豊洲移転で大民営化狙う 業者負担は築地の5倍強に

週刊『前進』02頁(2802号02面03)(2016/12/01)


豊洲移転で大民営化狙う
 業者負担は築地の5倍強に


 11月18日、小池百合子都知事は記者会見で、築地市場の豊洲移転について来年7月にも判断する意向を示した。土壌汚染と利権にまみれた豊洲問題の全責任を都庁の職員に押しつけて処分を下すとともに、時間をかけてでも怒りをそらし、あくまで移転を行おうとしている。こうまでして進める築地市場廃止・豊洲新設の真の狙いが、今ある中央卸売市場の解体と大民営化であることが公然化しつつある。

「寝耳に水だ」詐欺の手口と変わらない!

 15日に都政改革本部・市場問題プロジェクトチーム(小島敏郎座長)の築地業者ヒアリングがもたれ、豊洲移転後の経費試算が初めて示された。光熱水費、警備・設備保守費などで1日2100万円かかるという。築地の経費は1日約400万円であり、豊洲での業者負担は5倍以上に膨れ上がる。払えるわけがない!
 市場関係者から「寝耳に水だ」と声が上がったが、小島座長は条例を盾に負担軽減を拒否。都はこれまで試算しなかったのは「業界から要望がなかったから」と釈明している。〝聞かれなかったから教えなかった。決まった以上払え〟と迫る詐欺の手口と変わらない。

業者の廃業と労働者の大量解雇は必至だ

 18日の会見で移転延期の補償金も市場会計から出すとされた。市場関係者は「結果としてわれわれの負担になる」と激しく反発している。移転前に廃業した業者は数十社に上り、解雇された労働者も多い。経費を払えず離脱する業者が増えると残った業者の負担は一層増す。将来の修繕費用も3千億円弱に。年間何十億円もの赤字が出て市場会計では足らず、都の一般会計から税金を入れることが想定されている。そのすべてがゼネコンや利権団体に流れ込む。
 知事の側近は「市場運営が商売として成り立たない以上、民営化を打ち出すことになる」と露骨に言い出した。これが本音なのだ。すでに大阪では300億円の累積赤字を口実に、法規制を骨抜きにして中央卸売市場の管理運営を民間に委ねる指定管理者制度の導入を決め、具体的検討を進めている。

地下鉄・バス・病院の民営化、密告まで促す

 『文藝春秋』12月号は上山信一・東京都特別顧問と片山善博・前鳥取県知事の対談を掲載した。見出しは「小池知事VS伏魔殿の内幕/五輪と豊洲にケリをつけて本丸に迫る/改革に反発する職員たちをフル稼働させられるか」。これが小池都政の本音である。
 上山特別顧問は「いつまでも豊洲や五輪ばっかりやっているわけにはいかない」として「二階建て電車の導入や電線の地中化」を持ち出し、「高齢化対策や待機児童問題などやれることは山ほどある」とした。「都立病院に民間の資金と運営ノウハウを持ち込むPFIを適用した例」を挙げ、都営地下鉄と東京メトロの統合民営化、バスや病院などの民間委託を強調した。「予算を経費としてではなく、投資として使う発想がもっと必要」だとして、公的事業を金もうけの具にする意図を隠そうともしない。

東京都丸ごと民営化阻止の決戦を闘おう

 さらに2人は「(小池知事に)反発している職員も多い」「都庁内にシンパを増やしていかないと改革が進まない」として、「知事だけが開けるメールアドレスを設けたり、特別顧問の弁護士事務所に直訴ができる目安箱のような仕組み」を作ったと語った。処分の脅しと密告制度で大阪市労連破壊を狙った橋下徹・大阪前市長がやろうとしたことと同じだ。
 しかしそうした橋下・大阪改革は現場労働者の団結と闘いの力で粉砕された。小池・都政改革も職場の団結を固めて絶対反対で闘えば勝てる。東京都丸ごと民営化・労組破壊を粉砕しよう。国鉄決戦・都労連決戦で安倍・小池を倒そう。
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