SANRIZUKA 日誌 HP版   2001/11/01〜30    

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

 

 2001年11月

 

〔週刊『三里塚』編集委員会HP部責任編集〕 

(11月6日) サベナ航空が破産(11/7日経夕刊)

 ベルギー国営サベナ航空は6日夜、会社更生法に基づく再建計画作りを断念し、7日、ブリュッセル商業裁判所に破産を申し立てた。裁判所は破産申し立てを受け、7日中に同社に破産を宣告、破産管財人を指名する。管財人はサベナの営業権売却など清算手続きに入る。従業員1万2000人はいったん解雇する。
 欧州は各国に国営、旧国営航空が存在、過当競争に陥っている。ベルギー政府はサベナ支援を模索したが、欧州連合(EU)の欧州委員会が域内の公正な競争を阻害すると拒否し、破産につながった。欧州委は今後も同政策を継続する考えで、欧州の航空業界は淘汰・再編の時代に入った。

 【本紙の解説】
 9・11以降、欧州の航空業界はルフトハンザ、エア・フランス、ブリティッシュ・エアーの3社への統合再編が一挙に進む情勢に入っている。この3社のメガキャリアに欧州域内便専門の格安航空会社のライン・エアー(アイルランド)やイージージェット(イギリス)などがどう対抗していくのかが焦点になっている。3社以外の国営、旧国営航空のフラッグキャリアはすべて淘汰されるといわれている。
 問題は欧州内の競争だけではなく、政府援助を背景に米国の航空会社が欧州の航空業界の再編に介入し、シェアを広げようとしていることだ。大西洋路線、欧州域内路線をふくめ、熾烈な競争、それも「戦争」的競争になっている。
 日本でも、JTBグループの海外格安航空券専門店がニューヨーク旅行3泊5日2万円(ホテル代と往復の航空券)を、帰国後5日以内に日本語で400字程度の現地レポート提出を条件に募集し始めた。通常価格なら10万円以上のパックツアーである。航空会社と旅行業界が海外旅行需要落ち込みを盛り返そうというダンピング商品である。
 太平洋路線、大西洋路線、米国内、欧州域内、アジア路線の全航空路線で、各航空会社が旅行会社を巻き込んでつぶし合いの競争に突入した。

(11月7日) テロ対策費80億円 空港警備強化など(11/8毎日、読売、東京千葉版、11/7日経夕刊)

 国土交通省は7日、2001年度補正予算要求でテロ対策に80億円を要求した。海上保安庁の小型巡視艇の増設や、成田、関西国際空港などの保安検査場の増設などが主な柱となっている。
 補正予算のテロ対策費で成田空港に関する予算は7億円で、空港公団は来年度予算の前倒し分を加え、総額35億4000万円でハイジャックやテロ対策の強化を行うことを発表した。
 主な事業は、(1)来年四月の暫定滑走路供用に備えて、ハイジャックされるなどした航空機を隔離して留め置くための駐機場を第2旅客ビル北側に整備する事業に7億円、(2)第1旅客ビル出発階で、ロビーと搭乗手続き後の旅客だけが立ち入ることができる「制限エリア」を隔てるガラス壁を高くする改修工事に1億円、(3)航空燃料を運ぶパイプライン(千葉港−成田空港、約47キロ)の警備強化策として、管理棟など23カ所の施設で侵入者があったことを知らせる通報機器や監視カメラを導入する事業に10億1500万円など。
 駐機場の整備とパイプラインの警備強化策は、来年度政府予算の概算要求に盛り込まれていたが、前倒しされる。

 【本紙の解説】
 「成田空港は民間空港」などという建前は完全に吹き飛んだ。建前が民間空港でも軍民共用空港でも、戦時情勢では空港はひとしく軍事使用され、軍事空港になる。現代の戦争は戦略空輸能力を含めた航空戦力が決定的な意味を持つ。戦闘機や爆撃機による攻撃も、民間航空を利用した軍需物資や陸上兵力などの膨大な空輸能力、後方支援に支えられて初めて成り立つ。ゆえに、すべての空港は軍事基地と化すのである。
 国内の主要空港に設置される受託手荷物の全数検査のための検査機器58台の追加設置や、プラスチック爆弾なども探知可能な爆発物探知機の設置はハイジャック対策である。しかし、成田空港のテロ対策は通常のハイジャック対策のレベルではない。成田空港全体がゲリラ戦闘のターゲットになっていることに対する防衛措置である。
 こうした面でも、成田空港の軍事基地としての性格はむき出しになった。自衛隊のアフガニスタン侵略戦争参戦で、すでに成田空港は最重要の兵站基地となっている。そのための防衛をテロ対策と称しているのである。アフガニスタン侵略戦争への自衛隊の参戦で国内体制の軍事国家化、侵略参戦体制化は一挙に進んでいる。
 航空需要が激減する中で暫定滑走路供用を開始する目的は、三里塚闘争の解体とともに、実際にアフガニスタン侵略戦争での兵站拠点にするためなのだ。

(11月7日) 羽田の国際便昼間利用を検討(11/8東京)

 政府は7日午後、首相官邸で2002年のサッカーワールドカップ(W杯)の開催準備状況について、関係省庁の副大臣会議を開いた。泉信也国土交通副大臣は、大会で予想される日本と韓国の間の航空便の混雑解消策の一つとして、現在、深夜・早朝だけ国際便の発着を認めている羽田空港を昼間も活用できるよう検討する意向を示した。

 【本紙の解説】
 サッカーW杯で羽田空港の国際化の弾みをつけようとしていた国土交通省の本音がはじめて政府機関で明らかにされた。羽田の使用は韓国側の強い要望だったが、これまでは正式に「ありえない。無理である」と断っていた。理由は、地権者の合意なしで成田暫定滑走路を造る口実に「W杯日韓共同開催」を使っていたこと。もうひとつは、千葉県が羽田国際化に猛反発していたことだ。
 しかし、千葉県は堂本知事の就任後、羽田国際化容認に転じた。さらに、暫定滑走路の建設工事が「終わった」ことで、成田問題を配慮する必要がなくなり、それが今回の国土交通省発言となった。
 しかしこれでは「地権者の同意なしに平行滑走路は造らない」との確約(円卓会議決定)を反故にしてまで暫定滑走路建設を強行した責任はどうなるのか。W杯の臨時便も日韓シャトル便も、基本的にジャンボ機なので、そもそも暫定滑走路では飛べない。W杯は本来、暫定滑走路建設の理由にはならないのだ。
 国土交通省の真意は、平行滑走路(暫定)の軒先工事を強行することで地権者を力ずくで屈服させることにあった。その口実に「W杯」を使った。しかも、国土交通省は「羽田は満杯なので日韓便での使用は不可能」と言明してきた。その挙句の果ての今回の泉発言である。
 このあきれるほどのウソとペテンについて、国土交通省航空局はどう弁明するのか。

(11月8日) 成田・久住中移転問題/成田中との統合方針断念 地区内に仮設校舎(11/9千葉日報)

 来年4月の成田暫定平行滑走路の運用開始により、飛行コース直下に置かれる成田市立久住中学校の移転問題で、成田市は8日、新校舎完成までの暫定移転で成田中との統合方針を断念、久住地区内にある市立久住第一小学校の空き敷地に仮設校舎を建設して対応することを決めた。
 同中の移転問題で市は、「新校舎建設まで成田中に暫定統合する」「新校舎は将来の統合を視野に久住・豊住・中郷の三地区の統合中学を久住地区外に建設する」との方針で、地元と話し合いを重ねてきた。
 しかし、「成田中統合により、生徒の精神的な負担が大きくなる」「中学校もない地域はさびれる」など同中PTAをはじめ地元住民の反発が強く、話し合いは完全に膠着状態となっていた。
 これに対し、新校舎完成までの暫定移転で「久住第一小学校の空き敷地に仮設校舎を建設する」「新校舎は、将来の統合を視野に久住地区外に建設する」とした渡邊昭・市議会議長による斡旋案が小川国彦市長に提出され、小川市長も「これ以上の混乱は好ましくない」として、斡旋案受け入れを決断した。
 斡旋案について、3日に開かれた久住中学校移転対策協議会でも受け入れを了承。野平和美会長名で各区民に説明文を作成して周知。11日に久住中をはじめ久住第一・第二小のPTAが説明会を開いて協議、態度を決める。PTAが受け入れれば、12月定例議会に上程する補正予算案に仮設校舎の建設費を計上する。

 【本紙の解説】
 久住中の生徒数が減少したことから、廃校にして統合校舎が建設されるまで、成田中に統合するというデタラメな成田市方針は撤回されそうだ。久住中から成田中まで直線距離で8キロほどある。「校舎が大きく、100人ぐらいの生徒数でもすぐ受け入れられる」との理由だけで、久住地区から遠く離れた成田中への統合方針はだされた。スクールバスを出すにしろ、課外活動その他で迷惑するのは生徒である。
 空港騒音のために周辺地域の過疎化、廃村化が進み、小、中学校の生徒が少子化傾向と相まって激減している。その過疎化をより一層進めるのが中学の廃校・統合なのである。久住地区が小学生、中学生を含めて地区ぐるみ決起し反対したのは当然だ。
 成田空港の「周辺対策」は建設当初の計画には基本的になかった。それが78年一期開港を前後して、反対闘争を解体する目的でカネをばらまき始めた。「農業振興」「騒音防止」などがその名目とされた。成田空港の周辺対策は、三里塚闘争の解体が目的であり、地域全体を発展させる考えはない。堂本千葉県知事も「移転農家を含めた地域振興を目指す」といっているが、その真意は三里塚闘争の解体で、これまでのバラまきの焼き直しでしかない。
 78年の開港前後、騒音防止地区で1軒あたり1000万円近くの防音工事補助、防止特別地区には数億円の移転補償などの話もあり、地元の一部から歓迎され「成功」したかに見えた。しかし、その矛盾がいま全面的に噴き出している。
 地価の下落問題は深刻だ。騒音防止特別地区では住宅の新増築が禁止されているため、土地が無価値化している。20年前に行った防音工事の耐久年数が過ぎて効果がなくなってきたが、修繕に対する補助制度はない。また、改築による再助成制度では自己負担が膨大になる。その結果、過疎化が進み空港周辺は産廃、残土処分場の銀座通りになってしまった。届け出を行った処分場だけでも1000カ所を超える。さらに、これを上回る数の無届け処分場があるといわれている。不法投棄も頻発している。これが空港周辺の現実なのだ。
 この空港がもたらしている現実への怒りが、久住中廃校反対運動として現れたのである。
 成田市は成田中との統合をやめ、地区内での仮校舎の建設を始めたが、久住・豊住・中郷の三地区の中学統合計画は撤回していない。成田市は空港建設を推進するために周辺地域を犠牲にする考えをこそ撤回すべきだ。過疎化を促進させるような中学統合計画は根本的に間違っている。過疎化、廃村化を食い止め、地域としての発展を考えるのが行政のあるべき立場ではないか。

