SANRIZUKA 日誌 HP版   2000/09/01〜30      

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 2000年9月1日〜30日
                          〔週刊『三里塚』編集委員会HP部責任編集〕

                                    週刊『三里塚』
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(9月3日) 反対同盟 現地月例闘争

 反対同盟と三里塚闘争支援連絡会議(現地に団結小屋をもつ支援者団体=中核派、解放派、戦旗派、蜂起派)は9月3日、東峰十字路近くの開拓組合道路に40人で集合し、東峰から天神峰までのデモンストレーションをおこなった。
 北原事務局長はデモに先立つあいさつで、天神峰団結街道封鎖に対する成田市への抗議闘争(8月31日)の結果を報告、さらに「東峰神社の立ち木伐採を阻止するため、同盟は実力闘争でたたかう決意だ」「本格化した軒先工事とりわけ天神峰・市東さん宅裏でのトンネル工事、東峰の小見川県道う回道路着工策動を許さない」と強調した。

(9月4日) 成田市長、空港共生財団と対立/「近く解決する」との見解(9/5読売、産経等)

 成田空港周辺での騒防法適用対象外の地域の騒音対策を実施している「成田空港周辺地域共生財団」(藤沢昌三理事長)は、シンポジウム・円卓会議の結論を受けて設立された。基本財産6億円、運用財産100億円でそれぞれ半分を空港公団、25%を県、残りを成田市など周辺市町村が拠出した。
 この財団の騒音測定事業の費用負担をめぐり成田市と財団が対立している問題で、成田市の小川国彦市長は4日、同市議会の一般質問に答え「現在、協議に入っているところで早晩解決するだろう」と語った。具体的な協議内容は言及しなかった。
 この問題は、同事業の費用分担について、受託事業として自治体からの負担を求める財団と、財団の運用財産からの事業費の捻出を主張する成田市が対立しているもので、財団が立て替えたシステム整備費9600万円と年間運用費約2100万円の回収が滞っている。
 成田市の小川市長は今年の5月に要望書を提出。この中で「受託事業に固執するのであれば、当市としても財団との関係を根本的に考えざるを得ない」との厳しい姿勢を示していた。これに対して、財団側は「空港公団や県が成田市と協議しているが、受託事業の方針は変わらない」としている。

【本紙の解説】
 成田市の小川市長が文句をつけているのは、「運用財産のうち60億円が基金とされ、騒音対策などの財団の事業には残の40億円しか充てられていない」という財団の財政運用の問題である。しかし、本当のところは「市などが負担している財産が、県OBの理事長の報酬などの経費に必要以上に使われている」ことに不満がある。県の職員OBの藤沢理事長は非常勤で、名目だけで給料を取っている。このことに成田市側が不満を表明しているのだが、本音は「理事長」職を県からでなく、成田市から天下りさせたいとの思惑がある。
 県と成田市の薄汚い利権争いがおこるのは、空港と周辺住民との「共生」策のねらいが全面的に破産したことにある。成田において「共生」とは、すなわち空港反対闘争の解体である。シンポ・円卓会議の大ペテンをものともせず反対闘争が発展していることで、「共生」のウソが露見したのである。
 また、共生財団の内輪もめと同様に、「共生委員会」の見直しが叫ばれている。デタラメな見返り事業と金のばらまきで反対闘争を解体すること自体に無理がある。その結果、利権争いが表面化する構造になっているのである。

(9月4日) 「空の日」記念事業において「平行滑走路」でイベントと発表

 「空の日」「空の旬間」記念事業が、成田空港2500メートル滑走路予定地などを会場に、15日から24日にかけて開催される。運輸省、空港公団などでつくる成田地区実行委員会から4日に発表された。
 記念事業は全国約100カ所の空港で開催され、今回は成田空港がメイン空港に選ばれた。千葉市の幕張メッセでフォーラムも開かれる。
 2500メートル滑走路予定地でのイベントは23日、「スカイフェスタ2000・空の日オリンピック」と題して空港周辺7市町村の有志でつくる「空港圏住民会議」の主催で開かれる。すでに整備済みの南側約600メートル部分を利用し、アヒルレースや羊のロデオ、ブーメラン教室などを計画している。

(9月7日) 千葉県沼田知事 羽田国際化反対の要望書

 実川幸夫運輸政務次官は7日、成田空港や千葉港など千葉県内の運輸施設を視察。午前中には県庁を訪れ、沼田知事と懇談した。沼田知事は「空港」「港湾」「鉄道」など8項目について整備促進を訴える要望書を提出した。
 要望書で知事は、昨年12月に着工された成田暫定滑走路について、十分な機能を持った国際空港にするために当初計画の2500メートル滑走路として整備することを要望。また、羽田国際化は県民の生活を脅かす航空機騒音の発生や県経済への重大な影響が懸念され容認できないとして、「成田は国際、羽田は国内」という原則の堅持を改めて求めた。
 実川運輸政務次官は「暫定滑走路の工事は順調に進んでいる。できれば基本計画通りにしたい。運輸省でも努力するので県も協力してほしい」とあいさつした。

(9月7日) 台湾エバー航空 羽田乗り入れ

 台湾に本社を置くエバー航空が7日、羽田−台北路線の運航を開始した。78年の成田暫定開港後、羽田乗り入れの国際線は台湾の中華航空だけとなっていたが、国際定期便の乗り入れは2社目。
 エバー航空によると、木、日曜の計週2往復運航するが、将来は便数を増やすことを希望している。エバー航空は1989年に設立された台湾第2の航空会社。ニューヨークなど30数都市に乗り入れており、日本では関西、福岡空港に定期便を就航させている。

【本紙の解説】
 運輸省はエバー航空の羽田の乗り入れを、千葉県の「反対」を押し切って羽田国際化を実現する突破口にしようとしている。羽田の国際線は現在、台湾の中華航空だけである。同じ台湾とはいえ、エバー航空が新規に就航することは、国際化論議を進展させたいという思惑以外の何物でもない。
 7月4日の台北での日台航空路線交渉の合意内容は、台湾の航空会社は2002年5月に予定される成田暫定滑走路の完成後、現在の羽田から成田に運航拠点を移すことであった。また、エバー航空も就航すると発表された。この合意全体は中国の成田、台湾の羽田という「棲み分け時代」が2002年に終わるということであった。
 しかし、背後で羽田国際化推進の突破口という狙いねらいもあった。千葉県はエバー空港の羽田乗り入れにかんしては、外交関係の問題もあるのか、ビジネス機の羽田発着反対のような異議は申し立てていない。

