〝安倍農政との対決を〟 全国農民会議総会 TPP講演会に125人

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週刊『前進』04頁(2819号02面03)(2017/02/13)


〝安倍農政との対決を〟
 全国農民会議総会
 TPP講演会に125人

(写真 安倍農政と最先頭で闘う気概を表した全国農民会議第5回総会【1月23日 二本松市】)

 1月23日、全国12の都県から反原発・反TPP(環太平洋経済連携協定)、三里塚連帯を闘う農民・農業関係者らが一堂に会して、福島県二本松市で全国農民会議第5回総会が開かれました。

三里塚に感動

 総会に先立ち1月22日、市内の会場で鈴木宣弘東京大学教授を講師に招きTPP問題での講演会が開かれ、県内外から125人が参加し大成功しました。昨秋に県内の農民・労働者などで実行委員会をつくり準備を進め、全国農民会議は後援団体として協力してきました。
 「TPPの真実―TPP闘争の勝利とTPPプラスの根絶」と題した講演で、鈴木教授は「TPPを破産させ、われわれはTPP反対闘争に勝利した。『もうかるのは一部企業の経営陣のみでわれわれの暮らしはもっと苦しくなる。これ以上ごめんだ』と国民の声が巨大なうねりとなった」と、6年間の闘いの勝利を宣言しました。
 「だが今後、TPPプラス、つまりTPP水準をベースとしたFTA(自由貿易協定)交渉が展開されようとしており、TPP付属文書の非関税措置の約束は日本政府が〝自主的に〟実行しようとしている」と課題を示しました。
 安倍政権の昨年末の国会でのTPP法案強行採決、米投資家の要求に日本が対処する約束が書かれているTPP付属文書、JAマネーを狙った農協解体・株式会社化、TPPで雇用は減り賃金も下がることはNAFTA(北米自由貿易協定)や韓米FTAで実証済みであることなどがていねいに解説されました。
 会場からは「日本では農産物の関税問題に一面化され、労働者の反対運動が遅れた。自治体や医療現場を中心に運動を広げ、TPPプラスを根絶しよう」などの意見や質問が出されました。
 最後に三里塚反対同盟の市東孝雄さんが、成田空港反対51年の歴史の上に、昨年の農地法裁判上告棄却に対して強制執行を許さず農地を実力で守る決意を表明。講演会終了後、原発事故被害と闘う福島の農民が市東さんに握手を求める感動的場面もありました。

労農連帯固め

 翌日、全国農民会議第5回総会を開催しました。創立から先頭で尽力された山梨県の市川勝三さんの逝去を悼み、黙祷(もくとう)。福島県労組交流センターと動労福島の代表より来賓のあいさつを受けました。
 議案として、世界の激動、TPPと安倍農政に対する農民の怒り、農協改革や減反廃止の動向などの情勢報告、全国に飛び出して組織建設に踏み出した昨年1年の運動の総括、今年の運動方針が提案されました。
 特別報告として、三里塚反対同盟の市東孝雄さん、萩原富夫さんが決意を述べました。
 次に全国農民会議福島支部が、前日の鈴木講演会をいかに準備してきたのかを中心に、組織拡大へ向けた奮闘を報告しました。新潟の小千谷支部からは昨年12月の支部結成、12月末の韓国訪問の報告が行われました。「民主労総を先頭とする韓国の闘いは1年前の農民の闘いとともにあった。農民の国際連帯を推し進めよう」と訴えがありました。
 議案を全員の拍手で確認した後、「市東さんの農地・作業場の強奪を許さない」特別決議を採択し、参加者全員で書いた激布が市東さん、萩原さんに手渡されました。
 最後に、小川浩共同代表が千葉での取り組みの紹介を交えて討論のまとめを行い、「100人会員拡大と労農連帯と国際連帯で闘っていく」決意を表しました。
 第5回総会は安倍農政と対決し、各地に支部を建設し、全国農民会議が農民運動のナショナルセンターとして登場する出発点になりました。農民の中に持ち込まれる分断攻撃をはね返す幅のある議論を通して、国際連帯・労農連帯を発展させ、「農民としての労働の奪還」論を深化させて進みたいと思います。
(全国農民会議・K)
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