(11月10日) 乗り入れ希望次々/航空64社 制限枠を3割超す/暫定滑走路(11/10朝日夕刊)

 来年4月に供用が始まる成田暫定滑走路について、64の航空会社から、暫定滑走路の発着制限枠を約3割超す、週1129回の発着希望が集まっていたことがわかった。暫定滑走路は2180メートルと短いためジャンボ機の発着ができず、運用について疑問視する声があった。さらに米国での同時多発テロによる航空需要の低迷もあるだけに、関係者は予想以上の反応だとしている。
 国際航空運送協会(IATA)が9〜10月に受け付けた各社の希望を集計した。希望を出した64社は、国内のほか、アジア、米国の航空会社が中心。国際線が使える暫定滑走路の発着回数、週882回を28パーセントオーバー。
 国土交通省によると、成田空港2本目の滑走路となる暫定滑走路の乗り入れについては、各国との航空交渉の結果、アジア、欧州などの19カ国と合意に達した。ベトナム、モンゴル、パプアニューギニアの3国が新たに成田空港に乗り入れる。ほか、中国の4つの航空会社も新規参入する。IATAはこの政府間交渉とは別に、航空各社の希望を調整する。10日からシンガポールで会議を開き、細部を詰める予定。

 【本紙の解説】
 IATAへの各航空会社の「乗り入れ希望」は乗り入れについての交渉権の申し込み(エントリー)であり、暫定滑走路への乗り入れが確定したという話ではない。具体的に乗り入れるかどうかは別にして、航空会社としてとりあえず交渉権だけは確保しておく行為にすぎない。
 実際の乗り入れが決定しているのは、政府間交渉で決まった19カ国の航空会社だけだ。公団が公表している交渉結果は、総合計で週約135便。これは旅客機129便と中国の貨物便600トンを「767便で6便」と換算した合計である。しかも、韓国の週21便、中国の50便には、成田以外の地方空港分も含まれている。オーストラリア、イタリアが週10便以上となっているが、スロットの確保希望という意味で、実際の定期便になるのは半分ぐらいではないか。
 また、9・11情勢で航空需要は激減している。エジプト行きは、アフガニスタンへの米軍の空爆開始により成田発の全便が運休となった。
 したがって、諸外国のこれまでの具体的な参入希望は週100便前後である。この上に米ノースウエスト航空が「週35便前後」の乗り入れを表明した(2001年10月30日付日誌参照)。
 あとは、日本の航空会社の国際線と国内線である。全部合計しても、現在的には週200便から250便の需要しか読めない。しかも、9・11情勢で、航空需要が来年春までに回復できなかった時は、この便数よりさらに減少する。そうなる公算の方が圧倒的に高い。

(11月11日) 成田・久住中移転問題/市譲歩案に苦渋の回答(11/13千葉日報)

 来年4月から始まる暫定平行滑走路の運用により、飛行コース直下に置かれる成田市立久住中学校の移転間題で、同中や久住第一・第二小学校PTAは11日、集会を開き、議長斡旋を受けた市の譲歩案について討議した。
 市の譲歩案は、新校舎建設まで久住第一小学校の空き敷地に暫定移転し、生徒たちは仮設校舎で授業、新校舎は将来の統合も視野に「久住地区外」に建設するという市の方針を理解して対応するという内容。
 集会では、第一小PTAが結論を保留、第二小PTAは「久住地区外」という文言の削除を求めた。これをうけた久住中PTAの集会でも、第一小への暫定移転について異論はないものの、将来の統合中学について「久住地区外」という市方針については一斉に反発の声が挙がった。
 特に市譲歩案に関し、第一小への暫定移転が新校舎の久住地区外移転を条件としており、地元が同意しないと「成田中への暫定統合が浮上する」という久住中学校移転対策協議会などの見通しが示されると、「市がそういう駆け引きをするのは大人気ない」との怒りの声や「学校の適正規模や統合方針について検討する学校教育懇談会の結論が出る前に、最初から結論ありきで、久住地区を外すのは納得できない」などの険しい意見が相次いだ。
 しかし新校舎の「地区外移転」に反対して「成田中への暫定統合」に追い込まれることを最も懸念。第一小への暫定移転は同意するが、「地区外移転」については市提案をそのまま記した上で、「PTAの大半が地区外移転反対」であり、「今後の学校統合問題の協議の中で、他地区と同じ土俵に立って議論すべき」旨の議事録の要約を付記して市に回答することで、3時間を超える討議がようやくまとまった。PTAや地区住民が望む「地区内での暫定移転」を“人質”にされ、反対意見を付記しながらも、形式的には市譲歩案を受け入れるという苦渋の結論。問題解決へ前進したとも言えるが、市への不信感は根強く残ったままだ。

 【本紙の解説】
 11月8日の解説(同日付日誌参照)で「成田市は空港建設を推進するために周辺地域を犠牲にする考えを撤回すべきだ。過疎化を促進させるような中学統合計画は根本的に間違っている」とした。
 今回、成田市は「久住中の廃校と、久住地区外での統合中学新設」を条件に「成田中との暫定統合は止め、久住第一小に仮説校舎を造る」(同)という斡旋案を持ってきた。しかし久住のPTAは、この斡旋案なるものが久住中の廃校方針そのものだと怒りをぶつけている。
 市はこの譲歩案=廃校案を押し付けるために、成田中との暫定統合だけは撤回し、統合中学の建設までは仮設校舎で我慢しろといっているのである。統合中学の建設には他地区との調整もあるので、それまでは仮校舎というわけだ。
 しかし本来あるべき方向は、「久住第一小に仮設校舎」だけでなく、同時に本格校舎も建設することだ。千葉県堂本知事も「成田の国際都市の発展」を叫んでいるが、その「師匠」である小川市長ともども、「国際都市」の犠牲になっている騒音下住民の立場は顧みない。過疎化、廃村化に棹を差す行為しかやっていない。久住中廃校攻撃はその典型である。

(11月12日) 日航・JAS提携交渉、経営統合へ(11/12夕刊、11/13朝刊、全紙)

 航空最大手の日本航空(兼子勲社長)と第3位の日本エアシステム(JAS、船曳寛真社長)が、将来の経営統合も視野に、広範囲な提携に向けた協議に入ったことが12日明らかになった。航空業界の競争激化や、9月の米国のテロ事件をきっかけに国際線が長期的に落ち込むとみられているなかで、協力関係を固めてコスト削減をはかるとともに、営業基盤を強化するのが狙いだ。
 両社はこれまで、空港での旅客の案内・受け付け業務などで提携を進めてきた。これを深め、運航業務や航空券の発売業務など、多分野で協力関係を強める方向で検討している。主力の国際線が落ち込むと予測し、国内線でコスト削減をはかりたい日航と、バブル崩壊後の経営悪化で累積損失が膨らみ、再建中のJASとの思惑が一致した。
 また、将来の経営統合についても、持ち株会社方式での統合が可能かどうかなどを模索する。両社の国内線を合わせると国内シェアは40パーセント台後半にのぼる。日航にとっては、羽田路線を中心に比較的収益性の高い国内線を強化し、国内線で50パーセント近いシェアを持つ全日本空輸との本格競争に備える狙いがある。国際線でも、JASが得意とする中国路線を合わせ、国際線網を充実できるメリットもある。

 【本紙の解説】
 JASは東急電鉄グループである。東急電鉄はグループ内の経営不振会社の再編、リストラを急いできた。百貨店、建設、ホテルなどをつぎつぎと不採算部門を売却、縮小してきた。3000億円の累積債務を抱えたJASは次のリストラ対象だった。JASは消滅や倒産を回避するために、JR東日本やJR西日本に身売り交渉もしていた。それも不調に終わり、9・11による航空需要の一挙的落ち込みが重なり、倒産寸前にまで追い込まれていた。
 日航は主力の太平洋路線の乗客が50パーセント減で経営不振に陥っていた。それをさらに加速しているのが米国航空会社との競争である。米国航空会社は自国内路線の需要激減を補うために、太平洋路線での集中的な低価格攻勢を仕掛けている。日航には、太平洋路線での米国航空会社との競争に勝ち目はない。その活路を国内線とアジア路線に求めていた。JASの累積債務や使用機種の違い、労働条件の違いなどの問題もあり、10数年来、合併をいわれながら実現しなかった両資本の「利害」が、倒産の危機でようやくまとまった格好だ。
 すでに世界の航空業界では、スイス航空(スイスのフラッグキャリア)、サベナ航空(ベルギーの国策会社)、アンセット航空(オーストラリア第2位)、カナダ3000(カナダ第2位)などが倒産している。ニュージーランド航空(ニュージーランドの国策会社)も事実上倒産し、政府が434億円を出資し株式の83パーセントを買い取り国有化することで倒産を免れている。中小、国内航空の倒産はおびただしい数だ。
 倒産の特徴は、そもそも過当競争で経営不振に陥っていたものが、9・11以降の航空需要の後退で、金融資本に見放され、回転資金が調達できず一挙に倒産に追い込まれるというものだ。JASもこのパターン。日航も経営危機であり、JASの羽田・国内線枠を吸収することだけが狙いである。ただしJASの累積債務を抱え込むことは、日航の命取りになりかねない。
 要するに、世界の航空大再編の大波の中での、弱者の連合・合併なのである。結果はJASの赤字地方路線の廃止、安全性の軽視、人員削減である。すでに日航とJASは全従業員の1割削減を発表した。
 米国の航空会社の太平洋路線とアジア路線、日本国内路線への本格的参入はこれからである。日航も全日空も、さらなる再編・淘汰の波に確実に洗われることになる。

(11月12日) ニューヨークにアメリカン航空機が墜落(11/13夕刊、11/14全紙)

 ニューヨーク市東部のクイーンズ区で12日午前9時17分(日本時間同日午後11時17分)ごろ、ニューヨークのケネディ国際空港発中米ドミニカ共和国行きのアメリカン航空587便が同空港から約10キロ南に墜落した。米連邦航空局によると、墜落したのはエアバスA300型旅客機(乗客246人、乗員9人)。墜落現場は住宅や商店が密集している地域で、建物十数棟も炎上し、多数の死傷者がでている模様だ。米テレビの報道によると、墜落現場付近で数十人の遺体が見つかった。