(9月8日) 森田運輸相 ゼネコンから500万円の献金

 運輸相の森田一代議士が、自分が代表を努める党支部で、関空・中部国際空港や運輸省発注の公共事業を多数請け負うゼネコン東洋建設から、99年に500万円の企業献金を受けていたことが、昨年分の政治資金収支報告で分かった。さらに森田運輸相は、96年−98年の3年間にも別の党支部をトンネルに使い、同社から1600万円もの献金を受けていた。
 東洋建設から森田運輸相に渡った献金は、昨年までの4年間で計2100万円。同社では「自民党への献金で、特定政治家あてのものではない」としている。
 森田運輸相は「法律に違反するものではない。東洋建設から何らかの依頼を受けたこともない。誤解を避けるために運輸相在任中は東洋建設からの献金は遠慮したい」とコメントしている。

【本紙の解説】
 森田運輸相は、着任以来積極的に空港建設政策を推し進めている。とりわけ地方空港は、採算割れがはっきりしている空港でも調査、認可、着工を進めている。中部国際空港も国際航空運輸の需要実態を無視した、あらかじめの赤字空港である。森田はこの政治献金に見られるようにゼネコンの「ヒモつき」であり、空港整備と称した金のばらまきは今後も続く。

(9月9日) 国際航空貨物、運賃5〜10%値上げ

 日本航空や日本貨物航空などの内外の国際航空貨物各社は10月から日本を発着する航空貨物の運賃を5〜10%に引き上げる。昨年までの値下げ競争や燃料高により悪化した採算を改善するためだ。また、急増する貨物に対応する設備投資にむけた原資にしたい考えだ。
 日航は米州発日本向け運賃を平均5%(1キロ当たり約10〜20円)、欧州発を10%(約20〜40円)、アジア発を5%(約5〜15円)引き上げる。日本発の上げ幅は明示していないが、安値の貨物で5〜10%上げたい模様だ。
 航空貨物協会によると日本を発着する国際航空貨物量は7月まで17カ月連続で前年同月を上回った。増え続ける貨物量に対応するために、日航は9月に成田空港内で5000平方メートルの貨物施設を拡張、扱い能力を15%向上させた。

(9月9日) 反対同盟 10月全国集会の招請状を発出(本紙に先んじて、以下全文を掲載)

 招請状  三里塚芝山連合空港反対同盟

 全国の闘う仲間のみなさん。
 行きづまった平行滑走路のとりもどしをかけて、政府・空港公団は闘争陣形を崩そうと激しく攻撃しています。昨年秋、反対同盟は二年間の決戦を宣言しましたが、いま新たな決意のもとでこの攻撃に闘いを挑むとともに、全国のみなさんに総決起を訴えるものです。
 政府公団の空港建設はかつての強権的手段に完全に舞い戻りました。騒音と振動をふりまく軒先工事は土地強奪攻撃そのものです。その上に運輸省は、暫定滑走路の南側進入表面を九メートルも飛び出して飛行の障害となる東峰神社の立ち木の伐採方針を固めました。この秋にも東峰部落に対して伐採の同意を迫り、拒否回答に対しては来夏に航空法に基づく処分を強行しようと策動しています。東峰神社は部落のものです。立ち木を切り倒すことがどうして許されるでしょうか。運輸省・公団は計画段階で飛行の障害となることを当然にも承知していたのであり、工事の進展を口実にして神社に手をかけることで住民に屈服を迫ろうとしているのです。
 また団結街道の破壊攻撃が強まっています。郡司とめ婦人行動隊長の葬儀のさなかに、公団と成田市は機動隊を動員して団結街道を四百メートルにわたって封鎖しました。道路法に反して公示をせず、迂回道路の一部は空港外周に沿って造られました。この暴挙を放置すれば封鎖部分が廃止されることは必至です。市役所を徹底追及し原状に復することを確認させました。さらに生活区域を侵害する東峰迂回道路の着工がこの秋に策動されています。ここに現れたものは、住民の生活と営農を破壊する権利が行政にあるとする思い上がった意識です。
 自民党は土地収用手続きを簡素化する改悪法案を臨時国会に提出することを決めました。九月三日に行われた首都防災訓練では戦後初めて羽田空港に自衛隊機が飛来しました。暫定案は有事の際の軍事空港づくりです。三里塚・沖縄の土地強奪や民間施設の軍事使用が全国でも当然のこととされようとしています。
 これが歴史の逆流でなくて何でしょうか。新安保ガイドラインの具体化は戦争への道です。そのために三里塚や沖縄、北富士、日本原、関西など、戦争準備に反対し住民の権利を守る闘いを押しつぶし、動労千葉を始めとする労働運動を圧殺しようとしています。
 三里塚闘争はいままさに正念場です。運輸省は、来年度予算概算要求に平行滑走路(2500m当初計画)の予算を盛り込むことができませんでした。暫定案の提示と工事再開による地権者つぶしに失敗したからです。隠された矛盾はさらに噴き出すでしょう。ジャンボ機が飛べない短縮滑走路、着陸帯や進入灯の航空法違反、神社の立木伐採攻撃。シンポジウムや円卓会議で公言した「強制的手段はとらない」とする国の言葉の嘘がいまや満天下に暴露されたのです。
 国による人権侵害と生活破壊、戦争準備に、人民は絶対に屈しません。反対同盟は国家権力を向こうに回して一歩も引かず、暫定滑走路を粉砕する実力闘争に決起します。運輸大臣による違法な認可の取消請求訴訟など、あらゆる手段で闘います。十・八全国集会はこの新たな闘いへの総決起集会です。全国から大結集されるよう訴えます。
 二〇〇〇年九月九日

   記
【集会名称】成田空港暫定滑走路建設阻止 10・8全国総決起集会
【日時】十月八日(日)正午
【会場】成田市東峰・反対同盟員所有地
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟
(連絡先)事務局長・北原鉱治
  成田市三里塚一一五 рO476(35)0062

(9月9日) 成田市 公開質問状の回答を送付

 8・31成田市抗議闘争で手渡した公開質問状の回答書が9月9日、北原事務局長宅に送付されてきた。
 以下、全文を公表する。

【資料】公開質問状への回答書

三里塚芝山連合空港反対同盟 様
三里塚芝山連合空港反対同盟顧問弁護団 様
                           成田市土木部長
                      成田市土木部道路維持課長

         公開質問状の回答について
 2000年8月31日付で、提出された公開質問状につきまして、下記のとおり回答します。
                 記
1.について
 迂回道路は、市道十余三天神峰線の道路占有工事に伴い築造されたものであり、現市道を廃止するものではありません。
2.について
 8月31日付で告示しました。
3.について
 新東京国際空港公団及び千葉県から、道路法32条により申請書が提出されております。占有物件は、主要地方道成田小見川鹿島線の地下道並びに雨水排水管、共同溝等であります。
4.について
 区域変更の公示をすることが相当と判断されたため、8月31日付で告示しました。
5.について
 道路法32条に基づく申請が有効である以上、要求に応ずることはできません。
                               以上

