!」「子どもを救え!」のコールはますます激しさを増している。高齢の女性が発言に立ち「放射能汚染水がじゃぶじゃぶ垂れ流しになっている」と福島原発の現状を弾劾し、「こんな状態にしておいて、まだ原発を増やそうとしている。こんなことは良くないとまだ分からないのか!」と官邸に向かって怒りをたたきつけた。
 台湾から来た男女の若者グループが登場した。男性がマイクを握り「私たちは台湾から来た学生です。日本語はとても下手です……。でも一緒に頑張りましょう!」と呼びかけた。女子学生たちも声を合わせて「がんばろー!」の大コール。あちこちから「がんばろー」のコールと温かい拍手がわき起こった。
 11日に福島市で行われた「3・11反原発福島行動13」は1350人の結集で大成功した。原発への怒りと絶対に原発をなくそうとの決意がみなぎり、解放感があふれる集会・デモを実現した。「福島の怒り」は安倍政権の「福島圧殺」攻撃を完全に粉砕したのだ。労働者民衆は9日に1万5千人、10日に4万人の集会とデモをやり抜いた。
 その自信と勢いは官邸・国会前行動にも即座に反映されている。春の訪れも重なり、15日の参加者は目に見えて増加した。「再稼働反対!」「全原発を廃炉に!」の闘いは昨年を超える大高揚の過程に入った。
 福島第一原発では18日午後7時前以降から約29時間にわたり1、3、4号機の使用済み燃料プール、共用プールの冷却システム、汚染水の浄化装置などの停止状態が続いた。福島原発事故は収束などまったくしていないことが満天下に明らかとなった。さらに闘いを発展させ、再稼働を阻止し、全原発を廃炉にしよう! 安倍首相、茂木敏充経済産業相、経産省による「経産省前テント」の仮処分・撤去策動を粉砕しよう! 
(写真 参加者が増加し「原発やめろ!」のコールも一段とパワーアップ【3月15日 首相官邸前】)

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週刊『前進』(2577号4面4)(2013/03/25 )

 年金支給年齢引き上げ許すな

 定年後雇用テコに非正規化

 新自由主義とストで闘おう

 定年まで働いても年金が出ない

 この4月から、定年退職する公務員や民間企業の労働者がいったん無年金状態に落とされてしまいます。
 40年前、20歳で年金に加入したときは、「60歳から支給する」約束で賃金から保険料を天引きされてきました。ところがすべての年金に共通する国民年金(=基礎年金。図の1階部分)の支給が65歳からに引き延ばされました。その上、これまで60歳で支給されていた共済年金、厚生年金(図の2階部分)の支給開始を61歳に、8年後には65歳に引き上げるというのです(厚生年金加入の女性は5年後の18年度から引き延ばしが始まる)。
 2階部分の支給額は賃金と在職期間で決まるので一律ではありませんが、標準的な労働者で月約10万円です。1階部分の基礎年金の支給額を仮に満額とすると月6万5千円ですから、合わせれば月16万5千円。支給年齢の5年間引き延ばしは990万円もの削減になるということです。扶養家族分の加算があればもっと多くなります。約束違反どころではありません。国家による巨大な詐欺です。絶対に許せません。
 保険料の負担増も重大です。国民年金の保険料は、04年時点での決定額でも05年の年16万3千円から上がり続け、16年度には年20万円を超えます。どうやって払えと言うのでしょうか。共済年金、厚生年金の保険料も04年から毎年上がり、17年には賃金の18・3%分にするとしています。
 さらに15年4月時点で、国民年金の支給額を今より2・5%減額しようとしていますが、同年10月から消費税が10%にされようとしているのです。とても生きていけません!

 中曽根・小泉らが年金制度改悪

 国民年金の納付率は11年3月末58・64%の過去最低で、厚生年金の積立金も比較できる01年度以降最低でした。厚生労働省が初めて行った公的年金加入者の所得調査の結果(昨年7月発表)では、22・5%が年収50万円以下、そのうち14・7%は収入なしでした。
 1973年、日本の労働者階級は春闘の最中に全国1290カ所で「年金・物価メーデー」を行い、代々木公園で10万人集会を開催。続いて360万人の労働者が「4・17年金スト」に立ち上がり、支給額の大幅増などを内容とする年金法改正をかちとりました。
 しかし、中曽根政権は1985年、年金法を抜本的に改悪しました。そして、小泉政権発足と同時に04年4月から国民年金(=基礎年金)の支給が60歳から65歳に引き延ばされました。この新自由主義による社会保障制度の解体と外注化・非正規職の拡大が、保険料も払えない労働者や60歳、70歳を過ぎても働き続けなければならない無年金、低年金の労働者を膨大に生みだしたのです。
 経団連は一貫して年金を始めとする社会保障費の負担を減らすことを追求してきました。11年2月には「社会保険料負担増は雇用の阻害要因、『新成長戦略』に逆行」「基礎年金→将来的には税方式化」を打ち出しました。その2日後、連合は「新21世紀社会保障ビジョン」を公表。基礎年金を税方式にし、財源の消費税を15年に3%分、25年に4%分が必要だと経団連とうり二つの提言をしました。資本家の利益を守り増やす国家のために、労働者は犠牲になれと言うのです。労働者は資本と国家を打倒する以外に生きられません。
 昨年11月、政府の社会保障制度改革国民会議の会長に就任した清家篤(慶応義塾長)は、「生涯現役社会」を持論とし「米国でさえ67歳、欧州でも67、68歳に引き上げを検討している」と年金支給を70歳に引き延ばせと主張した人物です。「死ぬまで働け。『工場法』以前に戻せ」という極限的な搾取の攻撃です。
 年金の支給が引き延ばされれば、定年退職と同時に持ち金を崩して生きる以外にない状態に追い込まれます。
 無年金状態をなくすと言って65歳定年制が導入されましたが、65歳までは超低賃金の非正規労働が強いられます。しかも、NTTの例で明らかですが、60歳から65歳までの賃金分を60歳までの総額賃金を削減してまかなおうとしているのです。年金の支給引き延ばしは労働者階級全体への賃金削減攻撃です。同時に、「雇用」をテコに定年退職者を外注化と非正規職化の担い手にする分断攻撃です。
 00年、JR東日本は「定年後に再雇用されたかったら外注化に協力する協定を結べ」という卑劣な攻撃をかけてきました。動労千葉は労働組合としての存在をかけて拒否し、10年にわたって検修・構内業務の外注化を阻止してきました。その上に昨年10・1〜5の外注化阻止・非正規職撤廃のストライキを打ち抜いたのです。