 【本紙の解説】
 その後の調査で事故原因は、後方乱気流(バックエアタービュランス)の影響で機体が制御不能に陥ったことなどが上げられている。米国家運輸安全委員会(NTSB)の発表は、「墜落機は直前に離陸した日本航空のボーイング747型機(成田行き)の乱気流に2回巻き込まれ、2回目の直後に垂直尾翼やエンジンが空中で脱落、制御不能に陥ったことが直接の原因」となっている。
 しかし、原因はそれにとどまらない。墜落機は88年にアメリカン航空に納入される前、機体と垂直安定板6カ所の接続部分の1カ所に不具合があり、補強した事実が明らかにされている。またこの墜落機は94年にも乱気流に突っ込み47人が負傷する事故を起こしており、そのために機体が劣化していたとの見方もある。
 さらに、墜落機と同系統のエンジンは、すでに火災など十数件の事故を起こしているとの報告がある。
 墜落機は、ゼネラル・エレクトリック(GE)のCF6−80C2A5型エンジンを2基装備。CF6系統はエアバスのほか、ボーイング747、同767型機、マクドネル・ダグラス社(現ボーイング社)製のMD10、11型機にも採用されている。近年、このCF6系統のエンジン破損による火災や爆発の危険が指摘されていた。
 NTSBの事故調査によると、79年に米シカゴで離陸直後にDC10型機のエンジンが脱落して墜落、270人以上が死亡した。98年にはプエルトリコで、やはり離陸直後にエアバスA300型機の片側エンジンから火が出で、引き返した事例がある。エンジン火災はこれとは別に、少なくとも3件、さらにエンジン出力の急減が10件以上記録されている。
 いずれも出力を全開にする離陸前後に、エンジンの部品が破損したり、ひびが入ったエンジンの異常振動で周辺のボルトなどが抜けたりしたことが原因と見られている。
 今回は、日航機の後方乱気流に巻き込まれ機体が大きく揺れ、接続部分が劣化していた尾翼が脱落、蛇行運転になったとの見方が強い。これに加え、乱気流から脱出するためにエンジン出力を全開にした結果、エンジン部品が破損しエンジンそのものが脱落した。その結果完全にコントロールを失い、墜落したと推測されている。どうもこの線が強そうだ。
 一般に航空機の航跡には乱気流が残るため、離陸間隔を最低2分と定めている。今回、墜落機の離陸予定は日航機離陸の2分20秒後だった。日航機に比べて小型である墜落機の旋回半径が小さいため、時間差は1分45秒程度まで縮まった可能性があると指摘されている。
 この後方乱気流による事故は、過密ダイヤの成田空港でいつ起きてもおかしくない問題といえる。
 ただし今回の問題は、航空業界リストラによる整備部門の質の低下が、より直接的な問題であることを見逃してはならない。航空不況下で発生した9・11ゲリラ以降、航空業界は警備優先で、機体の整備と安全性は後回しにされた。乱気流だけではこれだけの大事故にはつながらない。金属疲労やエンジンの欠陥に加え、無謀なリストラが今回の事故の決定的な引き金を引いたのだ。
 ところで「ゲリラでなく事故で安心した」という米国の関係機関やマスメディアの論調は見当違いである。
 80年代後半の米航空規制緩和(デレギュレーション)以降、競争激化の中で、異常な航空機事故が多発した。ゲリラによる航空機墜落数は、9・11を含めても圧倒的に少ない。今回の事態が提示する問題は、むしろ資本の論理(リストラ)による航空機事故頻発の条件が圧倒的に拡大しているということだ。
 「死亡数/乗車キロ」単位では、航空機が船舶、列車、自動車より安全度が高いなどといわれるが、これは大いに疑問だ。「死亡数/乗車時間」単位で計算すると、航空機の死亡率が一番高いはずである。特に「利益率」を最優先させる商業航空輸送の危険性からは、本質的に逃れようがない。
 いずれにしろ今回の事故は、航空機の安全性の低さと事故による死亡確率の高さを改めて世界に知らしめた。その結果が、航空需要のいっそうの落ち込みとなることだけは疑いがない。

(11月13日) 豪航空機から煙/一時空港を閉鎖(11/14産経)

 13日午前11時ごろ成田空港で、離陸しようとしていた豪パース行きカンタス航空70便から「車輪から煙がでている」と消防車の出動要請があり、離陸を中断した。このため成田空港は一時閉鎖され、間もなく再開。カンタス航空70便は自走が可能な状態で、同航空などで原因を調べている。

 【本紙の解説】
 ニューヨークの墜落事故の直後であり、成田空港は滑走路を閉鎖した。成田でもニューヨークの「後方乱気流事故」は必ず起こる。成田のラッシュ時は、1時間に32回の離着陸になっている。約1分52秒に1回だ。2000年10月に発着方式を変更して、「3時間枠」の規制79回を撤廃し、「1時間枠」を32回に増加した。1時間枠さえ守れば、各航空機の離陸間隔の指示は管制官に任される。指示を受けても後ろが控えており、ラッシュ時は指示時間より早く離陸することが多いという。そのため、離陸間隔は1分30秒前後になることが多い。危険極まりない現状で、事故は早晩不可避である。

(11月13日) 小笠原空港、正式断念(11/14毎日夕刊)

 東京都は13日、小笠原諸島父島・時雨(しぐれ)山での空港建設の断念を正式に決めた。都の小笠原自然環境保全対策検討委員会が10月、空港をつくると世界的に貴重な動植物の保全が「極めて困難」との結論を出し、事業費も膨大になることが予想されるためだ。今後は父島から約270キロ離れた硫黄島の自衛隊滑走路を共用化する案など「新たな航空路線の検討を行う」としている。

 【本紙の解説】
 国土交通省が今年8月に、11の地方空港新設計画や滑走路延長計画の先送りを発表した。だが、翌日に国土交通省は、新石垣空港と小笠原空港は先送り対象ではないと否定の会見をした。理由は両空港とも位置付けが軍事空港のためである。小笠原はグアム島の米軍基地の避難基地と位置づけられている。
 小笠原諸島は「生物進化の実験場」といわれる地域だ。学術的価値も高い。そのため、空港建設は貴重な動植物を全滅させると反対運動が起こっている。空港反対の住民運動が空港建設を阻止したのである。今後の政府・国土交通省の反動的策動を見逃してはならない。

(11月14日) 暫定滑走路飛行テスト/ガード下並みの騒音値(11/15全紙の千葉版)

 成田空港暫定滑走路で「焦点」になっている国土交通省の滑走路南側からの降下検査が、14日始まった。2回にわたりプロペラ機のエンジン音を上げた検査機(YS11)が滑走路南端に向け降下し、滑走路に隣接する農家や農地の頭上を通過した。農地など民有地では最も低い所で約40メートル頭上にあたり「ガード下並み」の騒音値を記録。周辺住民は平静だったものの「想像以上にうるさい」と不安の声がでた。
 検査は急きょの実施となった。同省は新東京国際空港公団に「14日は北側から降下予定」と連絡し午前9時すぎ検査を姶めたが、10時半すぎ、突然「天気が良い。南側を行う」と変更したという。午後1時前から高度150メートルで水平飛行した後、1時半すぎ低空降下へ。この間、公団は午前11時すぎにあわただしく隣接農家などを訪れ「南側降下」を伝えた。
 2回の低空降下はそれぞれ1分足らず。「キーン」という音とともに機影が近づきエンジンのごう音を立て頭上を一瞬で通過した。翼の車輪の継ぎ目が見える低さだった。
 飛行コース直下での成田市空港対策部による騒音測定では最高95デシベル、コースから約30メートル離れた地点での公団による測定で同87・5デシベルを記録した。
 農家周辺では報道陣や公団、市関係者ら30〜40人が見守った。住民らは「相当うるさいね」と顔をしかめながらも黙々と農作業などを続けていた。検査は12月まで続く。

 【本紙の解説】
 公団はこの南側飛行テストを早く終わらせようとしている。頭上40メートル飛行の騒音を凶器とした“たたき出し攻撃”が社会的に問題になる前に済ませ、来年4月の開港にこぎつけたいとの思惑だ。これから12月にむかって北風が基本になり、南風の日は少なくなる。そのために早いうちに南風時の北側進入テストを終わらせるのが普通だ。北風時の南側進入テストは12月に入ってからでもいくらでもできる。逆に南風は、12月が近づくと極端に少なくなるのだ。
 しかし14日、急きょ午後から南側からの進入テストとなった。
 南側進入の騒音は最高で80〜95デシベルを記録。この殺人的騒音が問題になり、反対闘争が社会問題化する前にテストを終了したいのだ。公団は開港さえすれば、騒音で地権者をたたき出せると考えている。こうした公団の姿勢は、空港の一方的な位置決定から強制代執行、岩山鉄塔破壊、横堀要塞破壊、二期工事開始(軒先工事)、暫定滑走路決定とまったく変わっていない。政府が決定すれば農民はあきらめる。着工すれば出ていく。開港さえすればたたき出せる。これが成田空港建設のすべてである。かのシンポ・円卓会議が完全なペテンだったことも証明された。人を人とも思わない傲慢な国家権力の姿勢は、何一つ変わっていない。
 11月21日には、反対同盟主催の飛行テスト阻止闘争が、東峰、天神峰の現地で行われる。全力で取り組もう。

(11月14日) 堂本知事/県政重点施策に34項目(11/15毎日、産経の各千葉版、千葉日報)

 千葉県は14日、今後の県政運営の指針となる34の重点施策案をまとめた。沼田武前知事のもとで決定した5カ年計画(2001〜2005年度)について、厳しい財政状況を考慮して堂本県政で力を入れる事業を絞り込み再編した。
 「今後の県政運営に係る重点施策案」(仮称)に盛り込まれた重点施策は幕張新都心の整備、成田空港とアクセスの整備、ベンチャー企業の創出・育成、産業廃棄物・残土対策など34項目。このテーマに沿って、具体的な事業約250を盛り込んだ。
 新たな具体的な事業としては、成田空港周辺で地域産品の消費を拡大するため、施設整備の可能性を探る「成田空港周辺地域国際化推進調査」を盛り込んだ。ほかに世界的な研究機関である、かずさディー・エヌ・エー研究所(千葉県木更津市)の研究成果を産官学で実用化、産業化につなげる「先端的分野における共同研究の推進」、三番瀬の再生計画策定などがある。
 5カ年計画の実施事業とされた道路網整備についても、例えば成田空港のアクセス強化を重点目標とするなど、新たな視点でまとめ直した。

 【本紙の解説】
 県の重点施策が発表された。これを中心に来年度の県予算は編成される。堂本知事が関わって初めてまとめる政策であり、「堂本県政」の方向性を示すものでもある。
 内容的には沼田県政の引き継ぎだけだ。沼田県政が県財政の破綻を作り出した、「新産業三角地帯構想」をそのまま重点施策にしただけである。幕張メッセ、かずさアカデミーパーク、成田物流地区の「千葉県三大事業」は完全に財政破綻している。バブルを象徴する「右肩上がりの施策」である。バブル破綻をどう修正するのかが、政府レベルでも県、市町村レベルでも問題になっている。だが堂本知事は「財政は厳しいが、何としても前向きな元気な政策を展開したい」として、バブル絶頂期の施策をこの大不況の時代にそのまま引き継ごうとしている。財政破綻はより巨大に膨らむだけだ。そのツケは県民にまわる。
 成田関連でも、工業団地や物流基地の整備、道路建設、鉄道建設などで占められ、「空港の機能充実にあわせて周辺地域の国際都市化を目指す」と謳った。バブル時代のばらまき政策、箱物行政そのままである。
 久住地区などの過疎対策は考慮もされていない。「地域産品の消費拡大のための施設整備」として「成田空港周辺地域国際化推進調査」費用を盛り込んだが、それは成田周辺の国際化(?)と都市化である。農業や農村の生活を守るものではない。結局「施設整備」であり、箱物行政に終わる以外にない。これでは78年一期開港後の「農業振興策」以下の代物だ。