【本紙の解説】
 以上が成田市の対応である。基本的に回答になっていない。とりわけ2項目と4項目が問題である。
 2項目の質問は「道路の区域変更の公示(道路法第18条、同法施行規則第2条)は、いつ、どのような形態をもって行ったか」ということである。つまり、変更の通知をやったのかどうか、という質問である。8月31日の抗議行動の後にやったということ自体は質問状の回答にならない。回答としては「道路の区域変更の公示を怠っていた」というのが回答であり、「怠っていた」といいたくないので、質問状提出後にやったことで質問状の回答にすりかえた。
 4項目の質問は「住民ならびに利害関係人に対して区域変更計画を周知させるため公示を行ったか。行ったとすればいかなる方法によってか。行わなかったとすれば、それはいかなる理由によるものか」である。
 「公示をすることが相当と判断したため、8月31日付で告示した」というのではおよそ回答になっていない。公示が相当という判断で、なぜ工事着工前に告示しなかったのか。その理由を質問しているのである。
 この成田市「回答」の姿勢は反対同盟と三里塚闘争を愚弄するものであり、許されるものではない。
 成田市は公示を怠った理由を明確にすべきである。質問書に回答できない理由を明白にすべきなのだ。
 成田市は一方で、東峰十字路を南北に通る道路の変更手続きを回覧板で事前に告示している。なぜ天神峰団結街道の変更について道路法を無視し、行政が違法行為に手を染めてまで告示しなかったのか、その理由を明確にせよ。

(9月13日) 革命軍、運輸省課長宅を火炎攻撃
      (詳しくは『前進』および本紙の次週報道を参照)

(9月13日) 成田空港―横芝間 来春から高速バス運行

 成田空港と九十九里浜の横芝を結ぶ「空港連絡バス」が、来春から運行されることが決まり実施計画を進めていることについて、13日芝山町・相川勝重町長の議会答弁で明らかになった。
 芝山、横芝、松尾、蓮沼の3町1村で組織する「芝山鉄道延伸協議会」で、来春4月1日から成田空港と横芝町の「海のこどもの国」を結ぶ高速の空港連絡バスが運行することを決定した。民間バス会社に業務委託し、大型バス2台の購入費や運行経費などの財源は、3町1村の地元と空港公団が負担することで合意した。
 同連絡会は、芝山鉄道の九十九里までの延伸を要望する地元自治体で発足した。今年の6月に、京成東成田駅―整備場前駅(仮称)へのう回ルートが関東運輸局に認可され2002年秋開業のめどがたったことから、住民の要望があった九十九里までの鉄道延伸の代替として、高速連絡バス案が協議されていた。

【本紙の解説】
 芝山鉄道は完全な赤字鉄道である。公表された試算で「開業16年目で単年度黒字、28年目で累積黒字」としているが、それも「1日の利用客数が5400人(空港勤務者4000人、住民1400人)」を前提にしている。現在の東成田駅の利用客は1日2000人で、そのほとんどが空港勤務者である。暫定滑走路が完成しても離発着回数は年間1万回程度であり、空港会社の整備関係部門のリストラと相互委託もあり、勤務者の増加は望めない。芝山鉄道は永久に採算割れの赤字鉄道になる運命なのである。地元自治体は「芝山町中心部までの延伸」、「九十九里浜まで延伸すれば」とか「横芝まで延伸し総武線に接続」とかいっている。すべて採算を度外視した地元の空港見返り要求である。
 今回の決定はこの芝山鉄道の再延伸の要求をすべて拒否したことに意味がある。その代替案が「高速バス」なのだ。このバスの財源と運営費は過半を空港公団が負担する。このバスも赤字だ。しかし同じ赤字でもバスと鉄道では金額レベルに大きな違いがある。そのため運輸省と公団は地元対策費としては安上がりのバスにしたのである。

(9月14日) 反対同盟 団結街道封鎖に抗議し、成田市へ再質問状提出

 8月31日、反対同盟は成田市役所に団結街道封鎖に抗議する公開質問状を提出。その回答(9月8日付回答書)を受け、再度質問状を提出した。以下全文を掲載する。

【資料】公開質問状(再質問)

 十余三〜天神峰線(通称・団結街道)の道路区域変更の件。

 成田市からの9月8日付回答は、8月31日付で告示したことのみを記載し、この時まで公示しなかった事実についてまったく言及していない。道路法18条等に違反することは認めたが、住民に対する謝罪の言葉は一言もなく、誠意は微塵も感じられない。
 住民は街道の封鎖期間がいつまで続くのかすら未だ知らされておらず、驚くべき無権利状態におかれている。通常、工事現場に設置されるはずの工事期間、工事内容、施工主、工事業者、道路使用許可を出した警察文書等を掲載した看板は、いまだ設置されていない。
 回答ならざる「回答書」の送達と、今も続く住民の権利侵害は言語道断であり、以下の諸点につき再度質問する。

1、実際に街道を封鎖し迂回道路の供用を開始したのは何月何日からか。
2、街道を封鎖してから、8月31日に迂回道路の供用を開始するまでの間、十余三〜天神峰線の道路区域はどこにあったとするのか。
3、街道を封鎖した時点で公示を行わなかったかったのは、いかなる理由によるものか。この点につき謝罪する意思はあるのか。
4、回答書の第4項目に記載の「公示をすることが相当と判断されたため」は道路法18条等に違反した事実を認めるものであると解するがそれでよいか。
5、道路法18条等に違反し、住民に工事内容や期間等を周知させずに街道を封鎖したことは重大な権利侵害である。よって即刻原状に復すことを要求する。
 以上、回答は書面にて9月22日までに、下記連絡先まで送達されたい。

2000年9月14日

成田市役所土木部長 殿
 同 道路維持課長 殿
                      三里塚芝山連合空港反対同盟
                            同 顧問弁護団

【本紙の解説】
 9月8日付けの回答書があまりにもデタラメであり、天神峰の住民である市東孝雄さんを無視するものであった。公示をしなかった理由について一片の回答もない。このことを再度質問したものである。また団結街道(市道・天神峰〜十余三線)の工事がいつまで続くかに関する知らせもまだない。

(9月15日) 東峰神社の杉伐採へ(9/15付東京)

 空港公団は、暫定滑走路南側に位置する東峰神社のスギの木(高さ約10メートル)を航空法上、同滑走路に離着陸する航空機の運航に支障があるとして伐採する方針を固めた。早ければ来年夏にも着手する。
 公団はすでに、神社の土地所有者と土地買収の交渉を始めている。神社は暫定滑走路の建設に反対する反対派の居住地にあり、神社とスギの木は地元住民(8戸)の共有財産。
 公団によると、問題となるスギの木は暫定滑走路予定地の南端から60メートルに位置し、同法の規定では高さ約1・2メートル以下の構造物しか認められていない。
 空港反対派の東峰地区区長の石井恒司さん(52)は「なぜ事前の説明がないのか。一方的に切るなら断固抗議行動をとる」と態度を硬化させている。
 島村昭治さん(53)は「氏神さまの神社のスギを勝手に切ってしまうなら、もうおしまいだよ」と不信感を表明した。
《公団の話》「神社の土地所有者に接触していることは事実だが、木の伐採についてはコメントできない」

