理念交流 アメリカ労働者の報告 労働者の政府をつくる時 国際連帯の力で世界変えよう

週刊『前進』02頁(2802号02面04)(2016/12/01)


理念交流 アメリカ労働者の報告
 労働者の政府をつくる時
 国際連帯の力で世界変えよう

(写真 右から2番目が理念交流会で報告するエレクさん【ソウル】)


 11月14日、ソウルで民主労総ソウル地域本部と動労千葉訪韓団が理念交流会を開催し、国際共同行動をともに闘った米・ATUローカル241(合同都市交通労組第241支部)のエレク・スレーターさんがアメリカの労働者をめぐる現状を報告した。発言抜粋を紹介します。(編集局)
   ◇   ◇   
 10年間、シカゴ市バス運転手として働いてきたエレク・スレーターです。職場委員、そしてATUローカル241執行委員として選出されました。ただ、ここでは個人として発言します。
 私は2月に組合活動と政治活動のために解雇されましたが、2週間前、解雇撤回をかちとりました。米国内外、特に民主労総の支援に感謝します。土曜(12日)の数十万人の大集会に参加できて光栄です。韓国の労働者はいかに組織化し闘うかを世界に示しました!

■バス労働者の尊厳ふみにじる資本と対決
 私のバス車庫には整備工とバス運転手700人がいます。一人ひとりが命に責任を持ち、乗客を毎日安全に運んでいます。しかし当局は尊厳を踏みにじり、危険な労働条件を強制します。われわれが特に問題にしているのは次のことです。
 ①労働への当局の敬意の欠如、②退職基金・健康保険基金への労働者拠出分の増額、③睡眠が確保されず、トイレの時間も場所も保証しない危険な勤務スケジュール、④同じ仕事のフルタイムとパートタイムの労働条件の極端な差、⑤労働の大規模な監視と罰則、過剰な制約。

■組合組織率1割、数千万人が非正規職
 歴史を見ましょう。1930年代に強大化した労働運動が国家を支配することを恐れた支配階級は、第2次大戦を口実に革命家と組合指導者を投獄しました。獄外の労組指導部は屈服し、団体行動を弱める法律的枠に労働者を縛りつけました。競争相手の工業生産が戦争で破壊され、アメリカ資本は多大な利益を得て、一時は労働者を「買収」できました。しかし以後、労働条件はさほど抵抗もなく下げられ、資本と公然と闘った時代の教訓の大半が忘れられました。
 現在、労働者の1割しか組合に所属していません。何千万人もが非正規職を強制されています。ファストフードなどの低賃金労働者はフルタイムの正規職、最低賃金15㌦と組合承認を要求し闘っています。いくつかの都市と州は15㌦に上げました。しかし実施は何年も先延ばしです。多くの職種が除外されています。

■トランプの当選は階級支配の危機の表れ
 トランプが当選しました。多くの労働者は差別主義を支持したのではなく、差別主義にもかかわらず入れたのです。別の選択肢=民主党とそれを支持した組合官僚が何もしないどころか、労働者への攻撃を激化させたからです。共和党は民主党とうり二つの階級的利害を共有していますが、民主党よりストレートに労働者階級と対決します。
 支配階級は資本主義の危機が彼らに強制するものを恐れています。それは、労働者階級への攻撃が労働者の反撃・組織化を呼び起こし、資本の支配に代わるものを建設する展望を開くことです。
 サンダースやトランプが「反既成勢力」を掲げて登場したことの持つ意味は、労働者の労働者による労働者のための政府をつくる政治運動には巨大な空間が存在するということです。もしそれを実現しないなら、支配者がファシズムや世界戦争を再現する本当の危機になってしまいます。
 土曜の民主労総の組織化には感激しました。規律ある闘争は「韓国を労働者がリードできる!」と示しました。しかし、トランプ当選後の最初の行為はパククネへの電話でした。駐韓米軍は韓国の財閥支配を守ると明確にしたのです。
 韓国で政府が正当につくられれば、それへの流血の攻撃をアメリカ労働者階級は阻止できます。実績があります。1945年、大戦から帰還した米兵は中国への攻撃に「ノー」と言いました。70年代にはベトナム人民の軍事的勝利とともに闘いました。兵士も米本土にいた者も反乱しました。アメリカの労働者が互いの解放のために積極的役割を担うことは死活的です。韓国とアメリカの労働者組織は直接の結合をつくるべきです。
 アメリカ支配階級は近年、東アジア太平洋の新たな経済的・外交的・軍事的支配へと舵(かじ)を切りました。世界的危機です。
 韓国とアメリカの労働者の未来は同じです。国際的に腕を組み、資本の時代をのりこえ、新たな世界的社会を建設しましょう。

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