SANRIZUKA 2005/12/15(No693
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週刊『三里塚』(S693号1面1)(2005/12/15)
NAAとの謀議内容は?
処分場転用問題 同盟、市に再質問状
着工は許されない
「北延伸」 ダイオキシン禍も
一般廃棄物処分場(成田クリーンパーク)の違法転用問題が空港会社と成田市にのしかかる中、反対同盟は11月30日、2回目の公開質問状を成田市長あてに出し追及する姿勢を強めた。さらに12月7日、市役所前などでビラまきを行い、市長をを追及する足立満智子議員の一般質問を傍聴して、闘う姿勢を明らかにした。空港会社をめぐっては官製談合事件も深刻の度を増し「空港建設は私利私欲のためだった」という声が反対同盟、市民の間から高まっている。「東峰の森」破壊を許さず北延伸工事着工阻止へ闘おう。
駅頭等で市民に訴え 反対同盟
「成田クリーンパーク転用問題については、ただいま成田空港会社と協議中につき回答できる段階にはありません」という反対同盟の公開質問状への成田市長の回答に対して、同盟は11月30日第2回目の公開質問状を発送した。(抜粋別掲)
質問状では「(1)協議の中身を明らかにされたい。もし明らかにできないとされるならその理由を明示されたい」と質し、「協議いかんに関わらず、技術的内容については答えられるはずだ」として、「(2)一般廃棄物最終処分場を空港用地に転用する際の方法」「廃止する場合に必要となる安全確認のための検査・手続の方法と期間」について再び尋ねている。(回答期限は12月8日)
つづいて12月7日朝、「空港会社と成田市が秘密裏にゴミ処分場の違法転用を画策している」という趣旨のビラ1000枚を京成、JR成田駅頭、市役所前でまき「地下水のダイオキシン汚染を許すな」「空港と市による成田市の環境破壊を許すな」と訴えた。
(写真 航空保安施設用地への違法転用が問題となっている成田クリーンパーク【十余三】)
市職員は注目してビラを読み、多くの市民も「空港による環境破壊とは何事か」と驚いた反応を示していた。
さらに反対同盟は同日午後、成田市の定例市議会でクリーンパーク違法転用問題で質問に立った足立満智子議員の質疑を傍聴した。
足立議員は「問題が明るみに出た8月末以来3カ月以上も経つのに市は何の説明もしていない。NAAとの協議の中身を含めて説明責任を果たすべきだ」と追及。これに対して、市長と環境部長は「ただ今整理調整中につき答えられません」と逃げの答弁に終始し、空港会社とのゆ着ぶりを露呈した。
同盟がまいたビラを手にした市議会議員は、市長、環境部長と足立議員の質疑に注目していた。
北延伸工事も官製談合の巣
ビラでは現在大問題になっている空港会社の官製談合事件にもふれ、ビラまきメンバーは「談合は氷山の一角、全社の組織ぐるみの犯罪行為だ」「空港建設はNAAが私腹を肥やすための私益だった」「北延伸工事許すな」と訴え大きな共感をえた。
成田空港を舞台にした官製談合は三里塚闘争を隠れみのに使って入札情報を隠し、組織ぐるみで贈収わいが行われていたことが報じられた。現在準備されている北延伸工事でもまったく同様の手口の談合が行われている。NAAはすでに「着工」をうんぬんする資格を失ったというべきだろう。
06年、空港会社は夏に空港計画の変更申請―認可の手続きを行い、秋、北延伸工事への着工を公言している。
3度にわたって保存を公約した「東峰の森」を破壊して誘導路工事を強行し、覆土(土をかぶせる)によるクリーンパークの違法な転用を策動している。北延伸工事着工阻止にむけ闘争態勢を強めよう。「世界一高い」着陸料の裏側で、組織ぐるみの官製談合が横行している。北延伸を粉砕しよう。
(図 一般廃棄物最終処分場【クリーンパーク】を示す地図。北延伸後の北端から50メートル)
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週刊『三里塚』(S693号1面2)(2005/12/15)
法守れば廃止に5、6年
解説
成田クリーンパークは北延伸後の滑走路北端からわずか50bに位置する。そのため延伸計画の進入灯設置用地として必要となった。またその近さから滑走路の過走帯(オーバーラン帯)にかかり、現在谷のようになっている埋立地を平らにしなければならない。(写真上)
この用地4万2千平方bのうち8割以上を占める3万7千平方bが公団用地(成田市への貸地)だったため、NAAはいつでも返還してもらえるものと安易に考えていた。ところが廃棄物処理法によって返還・転用には大きなハードルが設けられていることが分かり、問題が発覚して3カ月も経つのに何の対策も打ち出せていないという失態を演じている。
クリーンパークに埋まっている廃棄物は空港から排出されたごみや家庭ごみを他の一般処分場で燃やした後の焼却灰であり、ダイオキシンを大量に含んでいる。
また同パークができた1989年段階では規制が緩かったため、底にしかれているシートは薄く、破れている可能性が高い。すでにダイオキシンが漏れ出していると考えたほうが自然だ。こうした場合、廃止のための安全基準を満たすには5、6年かかるというのが識者の見解だ。
また同法で、閉鎖から廃止までには最低でも2年間の監視期間(有毒物質が漏れ出していないかをチェックする)を設けることが定められている。
しかし問題は、こうしたクリーンパークの転用に関して、NAAと市は法手続きを踏み破り土をかぶせただけで廃止を強行するという違法行為を企てていることだ。
周辺住民も深刻な環境破壊への危機感を強めている。反対同盟はさまざまな角度から監視を強める方針だ。
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週刊『三里塚』(S693号1面3)(2005/12/15)
天神峰本部裁判 12・15地裁傍聴闘争へ
地上権確定の第2弾
NAAの不当提訴、崩壊へ
現闘本部は「北延伸」攻撃阻止の砦だ!
