強制送還に抗議する チャーター機を使って難民ら32人を一斉に

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週刊『前進』06頁(2664号06面02)(2015/01/12)


強制送還に抗議する
 チャーター機を使って難民ら32人を一斉に


 衆院選直後の12月18日、安倍政権・法務省は、13年7月以来、3度目となるチャーター機を使っての一斉強制送還を強行した。強制送還されたのは、スリランカ人26人(うち女性1人)とベトナム人6人の32人。
 法務省は翌19日、「日本に配偶者がいたり、難民認定を申請したりしているケースはないと発表した」(毎日新聞12・20付)が、これは真っ赤なうそだ。実際には、「かなりの数」の難民申請者が含まれている。
 難民認定取り消し裁判で敗訴し、再度難民申請を行っていた仮放免者Aさんの場合、17日に難民申請が却下、仮放免の更新手続きに東京入管に行って収容され、そのまま送還された。却下決定に対する訴訟の機会さえ奪われ、迫害により生命が脅かされる危険のあるスリランカに強制送還されたのだ。しかも、実際にスリランカ到着後、少なくとも8人ほどが一時的に警察に身柄を拘束されたというのだ。
 さらに法務省がチャーター機導入の根拠にあげた「経費節約」がまったくのまやかしであることも実証された。13年7月6日にフィリピン人75人をチャーター機でフィリピンへ送還、同年12月8日にはタイ人46人をタイに送還した。当時の谷垣法相は「個別的に実施する場合と比べて、1人当たり3分の1から4分の1の経費になる」「人道的な観点にも配慮した」(7月9日)と述べた。
 しかし、日本で10年、20年と働き、生活基盤を築いている家族を引き裂くなど、送還を拒否する事情のある人びと(子どもを含む)に対する非人道的な強制送還が行われたのだ。
 今回、被送還者32人に対し、100人もの入管職員が日本から同行した。被送還者は東京入管から羽田空港まで腰縄・手錠で護送され、さらに9時間を超える飛行時間中も手錠は外されず、機内でのトイレ使用もドアを半開きで監視され、食事も片手錠だった。怒りを込めて弾劾する。

安倍政権による戦争政治の一環

 昨年9月、安倍は首相としては24年ぶりにスリランカを訪問。ラジャパクサ大統領との会談では、沿岸警備能力の向上のため日本の巡視船を無償で供与するとともに海上自衛隊とスリランカ海軍の合同訓練を行う方針で一致。さらにインフラ整備として約137億円の円借款(しゃっかん)も決めた。日帝にとってスリランカは、中東原油を輸送するシーレーン(海上交通路)の要であり、中国、インドとの争闘戦をにらんだ戦争外交そのものだ。
 世界を覆う新自由主義の結果、昨年の難民申請は11月末で4500人に達した。これに対し13年の難民認定はわずか6人(認定率0・1%)。これが日本の実態だ。
 安倍政権は、安保戦争法案とともに技能実習制度の改悪による外国人労働力導入を狙うと同時に、強制送還を発動し、労働者階級の分断を図ろうというのだ。
 チャーター機による強制送還への怒りを燃え立たせ、戦争阻止へ! 国際的な労働者の団結で立ち向かおう!

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