経労委報告を徹底批判する 政労使「官製春闘」と対決し国鉄決戦と賃金闘争爆発を

週刊『前進』06頁(2668号04面02)(2015/02/09)


経労委報告を徹底批判する
 政労使「官製春闘」と対決し国鉄決戦と賃金闘争爆発を


 経団連は1月20日、15春闘への経営側の指針である「経営労働政策委員会報告」(経労委報告)を発表した。マスコミは一斉に「ベースアップを容認、賃上げ促進」などと報道し、「官製春闘」の演出に全力をあげている。これ自体が労働組合破壊の攻撃だ。大恐慌と争闘戦の戦争への転化が始まり、日帝・安倍政権は公然と中東侵略戦争参戦に踏み切った。経労委報告はそれと一体であり、戦争と労組破壊の攻撃だ。国鉄決戦と15春闘で徹底対決しよう。

政労使会議で合意した事項の実行を叫ぶ

 報告は「経済の好循環を目指す」と、破産したアベノミクスになおもすがりつき、資本家自身が前に出て「生産性向上」をこれまで以上に積極的にやることが必要だと強調している。だがその中身は労働者階級への全面的な団結破壊、労組破壊、権利破壊の攻撃だ。
 報告の全内容は、政府と経団連、連合などによって開かれてきた政労使会議が昨年12月16日に発表した合意文書「経済の好循環に向けた政労使の取組について」に基づくものだ。報告は、これを全面的に推し進めよと言っている。
 報告は政府に「取り組みの加速が不可欠」であるものとして、①「規制改革の推進」「医療・農業・雇用の岩盤規制」の破壊、「国家戦略特区制度の活用」、②「法人実効税率の引き下げ」、③「原発再稼働プロセスを最大限加速」すること、④「社会保障制度改革の推進」=解体を求めた。
 雇用・労働に関してはさらに具体的に規制撤廃を要求している。労働時間規制緩和は「幅広い業務を対象に」「労使合意により対象を決めるのが望ましい」とした。また、「多様な無期契約社員(多様な限定正社員)の活用」などあらゆる形態・手法で正社員を低賃金・無権利化し、いつでも解雇できる雇用形態の推進や、労働者派遣法改悪案の早期成立を強く要求した。戦後労働法制を丸ごと覆す攻撃だ。
 さらに報告は、「生産性向上を実現する人材戦略」として「女性や高齢者の活躍推進」を掲げた。女性や高齢者を低賃金労働力として動員し、労働者を徹底的に分断・競争させる狙いだ。
 「政労使が賃上げで合意した」などというキャンペーンは、労働者をあざむく大ペテンだ。実際は官製の「賃上げ」の幻想で賃金闘争を破壊し、労働組合の団結を解体することを狙っている。このもとで現実に激しく進められているのは全面民営化・外注化、非正規職化、長時間労働強制、年功型賃金制度破壊、賃下げの階級戦争だ。

定昇制度解体と成果主義の賃金体系導入

 報告はまた、年齢や勤続年数に応じて毎年賃金が上昇する年功型賃金を廃止し、「仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度への移行」を推進することを打ち出した。
 昨年12月の政労使会議で連合を合意させたのは、今春闘で「労使一丸」で年功型賃金制度を廃止し、成果主義賃金の促進に道を開くためだった。
 実際に、トヨタ自動車が工場で働く4万人の賃金体系を大幅に見直すと報じられた(日経新聞1・27付)。年功部分が圧縮され、30歳前後から昇給はなくなり、査定に応じたものとなる。今春闘で年功制賃金の廃止、成果主義賃金制度に踏み込もうという経団連全体の姿勢をトヨタが率先して示した。
 この成果主義賃金制度の導入は世代間での労働者の分断をどこまでもあおり、団結を破壊して行われようとしている。これは賃金で労働者を分断・競争させ、資本の搾取と支配を強める攻撃であり、大幅賃下げが狙いである。

労組に団結し大幅賃上げへストで闘おう

 春闘の最大の攻防点である賃金引き上げについては、「経済全体の成長が十分でなく、企業間の格差が生じているなか、実態にそぐわないベア要求を掲げることには疑問がある」と敵意をあらわにしている。
 実質賃金が激しく下がっている。14年の実質賃金は前年比で2・5%も下がり、3年連続の減、下げ幅も過去2番目の大きさとなった(厚生労働省の調査)。現に多くの労働者家庭が食べるものが買えない、子どもの給食費も払えない、医者にもかかれないという貧困の苦しみを強制されている。にもかかわらず「物価動向は賃金決定の考慮要素の一つにすぎない」「あくまで企業が生み出した賃金の原資たる付加価値分を踏まえて総合的に判断すべき」とうそぶき、大恐慌下で生きるために賃金闘争に立ち上がることに真っ向から敵対している。

連合の帝国主義労働運動を打ち破れ!

 「良好で安定した労使関係はわが国企業の経営上の強みであり、競争力の源泉」と連合を絶賛していることが示すように、これらの攻撃はすべて連合の合意と加担によって行われる。だから連合指導部の打倒こそが春闘勝利の道である。
 また、14年版経労委報告で初めて「海外労使紛争の現状と課題」という項目が設けられたが、今回の15年版は「海外拠点の労働組合が日本本社の労働組合との連携を深めることを通して、建設的な労使関係構築への理解が進んだ例もある」と、あらためて帝国主義労働運動の役割を強調した。実際にインドネシアをはじめアジアで巻き起こる日系企業労働者の労働運動の解体の手先として連合が登場しているのだ。
 経労委報告と対決し、安倍・経団連・連合の労働者階級への攻撃を根底から打ち破る闘いが2〜3月国鉄決戦だ。全面外注化とローカル線切り捨て、労組破壊を狙うJRの3・14ダイヤ改定と対決し、ストライキで闘おう。国鉄・公務員決戦を先頭に、賃金上げろ、解雇許すな、非正規職撤廃、民営化・外注化・委託化絶対反対を貫き、全職場で階級的労働運動の15春闘を闘い抜こう。
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