天神峰現闘本部裁判の第9回口頭弁論が、12月15日午前10時30分から千葉地裁で行われる。多くの支援者が傍聴闘争に参加されることを呼びかけます。
裁判は現在、最大の争点である地上権の存在をめぐって激しい攻防がくり広げられている。NAA(成田空港会社)は、「木造建物(旧現闘本部)は1988年の鉄骨造り建物が増築されたときに解体された」として、反対同盟の地上権はないと主張。これに対して反対同盟と弁護団は、旧現闘本部が現在も存在することを示す証拠写真を提出するなどして、NAAの主張のウソを厳しく追及している。
(写真左 現闘本部は暫定滑走路の用地に食い込む闘いの砦だ)
すでに反対同盟側は、前回の弁論から地上権の存在を積極的に証明するために、建物の登記があった事実と地上権設定に至る経過を具体的に論証してきた。今回の弁論はその第2弾で、建物の構造を詳細に明らかにすることで、旧現闘本部が現存する事実や、鉄骨の増築部分と旧木造家屋が一体のものであることを細かく論証する予定だ。
NAAの提訴は論理全体が崩壊寸前だ。本裁判は、NAAが現闘本部の底地権を旧地主の石橋家(元反対同盟副委員長の石橋政次)から買収したことを根拠に、同本部建物の撤去を求める提訴だが、反対同盟側の地上権は動かし難く、これが論証されるだけでNAAの提訴は根拠を失う。NAAとしては、提訴に踏み切ったことで、逆に現闘本部の存在を確定させる結果となり、暫定滑走路の「への字誘導路」問題は永遠に解消できなくなる。これは空港会社にとって致命的な問題だ。
暫定滑走路は今年8月に「北延伸」計画を正式に決定したばかりだが、09年にオープンする羽田新滑走路と完全に競合している。現在、成田の暫定滑走路で運用されているアジア短距離便は、おしなべてアクセスの便利な羽田に移管するすう勢で、成田はかなりの苦境に立たされている。「への字」誘導路など暫定滑走路の欠陥が解消できなければ、「北延伸」の意味それ自体がなくなってしまう。つまり現闘本部裁判の勝利は「北延伸」の根幹を粉砕する闘いなのである。
追いつめられたNAAは、反対同盟による地上権設定や地代支払いの事実、登記の対抗力などについて、事実を無視したデタラメな認否を提出(準備書面)した。これらを徹底的に粉砕することも次回以降の弁論の重要なポイントとなる。前記の「建物構造論」では、反対同盟側は現場検証の実現も要求する。
(写真右 石橋への地代は毎年支払われている。決定的な証拠となる領収書も提出された)
残る課題は、司法権力の逃げ道を許さない大衆的な包囲を強めることである。裁判闘争を支援する会の戸村義弘・代表世話人は、有明海諫早湾干拓事業の訴訟や各地の反原発訴訟を例に取って「裁判は正論だけでは勝てない」ことを強調し、広範な人民戦線の連帯こそが必要だと訴えている。成田空港建設という国策事業と対峙する三里塚闘争の裁判においては、この問題は決定的な意味を持つ。
傍聴闘争への結集がきわめて大きな力となる。そして支援する会運動のさらなる拡大・発展に全力をあげよう。反対同盟を先頭に、12・15口頭弁論(12月15日午前10時30分・千葉地裁)の傍聴に参加しよう。
支援する会運動の更なる拡大を 支援する会事務局
天神峰現闘本部裁判は地上権をめぐる本格的な論戦に入っている。建物登記の事実など地上権設定に至る経緯や、本部建物増築の構造などが詳細に明らかにされ、空港会社の不当提訴を破たんに追い込む闘いの正念場だ。
同裁判闘争は、現闘本部を守ることで、天神峰・東峰区住民に耐え難いほどの生活権侵害をもたらしている暫定滑走路を閉鎖に追い込む闘いである。支援する会運動へのさらなる取り組み強化を切に訴えます。
●会費納入方法について
年会費は1口3000円。団体の場合は出来る限り複数口でお願いします。
▼郵便振替【口座番号】00100−8−297055【加入者名】天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会
▼銀行振込:三井住友銀行成田出張所【店番号・口座番号】548−6592903【口座名義】伊藤信晴
●銀行振込の注意
銀行振込の方は、納入者の氏名等を正確に確認できませんので、連絡票(別途配布)を「支援する会」事務局まで郵送願います。郵便振替の方は、振替用紙に氏名・住所が書き込まれますので、連絡票は必要ありません。
《〒286−0111 成田市三里塚115(北原気付)/天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会事務局》
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週刊『三里塚』(S693号1面4)(2005/12/15)