 3月決戦の爆発から安倍打倒へ

 外注化強行に対してもこの3月、2波のストで反撃しています。この闘いは、80年代以来の年金制度改悪を含む新自由主義攻撃を打ち砕く歴史的闘いとして、全国、全世界の労働者を奮い立たせています。
 欧州諸国では年金支給年齢の引き上げや受給額のカットに対して幾度も数百万人規模のゼネストが闘われてきました。日本でもこの4月、賃金削減攻撃に怒る自治体労働者が一斉にストに立とうとしています。階級的労働運動の力で安倍政権を打倒し、未来を切り開こう。
 (今井一実)

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週刊『前進』(2577号4面5)(2013/03/25 )

 2013日誌 3月12日〜18日

 4月28日に「主権回復式典」/福島第一原発、冷却停止

●4月28日に「主権回復」式典、決定
 政府は閣議で、1952年のサンフランシスコ講和条約発効が「主権回復の日」に当たるとして、61年を迎える4月28日に、政府主催の式典を都内の憲政記念館で開くことを決定した。沖縄を日本から分離して条約が発効した4月28日は沖縄で「屈辱の日」と呼ばれており、中止を求めるなど反対の声が強まっている。(12日)
●首相、憲法96条の改定にあらためて意欲 安倍晋三首相は衆院予算委員会で、憲法改定手続きを定めた憲法96条について、発議の要件を国会議員の2分の1に緩和する改定にあらためて意欲を示した。また「武器輸出三原則」のさらなる見直しに含みを持たせた。(12日)
●自民「国防軍明記を」 衆院憲法審査会は安倍政権の発足後初の討論に入り、1章の天皇制と2章の「戦争の放棄」を議論した。9条の改定に前向きな自民党に日本維新の会やみんなの党が同調。憲法審査会は、2007年に成立した国民投票法に基づき、同年に衆参両院に設置された。(14日)
●スリランカと海上連携強化 安倍首相とスリランカのラジャパクサ大統領は首相官邸で会談し、海上の安全保障分野で連携を強化する方針を確認した。(14日)
●維新、教委廃止法案を今国会に提出の意向 日本維新の会の橋下徹共同代表は、教育委員会を廃止するための関連法案を今国会に提出し、自公両与党との修正により成立を目指す考えを示した。維新の案では地方教育行政法や地方自治法などを改定し、自治体の首長が教育目標や教員の人事権を持つなど教育行政の責任者となる。(14日)
●習・国家主席を選出 北京で開催中の全国人民代表大会(全人代)で、中国の新しい国家主席に習近平・中国共産党総書記が選出された。習氏は昨年の党大会で党総書記と党中央軍事委員会主席に就任しており、党、軍、国家のトップに就き、名実ともに中国の最高指導者となった。(14日)
●米、ミサイル防衛増強 ヘーゲル米国防長官は、米本土を守る弾道ミサイル防衛(BMD)システムを増強すると発表した。地上配備型の迎撃ミサイル(GBI)を現在より5割多い44基に増やす計画。(15日)
●首相、TPP交渉参加表明 安倍首相は首相官邸で記者会見を開き、TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に参加することを正式に表明した。早ければ7月に参加する。(15日)
●「核兵器保有」を議論 岸信介政権下の1958年、外務省内で核兵器を保有する選択肢が議論されていたことが、秘密指定を解除された米公文書から明らかになった。(16日)
●福島第一原発、燃料プールの冷却停止 東京電力は、福島第一原発内の免震重要棟で午後7ごろ、停電が一時発生したと発表した。電源は回復したが、1、3、4号機の使用済み燃料プール、共用プールの冷却装置や汚染水の浄化装置が停止した。福島第一原発では2011年7月に3号機で、12年1月には2、3号機で停電などで、燃料プールの冷却設備が停止した。(18日)

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週刊『前進』(2577号5面1)(2013/03/25 )

 闘う広大自治会の再建を

 福島の怒りと固く結合し広大を反原発・反核の砦に

 マル学同中核派・広島大学支部

 3・11反原発福島行動が、政府・東電へのあふれる怒りで闘いとられた。全国から結集した学生も福島の現実に向き合い、のりこえ、未来を切り開こうと誓った。浪江町から避難中の高校生が語った「僕らで最後にしたい」という思い。われわれは、この福島の怒りと思いをひとつにどこまでもつながり、すべての原発・核をなくすために広島大で学生自治会を再建する!
(写真 緑の広大旗をはためかせ、全国学生とともに広大生が福島の地を元気にデモ【3月11日】)

 原発推進勢力から大学を取り戻そう

 広大自治会建設は第一に、原発事故の責任を追及し、人類の未来をつくるために学生が責任をとりきるということだ。福島に塗炭の苦しみを強いる原発事故の責任者が、今も大学に居座るのを許すことはできない。
 原発を「安全」と言いなしてきた連中は何の責任もとっていない。事故後も放射能被害を隠し、福島の声を無視抹殺し、原発輸出、再稼働、新規建設を要求している。全国の大学でそういう連中がのさばっている。広大経営協議会には、国内原発の半数を造り、最近フィンランドでの原発建設を受注した三菱重工業の会長(佃和夫)が入っている! こんな連中には大学・学問を明け渡さない。原発推進勢力を大学から追放し、学生自身が大学を担い、新たな社会をつくろう。その責任をとるのが学生自治会だ。
 それは労働組合と同じだ。資本の利潤のために安全を無視し、労働環境を破壊し、外注化・非正規職化を推し進めるJR会社に対し、動労千葉は反合・運転保安闘争路線で対決している。それは新自由主義を打ち破り、労働者の力で新たな社会をつくる萌芽(ほうが)だ。労働組合と並び、全国に闘う学生自治会を! 広大生は京都大・東北大に続いて立ち上がる。

 御用学者=神谷の追放へ

 第二に、放射能安全論をふりまく御用学者・神谷研二(広大教授、福島県立医大副学長、福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)を福島と大学から永久追放し、原子力ムラの中枢=新自由主義大学を「反原発の砦(とりで)」に転化する闘いだ。
 2013年は勝負の年だ。「原発再稼働、改憲、安保強化」を掲げる安倍政権の登場は、階級決戦の到来を告げている。安倍を巨万の大衆決起で打倒しよう。学生は再稼働阻止100万人行動の先頭に立つ。決戦を制する力は、福島の根源的怒りの爆発であり、核心的には原子力ムラを内側から解体する闘いだ。
 広大は最大の戦場だ。広大当局は山下俊一(長崎大教授、福島県立医大副学長)と並ぶ御用学者・神谷を福島に派遣し続けてきた。神谷は「100_シーベルト以下の被曝による健康影響を示す科学的根拠はない」「子どもを外で遊ばせても問題ない」と主張し、住民に深刻な被曝をもたらした張本人だ。また、県民健康管理調査という名の「200万県民モルモット化」政策の中心を担ってきた。すでに3人の子どもに甲状腺がんが見つかったが、検討委員会は「原発事故によるものではない」と断定している。こんな殺人者まがいの連中をこれ以上のさばらすことはできない!
 大学における御用学者の台頭や原発推進研究は、とりわけ04年国立大法人化にともなう「経営協議会制度」と「運営交付金制度」により、大学が資本と国家に取り込まれていく中で進行した。国からの交付金削減で資金獲得競争が激化する中で、大学は原発マネーという潤沢な資金を提供する原子力産業と積極的に癒着した。真理や科学がカネに屈した先に福島原発事故が引き起こされたのだ。
 今や、御用学者は全人民の怒りの的だ。ついに山下は福島医大常勤副学長の座を追われ、健康管理調査検討委員会座長を辞任した。すべての御用学者を一掃するまで闘おう。それは新自由主義大学を根底から覆す。学生自治会を建設し、大学を学生の手に取り戻そう。