(11月15日) 日本航空/最終利益は61パーセント減(11/16日経、東京、毎日)

 日本航空が15日発表した2002年3月期の連結決算予想は、米国、ハワイ路線など国際線の旅客が大幅に減少し、空港の保安費用などがかさむことから、売上高は1兆6000億円と前期を6・1パーセント下回り、経常損益と当期純損益はそれぞれ5006億円と400億円の赤字に転落する見通しだ。
 連結べースの経常赤字は1997年3月期以来5年ぶりである。会見した日航の丸山源太郎取締役は「国際線の10、11月旅客収入は前年同月比で約35パーセント減。9・11直後の見通しより落ち込んだ」と指摘。その上で「年末年始の予約状況は好調なので10、11月が底ではないか」と分析している。
 同社によると、下半期の国際線旅客の見通しは前年同期より20パーセント、通期でも前期比で10パーセントそれぞれ減少する見通しだ。
 2001年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比0・3パーセント減の8712億円、経常利益は57・2パーセント減の238億円、当期利益も61・3パーセント減の163億円となった。
 日航は、来年9月をめどに日本エアシステム(JAS)と経営統合することで合意、両社で協力しながら業務の効率化などを進める方針。

 【本紙の解説】
 日航の赤字経営はJASと経営統合しても最低数年は続くだろう。むしろJASの吸収合併は累積債務と赤字の合併になり、スケールメリットを差し引いても日航のお荷物になりかねない。実際に東急電鉄は早くJASを手放そうと動いていたし、別の親探しでもJR東日本などから断られていた。
 日航の決算予想の問題は、旅客収入が見通しより落ち込んでいることだ。回復基調の見通しは現在までまったく見えていない。日航は9・11後の国際線旅客の見通しを前年比で20パーセント減としていたが、実際は30パーセント落ち込んだ。10月と11月の米国路線は50パーセント減、他の路線は15パーセント減、全体では30パーセント減で進行している。
 太平洋路線をメインとしている日航としては、30パーセント以上の収入減となる。日航は「12月には旅客が回復する見込み」を唯一の頼みの綱にしていた。それもアメリカン航空のニューヨークの事故で夢と消えた。
 日航としてはJASが持っていた国内線の黒字幹線とアジア路線拡大で乗り切ろうとしている。しかし、そこにも米国航空会社が政府資金援助をテコに低価格運賃で殴り込み的に参入している。米国航空会社は、生き残りのために日本の航空会社がもっている太平洋路線、アジア路線、また日本国内路線も含めたシェアまでを奪おうとしている。日航はその波をもろにかぶっている。
 ボーイングのコンディット会長は「91年の湾岸戦争の時は14カ月で航空需要が元に戻った。今回はその2〜3倍かかる」といっている。少なくとも、3年前後はかかる計算である。しかし、航空業界では「2カ月に5機が墜落しており、回復には5年かかる」という見方の方が強い。
 この「3年から5年」を日航と全日空が乗り切れるわけがない。そもそも航空需要はバブルとともに伸びたが、バブル崩壊後もIT産業と並んで例外的に伸びた。これが9・11と11・12で一挙に崩壊に転じた。航空需要は半減するとまでいわれている。まさに壊滅的だ。
 成田の暫定滑走路は「民間空港」としてはまったく使い道がない。軍事空港としての4・18開港攻撃である。

(11月18日) 3国際空港民営化・国交省案/関空の債務、成田が4分の1肩代わり(11/18日経、千葉日報)

 国土交通省がまとめた成田、関西、羽田の国際空港を運営する3つの特殊法人・会社の改革案が明らかになった。旅客・貨物ターミナル会社3社と、滑走路の保有・整備などにあたる1法人に再編する上下分離方式をとる。用地費に関する債務は滑走路法人に一本化して返済、今の関西国際空港会社が抱える8000億円を超す土地債務は成田の新ターミナル会社が着陸料などを財源に約4分の1を事実上肩代わりする。
 3つの国際空港は現在、成田が公団、関西と中部が政府出資の株式会社の形態をとっている。国交省案はこれを再編するもので、3つの旅客・貨物ターミナルの保有・運営会社(上物法人)は段階的に民営化する。これらが着陸料などで得た収入から土地や滑走路の利用料を土地・滑走路の保有・管理法人(下物法人)に支払う。この法人は特殊法人か独立行政法人とする。利用料は各施設運営会社法人の収入の4割程度にする案などが出ている。
 滑走路を保有する法人は、用地取得費などの債務を一括返済するために、ターミナル会社から得た収入のうち毎年合計で1000億円強を3空港の債務をまとめて返済する。関空が二期工事を終え、平行滑走路の供用開始を予定する2007年から30年間にわたり、成田が毎年503億円、関空が398億円、中部が147億円を支払う。
 3空港の土地に関する有利子負債額は、2007年時点で関空が8200億円、成田が1400億円、中部が2700億円になる見込み。成田は自らの債務だけなら毎年338億円の支払いで済むはずが、165億円も余計に負担している。このうち140億円が関空の債務償還に回されており、“関空救済”の色彩が濃い。

 【本紙の解説】
 国交省民営化案のミソは、「下物法人」を独立行政法人にして、同省の官僚的権益をこれまで通り保持する構造になっているところにある。公共投資を通しての官僚的利権の維持、天下り先の確保が引き続き可能になる構造だ。
 また、国交省直轄空港であり、最優良「企業」である羽田空港と伊丹空港は対象から外した。民営化案の旗印は「国際空港の統合」でもある。羽田は国際空港であり、近い将来、全面的な国際化となることは確実だ。国交省自身が国際化を進めている。羽田空港が外れることは本来おかしなことなのだ。
 要は、国交省が直轄支配している羽田と伊丹の権益は防衛したいということである。
 さらに、実質倒産している関空会社の経営責任を負う国交省と大阪府が、責任放棄の方策として本改革案を利用したことも見え透いている。
 大阪府は早くから関空と成田の経営統合を要求し、自らの責任放棄を表明してきた。しかし、これがマスメディアその他から反発を受けたことに乗じて、国交省は民営化方針そのものがなくなることを追求してきた。同省の本音は民営化反対だ。しかし、時流から反対しきれないと判断し、国交省「民営化案」のなかで省益を維持する方策を提案したのである。それでもなお国交省は、民営化案そのものがつぶれることを期待している。
 民間航空はまだ、安全性において未完成な交通手段である。そのため、空港が民営化され利益追求の手段にされた場合、航空機事故は今まで以上に頻発することになる。空港という「事業」は本来、民営化にはなじまない。
 航空機事故の大半は「魔の11分」といわれる「離陸後3分間、着陸前8分間」に起きている。11月12日のニューヨーク航空機事故もそうだったが、整備体制や飛行の過密問題など、事故原因の多くは“人災”である。「民営化」は「魔の11分」の危険性を限りなく拡大する。
 政府、国交省、マスメディアその他の空港民営化論には、安全性の観点が完全に欠落している。関空の経営責任隠しも論外である。

(11月18日) 芝山町長選、相川氏再選(11/19全紙の千葉版)

 任期満了に伴う芝山町長選は18日投開票され、現職の相川勝重氏(51)が、新人で会社役員の吉岡誠氏(53)を破り、再選を果たした。当日有権者数は6827人、投票者数は5455人で、投票率は79・90パーセントだった。
 相川氏は、芝山鉄道開通(来秋予定)や成田空港の南側ゲート開放(同)の実現など、四年間の実績を強調。「空港の南側、芝山の時代が来た」として、公平・公正な町政実現と産業廃棄物対策などを訴え、支持者の票を集めた。

 【本紙の解説】
 脱落派(旧熱田派反対同盟)の相川氏が4年前の97年に芝山町に町長に選出された理由は、政府への空港見返り事業要求を、元反対同盟青年行動隊の相川の登用で得ようとした保守派の期待によるものであった。また、政府・公団が反対闘争の解体の手先として使うために、相川氏を支持した結果でもある。
 脱落派と政府・運輸省とのシンポ・円卓会議は94年10月に「合意事項」が確認された。その後、数年間は旧来の自民党保守勢力より、シンポ・円卓会議参加者である脱落派を通した方が、空港関連の住民要求が実現するということが続いた。そうした事情から、空港の「裏側」たる芝山の「地域開発」を望む保守派は、相川氏を見返り要求の適任者として選んだ。相川氏は空港反対運動を完全に裏切り、空港建設推進者そのものとなっていった。
 当時の運輸省・公団は、相川氏に芝山鉄道を阻む一坪共有地の解消を実現するように要求した。相川氏はその「全国的運動」を起こすが失敗する。闘争継続を決めた熱田派のグループに一坪共有地解消を拒否されたことが原因である。芝山鉄道は一坪共有地を迂回する形で線路を曲げて工事を進めている。
 しかし現在、政府・公団は暫定滑走路が「完成」したことと、航空需要後退により、騒音対策事業や道路など空港関連地域対策費、「共生」費を削減しつつあり、騒音下の矛盾をカネのばらまきで「解決」する政策をやめようとしている。
 こうしたなかで2期目に入る相川町政は、空港そのものの矛盾にさいなまれることになる。町の70パーセントが騒音地域となる芝山の将来は、過疎化と廃村化以外にない。唯一町の展望は、空港反対運動の永続的発展の中にある。

(11月19日) 共生委「点検見直し」見解(11/20読売千葉版、千葉日報)

 成田空港の建設と運用によるマイナスの影響を監視する成田空港地域共生委員会(代表委員=山本雄二郎・高千穂大客員教授)は19日、「円卓会議合意事項の点検に関する共生委員会の見解」を発表した。暫定滑走路の供用で騒音地域の拡大など新たな問題が生じることが考えられるため、騒音対策など国側の取り組みの「実効性を確保」できるように「共生委として、検査のあり方を再構築する」としている。共生委がこうした見解を出すのは初めて。
 共生委は成田空港間題円卓会議の結果、1994年12月に発足。国側が円卓会議で約束した騒音対策や落下物対策など22項目について、国や空港公団の取り組み状況を点検している。
 見解では、「(共生委の点検に基づく)改善策の実施は成果を上げている」として、国側の対応を評価しつつも、暫定滑走路の供用開始で新たな騒音地域が生まれるほか、現滑走路周辺地域で行われている騒音対策などで、当初予定していた効果が失われている可能性に言及し、「新たな局面が出現している」と指摘。対策の効果が持続しているか、適切に運用されているかなどを「十分に検証」し、点検の結果が有効な対策に結びつくよう努力するとしている。

