社会保障解体許すな 〈生活保護〉 家賃補助・暖房費も削減へ 中間就労・無償労働を強制

週刊『前進』06頁(2671号03面04)(2015/03/02)


社会保障解体許すな 〈生活保護〉
 家賃補助・暖房費も削減へ
 中間就労・無償労働を強制


 大恐慌下、安倍の中東侵略戦争への参戦で世界戦争危機が深まっています。戦争で革命を圧殺する安倍を打倒しよう。
 日帝ブルジョアジーは「医療・介護・年金など社会保障給付費がGDPの25%、総額120兆円になった」「今年度96兆円の一般会計歳出では国と自治体の社会保障関係費(国負担)が31兆円を超えた(うち生活保護3兆円)」と叫んで、資本が自らつくり出した「少子高齢化」を盾に保険料大幅アップと社会保障給付大削減に踏み込んできています。
 しかし、国家予算と言っても資本家が働いて得た金など一銭もありません。すべて労働者が働いて生産した商品を売って得た金です。しかも生きるための社会保障費に上限はありえません。
 労働者階級自身が社会を取り戻して、自ら社会保障を実現しましょう。

今年度320億円もの削減

 安倍は軍事費を5兆円超に膨張させ、企業への法人税35%を20%に引き下げると宣言する一方で、生活保護費では家賃補助分を今年7月から足かけ3年で4%近い190億円減らし、冬季暖房費も8・5%減に相当する30億円を削り、生活扶助費とあわせて今年度分は320億円の削減を始めています。
 すでに昨年から生活保護受給者には医療費削減のためのジェネリック医薬品(後発医薬品)使用の原則化、生活扶助費6・5%削減(3年で670億円)、1人1・4万円(1級地)の年越し一時扶助削減も始まっています。
 生活保護費は労働者の賃金の一部です。「救済費」ではありません。削減絶対反対です。
 いわゆる「不正受給対策の強化」も強まっています。大阪府警は昨年から「生活保護受給者の容疑者情報提供制度」と称して、容疑者が生活保護受給者であった場合は取り調べの段階から市に通告し、通帳引き落とし口座も職権で自治体窓口に変更させ、昨年は301人から生活保護費を削ったと発表しています。
 また大阪市長・橋下徹は今年4月から生活保護費の内3万円分を履歴のわかるプリペイドカードで渡し(本人同意を取りながら)、手数料で稼ぐカード会社とグルになって今後の全国展開のモデル実施を始めようとしています。
 また次世代の党を先頭に、在日・滞日外国人を生活保護受給者から排除しようと議員立法の動きを強めています。
 生存は国籍を越えて保障されなければなりません。労働組合による団結の呼びかけこそが攻撃を打ち破る近道です。

削減競う各自治体に反撃を

 生活保護は労働者にとって身近な問題です。政府発表でも、「働けど貧困、失業、低賃金」という「稼働世帯の生活保護受給者」や、さらに「20代青年と60代、70代の高齢受給者」が昨今急増しています。あるいは公務職場の民営化・外注化・非正規職化の中で、年収80万円の非常勤・臨時教員がスーパー店員をかけもちし、生活保護を受給しながら生きているという事例もあります。
 そうであるなら、民営化・外注化・非正規職撤廃への働きかけや安心して生活保護を受給できる支援こそが必要不可欠です。ところが逆に、なんとしても生活保護を打ち切り、受給を回避させようという自治体事業が新たに始まっています。
 厚労省は昨年、「生活保護受給者等就労自立促進事業」を始め、東京都町田市役所の生活保護窓口にハローワークの出張所をモデル的に併設しました。各自治体で「生活困窮者自立支援プログラム」の名で生活保護費削減が競わされています。その実態は「中間就労」という最低賃金以下での労働やボランティア労働に誘導する事業であり、またケースワーカーや窓口労働者を過労と非正規職に追い込む攻撃です。
 4月から「生活困窮者自立支援法」が施行され、その相談窓口が開設される予定です。これは生活保護防止の網を重ね、非正規職化と労組破壊、労働者の団結解体と搾取・ピンハネを「中間就労・無償労働」で促進する安倍戦争政治と一体の攻撃です。階級的労働運動と国際連帯で反撃しましょう。
(岩崎泰明)
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