 学生の団結復権し新自由主義と対決

 第三に、学生自治会再建は、新自由主義と闘う団結の復権だ。新自由主義大学は、青年の雇用破壊の現実につけこんで「就活支援」「キャリア教育」などで入学時から学生を脅し、単位や資格競争で学生生活を管理する。それは同時に、学生の自治・団結を徹底的に破壊することと一体だ。広大では学生・教職員の自殺が後を絶たず、「自殺率全国ワースト1」の現実がある。昨年も白昼にキャンパス内で教授の飛び降り自殺があったが、当局は「その人の自己責任」(川崎副学長)で片づけ、責任をとるつもりなど毛頭ない。
 これ以上一人の仲間の命も奪われてはならない! 団結して学生の未来に責任をとる学生自治会をつくりあげよう。
 第四に、学生自治会は学生の自治と権利と生活を死守し、拡大する闘いの先頭に立つ。広大においては、サークル団体が広大の唯一の自治組織として、一貫して規制強化と闘い、組織と団結を守ってきた。当局は法人化後、サークル員の名簿提出の義務化やサークル評価基準の導入、さらにここ数年は入学式でのビラまき規制などを画策してきたが、すべてサークル員の団結した力で粉砕した。この闘いは「大学の主人公は誰か」をめぐる問題であり、学生の権利と自由を守るサークル自治は全広大生の誇りだ。「学生は団結すれば勝てる」ということを体現するサークル自治を強化・拡大することは、学生自治会建設の柱だ。

 闘いの歴史継承し今こそ反転攻勢へ

 広大生は戦後一貫して被爆地の怒りを代表し、8・6ヒロシマ闘争の先頭に立ってきた。広大生の決起が多くの人びとの心を捉え、闘いを呼び起こし、階級闘争を動かしてきた。再び決戦の時が迫っている。「御用学者追放−安倍打倒」で全社会を揺るがす闘いを広大から開始しよう。
 広大学生運動は、1960年代のベトナム戦争下、日米安保と日帝の参戦国化に反対する強力な部隊として登場し、全学連の不抜の拠点校として70年安保・沖縄闘争の全過程を担い抜いた。67年10・8羽田闘争から始まる「激動の7カ月」で日帝・佐藤政権に激烈な街頭闘争をたたきつけ、日大・東大闘争を徹底的に爆発させた。69年1月の東大安田砦死守戦を最後まで担い抜いた広大生は東大闘争の全国化をかけてキャンパスで立ち上がった。69年2月から半年間の全学バリケード封鎖を貫徹。佐藤政権による8・3「大学治安法」強行採決・機動隊導入と全面激突し、30時間の砦死守戦を貫徹した。広大生の闘いは「大学を安保粉砕の砦に!」のスローガンを現実のものとし、「大学治安法」を根底的にうち破った。この闘いは同時に、被爆者・被爆2世が社共指導部への不信や絶望を振り払い、新たな反戦反核運動を開始する出発点を築いた。
 広大生の闘いはその徹底性ゆえに、日帝・文部省(当時)の「大学改革」という名の新自由主義攻撃=キャンパス丸ごと郊外移転という集中砲火を浴び、広島市の中心部から40`離れた現在の西条(東広島市)への移転が強行された。その狙いは、教養部学友会をはじめとする学生自治会や青雲寮などの自治寮を解体し、学生運動を絶滅する激しい階級意志だった。しかし、広大生は移転後もサークルを中心に拠点を守り抜き、五つのサークル組織の団結体としての「五者会議」の結成で当局への対抗軸をうち立て闘ってきた。
 われわれは広大学生運動の歴史を継承し、反転攻勢にうって出る。
 一つに、広大生は全人民の怒りの先頭でキャンパスから時代を動かす階級決戦をうち抜こう。二つに、新自由主義大学の先端である広大で自治会を再建し、全国大学に自治会再建の展望を示そう。三つに、反原発の闘いと法大闘争の「教育の民営化粉砕」の路線を、300万学生の団結体としての学生自治会建設に具体的に結合する闘いだ。この歴史的事業に胸ふくらませ挑戦する。
 3・11のうねりを引き継ぎ、4月新歓で新入生とつながり、5月沖縄闘争で沖縄の学生と団結し、8・6ヒロシマ闘争へ。広大生のみなさん、ともに闘おう!

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週刊『前進』(2577号5面2)(2013/03/25 )

 3・14法大 武田君の処分撤回を

 決意新たに「7周年」デモ

 3・11反原発福島行動の大高揚を引き継ぎ、法大文化連盟と全学連は06年3・14法大弾圧から7周年を迎えた3月14日に今年一発目の法大包囲デモを意気高くうちぬきました! 
 「武田君への処分を撤回しろ!」「3・14弾圧を忘れないぞ!」と怒りのコールをたたきつけました。
 デモ出発前、斎藤郁真全学連委員長が、「今から7年前に何があったのか。ビラまき・立て看板規制に抗議をした学生29名が逮捕され、5名の法大生が処分を受けた。法大闘争はここから始まった。われわれは06年3・14法大弾圧を絶対にあいまいにしない!」と訴えました。 
 続いて文化連盟の新執行部が次々とアピール! 無期停学処分と闘う委員長の武田雄飛丸君は、「私たちは『3・14弾圧』を絶対に風化させたくない。あの日から法政大学は明確に転換した。文化連盟の非公認化と一体で学生の表現活動が叩きつぶされてきた。その果てにあるのが昨年の飲酒規制だ。法大当局の攻撃は06年よりも激しくなっている。われわれが声をあげなければ規制は強化されていく一方だ。団結してともに闘おう!」と熱烈にアピールしました。
 法大闘争7年の歴史は、当局・国家権力のどんな弾圧にも屈せず、「一人の仲間も見捨てない」を合言葉に学生の誇りと団結を復権させてきました。それは、学生の未来を奪う「教育の民営化」=新自由主義大学との激突でした。この中から、多くの学生が生き方をかけて「大学を学生の手に取り戻そう」と決起しています。
 そして昨年、キャンパス封鎖をぶち破る10・19法大1000人集会をかちとりました。その先頭で闘った武田君への無期停学処分は、学生の新たな怒りを呼び覚ましています。
 闘う法大生は、全国・全世界の闘う仲間とともに、勝利に向かって進撃します!
 (法政大学・洞口朋子)
(写真 武田君への処分撤回掲げ意気高くデモ【東京・市谷】)
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【要項】法大暴処法弾圧裁判第1回控訴審闘争
 法大暴処法弾圧裁判第1回控訴審闘争
 3月29日(金)午後1時30分東京高裁
 (傍聴券配布のため30分前に裁判所脇に集まってください)

