横浜市 委託業務が大破綻 〝職場を元に戻せ〟

週刊『前進』08頁(2622号03面02)(2014/03/03)


横浜市 委託業務が大破綻
〝職場を元に戻せ〟


 横浜市では、当局が全面民営化・外注化のために強行した納税業務の処理センターへの集中や戸籍・住民票郵送業務の民間委託が大破綻し、業務の根幹を揺るがし住民の信頼すら失う重大事態となっている。JR北海道での安全崩壊やJR川崎駅構内での列車転覆事故を始め新自由主義の全面崩壊が始まっている。

 人員削減を強行しながら延期に

 まず、戸籍・住民票の郵送業務民間委託の破綻だ。
 横浜市は、これまで住民票の写しや戸籍関係証明書などの郵送請求による発行事務について、住民登録地、本籍地の区役所で行ってきたものを、今年2月3日から「郵送請求事務センター」で行うとしていた。
 しかし、実施を目前に控えた1月28日に急きょ、区からの転送開始を延期すると発表した。(横浜市はすでに昨年8月、運営委託先として日本コンベンションサービス株式会社を決定している!)
 市当局は「中区・神奈川区の郵送分の試行運用で、1日200件から300件処理しているが、業務委託のスタッフの対応や業務の精度に問題があり、たびたび委託業者との調整や指摘をしているが、改善が困難であり、このままで18区全量に対応するのは難しいと判断せざるを得ない」と説明している。
 そもそも「戸籍や住民登録業務は基礎自治としての根幹業務であり、戸籍課は区役所を代表する重要な窓口」と当局も言うように、労働者住民の生活にとって死活的業務だ。現場からは怒りの声が上がっている。「機能の一部であれ、労働者住民が安心して生活していく根幹にかかわる業務を安易に外注化することそのものが間違っている」「業務が回らず、混乱をなんとかするために仕事が増えている。労働者に責任を転嫁するな」「偽装請負ではないのか」「効率的な運用というがウソだ」と。
 横浜市は郵送業務の委託化と一体で、戸籍課業務に携わる87人の大幅削減を強行した。さらにこれまで再任用枠としてあった戸籍証明書発行窓口を一般嘱託員雇用枠とするなど、民営化・外注化と一体で非正規職化を強行している。労働者の分断、労働組合破壊攻撃そのものだ。

 国鉄闘争が現場の決起生み出す

 一方、昨年4月から実施が強行された納税業務のセンター化が1年もたたずに破産した。
 一昨年11月、横浜市当局は、区役所の納税業務の大半を納税事務処理センターに移管する提案を行った。納税業務(納税を促す通知書や納税証明書の発行など)に携わる各区役所の正規職115人のうち、94人をセンターに移管し、残った21人を各区1人ないし2人に振り分けて各区の収納業務担当(差し押さえなどを含む税金の整理など)に転換するというのだ。
 現場からは怒りの声が沸き上がった。「区に残ることになった人が納税業務をやった上で、収納業務をやることは不可能」「収納と納税は仕事の方向、質がまったく異なる。両方を同時にやれるはずがない」と。
 横浜市はこの労働者の怒りの声を無視しセンター化を強行し、これが大破綻したのだ。ところが当局は何ひとつきちんとした説明もしないまま、今度は納税業務処理センターから30人以上を異動させるという。
 現場には再び怒りが沸き上がっている。ある職員は、一昨年11月に横浜市全18区役所に配布された「動労千葉を支援する会・横浜自治体労働者ニュース」を取り出してきて、動労千葉を支援する会会員に見せ、「このとおりになったね」と言ってきた。ビラの見出しは「去るも地獄、残るも地獄だ!」 。
 そうだ。こんなことは絶対に許せない。破産の責任を労働者に転嫁するな! 民営化・外注化・非正規職化をやめて職場を元に戻せ!
 昨年秋、横浜市当局の国民健康保険の訪問徴収を担ってきた地区担当員制度(1961年発足)の廃止と65人の非常勤職員の解雇攻撃との闘いは重要な教訓を示している。
 動労千葉派は10万筆署名を水路に職場に真正面から国鉄闘争を持ち込んだ。多忙化の中、昼休みなどを使って職場の一人ひとりに声をかけて鉄建公団訴訟パンフ『暴かれた真実』を手渡し、読んでもらった上で署名をしてもらった。国鉄分割・民営化とは何だったのか。その実態、本質を知ったとき、彼女たちは自らの解雇攻撃と国鉄闘争がひとつだと理解し、「解雇撤回、私たちと同じね」と署名をしてくれた。こうして職場全体300人の中から55筆の署名が寄せられた。
 動労千葉派の本気さが当該労働者との団結、信頼を拡大していった。「組合なんか信用していない」と言っていた彼女たちが討論の中で誇りを取り戻し声を上げた。「つらい仕事だがやりがいがある。廃止、なぜ、私たちはもう用済みなの⁉」と交渉の場で必死に訴えた。しかし体制内執行部は「38人の雇用枠を確保した」「やむなし」として妥結を強行した。許せない。しかし闘いはこれからだ。

 職場の怒り組織し3・14ストへ

 国鉄に続く郵政、道路公団の民営化、社会保険庁解体・民営化で業務破綻や重大事故が続発している。「官から民へ」「民間活力・民間のノウハウの活用」をうたった民営化攻撃はことごとく破綻し、社会全体を崩壊のふちにたたき込んでいる。
 昨年4・26自治労ストライキ闘争に続き、職場の怒りを組織し3・14ストライキへ闘おう。ストライキは当局との力関係をひっくり返す。「自分たちが職場を回している」――自分自身の力を実感し、労働者としての団結と何よりも誇りを取り戻す。「私たちのために、みんなのために」(昨年ゼネストに決起したギリシャ労働者の合言葉)――全労働者の未来をかけて、誇りをもって闘おう。
(神奈川・野田信一)
このエントリーをはてなブックマークに追加