反対同盟の第2回公開質問状
反対同盟による11月9日付け公開質問状に対する成田市長からの回答が11月15日にありました。その内容は「成田国際空港会社と協議中のため回答できない」というものでした。これは住民無視と反対同盟黙殺の極みであり到底納得できません。成田クリーンパークは一般廃棄物の最終処分場であって、埋め立て物の大半が一般廃棄物の焼却灰とされております。同焼却灰は猛毒のダイオキシンの塊であるため、クリーンパークの転用問題は深刻な環境汚染に直結します。現に当該地区である十余三、小泉地区住民そして隣接する天神峰、東峰地区住民からは「問題の経緯と処理方針を明らかにしてほしい」旨の声が上がっております。
(中略)
市民の健康を優先的に守る義務のある成田市当局の責任は重大と考えます。そのような立場から以下、再質問します。12月8日までにご回答下さい。
(1)「成田国際空港株式会社と協議中」とあるが、協議の中身を明らかにされたい。もし明らかにできないとされるならその理由を明示されたい。
(2)前回質問状で「廃止の場合、埋め立てた廃棄物の飛散や流出、浸出液による地下水汚染や火災が発生しないことなど安全確認のための検査・手続きが必要である。当該処分場の場合の検査方法と手続き期間を明らかにされたい」と尋ねた。これは「成田国際空港会社との協議」いかんに関わらず答えられる内容と考える。(中略)
この項目について回答されるよう再び尋ねる。
(3)クリーンパークに埋められているゴミの中身について焼却灰の割合を含めて明らかにされたい。
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週刊『三里塚』(S693号1面5)(2005/12/15)
核空母の受け入れ工事に着手
横須賀の米軍基地
成田の出撃基地化も切迫
在日米軍基地再編に関する中間報告(10月29日)で、横須賀基地への原子力空母の母港化が打ち出されたが、すでに昨年夏から母港化業が極秘裏に行われていたことが暴露された。(11月12日付東京新聞)
横須賀基地の12号バースは数年前から「通常型空母キティホーク用」と称して延長工事が進められており、今年3月には完成していた。この延長工事は実は最初から原子力空母用だったのだ。
アメリカ軍側は延長工事だけではなく、12号バースへ至る進入路の水深を2b以上掘り下げることおよび給電設備の改修を求めているという。
浚渫には2年かかる。そのため原子力空母の配備予定である08年に完成させるため、07年度には着手しなければならないという。これら一切が地元住民、自治体の頭越しだ。原子力空母の配備を許すな。
成田空港も米軍再編で米軍に提供されることが明記された。朝鮮・中国侵略のための米軍再編許すな。
(米原子力空母の横須賀母港化が画策されている【写真はカールビンソン】)
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週刊『三里塚』(S693号1面6)(2005/12/15)
78年管制塔占拠闘争の被告たちが、国から要求された損害賠償の支払い請求(給与差押の強制執行)に応じ、カンパで集めた1億300万円を支払ったという。被告たちは「熱い魂を国に叩きつけた」(報告集会)そうだ。言葉は勇ましく踊るが、事の本質は「ゴメンナサイ」である。いまなお闘う農民たちは不快感を隠さない▼強制執行の決定は、暫定滑走路の「北延伸」決定と同時になされた。要は最終的に屈服しろという要求だ。いま三里塚では、血みどろの歴史を携えた国策事業を最後まで拒否しぬくかどうかが問われる日々が続いてる。どんな理屈をつけようが、命を削って闘った相手=国家権力に「支払う」選択はあり得ない▼「熱い魂」で集めたカンパなら、それで仲間を支える枠組みを作ればいいのだ。なぜそれをやらないか? 敵に現ナマを「叩きつけて解放された」などとスッキリしている場合ではない。被告たちは支払い後のインタビューで「これで闘争は終わったのか」と記者に問われ、「暫定空港がある限り三里塚闘争は続く」と応えたそうだが、一体だれが闘いを続けてきたのか?▼被告たちの属していた党派は、83年の反対同盟分裂で脱落派(熱田派)に加担した。その後、同派は組織として「闘いの終了」を宣言、戦線を放棄した(シンポ・円卓会議)。暫定滑走路は、彼らが円卓会議で建設を承認した結果だ。三里塚闘争は、この反動を歯を食いしばって乗り越えて今日がある。現地ではギリギリの苦闘がいまも続く。「解放された」などと甘いことを公の場で語るな!