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週刊『前進』(2577号5面3)(2013/03/25 )

 東京 非正規撤廃へ学習会

 山本志都弁護士を講師に

 2月21日、東京労組交流センターと合同・一般労組全国協議会が「非正規公務員問題」学習会を開催した。講師は山本志都弁護士。
 山本弁護士は「弁護士になって11年。相談の傾向が変わってきた。悲鳴みたいな相談が来る。恐怖を下敷きにした競争社会で、生命・健康の維持の瀬戸際に若い人が置かれている」と語り、非正規雇用、有期雇用の問題点を指摘した。「経営者は、解雇ではなく契約期間の満了に過ぎないと言って雇い止めにします。さらに、契約更新時に時給いくらでないと雇えない、と言って容易に賃金を下げる。セクハラ・パワハラの温床なのに組合結成も困難な状況に置かれています」
 「武蔵野市レセプト点検嘱託職員事件」について、『序局』第3号の山本弁護士の「『非正規公務員』の雇い止めに抗して」を資料に話が進む。
 診療報酬請求書などをチェックする非常勤嘱託職員の女性労働者は、採用時に「65歳まで働ける」と説明され、契約期間は1年だが形式的な更新を繰り返し21年3カ月働いてきた。しかし20年働いたからもういいでしょうと、09年3月末に雇い止めされた。原職に戻りたいというのが訴訟の中身だ。
 民間の労働者の場合は21回も契約更新すれば期間の定めのない扱いを受けて、雇い止めは解雇権濫用法理に抵触する。しかし公務員の場合は任命という行政行為=任用であり、私法上の労働契約関係ではないという論理で、非正規公務員の雇い止めが違法であるとの判例は極めて少なかった。
 「この事件では武蔵野市が特殊な対応をした。ニュースで取り上げられたため、びびって給与が3割安い別の職場に採用した。判決は雇用の義務付けについて判断を回避したが、150万円の損害賠償を認めた。負けた裁判だと思ったが、すごいと言われ、多数の問い合わせがあった。12年7月に一審維持の高裁判決が出て、上告はしなかった。原職復帰がかなわなかったのは残念だった」
 後半は昨年8月成立の改正労働契約法について、5年超の有期労働契約者の無期転換申し出権を付与したペテン性について論じた。5年になる前の雇い止め禁止規定がないことで、5年での解雇を全面化するまったくの改悪である。JR東日本がグリーンスタッフ制を導入した際に1年契約4回更新、5年で雇い止めとする上限を定めたことが、非正規労働者の有期労働契約に重大な影響を及ぼしていることが明らかにされた。
 山本弁護士は「公務、非正規の壁に縛られない連帯をつくり出すことが課題」と結んだ。非正規公務員を組織化し、非正規職撤廃の闘いで有期労働契約を粉砕していくことが課題であることを痛感させる学習会だった。
 (東京・相馬修)

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週刊『前進』(2577号5面4)(2013/03/25 )

 イタリア総選挙の結果と展望

 緊縮策と労働改革に「ノー」

 世界革命に連なる階級的激動へ

 新内閣できず再び総選挙も

 2月24〜25日に行われたイタリアの総選挙は、世界大恐慌、欧州危機の中でモンティ政権が2011年11月以来強行してきた一連の緊縮政策(増税、年金削減)、労働市場改革(解雇容易化、非正規職化)、労組破壊への全人民的な怒りの爆発の場となった。
 緊縮政策を強行してきた前首相のモンティ連合は、得票率が下院で10・5%、上院で9・1%にしか達せず、惨敗した。モンティ政権を支持してきた中道左派連合は、下院で29・5%、上院で31・6%だ。第1党として340議席を与えられた中道左派連合にモンティ連合を加えた緊縮派は、下院では多数派だが、上院では多数を制することができなかった。
 今回初めて国政選挙に登場し、既成政党反対、政財界の汚職弾劾、反EU、反緊縮を叫ぶ「五つ星運動」は、下院で25・5%、上院で23・7%を獲得、一大政治勢力にのし上がった。
 また、ベルルスコーニ元首相の中道右派連合は、欺瞞(ぎまん)的に「反緊縮」を掲げ、下院で29・1%、上院で30・7%を獲得、巻き返しに成功した。
 このなかで緊縮派と反緊縮派との連立も、五つ星運動と既成政党との連立も不可能だ。このためやり直し選挙もありうる状況となっている。
 イタリアの労働者階級は昨年11月14日、緊縮政策反対を掲げた全ヨーロッパ統一ゼネストで、ギリシャ、スペイン、ポルトガルなどの労働者階級と連帯し、全国の職場・生産点で実力闘争に立ち上がり、緊縮反対の意思を表明、モンティ政権に「ノー」を突き付けた。それが25%もの棄権率と選挙結果に表れ、巨大な衝撃をもってブルジョアジーを襲っている。
 他方、欧州委員会のバローゾ委員長やドイツのメルケル首相らは選挙結果公表後直ちに「イタリア人よ、道を間違えるな」「政治家は緊縮政策へ自信をもって進め」と悲鳴をあげ、叱咤(しった)激励した。
 ユーロ圏第3の帝国主義国イタリアを襲った巨大な衝撃は、欧州連合(EU)と欧州全体、地中海対岸の北アフリカ、中東の階級闘争に連動し、世界革命に発展する勢いだ。このことに全欧州のブルジョアジーは心底から震え上がっている。
 11年11月、金融・財政危機の激化がギリシャ、スペインからイタリアに波及した。ベルルスコーニ政権は、交通ゼネストを中心とするイタリア労働者階級の怒りの嵐の中で打倒された。代わって、欧州委員会、欧州銀行などの経済官僚としての経験を買われたモンティが首相に就任、政治家を入れない実務家だけの内閣を組織した。
(写真 昨年11月のローマの学生デモ。横幕には「負債は私たちのせいではない」と書かれている)