 【本紙の解説】
 騒音下で問題点が続出していることを、共生委員会も無視できなくなった。騒音下、とりわけ特別防止地区の土地価格の下落、里山の荒廃、過疎化、久住中学廃校問題などである。騒音対策そのものも、20年前の防音工事の効果が低下している。そのうえに、改築補助整備が不十分などの問題が噴出している。空港と騒音地域の矛盾が解決できなくなっている。
 1978年開港前後の周辺対策としての防音工事や農業振興策は、反対運動を解体する方策だった。90年代後半からの「共生運動」は平行滑走路建設のためである。この平行滑走路が暫定滑走路として「完成」した現在、国交省・公団は周辺対策費を一挙に削減しようとしている。それは成田空港「民営化」の動きのなかで、さらに促進されるすう勢だ。
 そのために今年冒頭から、共生委員会自身の目的や性格も変容させようとしてきた。会の構成員に国交省や公団も加わり、「空港による地域発展」を促す利益誘導機関への転換を図ってきたのだ。
 その共生委員会が、空港周辺での問題点の噴出を「新たな局面が出現」などとしていることは滑稽だ。問題なっていることは「新たな局面」ではなく、空港の存在が必ず引き起こす「古典的問題」である。共生委員会のような組織の存在理由そのものが崩壊しているのだ。

(11月19日) 堂本知事、民営化に慎重姿勢(11/20千葉日報)

 堂本暁子千葉県知事は19日の定例記者会見で、成田空港の民営化についてあらためて慎重な姿勢を示すとともに、年明けに開催予定の「四者協議会」で地域振興への具体策と騒音間題について、空港周辺九市町村と“二者協議”を行い、合意形成を図って臨む方針を示した。民営化間題について堂本知事は「完成したとしても空港そのものの民営化は難しい。非常事態発生時には民間だけではできない意志決定が入ってくる」などと述べた。
 成田空港の機能充実などについて県、国、新東京国際空港公団、空港周辺市町村のトップが意見交換する「四者協議会」はこれまで2回開かれ、次回開催は来年1月の予定。県と空港周辺市町村は四者協の前に「地域振興策」「騒音間題」などで地元自治体としての合意形成を目指し“二者協議”で検討している。
 堂本知事は先月末の二者協で、空港周辺の地域振興について「成田でどうやったら農産品や海産物が売れるのか、また、首長が考えるだけではなく(農・海産物を生産する)農民がトマトやキュウリなど、何をどれだけ供給できるのかを考えなければならない」と、アイデアが「絵に描いたもち」とならないよう“裏付け”とともに検討を進めていることを説明。
 具体的なアイデアとして「トランジット(乗り換え)客を対象に、銚子からおいしい魚介類を持ってきて『すしバー』を大展開したらどうか、と話をしている」と県内の農・海産物を有効活用し、「楽しめる空港づくり」と地域活性化につなげる「堂本構想」を披露。四者協の前に再度、二者協を開き、具体的な案を詰める。また、騒音問題では、先月末に完成した暫定平行滑走路で小型機による飛行テストが展開されていることから、地元自治体として合意形成した上で国との交渉に臨む。

 【本紙の解説】
 堂本知事は「非常事態発生時には民間だけではできない意志決定が入ってくる」として、成田空港民営化論に反対している。非常事態とは戦争や災害だ。民間では意志決定できない問題とは、戦時の軍事使用問題である。食糧安保論や、鉄道を民営化したら軍事使用できなくなるという類の論と同じだ。
 二者協での地元自治体との協議は、暫定滑走路完成後も見返り事業をこれまで通り要求しようという内容だ。空港周辺住民の生活や農業を考えてのことではない。堂本知事の政治手法は、手垢で汚れた利権政治そのものである。
 それにしても「地域振興案」が、トランジット客を対象にした「すしバー」だとか、「成田でどうやったら農産品が売れるか、農民がトマトやキュウリなど、何をどれだけ供給できるのかを考えなければならない」とは聞いてあきれる。1軒や2軒の「すしバー」でさばける食材の量など、たかが知れている。成田周辺の農産品の品目とその出荷量について、知事は分かっているのか。空港関連の食品工場、給食工場、レストランなどで消費される農産物の数量は、この地域で生産される農産物の数千分の1、数万分の1にしかならない。また生産品目と消費品目も適合していない。食品工場その他で必要な野菜は、品質、値段等を全国市場に求めることで初めて成り立っている。
 堂本知事は、農業や漁業の実態や問題点について、驚くほどの無知をさらけ出している。

(11月20日) 堂本知事、航空機騒音を体験/成田の施設訪問(11/21東京、各千葉版)

 堂本千葉県知事は20日夜、成田市荒海の同市荒海共同利用施設を訪れ、成田空港を発着する航空機の騒音を実際に体験した。同地区は空港北西側の飛行コース直下で、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(騒特法)でうるささ指数75以上の防止地区に指定されている。成田空港周辺の航空機騒音を堂本知事が実際に体験するのは、就任以来初めて。
 知事は同日午後8時半ごろ、同施設に到着。施設に設置された騒音測定装置の数値を見たり、民家内と同様の騒音体験ができる防音体験車を使い、屋内と屋外両方の航空機騒音を比較しながら約30分間にわたり騒音体験した。堂本知事は、周辺住民が夜間に受ける騒音を実感した様子で「機種によって違うだろうが、やっぱり大きい。騒音の下で暮らすのは、率直に言って大変と思う。成田は内陸空港の宿命を背負っているが、国が約束している対策をきちっとして、騒音を避けて生活できる方法を考えないといけない」と感想。移転補償の住民要望についても「国・空港公団の領域だが、誠意をもって対応してほしいと県として働きかける」と答えた。
 これに先立つ同日午後、堂本知事は成田空港の南側飛行コース直下の移転対象地域に残る芝山町芝山の元旅館「藤屋」なども視察した。この地域は、騒特法の特別防止地区にある。移転希望者に対し空港公団は、建物を壊して更地に戻すことを条件に移転補償を行っている。
 同地区には「藤屋」のほか2軒の元旅館が残る。近くの寺院「芝山仁王尊」の住職浜名徳永さん(72)によると、同地区は参拝客の宿場町として栄え、最盛期の江戸末期から明治初期には、15件の旅館があったという。
 「藤屋」に住む五木田文さん(81)は「昭和43(1968)年ごろまで営業していました。もう年だから、移転は考えていません」と話した。

 【本紙の解説】
 四者協を前にしての騒音補償や移転補償を国や公団に要求するための「実体験」である。騒音問題に関しては、「国が約束している対策をきちっとさせる」、移転補償についても「国・空港公団の領域だが、誠意をもって対応させる」としている。つまり、対政府要求項目の取りまとめだ。
 それにしても「騒音の下で暮らすのは、率直に言って大変」といいながら「成田は内陸空港の宿命を背負っている」とは、ひどい言い方である。成田空港を受け入れるのは周辺住民の「宿命」なのか。成田空港が内陸空港であることを宿命といっているのか。それなら、そんな「宿命」を持つ空港に反対すればいいのである。堂本知事は現在、成田空港完全化の最も熱心な推進者である。周辺住民に内陸空港の騒音を宿命として受け入れろといっているのである。
 また、芝山町の元旅館を視察し、「更地にするより保存はいいと思う。家並みや街並みを残していきたい」と発言した。しかし、視察した旅館の五木田文さんは移転は考えていないといっている。騒音移転対象者がすべて移転に同意しているわけではない。にもかかわらず、「保存計画」を云々とは、移転促進という意味なのだ。

(11月21日) 反対同盟、飛行テスト阻止闘争

 反対同盟と現地支援勢力は午前9時、約70人が東峰の開拓道路で集会とデモを行い、飛行テスト阻止闘争をやりぬいた。詳細は本紙参照。

(11月21日) JAL、欧州路線減便(11/22毎日)

 日本航空は21日、12月以降の欧州路線やハワイ路線などの減便・運休を申請した。11月から来年1月の欧州方面の予約は前年同期比4割強の減少で、パリやロンドン路線などの機材を韓国、中国路線へ振り向ける。
 東京―ロンドン、東京―パリは週1〜2便の減便だが、週2便の名古屋―ロンドンと、週7便(共同運航含む)の大阪―パリ線は全面運休する。アメリカン航空との共同運航で週6便の東京―シアトル、週4便の大阪―ダラスも運休する。東京―ホノルル、大阪―ホノルルは年始以降各週7便の減便となる。
 すでに成田―チューリッヒ線を運休している日航の欧州路線は、現在週50便になっているが、それが週41便体制となる。

 【本紙の解説】
 航空需要の減退はとどまるところを知らない。9・11以降、日本からの国際線旅客数は、9月、10月、11月と前年同月比で落ち込みは増加している。
 日航も全日空も、需要は徐々に回復すると期待していた。しかしその思惑は、10月7日の米軍のアフガニスタン空爆開始、11月12日のニューヨークでのアメリカン航空機墜落事故の発生で完全に打ち砕かれた。
 その結果、日航は北米路線だけでなく欧州路線の減便にのりだしている。その機材を韓国、中国などのアジア路線に割り当てるとしているが、アジア路線も旅客が増加しているわけではない。落ち込みが少ないだけである。
 航空機の安全性の欠如が認識されたことで、「浮かれた」海外旅行客が減っただけだ。実需としてのビジネス客も減っているが、彼らは“命がけ”で航空機に搭乗している。

(11月22日) 成田空港の暫定滑走路が完成(11/23全紙の千葉版)

 成田空港の2本目の滑走路となる暫定滑走路の工事が終了し、22日、竣工式が行われた。施工業者81社が主催し、新東京国際空港公団の職員など計240人が出席した。竣工式は、暫定滑走路上に設営された仮設テント内で行われた。式典後、同公団の中村徹総裁は「長い間の滑走路建設が実現し感無量だ。関係者の努力に感謝したい。しかし十分な滑走路ではないので、本格滑走路実現に向けてこれまで通り話し合いによる努力を続けていきたい」と話した。
 暫定滑走路は先月末に完工。現在はYS11機を使った航空灯火施設などのテストが続けられている。検査が終了すると、各国の航空当局や航空会社への周知期間を経て、来年4月に供用が始まる。
 同空港の2本目の滑走路を巡っては、地元住民らの激しい反対運動により建設が難航。反対派の農家を避けるため、当初計画の2500メートルを北にずらし、2180メートルに短縮し、99年12月に着工された。現在も、滑走路の南端約400メートルで反対派農家が生活している。