【本紙の解説】
 公団がスギの伐採で具体的に動き出していることをが東京新聞の全国版社会面と千葉版で報道された。公団が「神社の土地所有者に接触していることは事実」と言明していることは重大だ。
 「土地の所有者と接触」というが、神社の土地・建物は部落総有であり、地元住民(8戸)の共有財産である。公団は、共有財産としては「神社とスギの木」としているが間違っている。神社は土地も含めて共有財産である。
 東峰神社は、当時東峰住民であった寺田増之助の土地の寄贈で建てられた。その時から神社の土地は部落総有となった。寺田が移転し、浅沼輝雄に家、畑などすべてを売却した際、登記上は神社の土地・建物、畑も一緒に浅沼名義にかわった。部落総有という認識もなく、そのまま登記したのである。浅沼は1969年に空港公団に所有権を売却したが、この時、神社の土地のみ分筆し現在もそのまま浅沼名義になっている。分筆の理由は、公団用地部が総有関係にあることを当然にも認識していたからである。

 東峰神社の土地は上記の経過から総有である。総有の所有関係と登記の関係は以下の通りである。
 「総有や入会権は、土地の近代的所有形態が確立する以前の所有形態であり、近代の登記に適せず、登記がなくとも第三者に対抗できると解されている。したがって、総有や入会権の取得はすべて慣習により、契約による取得は認めない趣旨と解されている」(本日誌8月24日付の「東峰神社の立ち木伐採強行を公団が決定」の「うんちく講座」参照)
 東峰神社の土地が総有であることは疑問の余地なく明らかだ。また現在の登記上の名義人が浅沼輝雄になっていても、彼には土地処分の権限はない。また公団がペテン的に土地登記を変えてもその効力はない。公団はこのことを百も承知で東峰神社の土地名義を公団に変えようとしている。これ自体が絶対に許されないことである。
 10月8日の反対同盟主催の全国集会をひとつの出発点に、この東峰神社のスギの木伐採をめぐる攻防が三里塚闘争の当面の最大焦点になることは間違いない。

(9月15日) 羽田空港から国際便が出発(9/16千葉日報)

 羽田空港からホノルルへ向かう国際チャーター便の日航機が15日夜、地元太田区民ら約350人を乗せて出発した。羽田空港からの国際チャーター便は1998年の太田区民のホノルル行きが最初でこれが2回目。チャーターしたのは大田区の「大田倶楽部・アロハフェスティバル実行委員会」。ハワイ州の招待を受け、現地で行われるフェスティバルに神輿(みこし)などで参加、20日夜帰国する。
 羽田国際化をめぐっては、運輸省が早朝、深夜に限って国際チャーター便運航を検討しているが、成田空港を抱える千葉県が空港利権消失を恐れ反発しており、今回の特例認可は運輸省が千葉県に「配慮」したものとみられている。

(9月15日) 首都圏第3空港候補地選定へ(9/15朝日)

 首都圏第3空港の候補地選定に向けた検討がようやく本格化する。必要性は早くから認められてきたが、第3空港が具体化すると成田空港に反対する運動を勢いづかせるとの懸念から、作業が遅れていた。
 運輸政策審議会(運輸省の諮問機関)の鉄道部会は今年の8月、空港へ向かうアクセス鉄道を整備する場合、都心部からの所要時間を30分台に押さえることを目標に掲げた。首都圏第3空港も「少なくとも成田より近く」が関係者の合言葉になりつつある。これまでの候補地には九十九里沖、鹿島灘沖といった東京湾外の地点もあったが、いまでは選択肢からはずされた。
 日本航空、全日本空輸、日本エアシステムの航空大手3社などでつくる定期航空協会は近く、首都圏第3空港は羽田再拡張で対応すべきとの提案を発表する。大手3社が足並みをそろえた理由はコスト問題。競争にさらされる航空業界では「建設費がかさみ、使用料などが跳ね上がった関西空港の二の舞いにしたくない」との声が強まっている。
 運輸省も東京湾内で候補地を選ぶことを決め、飛行経路の検討に入った。同省は「横田空域を所与のものとはせず論議する」として、在日米軍空域の見直しも視野に入れて作業を進める方針。
 運輸省は月内にも、学識経験者や自治体代表らを招いて検討会をつくり、候補地選定作業を本格化させる。2003年度からの第8次空港整備計画(8空整)に具体的候補地を盛り込むことを目指す。

【本紙の解説】
 東京湾内の予定候補地は、東京湾奥、木更津沖、富津沖、横須賀沖、中の瀬(本牧沖)、羽田再拡張と6カ所が浮上している。このうち東京湾奥か羽田再拡張の可能性が高い。次は本牧沖と木更津沖である。富津沖、横須賀沖は消えたのではないか。東京湾南側は横田空域と東京上空をさけるために、北側に離陸した飛行機が東側に旋回することを前提にしているからである。運輸省が「横田の空域を所与のものとはせず論議」ということは、北側に飛びたっても旋回せず、目的地のコースに乗ることを前提にしているからである。
 運輸省は、成田の暫定滑走路も2180メートル止まりで、それも東峰神社のスギの木にふさがれて1740メートルしか使えない。暫定滑走路が暫定滑走路に止まった場合の「保険」としてあった羽田国際化も千葉県の「猛反対」で宙に浮いたままである。2002年からのオープンスカイ政策(日米航空運輸の完全自由化)とアジア周辺諸国の国際空港整備が進む中で、日本は世界の航空網のローカル線になりかねない危機を迎えている。
 第3空港の作業開始は、成田平行滑走路が完成してからというのが運輸省のこれまでの基本政策であった。しかし空港整備計画の全面破たんが「成田空港反対運動を勢いづかせる」懸念があっても、ついに着手せざるを得なくなったのである。第3空港ができるのは10年から15年後だ。今日の国際航空運輸の危機に対応できない。
 比較的早めにできるのは羽田再拡張か、湾奥である。管制業務を羽田と連携し、工法をメガフロートにすれば、4〜5年で供用開始も可能である。この羽田再拡張と湾奥の障害は東京湾の船舶の航路と矛盾することと東京上空の騒音である。さらに米軍空域を前提にせずといっても、米軍との交渉は数年か、10数年を要する。
 いずれにしろ成田に固執したツケがまわり、満足な国際空港の整備ができなくなった。土地の値段と人件費の高さでアジアの空港に太刀打ちできない。