 独立労組作り労学連帯闘争

 モンティは、欧州委員会の指令のもとに巨額の財政赤字の削減を柱としたイタリア経済の〈構造改革〉を緊縮政策として強行した。それは「労働市場の柔軟化」のスローガンのもとに、@年金支給開始年齢の引き延ばしA公務員労働者の賃金削減B労働法改悪による解雇規制の緩和C増税――など、労働者階級人民の犠牲と負担で資本・国家を救済する政策だ。さらに昨年12月、辞職前の最後の仕事として「安定化法」を成立させた。公務員労働者の賃金を14年まで凍結し、協約交渉を17年までやらないという階級戦争である。
 その結果、イタリアの経済と社会、労働者階級に何が生じたか。3月のイタリア政府統計局の発表を見よう。この1年間の緊縮政策のもとで国内総生産(GDP)は2・2%後退、数四半期もの間マイナス成長だ。財政赤字はGDPの127%という歴史的な額に上っている。個人消費は4・3%減退した。一方、租税収入だけが急増し、GDPの44%という1990年以来最大の割合となった。失業率は23%、失業者総数は300万人。非正規雇用や短期雇用の割合が増え、青年労働者の失業率は30%を超える。企業倒産が激増し、製造業、建設業、農業などの部門で12年に36万5千件となっている。
 緊縮政策が圧迫を加えているのが公教育の部門だ。08年以来、教育予算が大幅に削減され、学校の統廃合、教育労働者の大量首切りなどの攻撃が激化している。しかも、協約交渉が07年から中止され、教育労働者の賃金は09年から据え置きだ。教育労働者に不満と無気力が広がり、生徒や学生の不安が高まっている。
 体制内労組の無力さに怒った教育労働者は、職場を基礎に独立労組をつくり、闘いを開始した。彼らは独立労組の主力となり、街頭に登場、学生を吸引し、労学連帯の流れをつくりだしている。「緊縮政策の1年は非正規職化と棍棒(こんぼう)の雨の日々だった」「私は誇りを捨てない! 自分たちの道を行く」――。青年労働者はプラカードで訴えている。

 革命的伝統の継承・再生へ

 このような労働者階級人民の怒りの爆発を長く抑圧してきたのが既成政党と体制内労働運動だ。イタリアの戦後政治は「保守」(キリスト教民主党)対「革新」(共産党と社会党)という枠組みで展開されてきた。それがついに崩壊し始めたのだ。
 中道左派連合の主軸をなす民主党は、1991年に解党したイタリア共産党が結成した左翼民主主義党と1994年に解散したキリスト教民主党の左派の〈歴史的妥協〉の実現として07年に設立された。中道右派連合は、ベルルスコーニの「自由の人民」と極右の「北部同盟」が連合した反動的潮流である。
 そして「超政党の実務者内閣」として登場したモンティ政権を支持していたのが民主党だった。イタリア労働総同盟(CGIL)とイタリア労働組合同盟(CISL)という2大労組がこうした構図を支え、緊縮政策を「産業の活性化」などの名で支持してきた。
 今回の総選挙はこうした枠組み全体に「ノー」をたたきつけた。しかし、これらを打ち破る労働者階級人民の独自の政治潮流として、階級的労働運動とその革命的指導部が形成されているわけではない。その空隙(くうげき)の一部を突いて「五つ星運動」が登場するという過渡的な状況だ。
 だが世界大恐慌のもとでの新自由主義の破産と闘う労働者階級人民の力を示したのが、昨年11月14日の緊縮政策反対の全欧統一ゼネストだ。CGILの「4時間スト」というアリバイ的な闘争指令を突き破り、公務員労組、通信労組、教職員労組などが8時間ストを敢行した。ここにイタリア階級闘争の現状を突破する鍵がある。
 イタリア階級闘争は、ロシア革命から間もない1919年の「赤色週間」(北イタリアの工場占拠闘争)、第2次世界大戦下のレジスタンス、戦後革命、1969年の「暑い夏」(金属労働者のストライキと学生運動の高揚)などの革命的な伝統を持っている。今こそこれを継承し、再生させる時だ。
 〔川武信夫〕

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週刊『前進』(2577号6面1)(2013/03/25 )

団結ひろば 投稿コーナー 団結ひろば 投稿コーナー

 3日間の街頭宣伝で3・11報道号を販売 首都圏学生 K

 3月18〜20日の3日間、3・11福島現地闘争の高揚を一人でも多くの労働者・学生に対して広めるため、御茶ノ水駅前街宣と大学回りを行いました。私たちはこの街宣にあたって、この間論議が行われている機関紙拡大闘争の実践として、『前進』3・11報道号を一人でも多くの人びとに手渡すことを強烈に確認して臨みました。
 3日間の街宣で27部の配布と31部の販売。大成功です! このことは福島現地闘争がいかに巨大な闘争だったのかを物語っています。
 ある人は報道号を見るなり「3・11に福島現地行動があったなんて知らなかった」と言い、またある人は「なぜマスコミはこれを報道しなかったのか」と言い、3・11に福島現地で行動を打ち抜いたことそのものが感動をもって受け入れられています。なによりも安倍政権への怒りです。街頭には安倍政権への怒りがあふれています。福島の怒りを軸に安倍打倒を訴えたことが街頭で共感を呼んでいます。
 さらに「原発について教えてくれた高校の恩師にもこの新聞を教えても良いか」と首都圏の学生も『前進』を買ってくれました。ほかにも「自分はなかなか行動には移せないけど頑張ってほしい」と『前進』を買うサラリーマンなど、かなり良い反応が寄せられました。街頭の意識は巨大な規模で転換しています。
 街宣と同時に各大学のサークルにも『前進』を持ち込み始めました。すべての学生に配布を行う意気込みでサークル回りに臨み、どんどん討論が生まれています!
 『前進』があらゆる人びとに求められている――このことに確信を持ちましょう。一切は私たちの意識性が情勢を決していきます。『前進』を数十万、数百万部に拡大するなかで労働者階級を真に代表する党として革共同を打ち立てましょう! 3月決戦の爆発で安倍政権を打倒しよう!

