伊方原発 再稼働のための訓練反対 愛媛県職労を先頭に抗議 〝労働者も住民も被曝させない〟

週刊『前進』06頁(2706号04面01)(2015/11/16)


伊方原発 再稼働のための訓練反対
 愛媛県職労を先頭に抗議
 〝労働者も住民も被曝させない〟

(写真 愛媛県庁前には県内外の労働組合など30人が結集。愛媛県職労の宇都宮委員長を先頭に原子力防災訓練の実施を弾劾した【11月8日】)

(写真 「再稼働のための訓練は許せない」と訴える中、内閣府や関連業者が県庁に入っていった)


 11月8〜9日に行われた伊方原発の原子力総合防災訓練は、愛媛県の中村時広知事の「地元同意」を前提にした再稼働のための訓練です。8日、午前8時からの抗議行動には県内外の労組など30人が集まりました。今回の抗議行動は愛媛県職労の宇都宮理委員長、NAZENえひめの徳丸真一代表、NAZENえひめ事務局の平野明人の共同の呼びかけです。
 8時から愛媛県庁正門前にて、訓練に動員され登庁する県庁と関係職種の労働者にビラを配り、抗議のリレートークを始めました。正門前には愛媛県職労の「伊方原発再稼働阻止」の横断幕と「再稼働のための避難訓練反対」のメッセージが広げられ、労組の旗がひるがえっています。
 初めに宇都宮さんが、「今回の訓練は『地元同意』がされているので再稼働のための訓練です。10月26日の愛媛県中村知事の『再稼働同意』に対し、労働組合として10月30日に再稼働を止めて廃炉にする申し入れをしております。原子力災害業務に関しては、労働者の安全が確保できないことは明らかであり、福島では原発労働者、消防、警察、そして自治体労働者が被曝しています。住民も労働者も被曝させてはいけない」と行動を呼びかけ、決意を明らかにしました。
 徳丸さんは「自分は介護労働者です。(本来)避難計画、訓練は廃炉に向かってこそのもの。再稼働のための訓練は許せません。最悪の事態を想定すれば逃げ場所はどこにもありません。避難計画には、〝介護労働者は自分の家族の安全を確認したら施設に行け〟と書いてあります。大半はパートの女性、子育て中の母です。その子どもを置いて助けに行く、そんなことできますか? そんな避難計画を『できるできる』と書いている」とデタラメな避難計画を激しく弾劾しました。
 各地の労組からも発言がありました。広大生協労組の一貫田康博委員長は「被爆二世として、うそでぬり固めた再稼働を絶対許せない。声を上げたいと思う人がたくさんいます。その人たちに展望を示しているのが愛媛県職労の闘いです。勇気づけられています」。自治労倉敷の百本敏明委員長、徳島医療福祉労組の元木智之委員長、愛媛県職労の中村圭司さん、JP労組松山支部の日野亮さん、和田康司さんらが、再稼働阻止の決意を表明しました。
 原発に、介護職場に、あらゆる職場に労働組合をつくって被曝労働を拒否し、再稼働を阻止しましょう。
(NAZENえひめ事務局・平野明人)

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〈解説〉
命を奪う「避難計画」 労組の力で再稼働阻もう

 10月26日、中村愛媛県知事は伊方原発再稼働への「地元合意」を表明した。11月8〜9日に行われた国と愛媛県の原子力総合防災訓練は、再稼働への「セレモニー」だ。
 また、今回の訓練の狙いは「避難計画があれば大丈夫。被曝もしない」という「新たな安全神話」をねつ造することであった。そのメーンが「原発以西の佐田岬住民は船で大分へ」という「避難訓練」の実施であった。しかし逆に、訓練を通して地域住民、高齢者や重度の要介護者を無理やり外に連れ出し、被曝させ、命を奪うとんでもない「計画」であることが鮮明になった。
 伊方町の介護施設の労働者は「訓練は1回の輸送だが、車は7台しかなく事故時にはどれだけ時間がかかるか。町外に住む職員が何人集まれるかもわからない」(11月10日付愛媛新聞)と語った。佐田岬半島から船で大分に移動する訓練に参加した住民からは「体調を崩す高齢者も多いのでは」「実際に港まで来られるのか」「津波が来たら大型船は入れず、港も使えない」「本当の避難なら大ごと。泣いても泣ききれん」(同上)との声が上がっている。同時に、事故収束や避難行動に動員される原発・自治体・介護・交通・消防などの労働者は被曝労働を強いられることがはっきり明らかになった。
 だからこそ、労働者自らと地元住民の命と生活を守るために、あらゆる労働現場で被曝労働拒否を闘うことで、「避難計画」を破綻させ、再稼働を止めることができる。あらゆる職場で「避難計画」をとことん問題にし、被曝労働を拒否して闘う労働組合をつくり出すことで、国や県全体の「避難計画」を徹底的に粉砕しよう。
 今回の原子力防災訓練反対闘争は、被曝労働の「当該」である愛媛県職労を始め、労働組合が職場で闘って反原発闘争の先頭に登場したことに決定的意義がある。「住民も労働者も被曝してはならない」という訴えは多くの労働者家族(地域住民)の圧倒的な共感を生み、原発労働者を始め全労働者と結びつき、労働組合的団結をつくり出す決定的な出発点を築いた。動労水戸の闘いをさらに学び尽くそう!
 被曝労働拒否・原発絶対反対で闘う労働組合の団結の拡大こそ、再稼働を止め原発廃炉を実現する力だ。この力で伊方原発の再稼働を絶対に阻止しよう!
(革共同愛媛県委員会)

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