【速報版2面-2】〝日本に対する攻撃には安保第5条で共同対処〟 米軍と一緒に戦争する共産党 安保条約も自衛隊も活用

週刊『前進』08頁(2710号08面02)(2015/12/14)


【速報版2面-2】
〝日本に対する攻撃には安保第5条で共同対処〟
 米軍と一緒に戦争する共産党
 安保条約も自衛隊も活用


 日本共産党の提唱する「戦争法廃止のための国民連合政府」の反動的本質は、日を追って明らかになっている。それは「安倍よりはまし」「安倍の暴走にストップ」どころか、根本的なところで安倍に屈服し、戦争を推進するものである。労働者階級にとって百害あって一利なしである。
 第一に、この間の日本共産党の言動で明らかになったことは、彼らが安保反対でも自衛隊反対でもなく、現状の安保条約や自衛隊を肯定し、活用しようとしているということだ。
 共産党の志位委員長は「国民連合政府では『安保条約の廃棄』の方針は凍結する」と言う。それは、現在的にも安保と共存できるということだ。安保のもとでの現実をすべて肯定するというものなのだ。また、連合政府のもとでは自衛隊は「合憲」だとするのなら、今現在の自衛隊を否定する理由はない。
 そればかりか、「国民連合政府では現状の安保で対応する」「急迫不正の主権侵害に対しては自衛隊を活用する」「有事の際には、日米安保条約第5条に基づいて日米が共同対処する」とまで言っている。これは、共産党自身が日米安保と戦争遂行の担い手となるということだ。
 共産党は従来から「自衛権はある」「自衛戦争は正当だ」と主張してきたが、ついに日米安保を承認するに至ったのだ。
 現憲法の制定過程で、1946年6月、当時の首相・吉田茂が「個別的自衛権を含む一切の自衛権も放棄している」と発言したのに対して、共産党衆院議員の野坂参三は「第9条は、我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危うくする。侵略戦争のみを放棄する規定にすべきである」と主張、共産党議員6人は憲法制定に反対票を投じた。このように「自衛権の承認」が共産党の一貫した主張だ。だが、日本の自衛権は民族や国家一般の自衛権ではない。帝国主義日本の自衛権である。そして帝国主義の死活的利害は国際的な諸利害と不可分だから、自衛権の承認は容易に集団的自衛権の承認につながる。共産党は結局、日本の「国家存亡」の時には「自衛戦争」を認め、その先頭に立つ戦争翼賛勢力だ。

〝天皇制との共存〟を表明

 第二に、そもそも「国民連合政府」という問題の立て方そのものが、「日本を守るための挙国一致」を求めるもので、根本的に労働者階級の立場ではない。それは愛国主義、民族主義、排外主義のスローガンだ。志位は「オールジャパンで世直しを」と叫んだ。資本家も労働者もない、みんなひとつになって、「安倍よりまし」な政権をつくろうと言うのだ。
 だが、これだけ新自由主義の破綻があらわになり、非正規労働者が2千万人を超えるような社会になり、誰もが生きていけないと感じ、怒りが至るところで沸騰し始めている時に、どうして資本家階級に協力できるか。
 1%の資本家階級のために99%が犠牲にされる社会を覆し、労働者階級が権力を取ることが問題になっているのに、共産党は資本家階級との闘いを呼びかけるのではなく、階級融和の思想、階級協調主義を振りまいているのだ。そうして資本家階級の容認する範囲での「戦争法廃止」をやろうとしているのだ。だが、それは安倍の改憲と戦争政治の露払いを行うものでしかない。
 「国民連合」で想定されているのは、民主党や維新の党、生活の党、社民党などの野党連合であるが、3年間の政権運営でその反動性と破産が刻印された民主党を始め、資本家階級の支配を前提にしている勢力である。共産党は翼下の労働者党員に資本家階級に反対しないことを強いている。
 志位は、民主党や維新の党に対し、共産党は天皇制に反対しないとアピールしている。「認証式」はどうするかと問われた志位は、「天皇制度とは共存していく。心配いらない」と答えた(10月3日付日経新聞)。それ以前にも、志位は「日本は、国民主権の国であって、いかなる意味でも君主制の国ではありません」「天皇の制度は社会進歩の障害にならない」と天皇制との共存を明言している(8月4日付『赤旗』)。
 また、志位は今回の提案に「憲法擁護」の語を入れなかったのは「歴史的なこと」とし、「改憲派も護憲派もいる」「その垣根を乗り越えて、声を上げている」と、改憲派との統一行動であることを強調している(サンデー毎日11・1号)。これは「明文改憲で9条改定を」と言う改憲派も仲間だということで、共産党自身が改憲勢力に転落したことの現れだ。

労働者も労組もない綱領

 第三に、これらの方針は「資本主義の枠内での改革」という、革命に反対して現在の帝国主義体制を容認する綱領から導かれたものだ。
 2004年の綱領改定によって共産党の綱領から「労働者」「労働組合」という言葉はまったくなくなった。労働者を社会変革の主体として認めず、資本主義体制の防衛を共産党の第一の課題にしたということだ。これは「共産党」という名とは対極の反革命綱領である。
 戦争はひとにぎりの資本家階級が、その延命と利権獲得のために労働者階級を動員して他国の労働者人民との殺し合いをさせるものだ。外に向かっての戦争は国内において労働者を犠牲に首切りと非正規職化、労働強化を進める階級戦争と一体の攻撃だ。だから、労働者人民は徹底的に階級的に団結して、資本家政府を打倒するために闘わなければならない。
 ところが共産党は、超階級的に守るべき日本を据え、「どうやって日本を守るか」という挙国一致の土俵の上で議論をしているのだ。この階級協調の思想が戦争の容認、推進につながることは歴史的に証明済みである。
 大恐慌と戦争の時代、まさにプロレタリア革命に向かって労働者階級が世界中で決起し始めている時代に、プロレタリア革命を阻止するために、共産党は必死になっている。それが「国民連合政府」提案の本質である。
 11・13パリ無差別襲撃事件とフランス帝国主義軍隊のシリア空爆、トルコによるロシア軍機撃墜などは、世界戦争危機を激成している。日帝の中東侵略戦争参戦も狙われている。一方、朝鮮有事をめぐって自衛隊の派兵も検討されるなど、東アジア情勢も緊迫している。こうした情勢の中で、共産党の方針は「国の存亡のかかった事態」という帝国主義の恫喝に屈服し、戦争に協力するものでしかない。労働者階級の国際連帯で戦争を阻止するという立場は、世界革命に敵対するスターリン主義の共産党にはまるでない。
 求められているのは、労働者の階級的団結を強め、階級的労働運動の復権をかちとり、ゼネストと国際連帯で戦争を必要とする帝国主義を打倒することだ。何よりも韓国・民主労総の11・14と12・5の総決起は、革命の現実性を告げ知らせている。ここに労働者階級の勝利の道があり、戦争を阻む道がある。

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