 寮生や自治会の仲間と3・11福島に参加 京大 T

 福島原発事故から2年がたった。福島原発事故は収束などしていないし福島県民の怒りはマグマの様相を帯びている。それにもかかわらず、超反動安倍政権は復興特区攻撃や原発再稼働攻撃にひた走っている。非常に許しがたい暴挙であるのと同時に、こんなぜい弱な攻撃なんか労働組合と学生自治会を建設し職場支配権を確立すれば絶対に粉砕できる(にもかかわらず他党派はオール福島などとほざきながら国家にひれ伏している! ふざけるな!)。というわけで、私たちは寮生や自治会の仲間とともに3・11福島行動に決起することにした。
 集会は1350人もの大結集だった。集会では、牧場主の発言からは福島での怒りが伝わり、徹底してストライキとオルグで被曝労働へのアンチテーゼをぶつけて組織拡大をかちとった動労水戸や、組合の団結を必死で形成してきた国労郡山工場支部や、地道な情宣活動と当局弾劾行動を経て大部隊で登場した福島大生たちの発言からは、自分たちの職場で闘うことで仲間をつくることの大事さが伝わった。そして、診療所建設運動の呼びかけ人の発言を聞き、今まで診療所建設運動の築き上げた地平を見たのと同時に、さらに拡大したいという思いを強めた。
 この集会でつかみとった内容をしっかりと確認し、京大で同学会再建に取り組んでいきたい。

 国鉄全国運動・沖縄第3回総会かちとる 沖縄 高山栄信

 国鉄闘争全国運動・沖縄の第3回総会が3月17日に那覇市内で開かれました。2012年の闘いを総括し、動労千葉鉄建公団訴訟の「解雇撤回」署名、沖縄「復帰」41年5・15闘争の取り組みを柱とした2013年度の課題と方針が提起されました。動労千葉を支援する基地労働者の会、動労千葉を支援する会・沖縄中部の会、動労千葉を支援する会・電通沖縄からそれぞれの闘いの報告と決意が語られ、〈職場や地域での組織拡大に向かって闘い抜こう>という意欲に満ちあふれた第3回総会となりました。
 呼びかけ人の一人である金城幸男さんが司会をつとめ、同じく呼びかけ人の崎浜秀俊さんが主催者あいさつで国鉄1047名解雇撤回闘争の意義を訴え、沖縄でも「外注化・民営化によって若者たちが生活できない状態に追い込まれている」という現実に触れ、最後に「安倍政権の4・28『主権回復の日』の閣議決定」に対して、労働者の団結した力でこの社会を変えようと呼びかけました。
 総会の議案提起をNTT労働者の真喜志康彦さんが行い、安倍政権と対決し、「労働運動が先頭に立って、この社会の現実に決着つける時だ」と訴えました。そして「民営化・外注化阻止、非正規職撤廃」として闘われる国鉄闘争こそ、「全世界の新自由主義と闘う労働者階級の結集軸となる闘い。国鉄闘争は国際連帯闘争そのものだ」と述べました。さらに2013年を「沖縄闘争の新たな課題として、国際連帯闘争を第一の課題として闘おう」と呼びかけ、全体で確認しました。
 今年の沖縄5・15闘争を「国際連帯闘争として闘おう」という5・15アピールが青年労働者から発せられ、最後に呼びかけ人の宮城盛光さんの団結ガンバローで締めくくりました。
 動労千葉物販の取り組みをさらに強化し、国鉄闘争全国運動の6・9全国集会の成功を全力で闘い取ろう。

 北陸春闘集会を開き斉藤征二さんが講演 北陸ユニオン K

 3月17日、北陸ユニオン主催、ス労自主・NAZEN北陸共催で「13春闘勝利!3・17北陸春闘集会」を富山県民会館で行った。元全日本運輸一般労組原発分会長の斉藤征二さんが特別講演を行い「解雇撤回! 民営化・外注化粉砕! 非正規職撤廃! 原発再稼働反対! 被曝労働許すな! 安倍政権打倒!」を掲げて、北陸3県の労働者・学生・市民が結集した。
 斉藤さんは、自身が敦賀原発の下請け労働者として働き、労働組合を組織して闘った経験から、「労働組合が先頭に立って、闘う組織をつくることが重要。社会を変えていくのは労働組合しかない。皆さんが大きな労働組合をつくり上げ、そこにみんなが結集して、昨年の11・4集会のような大きな闘いにしてほしい。階級闘争であることを忘れたらだめだ。一人ひとりが手をつないで原発を包囲し、自民党政権をつぶそう」と熱烈に訴えた。
 さらに、福島から富山に避難している元福島第一原発労働者が、「東電と国が言ってきたことはすべてウソだったし、なんら責任を取っていない」と怒りをもって弾劾した。
 討論も活発に行われ、国労の仲間が「北陸本線の第三セクター化で車両がワンマンカー化され、安全が崩壊する。労働者は団結して闘おう」と発言した。
 北陸ユニオン委員長が、「解雇撤回という労働組合の原点を闘える運動をなんとしてもつくり出していきたい。そのためにも国鉄分割・民営化から始まった労組破壊攻撃に対して、闘う労働運動をつくり出していくために、全国の仲間とともに6・9集会に結集していこう」と基調を提起した。
 闘争報告として、A通運で解雇撤回を闘う北陸ユニオンの組合員が、解雇撤回まで闘う決意と支援を訴えた。ス労自主、NAZEN北陸、富山大学学生自治会の仲間が発言。学生の力強い発言に会場は大いに活気づいた。
 集会のまとめに、北陸ユニオン書記長が6・9国鉄集会への結集と職場での闘いへの決起を提起し、組合員の団結がんばろうで気勢をあげた。

 NAZENさっぽろ結成!泊原発廃炉へ 北海道 M・F

 3月3日NAZENさっぽろ結成集会を開きました。連日の暴風豪雪の中、空と陸の交通手段が危ぶまれ、どうなることかと心配でしたが、20人の参加で無事開催することができました。
 当初予定していた大間原発反対現地集会実行委員会事務局長の中道雅史さんが残念なことにJRの運休で来られず、急きょ8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争統一実行委員会事務局長・NAZEN呼びかけ人の三角忠さんが、織田陽介NAZEN事務局長とともに駆けつけてくれました。
 三角さんは「広島−長崎−ビキニ、そして憤りのフクシマとともに、全国性をもつNAZENがさっぽろで結成された事は、地元の泊原発反対闘争においても重要なこと」と檄(げき)を飛ばしました。
 織田事務局長は「8・6広島−8・9長崎と同様、あくまでも歴史的な『3・11』その日にこだわりたい」とアピールしました。
 はるばる室蘭方面から3時間かけて来た女性は、「60年安保も経験している。原発も許せない。クリーンなエネルギーと称して危険な生産過程は問題だ。もっと女性が活躍する機会が大事だ!」とパワーある発言。NTT労組の労働者は「3・11反原発福島行動に決起し被災地福島から学び、状況をつかみとってくる」とアピール。
 基調提起を行ったNAZENさっぽろの労働者は「真にフクシマとつながって行動していく! 各自の立ち位置をしっかりして職場から・地域から、反原発運動の中に労働組合を位置づけ広範な人とつながっていこう! NAZENの持つ全国性を生かしシンプルなスローガン『再稼働反対』『全原発廃炉』で筋を通す! 学生、若い世代を見い出し、生き生きとした活動をしていこう」と訴え、これを全体で確認して集会の成功を確認しました。