(9月16日) アジア最大国際空港、ミャンマーに開港(産経)

 ミャンマー中部にある第2の都市マンダレー(人口50万人)に、アジア最大級の滑走路をもつ新空港が17日、オープンする。敷地1万ヘクタール(成田が完成しても約1050ヘクタール)で滑走路は4267メートル。ジャンボジェット機の発着も可能で、年間300万人の利用客を目指すが、軍政と民主化勢力との政治対立もあり、いまのところ海外からの路線開設の予定はない。

(9月18日) 運輸省、団結小屋の使用禁止延長

 運輸省は18日、新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(成田新法。通称「成田治安法」)に基づき、成田空港の暫定滑走路用地内にある反対同盟の天神峰現地闘争本部など5か所の団結小屋に対する使用禁止命令を19日から、1年間延長することを決めた。
 命令の期限が18日で切れるための更新手続き。天神峰現地闘争本部は、1989年9月から使用禁止命令が出され、90年1月から封鎖処分となっている。残りの団結小屋は岩山団結小屋(芝山町岩山)、横堀要塞(芝山町香山新田)、三里塚野戦病院(芝山町朝倉)、菱田現地第一砦(芝山町菱田)の4か所。

【本紙の解説】
 政府・運輸省と警察権力の無法ぶりを示す処分延長である。天神峰現闘本部は反対闘争が始まった1966年以来、反対同盟農民の寄り合い所であり支援者の生活の場であった。成田治安法は1978年の成田空港暫定開港にともなって成立した文字通りの治安立法。「暴力主義的破壊活動者」と警察がみなした人物が、その建物に出入りしたという理由だけで、その建物を使用禁止処分にでき、それに従わないならば強制封鎖処分や除去処分(強制撤去)にできるという無茶苦茶な法律である。(成田治安法の違憲性は専門家の間では常識になっている。詳しくは青島幸男、寺田熊雄、矢田部理、江田五月、田英夫、葉山岳夫著『成田治安法に異議あり』破防法研究別冊を参照)
 この成田治安法は80年代後半の二期工事着工に際し、現地の団結小屋を暴力的に一掃する目的で乱発された。現地の支援者はこの時、20年来の生活拠点を一銭の補償もなく破壊され奪われた。この不当な処分が現在もなお続行されているのである。
 この種の治安立法がこの国で現に執行されている事実を知る人は意外と少ない。成田空港建設政策は、現在もこうした国家による不当な暴力行使に支えられているのである。

〔写真の説明・1989年9月に成田治安法による使用禁止処分が適用され、1990年1月に封鎖処分が適用された天神峰現闘本部。それ以来毎年治安法処分が更新されている。〕

(9月19日) 運輸省、首都圏第3空港の候補地選び本格化(千葉日報)

 運輸省は「首都圏第3空港」の候補地選定に向けて本格的に動きだし、月内にも「勉強会」を省内に設置、関係自治体、業界、学識経験者などでさまざまな検討を開始する模様。
 地元レベルで誘致の動きがあるのは、千葉県では富津市、神奈川県では川崎、横浜、横須賀の3市。
 富津市では富津岬沖などを想定し、97年に「富津市新空港研究会」を設置している。市議会でも「調査研究会」を設置したほか、98年度に「首都圏新空港影響予測調査」を実施している。調査結果や報告書を運輸省に提出し、誘致をアピールしている。さらに2000年7月に「富津市首都圏新空港誘致推進協議会」を立ち上げて、市と民間団体がそれぞれ誘致へ向け活発に活動している。
 一方神奈川県側では、県と横浜市、川崎市で構成する「空港対策研究協議会」が98年に運輸省に対して誘致の要望書を提出している。地元では横浜市、川崎市、横須賀市の商工会議所がそれぞぞれ、「横浜・本牧沖」「川崎臨海部沖」「横須賀・金田湾沖」への誘致を運輸省に要望している。
 運輸省では東京、千葉、神奈川などの7都県市との間で、情報の共有化と相互理解を目的とした「首都圏の空港に関する意見交換会」を96年に設置。これまで12回の会合を開いている。
 運輸省の深谷航空局長は「勉強会では、まず首都圏第3空港の必要性の議論から入りたい。首都圏の空港事情を十分に認識した上で、候補地の選定に入りたい」と慎重に検討を進める方針を示した。ただ「成田は現在、暫定平行滑走路の建設を進めているが、今は1本でなんとか運用している状況。羽田も満杯。首都圏の空港事情は、もう待ったなしの段階にきている」と述べ、早急に候補地を選定する必要性を指摘した。

【本紙の解説】
 これは、9月15日付朝日新聞の「首都圏第3空港論議」の後追い記事。
 運輸省としては、第3空港の選定は「慎重」に進めるが「待ったなしの段階」といっている。成田平行滑走路の破産、羽田国際化の頓挫(とんざ)で完全に追い詰められている。
 しかし、第3空港は埋め立て方式では10年以上かかり、浮体工法(メガフロート)でも最短で4〜5年はかかる。2002年からのオープンスカイ政策(日米航空運輸の完全自由化)には間に合わない。
 また、この2002年対策として計画していた成田の平行滑走路が暫定滑走路の2180メートルに止まり、当初計画は絶望となっている。したがって、運輸省としてできるのは、羽田(昼間も含めた)国際化と、騒音のために基本的に禁止されている新A滑走路北側の離着陸の全面解禁である。
 第3空港論議は、本来は将来の必要性からくる問題であり、それは10年、20年先の供用計画である。しかし、運輸省にそんな余裕はない。
 そもそも成田空港そのものが、富里空港案(滑走路5本の計画)が白紙になり、富里空港の約半分の機能で妥協した「暫定空港」であると、1966年当時にいわれていた。ベトナム戦争のために羽田が米軍のチャーター機で満杯なので暫定的に成田は建設するが、本格的国際空港がただちに必要との論議だったのである。
 つまり、成田空港は二期工区(平行滑走路と横風滑走路)も70年代中頃には完成している予定であった。運輸省としてはただちに第3空港に着手し、これも80年代後半には完成する予定だったのである。
 千葉県は、羽田国際化とともに第3空港論議にも反対である。運輸省は第3空港の候補地を千葉県に振るかのような論議をちらつかせ、千葉県の羽田国際化反対を黙らせようという考えがある。現在的には第3空港の最有力候補は「富津沖」といわれている。この論議で千葉県を抱き込み、「首都圏の空港事情を十分に認識」させ、「候補地の選定に入りたい」といっている。国際空港は成田だけであるとする千葉県を押さえ込みたいのである。第3空港論議と羽田国際化に反対するなら富津沖案はないという千葉県への中央官庁としての恫喝(どうかつ)である。
 だが、第3空港は時間の問題もあり、浮体工法(メガフロロート)で羽田再拡張か、羽田と連携した東京湾の湾奥しか選択肢はない。これは、経団連と東京都が強烈に推進している。横須賀沖、本牧沖、富津沖、木更津沖はない。川崎臨海部沖は羽田拡張案の一部として検討されている。
 いずれにしろ、日帝は成田空港にかかわった年数分だけ空港整備が遅れ、国際航空運輸の国際競争に立ち遅れている。そのため、IT(情報技術)とともに現代産業の中心核である航空宇宙産業(エアロスペース)で、日帝はアメリカにまったくかなわないのである。