 【本紙の解説】
 公団はすでに内輪の完成式を10月31日、工事関係者約50人の参加で工事局の庁舎玄関ロビ−で行っていた。今度は施工業者の主催。しかし、二つの完成式で公団に「完成の喜び」はない。中村総裁は「感無量」とかいっているが、実際は、当初計画の2500メートル滑走路ができなかったことへの敗北感が強い。
 公団は86年10月に平行滑走路の建設に着手、完成まで15年もかかっている。1本の滑走路に15年もかけた例は世界でも珍しい。4000メートルのA滑走路も着工は69年9月、供用開始は78年5月で9年間である。A滑走路の供用開始後、ただちに平行滑走路の着工準備に入った。その準備期間も入れれば、平行滑走路一本で20年間かかったことになる。進捗は1年で110メートルだ。それでも暫定滑走路でしかない。設計から35年で航空情勢も一変し、当初計画の2500メートルでもジャンボ機がフルタンクでは飛べない。
 1999年の暫定着工は、20年近い平行滑走路建設の遅れを一挙に取り戻す攻撃であった。
 着工してその重圧で地権者を屈服に追い込み、三里塚闘争を解体させ、北にずらした分の800メートルを加算し、3300メートルにする計画であった。これでB747機もフルタンクで飛べる算段であった。しかし、この試みは失敗に終わった。暫定滑走路は暫定滑走路のままで工事を終わり、使い勝手の悪い滑走路となった。公団総裁の敗北感も当然である。完成式も完成の喜びのないものに終わっている。
 その完成式に「花」を添えているのが、9・11の世界貿易センタービル崩壊の反米ゲリラによる航空需要の落ち込みである。

(11月22日) 全日空赤字110億円へ(11/3読売、毎日、日経、産経)

 全日本空輸が22日発表した2002年3月期連結決算予想は、国際線旅客の激減や旅行事業の落ち込みで、経常損失150億円、最終損失110億円を計上する見通しとなった。
 全日空は「下期の国際線旅客数の当初は前年同期比の88パーセントと想定していたが、想定より4割落ち込むとみている。この状態は2002年度上期まで続くのではないか」と述べた。
 緊急対策として、02年1月から3月まで国際線の採算を改善するために、週11便を運休する。成田発着のムンバイ(旧ボンベイ)線、クアラルンプール線、関空発着のバンコク線を運休する。今年度中に1000人の人員を削減し、1万2700人にするなど、年間で90億円以上の人件費を削減する。また、国際線費用や宣伝費なども抑制し、本年度内に約300億円の経費を圧縮する。
 01年9月連結中間決算は、売上高が前年同期比1・9パーセント減の6387億円、経常利益が40・6パーセント減の319億円、最終利益が47・3パーセント減の168億円となった。9月中間決算の減収は、米景気減速で需要が減少したことが最大の要因としている。

 【本紙の解説】
 全日空も航空需要の落ち込みとその長期化を認め、それへの対応を始めた。全日空は9・11直後の9月20日段階で「減収が一過性にとどまるかどうかが分からない」として、ただ「米国の航空会社から他国の会社へ、旅客の志向が海外から国内になって国際線から国内線へ、といった需要シフトも考えられる」と述べ、需要減退を甘く考えていた。むしろ国内線で優位に立っている全日空に有利に働くことすら願望していた。
 しかしその後、9月末には米航空会社なみの危機を自覚、北米線を中心に20パーセントの減便を決めた。しかし、その時も「米国行きをアジア行きに切り替えるなど柔軟に検討」(大橋洋治社長)と、まだ甘く考えていた。今回はそのアジア路線での減便である。
 日航が倒産寸前のJASとの合併で何とか生き残りの道を探っている。全日空も本格的な減便、人員削減と賃金カットで乗り切ろうとしている。それでも今期の採算見通しは150億円の損失である。全日空は中型機、小型機を日航より多く保有していて、暫定滑走路でのアジア便増便を計画していたが、この調子では実現できそうもない。

(11月24日) 東峰地区、総出で東峰神社草刈りと掃除

 東峰地区は24日、東峰神社の草刈りを家族総出で行った。東峰神社の草刈りと掃除は、盆前と秋の年2回。今年の盆前の8月11日には柵を作った。今度は、萩原進さんの畑の一部に植えていた直径約20センチ、長さ約4メートルの樫の木(シラカシ)と、苗木1本を植えた。樫の木は生長すれば長さが20メートルにもなる。その時、公団はどうするか。
 詳細は本紙次号へ

(11月24日) 成田空港の検問突破/容疑の無免許運転男逮捕(11/25東京千葉版)

 千葉県警新東京空港署は24日、無免許運転で成田空港の検問ゲートを突破し、約10分間にわたり空港旅客夕ーミナル内を走り回ったとして道交法違反の現行犯で、自称新潟県上川村小出、土木作業員稲生米男容疑者(50)を逮捕した。
 調べでは、稲生容疑者は同日午後2時45分ごろ、無免許で乗用車を運転、成田空港「第2ゲート」で検問を受け、身分証明書や免許証の提示を求められたところ、車を急発進させゲート内へ逃げ込んだ疑い。
 稲生容疑者は空港夕ーミナル内で、約十分後に取り押さえられた。調べに対し、稲生容疑者は「無免許がばれるのが嫌だった」などと話しているという。
 9・11反米ゲリラ以降、警備体制を強化している新東京国際空港公団は、空港の全ゲートを約16分間にわたり閉鎖したが、航空機の運航に支障はなかった。同空港公団では「検問は厳重に行っているが、理解と協力を求めたい」と話している。

(11月26日) 久住中問題で成田市/暫定移転、正式決定(11/27千葉日報、読売千葉版、11/29東京千葉版)

 成田空港暫定平行滑走路の運用により、飛行コース直下に置かれる成田市立久住中学校の移転間題で、成田市は26日に開かれた臨時市議会に暫定移転に伴う仮設校舎の整備予算案を上程、可決された。これにより、来年度の新学期当初から久住地区内の暫定移転先で、生徒たちの学校生活がスタートできることになった。
 同日の臨時市議会は、この問題について市側と地元側の間で「久住第一小への暫定移転」、「新校舎は久住地区外とし、隣接する学区との統合も視野に置く」ことで双方が合意に達したとして、緊急に着手する必要のある仮設校舎の建設費2億7000万円の議会承認を求めることが目的。
 午後から開かれた本会議冒頭では、「新校舎は久住地区内に単独移転」を求めた地元請願の取り下げについて、紹介議員の谷平稔氏が経緯などを説明した。
 請願取り下げは、暫定移転先を当初の「成田中」から「久住第一小敷地」とする案を市側が受け入れる条件として出されていたもので、谷平氏は地元での請願取り下げの話し合いの中で「地域として特にこだわったのは『新校舎の地区外移転』であった」ことを指摘。依然、地元には久住地区内での新校舎建設を望む民意が強いことを述べた。
 新校舎の建設場所については、今年度中に市学校教育懇談会の答申を受け、市教委がその方向性を基に案を作成。新年度かち地元などと協議を始める意向で、藤野公之教育長は「いつとは言えないが、できるだけ早く建設地のめどをつけ、建設に入っていきたい」と話している。

【本紙の解説】
 「久住中の廃校=成田中との暫定統合」は中止させたが、成田市は久住中の廃校方針と、地区外の中学に統合するとの方針は変えていない。むしろ「新校舎の久住地区内単独移転」を求めた請願取り下げを条件に、久住第一小敷地での暫定校舎建設費を議会で通したことがポイントだ。これで久住地区は「地区内の単独移転」をあきらめた形になる。市は今後、なし崩し的に「地区外の中学への統合・再編」が承認されたと決め付けて事を進めるだろう。
 事実、小川成田市長は28日に「今後3年間を目標に、学校統合を視野に正式な移転先を決定したい」と言明し、移転先については「久住地区の住民と一応の方向性がまとまった(ので近いうちに決める)」などとしている。住民は地区外移転を承認していないのに、「方向性がまとまった」と決めつけているのだ。手続き的にも市教育委員会・学校教育懇談会が「適正配置・適正規模」について検討中で、そこで示される方向性を基に結論を得るとなっているのだが、小川市長はこれもあらかじめ無視し、久住中廃校を決めてしまった。
 この帰結が、騒音地域の過疎化と廃村化のさらなる進行となることは、火を見るよりも明らかである。

(11月26日) 羽田再拡張、4本目滑走路建設へ/海運業界、国交省案を容認(11/27読売)

 国土交通省は26日、羽田空港の拡張に備えた「東京国際空港(羽田空港)再拡張による船舶航行影響調査検討会」の最終会合を開いた。検討会は国交省が提案した4本目となる滑走路の新設案を受け入れ、「船舶の航行安全対策等について具体的な検討をすべき」と、滑走路建設に条件をつけた報告書をまとめた。これで国交省案による建設が事実上決まった。
 羽田拡張をめぐっては、滑走路の増設で船舶の航行が妨げられると反発する海運業界と、羽田の発着枠拡大を目指す国交省が対立していた。この日も海運業界から「航路が狭くなり、操船が因難になる」と注文がでたが、新滑走路建設への反論はなく建設へ向けて前進することになった。
 今後、国交省は学識経験者らをメンバーとする「首都圏第3空港調査検討会」を早急に開き、同省の滑走路新設案を正式決定する方針だ。来年度以降、滑走路増設に向けた調査などを本格化する。

【本紙の解説】
 国土交通省はどうしても羽田の再拡張を急ぎたいようだ。理由は国交省航空局所管の公共工事が極端に少なくなるからだ。成田暫定滑走路の工事も終わり、関空二期工事の行く末もおぼつかない。地方空港も大半は工事中止に追い込まれている。中部空港も05年度で完成の見込みとなっている。首都圏第3空港は10数年後に見送られた。航空局関連の巨大公共工事は羽田再拡張しかないのである。
 もう一つの理由は、成田の平行滑走路建設が、暫定滑走路のままで終わることが確実になったことだ。
 航空需要の世界的減退のなか、航空会社と空港の生き残り競争が激化し、極東アジアの国際ハブ空港争いも熾烈だ。韓国の仁川、中国上海郊外の浦東、そして成田(羽田)などが争っている。いまのところ成田(羽田)への乗り入れ希望は多いが、暫定滑走路はジャンボ機も使えず、中型機でも長距離便は飛べないという問題がある。そのため乗り入れ希望に応じられないケースが続出している。ここ数年で、極東アジアのハブ空港の中心が仁川空港や浦東空港に移ってしまいかねない情勢だ。
 三里塚闘争で首都圏の空港整備計画が致命的なまでに遅れたため、時間のかかる第3空港は先送りにし、羽田再拡張に転じたのである。
 その羽田再拡張は海運業界に反対されたが、同じ旧運輸省所轄の業界であり、国交省が力づくでねじ伏せたようだ。当然にも海運業界での反発は強い。

(11月27日) 成田市長 3空港一括改革案に反発「成田は単独民営化を」(11/28千葉日報、読売千葉版)