 「さよなら島根原発」集会に400人集う 山陰 TK

 3月3日午後、中国電力島根原発のひざ元・松江市の「くにびきメッセ」において、「さよなら島根原発 未来のために」(主催=さよなら島根原発ネットワーク)の集会が行われ、島根・鳥取両県の労組・市民団体を中心に約400人の結集で大成功した。集会後のデモ行進は、「NAZEN山陰」の仲間がデモ指揮を担当し、沿道の拍手を浴びながら中電島根支社に至り、応対した中電幹部に絶対反対の抗議声明と怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
 この日の集会のメインは、3・11反原発福島行動の呼びかけ人でもある被災地福島・飯舘村の酪農家・長谷川健一さんの講演だった。長谷川さんは、1時間30分にわたって映像とデータを具体的に示しながら、ご自身が直面し体験したフクシマの恐るべき現実(飯舘村の現実)を報告し、政府・東電・ゼネコン・行政・御用学者ら「原発村」の反人民的所業の数々を徹底的に暴露・弾劾した。とりわけ、山下俊一など御用学者の「安全キャンペーン」と野田民主党の「原発事故収束宣言」、そして安倍政権の「復興」キャンペーンと再稼働攻撃に対して、腹の底からの怒りをもって「絶対に許さない」という長谷川さんの思いのこもった講演に、満場の拍手が寄せられた。
 島根(松江)現地の情勢としては、島根原発3号機(新設)の稼働阻止が当面の焦点だ。政府・中電の新規稼働促進の動きに対して、島根ネットでは3号機稼働阻止の裁判闘争(国を相手の行政訴訟と中電を相手の民事訴訟)を立ち上げる方針だ。NAZEN山陰は、島根原発1・2号機再稼働阻止・新規3号機稼働阻止ヘともに全力で闘いたい。
 なお、NAZEN山陰は、集会前の松江駅前街頭宣伝を含めて3・11福島行動を訴えるビラ1300枚をまき、署名107筆を集めた。

 岡山・星野さん救う会学習会で無実を確信 岡山 植野忠

 岡山・星野文昭さんを救う会は、3月3日に全証拠開示を求める学習会を開きました。
 はじめに、DVD「星野闘争・獄中36年」を見ました。続いて『国際労働運動』2月号の、無実の決定的証拠の部分と星野さんのメッセージを読み合わせました。
 討論では、JRの青年から「権力が親を使って証人を殴らせたのは許せない」、別の青年から「同じような体験」を踏まえた意見が出ました。会員から「みんな事実を知らない。知らせなければ」と、さらに71年の渋谷闘争に参加した人からは「暁子さんの面会日記を本にしたらいいのでは」という意見が出されました。
 「最近もニュースになった」渋谷闘争は、過去のことではなく現在の問題なんだ。福島の怒り、沖縄の怒り、三里塚、非正規・外注化への怒りと星野闘争はひとつなんだと感じました。
 学習会の最後に、マスカットユニオンの仲間から3・5東京高裁包囲デモに岡山から参加するための交通費カンパが呼びかけられました。
 岡山においては証拠開示運動の軸として、毎月「再審ニュース」を読む会と街頭宣伝を続けています。

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週刊『前進』(2577号6面2)(2013/03/25 )

 星野闘争 全証拠開示を請求

 弁護団が要請東京高裁で3者協議

 3月13日、東京高裁第12刑事部で星野文昭同志の証拠開示に関する3者協議が行われた。
 昨年12月4日に弁護団は東京高裁に対して、現場目撃者11人の「供述調書」の開示と、写真のネガの複写(スキャニング)を請求し、同時に3者協議をするように要請した。請求以来3カ月、東京高裁は放置し続けてきたが、弁護団の強い働きかけと全証拠開示運動の力でついに裁判所を動かした。
 検察官は、最初から証拠開示はしないと明言してきた。不当極まりない態度である。星野同志は無実であり、機動隊員殴打にまったく関与していない。開示を請求しているのは現場目撃者の「供述調書」である。星野同志が現場にいたのなら、そのような要求をするわけがない。逆に、検察官は、やましいことがないのなら、現場の様子を明らかにするすべての証拠を開示すべきである。
 また、闘争当日に殴打現場を過ぎて撮影された星野同志の写真では、殴打の痕跡などまったくない鉄パイプが握られていた。それを東京高裁は、3・30再審棄却決定に当たり、「鉄パイプの表面には不鮮明ながら損傷らしき痕跡が確認される」など許せないけちつけを行ってきた。弁護団は、「不鮮明」と言いながら写真を徹底的に鑑定しない裁判所を弾劾し、弁護団がそれを行うから「写真のネガの複写をさせろ」と要求しているのである。
 こうした弁護団の正鵠(せいこく)を射た反論と強力な要求によって、とうとう裁判官は検察官に証拠開示を促す発言をせざるをえなかった。
 星野同志奪還・全証拠開示要求の闘いは、日帝権力・東京高裁、東京高検との激しい大攻防に突入している。
 昨年2・5徳島刑務所包囲デモに続き、4波にわたる東京高裁包囲デモをたたきつけた。本年1、2月、『国際労働運動』2月号(「星野文昭さんは無実だ」総特集)の学習会を全国で繰り広げ、無実の星野同志にデッチあげ無期を強いている国家権力への怒りをさらに燃え立たせ、3月5日に第1波の東京高裁包囲デモを打ち抜いた。全証拠開示大運動は、全国の弁護士256人を先頭に780人を超える広範な賛同陣形を形成し、累計3万9317筆に及ぶ署名を東京高裁へ突きつけた。
 世界大恐慌と3・11情勢下、大争闘戦時代への突入の中で登場した極右反動安倍政権に対して、労働者階級人民の根底からの怒りが渦巻いている。国家権力の弾圧に屈せず、幾多の困難を踏み砕いて38年間の獄中闘争を貫く星野同志の闘いが、階級的労働運動、反原発闘争と一体となり、労働者階級人民の闘いを糾合する情勢が到来しているのだ。
 1〜3月闘争の地平の上に、全証拠開示を求める署名を職場、学園、地域で圧倒的に集めよう。「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」は4月22日、第2波の東京高裁包囲デモを呼びかけている。3者協議の地平を踏まえ、東京高裁と東京高検に全証拠を開示させるため、4・22デモに大結集しよう。
 (4月22日〈月〉午後1時30分 日比谷公園・霞門結集)
(写真 3月5日の東京高裁包囲デモで星野暁子さんを先頭に怒りを込め「全証拠開示」を迫った)

