11月集会が築いた地平に立ち組織2倍化する本格的実践へ 11・2労働者集会総括 田中康宏動労千葉委員長の提起

週刊『前進』06頁(2661号03面01)(2014/12/15)


11月集会が築いた地平に立ち組織2倍化する本格的実践へ
 11・2労働者集会総括
 田中康宏動労千葉委員長の提起

(写真 鈴木たつお候補の応援にかけつけ区民に訴える田中委員長【12月7日 高円寺駅北口】)


 11・2全国労働者総決起集会を総括するための同集会実行委員会が11月30日、東京都内で行われた(前号既報)。そこで、集会呼びかけ労組として動労千葉の田中康宏委員長が提起した総括の要旨を紹介します。田中委員長の提起は、11・2集会総括から導き出される2015年の闘いの方針・構想を含むきわめて重要な内容です。(編集局)

原点を再確認し新たなスタートラインに立つ

 11・2集会には5700人が結集し、時代に立ち向かう力を持つ闘いとして成功しました。全力を尽くして取り組んで下さった全国の仲間たちに心から感謝します。
 時代がものすごい速度で変化しています。11月集会は何に挑戦し、何を切り開いたのか、今年は総括を全体で深めることが本当に大事だと感じています。そのために、総選挙闘争のさなかですが今日の総括会議を持つことにしました。
 総括の1点目は、新しい情勢の中で原点を再確認し、階級的労働運動復権に向けて飛躍を誓う集会になったことが何よりも重要だったと感じています。
 もう一度、呼びかけ3労組が何を訴えたのかを見てほしい。期せずして3労組とも「11月集会は国鉄1047名解雇を容認した98年5・28判決から始まった」「こんなことを許せば労働者の権利はすべて打ち砕かれるという危機感が3労組を結びつけ、国鉄分割・民営化という戦後最大の労働運動解体攻撃に立ち向かうことを決断した」という原点に触れ、それから17年間継続されてきた11月集会の意義を再確認し、「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」という当初からの目標が今こそ求められていると訴えています。集会の核心はここにありました。
 つまり、これまでの延長線上ではなく「今年が新たなスタート」「新たな1回目」という思いを込めて訴えたわけです。原点に返って新たなものをつくり出そう。それが求められ可能となる情勢がいよいよ来たんです。
 今年の11月集会は2010年4・9政治決着から4年です。4・9を突き破って闘いぬいた全国の仲間の飛躍は労働運動に一石を投じました。そして2011年3・11から3年です。3・11以来われわれは、大震災と原発事故に全力で立ち向かえなかったら、これまで築いてきたものすべてが崩れてしまうと必死に闘ってきました。そして、今年は7・1集団的自衛権行使の閣議決定があり、安倍は戦争に踏み切った。この情勢にもわれわれは必死で食らいついてきた。だから説得力ある運動になっている。11・2を前に全国34カ所で国鉄集会が開かれたのも重要なことでした。
 こうした全国の仲間たちの必死の飛躍と努力と職場・地域からの具体的な闘いの実践があってこそ、時代に負けることなく、「新たなスタートラインに立った」と言えるところまで来ました。来年が本当に勝負です。