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週刊『三里塚』(S693号1面7)(2005/12/15)
「東峰の森伐採は許されない」
11月20日の現地闘争で、反対同盟は焦点の廃棄物処理場とともに”東峰の森”の現地調査を行った。ここは「北延伸」のための新設誘導路が通る場所。だが、村の同意なしに伐採はできない(説明者は萩原富夫さん)
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週刊『三里塚』(S693号1面8)(2005/12/15)
闘いの言葉
今、戦争と民営化に反対を貫くとは革命を目指すことにほかなりません。私たちはすでに原則と火花を手にしています。それを燎原の火に変えよう!
岩手爆取弾圧元被告 十亀弘史さん
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週刊『三里塚』(S693号2面1)(2005/12/15)
蜂起から1年後のファルージャ
街の7割破壊して「解放」とは!?
15万人が難民状態強いられ、虐待つづく
御用記事のカラクリ、米軍の“買収”発覚
驚異の兵站力と粘り レジスタンス11月の戦闘は160回も
■人民蜂起から1年後のファルージャ
11月30日、ファルージャ警察署(米軍とカイライ軍が「管理」)が、レジスタンスによって激しい攻撃を受けた。今年1月以来のことである。警察署は戦闘で炎上し、15人の警官が死傷した。米軍はこの事件より前に、ラマディ(同じアンバル州)でアンバル州政府高官がレジスタンスによって射殺されたため、ファルージャに「非常事態」を宣言していた。米軍部隊が道路を封鎖し、カイライ軍は町中に住民監視のため配置された。警察本部の警備は手薄となった。
非常事態宣言からわずか15分後、この間隙をついてレジスタンスの攻撃が開始されたのだ。作戦は短時間で目的を達成し、慌てふためく米軍とカイライ軍を尻目に、レジスタンス戦士は全員が撤退した。
今から1年前の04年11月6日、米軍は「満を持して」ファルージャに侵攻した。米軍とカイライ軍は3万6000人の地上軍を動員、白リン爆弾=ナパーム弾(白リンが空気中の酸素と反応し激しく燃焼。発生熱は2500度を超える。米軍はベトナムで大量に使用した。国際法で使用が「禁止」されている)までも無差別に撃ち込み、実にファルージャの75lを破壊した。膨大な数の市民が殺されたことは言うまでもない。これを待って米軍は「ファルージャは解放された(!!)」と宣言したのである。
(写真 サマワ近郊のルメイサ市で自衛隊に抗議のデモを叩きつける住民【12月4日】)
あれから1年、ファルージャのレジスタンスはどうなったか? 今は米軍のカイライ放送以外のジャーナリストは誰も入れない。
ファルージャに駐屯するカイライ軍は先日、11月のファルージャにおける「テロリストの攻撃の様態」について発表した。これによると11月だけで124回の爆弾攻撃と、36回の砲撃が米軍とカイライ軍に加えられた。彼らが認めただけでも、1日平均5回から6回の攻撃を受けているのだ。米国防総省が発表した10月のイラクでの武装闘争発生件数は、1日平均100件(CNN)だ。つまりファルージャだけでイラク全土の戦闘の5パーセントを占めているのだ。
ファルージャの現状を知る人間にとって、これは尋常な数ではない。インタープレス通信によれば、ファルージャの住民は全員がIDカードの携帯を強制されている。カードには指紋と網膜データがICチップに記録されていて、市民がファルージャ市に出入りする際は、検問所で指紋と網膜の検査を受け、データと一致しなければ通れないのである。アメリカ本国の国防総省(ペンタゴン)並みの検査体制だ。
女性はスカーフの中まで検査される。救急車や赤新月社の車両も例外ではない。これだけ厳重な警備体制の中で、レジスタンスは毎日のように攻撃を成功させているのだ。
このレジスタンスの恐るべき粘り強さの根拠は明白である。全土にレジスタンスを支持する網の目のような補給路ができているのだ。米軍がどれほど最新のハイテク兵器や通信・偵察機器を駆使して警備を固めても無駄なのだ。帝国主義国のあきれるばかりの報道とは裏腹に、イラク人民はレジスタンスの武装闘争を圧倒的に支持している。