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週刊『前進』(2577号6面3)(2013/03/25 )

 柴田作治郎さん追悼

 星野奪還に最後まで尽力

 3月16日、今年1月に85歳でご逝去した柴田作治郎牧師の「告別の会」が、札幌の北海道クリスチャンセンターにおいて120人の参加で開かれました。
 関西から駆けつけた小柳伸顕牧師は、若き柴田さんが労働者階級解放の志に燃え、大阪に通って労働組合を回っていた逸話を紹介しました。在日韓国人の林炳澤さんは、入管攻撃と闘い続けてきたことへの謝意を表しました。
 星野暁子さんは心からあふれる感謝の気持ちを込めて、柴田さんの思い出を語りました。1996年に暁子さんは、文昭さんの母・美智恵さんとともに柴田さんを訪ね、「北海道星野文昭さんを救う会」の代表になってほしいと要請しました。「柴田が責任をもって引き受けます」との力強い快諾の言葉は、暁子さんと美智恵さんにとって本当にうれしいものでした。そして柴田さんは02年に全国再審連絡会議の共同代表に就任し、その責任ある立場を終生まっとうされました。06年には、徳島刑務所に赴いて文昭さんと面会されました。「柴田先生の遺志を継いで、必ず文昭を取り戻します」との暁子さんの誓いは、参加者全員の胸に響きました。
 柴田さんは函館市役所勤務をへて牧師となり、本州各地を転任して小樽市の比較的大きな教会に赴任しましたが、1980年代後半、解雇された国鉄労働者の支援に立ったために教会内外の圧力を受けました。意思を貫くために教会を去り、小樽望洋台伝道所を設立、さまざまな分野で活動を展開してきました。「自分も国鉄解雇者の1人だ」と地元の闘争団員を支え、階級的原則を曲げる国労本部の屈服をその都度真っ向から批判しました。
 星野救援運動においては、反革命カクマルによって「殺人者・星野に加担する現代のユダ」などと書き殴ったビラを道内の全教会に郵送されるなどの激しい攻撃を受けましたが、屈しないばかりか、キリスト者としての信念をもってカクマルをも諭す姿勢を貫きました。文昭さんの母・美智恵さんが亡くなったことは、柴田さんにとって大きな悲しみでした。
 その後、「文昭さんは最先頭で天皇制と闘っている」として、星野奪還の運動に最後まで全力で取り組むとともに、「市民運動だけでなく労働運動が立ち上がることで文昭さんを奪い返す」として、労組交流センターが星野同志奪還の闘いに取り組み始めたことに大きな期待を寄せていました。
 柴田さん、長年のご奮闘ごくろうさまでした。ご遺志を継いで、労働運動の再生と一体で全証拠開示の大運動をもって星野文昭同志を奪還し、国鉄決戦・反原発決戦で天皇制もろとも日本帝国主義を打倒します。
 (北海道・鈴木潤)

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週刊『前進』(2577号6面4)(2013/03/25 )

 ロシア革命の勝利に学び党活動の中心に『前進』を

 『革共同の機関紙活動』を読む D

 パンフ『革共同の機関紙活動』を読んでつかんだことは、「ロシア革命を勝利に導いたものはボルシェビキの機関紙活動にあった」「機関紙活動こそが環だ」ということです。革共同はレーニンに学び、レーニンを継承して、プロレタリア革命に勝利する環である機関紙活動を現代に生き生きとつくりだしているのです。
 毎週、毎週『前進』をつくっている同志がいて、全国に届ける同志たちの定期発行の必死の格闘があってこそ、全国の党員に当たり前のように届く。この『前進』を本当に大事にしようということです。編集局をはじめ『前進』のために闘っているすべての同志たちと心から団結したいと思います。
 『前進』に対する今までの認識を根本的に変えようではありませんか。『前進』は、われわれ自身そのものではないでしょうか。機関紙活動の変革とは、私たち労働者党員一人ひとりが『前進』との関係を変革することです。月曜配布を、読了を、そして自分の思いを込めた投稿を組織的な企てとして計画的に載せることです。
 パンフ『革共同の機関紙活動』の「第3章 学習資料」は、なるほどとうなずく点が多いです。
 特に感動したのは、ロシア革命の闘いの中での「合法日刊紙『プラウダ』を軸とする労働組合と労働者細胞建設の闘い」です。
「高揚する労働運動に対応するために合法日刊紙が発刊され、……『プラウダ』には毎号30通以上の手紙や記事が紙面の半分以上を占めた」「これらの手紙は、当該の経営、当該の仕事場、当該の兵役、または当該の工場地区の日常生活について述べていた。勤労者がこうむっている困苦や侮辱のすべてが、素朴な言葉で語られていた。全体としてみて、これらの手紙は、勤労大衆がなめさせられていた耐え難い不幸や困苦の情景を伝えていた。これらの手紙は、のちに強大な大革命となってほとばしりだしたあのうっ積し次第に高まっていった抗議を、他のなによりも反映していた。この新聞は、勤労大衆の偉大な教師となった」
 党活動の中心にこのような機関紙活動を据えることによって、ロシア革命は勝利しました。
 機関紙活動とは、労働者全体を対象にして、バラバラにされている労働者の思い、怒りの声、生きるための叫びを、階級の共同の意志にまで高めることであり、階級の眠らされている力を引き出し、自己解放的に組織することだと思いました。
 3・11反原発福島行動が1350人の大結集で打ち抜かれました。この勝利を引き出したのも『前進』でした。5週連続で掲載された福島の訴えは本当に感動的で、これを読んだ仲間が年休をとって結集しました。ある職場では、組合で3・11賛同を決め、40部の『前進』を配布して、1人の仲間が職場からともに参加しました。『前進』が党を組織し、闘いを組織し、労働者階級全体を組織することを、3・11への取り組みの中で実感をもってつかんだことが決定的です。
 独自の配布網をつくる闘いは、新たな可能性に満ち満ちています。しかし、多くの読者への配布は一人ではできません。仕事が忙しい時は、細胞の同志、定期購読者に依拠して配布しなければなりません。まさに配布活動こそ、党と読者、すべての労働者階級を団結に組織する闘いです。
 3・11報道号をすべての参加者、オルグしたすべての人に配布し、機関紙拡大闘争の大前進をつくりだそうと思います。被災地に革共同と階級的労働組合を強大に建設していく、その環に機関紙活動をすえて闘います。
 (宮城・機関紙担当Y)

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週刊『前進』(2577号6面5)(2013/03/25 )

【要項】前進社不当捜索国賠訴訟

 前進社不当捜索国賠訴訟
 3月29日(金)午前11時
 東京地裁415号法廷

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