国境越えて信頼生んだわれわれの不屈の闘い

 総括の2点目は、われわれの組織的力量では受け止めきれないような国際連帯闘争の本格的発展の可能性を手にしたことです。その大きな前進自身が、職場に労働運動の拠点をつくらなければいけない、組織的な力量をもっと高めなければいけないという新たな決断をわれわれに迫っています。情勢が国境を越えた労働者の連帯を生み出し、世界の労働者がわれわれに飛躍のチャンスを与えてくれている。
 日韓労働者の連帯闘争では、民営化と闘う鉄道労働者や自治体非正規職労働者との交流が大きく発展し、ロサンゼルス統一教組(UTLA)では、動労千葉と交流してきた仲間たちが、われわれに先んじて執行部を取った。
 こうした国際連帯闘争の発展は、われわれの努力が生み出したものです。国鉄分割・民営化に絶対屈しないと闘ってきたことが国境を越えた信頼を生み出した。その意味の大きさが国際連帯を通して検証され、路線がさらに深められた。
 われわれが実現してきた闘いはすべての労働者を獲得できる路線だということにもっと確信をもとう。日本の労働者の怒りの声を結集できないはずがない。労働者の力を信じ、この社会を変えるために職場にこだわる。石にかじりついても自分の職場を拠点にし、地域に拠点をつくる。この1年をかけて現在の2倍くらいの組織力をつくりあげよう。それは想像もつかない可能性を生み出すはずです。11月集会が生み出した国際連帯の発展は、そうした飛躍をわれわれに迫っています。

動労千葉の分離・独立過程の経験が役に立つ

 時代の激流に押し流されて、労働運動にかかわってきた全勢力・全党派が崩れ落ちています。われわれだけが情勢に立ち向かい、社会を変革する可能性を秘めた闘いと団結を生み出し、陣地を守りぬいていると言っても過言ではない。これは決定的なことです。
 なぜそれができているか。確固とした時代認識と困難から逃げない実践をつくってきたからです。その時代認識を、全労働者を獲得できる路線と行動に高めることが必要です。この社会を変革すると決断した者として、その闘いを職場で貫かなければなりません。
 動労千葉も原点に返ると決断しています。時代は回りめぐって、動労千葉が分離・独立する過程の闘いの経験が再び生きてくる時代が来ていると感じています。それは、「千葉地本青年部問題」という形で始まり、動労全体を二分するような問題にまで発展し、全体を獲得していく72年から79年までの約7年に及ぶ労働運動史上前例のない組織攻防でした。
 動労カクマルは、千葉地本青年部の組織決定違反をデッチあげ、「青年部を指導できない」という理由で地本を丸ごと統制処分にしようとした。その問題をめぐり、72年には1年に4回、地本臨時大会が開かれますが、右派民同の当時の地本執行部はついに総辞職してしまう。そして中野書記長体制になる。そこから、中野前委員長を先頭に、「これは労働組合はいかにあるべきかという労働者の未来をかけた闘いなんだ」と、右も左も全部まとめ上げ、一人残らず獲得するすさまじい努力が始まりました。
 ただ論争というだけではなく、船橋事故闘争の組織化という形で、現場の労働者が求めていた闘いを強力に組織することを通してこの組織攻防戦に決着をつけていった。この経験は、今、必ず役に立つと思います。郡山工場で先端的に始まっていますが、全部を獲得するという戦闘精神で臨むことだと思います。こうして動労総連合を全国につくっていきたい。

非正規化の過程を撃つ闘いに圧倒的な説得力

 国鉄闘争にこだわりぬいて闘ってきたわれわれの路線は、今、大きな説得力・獲得力を持とうとしています。膨大な労働者が非正規職化された現実に対しては誰もが声を上げますが、その全過程に非妥協的に闘いを挑み、団結を守りぬいたのはわれわれしかいないからです。東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の闘いも、当該の必死の努力と国鉄闘争が結合することで勝利を切り開いた。
 国鉄1047名解雇撤回闘争、国鉄分割・民営化反対闘争を本格的に発展させることが求められています。鉄建公団訴訟は年末に判決が出てもおかしくない。どんな判決が出ても受けて立つ。11月集会はその土台を築きました。判決後も、何としても国鉄闘争を継続させなければならない。国鉄闘争をいかに持続するか、真剣な議論を皆さんにお願いしたい。
 外注化粉砕闘争を階級的労働運動の復権運動として本格的に発展させる闘いも正念場です。職場は苦心さんたんしています。JRとCTS(千葉鉄道サービス)、本体と下請けの双方を組織して外注化を粉砕する。これは単純な正規と非正規との連帯論ではありません。これまでの労働運動の歴史の中には、非正規職化されたことによるひどい結果に対する闘いはあっても、非正規職化の過程そのものに対する闘いはなかった。われわれは非正規職化の過程と闘い続けてきた。これは全国の苦しんでいる仲間を必ず激励するものになると思います。