理由は簡単だ。「イラク復興」どころか、イラクの都市を日々破壊しているのは米軍だ。カイライ政府は昨年のファルージャ大虐殺の後、「復興に10億ドルを投入する」と発表した。結果はどうか? 「復興」度はゼロに等しい。ジャーナリストに見せられる場所は1カ所もないことが、事実を物語っている。家屋が破壊された人に1人200ドル(たったの2万円強!)の見舞金が支払われるという約束すら反故にされた。
援助団体によれば、今でも35万人の市民のうち15万人が難民状態を強いられている。ファルージャ出身の警官はわずか200人。残りはすべて米軍が動員したバドル旅団(カイライ政府に参加するシーア・シスタニー師派の軍事組織)やペシャメルガ(クルド人武装組織)だ。彼らは意図的にファルージャ市民を挑発し、やたらと銃撃する。検問所で米兵やカイライ軍兵士に金品を略奪されるのが当たり前となっている。
米軍やカイライ政府を信じるファルージャ市民は一人もいない。彼らは誰に頼ることもなく、自力で抵抗闘争を組織し、ファルージャの復興を自ら成し遂げる以外にないのだ。武装レジスタンスは必然だ。人権のかけらも保障されない極限状況のなかで、ファルージャ市民が人間としての誇りを失わないのは、武装抵抗闘争で米軍を圧倒しているからだ。イラク解放戦争は確実に全土に広がっている。ファルージャの戦いに栄光あれ!
■「クリーン・アンド・ホールド」
11月19日、ライス国務長官は、上院外交委員会で今後のイラク政策について演説した。「イラクにおけるテロリストとの戦いは、必ず勝利しなければならない」との決意を述べ、その戦略は「クリーン・アンド・ホールド。すなわち一掃し、保持する事だ」と豪語した。
何のことはない。この戦略は米軍がベトナムで採用したものだ。「もぐらたたきのように」民族解放戦線を追いかける事をやめ、米軍が勝手に解放戦線とつながっていると決め付けた人民を拘束し一掃(虐殺)する。その後に、米軍に忠実なベトナム人を送り込み、地域を制圧・保持する戦略だ。ベトナムでこの戦略は、見事に米軍を敗北に導いた。
すでに米軍は「クリーン・アンド・ホールド」を実行に移している。あらゆる地域で、毎日のように強襲・拘束作戦が実施され、何百人もが拘束され虐殺されている。拘束された人間はどこに連れて行かれるのかわからない。数日後に死体で発見されるケースがほとんどだといわれる(クッドプレス=パレスチナ通信の意味)。バドル旅団やペシャメルガは“私設刑務所”を作り、人びとへの虐待をほしいままにしている。
アメリカは何を考えているか? 彼らは、採用した恐怖と畏怖(ショック・アンド・オウ=本紙既報)戦略が破綻したことに相当な打撃を受けているようだ。ハイテク兵器の絶大な威力と「新都市再生計画」によって、「アメリカに立ち向かうことなど不可能だ」とイラク人民に思わせること。それが可能だと本気で考えていたのだ。しかし現実は、殺りくと破壊が進めば進むほど武装抵抗闘争は拡大した。
米海兵隊員は証言する。「武装組織はあらゆる機会を捉えて攻撃してくる。俺の指揮官からは、『IED(促成爆弾)を仕掛けるやつらは、9ドルもらってやっている』なんて聞かされていた。だが事実は違った。彼らは命をかけて本気でやっている。IEDで訓練し、待ち伏せ攻撃で熟達し、都市ゲリラ戦の優秀な戦闘員となっていくのだ」(AFP)。そうしてゲリラ戦闘員は日々増え続けている。
(写真 イラク派兵強行と並行して、自衛隊は熊本市内を挑戦的に戦車でパレードした)
CNNによれば、11月28日現在までの米兵の死者数は2107人(治療中の死亡や帰国後の死亡は含まない。膨大な傭兵の死者数も含まれない)に達した。負傷者は約1万5500人である。レジスタンスの武器の補給も途絶えることがない。米軍はシリア国境に沿って200カ所以上の「砦」を築き、「アラブ人テロリストの侵入と武器の密輸を阻止している」(米中央軍)という。しかしレジスタンスの武器備蓄は数年分にも達している。
