10・8 農地裁判控訴審 ―10・12三里塚へ 「農地死守」で戦争政治と闘う 3万人署名武器に職場・大学から決起を

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週刊『前進』06頁(2648号05面03)(2014/09/15)


10・8 農地裁判控訴審 ―10・12三里塚へ
 「農地死守」で戦争政治と闘う
 3万人署名武器に職場・大学から決起を

(写真 「第3滑走路計画粉砕」を掲げて建設予定地区をデモ行進する反対同盟【7月13日】)

 三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける、10・8市東さん農地裁判控訴審闘争、10・12三里塚全国総決起集会に、全力で立ち上がろう。この7・1情勢のもとで反対同盟は「反戦の砦」としての気概に満ちて、市東孝雄さんを先頭に闘いを熱く呼びかけている。

労農連帯の力で戦争阻もう

 7・1閣議決定という安倍政権の戦争宣言に対して、日比谷公会堂で開催された「改憲・戦争・原発・首切りの安倍をともに倒そう!8・17大集会」は、階級的労働運動の拠点建設と国際連帯の発展こそが戦争を阻む力であることを示す「日比谷宣言」を発した。
 戦争協力、戦争動員を実際に担わされるのは労働者階級である。労働者の職場からの決起こそが戦争を阻む力だ。労働者階級が自らの力の大きさを自覚し、国際的団結をつくり出し、帝国主義とスターリン主義の世界体制を打倒した時、戦争の歴史に終止符を打つことができる。
 動労千葉は一貫して三里塚に連帯し、70〜80年代のジェット燃料貨車輸送阻止闘争を闘い、国鉄分割・民営化攻撃をストで打ち破ってきた。そして反合理化・運転保安闘争路線を武器に「1047名解雇撤回、外注化阻止・非正規職撤廃」を掲げ、日本労働者階級の進むべき道を示している。7・1情勢で今、三里塚労農連帯を、「世界革命の一大根拠地」として一層発展させる展望が開けている。
 7・27革共同政治集会で市東孝雄さんは、「動労千葉をはじめとする労働組合、沖縄・福島とひとつの闘いとして反対同盟は闘い続けます。そして勝ちます!」と高らかかに宣言した。
 革共同は反対同盟との血盟にかけ、市東さん農地決戦勝利、労農連帯の発展のために死力を尽くして闘うことを誓う。
 反対同盟の故戸村一作委員長は、「最後的に敵を倒し三里塚闘争を勝利に導くものは、革命の思想とその階級的憎悪の怒りの爆発の強弱の程度によって決まる」と述べた。反スターリン主義・革命的共産主義こそが、安倍政権打倒へ勇気ある行動を開始した青年・学生をはじめとした人民の怒りをプロレタリア革命の勝利へと結びつけることができる。
 レーニンが長い苦闘からつかみとった「革命的英雄主義、大衆と溶け合う能力、正しい政治方針」を、革命党に求められる政治的熟達を、2010年代中期階級決戦の中でつかみとろう。

帝国主義戦争が怒りの原点

 三里塚闘争の原点には、帝国主義戦争への根底的怒りがある。今でも村の寺には帰村できなかった下級兵士の位牌、遺影がところ狭しと並んでいる。モンゴルに抑留された故鈴木幸司さん。20歳と26歳の時2回、計8年も兵役にとられ「白骨街道」といわれたインパール作戦の激戦地ビルマで敗戦をむかえた故市東東市さん(孝雄さんの父)。海軍士官として南太平洋海戦を体験した北原鉱治事務局長。
 当時、ほとんどの農民が戦争体験を持ち、東峰部落のような戦後入植地では、トンビクワ一つで一くわ一くわ朝から晩まで耕し続けて畑をつくった。戦後、農業に生きる道を求めて必死に働いてきた農民たちが、「国際空港を建設するから出て行け」と迫られた。その空港計画は、ベトナム戦争のための米軍チャーター機によって羽田空港が手狭となり、日米安保に基づく米軍の専用空域に邪魔にならない所として三里塚に持ってこられた。「開拓の貧しい農民は金をつかませれば追い出せる」という農民蔑視があからさまだった。
 「また国策と言われてすぐにわかったよ。国策だからといって不当な農地取り上げに従っていたらまた戦争の道だと思った」(故市東東市さん)
 反対同盟は「一切の話し合い拒否、空港絶対反対、農地死守・実力闘争」の原則を確立し、これを条件派・脱落派との決別を経ながら守り抜いてきた。
 安倍政権は新自由主義延命のために、アジア侵略と市場獲得の拠点として成田空港を位置づけ、三里塚闘争の圧殺をもくろんでいる。市東さんの農地を守る闘いは「新成長戦略」と一体の軍事空港建設、戦時徴発との闘いだ。
 そして、市東さんの農地をめぐるもう一つの裁判である「耕作権裁判」(千葉地裁民事第2部・岸日出夫裁判長)で重大な勝利がかちとられた。NAAとの「文書提出」をめぐる攻防で、NAAの3度にわたる抗告がことごとく棄却され、東京高裁第7民事部によるNAAに対する文書提出命令が7月29日に確定した。しかし、9月3日の期限までにNAAは提出をしなかった。

