新潟市再任用解雇撤回裁判 改悪地公法先取る判決人事評価による首切り容認

週刊『前進』08頁(2646号03面03)(2014/09/01)


新潟市再任用解雇撤回裁判
 改悪地公法先取る判決人事評価による首切り容認


 7月17日、新潟地裁(大竹優子裁判長)は許しがたい不当判決を下しました。新潟市当局による2011年3月末の再任用更新拒否処分の取り消し請求を門前払いし、地位の確認、損害賠償請求も棄却しました。
 判決は16年4月の改悪地方公務員法施行を先取りして、人事評価による首切りを認めました。安倍政権が7・1閣議決定で外への侵略戦争と内への階級戦争を宣言し、労働運動の壊滅に踏み込む意向に裁判所も続くものです。この反動判決を徹底弾劾し、闘う労働組合の再生へ闘いぬきます。

戦時体制と一体の改悪地公法

 裁判は自治体労働運動の解体を狙う安倍との正面対決となりました。
 安倍は、評価制度の全面導入による労働者分断と団結破壊で、自治体労働者を国家の意志を体現し住民支配・労働者支配の手先となる「官吏」に変えようとしています。7・1閣議決定は、地方自治体と地方公務員に戦時体制への全面協力を迫ります。改悪地公法と戦時体制は一体です。安倍との最大の激突点に私の裁判も存在しています。
 3月の市職労大会に続き、6月市職労中央委員会でも人事評価制度反対と私の裁判支援が熱く討論されました。現場労働者の人事評価制度反対の根強い声が当局による本格導入を阻んでいます。裁判は東京高裁での控訴審となります。さらなるご支援をお願いします。

非正規職の雇い止め自由許すな

 判決は第一に、当局による再任用職員の「雇い止め自由」を認める反動判決です。「原告は(1年の)任期満了により、当然に再任用職員たる地位を失った」と言い放ちました。60歳定年後の年金受給を遅らせながら、雇用を保障しなくとも当然としました。そして職員(公務員)は資本による「雇用」ではなく当局による「任用」だから解雇権濫用(らんよう)ではないと強弁して雇い止めを全面容認しました。
 新自由主義が大量の公務員労働者を非正規職に突き落とすことで社会問題化している「官製ワーキングプア」の現実を助長する裁判所に、怒りが込み上げてきます。

評価制度による解雇・団結破壊

 判決は第二に、人事評価による公務員労働者の首切りを認め、改悪地公法を先取りし全面推進する立場に立ったのです。
 裁判では、新人事評価制度が「本格実施」かどうかが最大の争点となりました。現実には市職労が非協力闘争を呼びかけて「10年度は試行実施」が確認され現在に至っています。ところが判決は組合が本格実施を確認したと強弁し、再任用職員に自己申告の提出が義務付けられたのに行わなかったと、私への選別解雇を正当化したのです。
 14年度人事院勧告は、評価制度による分断を全面化させ、15年4月から最大4%削減の大幅賃下げを打ち出しました。評価制度とは賃下げと首切り、労働者分断と労組破壊の暴力的攻撃です。自治労本部が「よい評価制度の確立をめざす」方針を掲げて、賃下げ・首切りに手を貸すことは許されません。評価制度絶対反対で闘う組合をつくり上げていきましょう。

国鉄と共に絶対反対で勝利開く

 判決は第三に、「(原告は)新人事評価制度に反対との自己の信念を貫いてこれに応じなかった」とし、絶対反対の闘いへの恐怖と敵意をむき出しにしました。
 支援する会の仲間は語っています。「市当局はグラグラになった。斎藤さんの闘いが反乱のきっかけとなり組合がストライキをやることを恐れていた。裁判所は斎藤さんを勝たせたら人事評価絶対反対の闘いが全国に波及すると考えたと思う。市職労本部は再任用職員を守る闘いをやれば首切りを阻止できた」。これが新自由主義との闘いの核心です。労働組合の路線が問われています。
 絶対反対の闘いが団結を拡大し勝利の道を開きます。国鉄闘争は不当労働行為を最高裁に認めるように迫る段階まできました。解雇・団結破壊と闘う全労働者の結集軸です。動労千葉、動労水戸、国労郡山工場支部を先頭に外注化阻止・非正規職撤廃、被曝労働拒否の闘いが安倍を追いつめています。9・11郡工闘争に大結集しよう。
(新潟市再任用解雇撤回裁判原告・斎藤実)
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