「短期的には、テロリストは治安を不安定化できるが、長期的には必ず孤立し敗北する」(ラムズフェルド)。この間違った前提で「クリーン・アンド・ホールド」戦略はベトナム戦争の記憶棚から引き出された。長期的? アメリカが持ちこたえられるのはどんなに長くても10年以下だ。ベトナム民族解放戦線は36年間戦いぬき、フランス帝国主義とアメリカ帝国主義の軍隊を打ち負かした。
03年10月、イラク・レジスタンスは、組織的に武装闘争を開始するに当たってアピール文を発表した。「われわれは仲間との討論で、アラブは100年間欧米帝国主義と戦ってきたが勝てなかった、という意見も出た。しかし100年戦って駄目ならもう100年戦う、それでも勝てなかったらさらに100年戦う。これがイラクの誇りだ!」
このアピールは単なるアジテーションではなかったことが日々明らかになっている。彼らは本気だ。アメリカ帝国主義は必ず負ける。イギリス軍や日本の自衛隊も同様だ。
●米軍はイラクでメディア攻勢を展開(ロサンゼルス・タイムス 05年11月29日)
米軍は、イラクにおける作戦任務の状況を良く見せるため、秘密裏にイラクの新聞に金を支払って(!)米軍の書いた記事を掲載させていたことがわかった。
ロサンゼルス・タイムスの入手した文書および米軍高官の話によると、米軍の「情報作戦」部隊によって書かれた記事はアラビア語に翻訳されてバグダッドの新聞に掲載された。
多くの記事は、あたかも独立系ジャーナリストによって書かれた公正な記事であるかのように装われていた。記事は米軍とイラク軍の仕事を賞賛し、「イラク人はテロよりも生きることを求めている」といった調子で反政府勢力を貶(おとし)め、米国のイラク復興事業を誇大に宣伝する内容だ。
12月15日の「イラク総選挙」粉砕へ、イラク解放戦争はさらに前進するだろう。すでに10カ国の侵略軍がしっぽを巻いて撤退し、イタリア・韓国も06年に撤退を本格化させる予定だ。イラク・レジスタンスと連帯し、日帝・自衛隊のイラク派兵を阻止しよう! 成田空港の出兵基地化を許してはならない!
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週刊『三里塚』(S693号2面2)(2005/12/15)
(20)
なぜ崩れた?「6月開港」
パイプライン頓挫
抵抗の炎、周辺にも
動労千葉 貨物輸送阻止、スト決議
援軍来たる! 壮大な第2幕へ
血みどろの代執行が終わり年が明けた1972年、滑走路の用地は確保された。9・16東峰十字路弾圧も激しく村々を襲い青年たちが次つぎと逮捕されていた。空港公団は明らかに反対闘争は終息にむかうと感じていた。公団の今井栄文総裁は「6月開港」と胸をはってみせた。この時、実は三里塚闘争の壮大な第2幕が始まったことを誰が予想できただろうか…。
反対同盟は逆流をはね返すべく、2月28日、高さ62bの岩山大鉄塔の建設に着手し3月15日に完成させた(写真)。滑走路延長上757bに位置し、進入表面を39bも突き出る反対闘争の新たなシンボルとなった。
だが、マスメディアですら次のように書いた。「確かに岩山大鉄塔は開港を妨げた。しかしそれは物理的にであって、『6月開港』を宣言した空港公団自身が、開港を不可能にしたのである」(東京新聞)
どういうことか。空港公団は滑走路と付帯設備に関してすら、実は「6月開港」に間に合わせることができなかった。4000b滑走路の完成は1973年4月30日、誘導路は同5月14日、貨物取り扱い施設は1975年3月31日。そして燃料を供給するパイプライン、乗客のアクセスとなる成田新幹線、航空無線施設「ボルタック」などは、三里塚闘争に連帯する地元住民の抵抗によって完成のメドもたっていなかったのだ。
そういう危機的状況にほおかむりして今井総裁は「6月開港に自信」(1月26日会見)などと大ウソをついて、反対同盟のみならず世界の航空会社をだまそうとしたのだった。
(写真 72年3月15日に完成した岩山大鉄塔)
住民、議会に乱入
開港を不可能にした最大の理由が千葉港と成田空港を結ぶ全長44`の燃料パイプラインだった。
71年8月19日にルートが発表された直後から千葉市住民の怒りが噴出した。「なぜ住宅密集地に危険なジェット燃料パイプラインを通すのか」という抗議である。中でも「住民の反対に耳を傾けず国策をごり押しするやり方は三里塚農民への強権的手法と同じだ」という思いが強かった。