「耕作権裁判」で重大な勝利

 「文書」とは1987年秋から88年4月にかけて空港公団(NAAの前身)が作成した、農地の元の地主との買収交渉に関する報告書や会議録のことだ(買収は耕作者である市東家に秘密で行われた!)。NAAは「探したが文書は見つからない」とシラを切って提出を拒み、約2年もの攻防になっていた。この恥知らずなうそを東京高裁もさすがに認められず、「出せ」という決定を下したが、結局最後まで命令を拒んだことでNAAは決定的な窮地に立たされた。
 民事訴訟法の規定に従えば、裁判所は、反対同盟・市東さん側の「NAAが畑の位置を特定する唯一の証拠として提出した同意書、境界確認書、および添付図面は、偽造文書だ」という主張を認めざるをえず、NAAはそれを文書隠しという形で自認したことになる。NAAの「不法耕作している土地を明け渡せ」という主張は根拠を失う。
 この勝利は農地裁判控訴審にも決定的な影響を及ぼす。千葉県の解約許可処分は取り消されなくてはならない。さらに、空港公団の土地買収そのものが無効である。
 この決定的地平に危機感を覚えた国家権力中枢は、東京高裁での農地裁判控訴審で第3回目にして異例の裁判長交替を行ってきた。仙台地裁の所長であった小林昭彦裁判長は、内閣官房司法制度改革推進室長として「現代の赤紙」と言われる裁判員制度の旗振り役を務めた。三里塚つぶしのために権力中枢が送り込んだ最後の切り札ともいうべき人物だ。
 「裁判闘争も文字通り実力闘争で闘う」(故萩原進事務局次長)と宣言し裁判所との白熱の攻防をやりぬいてきた反対同盟と顧問弁護団の闘いの前に結審策動は粉砕され、10月8日の第3回弁論においては、更新手続きとして市東孝雄さんの意見陳述が再び行われる。支援・傍聴に駆けつけよう。
 国土交通省は2020年東京五輪を口実として、成田の24時間空港化と年間発着枠の4万回増便、「第3滑走路建設」とB滑走路の延長計画を打ち出してきた。絶対に許すことはできない! 反対同盟は空港周辺地域への一斉行動を積み重ねて、農家・空港関連の労働者の組織化へと着実に反撃を拡大している。
 7・1で反戦闘争が階級的労働運動の正面課題にせり上がった。3万人署名を武器に職場・キャンパスで三里塚闘争の正義性・勝利性を真正面から訴えよう。援農・現地調査で三里塚現地に駆けつけよう。
 労働組合・学生自治会を軸に、10・12全国集会に大結集しよう。戦争と民営化に反対する11・2全国労働者総決起集会1万人結集に向け闘おう。
〔土屋栄作〕

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10・8市東さん農地裁判控訴審
 10月8日(水)午後3時開廷
 東京高等裁判所102号法廷
 ※正午から高裁包囲デモ

市東さんの農地を守ろう! 第3滑走路計画粉砕!
10・12三里塚全国総決起集会
 10月12日(日)正午
 会場/成田市東峰 反対同盟員所有畑
 主催/三里塚芝山連合空港反対同盟
 ▼京成成田駅東口から大型チャーターバスが出ます。午前11時20分発

◎第3誘導路裁判
 9月16日(火)午前10時30分開廷 千葉地裁
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