(9月19日) 「スカイフェスタ2000フォーラム」開催

 90年前に日本ではじめて飛行機が飛んだ日を記念する9月20日の「空の日」の記念行事の一環として19日に千葉市の幕張メッセで「スカイフェスタ2000フォーラム」が開かれた。フォーラムでは「21世紀に求められる空港」をテーマに基調講演とパネルディスカッションが行われた。会場には泉信也運輸省総括政務次官、沼田千葉県知事、中村徹公団総裁らも参加した。
 開会の前後に沼田県知事は、泉運輸総括政務次官、成田空港周辺市町の首長と相次いで懇談した。
 沼田知事は懇談で、「首都圏第3空港の論議も出ているようだが、これまでの考え方を踏まえてほしい。成田空港については本来の国際空港として整備してほしい」と述べ、暫定滑走路を当初計画の2500メートルで早期完成を目指すように求めた。さらに、沼田知事は今月15日に羽田空港を出発したハワイ・ホノルル行き国際チャーター便の運航を認めたことは「あくまで特例であり、羽田の国際化には反対する」との立場を強調した。
 また、泉次官は千葉、茨城の空港周辺17市町村長と懇談し「空港周辺の市町村にはいろいろ力添えをしてもらっている。現在暫定滑走路の整備を進めているが、またいくつも越えなければならない山がある。本来の2500メートルの完成に向けて一層努力する」と述べた。

【本紙の解説】
 千葉県の沼田知事は、羽田国際化反対、第3空港論議反対を運輸省に対して言いまくっている。また、成田空港の国際空港としての完成、暫定滑走路の当初計画の2500メートル化を相変わらず要求している。しかし、2001年度予算の概算要求では2180メートルの暫定滑走路分しか要求されていない。2002年での2500メートルへの延長は運輸省方針として考えていない。
 また、周辺自治体首長は運輸省との懇談で、騒音対策と称する空港見返り予算の要求を出している。彼らは空港の存在を金を引き出す材料としてしか考えていない。まったく相変わらずである。

(9月20日) 「空の日」成田空港の整備地区でジャンボ機と綱引き

 「空の日」の記念事業で富里町内の8つの小学校から769人が参加し、ジャンボ機の体験飛行とジャンボ機との綱引きが整備地区で行われた。

(9月22日) 成田市、反対同盟の再質問状に「回答せず」

 団結街道封鎖攻撃についての反対同盟の再質問状(9月14日付の三里塚日誌参照)の回答期限は9月22日である。しかし、成田市は何の回答も出さないでいる。市は自らのミスを無言で乗り切るつもりか。これは成田市が公団以上に反対同盟との敵対関係に入ることを自ら表明するものである。

(9月23日) 滑走路予定地でスカイフェスタ

 9月20日の「空の日」に合わせた記念行事の一環としてスカイフェスタが23日、成田空港内の空港中央広場をメイン会場に開催された。また、平行滑走路南端では「空の日オリンピック」が開催された。主催したのは空港周辺の7市町の住民で作る「空港圏住民会議」のメンバー。同会議は空港を中心にした地域づくりのひとつとして空港圏駅伝を過去7年開催してきたが、今年で終了。今年は「これまで問題となってきた平行滑走路を一度は見たいと思う人は多い。一般の人が参加できるイベントで実現したかった」として企画した。
 最後に「今後も空港圏の住民が一致団結して、魅力あふれる地域と空港圏づくりを進めよう」とのメッセージを表明した。

【本紙の解説】
 公団の「周辺地域対策」の一環。今年は「空の日」のイベントを平行滑走路の南端まで「解放」して開催した。富里の小学生をジャンボ機に乗せるという大サービスまでした。
 しかし、公団は成田市と連合し、団結街道(成田市道・十余三―天神峰線)の工事を騙し討ち的に強行し、「空港に一番近い」周辺住民である敷地内住民・農民をたたき出そうとしている。ここに公団の周辺住民対策なるものの本質がある。
 空港は巨大な騒音源であり事故多発地帯である。さらに、日帝が戦争を開始した場合は最大の軍事拠点であり、敵側から見れば第一級の攻撃ターゲットである。弾道ミサイルや巡航ミサイルは、民間の国際空港に照準を合わせて設置されている。これは常識である。
 空港はあらゆる意味で周辺を無人にしていく存在である。成田の内陸空港の失敗で、その後の空港計画が海上空港になっていることにそれは現れている。巨大ジャンボ機が主流の国際空港は、周辺住民との「共存」「共栄」「共生」はありえない。諸外国の空港もそのような傾向を明確にもっている。

(9月25日) 「羽田―ソウル」シャトル便無理、運輸事務次官会見

 梅崎寿・運輸事務次官は25日の定例記者会見で、日韓首脳・外相会談で取り上げられた羽田―ソウル間のシャトル便運航構想については「非常に難しい問題。羽田空港は昼間は国内線で一杯だ」と説明。2002年5月に供用開始する成田空港の暫定滑走路で「韓国との輸送需要の増強をはかりたい」と述べ、「それまでは関西国際空港の活用も選択肢の一つ」との見解を示した。また、韓国だけに羽田空港を開放すれば国際民間空港条約(シカゴ条約)違反になり、米国などに羽田開放を求められることにもなるとの見解を示した。
 羽田乗り入れを求める韓国の動きに一部航空会社は色めき立っている。暗礁に乗り上げている羽田空港国際化への突破口になるからだ。発着枠も予備枠や公用機用の枠の一部を使えば可能との案もあり、航空業界で論議になっている。
 議論は12月の航空当局の協議に持ち込まれるが、運輸省は「議題にしても、難しい」との立場だ。関係者の間では「W杯の開催期間に限定して認めれば理屈が通るのでは」(全日空幹部)との声もある。