 成田市の小川国彦市長は27日に開かれた成田市円卓会議の席上、国土交通省が提案している成田、関西、中部の三国際空港一括改革案について、「三空港はたどってきた歴史が違う。成田空港単独で民営化を図るべき」と述べ、反対する考えを表明した。今後、空港周辺の自治体や県と意見を調整したうえで、国交省に「成田空港単独の民営化」を要望していく方針。
 小川市長は「民営化の流れはやむを得ない」としながらも、内陸空港の成田空港は十分な財源を確保して万全の防音対策を図る必要があるほか、地域振興策の推進・実現が急務などとして、「成田での収益は成田に還元するのが基本」と述べた。成田円卓会議でも同様の認識で一致した。他空港の債務を負担する恐れがあることについては、「競争原理が働かなくなる。成田の収益は成田に還元すべきだ」と主張した。

【本紙の解説】
 小川市長の民営化反対論は、成田の収益は「地元に還元しろ」というだけの内容だ。空港の安全性などには言及もしていない。あくまで「万全の防音対策」であって、「安全対策」ではない。そのための単独民営化論である。
 民営化の是非についての見識もない。「民営化の流れはやむを得ない」などとし、民営化が空港にもたらす問題についての認識もないことを暴露した。ひたすら成田の権益が他に流れることだけに反発しているのだ。
 市は「万全な防音対策」というが、久住地区など騒特法の「防止地区」や「特別防止地区」では廃村化政策を公然と進めている。人口の減少と過疎化の進行にもかかわらず、中学の廃校などを住民の反対を押し切ってまで進めている。市長のいう「地域振興」とは、実は自分たちの権益のことなのだ。

(11月27日) 成田の機能強化を/石塚氏が空港問題で講演(11/28千葉日報)

 民間の立場から県内経済の活性化策などを考える県新都市開発協会(土屋秀雄理事長)の「新拠点空港構想調査研究委員会」が27日、千葉市内のホテルで開かれた。県企画部理事の石塚碩孝氏を招いての勉強会。参加者は、「成田空港をめぐる動きについて」と題した同氏の講演に聴き入った。
 今月22日に暫定平行滑走路が竣工した成田空港や首都圏第3空港の方向性などを、これまでの経緯を加えながら説明した。国際空港成田の機能強化へ向けた来年度の重点施策も紹介された。
 石塚氏は、来年4月18日に供用となる暫定平行滑走路は年間に約3400万人の旅客数に対応できるものの、2007年度には限界に達することや、暫定ではジャンボ機は使用できず、中小型の旅客機までしか対応できない実情などを説明。当初計画の2500メートル平行滑走路の整備促進を強調するとともに成田新高速鉄道や北千葉道路をはじめとする交通アクセスの整備など「県としても全庁あげて国際空港都市づくりへ取り組んでいく」と述べた。

【本紙の解説】
 堂本知事になって千葉県の成田空港政策は一変した。それまでは、代替地の用地買収などの面では公団以上の取り組みを進めながらも、表面的には政府・公団の建設の進め方に「注文をつける」という姿勢だった。強制収用になれば、代執行の矢面に立つのは県なのだと、文句をつけてきた。それで県収用委員会は再建できない状態が続いているのだ。
 堂本は成田の完全空港化は千葉県の責任だと「勘違い」しているのか。暫定滑走路の当初計画(2500メートル)への延長に異常なまでに熱心だ。知事に就任直後には「成田問題は一気にやってしまおうと思って」とまでいっていた。34年もかかって解決できないことを「一気に」とは不見識の極みなのだが、地権者工作に直接手を出そうとして中村公団総裁に“諭された”経緯もある。その後「四者協議会」のテーマから地権者問題を外されたことに堂本は反発し、公団の地権者対策は問題があるとして、自ら切り崩しに動く姿勢を強めている。先週11月20日には芝山や成田の騒音地区まで直接出向いた。
 国交省、公団以上に“熱心”に地権者切り崩しに乗り出した千葉県と堂本知事の暗躍を絶対に許してはならない。

(11月28日) 関空新滑走路供用を3年程度延期/国交省検討(11/28朝日)

 関西空港の2期工事をめぐり、国土交通省は07年としていた新滑走路の供用開始時期を、3年程度延期する方向で検討に入った。すでに大阪府など地元側に非公式に打診している。国内外の航空会社の関空離れが進みそうなうえ、米国テロ事件の影響もあって、関空の需要が当初の想定通りに伸びないと判断した。
 同省は9月、成田空港や関空の用地造成事業を一体化させるなどの組織改革案をまとめた。だが、この案は「関空救済」との批判もあり、需要に見合った整備計画を打ち出すことで批判をかわす狙いもあるとみられる。
 関空では、これまでに全日本空輸が欧州路線から撤退したほか、日本エアシステムも国内路線の大半の撤退を模索している。さらにテロの影響で、9月の旅客数が前年同月に比べて約1割、10月以降は3割程度落ち込んでいる。
 現在の滑走路(3500メートル)の年間の発着可能回数は16万回。同省や、空港を運営する関西国際空港会社はこれまで、07年までに満杯になり、新たな滑走路が必要としていた。同省は最近の需要動向からみて、10年ごろまでは現在の滑走路の容量でまかなえると判断した。

【本紙の解説】
 事実上の二期工事中止決定である。政府と財務省は関空二期工事の延期を昨年末から検討し始めていた。しかし大阪府と国交省はそれに抵抗し、何としても二期工事はやろうとしていた。3本目の横風滑走路の建設中止は政府、国交省、大阪府で合意していた。国交省と大阪府としては2本目の二期工事を進めるための妥協であった。それが今回は、2本目の平行滑走路についても、3年ほど延期との方針を、国交省が受け入れた格好である。
 理由は、9・11以降の航空需要減退が一過性ではなく長期になりそうで、二期工事の必要性について説得力がなくなったことにある。さらに3国際空港の民営化(一体化)の妨げになることである。また二期工事の07年完成予定計画は、08年のオリンピック大阪開催を前提にしていた。ところが大阪は開催地選挙に最下位で落選してしまった。08年オリンピックが北京開催に決まった時点で、関空二期工事は事実上必要なくなっていた。それでも、国交省と大阪府が固執していたのは、公共事業の利権、ゼネコン支援のためであった。

(11月28日) 成田の団結小屋使用禁止は適法/東京高裁が逆転判決(11/29全紙)

 成田空港周辺に建てられた「団結小屋」を運輸相(当時)が使用禁止にしたのは違法として、三里塚・芝山連合空港反対同盟熱田派とその支援者らが国に計2800万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁であった。井上繁規裁判長は340万円の支払いを国に命じた一審・千葉地裁判決を取り消し、原告側の請求を棄却した。
 訴訟では、新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(成田新法)に基づいて、89年から95年までに出された使用禁止命令の適法性が争われた。
 一審判決は92年以降について「暴力主義的破壊活動をおこなう可能性が高かったとはいえない」と判断したが、高裁はこの期間についても「空港の2期工事の実力阻止などを呼びかけるセクトの人物が団結小屋に出入りしていた」、「破壊活動をしないと認められるには、運動方針の転換などで破壊活動の恐れが消失したことが確認できる一定期間の経過が必要」などと指摘。使用禁止命令は適法だったと結論づけた。

【本紙の解説】
 極端な政治判決である。一審裁判過程では、脱落派を滑走路建設賛成に取り込むために、原告の主張を全面的に取り入れていた。昨年4月の判決時は、暫定滑走路着工直後であり、何とか東峰地区住民を追い出したいという思惑で原告側勝訴としたのである。
 それが暫定滑走路の工事もほぼ終わり、取り込みにも失敗したことで、国交省、公団は地権者を力でたたき出す以外に方法がなくなってしまった。そうした三里塚闘争の攻防を反映させた逆転判決である。
 脱落派の党派が持っていた団結小屋で成田治安法が適用されたのは、第四インターとプロ青、労活評であった。しかしいずれも三里塚闘争から撤退した。第四インターは党派として崩壊し、プロ青にいたってはみずから小屋を解体してしまった。このように裁判闘争を闘う主体が崩れてしまったことが、逆転敗訴の最大の原因である。

(11月29日) 成田空港10月旅客数、開港以来最大の落ち込み(11/30千葉日報、読売、毎日)

 9・11反米ゲリラ、炭疽菌事件などの影響で、成田空港を利用する旅客の落ち込みが依然激しく、特に先月の旅客数は前年同月比で32パーセント減と、1991年2月(湾岸戦争時)の30パーセント減を抜き、開港以来最大の落ち込みを記録した。今月も同じ傾向にあり、戻らない旅客に空港関係者は頭を悩ませている。
 公団のまとめによると、先月の空港全体の旅客は約163万人だった。前年同月に比べ、外国人旅客は10パーセント減にとどまったのに対し、日本人は41パーセント減の約93万人で、米国向けを中心に海外旅行の手控えが大きく響いている。これは湾岸戦争の影響による1991年2月のそれぞれ全体30パーセント、日本人38パーセントを上回る過去最高の減少率となった。 路線別で、中国や韓国などアジア方面は前年並みだが、北米は44パーセント減、グアムは50パーセント減、ハワイは45パーセント減だった。
 11月に入っても、定期旅客便の発着回数は20日までの累計で対前年同月比7パーセント減まで回復しているものの、出国旅客数は36パーセント減で、10月中の34パーセント減からさらに悪化。同日、会見した中村徹総裁も「11月では回復傾向は見えてこない。年末に期待したい」と早急な回復は難しいとの見方を示した。

【本紙の解説】
 航空需要の減退は構造的である。年末、年始で回復を期待できるレベルの落ち込みではない。航空機メーカーでは3年先までの落ち込みが続くと予想して製造計画を下方修正している。航空輸送会社も同様だ。そのため9・11以降、世界の航空関係労働者の12パーセントにあたる20万人が解雇されている。昨年までの航空需要は、産業界の落ち込みの中で例外的に「右肩上がり」だった。世界の航空産業は1990年代に米国を中心に拡大していた。
 78年の米国での航空自由化をきっかけに、世界各国の航空会社を巻き込んだ競争激化の時代に入った。競争激化は、航空運賃の値下げにつながった。航空券の実勢価格は10年前の5分の1ぐらいに下がった。そのため日本でも一般の人々が海外旅行に行けるようになった。世界的にも、ここ数年、旅客数は毎年5パーセントの割合で伸びていた。
 このような航空産業の右肩上がりの時代は終わった。今までは過剰資本、過剰生産力の中での競争激化による航空運賃値下げであった。今は倒すか倒されるかの経済戦争で、赤字覚悟で驚くほどの激安運賃となっているのである。
 現在、航空会社は再編・統合に向かっている。統合が一定の落ち着きを見せると、航空運賃は値上げに転じる。そうなると毎年5パーセントも伸びていた時代に戻ることはありえない。産業構造そのものが収縮するのである。
 9月よりも10月の落ち込みが大きい。11月に入っても36パーセント減で、10月よりさらに悪化している。これは航空需要の落ち込みが構造的であり、9・11は、ひとつの契機に過ぎないことを示している。

(11月29日) 航空3社/2社が連結最終赤字(11/30日経、読売、産経、東京)

