「脱電話会社」=大合理化狙うNTTに職場から大反撃を 革共同電通労働者委員会

週刊『前進』04頁(2849号03面02)(2017/06/05)


「脱電話会社」=大合理化狙うNTTに職場から大反撃を
 革共同電通労働者委員会


 安倍政権は「共謀罪」法案の強行と9条改憲を狙う一方で、戦後労働法制の大改悪と民営化・非正規職化を一挙に進めようとしている。この攻撃と対決し、動労総連合を先頭とする階級的労働運動の登場をかちとり、国際連帯で今こそゼネスト情勢を切り開こう。革共同電通労働者委員会は3・11反原発福島行動や5・15沖縄闘争を先頭で担い、都庁議事堂レストランでの女性労働者の不当解雇を弾劾する都庁前抗議行動にも駆けつけて闘いぬいた。この地平をさらに拡大し、6・11国鉄闘争全国集会へ全国から結集しよう。

民営化から30年でJR同様の危機に

 日本電信電話公社(電電公社)が1985年4月1日をもって民営化され、現在の日本電信電話株式会社(NTT)となって以降、NTTはJRと並んで民営化と外注化を徹底的に推し進めてきた。2002年には営業や注文受付、設備の保守、事務などの現業部門を地域子会社に委託し、各県・地域ごとに営業系・設備系・事務系の3形態で設立した約100社の子会社に大半の労働者を転籍・出向させた。現在NTTグループの連結子会社は900社を超え、圧倒的に非正規職労働者が増えた。NTTには民営化の時点で31万4千人の労働者がいたが、今ではNTT持ち株会社の社員数は3千人以下である。
 売上高では、民営化初年度の約5兆円に対し、2014年度には約11兆円まで伸ばしたが、この30年で市場環境は大きく変わっている。民営化時には売上高の83%を音声関連収入が占めていたが、14年度は21%まで縮小した。その主力は携帯電話だが、すでに市場は飽和状態だ。15年3月には大手3社(NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI)の契約数が1億4千件を突破しており、人口普及率100%を超えている。今後、人口減で収益はさらに低下する。NTTドコモは最盛期で1兆円以上の営業利益を上げたが、14年度の連結営業利益は6390億円で大手3社の最下位に転落した。
 民営化から30年を経て、NTTもJR同様の破産と危機に直面しているのだ。NTTは今や電話に代わってデータ通信などを事業の中心とする事実上の「脱電話会社」に生き残りをかけている。その核心はコストの大幅削減だ。15年2月からは、さまざまな事業者に光回線の卸売りを行う「光コラボレーションモデル(光コラボ)」を開始したが、その真の狙いは「営業コストの大幅削減」(15年2月28日付日経新聞)だ。
 各地で大幅な職場の統合・再編が進められ、沖縄では15年4月1日から組織再編と広域異動が始まった。九州全域では福岡が主要拠点となり、沖縄は「サテライト(付属機関)」扱いとなることから、管理職は「拠点職場以外はいずれ廃止される」と公言している。沖縄のNTTの職場をなくし、労働者には正規・非正規を問わず「福岡(九州)に異動するか、退職するか」の二者択一を迫る攻撃が始まっているのだ。

自治体と協定結び医療・教育で金儲け

 NTTは15年5月に公表した新たな中期経営戦略で、キーワードに「2020」と「地方創生」を打ち出した。NTTグループは15年1月、早々に東京オリンピック組織委員会と「ゴールドパートナー」契約(第1号)を締結しており、小池都知事と組んでオリンピック利権にありつこうと必死だ。
 また「地方創生」とは、JRが先頭で進める「選択と集中」と一体だ。NTTはこれを「自治体と組んで新たなビジネスモデルの創出を探る新しい挑戦」としている。すでに地方自治体と協定を結び、公衆無線LANやアプリを通じて収集した「ビックデータ」が観光などの分野で使用され始めているが、今後は「医療や教育などの領域でも一歩踏み込んだサービスを展開するチャンスが生まれる」とその狙いを語っている。
 子どもたちの健康診断や学力テストの結果がデータとして売り買いされれば、医療や教育が今以上に金もうけの手段にされる。NTTが公社時代の「独占」を背景に、通信設備で圧倒的なシェアを占める点は今も変わらない。NTTが収集・分析するビックデータは学校や病院の統廃合、地域丸ごと民営化の大前提となる。またビッグデータの活用は、グーグルなど大量のネットデータを抱える米企業や巨大な自国市場のデータを独占できる中国などとの激しいつぶし合いの競争になる。またマイナンバー制とリンクさせれば、あらゆる情報の国家的掌握に使われる。まさに戦争・共謀罪攻撃と一体だ。
 こうした中で、問われているのは労働組合だ。NTT労組は安倍・経団連・連合が一体となって進めた「繁忙期の残業月100時間」を柱とする「働き方改革」実行計画について、「『罰則付き』時間外労働の上限規制は、『労働基準法』70年の歴史の中でも大改革であり、労働者・生活者を守る連合運動の成果の一つである」(『NTT労組』4月8日号)などと絶賛した。こんな労働組合のあり方を絶対に許さず、職場から闘いを始めよう。
 NTT本体・グループ関連企業の労働者、正規・非正規の労働者は団結して「戦争・改憲と民営化」を進める安倍=小池都知事打倒に立とう。6・11国鉄闘争全国集会に集まろう。都議選決戦での北島邦彦さんの必勝へともに闘おう。
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