千葉市幸町、稲毛海岸、宮野木、朝日が丘などの住民自治会はパイプラインに反対する連合組織を立ち上げた。11月15日に行われた千葉市議会のパイプライン問題特別委員会は、反対住民の乱入で中止となった。 住民は2万にもなる反対署名を千葉市議会に提出したが、特別委は72年1月14日に強行採決してパイプラインの埋設を認めた。
荒木和成市長は3月15日、埋設工事を承認、千葉県も同日県道、県有地での工事を認めた。
怒った住民は4月4日朝、市役所に押しかけ、うち高校生ら2人が玄関の柱に鎖で体をしばりつけハンストに入った。まさに三里塚現地における第1次代執行に学んだ闘い方だった。
6月1日には2万5690人の署名による「埋設許可取り消し」直接請求、同21日には「埋設工事禁止の仮処分申請」がなされた。
萩原進さんに聞いた。「千葉市の住民とわれわれ反対同盟は直接の交流はなかったけど、以心伝心というかな、あれは完全におれたちを支援してくれる援軍だった。東峰十字路戦闘をめぐる弾圧で逆風にあっていた時だけに、力強い味方だった」と振り返っている。
公団は5月8日、工事局内に「パイプライン建設実施本部」を設置、本部長の池田迪弘工事局長は「4カ月で完成させる」と豪語したが、技術者が現地を調査して腰を抜かした。設計図では分からない難工事が佐倉市内鹿島川、総武本線など20カ所以上もあることが判明し、さらに東関東自動車道の埋設予定地で3fもの土地が未買収だった。
住民の強力な反対運動、ずさんな机上プランのために埋設許可が出て4カ月たっても着工できず、ついに埋設のための道路占用許可は期限切れとなった。
「緊急裁決」まで下して第2次代執行を許可した千葉県収用委員は公団の“不手際”に「何のための緊急裁決だったのか」とののしったという。
市長、密約ばらす
内閣は同年7月7日、田中角栄に代わり運輸大臣は11人目の佐々木英世になっていた。佐々木は公団の失態をしかり8月14日「暫定措置として国鉄貨車とタンクローリーの代替輸送」を今井に指示した。
直後に今井が「暫定輸送の方針」を荒木市長に説明に行くと荒木は怒りを隠さなかったという。“沿線住民の説得に1カ月もかけずり回り、プロジェクトチームを作ってパイプラインの安全性を検討、議会に2回も機動隊を入れてまで埋設の市道占用を許可したのに、「止めた」とは何事か”というわけである。
そして荒木は公団との密約をばらしてしまった。実は問題のルートは3年限定の暫定ルートで、別に「本格ルート」を計画していたのだ。側道にパイプを埋める東関東道の完成が遅れていたため、暫定ルートで燃料輸送を早めようという意図だった。これを知った住民の怒りはさらに募った。
結局暫定ルートは4`のうち660bを埋めただけで頓挫、荒木はそのパイプを撤去せよという原状回復命令を公団につきつけた。公団は後に国会で「6000万円かけてパイプを埋めて5900万円かけてそれを掘り返した」と税金の無駄使いを追及された。
暫定輸送に対しては動労千葉がただちに立ち上がった。9月3日、青年部が定期大会で「代替ジェット燃料に対してストライキで闘う」との決議を採択、10月28日には同趣旨で三里塚支援の決起集会を闘った。
一方、もうひとつの成田新幹線計画も船橋市民などの猛然たる反対運動で跡形もなく粉砕された。
萩原さんは語る。「パイプライン問題や成田新幹線問題をふり返ると根っこは一つ。国策のためには農民、住民は従って当然。国策を掲げれば何でも許されるという権力者体質だ。それは今もまったく変わっていないことにあきれる。現在の北延伸計画にともなう新誘導路問題、ゴミ処分場の問題などデタラメの限りだ。こんな空港建設は金輪際許しちゃならないと、闘志がわいてくる」
パイプライン問題はこの後、成田市内でも火を噴いていく。(つづく)
●ゴミ戦争勃発…
1972年は、大規模な都市化によって発生する大量のゴミを、どこでどう処理するのかというゴミ問題が深刻化し「ゴミ戦争勃発」とまで呼ばれた。公害問題が深刻化した年でもあった。ベトナムでは北ベトナム軍、民族解放戦線の攻勢で米軍が敗色濃厚に。
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週刊『三里塚』(S693号2面3)(2005/12/15)