【本紙の解説】
 日韓シャトル便は昨年10月の日経連の奥田発言、日韓閣僚懇談会で政治的課題として浮上したが、それ以前から問題になっていた。暫定滑走路建設(2002年5月供用予定)の最大理由は、同年のサッカーW杯開催であった。これにより国際線全般とりわけ東京−ソウル便が一時的に急増するとの予想からであった。日韓シャトル便はこのときから非公式に問題になっていた。
 運輸省は暫定滑走路が完成すれば羽田国際化問題もクリアーできると考えていた。それが千葉県の横やりでとん挫し、国際問題に発展した。
 運輸省は暫定滑走路の表向きの必要性をW杯に求めていたが、W杯で急増する乗客をさばくにはジャンボ機以外にない。ジャンボ機が飛ばせない2200メートル暫定滑走路では、その用をなさない。つまり、暫定滑走路建設の理由は、実はW杯ではなかったのである。暫定滑走路の建設のうえに羽田国際化と構想した運輸省の政策の破綻がこうした結果を招いた。W杯を暫定滑走路建設の理由にしたのに、W杯のための日韓シャトル便に難色を示すこと自体が矛盾している。

(9月26日) 天神峰団結街道の再質問状への回答

 9月22日期限で回答を要求していた反対同盟の再質問状(9月14日付の日誌参照)に対して、9月26日付で回答文が届けられた。以下はその全文。

【資料】公開質問状(再質問)への回答書

三里塚芝山連合空港反対同盟
       事務局長 北原鉱治 様
三里塚芝山連合空港反対同盟弁護団
       事務局長 葉山岳夫 様
                                     成田市土木部長
                                     成田市土木部道路維持課長
公開質問状(再質問)の回答について
 2000年9月14日付で、提出されました公開質問状(再質問)につきまして、下記のとおり回答致します。
                     記
 市道十余三天神峰線の道路占有工事に伴う迂回路の設定につきましては、従来の認定道路の代替えとして利用されるべく設け、且つ皆様にご利用いただき、その後速やかに告示行為を為したところであります。本件迂回路の設定は、道路占有工事にとって必要不可欠であり、現段階において原状回復することはあまりにも損失のみ多いこと等を考慮しますとご要求には応じかねますので、ご了承くださるようお願い申し上げる次第です。

【本紙の解説】
 再質問状の第3項「街道を封鎖した時点で公示を行わなかったのは、いかなる理由によるものか。この点につき謝罪する意思はあるのか」に対する回答が「その後速やかに告示行為を為したところであります」というのは、公示をしなかった理由でもなく謝罪もない。文章上では道路法18条違反も認めていない。
 また、道路占有許可の期限はいつまでか。街道の封鎖期間がいつまでかという質問にも答えていない。
 成田市は、原状回復には応じかねるといっている。暫定滑走路のトンネル部分が完成しても、団結街道(十余三―天神峰線)を元の位置に戻すといっていない。現在の「迂回路」は空港外周道路である。工事完成後は成田市と公団は「迂回路」を正式な市道としようとしているのである。成田市は「迂回路」などといって、反対同盟をペテンにかけているが、団結街道を破壊し、空港外周道路を十余三天神峰線にとってかえようとしているのである。
 そうなると成田治安法で封鎖されている天神峰現闘本部への道はなくなることになる。封鎖中とはいえ現闘本部は反対同盟の所有であり、使用権は存続している。道路封鎖によって使用不可能状態を固定化させようとのねらいだ。
 成田市は公団と一体化している。「路線は廃止しない」といいながら、団結街道の破壊・封鎖を反対同盟に強制している。現闘本部への通路をなくし、市東さんの畑に行くには空港外周道路の外側に遠回りするほかはないという魂胆だ。成田治安法攻撃以上の三里塚闘争への敵対である。成田市の犯罪的行為を絶対に許してはならない。

(9月26日) 首都圏第3空港の調査研究会/第1回会合開かれる

 第3空港の候補地選定作業を進める「首都圏第3空港調査検討会」(座長、中村英夫・武蔵工業大学教授)第1回会合が26日、運輸省で開かれた。学識経験者や地方公共団体代表、航空会社など20人が出席した。
 多くの学識経験者や東京都から、第3空港は「国際空港としての検討が必要」との意見がだされた。また、第3空港は「海上を中心に検討」が前提で、東京湾内に複数の立地案があるが、航空会社から「利用者利便や建設コスト、空港整備の投資分散を避ける観点から、羽田空港の再拡張を検討してほしい」との意見がでた。検討会は今後2、3カ月に1回会合をもち、年度内に複数の候補地に絞る予定。

(9月26日) 成田用水裁判/最高裁判決で上告棄却決定

 成田用水の水路建設は反対同盟の鈴木幸司さんの所有地を侵害し、田んぼの一部を破壊した。その所有権確認と損害賠償などを要求していた訴訟で、最高裁第三小法廷は26日、原告側上告の棄却を決定した。

(9月27日) 反対同盟員・小川徳太郎さん逝去
(9月29日) 葬儀 (本紙次号参照)

(9月27日) 日本船主協会、羽田拡張に注文(9/28日経)

 日本船主協会の生田正治会長(商船三井会長)は27日の記者会見で運輸省の「首都圏第3空港調査検討会」で航空会社が羽田空港の再拡張の検討を要望した問題で「船舶の安全運航を十分に確保してほしい。計画が具体化する過程で海運業界の意見を言っていきたい」と注文をつけた。羽田沖合は日本でもコンテナ貨物の取扱高がもっとも多い大井埠頭の基幹航路となっている。

【本紙の解説】
 羽田拡張の障害は、北側離発着の騒音問題、横田空域との競合、船舶航路問題の三つといわれている。日本船主協会が「具体化する過程で意見を言いたい」ということは、船舶航路問題は解決可能であることを示している。海運業界の指導官庁は運輸省であり、省内調整が可能である。またこのような動きは、羽田拡張が本決まりに近いということを示すものか。

(9月28日) 公団総裁定例記者会見 東峰神社の立ち木調査へ

 中村徹公団総裁は28日の定例記者会見で「暫定滑走路の工事は順調で、予定通り2002年5月に供用開始できる見込みだが、あくまで当初計画の2500メートルでの建設を目指し努力している」と話した。しかし、未買収の用地交渉については「努力はしているが厳しい」との見解。
 工事はこれまで谷地部分の造成工事や成田小見川線県道のトンネル工事などが順調に進み、スケジュールでは2001年早々に滑走路部分の舗装工事が始まり11月に完成予定だという。
 また、暫定滑走路が違法な空港だという空港反対派の論拠のひとつとなっている東峰神社杉の木問題について、「滑走路の運用に障害があるかどうか、まだ調査も検討もしておらず、対応については答えられない」と述べた。しかし、杉の木が着陸時の安全確保のために設定されている侵入表面を超えるかどうかを含めて調査・研究する考えを明らかにした。また、障害があると判断された場合は「関係者の方々に十分説明しなければならない」として、問題解決のために地権者や東峰地区の農家などの理解を求めるよう努力していく姿勢を示した。
 一方、日韓シャトル便については公団総裁として「韓国側は『ソウル―東京』と言っており、成田か羽田という問題ではない。『国際線は成田、国内線は羽田』との従来の枠組みの中で、シャトル便が実現した場合は成田空港が利用される」との見解を示した。
 第3空港の本格的な調査検討が始まったことでは、「その必要性や将来性をよくみて、どんな空港をつくるのかをまず明確にすべきだ」とした上で、「空港をつくることを先行すると将来に禍根を残す」との個人的見解を示した。

