訪韓闘争に参加して/全学連

発行日:

週刊『前進』02頁(2802号02面02)(2016/12/01)


訪韓闘争に参加して/全学連

(写真 民衆総決起闘争に立つ全学連【12日 ソウル】)

自治会復権し韓国に続こう
 富山大学 藤井優輔

 11月12日、韓国で100万人をゆうに超える労働者民衆の決起のもと、パククネ政権打倒を訴える大集会が闘われました。ソウル市内の一角で行われたこの闘いは、会場となる広場とその周辺道路すべてを埋め尽くし、そこでは見る者を圧倒する労働者のエネルギーが発せられました。
 夕方からのデモでは、権力の予想をはるかに上回る労働者民衆が結集し、光化門の規制線を突破しました。あまりの力に機動隊は任務を放棄し逃げ出す者まで現れ、労働者と権力の力関係によってここまでできるのだと感じさせられました。
 そして私が特に重要だと感じたのは、14日の韓日米独労働者の理念交流会です。アメリカのATU(合同都市交通労組)のエレク・スレーターさんの報告によると、アメリカでは9割が労働組合に加入しておらず、数千万人の非正規労働者がいるそうです。そんな中でもいくつかの州で最低賃金を1時間15㌦に引き上げさせますが、完全には実施されず、生活苦から会社を辞めてしまう労働者もいると言います。新自由主義の現実に怒りが込み上げました。その一方で既成労組は組合員の自発性や戦闘性を抑え込んでいるそうです。まさに日本の体制内労組と同じです。資本のあり方はほかの国でも変わらないと同時に、アメリカでも労働運動の発展が求められていると感じました。
 また討論では、全学連の斎藤郁真委員長が、民主労総は多くの学生たちをどのように組織したかと質問し、民主労総が、全人民的な闘いであるにもかかわらず、学生とそれほど強いつながりは構築できていないと回答したことには驚きました。
 1997年のIMF危機以降、韓国の学生運動はいったん弱まったそうです。この点は日本でも苦闘があります。全学連の闘いも、2004年の国立大学法人化以降、大学当局・資本側からの学生に対する弾圧が強まったからです。安保国会の学生の決起、法大闘争、京大の輝かしい反戦ストが闘われる中で、まだまだ韓国には数では及びません。しかし今回、韓国の学生は立ち上がりました。学生の社会に対する問題意識や、民主労総が自らの現場で闘う姿を学生に見せてきたことがあるからだと思います。
 日本でも民主労総のような労働者・学生の闘いを実現したい。韓国ゼネストを上回るような安倍打倒の闘いをつくり出すためにも、全国大学で、富山大学で、いち早く学生自治会を復権させていきたいと思いました。

怒りの決起は社会を変える
 首都圏・大学1年生 A

 初めて韓国に行き、12日の民衆総決起大会に参加しました。こんなにも大勢の人がひとつのことに向き合えることにただただ驚きました。いつも一人ひとり違う世界で生きていて、隣りにいる人のことさえ何も分からないけど、あの場にいたみんなが同じ世界に生きてるような感覚でした。
 デモ中見上げた空には、後2日で満月になる月がありました。地上では「パククネ下野」のシュプレヒコールと人びとで渦巻く中、月はひたすら静かに私たちを見ていました。この声が届いていたとしたら、きっと私の前に道を示してくれそうだなと考えていました。100万人なんて言われても想像できないし、その中にいたと言われても実感なんて湧かない。だけど数なんてどうでもよくなるくらいの怒りがそこにはあったと思います。大勢の若い世代の人が決起していた姿は感動的でした。自分の問題だと認識しているからこそ、NO!と言えるのだと思いました。
 デモ中、日本から来た私たちに向かって歓声を上げてくれました。「あべアウト!」と言えば、「あべアウト」と返してくれた。それは、韓国と日本で抱えているさまざまな問題が同じだと感じる瞬間でした。「頑張ろう」と声をかけてくれたり、「ありがとう」と言ってくれた。韓国のこの怒りと決起に対して、日本からも同じ立場で考え行動していかなければならないと教えられました。私たちの怒りの決起が必ずこの社会を変えます。その証拠が今回の訪韓で見てきたものすべてだと思います。

このエントリーをはてなブックマークに追加