社会を変革できるのは労働者の団結しかない

 11月集会は2015年の闘いに向けたスタートラインを切りました。
 来年の3・11を前に「福島原発のすぐ脇まで帰還しろ」という攻撃が必ず来ます。敵にはそれ以外にすさまじい被曝の現実を覆い隠す手段はない。今なお十数万人が避難し、仮設住宅では日々亡くなっている。福島の怒りは敵階級とますます非和解化している。
 だから、動労水戸が被曝労働を拒否して必死で闘ってきたことが、これからいよいよ生きてくる。郡山工場の闘いも外注化との闘いだけでなく3・11的現実との闘いです。来年の3・11に向け、帰還強制・福島圧殺と立ち向かえる強固な団結を組織したい。
 総選挙から来年の通常国会の過程は、まさに歴史の分岐点です。集団的自衛権関連法と称する戦争法案が全部提出される。安倍は追い詰められて総選挙に追い込まれた。その中で鈴木たつお候補が総選挙に打って出た。これは時代に立ち向かう決定的な闘いです。11月集会で実現しようとしたものすべてをかけて、鈴木候補必勝に全力を尽くそう。
 安倍が生んだのは貧困と戦争だけでした。安倍政権の登場以来、150万人が非正規職に突き落とされた。独身女性の三十数%が貧困ライン。子どもの6分の1が貧困。社会は全面崩壊しています。
 896自治体が崩壊する情勢をどう見るべきか。千葉県銚子市では、公営住宅を追い出されようとした人が心中を図った。経済が恐るべき勢いで収縮する中で、解雇・倒産の嵐が始まっています。農民も食っていけない。まさに「恐慌の中の恐慌」です。日本だけでなくドイツ、中国、アメリカもぐちゃぐちゃ。その中で、世界中が「アベノミクスを続けた結果、日本国債の暴落が始まったら世界中が破滅する」と背筋の凍る思いで安倍を見ている。
 安倍は唯一の出口を労働運動解体に求めています。櫻井よしこが産経新聞で「連合を分裂させよ」と言った。もともと櫻井なんて労働運動には何の関心もない人物です。安倍政権、支配階級の意思として言わせているんです。労組の産業報国会化と本格的に対決する時代が来ています。
 でも、国鉄分割・民営化の時と今は状況が全く違う。分割・民営化の時は、支配階級にまだ余裕があった。今は、資本が労働運動の解体にのめりこんでいるうちに、自らが崩壊してしまうような情勢です。労働者は「競争すればみんなが豊かになれる」なんていうのは大うそだと分かっている。怒りは積み上がっています。
 来年の通常国会は集団的自衛権関連法案を粉砕する決戦です。労働者派遣法や特区攻撃も含め戦争法案や社会丸ごと民営化攻撃を絶対に止める。
 来年は2・15国鉄集会を全国で闘い、6月7日に国鉄闘争全国運動集会を設定します。6・7は日韓の労働者が民営化反対を全世界に呼びかけるようなスケールアップしたものとして構想したい。大量退職問題を逆手に取った外注化は組合破壊攻撃として仕掛けられています。これとの対決は組織拡大闘争です。もう一回、腹を固めて来春闘で決戦を構えたい。
 社会を変革できるのは労働者の団結以外にありません。階級的労働運動を復権させ、新たな労働者の政党をつくり出さなければならない。11月集会が切り開いた地平の大きさを確認し、闘いの前進によってわれわれに突きつけられた課題を鮮明にさせて、これまでとは画然と違う組織的実践に立ち上がろう。

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動労総連合出向無効確認訴訟
 12月24日(水)午前11時30分
 東京地裁527号法廷

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