【本紙の解説】
 公団総裁の中村は、東峰神社杉の木の問題で、暫定滑走路の着陸時の進入表面を超えるかどうかこれから調査する、というふざけた態度に出ている。杉の木が暫定滑走路に障害があるとすると、暫定滑走路の申請と認可に問題があり、違法空港の建設になるからである。正面きってこのことを問題にすると自分の首を絞めることになる。
 着陸帯南端から東峰神社の距離は60メートル、進入表面は50分の1の勾配。東峰神社の位置では高さ1・2メートル以上の物件はすべて航空法違反となる。調査検討する以前の問題だ。杉の木は10メートル以上ある。
 暫定滑走路の計画自体が航空法に触れることは明白であり、無視すれば危険空港になる。そのままでは暫定滑走路は1740メートルしか使用できない。運輸省・公団は、違法空港建設の問題を東峰の産土(うぶすな)神社の杉の木を強制的に伐採することで「解決」しようとしているのである。
 日韓シャトル便の韓国側要求は羽田空港の開放である。にもかかわらず、公団総裁は成田離発着を主張している。だが、暫定滑走路ではジャンボ機は使えず、さらに杉の木問題で滑走路が1740メートルしか利用できないので、「成田―ソウル」シャトル便の主張も弱い。成田離発着は可能性もないので、日韓シャトル便の権益が羽田に横取りされることに反対しているのである。また、日韓シャトル便が羽田国際化の突破口になることを恐れている。

(9月28日) 日航、営業益34%増(9/28日経)

 日本航空の2001年3月期の連結営業利益は前期比34%増の600億円になる見通しだ。欧米路線のビジネスクラスの旅客需要の回復、国内線の単価上昇が寄与し、燃料費の高騰を吸収して増益となる。

【本紙の解説】
 日航の営業利益の増益見通しは、 ビジネスクラスの旅客需要の回復、国内線の単価上昇となっているが、実際は、分社化による大合理化とリストラがようやく営業利益の上昇につながってきたことによる。航空業界の規制緩和と競争の激化は、人件費をはじめとした経費の削減を極限まで進めるものである。そのことが原因で、アメリカでは80年代に事故が続出した。その二の舞いが心配される。

(9月28日) 那覇空港で着陸全面禁止/進入路でコンテナ船座礁(9/28琉球新報)

 28日午前7時10分ごろ、那覇新港を出港したコンテナ船が座礁した。座礁した場所が航空機の北側進入路の真下に当たることから、運輸省那覇空港事務所は28日午前10時45分、同空港への着陸を全面的に差し止め、離陸も一部制限した。午後からは南側からの有視界飛行による着陸を日没まで条件付きで再開した。離陸は南側のみ認めていた。
 コンテナ船の座礁地点は滑走路北側の沖合850メートルの空港突入路の真下である。コンテナ船の高さは42メートルで、同位置の進入表面の高さは15メートル。コンテナ船の上部が27メートルもはみ出している。

【本紙の解説】
 那覇空港の問題であるが、東峰神社の立ち木問題が焦点化している成田暫定滑走路に関わる観点から解説していこう。
 進入表面の高さが15メートルでコンテナ船の高さは42メートルなので、進入表面の2.8倍の高さである。
 東峰神社は着陸帯から60メートル地点の直下である。進入表面は1.2メートルである。スギの立ち木は約10メートルである。進入表面の8倍以上である。したがって、立ち木を伐採せずに暫定滑走路を2180メートルとして、IATA(国際航空運送協会)に登録した場合は、暫定滑走路は使えない。伐採しない場合は、南側進入は1740メートルとして登録しなければならない。
 結局、暫定滑走路を2180メートルで認可したこと自体が航空法違反である。この違法を取り繕うために、航空法による仮処分にまで訴えて東峰神社の立ち木を伐採しようとている公団の姿勢は言語道断である。
 運輸省・公団は、暫定滑走路計画の認可が違法であったことを認めるべきだ。

(9月30日) 団結小屋退去を要求/土地提供者が活動家を提訴(10/1産経)

 労活評団結小屋(芝山町香山新田)の敷地所有者が、団結小屋に常駐する活動家を相手取って退去と土地の明け渡しを求める訴えを千葉地裁八日市場支部に起こしていた。
 訴えているのは富里町に住む男性(51歳)。空港反対運動を展開していた男性の父親は71年、団結小屋建設のために空港二期工事予定地に隣接する所有地を提供したが、その後、反対運動から離れて富里町に移転した。最近になって土地所有者の男性が小屋の解体を決意し、活動家に退去を求めたが、活動家が拒んだため今年7月に提訴した。
 活動家は「断固闘う」と反発し、あくまで居座る姿勢を示している。

【本紙の解説】
 昨年から労活評の小屋の撤去要求はでており、今年の冒頭から問題化してきた。団結小屋の土地所有者は、富里町十倉の水道工事業の尾野氏で、71年9・16東峰十字路闘争(警察官3人が死亡)の被告である。彼は「反対闘争とのかかわりにけじめをつけたい」として撤去を要求しているが、そんなきれいごとは通らない事情がある。
 尾野氏は9・16闘争の被告だが、逮捕後に全面自供し仲間を売った裏切り分子である。9・16裁判で有名な「並木調書」「尾野調書」の尾野である。事実無根のことも「自供」し、9・16のデッチあげ逮捕を拡大した張本人である。権力による自白強要に完全屈服、反対同盟破壊の先兵になった人物である。獄中で仲間を売り全面屈服した尾野氏には、「闘争のけじめ」は永遠につけられない。つけようがないのだ。元の問題であり、尾野氏が再び、闘争破壊行為に手を染めるのであれば、その責任は厳しく追及されなければならない。
 実は尾野氏の本音は、事業不振で金がほしいということにすぎない。具体的には、昨年から問題になっている横堀地区の二期工事用「建設センター」と、工事用道路の建設計画に協力し、その見返りがほしいということだ。道路工事は99年9月から始まり、建設センターは来年4月着工するといわれている。これは、暫定滑走路を当初計画の平行滑走路にして実質3700メートルにまで延長する工事の始まりである。さらに横風滑走路建設に着手する準備である。
 尾野氏は、このために土地買収に応じる「決意」をしたのである。「けじめ」をいうなら、裏切りの責任をとってもらわなければなるまい。闘いは現在も続いているのだ。

 

 

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