 大手航空3社の2001年9月中間連結決算が29日、出そろった。景気低迷による需要減に加えて9・11反米ゲリラの影響で旅客減が響き、日本航空と全日本空輸の2社が減収減益となる一方、国内線が大半を占める日本エアシステムは増収増益を確保した。下半期の業績は9・11の影響をもろにかぶるため、各社とも2002年3月期決算で業績悪化を見込んでいる。
 反米ゲリラが9月11日だったため、中間決算に反映された期間はわずかだが、それでも運休や減便で各社とも収入を減らした。特に国際線が主力の日本航空の影響が大きい。
 10月以降も影響は顕著で、国際線の落ち込みは続いている。日航は今期下期の国際線旅客数が前年同期に比べ20パーセント減少すると想定した。国際線の見直しを進めている全日空は、期初に下期の旅客数を前年同期の88パーセントと想定していたが、50パーセントに下方修正した。
 国内線でも沖縄方面を中心にキャンセルが続出。全日空は主力の国内線で下期の旅客数が5パーセント減少すると予想した。
 このため3社とも通期業績が大幅に悪化すると予想している。日本航空は400億円、全日空は110億円の最終赤字を見込んでいるほか、日本エアシステムの最終利益予想も68・8パーセント減の7億円にとどまっている。
 来年は成田空港や羽田空港の発着枠が拡大するが、増便しても需要の伸びが追い付かず、コスト増につながるだけとの声が多い。国際線の回復は来期後半との見方が支配的。

【本紙の解説】
 日本の航空各社も9月の中間決算が出て、通期の3月末決算見通し悪化で、航空需要の減退の本格化を認識しはじめた。全日空の国際線の需要見通しが、12パーセント減から50パーセントにまで下方修正された。これが現実のデータである。それでも国際線の回復を2002年後半としている。まだまだ認識が甘い。だが、本当のところを予測すると会社自体が存続ができないような「見通し」になってしまうので、甘い「予測」しかできないのである。
 暫定滑走路が4月に供用開始される。7月には羽田のスロットが増える。羽田のスロットは国際線ほどの落ち込みのない国内線であり、ジャンボ機も使える。1日に52回増え計754回になる。便数で1日26便、週182便の増加になる。
 日本の航空会社は、運休している太平洋便の機材とクルーを羽田発着国内線に変更し、赤字を何とか減らしていきたいのだろう。そのためもあり、成田暫定滑走路の需要は国内線も国際線も、結局ますます少なくなりそうである。

(11月29日) 深夜、進入灯の照度測定検査(12/1毎日、東京各千葉版)

 来年4月に予定される成田空港・暫定平行滑走路の運用開始を控え、新東京国際空港公団は29日深夜、南側航空灯火の明かりが近くの農家や畑に及ぽす影響を調べるため、実際に点灯させて周囲の照度を測定する検査を行った。付近農家から明かりが農作物などにあたえる影響を懸念する声がでているが、この日の検査では消灯時と点灯時の明るさに大差はなく、同公団は「影響はほとんどなさそうだ」としている。
 公団職員が照度測定器2台で、同滑走路南側の進入灯に最も近い畑など10カ所を測定。くもりだったため全体に照度は低く、夜の晴天時に月明かりで2ルクスの明るさの地点で、消灯時0・15ルクス、点灯時0・18ルクスだったという。公団は「照度と実際に見える明るさは違うため、さらに対策を検討する」としている。

【本紙の解説】
 作物は自分の成長の目安を気温の高低とその変化、日照時間とその変化に求めている。その変化が人工的になり、24時間、照度が高くなった場合に、作物への影響がないということはあり得ない。騒音で地権者をたたき出すことに加えて、営農環境を破壊してたたき出すのは公団の常套手段である。
 これまで公団は、買収した用地を雑草だらけにして、その種が周辺の畑に伝播する被害を意図的に作り出してきた。これに対して、自分の畑を守る自衛策として公団用地を自主耕作する農民を弾圧し、農作業をより困難にしてきた歴史がある。
 巨大な空港は、騒音で人間を蹴散らすだけではない。農作物、自然の植物、野生動物に巨大な変化をもたらす。生態系そのものを変えてしまうのだ。その実態を知るには、少なくとも数年から10数年の年月を必要とする。
 進入灯の照度以上に農作物に直接的影響をあたえると予想されるのが、防音壁による風の動きの変化である。防音壁で「ビル風」のような強風がでて、農作物の苗をなぎ倒すような被害が出たり、季節によっては空気がよどみ畑の通気性が損なわれることも予想される。
 公団も成田市も、地権者と周辺住民を追い出すことだけが目的で、このような「嫌がらせ」を積極的やっている。

(11月30日) 成田市土屋駅実現へ調査費/成田新高速鉄道整備で(12/1千葉日報)

 成田空港の新たなアクセス鉄道として早急な整備が求められている成田新高速鉄道(B案ルート)で、成田市は市域内に設置される新駅の需要予測や沿線のまちづくりの在り方、課題などを整理する事業化調査に乗り出すことにし、30日に開会した12月定例市議会に上程の今年度一般会計補正予算案に事業費を盛り込んだ。
 成田新高速鉄道については、昨年1月の運輸政策審議会が「2015年までの開業が適当な路線」と答申。これを受け同年3月、県が国、関係自治体、鉄道事業者、空港公団などからなる「事業化推進検討委員会」が設置された。
 同委員会による事業化調査結果では、印旛日本医大駅から成田空港までの中間駅については、成田ニュータウン北新駅が設定されたが、土屋駅については需要、採算性から必要性は低いとされ設定されなかった。
 これに対し成田市は「土屋駅は成田空港の開港に当たり、1967年2月に国に対して行った45項目の要望事項であり、当時の田村元運輸大臣や運輸省幹部が最善を尽くすと回答した」(小川国彦市長)ほか、土屋土地区画整理事業区域内に5000平方メートルの駅前広場を計画、空港と地域との共生、地域振興の上からも必要と主張している。

【本紙の解説】
 成田新高速鉄道の早期着工は、地元建設業者の要望で調査費を予算化することに成功した。また都市再生本部の第2次プロジェクトに入り、政府の無利子融資を、これまでの建設事業費の18パーセントから33パーセントに引き上げることになった。15年後までの完成予定も前倒しになり、10年後になりそうである。しかしこの新高速鉄道は、成田市の発展を阻害する物になることを成田市と小川市長がようやく気がついたらしい。
  新高速鉄道の整備の理由は、千葉県の調査報告書には以下の2点が示してある。「高速性の確保」として、都心から成田空港の所要時間は30分台を目指す。「アクセス性の向上」として、都心と空港との間をノンストップで運行する列車と複数駅に停車する列車を運行する。
  具体的運行はどうなるか。現在の京成スカイライナーを成田新高速鉄道経由とし、その他に一般特急を運行する。運転本数の設定は、スカイライナータイプ、一般特急ともに、時間当たり、上下それぞれ3本と設定する。
  つまりスカイライナーと現行の特急は、すべて京成本線から新高速鉄道に移る。つまり成田駅停車のスカイライナーはゼロになり、特急もなくなりそうである。特急は、1時間に1〜2本運行できるかどうかになる。現行の特急枠は1時間当たり、上下3本であり、それはすべて新高速鉄道に移る。つまり、京成成田駅は、確実にローカル化し不便になる。成田ニュータウン北新駅では、成田駅周辺の旧市街の住民は不便で使えない。また成田山参りに来る人の多くがスカイライナーを乗ってくるが、それもできなくなる。土屋駅ができたとしても、ニュータウン北新駅にはスカイライナーは止まらない。
 また現在、京成成田駅とJR成田駅は合わせてバスターミナルになっている。これが成田ニュータウン駅に同じ規模で移転できるはずもない。バスで成田駅を使っている人にとっても、京成成田駅は不便になる。この事実が明らかになれば、成田市民や周辺の人々にも新高速鉄道を歓迎する人はいなくなる。建設関係者だけが歓迎する鉄道になるのだ。
 新高速鉄道はそもそも都心と空港を結ぶもので、成田市民と京成沿線の住民を無視して計画されたものである。小川市長は、この問題を認識せずに新高速鉄道建設に躍起になっていた。小川市長は土屋駅設置運動の前に、この計画の全体像を明らかにすべきだ。

(11月30日) 国内線需要創出で検討会/「出張に成田空港を」(12/2千葉日報)

 成田空港の国内線需要を創出するための検討会が11月30日、国土交通省、県、交通関係事業者、空港公団などの担当者が集まり、千葉市の幕張メッセで行われた。
 3回目の会合となった今回は、中・長期的な需要創出に向けた課題と対応策を整理するとともに、利用促進や対応策の推進を行う母体組織の設置で議論した。
 この中で、観光・ビジネス需要の喚起策として、全国から成田空港へ呼び込む需要創出では「滞在型・宿泊型・通年型の千葉県観光開発」「東京ディズニーリゾートとタイアップした旅行商品の開発、南房総を国際リゾートして育てる工夫」「成田周辺の名門ゴルフコースを利用した冬場のゴルフツアーの企画」を提起。
 成田空港から全国へ向かう需要創出では「出張などの際に成田空港を利用する運動の展開」が挙げられた。また、共通した対応策では「各種媒体を使った成田空港国内線のPR」「国内線の充実・小型機等の活用」「午前7〜10時台の到着便、午後5〜8時台の出発便の充実」とした。
 検討会では課題や対応策については議論が出尽くしたとして、残る国内線の利用促進母体については、総論では賛成しながら各論では意見がまとまらず、今月末に予定している最終会合で結論をだすことになった。

 【本紙の解説】
 成田空港国内線充実検討会が陳腐化していることをこの会合は示した。これでは成田空港国内線の需要創出にはならない。
 今年5月の検討会で成田空港の国内線を2万回に充実させることが至上命令だったが、年間発着回数1万回が限度、事実上7千〜8千回になるとの試算がでてしまった。その理由は、成田へのアクセスが悪いことと千葉県の観光需要がないこととされた。そのため、検討会の下に「成田空港アクセス充実検討会」と「成田空港需要創出検討会」を設置することを決めた。
 今回はその需要創出検討会の第3回会合で、事実上の最終会合である。内容はありきたりの「千葉観光」の羅列に終わっている。
 航空機で千葉県への観光を呼び込むことは至難の業だ。そもそも千葉県庁には観光局が存在しない。これは稀有(けう)な例で、47都道府県で千葉県だけである。千葉県は観光事業にまったく依拠しない「発展」を考えている。この千葉県に魅力ある観光を求めることは、土台無理があった。
 また「出張で成田空港を利用する運動」も現実感に乏しい。景気後退で出張費が削減される中、わざわざ遠回りして成田を使う企業はない。「充実」されたとしても、便数が羽田とくらべて限られる。結局、成田の国内線は、乗り継ぎ便以上の利用は無理がある。乗り継ぎ便だけでは現行の便数が限度。「充実」からは程遠い検討会で終わりそうだ。

TOPへ  週刊『三里塚』