“ずいき”の季節
スローフード食育
いよいよ寒くなりました。11月のカレンダーをめくると残りは後1枚。気ぜわしい師走のまっただ中です。
“ずいき”って何だかわかりますか。“芋がら”とも言います。八つ頭の茎を乾燥させた保存食で、みそ汁の具や煮物にします。いいダシが出て私は大好きです。
例年だと八つ頭を掘り取る11月には霜に当たってくたっとしてしまうため、選り分けなければ使えません。萩原哲子さん(事務局次長の母)が、指先を渋で染めながら皮をむいて乾かしたものを、年明けの萩原家の食卓にのせてくれるのが楽しみでした。ところが今年は霜が遅くて茎がしゃきっとしていたため量が多く「ずいきをこしらえるならもって行けばいいよ」と皆に分けてくれました。九分どおり乾燥したものをそろそろ味見してみようかと眺めています。ずいきのように手間と時間をかけた食材は、今ではなかなか口に入らないぜいたく品になってしまいました。
先日「食育」をテーマにしたテレビ番組を見ました。好きなものだけしか食べない傾向が子どもたちに顕著で、給食の野菜が大量に食べ残されているとの事。学校現場の取り組みの中で、子どもの農業体験が食生活の改善に非常に有効だとレポートしていました。自分の手で育て収穫したものは残さないで食べるようになるのです。
ファーストフードに対してスローフードの考え方があります。地域に根ざした伝統的な食生活こそ、心身の健康に不可欠という考え方です。
「安くて早い」をうたい文句にして食生活を画一的な貧しいものに変えてきたことが、子どもたちの体を蝕んでいます。太陽をいっぱいに浴びて育った有機野菜こそ食育の基本です。
(北里一枝)
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週刊『三里塚』(S693号2面4)(2005/12/15)
三芝百景 三里塚現地日誌 2005
11月24日(木)〜12月7日(木)
●北原事務局長が北富士闘争へ 北富士忍草母の会と忍草国有入会地を守る会が主催して行った「サマワ模擬施設撤去」の現地集会に三里塚から北原鉱治事務局長が参加して連帯のあいさつを行った。北原さんは「米軍が有事の際に成田空港を使うということが10年前ロサンゼルス・タイムズで報道された。アジアを侵略するための前線基地として使うということだ。今、戦争への攻撃を黙って見過ごしたら日本の未来はない」と警鐘を鳴らし「三里塚は闘う。北富士で勝って日本の未来を作ろう」と訴えた。(27日)
●談合事件で「配分表」認める 成田空港会社の官製談合事件で、元工務部電気課長(現空港会社部長)が入札前に落札予定会社を指名し作成した「配分表」について、元課長の上司だった元工務部幹部らが討議し、了承していたことが新聞報道で判明した。これで、今回の談合事件について旧公団が組織的に関与していたことが確実となった。(27日)
●クリーンパーク問題で2回目の公開質問状 反対同盟は成田クリーンパークの違法転用問題で2回目の公開質問状を成田市長あてに出した。1回目の回答が「協議中につき答えられない」というものであったため、「協議の内容について明らかにせよ」「技術的問題には答えられるはずだ」など3項目を質している。(30日)
●NAA、摘発逃れで「不正防止委」設置 NAAは官製談合事件への対処として不正防止委員会を設置すると発表した。これは摘発を少しでも緩めてもらうためのポーズだ。(12月2日)
●NAA幹部2人逮捕 談合事件でNAA幹部2人がついに逮捕された。弁明の記者会見で黒野匡彦社長は「入札参加社の名前を公表するかどうかは今後検討したい」との言葉をくり返した。NAAは旧公団時代から空港反対闘争を隠れみのに会社名を伏せてきた。その裏で組織ぐるみ私腹を肥やしてきた実態が今回明るみに出た。(5日)
●違法転用阻止へ市役所前でビラまき 反対同盟はクリーンパークの違法転用をさせないため、京成、JRの成田駅および市役所前で抗議のビラまきを行った。また午後に行われた足立満智子市議による同問題追及の質問を傍聴した。(7日=写真)
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